説明

アミリン及びサケカルシトニンの誘導体化ハイブリッドペプチド

ハイブリッドペプチド誘導体及びそれらを含む薬学的組成物を開示し、ここで、前記ハイブリッドペプチドは、ヒトアミリンペプチド配列のC末端、サケカルシトニンペプチドの中間部分及びヒトアミリンペプチド配列のN末端を含み、アルブミン結合部位は、ハイブリッドペプチドに、所望によりリンカーを介して結合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハイブリッドペプチド誘導体において、前記ハイブリッドペプチドがヒトアミリンペプチド配列のC末端、サケカルシトニンペプチド配列の中間部位及びヒトアミリンペプチド配列のN末端を含み、アルブミン結合部位が、所望によりリンカーを介してハイブリッドペプチドに結合している誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
真正糖尿病と肥満を患う人の数は多く且つ増えている。真正糖尿病はグルコースを利用する能力が部分的にまたは完全に失われる代謝異常である。血液グルコースを低下させるために使用される最も有効な抗糖尿病剤は、インスリンとそのアナログである。従来のインスリンを糖尿病を治療するために用いる場合、体重の増加を伴うことは、長い間知られていた。ヒトアミリンは、37アミノ酸長のペプチドであり、薬としてのその使用が問題となる生理−化学的性質を有する。特に、それはインビボ及び/又はエクスビボでフィブリル化する傾向があり、沈殿により効果がなくなる。シムリンと呼ばれている製剤は、現在、市販されており、37アミノ酸のうちの3つはプロリンに置換されているヒトアミリン(プラムリンチド)のアナログを含む。これは、フィブリル化傾向をかなり改良する。プラムリンチドはヒトの食物摂取を減少することが知られている。しかしながら、プラムリンチドであっても中性pHの溶液中に保つことは難しく、そのため酸性溶液で提供される(すなわちシムリン(登録商標))。
【0003】
哺乳類では、カルシトニンは骨髄代謝及びカルシウム代謝の制御において機能する。上昇した血清カルシウムレベルによる甲状腺から放出されるカルシトニンは、血清カルシウムレベルを減少させる傾向がある骨と他の組織のアクチンを産生する。
【0004】
カルシトニンはカルシウム代謝の障害と痛みの治療に臨床的に使用され、増加したグルコースレベルとの関係は、1994年6月14日発行の米国特許第5321008号、及び1996年4月16日発行の米国特許第5508260号に記載される。
【0005】
国際公開第2006083254号は、アミリンとそのアナログのループ領域;カルシトニン又はそのアナログの[アルファ]ヘリックス領域を少なくとも含む[アルファ]ヘリックス領域及びカルシトニン又はそのアナログの[アルファ]ヘリックス領域を含むアミリンファミリーペプチドを開示している。
【発明の概要】
【0006】
本発明はハイブリッドペプチド誘導体において、前記ハイブリッドペプチドがヒトアミリンペプチド配列のC末端、サケカルシトニンペプチド配列の中間部位及びヒトアミリンペプチド配列のN末端を含み、アルブミン結合部位が、所望によりリンカーを介してハイブリッドペプチドに結合している誘導体に関する。
【0007】
一態様では、本発明に記載の誘導体は、アナログハイブリッドペプチド誘導体であり、ここで、前記アナログハイブリッドペプチドは親のハイブリッドペプチドと比較して1から12アミノ酸置換を有する。
【0008】
一態様では、本発明に記載の誘導体のアルブミン結合部位は、N末端アミノ酸及び/又はC末端アミノ酸及び/又はハイブリッドペプチドの内部の1又は複数のアミノ酸に結合している。
【0009】
本発明に記載の誘導体は、ハイブリッドペプチドのN末端に結合している1から12の付加的なアミノ酸からなるN末端伸長を含み得、ここで、アルブミン結合部位は、所望によりリンカーを介して、付加的なアミノ酸のN末端アミノ酸に結合している。
【0010】
親のハイブリッドペプチドと比較して、0から8個の付加的な電荷を有する誘導体もまた本発明で考慮される。
【0011】
本発明に記載の誘導体を含む薬学的組成物及び薬学的に許容可能な賦形剤及び医薬として使用するための本発明に記載の誘導体もまた記載される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(定義)
「効能」なる用語は、対数濃度と化合物の効果の間でシグモイドの関係が確立された、アッセイにおいて投与した化合物の効果を記載するために使用する。さらに、応答は0から100%で変化すべきである。EC50(有効濃度50)は、アッセイにおいて50%の応答を生じる、投与した化合物の濃度を記述するために使用し得る。
【0013】
「活性」なる用語は、一態様において、食欲を減じるおよび/または満腹を増加させる能力に関連する。本発明の一態様において、例えば表題「アッセイ」の下の薬理学的アッセイIに記載されているように、活性は食欲を減じる能力で測定され得る。
【0014】
ここで使用される「ヒトアミリン」なる用語は、ヒトすい臓のβ-細胞からインスリンと共分泌されるペプチドヒトアミリンを指し、配列番号1:
Lys-Cys-Asn-Thr-Ala-Thr-Cys-Ala-Thr-Gln-Arg-Leu-Ala-Asn-Phe-Leu-Val-His-Ser-Ser-Asn-Asn-Phe-Gly-Ala-Ile-Leu-Ser-Ser-Thr-Asn-Val-Gly-Ser-Asn-Thr-Tyr-NH(配列番号1)
に記載の配列を有し、ここで、ジスルフィド架橋は位置2と7のシトシンの間に位置し、C末端はアミド基の形態である。
【0015】
「プラムリンチド」はここでヒトアミリンアナログを意味し、ここで、ヒトアミリンは位置25、28及び29において、3個のプロリン残基で置換され、25Pro、28Pro、29Proヒトアミリンを生じる。プラムリンチドはしたがって配列:
Lys−Cys−Asn−Thr−Ala−Thr−Cys−Ala−Thr−Gln−Arg−Leu−Ala−Asn−Phe−Leu−Val−His−Ser−Ser−Asn−Asn−Phe−Gly−Pro−Ile−Leu−Pro−Pro−Thr−Asn−Val−Gly−Ser−Asn−Thr−Tyr−NH
配列番号:2
を有する。
【0016】
「カルシトニン」又は「CT」は、ヒトカルシトニン(h−CT)又はサケカルシトニン(sCT)を含む、ヒトペプチドホルモン及びその種変異体を意味する。
【0017】
カルシトニンは哺乳類の甲状腺の傍濾胞細胞又は鳥及び魚の鰓後腺から産生される小さなペプチドである。ヒトカルシトニン、サケカルシトニン、ウナギカルシトニン、エルカトニン、ブタカルシトニン、及びトリカルシトニンのような、多くの型が単離されている。種々のカルシトニン型の間に有意な構造の非相同性がある。例えば、ヒトカルシトニンを作っているアミノ酸とサケカルシトニンを作っているアミノ酸の間にわずか50%の相同性がある。
【0018】
サケカルシトニン(s−CT)は
Cys−Ser−Asn−Leu−Ser−Thr−Cys−Val−Leu−Gly−Lys−Leu−Ser−Gln−Glu−Leu−His−Lys−Leu−Gln−Thr−Tyr−Pro−Arg−Thr−Asn−Thr−Gly−Ser−Gly−Thr−Pro−NH
配列番号:4
からなる配列を有する。
【0019】
ヒトカルシトニン(h−CT)は、甲状腺の傍濾胞細胞(Cとしても知られている)によって主に産生される、32個のアミノ酸残基を含むペプチドホルモンである。サケカルシトニンは32個のアミノ酸からなるポリペプチドである。それは、第一とポリペプチド鎖のアミノ末端の第七のアミノ酸の間のジスルフィド架橋を有し、ジスルフィド架橋はその生物学的活性に不可欠であり、カルボキシル末端アミノ酸におけるプロリンアミド基を有する。ヒトカルシトニンは
Cys−Gly−Asn−Leu−Ser−Thr−Cys−Met−Leu−Gly−Thr−Tyr−Thr−Gln−Asp−Phe−Asn−Lys−Phe−His−Thr−Phe−Pro−Gln−Thr−Ala−Ile−Gly−Val−Gly−Ala−Pro−NH
配列番号:3
からなる配列を有する。
【0020】
「親ハイブリッドペプチド」なる用語は、ここで、ヒトアミリンペプチド配列のC末端、サケカルシトニンペプチド配列の中間部位及びヒトアミリンペプチド配列のN末端を含むハイブリッドペプチドを意味し、配列:
Lys−Cys−Asn−Thr−Ala−Thr−Cys−Val−Leu−Gly−Arg−Leu−Ser−Gln−Glu−Leu−His−Arg−Leu−Gln−Thr−Tyr−Pro−Arg−Thr−Asn−Thr−Gly−Ser−Asn−Thr−Tyr−NH
配列番号:5
を有する。
【0021】
本明細書において、「アナログハイブリッドペプチド」又は「ハイブリッドアナログ」なる用語は、親ハイブリッドペプチドの一以上のアミノ酸残基が改変された、すなわち、一以上のアミノ酸残基が、他のアミノ酸残基で置換されているか及び/又は一以上のアミノ酸残基が親ハイブリッドペプチドから欠失しているか及び/又は一以上のアミノ酸残基が親ハイブリッドペプチドに付加されているペプチドを指す。一態様では、置換又は付加は任意の天然アミノ酸に伴う。
【0022】
一態様では、ハイブリッドアナログは、親ハイブリッドペプチドに比較して、17より小さい修飾(置換、欠失、付加)を含む。一実施態様では、ハイブリッドアナログは、親ハイブリッドペプチドに比較して、15より小さい修飾(置換、欠失、付加)を含む。一実施態様では、ハイブリッドアナログは、親ハイブリッドペプチドに比較して、13より小さい修飾(置換、欠失、付加)を含む。一実施態様では、ハイブリッドアナログは、親ハイブリッドペプチドに比較して、11より小さい修飾(置換、欠失、付加)を含む。一実施態様では、ハイブリッドアナログは、親ハイブリッドペプチドに比較して、10より小さい修飾(置換、欠失、付加)を含む。一実施態様では、ハイブリッドアナログは、親ハイブリッドペプチドに比較して、9より小さい修飾(置換、欠失、付加)を含む。一実施態様では、ハイブリッドアナログは、親ハイブリッドペプチドに比較して、8より小さい修飾(置換、欠失、付加)を含む。一実施態様では、ハイブリッドアナログは、親ハイブリッドペプチドに比較して、7より小さい修飾(置換、欠失、付加)を含む。一実施態様では、ハイブリッドアナログは、親ハイブリッドペプチドに比較して、6より小さい修飾(置換、欠失、付加)を含む。一実施態様では、ハイブリッドアナログは、親ハイブリッドペプチドに比較して、5より小さい修飾(置換、欠失、付加)を含む。一実施態様では、ハイブリッドアナログは、親ハイブリッドペプチドに比較して、4より小さい修飾(置換、欠失、付加)を含む。一実施態様では、ハイブリッドアナログは、親ハイブリッドペプチドに比較して、3より小さい修飾(置換、欠失、付加)を含む一実施態様では、ハイブリッドアナログは、親ハイブリッドペプチドに比較して、2より小さい修飾(置換、欠失、付加)を含む。
【0023】
修飾はハイブリッドペプチドの配列の任意の場所で起き得る。本発明の一態様では、アミノ酸残基の修飾は、ペプチドのN末端及び/又はハイブリッドペプチドのC末端で起き得る。本発明の一態様では、修飾はハイブリッドペプチドのN末端における、1、2、3又は4個のアミノ酸のような、1以上の付加を含む。
【0024】
N末端配列がサケカルシトニンのN末端配列であり、C末端配列がヒトアミリンのC末端配列であるハイブリッドアナログは、前記ハイブリッドアナログが上で説明した通りのハイブリッドアナログの定義の範疇にある限り、また本発明で考慮される。
【0025】
「ハイブリッドペプチド」なる用語は、ここで定義される親ハイブリッドペプチド又はハイブリッドアナログとして理解されるべきである。ハイブリッドペプチドのN末端に2個のシステインが存在する場合、これらはジスルフィド架橋を有するとして理解されるべきである。C末端は常に他に記述しない限りアミドの形態である。
【0026】
ハイブリッドアナログは、ここで、アミノ酸配列とヒトアミリンの番号付け(配列番号1)がヒトアミリン由来のハイブリッドアナログの一部を記述するために使用され、アミノ酸配列とサケカルシトニンの番号付け(配列番号4)がs−CT由来のハイブリッドアナログの一部を記述するために使用されるように、それぞれ、ヒトアミリン及びサケカルシトニン(s−CT)の配列に関連して命名される。例えば、上に示す配列番号:5は、ヒトアミリンのアミノ酸1から7、アミノ酸番号11及び18が、それぞれ、リシン残基からアルギニン残基に置換される、s−CTのアミノ酸8から27、及びヒトアミリンのアミノ酸33から37からなる。与えた名称は、したがって、アミリン(1−7)−[Arg11,Arg18]sCT(8−27)−アミリン(33−37)である。
【0027】
本願明細書において使用される「誘導体」なる用語は、一以上のペプチドのアミノ酸残基が、例えばアルキル化、アシル化、エステル形成、アミド形成又はマレイミドカップリングによって改変されているペプチドを指す。
【0028】
「ハイブリッドペプチドの誘導体」又は「ハイブリッドペプチド誘導体」なる用語は、親ハイブリッドペプチド又はハイブリッドアナログの誘導体を指すために本文で使用される。
【0029】
ここで使用される「誘導体化」なる用語は、共有結合を介して化学的に連結されることを意味する。例えば、リジン残基又はシステイン残基は、アルブミン残基に化学結合を介して連結される。このような化学結合は、長鎖脂肪酸のようなアルブミン結合残基の活性エステルを用いて、リジンのイプシロンアミノ基をアシル化し、誘導体化することにより、得られる一例である。 本発明に使用される2つの化学的部分の連結の別の例は、限定するものではないが、アルキル化、エステル形成、アミド形成又はマレイミドカップリングがある。
【0030】
ここで使用される「リンカー」なる用語は、ペプチド及びアルブミン結合残基又はポリエチレングリコールを分離するスペーサーを意味する(本明細書において、スペーサー及びリンカーの二つの用語が同義的に使用される)。リンカーはアルブミン結合部位とカルシトニン又はそのアナログを2つの間のリンカーによって分離する化学的部位である。例えば、リンカーはアルブミン結合部位に結合する一方の末端とハイブリッドペプチド誘導体の位置1のアミノ酸に結合する他方の末端に1又は2のアミノ酸とを含む。リンカーの化学的部位は、置換基のアルブミン結合効果に寄与するか又は高めることができ、例えば、γGluを含むリンカーはハイブリッドペプチド誘導体のアルブミン結合部位を高める。
【0031】
ここで使用される「アルブミン結合部分」なる用語は、ヒト血清アルブミンに非共有的に結合する残基を意味する。治療用ポリペプチドに結合されるアルブミン結合残基は、ヒト血清アルブミンに対して典型的には1μM以下、好ましくは500nMよりも小さく、更により好ましくは200nMより小さいか又は更に100nMより小さい親和性を有している。
【0032】
「疎水性リンカー」なる用語は、少なくとも5個の非水素原子(これらの30−50%がN又はOである)を含む化学部分を有する、ペプチドとアルブミン結合残基を分離するスペーサーを意味する。
【0033】
「作用時間」なる用語は、本願明細書において、摂食量の減少のような薬理効果が測定可能である時間的スパンを指す。
【0034】
「安定化された製剤」なる用語は、増加した物理的安定性、増加した化学的安定性又は増加した物理的及び化学的安定性を有する製剤を意味する。
【0035】
