説明

アルカリ金属および炭化水素を使用した石油原料の改質

本発明は、石油原料組成物(102)から、ヘテロ原子を除去する及び/又は1つ以上の重金属を除去することによる石油原料(102)の改質方法に関する。
本方法は、石油原料(102)にアルカリ金属(108)及び改質剤炭化水素(106)を反応させる。アルカリ金属は、ヘテロ原子及び/又は1つ以上の重金属の一部と反応して、石油原料から分離可能な無機相を形成する。改質剤炭化水素は、石油原料(102)に結合し、生成物の炭素数を増加させる。生成物の炭素数の増加は、改質石油原料(116)エネルギー値を増加させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、「アルカリ金属および炭化水素を使用した石油原料の改質」という発明の名称を有する2009年11月2日出願の米国仮特許出願第61/257369号を優先権主張する出願である。この仮特許出願は本発明に参照として引用される。
【0002】
本発明は、硫黄、窒素および金属を有するシェール油、ビチューメン(瀝青)または重油から、これらの原料が炭化水素燃料として使用できるように窒素、硫黄および重金属を除去する方法に関する。詳しくは、本発明は、シェール油、ビチューメン(瀝青)または重質油から窒素、硫黄および重金属を除去すると同時に、高い水素対炭化水素比を有するようにこれらの原料を改質する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
エネルギーの需要(およびエネルギーを導く炭化水素の需要)は、連続的に増加している。しかしながら、エネルギーを生み出す炭化水素原料において、しばしば硫黄や金属の除去に困難なことがある。例えば、硫黄は大気汚染の原因となり、自動車の排気ガスから炭化水素や窒素酸化物を除去する触媒の被毒の原因となる。そのため、燃料として使用が許される前に炭化水素原料から硫黄を除去するのに使用される高価なプロセスが必要となる。更に、金属(例えば重金属)がしばしば炭化水素原料中に見受けられる。これらの重金属は、炭化水素から硫黄を除去するのに代表的に使用される触媒の被毒を引起す。これらの金属を除去するためには、炭化水素の更なる処理工程が必要となり、それにより一層コスト高となる。
【0004】
現在、米国の外国への石油依存度を少なくするために、新たなエネルギー源の研究が進められている。シェール油鉱物から精練されたオイルを構成するシェール油の埋蔵量は豊富であり、米国の将来のエネルギー需要に応えられる役割の重要性が益々増加すると仮定される。米国では1兆バレルを超える使用可能な埋蔵量のシェール油が、コロラド州、ユタ州およびワイオミング州に位置するGreen River Formation(グリーンリバー鉱床)の比較的狭い範囲で見つかっている。原油価格が上昇するにつれ、このシェール油資源が代替エネルギー源としてより魅力的になる。この資源を利用するためには、炭化水素燃料として費用効率の高い方法で、シェール油資源を使用できるようにするための特別な技術問題を解決する必要がある。これらの原料に関連する1つの問題としては、シェール油が比較的高い量で窒素、硫黄および金属を含むことであり、これらはシェール油が炭化水素燃料としての適切な機能を有するために除去されなくてはいけない。
【0005】
同様に硫黄、窒素または重金属を除去する必要がある他の炭化水素燃料の可能性の例としては、ビチューメン(瀝青、カナダのアルバータ州に豊富な量で存在する)及び重質油(例えばヴェネズエラで発見される)がある。
【0006】
シェール油、ビチューメン、重質油などの石油源(これらを纏めてまたは工業的に「石油原料」ともいう)において高濃度に窒素、硫黄および重金属を含有することは、これらの原料の加工を困難とする。代表的には、これらの石油原料は、窒素、硫黄および重金属を除去するために、「水素処理」または「アルカリ金属脱硫処理」として知られるプロセスを通じて精製される。
【0007】
水素処理は、高温高圧下で、Co−Mo/Al又はNi−Mo/Al等の触媒を使用して原料を水素ガスで処理する。水素処理における欠点は、炭素−炭素結合における二重結合が失われて有機物の過度な飽和が生じること、及び、重金属による触媒汚染で水素処理の効率が低下することである。更に、水素処理は高価な水素が必要である。
【0008】
アルカリ金属脱硫処理は、石油原料をアルカリ金属(例えばナトリウムやリチウム)及び水素ガスと混合するプロセスである。この混合物を加圧下(通常、高温で)で反応させる。硫黄および窒素原子は、石油原料の炭素原子と化学的に結合する。高温高圧下で、硫黄や窒素がアルカリ金属にイオン塩(例えば、NaS、NaN、LiS等)に還元されるように反応が進む。コーキング(例えば、炭化物などの形成)を防ぐために、一般的に反応は高価な水素の存在下で行う。
【0009】
石油原料の改質において水素を必要とするプロセスの他の欠点は、代表的には、二酸化炭素を放出する水蒸気−メタン改質プロセスを使用し、炭化水素分子を反応させることによって水素源を製造する。水素処理における二酸化炭素の発生は、二酸化炭素放出とその環境への影響に対する関心の高まりにより、多くの環境保護主義者から環境問題となると考えられる。
【0010】
