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アデノシン誘導体を含有する炎症性眼疾患の治療又は予防剤
説明

アデノシン誘導体を含有する炎症性眼疾患の治療又は予防剤

【課題】下記一般式(1)で表される化合物又はその塩の新たな医薬用途を探索する。
【解決手段】下記一般式(1)で表される化合物又はその塩は、結膜炎モデルにおいて優れた予防又は改善効果を発揮し、結膜炎、角膜炎、上輪部角結膜炎、糸状角結膜炎、眼瞼炎、強膜炎、上強膜炎、虹彩炎、虹彩毛様体炎、ブドウ膜炎、アレルギー性結膜炎、フリクテン性結膜炎、春季カタル、流行性角結膜炎、術後炎症又はその他の炎症性眼疾患の予防又は治療剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結膜炎、角膜炎、上輪部角結膜炎、糸状角結膜炎、眼瞼炎、強膜炎、上強膜炎、虹彩炎、虹彩毛様体炎、ブドウ膜炎、アレルギー性結膜炎、フリクテン性結膜炎、春季カタル、流行性角結膜炎、術後炎症又はその他の炎症性眼疾患の治療又は予防剤に関する。
【背景技術】
【0002】
眼は外界と接した組織であり、そのため細菌やウイルス等の病原体に曝され易く、これらを原因とする炎症性の疾患が生じやすい。炎症性眼疾患の治療には、抗炎症作用を有するステロイドなどが投与されるが、抗炎症作用を有する薬物が必ずしも炎症性眼疾患に有効であるとは限らない。これは、眼局所にて効果を発揮するためは移行性や滞留性などの諸条件を満たす必要があるからである。
【0003】
ところで、米国特許出願公開2006/0100169号明細書(特許文献1)、国際公開2006/015357号(特許文献2)、国際公開2006/101920号(特許文献3)、国際公開2008/130520号(特許文献4)、及びNeuroscience, 141, 2029−2039(2006)(非特許文献1)には、下記一般式(1)で表される化合物である4−{3−[6−アミノ−9−((2R,3R,4S,5S)−5−シクロプロピルカルバモイル−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)−9H−プリン−2−イル]−2−プロピニル}−ピペリジン−1−カルボン酸メチルエステルが開示され、該化合物が抗炎症剤、冠動脈血管拡張剤、神経保護剤、緑内障治療剤などとして有用であることが示唆されている。
【0004】
【化1】

【0005】
また、国際公開03/029264号(特許文献5)及び上記非特許文献1には、一般式(1)で表される化合物である4−{3−[6−アミノ−9−((2R,3R,4S,5S)−5−エチルカルバモイル−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)−9H−プリン−2−イル]−2−プロピニル}−ピペリジン−1−カルボン酸メチルエステル、4−{3−[6−アミノ−9−((2R,3R,4S,5S)−5−エチルカルバモイル−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)−9H−プリン−2−イル]−2−プロピニル}−ピペリジン−1−カルボン酸イソブチルエステルが開示され、特表2002−536300号公報(特許文献6)には、一般式(1)で表される化合物である4−{3−[6−アミノ−9−((2R,3R,4S,5S)−5−エチルカルバモイル−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)−9H−プリン−2−イル]−2−プロピニル}−シクロヘキサン−1−カルボン酸メチルエステル(メチル−4−(3−{9−[(4S,5S,2R,3R)−5−(N−エチルカルバモイル)−3,4−ジヒドロキシオキソラン−2−イル]−6−アミノプリン−2−イル)}プロプ−2−イニル)シクロヘキサン−カルボキシレート)が開示されており、これらの化合物が抗炎症剤として有用であることが示唆されている。
【0006】
しかしながら、これまでに一般式(1)で表される化合物について炎症性眼疾患に対する薬理作用を具体的に検討する報告はなく、該化合物が炎症性眼疾患に対してどのような効果を示すのか明らかでない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開2006/0100169号明細書
【特許文献2】国際公開2006/015357号
【特許文献3】国際公開2006/101920号
【特許文献4】国際公開2008/130520号
【特許文献5】国際公開03/029264号
【特許文献6】特表2002−536300号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Neuroscience, 141, 2029−2039(2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、一般式(1)で表される化合物又はその塩に関して、新たな医薬用途を探索することは興味深い課題である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、一般式(1)で表される化合物又はその塩(以下、これらを総称して「本化合物」ともいう)の新たな医薬用途を探索すべく鋭意研究を行ったところ、本化合物が、結膜炎モデルを用いた試験においてカラゲニン注射による浮腫形成に対して優れた改善効果を発揮することを見出し、本発明に至った。
