説明

アミン液の再生方法

【課題】 簡単な装置と操作により、酸成分およびアミンの酸化物他の変成物を含むアミン液をイオン交換樹脂を用いて効率的に再生し、アミン酸化物他の変成物含量の低い再生アミン液を得る。
【解決手段】 酸性ガスを吸収塔11でアミン液と接触させ酸成分を吸収除去したリッチアミン液を再生塔12で1次再生してリーンアミン液を吸収塔1に循環させ、リーンアミン液の一部をカチオン交換樹脂層5aおよびアニオン交換樹脂層6aで2次再生し、吸収塔に循環させる。アミン2次再生工程は、熱安定性アミン塩を構成するアニオンがリークする貫流点となるまで通液可能なリーンアミン液量の75〜85容積%以下のリーンアミン液量を通液した時点で、第1のアニオン交換樹脂層6aの流出液を第2のアニオン交換樹脂層7aに通液し、第1のアニオン交換樹脂層6aが前記貫流点となった時点で、第1のアニオン交換樹脂層6aの再生を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸成分およびアミンの酸化物その他の変成物を含むアミン液の再生方法、特に酸成分、およびアミンの酸化物その他の変成物を含むアミン液を、イオン交換樹脂を用いて再生する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
石油精製その他のプロセスでは、硫化水素、炭酸ガス、その他の酸成分を含む酸性ガスが発生するので、アミン液と接触させることにより精製している。この場合、酸性ガスはガス精製工程として、吸収塔においてアルカノールアミン等のアミン液(リーンアミン)と接触させることにより酸成分を吸収除去し、精製ガスはプロセスへ送る。酸成分を吸収したアミン液(リッチアミン)は再生塔に導入し、リボイラを熱源として精留することによって、蒸気ストリッピングにより熱分解性のアミン塩を分解して、気散性の酸成分を放出し、アミンを1次再生する。1次再生されたアミン液(リーンアミン)は吸収塔に循環し、酸成分の吸収除去に使用する。放出された硫化水素、炭酸ガス等の気散性の酸性ガスはそれぞれの回収装置へ送られる。
【0003】
酸性ガスに含まれる酸成分は、硫化水素、炭酸ガスが主成分であるが、この他に硫化カルボニル、シアン化水素、ギ酸、酢酸、シュウ酸、チオシアン酸、チオ硫酸、その他の無機酸等が微量成分として含まれる。これらの酸性ガスに含まれるすべての酸成分が、吸収塔においてアミン液に吸収され、アミン塩となる。再生塔では、硫化水素、炭酸ガスのアミン塩のように熱分解性のアミン塩は熱分解され、分離した硫化水素、炭酸ガス等の気散性の酸性ガスが系外へ放出され、アミンが1次再生される。ところがギ酸、酢酸、シュウ酸、チオシアン酸、チオ硫酸、その他の無機酸等のアミン塩のように熱安定性アミン塩(Heat Stable Amine Salt:以下、HSASと記す場合がある。)は再生塔では分解されず、アミン液中に蓄積する。このような熱安定性アミン塩(HSAS)が蓄積すると、吸収塔におけるアミン液の吸収効率が低下するほか、2〜3重量%になると装置の腐食や運転中の発泡の原因となるので、アミン液からHSASを除去し、アミン液を再生している。
【0004】
アミン液からHSASを除去する方法として、アミン液を水酸化ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリで中和する方法がある。この方法は、アミン液にアルカリを注入することにより、アミン塩を分解して、HSASを構成する熱安定性酸成分であるギ酸、酢酸、シュウ酸、チオシアン酸、チオ硫酸、その他の無機酸等の難気散性の弱酸および強酸を溶離して、ナトリウム、カリウム等の金属塩を遊離させ、アミン液を再生することが行われている。ここで生成する熱安定性酸成分の金属塩は低濃度であれば吸収の障害にならないが、溶解度が低く、溶解度を超えると析出して害を及ぼすため、根本的な処置とはいえない。
【0005】
アミン液からHSASを実質的に除去する方法としてイオン交換法があり、特許文献1(特開平5−294902)には、カチオン交換樹脂層およびアニオン交換樹脂層にアミン液を通液することにより、アミン液中のカチオンおよびアニオンを除去し、アミン液を2次再生することが記載されている。ここではHSASを構成するアミンに結合したアニオンの特性に応じて、I型およびII型の強酸性アニオン交換樹脂層をシリーズに配置してアニオンを除去している。これらの樹脂の再生は、カチオン交換樹脂の再生には硫酸等の酸、アニオン交換樹脂の再生には水酸化ナトリウム等のアルカリを通液することにより樹脂を再生し、アミン液の処理に供している。
【0006】
上記特許文献1を含む従来のアミン液の再生方法は、ガス精製工程の再生塔から硫化水素、炭酸ガス等の気散性の酸性ガスを除去したアミン液(リーンアミン)を、ガス精製工程に付随して設けられたカチオン交換樹脂層およびアニオン交換樹脂層へ通液して、リーンアミン液中のカチオンおよびアニオンを除去することによりリーンアミン液を2次再生している。このようなイオン交換では、樹脂の交換容量が飽和すると対象のイオンが除去できなくなるので、除去対象のイオンがリークする貫流点において通液を停止し、再生に移る。再生は、カチオン交換樹脂層、アニオン交換樹脂層へ酸、塩、アルカリ等の再生剤を通液して再生し、リーンアミン液の2次再生に繰り返し使用している。
【0007】
一般にイオン交換樹脂の飽和点、すなわち除去対象のイオンがリークする貫流点は導電率によって検出されており、リーンアミン液の2次再生に使用するカチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂の場合も同様である。アニオン交換樹脂の場合、HSASを構成する熱安定性酸成分であるギ酸、酢酸、シュウ酸、チオシアン酸、チオ硫酸、その他の無機酸等の難気散性の弱酸および強酸などの酸成分のアニオンが樹脂に交換吸着されるが、樹脂との親和性の弱いイオンから順次溶出してくる。一般的な熱安定性酸成分の場合、酢酸が最初にリークし、導電率が急上昇するので、導電率を監視し、導電率が急上昇する点を貫流点として、リーンアミン液の通液を停止し、樹脂の再生を行っている。
【0008】
従来、上記のような酸性ガスの精製にアミンを用い、アミン液をイオン交換樹脂で2次再生し、導電率によりイオン交換樹脂の貫流点を監視して樹脂の再生を行う方法は、主に石油精製その他のプロセスで発生する酸性ガスの精製に採用されているが、対象となる酸性ガスは前述のように硫化水素を含む非酸化性のガスが多く、アミン液自体の損傷、劣化などは比較的少なく、除去の対象となるのは酸性ガスに含まれる成分が主なものであった。
【0009】
ところが近年、炭酸ガスの排出規制などの観点から、ボイラの煙道ガス等の石炭や石油などの燃焼ガスから、炭酸ガスその他の有害成分を除去する必要性が高まり、このような燃焼ガスの処理に上記のアミン液による吸収が検討されている。このような燃焼ガスは、炭酸ガスその他の酸成分のほか、酸素ガスや窒素ガス、ならびにイオウ、窒素等の酸化物や過酸化物などの酸化性成分を含む酸性ガスである。このような燃焼ガスをアミン液と接触させると、酸成分がアミン液に吸収されるのは前記従来の場合と同様であるが、このときアミンが酸化等により変成されるためと推定されるが、アミンの酸化物その他の変成物がアミン液に含まれるようになる。
【0010】
