説明

アルカリ洗浄剤用消泡剤

【課題】高濃度のアルカリ洗浄剤に溶解でき、低温安定性に優れたアルカリ洗浄剤用消泡剤の提供。
【解決手段】式(1)、及び式(2)で表される化合物を含有してなるアルカリ洗浄剤用消泡剤。


[式中、R1は炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基;k+m+n=1.0〜10.0を満たす数である]


[式中、Zはアミン又はアンモニア残基]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアルカリ洗浄剤用消泡剤に関する。更に詳しくは、高濃度のアルカリ洗浄剤水溶液に溶解可能なアルカリ洗浄剤用消泡剤に関する。
【背景技術】
【0002】
金属、ガラス、陶磁器、プラスチック等の硬質表面の洗浄には、一般に水酸化ナトリウム等のアルカリ剤水溶液を用いたアルカリ洗浄が行われており、工業的には高濃度のアルカリ洗浄剤を水で希釈したものが使用されている。
このような高濃度のアルカリ洗浄剤としては、汚れ(油脂、鉱物油、蛋白質等)由来の発泡を抑制するために、高濃度のアルカリ洗浄剤に消泡剤を配合し、更に界面活性剤等を併用して消泡剤を溶解させたものが提案されている(特許文献1〜3)。
しかしながら、上記の高濃度のアルカリ洗浄剤は、併用する界面活性剤自身が発泡したり、消泡剤がアルカリ洗浄剤中に溶解し難く、配合量が制限されるため、抑泡効果が十分でないという課題があった。
【0003】
そこで、起泡性の高い界面活性剤を含有しない高濃度のアルカリ洗浄剤用消泡剤として、1級脂肪族アミンエトキシレートが提案されている(特許文献4)。しかしながら、1級脂肪族アミンエトキシレートを溶解させた高濃度のアルカリ洗浄剤は、低温において1級脂肪族アミンエトキシレートが析出して透明液状を保つことができないため、低温安定性が不十分であるという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−240480号公報
【特許文献2】特開平6−346259号公報
【特許文献3】特表平11−503784号公報
【特許文献4】特開2008−239942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、高濃度のアルカリ洗浄剤に溶解させることができ、低温安定性に優れたアルカリ洗浄剤用消泡剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、一般式(1)で表される化合物(A)、及び下記一般式(2)で表され、かつHLBが10.0〜16.0である化合物(B)を含有してなるアルカリ洗浄剤用消泡剤である。
【化1】

[式中、R1は炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基;k、m及びnはそれぞれオキシエチレン基の平均付加モル数を表し、k+m+n=1.0〜10.0を満たす数である。]
【化2】

