説明

アナログ電子透かし埋め込み装置及びそのプログラム、並びに、アナログ電子透かし検出装置及びそのプログラム

【課題】 電子透かしをアナログコンテンツに対して埋め込むことで、違法なアナログコピーを防止することが可能なアナログ電子透かし埋め込み装置を提供する。
【解決手段】 アナログ電子透かし埋め込み装置1Aは、画像レベルを検出する画像レベル検出手段11と、エッジ信号を検出するエッジ信号検出手段12と、ライン変化信号を検出するライン変化信号検出手段13と、埋め込み情報を伸張した拡大埋め込み情報を生成するビット伸張手段15と、拡大埋め込み情報の埋め込み強度を変更した強度変更埋め込み情報を生成する埋め込み強度変更手段16と、強度変更埋め込み情報を画像信号に埋め込む埋め込み手段17とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アナログ映像信号に、電子透かしとして埋め込み情報を埋め込むアナログ電子透かし埋め込み装置及びそのプログラム、並びに、その埋め込まれた埋め込み情報を検出するアナログ電子透かし検出装置及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、あらゆる分野でデジタル化が進み、大多数のコンテンツはデジタル信号として取り扱われている。このデジタル化されたコンテンツ(デジタルコンテンツ)は、コピーに伴う劣化が生じないという利点を有する一方で、違法コピーの温床ともなっている。そこで、このデジタルコンテンツの違法コピーを防止するため、数多くの技術が開発されている。
【0003】
しかし、一旦、デジタルコンテンツをアナログ信号に変換してしまうと、アナログ化されたコンテンツ(アナログコンテンツ)のコピーは、画像劣化を前提として、VHS等の民生映像機器で広く利用することが可能である。この場合、アナログコンテンツの違法コピーを防止する技術は極めて少ない。
【0004】
例えば、アナログコンテンツの違法コピー防止技術として、コピー保護信号によるコピープロテクション技術が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
このコピー保護信号による違法コピー防止技術では、アナログ映像信号のブランキング部分を周期的に変化させるため、VHSレコーダでコピーを行った場合、コピーした映像は、周期的に真っ黒になったり、真っ白になったりする。これによって、コピー保護信号による違法コピー防止技術は、違法にコピーされたアナログコンテンツに対して、コンテンツとしての価値をなくすことが可能である。
【0005】
また、最近では、アナログコピーに対して耐性を持つ電子透かし技術が報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
このアナログ耐性を持つ電子透かし技術は、水平方向のウェーブレット変換を複数回行った画像に対して、電子透かしを埋め込むものである。この電子透かし技術では、VHSの標準モードで2回コピーを行った後の電子透かしの検出率は99.9%である旨の報告がなされている。
【特許文献1】特表2002−524933号公報
【非特許文献1】浅井、“アナログ耐性を持つ電子透かし技術の研究開発”、[online]、[平成16年12月1日検索]、インターネット<http://www2.nict.go.jp/ns/s802/seika/h15/seika/72/72_mitsubishi.pdf>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来のコピー保護信号による違法コピー防止技術では、一般のVHS等の民生映像機器におけるアナログコピーの防止技術としては有効であるが、現在では、コピー保護信号の機能を停止させる技術が存在するため、違法なコピーの実施を防止することができないという問題がある。
このようなコピープロテクション技術が破られたときの有効な技術として、電子透かしがあるが、アナログコンテンツに対して、電子透かしを埋め込む技術は存在しない。
【0007】
また、従来のアナログ耐性を持つ電子透かし技術では、電子透かしを埋め込む対象が、ウェーブレット変換可能なデジタル映像信号であって、例えば、MPEG−4、JPEG2000等の限定されたデジタル映像信号でなければ、アナログ耐性を持つ電子透かしを埋め込むことができないという問題がある。
そのため、最近では、電子透かしの埋め込み先がアナログコンテンツであっても、電子透かしを埋め込むことが可能な技術の開発が望まれている。
【0008】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、電子透かしをアナログコンテンツに対して埋め込むことで、違法なアナログコピーを防止することが可能なアナログ電子透かし埋め込み装置及びそのプログラム、並びに、その埋め込まれた埋め込み情報を検出するアナログ電子透かし検出装置及びそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記目的を達成するために創案されたものであり、まず、請求項1に記載のアナログ電子透かし埋め込み装置は、アナログ映像信号のフィールド又はフレーム毎の画像信号に、電子透かしとして埋め込み情報を埋め込むアナログ電子透かし埋め込み装置であって、画像レベル検出手段と、エッジ信号検出手段と、ライン変化信号検出手段と、ビット伸張手段と、埋め込み強度変更手段と、埋め込み手段とを備える構成とした。
【0010】
かかる構成によれば、アナログ電子透かし埋め込み装置は、画像レベル検出手段によって、入力された画像信号の輝度成分又は色差成分の画像レベルを検出する。これによって、画像信号に対して埋め込み情報をどの強度で埋め込むかを判定することが可能になる。
そして、アナログ電子透かし埋め込み装置は、エッジ信号検出手段によって、画像信号の同一のフィールド又はフレーム内において、輝度成分又は色差成分が予め定めた閾値よりも大きく変化するエッジ信号を検出する。さらに、アナログ電子透かし埋め込み装置は、ライン変化信号検出手段によって、画像信号において、フィールド又はフレームのライン毎に変化する交番信号等のライン変化信号を検出する。このライン変化信号のレベル差が大きい箇所は、画面上で「ちらつき(ノイズ)」が発生する箇所となり、その部分の多少の変化は人間には知覚されにくい。そこで、この「ちらつき」が発生する箇所を埋め込み情報の埋め込み先とする。
【0011】
また、アナログ電子透かし埋め込み装置は、ビット伸張手段によって、画像レベル、エッジ信号のレベル及びライン変化信号のレベル差に基づいて、埋め込み情報の各ビットを伸張した拡大埋め込み情報を生成する。このように、埋め込み情報の各ビットを伸張することで、アナログコピーが行われた場合でも、その情報の多くは残ることになる。
さらに、アナログ電子透かし埋め込み装置は、埋め込み強度変更手段によって、画像レベル、エッジ信号のレベル及びライン変化信号のレベル差に基づいて予め定めた定数を、拡大埋め込み情報に乗算することで、拡大埋め込み情報の埋め込み強度を変更した強度変更埋め込み情報を生成する。これによって、強度変更埋め込み情報は、画像内において知覚されることなく、埋め込み位置に適した強度となる。
そして、アナログ電子透かし埋め込み装置は、埋め込み手段によって、エッジ信号検出手段において特定されたエッジ信号の位置に、強度変更埋め込み情報を埋め込む。
【0012】
また、請求項2に記載のアナログ電子透かし埋め込み装置は、請求項1に記載のアナログ電子透かし埋め込み装置において、拡散手段を備え、前記ビット伸張手段が、前記拡散手段で拡散された埋め込み情報の各ビットを伸張する構成とした。
【0013】
かかる構成によれば、アナログ電子透かし埋め込み装置は、拡散手段によって、入力された埋め込み情報のビット列における各ビットの値(「0」又は「1」)の出現確率を均等化することで、埋め込み情報を拡散する。これによって、埋め込み情報が暗号化されるとともに、埋め込み情報の直流成分が抑えられることになる。
【0014】
さらに、請求項3に記載のアナログ電子透かし埋め込みプログラムは、アナログ映像信号のフィールド又はフレーム毎の画像信号に、電子透かしとして埋め込み情報を埋め込むために、コンピュータを、画像レベル検出手段、エッジ信号検出手段、ライン変化信号検出手段、ビット伸張手段、埋め込み強度変更手段、埋め込み手段として機能させる構成とした。
【0015】
かかる構成によれば、アナログ電子透かし埋め込みプログラムは、画像レベル検出手段によって、入力された画像信号の輝度成分又は色差成分の画像レベルを検出する。
そして、アナログ電子透かし埋め込みプログラムは、エッジ信号検出手段によって、画像信号の同一のフィールド又はフレーム内において、輝度成分又は色差成分が予め定めた閾値よりも大きく変化するエッジ信号を検出する。さらに、アナログ電子透かし埋め込みプログラムは、ライン変化信号検出手段によって、画像信号において、フィールド又はフレームのライン毎に変化するライン変化信号を検出する。