【0011】
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される化合物又はその塩を有効成分として含有する炎症性眼疾患の治療又は予防剤である。
【0012】
【化2】

【0013】
式中、XはCH又はNを示し、;Rは水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基、1又は複数個の低級アルコキシ基で置換された低級アルキル基、低級シクロアルキル基、アリール基、低級アルコキシ基、1又は複数個の低級アルコキシ基で置換された低級アルコキシ基、低級シクロアルコキシ基又はアリールオキシ基を示し、;Rがアリールオキシ基を示す場合、該アリールオキシ基はハロゲン原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基、低級シクロアルキル基、低級アルコキシ基及び低級シクロアルコキシ基からなる群より選択される1又は複数個の置換基を有してもよく、;Rは水素原子、低級アルキル基、1又は複数個の低級アルコキシ基で置換された低級アルキル基、低級シクロアルキル基又はアリール基を示す。
【0014】
本発明の炎症性眼疾患の治療又は予防剤は、上記一般式(1)において、XがCH又はNを示し、Rが水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基、低級シクロアルキル基、アリール基、低級アルコキシ基、低級シクロアルコキシ基又はアリールオキシ基を示し、Rがアリールオキシ基を示す場合、該アリールオキシ基はハロゲン原子及び低級アルコキシ基からなる群より選択される置換基を有してもよく、Rが水素原子、低級アルキル基、低級シクロアルキル基又はアリール基を示すことが好ましい。
【0015】
本発明の炎症性眼疾患の治療又は予防剤は、上記一般式(1)において、XがCH又はNを示し、Rが低級アルキル基、低級シクロアルキル基、低級アルコキシ基又は低級シクロアルコキシ基を示し、Rが低級アルキル基又は低級シクロアルキル基を示すことがより好ましい。
【0016】
本発明の炎症性眼疾患の治療又は予防剤は、上記一般式(1)において、XがNを示し、Rが低級アルコキシ基を示し、Rが低級シクロアルキル基を示すことがさらに好ましい。
【0017】
本発明の炎症性眼疾患の治療又は予防剤は、一般式(1)で表される化合物が、4−{3−[6−アミノ−9−((2R,3R,4S,5S)−5−シクロプロピルカルバモイル−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)−9H−プリン−2−イル]−2−プロピニル}−ピペリジン−1−カルボン酸メチルエステルであることが特に好ましい。
【0018】
また、本発明の他の態様は、上記一般式(1)で表される化合物又はその塩を有効成分として含有する炎症性眼疾患の治療又は予防剤であって、炎症性眼疾患が、結膜炎、角膜炎、上輪部角結膜炎、糸状角結膜炎、眼瞼炎、強膜炎、上強膜炎、虹彩炎、虹彩毛様体炎、ブドウ膜炎、アレルギー性結膜炎、フリクテン性結膜炎、春季カタル、流行性角結膜炎又は術後炎症である炎症性眼疾患の治療又は予防剤である。
【0019】
また、本発明の他の態様は、上記一般式(1)で表される化合物又はその塩を有効成分として含有する炎症性眼疾患の治療又は予防剤であって、剤型が、点眼剤又は眼軟膏である角結膜障害の治療又は予防剤である。
【発明の効果】
【0020】
後述の薬理試験の項で詳述するように、結膜炎モデルによる試験を実施したところ、本化合物は優れた改善効果を発揮することが示された。したがって、本化合物は、結膜炎、角膜炎、上輪部角結膜炎、糸状角結膜炎、眼瞼炎、強膜炎、上強膜炎、虹彩炎、虹彩毛様体炎、ブドウ膜炎、アレルギー性結膜炎、フリクテン性結膜炎、春季カタル、流行性角結膜炎、術後炎症又はその他の炎症性眼疾患の治療又は予防剤として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
特許請求の範囲及び明細書中で使用される文言(原子、基など)の定義について以下に詳しく説明する。
【0022】
「ハロゲン原子」とはフッ素、塩素、臭素又はヨウ素を示す。
「低級アルキル基」とは炭素原子数1〜6個の直鎖又は分枝のアルキル基を示し、炭素原子数が1〜4個の直鎖又は分枝のアルキル基が好ましい。具体例としてメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基などが挙げられる。
【0023】
「低級シクロアルキル基」とは炭素原子数3〜8個のシクロアルキル基を示し、炭素原子数3〜6個のシクロアルキル基が好ましい。具体例としてシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基が挙げられる。
