説明

アブラティブ光分解性組成物を用いたパターン形成方法

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アブラティブ(ablative)光分解性重合体と、アブラティブ光分解性重合体の製法に関するものであり、詳細に述べれば、相分離も結晶化も発生しないアブラティブ光分解性重合体と、その製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】基板上に金属パターンを形成する方法、特に高密度電子パッケージ上にパターンを形成した回路を形成する方法は、「アブラティブ光分解」と称する技術を利用する。この技術は、乾式像形成法で、パターンを形成すべき基板上に有機重合体コーティングを付着させるものである。この重合体コーティングは、放射に感受性を有し、レーザからの、通常エキシマ・レーザからの放射によりパターンを形成する。特定波長の多数の光子が、短時間のうちに重合体コーティングに向けられる。重合体コーティングは、レーザの波長で吸収可能でなければならないが、これらの光子のうちのかなりの部分を吸収する。その結果、ある種のレーザによるアブレーションでは、きわめて短時間のうちに多数の重合体の分子鎖の断片が小さい体積中で生成する。これにより、持続はしないが圧力が局部的に増大し、この圧力は、断片化した重合体の分子鎖が分解し、コーティングから逸散するアブレーション工程により解放される。このようにして、溶剤現像段階がなくても材料がパターン化される。しかし、特定のアブレーション可能な重合体コーティングの、特定波長における吸収効率はきわめて低く、この重合体コーティングをアブレーションさせるにはかなりのレーザ・エネルギーを必要とする。
【0003】重合体コーティングが露光される特定波長における重合体コーティングの吸収効率を高めるため、重合体に光吸収剤を混合している。光吸収剤は、アブレーションに使用するレーザの波長またはそれに近い波長で吸収能を有するものを選択する。
【0004】しかし、従来の重合体と光吸収剤の混合物によれば、光吸収剤はコーティング中に均一に分布しない。このような均一性の欠如は、一部は混合工程の不均一によるものである。さらに、時間の経過により、光吸収剤の分布が均一でないと、光吸収剤の結晶化、相分離、表面またはコーティングと基板との境界面への移行などが生じる。光吸収剤の不均一な分布の結果、光吸収剤濃度の高い部分でアブレーションが増大し、回路パターンの品質が低く、解像度が悪くなる。反対に、光吸収剤がまったくまたはほとんどない部分ではアブレーションがほとんどまたはまったく起こらず、短絡の原因となることも多い。
【0005】均一にアブレーションしたパターンを得るために、光吸収剤が均一に分散したアブラティブ光分解性組成物が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、相分離も結晶化もしない、光吸収剤が重合体に結合したアブラティブ光分解性重合体(以下「アブラティブ光分解性重合体」と称する)を提供する。このアブラティブ光分解性重合体により、均一なアブレーションと高い解像度が得られ、好ましい実施例では、過マンガン酸カリ・エッチャント及び塩化第二鉄エッチャントに耐える。このアブラティブ光分解性重合体は、剥離可能であるが、必要であれば基板上に残すこともできる。このアブラティブ光分解性重合体は、光吸収剤が、共有結合またはイオン結合した重合体からなる。
【0007】本発明はまた、アブラティブ光分解性重合体を使用して基板上に金属パターンを形成する方法にも関するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、相分離も結晶化もせず、均一なアブレーションと高い解像度が得られ、過マンガン酸カリ・エッチャント及び塩化第二鉄エッチャントに耐え、剥離可能な、光吸収剤が重合体に結合したアブラティブ光分解性重合体を提供する。この熱光分解性重合体は、光吸収剤が、共有結合またはイオン結合した重合体からなる。
【0009】本発明はまた、アブラティブ光分解性重合体を使用して基板上に金属パターンを形成する方法にも関するものである。
【0010】このアブラティブ光分解性重合体は、好ましくはアクリレート単量体が重合した単位、さらに好ましくはメタクリル酸メチルの重合した単位と、重合体に結合した光吸収剤からなる。1実施例では、光吸収剤は重合体と共有結合しており、アブラティブ光分解性重合体がメタクリル酸メチルの重合した単位からなる場合は、光吸収剤はメタクリル酸メチルの重合した単位の一部または全部のメチル基と置換している。他の実施例では、光吸収剤は重合体とイオン結合している。
【0011】このアブラティブ光分解性重合体により得られる解像度は、2ミクロン以下である。
【0012】
【発明の実施の形態】
基板アブラティブ光分解性重合体のための基板は、好ましくは電子構造であり、メタライズしたセラミック、多層セラミック、ポリイミドとメタライズしたセラミックの複合材料、その他従来の基板が含まれる。
【0013】光吸収剤本発明のアブラティブ光分解性重合体に使用する光吸収剤は、紫外線の放射を吸収し、紫外線の放射に露出した場合にエネルギーの伝達により、アブラティブ光分解性重合体のアブレーションを起こし、または促進する。光吸収剤が重合体と共有結合した実施例では、好ましい光吸収剤は、ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル・カンパニー(Aldrich Chemical Company)から「ディスパース・レッド・ダイ−1(Disperse red dye-1)」の商品名で市販されている、4[(2−ヒドロキシエチル)エチルアミノ]−4'−(ニトロフェニル)アゾベンゼンである。他の適当な光吸収剤には、アルドリッチ・ケミカル・カンパニーから市販されているピレン、アルドリッチ・ケミカル・カンパニーから市販されているクマリン、ファルツ・アンド・バウラー社(Pfaltz and Baurer Inc.)から市販されている、4[(2−ヒドロキシエチル)エチルアミノ]−4'−(トリフルオロメチルスルフォニル)トラン、7−ヒドロキシ−4−メチル−2H−1−ベンゾピレン−2−オンなどがある。