【0016】
また、アナログ電子透かし埋め込みプログラムは、ビット伸張手段によって、画像レベル、エッジ信号のレベル及びライン変化信号のレベル差に基づいて、埋め込み情報の各ビットを伸張した拡大埋め込み情報を生成する。さらに、アナログ電子透かし埋め込みプログラムは、埋め込み強度変更手段によって、画像レベル、エッジ信号のレベル及びライン変化信号のレベル差に基づいて予め定めた定数を乗算することで、拡大埋め込み情報の埋め込み強度を変更した強度変更埋め込み情報を生成する。
そして、アナログ電子透かし埋め込みプログラムは、埋め込み手段によって、エッジ信号検出手段において特定されたエッジ信号の位置に、強度変更埋め込み情報を埋め込む。
【0017】
また、請求項4に記載のアナログ電子透かし検出装置は、アナログ映像信号のフィールド又はフレーム毎の画像信号に、当該画像信号の画像レベル、エッジ信号のレベル、及び、フィールド又はフレームのライン毎に変化するライン変化信号のレベル差に基づいて、伸張された埋め込み情報を電子透かしとして埋め込んだ電子透かし埋め込み画像から、前記埋め込み情報を検出するアナログ電子透かし検出装置であって、画像レベル検出手段と、エッジ信号検出手段と、ライン変化信号検出手段と、埋め込み情報検出手段と、ビット圧縮手段とを備える構成とした。
【0018】
かかる構成によれば、アナログ電子透かし検出装置は、画像レベル検出手段によって、入力された画像信号の輝度成分又は色差成分の画像レベルを検出する。また、アナログ電子透かし検出装置は、エッジ信号検出手段によって、画像信号の同一のフィールド又はフレーム内において、輝度成分又は色差成分が予め定めた閾値よりも大きく変化するエッジ信号を検出する。さらに、アナログ電子透かし検出装置は、ライン変化信号検出手段によって、画像信号において、フィールド又はフレームのライン毎に変化するライン変化信号を検出する。
これによって、アナログ電子透かし検出装置は、画像信号の画像レベル、エッジ信号のレベル、及び、ライン変化信号のレベル差に基づいて、どの位置にどの強度で埋め込み情報が埋め込まれているのかを検出することが可能になる。
【0019】
そして、アナログ電子透かし検出装置は、埋め込み情報検出手段によって、エッジ信号のレベル、及び、ライン変化信号のレベル差に基づいて、電子透かし埋め込み画像に埋め込まれている、伸張された埋め込み情報(拡大埋め込み情報)を検出する。
そして、アナログ電子透かし検出装置は、ビット圧縮手段によって、画像レベル、エッジ信号のレベル、及び、ライン変化信号のレベル差に基づいて、伸張された埋め込み情報を圧縮することで埋め込み情報を再生する。これによって、アナログ映像信号に埋め込まれている埋め込み情報を検出することができる。
【0020】
さらに、請求項5に記載のアナログ電子透かし検出プログラムは、アナログ映像信号のフィールド又はフレーム毎の画像信号に、当該画像信号の画像レベル、エッジ信号のレベル、及び、フィールド又はフレームのライン毎に変化するライン変化信号のレベル差に基づいて、伸張された埋め込み情報を電子透かしとして埋め込んだ電子透かし埋め込み画像から、前記埋め込み情報を検出するために、コンピュータを、画像レベル検出手段、エッジ信号検出手段、ライン変化信号検出手段、埋め込み情報検出手段、ビット圧縮手段として機能させる構成とした。
【0021】
かかる構成によれば、アナログ電子透かし検出プログラムは、画像レベル検出手段によって、入力された画像信号の輝度成分又は色差成分の画像レベルを検出する。また、アナログ電子透かし検出プログラムは、エッジ信号検出手段によって、画像信号の同一のフィールド又はフレーム内において、輝度成分又は色差成分が予め定めた閾値よりも大きく変化するエッジ信号を検出する。さらに、アナログ電子透かし検出プログラムは、ライン変化信号検出手段によって、画像信号において、フィールド又はフレームのライン毎に変化するライン変化信号を検出する。
【0022】
そして、アナログ電子透かし検出プログラムは、埋め込み情報検出手段によって、エッジ信号のレベル、及び、ライン変化信号のレベル差に基づいて、電子透かし埋め込み画像に埋め込まれている、伸張された埋め込み情報(拡大埋め込み情報)を検出する。
そして、アナログ電子透かし検出プログラムは、ビット圧縮手段によって、画像レベル、エッジ信号のレベル、及び、ライン変化信号のレベル差に基づいて、伸張された埋め込み情報を圧縮することで埋め込み情報を再生する。
【0023】
また、請求項6に記載のアナログ電子透かし埋め込み装置は、アナログ映像信号のフィールド又はフレーム毎の画像信号に、電子透かしとして埋め込み情報を埋め込むアナログ電子透かし埋め込み装置であって、画像レベル検出手段と、パターン信号発生手段と、ビット伸張手段と、埋め込み強度変更手段と、埋め込み手段とを備える構成とした。
【0024】
かかる構成によれば、アナログ電子透かし埋め込み装置は、画像レベル検出手段によって、入力された画像信号の輝度成分又は色差成分の画像レベルを検出する。これによって、画像信号に対して埋め込み情報をどの強度で埋め込むかを判定することが可能になる。
そして、アナログ電子透かし埋め込み装置は、パターン信号発生手段によって、画像信号において、ノイズパターン、ロゴマーク等の予め定めたパターン信号を発生させる。
また、アナログ電子透かし埋め込み装置は、ビット伸張手段によって、パターン信号から所定距離だけ離れた位置における画像レベルに基づいて、埋め込み情報の各ビットを伸張した拡大埋め込み情報を生成する。このように、埋め込み情報の各ビットを伸張することで、アナログコピーが行われた場合でも、その情報の多くは残ることになる。
【0025】
さらに、アナログ電子透かし埋め込み装置は、埋め込み強度変更手段によって、画像レベルに基づいて予め定めた定数を、拡大埋め込み情報に乗算することで、拡大埋め込み情報の埋め込み強度を変更した強度変更埋め込み情報を生成する。これによって、強度変更埋め込み情報は、埋め込み位置に適した強度となる。
そして、アナログ電子透かし埋め込み装置は、埋め込み手段によって、パターン信号を画像信号に重畳するとともに、強度変更埋め込み情報を、パターン信号が重畳された位置から所定距離だけ離れた位置に埋め込む。なお、この所定距離を「0」とすることで、パターン信号が重畳された位置に強度変更埋め込み情報を埋め込むこととしてもよいし、一定距離を離して埋め込むこととしてもよい。
【0026】
さらに、請求項7に記載のアナログ電子透かし埋め込み装置は、請求項6に記載のアナログ電子透かし埋め込み装置において、拡散手段を備え、前記ビット伸張手段が、前記拡散手段で拡散された埋め込み情報の各ビットを伸張する構成とした。
【0027】
かかる構成によれば、アナログ電子透かし埋め込み装置は、拡散手段によって、入力された埋め込み情報のビット列における各ビットの値の出現確率を均等化することで、埋め込み情報を拡散する。
【0028】
また、請求項8に記載のアナログ電子透かし埋め込みプログラムは、アナログ映像信号のフィールド又はフレーム毎の画像信号に、電子透かしとして埋め込み情報を埋め込むために、コンピュータを、画像レベル検出手段、パターン信号発生手段、ビット伸張手段、埋め込み強度変更手段、埋め込み手段として機能させる構成とした。
【0029】
かかる構成によれば、アナログ電子透かし埋め込みプログラムは、画像レベル検出手段によって、入力された画像信号の輝度成分又は色差成分の画像レベルを検出する。
そして、アナログ電子透かし埋め込みプログラムは、パターン信号発生手段によって、画像信号において、ノイズパターン、ロゴマーク等の予め定めたパターン信号を発生させる。
また、アナログ電子透かし埋め込みプログラムは、ビット伸張手段によって、パターン信号から所定距離だけ離れた位置における画像レベルに基づいて、埋め込み情報の各ビットを伸張した拡大埋め込み情報を生成する。
【0030】
さらに、アナログ電子透かし埋め込みプログラムは、埋め込み強度変更手段によって、画像レベルに基づいて予め定めた定数を、拡大埋め込み情報に乗算することで、拡大埋め込み情報の埋め込み強度を変更した強度変更埋め込み情報を生成する。
そして、アナログ電子透かし埋め込みプログラムは、埋め込み手段によって、パターン信号を画像信号に重畳するとともに、強度変更埋め込み情報を、パターン信号が重畳された位置から所定距離だけ離れた位置に埋め込む。
【0031】
さらに、請求項9に記載のアナログ電子透かし検出装置は、アナログ映像信号のフィールド又はフレーム毎の画像信号に、予め定めたパターン信号を重畳し、且つ、そのパターン信号から所定距離だけ離れた位置に、その位置の画像レベルに基づいて、伸張された埋め込み情報を電子透かしとして埋め込んだ電子透かし埋め込み画像から、前記埋め込み情報を検出するアナログ電子透かし検出装置であって、画像レベル検出手段と、パターン信号検出手段と、埋め込み情報検出手段と、ビット圧縮手段とを備える構成とした。