このようなアミン液に含まれるアミンの酸化物その他の変成物としては、アミンがアルコール等の非イオン性のもののほか、バイシン(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン)のようなイオン性の酸、あるいは過酸化物に酸化されたものが含まれる。これらの中にはキレート作用等により、鉄等の金属に対する腐食性が高いものがあり、装置の器壁を腐食させるので、アミン液から高除去率で除去されなければならない。バイシンのようなアミンが酸化された酸は、アミノ基とカルボキシル基を持つアミノ酸であるため、弱いながら酸としてアニオン交換樹脂に吸着されるが、樹脂に対する親和性が小さいため、他のイオンに先立ってリークする。ところがイオン性が低く、許容値も低いため、導電率で検出することができず、導電率によりイオン交換樹脂の貫流点を監視して樹脂の再生を行うことができない。このためアミン液の2次再生にイオン交換樹脂を採用できないという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平5−294902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、簡単な装置と操作により、酸成分およびアミンの酸化物その他の変成物を含むアミン液を、イオン交換樹脂を用いて効率的に再生し、アミン酸化物その他の変成物含量の低い再生アミン液を得ることができ、しかもイオン交換樹脂利用効率が高く、再生時期の判定も容易なアミン液の再生方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、次のアミン液の再生方法である。
(1)酸成分および酸化性成分を含む酸性ガスを吸収塔においてアミン液と接触させることにより、酸成分および酸化性成分を吸収除去してリッチアミン液を生成する吸収工程と、
酸成分および酸化性成分を吸収したリッチアミン液を再生塔において熱分解し、気散性の酸性ガスを放出させることにより、リッチアミン液を1次再生してリーンアミン液を生成させるアミン1次再生工程と、
リーンアミン液の少なくとも一部をアニオン交換樹脂層に通液し、リーンアミン液に含まれる熱安定性アミン塩を構成するアニオン、およびアミンの酸化物その他の変成物を交換吸着してリーンアミン液を2次再生し、吸収塔に循環させるアミン2次再生工程とを含み、
アミン2次再生工程は、リーンアミン液の少なくとも一部を第1のアニオン交換樹脂層に通液し、熱安定性アミン塩を構成するアニオンがリークする貫流点となるまで通液可能なリーンアミン液量の75〜85容積%以下のリーンアミン液量を通液した時点で、第1のアニオン交換樹脂層の流出液を第2のアニオン交換樹脂層に通液し、第1のアニオン交換樹脂層が前記貫流点となった時点で、第1のアニオン交換樹脂層へのリーンアミン液の通液を停止し、第1のアニオン交換樹脂層の再生を行うことを特徴とするアミン液の再生方法。
(2)アミン2次再生工程は、第1のアニオン交換樹脂層へのリーンアミン液の通液当初から、第1のアニオン交換樹脂層の流出液を第2のアニオン交換樹脂層に通液するようにした上記(1)記載の方法。
(3)熱安定性アミン塩を構成するアニオンがリークする貫流点となるまで通液可能なリーンアミン液量は、次の[1]式により求まる値である上記(1)記載の方法。
〔酸成分アニオンの貫流点-までの通液可能量(L)〕=〔樹脂量(L)〕×〔貫流交換容量(eq/L−R)〕÷〔アミン液中のアニオン当量(eq/L)〕・・・[1]
(4)貫流交換容量は、熱安定性アミン塩を構成する酸成分アニオンを含み、アミンの酸化物その他の変成物を含まないリーンアミン液を、使用するアニオン交換樹脂層に通液し、次の[2]式により求まる値である上記(3)記載の方法。
〔貫流交換容量(eq/L−R)〕=〔アミン液中のアニオン当量(eq/L)〕×〔貫流点までの通液量(L)〕÷〔樹脂量(L)〕・・・[2]
(5)第2のアニオン交換樹脂層の再生は、第1のアニオン交換樹脂層の流出液に含まれるアニオンがリークする貫流点において行う上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の方法。
(6)アミン2次再生工程は、アニオン交換樹脂層へのリーンアミン液の通液の前に、活性炭層および/またはカチオン交換樹脂層への通液を行う上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の方法。
【0014】
本発明において、再生の対象となるアミン液は、酸成分およびアミンの酸化物を含むアミン液である。このようなアミン液としては、ボイラの煙道ガス等の石炭や石油などの燃焼ガスを、アミン液と接触させて精製することにより、酸成分や酸化物を吸収し、変成されたアミン液があげられる。上記の燃焼ガスは、炭酸ガスのほか、ギ酸、酢酸その他の低級有機酸が酸成分として含まれ、さらに酸素ガスや窒素ガス、ならびにイオウ、窒素等の酸化物や過酸化物(SO、SO等のSO、ならびにNO、NO等のNO)などの酸化性成分を含む酸性ガスである。イオウ、窒素等の酸化物や過酸化物は酸化性成分であるとともに、酸成分であるものが多い。
【0015】
これらの酸成分および酸化性成分を含む酸性ガスと接触させて精製するための吸収液に用いられるアミン液としては、従来より石油精製等のプロセスのガス精製工程において用いられているアルカノールアミン、その他のアミン液を用いることができる。その具体例としては、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、ジグリコールアミン(DGA)およびメチルジエタノールアミン(MDEA)、ジイソプロパノールアミン(DIPA)等のアルカノールアミンが一般に用いられるが、他のアミンであってもよい。これらのアミン液は通常15〜55重量%の水溶液として用いられる。
【0016】
本発明においてガス精製工程は、ボイラの煙道ガスのような石炭や石油等、の燃焼ガスなど、酸素ガス、窒素ガス、炭酸ガス、その他の酸成分、ならびに酸化性成分を含む酸性ガスを精製する工程であり、酸性ガスを吸収させる吸収工程と、アミン1次再生工程とからなる。吸収工程は酸成分および酸化性成分を含む酸性ガスを、吸収塔においてアミン液と接触させることにより、酸成分ならびに酸化性成分を吸収除去してリッチアミン液を生成する工程であり、精製ガスは熱回収工程等の後工程に送られる。アミン1次再生工程は、酸成分および酸化性成分を吸収したアミン液を再生塔において熱分解することにより、炭酸ガスその他の熱分解性ガスを放出して回収するとともに、アミン液を1次再生してリーンアミン液を生成する工程である。吸収塔および再生塔としては、それぞれ充填塔、その他の従来より用いられている気−液接触塔が用いられる。
【0017】
吸収工程は、吸収塔において酸性ガスとアミン液(リーンアミン液)とを分散状態で、例えば向流式に接触させることにより、酸成分および酸化性成分をアミン液に吸収させて被処理ガスから除去し、リッチアミン液を生成する。ここでは熱分解性のアミン塩を形成する炭酸ガス、酸素等の溶解性のガス、熱安定性アミン塩(HSAS)を形成するギ酸、酢酸等の低級有機酸のほか、無機酸を形成するイオウ、窒素等の酸化物や過酸化物、その他のアミンに溶解または反応する成分が吸収され、熱分解性のアミン塩および熱安定性アミン塩を形成する。この場合、アミンを構成する窒素原子の非共有電子対にプロトンが配位結合するため、「プロトン化(protonate)」が起こるとされているが、このとき酸を構成する対イオン(アニオン)はイオン結合するため、酸成分がアミン液に吸収される。
