説明

アメリカ結び補助具及びアメリカ結び作成方法

【課題】解けにくいアメリカ結びを容易に実現することが可能なアメリカ結び補助具及びアメリカ結び作成方法を提供する。
【解決手段】アメリカ結び補助具1は、屈曲部分に弾性を有するU字型の棒状部材10と、棒状部材10の一端に備えられた環状部12と、棒状部材10の他端に備えられ、棒状部材10よりも太く形成された先太部14とを備える。そして、ロープ100の一端部を所定の物体に固定し、ロープ100の所定部位を環状部12の下側から挿入することによってリング状に形成し、更に、リング状のロープ100の所定部位を先太部14に通して、棒状部材10の一端部に巻きかけ、更に、ロープ100の他端側を滑車に巻き掛けてからロープ100の他端部を棒状部材10に挿入する。そして、ロープ100の他端部を引っ張り、棒状部材10の弾性変形によって先太部14を環状部12の内側に当接させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アメリカ結びを行う際に用いるアメリカ結び補助具及びアメリカ結び作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロープを使用した牽引、荷締めにおいて、アメリカ結び(南京結び、締め結びとも称される)が一般的によく用いられている。
【0003】
図9は、アメリカ結びの一例を示す説明図である。図9において、ロープ100は、例えば、トラックの荷台に積載された荷物の荷締めに利用され、ロープ100の一方の端部はトラックの荷台の所定位置に固定されているものとする。更に、ロープ100の他方の端部は、荷物の上を通って、トラックの荷台における所定のフックの近傍に位置しているものとする。ここで、説明の便宜上、固定された一方の端部側を上方、他方の端部側を下方と称することにする。
【0004】
まず、図9(a)に示すように、ロープ100の途中に第1リング102を形成する。次に、図9(b)に示すように、第1リング102に対して下方に位置するロープの所定部位を、第1リング102に対して下方から上方に通して、第2リング104を形成する。更に、図9(c)に示すように、第1リング102を絞ってコブAを形成する。次に、第2リング104を一回ひねり、図9(d)に示すように、第1リング102に通したロープの所定部位よりも下方の所定部位を、第2リング104に通すことによって第3リング106を形成する。そして、第3リング106を、例えば、トラックの荷台のフックに係合させた後に、ロープ100の他端部を引っ張る。そして、ロープ100の他端部を固定することにより、トラックの荷台に積載された荷物の荷締めが完了する。
【0005】
なお、図9に示す結び方は一例であって、他にも非特許文献1で開示されるロープの結び方がある。
【0006】
ところで、アメリカ結びを実現する場合には、図9(c)に示す第2リング104が安定して形成されていることが重要である。第2リング104が安定して形成されるためには、コブAが強固に形成されている必要がある。しかし、従来、アメリカ結びに慣れていない作業員がアメリカ結びを行った場合には、アメリカ結びを作成して最後にロープに張力をかけた場合に、コブAが解けてしまうことがあり、アメリカ結びを作成するまでに時間がかかってしまう。
【0007】
そこで、従来、アメリカ結びを簡単に実現する補助具が提案されている。例えば、特許文献1に開示された補助具は、略ハート型の枠状に形成されており、ハート型における内側に延びる部位に突起が形成されている。アメリカ結びを作成する際には、突部にロープを巻き付け、ロープ突部よりも下方のロープの所定部位を、略ハート型の枠内に挿入する。すなわち、突部が図9(c)に示すコブAとして機能し、略ハート型の枠が第2リング104として機能する。これにより、アメリカ結びを作成する際の、コブA及び第2リング104を作成する工程を容易に行うことが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−240731号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】“ロープの結び方”[online]、[平成23年6月2日検索]、インターネット<URL:http://www.batta8491.com/rope-nankin.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に開示された技術によれば、ロープに常に張力が掛かっている状態であれば、ハート型の内側に延びる突部にロープが巻かれた状態で維持されるため、突起からロープが抜ける可能性は低い。しかし、アメリカ結びを作成している最中、あるいは牽引や輸送中に、ロープが一時的に緩んでしまった場合に、突部に巻かれているロープが突部から抜けてしまい、アメリカ結びが解けてしまうおそれがある。
