説明

アミノ酸伸長したインスリン

アミノ酸オリゴマーに結合したインスリンは、満足のいく特性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノ酸オリゴマーに結合したインスリンに関する。
【背景技術】
【0002】
高度な生物活性及びレセプター選択性の故に、多くのペプチド及びタンパク質は、薬剤候補として魅力的である。ペプチド及びタンパク質剤は、通常、注射により投与され、これにより、患者のコンプライアンスが低くなる可能性がある。よって、別経路の送達が必要となる。肺又は経口経路による送達が可能であるが、関連器官におけるタンパク質分解活性が高度であること、及び関連組織を介した吸収性が低いために、生物活性が低く、よって通常は困難である。さらに、ヒトの体内において、ペプチド及びタンパク質剤は、タンパク質分解活性、又は腎臓又は肝臓を介した除去により、多くの場合は循環から素早く排除されてしまう。よって、一般的には、適切なインビボ半減期を達成するため、製剤化又は誘導体化により、薬剤をマニピュレートすることが所望又は必要とされている。
【0003】
この発明の目的は、従来技術の少なくとも一の不具合を克服又は改善すること、又は有用な代替法を提供することである。
この発明の態様は、ヒト組織を介したインスリンの吸収性を改善することである。
この発明の他の態様は、インスリンのインビボ半減期を改善することである。
この発明の他の態様は、満足のいく物理的安定性を有するインスリンを見出すことである。
この発明の他の態様は、満足のいく化学的安定性を有するインスリンを見出すことである。
この発明の他の態様は、満足のいくタンパク質分解安定性を有するインスリンを見出すことである。
この発明の他の態様は、満足のいく溶解性を有するインスリンを見出すことである。
【0004】
[定義]
ここで、「インスリン」なる用語は、任意の種からのインスリン、例えばブタインスリン、ウシインスリン、及びヒトインスリン、及びそれらの複合体、例えばダイマー及びオリゴマー、特にそれらのヘキサマーを含む亜鉛錯体をカバーする。さらに、ここで「インスリン」なる用語は、いわゆる「インスリン類似体」もカバーする。インスリン類似体は、天然のヒトインスリン分子と比較して、A及び/又はBアミノ酸鎖の一又は複数の変異、置換、欠失及び/又は付加を有するインスリン分子である。特に、一又は複数のアミノ酸残基が、他のアミノ酸残基と交換されていてもよく、及び/又は一又は複数のアミノ酸残基が欠失していてもよく、及び/又は1又は2のアミノ酸残基が付加されていてもよく、但し、該インスリン類似体は十分なインスリン活性を有している。インスリン類似体は、好ましくは一又は複数の天然に生じるアミノ酸残基、特に好ましくはそれらの1、2又は3が、他のコード可能なアミノ酸残基で置換されているものである。例えば、B鎖の28位は、天然Pro残基から、Asp、Lys又はIleの一つに修飾されてもよい。他の実施態様において、B29位のLysはProに修飾されてもよく;またA21位のAsnは、Ala、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Met、Ser、Thr、Trp、Tyr又はVal、特にGly、Ala、Ser、又はThr、好ましくはGlyに修飾されてもよい。さらに、B3位のAsnはLysに修飾されてよい。インスリン類似体のさらなる具体例は、desB30ヒトインスリン及びdesB1ヒトインスリンである。インスリン類似体の具体例は、次の特許及び等価物:米国特許第5,618,913号、欧州特許第254,516号、欧州特許第280,534号、米国特許第5,750,497号、及び米国特許第6,011,007に記載されている。特定のインスリン類似体の例は、インスリンアスパルト(insulin aspart)(すなわち、AspB28ヒトインスリン)及びインスリンリスプロ(すなわち、LysB28、ProB29ヒトインスリン)である。この発明の一態様において、インスリン類似体なる用語は、A及び/又はB鎖の付加を有するインスリン分子をカバーしておらず、A鎖が21以下のアミノ酸残基からなる、B鎖が30以下のアミノ酸残基からなることを意味する。この発明の他の態様において、インスリン類似体なる用語は、ヒトインスリンと比較して、6を越えるアミノ酸残基、好ましくは4以下のアミノ酸残基、さらに好ましくは2以下のアミノ酸残基が交換されているインスリン分子をカバーしない。この発明の他の態様において、インスリン類似体なる用語は、ヒトインスリンと比較して、2を越えるアミノ酸残基、好ましくは1以下のアミノ酸残基が欠失しているインスリン分子をカバーしない。
【0005】
ここで、「インスリン残基」なる用語は、水素原子がアミノ基から除去され、及び/又はヒドロキシ基がカルボキシ基から除去された、上述したインスリンをカバーする。
ここで、公知の一般的に使用されている1又は3文字コードは、アミノ酸用に使用されている。
「アミノ酸残基」なる用語は、水素原子がアミノ基から除去され、及び/又はヒドロキシ基がカルボキシ基から除去されたアミノ酸をカバーする。ここで、アミノ酸は好ましくはコード可能な(アルファ)アミノ酸である。
【0006】
ここで「オリゴマー」なる用語は、モノマー(アミノ酸残基)の繰り返し単位をカバーする。オリゴマー中のモノマーの数は800とすることができる。
ここで「アミノ酸オリゴマー」なる用語は、アミノ酸、好ましくはコード可能な(アルファ)アミノ酸の鎖で、むしろ均一な配列のものをカバーする。このようなアミノ酸オリゴマーの例は、例えばグリシンのホモオリゴマー、又はジ-又はトリ-ペプチドの繰り返し単位である。
ここで、「アミノ酸オリゴマー残基」なる用語は、水素原子がアミノ基から除去され、及び/又はヒドロキシ基がカルボキシ基から除去されたアミノ酸オリゴマー、すなわちオリゴマーのモノマーをカバーする。
ここで、「コード可能なアミノ酸」なる用語は、ヌクレオチドのトリプレット(「コドン」)によりコード可能なアミノ酸をカバーする。
【0007】
インビボにおいて、ヒトインスリンは、次の立体配置:プレペプチド-B-Arg-Arg-C-Lys-Arg-Aにおいて、24のアミノ酸を有するプレペプチドに86のアミノ酸を含むプロインスリンが続いてなる、いわゆる単鎖前駆体プロインスリン(プレプロインスリン)として合成され、ここで、A及びBは、それぞれインスリンのA及びB鎖であり、Cは31のアミノ酸を有するいわゆる結合ペプチドであり、Cys残基間に3つのジスルフィド架橋が存在する。ここで、単鎖インスリンなる用語は、分子プレペプチド-B-Arg-Arg-C-Lys-Arg-Aをカバーし、ここでA及びBは、それぞれ当該問題のインスリン類似体のA及びB鎖に相当する。またここで、前記結合ペプチドはCペプチドCペプチドと称されてもよい。
【0008】
ここで使用される場合、「処置」なる用語は、疾患、疾病又は病状に抗することを目的とした、予防、管理及び世話することを意味する。本用語は、疾患の予防、疾患、疾病又は病状の進行の遅延化、症候群及び合併症の緩和又は軽減、及び/又は疾患、疾病又は病状の治癒又は除去を含むことを意図している。処置される患者は、好ましくは哺乳動物、特にヒトである。
ここで「疎水性度」なる用語は、ヒトインスリンと比較した疎水性度として使用され、「アッセイV」について記載されたように、HPLCにより測定される。
【発明の概要】
【0009】
この発明は、一又は複数のアミノ酸オリゴマー(類)が結合しているインスリンに関し、ここでは、このような生成物を伸長インスリンと命名する。よって、伸長インスリンの生物物理学的特性、例えば極性、溶解度及び大きさは調整される。伸長インスリンの生物物理学的特性は、結合したオリゴマー中のアミノ酸の種類、並びにオリゴマーの長さを変えることにより微調整することができる。本発明の伸長インスリンのこれら変更された生物物理学的特性により、患者に投与した後の作用プロフィールが長くなり、経口又は肺投与に適した生成物となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例8のインスリンのラット気管内点滴の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
予期しないことに、インスリンのA-又はB鎖のC末端(及びB鎖のN末端)のアミノ酸オリゴマーによる長い伸長部−この発明のインスリン−は、興味ある特性:a)それらが、かなり保存されたインスリンレセプター親和性を有すること、及びb)それらがインビボ投与の後に、長時間の作用プロフィールを示すこと、を有することを見出した。
形式上、この発明の伸長インスリンは、上述したインスリンと一又は複数のアミノ酸オリゴマー(類)から構築される。この発明の伸長インスリンにおいて、アミノ酸オリゴマーの一端は、ペプチド結合を介してインスリン残基に結合しているが、該アミノ酸オリゴマーの他端は、インスリン残基に結合していない。
アミノ酸オリゴマーは、例えば組換え方法により、インスリン残基に結合可能である。このような方法はそれ自体公知であり、例えば以下に記載される。
【0012】
本発明の伸長インスリンは、例えば米国特許第6500645号に開示されているようなよく知られている技術により、適切な宿主細胞において、当該問題の本発明の伸長インスリンをコードするDNA配列を発現させることで生成させることができる。本発明の伸長インスリンは、Cペプチド又はA鎖N末端にB鎖C末端を結合させるペプチド結合を含有する単鎖インスリンとして、又は単鎖インスリンを含有するが、さらにB鎖においてN末端前駆体伸長を含有する前駆体分子として直接発現させられる。このN末端前駆体伸長は、直接発現した生成物の収率を増加させる機能を有してよく、また15アミノ酸残基長までであってもよい。N末端前駆体伸長は培養ブロスから単離後、インビトロで切断されるためのものであり、よってB鎖N末端の隣に切断部位(Lys又はArg)を有するであろう。本発明に適切な種類のN末端前駆体伸長は、米国特許第5,395,922号及び欧州特許第765,395A号に開示されている。このような前駆体伸長の具体例はEEAEAEAPKである。この前駆体伸長は、例えばトリプシン又はトリプシン様プロテアーゼによるタンパク質分解で前駆体単鎖インスリンから切断される。またこの切断は、Cペプチド(又は、Cペプチドが存在しない場合は、A鎖のN末端(例えばA1)とB鎖のC末端(例えばB30))との間の結合を切断し、よって前駆体単鎖インスリンを成熟した2本鎖インスリン分子に転換させる。本発明の伸長インスリンはこのような前駆体伸長を含有しておらず、本発明の伸長インスリンは、全て成熟した2本鎖インスリン分子である。