【0018】
吸収工程において酸成分ならびに酸化性成分がアミン液に吸収されるとき、酸素や酸化性成分により、アミンが酸化され、あるいは変成されるためと推定されるが、アミンの酸化物その他の変成物がアミン液に含まれるようになる。これらの例として、モノエタノールアミン(MEA)からのHEED(N−(2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン)、ジイソプロパノールアミン(DIPA)からの3−(2−ヒドロキシプロピル)5−メチルオギザソリドン、メチルジエタノールアミン(MDEA)やジエタノールアミン(DEA)等から、さらに腐食性の高いバイシン(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン)が生成する。
【0019】
このようなアミン液に含まれるアミンの酸化物その他の変成物としては、アミンがアルコール等の非イオン性のもののほか、バイシン(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン)のようなイオン性の酸も含まれ、これらの中にはキレート作用等により、鉄等の金属に対する腐食性が高いものがあり、装置の器壁を腐食させる。特にバイシンはアミノ基とカルボキシル基を持つアミノ酸であって、弱いながらイオン性を示す酸であり、キレート作用が強いため腐食性が高く、アミン液と接触する装置の鉄系母材を腐食させるので、アミン液中の許容限度は数百mg/L(通常250mg/L)とされている。
【0020】
吸収工程で酸成分および酸化性成分を吸収したアミン液は、アミン1次再生工程において熱分解することにより、アミン液を1次再生してリーンアミン液を生成する。熱分解は、酸成分および酸化性成分を吸収したアミン液(リッチアミン)を再生塔に導入し、リボイラを熱源として精留することによって、蒸気ストリッピングにより炭酸ガスのアミン塩のような熱分解性のアミン塩は熱分解され、分離する炭酸ガス等の気散性のガス成分を放出する。これによりアミンは1次再生され、炭酸ガス等の熱分解、気散性の酸成分を除去したリーンアミン液が生成し、リーンアミン液は吸収塔に循環して酸成分および酸化性成分の吸収に供される。分離した炭酸ガス等の気散性の酸性ガスは熱回収工程等の後工程を経て系外へ放出されるが、ギ酸、酢酸等の有機酸、亜硫酸、硫酸、亜硝酸、硝酸、その他の無機酸等の非気散性の酸成分のアミン塩のような熱安定性アミン塩(HSAS)、ならびにバイシン等のアミンの酸化物その他の変成物は再生塔では分解されず、アミン液中に蓄積した状態で吸収塔に循環する。
【0021】
HSASはアミン液中で低濃度であれば、吸収酸成分の吸収は可能であるが、アミン液中に蓄積すると、吸収塔におけるアミン液の吸収効率が低下するほか、2〜3重量%になると装置の腐食や運転中の発泡の原因となるので、アミン液からHSASを除去することが行われている。アミン液からHSASを除去するために、中和工程において、アミン液を水酸化ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリで中和することにより、蓄積した熱安定性リーンアミン塩を分解して、難気散性の弱酸の塩を遊離させ、リーンアミン液を吸収塔に循環させることができる。この工程では、アミン液にアルカリを注入して中和することにより、脱プロトン化(deprotonate)し、HSASを構成する熱安定性の酸成分であるギ酸、酢酸、シュウ酸、チオシアン酸、チオ硫酸、その他の無機酸等の難気散性の弱酸を溶離して、ナトリウム、カリウム等の金属塩を遊離させ、アミン液を再生する。ここで生成する熱安定性酸成分の金属塩は低濃度であれば吸収の障害にならないが、溶解度が低く、溶解度を超えると析出して害を及ぼすため、根本的な処置とはいえない。
【0022】
アミン液からHSASを構成する非気散性の酸成分ならびにアミンの酸化物その他の変成物を除去してアミン液を2次再生するために、本発明ではアミン2次再生工程として、リーンアミン液の少なくとも一部をアニオン交換樹脂層に通液し、リーンアミン液に含まれる熱安定性アミン塩を構成するアニオン、およびアミンの酸化物その他の変成物を交換吸着により除去してリーンアミン液を2次再生し、吸収塔に循環させる。2次再生するリーンアミン液は、1次再生したリーンアミン液の全部でも、一部でもよい。アミン2次再生工程に用いるアニオン交換樹脂層としては、第1のアニオン交換樹脂層と第2のアニオン交換樹脂層があるが、いずれも強塩基性アニオン交換樹脂を用いるのが好ましい。
【0023】
リーンアミン液中にカチオンその他の無機物や非イオン性の有機物が含まれる場合には、ろ過、活性炭処理、膜分離、カチオン交換処理等の前処理を行うのが好ましい。酸性ガスから移行する非イオン性の無機物、固形物等はろ過、膜分離などにより予め除去する。非イオン性の有機物等には活性炭処理、膜分離などが有効であり、アミンの酸化物その他の変成物のうち非イオン性のものは、これらの処理により除去することができる。酸性ガスから移行するカチオンや、前記中和工程において添加されるナトリウム、カリウム等のカチオン存在する場合には、リーンアミン液をカチオン交換樹脂層を通過させ、これらを除去することにより、アミン2次再生工程におけるアニオン交換樹脂への悪影響を防止することができる。ここで用いるカチオン交換樹脂層としては、強酸性カチオン交換樹脂が好ましい。前処理としては、特に活性炭層および/またはカチオン交換樹脂層への通液を行うのが好ましい。
【0024】
アミン2次再生工程では、リーンアミン液を第1のアニオン交換樹脂層に通液することにより、HSASを構成する非気散性の酸成分ならびにアニオン性のアミン酸化物その他の変成物が第1のアニオン交換樹脂層に交換吸着される。1次再生したリーンアミン液に含まれるアニオンとしては、ギ酸、酢酸等の有機酸、亜硫酸、硫酸、亜硝酸、硝酸、その他の無機酸等の熱安定性アミン塩(HSAS)を構成する熱安定性酸成分のほかに、バイシンその他のアミノ酸のようなアニオン性のアミンの酸化物その他の変成物などがある。これらは樹脂との親和性に強弱の差があるが、いずれも通液によりアニオン交換樹脂に交換吸着される。このようにアミン2次再生工程において、リーンアミン液中のHSASの熱安定性酸成分、およびアミン酸化物その他の変成物は除去されて、2次再生されたリーンアミン液は吸収塔に循環される。
【0025】
アミン2次再生工程において、リーンアミン液を第1のアニオン交換樹脂層に通液し、HSASを構成する非気散性の酸成分ならびにアニオン性のアミン酸化物その他の変成物をアニオン交換樹脂層に交換吸着させる操作を続け、熱安定性アミン塩を構成するアニオンがリークする貫流点となるまで通液可能なリーンアミン液量の75〜85容積%以下のリーンアミン液量を通液した時点で、第1のアニオン交換樹脂層の流出液を第2のアニオン交換樹脂層に通液し、第1のアニオン交換樹脂層が前記貫流点となった時点で、第1のアニオン交換樹脂層へのリーンアミン液の通液を停止し、第1のアニオン交換樹脂層の再生を行う。このとき第2のアニオン交換樹脂層は、再生を行うことなく停止状態となり、第1のアニオン交換樹脂層の再生が終わり、リーンアミン液の通液を開始した後、前記と同様に第2のアニオン交換樹脂層への通液を再開し、第1のアニオン交換樹脂層の流出液に含まれるアニオンがリークする貫流点に達するまで、繰り返し使用することができる。
【0026】
