説明

アルミニウムを含むスチールエンドリングによるダイキャストロータ

【課題】複数のセクションにエンドリングを分割することにより、リング全体の熱膨張の減少を通じて各セクションに対する熱膨張を制限する。
【解決手段】インダクタモータまたはインダクションジェネレータのロータ10は、第1エンドリング12を有する。第1リングは、第1スポーク30a〜により第1ハブ部24へ接続される。ロータは、第2エンドリングをも有し、第2リング14は、第2スポーク30a’〜により第2ハブ部24’へ接続される。第1エンドリングはコア18に固定される。第2エンドリングは、第1スポークが第2スポークと位置合わせされないように所定量だけ回転される。第2エンドリングは、第1エンドリング及びコアへ接続される。コア、第1エンドリング及び第2エンドリングは基材を形成する。アルミニウム導体は、キャストロータを形成するように、スペース及び第1及び第2スポークの周囲を満たす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インダクションジェネレータ又はモータのロータに関する。より詳しくは、本開示は、アルムニウム材料でロータをダイキャスト成型する新しい方法が可能となる弾性エンドリングを含むロータに関する。
【背景技術】
【0002】
モータ及びジェネレータの電気ロータは、一般に、10000から15000回転までのスピードで、ステータに対して回転することができる。一般に、ロータのボディへ接続されたエンドリングを保つには、保持機構が必要である。それをボディへ固定するため、高強度材料のバンドがロータの各エンドリングに固定されることがある。リベットもまた、ボディへエンドリングを固定するためロータに鋳造することができる。加えて、いくつかの解決方法がエンドリングをボディに固定するため特別なラミネーション加工を使用する。サトウの合衆国公開番号2005/0040726A1は、支持穴を有するエンドリングを伴うロータを開示する。ロータの回転中、エンドプレートを固定する支持穴とかみ合うように溝を形成することができる。
【0003】
一般に、これらの解決方法は、所定領域での応力集中プロファイルを減少することに効果的であり、高速でロータを互いに保持することにも効果的である。適度に有効ではあるものの、これらの解決方法は熱への応答においてロータ各部品により加わる熱応力に対応していないので、これらの解決方法は、適用が限られている。これらの解決方法は、これらの部品の異なる熱膨張係数と、どのようにこれがエンドリング及びロータバーのジョイントにて蓄積する疲労応力に関わるかと、について対応していない。作動中しばしば、一日あたり多くの回数、ロータは定常速度から最大回転速度へサイクルが行われる。これは、多数のサイクルの過程にわたって、ロータに繰り返しヒートアップ及びクールダウンをもたらす。しばしば、ロータの各部品は異なる材料から形成される。しばしば、熱膨張係数は、ロータを構成する材料の間で異なる(例えば、アルミニウムバー、エンドリング、及び、スチールラミネーション、あるいは他のロータ部品のように)。アルミニウムは、ロータのスチール部と異なる割合で膨張するだろう。ときどき、アルミニウムは、同じ温度範囲でスチール材料が膨張する割合の2倍で膨張することもある。これは、アルミニウム部品に疲労を生じさせ、ロータの乏しい耐久性と最終的に至る不具合と、へ導くクラックを進展させる。従って、高速で周期的に用いられ、ロータ又はその部品の致命的な不具合が起こることなしでサイクルが行われることができるロータがこの分野では必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国第2005/00407261A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
全360度について連続的なエンドリングは、伸びに関連した熱膨張と回転速度の両方に起因して、径方向に延びる。これらの両方は、エンドリングのフープストレスを発生し、より重大には、ロータバーの界面へのエンドリングの疲労ストレスを発生する。スチールラミネーションにより囲まれた多くのロータバーからなる電気機械では、これらのバーはラミネーションを通じて延び、ロータの各サイドの機械のエンドリングへ接続する。これらのエンドリングは、上述したように径方向へ膨張する。しかしながら、ロータバーは、それらがスチールラミネーションにより囲まれていることから、径方向へエンドリングと同じ量で伸びない。