【0013】
それぞれの伸長インスリンポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列は、確立された標準的な方法、例えばBeaucageら, (1981) Tetrahedron Letters 22:1859-1869により記載されているホスホアミダイト法、又はMatthesら, (1984) EMBO Journal 3:801-805により記載されている方法により、合成的に調製されてよい。ホスホアミダイト法によれば、オリゴヌクレオチドは、例えば自動DNA合成器において合成され、精製され、二本鎖にされ、ライゲーションされて、合成DNAコンストラクトが形成される。DNAコンストラクトを調製する現在の好ましい方法はポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)による。
【0014】
また、ポリヌクレオチド配列は、混合ゲノム、cDNA、及び合成由来のものであってよい。例えば、リーダーペプチドをコードするゲノム又はcDNA配列を、A鎖及びB鎖をコードするゲノム又はcDNA配列に結合させた後、よく知られた手順に従って相同組換えのために所望のアミノ酸配列をコードする合成オリゴヌクレオチドを挿入し、又は好ましくは適当なオリゴヌクレオチドを使用するPCRによって所望の配列を生産することによって、DNA配列を修飾してもよい。
【0015】
選択された微生物又は宿主細胞中で複製可能であり、当該問題の伸長インスリンポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を担持する組換えベクターは、自己複製ベクター、すなわち染色体外実体として存在するベクター、染色体複製とは独立した複製、例えばプラスミド、染色体外エレメント、ミニ染色体、又は人工染色体でありうる。ベクターは自己複製を保証する任意の手段を含みうる。あるいは、ベクターは、宿主細胞に導入されたときに、ゲノムに組み込まれ、それが組み込まれた染色体(類)と共に複製されるものでありうる。さらに、トランスポゾン、又は宿主細胞のゲノムに導入されるために、全DNAを含有する単一のベクター又はプラスミド、又は2つ又はそれ以上のベクター又はプラスミドが使用されてもよい。ベクターは直鎖又は閉環状プラスミドであってよく、宿主細胞のゲノムへのベクターの安定した組込、又はゲノムとは独立した細胞におけるベクターの自己複製を可能にするエレメント(類)を、好ましくは含有する。
一実施態様において、組換え発現ベクターは酵母中で複製可能である。ベクターを酵母中で複製させることができる配列の例は酵母プラスミド2μm複製遺伝子REP1-3及び複製起点である。
【0016】
ベクターは、形質転換細胞の選択を容易にする一又は複数の選択可能マーカーを含みうる。選択可能マーカーは、その産物が殺生物剤又はウイルス耐性、重金属、原栄養体、独立栄養体等に対する耐性を提供する遺伝子である。細菌性選択可能マーカーの例は、枯草菌又はバチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)由来のdal遺伝子、あるいはアンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコール又はテトラサイクリン耐性等の抗生物質耐性を付与するマーカーである。糸状菌宿主細胞における使用にされる選択可能マーカーには、amdS(アセタミダーゼ)、argB(オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ)、pyrG(オロチジン-5'-ホスファートデカルボキシラーゼ)及びtrpC(アントラニル酸シンターゼ)が含まれる。酵母宿主細胞のための適切なマーカーは、ADE2、HIS3、LEU2、LYS2、MET3、TRP1、及びURA3である。酵母によく適した選択可能マーカーは分裂酵母TPI遺伝子(Russell (1985) Gene 40:125-130)である。
【0017】
ベクター中において、ポリヌクレオチド配列は適切なプロモーター配列に作用可能に結合している。プロモーターは、変異、切断、及びハイブリッドプロモーターを含む選択宿主細胞中で転写活性を示す任意の核酸配列であり得、宿主細胞に相同か又は異種性である細胞外又は細胞内ポリペプチドをコードする遺伝子から得ることができる。
細菌宿主細胞における転写を指向するのに適切なプロモーターの例は大腸菌lacオペロン、ストレプトマイセス・セリカラーアガラーゼ(agarase)遺伝子(dagA)、枯草菌レバンスクラーゼ(levansucrase)遺伝子(sacB)、バチルス・リケニホルミスアルファ-アミラーゼ遺伝子(amyL)、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)マルトゲンアミラーゼ遺伝子(amyM)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)アルファ-アミラーゼ遺伝子(amyQ)、及びバチルス・リケニホルミスペニシリナーゼ遺伝子(penP)から得られるプロモーターである。糸状菌宿主細胞における転写を指向するのに適切なプロモーターの例は、コウジカビTAKAアミラーゼ、リゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)アスパラギン酸プロテイナーゼ、クロコウジカビの中性アルファ-アミラーゼ、及びクロコウジカビ酸安定性アルファ-アミラーゼの遺伝子から得られるプロモーターである。酵母宿主では、有用なプロモーターは、出芽酵母Ma1、TPI、ADH又はPGKプロモーターである。
ポリヌクレオチドコンストラクトは典型的には適切なターミネーターに作用可能に連結される。酵母において、適切なターミネーターはTPIターミネーター(Alberら(1982) J. Mol. Appl. Genet. 1:419-434)である。
【0018】
所望のインスリン類似体ポリペプチドをコードするDNA、プロモーター及びターミネーター等、発現ベクターに含有される個々のポリヌクレオチド配列をライゲーションし、選択宿主での複製に必要な情報を含む適切なベクターにそれらを挿入するのに使用される手順は、当業者によく知られている。ベクターは、まず本発明の単鎖インスリンをコードする全DNA配列を含有するDNAコンストラクトを調製し、続いて適切な発現ベクターにこのフラグメントを挿入するか、又は個々のエレメント(例えば、シグナル、プロ-ペプチド、結合ペプチド、A及びB鎖)についての遺伝的情報を含むDNAフラグメントを挿入し、続いてライゲーションすることにより構築されると理解されるであろう。
【0019】
このようなポリヌクレオチド配列を含むベクターを、先に記載したようにして、ベクターが染色体組み込み体として又は自己複製染色体外ベクターとして維持されるように、宿主細胞中に導入する。「宿主細胞」なる用語は、複製中に生じる変異のために親細胞と同一ではない親細胞の任意の子孫を包含する。宿主細胞は、単細胞生物、例えば原核生物、又は非単細胞生物、例えば真核生物であってよい。有用な単細胞は細菌細胞、例えば限定されるものではないが、バチルス細胞、ストレプトマイセス細胞を含むグラム陽性菌、又はグラム陰性菌、例えば大腸菌及びシュードモナス属である。真核細胞は、哺乳動物、昆虫、植物、又は真菌細胞であってよい。好ましい実施態様において、宿主細胞は酵母細胞である。本発明の方法に使用される酵母生物は、培養で多量の本発明の単鎖インスリンを生産する任意の適切な酵母生物でありうる。適切な酵母生物の例は、酵母種出芽酵母、サッカロマイセス・クルイベリ(kluyveri)、分裂酵母、サッカロマイセス・ウバルム(uvarum)、クルイベロマイセス・ラクチス、ハンゼヌラ・ポリモルファ、ピキア・パストリス、ピキア・メタノリカ、ピキア・クルイベリ、ヤロウイア・リポリティカ(lipolytica)、カンジダ種、トルラ酵母、カンジダ・カカオイ(cacaoi)、ゲオトリクム種、及びゲオトリクム・フェルメンタンス(fermentans)から選択される株である。
【0020】
酵母細胞の形質転換は、例えば原形質形成と続く形質転換によりそれ自体知られている方式でなされうる。細胞を培養するのに使用される培地は酵母生物を増殖させるのに適した任意の従来からの培地であり得る。分泌されるインスリンポリペプチドは、その有意な割合が正しくプロセシングされた形態で培地中に存在するが、遠心分離、濾過による培地からの酵母細胞の分離、又はイオン交換マトリックス又は逆相吸収マトリックスによるインスリン前駆体の捕捉、例えば硫酸アンモニウムのような塩による上清又は濾液のタンパク質性成分の沈殿と、続く例えばイオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー等のような様々なクロマトグラフィー法による精製を含む、従来からの手順により培地から回収されうる。
【0021】
一実施態様において、この発明のある種の伸長インスリンのインビボ半減期は改善され、1週間に1回投与に適したように作製される。
一実施態様において、この発明のある種の伸長インスリンのインビボ半減期は改善され、2日毎投与に適したように作製される。
一実施態様において、この発明のある種の伸長インスリンのインビボ半減期は改善され、1日に1回投与に適したように作製される。
一実施態様において、この発明のある種の伸長インスリンのインビボ半減期は改善され、1日に2回投与に適したように作製される。
一実施態様において、この発明のある種の伸長インスリンのインビボ半減期は改善され、1日に3回投与に適したように作製される。
【0022】
他の実施態様において、本発明の伸長インスリンの疎水性度は<25である。
他の実施態様において、本発明の伸長インスリンの疎水性度は<20である。
他の実施態様において、本発明の伸長インスリンの疎水性度は<15である。
他の実施態様において、本発明の伸長インスリンの疎水性度は<10である。
他の実施態様において、本発明の伸長インスリンの疎水性度は<5である。
他の実施態様において、本発明の伸長インスリンの疎水性度は<1である。
他の実施態様において、本発明の伸長インスリンの疎水性度は<0.5である。
他の実施態様において、本発明の伸長インスリンの疎水性度は<0.1である。
他の実施態様において、本発明の伸長インスリンの疎水性度は<0.05である。
他の実施態様において、本発明の伸長インスリンの疎水性度は<0.01である。
