説明

アラーム弁とそれを備えた消火設備および火災報知設備

【課題】点検員は、消火設備の日々の点検として、アラーム弁が有する1次側配管の圧力を表示するメーターと2次側配管の圧力を表示するためのメーターとに表示される圧力値を確認するために、アラーム弁が設置されている場所まで行かなければならなかった。
【解決手段】アラーム弁19は、アラーム弁19の消火水供給側である1次側配管22内の圧力を測定する1次側圧力測定部16と、スプリンクラヘッド側である2次側配管23内の圧力を測定する2次側圧力測定部17と、1次側圧力測定部16から出力される1次側圧力値信号と2次側圧力測定部17から出力される2次側圧力値信号とを送信する圧力値送信部18と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アラーム弁とそれを備えた消火設備および火災報知設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、スプリンクラヘッドが火災の熱により開放し、アラーム弁よりスプリンクラヘッド側である2次側配管に充水されていた水を散水したときに、2次側配管内の圧力低下により弁が開放されて、アラーム弁より水源側の1次側配管から消火水が流れ、その流水を検知して、放水した箇所を消火制御盤に表示させたり、消火水を送水するためにポンプを始動させたりするための信号を発するアラーム弁がある。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−136432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなアラーム弁を備えた消火設備が火災時に動作するためには、2次側配管内の圧力が低下して1次側配管内の圧力よりも低くならなければならない。そのため、消火設備が正常に動作するようにするために、常に1次側配管内および2次側配管内が適切に加圧された状態が維持されていなければならない。
【0005】
上記状態を維持するために、点検員は、消火設備の日々の点検として、アラーム弁が有する1次側配管内の圧力を表示するメーターと2次側配管内の圧力を表示するためのメーターとに表示される圧力値を確認するために、アラーム弁が設置されている場所まで行かなければならなかった。
【0006】
本発明は、上記の様な課題を解決するためになされたもので、点検員が、アラーム弁が設置されている場所まで行かなくとも圧力値を確認することができることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係わるアラーム弁は、スプリンクラヘッドが火災の熱により開放し、配管に充水されていた水を散水したときにスプリンクラ配管内の圧力低下により弁が開放されて消火水が流れ、その流水を検知して信号を出力するアラーム弁において、前記アラーム弁は、アラーム弁の消火水供給側である1次側配管内の圧力を測定する1次側圧力測定部と、スプリンクラヘッド側である2次側配管内の圧力を測定する2次側圧力測定部と、1次側圧力測定部から出力される1次側圧力値信号と2次側圧力測定部から出力される2次側圧力値信号とを送信する圧力値送信部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明に係わる消火設備は、請求項1に記載のアラーム弁と、前記圧力値信号を受信する圧力値受信部と前記アラーム弁からの流水信号を受信して前記アラーム弁が作動したことおよび前記圧力値信号に基づき圧力値を表示する表示部とを有する消火制御盤と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明に係わる消火設備の消火制御盤は、前記圧力値信号に基づく圧力値を所定の時間間隔毎に記憶する記憶部を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明に係わる消火設備の消火制御盤は、前記記憶部に記憶した圧力値を前記表示部にグラフ表示することを特徴とする。
【0011】
本発明に係わる火災報知設備は、アラーム弁と、火災を感知する火災感知器や防排煙装置の制御を行う中継器等の端末機器と、該端末機器と伝送線を介して状態情報や制御命令の授受を行い火災等の表示を行う受信機表示部を備えた火災受信機と、を備え、前記端末機器は、前記圧力値送信部が送信する圧力値信号を受信する端末受信部と前記圧力値信号を状態情報とともに前記火災受信機に送信する端末送信部を備え、前記火災受信機は、前記端末機器から送信された前記圧力値信号に基づき圧力値を前記受信機表示部に表示することを特徴とする。