交換容量が飽和した時点は、一般には除去対象のイオンがリークする貫流点であり、導電率によって検出されている。これはリークするイオンの導電性を利用して、導電率の強弱により、イオンのリークを検出するものである。この場合、貫流点と判定する導電率の値は、リークするイオンの許容値によって決まる。
【0027】
従来の石油精製その他のプロセスの酸性ガスの精製工程において、酸成分を吸収したアミン液を1次再生したリーンアミン液をアニオン交換樹脂に通液してHSASを除去する場合、酢酸が最初にリークし、導電率が急上昇する。一般的な熱安定性酸成分の場合、リークするイオンの許容値は1〜2重量%とされ、導電率が約1000μS/cmの点を通液停止点としている。リーンアミン液をアニオン交換樹脂層に通液し、HSASを構成する酸成分を除去され、アニオン交換樹脂層から流出するアミン液の導電率を測定すると、アミン自体の導電率が150〜200μS/cm程度検出されるが、HSASを構成する酸成分のアニオンがリークすると導電率が急上昇し、導電率が約1000μS/cmの通液停止点が容易に検出できる。
【0028】
ところが本発明において、酸成分のほか酸化性成分を含む酸性ガスから成分および酸化性成分を吸収し、1次再生したリーンアミン液を第1のアニオン交換樹脂層に通液し、熱安定性アミン塩を構成するアニオン、およびアミンの酸化物その他の変成物を除去する場合、アミンの酸化物その他の変成物、特にバイシンが酢酸などの熱安定性アミン塩を構成するアニオンよりも先にリークすることが分かった。これはバイシンのような樹脂との親和性の弱いイオンは、一旦樹脂に交換吸着されても、後から来る親和性の強いイオンに置換されて追い出されるため、樹脂との親和性の弱いイオンから順次溶出してくるためであると推測される。
【0029】
樹脂との親和性は解離指数によって決まり、pKaが大きいほど親和性の弱いとされる。前記HSASを構成する熱安定性酸成分の中では、酢酸がpKa4.76で最も大きいので、最初に樹脂層からリークするが、バイシンはpKa8.35とさらに大きいため、酢酸よりも先にリークするものと推測される。pKaが大きいということは、イオン性が小さいことを意味し、バイシンの導電率は低い。その上リークするバイシンの許容値は250mg/Lの低濃度であり、このような低濃度のバイシンを導電率で検出することができず、導電率によりアニオン交換樹脂の貫流点を監視して樹脂の再生を行うことができない。バイシン以外のアミン酸化物その他の変成物からなるアニオンの場合もほぼ同様である。
【0030】
このため本発明では、第1のアニオン交換樹脂層において、熱安定性アミン塩を構成するアニオンがリークする貫流点となるまで通液可能なリーンアミン液量の75〜85容積%以下のリーンアミン液量を通液した時点で、第1のアニオン交換樹脂層の流出液を第2のアニオン交換樹脂層に通液し、貫流点となるまでに第1のアニオン交換樹脂層からリークするバイシンその他の親和性の弱いアニオンを第2のアニオン交換樹脂層で交換吸着させる。第1のアニオン交換樹脂層から、熱安定性アミン塩を構成するアニオンがリークする貫流点は導電率で検出可能であり、この時点で第1のアニオン交換樹脂層へのリーンアミン液の通液を停止し、第1のアニオン交換樹脂層の再生を行う。熱安定性アミン塩を構成する酸成分アニオンおよびアミンの酸化物その他の変成物アニオンを含むリーンアミン液を通液する場合、導電率で検出可能な酸成分アニオンがリークする貫流点まで第1のアニオン交換樹脂層に通液を続けることにより、第1のアニオン交換樹脂層を交換容量いっぱい使い切ることになるためイオン交換樹脂利用効率が高くなり、アミン再生の効率が高くなる。この場合、バイシン等のアミンの酸化物その他の変成物アニオンはすでにリークしているが、これらは第2のアニオン交換樹脂層で除去され、流出が防止される。
【0031】
熱安定性アミン塩を構成するアニオンがリークする貫流点となるまで通液可能なリーンアミン液量は、試験的に被処理リーンアミン液を通液し、導電率で酸成分アニオンのリークする貫流点を検出し、それまでに通液した積算量とすることができる。被処理リーンアミン液の組成が変わらない場合には、この量は上記通液可能なリーンアミン液量として、その75〜85容積%以下のリーンアミン液量を通液した点を流路の切替点とし、第1のアニオン交換樹脂層の流出液を第2のアニオン交換樹脂層に通液する。
【0032】
リーンアミン液の組成が変わる場合には、リーンアミン液の組成、アニオン交換樹脂の樹脂量および貫流交換容量から、次の[1]式により上記酸成分アニオンの貫流点-までの通液可能量を求めることができる。[1]式中、アミン液中のアニオン当量は、単位被処理リーンアミン液に含まれる全アニオンの当量である。
〔酸成分アニオンの貫流点-までの通液可能量(L)〕=〔樹脂量(L)〕×〔貫流交換容量(eq/L−R)〕÷〔アミン液中のアニオン当量(eq/L)〕・・・[1]
【0033】
貫流交換容量を求めるには、熱安定性アミン塩を構成する酸成分アニオンを含み、アミンの酸化物その他の変成物を含まないリーンアミン液を、使用するアニオン交換樹脂層に通液し、熱安定性アミン塩を構成するアニオンの許容値に対応する導電率を検出することにより酸成分アニオンがリークする貫流点を決めることができる。この場合、例えば導電率約1000μS/cmを検出した時点を、熱安定性アミン塩を構成するアニオンの貫流点とすることができる。こうして求められる貫流点から、次の[2]式によりアニオン交換樹脂層の貫流交換容量が算出される。
〔貫流交換容量(eq/L−R)〕=〔アミン液中のアニオン当量(eq/L)〕×〔貫流点までの通液量(L)〕÷〔樹脂量(L)〕・・・[2]
【0034】
第1のアニオン交換樹脂層の流出液を第2のアニオン交換樹脂層に通液する点は、上記(1)式により求めた酸成分アニオンの貫流点-までの通液可能量の75〜85容積%以下のリーンアミン液量を通液した点であり、この時点で流路を切替えて第1のアニオン交換樹脂層の流出液を第2のアニオン交換樹脂層に通液することができる。バイシン等のアミンの酸化物その他の変成物アニオンは、酸成分アニオンの貫流点にいたる前にすでにリークしているが、通液可能量の85容積%以下のリーンアミン液量を通液した点で第2のアニオン交換樹脂層に通液することにより、バイシン等のアミンの酸化物その他の変成物アニオンのリーク量を許容値内にすることができ、特に75容積%以下で通液を停止することにより、それらのリークを防止することができる。
【0035】
上記通液可能量に掛ける75〜85容積%以下の具体的な数値は、リーンアミン液に含まれる酸成分アニオンとバイシン等のアミンの酸化物その他の変成物アニオンの当量比により決めることができ、アミンの酸化物その他の変成物アニオンの含有率が低い場合は85容積%以下とし、その含有率が高くなるに従って容積%の数値を小さくすることができるが、含有率が高い場合は75容積%以下とするのが好ましい。第2のアニオン交換樹脂層への通液は、0容積%の時点、すなわち第1のアニオン交換樹脂層へのリーンアミン液の通液当初から、第1のアニオン交換樹脂層の流出液を第2のアニオン交換樹脂層に通液してもよいが、75容積%以下の場合は無駄になる場合があるので、75〜85容積%に近い段階で切り替えるのが好ましい。
【0036】
第2のアニオン交換樹脂層へ通液される第1のアニオン交換樹脂層の流出液に含まれるアニオンは、熱安定性アミン塩を構成するアニオンがリークする貫流点となるまでにリークする成分である。その成分は特定の成分に限られ、バイシンが主成分であり、他にギ酸、酢酸等が含まれるが、各成分の量は少ない。このため1回の第1のアニオン交換樹脂層の流出液の通液では、第2のアニオン交換樹脂層の交換容量を十分に使い切れないので、第2のアニオン交換樹脂層は、繰り返し使用することができる。