【0024】
「アリール基」とは炭素原子数6〜14個の単環式芳香族炭化水素基又は2環式若しくは3環式の縮合多環式芳香族炭化水素から水素原子を一つ除いた残基を示す。具体例としてフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基などが挙げられる。
【0025】
「低級アルコキシ基」とはヒドロキシル基の水素原子が低級アルキル基で置換された基を示す。具体例としてメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ペントキシ基、n−ヘキシルオキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、イソペンチルオキシ基などが挙げられる。
【0026】
「低級シクロアルコキシ基」とはヒドロキシル基の水素原子が低級シクロアルキル基で置換された基を示す。具体例としてシクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロペントキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基が挙げられる。
【0027】
「アリールオキシ基」とはヒドロキシル基の水素原子がアリール基で置換された基を示す。具体例としてフェノキシ基、ナフトキシ基、アントリルオキシ基、フェナントリルオキシ基などが挙げられる。
【0028】
本発明でいう「複数個の置換基」とは、置換する部位において2個以上、置換可能な数以下の個数の置換基を示す。夫々の置換基は同一であっても異なってもよく、置換基の個数は2又は3個の場合が好ましく、2個の場合が特に好ましい。また、本発明において、水素原子やハロゲン原子も「置換基」の概念に含まれる。
【0029】
「複数個の低級アルコキシ基で置換された低級アルキル基」とは、置換する部位において2個以上、置換可能な数以下の個数の低級アルコキシ基で置換された低級アルキル基を示す。夫々の低級アルコキシ基は同一であっても異なってもよく、低級アルコキシ基の個数は2又は3個の場合が好ましく、2個の場合が特に好ましい。
【0030】
「複数個の低級アルコキシ基で置換された低級アルコキシ基」とは、置換する部位において2個以上、置換可能な数以下の個数の低級アルコキシ基で置換された低級アルコキシ基を示す。夫々の置換する低級アルコキシ基は同一であっても異なってもよく、置換する低級アルコキシ基の個数は2又は3個の場合が好ましく、2個の場合が特に好ましい。
【0031】
本化合物における塩とは、医薬として許容される塩であれば特に制限はなく、無機酸との塩、有機酸との塩、四級アンモニウム塩、ハロゲンイオンとの塩、アルカリ金属との塩、アルカリ土類金属との塩、金属塩、アンモニアとの塩、有機アミンとの塩などが挙げられる。無機酸との塩としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられ、有機酸との塩としては、酢酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、アジピン酸、グルコン酸、グルコヘプト酸、グルクロン酸、テレフタル酸、メタンスルホン酸、乳酸、馬尿酸、1,2−エタンジスルホン酸、イセチオン酸、ラクトビオン酸、オレイン酸、パモ酸、ポリガラクツロン酸、ステアリン酸、タンニン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、硫酸ラウリルエステル、硫酸メチル、ナフタレンスルホン酸、スルホサリチル酸などとの塩が挙げられ、四級アンモニウム塩としては、臭化メチル、ヨウ化メチルなどとの塩が挙げられ、ハロゲンイオンとの塩としては、臭素イオン、塩素イオン、ヨウ素イオンなどとの塩が挙げられ、アルカリ金属との塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどとの塩が挙げられ、アルカリ土類金属との塩としては、カルシウム、マグネシウムなどとの塩が挙げられ、金属塩としては、鉄、亜鉛などとの塩が挙げられ、有機アミンとの塩としては、トリエチレンジアミン、2−アミノエタノール、2,2−イミノビス(エタノール)、1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−2−D−ソルビトール、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、プロカイン、N,N−ビス(フェニルメチル)−1,2−エタンジアミンなどとの塩が挙げられる。
【0032】
また、本発明における本化合物は、エステル、アミドなどの誘導体も包含する。エステルの具体例としては、本化合物中のヒドロキシル基と酢酸、プロピオン酸、イソプロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ピバル酸などのカルボン酸が縮合したエステルが例示される。アミドの具体例としては、本化合物中のアミノ基と酢酸、プロピオン酸、イソプロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ピバル酸などのカルボン酸が縮合したアミドが例示される。
