説明

アルコキシシラン官能性組成物

【課題】優れた高温貯蔵安定性を示すと共に、迅速な湿分硬化によって高強度を発現するホットメルト接着剤として有用な組成物を提供する。
【解決手段】(A)少なくとも1種のジイソシアネート成分に、室温で固体状の少なくとも1種の線状ポリエステルポリオールを含有する少なくとも1種のポリオール成分を反応させて得られるポリウレタンプレポリマー並びに(B)アルコキシシラン基とアミノ基若しくはメルカプト基を有する特定の化合物を反応させて調製される生成物に、ビス−(N,N’−ジメチルアミノエチル)エーテルを添加して得られるアルコキシシラン官能性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温で貯蔵安定性を示す反応性ホットメルト接着剤に適したアルコキシシラン官能性ポリウレタンプレポリマーを基材とする組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
大気中の水分又は相互に接着された材料に含まれる水分の作用によって不可逆的に硬化するプレポリマーから調製されるイソシアネート官能性の反応性ポリウレタン接着剤(PUホットメルト接着剤)は知られている(特許文献1参照)。この種のプレポリマーはポリエステルポリオールと所望によるポリエーテルポリオールにポリイソシアネートを反応させて得られる特定の反応生成物である。このような反応性のPUホットメルト接着剤は、広範囲の多種多様な材料、例えば、プラスチック、ガラス、金属、皮革及び木材等を接合させるために一般的に使用することができる。
【0003】
PUホットメルト接着剤の硬化時間(setting time)、即ち、出発成分の相互反応を伴わない固化時間は、室温で結晶質若しくは非晶質の成分の配合処方を変化させることによって、秒単位から分単位の範囲内で調整することができる。この点に関しては、次のことが報告されている。即ち、結晶性構造は、塗布後に低溶融粘度と急速な固化時間を示すだけでなく、低ガラス転移温度に起因して良好な低温弾性を示すという効果をもたらす(特許文献2〜4参照)。
【0004】
さらに、このような特性を改変するために室温で液状の成分を使用することができる。特許文献5に開示されている反応性ポリウレタンホットメルトは2種のポリウレタンプレポリマー、即ち、ガラス転移温度が>20℃の非晶質ポリオールから調製される第1のポリウレタンプレポリマー、及び室温で液状のポリオール(Tg<20℃)から調製される第2のポリウレタンプレポリマーを含有する。
【0005】
反応性PUホットメルト接着剤の実際の硬化、即ち、成分相互間の架橋反応は、イソシアネート基と水分との反応によって数日間でおこなわれ、これによって熱硬化性ポリウレアが形成される。この後のPUホットメルト接着剤はもはや溶融せず、あるいは、例えば、溶剤に溶解しない。このため、硬化した接着剤は良好な耐熱性を示すと共に、化学薬品、例えば、可塑剤、溶剤、オイル及び燃料等に対して良好な耐性を示す。
【0006】
しかしながら、このような接着剤には、これらの調製法に起因して、高濃度の遊離のモノマー性ポリイソシアネート、例えば、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン(4,4’−MDI)、2,4−ジイソシアナトトルエン又は2,6−ジイソシアナトトルエン(TDI)が残存するという問題がある。このようなモノマー性のポリイソシアネートは、接着剤の塗布温度(約130℃〜約180℃)において無視できない蒸気圧を示す。このことは、この種のモノマー性成分が気体状態で周囲環境へ放出されることを意味する。このようなイソシアネートの放出に起因して、相当する工業的な衛生手段(例えば、適当な抽出装置の設置等)を講じなければならない。
【0007】
この種の接着剤の別の問題点は、水分との反応によってポリウレアが形成される際に二酸化炭素が放出されることである。この結果、接着剤は接着された接着部(glued joint)において発泡するために、接合構成部材の所望の位置を変化させる。
【0008】
上述の問題点を解決するために、ポリエステルポリオールを基材とするシラン官能性の反応性ホットメルト接着剤が先行文献に開示されている。
【0009】
特許文献6には、第1の態様として、固体状ポリエステル(ガラス転移温度>10℃)と液状ポリエステル(ガラス転移温度<−10℃)とのポリエステル混合物を過剰のポリイソシアネートと反応させ、得られる遊離のNCO基を含むプレポリマーにアミノシラン又はメルカプトシランを反応させて調製される湿分硬化性ホットメルト接着剤が開示されている。また、該文献の第2の態様においては、最初にアミノシラン又はメルカプトシランとジイソシアネートを1:1のモル比で反応させ、得られる付加生成物に前記のポリエステル混合物を反応させる。湿分による硬化反応を促進するために触媒を添加することは記載されていない。それにもかかわらず、全ての実施例においては、ホットメルト接着剤の調製のための触媒としてジブチル錫ジラウレート(DBTL)が使用されている。反応終了後、DBTLは失活されずに生成物中に残存するために、原則的には硬化触媒として作用することができる。このようにして調製されるホットメルト接着剤は、大気中の湿気によって室温で硬化してしまう。
【0010】
特許文献7には、(a)アミノシラン又はメルカプトシランにジイソシアネートと炭素原子数2〜12の線状アルキレンジオールを反応させて得られるNCO−末端シラン化合物及び、(b)過剰の線状のOH−及び/又はNH−末端ポリエステル、ポリエーテル及び/又はポリウレタンにジイソシアネートを反応させて得られる線状のOH−及び/又はNH−末端2官能性ポリマーを反応させて得られるアルコキシシランを末端基とする湿分架橋性ホットメルト接着剤が記載されており、該特許文献においては、湿分による架橋反応を促進させるために、例えば、次の群から選択される常套の酸性触媒を使用することが言及されている:錫(II)オクトエート、ジブチル錫ジラウレート、テトラブチルチタネート、酢酸亜鉛及びアセチルアセトン酸亜鉛等。
【0011】
しかしながら、上記の特許文献6と7に開示されているホットメルト接着剤は現在のところ工業的には利用されていない。この理由は、湿分に対する該接着剤の反応性がイソシアネート末端基を有する接着剤に比べて著しく低いことに起因して、アルコキシシラン末端基が、触媒を添加しないときには、硬化しないか、又は非常に長時間かけても十分に硬化せず、不十分な強度しか得られないためである。触媒として言及されているルイス酸を添加するならば、接着剤組成物は加熱貯蔵時の安定性を失ってしまう。何故ならば、このような触媒は、プレポリマー中に存在するポリエステル単位及びアルコキシ末端基の分解に起因する低分子量アルコール(例えば、メタノール又はエタノール)のエステル交換反応も触媒するからである。これによって、ポリマー鎖の不可逆的開裂と接着剤の分解がもたらされる。ホットメルト接着剤は、塗布前に加熱オーブン中で溶融されて比較的長時間にわたって(一般的には、少なくとも1日の作業日)、液体状態に維持されるので、工業的な用途にとっては、高温での十分な安定性が必ず要求される。
【0012】
これらの文献に記載されている第1段階においてジイソシアネートとアミノシランとの付加物を調製する方法は、工業的にはかなりの不利益をもたらす。何故ならば、アミノシランとジイソシアネートとの2分子によるジ付加物(diadduct)が常に生成して高価なアミノシランが失われるからである。
【0013】
特許文献8には、少なくとも2個の加水分解性シリル基を有する硬化性組成物が開示されている。該組成物は、分子中にヒドロキシル基とアクリロイル基を有する脂肪族ポリエステルをイソシアナトシランと反応させ、該反応生成物にアミノシランを反応させて得られる生成物に単官能性イソシアネート及び/又はポリイソシアネートをさらに反応させることによって調製される。この場合、該組成物を硬化させる触媒としては、有機錫化合物(例えば、ジブチル錫ジラウレート及びオクタン酸錫等)、酸性化合物(例えば、p−トルエンスルホン酸及びリン酸エステル等)及びアミン(エチレンジアミン、イソホロンジアミン及びN,N−ジメチルドデシルアミン等)が記載されている。
【0014】
この種の組成物は、多段階的な調製法を使用するときにのみ得られるために、非常に高価になる。さらに、出発物質として必要な分子中にヒドロキシル基とアクリロイル基を有するポリエステルは、例えば、PUホットメルトの調製用原料として多様な形態で入手しうるような標準的な物質ではなく、その入手には厳しい制限が伴う。この結果、適当な末端基を有する非晶質ポリエステル、液状ポリエステル又は結晶性ポリエステルを混合させることによる制限された方法におけるホットメルト接着剤の特性への影響度は非常に限定されたものとなる。ルイス酸を使用する場合には、先に言及した加熱下での貯蔵安定性に関する議論が適用される。
【0015】
特許文献9には、ヒドロキシル基の一部のみがアルコキシシリル末端基によって置換されたポリマーを基材とする架橋性組成物であって、100℃未満の温度において液状の組成物が開示されている。ヒドロキシル基を有する特に適当なポリマーは、ポリエステルポリオールである。この場合の調製法は多段階合成法によっておこなわれる。第1の態様においては、アミノシラン又はメルカプトシランをジイソシアネートと1:1のモル比で反応させることによって最初に付加物を調製した後、第2段階において、該付加生成物にポリオール混合物を、OH/NCO比が1:0.9よりも小さくなる条件下で反応させる。第2の態様においては、第1段階でOHを有するポリマー又はポリマー混合物を過剰のジイソシアネートと反応させた後、得られた遊離のNCO基を有するプレポリマーを第2段階でアミノシラン又はメルカプトシランと反応させ、次いで、第2段階で得られた生成物を、第3段階でOHを有するポリマーと混合させる。適当な硬化用触媒としては、錫化合物やチタン化合物の他に、アミンも記載されているが、実施例においては、DBTLのみが使用されているだけである。それにもかかわらず、この種の組成物は湿分の作用だけでなく、熱の作用によっても硬化するとされている。
【0016】
この熱硬化性は工業的にはかなりの不利益をもたらす。何故ならば、ホットメルト接着剤は、塗布前に加熱オーブン内で溶融され、高温下で比較的長時間にわたって(一般的には、少なくとも1日の作業日)液体状態に維持される。しかしながら、このような条件下では、接着剤の少なくとも部分的な架橋反応がもたらされる結果として、当該接着剤は使用できなくなる。さらに、開示されている接着剤を調製するためには、多段階法が必要である。芳香族イソシアネート(例えば、MDI又はTDI)とアミノシランとの付加物は貯蔵安定性がないために、直ちに反応させなければならず、このことは合成をさらに困難にする。しかしながら、芳香族イソシアネートは、脂肪族ジイソシアネートに比べてかなり高い反応性を示すので、芳香族ジイソシアネートはホットメルト接着剤用原料としては好ましいものである。
【0017】
特許文献10には、生態学的理由から錫を実質上含有しない湿分硬化性ホットメルト接着剤が開示されている。該接着剤は、半結晶質ポリオール、分枝状の第一OH基若しくは第二OH基又はこれらの混合基を有する実質上非晶質のポリオール、第二アミノ基を有するアミノシラン及びイソシアネートから調製される。
【0018】
これらの湿分硬化性ホットメルト接着剤の調製方法についてはさらに言及する。この場合、第1段階においては、半結晶質ポリオール、分枝状の第一OH基若しくは第二OH基又はこれらの混合基を有する実質上非晶質のポリオール及びイソシアネートからプレポリマーが調製される。この段階においては、錫不含触媒が所望により使用される。錫不含触媒としては、2,2’−ジモルフォリノジエチルエーテル(DMDEE)が例示されている。第2段階においては、該プレポリマーを、第二アミノ基を有するアミノシランと反応させることによって湿分硬化性ホットメルト接着剤を得る。この場合、2つの反応段階は錫含有触媒を添加せずにおこなわなければならない。第二アミノ基を有するアミノシランとしては、N−アルキル−アミノアルキル−アルコキシシランが使用されている。さらに、湿分との硬化反応を促進する触媒を最終的なホットメルト接着剤に混合することができる。第三アミンが例示されている。
【0019】
当該発明を説明するための実施例においては、プレポリマーの調製用触媒(即ち、ポリオールとイソシアネートとの反応用触媒)としてDMDEEが使用されている。しかしながら、最終的なホットメルト接着剤には別の硬化触媒は添加されない。しかしながら、DMDEEはホットメルト接着剤中に残存するので、該化合物は湿分による硬化反応においても触媒として作用する。実施例と比較例によって次のことが明確に示されている。即ち、DMDEEを使用する場合、十分な最終強度を有する接着部は、プレポリマーを調製するためのポリオール混合物が第二OH基を有するポリエーテルポリオール又は主鎖に沿って分枝を有する非晶質ポリエステルを含有するときにのみ達成される。種々の比較例(例えば、比較例2)は次のことを示している。即ち、結晶性又は非分枝状のポリエステルポリオールのみを使用する場合には、DMDEEを触媒としたホットメルト接着剤は、硬化を24時間おこなった後、全く不十分な最終強度をもたらすに過ぎない(約4MPa以下)。このような値は、ポリエーテルポリオールを含有する生成物によってもたらされる最終強度(硬化を24時間おこなった後の値:約9〜12MPa)に比べて著しく低い値である。しかしながら、第二OH基を有するポリエーテルポリオールの使用は、いずれの場合においても、一定の環境下においては接着剤特性に対して不都合な影響をもたらすので、望ましくない。
【0020】
アルコキシシラン末端基を有するポリエーテルポリオールを基材とするシーラントが古から知られている(特許文献11及び12参照)。有機金属硬化触媒(例えば、ジブチル錫ジラウレート等)のほかに、強塩基性の二環式第三アミンも従来技術の触媒として使用されている。特許文献13には、特に適当な触媒として、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデセン−7(DBU)及び1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)が記載されている.一方,公開された特許文献13によれば、その他の第三アミンは、硬化時間が極めて長くなることから、特に適当な硬化用触媒とはされていない。特に、ビス−(N,N’−ジメチルアミノエチル)エーテル(触媒A−1)は負の比較例として記載されており、該触媒は、湿分によるアルコキシシラン末端基を有するポリウレタンプレポリマーの硬化反応を促進させる触媒としては不適当であるとされている。
【0021】
それにもかかわらず、強塩基性の二環式第三アミン、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデセン−7(DBU)及び1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)等は、ポリエステルポリオールを基材とするアルコキシ末端ホットメルト接着剤の場合の硬化用触媒としては使用できない。何故ならば、この種のアミンは、接着剤のポリエステル単位の不可逆的開裂をもたらし、その結果、熱の作用(例えば、溶融過程中の熱の作用)によって接着剤の分解がもたらされるからである。
【0022】
以上の従来技術の考察から明らかなように、ポリエステルを基材とするアルコキシシラン官能性ホットメルト接着剤であって、貯蔵安定性が高く、湿分によって急速に硬化すると共に、湿分によって完全に硬化した後は高い強度を発現する該ホットメルト接着剤の開発が当該分野においては依然として要請されている。
【特許文献1】ヨーロッパ特許公報EP−B455400号
【特許文献2】独国特許公報DE−A3827224号
【特許文献3】独国特許公報DE−A4114220号
【特許文献4】ヨーロッパ特許公報EP−A0354527号
【特許文献5】ヨーロッパ特許公報EP−A0340906号
【特許文献6】ヨーロッパ特許公報EP−A0202491号
【特許文献7】ヨーロッパ特許公報EP−A0354472号
【特許文献8】ヨーロッパ特許公報EP−A0480363号
【特許文献9】ヨーロッパ特許公報EP−A0096250号
【特許文献10】国際公開公報WO2004/005420号
【特許文献11】ヨーロッパ特許公報EP−A0596360号
【特許文献12】国際公開公報WO00/26271号
【特許文献13】特開平8−283366号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明が解決しようとする課題は、湿分硬化性のアルコキシシラン官能性ホットメルト接着剤であって、調製が容易であり、加熱下で貯蔵したときに良好な貯蔵安定性を示すと共に、湿分の作用によって非常に迅速に硬化し、硬化後に高い強度を発現する該接着剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
この課題は、以下に詳しく説明するようなアルコキシシラン末端基を含有する組成物
及びホットメルト接着剤によって達成された。
驚くべきことには、アルコキシシラン末端基を含むと共に、ビス−(N,N’−ジメチルアミノエチル)エーテル触媒(触媒A−1)を含有するポリエステルを基材とする組成物およびホットメルト接着剤は優れた貯蔵安定性を示し、湿分によって非常に迅速に硬化すると共に、非常に高い最終強度を発現する接着部をもたらす。
【0025】
即ち本発明は、下記の成分(A)と(B)を反応させて調製される反応生成物[この場合、これらの反応成分(A)と(B)の量比は、成分(A)に含まれるNCO基1モルあたり成分(B)に含まれるアミノ基若しくはメルカプト基が0.95〜1.1モルになるように選択される]に下記の成分(C)を添加して得られるホットメルト接着剤に適した湿分硬化性のアルコキシシラン官能性組成物に関する:

(A)次の成分i)とii)を反応させて得られるポリウレタンプレポリマー[この場合、これらの反応成分i)とii)の量比は、NCO:OHのモル比が1.2〜4.0(好ましくは、1.3〜3.0)になるように選択される]:
i)少なくとも1種の芳香族、脂肪族、芳香族−脂肪族及び/又は脂環式のジイソシアネート(好ましくは、遊離のNCO基を5〜60重量%含有する)、及び
ii)室温で固体状であって好ましくは少なくとも結晶性の少なくとも1種の線状ポリエステルポリオールを含有するポリオール成分であって、所望によりさらに、1種若しくは複数種の非晶質の線状ポリエステルポリオール及び/又は1種若しくは複数種の室温で液状の線状ポリエステルポリオール並びに所望による1種若しくは複数種の線状ポリエーテルポリオールを含有するポリオール成分。

(B)アルコキシシラン基とアミノ基若しくはメルカプト基を有する次式(I)で表される化合物:
【化1】

式(I)において、
a)X、Y及びZは同一若しくは異なる直鎖状若しくは分枝鎖状の(C〜C)アルキル基、環状の(C〜C)アルキル基又は(C〜C)アルコキシ基を示し[但し、これらの基の少なくとも1つは(C〜C)アルコキシ基を示す]、
b)Rは炭素原子数が1〜8(好ましくは、1〜4)の直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキレン基又は炭素原子数が3〜8の環状のアルキレン基を示し、
c)Wは−SH又は−NH−R’を示す;
(この場合、R’は水素原子、炭素原子数が1〜8(好ましくは、1〜4)の直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、炭素原子数が3〜8の環状アルキル基、アリール基又は次の一般式(II)で表される基を示す:
【化2】