【0011】
本発明は、このような問題点を解決し、解けにくいアメリカ結びを容易に実現することが可能なアメリカ結び補助具及びアメリカ結び作成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するため、本発明は、次に記載する構成を備えている。
【0013】
(1) 屈曲部分に弾性を有するU字型の棒状部材と、当該棒状部材の一端に備えられた環状部と、当該棒状部材の他端に備えられ、前記棒状部材よりも太く形成された先太部とを備え、前記先太部は、前記棒状部材の弾性変形によって前記環状部の内側に当接することを特徴とするアメリカ結び補助具。
【0014】
(1)によれば、環状部にロープの一部を通し、環状部に通すことによってリング状に形成されたロープを先太部に通して棒状部材の一端に取り付ける。更に、ロープの他端部を所定部材に巻き掛けてから、U字型の棒状部材の内側に通して引っ張ることにより、アメリカ結びが実現する。このとき、棒状部材の一端側が他端側に近づいて環状部に先太部が当接するため、棒状部材の一端側に通されたロープが補助具から外れることが防止される。更に、ロープが緩んで、棒状部材における先太部近傍に巻き付けたロープのリング形状が大きくなったとしても、先太部が環状部から離間する方向に移動することにより、ロープが先太部を越えることを防止する。このように、解けにくいアメリカ結びを容易に実現することが可能になる。
【0015】
(2) (1)において、前記先太部は、球状に形成されることを特徴とするアメリカ結び補助具。
【0016】
(2)によれば、ロープを、先太部を越えて棒状部材の一端に容易に通すことが可能になる。
【0017】
(3) (2)において、前記環状部は、前記棒状部材の一端に向かって細くなる略涙滴形状であることを特徴とするアメリカ結び補助具。
【0018】
(3)によれば、環状部が、棒状部材の一端に向かって細くなることにより、環状部に先太部が当接した場合に、環状部における棒状部材側に、棒状部材における先太部近傍に巻き付いているロープを通すための空間を形成することができる。このため、環状部と先太部との間にロープが挟まれてロープが傷んでしまうことが防止できる。
【0019】
(4) (3)において、前記環状部は、前記棒状部材が弾性変形した場合に、前記先太部の一部が当接する円弧部を備え、前記先太部の中心は、前記円弧部の中心を通りかつ前記環状部によって囲まれた空間に対して垂直方向に延びる直線上に位置し、前記先太部の半径は、前記円弧部の半径より長く、前記円弧部の中心から前記棒状部材の一端までの長さよりも短いことを特徴とするアメリカ結び補助具。
【0020】
(4)によれば、環状部の円弧部よりも先太部が大きいため、先太部が環状部を通り抜けてしまうことを確実に防止することができる。
【0021】
(5)(1)〜(4)のいずれかのアメリカ結び補助具を用いたアメリカ結び作成方法であって、一端部が第1の所定部材に固定されているロープの所定部位を、前記環状部における前記先太部が配置された側の反対側から通す工程と、前記環状部を通した前記ロープの所定部位を、前記先太部に通して、前記棒状部材の一端部に巻きかける工程と、前記ロープの所定部位に対して更に他端側の所定部位を第2の所定部材に巻き掛けてから前記ロープの他端部を前記棒状部材に通す工程と、前記棒状部材に通した前記ロープの他端部を引っ張り、前記棒状部材の弾性変形によって前記先太部を前記環状部の内側に当接させる工程とを備えることを特徴とするアメリカ結び作成方法。
【0022】
(5)によれば、解けにくいアメリカ結びを容易に実現することが可能になる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、棒状部材の一端側に通されたロープが補助具から外れることが防止される。これにより、解けにくいアメリカ結びを容易に実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態におけるアメリカ結び補助具1の構成を示す斜視図である。
【図2】図1のアメリカ結び補助具1を平面視した図である。
【図3】図1のアメリカ結び補助具1の両側部に圧力を加えた時の状態を示す斜視図である。
【図4】第1実施形態のアメリカ結び補助具1を用いたアメリカ結びの作成手順の説明図である。
【図5】第1実施形態のアメリカ結び補助具1の使用例を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態におけるアメリカ結び補助具2の構成を示す斜視図である。
【図7】図6のアメリカ結び補助具2を下方から平面視した図である。
【図8】第2実施形態のアメリカ結び補助具2の使用例を示す図である。
【図9】アメリカ結びの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態におけるアメリカ結び補助具1の構成を示す斜視図である。アメリカ結び補助具1は、金属によって構成されており、棒状部材10と、環状部12と、先太部14とを備えている。