この結果は、ロータバーの境界へのエンドリングのジョイントにて疲労ストレスを引き起こす、ロータバーよりもずっと高い割合でエンドリングが径方向にて膨張及び収縮するという結果をもたらす。ジョイントにおける疲労ストレスは、クラックを導入し、そのうち最終的には機械を故障させる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この開示は、2つの異なる方法でロータの役に立つ。第1に、複数のセクションにエンドリングを分割することにより、リング全体の熱膨張の減少を通じて各セクションに対する熱膨張を制限する。第2に、スポークエンドリングの構造が、今日ロータに用いられているバンドのように作用することによって、高速でのエンドリングの抑制に役立つ。これらの改良は、エンドリングの径方向膨張量を減少し、ジョイント位置での疲労ストレス及びエンドリングのフープストレスを減少する。最小で2つのエンドリングがロータのそれぞれの端部側ごとに必要であり、これは、動作する機械のために、今なおエンドリングにより全てのロータバーを接続する必要があるという事実による。第2エンドリングに対し第1エンドリングを回転させることによって、減少されたストレスの利点が提供される一方、結果として生じる鋳造材料が全てのロータバーを接続することとなる。
【0007】
本開示の第1の側面によれば、ステータ及びロータを含む電気機械が提供される。ロータは、コアを含み、コアはコア中に形成された複数のスペースを含む。ロータは、また、ロータの各端部に第1及び第2エンドリングを有する。第1エンドリングは、複数の第1スポークにより第1リングへ接続された第1ハブ部を有する。第2エンドリングも、複数の第2スポークにより第2リングへ接続された第2ハブ部を有する。この実施形態では、第1エンドリングはコアに固定される。第2エンドリングは、複数の第1スポークが複数の第2スポークと位置合わせされないように、所定量だけ回転される。第2エンドリングは、第1エンドリング及びコアに接続される。第1エンドリング、第2エンドリング及びコアは、基材を形成する。導体は、ロータを形成するために、複数の第1及び第2スポークの周囲へ延びる。
【0008】
本開示の他の側面によれば、ロータの製造方法が提供される。その方法は、コアを形成することを含む。コアは、それに形成された複数のスペースを有する。第1エンドプレートが、コアの端部に接続される。第1エンドプレートは、複数の第1スポークにより第1リングへ接続された第1ハブを含む。その方法は、第1エンドプレートへ第2エンドプレートを接続することも含む。第2エンドプレートは、第2ハブを含む。第2ハブは、複数の第2スポークにより第2リングへ接続される。エンドプレート及びコアは、基材を形成する。第2スポークは、ポケットを形成するために、第1スポークと交互に配列される。ポケットは、第1及び第2スポークの間として定義される。アルミニウム材料は、キャストロータを形成するように、コアのスペース及びポケットへ流れるアルミニウムで基材に鋳造される。
【0009】
本開示のさらなる他の側面において、インダクションダイキャストロータのエンドリングが提供される。エンドリングは、複数の第1スポークにより第1ハブへ接続された第1リングを含む第1部材を有する。エンドリングは、また、第1部材へ接続された第2部材を有する。第2部材は、複数の第2スポークにより第2ハブへ接続された第2リングを含む。第1スポークは、所定量だけ第2スポークからオフセットされる。第1及び第2スポークは、ポケットを形成する。第1部材及び第2部材と異なる材料が、ポケットの中に延びる。第1部材及び第2部材は、ロータの周期的動作の間、材料に起因するロータの熱疲労により発生するフープストレスを減少する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本開示の電気機械を、ダイキャストアルミニウムでのコア材料、第1エンドリング及び第2エンドリングを有するロータの分解図にて示す。
【図2】図2は、図1のアルミニウムコンダクタのダイキャストの前に、基材を形成する3つの要素である、第1エンドリング及び第2エンドリングが組み合わされたコアの斜視図を示す。
【図3】図3は、交互配置されたスポークを有する第1及び第2エンドリングの図2の拡大図を示す。
【図4】図4は、コア材料を覆い、スポーク間のポケットを満たすアルミニウムのダイキャスト成形後の、ロータの斜視図を示す。
【図5】図5は、第2エンドリングを通るロータの断面図を示す。
【図6】図6は、第1エンドリングを通るロータの他の断面図を示す。