【0032】
かかる構成によれば、アナログ電子透かし検出装置は、画像レベル検出手段によって、入力された画像信号の輝度成分又は色差成分の画像レベルを検出する。また、アナログ電子透かし検出装置は、パターン信号検出手段によって、エッジ信号のレベルやライン変化信号のレベル差を検出することで、画像信号に埋め込まれているパターン信号を検出する。
そして、アナログ電子透かし検出装置は、埋め込み情報検出手段によって、パターン信号から、所定距離だけ離れた位置において、伸張された埋め込み情報(拡大埋め込み情報)を検出する。
そして、アナログ電子透かし検出装置は、ビット圧縮手段によって、画像レベルに基づいて、伸張された埋め込み情報を圧縮することで埋め込み情報を再生する。これによって、アナログ映像信号に埋め込まれている埋め込み情報を検出することができる。
【0033】
また、請求項10に記載のアナログ電子透かし検出プログラムは、アナログ映像信号のフィールド又はフレーム毎の画像信号に、予め定めたパターン信号を重畳し、且つ、そのパターン信号から所定距離だけ離れた位置に、その位置の画像レベルに基づいて、伸張された埋め込み情報を電子透かしとして埋め込んだ電子透かし埋め込み画像から、前記埋め込み情報を検出するために、コンピュータを、画像レベル検出手段、パターン信号検出手段、埋め込み情報検出手段、ビット圧縮手段として機能させる構成とした。
【0034】
かかる構成によれば、アナログ電子透かし検出プログラムは、画像レベル検出手段によって、入力された画像信号の輝度成分又は色差成分の画像レベルを検出する。また、アナログ電子透かし検出プログラムは、パターン信号検出手段によって、エッジ信号のレベルやライン変化信号のレベル差を検出することで、画像信号に埋め込まれているパターン信号を検出する。
そして、アナログ電子透かし検出プログラムは、埋め込み情報検出手段によって、パターン信号から、所定距離だけ離れた位置において、伸張された埋め込み情報(拡大埋め込み情報)を検出する。
そして、アナログ電子透かし検出プログラムは、ビット圧縮手段によって、画像レベルに基づいて、伸張された埋め込み情報を圧縮することで埋め込み情報を再生する。
【発明の効果】
【0035】
請求項1又は請求項3に記載の発明によれば、アナログ映像信号(アナログコンテンツ)のフィールド又はフレーム毎の画像信号に含まれる、ノイズとして知覚される位置にそのノイズの画像レベルに応じた埋め込み強度で、埋め込み情報を埋め込むため、アナログコピーを行った場合であっても、その埋め込み情報が残ることになり、アナログ耐性を持った電子透かしを実現することができる。また、本発明によれば、画面上で「ちらつき」が発生する箇所に埋め込み情報を埋め込むため、人間の視覚には、埋め込み情報が埋め込まれたことによる映像の違和感はない。
【0036】
請求項2に記載の発明によれば、埋め込み情報を拡散するため、埋め込み情報を暗号化することができるとともに、埋め込み情報の直流成分を除去できるため、埋め込み情報が埋め込まれたアナログ映像信号を、伝送路を介して伝送する場合、直流成分を通さない伝送路においても伝送が可能になる。
【0037】
請求項4又は請求項5に記載の発明によれば、請求項1又は請求項3に記載の発明によって、埋め込み情報が埋め込まれたアナログ映像信号から、埋め込み情報を検出することができる。これによって、本発明は、アナログコピーが行われた場合であっても、埋め込み情報を検出することができるので、アナログコピーの防止技術としては有効に活用することができる。
【0038】
請求項6又は請求項8に記載の発明によれば、アナログ映像信号(アナログコンテンツ)のフィールド又はフレーム毎の画像信号に、ノイズ等のパターン信号を重畳させ、その位置又は予め定めた距離だけ離れた位置の画像レベルに応じた埋め込み強度で、埋め込み情報を埋め込むため、アナログコピーを行った場合であっても、その埋め込み情報が残ることになり、アナログ耐性を持った電子透かしを実現することができる。
【0039】
請求項7に記載の記載の発明によれば、埋め込み情報を拡散するため、埋め込み情報を暗号化することができるとともに、埋め込み情報の直流成分を除去できるため、埋め込み情報が埋め込まれたアナログ映像信号を、伝送路を介して伝送する場合、直流成分を通さない伝送路においても伝送が可能になる。
【0040】
請求項9又は請求項10に記載の発明によれば、請求項6又は請求項8に記載の発明によって、埋め込み情報が埋め込まれたアナログ映像信号から、埋め込み情報を検出することができる。これによって、本発明は、アナログコピーが行われた場合であっても、埋め込み情報を検出することができるので、アナログコピーの防止技術としては有効に活用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第一の実施の形態]
(アナログ電子透かし埋め込み装置1Aの構成)
まず、図1を参照して、第一の実施の形態に係るアナログ電子透かし埋め込み装置の構成について説明する。図1は、本発明における第一の実施の形態に係るアナログ電子透かし埋め込み装置の構成を示すブロック図である。
【0042】
図1に示すように、アナログ電子透かし埋め込み装置1Aは、アナログ映像信号のフィールド又はフレーム毎の信号である画像信号(埋め込み対象画像)に、電子透かしとして埋め込み情報を埋め込むものである。なお、一般に、画像内で輝度成分が高い(明るい)部分は、多少の変化があっても、人間には知覚されにくい。そこで、ここでは、画面上で輝度が変化することで「ちらつき」が発生する箇所に埋め込み情報を埋め込むこととする。
ここでは、アナログ電子透かし埋め込み装置1Aは、拡散手段10と、画像レベル検出手段11と、エッジ信号検出手段12と、ライン変化信号検出手段13と、同期信号付加手段14と、ビット伸張手段15と、埋め込み強度変更手段16と、埋め込み手段17とを備えている。
【0043】
拡散手段10は、入力された埋め込み情報のビット列における各ビットの値(「0」又は「1」)の出現確率を均等化することで、埋め込み情報を拡散するものである。例えば、拡散手段10は、擬似ランダム系列の一つであるM系列(Maximum length sequence)により、埋め込み情報をランダム化する。この拡散手段10で拡散された埋め込み情報は、同期信号付加手段14に出力される。
【0044】
なお、拡散手段10を介さずに、直接、同期信号付加手段14に埋め込み情報を入力することとしてもよいが、以下の理由から、埋め込み情報を拡散手段10により拡散するほうが望ましい。
例えば、M系列により埋め込み情報を拡散することで、その規則性を知らないものにとっては、埋め込み情報の解読ができず、暗号化としての機能を有するからである。また、埋め込み情報を拡散することで、直流成分が除去されることになり、埋め込み情報を埋め込んだ電子透かし埋め込み画像を、伝送路を介して伝送する場合、直流成分を通さない伝送路においても伝送が可能になるからである。
【0045】
画像レベル検出手段11は、入力された画像信号(埋め込み対象画像)において、画素毎の画像レベルを検出するものである。ここでは、知覚の基準となる値として、輝度成分のレベルを検出する。この画像レベル検出手段11で検出された画像レベルは、ビット伸張手段15及び埋め込み強度変更手段16に出力される。
【0046】
エッジ信号検出手段12は、入力された画像信号(埋め込み対象画像)の同一のフィールド又はフレーム内において、エッジ信号を検出するものである。例えば、エッジ信号検出手段12は、ハイパスフィルタによって構成される。ここで、エッジ信号を検出するのは、画像内において、輝度成分が大きく(予め定めた閾値以上)変化する箇所を検出するためである。
このエッジ信号検出手段12で検出されたエッジ信号は、ビット伸張手段15、埋め込み強度変更手段16及び埋め込み手段17に出力される。
【0047】
ライン変化信号検出手段13は、入力された画像信号(埋め込み対象画像)において、フィールド又はフレームのライン毎に変化する信号(ライン変化信号)を検出するものである。このライン変化信号は、フィールド又はフレームのライン毎の輝度成分が大きく(予め定めた閾値以上)変化すると、人間には「ちらつき」として知覚される。
ここでは、ライン変化信号検出手段13は、画像信号遅延手段13aと、減算手段13bと、レベル判定手段13cとを備えている。
【0048】
画像信号遅延手段13aは、画像信号をフィールド又はフレーム単位で遅延させるものである。この画像信号遅延手段13aは、一般的なメモリ等で構成され、一旦フィールド又はフレームの1ライン分の画像信号を蓄積し、減算手段13bに画像信号を出力する。