【0027】
棒状部材10は、円柱状の金属棒に曲げ加工を施して、U字型に構成したものであり、U字の屈曲部分において弾性を有している。
【0028】
環状部12は、円形状に形成された枠体であり、ロープを2つに折った状態で通すことできる程度の大きさの円形空間を形成する。また、環状部12は、棒状部材10の一端に固定されている。ここで、環状部12の中心及び棒状部材10と環状部12との固定部位は、棒状部材10の一端側の中心軸上に位置している。なお、環状部12において、環状部12の中心を挟んで、棒状部材10と環状部12との固定部位の反対側の部位(図1中Mの部位)及びその近傍を、環状部12の先端部と称する。
【0029】
先太部14は、棒状部材10の他端に備えられており、棒状部材10の径よりも太く形成されている。本実施形態においては、先太部14は球状に形成されている。ここで、球状の先太部14の中心及び棒状部材10と先太部14との固定部位は、棒状部材10の他端側の中心軸上に配置されている。なお、先太部14において、先太部14の中心を挟んで、棒状部材10と環状部12との固定部位の反対側の部位(図1中Nの部位)及びその近傍を、先太部14の先端部と称する。先太部14の先端部は、環状部12の先端部に対して所定の間隔を開けて配置されている。
【0030】
図2は、図1のアメリカ結び補助具1を平面視した図である。環状部12の先端は、先太部14の中心と先端との間に位置付けられる。このため、棒状部材10に対して、環状部12と先太部14とを近づける方向に圧力をかけた場合に、図3に示すように、環状部12の先端部の内側と先太部14の先端部とが当接する。
【0031】
また、図3に示すように、環状部12と先太部14とを当接させることにより、棒状部材10に閉空間Bが形成される。ここで、棒状部材10の屈曲部分は、ロープの半径よりも大きいことが望ましい。例えば、棒状部材10の屈曲部分は、ロープ100(図4参照)の半径の2倍から3倍程度の半径の円弧を形成する。このため、閉空間Bは、少なくとも2本のロープ100を同時に通すことが可能となり、例えば、ロープをつないだ場合に、そのつなぎ目のこぶが棒状部材10を通過することが可能になる。
【0032】
次に、図4、図5を参照しながら、第1実施形態のアメリカ結び補助具1を用いたアメリカ結びの作成手順について説明する。
【0033】
まず、図5に示すように、ロープ100の一端を、第1の所定部材に相当する牽引対象の物体200に固定する。次に、図4に示すように、ロープ100の所定位置を一回ひねってリング110を作り、環状部12にリング110を、環状部12における先太部14が配置された側の反対側から通す。更に、環状部12に通したリング110を、先太部14に通して棒状部材10の一端部に巻きかける。そして、ロープ100におけるアメリカ結び補助具1に対して他端側を、例えば、図4に示すように、所定位置に固定されている第2の所定部材に相当する物体220に取り付けられた滑車210に通し、更に、このロープ100を棒状部材10の屈曲部分に通す。そして、ロープ100の他端部を引っ張ることにより、図5に示すようにアメリカ結びが実現する。
【0034】
このように、第1実施形態のアメリカ結び補助具1においては、ロープ100の他端部を引っ張った場合に、図3に示すリング110は、径が小さくなるため、棒状部材10の一端部を締め付ける状態となり、先太部14に確実に引っかかるようになる。このため、牽引中に、リング110が、先太部14を乗り越えることが防止される。また、ロープ100の張力が弱まり、リング110の径が若干大きくなったとしても、棒状部材10の弾性によって環状部12から先太部14が離間するため、リング110と先太部14との係合状態が維持される。
【0035】
更に、ロープ100の他端部を引っ張った場合に、牽引対象の物体200に対してロープ100が引っ張る力及び物体220が引っ張る力が加わる。このため、ロープ100を引っ張る力の2倍の力が牽引対象の物体200に加わるようになり、より小さな力で牽引対象の物体200を引っ張ることが可能になる。
【0036】
以上説明したように構成された第1実施形態によれば、環状部12にロープ100の一部を通し、ロープ100を一回ひねってリング状にしてから先太部14に通して棒状部材10の一端に取り付ける。更に、ロープ100をU字型の棒状部材10の内側に通して引っ張ることにより、アメリカ結びが実現する。このとき、棒状部材10の一端側が他端側に近づいて環状部12に先太部14が当接するため、棒状部材10の一端側に通されたロープ100がアメリカ結び補助具1から外れることが防止される。更に、ロープ100が緩んで、棒状部材10における先太部14近傍に巻き付けたロープ100のリング110が大きくなったとしても、先太部14が環状部12から離間する方向に移動することにより、ロープ100が先太部14を越えることを防止する。このように、解けにくいアメリカ結びを容易に実現することが可能になる。