【0033】
また、本化合物は水和物又は溶媒和物の形態をとっていてもよい。
本化合物に幾何異性体、互変異性又は光学異性体が存在する場合は、それらの異性体も本発明の範囲に含まれる。
【0034】
さらに本化合物に結晶多形が存在する場合は、結晶多形体も本発明の範囲に含まれる。
(a)本化合物における好ましい例として、一般式(1)で示される化合物において、各基が下記に示す基である化合物又はその塩が挙げられる。
【0035】
(a1)XはCH又はNを示し、;及び/又は
(a2)Rは水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基、低級シクロアルキル基、アリール基、低級アルコキシ基、低級シクロアルコキシ基又はアリールオキシ基を示し、;
がアリールオキシ基を示す場合、該アリールオキシ基はハロゲン原子及び低級アルコキシ基からなる群より選択される1又は複数個の置換基を有してもよく、;及び/又は
(a3)Rは水素原子、低級アルキル基、低級シクロアルキル基又はアリール基を示す。
【0036】
すなわち、一般式(1)で示される化合物において、上記(a1)、(a2)及び(a3)から選択される1又は2以上の各組合せからなる化合物又はその塩が好ましい例として挙げられる。
【0037】
(b)本化合物におけるより好ましい例として、一般式(1)で示される化合物において、各基が下記に示す基である化合物又はその塩が挙げられる。
【0038】
(b1)XはCH又はNを示し、;及び/又は
(b2)Rは低級アルキル基、低級シクロアルキル基、低級アルコキシ基又は低級シクロアルコキシ基を示し、;及び/又は
(b3)Rは低級アルキル基又は低級シクロアルキル基を示す。
【0039】
すなわち、一般式(1)で示される化合物において、上記(b1)、(b2)及び(b3)から選択される1又は2以上の各組み合わせからなる化合物又はその塩が好ましい例として挙げられる。また、その選択された条件は、(a)の条件と組み合わせることもできる。
【0040】
(c)本化合物におけるより好ましい例として、一般式(1)で示される化合物において、各基が下記に示す基である化合物又はその塩が挙げられる。
【0041】
(c1)XはNを示し、;及び/又は
(c2)Rは低級アルコキシ基を示し、;及び/又は
(c3)Rは低級シクロアルキル基を示す。
【0042】
すなわち、一般式(1)で示される化合物において、上記(c1)、(c2)及び(c3)から選択される1又は2以上の各組み合わせからなる化合物又はその塩が好ましい例として挙げられる。また、その選択された条件は、(a)及び/又は(b)の条件と組み合わせることもできる。
【0043】
(d)本化合物における最も好ましい例としては、下記式(2)で示される4−{3−[6−アミノ−9−((2R,3R,4S,5S)−5−シクロプロピルカルバモイル−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)−9H−プリン−2−イル]−2−プロピニル}−ピペリジン−1−カルボン酸メチルエステル又はその塩が挙げられる。
【0044】
【化3】

【0045】
本発明における本化合物は、有機合成化学の分野における通常の方法に従って合成でき、国際公開03/029264号(特許文献5)、国際公開2006/015357号(特許文献2)、国際公開2007/136817号、国際公開2008/130520号(特許文献4)、特表2002−536300号公報(特許文献6)などに記載された方法によっても合成することができる。
【0046】
本発明における炎症性眼疾患とは、眼局所における炎症性の疾患をいい、その原因は問わない。例えば、結膜炎、角膜炎、上輪部角結膜炎、糸状角結膜炎、眼瞼炎、強膜炎、上強膜炎、虹彩炎、虹彩毛様体炎、ブドウ膜炎、アレルギー性結膜炎、フリクテン性結膜炎、春季カタル、流行性角結膜炎、術後炎症などが挙げられる。
【0047】
本発明の炎症性眼疾患の治療又は予防剤は、経口でも、非経口でも投与することができる。
【0048】
投与剤型としては、点眼剤、眼軟膏、注射剤、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤などが挙げられ、特に点眼剤又は眼軟膏が好ましい。これらは汎用されている技術を用いて製剤化することができる。
【0049】
点眼剤であれば、精製水、緩衝液などに本化合物を添加・攪拌した後、pH調整剤によりpHを調整することで所望の点眼剤を調製できる。また、必要に応じて点眼剤に汎用されている添加剤を用いることができ、添加剤としては、等張化剤、緩衝化剤、界面活性剤、安定化剤、防腐剤などが挙げられる。等張化剤としては、塩化ナトリウム、濃グリセリンなどが挙げられ、緩衝化剤としては、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ砂、クエン酸などが挙げられ、界面活性剤としては、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ステアリン酸ポリオキシル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などが挙げられ、安定化剤としては、クエン酸ナトリウム、エデト酸ナトリウムなどが挙げられ、防腐剤としては、塩化ベンザルコニウム、パラベンなどの防腐剤などが挙げられる。点眼剤のpHは眼科製剤に許容される範囲内にあればよいが、3〜8の範囲が好ましい。