(式中、R”及びR'''は同一若しくは異なる炭素原子数が1〜8(好ましくは、1〜4)の直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基又は炭素原子数が3〜8の環状アルキル基を示す))
[式(I)において、X、Y、及びZは好ましくは相互に独立してメトキシ基又はエトキシ基を示し、Wは好ましくは−NH−R’を示し、R’は好ましくは一般式(II)で表される基を示す]。

(C)アルコキシシラン末端基と環境又は相互に接着された支持体からの湿分との架橋反応用触媒(硬化触媒)としてのビス−(N,N’−ジメチルアミノエチル)エーテル(触媒A−1)。
【0026】
本発明は、本発明による組成物を含有するホットメルト接着剤、及び本発明による組成物の接着剤(特に、ホットメルト接着剤)としての使用若しくは接着剤を調製するための該組成物の使用にも関する。
また、本発明は、本発明による組成物又はホットメルト接着剤を使用して接着された支持体(substrate)も提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本明細書における本発明の説明や実施例の記載においては、特に明確に特定しない限り、全ての数値は、「約」という用語が明確に記載されていないときであっても、該用語を修飾させて理解される。また、ここで使用する数値範囲は、該範囲に包含される全ての亜範囲(sub-range)を含む。
なお、ここで使用する「室温」という表現は25℃の温度を意味する。
【0028】
本発明において使用するイソシアネートプレポリマー(A)は、ポリウレタン化学の分野において自体既知の方法によって調製される。例えば、以下においてさらに詳述する遊離のNCO基を有するジイソシアネート成分i)を、以下において詳述する特性を有するポリオール成分ii)と反応させることによって調製される。これらの成分については、以下においてさらに詳述する。
【0029】
ジイソシアネート成分i)として適当なジイソシアネートは、例えば、イソシアネート含有量がジイソシアネートに基づいて5〜60重量%であって、脂肪族結合、脂環式結合、芳香族−脂肪族結合及び/又は芳香族結合を介したイソシアネート基を有するジイソシアネートである。この種のジイソシアネートとしては下記の化合物が例示される:
1,4−ジイソシアナトブタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン(HDI)、2−メチル−1,5ジイソシアナトペンタン、1,5−ジイソシアナト−2,2−ジメチルペンタン、2,2,4−若しくは2,4,4−トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,10−ジイソシアナトデカン、1,3−若しくは1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3−若しくは1,4−ビス−(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロン−ジイソシアネート;IPDI)、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、1−イソシアナト−1−メチル−4(3)−イソシアナトメチルシクロヘキサン、ビス−(イソシアナトメチル)−ノルボルナン、1,3−若しくは1,4−ビス−(2−イソシアナト−プロプ−2−イル)−ベンゼン(TMXDI)、2,4−及び/又は2,6−ジイソシアナトトルエン(TDI)、2,2’−、2,4’−及び/又は4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)、1,5−ジイソシアナトナフタレン、並びに1,3−若しくは1,4−ビス−(イソシアナトメチル)−ベンゼン。
【0030】
ジイソシアネート成分i)として好ましいものは、1,6−ジイソシアナトヘキサン(HDI)、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロン−ジイソシアネート;IPDI)、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、2,4−及び/又は2,6−ジイソシアナトトルエン(TDI)、並びに2,2’−、2,4’−及び/又は4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)である。
【0031】
ポリウレタンプレポリマー(A)を調製するためには、ジイソシアネート成分i)とポリオール成分ii)を、OH基に対するNCO基のモル比が1.2〜4.0(好ましくは、1.3〜3.0)になるようにして反応させる。
【0032】
本発明において、ポリオール成分ii)として使用するポリエステリポリオールは、1個よりも多くのOH基(好ましくは、2個の末端OH基)を有するポリエステルを意味する。この種のポリエステルは当業者には既知である。このような化合物は、既知の調製法、例えば、脂肪族ヒドロキシカルボン酸あるいは脂肪族及び/又は芳香族ジカルボン酸及び1種若しくは複数種のジオールを出発物質として調製することができる。出発物質としては、対応する誘導体、例えば、ラクトン、低級アルコールエステル又は酸無水物等を使用することができる。適当な出発物質としては、下記の化合物が例示される:
コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、グルタル酸、無水グルタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水フタル酸、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール及びε−カプロラクトン。
【0033】
適当な部分的結晶性ポリエステルポリオール、非晶質ポリエステルポリオール及び液状ポリエステルポリオールは500〜10000g/モル(好ましくは、1000〜8000g/モル、特に好ましくは、1500〜6500g/モル)の分子量を有する。
【0034】
ポリエステルポリオールは室温において液状(ガラス転移温度Tg:<20℃)又は固体状である。この場合、室温で固体状のポリエステルポリオールは非晶質(Tg:>20℃)または少なくとも部分的に結晶性である。
【0035】
本発明によるアルコキシシラン官能性組成物及びホットメルト接着剤は、ポリオール成分ii)の中に、少なくとも2の官能価を有すると共に室温で固体状(好ましくは、少なくとも部分的に結晶性の固体状)である少なくとも1種のポリエステルポリオールを含有する。
【0036】
さらに、該組成物及び接着剤は所望により、ポリオール成分ii)の中に、少なくとも2の官能価を有すると共に少なくとも部分的に結晶性である1種若しくは複数種のポリエステルポリオール及び/又は少なくとも2の官能価を有する1種若しくは複数種の非晶質ポリエステルポリオール及び/又は少なくとも2の官能価を有すると共に室温で液状である1種若しくは複数種のポリエステルポリオール並びに所望による少なくとも2の官能価を有する1種若しくは複数種のポリエーテルポリオールを含有していてもよい。
【0037】
「少なくとも部分的に結晶性」ということは、当該ポリエステルポリオールが完全には結晶性ではなく、付加的に一定の非晶質部を含有することを意味する。このようなポリエステルポリオールは結晶性の融点(Tm)とガラス転移温度(Tg)を有する。該融点は、結晶性部が溶融する温度を示す。融点は、例えば、DSC測定による示差熱分析によって、主要な吸熱ピーク(結晶溶融ピーク)として決定することができる。DSC測定(第2の加熱過程における加熱と冷却の速度は10K/分とした)によれば、少なくとも部分的に結晶性のポリエステルポリオールの融点は、約35℃〜約120℃である。少なくとも部分的に結晶性のポリエステルポリオールのガラス転移点は一般に、例えば、室温よりもかなり低い。部分的に結晶性の適当なポリエステルポリオールは当業者には既知である。
【0038】
少なくとも部分的に結晶性(即ち、結晶化性)の適当なポリエステルポリオールは、例えば、炭素原子数が6〜12の脂肪族線状ジカルボン酸[例えば、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸及びドデカン二酸(好ましくは、アジピン酸とドデカン二酸)等]及び炭素原子数が4〜8(好ましくは、偶数)の線状ジオール(例えば、1,4−ブタンジオール及び1,6−ヘキサンジオール等)から調製されるポリエステルポリオールである。2官能性のスターター(starter)分子、例えば、1,6−ヘキサンジオール等に基づくポリカプロラクトン誘導体も特に適当な原料として例示することができる。
【0039】
適当な非晶質ポリエステルポリオールは、例えば、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール及び3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロパノエートに基づいて得られるポリエステルポリオールである。
【0040】
室温で液状の適当なポリエステルポリオールは、例えば、アジピン酸、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール及びネオペンチルグリコールに基づいて得られるポリエステルポリオールである。
【0041】
ポリウレタン化学の分野における常套のポリエーテルはポリエーテルポリオールとして適当なものであり、例えば、テトラヒドロフラン、スチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド又はエピクロロヒドリン(好ましくは、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド)の付加物若しくは混合付加物が例示される。この種の付加物は、例えば、2〜6官能性のスターター分子、例えば、水、エチレングリコール、1,2−若しくは1,3−プロピレングリコール、ビスフェノールA、ネオペンチルグリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール又は1〜4個のNH結合を有するアミンを使用して調製される。2官能性のプロピレンオキシド及び/又はエチレンオキシド付加物及びポリテトラヒドロフランは好ましいものとして例示される。この種のポリエーテルポリオールとこれらの調製法は当該分野の当業者には既知である。
【0042】
適当なポリエーテルポリオールは300g/モル〜20000g/モル(好ましくは、500g/モル〜15000g/モル、特に好ましくは、500g/モル〜10000g/モル)の分子量を有する。
【0043】