【0049】
減算手段13bは、入力された画像信号(埋め込み対象画像)と、画像信号遅延手段13aで遅延された画像信号との差分をとるものである。この減算手段13bにおける差分結果は、フィールド又はフレームのライン毎の輝度差(輝度成分のレベル差)となり、レベル判定手段13cに出力される。
【0050】
レベル判定手段13cは、減算手段13bにおいて差分がとられたフィールド又はフレームのライン毎の輝度差が、予め定めた閾値より大きいかどうかを判定するものである。このレベル判定手段13cは、輝度成分のレベル差が、予め定めた閾値より大きいと判定した場合、そのレベル差となるレベル信号を埋め込み強度変更手段16に出力する。これによって、画像内において、「ちらつき」が発生する箇所が検出されることになる。
【0051】
同期信号付加手段14は、拡散手段10で拡散された埋め込み情報に同期信号(同期情報)を付加するものである。例えば、埋め込み情報の前に「1,0,1,0」、埋め込み情報の後に「0,1,0,1」のビット列を付加する。これによって、埋め込み情報を検出する側で、どこに埋め込み情報が埋め込まれているのかを、検出することが可能になる。なお、埋め込み情報が予め既知のパターン情報の場合は、同期信号付加手段14を備える必要はなく、拡散手段10で拡散された埋め込み情報を、ビット伸張手段15に出力することとしてもよい。
【0052】
ビット伸張手段15は、画像レベル検出手段11で検出された画像レベル、エッジ信号検出手段12で検出されたエッジ信号のレベル、及び、ライン変化信号検出手段13で検出されたライン変化信号のレベル差に基づいて、埋め込み情報の各ビットを伸張した拡大埋め込み情報を生成するものである。
すなわち、このビット伸張手段15は、埋め込み情報の各ビットの「0」又は「1」を複数回繰り返すことで、各ビットを伸張する。例えば、「0」を「0,0,0」、「1」を「1,1,1」に伸張する。これによって、例えば、アナログ映像信号がコピーされて、「1,1,1」が、「1,0,1」になったとしても、多数決判定によって、その値が「1」であると判定することが可能になる。
【0053】
なお、ここでは、1ビットを3ビットに伸張する例を示したが、この伸張幅は、画像レベル、エッジ信号のレベル、及び、ライン変化信号のレベル差に基づいて決定することとする。例えば、画像レベル、エッジ信号のレベル、及び、ライン変化信号のレベル差の成分が、予め定めた閾値よりも小さいときは、伸張幅を大きくし、前記した各成分が前記閾値よりも大きいときは、伸張幅を小さくする。
このビット伸張手段15で伸張された拡大埋め込み情報は、埋め込み強度変更手段16に出力される。
【0054】
埋め込み強度変更手段16は、画像レベル検出手段11で検出された画像レベル、エッジ信号検出手段12で検出されたエッジ信号のレベル、及び、ライン変化信号検出手段13で検出されたライン変化信号のレベル差に基づいて、ビット伸張手段15で伸張された拡大埋め込み情報の埋め込み強度を変更した強度変更埋め込み情報を生成するものである。
すなわち、この埋め込み強度変更手段16は、拡大埋め込み情報を、画像レベル、エッジ信号のレベル、及び、ライン変化信号のレベル差により予め定めた値を乗算することで、埋め込み情報の強度を強くする。例えば、拡大埋め込み情報「1,1,1」において、3を乗算することで、強度変更埋め込み情報「3,3,3」を生成する。
【0055】
なお、この乗算する値についても、ビット伸張手段15と同様に、画像レベル、エッジ信号のレベル、及び、ライン変化信号のレベル差に基づいて決定することとする。例えば、画像レベル、エッジ信号のレベル、及び、ライン変化信号のレベル差の成分が小さいときは、埋め込んだ情報が見えやすくなるので、埋め込み強度を弱くし(例えば、乗算する値を小さくし)、前記した各成分が大きいときは、埋め込み強度を強くする(例えば、乗算する値を大きくする)。
この埋め込み強度変更手段16で埋め込み強度が変更された強度変更埋め込み情報は、埋め込み手段17に出力される。
【0056】
埋め込み手段17は、埋め込み強度変更手段16で生成された強度変更埋め込み情報を、入力された画像信号(埋め込み対象画像)に埋め込むものである。ここでは、埋め込み手段17は、2つの加算手段17a,17bを備えている。
【0057】
加算手段17aは、エッジ信号検出手段12で検出されたエッジ信号に埋め込み強度変更手段16で埋め込み強度が変更された強度変更埋め込み情報を加算するものである。
加算手段17bは、元となる埋め込み対象画像に、加算手段17aでエッジ信号に強度変更埋め込み情報が加算された信号を加算することで、電子透かし埋め込み画像を生成するものである。
なお、加算手段17aによってエッジ信号に強度変更埋め込み情報を加算した信号を、加算手段17bによって、埋め込み対象画像に加算するため、エッジ信号が強調されることになり、画像がより鮮明になる。
【0058】
以上説明したように、アナログ電子透かし埋め込み装置1Aは、アナログ映像信号のフィールド又はフレーム毎の画像信号に、画像レベル、エッジ信号のレベル、及び、ライン変化信号のレベル差に基づいて、埋め込み情報の強度を変更して埋め込むため、アナログコピーを行った場合でも、その埋め込み情報が残ることになる。また、ここでは、輝度成分(輝度信号)が大きく変化する箇所に埋め込み情報を埋め込むこととしたが、色差成分(色差信号)が大きく変化する箇所に埋め込み情報を埋め込むこととしてもよい。
なお、アナログ電子透かし埋め込み装置1Aは、コンピュータを前記した各手段として機能させるアナログ電子透かし埋め込みプログラムによって動作させることとしてもよい。
【0059】
(アナログ電子透かし埋め込み装置1Aの動作)
次に、図2を参照(適宜図1参照)して、アナログ電子透かし埋め込み装置1Aの動作について説明する。図2は、本発明における第一の実施の形態に係るアナログ電子透かし埋め込み装置の動作を示すフローチャートである。
まず、アナログ電子透かし埋め込み装置1Aは、拡散手段10によって、入力された埋め込み情報のビット列における各ビットの値の出現確率を均等化することで、埋め込み情報を拡散する(ステップS1)。
続けて、アナログ電子透かし埋め込み装置1Aは、同期信号付加手段14によって、ステップS1で拡散された埋め込み情報に同期信号(同期情報)を付加する(ステップS2)。
【0060】
そして、アナログ電子透かし埋め込み装置1Aは、画像レベル検出手段11によって、入力された画像信号(埋め込み対象画像)において、画素毎の画像レベルを検出する(ステップS3)。また、アナログ電子透かし埋め込み装置1Aは、エッジ信号検出手段12によって、入力された画像信号の同一のフィールド又はフレーム内において、エッジ信号を検出する(ステップS4)。さらに、アナログ電子透かし埋め込み装置1Aは、ライン変化信号検出手段13によって、フィールド又はフレームのライン毎に変化するライン変化信号のレベル差を検出する(ステップS5)。
【0061】
そして、アナログ電子透かし埋め込み装置1Aは、ビット伸張手段15によって、ステップS3で検出された画像レベル、ステップS4で検出されたエッジ信号のレベル、及び、ステップS5で検出されたライン変化信号のレベル差に基づいて、埋め込み情報の各ビットを伸張した拡大埋め込み情報を生成する(ステップS6)。
続けて、アナログ電子透かし埋め込み装置1Aは、埋め込み強度変更手段16によって、ステップS3で検出された画像レベル、ステップS4で検出されたエッジ信号のレベル、及び、ステップS5で検出されたライン変化信号のレベル差に基づいて、拡大埋め込み情報の埋め込み強度を変更した強度変更埋め込み情報を生成する(ステップS7)。
【0062】
そして、アナログ電子透かし埋め込み装置1Aは、埋め込み手段17の加算手段17aによって、エッジ信号にステップS7で埋め込み強度が変更された強度変更埋め込み情報を加算(付加)する(ステップS8)。そして、加算手段17bによって、その加算結果を、元となる埋め込み対象画像に加算(付加)することで、電子透かし埋め込み画像を生成する(ステップS9)。
【0063】
以上の動作によって、アナログ電子透かし埋め込み装置1Aは、アナログ映像信号に対して、アナログ耐性を持つ電子透かしを埋め込むことができる。
【0064】
(アナログ電子透かし検出装置2Aの構成)
次に、図3を参照して、図1で説明したアナログ電子透かし埋め込み装置1Aで埋め込まれた埋め込み情報を検出する、本発明における第一の実施の形態に係るアナログ電子透かし検出装置の構成について説明する。図3は、本発明における第一の実施の形態に係るアナログ電子透かし検出装置の構成を示すブロック図である。
【0065】