[式中、Zはp個の活性水素を有するアミン又はアンモニアから活性水素を除いた残基;pは1〜5の整数;qはオキシエチレン基の平均付加モル数を表し、0.5〜3.0の数である。]
【発明の効果】
【0007】
本発明のアルカリ洗浄剤用消泡剤は、高濃度のアルカリ洗浄剤に溶解させることができ、低温安定性に優れるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のアルカリ洗浄剤用消泡剤は、一般式(1)で表される化合物(A)、及び一般式(2)で表されかつHLBが10.0〜16.0である化合物(B)を含有してなる。
【0009】
本発明における化合物(A)は、一般式(1)で表される化合物である。一般式(1)におけるRは、炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基であり、炭素数8〜24のアルキル基としては直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられ、具体的にはn−オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、イソデシル基、n−ドデシル基、イソドデシル基、n−トリデシル基、イソトリデシル基、n−テトラデシル基、イソテトラデシル基、n−ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、n−ステアリル基、イソステアリル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基及びn−テトラコシル基等が挙げられる。
【0010】
炭素数が8〜24のアルケニル基としては、直鎖又は分岐鎖のアルケニル基が挙げられ、具体的にはn−オクテニル基、n−デセニル基、イソデセニル基、n−ウンデセニル基、n−ドデセニル基、n−テトラデセニル基、イソヘキサデセニル基、n−オクタデセニル基及びn−オクタデカジエニル基等が挙げられる。
これらのうち、洗浄性の観点から好ましいのは炭素数8〜20のアルキル基及びアルケニル基であり、更に好ましいのは炭素数8〜18のアルキル基及びアルケニル基である。
【0011】
一般式(1)におけるk、m及びnはそれぞれオキシエチレン基の平均付加モル数を表し、k+m+n=1.0〜10.0を満たす数であり、k、m及びnは、好ましくはk+m+n=2.0〜8.0を満たす数であり、更に好ましくはk+m+n=2.5〜5.0を満たす数である。k+m+nが1.0未満であると、高濃度のアルカリ洗浄剤に対する溶解性が低下し、10.0を超えると、消泡性が低下するため好ましくない。なお、化合物(A)を、後述するアミンのエチレンオキサイド(以下、EOと略記する)の付加反応によって製造する場合には、k、m及びnはそれぞれオキシエチレン基の平均付加モル数を表すため、k+m+nは整数であるとは限らず、小数の場合もある。
【0012】
本発明のアルカリ洗浄剤用消泡剤は、高濃度のアルカリ洗浄剤に溶解する。ここで、溶解するとは、10〜40重量%のアルカリ洗浄剤100重量部と本発明のアルカリ洗浄剤用消泡剤を0.1〜10重量部混合した場合、アルカリ洗浄剤が透明な液状を保つことを意味する。ここで、アルカリ洗浄剤を構成するアルカリ剤としては、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;オルソ珪酸ナトリウム及びメタ珪酸ナトリウム等の珪酸塩;炭酸二ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸二カリウム及び炭酸水素カリウム等の炭酸塩;ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩;等が挙げられ、2種以上のアルカリ剤を組み合わせてもよい。アルカリ剤のうち好ましいのは水酸化物であり、更に好ましいのは水酸化ナトリウムである。
【0013】
本発明における化合物(A)は、特開2007−262251号公報に記載の公知の製造方法、又は以下の方法等で製造することができる。
例えば、R−NHCHCHCHNHで表されるアミン(a)を加圧反応容器に投入し、無触媒でアミン1モル当たり1〜3モルのEOを50〜130℃で付加反応させる。次いでアミン(a)の重量に基づき0.01〜3重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを触媒として投入し、更にアミン(a)1モル当たりの総EO付加モル数が1〜10となる量のEOを50〜110℃で付加反応させる。反応終了後、前記触媒を130〜180℃で加熱分解し、触媒の加熱分解物を減圧除去する。
【0014】
化合物(A)の具体例としては、N−n−オクチルプロピレンジアミンのEO1モル付加物、N−2−エチルヘキシルプロピレンジアミンのEO2モル付加物、N−n−デシルプロピレンジアミンのEO3モル付加物、N−イソドデシルプロピレンジアミンのEO3モル付加物、N−n−トリデシルプロピレンジアミンのEO3モル付加物、N−イソテトラデシルプロピレンジアミンのEO3モル付加物、N−n−ペンタデシルプロピレンジアミンのEO3モル付加物、N−イソヘキサデシルプロピレンジアミンのEO3モル付加物、N−n−ヘプタデシルプロピレンジアミンのEO3モル付加物、N−イソステアリルプロピレンジアミンのEO3モル付加物、N−n−ノナデシルプロピレンジアミンのEO3モル付加物、N−n−エイコシルプロピレンジアミンのEO3モル付加物、N−n−テトラコシルプロピレンジアミンのEO4モル付加物、N−n−オクテニルプロピレンジアミンのEO4モル付加物、N−イソデセニルプロピレンジアミン、N−n−ウンデセニルプロピレンジアミンのEO4モル付加物、N−n−ドデセニルプロピレンジアミン、N−n−テトラデセニルプロピレンジアミンのEO5モル付加物、及びN−n−オクタデカジエニルプロピレンジアミンのEO8モル付加物等が挙げられる。
これらのうち、高濃度のアルカリ洗浄剤に対する溶解性の観点から、炭素数8〜18の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキルプロピレンジアミンのEO3〜4モル付加物が好ましい。なお、(A)としては、これらのうちの2種以上を併用してもよい。
【0015】
本発明における化合物(B)は、一般式(2)で表され、かつHLBが10.0〜16.0である。
【0016】
一般式(2)におけるZは、p個の活性水素を有するアミン(b)[アミン(a)を除く]またはアンモニアから活性水素を除いた残基を表し、pは1〜5の整数である。
p個、すなわち1〜5個の活性水素を有するアミン(b)の具体例としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、2−アミノプロパノール、4−アミノブタノール及び3−メトキシプロピルアミン等の炭素数1〜6のモノアミン類;エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジアミノペンタン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、N−シクロヘキシル−1,3−プロパンジアミン、ジメチルアミノエチルアミン、エチルアミノエチルアミン、メチルアミノプロピルアミン及び1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)エタン等の脂肪族ジアミン;ビス(3−アミノプロピル)アミン、ジエチレントリアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン及びメチルイミノビスプロピルアミン等の脂肪族ポリアミン;ジシクロヘキシルメタンジアミン及びイソホルンジアミン等の脂環式ジアミン;フェニレンジアミン、トリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン及びジフェニルエーテルジアミン等の芳香族ジアミンが挙げられる。なお、(b)としては、これらのうちの2種以上を併用してもよい。
アミン(b)のうち好ましいのは、炭素数1〜6のモノアミン類及び脂肪族又は芳香族ジアミン類である。
【0017】
一般式(2)におけるpは、化合物(B)の活性水素の数を表し、1〜5の整数である。pは、高濃度アルカリ洗浄剤に対する溶解性の観点から、好ましくは2〜5であり、更に好ましくは3〜5である。なお、pが5を超えると泡を安定化させるため好ましくない。
【0018】
一般式(2)におけるqはオキシエチレン基の平均付加モル数を表し、0.5〜3.0の数であり、好ましくは0.5〜2.5であり、更に好ましくは0.5〜2.0である。qが0.5未満又は3.0を超えると、高濃度のアルカリ洗浄剤に対する溶解性が低下するため好ましくない。なお、化合物(B)を、後述するアミンのEOの付加反応によって製造する場合には、qは整数であるとは限らず、小数の場合もある。
【0019】
本発明における化合物(B)のHLB(2種以上を併用する場合はその加重平均値)は10.0〜16.0である。ここで、本発明におけるHLBは、グリフィンの方法(例えば、藤本武彦著「界面活性剤入門」三洋化成工業(株)発行P141〜145(2007年)に記載)で算出されたものであり、2種以上の化合物(B)を併用する場合は、それらの重量比に基づき、個々の化合物(B)のHLBの加重平均値が10.0〜16.0を満足すればよく、必ずしも使用する化合物(B)単独のHLBがこの範囲に限定されるわけではない。
本発明のアルカリ洗浄剤用消泡剤を高濃度のアルカリ洗浄剤中に溶解させるためには、化合物(B)のHLBは10.0以上であることが必要である。一方、化合物(B)のHLBが16.0を超えると、化合物(B)自身は高濃度のアルカリ洗浄剤に溶解するが、化合物(A)を高濃度のアルカリ洗浄剤に溶解させることができないため好ましくない。
【0020】
本発明における化合物(B)は、公知の方法で製造することができるが、例えば(1)p個、すなわち1〜5個の活性水素を有するアミン(b)に、前記の化合物(A)の製造方法と同様の方法でEOを(q×p)モル付加反応させる方法、(2)エタノールアミン等に、前記の化合物(A)の製造方法と同様の方法でアルキレンオキサイド(例えばEO、プロピレンオキサイド及びブチレンオキサイド等)を付加反応させる方法等が挙げられる。
【0021】
アミン(B)の具体例としては、モノエタノールアミン及びジエタノールアミン等のアルカノールアミン;N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−プロピルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、ペンチルアミンEO2モル付加物、ヘキシルアミンEO3モル付加物、2−アミノプロパノールEO2モル付加物、4−アミノブタノールEO2モル付加物及び3−メトキシプロピルアミンEO2モル付加物等の炭素数1〜6のモノアミン類のEO付加物;エチレンジアミンEO3モル付加物、1,2−ジアミノプロパンEO4モル付加物、ジアミノブタンEO4モル付加物、ジアミノペンタンEO4モル付加物、トリメチレンジアミンEO5モル付加物、ヘキサメチレンジアミンEO4モル付加物、N−シクロヘキシル−1,3−プロパンジアミンEO5モル付加物、エチルアミノエチルアミンEO3モル付加物、メチルアミノプロピルアミンEO3モル付加物、1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)エタンEO4モル付加物及びジメチルアミノエチルアミンEO2モル付加物等の脂肪族ジアミンのEO付加物;ジエチレントリアミンEO5モル付加物、ビス(ヘキサメチレン)トリアミンEO6モル付加物、ビス(3−アミノプロピル)アミンEO5モル付加物及びメチルイミノビスプロピルアミンEO4モル付加物等の脂肪族ポリアミンのEO付加物;シクロヘキシルアミンEO3モル付加物及びジシクロヘキシルメタンジアミンEO6モル付加物等の脂環式ポリアミンのEO付加物;フェニレンジアミンEO4モル付加物、トリレンジアミンEO4モル付加物、ジエチルトリレンジアミンEO4モル付加物、キシリレンジアミンEO4モル付加物、ジフェニルメタンジアミンEO4モル付加物、ジフェニルメタンジアミンEO8モル付加物及びジフェニルエーテルジアミンEO5モル付加物等の芳香族ジアミンのEO付加物;アンモニアのエチレンオキサイド付加物が挙げられ、これらの2種以上を組み合わせてもよい。
アミン(B)のうち、化合物(A)を高濃度のアルカリ洗浄剤に溶解させやすいという観点から好ましいのは、一般式(2)におけるqが1である炭素数1〜6のモノアミン類のEO付加物及び脂肪族又は芳香族ジアミン類のEO付加物である。
【0022】
本発明における化合物(A)と化合物(B)の重量比率(B)/(A)は、消泡性の観点から好ましくは0.25〜19であり、更に好ましくは0.40〜4.0、特に好ましくは1.0〜2.5である。(B)/(A)が0.25以上であると消泡性の観点から好ましく、19以下では高濃度のアルカリ洗浄剤への溶解性の観点から好ましい。
【0023】
本発明のアルカリ洗浄剤用消泡剤には、化合物(A)及び化合物(B)以外に、一般式(3)で表される化合物(C1)、一般式(4)で表される化合物(C2)及び一般式(5)で表される化合物(C3)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(C)を含有させてもよい。化合物(C)を含有させることにより消泡効果が向上する。
【0024】
【化3】

式中、R2〜R4のうち少なくとも1つは、それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基であり、残りは水素原子である。
一般式(3)における炭素数1〜20のアルキル基としては直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられ、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、2,2−ジメチルプロピル基、n−へキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、イソデシル基、n−ドデシル基、イソドデシル基、n−トリデシル基、イソトリデシル基、n−テトラデシル基、イソテトラデシル基、n−ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、n−ステアリル基、イソステアリル基、n−ノナデシル基及びn−エイコシル基等が挙げられる。
一般式(3)における炭素数が2〜20のアルケニル基としては、直鎖又は分岐鎖のアルケニル基が挙げられ、具体的にはエテニル基、プロペニル基、アリル基、n−ブテニル基、n−ペンテニル基、イソヘキセニル基、n−へプテニル基、n−オクテニル基、n−デセニル基、イソデセニル基、n−ウンデセニル基、n−ドデセニル基、n−テトラデセニル基、イソヘキサデセニル基、n−オクタデセニル基、n−オクタデカジエニル基及びn−ドデセニル基等が挙げられる。これらのうち、消泡性の観点から好ましいのは炭素数8〜20のアルキル基及びアルケニル基である。
【0025】
化合物(C1)の具体例としては、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、ノナデシルアミン、オレイルアミン、これらの混合物であるココナッツアミン、パーム油アミン、牛脂アミン及び大豆アミン等の1級アミン類;ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジオクチルアミン、ジドデシルアミン及びジココアルキルアミン等の2級アミン類;ジメチルブチルアミン、ジメチルヘキシルアミン、ジメチルオクチルアミン、ジメチルラルリルアミン、ジメチルココナッツアミン、ジメチルミリスチルアミン、ジメチルパルミチルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジメチルオレイルアミン、ジオクチルモノメチルアミン、ジデシルモノメチルアミン、ジドデシルモノメチルアミン及びジオレイルモノメチルアミン等の3級アミン類が挙げられる。
化合物(C1)のうち、取り扱い性の観点から好ましいのは3級アミン類であり、3級アミン類のうち、消泡性の観点から好ましいのは炭素数8〜20のアルキル基を2個有する3級アミン類である。なお、化合物(C1)としては、これらの2種以上を併用してもよい。
【0026】
【化4】

式中、R5及びR6は、それぞれ独立に炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基;rはオキシエチレン基の平均付加モル数を表し、0.5〜2.5の数である。
炭素数8〜22のアルキル基としては直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられ、具体的にはn−オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、イソデシル基、n−ドデシル基、イソドデシル基、n−トリデシル基、イソトリデシル基、n−テトラデシル基、イソテトラデシル基、n−ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、n−ステアリル基、イソステアリル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基及びn−ドコシル基等が挙げられる。
一般式(4)における炭素数が8〜22のアルケニル基としては、直鎖又は分岐鎖のアルケニル基が挙げられ、具体的にはn−オクテニル基、n−デセニル基、イソデセニル基、n−ウンデセニル基、n−ドデセニル基、n−テトラデセニル基、イソヘキサデセニル基、n−オクタデセニル基、n−オクタデカジエニル基及びn−ドコセニル基等が挙げられる。これらのうち、消泡性の観点から好ましいのは炭素数12〜18のアルキル基及びアルケニル基である。
【0027】
一般式(4)におけるrはオキシエチレン基の平均付加モル数を表し、0.5〜2.5の数であり、消泡性及び溶解性の観点から好ましくは1.0〜2.0であり、更に好ましくは2.0である。なお、化合物(C2)を、後述するアミンのEOの付加反応によって製造する場合には、rはオキシエチレン基の平均付加モル数を表すため、rは整数であるとは限らず、小数の場合もある。
【0028】
化合物(C2)の具体例としては、ジオクチルアミンEO1モル付加物、ジ(2−エチルヘキシル)アミンEO1モル付加物、ジデシルアミンEO1モル付加物、ジウンデシルアミンEO1モル付加物、ジドデシルアミンEO1.5モル付加物、ジトリデシルアミンEO1モル付加物、ジテトラデシルアミンEO1.5モル付加物、ジペンタデシルアミンEO1.5モル付加物、ジヘキサデシルアミンEO2モル付加物、ジヘプタデシルアミンEO2モル付加物、ジオクタデシルアミンEO2モル付加物、ジノナデシルアミンEO2.5モル付加物、ジオレイルアミンEO1モル付加物、ジココアルキルアミンEO1モル付加物、及びジ牛脂アルキルアミンEO1.5モル付加物等が挙げられる。なお、化合物(C2)としては、これらの2種以上を併用してもよい。
化合物(C2)のうち、本発明のアルカリ洗浄剤用消泡剤の高濃度アルカリ水溶液に対する溶解性の観点から好ましいのは、2級脂肪族アミン類のEO1〜2モル付加物である。
【0029】
化合物(C2)は、公知の方法等で製造することができるが、例えば炭素数8〜22のアルキル基を有する2級脂肪族アミン類(c2)1モルに、前記の化合物(A)の製造方法と同様の方法でEOを平均rモル付加させる方法等が挙げられる。
【0030】
【化5】