本発明による組成物においては、1種若しくは複数種の少なくとも部分的に結晶性のポリエステルポリオール若しくは非晶質ポリエステルポリオール及び液状のポリエステルポリオールを使用することができる。ポリオールの定量的組成は、当業者であれば所望の特性分布に応じて決定することができ、特に限定的ではない。少なくとも部分的に結晶性の固体状ポリエステルポリオールと固体状の非晶質ポリエステルポリオールは、いずれの場合にも、ポリオール成分の全重量に基づいて100重量%までの量で含有させることができる。好ましくは、室温で固体状であって少なくとも部分的に結晶性のポリエステルポリオールの含有量は10〜100重量%であり、また、固体状の非晶質ポリエステルポリオールの含有量は、例えば、0〜70重量%であり、さらに、室温で液状のポリエステルポリオールの含有量は、例えば、0〜70重量%である。なお、ポリエーテルポリオールの含有量は、例えば、0〜50重量%である。上記の含有量は、ポリオール成分の全重量に基づくものである。
【0044】
ポリウレタンプレポリマー(A)は、例えば、反応温度において液状のポリオールを使用する場合には、ポリオール成分を過剰のポリイソシアネートと混合し、一定のNCO値が得られるまで(通常は30分間〜2時間)均一混合物を撹拌することによって得られる。反応温度としては、80℃〜150℃(好ましくは100℃〜130℃)が選択される。ポリウレタンプレポリマー(A)の調製は、撹拌タンクのカスケード(cascade)又は適当な混合ユニット、例えば、回転子−固定子原理による高速ミキサー等を利用して連続的におこなうこともできる。
【0045】
もちろん、不十分な量のジイソシアネート[好ましくは、1,6−ジイソシアナトヘキサン(HDI)、2,4−及び/又は2,6−ジイソシアナトトルエン(TDI)及び/又は2,4’−及び/又は4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)]を使用してポリエステルポリオール及び/又はポリエーテルポリオールあるいはこれらの一部を変性させ、反応終了後、ウレタン基を有するポリオールに過剰のジイソシアネートを反応させてポリウレタンプレポリマー(A)を得ることも可能である。
【0046】
また、ポリオール類とジイソシアネートとの反応は、5重量%までの量の、例えば、脂肪族ジイソシアネートのトリマー(例えば、ヘキサメチレン−ジイソシアネート等)の存在下でおこなってもよく、あるいは、プレポリマー化反応が終了した後でこの種のトリマーを添加することも可能である。
【0047】
本発明による方法の第2段階においては、本発明において使用することができるポリウレタンプレポリマー(A)を前記の一般式(I)で表される化合物(B)と反応させる。
【0048】
一般式(I)で表される化合物(B)としては下記の化合物が例示される:
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ブチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−プロピル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチル−ブチル−トリメトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチル−ブチル−メチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン及びγ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン。
【0049】
好ましくは、アルコキシシラン基とアミノ基を有する一般式(I)で表される化合物(B)[即ち、該式の残基Wが−NHR’基に相当し、残基R’が好ましくは一般式(II)に相当する化合物]が使用される。この種の化合物は、例えば、特許文献11等に記載の方法によって調製される。
【0050】
この種の好ましい化合物(B)として使用してもよい化合物の具体例を以下に示す:
N−(3−トリエトキシシリルプロピル)アスパラギン酸ジエチルエステル、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)アスパラギン酸ジメチルエステル、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)アスパラギン酸ジ−n−ブチルエステル、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)アスパラギン酸ジメチルエステル及びN−(3−トリメトキシシリルプロピル)アスパラギン酸ジエチルエステル。
【0051】
本発明方法においては、NCOプレポリマー及びアルコキシシラン基とアミノ基若しくはメルカプト基を有する一般式(I)で表される化合物を、例えば、80℃〜150℃(好ましくは、100℃〜130℃)の温度範囲で反応させる。この場合、両方の反応成分の量比は、NCO基1モルあたりアミノシラン化合物若しくはメルカプトシラン化合物が0.95モル〜1.1モルになるように選択される。好ましくは、NCO基1モルあたり1モルのアミノシラン化合物若しくはメルカプトシラン化合物を使用する。
【0052】
アルコキシシラン基とアミノ基を有する一般式(I)で表される化合物としてアスパラギン酸エステルを使用する場合、ヨーロッパ特許公報EP−A0807649号に記載の方法に従って比較的高い反応温度を採用すると、環化縮合(cyclocondensation)反応が起こるかもしれないが、このことは全く問題にはならず、場合によっては有利なこともある。
【0053】
周囲環境若しくは相互に接着させた支持体からの湿分と本発明によるホットメルト接着剤との硬化反応のための触媒として、ビス−(N,N’−ジメチルアミノエチル)エーテル(触媒A−1)を、本発明に使用できるアルコキシシラン末端基含有ポリウレタンプレポリマーに添加する。この添加操作は、アルコキシシラン末端基含有ポリウレタンプレポリマーが調製された後の段階でおこなう。触媒として作用するビス−(N,N’−ジメチルアミノエチル)エーテル(触媒A−1)は、本発明方法のより早い段階、例えば、ポリウレタンプレポリマー(A)の調製中に添加してもよいが、このような態様は好ましいものではない。
【0054】
触媒の使用量は、アルコキシシラン末端基含有ポリウレタンプレポリマーの重量に基づいて0.1〜1.5重量%(好ましくは、0.2〜1.0重量%、特に好ましくは、0.25〜0.8重量%)である。
【0055】
本発明によるアルコキシシラン官能性ホットメルト接着剤は、ホットメルト接着剤用の常套の添加剤をさらに1種若しくは複数種含有していてもよい。例えば、該ホットメルト接着剤は、常套法に従って、無機充填剤、有機充填剤、色素、樹脂及び/又はエキステンダー油(extender oil)を用いて改質させてもよい。
【0056】
本発明によるアルコキシシラン官能性ホットメルトシラン接着剤にはさらに乾燥剤を添加してもよく、このような乾燥剤としては、特に、アルコキシシリル化合物、例えば、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、i−ブチルトリメトキシシラン及びヘキサデシルトリメトキシシラン等が例示される。
【0057】
さらにまた、本発明によるアルコキシシラン官能性ホットメルト接着剤には、既知の官能性シラン類を定着剤(adhesion promoter)として添加してもよい。この種の添加剤としては、前述のタイプのアミノシラン、N−アミノエチル−3−アミノプロピル−トリメトキシシラン及び/又はN−アミノエチル−3−アミノプロピル−メチル−ジメトキシシラン、エポキシシラン及び/又はメルカプトシラン等が例示される。
【0058】
本発明による組成物は、接着剤として多様な方法で利用することができる。例えば、構造部材の仮固定のための構造用接着剤、製本用接着剤、クロスボトム弁(cross bottom valve)用サック、複合フィルム若しくはラミネートの製造用接着剤、ヘリ目板(edge strip)又は自動車工業における金属シートの相互接着若しくは金属シートとガラスやプラスチックとの接着のための接着剤として使用することができる。
【0059】
従って、本発明は、本発明による湿分反応性のアルコキシシラン官能性ポリウレタンプレポリマーを接着剤として使用することにも関する。また、本発明は、本発明による組成物若しくは接着剤を用いて接着された支持体にも関する。
【0060】
湿分硬化性のアルコキシシラン官能性ポリウレタンホットメルト接着剤は、当該分野の当業者には既知の方法によって加工される。該接着剤は高温で塗布するのが好ましい。即ち、この反応性ホットメルト接着剤は、例えば、80℃〜180℃の温度において連続的若しくは不連続的に溶融され、該溶融物は噴霧塗布若しくはロール塗布によって被接着支持体と接触させる。この場合、湿分硬化性のアルコキシシラン官能性ポリウレタンホットメルト接着剤は被接着支持体の少なくとも1つの表面上へ塗布され、被接着部材は直ちに加圧下で一体化させる。
【実施例】
【0061】
ポリエステルA(室温で固体状であって、少なくとも部分的に結晶性のポリエステルポリオール):
アジピン酸と1,6−ヘキサンジオールに基づくポリエステルポリオール(ヒドロキシル価:約30mgKOH/g、酸価:約0.5mgKOH/g)。このポリエステルポリオールの調製は、当業者には既知の方法に従っておこなった。該調製法は、例えば、次の文献に記載されている:ウルマンズ・エンチクロペディ・デア・テヒニッシェンヘミー、「ポリエステル」(第4版、フェアラーク・ヘミー社(バインハイム)、1980年)。
【0062】
ポリエステルB(室温で固体状であって、少なくとも部分的に結晶性のポリエステルポリオール):
ドデカン二酸と1,6−ヘキサンジオールに基づくポリエステルポリオール(ヒドロキシル価:約30mgKOH/g、酸価:約0.8mgKOH/g)。このポリエステルポリオールの調製は、当業者には既知の方法に従っておこなった。該調製法は、例えば、次の文献に記載されている:ウルマンズ・エンチクロペディ・デア・テヒニッシェンヘミー、「ポリエステル」(第4版、フェアラーク・ヘミー社(バインハイム)、1980年)。
【0063】
ポリエステルC(室温で固体状であって、非晶質のポリエステルポリオール):
下記の組成(ポリエステル中の含有量)を有するポリエステルポリオール(ヒドロキシル価:約34.7mgKOH/g、酸価:約1.2mgKOH/g):
エチレングリコール 約15.3重量%
ネオペンチルグリコール 約10.3重量%
3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル−
3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロパノエート 約21.0重量%
アジピン酸 約6.0重量%
イソフタル酸 約20.7重量%
テレフタル酸 約26.7重量%