図3に示すように、アナログ電子透かし検出装置2Aは、アナログ電子透かし埋め込み装置1A(図1参照)で、アナログ映像信号のフィールド又はフレーム毎の信号である画像信号に、電子透かしとして埋め込み情報が埋め込まれた電子透かし埋め込み画像から、埋め込み情報を検出するものである。
ここでは、アナログ電子透かし検出装置2Aは、画像レベル検出手段20と、エッジ信号検出手段21と、ライン変化信号検出手段22と、埋め込み情報検出手段23と、ビット圧縮手段24と、逆拡散手段25と、減算手段26とを備えている。
【0066】
画像レベル検出手段20、エッジ信号検出手段21及びライン変化信号検出手段22は、入力する画像が、埋め込み情報が埋め込まれた電子透かし埋め込み画像である点を除いて、図1で説明した画像レベル検出手段11、エッジ信号検出手段12及びライン変化信号検出手段13と同一のものであるので説明を省略する。
【0067】
埋め込み情報検出手段23は、電子透かし埋め込み画像から、伸張された埋め込み情報を検出するものである。この伸張された埋め込み情報は、図1で説明したビット伸張手段15で伸張された拡大埋め込み情報に相当する。
ここでは、埋め込み情報検出手段23は、同期信号検出手段23aを備えている。
【0068】
同期信号検出手段23aは、埋め込み情報(拡大埋め込み情報)に付加されている同期信号を検出するものである。例えば、同期信号検出手段23aは、埋め込み情報の前後に付加された同期信号(例えば、「1,0,1,0」、「0,1,0,1」のビット列)を検出することで、同期信号間に挟まれた埋め込み情報を検出することが可能になる。なお、埋め込み情報が予め既知のパターン情報の場合は、埋め込み情報検出手段23は、同期信号検出手段23aを備える必要はなく、埋め込み情報検出手段23が、既知のパターン情報を検出することとしてもよい。
【0069】
なお、電子透かし埋め込み画像から、既知の同期信号又は埋め込み情報であるパターン情報を検出するには、埋め込み情報検出手段23は、画像レベル検出手段20で検出された画像レベル、エッジ信号検出手段21で検出されたエッジ信号のレベル、及び、ライン変化信号検出手段22で検出されたライン変化信号のレベル差に基づいて、埋め込み情報が埋め込まれている大まかな位置を検出し、電子透かし埋め込み画像に対して、そのパターン情報を乗算し積分を行うことで、パターン情報を検出することができる。これは、一般的な同期検波と同様の手法である。
【0070】
また、同期信号検出手段23aは、同期信号の埋め込み強度を検出することで、埋め込み情報の埋め込み強度を取得する。なお、この埋め込み情報は、このように同期信号そのものに付加しておいてもよいし、同期信号に連続した埋め込み強度を乗せるフィールドを用意し、そのフィールドに乗せることとしてもよい。この場合、同期信号検出手段23aは、そのフィールドから、埋め込み強度を検出することとする。
この埋め込み情報検出手段23で検出された、伸張された埋め込み情報(拡大埋め込み情報)は、ビット圧縮手段24に出力される。なお、拡大埋め込み情報に同期信号が付加された情報は減算手段26に出力される。
【0071】
ビット圧縮手段24は、画像レベル検出手段20で検出された画像レベル、エッジ信号検出手段21で検出されたエッジ信号のレベル、及び、ライン変化信号検出手段22で検出されたライン変化信号のレベル差に基づいて、埋め込み情報検出手段23で検出された埋め込み情報(拡大埋め込み情報)を圧縮するものである。この圧縮された埋め込み情報は、図1で説明した拡散手段10で拡散された埋め込み情報に相当する。
すなわち、このビット圧縮手段24は、拡大埋め込み情報のビット列の繰り返し情報を圧縮する。例えば、1ビットの信号が3ビットに伸張されている場合、「0,0,0」を「0」、「1,1,1」を「1」とする。なお、拡大埋め込み情報のビット列が、「1,0,1」等のビット化けが発生している場合は、多数決判定によって、そのビット値を決定する。
なお、ビット圧縮手段24は、予め同期信号検出手段23aで検出された埋め込み強度に基づいて、埋め込み情報(拡大埋め込み情報)を埋め込み強度を強くする前の情報に変更しておくものとする。
【0072】
また、ビット圧縮手段24は、何ビットを1ビットに圧縮するかは、画像レベル検出手段20で検出された画像レベル、エッジ信号検出手段21で検出されたエッジ信号のレベル、及び、ライン変化信号検出手段22で検出されたライン変化信号のレベル差に基づいて決定する。この規則については、図1で説明したビット伸張手段15と逆の規則を予め設定しておく。
このビット圧縮手段24で圧縮された埋め込み情報は、逆拡散手段25に出力される。
【0073】
逆拡散手段25は、ビット圧縮手段24で圧縮された埋め込み情報の拡散を逆拡散することで、画像内に埋め込まれた元の埋め込み情報を生成するものである。この逆拡散手段25は、図1で説明した拡散手段10で用いた拡散手法の逆演算を行うことで、元の埋め込み情報を生成する。例えば、拡散手段10において、M系列で拡散されている場合は、逆拡散手段25は、同じM系列を用いることで、元の埋め込み情報を生成することができる。これによって、アナログ映像信号のフィールド又はフレーム毎の信号である画像信号に埋め込まれた埋め込み情報が検出されたことになる。
なお、図1のアナログ電子透かし埋め込み装置1Aにおいて、拡散手段10を用いない場合には、逆拡散手段25を本構成から省略することができる。
【0074】
減算手段26は、入力された電子透かし埋め込み画像から、埋め込み情報検出手段23で検出された同期信号付きの埋め込み情報(拡大埋め込み情報)を減算することで、埋め込み情報を除去した画像(埋め込み情報除去画像)を生成するものである。なお、埋め込み情報のみを検出する場合には、減算手段26を本構成から省略することができる。
【0075】
以上説明したように、アナログ電子透かし検出装置2Aは、アナログ電子透かし埋め込み装置1A(図1参照)において、アナログ映像信号のフィールド又はフレーム毎の画像信号に埋め込まれた埋め込み情報を検出することができる。
なお、アナログ電子透かし検出装置2Aは、コンピュータを前記した各手段として機能させるアナログ電子透かし検出プログラムによって動作させることとしてもよい。
【0076】
(アナログ電子透かし検出装置2Aの動作)
次に、図4を参照(適宜図2参照)して、アナログ電子透かし検出装置2Aの動作について説明する。図4は、本発明における第一の実施の形態に係るアナログ電子透かし検出装置の動作を示すフローチャートである。
まず、アナログ電子透かし検出装置2Aは、画像レベル検出手段20によって、入力された電子透かし埋め込み画像において、画素毎の画像レベルを検出する(ステップS11)。また、アナログ電子透かし検出装置2Aは、エッジ信号検出手段21によって、入力された電子透かし埋め込み画像の同一のフィールド又はフレーム内において、エッジ信号を検出する(ステップS12)。さらに、アナログ電子透かし検出装置2Aは、ライン変化信号検出手段22によって、フィールド又はフレームのライン毎に変化するライン変化信号のレベル差を検出する(ステップS13)。
【0077】
そして、アナログ電子透かし検出装置2Aは、埋め込み情報検出手段23の同期信号検出手段23aによって、ステップS11で検出された画像レベル、ステップS12で検出されたエッジ信号のレベル、及び、ステップS13で検出されたライン変化信号のレベル差に基づいて、電子透かし埋め込み画像から同期信号を検出し(ステップS14)、その同期信号を基準として、埋め込み情報(拡大埋め込み情報)を検出する(ステップS15)。
続けて、アナログ電子透かし検出装置2Aは、ビット圧縮手段24によって、ステップS11で検出された画像レベル、ステップS12で検出されたエッジ信号のレベル、及び、ステップS13で検出されたライン変化信号のレベル差に基づいて、ステップS15で検出された埋め込み情報(拡大埋め込み情報)を圧縮する(ステップS16)。すなわち、アナログ電子透かし検出装置2Aは、図2のステップS6において行った、埋め込み情報の伸張に対する逆変換を行うことで、伸張された埋め込み情報を圧縮する。
【0078】
そして、アナログ電子透かし検出装置2Aは、逆拡散手段25によって、ステップS16で圧縮された埋め込み情報の拡散を逆拡散することで、画像内に埋め込まれた元の埋め込み情報を生成する(ステップS17)。すなわち、アナログ電子透かし検出装置2Aは、図2のステップS1において行った、埋め込み情報の拡散に対する逆変換を行うことで、拡散された埋め込み情報を、元の埋め込み情報に変換する。
以上の動作によって、アナログ電子透かし検出装置2Aは、アナログ電子透かし埋め込み装置1A(図1参照)において、アナログ映像信号に対して埋め込まれた埋め込み情報を検出することができる。
【0079】
[第二の実施の形態]
(アナログ電子透かし埋め込み装置1Bの構成)