更に、多くの地域において水素製造に必要とされる水源が乏しいという問題がある。例えば、シェール油のグリーンリバー鉱床のあるコロラド西部やユタ東部の地域では、気候が乾燥しており、水素ガス製造のための水の使用は高価である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
それ故、通常の水素処理またはアルカリ金属脱硫処理のプロセスは良く知られているものの、機能したプラントを得るためにはコスト高であり、巨額な設備投資が必要であり、更に環境に悪影響を及ぼす。石油原料から硫黄、窒素などのヘテロ原子を除去するために使用させる工業的な新たなプロセスで、従来法より安価で地球環境に優しい方法が必要である。そのようなプロセスをここに開示する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の実施態様は、石油原料の改質方法を含む。本発明の方法は、少なくとも1つの炭素原子から成り、ヘテロ原子および/または1種以上の重金属を含むる工程を含む。ある実施態様において、所定量の石油原料はアルカリ金属および改質剤炭化水素と反応させる。改質剤炭化水素が少なくとも1つの炭素原子と少なくとも1つの水素原子とから成る。アルカリ金属は上記ヘテロ原子および/または1種以上の重金属と反応して1種以上の無機生成物を形成する。改質剤炭化水素は石油原料と反応して改質された石油原料を製造し、改質された石油原料の炭素原子数は改質前の石油原料の炭素原子数よりも多い。無機生成物は改質された石油原料から分離される。石油原料、アルカリ金属および改質剤炭化水素の反応は、水素ガスを使用しないで行われる。
【0013】
ある実施態様において、アルカリ金属が、リチウム、ナトリウム及び/又はこれらのアロイから成る。改質剤炭化水素が、天然ガス、シェールガス及び/又はこれらの混合物である。他の実施態様において、改質剤炭化水素が、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、エテン、プロペン、ブテン、ペンテン、ジエン類、これらの異性体および/またはこれらの混合物から成る。反応は、約250psi〜約2500psiの圧力下で行われる、及び/又は、反応が、約室温〜約450℃の温度で行われる。他の実施態様において、反応が、アルカリ金属の融点よりも高く450℃未満の温度で行われる。他の実施態様において、反応が、約150〜約450℃の温度で行われる。更に他の実施態様において、反応において触媒を使用する。触媒は、モリブデン、ニッケル、コバルト、これらのアロイ、酸化モリブデン、酸化ニッケル、酸化コバルト又はこれらの組合せから成る。
【0014】
本発明の方法の分離工程は、分離器内で行ってもよく、無機生成物が、改質された石油原料および/または未反応石油原料から成る有機相から分離可能な相を形成する。分離を容易にするために、分離器にフラックスを添加してもよい。分離後、無機生成物からアルカリ金属を再生して再使用してもよい。
【0015】
改質された石油原料の水素対炭素の比率が、改質前の石油原料の水素対炭素の比率より大きくてもよい。改質された石油原料は、改質前の石油原料よりも大きなエネルギーを有してもよい。改質された石油原料のヘテロ元素対炭素の比率が、改質前の石油原料のヘテロ元素対炭素の比率より小さくてもよい。
【0016】
石油原料を改質するために反応器を使用してもよい。反応器は、少なくとも1つの炭素原子から成り、ヘテロ原子および/または1種以上の重金属を含む所定量の石油原料を含む。反応器は、更にアルカリ金属を含む。ある実施態様において、反応器は、少なくとも1つの炭素原子と少なくとも1つの水素原子とから成る改質剤炭化水素を含む。アルカリ金属はヘテロ原子および/または1種以上の重金属と反応して1種以上の無機生成物を形成する。改質剤炭化水素が石油原料と反応して改質された石油原料を製造する。改質された石油原料の炭素原子数は改質前の石油原料の炭素原子数よりも多く、改質された石油原料のヘテロ元素対炭素の比率が改質前の石油原料のヘテロ元素対炭素の比率より小さい。反応器は水素ガスを必要としない。
【発明の効果】
【0017】
本発明の方法により、硫黄、窒素および金属を有するシェール油、ビチューメン(瀝青)または重油から、これらの原料が炭化水素燃料として使用できるように窒素、硫黄および重金属を除去できると同時に、高い水素対炭化水素比を有するようにこれらの原料を改質できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の石油原料の改質方法の一実施態様を示す流れ図である。
【図2】図2は、石油原料の改質に使用される化学反応の一実施態様を示す略図である。
【図3】図3は、沸点と本発明の実施態様に記載されている改質反応前後のシェール油重量分率低下とのプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
上述の様に水素処理は、石油原料から窒素、硫黄および/または重金属などのヘテロ原子を除去するための処理プロセスである。水素は、石油原料においてヘテロ原子と前に結合していた炭素原子と結合を形成する。しかしながら、従来の水素処理プロセスは、反応に必要な水素ガスが高価な製品であるため、単純に操作するにはコスト高となってしまう。しかしながら本発明においては、水素ガスの使用は必要なく、大気中に放出される二酸化炭素の発生も無く石油原料の改質を行えるように設計され、有害となる二酸化炭素を副生することなく石油原料の改質を大幅にコストダウンして行える。その上、本発明の方法では、反応物質として水の使用を必要としないため、水原料が高価である乾燥地域において適した方法である。二酸化炭素の発生を除き、プロセスにおける水の使用を現象させることにより、本発明の方法は環境に優しくかつ低コストである。