このポリエステルポリオールの調製は、当業者には既知の方法に従っておこなった。該調製法は、例えば、次の文献に記載されている:ウルマンズ・エンチクロペディ・デア・テヒニッシェンヘミー、「ポリエステル」(第4版、フェアラーク・ヘミー社(バインハイム)、1980年)。
【0064】
ポリエステルD(室温で液状のポリエステルポリオール):
下記の組成(ポリエステル中の含有量)を有するポリエステルポリオール(ヒドロキシル価:約22mgKOH/g、酸価:約1.5mgKOH/g):
エチレングリコール 約17.0重量%
1,6−ヘキサンジオール 約19.5重量%
ネオペンチルグリコール 約 8.1重量%
アジピン酸 約55.4重量%

このポリエステルポリオールの調製は、当業者には既知の方法に従っておこなった。該調製法は、例えば、次の文献に記載されている:ウルマンズ・エンチクロペディ・デア・テヒニッシェンヘミー、「ポリエステル」(第4版、フェアラーク・ヘミー社(バインハイム)、1980年)。
【0065】
ポリエーテルE:
ポリプロピレンオキシド(ヒドロキシル価:約56mgKOH/g)である。このポリエーテルは、例えば、次の文献に記載されているような一般的に知られている方法に従って調製した(触媒:KOH):L.E.セント・ピエール、「ポリエーテル類、第I部、ポリアルキレンオキシド及びその他のポリエーテル類」、ノルマンG.ゲイロード編、ハイポリマーズ、第XIII巻、インターサイエンス・パブリッシャーズ社(ニューヨーク)、1963年、第130頁以降。
【0066】
触媒A−1:
ビス−(N,N’−ジメチルアミノエチル)エーテル。この化合物は、例えば、ハンツマン・ベルギウムBVBA社(エバーベルク)の製品「JEFFCAT(登録商標)ZF−20」として入手可能である。
DMDEE:
2,2’−ジモルフォリノジエチルエーテル。この化合物は、例えば、エア・プロダクツ・ネーデルランドB.V.社(ユトレヒト)の製品「DABCO(登録商標) DMDEE」として入手可能である。
【0067】
DBTL:
ジブチル錫ジラウレート。この化合物は、例えば、OSiスペシャルティーズ社の製品「フォムレツ(Fomrez)(登録商標)SUL−4」として入手可能である。
DBU:
1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7。この化合物は、例えば、メルックKGaA社(ダルムシュタット)の製品として入手可能である。
DBN:
1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5。この化合物はメルックKGaA社(ダルムシュタット)の製品として入手可能である。
【0068】
実施例1
すり合わせシール(ground seal)を具備したビーカー(2リットル)内へポリエステルA 790.34g(0.219モル)を導入し、130℃で溶融させた後、減圧下において(30mbar+/−10mbar)、130℃で1時間の脱水処理に付した。次いで、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン[バイエルAG社(レーフェルクーゼン)の製品「デスモデュール(Desmodur)(登録商標)44M」]109.5g(0.438モル)を添加した。撹拌を30分間おこなった後、NCO含有量を測定したところ、1.99%であった(理論値:2.04%)。NCO含有量に対して当量(148.46g;0.422モル)のN−(3−トリメトキシシリルプロピル)アスパラギン酸ジエチルエステル[特許文献11の実施例5に準拠して調製したエステル]を、窒素ガスでフラッシュした反応装置内へ、系の温度上昇が10℃を越えないようにしてゆっくりと滴下した。N−(3−トリメトキシシリルプロピル)アスパラギン酸ジエチルエステルの全量の滴下が終了した後、混合物を130℃において、さらに約30分間撹拌した。次いで、硬化触媒として、触媒A−1を添加した(0.5重量%)。得られたバッチを十分に均一化させた後、複数個のアルミニウム製カートリッジ内へ充填し(各々の場合におけるカートリッジ内への該バッチの充填量は約150gとした)、該カートリッジを気密状に閉鎖した。各々の場合において、これらのカートリッジの内の1個を100℃の循環空気乾燥キャビネット内で4時間、24時間、48時間及び72時間保存した。加熱条件下で保存したこれらの試料の粘度を測定した。残りのカートリッジは100℃の循環空気乾燥キャビネット内で4時間保存した。これらの試料については、別の試験も実施した。
【0069】
実施例2
すり合わせシールを具備したビーカー(2リットル)内へポリエステルA 790.34g(0.219モル)を導入し、130℃で溶融させた後、減圧下において(30mbar+/−10mbar)、130℃で1時間の脱水処理に付した。次いで、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン[バイエルAG社(レーフェルクーゼン)の製品「デスモデュール(登録商標)44M」]109.5g(0.438モル)を添加した。撹拌を30分間おこなった後、NCO含有量を測定したところ、2.00%であった(理論値:2.04%)。NCO含有量に対して当量(76.28g;0.425モル)の3−(トリメトキシシリル−プロピルアミン[メルックKGaA社(ダルムシュタット)製]を、窒素ガスでフラッシュした反応装置内へ、系の温度上昇が10℃を越えないようにしてゆっくりと滴下した。3−(トリメトキシシリル)−プロピルアミンの全量の滴下が終了した後、混合物を130℃において、さらに約30分間撹拌した。次いで、硬化触媒として、触媒A−1を添加した(0.5重量%)。得られたバッチを十分に均一化させた後、複数個のアルミニウム製カートリッジ内へ充填し(各々の場合におけるカートリッジ内への該バッチの充填量は約150gとした)、該カートリッジを気密状に閉鎖した。各々の場合において、これらのカートリッジの内の1個を100℃の循環空気乾燥キャビネット内で4時間、24時間、48時間及び72時間保存した。加熱条件下で保存したこれらの試料の粘度を測定した。残りのカートリッジは100℃の循環空気乾燥キャビネット内で4時間保存した。これらの試料については、別の試験も実施した。
【0070】
実施例3
すり合わせシールを具備したビーカー(2リットル)内へポリエステルA 738.78g(0.191モル)及びポリエステルC 316.62g(0.098モル)を導入し、130℃で溶融させた後、減圧下において(30mbar+/−10mbar)、130℃で1時間の脱水処理に付した。次いで、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン[バイエルAG社(レーフェルクーゼン)の製品「デスモデュール(登録商標)44M」]144.6g(0.578モル)を添加した。撹拌を30分間おこなった後、NCO含有量を測定したところ、1.95%であった(理論値:2.02%)。NCO含有量に対して当量(145.38g;0.414モル)のN−(3−トリメトキシシリルプロピル)アスパラギン酸ジエチルエステル[特許文献11の実施例5に準拠して調製したエステル]を、窒素ガスでフラッシュした反応装置内へ、系の温度上昇が10℃を越えないようにしてゆっくりと滴下した。N−(3−トリメトキシシリルプロピル)アスパラギン酸ジエチルエステルの全量の滴下が終了した後、混合物を130℃において、さらに約30分間撹拌した。次いで、硬化触媒として、触媒A−1を添加した(0.5重量%)。得られたバッチを十分に均一化させた後、複数個のアルミニウム製カートリッジ内へ充填し(各々の場合におけるカートリッジ内への該バッチの充填量は約150gとした)、該カートリッジを気密状に閉鎖した。これらのカートリッジを、100℃の循環空気乾燥キャビネット内で4時間保存した。
【0071】
実施例4
すり合わせシールを具備したビーカー(2リットル)内へポリエステルA 425.67g(0.110モル)、ポリエステルC 319.25g(0.099モル)及びポリエステルD 319.25g(0.063モル)を導入し、130℃で溶融させた後、減圧下において(30mbar+/−10mbar)、130℃で1時間の脱水処理に付した。次いで、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン[バイエルAG社(レーフェルクーゼン)の製品「デスモデュール(登録商標)44M」]135.83g(0.543モル)添加した。撹拌を30分間おこなった後、NCO含有量を測定したところ、1.90%であった(理論値:1.90%)。NCO含有量に対して当量(141.12g;0.402モル)のN−(3−トリメトキシシリルプロピル)アスパラギン酸ジエチルエステル[特許文献11の実施例5に準拠して調製したエステル]を、窒素ガスでフラッシュした反応装置内へ、系の温度上昇が10℃を越えないようにしてゆっくりと滴下した。N−(3−トリメトキシシリルプロピル)アスパラギン酸ジエチルエステルの全量の滴下が終了した後、混合物を130℃において、さらに約30分間撹拌した。次いで、硬化触媒として、触媒A−1を添加した(0.5重量%)。得られたバッチを十分に均一化させた後、複数個のアルミニウム製カートリッジ内へ充填し(各々の場合におけるカートリッジ内への該バッチの充填量は約150gとした)、該カートリッジを気密状に閉鎖した。これらのカートリッジを100℃の循環空気乾燥キャビネット内で4時間保存した。
【0072】
実施例5
すり合わせシールを具備したビーカー(2リットル)内へポリエステルA 831.82g(0.215モル)及びポリエーテルE 207.95g(0.105モル)を導入し、130℃で溶融させた後、減圧下において(30mbar+/−10mbar)、130℃で1時間の脱水処理に付した。次いで、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン[バイエルAG社(レーフェルクーゼン)の製品「デスモデュール(登録商標)44M」]160.23g(0.640モル)を添加した。撹拌を30分間おこなった後、NCO含有量を測定したところ、2.26%であった(理論値:2.24%)。NCO含有量に対して当量(168.77g;0.480モル)のN−(3−トリメトキシシリルプロピル)アスパラギン酸ジエチルエステル[特許文献11の実施例5に準拠して調製したエステル]を、窒素ガスでフラッシュした反応装置内へ、系の温度上昇が10℃を越えないようにしてゆっくりと滴下した。N−(3−トリメトキシシリルプロピル)アスパラギン酸ジエチルエステルの全量の滴下が終了した後、混合物を130℃において、さらに約30分間撹拌した。次いで、硬化触媒として、触媒A−1を添加した(0.5重量%)。得られたバッチを十分に均一化させた後、複数個のアルミニウム製カートリッジ内へ充填し(各々の場合におけるカートリッジ内への該バッチの充填量は約150gとした)、該カートリッジを気密状に閉鎖した。これらのカートリッジを100℃の循環空気乾燥キャビネット内で4時間保存した。
【0073】
実施例6
すり合わせシールを具備したビーカー(2リットル)内へポリエステルA 422.76g(0.109モル)、ポリエステルC 317.07g(0.098モル)及びポリエステルB 317.07g(0.079モル)を導入し、130℃で溶融させた後、減圧下において(30mbar+/−10mbar)、130℃で1時間の脱水処理に付した。次いで、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン[バイエルAG社(レーフェルクーゼン)の製品「デスモデュール(登録商標)44M」]143.11g(0.572モル)を添加した。撹拌を30分間おこなった後、NCO含有量を測定したところ、2.02%であった(理論値:2.00%)。NCO含有量に対して当量(149.32g;0.425モル)のN−(3−トリメトキシシリルプロピル)アスパラギン酸ジエチルエステル[特許文献11の実施例5に準拠して調製したエステル]を、窒素ガスでフラッシュした反応装置内へ、系の温度上昇が10℃を越えないようにしてゆっくりと滴下した。N−(3−トリメトキシシリルプロピル)アスパラギン酸ジエチルエステルの全量の滴下が終了した後、混合物を130℃において、さらに約30分間撹拌した。次いで、硬化触媒として、触媒A−1を添加した(0.5重量%)。得られたバッチを十分に均一化させた後、複数個のアルミニウム製カートリッジ内へ充填し(各々の場合におけるカートリッジ内への該バッチの充填量は約150gとした)、該カートリッジを気密状に閉鎖した。これらのカートリッジを100℃の循環空気乾燥キャビネット内で4時間保存した。
【0074】
比較例1
すり合わせシールを具備したビーカー(2リットル)内へポリエステルA 790.34g(0.219モル)を導入し、130℃で溶融させた後、減圧下において(30mbar+/−10mbar)、130℃で1時間の脱水処理に付した。次いで、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン[バイエルAG社(レーフェルクーゼン)の製品「デスモデュール(登録商標)44M」]109.5g(0.438モル)を添加した。撹拌を30分間おこなった後、NCO含有量を測定したところ、1.98%であった(理論値:2.04%)。NCO含有量に対して当量(147.27g;0.419モル)のN−(3−トリメトキシシリルプロピル)アスパラギン酸ジエチルエステル[特許文献11の実施例5に準拠して調製したエステル]を、窒素ガスでフラッシュした反応装置内へ、系の温度上昇が10℃を越えないようにしてゆっくりと滴下した。N−(3−トリメトキシシリルプロピル)アスパラギン酸ジエチルエステルの全量の滴下が終了した後、混合物を130℃において、さらに約30分間撹拌した。次いで、得られたバッチを複数個のアルミニウム製カートリッジ内へ充填し(各々の場合におけるカートリッジ内への該バッチの充填量は約150gとした)、該カートリッジを気密状に閉鎖した。各々の場合において、これらのカートリッジの内の1個を100℃の循環空気乾燥キャビネット内で4時間、24時間、48時間及び72時間保存した。加熱条件下で保存したこれらの試料の粘度を測定した。残りのカートリッジは100℃の循環空気乾燥キャビネット内で4時間保存した。これらの試料については、別の試験も実施した。
【0075】
比較例2
すり合わせシールを具備したビーカー(2リットル)内へポリエステルA 790.34g(0.219モル)を導入し、130℃で溶融させた後、減圧下において(30mbar+/−10mbar)、130℃で1時間の脱水処理に付した。次いで、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン[バイエルAG社(レーフェルクーゼン)の製品「デスモデュール(登録商標)44M」]109.5g(0.438モル)を添加した。撹拌を30分間おこなった後、NCO含有量を測定したところ、1.99%であった(理論値:2.04%)。NCO含有量に対して当量(75.67g;0.422モル)の3−(トリメトキシシリル)−プロピルアミン[メルックAGaA社(ダルムシュタット)]を、窒素ガスでフラッシュした反応装置内へ、系の温度上昇が10℃を越えないようにしてゆっくりと滴下した。3−(トリメトキシシリル)−プロピルアミンの全量の滴下が終了した後、混合物を130℃において、さらに約30分間撹拌した。得られたバッチを複数個のアルミニウム製カートリッジ内へ充填し(各々の場合におけるカートリッジ内への該バッチの充填量は約150gとした)、該カートリッジを気密状に閉鎖した。各々の場合において、これらのカートリッジの内の1個を100℃の循環空気乾燥キャビネット内で4時間、24時間、48時間及び72時間保存した。加熱条件下で保存したこれらの試料の粘度を測定した。残りのカートリッジは100℃の循環空気乾燥キャビネット内で4時間保存した。これらの試料については、別の試験も実施した。
【0076】
比較例3
すり合わせシールを具備したビーカー(2リットル)内へポリエステルA 1062.53g(0.275モル)を導入し、130℃で溶融させた後、減圧下において(30mbar+/−10mbar)、130℃で1時間の脱水処理に付した。次いで、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン[バイエルAG社(レーフェルクーゼン)の製品「デスモデュール(登録商標)44M」]137.47g(0.549モル)を添加した。撹拌を30分間おこなった後、NCO含有量を測定したところ、1.86%であった(理論値:1.92%)。NCO含有量に対して当量(138.89g;0.395モル)のN−(3−トリメトキシシリルプロピル)アスパラギン酸ジエチルエステル[特許文献11の実施例5に準拠して調製したエステル]を、窒素ガスでフラッシュした反応装置内へ、系の温度上昇が10℃を越えないようにしてゆっくりと滴下した。N−(3−トリメトキシシリルプロピル)アスパラギン酸ジエチルエステルの全量の滴下が終了した後、混合物を130℃において、さらに約30分間撹拌した。次いで、硬化触媒として、DBTLを添加した(0.5重量%)。得られたバッチを十分に均一化させた後、複数個のアルミニウム製カートリッジ内へ充填し(各々の場合におけるカートリッジ内への該バッチの充填量は約150gとした)、該カートリッジを気密状に閉鎖した。各々の場合において、これらのカートリッジの内の1個を100℃の循環空気乾燥キャビネット内で4時間、24時間、48時間及び72時間保存した。加熱条件下で保存したこれらの試料の粘度を測定した。残りのカートリッジは100℃の循環空気乾燥キャビネット内で4時間保存した。これらの試料については、別の試験も実施した。
【0077】
比較例4
すり合わせシールを具備したビーカー(2リットル)内へポリエステルA 790.34g(0.219モル)を導入し、130℃で溶融させた後、減圧下において(30mbar+/−10mbar)、130℃で1時間の脱水処理に付した。次いで、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン[バイエルAG社(レーフェルクーゼン)の製品「デスモデュール(登録商標)44M」]109.5g(0.438モル)を添加した。撹拌を30分間おこなった後、NCO含有量を測定したところ、1.91%であった(理論値:2.04%)。NCO含有量に対して当量(142.46g;0.406モル)のN−(3−トリメトキシシリルプロピル)アスパラギン酸ジエチルエステル[特許文献11の実施例5に準拠して調製したエステル]を、窒素ガスでフラッシュした反応装置内へ、系の温度上昇が10℃を越えないようにしてゆっくりと滴下した。N−(3−トリメトキシシリルプロピル)アスパラギン酸ジエチルエステルの全量の滴下が終了した後、混合物を130℃において、さらに約30分間撹拌した。次いで、硬化触媒として、DBU(50%酢酸エチル溶液)を添加した(0.5重量%)。得られたバッチを十分に均一化させた後、複数個のアルミニウム製カートリッジ内へ充填し(各々の場合におけるカートリッジ内への該バッチの充填量は約150gとした)、該カートリッジを気密状に閉鎖した。各々の場合において、これらのカートリッジの内の1個を100℃の循環空気乾燥キャビネット内で4時間、24時間、48時間及び72時間保存した。加熱条件下で保存したこれらの試料の粘度を測定した。残りのカートリッジは100℃の循環空気乾燥キャビネット内で4時間保存した。これらの試料については、別の試験も実施した。
【0078】
比較例5
すり合わせシールを具備したビーカー(2リットル)内へポリエステルA 790.34g(0.219モル)を導入し、130℃で溶融させた後、減圧下において(30mbar+/−10mbar)、130℃で1時間の脱水処理に付した。次いで、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン[バイエルAG社(レーフェルクーゼン)の製品「デスモデュール(登録商標)44M」]109.5g(0.438モル)を添加した。撹拌を30分間おこなった後、NCO含有量を測定したところ、1.99%であった(理論値:2.04%)。NCO含有量に対して当量(148.46g;0.422モル)のN−(3−トリメトキシシリルプロピル)アスパラギン酸ジエチルエステル[特許文献11の実施例5に準拠して調製したエステル]を、窒素ガスでフラッシュした反応装置内へ、系の温度上昇が10℃を越えないようにしてゆっくりと滴下した。N−(3−トリメトキシシリルプロピル)アスパラギン酸ジエチルエステルの全量の滴下が終了した後、混合物を130℃において、さらに約30分間撹拌した。次いで、硬化触媒として、DBNを添加した(0.5重量%)。得られたバッチを十分に均一化させた後、複数個のアルミニウム製カートリッジ内へ充填し(各々の場合におけるカートリッジ内への該バッチの充填量は約150gとした)、該カートリッジを気密状に閉鎖した。各々の場合において、これらのカートリッジの内の1個を100℃の循環空気乾燥キャビネット内で4時間、24時間、48時間及び72時間保存した。加熱条件下で保存したこれらの試料の粘度を測定した。残りのカートリッジは100℃の循環空気乾燥キャビネット内で4時間保存した。これらの試料については、別の試験も実施した。
【0079】
比較例6
すり合わせシールを具備したビーカー(2リットル)内へポリエステルA 1053.78g(0.292モル)を導入し、130℃で溶融させた後、減圧下において(30mbar+/−10mbar)、130℃で1時間の脱水処理に付した。次いで、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン[バイエルAG社(レーフェルクーゼン)の製品「デスモデュール(登録商標)44M」]146.22g(0.584モル)を添加した。撹拌を30分間おこなった後、NCO含有量を測定したところ、1.95%であった(理論値:2.04%)。得られた生成物を複数個のアルミニウム製カートリッジ内へ充填し(各々の場合におけるカートリッジ内への該バッチの充填量は約150gとした)、該カートリッジを気密状に閉鎖した。これらのカートリッジを100℃の循環空気乾燥キャビネット内で4時間保存した。
【0080】
比較例7
すり合わせシールを具備したビーカー(2リットル)内へポリエステルA 790.34g(0.219モル)を導入し、130℃で溶融させた後、減圧下において(30mbar+/−10mbar)、130℃で1時間の脱水処理に付した。次いで、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン[バイエルAG社(レーフェルクーゼン)の製品「デスモデュール(登録商標)44M」]109.5g(0.438モル)を添加した。撹拌を30分間おこなった後、NCO含有量を測定したところ、1.99%であった(理論値:2.04%)。NCO含有量に対して当量(148.46g;0.422モル)のN−(3−トリメトキシシリルプロピル)アスパラギン酸ジエチルエステル[特許文献11の実施例5に準拠して調製したエステル]を、窒素ガスでフラッシュした反応装置内へ、系の温度上昇が10℃を越えないようにしてゆっくりと滴下した。N−(3−トリメトキシシリルプロピル)アスパラギン酸ジエチルエステルの全量の滴下が終了した後、混合物を130℃において、さらに約30分間撹拌した。次いで、硬化触媒として、DMDEEを添加した(0.5重量%)。得られたバッチを十分に均一化させた後、複数個のアルミニウム製カートリッジ内へ充填し(各々の場合におけるカートリッジ内への該バッチの充填量は約150gとした)、該カートリッジを気密状に閉鎖した。各々の場合において、これらのカートリッジの内の1個を100℃の循環空気乾燥キャビネット内で4時間、24時間、48時間及び72時間保存した。加熱条件下で保存したこれらの試料の粘度を測定した。残りのカートリッジは100℃の循環空気乾燥キャビネット内で4時間保存した。これらの試料については、別の試験も実施した。
【0081】
シラン官能性の湿分硬化性PUホットメルトの貯蔵安定性の測定:
貯蔵時間が4時間、24時間、48時間及び72時間経過した後、気密状に閉鎖したアルミニウム製カートリッジを乾燥キャビネットから取り出し、カートリッジ内の試料の粘度を100℃で測定した。粘度測定には、SV測定カップとSV DIN2測定装置を具備する回転式粘度計「ビスコテスターVT550」(ハーケ社製)を使用した。測定結果を以下の表1にまとめて示す。
【0082】
【表1】

【0083】
表1に示す結果から明らかなように、ポリエステルポリオールに基づくホットメルト接着剤組成物であって、従来のルイス酸型の有機金属触媒を含有する組成物(比較例3)は耐熱性がない。100℃で24時間保存した後の試料の粘度は、触媒不含試料(比較例1)の粘度の約半分まで低下する。48時間及び72時間保存した試料の粘度は、触媒不含試料の粘度の約25%に過ぎない。この粘度低下は、アルコキシシラン末端基の分解によって生成するアルコール(この場合には、メタノール)とのエステル交換反応によるポリエステル鎖の不可逆的な開裂に起因する。従来技術による強塩基性の二環式第三アミン触媒であるDBU及びDBNを用いて調製されるホットメルト接着剤(比較例4及び5)も耐熱性がない。これらの組成物の粘度は、熱作用時間が非常に短いときでも(100℃で4時間)、触媒を含有しない組成物(比較例1)の粘度に比べて半分まで低下する。熱作用時間が長くなると、これらの粘度はさらに激減する。この場合、粘度低下は、アルコキシ末端基を有するポリウレタンプレポリマーのポリエステル鎖の不可逆的開裂によってもたらされ、この結果、この種のホットメルト接着剤は使用に適さなくなる。
【0084】
一方、第三アミン触媒A−1を含有する本発明によるホットメルト接着剤(実施例1)は、熱作用に曝しても優れた貯蔵安定性を示す。該ホットメルト接着剤の粘度低下は、100℃で72時間保存した後であっても、触媒を含有しない組成物(比較例1)と比べて非常に僅かである。加熱下で貯蔵した後であっても、この種のホットメルト接着剤を使用することによって、優れた接着部を形成させることができる。
【0085】
耐熱性の測定:
温度が23℃で相対湿度が50%の条件下で保存したブナ材(40mm×20mm×5mm)を使用して試験体を作成した。特性決定に供される試料を保有するカートリッジを、120℃の循環空気乾燥キャビネット内において45分間の溶融処理に付した後、カートリッジガン(cartridge gun)を用いて、内容物を接着剤のウォ―ム(worm)として、特別なモールド内にクランプ固定したブナ材製試験体上へ塗布した。次いで、このモールドを堅固に閉鎖した。このモールドによって、長さが10mmで、接着面積が2cmで、接着部の厚さが0.8mmになる重なりが保証された。該モールドを、温度が23℃で相対湿度が50%の条件下で24時間貯蔵した後、該モールドから試験体を取り出して該条件下でさらに14日間貯蔵した。耐熱性の測定は、各測定毎に5個の試験体についておこなった。このため、試験体は乾燥キャビネット内に懸垂させ、2500gの重りを印加した。出発温度は40℃とし、20分間経過後、温度を一定の昇温速度(0.5℃/分)で200℃まで加熱した。接着した構成部材が完全に分離して破断したときの乾燥キャビネット内の温度を記録した。得られた結果を以下の表2にまとめて示す。
【0086】
【表2】

【0087】
表2に示すデータから明らかなように、アルコキシシラン末端基を含有する本発明によるホットメルト接着剤(実施例1)は、常套の反応性ホットメルト(比較例6)に比べて優れた耐熱性を示す。
【0088】
一方、ポリエステルポリオールに基づく従来のホットメルト接着剤組成物であって、ルイス酸型の有機金属触媒を含有する組成物(比較例3)は熱安定性を示さない。硬化触媒としてDBTLを含有する組成物(比較例3)の耐熱性は100℃に過ぎない。これは、アルコキシシラン末端基の分解によって生成するアルコール(この場合はメタノールである)とのエステル交換反応によるポリエステル鎖の不可逆的開裂に起因するものである。これに対して、本発明によるホットメルト接着剤(実施例1)は200℃よりも高い耐熱性を示す。この場合には、エステル交換反応が起こらず、接着剤が不可逆的な損壊を受けないからである。
【0089】
ブナ材の接着体における引張剪断強さの測定:
温度が23℃で相対湿度が50%の条件下で保存したブナ材シート(40mm×20mm×5mm)を使用して試験体を作成した。特性決定に供される試料を保有するカートリッジを、120℃の循環空気乾燥キャビネット内において45分間の溶融処理に付した後、カートリッジガンを用いて、内容物を接着剤のウォ―ムとして、特別なモールド内にクランプ固定したブナ材製試験体上へ塗布した。次いで、このモールドを堅固に閉鎖した。このモールドによって、長さが10mmで、接着面積が2cmで、接着部の厚さが0.8mmになる重なりが保証された。約30分間経過後、該モールドから試験体を取り出し、温度が23℃で相対湿度が50%の条件下において試験に供するまで貯蔵した。試験は1時間後、2時間後、1日後、7日後、14日後および28日後におこなった。各試験に対して5個の試験体を作成して試験をおこない、各測定結果は平均値として記録した。得られた結果を以下の表3にまとめて示す。
【0090】
【表3】