【0037】
第2のアニオン交換樹脂層は、第1のアニオン交換樹脂層の流出液に含まれるアニオンが第2のアニオン交換樹脂層からリークする貫流点に達する時点で、樹脂の再生を行うことができる。第2のアニオン交換樹脂層でもバイシンが先にリークするが、他の成分であるギ酸、酢酸等がリークすると導電率が急激に高くなるので、これを検出することによって貫流点を検出し、樹脂の再生を行うことができる。導電率の上昇によって貫流点が検出される前にバイシンがリークするが、貫流点におけるバイシンの量は許容値内であり、導電率の上昇によって貫流点を検出して、第2のアニオン交換樹脂層の再生時期を判定することができ、再生時期の判定も容易に行うことができる。
【0038】
カチオン交換樹脂層、ならびに第1および第2のアニオン交換樹脂層の再生は通常の樹脂の再生と同様に行うことができる。例えばカチオン交換樹脂層に対しては塩酸、硫酸等の酸を通液し、アニオン交換樹脂層に対しては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ、または食塩等の塩とアルカリを通液する薬注工程、同量の水を流す押出工程、および水洗工程を行うことによりカチオン交換樹脂層およびアニオン交換樹脂層は再生される。再生したカチオン交換樹脂層および第1のアニオン交換樹脂層は、リーンアミン液を通液することにより、リーンアミン液の2次再生を再開することができる。再生した第2のアニオン交換樹脂層は、第1のアニオン交換樹脂層の流出液の通液を再開する。
【0039】
アミン液の2次再生が必要となる場所は、酸性ガスの精製装置の設置場所に付随して、広範囲に多数が分散するので、ユニット交換式のイオン交換装置を設置するのが好ましい。これはアミン液の再生塔に付随して、外部再生したカチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂を充填して、それぞれの樹脂層を形成した着脱交換式のカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットを含む複数のイオン交換装置を設け、これらのイオン交換装置から離れた場所に、カチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットを集結し、充填されたカチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂を集中的に再生する再生センターとしての樹脂再生装置および再生排液処理装置を設けるもので、集中的に樹脂を再生できる。
【0040】
この場合のアミン液の2次再生は、再生したカチオン交換樹脂層、ならびに第1および第2のアニオン交換樹脂層に、前記HSASおよびアミンの酸化、変成物を含むリーンアミン液を分流して通液すると、カチオン交換樹脂層では、リーンアミン液に含まれるカリウムイオン等のカチオンが交換吸着されて除去される。アミンも吸着されるが、他のカチオンが交換吸着されるとアミンは順次溶出する。カチオンの除去により、HSASおよびアミンの酸化、変成物を構成するアニオンは弱酸として遊離し、あるいはアミンに結合するが、いずれの場合も、第1のアニオン交換樹脂層に交換吸着されて除去される。第1のアニオン交換樹脂層からリークするバイシンその他のアニオンは第2のアニオン交換樹脂層に交換吸着されて除去される。こうしてアミン液の2次再生が行われ、2次再生されたアミン液(リーンアミン液)は吸収塔へ循環する。これらのカチオン交換樹脂層およびアニオン交換樹脂層の前に、活性炭層を設けることにより、非イオン性の物質を除去するのが好ましい。
【0041】
アミン液の2次再生を継続し、それぞれのカチオン交換樹脂層、ならびに第1および第2のアニオン交換樹脂層が飽和に達した時点で、樹脂の再生を行う。樹脂が飽和に達して再生に移る時点は、カチオン交換樹脂層についてはカチオンがリークする貫流点であるが、第1および第2のアニオン交換樹脂層については前述の通り、特定のアニオンがリークする貫流点であり、いずれも導電率により貫流点を検出できるので、再生時期の判定は容易である。着脱交換式のカチオン交換ユニット、ならびに第1および第2のアニオン交換ユニットを含む複数のイオン交換装置を用いてアミン液の2次再生を行う場合は、それぞれのカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットに再生の必要が生じた時点で、カチオン交換ユニット、ならびに第1および第2のアニオン交換ユニットを交換して再生センターとしての樹脂再生装置に集結し、集中的に再生することができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、酸成分およびアミンの酸化物その他の変成物を含むアミン液を第1のアニオン交換樹脂層に通液し、アミン液に含まれる熱安定性アミン塩を構成するアニオン、およびアミンの酸化物その他の変成物を交換吸着してアミン液を再生する際、熱安定性アミン塩を構成するアニオンがリークする貫流点となるまで通液可能なリーンアミン液量の75〜85容積%以下のリーンアミン液量を通液した時点で、第1のアニオン交換樹脂層の流出液を第2のアニオン交換樹脂層に通液し、第1のアニオン交換樹脂層が前記貫流点となった時点で、第1のアニオン交換樹脂層へのリーンアミン液の通液を停止し、第1のアニオン交換樹脂層の再生を行うようにしたので、簡単な装置と操作により、酸成分およびアミンの酸化物その他の変成物を含むアミン液をイオン交換樹脂を用いて効率的に再生し、アミン酸化物その他の変成物含量の低い再生アミン液を得ることができ、しかもイオン交換樹脂利用効率が高く、再生時期の判定も容易である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】実施形態の全体の処理装置のフロー図である。
【図2】実施形態のガス精製装置およびイオン交換装置のフロー図である。
【図3】実施形態の樹脂再生装置および再生排液処理装置のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施形態を図面により説明する。図1は全体の処理装置のフロー図、図2はガス精製装置およびイオン交換装置のフロー図、図3は樹脂再生装置および再生排液処理装置のフロー図である。図1ないし図3において、1はガス精製装置、2はイオン交換装置、3は樹脂再生装置、4は再生排液処理装置、5はカチオン交換ユニット、6は第1のアニオン交換ユニット、7は第2のアニオン交換ユニットである。
【0045】
図1において、ガス精製装置1は煙道ガスその他の燃焼ガスの排出部に設けられるもので、複数のガス精製装置1が各地に分散して設けられている。複数のガス精製装置1に付随して複数のイオン交換装置2がそれぞれ1:1対応で設けられているが、1つのガス精製装置1に複数のイオン交換装置2が設けられていてもよい。これらのイオン交換装置2から離れた場所に、再生センターとして1つの樹脂再生装置3が設けられ、これに付随して1つの再生排液処理装置4が設けられている。複数のイオン交換装置2と樹脂再生装置3間には、着脱交換式のカチオン交換ユニット5、第1のアニオン交換ユニット6および第2のアニオン交換ユニット7が行き来するように移送され、イオン交換装置2に装着してアミン液に含まれるカチオンおよびアニオンをそれぞれカチオン交換ユニット5、第1のアニオン交換ユニット6および第2のアニオン交換ユニット7に吸着させた後、脱着して樹脂再生装置3へ移送して樹脂を再生するように構成されている。カチオン交換ユニット5には、図2、3に示すように、カチオン交換樹脂を充填してカチオン交換樹脂層5aが形成され、第1のアニオン交換ユニット6には、アニオン交換樹脂を充填して第1のアニオン交換樹脂層6aが形成され、第2のアニオン交換ユニット7には、アニオン交換樹脂を充填して第2のアニオン交換樹脂層7aが形成されている。