【0050】
眼軟膏であれば、汎用される基剤を用いて調製することができ、基剤としては、白色ワセリン、流動パラフィンなどが挙げられる。また、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤などの経口剤であれば、増量剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、コーティング剤、皮膜剤などを必要に応じて加え調製することができる。増量剤としては、乳糖、結晶セルロース、デンプン、植物油などが挙げられ、滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどが挙げられ、結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられ、崩壊剤としては、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどが挙げられ、コーティング剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マクロゴール、シリコン樹脂などが挙げられ、皮膜剤としては、ゼラチン皮膜などが挙げられる。
【0051】
本化合物の投与量は、剤型、投与すべき患者の症状の軽重、年令、体重、医師の判断などに応じて適宜変えることができるが、点眼剤の場合には、通常、成人に対し0.000001〜10%(w/v)、好ましくは0.00001〜1%(w/v)の範囲内、より好ましくは0.0001〜0.3%(w/v)の範囲内、さらに好ましくは0.001〜0.1%(w/v)の範囲内、さらにより好ましくは0.003〜0.1%(w/v)の範囲内、最も好ましくは0.01〜0.1%(w/v)の範囲内の濃度の点眼剤を1日1回又は数回点眼することができる。なお、点眼剤の濃度は、有効成分のフリー体及びその塩のいずれの重さを基準として計算されたものであってもよい。また、眼軟膏の場合には、通常、成人に対し1日あたり0.00001〜1000mg、好ましくは0.0001〜100mg、より好ましくは0.001〜10mgを1回又は数回に分けて投与することができる。さらに、経口投与の場合には、通常、成人に対し1日あたり0.01〜5000mg、好ましくは0.1〜2500mg、より好ましくは1〜1000mgを1回又は数回に分けて投与することができる。
【0052】
以下に、薬理試験の結果及び製剤例を示すが、これらは本発明をよりよく理解するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0053】
[薬理試験]
<カラゲニン惹起結膜炎モデル試験>
雄性Wistar/STラットに4−{3−[6−アミノ−9−((2R,3R,4S,5S)−5−シクロプロピルカルバモイル−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)−9H−プリン−2−イル]−2−プロピニル}−ピペリジン−1−カルボン酸メチルエステル(以下、「化合物A」ともいう)を点眼し、カラゲニン注射による浮腫形成に対する抑制率を求めた。
【0054】
(被験化合物点眼液の調製)
化合物Aに下記成分を含む基剤を加えて、0.06%(w/v)、0.09%(w/v)の点眼液を調製した。
【0055】
(基剤) 100ml中
グリセリン 0.47g
塩化ベンザルコニウム 0.005g
リン酸二水素ナトリウム 0.15g
水酸化ナトリウム 適量
希塩酸 適量
精製水 適量
pH 6.0
(実験方法)
実験動物として雄性Wistar/STラットを用い、ウレタンを投与して全身麻酔を施した後、カラゲニン1.0%(w/v)を溶解した生理食塩液を両眼の上眼瞼結膜内にそれぞれ50μL/眼ずつ注射することにより、炎症を惹起した。
【0056】
次に、化合物A点眼液又は基剤を以下のように投与した。
化合物A点眼群:惹起30分前に、化合物A点眼液を両眼に1回点眼(点眼量:5μL/回)した(一群5匹10眼)。
【0057】
コントロール群:惹起30分前に、基剤を両眼に1回点眼(点眼量:5μL/回)した(一群5匹10眼)。
【0058】
惹起4時間後、全身麻酔下のラットを断頭法により屠殺し、両眼の結膜浮腫部域を摘出し、それぞれの重量を測定した。浮腫重量の平均値から浮腫形成抑制率を算出した。
【0059】
(結果)
コントロール群(基剤)の浮腫重量の平均値を基準にして下記計算式により化合物A点眼群の浮腫形成抑制率を算出した。これを表1に示す。なお、浮腫重量の平均値は各10例の平均である。