【0012】
本発明に係わる火災報知設備の火災受信機は、前記圧力値信号に基づく圧力値を所定の時間間隔毎に記録する受信機記憶部を備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明に係わる火災報知設備の火災受信機は、前記受信機記憶部に記憶した圧力値を前記受信機表示部にグラフ表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
アラーム弁から出力される圧力値信号により、圧力値を遠隔監視することができるので、点検員が、アラーム弁が設置されている場所まで行かなくとも圧力値を確認することができる。
【0015】
また、圧力値を消火制御盤で表示するため、圧力値を遠隔監視するための機器を別途用意する必要が無い。
【0016】
また、圧力値を火災表示機で表示するため、火災報知設備に元々備えられている火災受信機の受信機表示部と、火災受信機の伝送部および端末機器の端末伝送部と、伝送線(電気配線)とを利用することで、低コストで圧力値を表示することができる。
【0017】
また、圧力値を所定時間毎に記憶するため、圧力低下等の不具合が発生したとき、圧力値の時間変化を調べて、不具合の原因の解析に利用でき、さらにグラフ表示することにより圧力値の変化の推移がわかりやすい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施の形態1に係わる消火設備の構成図である。
【図2】実施の形態1に係わる圧力値を表示したときの一例を表す図である。
【図3】実施の形態1に係わる圧力値の履歴を表示したときの一例を表す図である。
【図4】実施の形態1に係わる圧力値のグラフを表示したときの表示の一例を表す図である。
【図5】実施の形態2に係わる消火設備および火災報知設備の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施の形態1
本発明の実施の形態1に係わる消火設備について図1〜4に基づいて説明する。
図1は、実施の形態1に係わる消火設備の構成図である。図1に示されるように、消火設備1は、加圧送水装置としてのポンプ11、水源12と、建物の各部屋に配置されるスプリンクラヘッド13と、建物の高さ方向に貫通するメイン配管21と、そのメイン配管21から各階ごとに分岐する1次側配管22と、1次側配管22から各スプリンクラヘッド13の設置位置に至るスプリンクラ配管である2次側配管23と、1次側配管22に設けられた制御弁14と、各階ごとの1次側配管22と2次側配管23を仕切り2次側配管への流水を検知する流水検知装置15と1次側配管22内の消火水の圧力を測定して1次側圧力信号を出力する1次側圧力測定部16と2次側配管23内の消火水の圧力を測定して2次側圧力信号を出力する2次側圧力測定部17と1次側圧力信号および2次側圧力信号を送信する圧力値送信部18とを有するアラーム弁19と、から構成されている。
【0020】
また、電気系統として、流水検知装置15との検知信号線31と、圧力値送信部18との圧力値信号線32と、ポンプ11との制御線33と、それらの線と接続され消火設備1を制御する消火制御盤41とから構成される。
【0021】
消火制御盤41は、消火制御盤41の全ての制御を行う制御部42と、検知信号線31を介してアラーム弁19の流水検知装置15からの流水信号を受信する流水信号受信部43と、制御線33を介してポンプ11を起動させるポンプ起動部44と、圧力値信号線32を介してアラーム弁19の圧力値送信部18からの信号を受信する圧力値受信部45と、記憶部46と、表示部47とから構成される。
【0022】
このような消火設備1において、火災が発生すると、スプリンクラヘッド13は、火災の熱によって開放され、水を散水する。スプリンクラヘッド13が散水を開始すると2次側配管23内の圧力が低下する。アラーム弁19は、逆止弁構造となっていて1次側配管22内の消火水の圧力よりも2次側配管23内の消火水の圧力が低くなったとき逆止弁が開き、1次側配管22から2次側配管23に消火水が流れ込む。
【0023】