【0046】
図2において、ガス精製装置1は吸収塔11および再生塔12がラインL1、L2により、ポンプP1、P2および熱交換器13、14を介して連絡している。吸収塔11および再生塔12は内部に充填層15、16を備え、気−液接触により吸収及び再生を行うように構成されている。吸収塔11にはラインL3、L4が連絡しており、ラインL3から入る炭酸ガスその他の酸成分、およびアミンの酸化物その他の変成物を含む酸性ガスを充填層15において、ラインL2から入るリーンアミン液と接触させ、これにより酸成分およびアミンの酸化物その他の変成物を吸収除去して精製ガスをラインL4から熱回収装置等へ送り、生成するリッチアミン液をラインL1から再生塔12へ送るように構成されている。再生塔12ではリボイラ17で蒸気加熱することにより、ラインL1から入るリッチアミン液を蒸気ストリッピングし、炭酸ガスのアミン塩のような熱分解性のアミン塩を分解して炭酸ガス等の揮発性の酸成分を放出し、これによりアミンを1次再生してリーンアミン液を生成し、リーンアミン液をラインL2から吸収塔11に循環するように構成されている。ラインL2にはラインL10が連絡し、炭酸カリウム等のアルカリを注入して、リーンアミン液を中和するように構成されている。
【0047】
イオン交換装置2は、ラインL2におけるラインL10の前後からバイパス路を形成するように分岐するラインL8、L9、L41、L42に接続する支持枠台21にカップリング1a、1b、1c・・・・が設けられ、カップリング1bと1c、1dと1e・・・を接続するラインL11、L12、L13、L41が設けられており、カップリング2a、2b、2c・・・・を有する着脱交換式のメカニカルフィルタユニット22、活性炭ユニット23、カチオン交換ユニット5、第1のアニオン交換ユニット6および第2のアニオン交換ユニット7がカップリング1a、1b、1c・・・・を介して着脱可能式に装着されるようになっている。ラインL12、L13、L9、L42には導電率計3a、3b、3c、3gが設けられ、ラインL9には流量計8が設けられ、制御装置24に入力されるようになっている。活性炭ユニット23、カチオン交換ユニット5、第1のアニオン交換ユニット6および第2のアニオン交換ユニット7には、それぞれ活性炭層23a、カチオン交換樹脂層5a、第1のアニオン交換樹脂層6a、第2のアニオン交換樹脂層7aが充填されており、カップリング2c、2e、2g、2iはそれぞれ上部ストレーナ23b、5b、6b、7bに連絡し、カップリング2d、2f、2h、2jはそれぞれ下部ストレーナ23c、5c、6c、7cに連絡している。
【0048】
図3において、樹脂再生装置3は支持枠台21の一部に対応する支持枠台31が設けられ、活性炭ユニット23、カチオン交換ユニット5および第1のアニオン交換ユニット6のカップリング2c、2d、2e・・・・に対応するカップリング4c、4d、4e・・・・が設けられ、活性炭ユニット23、カチオン交換ユニット5および第1のアニオン交換ユニット6が着脱交換式に装着されるようになっている。第2のアニオン交換ユニット7は第1のアニオン交換ユニット6と同じ構成であり、再生時期が異なるので、アニオン交換ユニット6の位置に取付けて再生されるようになっている。支持枠台31に対向して、洗浄水槽32、酸再生剤槽33、塩再生剤槽34、アルカリ再生剤槽35が設けられ、ラインL14、L15に連絡するラインL16、L17・・・を介して支持枠台31のカップリング4c、4d、4e・・・・に接続している。ラインL22、L26、L31には電気伝導率計3d、3e、3fが設けられ、制御装置36に入力されるようになっている。
【0049】
再生排液処理装置4はラインL15に連絡する混合貯留槽41、pH調整槽42、生物処理槽43から構成されている。混合貯留槽41は各ユニットの再生排液を導入し混合して貯留するように構成されている。pH調整槽42は混合貯留槽41から送られる混合液に、ラインL34からpH調整剤を注入してpH調整するように構成されている。生物処理槽43は活性汚泥処理槽からなり、ラインL36から活性汚泥を返送して好気性生物処理を行い、ラインL37から処理水を放流し、ラインL38から余剰汚泥を排出するように構成されている。図2、図3中、V、V1、V2、V3・・・は弁、Wは切替弁である。
【0050】
ガス精製工程では、吸収工程として煙道ガスその他の燃焼ガスの排出部からラインL3を通して酸性ガスを吸収塔11へ導入し、充填層15においてラインL2から入るリーンアミン液と接触させ、これにより炭酸ガスその他の酸成分、およびアミンの酸化物その他の変成物を吸収除去して精製ガスをラインL4からプロセスへ返送し、生成するリッチアミン液をラインL1から再生塔12へ送る。ここでは熱分解性のアミン塩を形成する炭酸ガス等の気散性のガスも、HSASを形成するギ酸、酢酸等の低級有機酸のほか、無機酸を形成するイオウ、窒素等の酸化物や過酸化物、その他のアミンに溶解または反応する成分等の難気散性のガスも吸収され、熱分解性のアミン塩および熱安定性アミン塩を形成する。このとき酸素や酸化性成分により、アミンが酸化され、あるいは変成されるためと推定されるが、アミンの酸化物その他の変成物がアミン液に含まれるようになる。
【0051】
1次再生工程では、再生塔12においてリボイラ17により発生する蒸気を導入して加熱することにより、ラインL1から入るリッチアミン液を蒸気ストリッピングし、炭酸ガスのアミン塩のような熱分解性のアミン塩を分解して酸成分を放出し、アミンを1次再生してリーンアミン液を生成し、リーンアミン液をラインL2から吸収塔11に循環する。分離した炭酸ガス等の気散性の酸性ガスはラインL6から回収装置へ送られるが、ギ酸、酢酸等の有機酸、亜硫酸、硫酸、亜硝酸、硝酸、その他の無機酸等の非気散性の酸成分のアミン塩のようなHSAS、ならびにバイシン等のアミンの酸化物その他の変成物は分解されず、アミン液中に蓄積する。ラインL10から弁Vを通して、ラインL2にアルカリを注入してリーンアミン液を中和し、中和されたリーンアミン液を吸収塔11に循環する。
【0052】
リーンアミン液の一部をラインL8から分流してイオン交換装置2へ送り、2次再生を行う。イオン交換装置2は支持枠台21のカップリング1a、1b、1c・・・・に、メカニカルフィルタユニット22、活性炭ユニット23、カチオン交換ユニット5、第1のアニオン交換ユニット6および第2のアニオン交換ユニット7のカップリング2a、2b、2c・・・・を接合して装着しておく。そしてラインL8から入るリーンアミン液をシリーズで流し、メカニカルフィルタユニット22で固形物をろ過し、活性炭ユニット23で活性炭処理し、アミンの酸化物その他の変成物のうち非イオン性の吸着性物質を除去する。カチオン交換ユニット5ではカチオン交換樹脂層5aにより、酸性ガスから移行するカチオンや、前記中和工程において添加されるナトリウム、カリウム等のカチオンを交換除去する。第1のアニオン交換ユニット6では第1のアニオン交換樹脂層6aにより、HSASを構成する非気散性の酸成分アニオン、ならびにアニオン性のアミン酸化物その他の変成物を交換除去し、アミン液を2次再生する。2次再生されたアミン液(リーンアミン液)はラインL9から吸収塔11へ循環する。