【0014】イオン結合した実施例での使用に適した光吸収剤には、重合体の酸性水素と反応して第四アンモニウム塩を生成する第三アミンの官能基を有する光吸収剤、たとえば、アルドリッチ・ケミカル・カンパニーから市販されている7−(ジメチルアミン)−4−メチルクマリン、アルドリッチ・ケミカル・カンパニーから市販されている1−(ジメチルアミノ)−ピレン、及びこれらの誘導体などがある。
【0015】約1ないし100%、好ましくは約5ないし25%の重合した単量体に、光吸収剤が結合している。
【0016】アブラティブ光分解性重合体アブラティブ光分解性重合体は適切なコーティング特性を有し、重量平均分子量は、少なくとも15,000、好ましくは約18,000ないし約250,000、最も好ましくは約25,000である。
【0017】アブラティブ光分解性重合体は、下記の特性を有するものが好ましい。耐化学薬品性、使用温度(通常は室温)におけるじん性、良好な皮膜形成性(すなわち重合体組成物が乾燥して粘着性のない連続皮膜を形成すること)、及び熱安定性(好ましくは70℃以上、さらに好ましくは240℃以上)。
【0018】アブラティブ光分解性重合体はアクリレート重合体であることが好ましいが、光吸収剤は他の重合体、たとえばポリイミド類に結合したものでもよい。
【0019】共有結合した光吸収剤の実施例光吸収剤が共有結合したアブラティブ光分解性重合体は、アクリレート単量体が重合した単位からなるアクリレート重合体が好ましい。適当なアクリレート単量体には、たとえば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、及びこれらの混合物または共重合体がある。メタクリル酸メチルが好ましく、デュポン社(E. I. duPont de Nemours)から市販されている。
【0020】光吸収剤は重合体、好ましくは重合した単量体の全部または一部に共有結合し、重合体と一体化している。アブラティブ光分解性重合体は、まず重合体を生成した後、光吸収剤を重合体に結合させるか、またはまず光吸収剤を単量体に結合させた後、光吸収剤が結合した単量体を他の単量体とともに重合させることにより生成することができる。
【0021】イオン結合した光吸収剤の実施例光吸収剤がイオン結合したアブラティブ光分解性重合体は塩で、重合体の酸基、好ましくは酸水素と、光吸収剤の第三アミン基との間にイオン結合がある。したがって、光吸収剤がイオン結合したアブラティブ光分解性重合体は、第四アンモニウム塩である。重合体は、たとえばポリアクリル酸、またはメタクリル酸メチルとアクリル酸との共重合体などのアクリル樹脂が好ましい。
【0022】アブラティブ光分解性重合体の使用アブラティブ光分解性重合体を塗布するには、アブラティブ光分解性重合体を溶剤に溶解して、好ましくは約75ないし95重量%の溶剤を含有する溶液を生成する。好ましくは、有機溶剤を使用すれば、均一に、かつ容易にアブラティブ光分解性重合体のコーティングを塗布することができる。適当な有機溶剤には、たとえば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、乳酸エチル、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、塩化メチレン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、クロロヘキサノン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミドなどがある。
【0023】アブラティブ光分解性重合体のコーティングは、ロール・コーティング、スプレイ・コーティング、ブレード塗布、スピン・コーティングなどの従来の方法により、電子構造の上面にブランケット・コーティングを行う。好ましくは、アブラティブ光分解性重合体の皮膜の厚みは、約0.15ないし5.0μm、さらに好ましくは約2μmとする。
【0024】次に、電子構造を通常約70℃ないし150℃に約15ないし30分加熱して、アブラティブ光分解性重合体のコーティングから大部分の溶剤を除去する。次に電子構造を好ましくは約120℃ないし250℃の最終温度で、アブラティブ光分解性重合体が十分に硬化する時間ベーキングする。この結果、平滑で硬い均一なアブラティブ光分解性重合体皮膜が得られる。レーザまたは紫外線ランプを、x−yテーブルなどの従来の手段、またはフォトマスクを介して電子構造に位置合わせする。市販のエキシマ・レーザは、193nm、248nm、308nm、351nmのいずれかの波長を放射する。約308nmの波長を放射するエキシマ・レーザが好ましい。
【0025】次に、エキシマ・レーザまたは紫外線ランプを使用して、アブラティブ光分解性重合体をアブレーションさせて、所期のパターンを形成する。エキシマ・レーザを使用する場合は、0.1J/cm2程度の低いフルーエンスでも皮膜をアブレーションさせることができるが、0.2J/cm2が好ましい。アブラティブ光分解性重合体皮膜をエッチングするのに必要なパルス数は、皮膜の厚みに依存する。アブラティブ光分解性重合体の光吸収効率を増大させることにより、たとえば0.2J/cm2でも効率的にアブレーションさせることができる。これは従来の光吸収剤と重合体の混合物では得られないことである。また、アブレーション効率が増大するため、アブラティブ光分解性重合体をアブレーションさせるのに必要な時間が著しく短縮する。