【0060】
浮腫形成抑制率(%)={(コントロール群の浮腫重量の平均値)−(化合物A点眼群の浮腫重量の平均値)}÷(コントロール群の浮腫重量の平均値)×100
【0061】
【表1】

【0062】
(考察)
上記のラットを用いた薬理試験の結果(表1)から明らかなように、化合物Aはコントロールに比べて浮腫重量を顕著に減少させたので、眼局所において抗炎症作用を有することが確認された。したがって、本化合物は、結膜炎、角膜炎、上輪部角結膜炎、糸状角結膜炎、眼瞼炎、強膜炎、上強膜炎、虹彩炎、虹彩毛様体炎、ブドウ膜炎、アレルギー性結膜炎、フリクテン性結膜炎、春季カタル、流行性角結膜炎、術後炎症又はその他の炎症性眼疾患の治療又は予防剤として有用である。
【0063】
[製剤例]
以下に本化合物を用いた代表的な製剤例を示す。
【0064】
(処方例1)
点眼剤 100ml中
化合物A 0.1g
グリセリン 0.47g
ベンザルコニウム塩化物 0.005g
リン酸二水素ナトリウム 0.15g
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
処方例1の化合物Aの添加量を変えることにより、濃度が0.001%(w/v)、0.01%(w/v)、0.03%(w/v)、0.05%(w/v)、0.06%(w/v)、0.09%(w/v)、0.3%(w/v)の点眼剤を調製できる。
【0065】
(処方例2)
眼軟膏 100g中
化合物A 0.3g
流動パラフィン 10.0g
白色ワセリン 適量
処方例2の化合物Aの添加量を変えることにより、濃度が1%(w/w)、3%(w/w)の眼軟膏を調製できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表される化合物又はその塩を有効成分として含有する炎症性眼疾患の治療又は予防剤。
【化1】

[式中、
XはCH又はNを示し、;
は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基、1又は複数個の低級アルコキシ基で置換された低級アルキル基、低級シクロアルキル基、アリール基、低級アルコキシ基、1又は複数個の低級アルコキシ基で置換された低級アルコキシ基、低級シクロアルコキシ基又はアリールオキシ基を示し、;
がアリールオキシ基を示す場合、該アリールオキシ基はハロゲン原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基、低級シクロアルキル基、低級アルコキシ基及び低級シクロアルコキシ基からなる群より選択される1又は複数個の置換基を有してもよく、;
は水素原子、低級アルキル基、1又は複数個の低級アルコキシ基で置換された低級アルキル基、低級シクロアルキル基又はアリール基を示す。]
【請求項2】
一般式(1)において、
XがCH又はNを示し、;
が水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基、低級シクロアルキル基、アリール基、低級アルコキシ基、低級シクロアルコキシ基又はアリールオキシ基を示し、;
がアリールオキシ基を示す場合、該アリールオキシ基はハロゲン原子及び低級アルコキシ基からなる群より選択される置換基を有してもよく、;
が水素原子、低級アルキル基、低級シクロアルキル基又はアリール基を示す、請求項1に記載の治療又は予防剤。
【請求項3】
一般式(1)において、
XがCH又はNを示し、;
が低級アルキル基、低級シクロアルキル基、低級アルコキシ基又は低級シクロアルコキシ基を示し、;
が低級アルキル基又は低級シクロアルキル基を示す、請求項1に記載の治療又は予防剤。
【請求項4】
一般式(1)において、
XがNを示し、;
が低級アルコキシ基を示し、;
が低級シクロアルキル基を示す、請求項1に記載の治療又は予防剤。
【請求項5】
一般式(1)で表される化合物が、4−{3−[6−アミノ−9−((2R,3R,4S,5S)−5−シクロプロピルカルバモイル−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル)−9H−プリン−2−イル]−2−プロピニル}−ピペリジン−1−カルボン酸メチルエステルである、請求項1に記載の治療又は予防剤。
【請求項6】
炎症性眼疾患が、結膜炎、角膜炎、上輪部角結膜炎、糸状角結膜炎、眼瞼炎、強膜炎、上強膜炎、虹彩炎、虹彩毛様体炎、ブドウ膜炎、アレルギー性結膜炎、フリクテン性結膜炎、春季カタル、流行性角結膜炎又は術後炎症である、請求項1〜5のいずれかに記載の治療又は予防剤。
【請求項7】
剤型が、点眼剤又は眼軟膏である、請求項1〜6のいずれかに記載の治療又は予防剤。

【公開番号】特開2013−107856(P2013−107856A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255091(P2011−255091)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000177634)参天製薬株式会社 (177)
【Fターム(参考)】