【0053】
導電率計3a、3b、3c、3gの導電率信号は制御装置24に入力され、カチオン交換ユニット5、第1のアニオン交換ユニット6および第2のアニオン交換ユニット7からイオンがリークする貫流点を判定し、また流量計8の流量信号も制御装置24に入力され、酸成分アニオンの貫流点-までの通液可能量を演算して流路切替信号を発する。このとき流路切替信号により、切替弁Wが流路を切替え、第1のアニオン交換ユニット6の流出液をラインL41から第2のアニオン交換ユニット7へ通液し、第1のアニオン交換ユニット6からリークするバイシンほかのアニオンを第2のアニオン交換樹脂層7aにより交換吸着し、ラインL42から吸収塔11へ循環される。
【0054】
導電率計3bでカチオン交換ユニット5の流出液の導電率の上昇を検出した時点で、制御装置24は通液を停止し、カチオン交換樹脂層の再生を行うようユニット交換の信号を発する。第1および第2のアニオン交換ユニット6、7の場合は、導電率計3c、3gで上昇を検出した時点で、制御装置24が通液を停止し、第1および第2のアニオン交換樹脂層6a、7aの再生を行うようユニット交換の信号を発する。このようなユニット交換の信号により、飽和したユニットを脱着して交換し、脱着したユニットを精製センターへ送って再生を行う。
【0055】
樹脂再生装置3では、支持枠台31のカップリング4c、4d、4e・・・・に、活性炭ユニット23、カチオン交換ユニット5および第1のアニオン交換ユニット6のカップリング2c、2d、2e・・・を接合して装着し、活性炭層23a、カチオン交換樹脂層5a、第1のアニオン交換樹脂層6aの再生を行う場合を示している。第2のアニオン交換ユニット7の第2のアニオン交換樹脂層7aの再生を行う場合は、および第1のアニオン交換ユニット6の位置に第2のアニオン交換ユニット7を取付けて、第2のアニオン交換樹脂層7aの再生を行う。
【0056】
活性炭ユニット23の再生は、洗浄水槽32から洗浄水を送って洗浄し、他の経路から加熱ガス、蒸気等を送って賦活する。カチオン交換ユニット5の再生は、洗浄水槽32から洗浄水を送って逆洗し、酸再生剤槽33から酸再生剤を送って薬注、押出を行い、洗浄水槽32から洗浄水を送って洗浄し再生する。第1のアニオン交換ユニット6または第2のアニオン交換ユニット7の再生は、洗浄水槽32から洗浄水を送って逆洗し、塩再生剤槽34から塩再生剤を送り、アルカリ再生剤槽35からアルカリ再生剤を送って薬注、押出を行い、洗浄水槽32から洗浄水を送って洗浄し再生する。再生後はそれぞれのユニット23、5、6、7をイオン交換装置2に送って交換に備える。
【0057】
樹脂再生装置3においてそれぞれのユニットの再生中に発生する再生排液は、ラインL15から再生排液処理装置4に導入し、再生排液の処理を行う。ラインL15から導入する再生排液は、混合貯留槽41に各ユニットの再生排液を導入して混合し貯留する。ここで酸性排液とアルカリ性排液が混合されて中和される。さらにpH調整槽42において、ラインL33から送られる混合液に、ラインL34からpH調整剤を注入してpH調整し、ラインL35から生物処理槽43へ導入する。生物処理槽43では、槽内の活性汚泥をラインL36から引き出して返送し、活性汚泥を利用して好気性生物処理を行う。処理液はラインL37から放流し、余剰汚泥はラインL38から引き出す。
【実施例】
【0058】
以下、本発明の実施例および比較例(従来例)について説明する。
【0059】
〔比較例1〕:
石油精製プロセス酸性ガスの精製から得られる、熱安定性アミン塩を構成する酸成分アニオンを含み、アミンの酸化物その他の変成物を含まないリーンアミン液を模擬し、アミン液Aを調製した。アミン液Aの組成は、メチルジエタノールアミン(MDEA);40重量%、ギ酸;2000mg/L(44.4meq/L)、酢酸;1000mg/L(16.9meq/L)、硫酸;1000mg/L(20.8meq/L)、チオシアン酸;2000mg/L(34.5meq/L)、残部;水であり、全アニオン当量は117meq/Lである。
【0060】
活性炭(クリコールWG−560:栗田工業(株)製、商標)55mLを円筒カラムに700mmの高さ充填し、上記のアミン液Aを458mL/H(SV;8.3、LV;5.8m/H)で通液した。その流出液をさらに、強塩基性アニオン交換樹脂(ダウエックスマラソンMSA、ダウケミカル社製、商標)55mLを円筒カラムに700mmの高さに充填した充填層に、458mL/H(SV;8.3、LV;5.8m/H)で通液し、流出液を所定量ずつF1〜F14として分取し、導電率の測定と成分分析を行った。その結果を表1に示す。表1において、導電率が1000μS/cmに達する点を貫流点とすると、F11とF12の境界が貫流点となり、貫流点までの通液量は350mLとなる。この結果より[2]式により貫流交換容量を求めると、次の[2a]式のように0.745(eq/L−R)になる。
〔貫流交換容量(eq/L−R)〕=〔アミン液中のアニオン当量0.117(eq/L)〕×〔貫流点までの通液量0.350(L)〕÷〔樹脂量0.055(L)〕
=0.745(eq/L−R)・・・[2a]
【0061】
【表1】

【0062】
〔実施例1〕:
煙道ガスの精製から得られる、熱安定性アミン塩を構成する酸成分アニオンおよびアミンの酸化物その他の変成物を含むリーンアミン液を模擬し、アミン液Bを調製した。アミン液Bの組成は、メチルジエタノールアミン(MDEA);40.0重量%、ギ酸;1000mg/L(22.2meq/L)、酢酸;1000mg/L(16.9meq/L)、硫酸;1000mg/L(20.8meq/L)、硝酸;1000mg/L(16.1meq/L)、バイシン;1000mg/L(6.2meq/L)、残部;水であり、全アニオン当量は82.2meq/Lである。
【0063】
比較例1と同様に、活性炭(クリコールWG−560:栗田工業(株)製、商標)55mLを円筒カラムに700mmの高さ充填し、上記のアミン液Bを458mL/H(SV;8.3、LV;5.8m/H)で通液した。その流出液をさらに、強塩基性アニオン交換樹脂(ダウエックスマラソンMSA、ダウケミカル社製、商標)55mLを円筒カラムに700mmの高さに充填した第1のアニオン交換樹脂層に、458mL/H(SV;8.3、LV;5.8m/H)で通液し、流出液を所定量ずつF1〜F5−4として分取し、導電率の測定と成分分析を行った。その結果を表2に示す。
【0064】
【表2】

【0065】
表2において、[1]式により酸成分アニオンの貫流点-までの通液可能量を求めると、次の[1a]式のようになる。
〔酸成分アニオンの貫流点-までの通液可能量(L)〕=〔樹脂量0.055(L)〕×〔貫流交換容量0.745(eq/L−R)〕÷〔アミン液中のアニオン当量0.0822(eq/L)〕=0.498(L)・・・[1a]
【0066】
この酸成分アニオンの貫流点-までの通液可能量(計算値)は、分取液の累積量で表すと460mL〜500mLの分取液F4−3までに相当するので、導電率が1000μS/cm(貫流点)に達するまでの-累積通液量(通液可能量の実験値)とほぼ一致している。