【0023】
(製薬投与)
この発明の化合物、すなわち伸長インスリンは、例えば、皮下、経口、又は肺投与することができる。
皮下投与用として、この発明の伸長インスリンは、公知のインスリンの処方物と同じように処方される。さらに、皮下投与用として、この発明の伸長インスリンは、公知のインスリンの投与と同じように投与され、一般的に、医者はこの手順に通じている。
経口投与用として、この発明の伸長インスリンは、経口的に投与される他の医薬の処方物と同じように処方される。さらに、経口投与用として、この発明の伸長インスリンは、公知の経口用医薬の投与と同じように投与され、主として、医者はこのような手順に通じている。
【0024】
肺用生成物については、以下に詳細を付与する:
この発明の伸長インスリンは、循環インスリンレベルを増加させ、及び/又は循環グルコースレベルを低下させるための用量効果的方式で、吸入により投与されてよい。このような投与は、糖尿病又は高血糖等の疾患を処置するのに効果的である。インスリンの効果的な投与を達成するには、この発明の伸長インスリンを、約0.5μg/kg〜約50μg/kg以上の吸入量で投与することが必要である。治療的有効量は、インスリンレベル、血糖値、患者の身体コンディション、患者の肺の状態等を含む要因を考慮し、博識な実施者により決定することができる。
【0025】
本発明において、この発明の伸長インスリンは、その吸収を達成するために、吸入により送達されてもよい。吸入による投与は、インスリンの皮下投与に匹敵する薬物動態をもたらすことができる。この発明の伸長インスリンを吸入することで、循環インスリンレベルの上昇、続いて血糖値の低下に至る。同様の粒子径及び同様の肺沈着レベルで比較される場合、典型的には、種々の吸入装置により、同様の薬物動態が提供される。
【0026】
本発明において、この発明の伸長インスリンは、吸入による治療剤の投与において、当該技術で公知の任意の様々な吸入装置により送達され得る。これらの装置には、定量噴霧式吸入器、ネブライザー、乾燥パウダー発生器、スプレー等が含まれる。好ましくは、この発明の伸長インスリンは、乾燥パウダー吸入器又はスプレーにより送達される。この発明の伸長インスリンを投与するための吸入装置には、いくつかの所望される特徴がある。例えば、吸入装置による送達には、有利には信頼性、再現性及び正確性がある。良好な呼吸性のためには、吸入装置は、小粒子、例えば約10μm未満、例えば約1-5μm未満のものを送達すべきである。この発明の実施に適した商業的に入手可能な吸入装置のいくつかの特定の例は、TurbohalerTM(Astra)、Rotahaler(登録商標)(Glaxo)、Diskus(登録商標)(Glaxo)、SpirosTM吸入器(Dura)、吸入治療用に市販されている装置、AERxTM(Aradigm)、Ultravent(登録商標)ネブライザー(Mallinckrodt)、Acorn II(登録商標)ネブライザー(Marquest Medical Products)、Ventolin(登録商標)定量噴霧式吸入器(Glaxo)、Spinhaler(登録商標)パウダー吸入器(Fisons)等である。
【0027】
当業者が認識しているように、この発明の伸長インスリンの処方、送達される処方物の量、及び単一用量の投与の持続時間は、使用される吸入装置の種類に依存している。ネブライザー等、いくつかのエアゾール送達システムにとって、投与頻度及びシステムが稼働している時間の長さは、主として、エアゾール中のこの発明の伸長インスリンの濃度に依存するであろう。例えば、投与時間が短いと、ネブライザー溶液においては、より高い濃度のこの発明の伸長インスリンを使用することができる。定量噴霧式吸入器等の装置は、高濃度のエアゾールを生成することができ、所望の量のこの発明の伸長インスリンの送達を、より短い時間で作動させることができる。パウダー吸入器等の装置は、付与された充填量の薬剤が装置から排出されるまで、活性剤を送達させる。この種の吸入器において、付与されたパウダー量における、この発明の伸長インスリンの量は、一回の投与で送達される用量を決定する。
【0028】
吸入装置で送達される処方物におけるこの発明の伸長インスリンの粒子径は、肺、好ましくは気道下部及び肺胞内においてなされる、インスリンの能力に関して重要である。好ましくは、この発明の伸長インスリンは、送達されるこの発明の伸長インスリンの少なくとも約10%、好ましくは約10%〜20%、又はそれ以上が肺に沈着するように処方される。口呼吸するヒトにとって、肺沈着の最大効率は、約2μm〜約3μmの粒子径で得られる。粒子径が約5μm以上になると、肺沈着はかなり低減する。粒子径が約1μm以下であると、肺沈着の低下が引き起こされ、治療に有効な十分な量の粒子を送達することが困難になる。よって、吸入器により送達されるこの発明の伸長インスリンの粒子は、好ましくは約10μm未満、より好ましくは約1μm〜5μmの範囲を有する。この発明の伸長インスリンの処方は、選択された吸入装置において所望される粒子径が生じるように選択される。
【0029】
乾燥パウダーとしての投与に有利には、この発明の化合物は、約10μm未満、好ましくは約1μm〜約5μmの粒子径を有する微粒子型に調製される。より好ましい粒子径は、患者の肺の肺胞に送達するのに効果的なものである。好ましくは、乾燥パウダーは、多くの粒子が所望する範囲のサイズを有するように生成された粒子から、ほとんどなる。有利には、乾燥パウダーの少なくとも50%が、約10μm未満の直径を有する粒子から作製される。このような処方は、この発明の伸長インスリン及び他の所望する成分を含有する溶液を、噴霧乾燥、製粉、又は臨界点濃縮することにより達成可能である。また、本発明に有用な粒子を作製するのに適切な他の方法も、当該技術で公知である。
【0030】
粒子は、通常、容器中で乾燥パウダー処方物から分離され、ついで運搬気流を介して患者の肺に移送される。典型的には、現在の乾燥パウダー吸入器において、固形物を破壊する力は、単に、患者の吸入により提供される。適切な乾燥パウダー吸入器の一つは、 Astra (Sodertalje, Sweden)で製造されているTurbohalerTMである。他の種類の吸入器においては、患者の吸入により生じる気流が、モノマー性インスリン類似体粒子を凝集させない推進モーターを駆動させる。Dura SpirosTM 吸入器がこのような装置である。
【0031】
乾燥パウダー吸入器から投与されるこの発明の伸長インスリンの処方物は、典型的には、この発明の伸長インスリンを含有する微細に分割された乾燥パウダーを含むが、パウダーは、さらに増量剤、担体、賦形剤、他の添加剤等をさらに含むことができる。例えば特定のパウダー吸入器から送達させるのに必要なパウダーを希釈するため、処方のプロセシングを容易にするため、処方物に有利なパウダー性を付与するため、吸入装置からのパウダーの分散を容易にするため、処方物を安定させるため(例えば、酸化防止剤又はバッファー)、処方物に味を付与するため等に、添加剤をこの発明の伸長インスリンの乾燥パウダー処方物に含有させることができる。有利には、添加剤は患者の気道に悪影響を与えないものである。この発明のインスリンは分子レベルで添加剤と混合することができ、又は固体状処方物は添加剤の粒子と混合、又はこれでコーティングされて、この発明の伸長インスリンの粒子を含有することができる。典型的な添加剤には、単糖類、二糖類、及び多糖類;糖アルコール類及び他のポリオール類、例えばラクトース、グルコース、ラフィノース、メレジトース、ラクチトール(lactitol)、マルチトール、トレハロース、スクロース、マンニトール、デンプン、又はそれらの組合せ;界面活性剤、例えばソルビトール類、ジホスファチジルコリン、又はレシチン等が含まれる。典型的には、添加剤、例えば増量剤は、上述した目的に対して有効な量、多くの場合は処方物の重量に対して約50%〜約90%の量で存在している。インスリン類似体タンパク質等の、タンパク質の処方物について、当該技術で公知の添加剤も、本処方物に含めることができる。
【0032】
この発明の伸長インスリンを含むスプレーは、この発明の伸長インスリンの懸濁液又は溶液を、加圧下にて、強いてノズルを通過させることにより製造することができる。ノズルサイズ及び構造、適用圧力、及び液体供給速度は、所望する出量及び粒子径が達成されるように選択することができる。例えば、キャピラリー又はノズルフィード部に接続した電場により、電気スプレーを製造することができる。有利には、スプレーにより送達されるこの発明の伸長インスリンの粒子は、約10μm未満、好ましくは約1μm〜約5μmの範囲の粒子径を有する。
【0033】
スプレーを用いて使用するのに適したこの発明の伸長インスリンの処方物は、典型的には、溶液1ml当たり、約1mg〜約20mgのこの発明の伸長インスリン濃度で、水溶液中にこの発明の伸長インスリンを含有している。処方物は、賦形剤、バッファー、等張剤、防腐剤、界面活性剤、好ましくは亜鉛等の薬剤を含有することができる。また処方物は、賦形剤、又はこの発明のインスリンを安定化させるための薬剤、例えばバッファー、還元剤、バルクタンパク質、又は炭水化物をさらに含有可能である。この発明のインスリンの処方に有用なバルクタンパク質には、アルブミン、プロタミン等が含まれる。この発明のインスリンの処方に有用な典型的な炭水化物には、スクロース、マンニトール、ラクトース、トレハロース、グルコース等が含まれる。またこの発明のインスリン処方物は、エアゾールの形成において、溶液の噴霧化により生じるこの発明のインスリンの表面誘起凝集を低減又は防止可能な界面活性剤を、さらに含有することができる。種々の従来からの界面活性剤、例えばポリオキシエチレン脂肪酸エステル及びアルコール類、及びポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルを使用することができる。量は、一般的には、処方物の重量に対して約0.001〜約4%の範囲である。この発明の目的において特に好ましい界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、ポリソルバート80、ポリソルバート20等である。タンパク質、例えばインスリン類似体タンパク質の処方物についての当該技術で公知の添加剤を、さらに処方物に含有せしめることもできる。
【0034】