【0091】
ブナ材/PVC接着体の剥離強さ:
温度が23℃で相対湿度が50%の条件下で保存したブナ材シート(30mm×120mm×4.0mm)及び硬質PVC貼り合わせ用フィルム(ベネリット社製のRTFフィルム;30mm×210mm×0.4mm)を使用して試験体を作成した。特性決定に供される試料を保有するカートリッジを、120℃の循環空気乾燥キャビネット内において45分間の溶融処理に付した後、カートリッジガンを用いて、内容物を接着剤のウォ―ムとして、ブナ材試験体の上部端へ塗布した。次いで、ドクターブレード(doctor blade)(溝付ドクターブレード;150μm)を用いて該接着剤をブナ材の表面上へ塗布した。接着面積は約30mm×90mmである。室温で2分間冷却させた後、PVCフィルムをブナ材試験体上に、硬質PVC貼り合わせ用フィルムの非構造化面(non-structured side)がブナ材試験体の接着剤塗布面上に接触するようにして載置した。膜プレス(membrane press)内において、この複合材のブナ材の下方面を圧締めした(有効圧:約1.5bar、温度:105℃)。各試料に対して3個の試験体を作成し、各試験体の剥離強さを測定し、これらの測定値の平均値を得た。測定は1時間後、2時間後、1日後、7日後、14日後及び28日後におこなった。得られた結果を以下の表4にまとめて示す。
【0092】
【表4】

【0093】
上記の表3及び表4に示すブナ材接着体及びブナ材/硬質PVC接着体についての試験結果から明らかなように、触媒を含有しないシラン官能性ホットメルト接着剤は非常にゆっくりと硬化し、数週間を経過した後にのみ強化接着部をもたらした(比較例1及び2)。もっとも、この場合に得られる最終強度は、常套のイソシアネート官能性ポリイウレタンホットメルト(比較例6)によって達成される強度に比べて著しく低い値である。一方、結晶性ポリエステルポリオールを基材として触媒A−1を含有する本発明によるホットメルト接着剤(実施例1及び2)は、ブナ材接着体の場合には、1時間後に既に十分な初期強度を示し、また、ブナ材/硬質PVC接着体の場合には、十分な初期強度を1日後に示した。達成できるこれらの強度は、本発明に従って、結晶性ポリエステル、非晶質ポリエステルまたは室温で液状のポリエステルを併用し、また、ポリエーテルポリオールを混合することによりホットメルト接着剤を改質することによって、著しく増加させることができ、ブナ材/硬質PVC接着体の場合、十分な初期強度は1時間後に既に達成される。
【0094】
アルコキシシラン末端基を有すると共に触媒A−1を含有する本発明によるポリウレタンホットメルト接着剤によって形成される接着部の最終強度(7〜28日後における測定値)は、常套のイソシアネート官能性ポリウレタンホットメルト(比較例6)によって達成される強度と同等のレベルである。
【0095】
ブナ材接着体の引張剪断強さに関するデータから明らかなように、ルイス酸型有機金属化合物(例えば、DBTL)は、ポリエステルポリオールに基づくと共にアルコキシシラン末端基を有するホットメルト接着剤を硬化させる触媒としては不適当である(比較例3)。この初期強度は、本発明による組成物の場合に比べて著しく低い。さらに、加熱下で比較的長時間貯蔵するときに達成される強度は著しく低い値となるが、これは、アルコキシシラン末端基の分解によるアルコール(この場合はメタノールである)とのエステル交換反応によるポリエステル鎖の不可逆的開裂に起因する。
【0096】
硬化触媒としてDMDEEを使用する場合(比較例7)には、触媒不含ホットメルト接着剤に比べて高い初期強度(1時間後または2時間後の測定値)が達成されるが、最終強度(7〜28日後の測定値)は、触媒不含ホットメルト接着剤(比較例1)の場合のレベルであって、本発明による触媒A−1を含有するアルコキシシラン官能性ホットメルト接着剤(実施例1及び2)によって達成される値に比べて著しく低い。
【0097】
本発明に関する以上の詳細な説明は、本発明を例示的に説明するためのものであって、本発明はこれらの説明に限定されるものではなく、当業者であれば、本願の特許請求の範囲によって制限される以外は、本発明の技術的思想と技術的範囲を逸脱することなく、本発明の態様を多様に変化させることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明によるアルコキシシラン官能性ポリウレタンプレポリマーを基材とする組成物は、特に高温で貯蔵安定性を示す反応性ホットメルト接着剤等として有用である。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分(A)と(B)を反応させて調製される反応生成物[この場合、これらの反応成分(A)と(B)の量比は、成分(A)に含まれるNCO基1モルあたり成分(B)に含まれるアミノ基若しくはメルカプト基が0.95〜1.1モルになるように選択される]に下記の成分(C)を添加して得られるアルコキシシラン官能性組成物:
(A)次の成分i)とii)を反応させて得られるポリウレタンプレポリマー[この場合、これらの反応成分i)とii)の量比は、NCO:OHのモル比が1.2〜4.0になるように選択される]:
i)少なくとも1種の芳香族、脂肪族、芳香族−脂肪族及び/又は脂環式のジイソシアネート、及び
ii)室温で固体状の少なくとも1種の線状ポリエステルポリオールを含有する少なくとも1種のポリオール。
(B)アルコキシシラン基とアミノ基若しくはメルカプト基を有する次式(I)で表される化合物:
【化1】

式(I)において、
a)X、Y及びZは同一若しくは異なる直鎖状若しくは分枝鎖状の(C〜C)アルキル基、環状の(C〜C)アルキル基又は(C〜C)アルコキシ基を示し[但し、これらの基の少なくとも1つは(C〜C)アルコキシ基を示す]、
b)Rは炭素原子数が1〜8の直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキレン基又は炭素原子数が3〜8の環状のアルキレン基を示し、
c)Wは−SH又は−NH−R’を示す;
[この場合、R’は水素原子、炭素原子数が1〜8の直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、炭素原子数が3〜8の環状アルキル基、アリール基又は次の一般式(II)で表される基を示す:
【化2】

(式中、R”及びR'''は同一若しくは異なる炭素原子数が1〜8の直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基又は炭素原子数が3〜8の環状アルキル基を示す)]。
(C)ビス−(N,N’−ジメチルアミノエチル)エーテル。
【請求項2】
ビス−(N,N’−ジメチルアミノエチル)エーテルを、成分(A)と成分(B)との反応生成物に基づいて、0.1〜1.5重量%含有する請求項1記載の組成物。
【請求項3】
ポリオール成分ii)が、少なくとも部分的に結晶性の固体状ポリエステルポリオールを少なくとも1種含有する請求項1記載の組成物。
【請求項4】
ポリオール成分ii)が、固体状非晶質の線状ポリエステルポリオールを少なくとも1種含有する請求項1記載の組成物。
【請求項5】
ポリオール成分ii)が、室温で液状の1種若しくは複数種の線状ポリエステルポリオール及び/又は1種若しくは複数種の線状ポリエーテルポリオールをさらに含有する請求項1記載の組成物。
【請求項6】
次の成分i)とii)を反応させることによってポリウレタンプレポリマー(A)を調製し[この場合、これらの反応成分i)とii)の量比は、NCO:OHのモル比が1.2〜4.0になるように選択される]、次いで、該ポリウレタンプレポリマー(A)に下記の成分(B)を反応させ[この場合、これらの反応成分(A)と(B)の量比は、成分(A)に含まれるNCO基1モルあたり成分(B)に含まれるアミノ基若しくはメルカプト基が0.95〜1.1モルになるように選択される]、得られる反応生成物に下記の成分(C)を添加することを含むアルコキシシラン官能性組成物の製造方法:
i)少なくとも1種の芳香族、脂肪族、芳香族−脂肪族及び/又は脂環式のジイソシアネート、及び
ii)室温で固体状の少なくとも1種の線状ポリエステルポリオールを含有する少なくとも1種のポリオール。
(B)アルコキシシラン基とアミノ基若しくはメルカプト基を有する次式(I)で表される化合物:
【化3】

式(I)において、
a)X、Y及びZは同一若しくは異なる直鎖状若しくは分枝鎖状の(C〜C)アルキル基、環状の(C〜C)アルキル基又は(C〜C)アルコキシ基を示し[但し、これらの基の少なくとも1つは(C〜C)アルコキシ基を示す]、
b)Rは炭素原子数が1〜8の直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキレン基又は炭素原子数が3〜8の環状のアルキレン基を示し、
c)Wは−SH又は−NH−R’を示す;
[この場合、R’は水素原子、炭素原子数が1〜8の直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、炭素原子数が3〜8の環状アルキル基、アリール基又は次の一般式(II)で表される基を示す:
【化4】

(式中、R”及びR'''は同一若しくは異なる炭素原子数が1〜8の直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基又は炭素原子数が3〜8の環状アルキル基を示す)]。
(C)ビス−(N,N’−ジメチルアミノエチル)エーテル。
【請求項7】
請求項6記載の製造方法によって得られる組成物及び所望によるホットメルト接着剤用の1種若しくは複数種の常套の添加剤を含有する湿分硬化性のアルコキシシラン官能性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項8】
請求項1記載の組成物を含有する接着剤組成物。
【請求項9】
請求項7記載の湿分硬化性のアルコキシシラン官能性ホットメルト接着剤組成物を使用して接着された支持体。
【請求項10】
請求項1記載の組成物を使用して接着された支持体。



【公開番号】特開2006−183053(P2006−183053A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−369910(P2005−369910)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】