【0026】アブラティブ光分解性重合体にパターンまたはマスクを形成した後、金属パターン、すなわち回路形成を従来の手段により行う。基板がメタライズしたセラミックの場合は、メタライゼーションをエッチングする。基板がメタライズされていない場合は、アブレーションにより形成したパターンを、たとえば無電解メッキなどの従来の手段によりメタライズする。
【0027】アブラティブ光分解性重合体は基板上に残すことも、必要があれば溶剤を用いて除去することもできる。適当な溶剤は、周囲の有機誘電性材料を膨潤させることなく、アブラティブ光分解性重合体を選択的に除去するものを選択する。適当なストリッピング用溶剤には、たとえば炭酸プロピレン、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、乳酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセタート、ジメチルホルムアミド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、クロロホルム、メチルエチルケトン、塩化メチレンなどがある。
【0028】
【実施例】下記の例は、アブラティブ光分解性重合体の各種の実施例を説明するものである。
【0029】例1下記の構造を有するアブラティブ光分解性重合体を、下記の方法により生成した。
【化1】


【0030】メタクリル酸4[(2−ヒドロキシエチル)エチルアミノ]−4'−(ニトロフェニル)アゾベンゼン単量体の生成メカニカル・スターラ、温度計、及び滴下ロート付きの1リットルのフラスコに、10g、すなわち32ミリモルの精製4[(2−ヒドロキシエチル)エチルアミノ]−4'−(ニトロフェニル)アゾベンゼン(アルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Company Inc.)、つまりディスパース・レッド1(Disperse Red 1, DR1)及び400mlの塩化メチレンを入れた。アルドリッチ・ケミカル社の塩化メタクリロイルを蒸留し、3.2mlすなわち32.7ミリモルの蒸留した塩化メタクリロイルを徐々に滴下した。次に、4.7mlのトリエチルアミンを15mlの塩化メチレンに溶解した溶液を、室温で4時間かけて添加した。必要があれば、反応の完了を促進するため、0.39gのジメチルアミノピリジンを添加した。トリエチルアミン及びメタクリル酸メチル(いずれもアルドリッチ・ケミカル社)を、使用前にそれぞれ蒸留した。
【0031】反応混合物を、冷却した水酸化ナトリウムの2%水溶液で洗浄した後、脱イオン水で洗浄した。有機相は、硫酸ナトリウムを入れたデシケータで乾燥した。溶剤を除去した後、生成物をメタノールで再結晶し、8.8gの褐色の固形物を得た。収率は72%であった。メタクリル酸DR1の融点は92ないし93℃で、NMRの結果は下記のとおりであった。NMRδ(CDCl3)8.33(d、J=9.1Hz、2H)、7.98(d、J=9.1Hz、2H)、7.90(d、J=9.2Hz、2H)、6.83(d、J=9.1Hz、2H)、6.12(t、J=1.0Hz、1H)、5.60(t、J=1.5Hz、1H)、4.38(t、J=6.3Hz、2H)、3.75(t、J=6.2Hz、2H)、3.56(q、J=7.1Hz、2H)、1.95(s、3H)、1.27(t、J=7.1Hz、3H)。
【0032】メタクリル酸DR1とメタクリル酸メチルの重合反応管に、0.785g、すなわち2.05ミリモルのメタクリル酸4[(2−ヒドロキシエチル)エチルアミノ]−4'−(ニトロフェニル)アゾベンゼン、2.25gすなわち22.5ミリモルのメタクリル酸メチル、41mg(0.25ミリモル)のアゾビスイソブトロニトリル、及び11mlのクロロベンゼンを入れた。この混合物を攪拌し、真空下で交互凍結解凍サイクルにより酸素を除去した。反応管を真空のままシールし、60℃に48時間加熱した。粗製の生成物をメタノールを用いて沈殿させ、塩化メチレンに溶解し、メタノールから再結晶することによって精製した。
【0033】得られた赤色の重合物(2.7g、収率90%)は、メタクリル酸メチルに対する発色団の濃度が8%、重量平均分子量が87,000、数平均分子量が31,000、GPCにより測定した分散率が2.8であった。DSCにより測定したTgは116℃であった。
【0034】例1A例1によりアブラティブ光分解性重合体を生成した。ただし、メタクリル酸4[(2−ヒドロキシエチル)エチルアミノ]−4'−(ニトロフェニル)アゾベンゼンは、2.05ミリモルではなく、1.07g(2.8ミリモル)を添加し、アブラティブ光分解性組成物中のメタクリル酸塩に対する光吸収剤濃度を10%とした。
【0035】例1B例1によりアブラティブ光分解性重合体を生成した。ただし、メタクリル酸4[(2−ヒドロキシエチル)エチルアミノ]−4'−(ニトロフェニル)アゾベンゼンは、2.05ミリモルではなく、2.14g(5.6ミリモル)を添加し、アブラティブ光分解性組成物中のメタクリル酸塩に対する光吸収剤濃度を16%とした。
【0036】例2下記の構造を有するアブラティブ光分解性重合体を、下記の方法により生成した。
【化2】