【0020】
従って、本発明は、石油原料(シェール油、ビチューメン、重質油など)とアルカリ金属と改質剤炭化水素とを組み合せることによる石油原料の改質法である。この反応は、石油原料中に含まれる硫黄、窒素および/または重金属を除去する。このプロセスで使用する改質剤炭化水素は、水素ガス(H)ではなく、その代わりに炭化水素である。改質剤炭化水素としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、エテン、プロペン、ブテン、ペンテン、ジエン類、これらの異性体などが例示される。他の炭化水素(オクタン又は1つ以上の炭素原子を含む化合物を含む他の炭化水素)もまた使用してもよい。炭化水素ガスは、炭化水素ガスの混合物(例えば、天然ガス、シェールガス、オイルシェールを乾留することによって得られるガス等)であってもよい。多くの実施態様において、炭化水素がスは天然ガスから得られるメタンであり、これは、この化合物が容易に安価に入手できるからである。
【0021】
ある実施態様において、炭化水素は、少なくとも1つの炭素原子と少なくとも1つの水素原子とから成る。水素原子は、炭素原子から引き抜かれて石油原料の有機分子と結合を形成する。炭化水素原子はそれに結合している水素原子を含むが、炭化水素分子は一つ以上の炭素原子を含む必要がある(しかもHガスは含むことは出来ない)。炭化水素は生成する有機物質の炭素に対する水素の比率を増加させるものから選択される。炭化水素が、石油原料のそれよりも水素対炭素比率が大きくなるような炭化水素を選択することにより達成できる。もちろん、炭化水素におけるより低い水素対炭素比率であっても、ヘテロ原子を低減するのであれば、改質効果を有する。
【0022】
石油原料は、炭化水素(メタン等)とアルカリ金属(ナトリウム等)と反応容器内で混合されて所定時間反応させる。反応は、ある実施態様において約450℃未満の温度で行われる。ある実施態様において、反応は、約150℃より高い温度で行われる。反応は約250psiを超える圧力下で行われる。ある実施態様において、反応は約2500psi未満の圧力下で行われる。他の実施態様において、反応はより低い温度および/またはより低い圧力下で行われてもよい。
【0023】
本プロセスは、ある実施態様において、化学反応を促進するための触媒の存在下で行われてもよい。触媒としては、特に次の例示に制限されないが、モリブデン、ニッケル、コバルト、モリブデンアロイ、ニッケルアロイ、コバルトアロイ、ニッケル及び/又はコバルトを含有するモリブデンアロイ、コバルト及び/又はモリブデンを含有するニッケルアロイ、酸化モリブデン、酸化ニッケル、酸化コバルト及びこれらの組合せが例示される。本プロセスにおいて使用できるアルカリ金属としては、特に次の例示に制限されないが、アルカリ金属の混合物および/またはアロイが例示される。また、ある実施態様において、カリウム、ナトリウム、リチウム及び/又はこれらのアロイを使用してもよい。
【0024】
この反応において、硫黄および窒素原子は、石油原料中の有機分子から分離され、アルカリ金属(ナトリウム又はリチウム)と結合して硫化物および窒化物となる。これらのアルカリ金属硫化物/窒化物は、有機化合物を含む有機相と区別される無機相に無機化合物として分離される。鉄、ヒ素、バナジウム等の有機物質中に元々含まれている重金属の一部も還元されて、同様に無機相に分離される。その結果、有機化合物は有機相中に存在し、メタン(改質剤炭化水素)と反応する。メタンは完全な飽和炭化水素であり、元の石油原料よりも炭素に対する水素の比率が高い。同様に、最終的な有機物製品は、元の石油原料よりも炭素数が大きくなる。この炭素鎖の増加における炭素数の増加は、有機物製品の全体のエネルギー量を増加させる。更に、ヘテロ原子がアルカリ金属と反応することにより、最終製品は、元の石油原料よりも炭素に対するヘテロ原子の数の比率が低くなる。
【0025】
アルカリ金属硫化物の形成のための自由エネルギーはHSの形成のための自由エネルギーよりも大きいため、反応容器にアルカリ金属を添加してもよい。ある実施態様において、アルカリ金属の導入に伴って、反応はより容易に進む。ある実施態様において、アルカリ金属はナトリウム、リチウム等を含む。
【0026】
図1に、本発明の石油原料の改質方法の実施態様の概略図100を示す。図1から明らかなように、先ず、石油原料102を所定量得る。石油原料102は、ビチューメン(瀝青)、シェール油、重油またはここに記載されている他の原料から成っていてもよい。石油原料102は、採鉱や他のプロセスによって得られてもよい。石油原料102は反応容器104(以下、反応器104と略す)に添加される。反応器104は、反応を容易に行うために、中に添加された化学物質を混合(撹拌)するように設計された混合機107を有していてもよい。上記の種類の触媒105もまた、反応を促進するために反応器104に添加してもよい。
【0027】
更に、反応器104にアルカリ金属108の所定量を添加する。このアルカリ金属108は、いかなるアルカリ金属であってもよく、またアルカリ金属の混合物を含んでいてもよい。ある実施態様において、アルカリ金属108としてナトリウム又はリチウムを使用してもよい。