次に、図5を参照して、第二の実施の形態に係るアナログ電子透かし埋め込み装置の構成について説明する。図5は、本発明における第二の実施の形態に係るアナログ電子透かし埋め込み装置の構成を示すブロック図である。
【0080】
図5に示すように、アナログ電子透かし埋め込み装置1Bは、アナログ映像信号のフィールド又はフレーム毎の信号である画像信号(埋め込み対象画像)に、電子透かしとして埋め込み情報を埋め込むものである。なお、アナログ電子透かし埋め込み装置1A(図1参照)では、画面上で輝度が変化することで「ちらつき」が発生する箇所に埋め込み情報を埋め込んだが、アナログ電子透かし埋め込み装置1Bでは、予めアナログノイズに近似した信号等のパターン信号を発生させ、そのパターン信号又はそのパターン信号から所定距離だけ離れた位置に埋め込み情報を埋め込むこととする。
【0081】
ここでは、アナログ電子透かし埋め込み装置1Bは、拡散手段10と、画像レベル検出手段11と、同期信号付加手段14と、ビット伸張手段15Bと、埋め込み強度変更手段16Bと、埋め込み手段17Bと、パターン信号発生手段18とを備えている。なお、アナログ電子透かし埋め込み装置1A(図1参照)と同一の構成については、同一の符号を付し説明を省略する。
【0082】
ビット伸張手段15Bは、パターン信号発生手段18でパターン信号が発生した段階で、画像レベル検出手段11で検出された画像レベルに基づいて、埋め込み情報の各ビットを伸張した拡大埋め込み情報を生成するものである。このビット伸張手段15Bは、画像レベルに基づいて、埋め込み情報の各ビットの伸張幅を変える。例えば、画像レベルが予め定めた閾値よりも小さいときは伸張幅を大きくし、閾値よりも大きいときは伸張幅を小さくする。
このビット伸張手段15Bで伸張された拡大埋め込み情報は、埋め込み強度変更手段16Bに出力される。
【0083】
埋め込み強度変更手段16Bは、パターン信号発生手段18でパターン信号が発生した段階で、画像レベル検出手段11で検出された画像レベルに基づいて、ビット伸張手段15Bで伸張された拡大埋め込み情報の埋め込み強度を変更した強度変更埋め込み情報を生成するものである。すなわち、この埋め込み強度変更手段16Bは、拡大埋め込み情報を、画像レベルにより予め定めた値を乗算することで、埋め込み情報の強度を強くする。
この埋め込み強度変更手段16Bで埋め込み強度が変更された強度変更埋め込み情報は、埋め込み手段17Bに出力される。
【0084】
埋め込み手段17Bは、埋め込み強度変更手段16Bで生成された強度変更埋め込み情報を、入力された画像信号(埋め込み対象画像)に埋め込むものである。ここでは、埋め込み手段17Bは、遅延量制御手段17Baと、2つの加算手段17Bb,17Bcとを備えている。
【0085】
遅延量制御手段17Baは、埋め込み強度変更手段16Bで生成された強度変更埋め込み情報を埋め込み対象画像へ埋め込む際の、埋め込みタイミングを制御するものである。
具体的には、遅延量制御手段17Baは、強度変更埋め込み情報を予め定めた時間遅延させることで、パターン信号を発生させた位置から所定距離だけ離れた位置に強度変更埋め込み情報を埋め込む。この埋め込みタイミングが制御された強度変更埋め込み情報は、加算手段17Bbに出力される。
【0086】
加算手段17Bbは、パターン信号発生手段18で発生されたパターン信号に、遅延量制御手段17Baで遅延量が制御された強度変更埋め込み情報を加算するものである。
加算手段17Bcは、元となる埋め込み対象画像に、加算手段17Bbでパターン信号に強度変更埋め込み情報が加算された信号を加算することで、電子透かし埋め込み画像を生成するものである。
【0087】
パターン信号発生手段18は、予め定めたパターン信号を発生させるものである。このパターン信号発生手段18で発生されたパターン信号は、ビット伸張手段15B、埋め込み強度変更手段16B及び埋め込み手段17Bに出力される。ここで、パターン信号発生手段18は、パターン信号として、アナログノイズに近似したノイズパターンを発生するものとする。また、パターン信号発生手段18は、画像レベル検出手段11で検出された画像レベルに基づいて、ノイズパターンの信号レベルを変えることとする。すなわち、パターン信号発生手段18は、予め基準となる閾値を設定し、画像レベルが小さいときは、ノイズパターンを小さくし、画像レベルが大きいときは、ノイズパターンを大きくする。
なお、パターン信号発生手段18は、ノイズパターンを発生させるものではなく、画像上にスーパーインポーズされるロゴマーク等を発生させるものとしてもよい。
【0088】
以上説明したように、アナログ電子透かし埋め込み装置1Bは、埋め込み情報を、パターン信号に対して予め定めた時間遅延させて埋め込み対象画像に埋め込むことができる。なお、パターン信号と埋め込み情報とは所定距離だけ離れているため、電子透かし埋め込み画像を知覚した人間は、パターン信号に着目するため、埋め込み情報による画面の変化に気づきにくい。
【0089】
また、ここでは、パターン信号に対して埋め込み情報を遅延させて埋め込み対象画像に重畳したが、同一画面上において、パターン信号より所定時間だけ早めて埋め込み情報を埋め込むこととしてもよい。この場合、遅延量制御手段17Baを、パターン信号発生手段18と、加算手段17Bbとの間に備えることとすればよい。
また、埋め込み情報をパターン信号の位置に重畳することとしてもよい。この場合は、埋め込み手段17Bから遅延量制御手段17Baを省いてもよいし、遅延量制御手段17Baの遅延量を「0」としてもよい。
なお、アナログ電子透かし埋め込み装置1Bは、コンピュータを前記した各手段として機能させるアナログ電子透かし埋め込みプログラムによって動作させることとしてもよい。
【0090】
(アナログ電子透かし埋め込み装置1Bの動作)
次に、図6を参照(適宜図5参照)して、アナログ電子透かし埋め込み装置1Bの動作について説明する。図6は、本発明における第二の実施の形態に係るアナログ電子透かし埋め込み装置の動作を示すフローチャートである。
まず、アナログ電子透かし埋め込み装置1Bは、拡散手段10によって、入力された埋め込み情報のビット列における各ビットの値の出現確率を均等化することで、埋め込み情報を拡散する(ステップS21)。
続けて、アナログ電子透かし埋め込み装置1Bは、同期信号付加手段14によって、ステップS21で拡散された埋め込み情報に同期信号(同期情報)を付加する(ステップS22)。
【0091】
そして、アナログ電子透かし埋め込み装置1Bは、画像レベル検出手段11によって、入力された画像信号(埋め込み対象画像)において、画素毎の画像レベルを検出する(ステップS23)。また、アナログ電子透かし埋め込み装置1Bは、パターン信号発生手段18によって、入力された画像信号の同一のフィールド又はフレーム内において、パターン信号を発生させる(ステップS24)。
そして、アナログ電子透かし埋め込み装置1Bは、ビット伸張手段15Bによって、ステップ24でパターン信号が発生した段階で、ステップS23で検出された画像レベルに基づいて、埋め込み情報の各ビットを伸張した拡大埋め込み情報を生成する(ステップS25)。
【0092】
続けて、アナログ電子透かし埋め込み装置1Bは、埋め込み強度変更手段16Bによって、ステップ24でパターン信号が発生した段階で、ステップS23で検出された画像レベルに基づいて、拡大埋め込み情報の埋め込み強度を変更した強度変更埋め込み情報を生成する(ステップS26)。
そして、アナログ電子透かし埋め込み装置1Bは、埋め込み手段17Bの遅延量制御手段17Baによって、パターン信号から所定距離となる位置に埋め込み情報の位置を制御し、埋め込み対象画像に、パターン信号とともに、埋め込み情報を付加する(ステップS28)。
【0093】
以上の動作によって、アナログ電子透かし埋め込み装置1Bは、アナログ映像信号のフィールド又はフレーム毎の信号である画像信号に対して、ノイズ等のパターン信号を付加し、そのパターン信号から所定距離だけ離れた位置に、アナログ耐性を持つ電子透かしを埋め込むことができる。
【0094】
(アナログ電子透かし検出装置2Bの構成)
次に、図7を参照して、図5で説明したアナログ電子透かし埋め込み装置1Bで埋め込まれた埋め込み情報を検出する、本発明における第二の実施の形態に係るアナログ電子透かし検出装置の構成について説明する。図7は、本発明における第二の実施の形態に係るアナログ電子透かし検出装置の構成を示すブロック図である。
【0095】
図7に示すように、アナログ電子透かし検出装置2Bは、アナログ電子透かし埋め込み装置1B(図5参照)で、アナログ映像信号のフィールド又はフレーム毎の信号である画像信号に、電子透かしとして埋め込み情報が埋め込まれた電子透かし埋め込み画像から、埋め込み情報を検出するものである。