貫流点に達するまでの-通液可能量(実験値)を500mLとすると、この通液可能量の85%は425mLで、バイシンがリークし始める分取液F4−1の採取中であり、バイシンのリーク量は130mg/Lで、許容値(250mg/L)の範囲内の値である。また通液可能量の75%は375mLで、分取液F3までの累積通液量の375mLに相当し、この時点ではバイシンのリークはない。
【0067】
以上の結果より、熱安定性アミン塩を構成するアニオンがリークする貫流点となるまで通液可能なリーンアミン液量の75容積%以下の時点で、第1のアニオン交換樹脂層の流出液を第2のアニオン交換樹脂層に通液することにより、バイシンのリークを防止することができ、さらに85容積%以下の時点で第1のアニオン交換樹脂層の流出液を第2のアニオン交換樹脂層に通液することにより、バイシンのリークを許容値内に収めることができることがわかる。
【0068】
次に熱安定性アミン塩を構成するアニオンがリークする貫流点となるまで通液可能なリーンアミン液量の75〜100容積%の第1のアニオン交換樹脂層の流出液を模擬し、アミン液Cを調製した。アミン液Cの組成は、メチルジエタノールアミン(MDEA);39.3重量%、ギ酸;500mg/L(11.1meq/L)、酢酸;1300mg/L(22.0meq/L)、バイシン;2500mg/L(15.5meq/L)、残部;水であり、全アニオン当量は48.5meq/Lである。
【0069】
前記第1のアニオン交換樹脂層と同じ構成の第2のアニオン交換樹脂層に上記のアミン液Cを、第1のアニオン交換樹脂層の場合と同じ条件で通液し、流出液を所定量ずつF1〜F6−3として分取し、導電率の測定と成分分析を行った。その結果を表3に示す。
【0070】
【表3】

【0071】
表3の結果より、酢酸がリークする時点で導電率の急上昇が検出でき、この時点におけるバイシンのリークは許容値内であり、導電率の急上昇を検出した時点を貫流点として、アミン液の通液を停止し、第2のアニオン交換樹脂層を再生することにより、バイシンのリークを許容値内に収めることができることがわかる。
【0072】
次に上記でアミン液Cを通液した第2のアニオン交換樹脂層を、液抜き、水洗、薬注(8%水酸化ナトリウム、5BV)、液抜き、水洗、液抜きの高低により再生した。そして再生した第2のアニオン交換樹脂層に上記のアミン液Cを、前回と同じ条件で通液し、流出液を所定量ずつF1〜F6−3として分取し、導電率の測定と成分分析を行った。その結果を表4に示す。
【0073】
【表4】

【0074】
表4の結果より、第2のアニオン交換樹脂層は再生により、性能が回復し、繰り返し使用が可能であることが分かる。第2のアニオン交換樹脂層の再生排液はバイシンが高濃度で得られ、処理が容易である。
【産業上の利用可能性】
【0075】
石炭や石油などの燃焼ガスの精製工程において、酸成分および酸化性成分を吸収し、熱安定性アミン塩(HSAS)およびアミンの酸化物その他の変成物が蓄積したアミン液を、イオン交換樹脂を用いて再生し、熱安定性アミン塩の酸成分およびアミンの酸化物その他の変成物を効率的に除去する方法に利用可能である。
【符号の説明】
【0076】
1: ガス精製装置、2: イオン交換装置、3: 樹脂再生装置、4: 再生排液処理装置、5: カチオン交換ユニット、6: 第1のアニオン交換ユニット、7: 第2のアニオン交換ユニット、8 流量計、1a、1b・・、2a、2b・・、4c、4d、・・: カップリング、3a、3b、3c、3d、3e、3f、3g: 電気伝導率計、5a: カチオン交換樹脂層、6a: 第1のアニオン交換樹脂層、7a: 第2のアニオン交換樹脂層、11: 吸収塔、12: 再生塔、13、14: 熱交換器、15、16: 充填層、17: リボイラ、21、31: 支持枠台、22: メカニカルフィルタユニット、23: 活性炭ユニット、23a: 活性炭層、24、36: 制御装置、32: 洗浄水槽、33: 酸再生剤槽、34: 塩再生剤槽、35: アルカリ再生剤槽、41: 混合貯留槽、42: pH調整槽、43: 生物処理槽。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸成分および酸化性成分を含む酸性ガスを吸収塔においてアミン液と接触させることにより、酸成分および酸化性成分を吸収除去してリッチアミン液を生成する吸収工程と、
酸成分および酸化性成分を吸収したリッチアミン液を再生塔において熱分解し、気散性の酸性ガスを放出させることにより、リッチアミン液を1次再生してリーンアミン液を生成させるアミン1次再生工程と、
リーンアミン液の少なくとも一部をアニオン交換樹脂層に通液し、リーンアミン液に含まれる熱安定性アミン塩を構成するアニオン、およびアミンの酸化物その他の変成物を交換吸着してリーンアミン液を2次再生し、吸収塔に循環させるアミン2次再生工程とを含み、
アミン2次再生工程は、リーンアミン液の少なくとも一部を第1のアニオン交換樹脂層に通液し、熱安定性アミン塩を構成するアニオンがリークする貫流点となるまで通液可能なリーンアミン液量の75〜85容積%以下のリーンアミン液量を通液した時点で、第1のアニオン交換樹脂層の流出液を第2のアニオン交換樹脂層に通液し、第1のアニオン交換樹脂層が前記貫流点となった時点で、第1のアニオン交換樹脂層へのリーンアミン液の通液を停止し、第1のアニオン交換樹脂層の再生を行うことを特徴とするアミン液の再生方法。
【請求項2】
アミン2次再生工程は、第1のアニオン交換樹脂層へのリーンアミン液の通液当初から、第1のアニオン交換樹脂層の流出液を第2のアニオン交換樹脂層に通液するようにした請求項1記載の方法。
【請求項3】
熱安定性アミン塩を構成するアニオンがリークする貫流点となるまで通液可能なリーンアミン液量は、次の[1]式により求まる値である請求項1記載の方法。
〔酸成分アニオンの貫流点-までの通液可能量(L)〕=〔樹脂量(L)〕×〔貫流交換容量(eq/L−R)〕÷〔アミン液中のアニオン当量(eq/L)〕・・・[1]
【請求項4】
貫流交換容量は、熱安定性アミン塩を構成する酸成分アニオンを含み、アミンの酸化物その他の変成物を含まないリーンアミン液を、使用するアニオン交換樹脂層に通液し、次の[2]式により求まる値である請求項3記載の方法。
〔貫流交換容量(eq/L−R)〕=〔アミン液中のアニオン当量(eq/L)〕×〔貫流点までの通液量(L)〕÷〔樹脂量(L)〕・・・[2]
【請求項5】
第2のアニオン交換樹脂層の再生は、第1のアニオン交換樹脂層の流出液に含まれるアニオンがリークする貫流点において行う請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
アミン2次再生工程は、アニオン交換樹脂層へのリーンアミン液の通液の前に、活性炭層および/またはカチオン交換樹脂層への通液を行う請求項1ないし5のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−63535(P2011−63535A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−214674(P2009−214674)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【出願人】(390027188)栗田エンジニアリング株式会社 (26)
【Fターム(参考)】