このとき、流水検知装置15が流水を検知して、検知信号を検知信号線31に出力する。検知信号を流水信号受信部43で受信すると消火制御盤41の制御部42は、表示部46にどのアラーム弁19が流水を検知したか表示するとともに、ポンプ起動部44から制御線33に制御信号を出力してポンプ11を起動させる。ポンプ11は水源12より消火水を吸い上げ、消火水がメイン配管21、1次側配管22、2次側配管23等の一連の配管を通ってスプリンクラヘッド13に供給され、火源に向かって散水される。
【0024】
火災が鎮火した後には、散水したスプリンクラヘッド13が取り付けられている1次側配管22に設けられている制御弁14を閉じて消火水を遮断して散水を停止させる。
【0025】
消火設備1が、上記に示される動作を火災時に行うことができるためには、1次側配管22と2次側配管23の消火水が所定の圧力に加圧されている必要がある。
【0026】
例えば、1次側配管22に漏水が発生した異常な状態においては、1次側配管22内の圧力が正常時よりも低下してしまう。この状況では、正常時よりも2次側配管23内の圧力が低くならなければ、2次側配管23内の圧力が1次側配管22内の圧力よりも低くならないためアラーム弁19の逆止弁が動作しない。そのため、流水検知装置15が流水を検知するのが遅くなるため、ポンプ11が起動するまでに時間がかかり、消火が遅くなって火災の被害が拡大してしまう。
【0027】
また、2次側配管23に漏水が発生した異常な状態においては、2次側配管23内の圧力が1次側配管22内の圧力よりも低下してしまい、アラーム弁19の逆止弁が動作してしまい、ポンプ11が起動してしまい、不要な電力を消費したり、漏水による被害が拡大したりしてしまう。
【0028】
また、気温が上昇して2次側配管23に充水されている水が膨張して、2次側配管23内の圧力が上昇した異常な状態においては、2次側配管23が破裂して漏水する可能性がある。
【0029】
上記のような異常を確認できるように、消火設備1は、各アラーム弁19の1次側配管22内の圧力値と2次側配管23内の圧力値を監視できるようになっている。
【0030】
アラーム弁19に備えられた圧力値送信部18は、1次側圧力測定部16と2次側圧力測定部17が測定した圧力値を圧力値信号線32を介して消火制御盤41の圧力値受信部45に1次側圧力値と2次側圧力値を圧力値信号に変換して出力する。
【0031】
ここで、圧力値信号としては、計測の分野で利用されている4−20mA信号として圧力値に応じて電流値に変換した信号としても良いし、圧力値に応じたコードを割り当てて、そのコードを異なる電圧値のパルス信号を組み合わせた信号としても良い。
【0032】
圧力値送信部18からの信号を圧力値受信部45で受信すると、消火制御盤41の制御部42は、圧力値受信部45から圧力値の通知を受け、記憶部46に圧力値を記憶させる。また、制御部42は、表示部47に図2に一例として示されるように圧力値表示画面48に圧力値を表示させる。
【0033】
表示部47はタッチパネルとなっており、圧力値表示画面48には、各アラーム弁の圧力値の履歴を表示するための履歴スイッチ49と、圧力値のグラフを表示するためのグラフスイッチ50が表示されている。履歴スイッチ49を操作すると記憶部46に記憶されている圧力値に基づき図3に一例として示されるように、対応するアラーム弁の圧力値の履歴を表示部47に表示する。また、グラフスイッチ50を操作すると記憶部46に記憶されている圧力値に基づき図4に一例として示されるように圧力値の履歴を表示部47にグラフで表示する。
【0034】
なお、表示部47をタッチパネルとして履歴スイッチ49およびグラフスイッチ50を圧力値表示画面48に設けたが、表示部47をタッチパネルではないモニタとして、別途履歴スイッチ49およびグラフスイッチ50を設けても良い。
【0035】
以上のように、アラーム弁19は、アラーム弁19の消火水供給側である1次側配管22内の圧力を測定する1次側圧力測定部16とスプリンクラヘッド側である2次側配管23内の圧力を測定する2次側圧力測定部17とを有し、1次側圧力測定部16から出力される1次側圧力値信号と2次側圧力測定部17から出力される2次側圧力値信号とを送信する圧力値送信部18を備えるため、圧力値を遠隔監視することができるので、点検員が、アラーム弁が設置されている場所まで行かなくとも圧力値を確認することができる。
【0036】
また、消火制御盤41は、圧力値信号を受信する圧力値受信部48と、圧力値信号に基づき圧力値を表示する表示部47を備えるため、圧力値を遠隔監視するための機器を別途に用意する必要がない。
【0037】