ここで使用されるタンパク質製剤の「物理的安定性」なる用語は、タンパク質が熱-機械的ストレスに暴露され、及び/又は不安定化する界面及び表面、例えば疎水性表面及び界面と相互作用する結果として、タンパク質が生物学的に不活性になり、及び/又は不溶性の凝集体が形成されるタンパク質の傾向を意味する。水性タンパク質製剤の物理的安定性は、本明細書の何れかに記載の視覚検査、ThT細動アッセイ及び/又は濁度測定の手段によって評価され得る。製剤の視覚検査は、暗色背景で、鋭く集光されたライト下で実施される。製剤の濁度は、例えば0〜3のスケールで、濁りの程度をランク付けする視覚スコア(濁りのない製剤は視覚スコア0に相当し、日光下で視覚的に濁りのある製剤は視覚スコア3に相当する)により特徴付けられる。製剤は、日光下で視覚的濁りを示す場合に、タンパク質凝集に関して物理的に不安定であると分類される。あるいは、製剤の濁度は、当業者によく知られている簡単な濁度測定法により評価することもできる。
【0036】
タンパク質製剤又は薬学的組成物の「化学的安定性」なる用語は、天然のタンパク質構造と比較して、生物学的有効性の潜在的低下及び/又は免疫原性の潜在的増加を伴う、化学的な分解産物の形成に至るタンパク質構造における化学的共有変化を意味する。様々な化学的分解産物が、天然タンパク質のタイプ及び性質、及びタンパク質が暴露される環境に応じて形成されうる。化学的分解の排除は、多くの場合、完全には回避することはできず、当業者によく知られているように、タンパク質製剤の保存及び使用中に、化学的な分解産物の量の増加がしばしば見られる。殆どのタンパク質は、グルタミニル又はアスパラギニル残基中の側鎖アミド基が加水分解されて、遊離カルボン酸を形成するプロセスである脱アミド化する傾向にある。他の分解経路は高分子量の形質転換産物の形成を含んでおり、2又はそれ以上のタンパク質分子が、アミド転移及び/又はジスルフィド相互作用を介して互いに共有結合し、共有結合した二量体、オリゴマー及びポリマーの分解産物の形成に至る(Stability of Protein Pharmaceuticals, Ahern. T.J. ; Manning M.C., Plenum Press, New York 1992)。(例えばメチオニン残基の)酸化も、化学的分解の他の変形例として挙げることができる。タンパク質製剤の化学的安定性は、異なる環境条件に暴露させた後、様々な時点での化学的な分解産物の量を測定することにより評価することができる(分解産物の形成は、多くの場合、例えば温度上昇により促進される)。個々の分解産物の各々の量は、多くの場合、様々なクロマトグラフィー技術(例えばSEC−HPLC及び/又はRP−HPLC)を使用し、分子サイズ及び/又は電荷に応じて、分解産物を分離することにより測定される。
【0037】
「安定化された製剤」なる用語は、ペプチドの水溶液と比較して、増加した物理的安定性、増加した化学的安定性、又は増加した物理的及び化学的安定性を有する製剤を意味する。一般に、製剤は、有効期限に達するまで、使用及び保存中に(推奨される用途及び保存条件で)安定していなければならない。
【0038】
本発明は、ヒトアミリンペプチド配列のC末端、サケカルシトニンペプチド配列の中間部位及びヒトアミリンペプチド配列のN末端を含むハイブリッドペプチドに関する。
【0039】
アミリンのC末端とN末端及びサケカルシトニンの中間部位を含むハイブリッドペプチドは種々のアミリンモデルにおいて、インビトロ及びインビボ活性が優れていることを示す。しかし、天然のヒトアミリンの活性を有する誘導体、並び長期のPKプロファイルを有し、天然のヒトアミリンに対し、増加した溶解性及び/又は安定性を示す誘導体を提供する必要が未だある。
【0040】
一態様では、アルブミン結合部位を含むハイブリッドペプチドの誘導体を記載する。
【0041】
経口、口腔、経肺又は経鼻のような非皮下投与した場合に安定なペプチド又は誘導体を得ることが特に望ましい。一態様では、本発明のハイブリッドペプチド誘導体は、したがってプラムリンチドのようなアミリンアナログと比較して改善した酵素活性を有する。本発明のハイブリッドペプチド誘導体は、したがって投与の経口、口腔、経肺又は経鼻経路に特に有用であり得る。
【0042】
一態様では、本発明に記載のハイブリッドペプチド誘導体は、プラムリンチドのようなアミリンアナログと比較してトリプシンによる酵素分解に対して改善した安定性を有する。
【0043】
一態様では、高い効能を有するハイブリッドペプチド誘導体が提供される。更なる態様では、ヒトアミリンと比較して改善された効能を示すハイブリッドペプチド誘導体が提供される。更なる態様では、プラムリンチドに匹敵する効能を示すハイブリッドペプチド誘導体が提供される。更なる態様では、プラムリンチドと比較して改善された効能を示すハイブリッドペプチド誘導体が提供される。
【0044】
一態様では、物理的に安定なハイブリッドペプチド誘導体が提供される。別の態様では、プラムリンチドと比較して物理的な安定性を維持するハイブリッドペプチド誘導体が提供される。更なる態様では、ヒトアミリンと比較して増加した物理的安定性を有するハイブリッドペプチド誘導体が提供される。
【0045】
ハイブリッドアナログは、一態様では、好ましくは20から45の自然発生又は非自然発生のアミノ酸、好ましくは30から35の自然発生又は非自然発生のアミノ酸を有する。
【0046】
本発明の一態様では、ハイブリッドペプチド誘導体のアミノ酸配列は、少なくとも1個のアミノ酸残基がアルブミン結合残基に、所望によりリンカーを介して結合し、2個のシステインがハイブリッドペプチドのN末端に存在し、ジスルフィド架橋は前記2個のシステインに架橋し、C末端は他に記述しない限り、アミドの形態である:
アミリン(1−7)−[Arg11,Arg18]sCT(8−27)−アミリン(33−37)(配列番号:5)
アミリン(2−7)−[Arg11,Arg18]sCT(8−27)−アミリン(33−37)(配列番号:6)
アミリン(1−8)−[Arg11,Arg18]sCT(9−27)−アミリン(33−37)(配列番号:7)
アミリン(2−8)−[Arg11,Arg18]sCT(9−27)−アミリン(33−37)(配列番号:8)
[His1]アミリン(1−8)−[His11,His18,His24]sCT(9−27)−アミリン(33−37)(配列番号:9)
からなる群から選択される。
【0047】
本発明のペプチドは、生理学的に発現する場合、一般的にC末端がアミド化されているが、本発明の目的のためには必要ではなく、したがって、フリーの−OH又は−NH基又は他の翻訳後主食を有し得る。
【0048】
一態様では、アミノ酸残基の置換又は付加は、親ハイブリッドペプチドと比較して0から8の付加的な電荷を有するハイブリッドアナログを得るためにグルタミン酸残基、リシン残基、アルギニン残基、ヒスチジン残基及び/又はアスパラギン酸残基の置換及び/又は付加を含む。更なる態様では、アミノ酸残基の置換又は付加は、親ハイブリッドペプチドと比較して0から8の付加的な電荷を有するハイブリッドアナログを得るためにヒスタミン残基及び/又はアルギニン残基の置換及び/又は付加を含む。更なる態様では、アミノ酸残基の置換又は付加は、親ハイブリッドペプチドと比較して0から8の付加的な電荷を有するハイブリッドアナログを得るためにヒスチジン残基の置換及び/又は付加を含む。
【0049】
ハイブリッドペプチドの任意のアミノ酸が誘導体化されていてもよい。本発明の一態様では、誘導体化されたアミノ酸残基はアミノ基を有する。アミノ基を有するアミノ酸残基の例は、リジン、オルニチン、イプシロン-N-アルキル化リジン、例えばイプシロン-N-メチルリジン、O-アミノエチルセリン、O-アミノプロピルセリン、又は長鎖のOアルキル化セリンで、側鎖に第1級又は第2級アミノ基を有するものである。本発明のさらなる態様では、誘導体化されたアミノ酸残基は、側鎖に第1級アミノ基を有する。第1級アミノ基を有するアミノ酸残基の例は、リジン、オルニチン、O-アミノエチルセリン、O-アミノプロピルセリン、又は長鎖のOアルキル化セリンで、側鎖に第1級アミノ基を有するものである。本発明の更なる態様は、誘導体化されたアミノ酸残基はリシンである。本発明の更なる態様は、本発明に記載の誘導体は、1つの位置においてのみ誘導体化され、例えば、唯一のアミノ酸残基が誘導体化される。
【0050】
本発明の一態様では、リンカーは、1から5個のアルキレングリコールユニットのような、1又は複数のアルキレングリコールユニットを含む。アルキレングリコールユニットは、更なる態様においては、エチレングリコール、プロピレングリコール又はブチレングリコールであるが、より高級のアルキレングリコールでもよい。
【0051】
本発明の別の態様では、リンカーは、
l、m及びnが独立して1から20であり、pが0から10であり、
Qが-Z-(CH)D[(CH)G](CH)-であり、
qは0から5の範囲の整数であり、
それぞれのD、E、及びGは独立して、-O-、-NR-、-N(COR)-、-PR(O)-、及び-P(OR)(O)-、から選択され、ここで、R、R、R、及びRは独立して、水素、又はC1-6-アルキルであり、
Zは-C(O)NH-、-C(O)NHCH-、-OC(O)NH -、-C(O)NHCHCH-、-C(O)CH-、-C(O)CH=CH-、-(CH)-、-C(O)-、-C(O)O-又は-NHC(O)-から選択され、ここで、sは0又は1である、
-(CH)D[(CH)E](CH)-Q-
から選択される親水性リンカーである。
【0052】
本発明の別の態様では、リンカーは、lは1又は2であり、n及びmは独立して1から10であり、pは0から10である、上記の親水性リンカーである。
【0053】
本発明の別の態様では、リンカーは、Dは-O-である、上記の親水性リンカーである。
【0054】
本発明の別の態様では、リンカーは、Eは-O-である、上記の親水性リンカーである。
【0055】
本発明の更に別の態様では、親水性リンカーは、mが1から10であり、pが1から3であり、Qが上で定義される-Z-CHO[(CH)O](CH)-である、-CHO[(CH)O](CH)-である。
【0056】
本発明の別の態様では、qは1である上で定義される親水性リンカーである。
【0057】
本発明の別の態様では、Gは-O-である上で定義される親水性リンカーである。
【0058】
本発明の別の態様では、 Zは-C(O)NH-、-C(O)NHCH-、及び-OC(O)NH-からなる群から選択される上で定義される親水性リンカーである。
【0059】
本発明の別の態様では、qは0である上で定義される親水性リンカーである。
【0060】
本発明の別の態様では、lは2である上で定義される親水性リンカーである。
【0061】
本発明の別の態様では、nは2である上で定義される親水性リンカーである。
【0062】
本発明の一態様では、「親水性リンカー」は化学部位を用いてペプチドとアルブミン結合残基を分離するために使用される。
【0063】
本発明の一態様では、親水性リンカーは、l、m、n、及びpは独立して1から5であり、及びqは0から5である、
-C(O)-(CH-O-[(CHCH-O] -(CH-[NHC(O)-(CH-O-[(CH-O] -(CH] -NH-
である。
【0064】
本発明の更なる態様では、親水性リンカーは、qが0から5である、
-C(O)-CH-O-CHCH-O-CHCH [NHC(O)-CH-O-CHCHO -CHCH] -NH-
である。
【0065】
本発明の更なる態様では、親水性リンカーは、
-C(O)-CH-O-CHCH-O-CHCH -NHC(O)-CH-O-CHCHO -CHCH-NH-
である。
【0066】
本発明の更に別の態様では、親水性リンカーは、m及びpが独立して0から10であり、Qは上で定義する-Z-(CHD[(CHG] (CH- である、
-[CHCHO] m+1(CH-
である。
【0067】
本発明の更に別の態様では、親水性リンカーは、l、m、n及びpが独立して1から5であり、qが0から5である、
-(CH-O-[(CH-O] -(CH-[C(O)NH-(CH-O-[(CH-O] -(CH] -
である。
【0068】
本発明の更なる態様では、リンカーはCys又はGly−Lysのようなジペプチドを除くアミノ酸残基を含む。本明細書では、「Gly−Lysのようなジペプチド」なる表現は、C末端アミノ酸残基がLys、His又はTrp、好ましくはLys、であり、N末端アミノ酸残基がAla、Arg、Asp、Asn、Gly、Glu、Gln、Ile、Leu、Val、Phe及びProからなる群から選択されるジペプチドを指定するために使用される。
【0069】
一態様では、本発明に記載のハイブリッドペプチドは、任意のアルブミン結合基でアシル基される。
【0070】
更なる態様では、ハイブリッドペプチド誘導体の唯一のリシン残基は、アルブミン結合残基に、所望によりリンカーを介して結合している。
【0071】
一態様では、本発明に記載のハイブリッドペプチドは、ハイブリッドペプチドと1又は複数のアルブミン結合残基の間の親水性スペーサーを含む。
【0072】
一態様では、親水性スペーサーは、ハイブリッドペプチドのアミノ基とアルブミン結合残基の官能基の間に架橋を形成する適切な官能基を両端に有する、非分岐オリゴエチレングリコール部位である。
【0073】
アルブミン結合残基の範囲は、末梢酸性基を有する4から40個の炭素原子を含む直鎖及び分岐の親油性部位の間で知られている。
【0074】
本発明の一態様では、アルブミン結合残基は親油性残基である。更なる態様では、親油性残基は、アルキル化、アシル化、エステル形成、又はアミド形成のようなコンジュゲーション化学によって、所望によりリンカーを介してリシン残基に結合するか又はマレイミドカップリングによってシステインに結合している。
【0075】
本発明の更なる態様では、アルブミン結合残基は、生理学的pHで負に荷電している。本発明の別の態様では、アルブミン結合残基は負に荷電し得る基を含む。負に荷電し得る一の好ましい基は、カルボン酸基である。
【0076】
本発明の更に別の態様では、アルブミン結合残基は、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、ωカルボン酸基を有する基、及び部分的又は完全に水素化されたシクロペンタフェナントレン骨格からなる群から選択される。
【0077】
本発明の更なる態様では、アルブミン結合残基は、シバクロニル残基である。
【0078】
本発明の更なる態様では、アルブミン結合残基は、6から40個の炭素原子、8から26個の炭素原子又は8から20個の炭素原子を有する。
【0079】
本発明の更なる態様では、アルブミン結合残基は、rが4から38の整数であり、好ましくは、4から24の整数であり、より好ましくはCH(CH)CO-、CH(CH)CO-、CH(CH)10CO-、CH(CH)12CO-、CH(CH)14CO-、CH(CH)16CO-、CH(CH)18CO-、CH(CH)20CO-及びCH(CH)22CO-を含む群から選択される、CH(CH)CO-を含む群から選択されるアシル基である。
【0080】
本発明の別の態様では、アルブミン結合残基は直鎖又は分岐アルケンα、ω−ジカルボン酸のアシル基である。
【0081】
本発明の一態様では、少なくとも一個のアミノ酸残基は、A−B−C−D−で誘導体化され、ここで、A−は、
nが14、15、16、17、18及び19からなる群から選択され、pが10、11、12、13及び14からなる群から選択され、dが0、1、2、3、4及び5からなる群から選択される