【0028】
更に、所定量の改質剤炭化水素106を使用し、反応器104に添加してもよい。上述のように、改質剤炭化水素106は、メタン、エタン、プロパン等、または他の炭化水素(またはそれらの混合物)であってもよい。しかしながら、比較的安価であるものである、天然ガス、シェールオイルガス(通常メタンCHを含む)等を使用してもよい。
【0029】
上述のように、反応器104は、ある温度または圧力下で反応を生じる。ある実施態様において、反応温度は約450℃まで加熱してもよい。一つの温度の例示としては350℃が挙げられる。ある実施態様において、温度は室温または大気温度を使用してもよい。他の実施態様において、アルカリ金属が溶融状態となる温度であってもよい。当業者に周知のようにナトリウムは98℃で溶融し、リチウムは180℃で溶融する。ある実施態様において、反応器104の温度が上記の室温より高い温度、詳しくは、アルカリ金属108の溶融温度よりも高い温度として設計されていてもよい。反応圧力は、大気圧からもっと上の圧力までよい。ある実施態様において、反応は約250psiを超える圧力下で行われる。ある実施態様において、反応は約2500psi未満の圧力下で行われる。
【0030】
反応温度を上昇させると、アルカリ金属108は溶融して化学物質と他の化学物質との混合を容易にする。しかしながら、他の実施態様において、他の化学物質と反応させるために、所定量のパウダー状または固体状アルカリ金属108を添加、または別の方法で反応器104に添加するように設計されていてもよい。
【0031】
反応器104内で起こる反応は硫黄や窒素等のヘテロ原子や他の重金属を石油原料から除く。反応器104からの生成物はセパレーター112に送られる。セパレーター112は、改質された石油原料116を他の反応生成物質から分離するための種々の装置/プロセスを含んでいてもよい。セパレーター112はフィルター、遠心分離などを含んでいてもよい。セパレーター112は、実施態様にもよるが、フラックス(溶剤)119の流入も受けいれてもよい。フラックス物質119は硫化水素(HS)又は水あるいは分離を容易にする化学物質であってもよい。処理された石油原料と硫化水素との混合物により形成されたアルカリ水素硫化物は有機相(石油原料)から分離した相を形成する。この反応は以下に示す反応である。なお、アルカリ金属としてナトリウム(Na)を用いているが、他のアルカリ金属も使用できる。
【0032】
NaS+HS→2NaHS(375℃の液体)
NaN+3HS→3NaHS+NH
【0033】
窒素化合物はアンモニアガス(NH)を形成し、排気または回収されて除かれ、硫黄化合物は、更なる処理のために分離されるアルカリ水素硫化物(NaHS)を形成して除かれる。重金属類も重量分離法により有機炭化水素から分離される。
【0034】
石油原料102から低減される重金属118のいくらかは分離され、重金属118として抽出される。分離により更に、改質された石油原料116としての有機生成物を生成する。この改質された石油原料116は、必要であれば、更なる加工を行うために精油所に送られて適切な炭化水素燃料にしてもよい。セパレーター112の他の出力は、硫化アルカリ金属、窒化アルカリ金属および重金属118の混合物114(流れ)である。この混合物114は以下に記載するように更なる加工を行ってもよい。その代り又は付加的に、窒素含有生成物(例えば排気され集められるアンモニアガス(NH))は、使用するプロセスにもよるが、この段階で除去されてもよい。
【0035】
硫化アルカリ金属、窒化アルカリ金属および重金属118の混合物114は再生器120に送られてもよい。再生器120の目的は、アルカリ金属108を反応器104において再使用するように再生することである。それ故、再生器120の出力は、多量のアルカリ金属108となる。多くの実施態様において、再生工程は、イオン伝導性セラミック膜(例えば、セラマテック・インク社(ソルトレークシティー、ユタ州)から入手可能なNaSiCON膜、LiSiCON膜など)を使用した硫化アルカリ金属および/またはポリスルフィドの電解反応(電気分解)である。これらのプロセスは公知であり、例えば米国特許第3,787,315号明細書、米国特許出願公開第2009/0134040号明細書、米国特許出願公開第2005/0161340号明細書などに記載されており、参照により本願発明に加える。この電気分解プロセスの結果、硫黄124が捕捉される。更に電気分解プロセス又は他のプロセスを介して重金属132が混合物114から分離される。更なる実施態様において、窒素含有化合物128も再生器120において回収されてもよい。上述のように、そのような窒素化合物128は、排気され回収されたアンモニアガスであってもよい。他の実施態様において、窒素化合物前駆体130が再生器120に添加され、混合物114中の窒素含有化合物を捕捉し/反応して化合物128を生成する。当業者ならば、化合物128を捕捉するための種々の化学反応およびプロセスを理解することが出来るであろう(又は反応により生じる窒素を処理する別のプロセス)。
【0036】
図1に示す実施態様は、スチーム−メタン改質プロセスを含んでいない。上述のように、スチーム−メタン改質プロセスは水素を発生させるために使用され、メタンと水を供給し、水素ガスおよび二酸化炭素を排出することが要求される。方法100において、水素ガスは使用していない(すなわち、反応器104に水素ガスを添加していない)。同様に、方法100においてスチーム−メタン改質プロセスを使用する必要がない。しかしながら、この方法は、改質剤炭化水素の補助添加物としての水素の利用を除外しているわけではない。それ故、本方法100によって二酸化炭素は生成せず、水(反応物質としての)も必要ない。その結果、本方法100はより低コストで(反応物質としての水を必要としないため)、より環境に優しい(大気中に二酸化炭素を放出しない)方法である。
【0037】
図1の方法100は、実施態様によりバッチプロセス又は連続プロセスとして作動してもよい。特に、連続プロセスの場合、反応物質は反応器104に連続的に供給され、生成物は連続的に除去され、分離される。更に、反応器104中の反応は単一工程で行われてもよく(単一反応器104に全ての化学物質を供給する)、また連続工程または反応としてなされていてもよい。
【0038】
図2を参照すると、図1の反応器104内で起こる反応を示している。この例では、改質剤炭化水素がメタン206(例えば天然ガスから)であり、アルカリ金属がナトリウム208(他の炭化水素やアルカリ金属も使用できるが)である。更に、例えば、石油原料が含硫黄環状化合物であるチオフェン誘導体(CS)202を含む。反応器104内の反応の目的の1つは、このCHS物質を硫黄が含まれない物質に改質して炭化水素燃料としてより好適なものにするためである。他の目的は、より大きなエネルギー値を付与するために、それにより生成する有機物の炭素に対する水素の比率を増加させることである。
【0039】
S物質202が反応した際に、ナトリウム金属208が反応し、硫黄原子が抽出され、NaS生成物215が形成される。この硫黄原子の抽出は、ラジカル種である・CHCHCHCH・の式を有する有機物中間体211(ラジカルは分子の両末端に存在)を形成する。そして、このラジカル中間体211は、メタン206からの形成されるラジカル種と反応する。具体的には、CH・ラジカル217はラジカル中間体211の1末端と反応し、Η・ラジカル219はラジカル中間体211の他の1末端と反応し、有機物生成物221を形成し、この場合はアルケン(C)となる。もちろん、NaS生成物215もまた形成され、所望の有機生成物221から分離されてもよい上述のメカニズムは、単に説明のために例示であって、代替のメカニズム、反応経路、最終的な生成物の可能性を排除するものではない、NaS(215)は、無機相に存在し、有機相から分離される。
【0040】
図2の実施態様における全体の化学反応式は以下の式となる。
【0041】
S+2Na+CH→NaS+C
【0042】
再度、図2で使用されている化学物質については例示であって、他の化学物質が石油原料、改質剤炭化水素、アルカリ金属などに使用されてもよいことを述べておく。もちろん、改質剤炭化水素として異なる化学物質(例えば、メタンとは炭素数の異なるもの)が使用されれば、その結果生成する生成物221は、図2に示すもの分子鎖よりも大きい炭素数を有する。
【0043】
図2の実施態様は、炭化水素改質のための水素処理プロセスを使用した方法に比べ、顕著な利点を有することは注目すべきである。例えば、もし図2に示す同じ石油原料202を使用して水素を使用した水素処理プロセス(上述の通り)を行った場合、以下のように、硫黄に水素が反応する前に、先ず、分子鎖の水素を飽和させる必要があり、水素をより多量に使用する結果となる。
【0044】
S+4H→HS+C10(ブタン)
【0045】
それとは別に、標準的な水素を使用するナトリウム脱硫において、このプロセスの化学反応では、以下のように、硫黄に水素が反応する前に、分子鎖の水素を飽和させる必要が無く、その結果、水素のより少ない使用となる。
【0046】
S+2Na+H→NaS+C
【0047】
メタン−スチーム改質プロセスを使用して水素処理反応に使用される水素ガスを発生させてもよい。チオフェンをはじめとして水素処理反応を使用すると、2654KJ/molの低い燃焼熱を伴ってブタンが生成するが、1.43モルのメタンが使用して水素を発生させ、メタンと同等の低い燃焼熱が1144KJ/molであるため燃焼熱が正味1510KJ/molであり、水素の発生に1.43モルのCOが放出され、2.86モルの水を消費する。同じくチオフェンをはじめとして、水素を使用してナトリウム脱硫プロセスを行うと、1,3−ブタジエンが2500KJ/molの低い燃焼熱を伴って発生するが、水素の発生には、わずか0.36モルのメタンを使用すればよく、メタンと同等の低い燃焼熱が286KJ/molであるため燃焼熱が正味2214KJ/molであり、水素の発生にわずか0.36モルのCOが放出され、0.72モルの水を消費する。しかしながら、更に本発明においては、同じくチオフェンをはじめとして、水素の代りにメタンを使用してナトリウム脱硫プロセスを行うと、1,3−ペンタジエンが3104KJ/molの低い燃焼熱を伴って発生するが、わずか1モルのメタンをプロセスで使用すると、メタンと同等の低い燃焼熱が801KJ/molであるため燃焼熱が正味2303KJ/molであり、水素の発生に対してCOの放出および水の消費が無い。この最後に説明した本発明の実施態様は、従来技術に比べて、正味エネルギーが4%高いだけでなく、有害物質の発生や水の使用を減少させることが出来る。
【0048】
別の方法において、水素処理プロセスのための水素が、水(上述)の電解反応によって供給される。電解プロセスの効率は90%、改質プロセスの効率を100%と仮定すれば、チオフェンが2654KJ/moleの燃焼エネルギーを有する改質石油生成物(ブタン(C10))に改質される結果となる。
【0049】
しかしながら、水素を系紫衣するための電解プロセスに必要な電気エネルギーは(発生や移送においてロスが全く無いと仮定すると)、チオフェンで1200KJ/moleである。それ故、電解反応によって得られた水素を使用して改質したチオフェンの正味の燃焼値は、1454KJ/mole(すなわち、2654−1200の値)。同時に、この物質を生成するのに水4モルがチオフェン1モルに対して消費される。それとは別に、電解反応によって生じた水素を使用した標準的なナトリウム脱硫で形成されたCの燃焼エネルギーは2500KJ/moleと等価である。しかしながら、水素を形成するための電解プロセスの電気エネルギーは(発生や移送においてロスが全く無いと仮定すると)、チオフェンで300KJ/moleである。それ故、電解反応によって得られた水素を使用して改質したチオフェンの正味の燃焼値は、2200KJ/mole(すなわち、2500−300の値)。同時に、この物質を生成するのに水1モルがチオフェン1モルに対して消費される。
【0050】
しかしながら、図2に示すHよりもむしろメタンを用いたCSの改質プロセスは、ペンタジエン(C10)を生成し、より効率が良い。1,3−ペンタジエンの燃焼エネルギーは3104kcal/molと等価であり、これは1,3−ブタジエンよりも高い。図2の反応で消費されるメタンの燃焼値は801KJ/molである。従って、図2において生成する石油原料の正味の燃焼値は2303kcal/mol(すなわち、3104−801の値)である。また、メタン−スチーム改質プロセスから生成する水素を経た1,3−ブタジエンの正味の燃焼値は2214KJ/molであり、水素をメタン−スチーム改質プロセスから生成する場合の図2の実施態様は、石油原料1モル当り、更に89kJのエネルギーを供給する(すなわち、2303−2214の値)。これは正味のエネルギーとして4.0%増加と同時に、水源の使用および二酸化炭素の環境への放出も減少させる。
【0051】
ナトリウム脱硫プロセスのための水素が電解反応を介する場合、石油原料の正味の燃焼値は、石油原料1モル当り103kcal増加する(すなわち、2303−2200の値)。これは正味のエネルギーとして4.7%増加と同時に、反応において水源の消費が全く無い。それ故、本発明の実施態様は、正味のエネルギー値がより大きい改質された石油原料を得ることが出来ると同時に、水の使用を減らし、二酸化炭素の環境への放出が無いことは明らかである。明らかに、本発明は、水素処理や従来技術の水素を使用したナトリウム脱硫に対して、水素が電解反応またはスチーム−メタン改質によって生成されたかどうかに関係なく、顕著な効果がある。
【0052】
本発明の実施態様は、より少ない資本支出でプロセスを稼働できるという利点を有することは注目すべきである。具体的に、実業家が水素ガスの所定量を得るためには数千ドルを費やす(又は、電解反応またはスチーム−メタン改質プロセスを経て水素ガスを製造する施設を建設する)。更に、(水素ガスを製造するための)システムに含まれる電解プロセスもスチーム−メタン改質プロセスも必要としないため、方法100の稼働における維持費は極めて低い。
【実施例】
【0053】
実施例1:
石油原料は、Uintah Basin(米国ユタ州東部産)由来の(抽出された)石油原料を使用した。この石油原料は、硫黄および窒素を含むシェール油から成っていた。この石油原料は、遠心分離により固体分を除去した。遠心分離された石油原料は、以下の組成を有していた。
【0054】
【表1】

【0055】
反応器中で、遠心分離したシェール油179.2gとナトリウム金属6gを混合した。シェール油は113ポンド/インチ絶対圧力(7.68気圧)のガス圧のメタンで覆われ150℃に加熱された。温度が150℃に達したら、反応器の圧力を528ポンド/インチ絶対圧力(35.9気圧)に上昇させ、1時間反応させた。1時間後、反応器から熱源を取り除き、反応器を室温まで冷却した。冷却後、反応器の圧力を放出した。
【0056】
反応混合物は液相と固相とを有していた。液相が遠心分離により固相から分離された。反応した石油原料は以下の炭素、水素、窒素、硫黄および組成を有していた。
【0057】
【表2】

【0058】
上記の実施例からも明らかなように、メタンを使用した反応は、生成物中の窒素量を低減した。それ故、最終生成物中の炭素に対する窒素の比率は、原料のシェール油中のそれに対して低い。実際、炭素に対する窒素の比率の減少は54.4%である。同様に、メタンを使用した反応は、最終生成物中の硫黄の量を大幅に低減した。すなわち、最終生成物の炭素に対する硫黄の比率は、原料のシェール油中のそれに対して非常に低い。炭素に対する硫黄の比率の減少は40.4%である。更に、最終生成物中の水素の割合は、未反応シェール油中のそれよりも大きく、最終生成物の炭素に対する水素の比率は3.4%増加した。
【0059】
窒素および硫黄量の減少に加えて、改質前のシェール油のAmerican Petroleum Institute gravity(API gravity:工業石油密度指数)は35.29である。API gravityは、石油が水に対してどの程度重いか軽いかを表す尺度である。API gravityが10より大きいと水よりも軽く、水に浮き、API gravityが10より小さいと水よりも重く、水に沈む。API gravityは、石油の相対密度と反対の尺度であり、石油の相対密度と比較して使われる。反応後、しかしながら、API gravityが39.58に増加した。API gravityの増加により、シェール油が反応後に改質されたことを示す。
【0060】
上記の反応によって得られる石油は、ガスクロマトグラフィ及び模擬蒸留により測定し評価した。図3は、処理前後における沸点対石油の重量分率低下のプロットを示す。処理前後の沸点における平均差温は45.7℃であった。この沸点低下は、処理後にシェール油が改質されたことを示す。
【0061】
窒素および硫黄の含有量の低下、水素含有量の増加、API gravityの増加および沸点の低下は、通常の水素処理プロセスを使わず、水素の使用も無く、石油原料を改質したことを示している。
【0062】
実施例2:
石油原料は、Uintah Basin(米国ユタ州東部産)由来の(抽出された)石油原料を使用した。この石油原料は、硫黄および窒素を含むシェール油から成っていた。この石油原料は、遠心分離により固体分を除去した。遠心分離された石油原料は、以下の組成を有していた。
【0063】
【表3】

【0064】
反応器中で、遠心分離したシェール油179.2gとナトリウム金属6gを混合した。シェール油は113ポンド/インチ絶対圧力(7.68気圧)のガス圧のメタンで覆われ375℃に加熱された。温度が375℃に達したら、反応器の圧力を528ポンド/インチ絶対圧力(35.9気圧)に上昇させ、1時間反応させた。1時間後、反応器から熱源を取り除き、反応器を室温まで冷却した。冷却後、反応器の圧力を放出した。
【0065】
反応混合物は液相と固相とを有していた。液相が遠心分離により固相から分離された。反応した石油原料は以下の炭素、水素、窒素、硫黄および組成を有していた。
【0066】
【表4】

【0067】
上記の実施例からも明らかなように、メタンを使用した反応は、生成物中の窒素量を低減した。それ故、最終生成物中の炭素に対する窒素の比率は、原料のシェール油中のそれに対して極めて低い。実際、炭素に対する窒素の比率の減少は52.7%である。同様に、メタンを使用した反応は、最終生成物中の硫黄の量を大幅に低減した。すなわち、最終生成物の炭素に対する硫黄の比率は、原料のシェール油中のそれに対して非常に低い。炭素に対する硫黄の比率の減少は76.3%である。
【0068】
上記の反応によって得られる石油は、ガスクロマトグラフィ及び模擬蒸留により測定し評価した。図3は、処理前後における沸点対石油の重量分率低下のプロットを示す。処理前後の沸点における平均差温は25.7℃であった。この沸点低下は、処理後にシェール油が改質されたことを示す。
【0069】
窒素および硫黄の含有量の低下および沸点の低下は、通常の水素処理プロセスを使わず、水素の使用も無く、石油原料を改質したことを示している。
【0070】
実施例3:
石油原料は、Uintah Basin(米国ユタ州東部産)由来の(抽出された)上記と異なる石油原料を使用した。この石油原料は、硫黄および窒素を含むシェール油から成っていた。この石油原料は、遠心分離により固体分を除去した。遠心分離された石油原料は、以下の組成を有していた。
【0071】
【表5】

【0072】
反応器中で、遠心分離したシェール油179.2gとナトリウム金属6gを混合した。シェール油は113ポンド/インチ絶対圧力(7.68気圧)のガス圧のメタンで覆われ375℃に加熱された。温度が375℃に達したら、反応器の圧力を528ポンド/インチ絶対圧力(35.9気圧)に上昇させ、1時間反応させた。1時間後、反応器から熱源を取り除き、反応器を室温まで冷却した。冷却後、反応器の圧力を放出した。
【0073】
反応混合物は液相と固相とを有していた。液相が遠心分離により固相から分離された。反応した石油原料は以下の炭素、水素、窒素、硫黄および組成を有していた。
【0074】
【表6】

【0075】
上記の実施例からも明らかなように、メタンを使用した反応は、生成物中の窒素量を低減した。それ故、最終生成物中の炭素に対する窒素の比率は、原料のシェール油中のそれに対して極めて低い。実際、炭素に対する窒素の比率の減少は47.5%である。同様に、メタンを使用した反応は、最終生成物中の硫黄の量を大幅に低減した。すなわち、最終生成物の炭素に対する硫黄の比率は、原料のシェール油中のそれに対して非常に低い。炭素に対する硫黄の比率の減少は96.5%である。更に、最終生成物の炭素に対する水素の比率は1.2%増加した。
【0076】
窒素および硫黄の含有量の低下および水素含有量の増加は、通常の水素処理プロセスを使わず、水素の使用も無く、石油原料を改質したことを示している。
【0077】
本発明は上記の具体的な配置形状や成分に限定されないと理解すべきである。ここに記載されている配置、操作、システムや方法や装置の細部は、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて種々の改変、変更、変化などが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの炭素原子から成り、ヘテロ原子および/または1種以上の重金属を含む石油原料を所定量得る工程と、上記所定量の石油原料をアルカリ金属および改質剤炭化水素と反応させる反応工程と、分離工程とから成る石油原料の改質方法であって、上記反応工程において、上記改質剤炭化水素が少なくとも1つの炭素原子と少なくとも1つの水素原子とから成り、上記アルカリ金属は上記ヘテロ原子および/または1種以上の重金属と反応して1種以上の無機生成物を形成し、上記改質剤炭化水素が上記石油原料と反応して改質された石油原料を製造し、改質された石油原料の炭素原子数は改質前の石油原料の炭素原子数よりも多く、上記分離工程において改質された石油原料から上記無機生成物を分離することを特徴とする石油原料の改質方法。
【請求項2】
上記アルカリ金属が、リチウム、ナトリウム及び/又はこれらのアロイから成る請求項1に記載の石油原料の改質方法。
【請求項3】
上記改質剤炭化水素が、天然ガス、シェールガス及び/又はこれらの混合物である請求項1に記載の石油原料の改質方法。
【請求項4】
上記改質剤炭化水素が、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、エテン、プロペン、ブテン、ペンテン、ジエン類、これらの異性体および/またはこれらの混合物から成る請求項1に記載の石油原料の改質方法。
【請求項5】
上記反応が、約250psiを超える圧力下で行われる請求項1に記載の石油原料の改質方法。
【請求項6】
上記反応が、約2500psi未満の圧力下で行われる請求項1に記載の石油原料の改質方法。
【請求項7】
上記反応が、約室温より高い温度で行われる請求項1に記載の石油原料の改質方法。
【請求項8】
上記反応が、約450℃未満の温度で行われる請求項1に記載の石油原料の改質方法。
【請求項9】
上記反応が、上記アルカリ金属の融点よりも高く450℃未満の温度で行われる請求項6に記載の石油原料の改質方法。
【請求項10】
上記反応において触媒を使用し、当該触媒がモリブデン、ニッケル、コバルト、これらのアロイ、酸化モリブデン、酸化ニッケル、酸化コバルト又はこれらの組合せから成る請求項1に記載の石油原料の改質方法。
【請求項11】
上記無機生成物が、改質された石油原料から成る有機相から分離可能な相を形成する請求項1に記載の石油原料の改質方法。
【請求項12】
更に、分離工程において、分離器にフラックスを添加する工程を含む請求項1に記載の石油原料の改質方法。
【請求項13】
上記所定量の石油原料、アルカリ金属および改質剤炭化水素の反応において水素ガスを使用しない請求項1に記載の石油原料の改質方法。
【請求項14】
改質された石油原料の水素対炭素の比率が、改質前の石油原料の水素対炭素の比率より大きい請求項1に記載の石油原料の改質方法。
【請求項15】
改質された石油原料は、改質前の石油原料よりも大きなエネルギーを有する請求項1に記載の石油原料の改質方法。
【請求項16】
改質された石油原料のヘテロ元素対炭素の比率が、改質前の石油原料のヘテロ元素対炭素の比率より小さい請求項1に記載の石油原料の改質方法。
【請求項17】
更に、上記無機生成物からアルカリ金属を再生する工程を含む請求項1に記載の石油原料の改質方法。
【請求項18】
少なくとも1つの炭素原子から成り、ヘテロ原子および/または1種以上の重金属を含む所定量の石油原料と、アルカリ金属と、少なくとも1つの炭素原子と少なくとも1つの水素原子とから成る改質剤炭化水素とから成る反応器であって、上記アルカリ金属は上記ヘテロ原子および/または1種以上の重金属と反応して1種以上の無機生成物を形成し、上記改質剤炭化水素が上記石油原料と反応して改質された石油原料を製造し、改質された石油原料の炭素原子数は改質前の石油原料の炭素原子数よりも多く、改質された石油原料のヘテロ元素対炭素の比率が改質前の石油原料のヘテロ元素対炭素の比率より小さいことを特徴とする反応器。
【請求項19】
更に反応器が触媒を含み、当該触媒がモリブデン、ニッケル、コバルト、これらのアロイ、酸化モリブデン、酸化ニッケル、酸化コバルト又はこれらの組合せから成る請求項18に記載の反応器。
【請求項20】
反応器に水素ガスを添加されない請求項18に記載の反応器。
【請求項21】
上記アルカリ金属が、リチウム、ナトリウム及び/又はこれらのアロイから成り、上記改質剤炭化水素が、天然ガス、シェールガス、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、エテン、プロペン、ブテン、ペンテン、ジエン類、これらの異性体および/またはこれらの混合物から成る請求項18に記載の反応器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2013−509490(P2013−509490A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537170(P2012−537170)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/054984
【国際公開番号】WO2011/053919
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(508011511)セラマテック・インク (29)
【Fターム(参考)】