ここでは、アナログ電子透かし検出装置2Bは、画像レベル検出手段20と、埋め込み情報検出手段23Bと、ビット圧縮手段24Bと、逆拡散手段25と、減算手段26と、パターン信号検出手段27を備えている。
画像レベル検出手段20は、図5の画像レベル検出手段11と同一のものであり、逆拡散手段25及び減算手段26は、図3の逆拡散手段25及び減算手段26と同一のものであるので説明を省略する。
【0096】
埋め込み情報検出手段23Bは、アナログ映像信号のフィールド又はフレーム毎の信号で埋め込み情報が埋め込まれた電子透かし埋め込み画像から、伸張された埋め込み情報を検出するものである。この伸張された埋め込み情報は、図5で説明したビット伸張手段15Bで伸張された拡大埋め込み情報に相当する。
この埋め込み情報検出手段23Bは、パターン信号検出手段27でパターン信号が検出された段階で、画像レベル検出手段20で検出された画像レベルに基づいて、埋め込み情報が埋め込まれている大まかな位置を検出し、電子透かし埋め込み画像に対して、そのパターン信号を乗算し積分を行うことで、パターン信号を検出する。
ここでは、埋め込み情報検出手段23Bは、同期信号検出手段23Baと、遅延量制御手段23Bbとを備えている。
【0097】
同期信号検出手段23Baは、図3で説明した同期信号検出手段23aと同一の機能を有するが、後記する遅延量制御手段23Bbにおいて制御される遅延量分時間方向にずらして、同期信号を検出することが異なっている。
【0098】
遅延量制御手段23Bbは、パターン信号検出手段27で検出されたパターン信号から所定時間だけ遅延量が制御された位置を特定するものである。この遅延量制御手段23Bbで特定された位置を示すタイミングは、同期信号検出手段23Baに出力される。なお、この遅延量は、図5で説明した遅延量制御手段17Baと同一の遅延量である。
この埋め込み情報検出手段23Bで検出された、伸張された埋め込み情報(拡大埋め込み情報)は、ビット圧縮手段24Bに出力される。なお、拡大埋め込み情報に同期信号が付加された情報は減算手段26に出力される。
【0099】
ビット圧縮手段24Bは、パターン信号検出手段27でパターン信号を検出した段階で、画像レベル検出手段20で検出された画像レベルに基づいて、埋め込み情報検出手段23Bで検出された埋め込み情報(拡大埋め込み情報)を圧縮するものである。この圧縮された埋め込み情報は、図5の拡散手段10で拡散された埋め込み情報に相当する。
【0100】
パターン信号検出手段27は、アナログ映像信号のフィールド又はフレーム毎の画像信号に埋め込み情報が埋め込まれた電子透かし埋め込み画像から、パターン信号を検出するものである。このパターン信号検出手段27は、図1で説明したエッジ信号検出手段12や、ライン変化信号検出手段13を備えることで、水平方向に連続で輝度信号等が一定以上変化する箇所をパターン信号の位置として検出する。
【0101】
以上説明した構成によって、アナログ電子透かし検出装置2Bは、アナログ電子透かし埋め込み装置1B(図5参照)において、アナログ映像信号に埋め込まれた埋め込み情報を検出することができる。
なお、アナログ電子透かし検出装置2Bは、コンピュータを前記した各手段として機能させるアナログ電子透かし検出プログラムによって動作させることとしてもよい。
【0102】
(アナログ電子透かし検出装置2Bの動作)
次に、図8を参照(適宜図7参照)して、アナログ電子透かし検出装置2Bの動作について説明する。図8は、本発明における第二の実施の形態に係るアナログ電子透かし検出装置の動作を示すフローチャートである。
まず、アナログ電子透かし検出装置2Bは、画像レベル検出手段20によって、入力された電子透かし埋め込み画像において、画素毎の画像レベルを検出する(ステップS31)。また、アナログ電子透かし検出装置2Bは、パターン信号検出手段27によって、入力された電子透かし埋め込み画像において、パターン信号を検出する(ステップS32)。
そして、アナログ電子透かし検出装置2Bは、埋め込み情報検出手段23Bの遅延量制御手段23Bbによって、電子透かし埋め込み画像を予め定めた遅延量だけ遅延させた位置を検出し、同期検出手段23Baによって、その遅延させた位置から同期信号を検出する(ステップS33)。そして、埋め込み情報検出手段23Bは、同期信号を基準として、埋め込み情報(拡大埋め込み情報)を検出する(ステップS34)。
【0103】
続けて、アナログ電子透かし検出装置2Bは、ビット圧縮手段24Bによって、ステップS32でパターン信号が発生した段階で、ステップS31で検出された画像レベルに基づいて、ステップS34で検出された埋め込み情報(拡大埋め込み情報)を圧縮する(ステップS35)。すなわち、アナログ電子透かし検出装置2Bは、図6のステップS25において行った、埋め込み情報の伸張に対する逆変換を行うことで、伸張された埋め込み情報を圧縮する。
【0104】
そして、アナログ電子透かし検出装置2Bは、逆拡散手段25によって、ステップS35で圧縮された埋め込み情報の拡散を逆拡散することで、画像内に埋め込まれた元の埋め込み情報を生成する(ステップS36)。すなわち、アナログ電子透かし検出装置2Bは、図6のステップS21において行った、埋め込み情報の拡散に対する逆変換を行うことで、拡散された埋め込み情報を、元の埋め込み情報に変換する。
【0105】
以上の動作によって、アナログ電子透かし検出装置2Bは、アナログ電子透かし埋め込み装置1B(図5参照)において、アナログ映像信号に対して埋め込まれた埋め込み情報を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明における第一の実施の形態に係るアナログ電子透かし埋め込み装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明における第一の実施の形態に係るアナログ電子透かし埋め込み装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明における第一の実施の形態に係るアナログ電子透かし検出装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明における第一の実施の形態に係るアナログ電子透かし検出装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明における第二の実施の形態に係るアナログ電子透かし埋め込み装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明における第二の実施の形態に係るアナログ電子透かし埋め込み装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明における第二の実施の形態に係るアナログ電子透かし検出装置の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明における第二の実施の形態に係るアナログ電子透かし検出装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0107】
1A、1B アナログ電子透かし埋め込み装置
10 拡散手段
11 画像レベル検出手段
12 エッジ信号検出手段
13 ライン変化信号検出手段
14 同期信号付加手段
15、15B ビット伸張手段
16、16B 埋め込み強度変更手段
17、17B 埋め込み手段
18 パターン信号発生手段
2A、2B アナログ電子透かし検出装置
20 画像レベル検出手段
21 エッジ信号検出手段
22 ライン変化信号検出手段
23、23B 埋め込み情報検出手段
24、24B ビット圧縮手段
25 逆拡散手段
26 減算手段
27 パターン信号検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナログ映像信号のフィールド又はフレーム毎の画像信号に、電子透かしとして埋め込み情報を埋め込むアナログ電子透かし埋め込み装置であって、
前記画像信号の画像レベルを検出する画像レベル検出手段と、
前記画像信号において、エッジ信号を検出するエッジ信号検出手段と、
前記画像信号において、フィールド又はフレームのライン毎に変化するライン変化信号を検出するライン変化信号検出手段と、
前記画像レベル検出手段で検出された画像レベル、前記エッジ信号検出手段で検出されたエッジ信号のレベル、及び、前記ライン変化信号検出手段で検出されたライン変化信号のレベル差に基づいて、前記埋め込み情報の各ビットを伸張した拡大埋め込み情報を生成するビット伸張手段と、
前記画像レベル、前記エッジ信号のレベル及び前記ライン変化信号のレベル差に基づいて、前記ビット伸張手段で伸張された拡大埋め込み情報の埋め込み強度を変更した強度変更埋め込み情報を生成する埋め込み強度変更手段と、
この埋め込み強度変更手段で生成された強度変更埋め込み情報を、前記エッジ信号の位置に埋め込む埋め込み手段と、