また、消火制御盤41は、圧力値信号に基づく圧力値を所定の時間間隔毎に記憶する記憶部46を備えるため、圧力低下等の不具合が発生したとき、圧力値の時間変化を調べて、不具合の原因の解析に利用できる。
【0038】
また、消火制御盤41は、記憶部46に記憶した圧力値を表示部47にグラフで表示するため、変化の推移がわかりやすい。
【0039】
なお、1次側圧力値信号と2次側圧力値信号との差を演算して、その差分値についての履歴やグラフを表示させても良い。
【0040】
本実施の形態1では、消火制御盤41で圧力値を表示するようにしたが、別途、パーソナルコンピュータを組み込んだ機器等により、圧力値送信部18からの信号を受信して圧力値を表示したり、履歴を表示したり、グラフ表示するようにしても良い。
【0041】
また、消火制御盤41の記憶部46からフラッシュメモリなどの記憶媒体により履歴データを外部に取り出せるようにして、日々の点検レポートの作成に利用できるようにしても良い。
【0042】
また、消火制御盤41が、ポンプ11を起動するのではなく、他の機器に流水信号を送信して、その機器がポンプ11を起動するようにしても良いし、流水検知装置15の流水信号でポンプ11が直接起動するようにしても良い。
【0043】
実施の形態2
前述の実施の形態1では、消火制御盤に圧力値受信部、記憶部および表示部を追加して、1次側配管内の圧力値と2次側配管内の圧力値、履歴およびグラフを消火制御盤で表示する例を示した。本実施の形態2では、消火制御盤に代わり、火災報知設備の火災受信機は、1次側配管内の圧力値と2次側配管内の圧力値、履歴およびグラフを表示する例を示す。
【0044】
なお、本実施の形態2では、前述の実施の形態1との相違点を中心に説明し、実施の形態1と同一または対応する構成要素については、同一の符号を付す。
【0045】
本実施の形態2に係わる消火設備および火災報知設備について図5に基づいて説明する。
図5は、実施の形態2に係わる消火設備および火災報知設備の構成図である。図5に示されるように、消火設備2としては、図1と同様に、加圧送水装置としてのポンプ11、水源12と、建物の各部屋に配置されるスプリンクラヘッド13と、建物の高さ方向に貫通するメイン配管21と、そのメイン配管21から各階ごとに分岐する1次側配管22と、1次側配管22から各スプリンクラヘッド13の設置位置に至るスプリンクラ配管である2次側配管23と、1次側配管22に設けられた制御弁14と、各階ごとの1次側配管22と2次側配管を仕切り2次側配管23への流水を検知する流水検知装置15と1次側配管22内の消火水の圧力を測定して1次側圧力信号を出力する1次側圧力測定部16と2次側配管23内の消火水の圧力を測定して2次側圧力信号を出力する2次側圧力測定部17と1次側圧力信号および2次側圧力信号を送信する圧力値送信部18とを有するアラーム弁19と、から構成されている。
【0046】
また、電気系統として、流水検知装置15との検知信号線31と、ポンプ11との制御線33と、それらの線と接続され消火設備を制御する消火制御盤51とから構成される。
【0047】
消火制御盤A51は、消火制御盤51の全ての制御を行う制御部52と、検知信号線31を介してアラーム弁19の流水検知装置15からの流水信号を受信する流水信号受信部53と、制御線33を介してポンプ11を起動させるポンプ起動部54と、表示部55とから構成されている。
【0048】
ここで、消火制御盤51の表示部55は、実施の形態1では、圧力値や履歴やグラフ表示ができるようにLCDパネル等のモニタでなければならなかったが、本実施の形態2においては、アラーム弁19が起動した・起動していない等の2つの状態を表示できれば良いため、点灯・消灯で2つの状態を表示するLED等の表示灯とすることができ、消火制御盤51のコストが低減できる。
【0049】
火災報知設備3としては、煙や熱により火災を感知する火災感知器やベルを鳴動させるためのベル用中継器や防火扉等の防排煙機器を動作させる防排煙用中継器等の各種の端末機器61が、伝送線64を介して火災受信機71に接続されている。消火設備2の1次側配管22および2次側配管23と同様に、伝送線64は各階ごとに分岐して各階に端末機器61が設置されている。火災受信機71は、火災受信機71の全体の制御を行う受信機制御部72と、端末機器61が有する図示しない端末伝送部63と伝送線64を介して通信を行い端末機器61の状態を収集および端末機器61への制御命令を送受信する伝送部73と、制御プログラムや連動データ等を格納する受信機記憶部74と、火災発生場所や防排煙機器の動作等を表示する受信機表示部75により構成されている。