【図7】図7は、第1エンドリングを通るロータのさらに他の断面図を示し、図示の目的のために第2エンドリングをロータから離して示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、下記に示される詳細な記述及び発明の各実施形態に添付された図面から、より十分に理解されるだろう。しかしながら、これらは、発明を特定の実施形態へ限定するよう用いられるべきでなく、あくまで説明及び理解のためのものである。
【0012】
本開示は、ロータ10及びステータ11を有するインダクションモータあるいはジェネレータのような電気機械100を対象にしている。図示された実施形態において、好適にはロータ10は純アルミニウムから鋳造され、好ましくはスチール又はスチール合金から作られた第1及び第2のエンドリング12,14を含んでいる。当然のことながら、本開示はこれらの特定の材料に制限されず、他の適当な材料がロータ10を形成するのに用いられることができる。スチールのエンドリング12,14は、熱疲労により引き起こされるフープストレスを減少させるために、エンドリング12,14を1つ以上のポケット16,16aに分けることにより、高速回転速度にて、アルミニウムを含有するよう構成することが好ましい。当然のことながら、スチールのエンドリング12,14を用いた純アルミニウムの鋳造は、好ましくいくつかの利点を提供する。第1に、アルミニウムが適切な鋳造特性、熱的特性及び電気特性をもたらす一方で、エンドリング12,14により適切な機械強度が与えられる。この組み合わせは、多くの熱サイクルに耐えることのできる高速のロータ動作を可能とする。典型的には、リベットその他の2つのロータ部品をジョイントすることにより、これらの利点が得られなくなるかもしれない。
【0013】
フープストレスは、環状(物体の軸方向と径方向の両方に対して垂直)に作用する力に起因する、回転対称物体で定義される機械ストレスである。軸方向及び径方向のストレスとともに、それは円筒座標にてストレステンソルの成分である。フープストレスの典型的な例は、木樽の鉄バンド又はフープに加えられるテンションである。説明のために例示すると、真っ直ぐな閉断面のパイプにおいて、圧力差により円筒パイプ壁へ加えられるいかなる力も、最終的にフープストレスを生じさせるだろう。
【0014】
一般に、ロータ10は、ロータ10のフープストレスを減少させる構造を形成するために、第1部が第1材料を含み第2部が第2材料を含む構造物のような複合材料を含む。ロータ10は、より少ない量のアルミニウム又はエンドキャップリングセット12,14の熱膨張に適合しない材料を用いる一方で、比較的大量のスチール又は熱膨張に適合する材料を用いるフープストレスを小さくすることを目的とした、ロータ10の各端のエンドキャップ、プレートまたはリングのセット12,14を含む。同時に、ロータ10の残りのものは、アルミニウムの魅力的な導電率、熱特性及び鋳造特性を生かすために、アルミニウムから鋳造されることが可能となる。
【0015】
ここで図1を再び参照すると、本開示に関するロータ10が示されている。ロータ10は、好ましくは、インダクタモータ又はジェネレータのような電気機械を形成するステータ11に対して回転的に取り付けられる。一実施形態において、ステータ11は、電源の供給時に回転磁場を生み出し、これは電磁フラックスによりロータ10を回転させることができ、機械トルクを生成する。また、ジェネレータとして動作するとき、ロータ10は機械的な力により回転させることができ、これによりステータで起こされる電力を発生する。本ロータ10は、いずれの構成にも適用される。典型的な実施形態において、ロータ10はコア材料18を含む。コア材料18は開口部20を含み、ロータシャフトが開口部20を通じて延びる。図示された実施形態において、コア材料18は、組み付け時に大まかに環状構造を形成するいくつものシート状ディスク22を含む。
【0016】
コア材料18の各種構成は、本開示の範囲内で可能である。1つの限定されない実施形態において、コア材料18はシリコンスチールラミネーション22から形成され、1000分の15インチ厚に作られ、大まかに環状構造に形成される。例として、組み付け時、ロータ10は径方向に約10インチ、長手方向に10インチである。しかしながら、本ロータ10は電気ジェネレータ又は電気インダクションモータのいかなるタイプに適合するサイズとすることができ、また、燃焼エンジンのための電気エネルギを発生するガスタービン又はターボチャージャの部分として形成されることができる点が理解されるべきである。各種構成が可能であり、これらの示された寸法は、単に本開示の一実施形態の図示にすぎない。当然のことながら、各シート22の間は、ダイキャスト中に導電材料32を受けとるいくつかのスペース22aである。典型的な実施形態において、モルテン材料32を、高圧下でスペース22aへ流入することができる。当然のことながら、通常の鋳造も用いられるができ、それは本開示の範囲内であり、あまり好ましくはないが、ロータ10またはその部品が押し出しにより成形されてもよい。
【0017】
図1は、ロータ10の分解図の第1の実施形態を示す。第1エンドリング12は、ロータシャフト(図1参照)がそこを通じることを許容する第1開口26を定める第1ハブ部24を含み、第1開口26はコア材料18の開口部20とつながっている。第1エンドリング12の第1ハブ部24は、好ましくは、いくつかの第1スポーク30a,30b,30c,30d,30e,30fにより、アウタリング部材24aへ接続される。当然のことながら、いかなる数の第1スポーク30a,30b,30c,30d,30e,30fも本開示で使用されることができ、この数は第1ハブ部24及びロータ10自身のサイズに大きく依存している。特に、いくつかのポケットまたはスペース16が各第1スポーク30a,30b,30c,30d,30e,30fの間に形成される。ポケット16もキャスティング中に導電材料を受け取る。6つのスポーク30a〜30fが示されているが、当然のことながらロータ10は、技術的に、3つのスポーク、8つのスポーク、12のスポーク、あるいはいかなる数のスポークを有していてもよい。
【0018】
第1エンドリング12から離れて第2エンドリング14がある。両方がエンドリング12,14として記載されているが、当然のことながら、終端リングは本開示に限定して形成されないし、エンドリング12及び14は、各種形状を含み、示された特定の形状に限定されず、異なる形状を有してもよい。図示された実施形態において、第2エンドリング14もロータシャフト(図1参照)がそこを通じることを許容し、開口部20及び26とつながっている開口部26aを定める第2ハブ24’を含む。同様に、第2エンドリング14の第2ハブ部24’は、いくつかの第2スポーク30a’,30b’,30c’,30d’,30e’,30f’により、アウタリング部材24a’へ接続される。当然のことながら、いかなる数の第2スポーク30a’,30b’,30c’,30d’,30e’,30f’も本開示で使用されることができ、このスポークの数は、第2ハブ部24’及びリング24a’のサイズに大きく依存している。特に、いくつかのスペース16aが各第2スポーク30a’,30b’,30c’,30d’,30e’,30f’の間に形成される。スペース16もキャスティング中に導電材料32を受け取る。
【0019】
示された実施形態において、コア18、第1及び第2エンドリング12,14は、参照数字32として斜視図中に示されたアルミニウム導体材料のダイキャストである基材の部材を形成する。動作中、コア材料18、第1及び第2エンドリング12,14は、全て相互に接続される。実施例で示されるように、コア材料18、第1エンドリング12及び第2エンドリング14は、第1エンドリング12をコア18及び第2エンドリング14でサンドイッチしたサンドイッチ構造を形成する。これら全ては、ともに固定され、ダイキャストモールド(図示せず)中に配置される。当然のことながら、キャストモールドは、圧力源へ接続されるダイキャストに適合するいかなるモールドとすることが可能であり、基材をともに固定し保持するクランプを含むことができる。
【0020】
好ましくは、第1エンドリング12及び第2エンドリング14の厚さは、特定の適用に依存する。一実施形態において、第1エンドリング12及び第2エンドリング14は、マークをつけられ、各リング12,14は1/8インチ厚までとすることができる。他の実施形態において、第1エンドリング12及び第2エンドリング14は、所望の厚さに機械加工することが可能であり、それぞれ0.375インチ厚までとすることが可能である。組み合わされた結果得られる第1及び第2エンドリング12,14は、各ポケット16,16aを伴って0.75インチ厚であり、ここで第2スポーク30a,30a’は約0.375インチ厚までそれぞれ加工される。エンドリング12及び14のトータルの厚さは、機械設計に依存し、0.750インチに限定されず、各種の厚さの値をとることが可能である。
【0021】
当然のことながら、第2リング14が第1リング12へ接続される前は、第2リング14は第1エンドリング12に対して所定量回転されるので、複数の第1スポーク30a,30b,30c,30d,30e,30fが複数の第2スポーク30a’,30b’,30c’,30d’,30e’,30f’に対して、所定の径方向の量により交互に配置される。当然のことながら、ロータ10の回転中、適当な磁束が径方向に離散されるように、第1スポーク30a,30b,30c,30d,30e,30fは、ユーザにより望まれた所定ラジアル量により、複数の第2スポーク第2スポーク30a’,30b’,30c’,30d’,30e’,30f’に対して交互に配置される。一実施形態において、スポーク30a及び30a’は、約30度又は30度を超えて交互に配置されることが可能である。スポーク30a〜30f及び30a’〜30f’の間の各種の交互配置形状及び径方向オフセットが、本開示の範囲内で可能である。1つの好ましい実施形態において、第1及び第2エンドリング12,14に関して6つのスポーク30a〜30f及び30a’〜30f’が想定される。当然のことながら、ロータシャフトの形状は、開口部20,26及び26aに通じてフィットするロータシャフトの邪魔を各スポークができないような、スポーク30a〜30f及び30a’〜30f’の形状及び長さとすることができる。
【0022】
典型的な実施形態において、アルミニウム導体部材32は、第1エンドリング12で形成されたスペース16を満たし、第2エンドリング14のスペース16a及びコア材料18のラミネーション22の間のスペース22aを満たすダイキャストである。キャスト材料は、第1及び第2エンドリングの頂部表面34、又は開口部20,26及び26aに満たされない。ここでロータシャフトは完成したロータ10をはめ込んでいる。図示された実施形態において、アルミニウム導体材料32は、融点まで加熱されて、約10から約210Mpa(1450psi〜30500psi)の高圧下でモールド内へ注入される。一様なロータ10が得られる結果、概して、外側頂部表面34が良好な表面仕上げとなり、キャスティング寸法の約0.2%と同様に良好な寸法精度となる。一実施形態において、十分な圧力及びダイを用いることができるので、やすりくずを除去するポストマシニングのステップをトータルで除くことができたり、または、とても軽いマシニングのサイズ寸法とすることが要求されるかもしれない。
【0023】
アルミニウム導体32のダイキャストは、コールドチャンバ工程又はホットチャンバ工程を用いることが可能である。コールドチャンバ工程において、モルテンアルミニウム導体32は、各アルミニウムスロットへのコールドダイチャンバへすくって入れられる。このコールドチャンバ工程は、高圧にて容易にスチールと合金化されるアルミニウム、及び銅(及びその合金)のようなメタルに特に有用である。ホットチャンバ工程は、それらの融解温度で容易にスチールと合金化されない傾向にあるチタン、亜鉛、及び鉛のような低融点及び高流動性のメタルに用いられる。当然のことながら、本ロータ10は、スチール及びアルミニウムに限定されず、他の材料をロータ10の製造に用いることが可能である。加えて、ダイキャストされると、ロータ10がテスト、異物がもしあれば除去され、ロータ10はバランス取りされる。
【0024】
ここで図2及び3を参照すると、第1エンドリング12及び第2エンドリング14の組み付け図が示され、導体材料32のダイキャストの前にコア材料18の端部へ接続される。示されるように、第1スポーク30aは、第2エンドリング14の第2スポーク30a’から所定量だけずらして配置される。同様に、第2スポーク30bは、エンドリング14の第2スポーク30b’から所定量だけずらして配置される。前述したように、この所定量は変化することが可能である。当然のことながら、対応するスポークの間隔(第1及び第2エンドリング14,16の第1及び第2スポーク30a,30b及び30a’及び30b’の間のような)も、変化させることができ、スポーク30a及び30a’の間及びスポーク30b及び30b’の間のオフセットは、他方と異なることができ、同じ量とする必要はない。動作時に、各第1及び第2スポーク30a〜30f及び30a’〜30f’内に形成されるポケット16及び16aとつながるスタック22中に形成された空間22aが示される。典型的な実施形態において、モルテンアルミニウム導体32は、ポケット16及び16a及び空間22を満たすように、ポケット16,16a及び空間22の間を流れる。また、第3及び第4のエンドプレート(図示せず)が、同様の方法で、コア材料18の反対側の端部に接続される。
【0025】
ここで図4及び図5を参照すると、第2エンドリング14を通して見たアルミニウム32のダイキャスト後のロータ10が示される。図4から理解されるように、エンドリング12及び14の外表面34は、コア材料18を超えるアルミニウム導体32の外表面と実質的に同一平面となっている。また、示されるように、アルミニウム32は、それらを通じて延びるロータシャフト(図1)のために満たされずに空けられる中央開口部20,26及び26aを除いては、ポケット16a及び16及び空間22に満たされる。図5は、アルミニウム導体32で満たされたポケット16aを示すロータ10の断面図を示す。図6とともに図5を見直すと、第2エンドリング14のスポーク30a’,30b’,30c’,30d’,30e’,30f’が、第1エンドリング12のスポーク30a,30b,30c、30d,30e,30fに対して、約30度で交互に配置されることが理解される。
【0026】
ここで図6及び図7を参照すると、第1エンドリング12に沿った環状断面図及び図7の完成ロータ10に沿った環状断面図が示される。アルミニウム32は、それらを通じて支持されるロータ軸のために空けられる中央開口部26を除いては、ポケット16及び16a及び空間22に満たされている。図7は、満たされたコア材料18のラミネーション22の間のスペース22aを示す。
【0027】
図示された実施形態において、第1及び第2のエンドリング12及び14は、非第1鉄のスチール材料又は適当なスチール合金から形成される。一実施形態において、第1及び第2エンドリング12及び14は、マークがつけられて、図1のコア材料18に接続される。しかしながら、もう1つの他の実施形態において、第1及び第2のエンドリング12及び14を、エンドリング長さに設計された機械を得るために、積層された材料から作られることができる。第1及び第2のエンドリング12及び14は、非第1鉄層又は材料がコア材料18からそれを離している場合に限り、第1鉄材料から作ることができる。非第1鉄材料は、動作中にロータ10の磁束に影響を及ばさないように、アルミニウム導体材料32をコア材料18から離すように構成される。完成されたキャストロータ10は、コア18の各端に2つのエンドプレート又はエンドリング12,14を含む。
【0028】
本発明の多くの変更及び改良は、明細書を読んだ後の当業者にとって明らかであることに疑いの余地はなく、図示の方法によって示され記載された特定の実施形態が、限定を考慮されることを目的としたものでは全くないことは理解される。従って、各種実施形態の詳細な説明は、発明の本質とみなされるそれらの特徴をそこで列挙しているに過ぎない特許請求の範囲を限定することが目的とされない。
【符号の説明】
【0029】
10 ロータ
12 第1エンドリング
14 第2エンドリング
18 コア材料
32 導体材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータ及びロータを含む電気機械であって、
コアに形成された複数のスペースを含むコアと、
第1リングの第1ハブ部を含み、前記第1リングが複数の第1スポークにより前記第1ハブ部へ接続されている第1エンドリングと、
前記第1エンドリング及び前記コアにより形成される基材と、
前記基材に取り付けられ、前記コア中の前記複数のスペースに満たされ前記ロータを形成する前記複数の第1スポークのまわりに延びる導体と、を備えた電気機械。
【請求項2】
第2リングの第2ハブ部を含み、前記第2リングが複数の第2スポークにより前記第2ハブ部へ接続されている第2エンドリングをさらに備え、
前記第1エンドリングは、前記コアに固定され、
前記第2エンドリングは、前記複数の第1スポークが前記複数の第2スポークと位置合わせされないように、所定量だけ回転され、
前記第2エンドリングは、第1エンドリングに接続され、
前記コア、第1エンドリング及び第2エンドリングは、前記基材を形成し、
前記導体は、ロータを形成するために、前記複数の第2スポークの周囲へ延びる請求項1に記載の電気機械。
【請求項3】
少なくとも1つの前記第1エンドリング及び前記第2エンドリングがスチールから形成されている請求項2に記載の電気機械。
【請求項4】
前記導体はアルミニウムから形成されている請求項3に記載の電気機械。
【請求項5】
前記第1エンドリングは前記スポーク間に複数のポケットを含み、
前記ポケットは、前記ロータの回転中に熱疲労から引き起こされ、純アルミニウムから形成されたロータと比べて測定されるフープストレスを減少する請求項4に記載の電気機械。
【請求項6】
前記第2エンドリングは前記スポーク間に複数のポケットを含み、
前記ポケットは、前記ロータの回転中に熱疲労から引き起こされ、純アルミニウムから形成されたロータと比べて測定されるフープストレスを減少する請求項4に記載の電気機械。
【請求項7】
前記第1エンドリングまたは前記第2エンドリングは、印がつけられた材料から作られる請求項2に記載の電気機械。
【請求項8】
前記第1及び前記第2エンドリングの少なくとも1つは第1鉄材料から形成される請求項2に記載の電気機械。
【請求項9】
前記第1及び前記第2エンドリングの少なくとも1つは、非第1鉄材料及び第1鉄材料から形成され、
前記非第1鉄材料は前記コアの前記アルミニウム導体から離れるよう構成される請求項4に記載の電気機械。
【請求項10】
前記第1及び前記第2エンドリングの少なくとも1つは、種々の厚さを有して形成される請求項2に記載の電気機械。
【請求項11】
前記第1及び前記第2エンドリングは、ラミネートから形成される請求項2に記載の電気機械。
【請求項12】
前記複数の第1スポーク及び前記複数の第2スポークの両方のスポークの全数は、ロータの長さに関連する請求項2に記載の電気機械。
【請求項13】
前記複数の第1スポーク及び前記複数の第2スポークの両方のスポークの全数は、ロータの形状に関連する請求項2に記載の電気機械。
【請求項14】
ロータの製造方法であって、
コア中に形成された複数のスペースよりコアを形成し、
前記コアの端部に、複数の第1スポークにより第1リングへ接続された第1ハブを含む第1エンドプレートを接続し、
前記第1エンドプレートに、複数の第2スポークにより第2リングへ接続された第2ハブを含む第2エンドプレートを接続し、
前記各エンドプレート及び前記コアから基材を形成し、
前記複数の第1及び第2スポークの間で定められるポケットを形成するように、前記複数の第1スポーク及び前記複数の第2スポークを交互に配列し、
キャストロータを形成するように、前記コア及び前記ポケットの複数のスペースへ流し込まれる導体で基材に導体を鋳造する方法。
【請求項15】
さらにステータが設けられ、
前記ロータが電気機械を形成するよう前記ステータに回転自在にマウントされる請求項14に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1つの前記第1及び第2エンドリングがスチールからなる請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記導体はアルミニウムからなる請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記第1エンドリングが非第1鉄材料を含み、
前記第2エンドリングが第1鉄材料を含み、
前記第1及び前記第2エンドリングはラミネートを形成する請求項14に記載の方法。
【請求項19】
積層されたエンドリングは、種々の厚さを有する請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1及び前記第2エンドリングの少なくとも1つは、印がつけられる操作により形成される請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記第1エンドリングは前記第2エンドリング及び前記コアの間に配置され、
前記第1エンドリングは前記第2エンドリング及び前記コアの間のバッファを形成する材料からなる請求項14に記載の方法。
【請求項22】
ロータのエンドリングであって、
複数の第1スポークにより第1ハブへ接続された第1リングを含む第1部材と、
前記第1部材へ接続され、複数の第2スポークにより第2ハブへ接続された第2リングを含む第2部材と、
前記第1スポークは、それらの間にポケットを形成するように所定量だけ第2スポークからオフセットされ、
前記第1部材及び前記第2部材の少なくとも1つと異なる材料が、前記ポケットの中に延び、
前記第1部材及び前記第2部材は、前記ロータの周期的動作の間、前記材料に起因する前記ロータの熱疲労により発生するフープストレスを減少するエンドリング。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−161920(P2010−161920A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298861(P2009−298861)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(500558894)ビーエーイー・システムズ・コントロールズ・インコーポレーテッド (15)
【氏名又は名称原語表記】BAE SYSTEMS Controls, Inc.
【Fターム(参考)】