説明

アルミニウム含有感光性組成物および電極の製造方法

【課題】保存安定性に極めて優れ、しかも安価で、薄膜で、抵抗値が低く、高精細なパターンをガラス基板上に形成可能な感光性組成物およびその用途を提供すること。
【解決手段】無機粒子と感光性樹脂成分とからなる感光性組成物であって、前記無機粒子が、(A)アルミニウム粉末およびアルミニウム合金粉末から選ばれる1種以上の金属粉末を含み、前記感光性樹脂成分が、(C)アルカリ可溶性樹脂、(D)多官能(メタ)アクリレート、(E)光重合開始剤、(F)溶剤および(G)ラジカル捕獲剤を含み、前記金属粉末(A)の50重量%平均粒子径(D50)が1.0〜20.0μmであり、前記ラジカル捕獲剤(G)がフェノール系ラジカル捕獲剤とニトロソ基含有ラジカル捕獲剤とを含むことを特徴とするアルミニウム含有感光性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム含有感光性組成物および電極の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、フラットパネルディスプレイなどのディスプレイパネルの部材、電子部品の高度実装材料の部材および太陽電池の部材を製造する際に用いられるアルミニウム含有感光性組成物ならびに該組成物を用いた電極の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、回路基板やディスプレイパネルにおけるパターン加工に対して、高密度化および高精細化の要求が高まっている。このような要求が高まっているディスプレイパネルの中でも、プラズマディスプレイパネル(以下「PDP」ともいう。)やフィールドエミッションディスプレイ(以下「FED」ともいう。)などのフラットパネルディスプレイ(以下「FPD」ともいう。)が特に注目されている。
【0003】
図1は交流型のPDPの断面形状を示す模式図である。図1において、101および102は対向配置されたガラス基板、103および111は隔壁であり、ガラス基板101、ガラス基板102、背面隔壁103および前面隔壁111によりセルが区画形成されている。104はガラス基板101に固定された透明電極であり、105は透明電極104の抵抗を下げる目的で該透明電極104上に形成されたバス電極であり、106はガラス基板102に固定されたアドレス電極である。107はセル内に保持された蛍光体であり、108は透明電極104およびバス電極105を被覆するようガラス基板101の表面に形成された誘電体層であり、109はアドレス電極106を被覆するようガラス基板102の表面に形成された誘電体層であり、110は例えば酸化マグネシウムからなる保護層である。
【0004】
上記構成を有するPDPや図2に示されるFEDに代表されるFPDにおいては、パネルの大型化および高精細化が進んでおり、それに伴ってパターン加工技術の向上が要望されている。ところが、パネルの大型化および高精細化に伴い、パターン精度の要求が非常に厳しくなっている。このため、従来の工法であるスクリーン印刷法では、前記要望に対応できないという問題がある。
【0005】
そこで現在では、フォトリソグラフィー法によるパターン形成が主に用いられている。例えば電極を製造する場合には、上記フォトリソグラフィー法において、導電性粒子を含有する感光性組成物を用いることにより、スクリーン印刷法では対応できなかった問題である大型および高精細なパターン形成が可能となっている。
【0006】
上記導電性粒子としては、銀が挙げられる。ところが、銀は貴金属であるため高価である。このため、現在では高価な銀に代わる無機粒子として、アルミニウムを用いることが検討されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
しかしながら、PDP用電極などの形成材料において、アルミニウム粉末と架橋剤(例:光重合性モノマー)とが通常は共存するため、該形成材料は保存安定性に欠けるという問題がある。具体的には、アルミニウム粉末と架橋剤とを含有する形成材料を用いて保存安定性試験を行うと、該形成材料の粘度が増加し、さらにはゲル化という現象が観察される。また、アルミニウムは銀よりも酸化されやすいため、焼成工程においてパターンの抵抗値が上昇してしまうという問題もある。
【0008】
例えば、特許文献2は多層構造の感光性ドライレジストフィルムを開示するものであり
、該文献には感光性樹脂組成物の保存安定性に関する記載がある。具体的には、貯蔵中の架橋反応を防止するため、前記感光性樹脂組成物に重合禁止剤などを添加することが好ましいことが記載され、該重合禁止剤として種々の化合物が例示されている。
【0009】
しかしながら、上記特許文献2の開示内容からでは、アルミニウム粉末と架橋剤とを含有する感光性組成物の保存安定性の向上にどのような重合禁止剤が寄与しえるかという点が不明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平09−306343号公報
【特許文献2】特開2009−031344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記従来技術に伴う問題を解決しようとするものである。すなわち、本発明は、アルミニウム粉末と架橋剤とを含有する感光性組成物の保存安定性を格段に向上させることを課題とする。
【0012】
また、本発明は、前記特性を有するとともに、安価で、薄膜で、抵抗値が低く、高精細なパターンをガラス基板上などに形成可能な感光性組成物およびその用途を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討を行った。その結果、特定の粒子径を有するアルミニウム粉末と特定のラジカル捕獲剤とを用いることで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明およびその好適な態様は、以下の[1]〜[8]に関する。
【0015】
[1]無機粒子と感光性樹脂成分とからなる感光性組成物であって、前記無機粒子が、(A)アルミニウム粉末およびアルミニウム合金粉末から選ばれる1種以上の金属粉末を含み、前記感光性樹脂成分が、(C)アルカリ可溶性樹脂、(D)多官能(メタ)アクリレート、(E)光重合開始剤、(F)溶剤および(G)ラジカル捕獲剤を含み、前記金属粉末(A)の50重量%平均粒子径(D50)が1.0〜20.0μmであり、前記ラジカル捕獲剤(G)がフェノール系ラジカル捕獲剤とニトロソ基含有ラジカル捕獲剤とを含むことを特徴とするアルミニウム含有感光性組成物。
【0016】
[2]前記フェノール系ラジカル捕獲剤が、ヒンダードフェノール系ラジカル捕獲剤、p−メトキシフェノールおよびp−ヒドロキシスチレンから選択される少なくとも1種であることを特徴とする前記[1]に記載のアルミニウム含有感光性組成物。
【0017】
[3]前記ニトロソ基含有ラジカル捕獲剤が、前記フェノール系ラジカル捕獲剤100重量部に対して、0.01〜10重量部の量で含まれることを特徴とする前記[1]または[2]に記載のアルミニウム含有感光性組成物。
【0018】
[4]前記フェノール系ラジカル捕獲剤および前記ニトロソ基含有ラジカル捕獲剤が合計で、前記感光性樹脂成分全量に対して0.1〜15重量%の量で含まれることを特徴とする前記[1]〜[3]の何れかに記載のアルミニウム含有感光性組成物。
【0019】
[5]前記無機粒子がガラス粉末(B)をさらに含み、前記ガラス粉末(B)の50重量%平均粒子径(D50)が0.2〜5.0μmであり、前記ガラス粉末(B)の最大粒子径(Dmax)が30μm以下であることを特徴とする前記[1]〜[4]の何れかに記
載のアルミニウム含有感光性組成物。
【0020】
[6]前記ガラス粉末(B)の軟化点が300〜700℃であり、前記ガラス粉末(B)が感光性組成物全量に対して0.5〜20重量%の量で含まれることを特徴とする前記[5]に記載のアルミニウム含有感光性組成物。
【0021】
[7]前記金属粉末(A)が、感光性組成物全量に対して20〜70重量%の量で含まれることを特徴とする前記[1]〜[6]の何れかに記載のアルミニウム含有感光性組成物。
【0022】
[8]前記[1]〜[7]の何れかに記載のアルミニウム含有感光性組成物を用いて、フォトリソグラフィー法によりパターン形成することを特徴とする電極の製造方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、アルミニウム粉末と架橋剤とを含有する感光性組成物の保存安定性を格段に向上させることができる。具体的には、従来のPDP用電極形成材料は保存安定性試験を行うとゲル化するのに対し、本発明の感光性組成物は5℃・23℃・40℃・70℃の条件で保存安定性試験を行ってもゲル化しない。
【0024】
また、本発明によれば、上記特性を有するとともに、安価で、薄膜で、抵抗値が低く、高精細なパターンをガラス基板上などに形成可能な感光性組成物およびその用途が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、交流型のPDPの断面形状を示す模式図である。
【図2】図2は、一般的なFEDの断面形状を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明のアルミニウム含有感光性組成物および電極の製造方法について、詳細に説明する。なお、以下では、前記感光性組成物を用いて形成される露光前の層を「感光性樹脂層」ともいう。
【0027】
〔アルミニウム含有感光性組成物〕
本発明のアルミニウム含有感光性組成物(以下「感光性組成物」ともいう。)は、無機粒子と感光性樹脂成分とからなる。前記無機粒子は、金属粉末(A)を含む。前記無機粒子は、ガラス粉末(B)をさらに含むことが好ましい。前記感光性樹脂成分は、アルカリ可溶性樹脂(C)、多官能(メタ)アクリレート(D)、光重合開始剤(E)、溶剤(F)およびラジカル捕獲剤(G)を含む。本発明の感光性組成物は、5〜90重量%の感光性樹脂成分と95〜10重量%の無機粒子とからなることが好ましい。
【0028】
−無機粒子−
無機粒子には、金属粉末(A)が含まれる。無機粒子には、ガラス粉末(B)がさらに含まれることが好ましい。また、無機粒子には、他の金属系粉末や無機系顔料などが含まれていてもよい。
【0029】
《金属粉末(A)》
金属粉末(A)は、アルミニウム粉末およびアルミニウム合金粉末から選ばれる1種以
上の金属粉末である。これらの中では、アルミニウム粉末が好ましい。
【0030】
上記アルミニウム合金粉末としては、Al−Cu系合金粉末、Al−Mg系合金粉末、Al−Sn系合金粉末、Al−Cu−Si系合金粉末、Al−Si系合金粉末、Al−Si−Mg系合金粉末、Al−Mn系合金粉末、Al−Mg−Mn系合金粉末、Al−Zn−Mg系合金粉末、Al−Zn−Mg−Cu系合金粉末、Al−Si−Cu−Mg系合金粉末、Al−Cu−Ni−Mg系合金粉末、Al−Si−Cu−Ni−Mg系合金粉末などが挙げられる。
【0031】
金属粉末(A)の50重量%平均粒子径(D50)は、1.0〜20.0μm、好ましくは2.0〜20.0μm、特に好ましくは5.0〜15.0μmである。D50が前記範囲にあると、露光工程における露光光が感光性樹脂層の底部まで充分到達するため、高精細なパターンを形成できる。
【0032】
なお、平均粒子径はレーザー回折式粒度分布測定法によって測定され、他の粉末においても同様である。また、D50とは、粒度分布を有する粉末において、該粉末を粒子径の小さいものから累積して、累積量が全粉末量の50重量%になる粒子径をいう。
【0033】
金属粉末(A)の形状は特に限定されないが、フレーク状および球状などが挙げられる。すなわち、金属粉末(A)としては、フレーク状金属粉末(A1)および球状金属粉末(A2)などが挙げられる。これらの中では、フレーク状金属粉末(A1)が好ましい。
【0034】
<フレーク状金属粉末(A1)>
フレーク状金属粉末(A1)は、D50が2.0〜20.0μm、かつ平均厚さが0.1〜1.0μmであることが好ましく;D50が2.5〜18.0μm、かつ平均厚さが0.15〜0.9μmであることがより好ましく;D50が3.0〜15.0μm、かつ平均厚さが0.15〜0.8μmであることが特に好ましい。
【0035】
D50または平均厚さが上記範囲を上回るフレーク状金属粉末を用いると、高精細なパターンを形成することが困難になることがある。また、D50または平均厚さが上記範囲を下回るフレーク状金属粉末を用いると、膜中の該粉末同士の接触が面接触傾向ではなく点接触傾向になるため、低抵抗のパターンを形成することが困難になることがある。なお、平均厚さは、SEM(Scanning Electron Microscope)観察により、後述する実施例記載の条件下で測定される。
【0036】
フレーク状金属粉末(A1)は、上記要件(D50および平均厚さ)を満足するフレーク状金属粉末であれば特に限定されない。例えば、フレーク状金属粉末をそのまま用いてもよく、貴金属コートおよび貴金属メッキの何れか一方または双方の処理がなされたフレーク状金属粉末、あるいは脂肪酸により包接されたフレーク状金属粉末を用いてもよい。
【0037】
フレーク状金属粉末(A1)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0038】
上記貴金属コートおよび貴金属メッキで用いられる貴金属としては、金、銀、白金、これらの合金が挙げられる。これらの貴金属は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、この貴金属コートおよび貴金属メッキは、従来公知の方法に従って行うことができる。この貴金属コートおよび貴金属メッキの膜厚は、通常は5〜1000nm、好ましくは50〜500nmである。
【0039】
上記脂肪酸としては、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ぺラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトイル酸、マ
ルガリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセレン酸、ネルボン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸などが挙げられる。これらの脂肪酸の中では、上記フレーク状金属粉末を効率的に包接および/または修飾できることから、オレイン酸が好ましい。なお、金属粉末の粉砕処理の際に、粉砕助剤として前記脂肪酸を添加すればよい。
【0040】
FPDなどのディスプレイパネルを構成する電極を形成する場合には、JIS K5906に記載の方法に従って測定されるリーフィング価が小さい(またはリーフィング価がない)、ノンリーフィング型のフレーク状金属粉末が特に好適に用いられる。オレイン酸などの脂肪酸を用いて、上記フレーク状金属粉末を包接および/または修飾することで、ノンリーフィング型のフレーク状金属粉末を容易に得ることができる。
【0041】
そして、このようなノンリーフィング型のフレーク状金属粉末を用いることで、該金属粉末が感光性樹脂層の表面層に配列することを防止できるため、該樹脂層中に該金属粉末をより均一に分散できる。これにより、ノンリーフィング型のフレーク状金属粉末を含有する感光性樹脂層は露光光をほとんど反射しないため(すなわち、該樹脂層の透過率が向上するため)、パターン形成能が極めて良好となる。
【0042】
<球状金属粉末(A2)>
球状金属粉末(A2)は、D50が好ましくは1.0〜20.0μm、より好ましくは1.5〜18.0μm、さらに好ましくは2.0〜15.0μmである。なお、球状金属粉末(A2)の形状とは、フレーク状(燐片状)以外の形状を意味し、特に限定はされない。
【0043】
D50が上記範囲を上回る球状金属粉末を用いると、高精細なパターンを形成することが困難になることがある。また、D50が上記範囲を下回る球状金属粉末を用いると、歩留りが悪いため、パターンを安価に形成することが困難になることがある。
【0044】
球状金属粉末(A2)としては、上記要件(D50)を満足する球状金属粉末であれば特に限定されない。例えば、球状金属粉末をそのまま用いてもよく、貴金属コートおよび貴金属メッキの何れか一方または双方の処理がなされた球状金属粉末を用いてもよい。
【0045】
球状金属粉末(A2)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0046】
上記貴金属コートおよび貴金属メッキで用いられる貴金属としては、金、銀、白金、これらの合金が挙げられる。これらの貴金属は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、この貴金属コートおよび貴金属メッキは、従来公知の方法に従って行うことができる。この貴金属コートおよび貴金属メッキの膜厚は、通常は5〜1000nm、好ましくは50〜500nmである。
【0047】
<構成比>
金属粉末(A)は、感光性組成物全量に対して、好ましくは20〜70重量%、より好ましくは25〜65重量%、特に好ましくは30〜60重量%の量で含まれる。金属粉末(A)の含有量が前記範囲にあると、導電性に優れたパターンを形成できる。
【0048】
フレーク状金属粉末(A1)および球状金属粉末(A2)は、(A1)と(A2)との配合比(重量比)((A1)/(A2))が、好ましくは100/0〜50/50、より好ましくは100/0〜60/40、さらに好ましくは100/0〜70/30となる割合で混合して用いることが望ましい。配合比(重量比)((A1)/(A2))が前記範囲にあると、導電性に優れたパターンを形成できる。
【0049】
《ガラス粉末(B)》
本発明の感光性組成物は、焼成後のパターン密着性の観点から、ガラス粉末(B)をさらに含有することが好ましい。ガラス粉末(B)は、本発明の感光性組成物を用いて形成されるパターンの用途(例:FPDの部材、電子部品の高度実装材料の部材)に応じて適宜選択することができる。
【0050】
ガラス粉末(B)としては、
1.酸化鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素の混合物(PbO−B23−SiO2系)、
2.酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素の混合物(ZnO−B23−SiO2系)、
3.酸化鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウムの混合物
(PbO−B23−SiO2−Al23系)、
4.酸化鉛、酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素の混合物
(PbO−ZnO−B23−SiO2系)、
5.酸化ビスマス、酸化ホウ素、酸化ケイ素の混合物
(Bi23−B23−SiO2系)、
6.酸化亜鉛、酸化リン、酸化ケイ素の混合物(ZnO−P25−SiO2系)、
7.酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化カリウムの混合物(ZnO−B23−K2O系)、
8.酸化リン、酸化ホウ素、酸化アルミニウムの混合物
(P25−B23−Al23系)、
9.酸化亜鉛、酸化リン、酸化ケイ素、酸化アルミニウムの混合物
(ZnO−P25−SiO2−Al23系)、
10.酸化亜鉛、酸化リン、酸化チタンの混合物(ZnO−P25−TiO2系)、
11.酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化カリウムの混合物
(ZnO−B23−SiO2−K2O系)、
12.酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化カリウム、酸化カルシウムの混合物
(ZnO−B23−SiO2−K2O−CaO系)、
13.酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウムの混合物(ZnO−B23−SiO2−K2O−CaO−Al23系)、
14.酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウムの混合物
(B23−SiO2−Al23系)、
15.酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化ナトリウムの混合物
(B23−SiO2−Na2O系);などが挙げられる。
これらの中では、環境に配慮した無鉛ガラスが特に好ましい。
【0051】
ガラス粉末(B)の平均粒子径は、パターンの形状を考慮して適宜選択される。ガラス粉末(B)は、50重量%平均粒子径(D50)が0.2〜5.0μm、かつ最大粒子径(Dmax)が30μm以下であることが好ましく;D50が0.2〜4.0μm、かつDmaxが20μm以下であることがより好ましく;D50が0.5〜3.8μm、かつDmax
が10μm以下であることが特に好ましい。
【0052】
また、ガラス粉末(B)の10重量%粒子径(D10)は0.05〜0.5μmであることが好ましく、90重量%粒子径(D90)は10〜20μmであることが好ましい。ガラス粉末(B)の平均粒子径(D50、D10、D90)および最大粒子径(Dmax
が上記範囲にあると、露光工程において、露光光が感光性樹脂層の底部まで充分到達するため、高精細なパターンを形成できる。
【0053】
ガラス粉末(B)の軟化点は、300〜700℃であることが好ましく、400〜620℃であることがより好ましい。前記軟化点を有するガラス粉末は、例えばFPDなどのディスプレイパネルを構成する電極を形成する場合に好適である。なお、ガラス粉末(B
)の軟化点は、DSC測定により、後述する実施例記載の条件下で測定される。
【0054】
ガラス粉末(B)の軟化点が上記範囲を下回ると、パターンの焼成工程において、アルカリ可溶性樹脂(C)などの有機物質が完全に分解除去されない段階でガラス粉末が溶融することがある。このため、形成される焼成パターン中に有機物質の一部が残留することがある。結果として、前記焼成パターンが着色されて、その光透過率が低下する傾向がある。一方、ガラス粉末(B)の軟化点が上記範囲を上回ると、その軟化点以上の高温でパターンを焼成する必要があるため、ガラス基板などの支持体に歪みなどが発生しやすい。
【0055】
ガラス粉末(B)は、従来公知の方法および装置を用いて、所定の組成および軟化点を有するように原料酸化物を混合・溶融・固化させた後、所定の平均粒子径となるように当該固化物を粉砕することにより得られる。また、ガラス粉末(B)の形状は、不定形など特に限定されない。
【0056】
粉砕方法としては、媒体撹拌ミル、コロイドミル、湿式ボールミルなどの湿式粉砕方法;ジェットミル、乾式ボールミル、ロールクラッシャーなどの乾式粉砕方法などが挙げられる。複数の粉砕方法を組み合せて用いてもよい。また、粉砕して得られる粉末の平均粒子径を調整するために分級処理を行ってもよい。分級処理としては、風力式分級機や篩い分け装置などを用いることができる。
【0057】
ガラス粉末(B)は、感光性組成物全量に対して、好ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは1.5〜20重量%の量で含まれる。ガラス粉末(B)の含有量が前記範囲にあると、抵抗値上昇の影響が少なく、焼成後の密着性に優れたパターンを形成することができる。
【0058】
《他の無機粒子》
金属粉末(A)とともに、本発明の目的を損なわない範囲で、他の金属系粉末(例:Pt、Au、Ag、Cu、Sn、Ni、Fe、Zn、W、Mo、およびこれらの化合物の粉末)を用いてもよい。例えば、前記他の金属系粉末は、金属粉末(A)100重量部に対して、25重量部以下の量で用いることができる。
【0059】
また、本発明の感光性組成物には、無機系顔料からなる紫外線吸収剤を配合してもよい。紫外線吸収効果の高い無機系顔料を配合することによって、高アスペクト比、高精細、高解像度なパターンが得られる。
【0060】
無機系顔料としては、350〜450nmの波長範囲で高UV吸収係数を有する無機系顔料が好ましく用いられる。無機系顔料の具体例としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウムが挙げられる。
【0061】
無機系顔料を使用する場合、無機系顔料は、ガラス粉末(B)100重量部に対して、好ましくは0.001〜5重量部、より好ましくは0.01〜1重量部の量で含まれる。無機系顔料の含有量が前記範囲を下回ると、無機系顔料を配合した効果が減少することがある。無機系顔料の含有量が前記範囲を上回ると、無機系顔料を配合した効果が大きいため、感光性樹脂層の底部まで露光光が届かなくなることがある。このため、パターンを形成できなくなることや成膜強度を保てないことがある。
【0062】
−感光性樹脂成分−
感光性樹脂成分には、アルカリ可溶性樹脂(C)、多官能(メタ)アクリレート(D)、光重合開始剤(E)、溶剤(F)およびラジカル捕獲剤(G)が含まれる。また、感光性樹脂成分には、前記各成分以外に、他の添加剤が含まれていてもよい。
【0063】
《アルカリ可溶性樹脂(C)》
アルカリ可溶性樹脂(C)は、アルカリ可溶性であれば特に限定されないが、アルカリ可溶性官能基含有モノマー(C1)と(メタ)アクリル酸誘導体(C2)との共重合体が好ましい。なお、アルカリ可溶性とは、目的とする現像処理が可能な程度にアルカリ現像液に溶解する性質をいう。
【0064】
<アルカリ可溶性官能基含有モノマー(C1)>
アルカリ可溶性官能基含有モノマー(C1)としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ケイ皮酸、コハク酸モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)、2−メタクリロイロキシエチルフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなどのカルボキシル基含有モノマー類;
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(α−ヒドロキシメチル)アクリレートなどの水酸基含有モノマー類;
o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレンなどのフェノール性水酸基含有モノマー類;などのアルカリ可溶性官能基と不飽和結合とを有するモノマーなどが挙げられる。上記モノマー(C1)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0065】
上記モノマー(C1)の中では、(メタ)アクリル酸、2−メタクリロイロキシエチルフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルが好ましい。
【0066】
アルカリ可溶性官能基含有モノマー(C1)を共重合することにより、樹脂にアルカリ可溶性を付与できる。アルカリ可溶性官能基含有モノマー(C1)由来の構成単位の含有量は、アルカリ可溶性樹脂(C)の全構成単位中、通常は5〜90重量%、好ましくは10〜80重量%、より好ましくは15〜70重量%である。
【0067】
<(メタ)アクリル酸誘導体(C2)>
(メタ)アクリル酸誘導体(C2)は、アルカリ可溶性官能基含有モノマー(C1)と共重合可能な(メタ)アクリル酸誘導体であれば特に限定されない。(メタ)アクリル酸誘導体(C2)としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートなどの、上記モノマー(C1)以外の(メタ)アクリレート類が挙げられる。(メタ)アクリル酸誘導体(C2)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0068】
また、本発明では、(メタ)アクリル酸誘導体(C2)に代えて、あるいは(メタ)アクリル酸誘導体(C2)とともに、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メ
タ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどから得られるポリマーの一方の鎖末端に、(メタ)アクリロイル基、アリル基、ビニル基などの重合性不飽和基を有するマクロモノマーを用いてもよい。
【0069】
<有機溶剤>
上記共重合の際、通常は有機溶剤が用いられる。有機溶剤としては特に限定されず、テキサノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テルピネオールなどが挙げられる。これらの有機溶剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0070】
上記有機溶剤の使用量は、上記共重合に使用する全モノマー(マクロモノマーを含む。)100重量部に対して、通常は50〜1000重量部程度である。
【0071】
<重合開始剤>
上記共重合の際、重合開始剤を用いることが好ましい。重合開始剤としては、ビニル単量体の重合に用いられるラジカル重合開始剤を用いることができる。
【0072】
上記ラジカル重合開始剤としては、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルブチルニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロ
ニトリル)、1,1'−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、ジメチル−2
,2'−アゾビスイソブチレート、4,4'−アゾビス(4−シアノバレリック酸)などのアゾ化合物;t−ブチルパーオキシビバレート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、クミルパーオキシ2−エチルヘキサノエートなどのパーオキシエステル類の有機過酸化物などが挙げられる。
【0073】
これらの重合開始剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0074】
また、上記重合開始剤の使用量は、上記共重合に使用する全モノマー(マクロモノマーを含む。)100重量部に対して、通常は0.1〜10重量部程度である。
【0075】
<連鎖移動剤>
上記共重合の際、連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤としては、α−メチルスチレンダイマー、t−ドデシルメルカプタン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオン酸)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタンなどが挙げられる。これらの連鎖移動剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0076】
本発明において、アルカリ可溶性樹脂(C)はSH基を有することが好ましい(以下、当該樹脂を「SH基含有樹脂」ともいう。)。光照射により、前記SH基含有樹脂は多官能(メタ)アクリレート(D)とエン−チオール反応して、樹脂自体がさらに重合する。このため、SH基含有樹脂はSH基を有しない樹脂に比べて高感度である。さらに、この重合により樹脂の分子量が大きくなるため、現像後のパターン形状が良好となる。
【0077】
上記SH基含有樹脂は、連鎖移動剤として1分子中に少なくとも2つのSH基を有する化合物(例:ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオン酸)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン)を用いることにより合成することができる。
【0078】
上記連鎖移動剤の使用量は、上記共重合に使用する全モノマー(マクロモノマーを含む。)100重量部に対して、通常は0.1〜10重量部程度である。
【0079】
<アルカリ可溶性樹脂(C)の物性>
アルカリ可溶性樹脂(C)の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算値で、好ましくは5000〜100000、より好ましくは10000〜80000である。また、アルカリ可溶性樹脂(C)の重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)(Mw/Mn)は、好ましくは1.2〜3.0、より好ましくは1.3〜2.0である。MwおよびMw/Mnは、上記モノマーの共重合割合、有機溶剤、連鎖移動剤、重合温度などの条件を適宜選択することにより制御できる。
【0080】
Mwが上記範囲を上回ると、現像後の膜荒れが発生しやすくなる。また、Mwが上記範囲を下回ると、未露光部の現像液に対する溶解性が低下するため、パターンの解像度が低下する場合がある。
【0081】
アルカリ可溶性樹脂(C)のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは0〜120℃、より好ましくは10〜100℃である。ガラス転移温度が前記範囲を下回ると、塗膜にタックを生じやすく、またハンドリングがしにくい傾向にある。また、ガラス転移温度が前記範囲を上回ると、感光性樹脂層とガラス基板などの支持体との密着性が悪くなるため、後述する転写フィルムを用いる場合には、該樹脂層を転写できないことがある。なお、ガラス転移温度は、アルカリ可溶性官能基含有モノマー(C1)および(メタ)アクリル酸誘導体(C2)の量を変更することによって適宜調節できる。
【0082】
アルカリ可溶性樹脂(C)の酸価は、好ましくは20〜200mgKOH/g、より好ましくは30〜160mgKOH/gである。酸価が前記範囲を下回ると未露光部をアルカリ現像液で除去し難くなるため、高精細なパターンを形成することが困難になることがある。また、酸価が前記範囲を上回ると、露光光によって硬化した部分もアルカリ現像液に浸食されやすくなるため、高精細なパターンを形成することが困難になることがある。
【0083】
アルカリ可溶性樹脂(C)は、感光性組成物全量に対して、好ましくは10〜60重量%、より好ましくは15〜55重量%の量で含まれる。
【0084】
《多官能(メタ)アクリレート(D)》
多官能(メタ)アクリレート(D)としては、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、2,5−ヘキサンジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)タクリレート類;
ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO(プロピレンオキサイド)変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO(エチレンオキサイド)変性トリ(メタ)アクリレート、ベンジルメルカプタン(メタ)トリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの3官能以上の(メタ)アクリレート類;
上記化合物中の芳香環に結合した水素原子のうち、1〜5個が塩素原子または臭素原子に置換されたモノマー;などが挙げられる。多官能(メタ)アクリレート(D)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0085】
本発明の感光性組成物において、多官能(メタ)アクリレート(D)は、露光光に対する感度の点から、上記感光性樹脂成分全量に対して、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15〜60重量%の量で含まれる。多官能(メタ)アクリレート(D)の含有量が前記範囲を上回ると、焼成後の部材(例:ディスプレイパネル用部材)の形状が劣化することがある。
【0086】
また、本発明の目的を損なわない範囲で、多官能(メタ)アクリレート(D)とともに、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、塩素化スチレン、臭素化スチレン、α−メチルスチレン、塩素化α−メチルスチレン、臭素化α−メチルスチレン、クロロメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、カルボシキメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルカルバゾール、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドンなどを用いてもよい。
【0087】
《光重合開始剤(E)》
光重合開始剤(E)としては、従来公知の光重合開始剤を用いることができる。また、露光感度を向上させるために、光重合開始剤(E)とともに増感剤を用いてもよい。
【0088】
光重合開始剤(E)としては、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンゾスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、カンファーキノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,2’−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンなどのカルボニル化合物;
ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドなどのアシルフォスフィンオキサイド系化合物;
ベンジルジメチルケタノール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、N−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィ
ド、トリフェニルホスフィン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン;
エオシンやメチレンブルーなどの光還元性の色素と、アスコルビン酸やトリエタノールアミンなどの還元剤との組み合せが挙げられる。光重合開始剤(E)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0089】
本発明の感光性組成物において、光重合開始剤(E)は、多官能(メタ)アクリレート(D)100重量部に対して、好ましくは10〜100重量部、より好ましくは20〜80重量部の量で含まれる。光重合開始剤(E)の含有量が前記範囲を上回ると、焼成後の部材(例:ディスプレイパネル用部材)の形状が劣化することがある。
【0090】
上記増感剤としては、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、1−クロロー4−プロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,3−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミニベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、ミヒラーケトン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)−イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−カルボニル−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、N−フェニル−N−エチルエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−トリルジエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、3−フェニル−5−ベンゾイルチオテトラゾール、1−フェニル−5−エトキシカルボニルチオテトラゾールなどが挙げられる。上記増感剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0091】
なお、上記増感剤の中には光重合開始剤(E)としても作用するものもある。このため、増感剤と光重合開始剤(E)との組み合せにより、増感剤であるか光重合開始剤(E)であるかが決定される。
【0092】
本発明の感光性組成物において、上記増感剤は、光重合開始剤(E)100重量部に対して、好ましくは5〜50重量部、より好ましくは10〜40重量部の量で含まれる。上記増感剤の含有量が前記範囲を下回ると、光感度を向上させる効果が発揮されないことがある。上記増感剤の含有量が前記範囲を上回ると、露光部の残存率が小さくなり過ぎることがある。
【0093】
《溶剤(F)》
溶剤(F)は、主として感光性組成物の粘度を調整するために用いられる。溶剤(F)は有機溶剤であることが好ましい。前記有機溶剤としては、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、ジヒドロターピネニルアセテート、リモネン、カルベオール、カルビニルアセテート、シトロネロール、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メトキシプロピルアセテート、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、γ−ブチロラクトン、ブロモベンゼン、クロロベンゼン、ジブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモ安息香酸、クロロ安息香酸などが挙げられる
溶剤(F)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0094】
溶剤(F)は、感光性組成物全量に対して、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは5〜40重量%、特に好ましくは5〜30重量%の量で含まれる。
【0095】
《ラジカル捕獲剤(G)》
ラジカル捕獲剤(G)は、フェノール系ラジカル捕獲剤とニトロソ基含有ラジカル捕獲剤とを含む。このようにフェノール系ラジカル捕獲剤とニトロソ基含有ラジカル捕獲剤とを併用することにより、感光性組成物の保存安定性が極めて向上する。
【0096】
<フェノール系ラジカル捕獲剤>
上記フェノール系ラジカル捕獲剤としては、p−メトキシフェノール、p−ヒドロキシスチレン、いわゆるヒンダードフェノール系ラジカル捕獲剤などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0097】
なお、2つ以上の水酸基が1つのフェニル基に直接結合した有機基を有する化合物(例:ヒドロキノン、ピロガロール)およびそのモノエステル化物(例:ヒドロキノンのモノエステル化物)は、フェノール系ラジカル捕獲剤に含めないものとする。
【0098】
上記ヒンダードフェノール系ラジカル捕獲剤は、ヒンダードフェノール基を好ましくは1個以上、より好ましくは1〜6個有する。本発明において、ヒンダードフェノール基とは、フェノール基中のヒドロキシル基が結合した炭素原子の両側の炭素原子に、炭化水素基が結合した有機基をいう。
【0099】
上記ヒンダードフェノール基は、好ましくは下記式(1)で表される有機基である。
【0100】
【化1】

【0101】
式(1)中、R1およびR2はそれぞれ独立に炭素数1〜8、好ましくは1〜6の炭化水素基を示し、破線は結合手を示す。前記炭化水素基はアルキル基であることが好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。これらの中では、R1がメチル基かつR2が炭素数1〜8の炭化水素基であることが好ましく、R1がメチル基かつR2が炭素数1〜8のアルキル基であることがより好ましく、R1がメチル基かつR2がtert−ブチル基であることが特に好ましい。
【0102】
ヒンダードフェノール系ラジカル捕獲剤としては、
2,6−ジtert−ブチル−4−メチルフェノール、
2,6−ジtert−4−エチルフェノール、
エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート](IRGANOX 245)、
2,2−チオ−ジエチレンビス−[3−(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](IRGANOX 1035)、
ベンゼンプロパン酸−3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ,C7−C9側鎖アルキルエステル(IRGANOX 1135)、
ジエチル[{3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル}メチル]ホスフォネート(IRGANOX 1222)、
ヘキサ−tert−ブチル−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール(IRGANOX 1330)、
1,3,5−トリス(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン(IRGANOX 3114)、
トリエチレングリコール−ビス{3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、
ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](IRGANOX 1010、Sumilizer BP-101)、
3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニロキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(Sumilizer GA-80)、
オクタデシル3−(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(IRGANOX 1076, Sumilizer BP-76)
などが挙げられる(IRGANOXはチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)の登録商標であ
り、Sumilizerは住友化学工業(株)の登録商標である。)。
【0103】
上記ヒンダードフェノール系ラジカル捕獲剤の中では、他成分との相溶性および重合禁止効果の観点から、2,6−ジtert−ブチル−4−メチルフェノールが好ましい。
【0104】
<ニトロソ基含有ラジカル捕獲剤>
上記ニトロソ基含有ラジカル捕獲剤としては、ニトロソ基を有するラジカル捕獲剤であれば特に限定されないが、下記式(2)で表される化合物およびその金属塩が好ましい。
【0105】
【化2】

【0106】
式(2)中、R1およびR2はそれぞれ独立に酸素原子、水酸基または炭素数1〜18、好ましくは2〜12の炭化水素基を示す。前記炭化水素基としては、メチル基などのアルキル基、フェニル基などの芳香族基などが挙げられる。
【0107】
上記式(2)で表される化合物としては、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミン、N−ニトロソジメチルアミン、N−ニトロソジフェニルアミンなどが挙げられる。
【0108】
また、上記式(2)で表される化合物の金属塩としては、アルミニウム塩などが挙げられ、具体的にはN−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩などが挙げられる。
【0109】
<他のラジカル捕獲剤>
本発明において、上記フェノール系ラジカル捕獲剤および上記ニトロソ基含有ラジカル捕獲剤とともに、ヒドロキノン、ヒドロキノンのモノエステル化物、フェノチアジン、p−t−ブチルカテコール、N−フェニルナフチルアミン、クロラニール、ピロガロールなどの他のラジカル捕獲剤を用いてもよい。
【0110】
上記フェノール系ラジカル捕獲剤および上記ニトロソ基含有ラジカル捕獲剤は合計で、上記感光性樹脂成分全量に対して、好ましくは0.1〜15重量%、より好ましくは0.2〜10重量%で含まれる。
【0111】
また、上記ニトロソ基含有ラジカル捕獲剤は、上記フェノール系ラジカル捕獲剤100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.02〜5重量部、特に好ましくは0.03〜3重量部の量で含まれる。
【0112】
上記フェノール系ラジカル捕獲剤および上記ニトロソ基含有ラジカル捕獲剤の含有量が上記範囲にあると、感光性組成物の保存安定性をより一層向上させることができる、あるいは微細パターンを形成することができる。
【0113】
《添加剤》
本発明の感光性組成物には、有機系染料からなる紫外線吸収剤、ラジカル捕獲剤(G)以外の酸化防止剤、密着助剤、溶解促進剤、増感助剤、可塑剤、増粘剤、分散剤、上記無機粒子およびアルカリ可溶性樹脂(C)の沈降防止剤、レベリング剤などの添加剤を配合してもよい。
【0114】
<紫外線吸収剤>
本発明の感光性組成物には、有機系染料からなる紫外線吸収剤を配合してもよい。紫外線吸収効果の高い化合物を配合することによって、高アスペクト比、高精細および高解像度のパターンが得られる。
【0115】
有機系染料としては、350〜450nmの波長範囲で高い紫外線吸収係数を有する有機系染料を好ましく用いることができる。有機系染料の具体例としては、アゾ系染料、アミノケトン系染料、キサンテン系染料、キノリン系染料、アミノケトン系染料、アントラキノン系染料、ベンゾフェノン系染料、ジフェニルシアノアクリレート系染料、トリアジン系染料、p−アミノ安息香酸系染料が挙げられる。
【0116】
有機系染料を使用する場合、有機系染料は、ガラス粉末(B)100重量部に対して、好ましくは0.001〜5重量部、より好ましくは0.01〜1重量部の量で含まれる。有機系染料の含有量が前記範囲を下回ると、有機系染料を配合した効果が減少することがある。有機系染料の含有量が前記範囲を上回ると、有機系染料を配合した効果が大きいため、感光性樹脂層の底部まで露光光が届かなくなることがある。このため、パターンを形成できなくなることや成膜強度を保てないことがある。
【0117】
<酸化防止剤>
本発明の感光性組成物には、保存時におけるアルカリ可溶性樹脂(C)の酸化を防ぐために、ラジカル捕獲剤(G)以外の酸化防止剤を配合してもよい。酸化防止剤としては、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,2−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチ
ルフェノール)、2,2−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)ブタン、ビス[3,3−ビス−(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、ジラウリルチオジプロピオナート、トリフェニルホスファイトなどが挙げられる。
【0118】
酸化防止剤を使用する場合、該酸化防止剤は、感光性組成物全量に対して、好ましくは0.001〜1重量%、より好ましくは0.005〜0.5重量%の量で含まれる。
【0119】
<密着助剤>
本発明の感光性組成物には、感光性樹脂層とガラス基板などの支持体との密着性を向上させるため、密着助剤を配合してもよい。密着助剤としては、シラン化合物が好適に用いられる。
【0120】
シラン化合物としては、n−プロピルジメチルメトキシシラン、n−ブチルジメチルメトキシシラン、n−デシルジメチルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジメチルメトキシシラン、n−イコサンジメチルメトキシシラン、n−プロピルジエチルメトキシシラン、n−ブチルジエチルメトキシシラン、n−デシルジエチルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジエチルメトキシシラン、n−イコサンジエチルメトキシシラン、n−ブチルジプロピルメトキシシラン、n−デシルジプロピルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジプロピルメトキシシラン、n−イコサンジプロピルメトキシシラン、
n−プロピルジメチルエトキシシラン、n−ブチルジメチルエトキシシラン、n−デシルジメチルエトキシシラン、n−ヘキサデシルジメチルエトキシシラン、n−イコサンジメチルエトキシシラン、n−プロピルジエチルエトキシシラン、n−ブチルジエチルエトキシシラン、n−デシルジエチルエトキシシラン、n−ヘキサデシルジエチルエトキシシラン、n−イコサンジエチルエトキシシラン、n−ブチルジプロピルエトキシシラン、n−デシルジプロピルエトキシシラン、n−ヘキサデシルジプロピルエトキシシラン、n−イコサンジプロピルエトキシシラン、
n−プロピルジメチルプロポキシシラン、n−ブチルジメチルプロポキシシラン、n−デシルジメチルプロポキシシラン、n−ヘキサデシルジメチルプロポキシシラン、n−イコサンジメチルプロポキシシラン、n−プロピルジエチルプロポキシシラン、n−ブチルジエチルプロポキシシラン、n−デシルジエチルプロポキシシラン、n−ヘキサデシルジエチルプロポキシシラン、n−イコサンジエチルプロポキシシラン、n−ブチルジプロピルプロポキシシラン、n−デシルジプロピルプロポキシシラン、n−ヘキサデシルジプロピルプロポキシシラン、n−イコサンジプロピルプロポキシシラン、
n−プロピルメチルジメトキシシラン、n−ブチルメチルジメトキシシラン、n−デシルメチルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジメトキシシラン、n−イコサンメチルジメトキシシラン、n−プロピルエチルジメトキシシラン、n−ブチルエチルジメトキシシラン、n−デシルエチルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジメトキシシラン、n−イコサンエチルジメトキシシラン、n−ブチルプロピルジメトキシシラン、n−デシルプロピルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルプロピルジメトキシシラン、n−イコサンプロピルジメトキシシラン、
n−プロピルメチルジエトキシシラン、n−ブチルメチルジエトキシシラン、n−デシルメチルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジエトキシシラン、n−イコサンメチルジエトキシシラン、n−プロピルエチルジエトキシシラン、n−ブチルエチルジエトキシシラン、n−デシルエチルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジエトキシシラン、n−イコサンエチルジエトキシシラン、n−ブチルプロピルジエトキシシラン、n−デシルプロピルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルプロピルジエトキシシラン、n−イコサンプロピルジエトキシシラン、
n−プロピルメチルジプロポキシシラン、n−ブチルメチルジプロポキシシラン、n−デシルメチルジプロポキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジプロポキシシラン、n−イコサンメチルジプロポキシシラン、n−プロピルエチルジプロポキシシラン、n−ブチルエチルジプロポキシシラン、n−デシルエチルジプロポキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジプロポキシシラン、n−イコサンエチルジプロポキシシラン、n−ブチルプロピルジプロポキシシラン、n−デシルプロピルジプロポキシシラン、n−ヘキサデシルプロピルジプロポキシシラン、n−イコサンプロピルジプロポキシシラン、
n−プロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−イコサントリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−ヘキサデシルトリエトキシシラン、n−イコサントリエトキシシラン、n−プロピルトリプロポキシシラン、n−ブチルトリプロポキシシラン、n−デシルトリプロポキシシラン、n−ヘキサデシルトリプロポキシシラン、n−イコサントリプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、
N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N,N'−ビス−[3−(ト
リメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンなどが挙げられる。これらのシラン化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0121】
密着助剤を使用する場合、密着助剤は、アルカリ可溶性樹脂(C)100重量部に対して、好ましくは0.05〜15重量部、より好ましくは0.1〜10重量部の量で含まれる。
【0122】
<溶解促進剤>
本発明の感光性組成物には、後述する現像液への充分な溶解性を発現させる目的で、溶解促進剤を配合してもよい。溶解促進剤としては、界面活性剤が好ましく用いられる。前記界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、脂肪酸などが挙げられる。
【0123】
フッ素系界面活性剤の市販品としては、BM CHIMIE社製「BM−1000」、「BM−1100」;大日本インキ化学工業(株)製「メガファックF142D」、「同F172」、「同F173」、「同F183」;住友スリーエム(株)製「フロラードFC−135」、「同FC−170C」、「同FC−430」、「同FC−431」;旭硝子(株)製「サーフロンS−112」、「同S−113」、「同S−131」、「同S−141」、「同S−145」、「同S−382」、「同SC−101」、「同SC−102」、「同SC−103」、「同SC−104」、「同SC−105」、「同SC−106」などが挙げられる。
【0124】
シリコーン系界面活性剤の市販品としては、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製「SH−28PA」、「SH−190」、「SH−193」、「SZ−6032」、「SF−8428」、「DC−57」、「DC−190」;信越化学工業(株)製「KP341」;新秋田化成(株)製「エフトップEF301」、「同EF303」、「同EF352」などが挙げられる。
【0125】
ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエ
チレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシアルキレンアリールエーテル類;ポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンジステアレートなどのポリオキシエチレンジアルキルエステル類などが挙げられる。
【0126】
ノニオン系界面活性剤の市販品としては、花王(株)製「エマルゲンA−60」、「A−90」、「A−550」、「B−66」、「PP−99」;共栄社化学(株)製「(メタ)アクリル酸系共重合体ポリフローNo.57」、「同No.90」などが挙げられる。
【0127】
脂肪酸としては、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ぺラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトイル酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセレン酸、ネルボン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸などが挙げられる。
【0128】
上記界面活性剤の中では、現像時に未露光部の除去が容易であることから、ノニオン系界面活性剤が好ましく、ポリオキシアルキレンアリールエーテル類がより好ましく、該ポリオキシアルキレンアリールエーテル類の中では、下記式(3)で表される化合物が特に好ましい。
【0129】
【化3】

【0130】
式(3)中、R1は炭素数1〜5のアルキル基、好ましくはメチル基であり;pは1〜5
の整数であり;sは1〜5の整数、好ましくは2であり;tは1〜100の整数、好ましくは10〜20の整数である。
【0131】
溶解促進剤を使用する場合、該溶解促進剤は、アルカリ可溶性樹脂(C)100重量部に対して、好ましくは0.001〜20重量部、より好ましくは0.01〜15重量部、特に好ましくは0.1〜10重量部の量で含まれる。溶解促進剤の含有量が前記範囲にあると、後述する現像液への溶解性に優れた感光性組成物が得られる。
【0132】
《感光性組成物の調製》
本発明の感光性組成物は、上記各成分を所定の組成比となるように調合し、3本ロールや混練機で均質に混合分散して調製される。本発明の感光性組成物は、ペースト状、固体状、液体状など何れの形状の組成物でも構わないが、成形性などの観点から、ペースト状の組成物であることが好ましい。例えば、感光性組成物の粘度は、100〜500000cps(センチ・ポイズ)であることが好ましい。なお、感光性組成物の粘度は、上記無機粒子、溶剤(F)、増粘剤、可塑剤および沈殿防止剤などの配合量によって適宜調整することができる。
【0133】
〔パターン形成方法〕
本発明のパターン形成方法は、上記感光性組成物からなる感光性樹脂層を基板上に形成する工程(感光性樹脂層形成工程)、該感光性樹脂層を露光処理してパターンの潜像を形成する工程(露光工程)、該感光性樹脂層を現像処理してパターンを形成する工程(現像工程)、および該パターンを焼成処理する工程(焼成工程)を含む。また、前記感光性樹脂層形成、露光、現像、焼成の各工程中に、乾燥または予備反応の目的で、50〜300℃の加熱工程を導入してもよい。
【0134】
<感光性樹脂層形成工程>
本工程では、上記感光性組成物からなる感光性樹脂層を基板上に形成する。感光性樹脂層の形成方法としては、例えば、(i)上記感光性組成物を基板上に塗布して塗膜を
形成し、該塗膜を乾燥させて形成する方法、(ii)上記感光性組成物を支持フィルム上に塗布して塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させて得られる感光性樹脂層を有する転写フィルムを用いて、基板上に該樹脂層を転写する方法などが挙げられる。
【0135】
(i)上記感光性組成物を基板上に塗布する方法としては、膜厚が大きく、かつ均一
性に優れた塗膜を効率よく形成することができる方法であれば特に限定されない。例えば、ナイフコータによる塗布方法、ロールコータによる塗布方法、ドクターブレードによる塗布方法、カーテンコータによる塗布方法、ダイコータによる塗布方法、ワイヤーコータによる塗布方法、スクリーン印刷装置によるスクリーン印刷法が挙げられる。
【0136】
塗膜の乾燥条件は、乾燥後における溶剤(F)の残存割合が2重量%以内となるように適宜調整すればよく、例えば、乾燥温度が50〜150℃、乾燥時間が0.5〜60分程度である。
【0137】
感光性樹脂層の膜厚は、好ましくは3〜300μm、より好ましくは5〜200μmである。なお、感光性組成物の塗布をn回繰り返すことで、n層(nは2以上の整数を示す。)の感光性樹脂層を有する積層体を形成してもよい。
【0138】
(ii)上記感光性樹脂層を有する転写フィルムを用いた転写工程の一例を以下に示す。基板と感光性樹脂層とが接するように、基板と転写フィルムとを重ね合わせ、該転写フィルムを加熱ローラなどにより熱圧着した後、該樹脂層から支持フィルムを剥離除去する。これにより、基板上に感光性樹脂層が転写されて密着した状態となる。
【0139】
上記支持フィルムは、耐熱性および耐溶剤性を有するとともに可撓性を有する樹脂フィルムであることが好ましい。支持フィルムを形成する樹脂としては、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリフロロエチレンなどの含フッ素樹脂、ナイロン、セルロースなどが挙げられる。
【0140】
転写条件としては、例えば、加熱ローラの表面温度が10〜200℃、加熱ローラによるロール圧が0.5〜10kg/cm2、加熱ローラの移動速度が0.1〜10m/分で
ある。また、上記基板は予熱されていてもよく、その予熱温度は、例えば40〜140℃である。
【0141】
上記基板としては、ガラス、セラミック、シリコーン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族アミド、ポリアミドイミド、ポリイミドなどの絶縁性材料からなる板状部材などが挙げられる。これらの中では、耐熱性を有するガラス基板が好ましい。
【0142】
<露光工程>
本工程では、上記感光性樹脂層形成工程により基板上に感光性樹脂層を形成した後、露光装置を用いて露光を行う。具体的には、露光用マスクを介して、紫外線などの露光光を選択的に感光性樹脂層に照射して、該樹脂層にパターンの潜像を形成する。
【0143】
露光は通常のフォトリソグラフィーで行われるように、フォトマスクを用いてマスク露光する方法を採用することができる。フォトマスクの露光パターンは、目的によって異なるが、例えば10〜500μm幅のストライプまたは格子である。また、フォトマスクを用いずに、赤色や青色の可視光レーザー光、Arイオンレーザーなどで直接描画する方法を用いてもよい。
【0144】
露光装置としては、平行光露光機、散乱光露光機、ステッパー露光機、プロキシミティ露光機などを用いることができる。また、大面積の露光を行う場合は、ガラス基板などの基板上に感光性樹脂層を形成した後に、これを搬送しながら露光することによって、小さな露光面積の露光機で、大きな面積を露光することができる。
【0145】
露光光としては、可視光線、近紫外線、紫外線、電子線、X線、レーザー光などが挙げられるが、これらの中では紫外線が好ましい。紫外線の光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプなどが挙げられる。これらの中では超高圧水銀灯が好ましい。
【0146】
露光条件は、塗布厚みによって異なるが、例えば1〜100mW/cm2出力の超高圧
水銀灯を用いて0.05〜1分間露光を行う。この場合、波長フィルターを用いて露光光の波長領域を狭くすることによって、光の散乱を抑制し、パターン形成性を向上させることができる。具体的には、i線(365nm)の光をカットするフィルター、あるいは、i線およびh線(405nm)の光をカットするフィルターを用いて、パターン形成性を向上させることができる。
【0147】
<現像工程>
本工程では、上記露光後、露光部と非露光部との現像液に対する溶解度差を利用して、感光性樹脂層を現像してパターンを形成する。現像方法(例:浸漬法、揺動法、シャワー法、スプレー法、パドル法、ブラシ法)および現像処理条件(例:現像液の種類・組成・濃度、現像時間、現像温度)などは、感光性樹脂層の種類に応じて適宜選択、設定すればよい。
【0148】
現像時の現像温度は、20〜50℃で行うことが工程管理上好ましい。
【0149】
現像工程で用いられる現像液としては、感光性樹脂層中にアルカリ可溶性樹脂(C)が存在するため、アルカリ水溶液などのアルカリ現像液を使用できる。また、感光性樹脂層中の有機物質を溶解可能な有機溶剤も使用できる。なお、前記有機溶剤にその溶解力が失われない範囲で水を添加してもよい。
【0150】
上記感光性樹脂層には上記無機粒子が含まれている。上記無機粒子はアルカリ可溶性樹脂(C)により均一に分散されているため、該樹脂(C)を現像液で溶解して洗浄することにより、該無機粒子も同時に除去される。
【0151】
上記アルカリ水溶液としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ホウ
酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、アンモニア水溶液、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられる。
【0152】
上記アルカリ水溶液のアルカリ濃度は、通常は0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%である。アルカリ濃度が低すぎると可溶部(未露光部)が除去されず、アルカリ濃度が高すぎるとパターンを剥離するおそれ、あるいは非可溶部(露光部)を腐食するおそれがある。
【0153】
上記アルカリ水溶液には、ノニオン系界面活性剤や有機溶剤などの添加剤が含有されていてもよい。なお、アルカリ現像液による現像処理がなされた後は、通常は水洗処理が施される。
【0154】
<焼成工程>
本工程では、現像工程により形成されたパターンに含まれる有機物質を焼失させるために、焼成炉にて該パターンを焼成処理する。
【0155】
焼成雰囲気は、感光性組成物や基板の種類によって異なるが、空気、オゾン、窒素、水素などの雰囲気中で焼成する。焼成炉としては、バッチ式の焼成炉やベルト式の連続型焼成炉を用いることができる。
【0156】
焼成処理条件は、パターン中の有機物質が焼失することが必要であるため、通常は、焼成温度が300〜1000℃、焼成時間が10〜90分間程度である。例えば、ガラス基板上にパターンを形成する場合は、焼成温度が350〜600℃、焼成時間が10〜60分程度である。
【0157】
〔電極の製造方法〕
本発明の電極の製造方法は、上記感光性組成物を用いて、フォトリソグラフィー法によりパターン形成することを特徴とする。ここで、前記パターン形成は、〔パターン形成方法〕の欄に記載した方法を採用できる。特に、本発明の電極の製造方法を用いることにより、PDP用電極を好適に製造にすることができる。
【0158】
また、上記パターン形成方法を用いることにより、ディスプレイパネル(例:FPD)の電極以外の部材、電子部品の高度実装材料の部材(例:回路パターン)および太陽電池の部材(例:配線パターン)を形成することができる。
【実施例】
【0159】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されない。なお、実施例および比較例における「部」および「%」は、特に断りのない限り、それぞれ「重量部」および「重量%」を示す。
【0160】
まず、物性の測定方法および評価方法について説明する。
【0161】
〔フレーク状アルミニウム粉末のリーフィング価〕
JIS K5906に記載の方法に従って、フレーク状アルミニウム粉末のリーフィング価を測定した。なお、実施例および比較例で用いたフレーク状アルミニウム粉末は、全てオレイン酸による処理がなされたものである。
【0162】
〔50重量%平均粒子径(D50)の測定方法〕
レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所(株)製「SALD−2000J」)を用いて、アルミニウム粉末およびガラス粉末の50重量%平均粒子径(D50)を測定した。
【0163】
〔アルミニウム粉末の平均厚さの測定方法〕
電子顕微鏡装置(SEM、日立テクノロジー(株)製「S−4300」)を用いて、アルミニウム粉末100個の厚さを測定し、これらの平均値をアルミニウム粉末の平均厚さとした。
【0164】
〔軟化点の測定方法〕
示差走査熱量計(DSC)(TA Instruments製「2910、モジュレイテッドDSC」)を用いて、ガラス粉末の軟化点を測定した。
【0165】
〔MwおよびMw/Mnの測定方法〕
アルカリ可溶性樹脂のMwおよびMw/Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製「HLC−8220GPC」)により測定したポリスチレン換算の値である。なお、GPC測定は、GPCカラムとして東ソー(株)製「TSKguardcolumn SuperHZM−M」を用い、テトラヒドロフラン(THF)溶媒、測定温度40℃の条件で行った。
【0166】
〔保存安定性の評価方法〕
実施例および比較例で得られたペースト状の感光性組成物20gを30mLポリプロピレン容器に投入して、該容器を窒素ガスでパージした後に閉め、40℃の条件下で2週間エージングし、該感光性組成物がゲル化しているか否か(ゲル化した場合には、ゲル化するまでの日数)の評価を行った。ここで、ゲル化とはペーストの固化を意味する。
【0167】
〔体積抵抗の測定方法〕
実施例および比較例で得られた感光性組成物を、ガラス基板上に塗布して塗膜を形成し、該塗膜を焼成することにより、該ガラス基板上に膜厚5μmの焼成膜を形成した。次に、NPS社製の「Resistivity Proccessor ModelΣ−5」を用いて、前記焼成膜の体積抵抗(μΩ・cm)を測定した。
【0168】
〔現像後および焼成後のパターンの評価方法〕
実施例および比較例で得られた現像後および焼成後の試験片を切断して、パターン切断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所製「S4200」)で観察して、パターンの幅および高さを計測し、それぞれを下記基準で評価した。なお、所望の規格は、パターンの幅が100μm、高さが5μm、間隔が100μmである。
A:所望の規格のもの。
B:所望の規格から±5%以内のもの。
C:所望の規格から±5%を超えて±20%以内のもの。
D:所望の規格から±20%を超えるもの。
【0169】
〔焼成後のパターン密着性の評価方法〕
実施例および比較例で得られた焼成後の試験片を用いて、パターンと支持体であるガラス基板との密着性を、以下のように評価した。加熱ローラを用いて、セロテープ(登録商標)(ニチバン社製)を、ガラス基板のパターン形成面に熱圧着した。熱圧着条件は、加熱ローラの表面温度を23℃、ロール圧を4kg/cm2、加熱ローラの移動速度を0.
5m/分とした。これにより、ガラス基板のパターン形成面にセロテープ(登録商標)が転写されて、ガラス基板とセロテープ(登録商標)とが密着した状態となった。このセロ
テープ(登録商標)をガラス基板から剥離することで、パターン密着性を下記基準で評価した。
○:パターン剥れなし。
×:パターン剥れあり。
【0170】
〔合成例1〕
n−ブチルメタクリレート40部、2−エチルヘキシルメタクリレート30部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15部、メタクリル酸15部、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1.0部、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオン酸)(堺化学工業(株)製)2部、テキサノール150部を攪拌機付きオートクレーブに仕込み、窒素雰囲気下において、これらが均一に分散するまで攪拌した。
【0171】
次に、上記モノマーを80℃で4時間重合させ、さらに100℃で1時間重合させた後、室温まで冷却して、SH基を有するアルカリ可溶性樹脂(C1)を得た。このアルカリ可溶性樹脂(C1)の重合率は99%であり、重量平均分子量は25000(Mw/Mn=1.8)であった。
【0172】
〔合成例2〕
n−ブチルメタクリレート40部、2−エチルヘキシルメタクリレート30部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15部、メタクリル酸15部、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1.0部、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオン酸)(堺化学工業(株)製)2部、プロピレングリコールモノメチルエーテル150部を攪拌機付きオートクレーブに仕込み、窒素雰囲気下において、これらが均一に分散するまで攪拌した。
【0173】
次に、上記モノマーを80℃で4時間重合させ、さらに100℃で1時間重合させた後、室温まで冷却して、SH基を有するアルカリ可溶性樹脂(C2)を得た。このアルカリ可溶性樹脂(C2)の重合率は99%であり、重量平均分子量は22000(Mw/Mn=1.8)であった。
【0174】
〔感光性樹脂成分の調製〕
表3に示す組成の感光性樹脂成分(1)〜(11)を調製した。
【0175】
【表1】

【0176】
【表2】

【0177】
【表3】

【0178】
[実施例1]
表1に示すアルミニウム粉末A1(30g)、表2に示すガラス粉末B1(5g)および表3に示す感光性樹脂成分(1)(65g)を混練機で混練して、感光性組成物を調製した。前記感光性組成物を用いて、上記方法に従い、保存安定性および体積抵抗を評価・測定した。評価・測定結果を表4に示す。
【0179】
325メッシュのスクリーンを用いて、上記感光性組成物を試験片(ガラス基板、150mm×150mm×1.8mm)上に100mm角の大きさでベタに印刷し、80℃で20分間保持して乾燥し、感光性樹脂層を形成した。なお、感光性樹脂層の膜厚は、5μm±1μmの範囲にあった。
【0180】
次に、ネガ型クロムマスク(パターン幅100μm、パターン間隔100μm)を用いて、25mW/cm2出力の超高圧水銀灯により、上記感光性樹脂層を上面から紫外線露
光した。露光量は300mJ/cm2であった。
【0181】
次に、露光後の感光性樹脂層に、23℃に保持した0.5%炭酸ナトリウム水溶液をシャワーで60秒間かけ、該感光性樹脂層を現像した。その後、シャワースプレーを用いて水洗浄し、未露光部を除去して、ガラス基板上にネガ型クロムマスクに対応する硬化パターンを形成した。上記評価方法に従い、この現像後の硬化パターンを評価した。評価結果を表4に示す。
【0182】
次に、上記硬化パターンを580℃で30分間焼成して、電極パターンを形成した。上記評価方法に従い、この焼成後の電極パターンを評価した。評価結果を表4に示す。
【0183】
[実施例2〜12、参考例1〜2、比較例1〜5]
実施例1において、表4に示す組成の感光性組成物を調製したこと以外は実施例1と同様にして、ガラス基板上に感光性樹脂層、硬化パターンおよび電極パターンを順次形成した。評価・測定結果を表4に示す。
【0184】
[実施例13]
実施例1において、表1に示すアルミニウム粉末A2に金メッキ処理がなされた粉末(メッキ膜厚:100nm)(30g)、表2に示すガラス粉末B1(5g)および表3に示す感光性樹脂成分(1)(65g)を混練機で混練して、感光性組成物を調製したこと以外は実施例1と同様にして、ガラス基板上に感光性樹脂層、硬化パターンおよび電極パターンを順次形成した。評価・測定結果を表4に示す。
【0185】
【表4】

【符号の説明】
【0186】
101 ガラス基板
102 ガラス基板
103 背面隔壁
104 透明電極
105 バス電極
106 アドレス電極
107 蛍光体
108 誘電体層
109 誘電体層
110 保護層
111 前面隔壁
201 ガラス基板
202 ガラス基板
203 絶縁層
204 透明電極
205 エミッタ
206 カソード電極
207 蛍光体
208 ゲート
209 スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機粒子と感光性樹脂成分とからなる感光性組成物であって、
前記無機粒子が、(A)アルミニウム粉末およびアルミニウム合金粉末から選ばれる1種以上の金属粉末を含み、前記感光性樹脂成分が、(C)アルカリ可溶性樹脂、(D)多官能(メタ)アクリレート、(E)光重合開始剤、(F)溶剤および(G)ラジカル捕獲剤を含み、
前記金属粉末(A)の50重量%平均粒子径(D50)が1.0〜20.0μmであり、前記ラジカル捕獲剤(G)がフェノール系ラジカル捕獲剤とニトロソ基含有ラジカル捕獲剤とを含むことを特徴とするアルミニウム含有感光性組成物。
【請求項2】
前記フェノール系ラジカル捕獲剤が、ヒンダードフェノール系ラジカル捕獲剤、p−メトキシフェノールおよびp−ヒドロキシスチレンから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム含有感光性組成物。
【請求項3】
前記ニトロソ基含有ラジカル捕獲剤が、前記フェノール系ラジカル捕獲剤100重量部に対して、0.01〜10重量部の量で含まれることを特徴とする請求項1または2に記載のアルミニウム含有感光性組成物。
【請求項4】
前記フェノール系ラジカル捕獲剤および前記ニトロソ基含有ラジカル捕獲剤が合計で、前記感光性樹脂成分全量に対して0.1〜15重量%の量で含まれることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のアルミニウム含有感光性組成物。
【請求項5】
前記無機粒子がガラス粉末(B)をさらに含み、
前記ガラス粉末(B)の50重量%平均粒子径(D50)が0.2〜5.0μmであり、前記ガラス粉末(B)の最大粒子径(Dmax)が30μm以下である
ことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のアルミニウム含有感光性組成物。
【請求項6】
前記ガラス粉末(B)の軟化点が300〜700℃であり、
前記ガラス粉末(B)が感光性組成物全量に対して0.5〜20重量%の量で含まれることを特徴とする請求項5に記載のアルミニウム含有感光性組成物。
【請求項7】
前記金属粉末(A)が、感光性組成物全量に対して20〜70重量%の量で含まれることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のアルミニウム含有感光性組成物。
【請求項8】
請求項1〜7の何れかに記載のアルミニウム含有感光性組成物を用いて、フォトリソグラフィー法によりパターン形成することを特徴とする電極の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−243816(P2010−243816A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−92805(P2009−92805)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】