【0050】
アラーム弁19の圧力値送信部18は、圧力値信号線65を介して端末機器61が有する図示しない端末受信部62に接続される。端末機器61は、火災感知器などの火災報知設備用のものに圧力値送信部18からの圧力値信号を受信できるように端末受信部62を追加しても良いし、火災を検出する回路や防排煙機器を動作させる等の回路を備えず、圧力値信号を受信する機能のみを有するものとしても良い。
【0051】
消火設備2の火災時の動作は、実施の形態1の消火設備1と同様であり、スプリンクラヘッド13は、火災の熱によって開放され、水を散水する。スプリンクラヘッド13が散水を開始すると2次側配管23内の圧力が低下する。アラーム弁19は、逆止弁構造となっていて1次側配管22内の消火水の圧力よりも2次側配管23内の消火水の圧力が低くなったとき逆止弁が開き、1次側配管22から2次側配管23に消火水が流れ込む。
【0052】
このとき、流水検知装置15が流水を検知して、検知信号を検知信号線31に出力する。検知信号を流水信号受信部53で受信すると消火制御盤51の制御部52は、表示部55にどのアラーム弁19が流水を検知したか表示するとともに、ポンプ起動部54から制御線33に制御信号を出力してポンプ11を起動させる。ポンプ11は水源12より消火水を吸い上げ、消火水がメイン配管21、1次側配管22、2次側配管23等の一連の配管を通ってスプリンクラヘッド13に供給され、火源に向かって散水される。
【0053】
また、火災が発生すると火災報知設備3は、次のように動作する。端末機器61の1つである火災感知器は、煙や熱により火災を感知するとパルスを組み合わせた信号により、伝送線64を介して火災受信機71に火災を通知する。火災の通知を伝送部73で受信した火災受信機71は、受信機記憶部74に記憶されている連動データに従い、火災を感知した火災感知器に関連するベル用中継器にベルを鳴動させる制御命令と防排煙用中継器に防排煙機器を動作させる制御命令を伝送線64に送信して、ベルを鳴動させたり防排煙機器を動作させて、避難を促したり、火災の延焼を防止したりする。
【0054】
また、火災受信機71は、受信機表示部75に火災を感知した火災感知器や鳴動しているベルや動作した防排煙機器の情報をその機器が設置されている場所を示す文字情報で表示する。
【0055】
このような火災報知設備3で、各アラーム弁19の1次側配管22内の圧力値と2次側配管23内の圧力値を監視できるようになっている。
【0056】
アラーム弁19に備えられた圧力値送信部18は、1次側圧力測定部16と2次側圧力測定部17が測定した圧力値を圧力値信号線65を介して端末機器61に1次側圧力値と2次側圧力値を圧力値信号に変換して出力する。
【0057】
圧力値送信部18からの信号を受信すると、端末機器61は、伝送線64を介して、火災受信機71の伝送部73に状態情報とともに圧力値を送信する。伝送部73で圧力値を受信すると火災受信機71の受信機制御部72は、受信機記憶部74に圧力値を記憶させる。また、受信機制御部72は、受信機表示部75に図2に一例として示されるように圧力値表示画面48に圧力値を表示させる。
【0058】
受信機表示部75は、タッチパネルとなっており、圧力値表示画面48には、各アラーム弁の圧力値の履歴を表示するための履歴スイッチ49と、圧力値のグラフを表示するためのグラフスイッチ50が表示されている。履歴スイッチ49を操作すると記憶部46に記憶されている圧力値に基づき図3に一例として示されるように、対応するアラーム弁の圧力値の履歴を受信機表示部75に表示する。また、グラフスイッチ50を操作すると記憶部46に記憶されている圧力値に基づき図4に一例として示されるように圧力値の履歴を受信機表示部75にグラフで表示する。
【0059】
なお、受信機表示部75をタッチパネルとして履歴スイッチ49およびグラフスイッチ50を圧力値表示画面48に設けたが、受信機表示部75をタッチパネルではないモニタとして、別途履歴スイッチ49およびグラフスイッチ50を設けても良い。
【0060】
また、受信機表示部75以外のモニタを火災受信機71に設けて、そのモニタに圧力値や履歴やグラフを表示させるようにすることもできる。