この発明の伸長インスリンは、ネブライザー、例えばジェットネブライザー又は超音波ネブライザーにより投与することができる。ジェットネブライザーにおいて典型的には、圧縮空気源が使用され、穴部を介して、高速空気ジェットが生じる。ノズルを過ぎて空気が膨張した際に、低圧領域が生じ、液体タンクに連結されたキャピラリーチューブを介して、この発明の伸長インスリンの溶液が引き出される。キャピラリーチューブからの液体流は、それがチューブから出て行くときに、不安定なフィラメント及び小滴に分けられ、エアゾールが生じる。付与されたジェットネブライザーからの所望のパフォーマンス特性が達成されるような範囲の立体配置、流速、及び整流装置の種類が使用される。超音波ネブライザーにおいては、典型的には圧電変換器を使用し、振動、機械的エネルギーを生じせしめるために、高周波の電気エネルギーが使用される。このエネルギーは、直接、又はカップリング流体を介して、この発明のインスリンの処方物に伝わり、この発明のインスリンを含有するエアゾールが作製される。有利には、ネブライザーにより送達されるこの発明の伸長インスリンの粒子は、約10μm未満、好ましくは約1μm〜約5μmの範囲の粒子径を有する。
【0035】
ジェット又は超音波のいずれかのネブライザーでの使用に適したこの発明の伸長インスリンの処方物は、典型的には、溶液1ml当たり、約1mg〜約20mgのこの発明の伸長インスリン濃度で、水溶液中にこの発明の伸長インスリンを含有している。処方物は、賦形剤、バッファー、等張剤、防腐剤、界面活性剤、好ましくは亜鉛等の薬剤を含有することができる。また処方物は、賦形剤、又はこの発明のインスリンを安定化させるための薬剤、例えばバッファー、還元剤、バルクタンパク質、又は炭水化物をさらに含有可能である。この発明のインスリンの処方に有用なバルクタンパク質には、アルブミン、プロタミン等が含まれる。この発明のインスリンの処方に有用な典型的な炭水化物には、スクロース、マンニトール、ラクトース、トレハロース、グルコース等が含まれる。またこの発明の処方物の伸長インスリンは、エアゾールの形成において、溶液の噴霧化により生じるこの発明の伸長インスリンの表面誘起凝集を低減又は防止可能な界面活性剤を、さらに含有することができる。種々の従来からの界面活性剤、例えばポリオキシエチレン脂肪酸エステル及びアルコール類、及びポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルを使用することができる。量は、一般的には、処方物の重量に対して約0.001〜約4%の範囲である。この発明の目的において特に好ましい界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、ポリソルバート80、ポリソルバート20等である。タンパク質、例えばインスリン類似体タンパク質の処方物についての当該技術で公知の添加剤を、さらに処方物に含有せしめることもできる。
【0036】
定量噴霧式吸入器(MDI)において、噴霧剤、この発明の伸長インスリン、及び任意の賦形剤、又は他の添加剤は、液化圧縮ガスを含有する混合物として、キャニスターに収容されている。絞り弁の作動により、好ましくは約10μm、さらに好ましくは約1μm〜約5μmの範囲の大きさの粒子を含有するエアゾールとして、混合物が放出される。所望のエアゾール粒子径は、ジェットミル、噴霧乾燥、臨界点濃縮等を含む、当業者に公知の種々の方法により生成された、この発明の伸長インスリンの処方物を使用することで得ることができる。好ましい定量噴霧式吸入器には、3M又はGlaxoにより製造され、ヒドロフルオロカーボン噴霧剤を使用するものが含まれる。
【0037】
定量噴霧式吸入装置を用いた使用について、この発明の伸長インスリンの処方物は、一般的には、例えば界面活性剤の補助により噴霧剤で懸濁した、非水性媒体の懸濁液としてこの発明の伸長インスリンを含有する、微細に分割されたパウダーを含有するであろう。噴霧剤は、この目的のために使用されている任意の従来からの物質、例えばクロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、又は炭化水素、特にトリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタノール、及び1,1,1,2-テトラフルオロエタン、HFA-134a(ヒドロフルオロアルカン-134a)、HFA-227(ヒドロフルオロアルカン-227)等であってよい。好ましい噴霧剤はヒドロフルオロカーボンである。界面活性剤は、例えば、噴霧剤中で、懸濁液としてこの発明の伸長インスリンを安定化させ、化学的分解に対して活性剤が保護されるように選択することができる。適切な界面活性剤には、ソルビタントリオレアート、大豆レシチン、オレイン酸等が含まれる。いくつかのケースにおいて、液状エアゾールは、好ましくはエタノール等の溶媒を使用している。タンパク質、例えばインスリン類似体タンパク質の処方物についての当該技術で公知の添加剤を、さらに処方物に含有せしめることもできる。
当業者であれば、本発明の方法が、ここに記載されていない装置を介した、この発明の伸長インスリンの肺投与により達成されてもよいことを認識しているであろう。
【0038】
また本発明は、この発明の伸長インスリンを含有し、吸入による投与に適した製薬用組成物又は処方物に関する。本発明において、この発明の伸長インスリンは、吸入による投与に適した処方物又は医薬の製造に使用可能である。また本発明は、吸入による投与に適した形態で、この発明の伸長インスリンを含有する処方物を製造するための方法に関する。例えば、乾燥パウダー処方物は、従来からの技術を使用する、いくつかの方法において製造可能である。呼吸管下部における最大沈着に適切な範囲の大きさの粒子は、微粉化、製粉、噴霧乾燥等により作製可能である。また、液状調製物は、適切なpHで、バッファー又は他の割形剤を含む、例えば水等の適切な溶媒に、この発明の伸長インスリンを溶解させることによって製造可能である。
【0039】
よって、一実施態様において、この発明は、肺的手段により、それを必要とする患者に、有効量のこの発明の伸長インスリンを投与することを含む、該化合物を投与する方法に関し;好ましくは、該化合物は患者の口を介して吸入される。
【0040】
本発明の他の目的は、0.1mg/ml〜500mg/mlの濃度で存在する、本発明の伸長インスリンを含有する製薬用処方物を提供することであり、ここで該処方物は2.0〜10.0のpHを有する。処方物は、プロテアーゼインヒビター(類)、バッファー系、防腐剤(類)、等張化剤(類)、キレート剤(類)、安定剤及び界面活性剤をさらに含有してよい。本発明の一実施態様において、製薬用処方物は水性処方物であり、すなわち処方物は水分を含有している。このような処方物は、典型的には溶液又は懸濁液である。本発明のさらなる実施態様において、製薬用処方物は水溶液である。「水性処方物」なる用語は、少なくとも50%(重量/重量)の水分を含有する処方物と定義される。同様に「水溶液」なる用語も、少なくとも50%(重量/重量)の水分を含有する溶液と定義され、「水性懸濁液」なる用語は、少なくとも50%(重量/重量)の水分を含有する懸濁液と定義される。
【0041】
他の実施態様において、製薬用処方物は凍結乾燥された処方物であり、医師又は患者は、使用前に溶媒及び/又は希釈液を添加する。
他の実施態様において、製薬用処方物は、何ら事前に溶解することなく使用準備が整った乾燥した処方物(例えば凍結乾燥又は噴霧乾燥)である。
【0042】
さらなる実施態様において、本発明は、本発明の伸長インスリンの水溶液及びバッファーを含有する製薬用処方物に関し、該伸長インスリンは0.1mg/ml又はそれ以上の濃度で存在し、該処方物は約2.0〜約10.0のpHを有する。
【0043】
経口使用を意図した処方物は、任意の公知の方法に従い調製されてよく、このような処方物は、製薬的に上品かつ美味な調製物を提供するために、甘味料、香料、着色剤、及び防腐剤からなる群から選択される、一又は複数の薬剤を含有していてもよい。錠剤は、錠剤の製造に適切な、無毒で製薬的に許容可能な賦形剤との混合物に、活性成分を含有せしめたものであってよい。これらの賦形剤は、例えば不活性な希釈剤、例えばマンニトール、マルトデキストリン、カオリン、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウム;造粒剤及び崩壊剤、例えばコーンスターチ;結合剤、例えばデンプン、ゼラチン、ポリマー又はアカシア;及び滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクであってよい。錠剤はコートされていなくてもよく、又は崩壊もしくは治療的に活性なポリペプチドの放出を遅延化するために、公知の技術によりコートされてもよい。
【0044】
本発明の経口的に投与される処方物は、薬化学でよく知られている方法に従い、調製及び投与されてよく、Remington's Pharmaceutical Sciences, 第17版. (A. Osol編, 1985)が参照される。
【0045】
本発明の一態様において、本発明の製薬用組成物は、錠剤及びカプセル等、固体状の投与形態で投与されてよい。錠剤は湿式造粒、乾式造粒、直接圧縮、又は溶融造粒により調製されてよい。
【0046】
この発明の錠剤は、従来からの錠剤化技術を使用して調製されてよい。製造のための一般的方法は、伸長インスリン、水溶性希釈剤、親水性バインダー、及び場合によっては錠剤分解物質の一部を混合することを含む。ついで、この混合物を、親水性バインバーの水溶液又は親水性バインダーと界面活性剤との水溶液を用いて造粒し、必要であるならば挽く。顆粒を乾燥させ、所望の大きさに小さくする。任意の他の成分、例えば滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム)、及び付加的な錠剤分解物質を顆粒に添加し、混合する。ついで、この混合物を適切な大きさに圧縮し、従来からの錠剤化機械、例えば回転式錠剤プレスを使用して成形する。錠剤は、当該技術でよく知られている技術によりフィルムコーティングされてもよい。
【0047】
経口使用のための処方物は、硬質又は軟質なゼラチンカプセルとしても提供されてよく、ここで活性成分は、不活性な固体状希釈剤、例えばマンニトール、マルトデキストリン、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、カオリン、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウムと混合されており、又は軟質なゼラチンカプセルの場合は、活性成分は水又は油性媒体、例えばピーナッツ油、流動パラフィン、又はオリブ油と混合されている。
【0048】
この発明のカプセルは、従来からの方法を使用して調製されてよい。製造のための一般的方法は、治療的に活性なペプチド、アルギン酸塩、水溶性の希釈剤、親水性バインダー、場合によっては錠剤分解物質の一部を混合することを含む。ついで、この混合物を、親水性バインバーの水溶液又は親水性バインダーと界面活性剤との水溶液を用いて造粒し、必要であるならば挽く。顆粒を乾燥させ、所望の大きさに小さくする。任意の他の成分、例えば滑剤を顆粒に添加し、混合する。ついで、従来からのカプセル充填機を使用し、得られた混合物を適切なサイズの殻の固いゼラチンカプセルに充填する。
【0049】
本発明のさらなる実施態様において、バッファーは、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、シタラート、グリシルグリシン、ヒスチジン、グリシン、リジン、アルギニン、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム、及びトリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン、ビシン、トリシン、リンゴ酸、スクシナート、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、アスパラギン酸又はそれらの混合物からなる群から選択される。これらの特定のバッファー各自は、本発明の別の実施態様を構成する。
【0050】
本発明のさらなる実施態様において、処方物は製薬的に許容可能な防腐剤をさらに含有する。防腐剤は、防腐効果を得るのに十分な量で存在している。製薬用処方物における防腐剤の量は、当業者によく知られている量であり、例えば当該分野の文献及び/又は市販品等における防腐剤の既知の量から決定されてよい。これらの特定の防腐剤各自は、本発明の別の実施態様を構成する。製薬用組成物に防腐剤を使用することは、当業者によく知られている。便宜的な参照として、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 第19版, 1995が挙げられる。
【0051】
本発明のさらなる実施態様において、処方物はキレート剤をさらに含有する。製薬用組成物にキレート剤を使用することは、当業者によく知られている。便宜的な参照として、Remington:The Science及びPractice of Pharmacy, 第19版, 1995が挙げられる。
本発明のさらなる実施態様において、処方物は安定剤をさらに含有する。ここで使用される場合「安定剤」なる用語は、ペプチドを安定にするために、すなわちこのような処方物の保管期間及び/又は使用期間を長くするために、ポリペプチド含有製薬用処方物に添加される化学物質を称する。製薬用組成物に安定剤を使用することは、当業者によく知られている。便宜的な参照として、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 第19版, 1995が挙げられる。
【0052】
本発明のさらなる実施態様において、処方物は界面活性剤をさらに含有する。ここで使用される場合「界面活性剤」なる用語は、水溶性(親水性)部分、頭部、脂溶性(親油性)セグメントを含む任意の分子又はイオンを称する。界面活性剤は、好ましくは界面に蓄積され、親水性部分は水(親水性相)に向いており、親油性部分は油又は疎水性相(すなわち、ガラス、空気、油等)に向いている。界面活性剤がミセルを形成し始める濃度は、臨界ミセル濃度、すなわちCMCとして公知である。さらに、界面活性剤は液体の表面張力を低下させる。界面活性剤は両親媒性化合物として公知である。「洗浄剤」なる用語は、一般的に界面活性剤と同義語として使用される。製薬用組成物に界面活性剤を使用することは、当業者によく知られている。便宜的な参照として、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 第19版, 1995が挙げられる。
本発明のさらなる実施態様において、処方物は、プロテアーゼインヒビターをさらに含有する。
【0053】
他の成分が本発明の伸長インスリン製薬用処方物に存在することは可能である。このような付加的な成分は、湿潤剤、乳化剤、酸化防止剤、増量剤、張力修正剤、キレート剤、金属イオン、油性ビヒクル、タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン、ゼラチン又はタンパク質)及び双性イオン(例えばアミノ酸、特にベタイン、タウリン、アルギニン、グリシン、リジン及びヒスチジン)を含んでよい。もちろん、このような付加的な成分は、本発明の製薬用処方物の全体的な安定性に悪影響を及ぼさないものである。
【0054】
さらに正確には、この発明は、次の実施態様に関する:
a)ここに記載された方法であって、ここで、この発明の伸長インスリンは患者の気道下部に送達される。
b)ここに記載された方法であって、ここで、この発明の伸長インスリンは肺胞に沈着する。
c)ここに記載された方法であって、ここで、この発明の伸長インスリンは、製薬的に許容可能な担体にこの発明の伸長インスリンを含有せしめてなる製薬用処方物として投与される。
d)ここに記載された方法であって、ここで、処方物は、水性媒体における溶液及び非水性媒体における懸濁液からなる群から選択される。
e)ここに記載された方法であって、ここで、処方物はエアゾールとして投与される。
f)ここに記載された方法であって、ここで、処方物は乾燥パウダーの形態をしている。
g)ここに記載された方法であって、ここで、処方物は約10ミクロン未満の粒子径を有する。
h)ここに記載された方法であって、ここで、処方物は約1〜約5ミクロンの粒子径を有する。
i)ここに記載された方法であって、ここで、処方物は約2〜約3ミクロンの粒子径を有する。
j)ここに記載された方法であって、ここで、送達されたこの発明の伸長インスリンの少なくとも約10%は、肺に沈着する。
k)ここに記載された方法であって、ここで、この発明の伸長インスリンは、肺投与に適した吸入装置から送達され、患者の肺にインスリン類似体を沈着可能である。
l)ここに記載された方法であって、ここで、装置は、ネブライザー、定量噴霧式吸入器、乾燥パウダー吸入器、及びスプレーからなる群から選択される。
m)ここに記載された方法であって、ここで、装置は乾燥パウダー吸入器である。
n)ここに記載された方法であって、ここで、装置はネブライザーである。
o)ここに記載された方法であって、ここで、装置は定量噴霧式吸入器である。
p)ここに記載された方法であって、ここで、装置はスプレーである。
q)ここに記載された方法であって、ここで、装置の作動により、約3μg/kg〜約20μg/kgのこの発明の伸長インスリン、好ましくは約7μg/kg〜約14μg/kgのこの発明の伸長インスリンが投与される。
r)ここに記載された方法であって、ここで、前記この発明の伸長インスリンは、ここでの任意の実施例に特に記載されている任意の化合物である。
s)この発明の伸長インスリンを有効量、肺的手段により、それを必要とする患者に投与することを含む、糖尿病を処置するためのここに記載された方法。
t)ここに記載された方法であって、ここで、この発明の伸長インスリンは、特にここでの特定の実施例における、ここに特に記載されているこの発明の任意の特定の伸長インスリンである。
上述した実施態様は、本方法に関連して特にここに記載されているが、それらは、使用される製品又は処方物についても同じように適用される。
【0055】
(この発明の好ましい特徴)
要約すれば、この発明の特徴は以下の通りである:
1.少なくとも5のアミノ酸残基、好ましくは少なくとも10のアミノ酸残基、より好ましくは少なくとも15のアミノ酸残基で、800以下のアミノ酸残基、好ましくは300以下のアミノ酸残基、好ましくは100以下のアミノ酸残基、好ましくは50以下のアミノ酸残基を含む、一又は複数のアミノ酸オリゴマー残基に、アミド結合、好ましくはペプチド結合により結合しているインスリン残基(上述したもの)である伸長インスリン。
2.アミノ酸オリゴマー残基がコード可能なアミノ酸残基からなる、前項の伸長インスリン。
3.アミノ酸オリゴマー残基がリジン残基を含まない、前項の伸長インスリン。
【0056】
4.アミノ酸オリゴマー残基が、Gly、Glu、Pro及びSer残基からなる群から選択されるアミノ酸残基からなる、前述の可能な項のいずれかの伸長インスリン。これらのアミノ酸残基は同一でも異なっていてもよく、任意の順番で配列されてもよい。
5.アミノ酸オリゴマー残基がGly残基からなる、前項の伸長インスリン。
【0057】
6.アミノ酸オリゴマー残基中のGly残基の量が少なくとも80%(重量/重量)である、前述の可能な項のいずれかの伸長インスリン。
7.アミノ酸オリゴマー残基中のGly残基の量が少なくとも80%(数的)である、前述の可能な項のいずれかの伸長インスリン。
8.アミノ酸オリゴマー中のGly残基の量が少なくとも85%(数的)である、前述の可能な項のいずれかの伸長インスリン。
9.アミノ酸オリゴマー残基中のGly残基の量が少なくとも90%(数的)である、前述の可能な項のいずれかの伸長インスリン。
10.アミノ酸オリゴマー残基中のGly残基の量が少なくとも95%(数的)である、前述の可能な項のいずれかの伸長インスリン。
【0058】
11.アミノ酸オリゴマー残基が(Gly)、(Gly-Pro-Pro)、(Pro-Pro-Gly)、(Gly-Ser)、(Ser-Gly)、(Gly-Glu)又は(Glu-Gly)であり、nがアミノ酸残基の適切な数を付与する整数である、前述の可能な項のいずれかの伸長インスリン。
12.アミノ酸オリゴマー残基が、インスリンの位置B1、A21、B29又はB30の一つにあるアミノ酸残基に結合しており、但し該アミノ酸はオリゴマー残基に結合する前の末端位に存在している、前述の可能な項のいずれかの伸長インスリン。前記の位置B1、A21、B29又はB30にあるアミノ酸が末端位に存在しないならば、アミノ酸オリゴマー残基はインスリンの位置B0、B(−1)、A22、A23、B31又はB32の一つにあるアミノ酸残基に結合している。
【0059】
13.B鎖のC末端に結合している任意のオリゴマーがアルギニン残基により終結している、前述の可能な項のいずれかの伸長インスリン。