【0037】滴下ロートと還流コンデンサを取り付けた1リットルの三口フラスコに、2.0g、すなわち52.7ミリモルの水素化リチウムアルミニウム(95%)(アルドリッチ・ケミカル社)を300mlの乾燥テトラヒドロフラン(アルドリッチ・ケミカル社)に溶解した溶液を入れた。1−ピレン酪酸(アルドリッチ・ケミカル社)をトルエンから再結晶し、窒素雰囲気中で、8.52gすなわち29.5ミリモルの1−ピレン酪酸を150mlのTHFに溶解した溶液を、1.5時間でマグネチック・スターラにより攪拌しながら滴下した。滴下後、反応混合物を加熱し、4時間還流した後、室温で1夜攪拌した。その後、2mlの水を滴下し、続いて10mlの5%NaOHを滴下し、混合物を35℃に加熱して30分間攪拌した。次に混合物を濾過して無機固形物を除去し、濾液をロータリー・エバポレータにより、容量が約150mlになるまで濃縮した。この溶液を無水硫酸マグネシウムを入れたデシケータで1時間乾燥し、さらに濃縮して油状の残渣を粗製生成物とする。油状の残渣を約10mlの塩化メチレンに溶解し、15cm×19mmのシリカゲル・カラムに入れ、エチルエーテル86%とヘキサン14%の混合溶媒で溶出して精製する。薄層クロマトグラフィで単一スポットを示すフラクションを合わせ、溶媒を蒸発させて、放置すると結晶化する油状生成物を得る。淡黄色の結晶の最終収量は7.55g(収率93%)であった。化合物をNMRにより確認した。NMR(CDC13)1.3ppm(広帯域、−OH)、1.5−2.2ppm(m、−CH2−CH2−)、3.37ppm(m、−CH2−ピレニル)、3.70ppm(m、−CH2−O−)、7.8−8.4ppm(m、ピレニル−H)。
【0038】メタクリル酸4−(1−ピレニル)ブチル(Py−MA)単量体の生成操作はすべて黄色安全灯の下で行った。500mlのフラスコに、7.55g、すなわち27.6ミリモルの4−(1−ピレン)−1−ブタノールと、5.46g(54.0ミリモル)の乾燥トリエチルアミンを、200mlの無水クロロホルム(アルドリッチ・ケミカル社)に溶解した溶液を入れた。フラスコ内を窒素でパージした後、溶液を氷と食塩のバスで−5℃に冷却し、4.31g(41.2ミリモル)の直前に蒸留した塩化メタクリロイルを75mlの無水クロロホルムに溶解した溶液を、3時間でマグネチック・スターラにより攪拌しながら滴下した。滴下後、反応混合物を徐々に室温に戻し、室温で1夜攪拌した。その後、10mlの水を滴下し、溶液を30分間攪拌した後、有機相を分離し、順次20mlの8%HClで2回、5%のNaOHで2回、NaCl飽和溶液で2回洗浄した。MgSO4で短時間乾燥した後、4−メトキシ−1−フェノールの結晶を数個添加して重合を抑制し、溶剤をロータリー・エバポレータで除去して、放置すると結晶化する油状の生成物を得た。トルエンで再結晶した後、0.5mmHgの真空下で1夜乾燥して、5.51g(収率58%)の淡黄色固体を精製した最終生成物として得た。NMR分析及び文献(1)のスペクトルとの比較により、この化合物は、メタクリル酸4−(1−ピレニル)ブチルであることが確認された。NMR(CDC13)1.8−2.2ppm(m、−CH2−CH2−)、3.38ppm(m、−CH2−ピレニル)、4.23ppm(m、−CH2−OOC−)、5.53ppm(m、=CH2)、6.09(m、=CH2)、7.8−8.3ppm(m、ピレニル−H)。
【0039】メタクリル酸4−(1−ピレニル)ブチルとメタクリル酸メチルの重合体の生成操作はすべて黄色安全灯の下で行った。Py−MAとメタクリル酸メチル(MMA)との共重合体を下記により生成した。100mlのフラスコに、50gの酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル(アルドリッチ・ケミカル社)、133mgの2,2'−アゾビス、すなわちイソブチロニトリル(ポリサイエンシーズ社)、及びマグネチック・スターラ・バーを入れた。次に、0.0180gのPy−MAと、14.98gのMMAの、合計15.0gの単量体を添加して、フラスコをセプタムで覆い、混合物を室温で溶解するまで攪拌した。溶液の入ったフラスコ内を20分間窒素でパージし、フラスコを油浴中で65℃に24時間加熱した。その後、油浴温度を100℃に上げ、さらに24時間加熱を続けた。攪拌と、窒素圧力の保持は、この48時間連続して行った。重合体を沈殿させるため、溶液を室温に冷却した後、1リットルのメタノール中に高速攪拌しながら滴下した。濾過及び乾燥の後、共重合体を室温で50mlのクロロホルムに溶解し、1リットルのメタノールで再沈殿させた。これを濾過し、0.5mmHgの真空下で恒量になるまで乾燥して、12.83gの共重合体を得た。
【0040】例2A例2によりアブラティブ光分解性重合体を生成した。ただし、Py−MAは、0.0180gではなく、0.0585gを使用し、メタクリル酸メチルは、14.98gではなく、14.94gを使用して、12.44gのメタクリル酸メチルとメタクリル酸4−(1−ピレニル)ブチルとの共重合体を得た。
【0041】例2B例2によりアブラティブ光分解性重合体を生成した。ただし、Py−MAは、0.0180gではなく、0.1740gを使用し、メタクリル酸メチルは、14.98gではなく、14.83gを使用して、13.74gのメタクリル酸メチルとメタクリル酸4−(1−ピレニル)ブチルとの共重合体を得た。
【0042】例2C例2によりアブラティブ光分解性重合体を生成した。ただし、Py−MAは、0.0180gではなく、0.5670gを使用し、メタクリル酸メチルは、14.98gではなく、14.43gを使用し、共重合体を濾過及び乾燥後、50℃のクロロホルム50%、トルエン50%の混合溶剤に溶液して、12.42gのメタクリル酸メチルとメタクリル酸4−(1−ピレニル)ブチルとの共重合体を得た。