からなる群から選択され、
−B−は、
xが0、1、2、3及び4からなる群から選択され、yが1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11及び12からなる群から選択される

からなる群から選択され、
−C−は、
b及びeはそれぞれ独立に0、1及び2からなる群から選択され、c及びfはそれぞれ独立に0、1及び2からなる群から選択され、但し、cが0の場合、bは1又は2であるか、又はcが1又は2の場合、bは0であり、及びfが0の場合、eは1又は2であり、fが1又は2の場合、eは0である、

からなる群から選択され、
−D−は、前記アミノ酸残基に結合し、リンカーである。
【0082】
一態様では、1個のアミノ酸残基がA−B−C−D−で誘導体化されている。
【0083】
本発明の一態様では、誘導体化されたアミノ酸残基はアミノ基を含む。
【0084】
本発明の一態様では、誘導体化されたアミノ酸残基は側鎖に第一級アミノ基を含む。
【0085】
本発明の一態様では、誘導体化されたアミノ酸残基はリシンである。
【0086】
本発明の一態様では、Aは

である。
【0087】
本発明の一態様では、nは15及び17からなる群から選択され、より好ましくは17である。
【0088】
本発明の一態様では、A−は

である。
【0089】
本発明の一態様では、pは12、13、及び14からなる群から選択され、より好ましくは13である。本発明の更なる態様では、dは0、1、2、3及び4からなる群から選択され、より好ましくは0、1及び2であり、最も好ましくは1である。本発明の更なる態様では、dは0、1及び2からなる群から選択され、pは12、13又は14からなる群から選択され、より好ましくはdは1及び2からなる群から選択され、pは13及び14からなる群から選択され、最も好ましくはdは1であり、pは13である。
【0090】
本発明の一態様では、−B−は

である。
【0091】
本発明の更なる態様では、−B−は

である。
【0092】
本発明の更なる態様では、−B−は

である。
【0093】
本発明の更なる態様では、−B−は

である。
【0094】
本発明の更なる態様では、xは0、1及び2からなる群から選択され、より好ましくはxは0及び1からなる群から選択され、最も好ましくはxは1である。
【0095】
本発明の更なる態様では、−B−は

である。
【0096】
本発明の更なる態様では、yは2、3、4、5、6、7、8、9及び10からなる群から選択され、より好ましくはyは2、3、4、5、6、7及び8からなる群から選択される。
【0097】
本発明の更なる態様では、−C−は

である。
【0098】
本発明の更なる態様では、cは0及び1からなる群から選択され、bは1及び2からなる群から選択され、より好ましくはbは1であり、cは0である。
【0099】
本発明の更なる態様では、−C−は

である。
【0100】
本発明の更なる態様では、0及び1からなる群から選択され、eは1及び2から成る群から選択され、より好ましくはeは1であり、fは0である。
【0101】
本発明の更なる態様では、−C−は

である。
【0102】
本発明の更なる態様では、Dは、


からなる群から選択され、
ここで、kは0、1、2、3、4、5、11及び27からなる群から選択され、mは0、1、2、3、4、5及び6からなる群から選択される。
【0103】
本発明の更なる態様では、−D−は

である。
【0104】
本発明の更なる態様では、kは1、2、3、11及び27からなる群から選択され、より好ましくはkは1である。
【0105】
本発明の更なる態様では、mは0、1、2、3及び4からなる群から選択され、より好ましくは、mは0、1及び2からなる群から選択される。
【0106】
本発明の更なる態様では、−D−は

である。
【0107】
本発明の更なる態様では、mは0、1、2、3及び4からなる群から選択され、より好ましくは、mは0、1及び2からなる群から選択される。
【0108】
本発明の更なる態様では、−D−は

である。
【0109】

本発明の更なる態様では、mは0、1、2、3及び4からなる群から選択され、より好ましくは、mは0、1及び2からなる群から選択される。
【0110】
本発明の更なる態様では、−D−は

である。
【0111】
本発明の更なる態様では、mは0、1、2、3及び4からなる群から選択され、より好ましくは、mは0、1及び2からなる群から選択される。
【0112】
本発明の更なる態様では、−D−は

である。
【0113】
本発明の更なる態様では、mは0、1、2、3及び4からなる群から選択され、より好ましくは、mは0、1及び2からなる群から選択される。
【0114】
本発明の更なる態様では、−D−は

である。
【0115】
本発明の更なる態様では、mは0、1、2、3及び4からなる群から選択され、より好ましくは、mは0、1及び2からなる群から選択される。
【0116】
本発明の更なる態様では、A−B−C−D−は、
A−