14.アミノ酸オリゴマー残基が、インスリンの位置B29又はB30の一つにあるアミノ酸残基に結合しており、但し該アミノ酸はオリゴマーに結合する前の末端位に存在しており、該オリゴマーがアルギニン残基により終結している、前述の可能な項のいずれかの伸長インスリン。
【0060】
15.インスリン残基が51以下のアミノ酸残基を含む、前述の可能な項のいずれかの伸長インスリン。
16.インスリン残基が、次の任意の修飾:A14:E又はD;A21:G、A又はQ;B3:Q、S又はT;B25:H;B28:D又はE;B30:des(すなわちdesB30)の一又は複数を有するヒトインスリンである、前述の可能な項のいずれかの伸長インスリン。
17.インスリン残基が、ヒトインスリン、desB30ヒトインスリン、インスリンアスパルト、A21Glyヒトインスリン、A21Gly desB30ヒトインスリン、リスプロ、又はグルリシン(glulisine)の残基である、前述の可能な項のいずれかの伸長インスリン。
18.唯一のオリゴマー残基がインスリン残基に結合している、前述の可能な項のいずれかの伸長インスリン。
19.厳密には2つのオリゴマー残基がインスリン残基に結合している、最後の1項を除き、前述の可能な項のいずれかの伸長インスリン。
【0061】
ここに引用された刊行物、特許出願及び特許を含む全ての文献は、各文献が、出典明示により個々にかつ特に援用され、その全内容がここに記載されているかの如く、その全体が出典明示によりここに援用される(法律により許容される最大範囲)。
全ての表題及び副題は、ここでは便宜的に使用され、何らの方法で本発明を限定するものと解してはならない。
ここに提供される任意かつ全ての例、又は例示的言語(例えば「等」)の使用は、単に本発明をより明らかに例証することを意図しており、特に請求項に記載がない限り、本発明の範囲に限定をもたらすものではない。明細書中の如何なる語句も請求項に記載していない要素が本発明の実施に必須であることを示しているものと解してはならない。
ここでの特許文献の引用及び援用は単に便宜上なされているもので、そのような特許文献の有効性、特許性、及び/又は権利行使性についての見解を反映させるものではない。
文献のここでの記載は、それらが従来技術を構成することの承認ではない。
【0062】
ここで、「含有する」なる単語は、広義には「含む」、「有する」又は「包含する」を意味すると解釈される(EPOガイドラインC4.13)。
この発明は、ここに付記される請求項に列挙される
この発明は、適用される法律に容認される場合、ここに付加される請求項に列挙された主題事項の全ての修正点及び等価物を含む。
次の実施例は、限定ではなく、例証のために提供されるものである。
【実施例】
【0063】
一般的手順:
発現ベクターの構築、酵母細胞の形質転換、及び本発明のインシュリン前駆体の発現
全ての発現プラスミドは、欧州特許第171142号に記載されたものに類似した、C-POT型のものであり、出芽酵母におけるプラスミドの選択及び安定化を目的とし、分裂酵母トリオースリン酸イソメラーゼ遺伝子(POT)を含有することで特徴付けられる。またプラスミドは、出芽酵母トリオースリン酸イソメラーゼプロモータ及びターミネーターをさらに含有する。これらの配列は、インスリン生成物及びリーダーの融合タンパク質をコードするEcoRI-XbaIフラグメントの配列を除く全ての配列であるとして、プラスミドpKFN1003における対応配列に類似している(国際公開第90/10075号に記載)。種々の融合タンパク質を発現させるために、pKFN1003のEcoRI-XbaIフラグメントは、関心あるリーダー-インスリン融合体をコードするEcoRI-XbaIフラグメントで簡単に置き換えられる。このようなEcoRI-XbaIフラグメントは、標準的な手順に従い、合成オリゴヌクレオチド及びPCRを使用して合成されてよい。
【0064】
酵母形質転換体を、宿主株出芽酵母株MT663(MATa/MATα pep4-3/pep4-3 HIS4/his4 tpi::LEU2/tpi::LEU2 Cir)の形質転換により調製した。酵母株MT663を、国際公開第92/11378号に関連して、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturenに寄託し、寄託番号DSM6278が付与された。
MT663を、600nmでの光学密度が0.6になるまで、YPGaL(1%のバクト酵母抽出物、2%のバクトペプトン、2%のガラクトース、1%のラクタート)において増殖させた。100mlの培養体を遠心分離により収集し、10mlの水で洗浄し、再度遠心分離し、1.2Mのソルビトール、25mMのNaEDTA、pH=8.0及び6.7mg/mlのジチオトレイトール(dithiotreitol)を含有する10mlの溶液に再懸濁させた。懸濁液を30℃で15分インキュベートし、遠心分離し、1.2Mのソルビトール、10mMのNaEDTA、0.1Mのクエン酸ナトリウム、pH5.8、及び2mgのNovozym(登録商標)234を含有する10mlの溶液に、細胞を再懸濁させた。懸濁液を30℃で30分インキュベートし、遠心分離により細胞を収集し、10mlの1.2Mソルビトール及び10mlのCAS(1.2Mのソルビトール、10mMのCaCl、10mMのTris HCl(pH=7.5))で洗浄し、2mlのCASに再懸濁させた。形質転換のために、1mlのCAS-懸濁細胞を、約0.1mgのプラスミドDNAと混合し、室温に15分間放置した。1mlの(20%のポリエチレングリコール4000、10mMのCaCl、10mMのTris HCl、pH=7.5)を添加し、混合物をさらに30分、室温で放置した。混合物を遠心分離し、ペレットを、0.1mlのSOS(1.2Mのソルビトール、33%v/vのYPD、6.7mMのCaCl)に再懸濁させ、30℃で2時間インキュベートした。ついで、懸濁液を遠心分離にかけ、ペレットを0.5mlの1.2Mソルビトールに再懸濁させた。ついで、6mlの上層寒天(1.2Mのソルビトールと2.5%の寒天を含有する、ShermanらのSC培地(1982) Methods in Yeast Genetics, Cold Spring Harbor Laboratory)を52℃で添加し、同様の寒天で凝固した、ソルビトール含有培地を収容するプレートの頂部に、懸濁液を注いだ。発現プラスミドで形質転換された出芽酵母株MT663を、30℃で72時間、YPDにおいて増殖させた。
【0065】
伸長インスリン前駆体(単鎖前駆体)は、B鎖のN末端に次の伸長部:EEAEAEAPKを有し、次のCペプチド:DGKを含む。
伸長インスリン前駆体を、セファロース(EC 3.4.21.50)に固定化されたアクロモバクター・ライティクス(Achromobacter lyticus)リジン特異性プロテアーゼ(ALP)により、対応する2本鎖desB30インスリン類似体に転換させた。各インスリン類似体前駆体について、3mlの酵母培養上清を新しいチューブに移し、0.2MのNaHCO、pH9.1に溶解させた666μlのALPを添加した。溶液は、pH最適範囲内にある約8.1のpH値を有し、混合物を穏やかな攪拌下で、1.5時間インキュベートした。
【0066】
本発明の伸長インスリンの生成、精製及び特徴付け
上述したようにして多くのインスリン前駆体を生成し、培地から単離して、精製した。 これらの伸長インスリンを、以下に記載するようなヒトインスリンと比較し、ヒトインスリンレセプターに対する結合親和性により測定されるように、生物学的インスリン活性についてテストした。それは、精製前のインスリンの結合親和性を評価するのに有利である。これにより、培養上清をアッセイすることができる。
【0067】
この発明の伸長インスリンは、当該技術で典型的な、一又は複数の以下の手順を使用することにより精製可能である。これらの手順は、必要であるならば、勾配、pH、塩、濃度、流量、カラム等に関して変えることができる。当該問題のインスリンの不純物プロフィール、溶解度等の要因に応じて、これらの変更は容易に認識可能であり、また当業者によってなされるであろう。
酸性HPLC又は脱塩後、純粋なフラクションを凍結乾燥させることにより、化合物を単離する。
中性HPLC又はアニオン交換クロマトグラフィー後、化合物を脱塩し、等電点pHで沈殿させるか、又は酸性HPLCにより精製する。
【0068】
典型的な精製手順:
HPLCシステムは次のものからなるGilsonシステムである:モデル215液体ハンドラー、モデル322-H2ポンプ及びモデル155UV検出器。検出は典型的には210nm及び280nmである。
Akta精製FPLCシステム(Amersham Biosciences)は次のものからなる:モデルP-900ポンプ、モデル UV-900 UV検出器、モデルpH/C-900 pH及び伝導度検出器、モデルFrac-950フラクション収集器。UV検出は典型的には214nm、254nm及び276nmである。
【0069】
酸性HPLC:
カラム: Macherey-Nagel SP 250/21 Nucleusil 300-7 C4
流量: 8ml/分、
バッファーA: アセトニトリル中0.1% TFA
バッファーB: 水中0.1% TFA
勾配: 0,0 - 5.0分: 10% A
5.00 - 30.0分: 10% Aから90% A
30.0 - 35.0分: 90% A
35.0 - 40.0分: 100% A
中性HPLC:
カラム: Phenomenex, Jupiter, C4 5μm 250 x 10,00 mm, 300A
流量: 6 ml/分
バッファーA: 5mM TRIS、7,5mM (NH4)2SO4、pH=7,3、20% CH3CN
バッファーB: 60% CH3CN、40%水
勾配: 0 - 5分: 10% B
5 - 35分: 10- 60% B
35 - 39分: 60% B
39 - 40分: 70% B
40 - 43.5分: 70% B
【0070】
アニオン交換クロマトグラフィー:
カラム: Ressource Q, 6ml
流量: 6ml/分
バッファーA: 0.09% NH4HCO3, 0.25% NH4OAc, 42.5% エタノール pH8.4
バッファーB: 0.09% NH4HCO3, 2.5% NH4OAc, 42.5% エタノール pH8.4
勾配: 100% Aから100% B、30カラム容量中
脱塩:
カラム: HiPrep 26/10
流量: 10ml/分, 6カラム容量
バッファー 10mM NH4HCO3
本発明の次のインスリンを、上述したようにして調製する:
【0071】
実施例1
A22-27G desB30ヒトインスリン