を備えていることを特徴とするアナログ電子透かし埋め込み装置。
【請求項2】
前記埋め込み情報を拡散する拡散手段を備え、
前記ビット伸張手段が、前記拡散手段で拡散された埋め込み情報の各ビットを伸張することを特徴とする請求項1に記載のアナログ電子透かし埋め込み装置。
【請求項3】
アナログ映像信号のフィールド又はフレーム毎の画像信号に、電子透かしとして埋め込み情報を埋め込むために、コンピュータを、
前記画像信号の画像レベルを検出する画像レベル検出手段、
前記画像信号において、エッジ信号を検出するエッジ信号検出手段、
前記画像信号において、フィールド又はフレームのライン毎に変化するライン変化信号を検出するライン変化信号検出手段、
前記画像レベル検出手段で検出された画像レベル、前記エッジ信号検出手段で検出されたエッジ信号のレベル、及び、前記ライン変化信号検出手段で検出されたライン変化信号のレベル差に基づいて、前記埋め込み情報の各ビットを伸張した拡大埋め込み情報を生成するビット伸張手段、
前記画像レベル、前記エッジ信号のレベル及び前記ライン変化信号のレベル差に基づいて、前記ビット伸張手段で伸張された拡大埋め込み情報の埋め込み強度を変更した強度変更埋め込み情報を生成する埋め込み強度変更手段、
この埋め込み強度変更手段で生成された強度変更埋め込み情報を、前記エッジ信号の位置に埋め込む埋め込み手段、
として機能させることを特徴とするアナログ電子透かし埋め込みプログラム。
【請求項4】
アナログ映像信号のフィールド又はフレーム毎の画像信号に、当該画像信号の画像レベル、エッジ信号のレベル、及び、フィールド又はフレームのライン毎に変化するライン変化信号のレベル差に基づいて、伸張された埋め込み情報を電子透かしとして埋め込んだ電子透かし埋め込み画像から、前記埋め込み情報を検出するアナログ電子透かし検出装置であって、
前記電子透かし埋め込み画像の画像レベルを検出する画像レベル検出手段と、
前記電子透かし埋め込み画像の画像信号において、エッジ信号を検出するエッジ信号検出手段と、
前記電子透かし埋め込み画像のフィールド又はフレームのライン毎に変化するライン変化信号を検出するライン変化信号検出手段と、
前記画像レベル検出手段で検出された画像レベル、前記エッジ信号検出手段で検出されたエッジ信号のレベル、及び、前記ライン変化信号検出手段で検出されたライン変化信号のレベル差に基づいて、前記電子透かし埋め込み画像に埋め込まれている、伸張された埋め込み情報を検出する埋め込み情報検出手段と、
前記画像レベル、前記エッジ信号のレベル及び前記ライン変化信号のレベル差に基づいて、前記埋め込み情報検出手段で検出された、伸張された埋め込み情報を圧縮することで前記埋め込み情報を再生するビット圧縮手段と、
を備えていることを特徴とするアナログ電子透かし検出装置。
【請求項5】
アナログ映像信号のフィールド又はフレーム毎の画像信号に、当該画像信号の画像レベル、エッジ信号のレベル、及び、フィールド又はフレームのライン毎に変化するライン変化信号のレベル差に基づいて、伸張された埋め込み情報を電子透かしとして埋め込んだ電子透かし埋め込み画像から、前記埋め込み情報を検出するために、コンピュータを、
前記電子透かし埋め込み画像の画像レベルを検出する画像レベル検出手段、
前記電子透かし埋め込み画像の画像信号において、エッジ信号を検出するエッジ信号検出手段、
前記電子透かし埋め込み画像のフィールド又はフレームのライン毎に変化するライン変化信号を検出するライン変化信号検出手段、
前記画像レベル検出手段で検出された画像レベル、前記エッジ信号検出手段で検出されたエッジ信号のレベル、及び、前記ライン変化信号検出手段で検出されたライン変化信号のレベル差に基づいて、前記電子透かし埋め込み画像に埋め込まれている、伸張された埋め込み情報を検出する埋め込み情報検出手段、
前記画像レベル、前記エッジ信号のレベル及び前記ライン変化信号のレベル差に基づいて、前記埋め込み情報検出手段で検出された、伸張された埋め込み情報を圧縮することで前記埋め込み情報を再生するビット圧縮手段、
として機能させることを特徴とするアナログ電子透かし検出プログラム。
【請求項6】
アナログ映像信号のフィールド又はフレーム毎の画像信号に、電子透かしとして埋め込み情報を埋め込むアナログ電子透かし埋め込み装置であって、
前記画像信号の画像レベルを検出する画像レベル検出手段と、
前記画像信号において、予め定めたパターン信号を発生させるパターン信号発生手段と、
このパターン信号発生手段で発生させたパターン信号から所定距離だけ離れた位置における前記画像レベルに基づいて、前記埋め込み情報の各ビットを伸張した拡大埋め込み情報を生成するビット伸張手段と、
前記画像レベルに基づいて、前記ビット伸張手段で伸張された拡大埋め込み情報の埋め込み強度を変更した強度変更埋め込み情報を生成する埋め込み強度変更手段と、
前記パターン信号発生手段で発生されたパターン信号を前記画像信号に重畳するとともに、前記埋め込み強度変更手段で生成された強度変更埋め込み情報を、前記パターン信号が重畳された位置から前記所定距離だけ離れた位置に埋め込む埋め込み手段と、
を備えていることを特徴とするアナログ電子透かし埋め込み装置。
【請求項7】
前記埋め込み情報を拡散する拡散手段を備え、
前記ビット伸張手段が、前記拡散手段で拡散された埋め込み情報の各ビットを伸張することを特徴とする請求項6に記載のアナログ電子透かし埋め込み装置。
【請求項8】
アナログ映像信号のフィールド又はフレーム毎の画像信号に、電子透かしとして埋め込み情報を埋め込むために、コンピュータを、
前記画像信号の画像レベルを検出する画像レベル検出手段、
前記画像信号において、予め定めたパターン信号を発生させるパターン信号発生手段、
このパターン信号発生手段で発生させたパターン信号から所定距離だけ離れた位置における前記画像レベルに基づいて、前記埋め込み情報の各ビットを伸張した拡大埋め込み情報を生成するビット伸張手段、
前記画像レベルに基づいて、前記ビット伸張手段で伸張された拡大埋め込み情報の埋め込み強度を変更した強度変更埋め込み情報を生成する埋め込み強度変更手段、
前記パターン信号発生手段で発生されたパターン信号を前記画像信号に重畳するとともに、前記埋め込み強度変更手段で生成された強度変更埋め込み情報を、前記パターン信号が重畳された位置から前記所定距離だけ離れた位置に埋め込む埋め込み手段、
として機能させることを特徴とするアナログ電子透かし埋め込みプログラム。
【請求項9】
アナログ映像信号のフィールド又はフレーム毎の画像信号に、予め定めたパターン信号を重畳し、且つ、そのパターン信号から所定距離だけ離れた位置に、その位置の画像レベルに基づいて、伸張された埋め込み情報を電子透かしとして埋め込んだ電子透かし埋め込み画像から、前記埋め込み情報を検出するアナログ電子透かし検出装置であって、
前記電子透かし埋め込み画像の画像レベルを検出する画像レベル検出手段と、
前記画像信号から前記パターン信号を検出するパターン信号検出手段と、
このパターン信号検出手段で検出されたパターン信号から、前記所定距離だけ離れた位置において、伸張された埋め込み情報を検出する埋め込み情報検出手段と、
前記画像レベルに基づいて、前記埋め込み情報検出手段で検出された、伸張された埋め込み情報を圧縮することで前記埋め込み情報を再生するビット圧縮手段と、
を備えていることを特徴とするアナログ電子透かし検出装置。
【請求項10】
アナログ映像信号のフィールド又はフレーム毎の画像信号に、予め定めたパターン信号を重畳し、且つ、そのパターン信号から所定距離だけ離れた位置に、その位置の画像レベルに基づいて、伸張された埋め込み情報を電子透かしとして埋め込んだ電子透かし埋め込み画像から、前記埋め込み情報を検出するために、コンピュータを、
前記電子透かし埋め込み画像の画像レベルを検出する画像レベル検出手段、
前記画像信号から前記パターン信号を検出するパターン信号検出手段、
このパターン信号検出手段で検出されたパターン信号から、前記所定距離だけ離れた位置において、伸張された埋め込み情報を検出する埋め込み情報検出手段、
前記画像レベルに基づいて、前記埋め込み情報検出手段で検出された、伸張された埋め込み情報を圧縮することで前記埋め込み情報を再生するビット圧縮手段、
として機能させることを特徴とするアナログ電子透かし検出プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−165895(P2006−165895A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−353150(P2004−353150)
【出願日】平成16年12月6日(2004.12.6)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】