−B−

−C−

−D−

から選択され、組み合わされる。
【0117】
本発明の更なる態様では、A−B−C−D−は、
A−

−B−

−C−

−D−

から選択され、組み合わされる。
【0118】
本発明の更なる態様では、A−B−C−D−は、



からなる群から選択される。
【0119】
一態様では、本発明に記載のハイブリッドペプチドは、Lys1のイプシロンアミノ基中及び/又はハイブリッドペプチドの一又は複数の位置に置換によって導入されたリシンのイプシロンアミノ基中及び/又は全長又は切断されたハイブリッドペプチドのN末端アルファアミノ基中でアシル化される。別の態様では、本発明に記載のハイブリッドペプチドは、全長又は切断されたハイブリッドペプチドのLys1のイプシロンアミノ基中でアシル化される。別の態様では、本発明に記載のハイブリッドペプチドは、全長又は切断されたハイブリッドペプチドの一又は複数の位置へ置換によって導入されたリシンのイプシロンアミノ基中でアシル化される。別の態様では、本発明のハイブリッドペプチドは全長又は切断されたハイブリッドペプチドのN末端アルファアミノ基中でアシル化される。
【0120】
更なる態様では、ハイブリッドペプチドは、C20ジ酸−ガンマGlu又はC18ジ酸−ガンマGluであるアルブミン結合基を用いてアシル化される。
【0121】
本発明に記載の一態様では、ハイブリッドペプチド誘導体は、当業者に知られたELISAのような標準的な方法によって測定した場合、ヒトアミリン又はプラムリンチド長期の薬物動態プロファイルを有する。薬物動態プロファイルは、ハイブリッドペプチド誘導体の半減期T1/2として測定され得る。本発明の一実施態様では、T1/2はヒトアミリンと比較して増加している。更なる実施態様では、T1/2はプラムリンチドに比較して増加している。更なる実施態様では、T1/2はプラムリンチドに比較して少なくとも2倍増加している。更なる実施態様では、T1/2はプラムリンチドに比較して少なくとも3倍増加している。更なる実施態様では、T1/2はプラムリンチドに比較して少なくとも4倍増加している。更なる実施態様では、T1/2はプラムリンチドに比較して少なくとも5倍増加している。更なる実施態様では、T1/2はプラムリンチドに比較して少なくとも10倍増加している。
【0122】
一態様では、本発明に記載のハイブリッド誘導体は、少なくとも25時間である血漿半減期を有する。別の態様では、本発明に記載のハイブリッド誘導体は、少なくとも50時間の血漿半減期を有する。別の態様では、本発明に記載のハイブリッド誘導体は、少なくとも75時間の血漿半減期を有する。更に別の態様では、本発明に記載のハイブリッド誘導体は、少なくとも100時間の血漿半減期を有する。
【0123】
本発明に記載のハイブリッド誘導体の累積食事摂取を減少させる能力は、親出願のアッセイ節に記載の薬理学的アッセイ(I)に記載に従って測定し得る。本発明の一態様では、本発明のハイブリッド誘導体は、体重のkg毎の30nmolのハイブリッドペプチド誘導体を投与した場合、ビヒクルの投与と比較して、5%より多い、好ましくはビヒクルに対して、15%より多い、より好ましくは25%より多い、更により好ましくは35%又は45%より多い、最も好ましくは50%より多い、累積食事摂取を減少する能力を示し得る。
【0124】
本発明の一態様では、本発明のハイブリッドペプチド誘導体は、投与後最初の24時間以内にビヒクルの投与に対し15%より大きく、投与後最初の24時間以内に、好ましくは25%、より好ましくは35%、更により好ましくは45%又は55%、最も好ましくは60%より大きい累積の食事摂取を減少する能力を示し得る。
【0125】
本発明の一態様では、本発明のハイブリッドペプチド誘導体は、投与後24から48時間にビヒクルの投与に対し5%より大きく、投与後24から48時間に、好ましくは15%、より好ましくは25%、更により好ましくは30%より大きい累積の食事摂取を減少する能力を示し得る。
【0126】
本発明の一態様では、ハイブリッドペプチド誘導体は、ヒトアミリンと比較してインビボ及び/又はエクスビボで繊維化、ゲル化及び/又は凝集しにくい。繊維化及び/又はゲル化及び/又は凝集形成は、例えば、当業者に知られており、ここの薬学的組成物の章で記載されるチオフラビンT試験において評価し得る。その代わりに、物理学的安定性は、当業者にまた知られている視覚試験及び/又は濁度測定の手段によって評価され得る。
【0127】
ハイブリッドペプチドのようなペプチドの産生は当該分野でよく知られている。本発明のペプチドは、従って古典的ペプチド合成、例えばt-Bocを用いた固相ペプチド合成またはFmoc化学または確立した技術によって産生されることができる(参照、Greene and Wuts,“Protective Groups in Organic Synthesis;,John Wiley;Sons,1999)。ペプチドは、また、ペプチド発現を可能にする条件下で適切な栄養培地において、ポリペチドをコードするDNAの塩基配列を含む、ポリペチドを発現することができる宿主細胞を培養することを含む方法によって産生されることができる。非天然アミノ酸残基を含むペプチドの場合は、例えばtRNA変異体を用いて、非天然アミノ酸がペプチドに組み込まれるように、組換え細胞は修飾されるべきである。
【0128】
(薬学的組成物)
本発明による誘導体を含む薬学的組成物は、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences(1985)又はRemington:The Science and Practice of Pharmacy,第19版(1995)に記載されている従来技術により調整されてもよい。
【0129】
本発明の他の目的は、0.1mg/ml〜500mg/mlの濃度で存在する本発明に係るハイブリッドアナログを含有する薬学的製剤を提供することにあり、ここで該製剤は、2.0〜10.0のpHを有する。該製剤は、プロテアーゼインヒビター、バッファー系、保存料、等張化剤、キレート剤、安定剤及び界面活性剤を更に含有しうる。
【0130】
本発明の一態様において、医薬製剤は、水性製剤(すなわち水を含む製剤)である。このような製剤は、通常は溶液または懸濁液である。本発明の更なる態様において、医薬製剤は、水溶液である。「水性製剤」なる用語は、少なくとも50w/w%の水を含む製剤として定義される。同様に、「水性溶液」なる用語は、少なくとも50w/w%の水を含む溶液と定義され、「水性懸濁液」なる用語は、少なくとも50w/w%の水を含む懸濁液と定義される。
【0131】
本発明の一目的は、本発明に係るペプチドを含む医薬製剤を提供することである。一態様において、ペプチドは、約0.1mg/mlから約25mg/mlの濃度で製剤に存在する。別の態様において、ペプチドは、約1mg/mlから約10mg/mlの濃度で製剤に存在する。
【0132】
更に他の態様では、製剤は4.0から10.0のpHを有する。
【0133】
更に他の態様では、製剤は4.0から8.5のpHを有する。
【0134】
更に他の態様では、製剤は4.0から8.0のpHを有する。
【0135】
更に他の態様では、製剤は4.0のpHを有する。
【0136】
更に他の態様では、製剤は7.0から8.0のpHを有する。
【0137】
製剤は、バッファーシステム、防腐剤、等張性薬剤、キレート剤、安定剤および/または界面活性剤から更に成ることができる。薬学的組成物における当該賦形剤の使用は、当業者にとってよく知られている。便宜上、Remington:The Science and Practice of Pharmacy第19版(1995)を参考文献として挙げることができる。
【0138】
別の態様において、医薬製剤は凍結乾燥させた製剤であり、そこに医師または患者は使用前に溶媒および/または希釈液を加える。
【0139】
別の態様において、医薬製剤は、何ら前もって溶解なしに、使用の準備ができている医薬製剤(例えば凍結乾燥させたか噴霧乾燥)である。
【0140】
本発明の更なる態様において、バッファーは、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、シトラート、グリシルグリシン、ヒスチジン、グリシン、リジン、アルギニン、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム、及びTris(ヒドロキシメチル)-アミノメタン、ビシン、トリシン、リンゴ酸、スクシナート、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、アスパラギン酸またその混合物からなる群から選択される。これらの特異的なバッファーのそれぞれは、本発明のもう一つの態様を構成する。
【0141】
本発明の更なる態様において、製剤は、薬学的に許容可能な防腐剤から更に成る。本発明の更なる態様において、製剤は、等張性剤から更に成る。本発明の更なる態様において、製剤は、キレート剤から更に成る。
【0142】
本発明の更なる態様において、製剤は、安定剤から更に成る。薬学的組成物の安定剤の使用は、当業者によく知られている。便宜上、Remington: The Science and Practice of Pharmacy第19版(1995)を参考文献として挙げることができる。
【0143】
より詳しくは、本発明の組成物は、安定化液体薬学的組成物であって、その治療効果のある成分が液体医薬製剤の貯蔵の間に、おそらく凝集形成を呈するポリペチドを含む。「凝集形成」によって、オリゴマーの形成に結果としてなるポリペチド分子間の物理的相互作用が意味され、それは可溶性のままか又は溶液から沈殿して大きな可視の凝集であってもよい。「貯蔵の間」によって、すでに調整された液体薬学的組成物又は製剤であって、患者に直ちには投与されないものを意味する。むしろ、調製後、それは貯蔵ために、液体形態、冷凍状態、または液体状態へ後に再構成するための乾燥形態、または患者に対する投与に適した他の形態の何れかにより包装される。「乾燥形態」によって、液体薬学的組成物または製剤が、凍結乾燥によって(すなわち、凍結乾燥;参照、例えばWilliamsとPolli(1984)J.Parenteral Sci.Technol.38:48-59)、噴霧乾燥によって(参照Masters(1991)、Spray-Drying Handbook(第五版;Longman Scientific and Technical,Essez,U.K.)pp.491-676;Broadhead等(1992)Drug Devel.Ind.Pharm.18:1169-1206;及びMumenthaler等(1994)Pharm.Res.11:12-20)、空気乾燥によって(Carpenter及びCrowe(1988)Cryobiology25:459-470;及びRoser(1991)Biopharm.4:47-53)の何れかで乾燥されることを意味する。液体薬学的組成物の貯蔵の間のポリペプチドによる凝集形成はそのポリペプチドの生物学的活性に悪影響を与えることがあり、薬学的組成物の治療効力の損失に結果としてなる。さらにまた、ポリペプチド含有薬学的組成物が注入システムを使用して投与される場合、凝集形成は管、膜またはポンプの妨害物のような他の問題を生じさせることがある。
【0144】
本発明の薬学的組成物は、組成物の貯蔵の間、ポリペプチドによって会合体形成を減少させるのに十分なアミノ酸塩基の量から更に成ることができる。「アミノ酸塩基」によって、アミノ酸またはアミノ酸の組合せが意味され、任意の所与のアミノ酸は遊離塩基形態において又は塩形態においての何れかで存在する。アミノ酸の組合せが使われる場合、アミノ酸の全てがそれらの遊離塩基形態で存在してもよく、全てがそれらの塩形態で存在してもよく、又はいくつかはそれらの遊離塩基形態で存在し、一方で他はそれらの塩形態で存在してもよい。一態様では、本発明の組成物を調製する際に使用するアミノ酸は、荷電された側鎖、例えばアルギニン、リジン、アスパラギン酸及びグルタミン酸を担持しているものである。特定のアミノ酸(例えばメチオニン、ヒスチジン、イミダゾール、アルギニン、リジン、イソロイシン、アスパラギン酸、トリプトファン、スレオニン及びそれらの混合物)の任意の立体異性体(すなわちL、Dまたはそれらの混合物)又はこれらの立体異性体の組合せは、特別なアミノ酸がその遊離塩基形態かその塩形態で存在する限り、本発明の組成物に存在してもよい。一態様において、L-立体異性体が使われる。本発明の組成物は、また、これらのアミノ酸のアナログによって調製されてもよい。「アミノ酸アナログ」によって、本発明の液体薬学的組成物の貯蔵の間、ポリペプチドによって凝集形成を減少させる所望の効果をもたらす天然に存在するアミノ酸の誘導体を意味する。適切なアルギニンアナログは、例えば、アミノグアニジン、オルニチン及びN-モノエチルL-アルギニンを含み、適切なメチオニンアナログはエチオニン及びブチオニンを含み、適切なシステインアナログはS-メチル-Lシステインを含む。他のアミノ酸のように、アミノ酸アナログは、その遊離塩基形態かその塩形態において組成物に組み込まれる。本発明の更なる態様において、アミノ酸またはアミノ酸アナログが、タンパク質の凝集を妨げるかまたは遅延させるために十分な濃度で使用される。
【0145】
また、薬学的組成物は、追加的な安定化剤を含むことができ、そこにおいて治療効果のあるポリペプチドの安定性を更に向上させる。薬学的組成物における安定化剤の使用は、当業者によく知られている。便宜上、Remington:The Science and Practice of Pharmacy第19版(1995)を参考文献として挙げることができる。
【0146】
本発明の更なる態様において、製剤は、界面活性剤から更に成る。本発明の更なる態様において、製剤は、プロテアーゼインヒビターから更に成る。プロテアーゼインヒビターの使用は、自己触媒を阻害するためにプロテアーゼのチモーゲンを含む薬学的組成物において特に有用である。
【0147】
本発明の更なる実施態様では、製剤は界面活性剤を更に含有する。ここで使用される場合「界面活性剤」なる用語は、水溶性(親水性)部分、頭部、脂溶性(親油性)セグメントから構成される任意の分子又はイオンを指す。界面活性剤は、好ましくは、界面に蓄積され、親水性部分が水(親水性相)に対して配向し、親油性部分が油又は疎水性相(すなわち、ガラス、空気、油等)に配向する。界面活性剤がミセルを形成し始める濃度は、臨界ミセル濃度、すなわちCMCとして知られている。更に、界面活性剤は液体の表面張力を低下させる。界面活性剤は両親媒性化合物としてもまた知られている。「洗浄剤」なる用語は、一般的に界面活性剤に使われる同義語である。薬学的組成物に界面活性剤を使用することは、当業者によく知られている。簡便には、Remington:The Science及びPractice of Pharmacy, 第19版, 1995が参照される。
【0148】
本発明の更なる実施態様では、製剤は、プロテアーゼインヒビターを更に含有する。
【0149】
他の成分が本発明のペプチド薬学的製剤に存在しうることは可能である。このような付加的な成分は、湿潤剤、乳化剤、酸化防止剤、増量剤、張力修正剤、キレート剤、金属イオン、油性ビヒクル、タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン、ゼラチン又はタンパク質)及び双性イオン(例えばアミノ酸、例えばベタイン、タウリン、アルギニン、グリシン、リジン及びヒスチジン)を含みうる。もちろん、このような付加的な成分は、本発明の薬学的製剤の全体的な安定性に有害作用を及ぼしてはならない。
【0150】
経口使用を意図した製剤は、任意の既知の方法に従って調製することができ、かかる製剤は、薬学的に上品で口に合う調製物を提供するために、甘味料、香味料、着色剤、及び保存料からなる群から選択される一又は複数の薬剤を含みうる。錠剤は、錠剤の製造に適する非毒性で薬学的に許容可能な賦形剤と混合されて、活性成分を含んでもよい。これらの賦形剤は、例えば不活性な希釈剤、例えばマンニトール、マルトデキストリン、カオリン、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウム;造粒剤及び崩壊剤、例えばコーンスターチ;結合剤、例えばデンプン、ゼラチン、ポリマー又はアカシア;及び潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクでありうる。錠剤はコートされていなくてもよく、又は崩壊もしくは治療的に活性なポリペプチドの放出を遅延化するために既知の技術によりコートされていてもよい。
【0151】
本発明の経口的に投与可能な製剤は、薬化学でよく知られている方法に従って調製され、投与され得る。Remington's Pharmaceutical Sciences, 第17版. (A. Osol編, 1985)を参照のこと。
【0152】
本発明の一実施態様では、本発明の薬学的組成物は、錠剤及びカプセル等、固形投与形態で投与されうる。錠剤は湿式造粒、乾式造粒、直接圧縮、又は溶融造粒により調製されうる。
【0153】
この発明の錠剤は、常套的な錠剤化技術を使用して調製されうる。一般的な製造方法は、ハイブリッドアナログ、水溶性希釈剤、親水性バインダー、及び場合によっては崩壊剤の一部を混合することを含む。ついで、この混合物を、親水性バインバーの水溶液又は親水性バインダーと界面活性剤との水溶液を用いて造粒し、必要ならば粉砕する。顆粒を乾燥させ、適した大きさまで小さくする。例えば潤滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム)や更なる崩壊剤のような任意の他の成分を顆粒に添加し、混合する。ついで、この混合物を適切な大きさに圧縮し、常套的な錠剤化機械、例えばロータリー式錠剤プレスを使用して成形する。錠剤は、当該分野でよく知られている技術によってフィルムコーティングされてもよい。