【0037】
また、先太部14は球状に形成されているため、ロープ100を、先太部14を越えて棒状部材10の一端に容易に通すことが可能になる。
【0038】
また、アメリカ結び補助具1を用いてアメリカ結びを作成した後において、ロープ100を若干緩めることにより、ロープ100のリング110が棒状部材10の一端部に巻き掛けた状態を維持しながら、アメリカ結び補助具1の位置をスライド移動させることが可能になる。
【0039】
また、第1実施形態のアメリカ結び補助具1を用いて作成したアメリカ結びと、図9に示すロープ100のみを使用したアメリカ結びとを比較すると、ロープ100のリング110が棒状部材10の一端部を締め付ける構成が、図9に示すコブAに相当し、棒状部材10の屈曲部分が、図9に示す第2リング104に相当する。
【0040】
このため、図9に示すロープ100のみを使用したアメリカ結びにおいては、ロープ100のみで図9に示すコブAや第2リング104を作成しているが、第1実施形態のアメリカ結び補助具1を用いた場合には、図9に示すコブAや第2リング104を作成する手間を大幅に省略することが可能になる。しかも、リング110に、先太部14を通して棒状部材10の一端部に巻き掛けるという簡単な作業でコブA(図9参照)の作成に相当する作業を行うことが可能になるため、ロープ100のみを使用したアメリカ結びに慣れていない者でも、容易にアメリカ結びを作成することが可能になる。
【0041】
[第2実施形態]
図6は、本発明の第2実施形態におけるアメリカ結び補助具2の構成を示す斜視図である。アメリカ結び補助具2は、金属によって構成されており、棒状部材20と、環状部22と、先太部24とを備えている。
【0042】
棒状部材20は、円柱状の金属棒に曲げ加工を施して、U字型に構成したものであり、U字の屈曲部分において弾性を有している。
【0043】
環状部22は、円弧部22aと、一対の直線部22bとを備えた枠体である。円弧部22aは、中心角が180度よりも大きい範囲で形成されている。一対の直線部22bは、この円弧部22aの両端部から接線方向に直線的に延びて、円弧部22aの半径よりも長い所定位置で連結する。環状部22は、一対の直線部22bの連結部位において、棒状部材20の一端に固定されている。すなわち、環状部22は、棒状部材20の一端に向かって細くなる、所謂、涙滴形状に形成されている。また、環状部22は、ロープを2つに折った状態で通すことができる程度の大きさの空間を備えている。
【0044】
ここで、環状部22における円弧部22aの中心、及び棒状部材20と環状部22との固定部位は、円柱状に形成された棒状部材20の一端側の中心軸上に位置している。
【0045】
先太部24は、棒状部材20の他端に備えられており、棒状部材20の径よりも太く形成されている。本実施形態においては、先太部24は球状に形成されている。ここで、球状の先太部24の中心、及び棒状部材20と先太部24との固定部位は、円柱状に形成された棒状部材20の他端側の中心軸上に配置されている。更に、先太部24の中心は、円弧部22aの中心を通りかつ環状部22によって囲まれた涙滴形状の空間に対して垂直方向に延びる線上に位置する。言い換えれば、図7に示すように、アメリカ結び補助具2を環状部22側から平面視した場合、円弧部22aの中心と、先太部24の中心とが一致する。
【0046】
また、第2実施形態においては、図7に示すように、先太部24の半径をR、円弧部22aの内側の半径をr1、円弧部22aの中心から棒状部材20の一端までの長さをr2とした場合、r1<R<r2の関係にある。このため、アメリカ結び補助具2を環状部22側から平面視した場合、図7に示すように、円弧部22aは先太部24によって覆われる。また、棒状部材20と先太部24との固定部位は、一対の直線部22bの連結部位付近に形成された空間Cに対向する。
【0047】
このため、棒状部材20に対して、環状部22と先太部24とを近づける方向に圧力をかけた場合に、環状部22の円弧部22aが先太部24によって塞がれる。その一方で、空間Cは開放された状態で維持される。
【0048】
第2実施形態のアメリカ結び補助具2を用いたアメリカ結びの作成手順については、図4、図5を用いて説明した第1実施形態によるアメリカ結びの作成手順と同様である。まず、図5に示すように、ロープ100の一端を牽引対象の物体200に固定する。次に、図8に示すように、ロープ100の所定位置を一回ひねってリング110を作り、このリング110を環状部に通す。更に、環状部22に通したリング110を、先太部24(図6参照)に通して棒状部材20の一端部に巻きかける。そして、ロープ100の他端側を、例えば、所定位置に固定されている物体220取り付けられた滑車210に通し、更に、このロープ100を棒状部材20の屈曲部分に通す。そして、ロープ100の他端部を引っ張ることにより、アメリカ結びが実現する。