MALDI-MS(マトリックス:シナピン酸);m/z:6048.8、算出値:6050。
【0072】
実施例2

A22-33G desB30ヒトインスリン
DGK-単鎖前駆体:
MALDI-MS(マトリックス:シナピン酸);m/z:7628、算出値:7629。
【0073】
実施例3
A22-39G desB30ヒトインスリン

MALDI-MS(マトリックス:シナピン酸);m/z:6765、算出値:6734。
【0074】
実施例4
A22-45G desB30ヒトインスリン

MALDI-MS(マトリックス:シナピン酸);m/z:7074、算出値:7075。
実施例5
【0075】
A21Q A22-39[GPP] desB30ヒトインスリン

MALDI-MS(マトリックス:シナピン酸);m/z:7228、算出値:7228。
実施例6
【0076】
A21Q A22-39[GS] desB30ヒトインスリン

MALDI-MS(マトリックス:シナピン酸);m/z:7017、算出値:7017。
実施例7
【0077】
A21Q A22-39[GE] desB30ヒトインスリン

MALDI-MS(マトリックス:シナピン酸);m/z:7394、算出値:7395。
実施例8
【0078】
A21Q,A22-A45G,desB30ヒトインスリン

MALDI-MS(マトリックス:シナピン酸);m/z:7060、算出値:7090。
実施例9
【0079】
A21Q,A22-A51G,desB30ヒトインスリン

MALDI-MS(マトリックス:シナピン酸);m/z:7433、算出値:7432。
実施例10
【0080】
A21Q,A22-A57G,desB30ヒトインスリン

MALDI-MS(マトリックス:シナピン酸);m/z:7774、算出値:7774。
実施例11
【0081】
A21Q,A22-A45G,B(-6)-(-1G),desB30ヒトインスリン

MALDI-MS(単鎖前駆体のもの:B鎖のN末端伸長部:EEAEAEAPK、Cペプチド:DGK、マトリックス:シナピン酸);m/z:8669、算出値:7432。
実施例12
【0082】
A21Q,A22-A45G,B(-12)-(-1G),desB30ヒトインスリン

MALDI-MS(単鎖前駆体のもの:B鎖のN末端伸長部:EEAEAEAPK、Cペプチド:DGK、マトリックス:シナピン酸);m/z:9012、算出値:9011。
実施例13
【0083】
A21Q,A22-A45G,B(-18)-(-1G),desB30ヒトインスリン

MALDI-MS(単鎖前駆体のもの:B鎖のN末端伸長部:EEAEAEAPK、Cペプチド:DGK、マトリックス:シナピン酸);m/z:9354、算出値:9353。
実施例14
【0084】
A14E,A21Q,A22-A45G,B(-6)-(-1)G,B25H,desB30ヒトインスリン

MALDI-MS(単鎖前駆体のもの:B鎖のN末端伸長部:EEAEAEAPK、Cペプチド:DGK、マトリックス:シナピン酸);m/z:8598、算出値:8596。
実施例15
【0085】
A14E,A21Q,A22-A45G,B(-12)-(-1)G,B25H,desB30ヒトインスリン

MALDI-MS(単鎖前駆体のもの:B鎖のN末端伸長部:EEAEAEAPK、Cペプチド:DGK、マトリックス:シナピン酸);m/z:8942、算出値:8937。
実施例16
【0086】
A14E,A21Q,A22-A45G,B(-18)-(-1)G,B25H,desB30ヒトインスリン

MALDI-MS(マトリックス:シナピン酸);m/z:8075、算出値:8073。
実施例17
【0087】
A14E,A21Q,A22-A45G,B25H,desB30ヒトインスリン

MALDI-MS(マトリックス:シナピン酸);m/z:7046、算出値:7046。
実施例18
【0088】
A14E,A21Q,A22G-A51G,B25H,desB30ヒトインスリン

MALDI-MS(マトリックス:シナピン酸);m/z:7390、算出値:7388。
実施例19
【0089】
A14E,A21Q,A22-A57G,B25H,desB30ヒトインスリン

実施例20
【0090】
A14E,A21Q,A22-A62G,B25H,desB30ヒトインスリン
【数20】

【0091】
同様に調製され得る本発明の他の好ましいインスリンには、以下のものが含まれる:
A21G A22-27G desB30ヒトインスリン
A21G A22-33G desB30ヒトインスリン
A21G A22-39G desB30ヒトインスリン
A21G A22-45G desB30ヒトインスリン
A21G A22-51G desB30ヒトインスリン
A21G A22-57G desB30ヒトインスリン
A21G A22-61G desB30ヒトインスリン
【0092】
A21Q A22-27G desB30ヒトインスリン
A21Q A22-33G desB30ヒトインスリン
A21Q A22-39G desB30ヒトインスリン
A21Q A22-45G desB30ヒトインスリン
A21Q A22-51G desB30ヒトインスリン
A21Q A22-57G desB30ヒトインスリン
A21Q A22-61G desB30ヒトインスリン
【0093】
A14E A21G A22-27G B25H desB30ヒトインスリン
A14E A21G A22-33G B25H desB30ヒトインスリン
A14E A21G A22-39G B25H desB30ヒトインスリン
A14E A21G A22-45G B25H desB30ヒトインスリン
A14E A21G A22-51G B25H desB30ヒトインスリン
A14E A21G A22-57G B25H desB30ヒトインスリン
A14E A21G A22-61G B25H desB30ヒトインスリン
【0094】
A14E A21Q A22-27G B25H desB30ヒトインスリン
A14E A21Q A22-33G B25H desB30ヒトインスリン
A14E A21Q A22-39G B25H desB30ヒトインスリン
A14E A21Q A22-45G B25H desB30ヒトインスリン
A14E A21Q A22-51G B25H desB30ヒトインスリン
A14E A21Q A22-57G B25H desB30ヒトインスリン
A14E A21Q A22-61G B25H desB30ヒトインスリン
【0095】
A21G A22-39[GPP] desB30ヒトインスリン
A14E,A21G A22-39[GPP] B25H,desB30ヒトインスリン
A21G A22-39[GPP] desB30ヒトインスリン
A14E,A21G A22-39[GPP] B25H,desB30ヒトインスリン
A21G A22-39[GS] desB30ヒトインスリン
A14E,A21G A22-39[GS] B25H,desB30ヒトインスリン
A21G A22-39[GE] desB30ヒトインスリン
A14E,A21G A22-39[GE] B25H,desB30ヒトインスリン
A14E,A21Q,A22-39[GPP] B25H,desB30ヒトインスリン
A21Q,A22-39[GPP] desB30ヒトインスリン
A14E,A21Q A22-39[GPP] B25H,desB30ヒトインスリン
A21Q,A22-39[GS] desB30ヒトインスリン
A14E,A21Q,A22-39[GS] B25H,desB30ヒトインスリン
A21Q,A22-39[GE] desB30ヒトインスリン
A14E,A21Q,A22-39[GE] B25H,desB30ヒトインスリン
【0096】
実施例21
上述した実施例8のインスリンのラット気管内点滴の結果を、図1に付与する。
【0097】
薬理学的方法
アッセイ(I)
本発明のインシュリンのインシュリンレセプター結合性
ヒトインシュリンレセプターについての、本発明のインシュリンの親和性は、SPAアッセイ(シンチレーション近接アッセイ)マイクロタイタープレート抗体捕捉アッセイにより測定可能である。SPA-PVT抗体-結合ビーズ、抗-マウス試薬(Amersham Biosciences、カタログ番号 PRNQ0017)を、25mlの結合バッファー(100mMのHEPES、pH7.8;100mMの塩化ナトリウム、10mMのMgSO、0.025%のトゥイーン(Tween)-20)と混合する。単一のPackard Optiplate(Packard No.6005190)用の試薬混合物は、2.4μlの1:5000に希釈された精製組換えヒトインシュリンレセプター−(マイナス)エクソン11、100μlの試薬混合物当たり5000cpmに相当するA14Tyr[125I]-ヒトインシュリンの所定量の保存溶液、12μlの1:1000に希釈されたF12抗体、3mlのSPA-ビーズ、全体を12mlにする結合バッファーからなる。ついで、全体で100μlを添加し、適切なサンプルから希釈系列を作製する。ついで、希釈系列に100μlの試薬混合物を添加し、ゆっくりと振揺させつつ、サンプルを16時間インキュベートする。ついで、1分間遠心分離することにより相分離させ、プレートをトップカウンターで計測する。GraphPad Prism 2.01(GraphPad Software, San Diego、CA)における非線状回帰アルゴリズムを使用し、結合データを適合させる。
【0098】

【0099】
アッセイ(II)
ヒトインスリンに対する本発明のインスリンの作用強度
静脈内ボーラス投与後の本発明のインシュリンの血糖値低下効果を試験するためにウィスターラットを使用する。本発明のインシュリンかヒトインスリンの投与後に、血糖濃度をモニターする。
【0100】
アッセイ(III)
本発明のインスリンのT50%のブタにおける測定
T50%とは、試験されるインスリンのA14Tyr[125I]標識された誘導体の注射量の50%が、外部γ計測器を用いて測定して、注射部位から消失した時間である。
実験用動物ケアの原則に従い、薬物動態及び薬力学的研究のために、特定の病原菌を持たないLYYD、糖尿病ではない雌のブタ、デンマーク在来種、ヨークシャー及びデュロックの交雑種を使用する(Holmenlund, Haarloev, Denmark)。ブタは意識があり、4-5ヶ月の年齢、70-95kgの体重である。実験前に動物を8時間絶食させる。
125Iを有するTyrA14で標識された伸長インスリンの処方された調製物を、先に記載したブタに皮下注射する(Ribel, U., Jorgensen, K, Brange, J, 及びHenriksen, U. The pig as a model for subcutaneous insulin absorption in man. Serrano-Rios, M and Lefebvre, P. J. 891-896. 1985. Amsterdam; New York; Oxford, Elsevier Science Publishers. 1985 (Conference Proceeding))。
【0101】
実験の開始時に、本発明の伸長インスリン(被験化合物)60nmol用量とインスリン60nmol用量(双方ともTyr A14において125I標識された)を、各ブタの頸部の2つの別々の部位に注射する。
皮下注射部位から放射性標識が消失するのを、伝統的な外部ガンマ-計測法の修正法を使用し、モニターする(Ribel, U. Subcutaneous absorption of insulin analogues. Berger, M. 及びGries, F. A. 70-77 (1993). Stuttgart; New York, Georg Thime Verlag (Conference Proceeding))。この修正法を用いると、コードレスポータブル装置(Scancys Laboratorieteknik, Varlose, DK-3500, Denmark)を使用して、数日間、皮下沈着物から放射活性が消失するのを連続して測定することができる。測定を1分間隔で実施し、計測された値をバックグラウンド活性に対して修正する。
【0102】
アッセイ(IV)
ラットへの伸長インスリンの肺送達
被験物質は、滴下法により肺経路で投与されるであろう。簡単に述べると、雄ウィスターラット(約250g)を、6.6ml/kg scプライミング用量として、続いて30分の間隔を開けて3.3ml/kg scの保持用量を3回付与される約60mlのフェンタニル/デヒドロデンズペリドール/-ドルミカムで麻酔する。麻酔誘導の10分後、基本サンプルを尾静脈(t=-20分)から得、続いて被験物質の投与直前(t=0)、基本サンプルを得た。t=0において、被験物質を一方の肺に気管内的に投与する。丸くなった端部を有する特定のカニューレを、200μlの空気と被験物質(1mg/kg)を含有するシリンジに搭載する。オリフィスを介してカニューレを気管に導入し、二分枝部を丁度通過するように主気管支の一方に送る。挿入中、頸部を外側から触診し、気管内部の位置を確認する。シリンジの内容物を注射し、2秒中断する。その後、カニューレをゆっくりと引き抜く。試験中(4時間までの血液サンプル)、ラットは麻酔がかかったままであり、実験後、安楽死させる。
【0103】
アッセイ(V)
本発明の伸長インスリンの疎水性度
ヒトインスリンに対する本発明の伸長インスリンの疎水性度(疎水性指標)、k'relを、溶離液としてA)10%のアセトニトリルを含有する0.1Mのリン酸ナトリウムバッファー、pH7.3、及びB)水に50%のアセトニトリルが入ったものの混合物を使用し、40℃で定組成溶離させることにより、LiChrosorb RP18(5μm、250x4mm)HPLCカラムにおいて測定した。214nmでの溶出液のUV吸収度を追跡することにより、溶出をモニターした。ボイド時間、tを0.1mMの硝酸ナトリウムを注入することにより見出した。ヒトインスリンについての保持時間tヒトを、A及びB溶液の間の比率を変えることにより、少なくとも2tに調節した。k'rel=(tインスリン−t)/(tヒト−t)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも5のアミノ酸残基、好ましくは少なくとも10のアミノ酸残基で、800以下のアミノ酸残基、好ましくは300以下のアミノ酸残基、好ましくは100以下のアミノ酸残基、好ましくは50以下のアミノ酸残基を含む、一又は複数のアミノ酸オリゴマー残基に、アミド結合、好ましくはペプチド結合により結合しているインスリン残基である伸長インスリン。
【請求項2】
アミノ酸オリゴマーがコード可能なアミノ酸残基からなる、請求項1に記載の伸長インスリン。
【請求項3】
アミノ酸オリゴマーが、Gly、Glu、Pro及びSer残基からなる群から選択されるアミノ酸残基からなる、請求項1又は2に記載の伸長インスリン。
【請求項4】
アミノ酸オリゴマー中のGly残基の量が少なくとも80%(重量/重量)である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の伸長インスリン。
【請求項5】
アミノ酸オリゴマーがGly残基からなる、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の伸長インスリン。
【請求項6】
アミノ酸オリゴマーが(Gly)、(Gly-Pro-Pro)、(Pro-Pro-Gly)、(Gly-Ser)、(Ser-Gly)、(Gly-Glu)又は(Glu-Gly)であり、nがアミノ酸残基の適切な数を付与する整数である、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の伸長インスリン。
【請求項7】
アミノ酸オリゴマーが、インスリンの位置B1、A21、B29又はB30の一つにあるアミノ酸残基に結合しており、但し該アミノ酸はオリゴマーに結合する前の末端位に存在している、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の伸長インスリン。
【請求項8】
インスリンが、次の任意の修飾:A14位において:E又はD;A21において:G、A又はQ;B3位において:Q、S又はT;B25位において:H;B28位において:D又はE;及びB30位において:desの一又は複数を有するヒトインスリンである、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の伸長インスリン。
【請求項9】
インスリンが、ヒトインスリン、desB30ヒトインスリン、インスリンアスパルト、A21Glyヒトインスリン、A21Gly desB30ヒトインスリン、リスプロ、又はグルリシンである、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の伸長インスリン。
【請求項10】
明細書に記載した任意の新規特徴又は特徴の組合せ。

【図1】
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【公表番号】特表2010−507631(P2010−507631A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533877(P2009−533877)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【国際出願番号】PCT/EP2007/061621
【国際公開番号】WO2008/049931
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(596113096)ノボ・ノルデイスク・エー/エス (241)
【Fターム(参考)】