【0154】
経口使用のための製剤は、硬質又は軟質ゼラチンカプセルとしても提供され得、ここで活性成分は、不活性な固形希釈剤、例えばマンニトール、マルトデキストリン、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、カオリン、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウムと混合され、又は軟質ゼラチンカプセルの場合は、活性成分は水又は油性媒体、例えばピーナッツ油、流動パラフィン、又はオリブ油と混合される。
【0155】
この発明のカプセルは、一般的な方法を使用して調製することができる。一般的な製造方法は、治療的に活性なペプチド、アルギン酸塩、水溶性希釈剤、親水性バインダー、場合によっては崩壊剤の一部を混合することを含む。ついで、この混合物を、親水性バインバー水溶液又は親水性バインダーと界面活性剤の水溶液を用いて造粒し、必要ならば粉砕する。顆粒を乾燥させ、適切な大きさまで小さくする。例えば潤滑剤のような任意の他の成分を顆粒に添加し、混合する。ついで、常套的なカプセル充填機を使用し、得られた混合物を適切なサイズの殻の固いゼラチンカプセルに充填する。
【0156】
本発明に記載のハイブリッドアナログを含む薬学的組成物は、幾つかの部位、例えば局所的部位、例えば皮膚及び粘膜部位、動脈、静脈、心臓への投与等、バイパス吸収がなされる部位、例えば皮膚、皮下、粘膜又は腹部への投与等、吸収に関する部位において、このような治療が必要とされる患者に投与されうる。
【0157】
本発明の薬学的組成物は、幾つかの投与経路、例えば舌、舌下、頬、口、経口、胃、及び腸、鼻、肺を介して、例えば細気管支及び肺胞又はそれらの組合せ、表皮、真皮、経皮、膣、直腸、眼球を介して、例えば結膜、尿管、及び非経口を介して、このような治療を必要としている患者に投与されうる。
【0158】
本発明の組成物は、幾つかの投与形態、例えば溶液、懸濁剤、エマルション、マイクロエマルション、多相エマルション、フォーム、膏薬、ペースト、プラスター、軟膏、錠剤、被覆錠剤、リンス、カプセル、例えば硬質ゼラチンカプセル及び軟質ゼラチンカプセル、坐薬、直腸用カプセル、ドロップ、ゲル、スプレー、パウダー、エアゾール、吸入剤、点眼剤、眼球用軟膏、眼球用リンス、膣用ペッサリー、膣用リング、膣用軟膏、注入溶液、インシトゥー形質転換溶液、例えばインシトゥーゲル化、インシトゥーセット用、インシトゥー沈殿化、インシトゥー結晶化のもの、注入液、及び移植片として投与されうる。
【0159】
本発明の組成物は、ハイブリッドペプチドの安定性を更に高め、生物学的利用能を増加させ、溶解度を高め、有害作用を低減させ、当業者によく知られている時間治療を達成し、患者のコンプライアンスを高め、又はそれらの任意の組合せのために、例えば共有結合的、疎水的及び静電気的相互作用を介して、薬剤担体、薬剤送達系、及び先端の薬剤送達系に、配合し又はこれらに結合させうる。
【0160】
本発明の組成物は、全て当業者によく知られた装置である定量吸入器、乾燥パウダー吸入器、及び噴霧器等を使用し、インスリンアナログを肺に投与するための、固形状、半固体状、パウダー状及び液状の製剤に有用である。
【0161】
本発明の組成物は、制御、徐放性、持続性、遅延性及び低速放出性の薬剤送達系の製剤に特に有用である。
【0162】
限定されるものではないが、より詳細には、組成物は、当業者によく知られている非経口用の制御放出性及び徐放性系(双方の系では、投与の数が数倍低下する)製剤に有用である。更により好ましいのは、皮下投与される制御放出性及び徐放性系のものである。本発明の範囲を制限するものではないが、有用な制御放出性及び組成物の有用な例は、ヒドロゲル、油性ゲル、液晶、ポリマー性ミセル、ミクロスフィア、ナノ粒子である。
【0163】
本発明の組成物に有用な制御放出系の製造方法は、限定されるものではないが、結晶化、縮合、共結晶化、沈殿、共沈殿、乳化、分散、高圧ホモジナイズ、カプセル化、噴霧乾燥、マイクロカプセル化、コアセルベーション、相分離、ミクロスフィアを製造するための溶媒蒸発、押出及び超臨界流体プロセスを含む。一般的には、Handbook of Pharmaceutical Controlled Release(Wise, D.L.編. Marcel Dekker, New York, 2000)及びDrug及びthe Pharmaceutical Sciences vol.99:Protein Formulation及びDelivery(MacNally, E.J.編. Marcel Dekker, New York, 2000)を参照。
【0164】
非経口投与は、シリンジ、場合によってはペン様シリンジにより、皮下、筋肉内、腹膜内又は静脈内注射で実施されうる。あるいは、非経口投与は、注入ポンプにより実施することもできる。更なる選択肢は、鼻用又は肺用スプレーの形態でハイブリッドアナログ化合物を投与するための溶液又は懸濁剤であってよい組成物にある。更なる選択肢としては、本発明のハイブリッドアナログ化合物を含む薬学的組成物を、例えば針のない注射、又はイオン導入パッチであってよいパッチによる経皮投与用、又は頬等の経粘膜投与用に適合させることもできる。
【0165】
本発明に係るハイブリッドペプチド誘導体は、肺薬剤送達に適した任意の既知のタイプの装置を使用し、溶液、懸濁剤又は乾燥パウダーのようなビヒクルで、肺経路を介して投与することができる。これらの例には、限定されるものではないが、肺薬剤送達用に作製された一般的には3種類のエアゾールが含まれ、ジェット又は超音波噴霧器、定量吸入器、又は乾燥パウダー吸入器も含まれ得る(Yu J, Chien YW. Pulmonary drug delivery:Physiologic及びmechanistic aspects. Crit Rev Ther Drug Carr Sys 14(4)(1997)395-453を参照)。
【0166】
非経口投与は、シリンジ、場合によってはペン様シリンジにより、皮下、筋肉内、腹膜内又は静脈内注射で実施されうる。あるいは、非経口投与は、注入ポンプにより実施することもできる。更なる選択肢は、鼻用又は肺用スプレーの形態でハイブリッドアナログ化合物を投与するための溶液又は懸濁剤であってよい組成物にある。更なる選択肢としては、本発明のハイブリッドアナログ化合物を含む薬学的組成物を、例えば針のない注射、又はイオン導入パッチであってよいパッチによる経皮投与用、又は頬等の経粘膜投与用に適合させることもできる。
【0167】
本発明の別の態様では、ハイブリッドペプチド誘導体を含有する薬学的製剤は、6週間以上の使用と、3年以上の保存に対して安定している。
【0168】
本発明の別の態様では、ハイブリッドペプチド誘導体を含有する薬学的製剤は、4週間以上の使用と、3年以上の保存に対して安定している。
【0169】
本発明の別の態様では、ハイブリッドペプチド誘導体を含有する薬学的製剤は、4週間以上の使用と、2年以上の保存に対して安定している。
【0170】
本発明の別の態様では、ハイブリッドペプチド誘導体を含有する薬学的製剤は、2週間以上の使用と、2年以上の保存に対して安定している。
【0171】
水性懸濁液は、水性懸濁液を製造するために適した賦形剤と混合されて活性化合物を含みうる。
【0172】
油性懸濁液は、活性成分を植物油、例えば、落花生油、オリーブ油、ゴマ油又はココナッツ油中に、又は流動パラフィンなどの鉱油に懸濁させることにより処方することができる。油性懸濁液は、増粘剤、例えば、蜜ロウ、固形パラフィン又はセチルアルコールを含みうる。前記のような甘味剤及び香味剤を加えて、快い経口調製物とすることもできる。これらの製剤は、アスコルビン酸などの酸化防止剤を加えることにより保存することもできる。
【0173】
水に加えることにより水性分散液を調製するために適している分散性粉末及び顆粒は、分散剤又は湿潤剤、懸濁剤及び一又は複数の保存料と混合されて、活性な化合物をもたらす。適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤は、既に前記したものが例示される。他の賦形剤、例えば、甘味剤、香味剤及び着色剤がまた存在してもよい。
【0174】
本発明によって使用される化合物を含有する薬学的製剤は、水中油型エマルションの形態でもありうる。油相は、植物油、例えば、オリーブ油もしくは落花生油、又は鉱油、例えば、流動パラフィン、又はこれらの混合物でありうる。適切な乳化剤は、天然に生じるガム、例えば、アラビアゴム又はトラガカントガム、天然に生じるホスファチド、例えば、大豆、レシチン、及び脂肪酸及びヘキシトール無水物に由来するエステル又は部分エステル、例えばモノオレイン酸ソルビタン、及び前記部分エステルと酸化エチレンの縮合産物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートでありうる。エマルションはまた甘味剤及び香味剤を含んでもよい。
【0175】
シロップ及びエリキシルを、甘味剤、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール又はスクロースを用いて製剤化することができる。このような製剤は、粘滑薬、保存料及び香味剤及び着色剤をまた含みうる。
【0176】
本発明の更なる実施態様では、製剤は浸透促進剤を更に含有する。胆汁塩及び脂肪酸は、多くの場合、GI管の内側を覆う上皮細胞の脂質2重膜の経口透過性を増加させると考えられている。一般に、浸透促進剤は、膜インテグリティを可逆的に改変することにより、高分子の傍細胞及び経細胞輸送を増加させる。胆汁塩は、コール酸塩、デオキシコール酸塩、タウロコール酸塩、グリココール酸塩、タウロデオキシコール酸塩、ウルソデオキシコール酸塩、タウロウルソデオキシコール酸塩、及びケノデオキシコール酸塩からなる群から選択される。脂肪酸は、短鎖、中鎖及び長鎖の脂肪酸、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等からなる群から選択される。他の促進剤は界面活性剤、例えばモノグリセリド、ポリオキシエチレンエステル、ソルビタン界面活性剤(非イオン性)及びサルフェート(アニオン性)でありうる。
【0177】
本発明の更なる実施態様では、製剤は、粘膜接着ポリマーを更に含有する。胃腸管の粘膜への薬剤送達系の密接した接触は、粘膜接着ポリマーの使用により得ることができる。膜への投与形態の密着した接触は、送達系と吸着膜との間の経路で、治療的に活性ナトリウムポリペプチドの酵素的分解が回避可能なため、有利であるように思われる。更に、受動的な薬剤の取込のための駆動力を表す吸着膜における段階的濃度勾配を提供することができる。
【0178】
本発明の更なる実施態様では、製剤は、酵素障壁を更に回避し、治療的に活性なポリペプチドの送達を達成するために、タンパク質分解酵素のインヒビター、例えばアミノペプチダーゼインヒビター、アマスタチン(amastatin)、ベスタチン、ボロロイシン、及びピューロマイシンを更に含有する。プロテアーゼインヒビターの例は、グリコール酸ナトリウム、メシル酸カモスタット、バシトラシン、ダイズトリプシンインヒビター及びアプロチニンである。
【0179】
封入及びカプセル化は、酵素分解からの保護を含む送達特性を最適にするために、治療的に活性なポリペプチドの薬剤送達系に使用される技術である。封入又はカプセル化はポリマー薬剤送達系の形態、例えばヒドロゲル及びナノカプセル/ミクロスフィア、脂質薬剤送達系、例えばリポソーム及びマイクロエマルションとすることもできる。
【0180】
本発明の製剤は、幾つかの投薬形態、例えば溶液、懸濁剤、ミクロ-及びナノ懸濁剤、エマルション、マイクロエマルション、多相エマルション、フォーム、膏薬、ペースト、軟膏、錠剤、被覆錠剤、発泡錠剤、舌下錠剤、口腔錠剤、カプセル、例えば硬質ゼラチンカプセル及び軟質ゼラチンカプセル、パウダー、顆粒、インシトゥー形質転換溶液、例えばインシトゥーゲル化、インシトゥーセット用、インシトゥー沈殿化、インシトゥー結晶化のもの、胃部フローティング製剤、例えばフローティング懸濁剤、フローティング錠剤等で投与されうる。
【0181】
他の態様では、本発明は、医薬として使用される本発明に記載の誘導体に関する。
【0182】
一態様では、本発明に記載の薬学的組成物は、高血糖症、2型糖尿病、耐糖能異常, 1型糖尿病、肥満症、高血圧、シンドロームX、脂質異常症、認知障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、脳卒中、冠状動脈性心臓病、及び他の循環器疾患、炎症性腸症候群、消化不良及び胃潰瘍の治療又は予防のための医薬の調製に使用される。
【0183】
他の態様では、本発明に記載のハイブリッド誘導体は、2型糖尿病の疾患進行を遅延させ又は防止するための医薬として使用される。
【0184】
他の態様では、本発明に記載のハイブリッド誘導体は、食物摂取を減少させ、β細胞アポトーシスを減少させ、β細胞機能及びβ細胞量を増加させ、及び/又はβ細胞に対するグルコース感受性を回復させるための医薬として使用される。
【0185】
本発明の一態様では、本発明に記載のハイブリッド誘導体は、高血糖症、2型糖尿病、耐糖能異常、1型糖尿病、肥満症、高血圧、シンドロームX、脂質異常症、認知障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、冠状動脈性心臓病及び他の循環器疾患、脳卒中、炎症性腸症候群、消化不良及び胃潰瘍の治療又は予防のための、又は2型糖尿病における疾患進行を遅延させ又は防止するための、又は食物摂取を減少させ、β細胞アポトーシスを減少させ、β細胞機能及びβ細胞量を増加させ、及び/又はβ細胞に対するグルコース感受性を回復させるための医薬としての使用のためのものである。
【0186】
本発明の更なる態様は、高血糖症、2型糖尿病、耐糖能異常、1型糖尿病、肥満症、高血圧、シンドロームX、脂質異常症、認知障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、冠状動脈性心臓病及び他の循環器疾患、脳卒中、炎症性腸症候群、消化不良及び胃潰瘍の治療又は予防のための、又は2型糖尿病における疾患進行を遅延させ又は防止するための、又は食物摂取を減少させ、β細胞アポトーシスを減少させ、β細胞機能及びβ細胞量を増加させ、及び/又はβ細胞に対するグルコース感受性を回復させるための方法であり、かかる治療を必要とする患者に本発明に係る薬学的組成物の治療有効量を投与することを含む方法が提供される。
【0187】
本発明のハイブリッド誘導体を用いた処置は、例えば抗糖尿病剤、抗肥満剤、食欲調節剤、血圧降下剤、糖尿病に起因する又は関連する合併症を処置及び/又は予防する薬剤、及び肥満に起因する又は関連する合併症及び疾患を処置及び/又は予防する薬剤から選択される、第2の又はそれ以上の薬理学的活性物質と併用してもよい。これら薬理学的活性物質の例は:インスリン、スルホニル尿素、ビグアニド類、メグリチニド類(meglitinides)、グルコシダーゼインヒビター、グルカゴンアンタゴニスト、DPP-IV(ジペプチジルペプチダーゼ-IV)インヒビター、MC4インヒビター、リプチン、PYY、PP又はグルコース新生及び/又はグリコーゲン分解の刺激に係る肝酵素のインヒビター、グルコース取込調節剤、脂質代謝を調節する化合物、例えば抗高脂血剤(antihyperlipidemic agents)、例えばHMG CoAインヒビター(スタチン類)、食糧摂取量を低下させる化合物、RXRアゴニスト、及びβ-細胞のATP-依存性カリウムチャンネルに作用する薬剤;コレスチラミン、コレスチポール、クロフィブラート、ゲンフィブロジル(gemfibrozil)、ロバスタチン、プラバスタチン、シムバスタチン、プロブコール、デキストロサイロキシン、ネテグリニド(neteglinide)、レパグリニド類;β-ブロッカー、例えばアルプレノロール、アテノロール、チモロール、ピンドロール、プロプラノロール及びメトプロロール、ACE(アンジオテンシン変換酵素)インヒビター、例えばベナゼプリル(benazepril)、カプトプリル、エナラプリル、フォシノプリル(fosinopril)、リシノプリル、アラトリオプリル(alatriopril)、キナプリル及びラミプリル、カルシウムチャンネルブロッカー、例えばニフェジピン、フェロジピン、ニカルジピン、イスラジピン、ニモジピン、ジルチアゼム及びベパラミル、及びα-ブロッカー、例えばドキサゾシン、ウラピジル、プラゾシン及びテラゾシン;CART(コカインアンフェタミン調節転写)アゴニスト、NPY(神経ペプチドY)アンタゴニスト、PYYアゴニスト、Y2レセプターアゴニスト、Y4レセプターアゴニスト、混合Y2/Y4レセプターアゴニスト、MC4(メラノコルチン4)アゴニスト、オレキシン(orexin)アンタゴニスト、TNF(腫瘍壊死因子)アゴニスト、CRF(コルチコトロピン放出因子)アゴニスト、CRF BP(コルチコトロピン放出因子結合タンパク質)アンタゴニスト、ウロコルチンアゴニスト、β3アゴニスト、MSH(メラノサイト刺激ホルモン)アゴニスト、MCH(メラノサイト集中ホルモン)アンタゴニスト、CCK(コレシストキニン)アゴニスト、セロトニン再摂取インヒビター、セロトニン及びノルアドレナリン再摂取インヒビター、混合セロトニン及びノルアドレナリン性化合物、5HT(セロトニン)アゴニスト、ボンベシンアゴニスト、ガラニンアンタゴニスト、成長ホルモン、成長ホルモン放出化合物、TRH(チレオトロピン(thyreotropin)放出ホルモン)アゴニスト、UCP2又は3(脱共役タンパク質2又は3)モジュレーター、レプチンアゴニスト、DAアゴニスト(ブロモクリプチン、ドプレキシン(doprexin))、リパーゼ/アミラーゼインヒビター、RXR(レチノイドXレセプター)モジュレーター、TRβアゴニスト;ヒスタミンH3アンタゴニスト、ガストリン及びガストリンアナログである。