【0049】
ロープ100の他端部を引っ張った場合、図8に示すように、棒状部材20が弾性変形して、環状部22の円弧部22a全体が先太部24の一部に当接する。言い換えれば、環状部22の涙滴形状の空間における、円弧部22aの内側の空間が先太部24によって塞がれる。このため、棒状部材20の他端部に巻かれたロープは、先太部24によって塞がれていない空間Cを通るようになる。
【0050】
以上説明したように構成された第2実施形態によれば、環状部22は、棒状部材20の一端に向かって細くなる略涙滴形状であり、環状部22が、棒状部材20の一端に向かって細くなる。これにより、環状部22に先太部24が当接した場合に、環状部22における棒状部材20側に、棒状部材20の一端部に巻き掛けているロープ100を通すための空間Cを形成することができる。このため、環状部22と先太部24との間にロープ100が挟まれ、ロープ100が傷んでしまうことが防止できる。
【0051】
また、環状部22の円弧部22aよりも先太部24が大きいため、先太部24が環状部22を通り抜けてしまうことを確実に防止することができる。
【0052】
なお、本発明の実施形態は上述した実施形態に限るものではない。例えば、図5、図8に示す例は、牽引作業において本発明のアメリカ結び補助具1、2を使用したものであるが、それに限らず、荷締め作業において本発明のアメリカ結び補助具1、2を使用することが可能である。この場合、まず、図5に示すようにリング110を形成して、このリング110を棒状部材20の一端部にロープ100を巻き掛ける。その後、ロープ100におけるアメリカ結び補助具2に対して他端側の所定部位を棒状部材10の屈曲部分に挿入して、図9の第3リング106に相当するリングを形成する。そして、このリングを、例えば、トラックの荷台のフックに巻き掛け、ロープ100の他端部を引っ張る。そして、ロープ100の他端部をトラックの荷台に固定することにより、トラックの荷台に積載された荷物の荷締めが完了する。
【符号の説明】
【0053】
1、2 アメリカ結び補助具
10、20 棒状部材
12、22 環状部
14、24 先太部
22a 円弧部
22b 直線部
100 ロープ
102 第1リング
104 第2リング
106 第3リング
110 リング
200 物体
210 滑車
220 物体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈曲部分に弾性を有するU字型の棒状部材と、
当該棒状部材の一端に備えられた環状部と、
当該棒状部材の他端に備えられ、前記棒状部材よりも太く形成された先太部とを備え、
前記先太部は、前記棒状部材の弾性変形によって前記環状部の内側に当接することを特徴とするアメリカ結び補助具。
【請求項2】
前記先太部は、球状に形成されることを特徴とする請求項1記載のアメリカ結び補助具。
【請求項3】
前記環状部は、前記棒状部材の一端に向かって細くなる略涙滴形状であることを特徴とする請求項2記載のアメリカ結び補助具。
【請求項4】
前記環状部は、前記棒状部材が弾性変形した場合に、前記先太部の一部が当接する円弧部を備え、
前記先太部の中心は、前記円弧部の中心を通りかつ前記環状部によって囲まれた空間に対して垂直方向に延びる直線上に位置し、
前記先太部の半径は、前記円弧部の半径より長く、前記円弧部の中心から前記棒状部材の一端までの長さよりも短いことを特徴とする請求項3記載のアメリカ結び補助具。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項記載のアメリカ結び補助具を用いたアメリカ結び作成方法であって、
一端部が第1の所定部材に固定されているロープの所定部位を、前記環状部における前記先太部が配置された側の反対側から通す工程と、
前記環状部を通した前記ロープの所定部位を、前記先太部に通して、前記棒状部材の一端部に巻きかける工程と、
前記ロープの所定部位に対して更に他端側の所定部位を第2の所定部材に巻き掛けてから前記ロープの他端部を前記棒状部材に通す工程と、
前記棒状部材に通した前記ロープの他端部を引っ張り、前記棒状部材の弾性変形によって前記先太部を前記環状部の内側に当接させる工程とを備えることを特徴とするアメリカ結び作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−86811(P2013−86811A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226553(P2011−226553)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】