アミノアルコール及び水性系のための殺生物剤組成物
殺生物組成物及び水性媒体、例えば金属加工流体などの中でのそれらの使用、殺生剤を含む組成物;ならびに殺生物性でない式(I)の第一級アミノアルコール化合物;
(式中、R1、R2、R3、R4、及びR5は、本明細書に定義される通りである)。
(式中、R1、R2、R3、R4、及びR5は、本明細書に定義される通りである)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2007年1月12日出願の米国特許仮出願第60/880,333号、及び2007年2月5日出願の米国特許仮出願第60/899,450号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、水性系、例えば金属加工流体などで用いる殺生物組成物、使用法、及び新規なアミノアルコール化合物に関する。
【背景技術】
【0003】
短鎖アミノアルコールは、それらの耐蝕性、中和及びpH調節及び維持特性のために、幅広い種類の用途において商業的に使用されている。かかる用途の一つは金属加工流体におけるものである。
【0004】
金属加工流体(「MWF」)は、それらの冷却剤特性、滑沢剤特性、及び耐蝕性のために、運転中、例えば金属切断、粉砕、ボーリング、掘削、及び旋削などの間、製造業全体にわたって用いられている。これらの流体は、油、洗浄剤、界面活性剤、滑沢剤、防蝕剤、水及びその他の成分の混合物からなり、通常、アルカリ性pHを維持し、MWF中の酸機能性成分を中和するために、アミノアルコールを含む。
【0005】
水混和性MWFを製造及び使用している企業は、運用コスト及び廃棄物処理コストならびに製造時間のロスを最小限にするために、水混和性MWFが長持ちすることを望んでいる。アミノアルコールを腐蝕抑制剤として含有する水混和性MWFは、微生物分解などのプロセスにより経時的に劣化する。微生物は流体中の有効成分を餌とするので、微生物増殖は流体の性能に直接関係する場合が多い。
【0006】
微生物増殖を促進せず、長期間にわたって性能を維持する、アミノアルコール成分に対する産業上の必要性が存在する。それら自体は殺生物性ではないが、水性MWFで使用される広い範囲の殺生物剤の性能を強化するアミノアルコールに対する必要性も存在する。第二級アミンが常用されているが、世界の特定の地域では第二級アミンの使用に関して法令による制限があるために、上記の目的を果たす第一級アミンが望ましいであろう。
【0007】
本発明は上記の必要性に対応する。
【発明の概要】
【0008】
一態様では、本発明は殺生物組成物を提供する。この組成物は、殺生剤及び殺生物性でない第一級アミノアルコール化合物を含み、該第一級アミノアルコール化合物は、式(I)の化合物である:
【化1】
(式中、R1、R2、R3、R4、及びR5は、下に定義されるとおりである)。
【0009】
もう一つの態様では、本発明は、水性系(すなわち微生物増殖を促進するために十分な水を含有する系)、例えば、本明細書に開示される殺生物組成物を含む金属加工流体を提供する。
【0010】
もう一つの態様では、本発明は、水性系で微生物の増殖を阻害する方法であって、本明細書に記載されるように当該系に有効量の組成物を添加することを含む、上記方法を提供する。
【0011】
さらなる態様において、本発明は、新規なアミノアルコール化合物及びそれらの塩を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】殺生物剤を含まない8%アミノアルコール系流体の細菌の増殖データを示すグラフである。
【図2】殺生物剤を含まない8%アミノアルコール系流体の真菌の増殖データを示すグラフである。
【図3】トリアジン殺生物剤を含有する8%アミノアルコール系流体の細菌の増殖データを示すグラフである。
【図4】トリアジン殺生物剤を含有する8%アミノアルコール系流体の真菌の増殖データを示すグラフである。
【図5】ベンズイソチアゾリノン殺生物剤を含有する8%アミノアルコール系流体の細菌の増殖データを示すグラフである。
【図6】ベンズイソチアゾリノン殺生物剤を含有する8%アミノアルコール系流体の真菌の増殖データを示すグラフである。
【図7】トリアジン殺生物剤を含有する8%アミノアルコール系流体のマイコバクテリアの増殖データを示すグラフである。
【図8】トリアジン殺生物剤を含有する4%アミノアルコール系流体の細菌の増殖データを示すグラフである。
【図9】トリアジン殺生物剤を含有する4%アミノアルコール系流体の真菌の増殖データを示すグラフである。
【図10】従来の2種類のアミノアルコールと比較した、本発明のアミノアルコールでの、BIOBAN P−1487(4−(2−ニトロブチル)−モルホリンと4,4'−(2−エチル−2−ニトロトリメチレン)ジモルホリンの組合せ)の細菌に対する性能向上を比較するグラフである。
【図11】従来の2種類のアミノアルコールと比較した、本発明のアミノアルコールでの、BIOBAN P−1487(4−(2−ニトロブチル)−モルホリンと4,4'−(2−エチル−2−ニトロトリメチレン)ジモルホリンの組合せ)の真菌に対する性能向上を比較するグラフである。
【図12】従来の2種類のアミノアルコールと比較した、本発明のアミノアルコールでの、トリアジン/IPBC殺生物剤ブレンドの細菌に対する性能向上を比較するグラフである。
【図13】従来の2種類のアミノアルコールと比較した、本発明のアミノアルコールでの、トリアジン/IPBC殺生物剤ブレンドの真菌に対する性能向上を比較するグラフである。
【図14】従来の2種類のアミノアルコールと比較した、本発明のアミノアルコールでの、ベンズイソチアゾリノン(BIT)の細菌に対する性能向上を比較するグラフである。
【図15】従来の2種類のアミノアルコールと比較した、本発明のアミノアルコールでの、ベンズイソチアゾリノン(BIT)の真菌に対する性能向上を比較するグラフである。
【図16】従来の2種類のアミノアルコールと比較した、本発明のアミノアルコールでの、クロロメチルイソチアゾリノン/メチルイソチアゾリノン(CMIT/MIT)ブレンドの細菌に対する性能向上を比較するグラフである。
【図17】従来のアミノアルコールと比較した、本発明のアミノアルコールでの、クロロメチルイソチアゾリノン/メチルイソチアゾリノン(CMIT/MIT)の真菌に対する性能向上を比較するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明者らは、少なくとも6個、好ましくは12個までの炭素原子を含有する第一級アミノアルコールが、それら自体は殺生物性ではないが、驚くことに、様々な媒体で用いられる殺生物剤の性能を向上させることを見出した。上記のように、本発明の一態様は殺生物組成物の提供である。殺生物組成物は、殺生剤と、殺生物性でない式(I)の第一級アミノアルコール化合物を含む。
【0014】
殺生剤(本明細書において「殺生物剤」又は「防腐剤」とも称される)は、微生物、例えば細菌、カビ、粘液、真菌、藻などを死滅させるか又はそれらの増殖を阻害するあらゆる物質であり、それにはホルムアルデヒド系及び非ホルムアルデヒド系殺生剤が含まれる。適した薬剤の具体的な、限定されない例としては、トリアジン類、例えば1,3,5−トリス−(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン及びトリメチル−1,3,5−トリアジン−1,3,5−トリエタノールなど、一例はTroy CorporationによるGROTAN、ヨードプロピニルブチルカルバメート、例えばTroy Corporationにより提供されるPOLYPHASEなど、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、例えばThe Dow Chemical Companyにより販売されるBIOBAN BIT、4,4−ジメチルオキサゾリジン、一例はThe Dow Chemical Company製のBIOBAN CS−1135、7−エチルビシクロオキサゾリジン(The Dow Chemical Co.によりBIOBAN CS−1246として販売されている)、4−(2−ニトロブチル)−モルホリンと4,4'−(2−エチル−2−ニトロトリメチレン)ジモルホリンの組合せ(The Dow Chemical Co.によりBIOBAN P−1487として販売されている)、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの組合せ、例えばRohm&Haas Corporationにより提供されるKATHONという商標のものなど、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、オクチルイソチアゾリノン、ジクロロ−オクチルイソチアゾリノン、ジブロモ−オクチルイソチアゾリノン、フェノール類、例えば、o−フェニルフェノール及びp−クロロ−m−クレゾールなど、ならびにそれらの対応するナトリウム塩及び/又はカリウム塩、ナトリウムピリチオン、亜鉛ピリチオン、n−ブチルベンズイソチアゾリノン、1−(3−クロロアリル)−3,5,7−トリアザ−1−アゾニアアダマンタンクロライド、クロロタロニル、カルベンダジム、ジヨードメチルトリルスルホン、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド(DBNPA)、グルタルアルデヒド、N,N’−メチレン−ビス−モルホリン、エチレンジオキシメタノール(例えばTroyshield B7)、フェノキシエタノール、(例えば、Comtram 121)、テトラメチロールアセチレンジウレア(例えばProtectol TD)、ジチオカルバミン酸、2,6−ジメチル−m−ジオキサン−4−オールアセテート(例えばBioban DXN)、ジメチロール−ジメチル−ヒダントイン、トリス(ヒドロキシメチル)ニトロメタン、二環式オキサゾリジン(例えばNuospet95)、ならびにそれらの2又はそれ以上の混合物が挙げられる。本発明では、非ホルムアルデヒド剤が、先進国において工業的に選好されるために好ましいが、本発明の利点の一つは、本発明が幅広い種類の殺生物剤に適用可能であることである。
【0015】
特に好ましい殺生物剤は、トリアジン、置換オキサゾリジン、ベンズイソチアゾリノン、ヨードプロピニルブチルカルバメート、ナトリウムピリチオン、オクチルイソチアゾリノン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの組合せ、フェノール類、グルタルアルデヒド、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド(DBNPA)、1−(3−クロロアリル)−3,5,7−トリアザ−1−アゾニアアダマンタンクロライド、N,N’−メチレン−ビス−モルホリン、ならびにそれらの2又はそれ以上の混合物である。
【0016】
第一級アミノアルコール化合物は、式(I):
【化2】
(式中、
R1及びR3は、各々独立に、H、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル、アルケニル、アルキニル基、シクロアルキル、又はアリール(好ましくは、フェニル)であるか、あるいは、R1、R3及びそれらと結合している炭素はシクロアルキル環を形成し、
R2及びR4は、各々独立に、H又はアルキルであり、但し、R2及びR4はともに2又はそれ以下の炭素原子を含み;かつ
R5は存在しないか、又はC1−C10脂肪族アルキレン(架橋アルキル)、アリーレン(好ましくは、フェニル)、−アリーレン−アルキレン−、又は−アルキレン−アリーレン−(例えば、ベンジル、フェネチルなど)であり;
ここで、アルキル、シクロアルキル、アルキレン、アリール、及びアリーレンは、アルキル又はフェニルで置換されていてもよく、かつ、式(I)の化合物は、少なくとも6個の炭素原子、好ましくは12個以下の炭素原子を含む)の化合物である。
【0017】
式(I)の一部の好ましい実施形態では、R1は、C1−C6アルキル、より好ましくは直鎖もしくは分枝鎖プロピル、ブチル、ペンチル、又はヘキシル、さらに特に好ましくはn−ブチルである。
【0018】
式(I)の一部のさらなる好ましい実施形態では、R2はメチルである。その他の好ましい実施形態では、R2はエチルである。一層さらに好ましい実施形態では、R2はHである。
【0019】
さらに好ましい実施形態では、R3は水素であり、R4も水素である。
【0020】
また好ましくは、R5は存在しないか(すなわち、結合である)又は、メチレンもしくはエチレン架橋である。
【0021】
さらに好ましい式Iのアミノアルコールとしては、式(II)の化合物が挙げられる:
【化3】
(式中、
R1は、C2−C6アルキルであり;かつ
R2及びR4は、各々独立に、H又はC1−C2アルキルであり、R2及びR4はともに2又はそれ以下の炭素原子を含み、かつ、該化合物は少なくとも6個の炭素原子を含む)。
【0022】
本発明における使用に特に好ましい第一級アミノアルコールとしては、2−アミノ−3−ヘキサノール、2−アミノ−2−メチル−3−ヘキサノール、3−アミノ−4−オクタノール、2−アミノ−2−メチル−3−ヘプタノール、2−アミノ−4−エチル−3−オクタノール、2−アミノ−3−ヘプタノール、2−アミノ−1−フェニルブタノール、及びそれらの混合物が挙げられる。特に好ましいものは3−アミノ−4−オクタノールである。
【0023】
アミノアルコールは酸塩の形態で使用されてもよい。適した塩としては、限定されるものではないが、ホウ酸、乳酸、ペラルゴン酸、ノナン酸、ネオデカン酸、セバシン酸、アゼライン酸、クエン酸、安息香酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、トール油脂肪酸、エチレンジアミンテトラ酢酸などの物質が挙げられる。