【0188】
上述の化合物の一又は複数及び場合によっては一又は複数の更なる薬理学的に活性な物質との本発明に係る誘導体の任意の適切な組合せが本発明の範囲内であると考えられることが理解されなければならない。
【0189】
以下は、態様の非限定的なリストであり、本明細書の何れかで更に記載される。
1.ハイブリッドペプチド誘導体において、前記ハイブリッドペプチドは、ヒトアミリンペプチド配列のC末端、サケカルシトニンペプチドの中間部分及びヒトアミリンペプチド配列のN末端を含み、ここで、アルブミン結合部位はハイブリッドペプチドに、所望によりリンカーを介して結合している誘導体。
2.アルブミン結合部位がハイブリッドペプチドに、所望によりリンカーを介して結合している、親のハイブリッドペプチド(配列番号:5)又はアナログハイブリッドペプチドである、態様1に記載の誘導体。
3.アルブミン結合部位がハイブリッドペプチドに、所望によりリンカーを介して結合している、アナログハイブリッドペプチドである、態様1又は2に記載の誘導体。
4.アナログハイブリッドペプチドが親ハイブリッドペプチドと比較して1から12のアミノ酸置換を有する、態様3に記載の誘導体。
5.アナログハイブリッドペプチドが親ハイブリッドペプチドと比較して1から10のアミノ酸置換を有する、態様3又は4に記載の誘導体。
6.アナログハイブリッドペプチドが親ハイブリッドペプチドと比較して1から8のアミノ酸置換を有する、態様3から5の何れか一に記載の誘導体。
7.アナログハイブリッドペプチドが親ハイブリッドペプチドと比較して1から6のアミノ酸置換を有する、態様3から6の何れか一に記載の誘導体。
8.アナログハイブリッドペプチドが親ハイブリッドペプチドと比較して1から4のアミノ酸置換を有する、態様3から7の何れか一に記載の誘導体。
9.アミリン(1−7)−[Arg11,Arg18] sCT(8−27)−アミリン(33−37)(配列番号:5)
アミリン(2−7)−[Arg11,Arg18] sCT(8−27)−アミリン(33−37)(配列番号:6)
アミリン(1−8)−[Arg11,Arg18] sCT(9−27)−アミリン(33−37)(配列番号:7)
アミリン(2−8)−[Arg11,Arg18] sCT(9−27)−アミリン(33−37)(配列番号:8)
[His1] アミリン(1−8)−[His11,His18,His24] sCT(9−27)−アミリン(33−37)(配列番号:9)
からなる群から選択され、ここで、アルブミン結合部位はハイブリッドペプチドに、所望によりリンカーを介して結合している態様1から8の何れか一に記載の誘導体。
10.アルブミン結合部位がN末端アミノ酸及び/又はC末端アミノ酸及び/又はハイブリッドペプチドの内部の1又は複数のアミノ酸に結合している、態様1から9の何れか一に記載の誘導体。
11.誘導体がハイブリッドペプチドのN末端に結合している1から12の付加的なアミノ酸からなるN末端伸長を含み、ここで、アルブミン結合部位が、所望によりリンカーを介して、付加的なアミノ酸のN末端アミノ酸に結合している、態様1から10の何れか一に記載の誘導体。
12.N末端伸長が1から10のアミノ酸からなり、アルブミン結合部位が、所望によりリンカーを介して、付加的なアミノ酸のN末端アミノ酸に結合している、態様11に記載の誘導体。
13.N末端伸長が1から8のアミノ酸からなり、アルブミン結合部位が、所望によりリンカーを介して、付加的なアミノ酸のN末端アミノ酸に結合している、態様12に記載の誘導体。
14.N末端伸長が1から6のアミノ酸からなり、アルブミン結合部位が、所望によりリンカーを介して、付加的なアミノ酸のN末端アミノ酸に結合している、態様13に記載の誘導体。
15.N末端伸長が5のアミノ酸からなり、アルブミン結合部位が、所望によりリンカーを介して、付加的なアミノ酸のN末端アミノ酸に結合している、態様14に記載の誘導体。
16.N末端伸長が4のアミノ酸からなり、アルブミン結合部位が、所望によりリンカーを介して、付加的なアミノ酸のN末端アミノ酸に結合している、態様15に記載の誘導体。
17.N末端伸長が3のアミノ酸からなり、アルブミン結合部位が、所望によりリンカーを介して、付加的なアミノ酸のN末端アミノ酸に結合している、態様16に記載の誘導体。
18.N末端伸長が2のアミノ酸からなり、アルブミン結合部位が、所望によりリンカーを介して、付加的なアミノ酸のN末端アミノ酸に結合している、態様17に記載の誘導体。
19.N末端伸長が1のアミノ酸からなり、アルブミン結合部位が、所望によりリンカーを介して、付加的なアミノ酸のN末端アミノ酸に結合している、態様18に記載の誘導体。
20.親のハイブリッドペプチドと比較して、0から8個の付加的な電荷を有する、態様1から19の何れか一項に記載の誘導体。
21.親のハイブリッドペプチドと比較して、0から8個の付加的な陽電荷を有する、態様1から20の何れか一項に記載の誘導体。
22.荷電したアミノ酸を有する親ハイブリッドペプチドの1又は複数のアミノ酸残基で置換することによる及び/又はN末端伸長において荷電したアミノ酸を付加することによるか、又はアルブミン結合残基及び/又はリンカーにおいて負に荷電した要素を添加することによって、0から8個の付加的な電荷が付加された、態様20に記載の誘導体。
23.親ハイブリッドペプチドの1又は複数のアミノ酸残基をヒスチジン残基及び/又はアルギニン残基と置換することによる及び/又はN末端伸長において荷電したアミノ酸を付加することによって、0から8個の付加的な電荷が付加された、態様22に記載の誘導体。
24.N末端伸長において荷電したアミノ酸を付加することによって、0から8個の付加的な電荷が付加された、態様23に記載の誘導体。
25.N末端伸長においてヒスチジン及び/又はアルギニンアミノ酸を付加することによって、0から8個の付加的な電荷が付加された、態様24に記載の誘導体。
26.アルブミン結合残基が親油性残基である、態様1から25の何れか一に記載の誘導体。
27.アルブミン結合残基が生理的pHにおいて負に荷電している、態様1から26の何れか一に記載の誘導体。
28.アルブミン結合残基が負に荷電した基を含む、態様1から26の何れか一に記載の誘導体。
29.アルブミン結合残基がカルボン酸基を含む、態様28に記載の誘導体。
30.アルブミン結合残基が非共有的にアルブミンに結合する、態様1から29の何れか一に記載の誘導体。
31.アルブミン結合残基が、ヒト血清アルブミンに対して、約10μMより小さいか又は約1μMより小さい結合親和性を有する、態様1から30の何れか一に記載の誘導体。
32.アルブミン結合残基が、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、ωカルボン酸基を有する基、及び部分的又は完全に水素化されたシクロペンタフェナントレン骨格からなる群から選択される、態様1から31の何れか一に記載の誘導体。
33.アルブミン結合残基が、シバクロニル残基である、態様1から32の何れか一に記載の誘導体。
34.親油性残基が部分的又は完全に水素化されたシクロペンタノフェナントレン骨格を含む、態様26に記載の誘導体。
35.アルブミン結合残基が6から40個の炭素原子、8から26個の炭素原子又は8から20個の炭素原子を有する、態様26に記載の誘導体。
36.アルブミン結合残基がCH(CH)CO-を含む基から選択されるアシル基であり、rは4から38の整数であり、好ましくは4から24の整数であり、より好ましくは、CH(CH)CO-、CH(CH)CO-、CH(CH)10CO-、CH(CH)12CO-、CH(CH)14CO-、CH(CH)16CO-、CH(CH)18CO-、CH(CH)20CO-及びCH(CH)22CO-を含む基から選択される、態様26に記載の誘導体。
37.アルブミン結合残基が直鎖又は分岐アルカンα,ω−ジカルボン酸のアシル基である、態様26に記載の誘導体。
38.アルブミン結合残基がHOOC(CH)CO-を含む基から選択されるアシル基であり、sが4から38の整数であり、好ましくは4から24の整数であり、より好ましくはHOOC(CH)14CO-、HOOC(CH)16CO-、HOOC(CH)18CO-、HOOC(CH)20CO-及びHOOC(CH)22CO-を含む基から選択される、態様26に記載の誘導体。
39.アルブミン結合残基が式CH(CH)CO-NHCH(COOH)(CH2)CO-の基であり、vが整数10から24である、態様26に記載の誘導体。
40.アルブミン結合残基が式CH(CH)CO-NHCH((CH)COOH)CO-の基であり、wが整数8から24である、態様26に記載の誘導体。
41.アルブミン結合残基が式COOH(CH)xCO-の基であり、xは8から24の整数である、態様26に記載の誘導体。
42.アルブミン結合残基が式 -NHCH(COOH)(CHNH-CO(CH)CHの基であり、yは8から18の整数である、態様26に記載の誘導体。
43.40より少ないアミノ酸残基を含むペプチドのような、アルブミン結合残基がペプチドである、態様1から25の何れか一に記載の誘導体。
44.アルブミン結合残基が、所望によりリンカーを介して、リシン残基のεアミノ基に結合している、態様1から43の何れか一に記載の誘導体。
45.態様1から44の何れか一に記載の誘導体と薬学的に許容可能な賦形剤を含む薬学的組成物。
46.経口又は口腔投与に適した、態様45に記載の薬学的組成物。
47.医薬として使用するための態様1から44の何れか一に記載の誘導体。
48.高血糖症、2型糖尿病、耐糖能異常、1型糖尿病、肥満、高血圧、X症候群、脂質異常症、認知障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、冠状動脈性心臓病及び他の心臓血管疾患、卒中、炎症性腸症候群、消化不良及び胃潰瘍の治療又は予防のための医薬として使用するための、態様1から44の何れか一に記載の誘導体。
49.2型糖尿病の疾患進行の遅延又阻害のための医薬として使用するための、態様1から44の何れか一に記載の誘導体。
50.摂食量減少、β細胞アポトーシス減少、β細胞機能及びβ細胞量の増大、および/またはβ細胞のグルコース感受性回復のための医薬として使用するための、態様1から44の何れか一に記載の誘導体。
51.態様1から44の何れか一に記載の誘導体の活性量を検体に投与することを含む、高血糖症、2型糖尿病、耐糖能異常、1型糖尿病、肥満、高血圧、X症候群、脂質異常症、認知障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、冠状動脈性心臓病及び他の心臓血管疾患、卒中、炎症性腸症候群、消化不良及び胃潰瘍の治療又は予防のための方法。
52.態様1から44の何れか一に記載の誘導体の活性量を検体に投与することを含む、2型糖尿病の疾患進行の遅延又阻害のための方法。
53.態様1から44の何れか一に記載の誘導体の活性量を検体に投与することを含む、摂食量減少、β細胞アポトーシス減少、β細胞機能及びβ細胞量の増大、および/またはβ細胞のグルコース感受性回復のための方法。
【0190】
本明細書に引用する刊行物、特許出願、及び特許を含む全ての参考文献は、各文献が個々に且つ特定の形で参照により本明細書に包含されるとして示され、且つその内容全体が本明細書に開示されたように、参照によりその内容全体及び同じ範囲が(準拠法によって許される最大の範囲を限度として)本発明の開示に含まれる。
【0191】
全ての表題及び副題は本明細書において、説明のためにのみ便宜上使用されるのであり、決して本発明を制限するものとして捉えられるべきではない。
【0192】
本明細書で使用されたあらゆる実施例、又は例示表現(例えば「〜などの」)は、単に、本発明を理解し易く説明するたに用いたのであり、特に断らない限り、本発明の技術範囲を制限するものではない。本明細書におけるいかなる表現も、特許請求されない要素を本発明の実施に必須のものとして示すものではない。
【0193】
本明細書における特許文献の引用及び援用は単に、本発明を理解し易くするために行なわれるのであり、決して、このような特許文献が持つ有効性、特許性、及び/又は強制力の側面を提示するためのものではない。
【0194】
本発明は、本明細書に添付する請求項において列挙される特許発明の主題の全ての変形物及び均等物を、準拠法によって許される範囲を限度として含む。
【0195】
(アッセイ)
薬理学的アッセイ(I)
アドリビタムを与えたラットモデルを使用する、アミリン誘導体の食欲における有効性テストのための実験的プロトコル
Taconicヨーロッパ(デンマーク)のスピローグ・ドーリー(NTac:SD)ラットが実験のために使われる。ラットは実験開始時に200−250gの体重を有する。ラットは、実験セットへ順応させるために、実験開始の少なくとも10−14日前に到着する。この期間中に、動物は少なくとも2回慣らされる。到着後、ラットは、逆転した明/暗フェーズ(午前9時に消灯し午後9時に明かりをつける)において、個々に収容され、日中は消灯され、夜間は点灯することを意味する。ラットは通常活動的であり、暗期の間にそれらの1日の摂食量の大部分を食べるので、ラットは、照明がオフにされる前に朝に投薬される。このセットアップは、最も低いデータ変動と最も高いテスト感受性に結果としてなる。
【0196】
実験はラットのホームケージにおいて行われ、ラットは順応期間と実験期間を通して食物と水に自由にアクセスする。誘導体の各投与は、5−8ラットの1グループにおいて試験される。6−8ラットのビヒクル群は、テストの各セットに含まれる。ラットは、体重に従って、0.01−3mg/kgの溶液を、腹膜内(ip)に、経口的(po)に又は皮下(sc)に、一度投与される。投与する時間は、各グループについて記録される。投与後に、ラットはそれらのホームケージに戻され、彼らはそれから食物と水にアクセスする。摂食量は、連続的にオンライン登録で、または手動で、7時間は1時間ごとに、次に24時、時々48時に、個々に記録される。実験セッションの最後に、動物を安楽死させる。
【0197】
個々のデータはマイクロソフトエクセルシートに記録する。異常値は、異常値に対するGrubbs統計評価試験を適用した後、除外し、結果はGraphPad Prismプログラムを使用してグラフによって表す。
【0198】
ルシフェラーゼアッセイ(II)
1. アミリンアッセイ概略
アミリンによるアミリン受容体(カルシトニン受容体の共発現及びペプチドRAMPsを修飾する受容体活性)の活性化がcAMPの細胞内濃度の増加につながることは、以前発行されている(Poyner DR等2002,Pharmacological Reviews54(2)233-246)。結果的に、転写は、cAMP応答エレメント(CRE)の多重コピーを含むプロモーターで活性化される。したがって、アミリン受容体も発現するBHK細胞に導入されたCREルシフェラーゼレポーター遺伝子を用いてアミリン活性を測定可能である。
【0199】
2.アミリン3(a)/CRE−luc細胞株の構築
BHK570細胞株はヒトカルシトニン受容体(CTa)とCRE応答ルシフェラーゼレポーター遺伝子によって安定にトランスフェクトされた。細胞株は、標準方法を用いてRAMP−3によって更にトランスフェクトした。これは、カルシトニン受容体をアミリン3(a)受容体に変える。メトトレキサート、ネオマイシン及びハイグロマイシンは、それぞれルシフェラーゼ、カルシトニン受容体及びRAMP−3のための選択マーカーである。
【0200】
3.アミリンルシフェラーゼアッセイ
活性アッセイを行うために、BHKアミリン3(a)//CRE−luc細胞は、約20,000の細胞/ウェルの密度で、白い96ウェル培養プレートにまかれた。細胞は、100μlの増殖培地(10%のFBS、1%のPen/Strep、1mMのNa−ピルベート、250nMのメトトレキサート、500μg/mlのネオマイシン、及び400μg/mlのハイグロマイシンを有するDMEM)中であった。オーバーナイトで37℃及び5%のCOのインキュベーション後、増殖培地は、50μl/ウェル分析培地(DMEM(フェノールレッドなし)、GlumamaxTM、10%のFBS及び10mMのHepes、pH7.4)と交換された。更に、50μl/ウェルのアッセイバッファー溶液中の標準又は試料のを加えた。37℃及び5%のCOにおける4時間のインキュベーション後、標準または試料を有するアッセイ培地は取り除かれて、100μl/ウェルのPBSと交換された。更に、100μl/ウェルのLucLiteTMを加えた。プレートはシールされて、30分間の室温でインキュベートした。最後に、発光は、SPC(単光子計数)方法によりTopCounter(パッカード)で測定された。
【0201】
アッセイ(III)タンパク質製剤の物理的安定性の評価のためのThTフィブリル化アッセイの一般的説明
ペプチドの低い物理的安定性はアミロイド繊維形成につながる可能性があり、それは規則正しい糸状の高分子構造として試料中に観察され、最終的にゲル形成に結果としてなる。これは伝統的に試料の外観検査により測定された。しかしながら、このような測定は非常に主観的であり、観察者次第である。従って、小分子インジケータープローブの適用は、はるかに有利である。チオフラビンT(ThT)はこのようなプローブであり、フィブリルと結合した場合、異なった蛍光シグネチャーを有する[Naiki等(1989)Anal.Biochem.177,244-249;LeVine(1999)Methods.Enzymol.309,274-284]。
【0202】
フィブリル形成の経時変化は、次の式によりS字曲線によって記載することができる[Nielsen等.(2001)Biochemistry40,6036-6046]:

【0203】
式中、Fは時間tのThT蛍光である。定数tは50%の最大蛍光に到達するために必要な時間である。フィブリル形成を記載する2つの重要なパラメータは、t−2τにより計算される遅延時間と見かけの速度定数kapp=1/τである。

【0204】
ペプチドの部分的に折り畳まれた中間体の形成は、フィブリル化のための一般的な始まりの機構として示唆される。それら中間体の少数がテンプレートを形成する核となり、その上に更に中間体が集まり、フィブリル化が進む。遅延時間は核の臨界量が構築される間隔に相当し、見かけの速度定数がフィブリル自体が形成される速度である。
【0205】
(試料調製)
試料は、各アッセイの前に新しく調製された。各試料組成は、各実施例に記載する。試料のpHは、濃縮NaOHとHClOまたはHClの適切な量を使用して所望の値に調整した。チオフラビンTは、HOのストック液から最終濃度1μMまで試料に加えられた。
【0206】
200μlの試料アリコートは、96ウェルのマイクロタイタープレート(パッカードOptiPlateTM−96、白ポリスチレン)にに配置された。通常、各試料の4又は8の複製(1テスト条件状態に相当する)は、ウェルの1カラムに配置された。
【0207】
(インキュベーション及び蛍光測定)
所与温度でのインキュベート、振盪及びThT蛍光放出の測定は、Fluoroskan Ascent FL蛍光プレートリーダー又はVarioskanプレートリーダー(Thermo Labsystems)で行われた。温度は37℃に調整した。全ての示されたデータにおいて、軌道振盪は1mmの振幅を有する960rpm/分に調整した。蛍光測定は、444nmのフィルターを介した励起を使用して、485nmのフィルターを介した放出の測定により実施された。
【0208】
各ランは、10分間、アッセイ温度でプレートを暖めることによって開始した。プレートは、所望の一定期間20分ごとに測定された。各測定の間に、記載のとおりプレートは振盪され、加熱された。
【0209】
(データ処理)
測定ポイントは更なる処理のためにマイクロソフトExcel形式で保存され、曲線描画及びフィッテイングはGraphPadPrismを使用して行われた。フィブリルの非存在下においてThTからのバックグラウンド放出は無視できるものだった。データポイントは通常4又は8試料の平均であり、標準偏差エラーバーと共に示される。同じ実験(すなわち同じプレート上の試料)において得られたデータだけを同じグラフに示し、実験間のフィブリル化の相対的測定を確実にする。
【0210】
データセットは、式(1)に合わせることができる。しかしながら、この場合に完全なS字曲線が測定時間の間に必ずしも得られなかったので、フィブリル化の程度は試料の平均を表にしたThT蛍光として示され、さまざまな時点で標準偏差によって示される。
【0211】
アッセイ(IV)PK−ミニブタ中のT1/2の決定
1/2は終末半減基=ln2/λであり、曲線の終末(対数−線形)部位と関連する一次速度定数λから決定され、時間体対数濃度の線形回帰によって算出された。
【0212】
本発明のカルシトニン誘導体のT1/2値は、エレガード・ゲッティンゲン(Ellegaard Gottingen)ミニブタApSからの、Gottingenミニブタ薬物動態学によって決定し、実験動物管理の原則に従った。
【0213】
研究に入る前、6-10日間の順応期間に動物を配した。順応期間の開始時、ミニブタは約5から12月齢であり、7-35kgの範囲の重量であった。ミニブタは2個の中心静脈カテーテルを挿入し、血液サンプリングに用いた。
【0214】
実験は約12時間の明期と12時間の暗期の周期になるように照明された動物室で行った。動物は個別に飼育した。
【0215】
動物は試験中、国産の飲料水に自由に接近するが、投与前の終夜から投与後の約6から12時間まで絶食される。動物は搬入時と投与の日に計量される。
【0216】
本発明において、試験物質は約2nmol/kgの投与量において皮下投与した。動物は1回の静脈又は皮下注射を受ける。皮下注射は首の右側、耳から約5から7cm及び首の中央から7から9cmになされる。注射は注射針にストッパーがなされ、注射針の0.5cmが導入される。それぞれの試験物質は典型的には3匹になされるが、幾つかの場合、2又は4匹の動物になされる。
【0217】
それぞれの動物から、12から16のサンプリングポイントを採用する、全血漿濃度−時間プロファイルが得られる。例えば、血液サンプルは以下の計画に従って回収された:
皮下投与後:
投与前(0)、0.5、1、1.5、2、4、6、12、24、48、72、96、120、168及び240時間。幾つかの場合、注射後288時間までの付加的な血液サンプルもまた考慮された。
【0218】
各サンプリング時間において、各動物から0.5から2mlの血液を回収した。血液サンプルは中心静脈カテーテルを介して回収した。
【0219】
血液サンプルはEDTA試験管(すなわち、Sarstedtマイクロチューブ1.3mL K3E)に回収した。血液サンプルを、遠心分離の前に、最大で20分、好ましくは氷上で保持した。遠心分離(例えば、4℃、10分、1500G)を使用して、血漿を分離し、直ちにマイクロニック(Micronic)-チューブ又はPCプレートに移した。約200μlの血漿を移し、アッセイまで−20℃で保存した。血漿サンプルはELISEアッセイを用いてアミリンの内容物をアッセイした。
【0220】
血漿濃度−時間プロファイルを、WinNonlin Professional 5.0 (Pharsight Inc., Mountain View, CA, USA)を使用して非コンパートメント薬物動態解析(NCA)によって分析した。NCAは、各動物からの個々の血漿濃度−時間プロファイルを使用して実施した。T1/2は終末半減基=ln2/λzであり、曲線の終末(対数−線形)部位と関連する一次速度定数λzから決定され、時間体対数濃度の線形回帰によって算出された。
【0221】
アッセイ(V)ラットにおけるT1/2のPK−決定
1/2は終末半減基=ln2/λであり、曲線の終末(対数−線形)部位と関連する一次速度定数λから決定され、時間体対数濃度の線形回帰によって算出された。
【0222】
本発明のカルシトニン誘導体のT1/2値は、Taconic Europeからの、Sprague Dawleyメスラット薬物動態学によって決定し、実験動物管理の原則に従った。
【0223】
研究に入る前、約7日間の順応期間に動物を配した。順応期間の開始時、ラットは300から400gの範囲の重量であった。血液サンプリングに用いたラットは頸動脈に永久のカテーテルを挿入した。
【0224】
実験は約12時間の明期と12時間の暗期の周期になるように照明された動物室で行った。動物はカテーテルのために個別に飼育し、即興で食事と水を摂取した。動物は投与の日に計量した。
【0225】
本研究では、試験物質は約20nmol/kgの投与量で皮下に投与した。動物は25G針とシリンジを用いて首に一回の皮下注射を行った。それぞれの試験物質は典型的には3匹に投与するが、幾つかの場合2匹又は4匹の動物に投与した。
【0226】
それぞれの動物から、8から10のサンプリングポイントを採用する、全血漿濃度−時間プロファイルが得られる。例えば、血液サンプルは以下の計画に従って回収された:
皮下投与後:
投与前(0)、注射後、0.5、1、2、4、6、8、12、24、48及び72時間。各サンプリング時間において、それぞれの動物から0.08から0.1mlの血液を採取した。血液サンプルはカテーテルを介して回収した。
【0227】
血液サンプルはEDTA試験管に回収した。血液サンプルを、遠心分離の前に、最大で20分、好ましくは氷上で保持した。遠心分離(例えば、4℃、10分、1500G)を使用して、血漿を分離し、直ちにマイクロニック(Micronic)-チューブ又はPCプレートに移した。約40μlの血漿を移し、アッセイまで−20℃で保存した。血漿サンプルはELISEアッセイを用いてアミリンの内容物をアッセイした。
【0228】
血漿濃度−時間プロファイルを、WinNonlin Professional 5.0 (Pharsight Inc., Mountain View, CA, USA)を使用して非コンパートメント薬物動態解析(NCA)によって分析した。NCAは、各動物からの個々の血漿濃度−時間プロファイルを使用して実施した。T1/2は終末半減基=ln2/λであり、曲線の終末(対数−線形)部位と関連する一次速度定数λから決定され、時間体対数濃度の線形回帰によって算出された。
【0229】
アッセイ(VI)溶解性の決定
pHに対する溶解性の曲線は、以下のように測定した。製剤を調製し、アリコートはHClOまたはHClとNaOHを加えることによって所望の範囲のpH値に調整した。これらの試料は、2−3日間、室温で平衡化させた。次に試料を遠心分離機にかけた。各試料のわずかなアリコートは逆相HPLC解析のために引き出され、溶液のタンパク質の濃度を測定した。遠心後に各試料のpHを測定し、各タンパク質の濃度は測定されたpH対して表された。
【0230】
アッセイ(VII)−アルブミン結合親和性の決定
「アルブミン結合親和性」は、当該技術分野で知られている複数の方法によって測定されてもよい。ある方法において、測定される誘導体は、例えば125IまたはHによって放射性同位元素を使って標識され、固定されたアルブミン(Kurtzhals等、Biochem.J., 312, 725-731(1995))と共にインキュベートされる。標準と比較した誘導体の結合性は算出される。ある方法において、関連した化合物が放射性同位元素を使って標識され、例えばSPAビーズに固定されたアルブミンに対する結合性は、測定される誘導体の希釈剤連続によって競合する。競合のためのEC50値は、誘導体の親和性のメジャーである。第三方法において、受容体親和性または誘導体の効力はアルブミンの異なる濃度で測定され、相対親和性の変動または誘導体の効力は、アルブミン濃度の関数として、アルブミンのための親和性を表す。
【実施例】
【0231】
(合成と精製)
実施例の化合物は下記のペプチド合成にしたがって調製した:
ペプチド合成の一方法は、マイクロ波ベースのLibertyペプチド合成機 (CEM Corp., North Carolina)でのFmoc化学によった。樹脂はTentagel S RAMで0.25 mmol/gの負荷であった。カップリング化学はNMP中0.3Mのアミノ酸溶液と6−8倍のモル過剰を用いるNMP中のDIC/HOAtであった。カップリング条件は70℃までで5分であった。脱保護は、70℃まででNMP中の5%ピペリジンを用いた。使用する脱保護したアミノ酸は、(例えば、Anaspec又はNovabiochemから得る)0.3MのHOAtを含むNMPに溶解した0.3Mの標準のFmoc−アミノ酸であった。
【0232】
ペプチド合成の別の方法は、Applied Biosystems 433ペプチドシンセサイザーにおいて、0.25mmol又は1.0mmolスケールで、NMP中でHBTU(2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル-)-1,1,3,3テトラメチルウロニウムヘクサフルオロホスフェート)又はHATU(O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘクサフルオロホスフェート)介在カップリング、及びFmoc保護基の脱保護のUVモニタリングを使用する製造者により提供されたFastMoc UVプロトコルを使用した。ペプチドアミドの合成のために使用した開始樹脂は、リンク-アミド樹脂であった。使用する保護アミノ酸誘導体は、ABI433Aシンセサイザーに適している予め計量されたカートリッジで供給される標準Fmoc-アミノ酸(例えばAnaspecまたはNovabiochemから提供される)であった。
【0233】
リシン側鎖の化学修飾が要求される場合、リシンはLys(Mtt)として組み込まれ、N末端アミノ酸はBoc-アミノ酸として配列に組み込まれるか、N末端アミノ酸がFmoc-アミノ酸として組み込まれるならばFmoc基は除去されN末端はNMP中の6等量のBoc-カーボネートと6等量のDIPEAで30分間、処理された。樹脂はNMPとDCMによって洗われ、Mtt基を、純粋なヘキサフルオロイソプロパノールに樹脂を懸濁することによって除去し、続いてDCMとNMPによる洗浄を行った。リシンの化学修飾は、ペプチド合成に使用されるものと同じ方法によって、すなわち、リバティ又はABI433において1以上の自動化工程によって又は室温で1以上の手動のカップリング工程によって、下記の1以上のビルディングブロックを加えることで実施された。合成後、樹脂はDCMによって洗浄して乾燥し、ペプチドはTFA/TIPS/水(92.5/5/2.5)により2時間処理することによって切断し、続いて4体積のジエチルエーテルで沈殿させた。ジエチルエーテルによる更なる洗浄及び乾燥後、ペプチドは1−2mg/mlで水に再溶解し、pHは約4.5に調整され、ジスルフィド架橋は1等量の[Pt(IV)エチレンジアミンCl]Clによって処理して形成した。あるいは、ジスルフィド架橋は、1時間、NMP中で10等量のヨウ素により処理して、樹脂の上に形成された。この場合、粗ペプチドは、切断とジエチルエーテル沈殿後、直接的に精製された。
【0234】
精製:粗ペプチドは、5μ又は7μのC-18シリカを詰めた20mmx250mmのカラムにおける分取HPLCによって精製された。ペプチド溶液はHPLCカラム上へ注入され、沈澱したペプチドは5mlの50%の酢酸HOに溶解されて、HOで20mlまで希釈されて、次に40−60%CHCNの0.1%TFA溶液の勾配により、40℃で、10ml/分で、50分間溶出した。ペプチドを含む分画が回収された。精製されたペプチドは、水による溶出液の希釈後、凍結乾燥された。
【0235】
214nmでのUV検出、バイダック(Vydac)218TP54 4.6mm x 250mm 5μ C-18シリカカラム(The Separations Group, Hesperia, USA)を使用し、42℃で1ml/分溶出させる、RP-HPLC分析を実施した。最も多く、4つの異なる溶出条件のうちの1つを使用した:
A1:濃HSOでpH2.5に調節された、0.1M(NH)SOからなるバッファーでカラムを平衡にし、50分、同様のバッファーで0%〜60%のCHCN勾配により溶出させる。
B1:0.1%のTFA/HOでカラムを平衡にし、50分、0%のCHCN/0.1%のTFA/HOから60%のCHCN/0.1%のTFA/HOの勾配により溶出させる。
B6:0.1%のTFA/HOでカラムを平衡にし、50分、0%のCHCN/0.1%のTFA/HOから90%のCHCN/0.1%のTFA/HOの勾配により溶出させる。
その代わりに、RP−HPLC解析を214nmのUV検出及びシンメトリー300 3.6mm x 150mm 3.5μ C−18シリカカラム(ウォーターズ)を使用し、42℃で1ml/分溶出させる、RP−HPLC分析を実施した。
B4:0.05%のTFA/HOでカラムを平衡にし、15分、5%のCHCN/0.05%のTFA/HOから95%のCHCN/0.0.5%のTFA/HOの勾配により溶出させる。
ペプチドの同一性はBruker MicroflexのMALDI−MSで確認した。
【0236】
使用する略語:
HBTU:2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル-)-1,1,3,3テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート
Fmoc:9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニル
Boc:tert-ブチルオキシカルボニル
Mtt:4-メチルトリチル
DCM:ジクロロメタン
TIPS:トリイソプロピルシラン
TFA:トリフルオロ酢酸
NMP:1-メチル-ピロリジン-2-ワン
HOAt:1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール
DIC:ジイソプロピルカルボジイミド
Trt:トリフェニルメチル
全ての実施例の合成名は、明細書中に説明する通りに定義される。
【0237】
実施例1
アミリン(1−7)−[Arg11,Arg18]sCT(8−27)−アミリン(33−37)