【0043】例2D例2Cによりアブラティブ光分解性重合体を生成した。ただし、Py−MAは、0.0180gではなく、1.58gを使用し、メタクリル酸メチルは、14.98gではなく、13.42gを使用して、13.42gのメタクリル酸メチルとメタクリル酸4−(1−ピレニル)ブチルとの共重合体を得た。
【0044】例2E例2Cによりアブラティブ光分解性重合体を生成した。ただし、Py−MAは、0.0180gではなく、4.230gを使用し、メタクリル酸メチルは、14.98gではなく、10.77gを使用して、13.86gのメタクリル酸メチルとメタクリル酸4−(1−ピレニル)ブチルとの共重合体を得た。
【0045】例3アルドリッチ・ケミカル社のポリメタクリル酸メチルとアクリル酸との共重合体を、たとえばN−メチルピロリドン、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテルなどの有機溶剤に溶解して、光吸収剤が重合体にイオン結合したアブラティブ光分解性重合体を生成した。次に、アルドリッチ・ケミカル社の光吸収剤である7−(ジメチルアミン)−4−メチルクマリンを添加し、十分混合した。溶液からアブラティブ光分解性塩の沈澱物としてこれを回収した。沈澱は、ヘキサン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、メタノールなどの逆溶媒を添加して完了させた。
【0046】例4アルドリッチ・ケミカル社のポリアクリル酸の重合体を、たとえばN−メチルピロリドン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタートなどの有機溶剤に溶解して、光吸収剤が重合体にイオン結合したアブラティブ光分解性重合体を生成した。次に、アルドリッチ・ケミカル社の光吸収剤である1−(ジメチルアミノ)−ピレンを添加し、十分混合した。溶液からアブラティブ光分解性塩の沈澱物としてこれを回収した。沈澱は、ヘキサン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、メタノールなどの逆溶媒を添加して完了させた。
【0047】例5下記の構造を有するアブラティブ光分解性重合体を、下記の方法により生成した。
【化3】


まず、4−[(2−ヒドロキシエチル)エチルアミノ]−4'−(トリフルオロメチルスルフォニル)トランを合成する。4−[(2−ヒドロキシエチル)エチルアミノ]−4'−(トリフルオロメチルスルフォニル)トランの合成法は下記のとおりである。
【化4】


【0048】化合物1: 4−[(2−ヒドロキシエチル)エチルアミノ]ヨードベンゼンの生成まず、メカニカル・スターラを取り付けた500mlの三口フラスコに、25g、すなわち150ミリモルの、モベイ・ケミカル(Mobay Chemical Corp.)の(2−ヒドロキシエチル)エチルアニリンと、20mlのエタノールを入れ、フラスコ内を窒素でパージして、撹拌した。これに、25g、すなわち300ミリモルの重炭酸ナトリウムを300mlの水に溶解し、脱気した溶液を撹拌しながら添加した。次に、38.5g、すなわち150ミリモルのヨウ素(アルドリッチ・ケミカル社)を乳鉢ですりつぶしたものを、反応温度を20℃に保ちながら、45分間かけて徐々に添加した。この混合物を4時間撹拌した後、クロロホルムで抽出した。有機層をチオ硫酸ナトリウム(アルドリッチ・ケミカル社)で洗浄し、分離した。溶剤を減圧で除去した後、脱色用活性炭を濃色の残渣に添加して、加熱した石油エーテルで抽出を繰り返した。軽質の油分を分離して、冷却すると結晶化する無色の固体である4−[(2−ヒドロキシエチル)エチルアミノ]ヨードベンゼン30gが、68%の収率で生成した。4−[(2−ヒドロキシエチル)エチルアミノ]ヨードベンゼンの融点は53ないし54℃である。
【0049】化合物2: 4−[(2−トリメチルシロキシエチル)エチルアミノ]ヨードベンゼンの生成14.5g、すなわち50ミリモルの4−[(2−ヒドロキシエチル)エチルアミノ]ヨードベンゼンと、6.0g、すなわち60ミリモルのトリエチルアミン(アルドリッチ・ケミカル社)とを、90mlのテトラヒドロフラン("THF")に溶解した溶液を、氷を入れたウォーター・バス上で、窒素雰囲気中で撹拌した。次に、5.5g、すなわち51ミリモルのクロロトリメチルシラン(アルドリッチ・ケミカル社)を、反応温度を10℃未満に保ちながら徐々に添加した。この混合物を30分間撹拌した後、1時間で室温まで加温した。これにエチルエーテルを添加し、食塩水で抽出した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥した。溶剤を減圧で除去した後、残渣をシリカゲル・カラムを用いたクロマトグラフィにより2%の酢酸エチルとヘキサンの混合溶媒で溶出して、16.63gの透明な高粘度の油状液体を、92%の収率で得た。
【0050】化合物3: 4−[(2−トリメチルシロキシエチル)エチルアミノ]トリメチルシリルエチニルベンゼンの生成10.9g、すなわち30ミリモルの、上記の方法で生成した4−[(2−トリメチルシロキシエチル)エチルアミノ]ヨードベンゼン、1.0g、すなわち1.4ミリモルの塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(アルドリッチ・ケミカル社)、及び74mg、すなわち0.75ミリモルの塩化第一銅(アルドリッチ・ケミカル社)の混合物に、50mlのトリエチルアミンを加えて撹拌し、窒素雰囲気中で15分間脱気した。次に、3.5g、すなわち36ミリモルのトリメチルシリルアセチレン(アルドリッチ・ケミカル社)を、室温でメカニカル・スターラで激しく撹拌しながら添加し、混合物を80℃で1時間撹拌した。混合物を冷却して、濾過し、エチルエーテルで希釈して、希塩酸で抽出した。有機相を分離し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、溶剤を減圧で除去した。暗色の残渣を、シリカゲル・カラムを用いたクロマトグラフィにより4%の酢酸エチルとヘキサンの混合溶媒で溶出して、9.2gの黄色の油状液体を、92%の収率で得た。
【0051】化合物4: 4−[(2−ヒドロキシエチル)エチルアミノ]エチルベンゼンの生成5.0g、すなわち15ミリモルの、上記の方法で生成した4−[(2−トリメチルシロキシエチル)エチルアミノ]トリメチルシリルエチニルベンゼンを、60mlのメタノールとTHFの1:1の混合溶媒に溶解した溶液に、33ml、すなわち33ミリモルの1Mフッ化テトラブチルアンモニウム(アルドリッチ・ケミカル社)のTHF溶液を滴下した。この溶液を室温で1時間撹拌した。エチルエーテルを加え、混合物を水で抽出した。有機相を分離し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、溶剤を減圧で除去した。粗製生成物をシリカゲル・カラムを用いたクロマトグラフィにより35%の酢酸エチルとヘキサンの混合溶媒で溶出して、2.5gの黄色の高粘度油状液体を、88%の収率で得た。
【0052】化合物5: 4−[(2−ヒドロキシエチル)エチルアミノ]−4'−(トリフルオロメチルスルフォニル)トランの生成5.7g、すなわち20ミリモルの、E.A.ノディフほか(E.A. Nodiff etal.)ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J. Org. Chem.)、Vol.25、p.60(1960)の方法で生成した1−ブロモ−4−トリフルオロメチルスルホニルベンゼン、0.63g、すなわち0.9ミリモルの塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、45mg、すなわち0.45ミリモルの塩化第一銅、及び18g、すなわち180ミリモルのトリエチルアミンの混合物に、80mlのベンゼンを加えて撹拌し、窒素雰囲気中で15分間脱気した。上記混合物を80℃に保ち、3.4g、すなわち18ミリモルの、上記の方法で生成した4−[(2−ヒドロキシエチル)エチルアミノ]エチニルベンゼンを40mlの脱気したベンゼンに溶解したものを20分間で添加した。この反応系をさらに45分間撹拌し、濾過及び抽出後、シリカゲル・カラムを用いたクロマトグラフィにより25%のアセトンとヘキサンの混合溶媒で溶出した。エーテルとヘキサンの混合溶媒で再結晶して5.9gの黄色の針状結晶を、82%の収率で得た。この4−[(2−ヒドロキシエチル)エチルアミノ]−4'−(トリフルオロメチルスルフォニル)トランの融点は183ないし184℃、NMR分析は下記のとおりであった。NMRδ(CDCl3)7.96(d,J=8.4Hz,2H)、7.70(d,J=8.5Hz,2H)、7.42(d,J=8.9Hz,2H)、6.72(d,J=8.9Hz,2H)、3.84(t,J=5.9Hz,2H)、3.56−3.44(m,4H)、1.20(t,J=7.0Hz,3H)。
【0053】メタクリル酸4−[(2−ヒドロキシエチル)エチルアミノ]−4'−(トリフルオロメチルスルフォニル)トラン単量体の生成光吸収剤4−[(2−ヒドロキシエチル)エチルアミノ]−4'−(トリフルオロメチルスルフォニル)トランを用いて、例1の方法で単量体を生成した。シリカゲル・カラムを用いたクロマトグラフィにより18%のアセトンとヘキサンの混合溶媒で溶出し、エーテルとヘキサンの混合溶媒で再結晶して、淡黄色の針状結晶を、72%の収率で得た。この単量体の融点は107ないし108℃、NMR分析は下記のとおりであった。NMRδ(CDCl3)7.96(d,J=8.5Hz,2H)、7.71(d,J=8.5Hz,2H)、7.43(d,J=8.9Hz,2H)、6.72(d,J=8.9Hz,2H)、6.11(s,1H)、5.60(t,J=1.5Hz,1H)、4.33(t,J=6.3Hz,2H)、3.66(t,J=6.3Hz,2H)、3.48(q,J=7.0Hz,2H)、1.95(s,3H)、1.21(t,J=7.0Hz,3H)。
【0054】メタクリル酸4−[(2−ヒドロキシエチル)エチルアミノ]−4'−(トリフルオロメチルスルフォニル)トランの重合アブラティブ光分解性重合体を、例1に記載した方法で生成した。得られた黄色の重合体は、メタクリル酸メチル93%と、メタクリル酸4−[(2−ヒドロキシエチル)エチルアミノ]−4'−(トリフルオロメチルスルフォニル)トラン7%からなるものであり、NMR分析による分子量は54,000、分散率は1.7、Tgは124℃である。
【0055】例6下記の構造を有するアブラティブ光分解性重合体を生成した。
【化5】


得られた共重合体は、メタクリル酸メチル70重量%、光吸収剤7−ブチルヒドロキシ−4−メチル−2H−1−ベンゾピレン−2−オン30重量%からなるものであった。
【0056】比較例A比較のため、ポリメタクリル酸メチルを単にDR−1光吸収剤と混合したサンプルを作成した。
【0057】比較例B比較のため、満足な解像度を有する従来のポリイミド・アブラティブ組成物からサンプルを作成した。
【0058】評価例1ないし2E、5、6、比較例A及びBの重合体組成物を、メタライズしたセラミック・ウェーハにスピン・コーティングした。次に、基板を対流オーブンに入れて、1夜120℃でベーキングして、溶剤を除去した。得られた皮膜は、平滑で硬度が高く、厚みは2ないし3μmであった。この重合体コーティングを、ラムダ・フィジック・レーザ社(Lambda Physik Laser)のラムダ2000エキシマ・レーザを用いて、波長308nmで、毎秒300パルスで、フルーエンス0.20J/cm2を用い、通常50ないし100パルスを使用してアブレーションさせ、アブラティブ光分解性重合体中に回路パターンを形成した。パターンを形成した基板を過マンガン酸カリ浴に入れてクロムの上層を除去した後、パターンを形成した基板を塩化第二鉄浴に入れて露出した銅を除去し、最後にパターンを形成した基板を過マンガン酸カリ浴に入れて露出したクロムを除去することにより、金属をエッチングした。このようにして、アブラティブ光分解性重合体により保護されたメタライゼーションを除いて、メタライゼーションをすべて除去した。残ったアブラティブ光分解性重合体を選択的にアブレーションさせ、銅のパッドなどの構造を画定した。次にこの構造を過マンガン酸カリのみを用いてエッチングし、クロムの上層を除去し、これにより銅を露出させた。次に、この構造を目視により検査した。
【0059】例1ないし2E、5及び6のアブラティブ光分解性重合体のサンプルはすべて、満足なアブレーションを示した。
【0060】比較例Aの材料は、良好にアブレーションしなかった。しかし、従来のポリイミドを塗布した基板には、炭素の破片(debris)が外側リード・ボンドの間に集合しているのが見られた。この破片は例1のアブラティブ光分解性重合体の場合には見られない。このように、DR1−PMMA重合体を使用することにより、炭素の破片を洗浄する処理工程を追加することが避けられる。
【0061】例1のアブラティブ光分解性重合体を、厚みが1ないし4μmのメタライズしたセラミック・ウェーハにもコーティングした。次に、図1に示す回路パターンをエキシマ・レーザまたは深紫外線ランプのいずれかを使用して形成した。また、深紫外線源として、キンテル社(Quintel Corp.)の300ワット紫外線ランプを用い、253nmの波長で、アブラティブ光分解性組成物に、20、16、10、8、4、2μmの幅を有する線状のテスト・ライン・パターンを形成した。
【0062】例1、2、5、及び6のアブラティブ光分解性重合体は、欠陥がなく、欠陥のない回路を形成した。テスト・ライン・パターンに示す線の幅は、従来のリソグラフィ処理を使用して得た線の幅に匹敵するものであった。
【0063】例3のアブラティブ光分解性重合体により形成したパターンの質は、比較例のDR1−PMMA混合物により形成したパターンの質より、著しく良好であった。
【0064】本発明は、上記実施例に限定されるものではない。本発明は、技術的に同等の手段はすべて、本発明の原理及び範囲に含まれることを意図している。
【0065】まとめとして、本発明の構成に関して以下の事項を開示する。
【0066】(1)単量体単位が重合したアクリル重合体と、単量体単位に結合した光吸収剤とを含み、前記光吸収剤が、4[(2−ヒドロキシエチル)エチルアミノ]−4'−(ニトロフェニル)アゾベンゼン、ピレン、クマリン、4[(2−ヒドロキシエチル)エチルアミノ]−4'−(トリフルオロメチルスルフォニル)トラン、7−ヒドロキシ−4−メチル−2H−1−ベンゾピレン−2−オン、または第三アミン官能基を有し、前記アクリル重合体の酸性水素と第四アンモニウム塩を生成する光吸収剤、及びこれらの誘導体からなるグループから選択されることを特徴とする、アブラティブ光分解性重合体。
(2)単量体単位がアクリル酸及びその誘導体であることを特徴とする上記(1)に記載のアブラティブ光分解性重合体。
(3)光吸収剤が1−(ジメチルアミノ)−ピレンであることを特徴とする上記(1)に記載のアブラティブ光分解性重合体。
(4)光吸収剤が7−(ジメチルアミノ)−4−メチルクマリンであることを特徴とする上記(1)に記載のアブラティブ光分解性重合体。
(5)前記アブラティブ光分解性重合体は紫外線の波長でアブレーションすることを特徴とする上記(1)に記載のアブラティブ光分解性重合体。
(6)単量体単位が、メタクリル酸メチルであり、光吸収剤が4[(2−ヒドロキシエチル)エチルアミノ]−4'−(ニトロフェニル)アゾベンゼンであることを特徴とする上記(2)に記載のアブラティブ光分解性重合体。
(7)単量体単位が、メタアクリル酸メチルであり、光吸収剤がピレンであることを特徴とする上記(2)に記載のアブラティブ光分解性重合体。
(8)単量体単位が、メタアクリル酸メチルであり、光吸収剤が7−ヒドロキシ−4−メチル−2H−1−ベンゾピレン−2−オンであることを特徴とする上記(2)に記載のアブラティブ光分解性重合体。
(9)単量体単位が、メタアクリル酸メチルであり、光吸収剤が4−[(2−ヒドロキシエチル)エチルアミノ]−4'−(トリフルオロメチルスルフォニル)トランであることを特徴とする上記(1)に記載のアブラティブ光分解性重合体。
(10)光吸収剤が第三アミン官能基を有し、前記アクリル重合体にイオン結合していることを特徴とする上記(1)に記載のアブラティブ光分解性重合体。
(11)(a)重合体に共有結合またはイオン結合した光吸収剤を有する重合体からなるアブラティブ除去可能な重合体で基板をコーティングし、(b)重合体コーティングをアブラティブ光分解して、所望のパターンを形成する工程からなる、有機基板上に金属パターンを形成する方法。
(12)アブラティブ除去可能な重合体が、アクリル酸及びその誘導体が重合した単位からなり、光吸収剤が重合体に共有結合していることを特徴とする、上記(11)に記載の方法。
(13)重合体がポリメチルメタクリレートであり、光吸収剤が重合体に共有結合していることを特徴とする、上記(11)に記載の方法。
(14)アブラティブ光分解が、エキシマ・レーザにより行われることを特徴とする、上記(11)に記載の方法。
(15)前記エキシマ・レーザの波長が308nmであり、そのフルーエンスが200mJ/cm2であることを特徴とする、上記(14)に記載の方法。
(16)化合物4−[(2−ヒドロキシエチル)エチルアミノ]−4'−(トリフルオロメチルスルフォニル)トラン。
(17)a.まず(2−ヒドロキシエチル)エチルアニリンを生成し、b.(2−ヒドロキシエチル)エチルアニリンをヨウ素化して、4−[(2−ヒドロキシエチル)エチルアミノ]ヨードベンゼンを生成し、c.4−[(2−ヒドロキシエチル)エチルアミノ]ヨードベンゼンにトリメチルシリル基を付加して、4−[(2−トリメチルシロキシエチル)エチルアミノ]ヨードベンゼンを生成し、d.4−[(2−トリメチルシロキシエチル)エチルアミノ]ヨードベンゼンのヨード基をトリメチルシリルエチニル基で置換して、4−[(2−トリメチルシロキシエチル)エチルアミノ]トリメチルシリルエチニルベンゼンを生成し、e.4−[(2−トリメチルシロキシエチル)エチルアミノ]トリメチルシリルエチニルベンゼンのトリメチルシリル基を除去して4−[(2−ヒドロキシエチル)エチルアミノ]エチニルベンゼンを生成し、f.4−[(2−ヒドロキシエチル)エチルアミノ]エチニルベンゼンに4−トリフルオロメチルスルフォニルベンゼンを付加して、4−[(2−ヒドロキシエチル)エチルアミノ]−4'−(トリフルオロメチルスルフォニル)トランを生成する工程からなる、4−[(2−ヒドロキシエチル)エチルアミノ]−4'−(トリフルオロメチルスルフォニル)トランの製法。
(18)上記(1)に記載のアブラティブ光分解性組成物でコーティングした基板。
【図面の簡単な説明】
【図1】DR1−PMMAがレーザによりアブレーションした、回路形成パターンと、メタライズしたセラミック・ウェーハの、7mm×7mmの部分を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】(a)重合体に結合した光吸収剤を有する重合体からなるアブラティブ除去可能な重合体で基板をコーティングし、(b)前記重合体コーティングをアブラティブ光分解して、所望のパターンを形成する工程を含む、基板上にパターンを形成する方法。
【請求項2】前記アブラティブ除去可能な重合体は、アクリル酸及びその誘導体からなるグループから選択された単量体単位が重合したアクリル重合体からなり、前記光吸収剤が前記単量体単位に共有結合またはイオン結合していることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】前記光吸収剤が、4[(2−ヒドロキシエチル)エチルアミノ]−4'−(ニトロフェニル)アゾベンゼン、ピレン、クマリン、4[(2−ヒドロキシエチル)エチルアミノ]−4'−(トリフルオロメチルスルフォニル)トラン、7−ヒドロキシ−4−メチル−2H−1−ベンゾピレン−2−オン、または第三アミン官能基を有し、前記アクリル重合体の酸性水素と第四アンモニウム塩を生成する光吸収剤、及びこれらの誘導体からなるグループから選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】前記アブラティブ光分解は、紫外線の波長でアブレーションすることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】アブラティブ光分解が、エキシマ・レーザにより行われ、そのフルーエンスが0.1J/cm2以上であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】基板と、前記基板上に設けられた回路と、前記基板上のアブラティブ光分解性重合体パターンとを含む、回路基板において、前記アブラティブ光分解性重合体パターンは、重合体に結合した光吸収剤を有する重合体からなり、アブラティブ光分解によって形成されることを特徴とする、回路基板。
【請求項7】前記重合体は、アクリル酸及びその誘導体からなるグループから選択された単量体単位が重合したアクリル重合体であり、前記光吸収剤は、4[(2−ヒドロキシエチル)エチルアミノ]−4'−(ニトロフェニル)アゾベンゼン、ピレン、クマリン、4[(2−ヒドロキシエチル)エチルアミノ]−4'−(トリフルオロメチルスルフォニル)トラン、7−ヒドロキシ−4−メチル−2H−1−ベンゾピレン−2−オン、または第三アミン官能基を有し、前記アクリル重合体の酸性水素と第四アンモニウム塩を生成する光吸収剤、及びこれらの誘導体からなるグループから選択される、請求項6に記載の回路基板。

【図1】
image rotate


【特許番号】特許第3197819号(P3197819)
【登録日】平成13年6月8日(2001.6.8)
【発行日】平成13年8月13日(2001.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−135152
【出願日】平成8年5月29日(1996.5.29)
【公開番号】特開平8−333424
【公開日】平成8年12月17日(1996.12.17)
【審査請求日】平成10年8月14日(1998.8.14)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレ−ション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【参考文献】
【文献】特開 平2−3407(JP,A)
【文献】Proc.SPIE−Int.Soc.Opt.Eng(1993),1775(Nonliner Optical Properties of Organic Materials V),p369−378