【0024】
殺生物組成物にはさらなる添加剤が含まれてよく、それには、例として、その他の腐蝕抑制剤、例えば2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、2−アミノ−1−エタノール(MEA)、1−アミノ−2−プロパノール(MIPA)、ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミン(DIPA)、トリス(2−ヒドロキシプロピル)アミン(TIPA)、ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン(DEA)、トリス(2−ヒドロキシエチル)アミン(TEA)、2−(2−アミノエトキシ)エタノール(DGA)、又はそれらの混合物が含まれる。これらのさらなる添加剤の中であまり好ましくないものは、第二級アミンである、なぜなら世界の様々な地域で一層厳しく規制されているためである。
【0025】
上記のように、アミノアルコールは殺生物性でない、すなわちそれらは殺生物性の増殖を有意に阻害しない。つまり、典型的な使用レベル(例えば、希釈したMWF中4000ppmまで)で、これらの物質は、この目的のために意図される認識された殺生剤の程度まで微生物増殖を阻害しない。これは、保護されていない流体中の本発明の化合物の1つ(3A4O)のデータ(図1)を、同じ流体中で認識された殺生剤(トリアジン)と組み合わせた、本発明のものでないアミノアルコール(AMP)のデータ(図3)と比較すると明白である。
【0026】
アミノアルコール化合物は当業者により当技術分野で周知の技法を用いて容易に調製することができる。例えば、かかる化合物は、ニトロアルカンと芳香族アルデヒドもしくはケトンの反応、又はより好ましくは、脂肪族アルデヒドとの反応、それに続いて接触水素化により調製することができる。
【0027】
本発明の組成物は、アミノアルコール化合物及び殺生物剤を様々な重量比で含み、それは、例として使用される特定の殺生物剤、及び特定の水性媒体によって決まる。この比は当業者が容易に決定することができる。一般的な一つの例として、アミノアルコールの殺生物剤に対する重量比は、一般に、約0.25:1又はそれ以上、好ましくは約500:1又はそれ以下である。さらなる好ましい量は下に記載される。
【0028】
本明細書に記載されるアミノアルコールの一部は新しい。従って、本発明のさらなる態様は、新規なアミノアルコール化合物及びそれらの塩の提供である。新規な化合物は、2−アミノ−2−メチル−3−ヘプタノール、及び2−アミノ−4−エチル−3−オクタノールである。
【0029】
上記のように、本発明の殺生物剤を含有する組成物は、水性系において微生物の増殖を阻害するために有用である。本発明の組成物が特に適する好ましい系は、金属加工流体(MWF)である。組成物は、可溶性油、合成、半合成、非合成、エマルジョン形成、及び非エマルジョン形成流体を含む、全ての種類のMWFとともに使用することができる。一般に、MWFは、濃縮形態で提供され、使用前に水で希釈される。本発明は、殺生物組成物を含有する金属加工流体濃縮物、その希釈された金属加工流体、水で予め希釈した金属加工流体濃縮物、ならびに殺生物組成物が添加されている非濃縮物金属加工流体を包含する。一般に、1重量部のMWF濃縮物は、約10から約100部の水、より好ましくは10から50部の水、さらに最も好ましくは、15から30部の水で希釈される。
【0030】
本発明の殺生物組成物を含有する金属加工流体及び濃縮物は、炭化水素油を含んでよく、炭化水素油は合成又は非合成であってもよい。慣用される合成及び非合成油の例としては、例えば、鉱油、植物油、動物由来の油、及び合成ポリマー/共重合体が挙げられる。かかる油の具体例としては、限定されるものではないが、厳密に水素処理されたナフテン油及びパラフィン油、ダイズ油及びポリグリコールブロック共重合体が挙げられる。
【0031】
金属加工流体(合成であろうと非合成であろうと)に含むことのできる当技術分野で周知の任意のその他の添加剤としては、例えば、着色剤;粘度調整剤;乳化剤(一般に、合成MWFにはそれらは非エマルジョン系であるので必要とされない);バッファー;可溶化剤;抗酸化剤;消泡剤;界面活性剤及び霧化防止剤及び極圧添加剤が挙げられる。金属加工流体は、通常、腐蝕を阻害するための薬剤、例えば、有機酸のアルカリ及びアミノアルコール塩(本発明の組成物に加えて)、スルホン酸塩、アミン、アミド、及び有機ホウ酸塩化合物などを含む。
【0032】
より具体的な例として、可溶性油及び半合成として一般に公知のエマルジョン形成金属加工流体濃縮物は、次の種類の成分を典型的に含む:低粘度炭化水素油及び合成滑沢剤、例えばポリアルキレングリコールなど;乳化剤、例えば低分子量石油スルホン酸ナトリウム、アルカノールアミド、アミン−脂肪酸塩、及び非イオン性界面活性剤、例えばノニルフェノールエトキシレートなど;腐蝕抑制剤、例えば、中〜高分子量石油スルホン酸ナトリウム、アルカノールアミド、ならびに様々な有機及び無機酸(ノナン酸、ネオデカン酸、セバシン酸、オレイン酸、トール油、ホウ酸及びその他の多数の酸を含む)のアミノアルコール塩など;カップリング剤(グリコールエーテル及び高級アルコール及びグリコールを含む)。各々のクラスの例としては、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ヘキサノール及びヘキシレングリコール;ならびに潤滑剤及び極圧剤(脂肪酸エステル、リン酸エステル、塩素化脂肪酸及び硫化脂肪酸を含む)が挙げられる。
【0033】
さらなる例として、合成又は溶液合成流体として一般に公知の非エマルジョン形成金属加工流体濃縮物は、一般に次のものを含む:潤滑剤及び極圧剤、例えば、逆溶解性エステル、リン酸エステル、塩素化脂肪酸及びポリアルキレングリコールなど;有機及び無機酸(ペラルゴン酸、ネオデカン酸、アゼライン酸、ドデカン酸、ドデカン二酸、ホウ酸、乳酸及びその他の多数の酸を含む)のアミン塩。これらの物質は腐蝕抑制剤である。
【0034】
MWF濃縮物中の(すなわち希釈より前の)ニートアミノアルコール化合物の濃度は、好ましくは少なくとも約1重量%、より好ましくは少なくとも約2%、さらにより好ましくは少なくとも約3%である。また好ましくは、この濃度は約20%以下、より好ましくは約12%以下、さらにより好ましくは約8%以下である。その他の実施形態では、この濃度は約1から20%、より好ましくは約2から12%、最も好ましくは約3から8%の範囲内である。
【0035】
MWF濃縮物中の殺生物剤に好ましい活性濃度範囲は、用いられる殺生物剤によって変動するが、当業者が容易に決定してもよい。例として、濃度は好ましくは少なくとも約0.01重量%であって約5重量%以下である。
【0036】
具体的な殺生物剤の例として、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジンは、0.76から3重量%の活性範囲で好ましく用いられ、最も好ましい範囲は1.1から3%であり、ヨードプロピニルブチルカルバメートは、0.2から0.6%の範囲で用いられ、最も好ましい範囲は0.3から0.6%であり、1,2−ベンゾイソチアゾリノンは、0.08から0.36%の範囲で用いられ、最も好ましい範囲は0.16から0.36%であり、4,4−ジメチルオキサゾリジンは、0.78から3.1%の範囲で用いられ、最も好ましい範囲は1.2から3.1%であり、7−エチルビシクロオキサゾリジンは、1から4%の範囲で用いられ、最も好ましい範囲は1.5から4%であり、4−(2−ニトロブチル)−モルホリンと4,4'−(2−エチル−2−ニトロトリメチレン)ジモルホリンの組合せは、1から4%の範囲で用いられ、最も好ましい範囲は1.5から3%であり、かつ、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの組合せは、0.01%から0.08%の範囲で用いられ、最も好ましい範囲は0.05%から0.08%である。
【0037】
最終の希釈されたMWFにおいて、ニートアミノアルコールの使用範囲は、好ましくは約0.05%から1.0%の間であり、好ましい範囲は0.1%から0.6%、最も好ましい範囲は0.15%から0.4%である。殺生物剤は、好ましくは(希釈時の活性ベースで)、0.04%から0.3%の1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン(好ましい範囲は0.06%から0.15%)、0.01%から0.04%のヨードプロピニルブチルカルバメート(好ましい範囲は0.015%から0.03%)、0.004%から0.03%の1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(好ましい範囲は0.008%から0.02%)、0.04%から0.3%の4,4−ジメチルオキサゾリジン(好ましい範囲は0.06%から0.2%)、0.05%から0.3%の7−エチルビシクロオキサゾリジン(好ましい範囲は0.075%から0.2%)、4−(2−ニトロブチル)−モルホリンと4,4'−(2−エチル−2−ニトロトリメチレン)ジモルホリンの組合せの0.05%から0.3%(好ましい範囲は0.075%から0.2%)、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの組合せの0.002%から0.005%(好ましい範囲は0.0025%から0.004%)の範囲で用いられる。
【0038】
金属加工流体は本発明の殺生物組成物の使用される好ましい系ではあるが、該組成物は、水を含むか又は水で希釈されることが意図される幅広い種類のその他の系でも有用である。例として、該組成物は、水性エマルジョン、例えば、ラテックス、水性塗料及びコーティング、コーキング材及び接着剤、テープ目地材(tape joint compound)、無機スラリー、水冷システム、パーソナルケア製品、石けん及び洗浄剤、殺菌剤、クリーナー、及びサニタイザー、農薬製品、油田水及び油田用途で用いられる水系流体(掘削泥、破砕流体、及びハイドロテスト(hydrotest)流体を含む)などの中で使用されてもよい。
【0039】
本明細書で用いられる「アルキル」は、1から8個の炭素原子、より好ましくは1から6個の炭素原子を有する直鎖及び分枝鎖脂肪族基を包含する。好ましいアルキル基としては、限定されるものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、及びヘキシルが挙げられる。
【0040】
本明細書において用語「アルケニル」とは、2から8個の炭素原子、好ましくは2から6個の炭素原子を有する、1又はそれ以上の炭素−炭素二重結合をもつ直鎖又は分枝鎖の不飽和脂肪族基を意味する。好ましいアルケニル基としては、限定されるものではないが、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、及びヘキセニルが挙げられる。
【0041】
本明細書において用語「アルキニル」とは、2から8個の炭素原子、好ましくは2から6個の炭素原子を有する、1又はそれ以上の炭素−炭素三重結合をもつ直鎖又は分枝鎖の不飽和脂肪族基を意味する。好ましいアルキニル基としては、限定されるものではないが、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、及びヘキシニルが挙げられる。
【0042】
「アルキレン」基は、本明細書の上文で定義されるように、他の2つの化学基の間に位置し、他の2つの化学基を結び付ける働きをするアルキルである。好ましいアルキレン基としては、限定されるものではないが、メチレン、エチレン、プロピレン、及びブチレンが挙げられる。
【0043】
本明細書において用いられる用語「シクロアルキル」には、3から12個の炭素、好ましくは3から8個の炭素、より好ましくは3から7個の炭素を有する、飽和及び部分的に不飽和の環状炭化水素基が含まれる。好ましいシクロアルキル基としては、限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられる。
【0044】
「アリール」基は、1から3つの芳香環を含むC6−C12芳香族部分である。好ましくは、アリール基は、C6−C10アリール基である。好ましいアリール基としては、限定されるものではないが、フェニル、ナフチル、アントラセニル、及びフルオレニルが挙げられる。より好ましいものはフェニルである。
【0045】
アルキル、シクロアルキル、及びアリール(ならびにそれらの架橋誘導体アルキレン、シクロアルキレン、及びアリーレン)は、1又はそれ以上のその他のアルキル(例えば、メチル、エチル、ブチル)、フェニル、又はその両方で置換されていてもよい。置換される場合、置換基中の炭素の数は、化合物の6から12個の炭素に数え入れられる。
【0046】
本発明の限定されない実施例が以下に提供される。
【実施例】
【0047】
実施例A:3−アミノ−4−オクタノールアルカノールアミンの調製及び評価
1−ニトロプロパン及びバレルアルデヒドからの3−ニトロ−4−オクタノールの調製。3−ニトロ−4−オクタノールの試料を、1−ニトロプロパン(1−NP、300g、3.37モル)を、熱電対、マグネチックスターラー、500ml添加漏斗、窒素注入口、及びガラス栓を装備した1リットルの三口丸底フラスコ(RBF、24/40、29/42、24/40)へ添加することにより合成した。この淡黄色の液体を、メタノール(MeOH、150g)を添加することにより希釈し、その結果吸熱がもたらされた。腐食性触媒を添加した(16gの10%水溶液及び0.60gの50%腐食性水溶液、合計1.9g、1.4モル%)。これにより反応物の色がオレンジ色に変化し、わずかな発熱がもたらされた。バレルアルデヒド(258g、3.00モル、0.89当量)を添加漏斗に装填し、1−NPに3時間かけてゆっくり添加した。反応熱は40から45℃の温度まで上昇した。バレルアルデヒドの添加が完了するとすぐにRBFの内容物を1リットルのガラス瓶に移し、窒素でパージし、周囲温度で保存した。反応の進行をガスクロマトグラフィーによりモニターした。2週間後、変換は84面積%に達し、10%塩酸水溶液(19ml)の添加により反応を停止させた。結果として生じるpH1の溶液を真空濃縮し(50℃/完全真空/0.5時間)、溶媒及び残りの試薬を除去した。結果として生じるオリーブグリーン色の溶液(491g、修正純度(corrected purity)95面積%、収率89%)を濾過し(0.5ミクロン)、窒素でパージし、必要になるまで冷蔵庫の中で保存した。
【0048】
3−ニトロ−4−オクタノールの3−アミノ−4−オクタノールアルカノールアミンへの接触水素化。3−アミノ−4−オクタノール(3A4O)の試料を、Parrオートクレーブユニットによる3−ニトロ−4−オクタノールの還元により合成した。ステンレス鋼、2リットルのオートクレーブに、Grace 3201 ラネーニッケル(RaNi、湿重量90g、乾重量45g、10重量%)及びメタノール(MeOH、300g)を詰めた。オートクレーブを密封し、組み立て、窒素で、次いで水素でパージし、水素(600psig)で加圧し、600RPMで攪拌し、そして40℃まで温めた。ニトロアルコール(491g)を無水エタノール(EtOH、150g)で希釈し、オートクレーブにポンプ注入した(4ml/分)。3.5時間後に添加が完了し、4時間後、反応は、水素取込みが観察されないので完全であると判断された。オートクレーブを冷却し、攪拌を停止し、排出し、窒素でパージした。オートクレーブを分解し、内容物を真空濾過してRaNi触媒を取り除いた。この結果、淡黄色の液体が単離され(92面積%)、それを真空濃縮(55℃/完全真空)してから、生成物をオーバーヘッドに取った(57から62℃/完全真空)。この結果、透明な無色の半固体(344g、95.3面積%、全収率75%)が単離され、それはいくらかのオキサゾリジン(2.2面積%)及びいくらかの第二級アミン(0.5面積%)を含んだ。
【0049】
この化合物は、8重量%で表1に記載される一般的な半合成金属加工流体濃縮物に処方された。従来のアミノアルコール化合物を3A4Oの代わりに用いることを除いて同一の処方物が調製された。この従来のアミノアルコールは、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)及びn−ブチルエタノールアミン(BEA)であった。1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン防腐剤の77%水溶液の1.5%を含む、同一のセットの流体濃縮物を調製することにより、本発明者らが防腐剤を含む流体と含まない流体を評価することが可能となった。流体濃縮物を、20部のシカゴ水道水に対して1部の流体濃縮物(重量による)の割合で希釈した;従って希釈時の活性アミノアルコール濃度はおよそ0.4%であり、(保護されたセット中の)活性防腐剤量はおよそ0.058%であった。これらの流体を、ASTM Practice E 2275−03による微生物暴露試験に供した。この方法では、流体は最初に、次に週に一度、腐敗した金属加工流体から単離された混合細菌/真菌接種剤で播種される。細菌数及び真菌数は、週に一度連続希釈プレートカウント法を用いて測定され、1ミリリットルあたりのコロニー形成単位として報告される(CFU/mL)。CFU/mLが小さいほど、微生物防除が良好であり、かつ、予測される流体の耐用年数が長い。微生物の結果は、図1及び2(保護されていない)ならびに図3及び4(トリアジンで保護)に記載される。保護されていない流体は、予期された挙動を示し、微生物の順化に起因して最初のカウントがわずかに低下した後、急速に増加した。保護された流体は、最初に予期されたカウントの低下を示すが、3A4Oを含む流体は、試験の全経過にわたって思いもよらない成長率の低下を示す。これは真菌の場合に特に有意義である、それは、トリアジン防腐剤は用いた投与量で真菌に対して効果的でないためである。
【表1】
【0050】
実施例B:2−アミノ−3−ヘプタノールアルカノールアミンの調製及び評価。
ニトロエタン(NE)及びバレルアルデヒドからの2−ニトロ−3−ヘプタノールの調製。上述した同じ方法で、2−ニトロ−3−ヘプタノールの試料を、ニトロエタン(NE、275g、3.67モル)を、熱電対、マグネチックスターラー、500ml添加漏斗、窒素注入口、及びガラス栓を装備した1リットルの三口丸底フラスコ(RBF、24/40、29/42、24/40)へ添加することにより合成した。透明な無色の液体を、95%エタノール(EtOH、160g)を添加することにより希釈し、その結果吸熱がもたらされた。腐食性触媒を添加し(10gの10%水溶液、0.68モル%)、それにより反応物の色が黄色に変化し、わずかな発熱がもたらされた。バレルアルデヒド(258g、3.00モル、0.89当量)を添加漏斗に装填し、4時間かけてNEにゆっくり添加した。反応熱は40から45℃の温度まで上昇した。バレルアルデヒドの添加が完了するとすぐにRBFの内容物を1リットルのガラス瓶に移し、窒素でパージし、夜には周囲温度で、昼には50℃で保存した。反応の進行をガスクロマトグラフィーによりモニターした。6日後、変換は81面積%に達し、10%塩酸水溶液(9ml)の添加により反応を停止させた。結果として生じるpH1の溶液を真空濃縮し(50℃/完全真空/0.5時間)、溶媒及び残りの試薬を除去した。結果として生じる緑色の溶液(494g、修正純度90面積%、収率83%)を濾過し(0.5ミクロン)、窒素でパージし、必要になるまで冷蔵庫の中で保存した。
【0051】
2−ニトロ−3−ヘプタノールの2−アミノ−3−ヘプタノールアルカノールアミンへの接触水素化。2−アミノ−3−ヘプタノール(2A3H)の試料を、Parrオートクレーブユニットによる2−ニトロ−3−ヘプタノールの還元により合成した。ステンレス鋼、2リットルのオートクレーブにGrace 3201 ラネーニッケル(RaNi、湿重量90g、乾重量45g、9重量%)及びメタノール(MeOH、300g)を詰めた。オートクレーブを密封し、組み立て、窒素で、次いで水素でパージし、水素(600psig)で加圧し、600RPMで攪拌し、そして40℃まで温めた。ニトロアルコール(491g)を無水エタノール(EtOH、150g)で希釈し、オートクレーブにポンプ注入した(4ml/分)。3時間後に添加が完了し、3.5時間後、反応は、水素取込みが観察されないので完全であると判断された。オートクレーブを冷却し、攪拌を停止し、排出し、窒素でパージした。オートクレーブを分解し、内容物を真空濾過してRaNi触媒を取り除いた。この結果、黄色の液体が単離され(82面積%)、それを真空濃縮(55℃/完全真空)してから、生成物をオーバーヘッドに取った(40から50℃/完全真空)。この結果、透明な無色の固体が単離され(302g、91.2面積%、全収率64%)それはいくらかのオキサゾリジン(3.4面積%)を含んだ。
【0052】
この物質は、実施例Aに記載されるものと同じ金属加工流体濃縮物に8%の濃度で処方された。同一の流体が、8%の2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)及び8%ジシクロヘキシルアミン(DCHA)を用いて調製された。防腐剤ベンズイソチアゾリノン(Dow Biocides製BIOBAN BIT 20 DPG)を、各々の流体濃縮物に1.2%で加え、流体濃縮物中の活性濃度は0.24%となり、使用のために希釈された流体中では0.012%となった。希釈された流体を、実施例Aに記載されるものと同じ微生物試験プロトコールに供した。その結果は図5及び6に記載される。BITは、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)に対して効果的でないことが知られており、典型的なグラム陰性細菌が金属加工流体中に見出された。これは、AMPを含む処方物中での細菌に対する比較的低い性能から明白である。しかし、流体の寿命を促進することが知られているDCHAはAMPに対して向上した性能を有することが予期された;これは事実とは違い、実際には、正反対のことが真実である。また、2A3Hを含む流体が、他のものよりも細菌の襲撃に対してより耐性を示すはずであることも予想外であるが、有意な利点は特に4から8週の期間に観察される。真菌に関して、2A3Hを含む流体は、AMPを含むものよりも襲撃に抵抗し、DCHAを含む流体の抵抗性に匹敵する。2A3Hでの結果は、保護されていない流体での同様の試験で、それが細菌又は真菌の増殖を有意に阻害しないことが示されるので、予想外である。
【0053】
実施例C:2−アミノ−2−メチル−3−ヘプタノールの調製及び評価
2−ニトロプロパン(2−NP)及びバレルアルデヒドからの2−メチル−2−ニトロ−3−ヘプタノールの調製。上述した同じ方法で、2−メチル−2−ニトロ−3−ヘプタノールの試料を、2−ニトロプロパン(2−NP、300g、3.37モル)を、熱電対、マグネチックスターラー、500ml添加漏斗、窒素注入口、及びガラス栓を装備した1リットルの三口丸底フラスコ(RBF、24/40、29/42、24/40)へ添加することにより合成した。透明な無色の液体を、無水エタノール(EtOH、150g)を添加することにより希釈し、その結果吸熱がもたらされた。腐食性触媒を添加し(16gの10%水溶液及び0.6gの50%水溶液、1.4モル%)、それにより反応物の色が黄色に変化し、わずかな発熱がもたらされた。バレルアルデヒド(258g、3.00モル、0.89当量)を添加漏斗に装填し、3時間かけて2−NPにゆっくり添加した。反応熱は40から45℃の温度まで上昇した。バレルアルデヒドの添加が完了するとすぐにRBFの内容物を1リットルのガラス瓶に移し、窒素でパージし、周囲温度で保存した。反応の進行をガスクロマトグラフィーによりモニターし、3週間後に72%完了に達し、10%塩酸水溶液(16ml)の添加により反応を停止させた。結果として生じる紺青色のpH1の溶液を真空濃縮し(50℃/完全真空/0.5時間)、溶媒及び残りの試薬を除去した。結果として生じる緑色の溶液(422g、修正純度90面積%、収率80%)を無水エタノール(150g)で希釈し、濾過し(0.5ミクロン)、窒素でパージし、必要になるまで冷蔵庫の中で保存した。
【0054】
2−メチル−2−ニトロ−3−ヘプタノールの2−アミノ−2−メチル−3−ヘプタノールへの接触水素化。2−アミノ−2−メチル−3−ヘプタノール(2A2M3H)の試料を、Parrオートクレーブユニットによる2−メチル−2−ニトロ−3−ヘプタノールの還元により合成した。ステンレス鋼、2リットルのオートクレーブに、Grace 3201 ラネーニッケル(RaNi、湿重量90g、乾重量45g、10重量%)及びメタノール(MeOH、300g)を詰めた。オートクレーブを密封し、組み立て、窒素で、次いで水素でパージし、水素で加圧し、600RPMで攪拌し、そして40℃まで温めた。黄色のニトロ−アルコール(422g)を無水エタノール(EtOH、150g)で希釈しておき、オートクレーブにポンプ注入した(4ml/分)。3時間後に添加が完了し、3.5時間後、反応は、水素取込みが観察されないので完全であると判断された。オートクレーブを冷却し、攪拌を停止し、排出し、窒素でパージした。オートクレーブを分解し、内容物を真空濾過してRaNi触媒を取り除いた。この結果、淡黄色の液体(80面積%)が単離され、それを真空濃縮(55℃/完全真空)してから、生成物をオーバーヘッドに取った(50から52℃/完全真空)。この結果、透明な無色の固体が単離され(268g、91.9面積%、全収率57%)、それはいくらかのオキサゾリジンを含んだ(4.9面積%)。
【0055】
この物質は、既に記載される半合成金属加工流体濃縮物に8%の濃度で処方された。既に記載されるトリアジン防腐剤(77%活性)を、1.5%のレベルで添加した。同一の流体を、AMP、3A4O及び2A3Hを用いて調製した。次に、これらの流体を、マイコバクテリウム・イムノゲヌム(mycobacterium immunogenum)の標準的なATTCC株(700505)を用いて流体を播種することを除いて、上述した実施例に記載される同じASTM微生物暴露試験に供した。これは、その親油性の細胞壁構造のために、制御の難しい微生物である可能性があり、最近は過敏性肺炎(HP)として一般に知られている疾病の発症に関与している。上記流体のこの生物に対する耐性を示すデータが図7に見出される。AMPを含む対照流体は、事実上活性が阻害されず、予期された反応をした。しかし、その他の流体は、この生物に対して予想外な耐性を示した。
【0056】
実施例D:使用レベルの調査
本発明のアミノアルコールの使用レベルの影響を理解するため、本発明者らは、既に記載されるものと同様であるが、4%アミノアルコールを用いて2000ppmの使用時希釈度を得る半合成流体濃縮物を調製した;処方物の差は水で埋め合わせをした。この流体濃縮物を、同じレベルの既に記載されるトリアジン−77%で保護した。これらの流体を希釈し、実施例A及びBに記載される同じ細菌/真菌暴露試験に供した;データは図8及び9に見出される。本発明のアミノアルコールを含有する流体は、従来のアミノアルコールAMPを含有する流体よりも、細菌と真菌の両方に対して有意に良好な耐性を示す。
【0057】
実施例E:2−アミノ−4−エチル−3−オクタノールの調製
ニトロエタン及び2−エチルヘキサナールからの2−ニトロ−4−エチル−3−オクタノールの調製。上述した同じ方法で、2−ニトロ−4−エチル−3−オクタノールの試料を、ニトロエタン(NE、200g、2.67モル)を、熱電対、マグネチックスターラー、500ml添加漏斗、窒素注入口、及びガラス栓を装備した1リットルの三口丸底フラスコ(RBF、24/40、29/42、24/40)へ添加することにより合成した。これを無水エタノール(EtOH、150g)を添加することにより希釈し、その結果吸熱がもたらされた。脱イオン水(7.5g)、それに続いて腐食性触媒(8.0mlの10%水溶液)を添加した。反応物の色は暗くなってオレンジ色となり、わずかな発熱が観察された。2−エチルヘキサナール(307g、2.40モル、0.90当量)を添加漏斗に装填し、3.5時間かけてNEにゆっくり添加した。反応熱は30℃の温度まで上昇した。バレルアルデヒドの添加が完了するとすぐにRBFの内容物を1リットルのガラス瓶に移し、窒素でパージし、周囲温度で保存した。反応の進行をガスクロマトグラフィーによりモニターした。2日後には測定される変換は53.2面積%であり、2週間後には55.8面積%であった。次に、10%塩酸水溶液(8ml)の添加により反応を停止させ、pH1の溶液を真空濃縮し(55℃/完全真空/0.5時間)、溶媒及び残りの試薬を除去した。結果として生じる黄色の溶液(362g、純度72面積%、収率74.3%)を濾過し(0.5ミクロン)、窒素でパージし、必要になるまで冷蔵庫の中で保存した。
【0058】
2−ニトロ−4−エチル−3−オクタノールの2−アミノ−4−エチル−3−オクタノールアミノアルコールへの接触水素化。2−アミノ−4−エチル−3−オクタノールの試料を、Parrオートクレーブユニットによる2−ニトロ−4−エチル−3−オクタノールの還元により合成した。ステンレス鋼、2リットルのオートクレーブにGrace 3201 ラネーニッケル(RaNi、湿重量70g、乾重量35g、10重量%)及びメタノール(MeOH、300g)を詰めた。オートクレーブを密封し、組み立て、窒素で、次いで水素でパージし、水素(750psig)で加圧し、600RPMで攪拌し、そして40℃まで温めた。ニトロ−アルコール(362g)をメタノール(MeOH、380ml)で希釈し、オートクレーブにポンプ注入した(5ml/分)。2時間後には添加が完了し、さらに15分後に、反応は、水素取込みが観察されないので完全であると判断された。オートクレーブを冷却し、攪拌を停止し、排出し、窒素でパージした。オートクレーブを分解し、内容物を真空濾過してRaNi触媒を取り除いた。この結果、淡黄色の液体(純度84面積%)が単離され、それを真空濃縮(55℃/完全真空)してから、生成物を真空ジャケット付き18”ビグローカラム(vigreux column)/ヘッドアセンブリーを用いてオーバーヘッドに取った(122℃/15mm)。この結果、生成物が透明な無色の溶液として単離された(182g、96.9面積%、全収率44%)。
【0059】
実施例F.3−アミノ−4−オクタノールのさらなる評価
図10から17は、様々な殺生物剤と併用した、本発明のアミノアルコールである3−アミノ−4−オクタノール(3A4O)と、本発明でないアミノアルコール化合物、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)及びn−ブチルエタノールアミン(BEA)のさらなる比較を提供する。特に、図10及び11、BIOBAN P−1487(4−(2−ニトロブチル)−モルホリンと4,4'−(2−エチル−2−ニトロトリメチレン)ジモルホリンの組合せ)を含むアミノアルコールの、細菌及び真菌有効性比較。この殺生物剤を希釈された流体に添加して750ppmとした。アミン投与量は、希釈時に4000ppmとなるように調節した。図12及び13は、トリアジン/IPBC殺生物剤ブレンドの存在下、アミノアルコールの細菌及び真菌有効性を示す。トリアジン−78%を、希釈された流体に基づいて750ppmで添加し、ヨードプロピニルブチルカルバメート(IPBC)を、希釈時に300ppmの活性で添加した。アミン投与量を、希釈時に3000ppmとなるように調節した。図14及び15は、ベンズイソチアゾリノン(BIT)を含む化合物の細菌及び真菌有効性を示す。BITを、希釈された流体に基づいて120ppmの活性で添加し、ヨードプロピニルブチルカルバメート(IPBC)を、希釈時に300ppmの活性で添加した。アミン投与量を、希釈時に3000ppmとなるように調節した。図16及び17は、クロロメチルイソチアゾリノン/メチルイソチアゾリノン(CMIT/MIT)ブレンドを含むアミノアルコールの細菌及び真菌有効性を示す。このブレンドを、希釈された流体に直接加えて12ppmの活性を得た;用いた生成物は、Dow Biocidesにより提供されるBIOBAN CM14であった。アミン投与量を、希釈時に3000ppmとなるように調節した。
【0060】
データは一般に、その他のアミノアルコールと比較して、本発明の3A4Oでの殺生物剤の有効性のさらなる向上を示す。その上、3A4Oと試験したその他のアミノアルコールとの間の細菌に対する有効性の向上が類似している場合でも、3A4Oは一般に、真菌に対してより大きな向上を示す。従って、3A4Oは一層広範囲の殺生物剤の向上を提供し、その材料を防腐剤促進剤としてさらに一層望ましいものにする。
【0061】
本発明は、様々な具体的かつ好ましい実施形態及び技法に関して説明された。しかし、本発明の精神及び範囲内にとどまる一方で、多くの変形例及び変更例が作成され得ることは当然理解される。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2007年1月12日出願の米国特許仮出願第60/880,333号、及び2007年2月5日出願の米国特許仮出願第60/899,450号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、水性系、例えば金属加工流体などで用いる殺生物組成物、使用法、及び新規なアミノアルコール化合物に関する。
【背景技術】
【0003】
短鎖アミノアルコールは、それらの耐蝕性、中和及びpH調節及び維持特性のために、幅広い種類の用途において商業的に使用されている。かかる用途の一つは金属加工流体におけるものである。
【0004】
金属加工流体(「MWF」)は、それらの冷却剤特性、滑沢剤特性、及び耐蝕性のために、運転中、例えば金属切断、粉砕、ボーリング、掘削、及び旋削などの間、製造業全体にわたって用いられている。これらの流体は、油、洗浄剤、界面活性剤、滑沢剤、防蝕剤、水及びその他の成分の混合物からなり、通常、アルカリ性pHを維持し、MWF中の酸機能性成分を中和するために、アミノアルコールを含む。
【0005】
水混和性MWFを製造及び使用している企業は、運用コスト及び廃棄物処理コストならびに製造時間のロスを最小限にするために、水混和性MWFが長持ちすることを望んでいる。アミノアルコールを腐蝕抑制剤として含有する水混和性MWFは、微生物分解などのプロセスにより経時的に劣化する。微生物は流体中の有効成分を餌とするので、微生物増殖は流体の性能に直接関係する場合が多い。
【0006】
微生物増殖を促進せず、長期間にわたって性能を維持する、アミノアルコール成分に対する産業上の必要性が存在する。それら自体は殺生物性ではないが、水性MWFで使用される広い範囲の殺生物剤の性能を強化するアミノアルコールに対する必要性も存在する。第二級アミンが常用されているが、世界の特定の地域では第二級アミンの使用に関して法令による制限があるために、上記の目的を果たす第一級アミンが望ましいであろう。
【0007】
本発明は上記の必要性に対応する。
【発明の概要】
【0008】
一態様では、本発明は殺生物組成物を提供する。この組成物は、殺生剤及び殺生物性でない第一級アミノアルコール化合物を含み、該第一級アミノアルコール化合物は、式(I)の化合物である:
【化1】
(式中、R1、R2、R3、R4、及びR5は、下に定義されるとおりである)。
【0009】
もう一つの態様では、本発明は、水性系(すなわち微生物増殖を促進するために十分な水を含有する系)、例えば、本明細書に開示される殺生物組成物を含む金属加工流体を提供する。
【0010】
もう一つの態様では、本発明は、水性系で微生物の増殖を阻害する方法であって、本明細書に記載されるように当該系に有効量の組成物を添加することを含む、上記方法を提供する。
【0011】
さらなる態様において、本発明は、新規なアミノアルコール化合物及びそれらの塩を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】殺生物剤を含まない8%アミノアルコール系流体の細菌の増殖データを示すグラフである。
【図2】殺生物剤を含まない8%アミノアルコール系流体の真菌の増殖データを示すグラフである。
【図3】トリアジン殺生物剤を含有する8%アミノアルコール系流体の細菌の増殖データを示すグラフである。
【図4】トリアジン殺生物剤を含有する8%アミノアルコール系流体の真菌の増殖データを示すグラフである。
【図5】ベンズイソチアゾリノン殺生物剤を含有する8%アミノアルコール系流体の細菌の増殖データを示すグラフである。
【図6】ベンズイソチアゾリノン殺生物剤を含有する8%アミノアルコール系流体の真菌の増殖データを示すグラフである。
【図7】トリアジン殺生物剤を含有する8%アミノアルコール系流体のマイコバクテリアの増殖データを示すグラフである。
【図8】トリアジン殺生物剤を含有する4%アミノアルコール系流体の細菌の増殖データを示すグラフである。
【図9】トリアジン殺生物剤を含有する4%アミノアルコール系流体の真菌の増殖データを示すグラフである。
【図10】従来の2種類のアミノアルコールと比較した、本発明のアミノアルコールでの、BIOBAN P−1487(4−(2−ニトロブチル)−モルホリンと4,4'−(2−エチル−2−ニトロトリメチレン)ジモルホリンの組合せ)の細菌に対する性能向上を比較するグラフである。
【図11】従来の2種類のアミノアルコールと比較した、本発明のアミノアルコールでの、BIOBAN P−1487(4−(2−ニトロブチル)−モルホリンと4,4'−(2−エチル−2−ニトロトリメチレン)ジモルホリンの組合せ)の真菌に対する性能向上を比較するグラフである。
【図12】従来の2種類のアミノアルコールと比較した、本発明のアミノアルコールでの、トリアジン/IPBC殺生物剤ブレンドの細菌に対する性能向上を比較するグラフである。
【図13】従来の2種類のアミノアルコールと比較した、本発明のアミノアルコールでの、トリアジン/IPBC殺生物剤ブレンドの真菌に対する性能向上を比較するグラフである。
【図14】従来の2種類のアミノアルコールと比較した、本発明のアミノアルコールでの、ベンズイソチアゾリノン(BIT)の細菌に対する性能向上を比較するグラフである。
【図15】従来の2種類のアミノアルコールと比較した、本発明のアミノアルコールでの、ベンズイソチアゾリノン(BIT)の真菌に対する性能向上を比較するグラフである。
【図16】従来の2種類のアミノアルコールと比較した、本発明のアミノアルコールでの、クロロメチルイソチアゾリノン/メチルイソチアゾリノン(CMIT/MIT)ブレンドの細菌に対する性能向上を比較するグラフである。
【図17】従来のアミノアルコールと比較した、本発明のアミノアルコールでの、クロロメチルイソチアゾリノン/メチルイソチアゾリノン(CMIT/MIT)の真菌に対する性能向上を比較するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明者らは、少なくとも6個、好ましくは12個までの炭素原子を含有する第一級アミノアルコールが、それら自体は殺生物性ではないが、驚くことに、様々な媒体で用いられる殺生物剤の性能を向上させることを見出した。上記のように、本発明の一態様は殺生物組成物の提供である。殺生物組成物は、殺生剤と、殺生物性でない式(I)の第一級アミノアルコール化合物を含む。
【0014】
殺生剤(本明細書において「殺生物剤」又は「防腐剤」とも称される)は、微生物、例えば細菌、カビ、粘液、真菌、藻などを死滅させるか又はそれらの増殖を阻害するあらゆる物質であり、それにはホルムアルデヒド系及び非ホルムアルデヒド系殺生剤が含まれる。適した薬剤の具体的な、限定されない例としては、トリアジン類、例えば1,3,5−トリス−(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン及びトリメチル−1,3,5−トリアジン−1,3,5−トリエタノールなど、一例はTroy CorporationによるGROTAN、ヨードプロピニルブチルカルバメート、例えばTroy Corporationにより提供されるPOLYPHASEなど、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、例えばThe Dow Chemical Companyにより販売されるBIOBAN BIT、4,4−ジメチルオキサゾリジン、一例はThe Dow Chemical Company製のBIOBAN CS−1135、7−エチルビシクロオキサゾリジン(The Dow Chemical Co.によりBIOBAN CS−1246として販売されている)、4−(2−ニトロブチル)−モルホリンと4,4'−(2−エチル−2−ニトロトリメチレン)ジモルホリンの組合せ(The Dow Chemical Co.によりBIOBAN P−1487として販売されている)、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの組合せ、例えばRohm&Haas Corporationにより提供されるKATHONという商標のものなど、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、オクチルイソチアゾリノン、ジクロロ−オクチルイソチアゾリノン、ジブロモ−オクチルイソチアゾリノン、フェノール類、例えば、o−フェニルフェノール及びp−クロロ−m−クレゾールなど、ならびにそれらの対応するナトリウム塩及び/又はカリウム塩、ナトリウムピリチオン、亜鉛ピリチオン、n−ブチルベンズイソチアゾリノン、1−(3−クロロアリル)−3,5,7−トリアザ−1−アゾニアアダマンタンクロライド、クロロタロニル、カルベンダジム、ジヨードメチルトリルスルホン、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド(DBNPA)、グルタルアルデヒド、N,N’−メチレン−ビス−モルホリン、エチレンジオキシメタノール(例えばTroyshield B7)、フェノキシエタノール、(例えば、Comtram 121)、テトラメチロールアセチレンジウレア(例えばProtectol TD)、ジチオカルバミン酸、2,6−ジメチル−m−ジオキサン−4−オールアセテート(例えばBioban DXN)、ジメチロール−ジメチル−ヒダントイン、トリス(ヒドロキシメチル)ニトロメタン、二環式オキサゾリジン(例えばNuospet95)、ならびにそれらの2又はそれ以上の混合物が挙げられる。本発明では、非ホルムアルデヒド剤が、先進国において工業的に選好されるために好ましいが、本発明の利点の一つは、本発明が幅広い種類の殺生物剤に適用可能であることである。
【0015】
特に好ましい殺生物剤は、トリアジン、置換オキサゾリジン、ベンズイソチアゾリノン、ヨードプロピニルブチルカルバメート、ナトリウムピリチオン、オクチルイソチアゾリノン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの組合せ、フェノール類、グルタルアルデヒド、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド(DBNPA)、1−(3−クロロアリル)−3,5,7−トリアザ−1−アゾニアアダマンタンクロライド、N,N’−メチレン−ビス−モルホリン、ならびにそれらの2又はそれ以上の混合物である。
【0016】
第一級アミノアルコール化合物は、式(I):
【化2】
(式中、
R1及びR3は、各々独立に、H、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル、アルケニル、アルキニル基、シクロアルキル、又はアリール(好ましくは、フェニル)であるか、あるいは、R1、R3及びそれらと結合している炭素はシクロアルキル環を形成し、
R2及びR4は、各々独立に、H又はアルキルであり、但し、R2及びR4はともに2又はそれ以下の炭素原子を含み;かつ
R5は存在しないか、又はC1−C10脂肪族アルキレン(架橋アルキル)、アリーレン(好ましくは、フェニル)、−アリーレン−アルキレン−、又は−アルキレン−アリーレン−(例えば、ベンジル、フェネチルなど)であり;
ここで、アルキル、シクロアルキル、アルキレン、アリール、及びアリーレンは、アルキル又はフェニルで置換されていてもよく、かつ、式(I)の化合物は、少なくとも6個の炭素原子、好ましくは12個以下の炭素原子を含む)の化合物である。
【0017】
式(I)の一部の好ましい実施形態では、R1は、C1−C6アルキル、より好ましくは直鎖もしくは分枝鎖プロピル、ブチル、ペンチル、又はヘキシル、さらに特に好ましくはn−ブチルである。
【0018】
式(I)の一部のさらなる好ましい実施形態では、R2はメチルである。その他の好ましい実施形態では、R2はエチルである。一層さらに好ましい実施形態では、R2はHである。
【0019】
さらに好ましい実施形態では、R3は水素であり、R4も水素である。
【0020】
また好ましくは、R5は存在しないか(すなわち、結合である)又は、メチレンもしくはエチレン架橋である。
【0021】
さらに好ましい式Iのアミノアルコールとしては、式(II)の化合物が挙げられる:
【化3】
(式中、
R1は、C2−C6アルキルであり;かつ
R2及びR4は、各々独立に、H又はC1−C2アルキルであり、R2及びR4はともに2又はそれ以下の炭素原子を含み、かつ、該化合物は少なくとも6個の炭素原子を含む)。
【0022】
本発明における使用に特に好ましい第一級アミノアルコールとしては、2−アミノ−3−ヘキサノール、2−アミノ−2−メチル−3−ヘキサノール、3−アミノ−4−オクタノール、2−アミノ−2−メチル−3−ヘプタノール、2−アミノ−4−エチル−3−オクタノール、2−アミノ−3−ヘプタノール、2−アミノ−1−フェニルブタノール、及びそれらの混合物が挙げられる。特に好ましいものは3−アミノ−4−オクタノールである。
【0023】
アミノアルコールは酸塩の形態で使用されてもよい。適した塩としては、限定されるものではないが、ホウ酸、乳酸、ペラルゴン酸、ノナン酸、ネオデカン酸、セバシン酸、アゼライン酸、クエン酸、安息香酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、トール油脂肪酸、エチレンジアミンテトラ酢酸などの物質が挙げられる。
【0024】
殺生物組成物にはさらなる添加剤が含まれてよく、それには、例として、その他の腐蝕抑制剤、例えば2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、2−アミノ−1−エタノール(MEA)、1−アミノ−2−プロパノール(MIPA)、ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミン(DIPA)、トリス(2−ヒドロキシプロピル)アミン(TIPA)、ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン(DEA)、トリス(2−ヒドロキシエチル)アミン(TEA)、2−(2−アミノエトキシ)エタノール(DGA)、又はそれらの混合物が含まれる。これらのさらなる添加剤の中であまり好ましくないものは、第二級アミンである、なぜなら世界の様々な地域で一層厳しく規制されているためである。
【0025】
上記のように、アミノアルコールは殺生物性でない、すなわちそれらは殺生物性の増殖を有意に阻害しない。つまり、典型的な使用レベル(例えば、希釈したMWF中4000ppmまで)で、これらの物質は、この目的のために意図される認識された殺生剤の程度まで微生物増殖を阻害しない。これは、保護されていない流体中の本発明の化合物の1つ(3A4O)のデータ(図1)を、同じ流体中で認識された殺生剤(トリアジン)と組み合わせた、本発明のものでないアミノアルコール(AMP)のデータ(図3)と比較すると明白である。
【0026】
アミノアルコール化合物は当業者により当技術分野で周知の技法を用いて容易に調製することができる。例えば、かかる化合物は、ニトロアルカンと芳香族アルデヒドもしくはケトンの反応、又はより好ましくは、脂肪族アルデヒドとの反応、それに続いて接触水素化により調製することができる。
【0027】
本発明の組成物は、アミノアルコール化合物及び殺生物剤を様々な重量比で含み、それは、例として使用される特定の殺生物剤、及び特定の水性媒体によって決まる。この比は当業者が容易に決定することができる。一般的な一つの例として、アミノアルコールの殺生物剤に対する重量比は、一般に、約0.25:1又はそれ以上、好ましくは約500:1又はそれ以下である。さらなる好ましい量は下に記載される。
【0028】
本明細書に記載されるアミノアルコールの一部は新しい。従って、本発明のさらなる態様は、新規なアミノアルコール化合物及びそれらの塩の提供である。新規な化合物は、2−アミノ−2−メチル−3−ヘプタノール、及び2−アミノ−4−エチル−3−オクタノールである。
【0029】
上記のように、本発明の殺生物剤を含有する組成物は、水性系において微生物の増殖を阻害するために有用である。本発明の組成物が特に適する好ましい系は、金属加工流体(MWF)である。組成物は、可溶性油、合成、半合成、非合成、エマルジョン形成、及び非エマルジョン形成流体を含む、全ての種類のMWFとともに使用することができる。一般に、MWFは、濃縮形態で提供され、使用前に水で希釈される。本発明は、殺生物組成物を含有する金属加工流体濃縮物、その希釈された金属加工流体、水で予め希釈した金属加工流体濃縮物、ならびに殺生物組成物が添加されている非濃縮物金属加工流体を包含する。一般に、1重量部のMWF濃縮物は、約10から約100部の水、より好ましくは10から50部の水、さらに最も好ましくは、15から30部の水で希釈される。
【0030】
本発明の殺生物組成物を含有する金属加工流体及び濃縮物は、炭化水素油を含んでよく、炭化水素油は合成又は非合成であってもよい。慣用される合成及び非合成油の例としては、例えば、鉱油、植物油、動物由来の油、及び合成ポリマー/共重合体が挙げられる。かかる油の具体例としては、限定されるものではないが、厳密に水素処理されたナフテン油及びパラフィン油、ダイズ油及びポリグリコールブロック共重合体が挙げられる。
【0031】
金属加工流体(合成であろうと非合成であろうと)に含むことのできる当技術分野で周知の任意のその他の添加剤としては、例えば、着色剤;粘度調整剤;乳化剤(一般に、合成MWFにはそれらは非エマルジョン系であるので必要とされない);バッファー;可溶化剤;抗酸化剤;消泡剤;界面活性剤及び霧化防止剤及び極圧添加剤が挙げられる。金属加工流体は、通常、腐蝕を阻害するための薬剤、例えば、有機酸のアルカリ及びアミノアルコール塩(本発明の組成物に加えて)、スルホン酸塩、アミン、アミド、及び有機ホウ酸塩化合物などを含む。
【0032】
より具体的な例として、可溶性油及び半合成として一般に公知のエマルジョン形成金属加工流体濃縮物は、次の種類の成分を典型的に含む:低粘度炭化水素油及び合成滑沢剤、例えばポリアルキレングリコールなど;乳化剤、例えば低分子量石油スルホン酸ナトリウム、アルカノールアミド、アミン−脂肪酸塩、及び非イオン性界面活性剤、例えばノニルフェノールエトキシレートなど;腐蝕抑制剤、例えば、中〜高分子量石油スルホン酸ナトリウム、アルカノールアミド、ならびに様々な有機及び無機酸(ノナン酸、ネオデカン酸、セバシン酸、オレイン酸、トール油、ホウ酸及びその他の多数の酸を含む)のアミノアルコール塩など;カップリング剤(グリコールエーテル及び高級アルコール及びグリコールを含む)。各々のクラスの例としては、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ヘキサノール及びヘキシレングリコール;ならびに潤滑剤及び極圧剤(脂肪酸エステル、リン酸エステル、塩素化脂肪酸及び硫化脂肪酸を含む)が挙げられる。
【0033】
さらなる例として、合成又は溶液合成流体として一般に公知の非エマルジョン形成金属加工流体濃縮物は、一般に次のものを含む:潤滑剤及び極圧剤、例えば、逆溶解性エステル、リン酸エステル、塩素化脂肪酸及びポリアルキレングリコールなど;有機及び無機酸(ペラルゴン酸、ネオデカン酸、アゼライン酸、ドデカン酸、ドデカン二酸、ホウ酸、乳酸及びその他の多数の酸を含む)のアミン塩。これらの物質は腐蝕抑制剤である。
【0034】
MWF濃縮物中の(すなわち希釈より前の)ニートアミノアルコール化合物の濃度は、好ましくは少なくとも約1重量%、より好ましくは少なくとも約2%、さらにより好ましくは少なくとも約3%である。また好ましくは、この濃度は約20%以下、より好ましくは約12%以下、さらにより好ましくは約8%以下である。その他の実施形態では、この濃度は約1から20%、より好ましくは約2から12%、最も好ましくは約3から8%の範囲内である。
【0035】
MWF濃縮物中の殺生物剤に好ましい活性濃度範囲は、用いられる殺生物剤によって変動するが、当業者が容易に決定してもよい。例として、濃度は好ましくは少なくとも約0.01重量%であって約5重量%以下である。
【0036】
具体的な殺生物剤の例として、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジンは、0.76から3重量%の活性範囲で好ましく用いられ、最も好ましい範囲は1.1から3%であり、ヨードプロピニルブチルカルバメートは、0.2から0.6%の範囲で用いられ、最も好ましい範囲は0.3から0.6%であり、1,2−ベンゾイソチアゾリノンは、0.08から0.36%の範囲で用いられ、最も好ましい範囲は0.16から0.36%であり、4,4−ジメチルオキサゾリジンは、0.78から3.1%の範囲で用いられ、最も好ましい範囲は1.2から3.1%であり、7−エチルビシクロオキサゾリジンは、1から4%の範囲で用いられ、最も好ましい範囲は1.5から4%であり、4−(2−ニトロブチル)−モルホリンと4,4'−(2−エチル−2−ニトロトリメチレン)ジモルホリンの組合せは、1から4%の範囲で用いられ、最も好ましい範囲は1.5から3%であり、かつ、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの組合せは、0.01%から0.08%の範囲で用いられ、最も好ましい範囲は0.05%から0.08%である。
【0037】
最終の希釈されたMWFにおいて、ニートアミノアルコールの使用範囲は、好ましくは約0.05%から1.0%の間であり、好ましい範囲は0.1%から0.6%、最も好ましい範囲は0.15%から0.4%である。殺生物剤は、好ましくは(希釈時の活性ベースで)、0.04%から0.3%の1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン(好ましい範囲は0.06%から0.15%)、0.01%から0.04%のヨードプロピニルブチルカルバメート(好ましい範囲は0.015%から0.03%)、0.004%から0.03%の1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(好ましい範囲は0.008%から0.02%)、0.04%から0.3%の4,4−ジメチルオキサゾリジン(好ましい範囲は0.06%から0.2%)、0.05%から0.3%の7−エチルビシクロオキサゾリジン(好ましい範囲は0.075%から0.2%)、4−(2−ニトロブチル)−モルホリンと4,4'−(2−エチル−2−ニトロトリメチレン)ジモルホリンの組合せの0.05%から0.3%(好ましい範囲は0.075%から0.2%)、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの組合せの0.002%から0.005%(好ましい範囲は0.0025%から0.004%)の範囲で用いられる。
【0038】
金属加工流体は本発明の殺生物組成物の使用される好ましい系ではあるが、該組成物は、水を含むか又は水で希釈されることが意図される幅広い種類のその他の系でも有用である。例として、該組成物は、水性エマルジョン、例えば、ラテックス、水性塗料及びコーティング、コーキング材及び接着剤、テープ目地材(tape joint compound)、無機スラリー、水冷システム、パーソナルケア製品、石けん及び洗浄剤、殺菌剤、クリーナー、及びサニタイザー、農薬製品、油田水及び油田用途で用いられる水系流体(掘削泥、破砕流体、及びハイドロテスト(hydrotest)流体を含む)などの中で使用されてもよい。
【0039】
本明細書で用いられる「アルキル」は、1から8個の炭素原子、より好ましくは1から6個の炭素原子を有する直鎖及び分枝鎖脂肪族基を包含する。好ましいアルキル基としては、限定されるものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、及びヘキシルが挙げられる。
【0040】
本明細書において用語「アルケニル」とは、2から8個の炭素原子、好ましくは2から6個の炭素原子を有する、1又はそれ以上の炭素−炭素二重結合をもつ直鎖又は分枝鎖の不飽和脂肪族基を意味する。好ましいアルケニル基としては、限定されるものではないが、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、及びヘキセニルが挙げられる。
【0041】
本明細書において用語「アルキニル」とは、2から8個の炭素原子、好ましくは2から6個の炭素原子を有する、1又はそれ以上の炭素−炭素三重結合をもつ直鎖又は分枝鎖の不飽和脂肪族基を意味する。好ましいアルキニル基としては、限定されるものではないが、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、及びヘキシニルが挙げられる。
【0042】
「アルキレン」基は、本明細書の上文で定義されるように、他の2つの化学基の間に位置し、他の2つの化学基を結び付ける働きをするアルキルである。好ましいアルキレン基としては、限定されるものではないが、メチレン、エチレン、プロピレン、及びブチレンが挙げられる。
【0043】
本明細書において用いられる用語「シクロアルキル」には、3から12個の炭素、好ましくは3から8個の炭素、より好ましくは3から7個の炭素を有する、飽和及び部分的に不飽和の環状炭化水素基が含まれる。好ましいシクロアルキル基としては、限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられる。
【0044】
「アリール」基は、1から3つの芳香環を含むC6−C12芳香族部分である。好ましくは、アリール基は、C6−C10アリール基である。好ましいアリール基としては、限定されるものではないが、フェニル、ナフチル、アントラセニル、及びフルオレニルが挙げられる。より好ましいものはフェニルである。
【0045】
アルキル、シクロアルキル、及びアリール(ならびにそれらの架橋誘導体アルキレン、シクロアルキレン、及びアリーレン)は、1又はそれ以上のその他のアルキル(例えば、メチル、エチル、ブチル)、フェニル、又はその両方で置換されていてもよい。置換される場合、置換基中の炭素の数は、化合物の6から12個の炭素に数え入れられる。
【0046】
本発明の限定されない実施例が以下に提供される。
【実施例】
【0047】
実施例A:3−アミノ−4−オクタノールアルカノールアミンの調製及び評価
1−ニトロプロパン及びバレルアルデヒドからの3−ニトロ−4−オクタノールの調製。3−ニトロ−4−オクタノールの試料を、1−ニトロプロパン(1−NP、300g、3.37モル)を、熱電対、マグネチックスターラー、500ml添加漏斗、窒素注入口、及びガラス栓を装備した1リットルの三口丸底フラスコ(RBF、24/40、29/42、24/40)へ添加することにより合成した。この淡黄色の液体を、メタノール(MeOH、150g)を添加することにより希釈し、その結果吸熱がもたらされた。腐食性触媒を添加した(16gの10%水溶液及び0.60gの50%腐食性水溶液、合計1.9g、1.4モル%)。これにより反応物の色がオレンジ色に変化し、わずかな発熱がもたらされた。バレルアルデヒド(258g、3.00モル、0.89当量)を添加漏斗に装填し、1−NPに3時間かけてゆっくり添加した。反応熱は40から45℃の温度まで上昇した。バレルアルデヒドの添加が完了するとすぐにRBFの内容物を1リットルのガラス瓶に移し、窒素でパージし、周囲温度で保存した。反応の進行をガスクロマトグラフィーによりモニターした。2週間後、変換は84面積%に達し、10%塩酸水溶液(19ml)の添加により反応を停止させた。結果として生じるpH1の溶液を真空濃縮し(50℃/完全真空/0.5時間)、溶媒及び残りの試薬を除去した。結果として生じるオリーブグリーン色の溶液(491g、修正純度(corrected purity)95面積%、収率89%)を濾過し(0.5ミクロン)、窒素でパージし、必要になるまで冷蔵庫の中で保存した。
【0048】
3−ニトロ−4−オクタノールの3−アミノ−4−オクタノールアルカノールアミンへの接触水素化。3−アミノ−4−オクタノール(3A4O)の試料を、Parrオートクレーブユニットによる3−ニトロ−4−オクタノールの還元により合成した。ステンレス鋼、2リットルのオートクレーブに、Grace 3201 ラネーニッケル(RaNi、湿重量90g、乾重量45g、10重量%)及びメタノール(MeOH、300g)を詰めた。オートクレーブを密封し、組み立て、窒素で、次いで水素でパージし、水素(600psig)で加圧し、600RPMで攪拌し、そして40℃まで温めた。ニトロアルコール(491g)を無水エタノール(EtOH、150g)で希釈し、オートクレーブにポンプ注入した(4ml/分)。3.5時間後に添加が完了し、4時間後、反応は、水素取込みが観察されないので完全であると判断された。オートクレーブを冷却し、攪拌を停止し、排出し、窒素でパージした。オートクレーブを分解し、内容物を真空濾過してRaNi触媒を取り除いた。この結果、淡黄色の液体が単離され(92面積%)、それを真空濃縮(55℃/完全真空)してから、生成物をオーバーヘッドに取った(57から62℃/完全真空)。この結果、透明な無色の半固体(344g、95.3面積%、全収率75%)が単離され、それはいくらかのオキサゾリジン(2.2面積%)及びいくらかの第二級アミン(0.5面積%)を含んだ。
【0049】
この化合物は、8重量%で表1に記載される一般的な半合成金属加工流体濃縮物に処方された。従来のアミノアルコール化合物を3A4Oの代わりに用いることを除いて同一の処方物が調製された。この従来のアミノアルコールは、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)及びn−ブチルエタノールアミン(BEA)であった。1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン防腐剤の77%水溶液の1.5%を含む、同一のセットの流体濃縮物を調製することにより、本発明者らが防腐剤を含む流体と含まない流体を評価することが可能となった。流体濃縮物を、20部のシカゴ水道水に対して1部の流体濃縮物(重量による)の割合で希釈した;従って希釈時の活性アミノアルコール濃度はおよそ0.4%であり、(保護されたセット中の)活性防腐剤量はおよそ0.058%であった。これらの流体を、ASTM Practice E 2275−03による微生物暴露試験に供した。この方法では、流体は最初に、次に週に一度、腐敗した金属加工流体から単離された混合細菌/真菌接種剤で播種される。細菌数及び真菌数は、週に一度連続希釈プレートカウント法を用いて測定され、1ミリリットルあたりのコロニー形成単位として報告される(CFU/mL)。CFU/mLが小さいほど、微生物防除が良好であり、かつ、予測される流体の耐用年数が長い。微生物の結果は、図1及び2(保護されていない)ならびに図3及び4(トリアジンで保護)に記載される。保護されていない流体は、予期された挙動を示し、微生物の順化に起因して最初のカウントがわずかに低下した後、急速に増加した。保護された流体は、最初に予期されたカウントの低下を示すが、3A4Oを含む流体は、試験の全経過にわたって思いもよらない成長率の低下を示す。これは真菌の場合に特に有意義である、それは、トリアジン防腐剤は用いた投与量で真菌に対して効果的でないためである。
【表1】
【0050】
実施例B:2−アミノ−3−ヘプタノールアルカノールアミンの調製及び評価。
ニトロエタン(NE)及びバレルアルデヒドからの2−ニトロ−3−ヘプタノールの調製。上述した同じ方法で、2−ニトロ−3−ヘプタノールの試料を、ニトロエタン(NE、275g、3.67モル)を、熱電対、マグネチックスターラー、500ml添加漏斗、窒素注入口、及びガラス栓を装備した1リットルの三口丸底フラスコ(RBF、24/40、29/42、24/40)へ添加することにより合成した。透明な無色の液体を、95%エタノール(EtOH、160g)を添加することにより希釈し、その結果吸熱がもたらされた。腐食性触媒を添加し(10gの10%水溶液、0.68モル%)、それにより反応物の色が黄色に変化し、わずかな発熱がもたらされた。バレルアルデヒド(258g、3.00モル、0.89当量)を添加漏斗に装填し、4時間かけてNEにゆっくり添加した。反応熱は40から45℃の温度まで上昇した。バレルアルデヒドの添加が完了するとすぐにRBFの内容物を1リットルのガラス瓶に移し、窒素でパージし、夜には周囲温度で、昼には50℃で保存した。反応の進行をガスクロマトグラフィーによりモニターした。6日後、変換は81面積%に達し、10%塩酸水溶液(9ml)の添加により反応を停止させた。結果として生じるpH1の溶液を真空濃縮し(50℃/完全真空/0.5時間)、溶媒及び残りの試薬を除去した。結果として生じる緑色の溶液(494g、修正純度90面積%、収率83%)を濾過し(0.5ミクロン)、窒素でパージし、必要になるまで冷蔵庫の中で保存した。
【0051】
2−ニトロ−3−ヘプタノールの2−アミノ−3−ヘプタノールアルカノールアミンへの接触水素化。2−アミノ−3−ヘプタノール(2A3H)の試料を、Parrオートクレーブユニットによる2−ニトロ−3−ヘプタノールの還元により合成した。ステンレス鋼、2リットルのオートクレーブにGrace 3201 ラネーニッケル(RaNi、湿重量90g、乾重量45g、9重量%)及びメタノール(MeOH、300g)を詰めた。オートクレーブを密封し、組み立て、窒素で、次いで水素でパージし、水素(600psig)で加圧し、600RPMで攪拌し、そして40℃まで温めた。ニトロアルコール(491g)を無水エタノール(EtOH、150g)で希釈し、オートクレーブにポンプ注入した(4ml/分)。3時間後に添加が完了し、3.5時間後、反応は、水素取込みが観察されないので完全であると判断された。オートクレーブを冷却し、攪拌を停止し、排出し、窒素でパージした。オートクレーブを分解し、内容物を真空濾過してRaNi触媒を取り除いた。この結果、黄色の液体が単離され(82面積%)、それを真空濃縮(55℃/完全真空)してから、生成物をオーバーヘッドに取った(40から50℃/完全真空)。この結果、透明な無色の固体が単離され(302g、91.2面積%、全収率64%)それはいくらかのオキサゾリジン(3.4面積%)を含んだ。
【0052】
この物質は、実施例Aに記載されるものと同じ金属加工流体濃縮物に8%の濃度で処方された。同一の流体が、8%の2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)及び8%ジシクロヘキシルアミン(DCHA)を用いて調製された。防腐剤ベンズイソチアゾリノン(Dow Biocides製BIOBAN BIT 20 DPG)を、各々の流体濃縮物に1.2%で加え、流体濃縮物中の活性濃度は0.24%となり、使用のために希釈された流体中では0.012%となった。希釈された流体を、実施例Aに記載されるものと同じ微生物試験プロトコールに供した。その結果は図5及び6に記載される。BITは、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)に対して効果的でないことが知られており、典型的なグラム陰性細菌が金属加工流体中に見出された。これは、AMPを含む処方物中での細菌に対する比較的低い性能から明白である。しかし、流体の寿命を促進することが知られているDCHAはAMPに対して向上した性能を有することが予期された;これは事実とは違い、実際には、正反対のことが真実である。また、2A3Hを含む流体が、他のものよりも細菌の襲撃に対してより耐性を示すはずであることも予想外であるが、有意な利点は特に4から8週の期間に観察される。真菌に関して、2A3Hを含む流体は、AMPを含むものよりも襲撃に抵抗し、DCHAを含む流体の抵抗性に匹敵する。2A3Hでの結果は、保護されていない流体での同様の試験で、それが細菌又は真菌の増殖を有意に阻害しないことが示されるので、予想外である。
【0053】
実施例C:2−アミノ−2−メチル−3−ヘプタノールの調製及び評価
2−ニトロプロパン(2−NP)及びバレルアルデヒドからの2−メチル−2−ニトロ−3−ヘプタノールの調製。上述した同じ方法で、2−メチル−2−ニトロ−3−ヘプタノールの試料を、2−ニトロプロパン(2−NP、300g、3.37モル)を、熱電対、マグネチックスターラー、500ml添加漏斗、窒素注入口、及びガラス栓を装備した1リットルの三口丸底フラスコ(RBF、24/40、29/42、24/40)へ添加することにより合成した。透明な無色の液体を、無水エタノール(EtOH、150g)を添加することにより希釈し、その結果吸熱がもたらされた。腐食性触媒を添加し(16gの10%水溶液及び0.6gの50%水溶液、1.4モル%)、それにより反応物の色が黄色に変化し、わずかな発熱がもたらされた。バレルアルデヒド(258g、3.00モル、0.89当量)を添加漏斗に装填し、3時間かけて2−NPにゆっくり添加した。反応熱は40から45℃の温度まで上昇した。バレルアルデヒドの添加が完了するとすぐにRBFの内容物を1リットルのガラス瓶に移し、窒素でパージし、周囲温度で保存した。反応の進行をガスクロマトグラフィーによりモニターし、3週間後に72%完了に達し、10%塩酸水溶液(16ml)の添加により反応を停止させた。結果として生じる紺青色のpH1の溶液を真空濃縮し(50℃/完全真空/0.5時間)、溶媒及び残りの試薬を除去した。結果として生じる緑色の溶液(422g、修正純度90面積%、収率80%)を無水エタノール(150g)で希釈し、濾過し(0.5ミクロン)、窒素でパージし、必要になるまで冷蔵庫の中で保存した。
【0054】
2−メチル−2−ニトロ−3−ヘプタノールの2−アミノ−2−メチル−3−ヘプタノールへの接触水素化。2−アミノ−2−メチル−3−ヘプタノール(2A2M3H)の試料を、Parrオートクレーブユニットによる2−メチル−2−ニトロ−3−ヘプタノールの還元により合成した。ステンレス鋼、2リットルのオートクレーブに、Grace 3201 ラネーニッケル(RaNi、湿重量90g、乾重量45g、10重量%)及びメタノール(MeOH、300g)を詰めた。オートクレーブを密封し、組み立て、窒素で、次いで水素でパージし、水素で加圧し、600RPMで攪拌し、そして40℃まで温めた。黄色のニトロ−アルコール(422g)を無水エタノール(EtOH、150g)で希釈しておき、オートクレーブにポンプ注入した(4ml/分)。3時間後に添加が完了し、3.5時間後、反応は、水素取込みが観察されないので完全であると判断された。オートクレーブを冷却し、攪拌を停止し、排出し、窒素でパージした。オートクレーブを分解し、内容物を真空濾過してRaNi触媒を取り除いた。この結果、淡黄色の液体(80面積%)が単離され、それを真空濃縮(55℃/完全真空)してから、生成物をオーバーヘッドに取った(50から52℃/完全真空)。この結果、透明な無色の固体が単離され(268g、91.9面積%、全収率57%)、それはいくらかのオキサゾリジンを含んだ(4.9面積%)。
【0055】
この物質は、既に記載される半合成金属加工流体濃縮物に8%の濃度で処方された。既に記載されるトリアジン防腐剤(77%活性)を、1.5%のレベルで添加した。同一の流体を、AMP、3A4O及び2A3Hを用いて調製した。次に、これらの流体を、マイコバクテリウム・イムノゲヌム(mycobacterium immunogenum)の標準的なATTCC株(700505)を用いて流体を播種することを除いて、上述した実施例に記載される同じASTM微生物暴露試験に供した。これは、その親油性の細胞壁構造のために、制御の難しい微生物である可能性があり、最近は過敏性肺炎(HP)として一般に知られている疾病の発症に関与している。上記流体のこの生物に対する耐性を示すデータが図7に見出される。AMPを含む対照流体は、事実上活性が阻害されず、予期された反応をした。しかし、その他の流体は、この生物に対して予想外な耐性を示した。
【0056】
実施例D:使用レベルの調査
本発明のアミノアルコールの使用レベルの影響を理解するため、本発明者らは、既に記載されるものと同様であるが、4%アミノアルコールを用いて2000ppmの使用時希釈度を得る半合成流体濃縮物を調製した;処方物の差は水で埋め合わせをした。この流体濃縮物を、同じレベルの既に記載されるトリアジン−77%で保護した。これらの流体を希釈し、実施例A及びBに記載される同じ細菌/真菌暴露試験に供した;データは図8及び9に見出される。本発明のアミノアルコールを含有する流体は、従来のアミノアルコールAMPを含有する流体よりも、細菌と真菌の両方に対して有意に良好な耐性を示す。
【0057】
実施例E:2−アミノ−4−エチル−3−オクタノールの調製
ニトロエタン及び2−エチルヘキサナールからの2−ニトロ−4−エチル−3−オクタノールの調製。上述した同じ方法で、2−ニトロ−4−エチル−3−オクタノールの試料を、ニトロエタン(NE、200g、2.67モル)を、熱電対、マグネチックスターラー、500ml添加漏斗、窒素注入口、及びガラス栓を装備した1リットルの三口丸底フラスコ(RBF、24/40、29/42、24/40)へ添加することにより合成した。これを無水エタノール(EtOH、150g)を添加することにより希釈し、その結果吸熱がもたらされた。脱イオン水(7.5g)、それに続いて腐食性触媒(8.0mlの10%水溶液)を添加した。反応物の色は暗くなってオレンジ色となり、わずかな発熱が観察された。2−エチルヘキサナール(307g、2.40モル、0.90当量)を添加漏斗に装填し、3.5時間かけてNEにゆっくり添加した。反応熱は30℃の温度まで上昇した。バレルアルデヒドの添加が完了するとすぐにRBFの内容物を1リットルのガラス瓶に移し、窒素でパージし、周囲温度で保存した。反応の進行をガスクロマトグラフィーによりモニターした。2日後には測定される変換は53.2面積%であり、2週間後には55.8面積%であった。次に、10%塩酸水溶液(8ml)の添加により反応を停止させ、pH1の溶液を真空濃縮し(55℃/完全真空/0.5時間)、溶媒及び残りの試薬を除去した。結果として生じる黄色の溶液(362g、純度72面積%、収率74.3%)を濾過し(0.5ミクロン)、窒素でパージし、必要になるまで冷蔵庫の中で保存した。
【0058】
2−ニトロ−4−エチル−3−オクタノールの2−アミノ−4−エチル−3−オクタノールアミノアルコールへの接触水素化。2−アミノ−4−エチル−3−オクタノールの試料を、Parrオートクレーブユニットによる2−ニトロ−4−エチル−3−オクタノールの還元により合成した。ステンレス鋼、2リットルのオートクレーブにGrace 3201 ラネーニッケル(RaNi、湿重量70g、乾重量35g、10重量%)及びメタノール(MeOH、300g)を詰めた。オートクレーブを密封し、組み立て、窒素で、次いで水素でパージし、水素(750psig)で加圧し、600RPMで攪拌し、そして40℃まで温めた。ニトロ−アルコール(362g)をメタノール(MeOH、380ml)で希釈し、オートクレーブにポンプ注入した(5ml/分)。2時間後には添加が完了し、さらに15分後に、反応は、水素取込みが観察されないので完全であると判断された。オートクレーブを冷却し、攪拌を停止し、排出し、窒素でパージした。オートクレーブを分解し、内容物を真空濾過してRaNi触媒を取り除いた。この結果、淡黄色の液体(純度84面積%)が単離され、それを真空濃縮(55℃/完全真空)してから、生成物を真空ジャケット付き18”ビグローカラム(vigreux column)/ヘッドアセンブリーを用いてオーバーヘッドに取った(122℃/15mm)。この結果、生成物が透明な無色の溶液として単離された(182g、96.9面積%、全収率44%)。
【0059】
実施例F.3−アミノ−4−オクタノールのさらなる評価
図10から17は、様々な殺生物剤と併用した、本発明のアミノアルコールである3−アミノ−4−オクタノール(3A4O)と、本発明でないアミノアルコール化合物、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)及びn−ブチルエタノールアミン(BEA)のさらなる比較を提供する。特に、図10及び11、BIOBAN P−1487(4−(2−ニトロブチル)−モルホリンと4,4'−(2−エチル−2−ニトロトリメチレン)ジモルホリンの組合せ)を含むアミノアルコールの、細菌及び真菌有効性比較。この殺生物剤を希釈された流体に添加して750ppmとした。アミン投与量は、希釈時に4000ppmとなるように調節した。図12及び13は、トリアジン/IPBC殺生物剤ブレンドの存在下、アミノアルコールの細菌及び真菌有効性を示す。トリアジン−78%を、希釈された流体に基づいて750ppmで添加し、ヨードプロピニルブチルカルバメート(IPBC)を、希釈時に300ppmの活性で添加した。アミン投与量を、希釈時に3000ppmとなるように調節した。図14及び15は、ベンズイソチアゾリノン(BIT)を含む化合物の細菌及び真菌有効性を示す。BITを、希釈された流体に基づいて120ppmの活性で添加し、ヨードプロピニルブチルカルバメート(IPBC)を、希釈時に300ppmの活性で添加した。アミン投与量を、希釈時に3000ppmとなるように調節した。図16及び17は、クロロメチルイソチアゾリノン/メチルイソチアゾリノン(CMIT/MIT)ブレンドを含むアミノアルコールの細菌及び真菌有効性を示す。このブレンドを、希釈された流体に直接加えて12ppmの活性を得た;用いた生成物は、Dow Biocidesにより提供されるBIOBAN CM14であった。アミン投与量を、希釈時に3000ppmとなるように調節した。
【0060】
データは一般に、その他のアミノアルコールと比較して、本発明の3A4Oでの殺生物剤の有効性のさらなる向上を示す。その上、3A4Oと試験したその他のアミノアルコールとの間の細菌に対する有効性の向上が類似している場合でも、3A4Oは一般に、真菌に対してより大きな向上を示す。従って、3A4Oは一層広範囲の殺生物剤の向上を提供し、その材料を防腐剤促進剤としてさらに一層望ましいものにする。
【0061】
本発明は、様々な具体的かつ好ましい実施形態及び技法に関して説明された。しかし、本発明の精神及び範囲内にとどまる一方で、多くの変形例及び変更例が作成され得ることは当然理解される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺生剤と;
式(I)の第一級アミノアルコール化合物:
【化4】
(式中、
R1及びR3は、各々独立に、H、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、又はアリールであるか、あるいはR1、R3及びそれらと結合している炭素はシクロアルキル環を形成し、
R2及びR4は、各々独立に、H又はアルキルであり、但し、R2及びR4はともに2又はそれ以下の炭素原子を含み;かつ R5は存在しないか、又はC1−C10アルキレン、アリーレン、−アリーレン−アルキレン−、又は−アルキレン−アリーレン−であり;
ここで、アルキル、シクロアルキル、アルキレン、アリール、及びアリーレンは、アルキル又はフェニルで置換されていてもよく、かつ、式(I)の化合物は少なくとも6個の炭素原子を含む)と、を含む殺生物組成物。
【請求項2】
前記式(I)の化合物が12個以下の炭素原子を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−1−エタノール、1−アミノ−2−プロパノール、ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミン、トリス(2−ヒドロキシプロピル)アミン、ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン、トリス(2−ヒドロキシエチル)アミン、及び2−(2−アミノエトキシ)エタノールからなる群より選択される1又はそれ以上の化合物をさらに含む、請求項1から2に記載の組成物。
【請求項4】
前記殺生剤がホルムアルデヒド系又は非ホルムアルデヒド系である、請求項1から3に記載の組成物。
【請求項5】
前記殺生剤が、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン、ヨードプロピニルブチルカルバメート、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、4,4−ジメチルオキサゾリジン、7−エチルビシクロオキサゾリジン、4−(2−ニトロブチル)−モルホリンと4,4’−(2−エチル−2−ニトロトリメチレン)ジモルホリンの組合せ、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの組合せ、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、オクチルイソチアゾリノン、ジクロロ−オクチルイソチアゾリノン、ジブロモ−オクチルイソチアゾリノン、フェノール類、例えばo−フェニルフェノール及びp−クロロ−m−クレゾールなど、及びそれらの対応するナトリウム塩及び/又はカリウム塩、ナトリウムピリチオン、亜鉛ピリチオン、n−ブチルベンズイソチアゾリノン、1−(3−クロロアリル)−3,5,7−トリアザ−1−アゾニアアダマンタンクロライド、クロロタロニル、カルベンダジム、ジヨードメチルトリルスルホン、トリメチル−1,3,5−トリアジン−1,3,5−トリエタノール、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、グルタルアルデヒド、N,N’−メチレン−ビス−モルホリン、エチレンジオキシメタノール、フェノキシエタノール、テトラメチロールアセチレンジウレア、ジチオカルバミン酸、2,6−ジメチル−m−ジオキサン−4−オールアセテート、ジメチロール−ジメチル−ヒダントイン、トリス(ヒドロキシメチル)ニトロメタン、二環式オキサゾリジン、ならびにそれらの2又はそれ以上の混合物からなる群より選択される、請求項1から4に記載の組成物。
【請求項6】
前記殺生剤が、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、4,4−ジメチルオキサゾリジン及び7−エチルビシクロオキサゾリジン、ヨードプロピニルブチルカルバメート、ナトリウムピリチオン、オクチルイソチアゾリノン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの組合せ、フェノール類、グルタルアルデヒド、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド(DBNPA)、1−(3−クロロアリル)−3,5,7−トリアザ−1−アゾニアアダマンタンクロライド、N,N’−メチレン−ビス−モルホリン、ならびにそれらの2又はそれ以上の混合物からなる群より選択される、請求項1から5に記載の組成物。
【請求項7】
前記式(I)の化合物においてR2がメチルである、請求項1から6に記載の組成物。
【請求項8】
前記式(I)の化合物においてR2がエチルである、請求項1から6に記載の組成物。
【請求項9】
R5が存在しない、請求項1から8に記載の組成物。
【請求項10】
前記アミノアルコール化合物が、式(II):
【化5】
(式中、
R1は、C2−C6アルキルであり;かつ
R2及びR4は、各々独立に、H又はC1−C2アルキルであり、
R2及びR4は、ともに2又はそれ以下の炭素原子を含み、かつ、前記式(II)の化合物は少なくとも6個の炭素原子を含む)、請求項1から9に記載の組成物。
【請求項11】
前記アミノアルコール化合物が、2−アミノ−3−ヘキサノール、2−アミノ−2−メチル−3−ヘキサノール、3−アミノ−4−オクタノール、2−アミノ−2−メチル−3−ヘプタノール、2−アミノ−4−エチル−3−オクタノール、2−アミノ−3−ヘプタノール、2−アミノ−1−フェニルブタノール、及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1から10に記載の組成物。
【請求項12】
前記アミノアルコールが3−アミノ−4−オクタノールである、請求項1から11に記載の組成物。
【請求項13】
水性系で微生物の増殖を阻害する方法であって、
前記系に有効量の請求項1から12のいずれか一項に記載の殺生物組成物を添加することを含む、方法。
【請求項14】
前記水性系が金属加工流体である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1から12のいずれか一項に記載の殺生物組成物を含む、金属加工流体濃縮物。
【請求項16】
請求項1から12のいずれか一項に記載の殺生物組成物を含む、金属加工流体。
【請求項17】
水及び金属加工濃縮物を含む金属加工流体であって、
前記金属加工濃縮物が、請求項1から12のいずれか一項に記載の殺生物組成物を含む、金属加工流体。
【請求項18】
水性系;及び請求項1から12のいずれか一項に記載の殺生物組成物を含む、微生物増殖が阻害される組成物。
【請求項19】
前記水性系が、ラテックス、水性塗料、水性コーティング、コーキング材、接着剤、テープ目地材、無機スラリー、水冷システム、パーソナルケア製品、石けん及び洗浄剤、殺菌剤、クリーナー、サニタイザー、農薬製品、油田水、ならびに油田用途で用いられる水系流体、例えば掘削泥、破砕流体、及びハイドロテスト流体である、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記水性系が金属作動流体である、請求項18に記載の組成物。
【請求項21】
2−アミノ−4−エチル−3−オクタノール、2−アミノ−2−メチル−3−ヘプタノール、及びそれらの塩からなる群より選択される化合物。
【請求項1】
殺生剤と;
式(I)の第一級アミノアルコール化合物:
【化4】
(式中、
R1及びR3は、各々独立に、H、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、又はアリールであるか、あるいはR1、R3及びそれらと結合している炭素はシクロアルキル環を形成し、
R2及びR4は、各々独立に、H又はアルキルであり、但し、R2及びR4はともに2又はそれ以下の炭素原子を含み;かつ R5は存在しないか、又はC1−C10アルキレン、アリーレン、−アリーレン−アルキレン−、又は−アルキレン−アリーレン−であり;
ここで、アルキル、シクロアルキル、アルキレン、アリール、及びアリーレンは、アルキル又はフェニルで置換されていてもよく、かつ、式(I)の化合物は少なくとも6個の炭素原子を含む)と、を含む殺生物組成物。
【請求項2】
前記式(I)の化合物が12個以下の炭素原子を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−1−エタノール、1−アミノ−2−プロパノール、ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミン、トリス(2−ヒドロキシプロピル)アミン、ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン、トリス(2−ヒドロキシエチル)アミン、及び2−(2−アミノエトキシ)エタノールからなる群より選択される1又はそれ以上の化合物をさらに含む、請求項1から2に記載の組成物。
【請求項4】
前記殺生剤がホルムアルデヒド系又は非ホルムアルデヒド系である、請求項1から3に記載の組成物。
【請求項5】
前記殺生剤が、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン、ヨードプロピニルブチルカルバメート、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、4,4−ジメチルオキサゾリジン、7−エチルビシクロオキサゾリジン、4−(2−ニトロブチル)−モルホリンと4,4’−(2−エチル−2−ニトロトリメチレン)ジモルホリンの組合せ、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの組合せ、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、オクチルイソチアゾリノン、ジクロロ−オクチルイソチアゾリノン、ジブロモ−オクチルイソチアゾリノン、フェノール類、例えばo−フェニルフェノール及びp−クロロ−m−クレゾールなど、及びそれらの対応するナトリウム塩及び/又はカリウム塩、ナトリウムピリチオン、亜鉛ピリチオン、n−ブチルベンズイソチアゾリノン、1−(3−クロロアリル)−3,5,7−トリアザ−1−アゾニアアダマンタンクロライド、クロロタロニル、カルベンダジム、ジヨードメチルトリルスルホン、トリメチル−1,3,5−トリアジン−1,3,5−トリエタノール、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、グルタルアルデヒド、N,N’−メチレン−ビス−モルホリン、エチレンジオキシメタノール、フェノキシエタノール、テトラメチロールアセチレンジウレア、ジチオカルバミン酸、2,6−ジメチル−m−ジオキサン−4−オールアセテート、ジメチロール−ジメチル−ヒダントイン、トリス(ヒドロキシメチル)ニトロメタン、二環式オキサゾリジン、ならびにそれらの2又はそれ以上の混合物からなる群より選択される、請求項1から4に記載の組成物。
【請求項6】
前記殺生剤が、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、4,4−ジメチルオキサゾリジン及び7−エチルビシクロオキサゾリジン、ヨードプロピニルブチルカルバメート、ナトリウムピリチオン、オクチルイソチアゾリノン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの組合せ、フェノール類、グルタルアルデヒド、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド(DBNPA)、1−(3−クロロアリル)−3,5,7−トリアザ−1−アゾニアアダマンタンクロライド、N,N’−メチレン−ビス−モルホリン、ならびにそれらの2又はそれ以上の混合物からなる群より選択される、請求項1から5に記載の組成物。
【請求項7】
前記式(I)の化合物においてR2がメチルである、請求項1から6に記載の組成物。
【請求項8】
前記式(I)の化合物においてR2がエチルである、請求項1から6に記載の組成物。
【請求項9】
R5が存在しない、請求項1から8に記載の組成物。
【請求項10】
前記アミノアルコール化合物が、式(II):
【化5】
(式中、
R1は、C2−C6アルキルであり;かつ
R2及びR4は、各々独立に、H又はC1−C2アルキルであり、
R2及びR4は、ともに2又はそれ以下の炭素原子を含み、かつ、前記式(II)の化合物は少なくとも6個の炭素原子を含む)、請求項1から9に記載の組成物。
【請求項11】
前記アミノアルコール化合物が、2−アミノ−3−ヘキサノール、2−アミノ−2−メチル−3−ヘキサノール、3−アミノ−4−オクタノール、2−アミノ−2−メチル−3−ヘプタノール、2−アミノ−4−エチル−3−オクタノール、2−アミノ−3−ヘプタノール、2−アミノ−1−フェニルブタノール、及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1から10に記載の組成物。
【請求項12】
前記アミノアルコールが3−アミノ−4−オクタノールである、請求項1から11に記載の組成物。
【請求項13】
水性系で微生物の増殖を阻害する方法であって、
前記系に有効量の請求項1から12のいずれか一項に記載の殺生物組成物を添加することを含む、方法。
【請求項14】
前記水性系が金属加工流体である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1から12のいずれか一項に記載の殺生物組成物を含む、金属加工流体濃縮物。
【請求項16】
請求項1から12のいずれか一項に記載の殺生物組成物を含む、金属加工流体。
【請求項17】
水及び金属加工濃縮物を含む金属加工流体であって、
前記金属加工濃縮物が、請求項1から12のいずれか一項に記載の殺生物組成物を含む、金属加工流体。
【請求項18】
水性系;及び請求項1から12のいずれか一項に記載の殺生物組成物を含む、微生物増殖が阻害される組成物。
【請求項19】
前記水性系が、ラテックス、水性塗料、水性コーティング、コーキング材、接着剤、テープ目地材、無機スラリー、水冷システム、パーソナルケア製品、石けん及び洗浄剤、殺菌剤、クリーナー、サニタイザー、農薬製品、油田水、ならびに油田用途で用いられる水系流体、例えば掘削泥、破砕流体、及びハイドロテスト流体である、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記水性系が金属作動流体である、請求項18に記載の組成物。
【請求項21】
2−アミノ−4−エチル−3−オクタノール、2−アミノ−2−メチル−3−ヘプタノール、及びそれらの塩からなる群より選択される化合物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2010−515731(P2010−515731A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545551(P2009−545551)
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/087365
【国際公開番号】WO2008/088632
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(509195386)アングス ケミカル カンパニー (1)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/087365
【国際公開番号】WO2008/088632
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(509195386)アングス ケミカル カンパニー (1)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】
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