【0238】
実施例2
N−イプシロン1−(4−カルボキシ−4−(19−カルボキシ−ノナデカノイルアミノ)ブチリル)(アミリン(1−7)−[Arg11,Arg18]sCT(8−27)−アミリン(33−37)

【0239】
実施例3
N−アルファ2−(4−カルボキシ−4−(19−カルボキシ−ノナデカノイルアミノ)ブチリル)−アミリン(2−7)−[Arg11,Arg18]sCT(8−27)−アミリン(33−37)

【0240】
実施例4
アミリン(1−8)−[Arg11,Arg18]sCT(9−27)−アミリン(33−37)

【0241】
実施例5
[His1]アミリン(1−8)−[His11,His18,His24]sCT(9−27)−アミリン(33−37)

【0242】
実施例6
N−アルファ1−(4−カルボキシ−4−(19−カルボキシ−ノナデカノイルアミノ)ブチリル)−アミリン(1−8)−[Arg11,Arg18]sCT(9−27)−アミリン(33−37)

ルシフェラーゼアッセイ(II)における効能

薬理学的アッセイ(I)における効能
表は0から24時間及び24から48時間の期間にわたる食事摂取における減少を示す。表から誘導体化されたハイブリッドペプチド(実施例2、3及び6)は、誘導体化していないハイブリッドペプチド(実施例1)より効率的に食事摂取を減少する。n=5から7、データ=平均、化合物投与量:30mmol/kg。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッドペプチド誘導体において、前記ハイブリッドペプチドは、ヒトアミリンペプチド配列のC末端、サケカルシトニンペプチドの中間部分及びヒトアミリンペプチド配列のN末端を含み、ここで、アルブミン結合部位はハイブリッドペプチドに、所望によりリンカーを介して結合している誘導体。
【請求項2】
アルブミン結合部位がハイブリッドペプチドに、所望によりリンカーを介して結合している、親のハイブリッドペプチド(配列番号:5)又はアナログハイブリッドペプチドである、請求項1に記載の誘導体。
【請求項3】
アナログハイブリッドペプチドが、親のハイブリッドペプチドと比較して1から12個のアミノ酸置換を有するか又はアナログハイブリッドペプチドが
アミリン(2−7)−[Arg11,Arg18] sCT(8−27)−アミリン(33−37)(配列番号:6)
アミリン(1−8)−[Arg11,Arg18] sCT(9−27)−アミリン(33−37)(配列番号:7)
アミリン(2−8)−[Arg11,Arg18] sCT(9−27)−アミリン(33−37)(配列番号:8)
[His1] アミリン(1−8)−[His11,His18,His24] sCT(9−27)−アミリン(33−37)(配列番号:9)
からなる群から選択される請求項2に記載の誘導体。
【請求項4】
アルブミン結合部位がN末端アミノ酸及び/又はC末端アミノ酸及び/又はハイブリッドペプチドの内部の1又は複数のアミノ酸に結合している、請求項1から3の何れか一項に記載の誘導体。
【請求項5】
誘導体がハイブリッドペプチドのN末端に結合している1から12の付加的なアミノ酸からなるN末端伸長を含み、ここで、アルブミン結合部位が、所望によりリンカーを介して、付加的なアミノ酸のN末端アミノ酸に結合している、請求項1から4の何れか一項に記載の誘導体。
【請求項6】
親のハイブリッドペプチドと比較して、0から8個の付加的な電荷を有する、請求項1から5の何れか一項に記載の誘導体。
【請求項7】
アルブミン結合残基が親油性残基である、請求項1から6の何れか一項に記載の誘導体。
【請求項8】
アルブミン結合残基が、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、ωカルボン酸基を有する基、及び部分的又は完全に水素化されたシクロペンタフェナントレン骨格からなる群から選択される、請求項1から7の何れか一項に記載の誘導体。
【請求項9】
アルブミン結合残基が、所望によりリンカーを介して、リシン残基のεアミノ基に結合している、請求項1から8の何れか一項に記載の誘導体。
【請求項10】
請求項1から9の何れか一項に記載の誘導体を含む薬学的組成物、及び薬学的に許容可能な賦形剤。
【請求項11】
医薬として使用するための、請求項1から9の何れか一項に記載の誘導体。
【請求項12】
高血糖症、2型糖尿病、耐糖能異常、1型糖尿病、肥満、高血圧、X症候群、脂質異常症、認知障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、冠状動脈性心臓病及び他の心臓血管疾患、卒中、炎症性腸症候群、消化不良及び胃潰瘍の治療又は予防のための医薬として使用するための、請求項1から9の何れか一項に記載の誘導体。
【請求項13】
摂食量減少、β細胞アポトーシス減少、β細胞機能及びβ細胞量の増大、および/またはβ細胞のグルコース感受性回復のための医薬として使用するための請求項1から9の何れか一項に記載の誘導体。
【請求項14】
請求項1から9の何れか一項に記載の誘導体の活性量を検体に投与することを含む、高血糖症、2型糖尿病、耐糖能異常、1型糖尿病、肥満、高血圧、X症候群、脂質異常症、認知障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、冠状動脈性心臓病及び他の心臓血管疾患、卒中、炎症性腸症候群、消化不良及び胃潰瘍の治療又は予防のための方法。
【請求項15】
請求項1から9の何れか一項に記載の誘導体の活性量を検体に投与することを含む、摂食量減少、β細胞アポトーシス減少、β細胞機能及びβ細胞量の増大、および/またはβ細胞のグルコース感受性回復のための方法。

【公表番号】特表2011−525895(P2011−525895A)
【公表日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515386(P2011−515386)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際出願番号】PCT/EP2009/057972
【国際公開番号】WO2009/156473
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(596113096)ノボ・ノルデイスク・エー/エス (241)
【Fターム(参考)】