式中、R7は炭素数8〜34のアルキル基又はアルケニル基、sはオキシエチレン基の平均付加モル数を表し、0〜5.0の数である。
一般式(5)における炭素数8〜34のアルキル基としては、直鎖又は分岐のアルキル基が挙げられ、具体的にはn−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基、イソデシル基、n−ドデシル基、イソドデシル基、n−テトラデシル基、イソテトラデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基、n−イコシル基、n−ドコシル基、n−テトラコシル基、n−オクタコシル基、n−トリアコンチル基、ドトリアコンチル基及びテトラトリアコンチル基等が挙げられる。
一般式(5)における炭素数が8〜34のアルケニル基としては、直鎖又は分岐鎖のアルケニル基が挙げられ、具体的にはn−オクテニル基、n−デセニル基、イソデセニル基、n−ウンデセニル基、n−ドデセニル基、n−テトラデセニル基、イソヘキサデセニル基、n−オクタデセニル基、n−オクタデカジエニル基、n−イコセニル基、n−ドコセニル基、n−テトラコセニル基、n−オクタコセニル基、n−トリアコンテニル基、ドトリアコンテニル基及びテトラトリアコンテニル基等が挙げられる。これらのうち、消泡性の観点から好ましいのは炭素数12〜24のアルキル基及びアルケニル基である。
【0031】
一般式(5)におけるsはオキシエチレン基の平均付加モル数を表し、0〜5.0の数であり、消泡性及び溶解性の観点から好ましくは0〜3.0である。なお、化合物(C3)を、後述するアルコールのEOの付加反応によって製造する場合には、sはオキシエチレン基の平均付加モル数を表すため、sは整数であるとは限らず、小数の場合もある。
【0032】
化合物(C3)の具体例としては、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、ノナデカノール、エイコサノール、ドコサノール、トリコサノール、テトラコサノール、ペンタコサノール、ヘキサコサノール、ヘプタコサノール、オクタコサノール、トリアコンタノール、ドトリアコンタノール及びテトラトリアコンタノール等の直鎖又は分岐鎖脂肪族アルコール;オクタノールEO1モル付加物、ノナノールEO1モル付加物、デカノールEO1モル付加物、ウンデカノールEO1モル付加物、ドデカノールEO2モル付加物、トリデカノールEO2モル付加物、テトラデカノールEO3モル付加物、ペンタデカノールEO3モル付加物、ヘキサデカノールEO3モル付加物、ヘプタデカノールEO3モル付加物、オクタデカノールEO4モル付加物、ノナデカノールEO3モル付加物、エイコサノールEO3モル付加物、ドコサノールEO2モル付加物、トリコサノールEO3モル付加物、テトラコサノールEO3モル付加物、ペンタコサノールEO4モル付加物、ヘキサコサノールEO4モル付加物、ヘプタコサノールEO4モル付加物、オクタコサノールEO4モル付加物、トリアコンタノールEO4モル付加物、ドトリアコンタノールEO4モル付加物及びテトラトリアコンタノールEO4.5モル付加物等の1価の直鎖又は分岐鎖脂肪族アルコールのEO付加物等が挙げられる。なお、化合物(C3)としては、これらの2種以上を併用してもよい。
化合物(C3)のうち、消泡性及び溶解性の観点から好ましいのは、炭素数12〜28の1価の脂肪族アルコールEO付加物であり、更に好ましいのはEOの平均付加モル数sが3以下である炭素数12〜28の分岐鎖を有する1価の脂肪族アルコール及び脂肪族アルコールEO付加物である。
【0033】
化合物(C3)は、公知の方法等で製造することができるが、例えば化合物(C3)が一般式(5)におけるsが0でない化合物の場合、炭素数8〜34の1価の脂肪族アルコール1モルにEOを平均sモル付加反応させる方法が挙げられる。
化合物(C3)が一般式(5)におけるsが0である化合物の場合、炭素数8〜34の1価の脂肪族アルコールそのものを使用すればよい。
【0034】
本発明における化合物(A)及び(B)の合計重量に対する化合物(C)の重量比率(C)/[(A)+(B)]は0〜0.5であり、消泡性及び外観安定性の観点から、好ましくは0〜0.2であり、更に好ましくは0.05〜0.15である。
【0035】
本発明のアルカリ洗浄剤用消泡剤には、化合物(A)及び化合物(B)以外に、一般式(6)で表される化合物(D)を含有させてもよい。化合物(D)を含有させることにより、消泡効果が向上する。なお、取り扱いの観点から、化合物(D)の水溶液や低級アルコール溶液として含有させてもよい。
【0036】
【化6】

式中、R〜R11は、それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基又は炭素数6〜20のアリール基;tは1〜5の整数;Yt−はt価の対イオンである。
これらのうち、消泡性の観点から好ましいのは、炭素数6〜20のアルキル基、アルケニル基及びアリール基である。
また、R〜R11の組み合わせとして、消泡性の観点から好ましいのは、R〜R11のうち少なくとも1つが炭素数6〜20のアルキル基、アルケニル基又はアリール基の場合であり、更に好ましいのはR〜R11のうち少なくとも2つが炭素数6〜20のアルキル基、アルケニル基又はアリール基の場合である。
一般式(6)における炭素数1〜20のアルキル基としては直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられ、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、2,2−ジメチルプロピル基、n−へキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、イソデシル基、n−ドデシル基、イソドデシル基、n−トリデシル基、イソトリデシル基、n−テトラデシル基、イソテトラデシル基、n−ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、n−ステアリル基、イソステアリル基、n−ノナデシル基及びn−エイコシル基等が挙げられる。
一般式(6)における炭素数が2〜20のアルケニル基としては、直鎖又は分岐鎖のアルケニル基が挙げられ、具体的にはエテニル基、プロペニル基、アリル基、n−ブテニル基、n−ペンテニル基、イソヘキセニル基、n−へプテニル基、n−オクテニル基、n−デセニル基、イソデセニル基、n−ウンデセニル基、n−ドデセニル基、n−テトラデセニル基、イソヘキサデセニル基、n−オクタデセニル基、n−オクタデカジエニル基及びn−ドデセニル基等が挙げられる。
一般式(6)における炭素数6〜20のアリール基としては、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、フェニルブチル基、スチリル基及びシンナミル基等が挙げられる。
【0037】
一般式(6)におけるtは1〜5の整数であり、好ましくは1〜3の整数である。
一般式(6)におけるYt−はt価の対イオンであり、ヒドロキシイオン、硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、カルボン酸イオン、スルホン酸イオン、硫酸エステルイオン、リン酸エステルイオン及びハロゲン原子アニオン(塩素、フッ素、臭素及びヨウ素等のハロゲンイオン)から選ばれる1種以上が挙げられる。
【0038】
カルボン酸イオンを形成するカルボン酸としては、炭素数1〜18の脂肪族1価カルボン酸(蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ステアリン酸及びオレイン酸等);炭素数7〜18の芳香族1価カルボン酸(安息香酸、エチル安息香酸、桂皮酸及びt−ブチル安息香酸等);炭素数2〜36の脂肪族2価カルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ヘキサデカン二酸、マレイン酸、イタコン酸及びダイマー酸等);炭素数8〜20の芳香族2価カルボン酸(フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸等);脂肪族3価カルボン酸(トリマー酸等);脂肪族4価カルボン酸(ブタンテトラカルボン酸等);芳香族3価又は4価カルボン酸(トリメリット酸及びピロメリット酸等);エーテルカルボン酸(ポリオキシエチレンオクチルエーテル酢酸、ポリオキシエチレンドデシルエーテル酢酸、ポリオキシエチレンイソオクタデシル酢酸及びポリオキシエチレンオレイル酢酸等);等が挙げられる。
【0039】
スルホン酸イオンを形成するスルホン酸としては、芳香族1価スルホン酸等が挙げられ、具体的にはp−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸及びp−フェノールスルホン酸等が挙げられる。
【0040】
硫酸エステルイオンを形成する硫酸エステルとしては、炭素数1〜24のアルキル又はアルケニル硫酸エステルが挙げられ、具体的にはメチル硫酸エステル、エチル硫酸エステル、プロピル硫酸エステル、オクチル硫酸エステル、2−エチルヘキシル硫酸エステル、デシル硫酸エステル、ドデシル硫酸エステル、テトラデシル硫酸エステル、ステアリル硫酸エステル及びオレイル硫酸エステル等が挙げられる。
【0041】
リン酸エステルイオンを形成するリン酸エステルとしては、炭素数1〜24のアルキル又はアルケニルリン酸エステルが挙げられ、具体的にはオクチルリン酸エステル、2−エチルヘキシルリン酸エステル、デシルリン酸エステル、ドデシルリン酸エステル、ステアリルリン酸エステル及びオレイルリン酸エステル等が挙げられる。
【0042】
t価の対イオンのうち、消泡性の観点から好ましいのは、カルボン酸イオン及びハロゲン原子アニオンであり、更に好ましいのはダイマー酸イオン及びトリマー酸イオンである。
【0043】
化合物(D)の具体例としては、モノ長鎖アルキル(炭素数6〜20)アンモニウム塩(トリメチルヘキシルアンモニウムクロライド、トリメチルデシルアンモニウムイソステアリン酸塩、トリメチルドデシルアンモニウム−t−ブチル安息香酸塩、トリメチルテトラデシルアンモニウムアジピン酸塩、トリメチルヘキサデシルアンモニウムセバシン酸塩、トリメチルオクタデシルアンモニウムダイマー酸塩、トリメチルヤシ油アルキルアンモニウムトリマー酸塩、トリメチル−2−エチルヘキシルアンモニウムナフタレンスルホン酸塩、ジメチルエチルドデシルアンモニウムポリオキシエチレンイソオクタデシル酢酸塩、ジメチルエチルテトラデシルアンモニウムアゼライン酸、ジメチルエチルヘキサデシルアンモニウムダイマー酸塩、ジメチルエチルオクタデシルアンモニウムアジピン酸塩、ジメチルエチルヤシ油アルキルアンモニウムダイマー酸塩、メチルジエチルドデシルアンモニウムアジピン酸塩、メチルジエチルテトラデシルアンモニウムダイマー酸塩、メチルジエチルヘキサデシルアンモニウムダイマー酸塩、メチルジエチルオクタデシルアンモニウムクロライド、メチルジエチルヤシ油アルキルアンモニウムダイマー酸塩、メチルジエチル−2−エチルヘキシルアンモニウムダイマー酸塩、トリメチルベンジルアンモニウムダイマー酸塩及びトリメチルシンナミルアンモニウムクロライド等);ジ長鎖アルキル(炭素数6〜20)アンモニウム塩(ジメチルジヘキシルアンモニウムダイマー酸塩、ジメチルジオクチルアンモニウムトリマー酸塩、ジメチルオクチルデシルアンモニウムダイマー酸塩、ジメチルジデシルアンモニウムイソステアリン酸塩、ジメチルジデシルアンモニウムダイマー酸塩、ジメチルデシルドデシルアンモニウムダイマー酸塩、ジメチルジドデシルアンモニウムダイマー酸塩、ジメチルジテトラデシルアンモニウムアジピン酸塩、ジメチルジヘキサデシルアンモニウムアジピン酸塩、ジメチルジオクタデシルアンモニウムアジピン酸塩、ジメチルジオレイルアンモニウムクロライド、ジメチルジオレイルアンモニウムクロライド、ジメチルジエイコシルアンモニウムクロライド、メチルエチルジデシルアンモニウムイソステアリン酸塩、ジエチルジデシルアンモニウムイソステアリン酸塩、ジメチルデシルベンジルアンモニウムイソステアリン酸塩、ジメチルドデシルベンジルアンモニウムダイマー酸塩、ジメチルテトラデシルベンジルアンモニウムダイマー酸塩、ジメチルヘキサデシルベンジルアンモニウムダイマー酸塩及びジメチルヤシ油アルキルシンナミルアンモニウムダイマー酸塩等);トリ長鎖アルキル(炭素数6〜20)アンモニウム塩(メチルトリヘキシルアンモニウムクロライド、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド、メチルトリドデシルアンモニウム−t−ブチル安息香酸塩、メチルトリヘキサデシルアンモニウムトリマー酸塩、メチルトリオレイルアンモニウムダイマー酸塩及びメチルベンジルジヤシ油アルキルアンモニウムイソステアリン酸塩等);等が挙げられる。なお、化合物(D)としては、これらの2種以上を併用してもよい。
【0044】
化合物(D)のうち、消泡性の観点から好ましいのは、ジ長鎖アルキル(炭素数6〜20)アンモニウム塩であり、更に好ましいのはジ長鎖アルキル(炭素数6〜20)アンモニウムダイマー酸塩である。
【0045】
本発明における化合物(D)は、公知の製造方法等で製造することができるが、例えば以下の方法が挙げられる。
第3級アミンと同当量以上(好ましくは1.1〜5.0当量)の炭酸ジアルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜5)を、第3級アミンの重量に基づいて10〜1,000重量%の溶媒(例えばメタノール等)の存在下又は非存在下に、反応温度80〜200℃、好ましくは100〜150℃で反応させて第4級アンモニウム塩を形成させる。次いでt価の対イオンを形成することができる前記酸を、第4級アンモニウム塩の当量に基づいて1.0〜1.2当量添加し、10〜50℃で1時間撹拌して塩交換した後、溶媒を80〜120℃で減圧留去して、化合物(D)を得る。
【0046】
本発明における化合物(A)及び(B)の合計重量に対する化合物(D)の重量比率(D)/[(A)+(B)]は0〜0.4であり、消泡性及び外観安定性の観点から、好ましくは0〜0.3であり、更に好ましくは0.05〜0.2である。
【0047】
本発明のアルカリ洗浄剤組成物は、化合物(A)と化合物(B)、更に必要により、化合物(C)又は化合物(D)、アルカリ剤及び水を必要により、その他の成分である金属イオン封鎖剤及び高分子ポリマー等を含有してもよい。
金属イオン封鎖剤としては、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、グルコン酸、酒石酸、フマル酸等の有機酸およびこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、若しくはアルカノールアミン塩等のヒドロキシカルボン酸化合物があげられる。
高分子ポリマーとしては、ポリアクリル酸、ポリアコニット酸、ポリイタコン酸、ポリシトラコン酸、ポリフマル酸、ポリマレイン酸、ポリメタコン酸、ポリ−α−ヒドロキシアクリル酸、ポリビニルホスホン酸、スルホン化ポリマレイン酸等、およびこれらのアルカリ金属塩等があげられる。なお、これらのアルカリ金属塩は部分中和物であっても完全中和物であってもよい。
【0048】
本発明のアルカリ洗浄剤組成物の製造方法は特に限定されないが、例えば撹拌機及び加熱冷却装置を備えた混合槽に、化合物(A)と化合物(B)、更に必要により、化合物(C)または化合物(D)、アルカリ剤、その他の成分及び水を、投入順序に特に制限なく投入し、5〜50℃で均一になるまで攪拌して製造することができる。
【0049】
本発明のアルカリ洗浄剤組成物を食品製造工場におけるCIP洗浄(Cleaningin place:定置洗浄)に用いる場合、設備やその汚れに応じて、通常、水または湯で希釈した0.05〜30重量%の洗浄剤水溶液として洗浄に用いられる。乳業関係の工場設備においては、特に、水酸化アルカリ金属塩の有効成分濃度として0.3〜5重量%濃度の範囲となるよう希釈した洗浄剤水溶液を用いることが好ましく、また、ビール・飲料関係の工場設備においては、水酸化アルカリ金属塩の有効成分濃度として1〜3重量%の範囲となるよう希釈した洗浄剤水溶液を用いることが好ましい。
【実施例】
【0050】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
【0051】
<製造例1>[n−デシルプロピレンジアミンのEO3モル付加物(A−1)の合成]
撹拌機、加熱冷却装置及び滴下ボンベを備えた耐圧反応容器に、n−デシルプロピレンジアミン214部(1モル部)を投入し、窒素置換後密閉し、−0.097MPa(ゲージ圧)の減圧下、130℃に昇温し、EO132部(3モル部)を圧力が0.3MPa(ゲージ圧)を超えないように調整しながら、5時間かけて滴下した。滴下終了後、130℃で1時間熟成し、n−デシルプロピレンジアミンのEO3モル付加物(A−1)を得た[(A−1)は、一般式(1)におけるRがn−デシル基、k+m+nが3である化合物]。
【0052】
<製造例2>[n−ドデシルプロピレンジアミンのEO3モル付加物(A−2)の合成]
n−デシルプロピレンジアミン214部(1モル部)をn−ドデシルプロピレンジアミン242部(1モル部)に変更した以外は製造例1と同様にして、n−ドデシルプロピレンジアミンのEO3モル付加物(A−2)を得た[(A−2)は、一般式(1)におけるRがn−ドデシル基、k+m+nが3である化合物]。
【0053】
<製造例3>[ヤシ油アルキルプロピレンジアミンのEO3モル付加物(A−3)の合成]
n−デシルプロピレンジアミン214部(1モル部)をヤシ油アルキルプロピレンジアミン(商品名:デュオミンCD、ライオンアクゾ(株)製)260部(1モル部)に変更した以外は製造例1と同様にして、ヤシ油アルキルプロピレンジアミンのEO3モル付加物(A−3)を得た[(A−3)は、一般式(1)におけるRがヤシ油アルキル基、k+m+nが3である化合物]。
【0054】
<製造例4>[ヤシ油アルキルプロピレンジアミンのEO6モル付加物(A−4)の合成]
n−デシルプロピレンジアミン214部(1モル部)をヤシ油アルキルプロピレンジアミン(商品名:デュオミンCD、ライオンアクゾ(株)製)260部(1モル部)に、EOの部数132部を264部(6モル部)変更した以外は製造例1と同様にして、ヤシ油アルキルプロピレンジアミンのEO6モル付加物(A−4)を得た[(A−4)は、一般式(1)におけるRがヤシ油アルキル基、k+m+nが6である化合物]。
【0055】
<比較製造例5>[n−ドデシルアミンのEO2モル付加物(A’−1)の合成]
n−デシルプロピレンジアミン214部(1モル部)をn−ドデシルアミン185部(1モル部)に変更した以外は製造例1と同様にして、n−ドデシルアミンのEO2モル付加物(A’−1)を得た。
【0056】
<比較製造例6>[n−テトラデシルアミンのEO2モル付加物(A’−2)の合成]
n−デシルプロピレンジアミン214部(1モル部)をn−テトラデシルアミン213部(1モル部)に変更した以外は製造例1と同様にして、n−テトラデシルアミンのEO2モル付加物(A’−2)を得た。
【0057】
<比較製造例7>[ヤシ油アルキルプロピレンジアミンのEO15モル付加物(A’−3)の合成]
製造例1と同様の耐圧反応容器に、ヤシ油アルキルプロピレンジアミン260部(1モル部)を投入し、窒素置換後密閉し、−0.097MPa(ゲージ圧)の減圧下、70℃に昇温し、EO132部(3モル部)を圧力が0.3MPa(ゲージ圧)を超えないように調整しながら、70〜95℃の範囲で5時間かけて滴下した。滴下終了後、95℃で30分間熟成し、室温まで冷却した。次いでテトラメチルアンモニウムヒドロキシド25%水溶液3.2部を空気が混入しないように投入し、95℃に昇温し同温で1時間−0.097MPa(ゲージ圧)の減圧下、脱水した。温度を70℃に下げた後、EO528部(12モル部)を圧力が0.2MPa(ゲージ圧)を超えないように調整しながら、70〜90℃の範囲で5時間かけて滴下した。滴下終了後、70℃で30分間熟成させ、150〜170℃に昇温後、同温で触媒の加熱分解物を3時間かけて−0.097MPa(ゲージ圧)で減圧除去し、ヤシ油アルキルプロピレンジアミンのEO15モル付加物(A’−3)を得た[(A’−3)は、一般式(1)におけるRがヤシ油アルキル基、k+m+nが15である化合物]。
【0058】
<製造例8>[ヘキサメチレンジアミンのEO4モル付加物(B−1)の合成]
n−デシルプロピレンジアミン214部(1モル部)をヘキサメチレンジアミン116部(1モル部)に、EOの部数132部を176部(4モル部)に変更した以外は製造例1と同様にして、ヘキサメチレンジアミンのEO4モル付加物(B−1)を得た[(B−1)は、一般式(2)におけるZがヘキサメチレンジアミンから活性水素を除いた残基、qが1、pが4、HLBが12.1である化合物]。
【0059】
<製造例9>[ジアミノトルエンのEO8モル付加物(B−2)の合成]
n−デシルプロピレンジアミン214部(1モル部)をジアミノトルエン122部(1モル部)に、EOの部数132部を352部(8モル部)に変更した以外は製造例1と同様にして、ジアミノトルエンのEO8モル付加物(B−2)を得た[(B−2)は、一般式(2)におけるZがジアミノトルエンから活性水素を除いた残基、qが2、pが4、HLBが13.3である化合物]。
【0060】
<製造例10>[キシリレンジアミンEO4モル付加物(B−3)の合成]
n−デシルプロピレンジアミン214部(1モル部)をキシレンジアミン136部(1モル部)に、EOの部数132部を176部(4モル部)に変更した以外は製造例1と同様にして、キシレンジアミンEO4モル付加物(B−3)を得た[(B−3)は、一般式(2)におけるZがキシレンジアミンから活性水素を除いた残基、qが1、pが4、HLBが11.2である化合物]。
【0061】
<比較製造例11>[ヘキサメチレンジアミンのEO20モル付加物(B’−1)の合成]
n−デシルプロピレンジアミン214部(1モル部)をヘキサメチレンジアミン116部(1モル部)に、EOの部数132部を880部(20モル部)に変更した以外は製造例1と同様にして、ヘキサメチレンジアミンのEO20モル付加物(B’−1)を得た[(B’−1)は、一般式(2)におけるZがヘキサメチレンジアミンから活性水素を除いた残基、qが5、pが4、HLBが17.8である化合物]。
【0062】
<製造例12>[ジヤシ油アルキルアミンのEO1モル付加物(C2−1)の合成]
製造例1と同様の耐圧反応容器に、ジヤシ油アルキルアミン376部(1モル部)、p−トルエンスルホン酸一水和物4部を投入し、窒素置換後密閉し、−0.097MPa(ゲージ圧)の減圧下、100℃に昇温し、1時間脱水を行った。ついで、EO44部(1モル部)を圧力が0.3MPa(ゲージ圧)を超えないように調整しながら、100℃で5時間かけて滴下した。滴下終了後、100℃で1時間熟成し、ジヤシ油アルキルアミンのEO1モル付加物(C2−1)を得た[(C2−1)は、一般式(4)におけるRおよびRがヤシ油アルキル基、rが1である化合物]。
【0063】
<製造例13>[2−デシルテトラデカノールのEO1モル付加物(C3−2)の合成]
製造例1と同様の耐圧反応容器に、2−デシルテトラデカノール354部(1モル部)、水酸化カリウム0.1部を投入し、窒素置換後密閉し、−0.097MPa(ゲージ圧)の減圧下、100℃に昇温し、1時間脱水を行った。ついで、EO44部(1モル部)を圧力が0.5MPa(ゲージ圧)を超えないように調整しながら、160℃で3時間かけて滴下した。滴下終了後、160℃で1時間熟成し、2−デシルテトラデカノールのEO1モル付加物(C3−2)を得た[(C3−2)は、一般式(5)におけるRが2−デシルテトラデシル基、sが1である化合物]。
【0064】
<製造例14>[ジメチルジデシルアンモニウムイソステアリン酸塩(D−1)の合成]
撹拌機及び加熱冷却装置を備えた耐圧反応容器に、メタノール56部、ジデシルメチルアミン311部(1モル部)及び炭酸ジメチル180部(2モル部)を投入し、120℃で20時間反応させた後、メタノールと炭酸ジメチルの一部を留去してジデシルメチルアンモニウムメチルカーボネートのメタノール溶液を得た。次いで、60℃でイソステアリン酸284部(1モル部)を1時間かけて徐々に加えた。メタノールを減圧下80〜100℃で留去し、ジデシルジメチルアンモニウムイソステアリン酸塩(D−1)を得た[(D−1)は、一般式(6)におけるR及びRがメチル基、R10及びR11がデシル基、tが1、Yt−がイソステアリン酸イオンである化合物]。
【0065】
<製造例15>[ジメチルジデシルアンモニウムダイマー酸塩(D−2)の合成]
イソステアリン酸284部(1モル部)をダイマー酸(商品名:ツノダイム205S、築野食品工業(株)製)289部(0.5モル部)に変更した以外は製造例14と同様にして、ジデシルジメチルアンモニウムダイマー酸塩(D−2)を得た[(D−2)は、一般式(6)におけるR及びRがメチル基、R10及びR11がデシル基、tが2、Yt−がダイマー酸イオンである化合物]。
【0066】
<実施例1〜17及び比較例1〜6>
表1及び表2に記載の部数のアルカリ洗浄剤用消泡剤の各原料を配合し、実施例1〜17のアルカリ洗浄剤用消泡剤(X−1)〜(X−17)及び比較例1〜6の比較消泡剤(X’―1)〜(X’−6)を作製した。
【0067】
表1及び表2に記載のアルカリ洗浄剤組成物の各原料は以下の通りである。
(B−4):N−n−ブチルジエタノールアミン(商品名:アミノアルコールMBD、日本乳化剤(株)製)
(C1−1):ジデシルメチルアミン(商品名:アーミンM210D、ライオン(株)製)
(C3−1):2−デシルテトラデカノール(商品名:Isofol24、サソール社製)
【0068】
【表1】

【0069】
【表2】

【0070】
表3及び表4に記載の部数のアルカリ剤と水を配合して得られたアルカリ水溶液に実施例1〜17及び比較例1〜6で得られた消泡剤を表3及び表4に記載の部数を添加し、均一になるまで撹拌することでアルカリ洗浄剤組成物(実施例18〜34及び比較例7〜12)を作製した。
実施例18〜34及び比較例7〜12のアルカリ洗浄剤組成物について外観安定性及び消泡性を以下の方法で評価した。結果を表3及び表4に示す。
【0071】
<外観安定性の評価方法>
アルカリ洗浄剤組成物を、それぞれ−5℃、25℃で24時間静置した時の外観を目視にて観察し、以下の基準で判定した。
○:全体が透明
△:僅かにかすみが認められる
×:一部に沈殿又は分離が認められる
【0072】
<消泡性の評価方法>
5gのアルカリ洗浄剤組成物と45gのイオン交換水及び0.015gオレイン酸ナトリウムを100mlの共栓付きメスシリンダーに入れて、80℃に温調後、3秒間に10回、10cm幅で垂直方向に振り、1分間静置した後の泡立ち量(ml)を測定する。
◎:泡の体積が15ml未満
○:泡の体積が15ml以上20ml未満
△:泡の体積が20ml以上30ml未満
×:泡の体積が30ml以上
【0073】
【表3】

【0074】
【表4】

【0075】
表3及び表4の結果から、実施例18〜34のアルカリ洗浄剤組成物は、比較例7〜12のアルカリ洗浄剤組成物と比較して外観安定性が高いことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明のアルカリ洗浄剤用消泡剤は、アルカリ洗浄剤に対する溶解性が良好であるため、固体表面を洗浄する際のアルカリ洗浄において、特に高濃度アルカリ洗浄剤に配合される消泡剤として好適である。また本発明のアルカリ洗浄剤用消泡剤及びアルカリ洗浄剤組成物は、食品、医薬品、石油化学、繊維、紙パルプ、塗料、金属加工、電子部品及び土木・建築等の分野において、加工工程用及び排水処理工程用消泡剤及び洗浄剤としても好適である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物(A)、及び下記一般式(2)で表され、かつHLBが10.0〜16.0である化合物(B)を含有してなるアルカリ洗浄剤用消泡剤。
【化1】

[式中、R1は炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基;k、m及びnはそれぞれオキシエチレン基の平均付加モル数を表し、k+m+n=1.0〜10.0を満たす数である。]
【化2】

[式中、Zはp個の活性水素を有するアミン又はアンモニアから活性水素を除いた残基;pは1〜5の整数;qはオキシエチレン基の平均付加モル数を表し、0.5〜3.0の数である。]
【請求項2】
前記化合物(A)と前記化合物(B)の重量比率[(B)/(A)]が0.25〜19である請求項1記載のアルカリ洗浄剤用消泡剤。
【請求項3】
更に、下記一般式(3)で表される化合物(C1)、下記一般式(4)で表される化合物(C2)及び下記一般式(5)で表される化合物(C3)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(C)を含有する請求項1又は2記載のアルカリ洗浄剤用消泡剤。
【化3】

[式中、R2〜R4のうち少なくとも1つは、それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基であり、残りは水素原子である。]
【化4】

[式中、R5及びR6は、それぞれ独立に炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基;rはオキシエチレン基の平均付加モル数を表し、0.5〜2.5の数である。]
【化5】

[式中、R7は炭素数8〜34のアルキル基又はアルケニル基、sはオキシエチレン基の平均付加モル数を表し、0〜5.0の数である。]
【請求項4】
更に、下記一般化学式(6)で表される化合物(D)を含有する請求項1又は2記載のアルカリ洗浄剤用消泡剤。
【化6】

[式中、R〜R11は、それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基又は炭素数6〜20のアリール基;tは1〜5の整数;Yt−はt価の対イオンである。]
【請求項5】
(A)及び(B)の合計重量に対する(C)の重量比率(C)/[(A)+(B)]が0〜0.5である請求項3に記載のアルカリ洗浄剤用消泡剤。
【請求項6】
(A)及び(B)の合計重量に対する(D)の重量比(D)/[(A)+(B)]が0〜0.4である請求項4に記載のアルカリ洗浄剤用消泡剤。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のアルカリ洗浄剤用消泡剤を含有してなるアルカリ洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2012−67276(P2012−67276A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126938(P2011−126938)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】