以上のように、端末機器61は、圧力値送信部18が送信する圧力値信号を受信する端末受信部62と圧力値信号を状態情報とともに火災受信機71に送信する端末伝送部63を備え、火災受信機71は、端末機器61から送信された圧力値信号に基づき圧力値を受信機表示部75に表示するため、別途パーソナルコンピュータを組み込んだ機器等を用意したり、従来の消火設備に備わっていない圧力値信号線を敷設したり、消火制御盤に文字情報を表示できる表示部や圧力値信号の受信部を設けることなく、火災報知設備に元々備えられている火災受信機の受信機表示部と、火災受信機の伝送部および端末機器の端末伝送部とを利用し、各階ごとに分岐している伝送線を利用すること追加配線を最小限にすることができ、低コストで圧力値を表示することができる。
【0061】
また、火災受信機71は、圧力値信号に基づく圧力値を所定の時間間隔毎に記録する受信機記憶部74を備えるため、圧力低下等の不具合が発生したとき、圧力値の時間変化を調べて、不具合の原因の解析に利用できる。
【0062】
また、火災受信機71は、受信機記憶部74に記憶した圧力値を受信機表示部75にグラフ表示するため、変化の推移がわかりやすい。
【0063】
なお、1次側圧力値信号と2次側圧力値信号との差を演算して、その差分値についての履歴やグラフを表示させても良い。
【符号の説明】
【0064】
1 消火設備、11 ポンプ、12 水源、13 スプリンクラヘッド、14 制御弁、15 流水検知装置、16 1次側圧力測定部、17 2次側圧力測定部、18 圧力値送信部、19 アラーム弁、21 メイン配管、22 1次側配管、23 2次側配管、31 検知信号線、32 圧力値信号線、33 制御線、41 消火制御盤、42 制御部、43 流水信号受信部、44 ポンプ起動部、45 圧力値受信部、46 記憶部、47 表示部、48 圧力値表示画面、49 履歴スイッチ、50 グラフスイッチ、2 消火設備、3 火災報知設備、51 消火制御盤、52 制御部、53 流水信号受信部、54 ポンプ起動部、55 表示部、61 端末機器、62 端末受信部、63 端末伝送部、64 伝送線、65 圧力値信号線、71 火災受信機、72 受信機制御部、73 伝送部、74 受信機記憶部、75 受信機表示部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプリンクラヘッドが火災の熱により開放し、配管に充水されていた水を散水したときにスプリンクラ配管内の圧力低下により弁が開放されて消火水が流れ、その流水を検知して信号を出力するアラーム弁において、
前記アラーム弁は、アラーム弁の消火水供給側である1次側配管内の圧力を測定する1次側圧力測定部と、スプリンクラヘッド側である2次側配管内の圧力を測定する2次側圧力測定部と、1次側圧力測定部から出力される1次側圧力値信号と2次側圧力測定部から出力される2次側圧力値信号とを送信する圧力値送信部と、を備えたことを特徴とするアラーム弁。
【請求項2】
請求項1に記載のアラーム弁と、前記圧力値信号を受信する圧力値受信部と前記アラーム弁からの流水信号を受信して前記アラーム弁が作動したことおよび前記圧力値信号に基づき圧力値を表示する表示部とを有する消火制御盤と、を備えたことを特徴とする消火設備。
【請求項3】
前記消火制御盤は、前記圧力値信号に基づく圧力値を所定の時間間隔毎に記憶する記憶部を備えたことを特徴とする請求項2の消火設備。
【請求項4】
前記消火制御盤は、前記記憶部に記憶した圧力値を前記表示部にグラフ表示することを特徴とする請求項3の消火設備。
【請求項5】
請求項1に記載のアラーム弁と、火災を感知する火災感知器や防排煙装置の制御を行う中継器等の端末機器と、該端末機器と伝送線を介して状態情報や制御命令の授受を行い火災等の表示を行う受信機表示部を備えた火災受信機と、を備え、
前記端末機器は、前記圧力値送信部が送信する圧力値信号を受信する端末受信部と前記圧力値信号を状態情報とともに前記火災受信機に送信する端末送信部を備え、前記火災受信機は、前記端末機器から送信された前記圧力値信号に基づき圧力値を前記受信機表示部に表示することを特徴とする火災報知設備。
【請求項6】
前記火災受信機は、前記圧力値信号に基づく圧力値を所定の時間間隔毎に記録する受信機記憶部を備えたことを特徴とする請求項5の火災報知設備。
【請求項7】
前記火災受信機は、前記受信機記憶部に記憶した圧力値を前記受信機表示部にグラフ表示することを特徴とする請求項6の火災報知設備。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate