説明

アレナウイルス感染を治療するための抗ウイルス薬

特定の新規化合物を治療に有効な量で投与することによってウイルス感染を治療するための化合物、方法および医薬組成物が開示されている。この化合物を調製する方法、およびこの化合物および医薬組成物を用いる方法も開示されている。特に、例えば、出血熱ウイルス(すなわち、アレナウイルス科(フニン、マチュポ、グアナリト、サビア、ラッサ、タカリベ、ピチンデおよびLCMV)、フィロウイルス科(エボラウイルスおよびマールブルグウイルス)、フラビウイルス科(黄熱病ウイルス、オムスク出血熱ウイルスおよびキャサヌール森林病ウイルス)、ブニヤウイルス科(リフトバレー熱およびクリミア・コンゴ出血熱)が挙げられるが、限定されない)によって引き起こされるようなウイルス感染の治療および予防が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2007年3月2日に出願され、現在係属中の米国特許出願第11/712,918号の一部継続出願であり、2006年3月2日に出願された米国特許仮出願第60/778,107号の利益を請求する。どちらの出願も、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
ラッサ熱、アルゼンチン出血熱、ボリビア出血熱、ベネズエラ出血熱などのアレナウイルスファミリーに関連するウイルス疾患を治療するか、または予防するためのベンズイミダゾール誘導体および類似体の使用、およびこれらを含有する組成物の使用に関する。
(連邦政府が資金援助した研究または開発に関する言及)
【0003】
本明細書に記載した研究は、米国政府(国立衛生研究所SBIR助成番号第7R43A1056525号および第R44 AI056525号)からの基金によって部分的に援助され、そのため、米国政府は、本発明に対し特定の権利を有し得る。
【背景技術】
【0004】
ウイルス性出血熱は、広範囲にわたる血管損傷および出血性素因、熱、複数の臓器病変を特徴とする重篤な疾病である。多くの異なるウイルスが、この症候群を引き起こす可能性があり、それぞれ、独自の病原体保有動物をもち、ヒトにおいて独自の伝搬様式、致死率、臨床転帰をもつ。これらのウイルスは、アレナウイルス科(Arenaviridae)、ブニヤウイルス科(Bunyaviridae)、フィロウイルス科(Filoviridae)、フラビウイルス科(Flaviviridae)の4種類のウイルスファミリーに分けられる。これらのウイルスの中には、顕著な疾病率および死亡率をもたらすものもあり、エアロゾル散布によって高い感染性を有する場合があり、兵器化への懸念が高まっている。1999年に、疾病予防管理センター(CDC)は、バイオテロリズムに対応する能力を高めるため、連邦議会への発議権の一部として、潜在的な生物テロ薬剤を特定し、分類した。フィロウイルスおよびアレナウイルスは、カテゴリーAに指定され、このカテゴリーは、公衆衛生および安全性に最も潜在的な影響を与え、大スケールでの散布の可能性があり、都市を崩壊させる能力をもち、公衆衛生面での防衛力の要求が最も満たされていない病原体であると定義される。それ以来、国立アレルギー感染病研究所(NIAID)は、数種類の出血性ブニヤウイルスおよびフラビウイルスをカテゴリーAのリストに加えた。それに加え、民間の生物兵器防衛に関するワーキンググループ(Working Group on Civilian Biodefense)は、ラッサを含む数種類の出血熱ウイルスを、生物兵器として使用される危険性が最も高く、新しい抗ウイルス治療の探索が推奨されるウイルスであると記載した。
【0005】
出血熱ウイルスの予防および治療の選択肢は限定されている。黄熱病の有効なワクチンを除き、利用可能な認可済ワクチンまたはFDA承認済の抗ウイルス薬はない。リバビリンを静脈内投与してアレナウイルスおよびブニヤウイルスを治療することは、成功している場合もあるが、その使用は、以下に示すようにかなり限定されている。それに加え、エボラおよびラッサに対する有望なワクチンが近年報告されている。優れたワクチンは、生物兵器防衛の有効な必須要素であり得るが、免疫開始までには典型的には遅延があり、潜在的な副作用があり、費用がかかり、リスクが低い脅威病原体に対する一般人への大規模ワクチン接種に付随して運搬が必要であることから、包括的な生物兵器防衛には、別の迅速に応答する要素が含まれることが示唆される。したがって、生物による攻撃の可能性に対して防御するための安全かつ有効な生成物を開発することが、依然として緊急に必要とされている。
【0006】
ラッサ熱ウイルスは、エンベロープを有するRNAウイルスのファミリーである、アレナウイルス科のメンバーである。天然の宿主動物であるげっ歯類におけるアレナウイルス感染は、通常慢性であり、無症状である。アレナウイルスの中には、ラッサウイルス、マチュポウイルス、グアナリトウイルス、フニンウイルスを含め、ヒトにおいて重篤な出血熱を引き起こすものがある。ヒトへの伝染は、感染したげっ歯類またはその生息場所との直接的な接触から、またはエアロゾル化したげっ歯類分泌物によって、または感染したヒトの体液と接触することによって起こる場合がある。アレナウイルスは世界中で見られるが、ほとんどのウイルス種は、地理的に、特定の地方に局在化しており、関与する特定のげっ歯類宿主がいる範囲を反映している。アレナウイルス科は、単一の属(アレナウイルス)を含み、この属は、系統発生および血清学的検査に基づいて、2つの主な系統に分けられる。ラッサ熱は、旧世界アレナウイルスのメンバーであり、新世界アレナウイルスは、3つのクレード(A〜C)にさらに分けられ、そのうちの1つ(クレードB)は、病原性のカテゴリーA出血熱ウイルスをいくつか含んでいる。
【0007】
ラッサ熱は、西アフリカ、特に、ギニア、リベリア、シエラレオネ、ナイジェリア諸国の風土病である。ヒトへの感染は、年間、100,000〜500,000人であると概算される。ラッサ熱の初期症状は、暴露から約10日後にあらわれ、熱、のどの痛み、胸および背部の痛み、咳、嘔吐、下痢、結膜炎、顔のむくみ、タンパク尿、粘膜からの出血が含まれる。症状の性質が特異的ではないことから、臨床診断は困難なことが多い。死亡例では、症状の進行が続くことにより、ショック状態となる。入院患者のうち、死亡率は15〜20%であるが、ある発生例では、致死率が50%より高いと報告されている。感染性ウイルスは、回復期にある患者の体液に数週間にわたってとどまっている場合がある。生存者では、一過性または永久的な難聴が一般的であり、中程度の症例または無症状の症例において、重篤な症例と同程度の頻度で起こると思われる。ラッサ熱は、時折ヨーロッパおよび米国に持ち込まれ、最近では、2004年に持ち込まれた。ウイルスが西アフリカの外で風土病となる危険性は、げっ歯類宿主の性質から、低いと考えられる。しかし、海外旅行の増加およびウイルスの適用が組み合わさって、ウイルスが新しい生体系に「ジャンプする」可能性も限定的ではあるが存在する。例えば、西ナイルウイルスは、1999年にニューヨーク市地域に伝わり、現在では、米国の風土病である。
【0008】
1980年代にシエラレオネで行われた小規模治験によって、非特異的な抗ウイルス活性を示すヌクレオシド類似体であるリバビリンで静脈内治療することにより、高リスク患者においてラッサ熱による死亡率が減少しうることが示された。リバビリンは、インビトロでラッサ熱ウイルスのRNA合成を阻害することが示された。利用可能性は限定されているが、静脈用リバビリンは、研究中の新薬プロトコルのもとに、例外的使用で利用可能である。さらに、リバビリンは、C型肝炎を治療するため、経口型でも利用可能である(インターフェロンと組み合わせて)が、ラッサ熱を治療するために経口投与されるリバビリンの効能に関しては、ほとんど知られていない。ヌクレオシド類似体として、リバビリンは、DNAおよびRNAの複製を妨害する場合があり、実際に、いくつかの動物種において、催奇形性および胚致死性があることがわかっている。したがって、リバビリンは、妊娠患者には禁忌である(妊娠カテゴリーX薬剤)。それに加え、リバビリンは、用量依存性溶血性貧血と関連付けられており、貧血は可逆性であるが、リバビリン−インターフェロン療法を受けているC型肝炎患者のおよそ10%で、貧血に関連する心臓事象および肺事象が生じる。静脈用リバビリンは高価であり、緊急時に、多くの一般人に毎日静脈投与するのは、煩雑なアプローチであろう。さらなる研究によって、最終的に、ラッサ熱を治療するために経口インターフェロンを単独で使用するか、または他の抗ウイルス薬と併用することが支持される可能性もある。成功する抗ウイルス療法は、インターフェロンおよびリバビリンを用いる慢性C型肝炎の治療、3つの異なる薬剤を組み合わせたものである高活性抗レトロウイルス療法(HAART)を用いるAIDSの治療のような医薬の組み合わせを投与する工程を含むことが多い。ウイルスに関連して突然変異率が高く、準種の性質のため、複数の別個の標的で作用する化合物で治療することは、単一薬剤で治療する場合よりも成功率が高い場合がある。
【0009】
アレナウイルスのゲノムは、一本鎖RNAの2つのセグメントで構成されており、このセグメントは、それぞれ、反対の配向で(アンビセンスと称される)2つの遺伝子をコードする。2つのセグメントの大きい方、L RNA(7.2kb)は、Lタンパク質およびZタンパク質をコードする。Lタンパク質は、RNA依存性RNAポリメラーゼであり、そしてZタンパク質は、ウイルス出芽に関与する小さい亜鉛結合性RINGフィンガータンパク質である。S RNA(3.4kb)は、核タンパク質(NP)およびエンベロープ糖タンパク質前駆体(GPC)をコードする。
【0010】
エンベロープ糖タンパク質は、ウイルスヌクレオカプシドを取り巻く脂質二重層に包埋されている。アレナウイルス糖タンパク質の特性によって、このタンパク質はI型エンベロープと分類することができることが示唆され、このI型エンベロープは、インフルエンザ赤血球凝集素に代表され、レトロウイルス、パラミクソウイルス、コロナウイルス、フィロウイルスにも見出される。I型エンベロープは、ウイルスを特定の宿主細胞受容体に付着させ、ウイルスの膜と宿主の膜との融合に介在し、それによって標的細胞内部にウイルスゲノムを沈着させるように機能する。小胞体膜を通るエンベロープタンパク質の翻訳時の転座は、N末端シグナルペプチドによって促進され、次いで、このシグナルペプチドは、シグナルペプチダーゼによって除去される。翻訳後のタンパク質分解によって、エンベロープが、受容体結合決定基を含有するN末端サブユニット(アレナウイルスに関してはGP1と称される)と、膜融合に関連する劇的なコンホメーション再配置を受けることが可能なC末端膜貫通サブユニット(GP2)とにさらに処理される。これら2つのサブユニットは互いに会合したままであり、ヘテロ二量体の三量体複合物になる。成熟エンベロープ糖タンパク質は、細胞膜などのウイルス出芽部位に集合し、ウイルス出芽が起こる際、ウイルスが得るエンベロープ内に包埋される。
【0011】
アレナウイルス糖タンパク質のシグナルペプチドは、あまりありふれたものではなく、長さは58アミノ酸であり、大部分のシグナルペプチドより長い。さらに、このシグナルペプチドは、エンベロープおよび成熟ビリオンと会合したままであり、このことが、その後のGP1-GP2処理に重要であると思われる。この処理は、エンベロープ機能に不可欠であり、細胞サブチラーゼSKI-1/S1Pが介在している。エンベロープ糖タンパク質は、宿主の細胞受容体と直接相互作用して、ウイルスが標的細胞に侵入しやすくなる。旧世界アレナウイルスの受容体は、ジストロフィン糖タンパク質複合体の主な構成要素であるα−ジストログリカンである。クレードCウイルスのみが、α−ジストログリカンを主な受容体として用いるため、新世界アレナウイルスは、この受容体から分岐したものであると考えられる。カテゴリーAの出血性新世界アレナウイルスは、トランスフェリン受容体1を用い、宿主細胞への侵入に介在する。
【0012】
当該技術分野に必要なのは、アレナウイルスのような出血熱ウイルスによって引き起こされるような、ウイルス感染またはこの感染に関連する疾患を治療するための新規治療法および予防法である。
【0013】
以下の刊行物は、当該技術分野の状態を示す。これらの刊行物は、その全体が参考として本明細書に援用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許出願第11/712,918号
【特許文献2】米国特許仮出願第60/778,107号
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Beyer, W. R., D. Popplau, W. Garten, D. von Laer, and O. Lenz. 2003. Endoproteolytic processing of the lymphocytic choriomeningitis virus glycoprotein by the subtilase SKI-1/S1 P. J Virol 77:2866-2872.
【非特許文献2】Beyer, W. R., M. Westphal, W. Ostertag, and D. von Laer. 2002. Oncoretrovifus and lentivirus vectors pseudotyped with lymphocytic choriomeningitis virus glycoprotein: generation, concentration, and broad host range. J Virol 76:1488-1495.
【非特許文献3】Borio, L., T. Inglesby, C. J. Peters, A. L. Schmaljohn, J. M. Hughes, P. B. Jahrling, T. Ksiazek, K. M. Johnson, A. Meyerhoff, T. O’Toole, M. S. Ascher, J. Bartlett, J. G. Breman, E. M. Eitzen, Jr., M. Hamburg, J. Hauer, D. A. Henderson, R. T. Johnson, G. Kwik, M. Layton, S. Lillibridge, G. J. Nabel, M. T. Osterholm, T. M. Perl, P. Russell, and K. Tonat. 2002. Hemorrhagic fever viruses as biological weapons: medical and public health management. JAMA 287:2391-2405.
【非特許文献4】Buchmeier, M. J., M. D. Bowen, and C. J. Peters. 2001. Arenaviridae: the viruses and their replication, p. 1635-1668. In D. M. Knipe and P. M. Howley (ed.), Fields virology, 4th ed. ed. Lippincott, Williams and Wilkins, Philadelphia PA.
【非特許文献5】Eschli, B., K. Quirin, A. Wepf, J. Weber, R. Zinkernagel, and H. Hengartner. 2006. Identification of an N-terminal trimeric coiled-coil core within arenavirus glycoprotein 2 permits assignment to class I viral fusion proteins. J. Virol. 80:5897-5907.
【非特許文献6】Cao, W., M. D. Henry, P. Borrow, H. Yamada, J. H. Elder, E. V. Ravkov, S. T. Nichol, R. W. Compans, K. P. Campbell, and M. B. A. Oldstone. 1998. Identification of α-dystroglycan as a receptor for lymphocytic choriomeningitis virus and Lassa fever virus. Science 282:2079-2081.
【非特許文献7】Centers for Disease Control and Prevention. 2004. Imported Lassa fever- New Jersey, 2004. MMWR Morb Mortal WkIy Rep 53:894-897.
【非特許文献8】Colman, P. M., and M. C. Lawrence. 2003. The structural biology of type I viral membrane fusion. Nat Rev MoI Cell Biol 4:309-319.
【非特許文献9】Connor, R. I., B. K. Chen, S. Choe, and N. R. Landau. 1995. Vpr is required for efficient replication of human immunodeficiency virus type-1 in mononuclear phagocytes. Virology 206:935-944.
【非特許文献10】Cummins, D., J. B. McCormick, D. Bennett, J. A. Samba, B. Farrar, S. J. Machin, and S. P. Fisher-Hoch. 1990. Acute sensorineural deafness in Lassa fever. JAMA 264:2093-2096.
【非特許文献11】Eichler, R., O. Lenz, T. Strecker, M. Eickmann, H. -D. Klenk, and W. Garten.2003. Identification of Lassa virus glycoprotein signal peptide as a frans-acting maturation factor. EMBO Rep 4:1084-1088.
【非特許文献12】Eichler, R., O. Lenz, T. Strecker, M. Eickmann, H. -D. Klenk, and W. Garten.2004. Lassa virus glycoprotein signal peptide displays a novel topology with an extended endoplasmic reticulum luminal region. J Biol Chem 279:12293-12299.
【非特許文献13】Eichler, R., O. Lenz, T. Strecker, and W. Garten. 2003. Signal peptide of Lassa virus glycoprotein GP-C exhibits an unusual length. FEBS Lett 538:203- 206.
【非特許文献14】Fisher-Hoch, S. P., O. Tomori, A. Nasidi, G. I. Perez-Oronoz, Y. Fakile, L. Hutwagner, and J. B. McCormick. 1995. Review of cases of nosocomial Lassa fever in Nigeria: the high price of poor medical practice. BMJ 311 :857- 859.
【非特許文献15】Gallaher, W. R., C. DiSimone, and M. J. Buchmeier. 2001. The viral transmembrane superfamily: possible divergence of Arenavirus and Filovirus glycoproteins from a common RNA virus ancestor. BMC Microbiol 1 :1.
【非特許文献16】Geisbert, T. W., S. Jones, E. A. Fritz, A. C. Shurtleff, J. B. Geisbert, R. Liebscher, A. Grolla, U. Stroher, L. Fernando, K. M. Daddario, M. C. Guttieri, B. R. Mothe, T. Larsen, L. E. Hensley, P. B. Jahrling, and H. Feldmann. 2005. Development of a new vaccine for the prevention of Lassa fever. PLoS Med 2:e183.
【非特許文献17】Haas, W. H., T. Breuer, G. Pfaff, H. Schmitz, P. Kohler, M. Asper, P. Emmerich, C. Drosten, U. Golnitz, K. Fleischer, and S. Gunther. 2003. Imported Lassa fever in Germany: surveillance and management of contact persons. Clin Infect Dis 36:1254-1258.
【非特許文献18】Hass, M., U. Golnitz, S. Muller, B. Becker-Ziaja, and S. Gunther. 2004. Replicon system for Lassa virus. J Virol 78:13793-13803.
【非特許文献19】Jones, S. M., H. Feldmann, U. Stroher, J. B. Geisbert, L. Fernando, A. Grolla, H.-D. Klenk, N. J. Sullivan, V. E. Volchkov, E. A. Fritz, K. M. Daddario, L. E. Hensley, P. B. Jahrling, and T. W. Geisbert. 2005. Live attenuated recombinant vaccine protects nonhuman primates against Ebola and Marburg viruses. Nat Med 11 :786-790.
【非特許文献20】Kunz, S., K. H. Edelmann, J. C. de Ia Torre, R. Gorney, and M. B. A. Oldstone. 2003. Mechanisms for lymphocytic choriomeningitis virus glycoprotein cleavage, transport, and incorporation into virions. Virology 314:168-178.
【非特許文献21】Lenz, O., J. ter Meulen, H. D. Klenk, N. G. Seidah, and W. Garten. 2001. The Lassa virus glycoprotein precursor GP-C is proteolytically processed by subtilase SKI-1/S1 P. Proc Natl Acad Sci USA 98:12701-12705.
【非特許文献22】Liao, B. S., F. M. ByI, and K. K. Adour. 1992. Audiometric comparison of Lassa fever hearing loss and idiopathic sudden hearing loss: evidence for viral cause. Otolaryngol Head Neck Surg 106:226-229.
【非特許文献23】McCormick, J. B., I. J. King, P. A. Webb, K. M. Johnson, R. O’Sullivan, E. S. Smith, S. Trippel, and T. C. Tong. 1987. A case-control study of the clinical diagnosis and course of Lassa fever. J Infect Dis 155:445-455.
【非特許文献24】McCormick, J. B., I. J. King, P. A. Webb, C. L. Scribner, R. B. Craven, K. M. Johnson, L. H. Elliott, and R. Belmont-Williams. 1986. Lassa fever. Effective therapy with ribavirin. N Engl J Med 314:20-26.
【非特許文献25】McCormick, J. B., P. A. Webb, J. W. Krebs, K. M. Johnson, and E. S. Smith. 1987. A prospective study of the epidemiology and ecology of Lassa fever. J Infect Dis 155:437-444.
【非特許文献26】Naldini, L., U. Blomer, P. Gallay, D. Ory, R. Mulligan, F. H. Gage, I. M. Verma, and D. Trono. 1996. In vivo gene delivery and stable transduction of nondividing cells by a lentiviral vector. Science 272:263-267.
【非特許文献27】NIAID. 2002. NIAID biodefense research agenda for CDC category A agents. NIH Publication No. 03-5308.
【非特許文献28】O’Brien, J., I. Wilson, T. Orton, and F. Pognan. 2000. Investigation of the Alamar Blue (resazurin) fluorescent dye for the assessment of mammalian cell cytotoxicity. Eur J Biochem 267:5421-5426.
【非特許文献29】Perez, M., R. C. Craven, and J. C. de Ia Torre. 2003. The small RING finger protein Z drives arenavirus budding: implications for antiviral strategies. Proc Natl Acad Sci USA 100:12978-12983.
【非特許文献30】Radoshitzky, S. R., J. Abraham, C. F. Spiropoulou, J. H. Kuhn, D. Nguyen, W. Li, J. Nagel, P. J. Schmidt, J. H. Nunberg, N. C. Andrews, M. Farzan, and H. Choe. 2007. Transferrin receptor 1 is a cellular receptor for New World haemorrhagic fever arenaviruses. Nature 446:92-96.
【非特許文献31】Rotz, L. D., A. S. Khan, S. R. Lillibridge, S. M. Ostroff, and J. M. Hughes.2002. Public health assessment of potential biological terrorism agents. Emerg Infect Dis 8:225-230.
【非特許文献32】Simmons, G., J. D. Reeves, A. J. Rennekamp, S. M. Amberg, A. J. Piefer, and P. Bates. 2004. Characterization of severe acute respiratory syndrome- associated coronavirus (SARS-CoV) spike glycoprotein-mediated viral entry. Proc Natl Acad Sci USA 101 :4240-4245.
【非特許文献33】Spiropoulou, C. F., S. Kunz, P. E. RoIMn, K. P. Campbell, and M. B. A. Oldstone. 2002. New World arenavirus clade C, but not clade A and B viruses, utilizes α-dystroglycan as its major receptor. J Virol 76:5140-5146.
【非特許文献34】Wool-Lewis, R. J., and P. Bates. 1998. Characterization of Ebola virus entry by using pseudotyped viruses: identification of receptor-deficient cell lines. J Virol 72:3155-3160.
【非特許文献35】World Health Organization. 2000. WHO Lassa fever fact sheet No. 179.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ウイルス感染、および生きている宿主におけるウイルス感染に関連する疾患を治療し、予防するための化合物および組成物、および/または方法が提供される。特に、出血熱ウイルス、例えば、アレナウイルスを治療し、予防するための化合物および組成物、および/または方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0017】
ある実施形態では、式Iの化合物またはその医薬的に許容される塩を、ウイルス感染、またはウイルス感染に関連する疾患を治療するか、または予防することが必要な哺乳動物に治療に有効な量で投与する工程を含む、ウイルス感染、またはウイルス感染に関連する疾患を治療する方法または予防する方法が提供される。別の実施形態では、医薬的に有効な量の上述の化合物またはその医薬的に許容される塩と、医薬的に許容されるキャリアとを含む医薬組成物が提供される。それに加え、式Iの化合物およびその医薬的に許容される塩が提供される。
【0018】
式Iの化合物は、以下の一般式を有する。
【0019】
【化1】

【0020】
式中、RおよびRは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールアルキル、アリール、アシル、アリールアシル、ヒドロキシ、アルキルオキシ、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、アセトアミド、ハロゲン、シアノまたはニトロであり;
は、水素、アシル、アリールアシルまたはスルホニルであり;
ArおよびArは、独立して、(非)置換アリールまたはヘテロアリールである。
【0021】
ある実施形態では、治療される哺乳動物は、ヒトである。特定の実施形態では、治療される疾患は、ウイルス感染によって(例えば、アレナウイルスによって)引き起こされる。アレナウイルスは、ラッサ、フニン、マチュポ、グアナリト、サビア、ホワイトウォーターアロヨ、チャパレ、LCMV、およびダンデノング、タカリベおよびピチンデのようなLCMV様ウイルスからなる群より選択されてもよい。
【0022】
方法および配合物の詳細を以下にもっと完全に記載する。本発明の他の目的および利点は、以下の記載および添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1Aおよび1Bは、ST-37およびST-193の構造および抗ウイルス活性を示す。(1A)ベンズイミダゾール誘導体ST-37(左)を改変し、ST-193(右)を作成した。(1B)ST-37またはST-193を用いた、LASV GP-偽型HIV感染またはVSVg-偽型HIV感染の阻害。化合物を用いないコントロイールと比較した場合の、ルシフェラーゼリポーターによって測定した感染性。各点は、3回繰り返した平均値であり、標準偏差を示すエラーバーがついている。
【図2】図2Aおよび2Bは、GP2のC末端の3分の1が、ST-193に対する感受性を決定することを示すドメインスワッピングを示す。(2A)LASV-LCMVキメラGPの模式図。予測TMDドメインおよび7アミノ酸繰り返しドメイン(HR1およびHR2)が示されている。2つのGPが、予測TMDの12アミノ酸N末端を接合している。(2B)示されているアレナウイルスGPを用いた、図1のような偽型感染性(代表的な実験)。これらの構築物の平均IC50±SEM(少なくとも4回の実験から)は、LASV、0.0016±0.0003μM; LCMV、31±4μM; LASVN-LCMVC、13.6±2.2μM; LCMVN-LASVC、0.0005±0.0003μMであった。
【図3】図3Aおよび3Bは、ST-193感受性の決定基を示す。(3A)アレナウイルスGP2サブユニットおよび193R改変体の部位の模式図。図示されている領域について、TCRVアミノ酸配列が示されており、ST-193感受性の決定基であると特定された部位は、浮き出し文字で示されており、番号が付けられている(TCRV GPのアミノ酸ナンバリング)。予測TMDドメインおよび7アミノ酸繰り返しドメイン(HR1およびHR2)が示されている(配列中、TMDの概略が記載されている)。(3B)TCRV GPにおけるST-193感受性を低下させる、1個のアミノ酸改変。抵抗性は、TCRV GP-偽型HIVを用いて測定し、野生型と比較し、少なくとも4回の独立した実験を平均したIC50における倍率変化である(それぞれ、3組)。
【図4】図4は、アレナウイルスGP2サブユニットの一部分のアミノ酸アライメントを示す。アミノ酸のナンバリングは図3と同じ。ST-193感受性決定基であると特定された残基(図3)は太字で書かれており、予測TMDが示されている。位置421と425の強調されている残基は、アレナウイルス科でいくつかの配列の相違が観察される感受性決定基である。省略形およびGenBank寄託番号は、以下のとおりである。LASV、ラッサ熱株Josiah(J04324); LCMV、リンパ球性脈絡髄膜炎株Armstrong 53b(AY847350); MACV、マチュポ株Carvallo(AY619643); JUNV、フニン株MC2(D10072); TCRV、タカリベ株TRVL 11598(P31840); GTOV、グアナリト(NC_005077); SABV、サビア(NC_006317);LATV、ラテン株Maru 10924(AF485259); PICV、ピチンデ(U77602); PIRV、ピリタル(Pirital)(NC_005894); およびWWAV、ホワイトウォーターアロヨ(AF228063)。LASVおよびLCMVは、旧世界アレナウイルスに分類され、一方、新世界アレナウイルスは、PICVおよびPIRV(クレードA);MACV、JUNV、TCRV、GTOV、SABV(クレードB); LATV(クレードC)であらわされる。WWAVは、クレードAとクレードBの組み換えであると考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
ウイルス感染、特に、アレナウイルス感染(生きている宿主におけるアレナウイルス感染に関連する疾患を含む)を治療し、予防するのに有用な化合物が提供される。特に、出血熱ウイルス、例えば、アレナウイルスを治療し、予防するための化合物および組成物、および/または方法が提供される。しかし、さらなる詳細を記載する前に、以下の用語をまず定義する。
【0025】
(定義)
この詳細な記載にしたがって、以下の省略形および定義を適用する。本明細書で使用する場合、単数形である「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」は、本文中で他の意味であると明らかに記載されていない限り、複数形の対象物も含むことを注記しておかねばならない。
【0026】
本明細書で記載する刊行物は、開示の目的でのみ与えられる。本明細書のいずれの内容も、この刊行物に先行することに関する承認であると解釈されない。さらに、与えられている公開日は、実際の公開日とは異なる場合もあり、別個に確認する必要がある場合もある。
【0027】
ある値の範囲が与えられている場合、それぞれの間にある値も包含することが理解される。これらの狭められた範囲の上限および下限は、独立して、この狭められた範囲に含まれていてもよく、この記載された値において、任意の特に排除された任意の限界に限定されてもよい。この記載された範囲が、限界値の片方または両方を含む場合、これらの限界値を含む両方の値のうちいずれかを除外した範囲も、本発明に含まれる。この引用した範囲内にある任意の値も意図されている。
【0028】
他の意味であると定義されていない限り、本明細書で使用するすべての技術用語および科学用語は、当業者が一般に理解しているのと同じ意味を有する。本明細書に記載したものと類似または等価の任意の方法および材料も、実施または試験で使用することができる。本明細書で記載したすべての刊行物は、この刊行物が引用されている内容と関連して、本方法および/または材料を開示し、記載するために、参照により本明細書に組み込まれる。
【0029】
「患者」または「被検体」は、任意の哺乳動物を含むことを意味する。「哺乳動物」は、治療目的で、哺乳動物に分類される任意の動物を指し、限定されないが、ヒトや、ラット、マウス、モルモットを含む実験動物や、イヌ、ウマ、ネコ、ウシなどの家禽動物および家畜、動物園の動物、スポーツ用動物またはペット動物が挙げられる。
【0030】
用語「効能」は、本明細書で使用する場合、慢性的な投薬計画という観点で、特定の治療計画の有効性を指す。効能は、ある薬剤に応答する一連の疾患の変化に基づいて測定することができる。
【0031】
用語「成功」は、本明細書で使用する場合、慢性的な治療計画という観点で、特定の治療計画の有効性を指す。成功には、効能、毒性(例えば、配合物または投薬単位の副作用および患者の忍容性)、患者のコンプライアンスなどのバランスが含まれる。慢性投与計画が「成功である」とみなされるためには、患者のケアおよび効能という異なる面のバランスがとれていて、患者の好ましい転帰が得られなければならない。
【0032】
用語「治療する」、「治療」などは、望ましい薬理学的効果および生理学的効果が得られることを指すために、本明細書で使用される。この効果は、疾患、その症状または状態を予防するか、または部分的に予防するという観点で、予防的なものであってもよく、および/または、疾患、状態、症状、またはこの疾患によって生じる悪影響を部分的に治すか、または完全に治すという観点で、治療的なものであってもよい。用語「治療」は、本明細書で使用する場合、哺乳動物、例えばヒトにおける疾患の任意の治療を含み、(a)その疾患にかかりやすいが、まだ感染しているとは診断されていない被検体において、その疾患が発症するのを防ぐこと、すなわち、その疾患にかかりやすいが、その疾患をまだ経験していないか、またはまだその疾患の症状を呈していない被検体において、その疾患の臨床症状が進行しないようにすること;(b)その疾患を阻害すること、すなわち、その疾患またはその臨床症状の進行を止めるか、遅らせること;(c)その疾患を軽減させること、すなわち、その疾患および/またはその症状または状態を逆行させることを含む。病的な炎症に関連する疾患にかかった患者を治療することも意図されている。長期間にわたる病的な炎症に起因する悪影響を予防し、阻害し、または軽減させること、および/または長期間にわたって生体システムに存在する不適切な炎症に対する生理学的応答によって引き起こされる悪影響を予防し、阻害し、または軽減させることも意図されている。
【0033】
本明細書で使用する場合、「アシル」は、H−C(O)−基、アルキル−C(O)−基、置換アルキル−C(O)−基、アルケニル−C(O)−基、置換アルケニル−C(O)−基、アルキニル−C(O)−基、置換アルキニル−C(O)−シクロアルキル−C(O)−基、置換シクロアルキル−C(O)−基、アリール−C(O)−基、置換アリール−C(O)−基、ヘテロアリール−C(O)−基、置換ヘテロアリール−C(O)基、ヘテロ環−C(O)−基、置換ヘテロ環−C(O)−基を指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環および置換ヘテロ環は、本明細書に定義したとおりである。
【0034】
「アルキルアミノ」は、−NRR基を指し、ここで、各Rは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環、置換ヘテロ環からなる群より選択され、それぞれのRが結合し、窒素原子とともにヘテロ環または置換ヘテロ環を形成し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環および置換ヘテロ環は、本明細書に定義したとおりである。
【0035】
「アルケニル」は、アルケニル基、好ましくは、2〜10個の炭素原子、さらに好ましくは、2〜6個の炭素原子を有し、少なくとも1箇所、好ましくは、1〜2箇所のアルケニル不飽和部位を有するアルケニル基を指す。
【0036】
「アルコキシ」は、「アルキル−O−」基を指し、一例として、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、iso−プロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、sec−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ、1,2−ジメチルブトキシなどが挙げられる。
【0037】
「アルキル」は、1〜10個の炭素原子、または1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基を指す。この用語は、メチル、t−ブチル、n−ヘプチル、オクチルなどのような基によって例示される。
【0038】
「アミノ」は、−NH基を指す。
【0039】
「アリール」または「Ar」は、6〜14個の炭素原子を有する、1個の環を有する不飽和芳香族炭素環基(例えば、フェニル)または複数個の縮合環を有する不飽和芳香族炭素環基(例えば、ナフチルまたはアントリル)を指し、この縮合環は、芳香族であっても芳香族でなくてもよく(例えば、2−ベンゾオキサゾリノン、2H−1,4−ベンゾオキサジン−3(4H)−オンなど)、但し、結合点は、芳香族の環原子を介するものである。
【0040】
「置換アリール」は、1〜3個の置換基で置換されたアリール基を指し、この置換基は、ヒドロキシ、アシル、アシルアミノ、チオカルボニルアミノ、アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アミジノ、アルキルアミジノ、チオアミジノ、アミノ、アミノアシル、アミノカルボニルオキシ、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、シクロアルコキシ、置換シクロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、カルボキシル、カルボキシルアルキル、カルボキシル置換アルキル、カルボキシル−シクロアルキル、カルボキシル置換シクロアルキル、カルボキシルアリール、カルボキシル置換アリール、カルボキシルヘテロアリール、カルボキシル置換ヘテロアリール、カルボキシルヘテロ環、カルボキシル置換ヘテロ環、カルボキシルアミド、シアノ、チオール、チオアルキル、置換チオアルキル、チオアリール、置換チオアリール、チオヘテロアリール、置換チオヘテロアリール、チオシクロアルキル、置換チオシクロアルキル、チオヘテロ環、置換チオヘテロ環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、グアニジノ、グアニジノスルホン、ハロ、ニトロ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環、置換ヘテロ環、シクロアルコキシ、置換シクロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、オキシカルボニルアミノ、オキシチオカルボニルアミノ、−S(O)−アルキル、−S(O)−置換アルキル、−S(O)−シクロアルキル、−S(O)−置換シクロアルキル、−S(O)−アルケニル、−S(O)−置換アルケニル、−S(O)−アリール、−S(O)−置換アリール、−S(O)−ヘテロアリール、−S(O)−置換ヘテロアリール、−S(O)−ヘテロ環、−S(O)−置換ヘテロ環、−OS(O)−アルキル、−OS(O)−置換アルキル、−OS(O)−アリール、−OS(O)−置換アリール、−OS(O)−ヘテロアリール、−OS(O)−置換ヘテロアリール、−OS(O)−ヘテロ環、−OS(O)−置換ヘテロ環、−OS(O)−NRR(ここで、Rは、水素またはアルキルである)、−NRS(O)−アルキル、−NRS(O)−置換アルキル、−NRS(O)−アリール、−NRS(O)−置換アリール、−NRS(O)−ヘテロアリール、−NRS(O)−置換ヘテロアリール、−NRS(O)−ヘテロ環、−NRS(O)−置換ヘテロ環、−NRS(O)−NR−アルキル、−NRS(O)−NR−置換アルキル、−NRS(O)−NR−アリール、−NRS(O)−NR−置換アリール、−NRS(O)−NR−ヘテロアリール、−NRS(O)−NR−置換ヘテロアリール、−NRS(O)−NR−ヘテロ環、−NRS(O)−NR−置換ヘテロ環(ここで、Rは、水素またはアルキルである)、モノアルキルアミノおよびジアルキルアミノ、モノ(置換アルキル)アミノおよびジ(置換アルキル)アミノ、モノアリールアミノおよびジアリールアミノ、一置換アリールアミノおよび二置換アリールアミノ、モノヘテロアリールアミノおよびジモノヘテロアリールアミノ、一置換ヘテロアリールアミノおよび二置換ヘテロアリールアミノ、モノヘテロ環アミノおよびジヘテロ環アミノ、一置換ヘテロ環アミノおよび二置換ヘテロ環アミノ、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環および置換ヘテロ環からなる群より独立して選択される異なる置換基を有する非対称二置換アミン、およびBoc、Cbz、ホルミルなどの従来の保護基で保護されているか、または−SONRR(ここで、Rは、水素またはアルキルである)で置換された置換アリール上のアミノ基からなる群より選択される。
【0041】
「シクロアルキル」は、1個の環を有する3〜8個の炭素原子を有する環状アルキル基を指し、一例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチルなどが挙げられる。この定義からは、アダマンチルなどのような複数の環を有するアルキル基は除外される。
【0042】
「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードを指す。
【0043】
「ヘテロアリール」は、2〜10個の炭素原子と、酸素、窒素および硫黄からなる群より選択される1〜4個のヘテロ原子とを、環またはそのオキシドに有する芳香族炭素環基を指す。このようなヘテロアリール基は、1個の環を有していてもよく(例えば、ピリジルまたはフリル)、または複数の縮合環を有していてもよく(例えば、インドリジニルまたはベンゾチエニル)、この縮合環のうち1つ以上が、芳香族であっても芳香族でなくてもよく、但し、結合点は、芳香族の環原子を介するものである。さらに、ヘテロアリール基のヘテロ原子は、酸化されていてもよく、すなわち、ピリジンN−オキシドまたは1,1−ジオキソ−1,2,5−チアジアゾールなどを形成していてもよい。さらに、この環の炭素原子は、オキソ(=O)で置換されていてもよい。用語「ヘテロアリールに2個の窒素原子を有するヘテロアリール環」は、ヘテロアリール環に2個の、たった2個の窒素原子を有し、場合により、ヘテロアリール環に、酸素または硫黄のような他のヘテロ原子を1個または2個含有するヘテロアリール基を指す。
【0044】
「置換ヘテロアリール」は、1〜3個の置換基で置換されたヘテロアリール基を指し、この置換基は、ヒドロキシ、アシル、アシルアミノ、チオカルボニルアミノ、アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アミジノ、アルキルアミジノ、チオアミジノ、アミノ、アミノアシル、アミノカルボニルオキシ、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、シクロアルコキシ、置換シクロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、カルボキシル、カルボキシルアルキル、カルボキシル置換アルキル、カルボキシル−シクロアルキル、カルボキシル置換シクロアルキル、カルボキシルアリール、カルボキシル置換アリール、カルボキシルヘテロアリール、カルボキシル置換ヘテロアリール、カルボキシルヘテロ環、カルボキシル置換ヘテロ環、カルボキシルアミド、シアノ、チオール、チオアルキル、置換チオアルキル、チオアリール、置換チオアリール、チオヘテロアリール、置換チオヘテロアリール、チオシクロアルキル、置換チオシクロアルキル、チオヘテロ環、置換チオヘテロ環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、グアニジノ、グアニジノスルホン、ハロ、ニトロ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環、置換ヘテロ環、シクロアルコキシ、置換シクロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、オキシカルボニルアミノ、オキシチオカルボニルアミノ、−S(O)−アルキル、−S(O)−置換アルキル、−S(O)−シクロアルキル、−S(O)−置換シクロアルキル、−S(O)−アルケニル、−S(O)−置換アルケニル、−S(O)−アリール、−S(O)−置換アリール、−S(O)−ヘテロアリール、−S(O)−置換ヘテロアリール、−S(O)−ヘテロ環,−S(O)−置換ヘテロ環、−OS(O)−アルキル、−OS(O)−置換アルキル、−OS(O)−アリール、−OS(O)−置換アリール、−OS(O)−ヘテロアリール、−OS(O)−置換ヘテロアリール、−OS(O)−ヘテロ環、−OS(O)−置換ヘテロ環、−OSO−NRR(ここで、Rは、水素またはアルキルである)、−NRS(O)−アルキル、−NRS(O)−置換アルキル、−NRS(O)−アリール、−NRS(O)−置換アリール、−NRS(O)−ヘテロアリール、−NRS(O)−置換ヘテロアリール、−NRS(O)−ヘテロ環、−NRS(O)−置換ヘテロ環、−NRS(O)−NR−アルキル、−NRS(O)−NR−置換アルキル、−NRS(O)−NR−アリール、−NRS(O)−NR−置換アリール、−NRS(O)−NR−ヘテロアリール、−NRS(O)−NR−置換ヘテロアリール、−NRS(O)−NR−ヘテロ環、−NRS(O)−NR−置換ヘテロ環(ここで、Rは、水素またはアルキルである)、モノアルキルアミノおよびジアルキルアミノ、モノ(置換アルキル)アミノおよびジ(置換アルキル)アミノ、モノアリールアミノおよびジアリールアミノ、一置換アリールアミノおよび二置換アリールアミノ、モノヘテロアリールアミノおよびジモノヘテロアリールアミノ、一置換ヘテロアリールアミノおよび二置換ヘテロアリールアミノ、モノヘテロ環アミノおよびジヘテロ環アミノ、一置換ヘテロ環アミノおよび二置換ヘテロ環アミノ、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環および置換ヘテロ環からなる群より独立して選択される異なる置換基を有する非対称二置換アミン、およびBoc、Cbz、ホルミルなどの従来の保護基で保護されているか、または−SONRR(ここで、Rは、水素またはアルキルである)で置換された置換アリール上のアミノ基からなる群より選択される。
【0045】
「スルホニル」は、−S(O)R基を指し、ここで、Rは、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環、置換ヘテロ環からなる群より選択され、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環および置換ヘテロ環は、本明細書に定義したとおりである。
【0046】
「場合により置換された」は、引用した基が置換されていなくてもよく、引用した基が置換されていてもよいことを意味する。
【0047】
「医薬的に許容されるキャリア」は、一般的に、安全で、毒性がなく、生物学的にまたは他の観点で望ましくないものではないような、医薬組成物または配合物を調製するのに有用なキャリアを意味し、ヒト医薬品用途だけではなく、獣医学用途で許容されるキャリアを含む。医薬的に許容されるキャリアまたは賦形剤は、このような1種類のキャリアまたは2種類以上のキャリアの両方を含む。
【0048】
「医薬的に許容されるカチオン」は、医薬的に許容される塩のカチオンを指す。
【0049】
「医薬的に許容される塩」は、生物学的有効性を保持しており、生物学的にまたは他の観点で望ましくないものではない化合物の性質を保持している塩を指す。医薬的に許容される塩は、上述の化合物の医薬的に許容される塩を指し、この塩は、当該技術分野でよく知られた種々の有機対イオンおよび無機対イオン(ほんの一例として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなど)から誘導され、この分子が塩基官能基を含む場合、有機酸または無機酸の塩(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩など)を指す。
【0050】
医薬的に許容される塩基付加塩は、無機塩基および有機塩基から調製することができる。無機塩基から誘導される塩としては、ほんの一例として、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩が挙げられる。有機塩基から誘導される塩としては、限定されないが、一級アミン、二級アミン、三級アミンの塩、例えば、アルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、置換アルキルアミン、ジ(置換アルキル)アミン、トリ(置換アルキル)アミン、アルケニルアミン、ジアルケニルアミン、トリアルケニルアミン、置換アルケニルアミン、ジ(置換アルケニル)アミン、トリ(置換アルケニル)アミン、シクロアルキルアミン、ジ(シクロアルキル)アミン、トリ(シクロアルキル)アミン、置換シクロアルキルアミン、二置換シクロアルキルアミン、三置換シクロアルキルアミン、シクロアルケニルアミン、ジ(シクロアルケニル)アミン、トリ(シクロアルケニル)アミン、置換シクロアルケニルアミン、二置換シクロアルケニルアミン、三置換シクロアルケニルアミン、アリールアミン、ジアリールアミン、トリアリールアミン、ヘテロアリールアミン、ジヘテロアリールアミン、トリヘテロアリールアミン、ヘテロ環アミン、ジヘテロ環アミン、トリヘテロ環アミン、ジアミンとトリアミンの混合物が挙げられ、ここで、アミン上の置換基のうち、少なくとも2つは異なっており、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環などからなる群より選択される。さらに、2個または3個の置換基が、アミノ窒素とともにヘテロ環またはヘテロアリール基を形成するアミンも含まれる。
【0051】
好適なアミンとしては、ほんの一例として、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリ(iso−プロピル)アミン、トリ(n−プロピル)アミン、エタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、トロメタミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、N−アルキルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン、N−エチルピペリジンなどが挙げられる。例えば、カルボキサミド、低級アルキルカルボキサミド、ジアルキルカルボキサミドなどを含むカルボン酸アミドのような他のカルボン酸誘導体も有用であることも理解されるべきである。
【0052】
医薬的に許容される酸付加塩は、無機酸および有機酸から調製されてもよい。無機酸から誘導される塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの塩が挙げられる。有機酸から誘導される塩としては、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエン−スルホン酸、サリチル酸などの塩が挙げられる。
【0053】
化合物が、プロドラッグとして作用してもよい。プロドラッグは、このプロドラッグが哺乳動物被検体に投与された場合、インビボで活性な親薬物を放出する任意の化合物を意味する。プロドラッグは、存在する官能基を、インビボで修飾が開裂して親化合物を放出するような様式で修飾することによって調製される。プロドラッグとしては、ヒドロキシ基、アミノ基またはスルフヒドリル基が、インビボで開裂して、それぞれ遊離ヒドロキシ基、アミノ基またはスルフヒドリル基を再生可能な任意の基に結合している化合物が挙げられる。プロドラッグの例としては、限定されないが、ヒドロキシ官能基のエステル(例えば、酢酸エステル、ギ酸エステル、安息香酸エステルの誘導体)、カルバメート(例えば、N,N−ジメチルアミノ−カルボニル)などが挙げられる。
【0054】
疾患を「治療する」または「治療」は、
(1)その疾患を予防すること、すなわち、その疾患にさらされているか、またはその疾患にかかりやすいが、その疾患をまだ経験していないか、またはまだその疾患の症状を呈していない哺乳動物において、その疾患の臨床症状が進行しないようにすること、
(2)その疾患を阻害すること、すなわち、その疾患またはその臨床症状の進行を止めるか、遅らせること、または
(3)その疾患を軽減させること、すなわち、その疾患および/またはその症状または状態を逆行させることを含む。
【0055】
「治療に有効な量」は、ある疾患を治療するために哺乳動物に投与した場合、この疾患に対し、このような治療が有効であるのに十分な化合物または抗体の量を意味する。「治療に有効な量」は、化合物、疾患、疾患の重篤度、治療される哺乳動物の年齢、体重などに依存して変わるであろう。
【0056】
ウイルス感染、および生きている宿主におけるウイルス感染に関連する疾患を治療し、予防するための化合物および組成物、および/または方法が提供される。特に、アレナウイルスのような出血熱ウイルスを治療し、予防するための化合物および組成物、および/または方法が提供される。
【0057】
ある実施形態では、ウイルス感染またはこの感染に関連する疾患を治療する方法または予防する方法であって、このような方法を必要とする哺乳動物に、式Iの化合物またはその医薬的に許容される塩を治療に有効な量で投与する工程を含む方法が提供される。別の実施形態では、医薬的に有効な量の上述の化合物またはその医薬的に許容される塩と、医薬的に許容されるキャリアとを含む医薬組成物が提供される。それに加え、式Iの化合物およびその医薬的に許容される塩が提供される。
【0058】
式Iの化合物は、以下の一般式を有する。
【0059】
【化2】

【0060】
式中、RおよびRは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールアルキル、アリール、アシル、アリールアシル、ヒドロキシ、アルキルオキシ、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、アセトアミド、ハロゲン、シアノまたはニトロであり;
は、水素、アシル、アリールアシルまたはスルホニルであり;
ArおよびArは、独立して、(非)置換アリールまたはヘテロアリールである。
【0061】
式Iの化合物の例を表1に示している。
【0062】
【表1−1】

【0063】
【表1−2】

【0064】
【表1−3】

【0065】
【表1−4】

【0066】
ある実施形態では、治療される哺乳動物は、ヒトである。特定の実施形態では、治療される疾患は、ウイルス感染によって(例えば、アレナウイルスによって)引き起こされる。アレナウイルスは、ラッサ、フニン、マチュポ、グアナリト、サビア、ホワイトウォーターアロヨ、チャパレ、LCMV、およびダンデノング、タカリベおよびピチンデのようなLCMV様ウイルスからなる群より選択されてもよい。
【0067】
(上述の化合物の医薬配合物)
一般的に、化合物は、これらの化合物について許容される任意の投与形態によって、治療に有効な量で投与される。この化合物は、種々の経路で投与することができ、投与経路としては、限定されないが、経口、非経口(例えば、皮下、硬膜下、静脈内、筋肉内、くも膜下、腹腔内、脳内、動脈内または病巣内の投与経路)、局所、鼻腔内、局部的な経路(例えば、手術による適用または手術による座剤)、直腸、肺(例えば、エアロゾル、吸入または粉末)が挙げられる。したがって、これらの化合物は、注射用組成物としても経口組成物としても有効である。上述の化合物を、注入またはボーラス注射によって連続的に投与してもよい。
【0068】
上述の化合物(すなわち、活性成分)の実際の量は、例えば、疾患の重篤度(すなわち、治療される状態または疾患)、被検体の年齢および相対的な健康状態、使用する化合物の効力、投与経路および投与形態および他の因子のような多くの因子によって変わる。このような化合物の毒性および治療効能は、例えば、LD50(母集団の50%が死に至る用量)およびED50(母集団の50%に治療効果がある用量)を決定するための細胞培養物または実験動物で、標準的な医薬手順によって決定することができる。毒性と治療効果との用量比は、治療指数であり、LD50/ED50比であらわすことができる。
【0069】
ヒトで用いる所与の範囲の投薬量を配合することにおいて、細胞培養アッセイおよび動物実験から得られたデータを使用してもよい。このような化合物の投薬量は、ED50を含みつつ、ほとんど毒性がないかまったく毒性のない血中濃度の範囲内にある。投薬量は、使用する投薬形態および利用する投与経路によって、上述の範囲内で変動する場合がある。使用するいかなる化合物でも、治療に有効な投薬量は、細胞培養アッセイから最初に概算することができる。動物モデルにおいて、細胞培養物で決定したIC50(すなわち、症状を最大値の半分阻害する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するような投薬量を配合してもよい。このような情報を用い、ヒトでの有用な投薬量をもっと正確に決定することができる。例えば、高速液体クロマトグラフィーによって、血漿での濃度を測定してもよい。
【0070】
患者に投与される医薬組成物の量は、投与されるもの、投与する目的(例えば、予防または治療)、患者の状態、投与様式などによって変わるであろう。治療用途では、組成物は、すでに疾患にかかっている患者に、その疾患の症状および合併症を治癒するか、または少なくとも部分的に抑えるのに十分な量で投与される。この目的を達成するのに十分な量が、「治療に有効な投薬量」であると定義される。この用途で有効な量は、炎症の重篤度、患者の年齢、体重および全身の状態などのような因子によって変わる主治医の判断だけではなく、治療する疾患の状態によって変わるであろう。
【0071】
患者に投与される組成物は、上述の医薬組成物の24種の形態である。これらの組成物は、従来の殺菌技術で殺菌してもよく、または殺菌濾過してもよい。得られた水溶液を使用するためにそのまま内包してもよく、または凍結乾燥し、投与前に、凍結乾燥した製剤と滅菌水性キャリアとを合わせてもよい。上述の特定の賦形剤、キャリアまたは安定化剤を使用することによって、医薬の塩が得られるであろうことも理解されるであろう。
【0072】
活性化合物は、広い投薬範囲にわたって有効であり、一般的に、医薬的に有効な量または治療に有効な量で投与される。上述の化合物で治療する場合の投薬量は、例えば、治療がなされる特定の用途、化合物の投与様式、患者の健康および状態、主治医の判断によって変わるであろう。例えば、静脈内投与の場合、投薬量は、典型的に、体重1kgあたり約0.5mg〜約100mgの範囲である。有効な投薬量は、インビトロ試験システムまたは動物モデル試験システムから誘導した用量−応答曲線から外挿してもよい。典型的には、医師は、所望の効果が得られるような投薬量まで、化合物を投与する。
【0073】
医薬として使用する場合、上述の化合物は、通常は、医薬組成物の形態で投与される。医薬組成物は、1つ以上の医薬的に許容されるキャリアまたは賦形剤とともに、活性成分として、上述の1つ以上の化合物を含有する。使用する賦形剤は、典型的に、ヒト被検体または他の哺乳動物に投与するのに適したものである。組成物を製造する場合、活性成分を、通常、賦形剤と混合するか、賦形剤で希釈するか、またはカプセル、小袋、紙または他の容器の形態であってもよいキャリアで包む。賦形剤が希釈剤として機能する場合、賦形剤は、活性成分のためのビヒクル、キャリアまたは媒体として作用するような固体、半固体または液体の物質であってもよい。したがって、組成物は、錠剤、丸薬、粉末、トローチ剤、小袋、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁物、エマルション、溶液、シロップ、エアロゾル(固体として、または液体媒体中)、例えば、10重量%未満の活性化合物を含有する軟膏、軟質ゼラチンカプセルおよび硬質ゼラチンカプセル、坐剤、注射用滅菌溶液、内包された滅菌粉末の形態であってもよい。
【0074】
配合物を調製する場合、他の成分と混合する前に、活性化合物を粉砕し、好適な粒子径のものを得ることが必要な場合がある。活性化合物が実質的に不溶性である場合、一般的には、粒子径が200メッシュ未満になるように粉砕する。活性化合物が実質的に水溶性である場合、粒子径は、通常は、配合物中で実質的に均一な分布になるように粉砕することによって調節する(例えば、約40メッシュ)。
【0075】
好適な賦形剤のいくつかの例としては、ラクトース、デキストロース、ショ糖、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、カルシウムシリケート、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、滅菌水、シロップ、メチルセルロースが挙げられる。配合物としては、さらに、滑沢剤、例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム、鉱物油;湿潤剤;乳化剤および懸濁剤;防腐剤、例えば、ヒドロキシ安息香酸メチルおよびヒドロキシ安息香酸プロピル;甘味剤;香味剤を挙げることができる。本発明の組成物は、当該技術分野で既知の手順を使用して患者に投与した後、活性成分を迅速に、持続的に、または遅延放出するように配合することができる。
【0076】
医薬組成物およびその単位投薬形態に含まれる活性化合物の量は、特定の用途、様式または導入、特定の化合物の効力、所望の濃度によって変わってもよく、広範囲に調節されてもよい。用語「単位投薬形態」は、ヒト被検体および他の哺乳動物に単位投薬するのに適した、物理的に別個の単位を指し、それぞれの単位には、好適な医薬賦形剤とともに、所望の治療効果が得られるように計算された所定量の活性物質が含まれている。
【0077】
非経口投与するために、上述の化合物を滅菌生理食塩水溶液のような好適な不活性キャリアに配合してもよい。投与される量は、投与経路によって決まるであろう。
【0078】
治療薬剤を静脈投与用配合物によって投与することは、医薬品産業界でよく知られている。静脈用配合物は、治療薬剤が組成物中で可溶性であること以外にも、特定の品質を有しているべきである。例えば、配合物は、活性成分の全体的な安定性を増すものであるべきであり、また、配合物の製造は、費用効果の高いものであるべきである。これらのすべての因子は、最終的に、静脈用配合物の全体的な成功および有用性を決定づける。
【0079】
医薬配合物および化合物に含まれていてもよい他の補助的な添加剤は、以下のものである。溶媒:エタノール、グリセロール、プロピレングリコール;安定化剤:EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、クエン酸;抗菌性防腐剤:ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン;緩衝剤:クエン酸/クエン酸ナトリウム、酒石酸水素カリウム、酒石酸水素ナトリウム、酢酸/酢酸ナトリウム、マレイン酸/マレイン酸ナトリウム、フタル酸水素ナトリウム、リン酸/リン酸二水素カリウム、リン酸/リン酸水素二ナトリウム;張度改変剤:塩化ナトリウム、マンニトール、デキストロース。
【0080】
水溶液pHを約4〜8の範囲に維持するには、バッファの存在が必要である。緩衝系は、一般的に、弱酸とその可溶性塩との混合物(例えば、クエン酸ナトリウム/クエン酸)、または二塩基酸のモノカチオンまたはジカチオン(例えば、酒石酸水素カリウム、酒石酸水素ナトリウム)との混合物、リン酸/リン酸二水素カリウム、リン酸/リン酸水素二ナトリウムである。
【0081】
使用する緩衝系の量は、(1)所望のpH、(2)薬物の量によって変わる。一般的に、使用するバッファの量は、pH範囲を4〜8に維持するために、配合物のバッファ/アレンドロネート(buffenalendronate)のモル比が0.5:1〜50:1であり(バッファのモル比は、例えば、クエン酸ナトリウムおよびクエン酸のようなバッファ成分を組み合わせたモル数であらわされる)、一般的に、存在する薬物に対し、バッファ(合わせたもの)をモル比1:1〜10:1で使用する。
【0082】
有用なバッファは、組成物の水溶液pHを4〜6に維持するのに十分な、クエン酸1〜15mg/mlに対し、クエン酸ナトリウムが5〜50mg/mlの範囲のクエン酸ナトリウム/クエン酸である。
【0083】
さらに、薬物が、ガラス容器またはゴム栓からしみ出すか、または通常の水道水に存在する可能性がある金属イオン(例えば、Ca、Mg、Fe、Al、Ba)が溶解したものとの間に可溶性金属錯体を形成して沈殿するのを防ぐために、緩衝剤が存在してもよい。この薬剤は、薬物と競争的な錯化剤として作用し、望ましくない粒子を存在させてしまう可溶性金属錯体を生成する場合がある。
【0084】
さらに、静脈用配合物を投与した際に赤血球が膨潤するかまたは縮んでしまい、吐き気または下痢および血液の障害に関連すると思われる望ましくない副作用を生じることを避けるため、ヒト血液と同程度の張度に調節するために、塩化ナトリウムのような薬剤が約1〜8mg/mlの量で存在することが必要な場合がある。一般的に、配合物の張度をヒト血液の張度である282〜288mOsm/kg、一般的には285mOsm/kgにあわせるが、この値は、塩化ナトリウム0.9%溶液に対応する浸透圧に相当する。
【0085】
静脈用配合物を、静脈内注射、静脈ボーラスによって直接投与してもよく、または塩化ナトリウム0.9%溶液注射液または他の相当する注入溶液のような注入溶液を加えることによって、注入によって投与してもよい。
【0086】
上述の組成物は、好ましくは、単位投薬液体に配合されてもよく、それぞれの投薬量には、約5〜約100mg、さらに一般的には約10〜約30mgの活性成分が含まれる。用語「単位投薬形態」は、ヒト被検体および他の哺乳動物に単位投薬するのに適した、物理的に別個の単位を指し、それぞれの単位には、好適な医薬賦形剤とともに、所望の治療効果が得られるように計算された所定量の活性物質が含有している。
【0087】
活性化合物は、広い投薬範囲にわたって有効であり、一般的に、医薬的に有効な量で投与される。しかし、治療する状態、選択した投薬経路、投与する実際の化合物、個々の患者の年齢、体重、応答、患者の症状の重篤度などを含む関連する状況の観点から、実際に投与される化合物の量は、医師によって決定されることが理解されるであろう。
【0088】
錠剤のような固体組成物を調製する場合、主要な活性成分を医薬賦形剤と混合し、本発明の化合物を均一に混合したものを含む固体予備配合組成物を作成する。これらの予備配合組成物が均一であると記載する場合、組成物を錠剤、丸薬、カプセルのような等しい有効性をもつ単位投薬形態に簡単に分けることができるほど、活性成分が組成物全体に均一に分散していることを意味する。次いで、この固体予備配合物を、例えば、活性成分を0.1〜約2000mg含有する上述の種類の単位投薬形態に分ける。
【0089】
長期的に作用するという利点を有する投薬形態を得るために、錠剤または丸薬をコーティングするか、または他の方法で複合化してよい。例えば、錠剤または丸薬が、内側の投薬成分と、外側の投薬成分とを含んでいてもよく、外側の投薬成分は、内側の投薬成分を覆うエンベロープの形態であってもよい。この2つの成分を、胃では崩壊せず、内側の成分が十二指腸をそのまま通過するか、または遅延放出されるような役割を果たす腸溶性層で分離してもよい。この腸溶性層または腸溶性コーティングのために、多くの酸ポリマー、および酸ポリマーとシェラック、セチルアルコール、酢酸セルロースのような物質との混合物を含む物質のような種々の物質を使用してもよい。
【0090】
上述の新規組成物を経口投与するか、または注射によって投与することが可能な液体形態としては、風味づけされたシロップに適した水溶液、水性懸濁物または油性懸濁物、綿実油、ゴマ油、ココナツ油またはピーナッツ油のような食用油を用いた、風味づけされたエマルション、ならびにエリキシル剤および類似の医薬ビヒクルが挙げられる。
【0091】
吸入または吹送のための組成物としては、医薬的に許容される水性溶媒または有機溶媒またはこれらの混合物の溶液および懸濁物、粉末が挙げられる。液体組成物または固体組成物は、上述の好適な医薬的に許容される賦形剤を含有してもよい。医薬的に許容される溶媒中の組成物を、不活性ガスを用いて噴霧してもよい。噴霧した溶液を噴霧デバイスから直接吸いこんでもよく、噴霧デバイスをフェイスマスクテントまたは間欠的陽圧呼吸器に接続してもよい。溶液、懸濁物または粉末の組成物を、好適な様式で配合物を送達するデバイスから投与してもよい。
【0092】
上述の化合物を、徐放性形態で投与してもよい。徐放性製剤の好適な例としては、上述の化合物を含有する疎水性固体ポリマーの半透過性マトリックスが挙げられ、このマトリックスは、例えば、膜またはマイクロカプセルのような成形物品の形態である。徐放性マトリックスの例としては、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、Langerら、J. Biomed. Mater. Res.15: 167-277 (1981)およびLanger、Chem. Tech.12: 98-105 (1982)が記載するようなポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸とγ−エチル−L−グルタメートとのコポリマー(Sidmanら、Biopolymers 22:547-556、1983)、非分解性エチレン−酢酸ビニル(Langerら、前出)、分解性乳酸−グリコール酸コポリマー、例えば、LUPRON DEPOTTM(すなわち、乳酸−グリコール酸コポリマーおよび酢酸ロイプロリドで構成される注射用マイクロスフェア)、およびポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸(EP 133,988)が挙げられる。
【0093】
上述の化合物を、活性成分の徐放性放出を可能にする様式で配合可能な徐放性形態(例えば、デポー注射物、インプラント製剤または浸透圧ポンプ)で投与してもよい。徐放性配合物用のインプラントは、当該技術分野でよく知られている。インプラントは、限定されないが、生分解性ポリマーまたは非生分解性ポリマーを用いたマイクロスフェア、スラブ(slab)として配合されてもよい。例えば、乳酸および/またはグリコール酸のポリマーは、宿主の忍容性が十分な、侵食性ポリマーを形成する。
【0094】
さらに、経皮送達デバイス(「パッチ」)を使用してもよい。上述の化合物を、量を制御しつつ連続的または不連続的に注入するために、このような経皮パッチを用いてもよい。医薬を送達するための経皮パッチの構造および用途は、当該技術分野で十分に知られている。例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,023,252号(1991年6月11日登録)を参照。このようなパッチは、医薬を連続的に、脈動的に、または要求に応じて送達するような構成であってもよい。
【0095】
医薬組成物を脳に入れることが望ましい場合、または必要な場合、直接的または間接的な留置技術を用いてもよい。直接的な技術は、通常は、薬物送達カテーテルを宿主の脳室系に留置し、血液脳関門を迂回することを含む。生物学的因子を体内の特定の解剖学的領域に送るために使用されるこのような移植可能な送達システムは、米国特許第5,011,472号に記載されており、この文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0096】
間接的な技術は、通常、親水性の薬物を脂溶性の薬物に変換することによって、薬物が活性を発揮しない状態になるように組成物を配合することを含む。活性を発揮しない状態は、一般的に、薬物をもっと脂溶性にし、血液脳関門をすんなり通過させるために、薬物に存在するヒドロキシ基、カルボニル基、スルフェート基、一級アミン基を保護することによって達成される。または、親水性薬物の送達は、血液脳関門を一時的に開かせることのできる高張性溶液を動脈内に注入することによって向上する場合がある。
【0097】
血清での半減期を伸ばすために、化合物をカプセル化してもよく、コロイドとして調製されるリポソームの内腔に入れてもよく、または、化合物の血清での半減期を延長させる他の従来の技術を利用してもよい。リポソームを調製するために、例えば、Szokaら、米国特許第4,235,871号、第4,501,728号および第4,837,028号(それぞれ、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているような、種々の方法を利用することができる。
【0098】
医薬組成物は、種々の薬物送達システムで使用するのに適している。本発明で使用するのに適した配合物は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mace Publishing Company、Philadelphia、PA、17th ed.(1985)中に見出される。
【0099】
提供した化合物および医薬組成物は、ウイルス感染および関連する疾患の治療および予防において生体活性を示し、したがって、ヒトを含む哺乳動物において、ウイルス感染および関連する疾患、例えば、出血熱ウイルスを治療するのに有用である。
【0100】
出血熱ウイルス(HFV)は、よく似た臨床的特徴を示す種々の疾患症候群を引き起こすRNAウイルスである。潜在的な生物兵器として心配されているHFVとしては、限定されないが、アレナウイルス科(フニン、マチュポ、グアナリト、サビア、ラッサ)、フィロウイルス科(エボラウイルスおよびマールブルグウイルス)、フラビウイルス科(黄熱病ウイルス、オムスク出血熱ウイルスおよびキャサヌール森林病ウイルス)、ブニヤウイルス科(リフトバレー熱およびクリミア・コンゴ出血熱)が挙げられる。天然で発生したアレナウイルスおよび遺伝子操作された潜在的なアレナウイルスは、疾病対策予防センターによって、病原体の中でも多量の死傷者を出すおそれが最も大きいものとして、カテゴリーAの病原体リストに含まれている。
【0101】
危険因子としては、アフリカまたはアジアへの旅行、動物の死体を取り扱うこと、感染した動物またはヒトとの接触、および/または節足動物にかまれることが挙げられる。アレナウイルスは、感染した血液および/または体からの分泌物と直接接触すると、きわめて感染性が高い。ヒトは、通常は、感染したげっ歯類と接触することによって、感染した節足動物にかまれることによって、動物の死体と直接接触することによって、げっ歯類の感染性排泄物を吸入することによって、および/またはげっ歯類の排泄物で汚染された食べ物を摂取することによって感染する。タカリベウイルスは、コウモリと関係がある。別の態様に、出血熱の空気感染がある。ある場合には、ヒトとヒトとの接触でも起こる場合がある。
【0102】
すべての出血熱は、よく似た臨床症状を示す。しかし、一般的に、臨床症状は、特異的なものではなく、変化しやすい。潜伏期間は、約7〜14日である。発病は、発熱および不快感、頻呼吸、相対的徐脈、低血圧、循環性ショック、結膜感染、咽頭炎、リンパ節腫脹、脳炎、筋肉痛、背部痛、頭痛および目まい、および皮膚の知覚過敏を伴い、段階的である。感染した患者の中で、出血症状を呈さない場合もある。
【0103】
特定の研究所での診断方法としては、抗原捕捉酵素免疫測定アッセイ(ELISA)による抗原の検出、抗体捕捉酵素免疫測定アッセイによるIgM抗体の検出、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、ウイルスの単離が挙げられる。緊急の臨床環境では、抗原の検出(酵素免疫測定アッセイによる)および逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応が、最も有用な診断技術である。ウイルスの単離は、バイオセイフティーレベル4(BSL-4)の実験室を必要とするため、効果が限られている。
【0104】
(実施例1−化合物の合成)
使用する数(例えば、量、温度など)の観点で、精度を確保する努力がはらわれているが、ある程度の実験誤差および偏差が含まれているはずである。他の意味であると示されていない限り、部は、重量部であり、分子量は、重量平均分子量であり、温度は、摂氏であり、圧力は、周囲圧力であるか、周囲圧力付近の圧力である。
【0105】
上述の化合物は、化合物調製の容易さ、出発物質の商業的な入手可能性などと関連して選択される特定の経路を伴う、いくつかの異なる合成経路によって簡単に調製される。
【0106】
上述の化合物は、以下の一般的な方法および手順を用い、容易に入手可能な出発物質から調製することができる。プロセス条件(すなわち、反応温度、時間、反応剤のモル比、溶媒、圧力など)が与えられた場合、他の意味であると述べられていない限り、他のプロセス条件を使用してもよいことが理解されるであろう。最適な反応条件は、使用する特定の反応剤または溶媒によって変わるが、当業者は、通常の最適化手順によってこのような条件を決定することができる。
【0107】
さらに、当業者には明らかなように、特定の官能基が望ましくない反応を受けるのを防ぐために、従来の保護基が必要な場合がある。種々の官能基のための好適な保護基、および特定の官能基を保護し、脱保護するのに適した条件は、当該技術分野でよく知られている。例えば、T.W.Greene and G.M.Wuts、Protecting Groups in Organic Synthesis、Second Edition、Wiley、New York、1991およびこの文献に引用された参考文献に、数多くの保護基が記載されている。
【0108】
さらに、上述の化合物は、典型的に、1つ以上のキラル中心を含有するであろう。したがって、所望な場合、このような化合物を調製するか、または純粋な立体異性体(すなわち、個々のエナンチオマーまたはジアステレオマー、またはある立体異性体を豊富に含む混合物)として単離することができる。他の意味であると示されていない限り、このようなあらゆる立体異性体(および豊富に含む混合物)が含まれる。純粋な立体異性体(または豊富に含む混合物)を、例えば、当該技術分野でよく知られている光学活性な出発物質または立体選択的試薬を用い、調製してもよい。または、例えば、キラルカラムクロマトグラフィー、キラル分割剤などを用い、このような化合物のラセミ混合物を分離してもよい。
【0109】
他の意味であると示されていない限り、生成物は、Rエナンチオマー、Sエナンチオマーの混合物である。しかし、キラル生成物が望ましい場合、R,S混合物からエナンチオマーを分離し、片方の立体異性体または他方の立体異性体を得る精製技術によってキラル生成物を得てもよい。このような技術は、当該技術分野で知られている。
【0110】
別の実施形態では、上述の化合物は、インビボで上述の化合物に変換(例えば、加水分解、代謝など)されるプロドラッグとして得られてもよい。
【0111】
以下の実施例では、ある省略形が上に定義されていない場合、一般的に受け入れられている意味を有する。さらに、すべての温度は摂氏である(他の意味であると示されていない限り)。以下の方法を用い、図のように、以下に記載した化合物を調製した。
【0112】
(一般的な合成手順)
【0113】
【化3】

【0114】
工程1:ジニトロフルオロベンゼン(251μl、2mmol)のTHF(2ml)溶液に、炭酸セシウム(780mg、2.4mmol)およびアニリン(HN−Ar、2mmol)を加えた。この混合物を一晩で48℃まで加熱した。反応物を室温まで冷却し、あらかじめ充填してあるシリカカートリッジ5gで濾過し、EtOAc(約15ml)で溶出させた。減圧下で溶媒を除去し、粗物質を精製することなく、次に進んだ。
【0115】
工程2:工程1から得た粗出発物質のEtOAc溶液に、10% Pd/C(約50mg)をすくい取って加えた。バイアルを密閉し、アルゴンを流し、H風船を取り付けた。混合物を室温で一晩攪拌した。この反応混合物をセライトパッドで濾過し、EtOAcで溶出させた。減圧下で溶媒を除去し、粗物質を精製することなく、次に進んだ。
【0116】
工程3:工程2から得た粗出発物質を4N HCl(2ml)およびギ酸(0.5ml)に懸濁させた。混合物を1.5時間で100℃まで加熱した。反応物を室温まで冷却し、5N NaOHを加えてpHを約13に調節した。混合物をDCMで抽出した(5ml×3回)。有機層をあわせ、MgSOで乾燥し、濾過し、減圧下で溶媒を蒸発させ、粗生成物を得て、これを精製することなく、次に進んだ。
【0117】
工程4:工程3から得た粗出発物質のDCM(3ml)溶液に、アルデヒド(Ar−CHO、2mmol)およびNa(AcO)BH(630mg、3mmol)を加えた。この反応物を室温で1.5時間撹拌した(TLCによって反応を完結させた場合)。粗反応混合物を濾過し、RediSepシリカゲルカートリッジ40gに乗せ、ヘキサン中、勾配をつけたEtOAcで溶出させ、最終生成物を得た。LC−MSおよびH NMRによって属性を確認し、HPLCで純度を確認した。
【0118】
((4−イソプロピル−ベンジル)−[1−(4−メトキシ−フェニル)−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]−アミンの合成)
【0119】
【化4】

【0120】
上述の一般的な手順にしたがって、この化合物を合成した。
【0121】
【表2】

【0122】
(実施例2−配合物1)
以下の要素を含有する硬質ゼラチンカプセルを調製する。
【0123】
【表3】

【0124】
上の成分を混合し、340mgの量を硬質ゼラチンカプセルに充填する。
【0125】
(実施例3−配合物2)
以下の成分を用い、錠剤処方を調製する。
【0126】
【表4】

【0127】
この要素を混和し、圧縮して、それぞれ240mgの錠剤を作成する。
【0128】
(実施例4−配合物3)
以下の要素を含有する吸入用乾燥粉末配合物を調製する。
【0129】
【表5】

【0130】
活性混合物をラクトースと混合し、この混合物を乾燥粉末吸入器具に入れる。
【0131】
(実施例5−配合物4)
それぞれ活性成分を30mg含有する錠剤を以下のように調製する。
【0132】
【表6】

【0133】
活性成分、デンプン、セルロースをNo.20メッシュのU.S.ふるいに通し、十分に混合する。得られた粉末を、ポリビニルピロリドン溶液と混合し、次いで、16メッシュのU.S.ふるいに通す。このようにして製造した顆粒を50〜60℃で乾燥し、16メッシュのU.S.ふるいに通す。ナトリウムカルボキシメチルデンプン、ステアリン酸マグネシウム、タルクをあらかじめ、No.30メッシュのU.S.ふるいに通しておき、上述の顆粒に加え、混合した後、錠剤製造機で圧縮し、それぞれ150mgの錠剤を得る。
【0134】
(実施例6−配合物5)
それぞれ医薬40mgを含有するカプセルを以下のように作製する。
【0135】
【表7】

【0136】
活性成分、セルロース、デンプン、ステアリン酸マグネシウムを混和し、No.20メッシュのU.S.ふるいを通し、150mgの量を硬質ゼラチンカプセルに充填する。
【0137】
(実施例7−配合物6)
それぞれ活性成分を25mg含有する坐剤を以下のように作製する。
【0138】
【表8】

【0139】
活性成分をNo.60メッシュのU.S.ふるいに通し、必要最小限の熱を用いてあらかじめ溶融させておいた飽和脂肪酸グリセリドに懸濁させた。次いで、この混合物を、名目容量2.0gの坐剤型に注ぎ、冷却する。
(実施例8−配合物7)
【0140】
用量5.0mlあたり、それぞれ医薬を50mg含有する坐剤を以下のように作製する。
【0141】
【表9】

【0142】
医薬、ショ糖、キサンタンゴムを混和し、No.10メッシュのU.S.ふるいを通し、微晶質セルロースおよびナトリウムカルボキシメチルセルロースの水溶液をあらかじめ作っておき、これと混合する。安息香酸ナトリウム、香味剤、色素をいくらかの水で希釈し、撹拌しつつ加えた。次いで、要求される容積のものを得るのに十分な水を加える。
【0143】
(実施例9−配合物8)
それぞれ活性成分を15mg含有する硬質ゼラチン錠剤を以下のように作製する。
【0144】
【表10】

【0145】
活性成分、セルロース、デンプン、ステアリン酸マグネシウムを混和し、No.20メッシュのU.S.ふるいを通し、560mgの量を硬質ゼラチンカプセルに充填する。
【0146】
(実施例10−配合物9)
静脈用配合物を以下のように調製してもよい。
【0147】
【表11】

【0148】
治療化合物の組成物を、一般的に、滅菌したアクセス口を備える容器(例えば、皮下注射針または類似の尖った器具によって穴を開けることが可能なストッパーを備える静脈用溶液バッグまたはバイアル)に入れる。
【0149】
(実施例11−配合物10)
局所配合物を以下のように調製してもよい。
【0150】
【表12】

【0151】
白色軟質パラフィンを溶融するまで加熱する。液体パラフィンおよび乳化用ワックスを組み込み、溶解するまで撹拌する。活性成分を加え、分散するまで撹拌を続ける。次いで、この混合物を固体になるまで冷却する。
【0152】
(実施例12−配合物11)
エアロゾル配合物を以下のように調製してもよい。候補化合物を0.5%炭酸水素ナトリウム/塩水(w/v)に濃度30.0mg/mLで溶解した溶液を、以下の手順を用いて調製する。
【0153】
0.5%炭酸水素ナトリウム/塩水ストック溶液:100.0mLの調製
【0154】
【表13】

手順:
1.炭酸水素ナトリウム0.5gを100mLの容量フラスコに加える。
2.塩水約90.0mLを加え、溶解するまで超音波処理する。
3.100.0mLになるまで適量の塩水を加え、十分に混合する。
【0155】
30.0mg/mLの候補化合物:10.0mLの調製
【0156】
【表14】

【0157】
手順:
1.候補化合物0.300gを100mLの容量フラスコに加える。
2.0.5%炭酸水素ナトリウム/塩水ストック溶液を約9.7mL加える。
3.候補化合物が完全に溶解するまで超音波処理する。
4.10.0mLになるまで、適量の0.5%炭酸水素ナトリウム/塩水ストック溶液を加え、混合する。
【0158】
(実施例13−本発明の化合物の抗ウイルス活性を決定)
ラッサ熱ウイルスを用いた試験は、高度封じ込め実験室(BSL−4)の要件があるため、運搬および安全性に関する顕著な課題がある。したがって、制限の少ないBSL−2実験条件下で多くの化合物を評価するのに適した、抗ラッサ熱ウイルス活性の代理アッセイを開発した。ラッサウイルスが宿主細胞に入り込むのをブロックすることが可能な化合物を同定するために、このような1つのアッセイを開発した。このアッセイは、ラッサ熱ウイルスに由来するエンベロープの糖タンパク質のみを使用し、ウイルス自体は使用せず、したがって、通常のBSL−2条件で安全に実施することができる。ウイルスが侵入する工程は、すべてのウイルスの生活環の必須要素であるため、抗ウイルス薬を開発するのに魅力的な標的である。それに加え、抗ウイルス標的、ウイルスエンベロープと宿主細胞との間の相互作用、その後に続くエンベロープの構造変化が、ウイルスに特有である。したがって、有効な阻害剤は、宿主のプロセスをほとんど妨害しないと考えられる。
【0159】
ラッサのエンベロープおよび複製欠損HIVプロウイルスをルシフェラーゼリポーターで共トランスフェクションすることによって作成される偽型ウイルスを用い、ラッサのエンベロープの機能を評価する。HIVエンベロープが発現しないようにプロウイルスを改変し、異種ウイルスエンベロープタンパク質を、細胞表面のタンパク質を非特異的に捕捉する出芽ウイルス粒子として得る。この様式で調製した偽型は、異種エンベロープを介して細胞に感染し、一般的に、異種エンベロープの機能をアッセイするのに使用する(2、9、26、32、34)。統合したHIVリポーター構築物から発生するルシフェラーゼシグナルによって、感染を測定する。細胞培養株を感染させるのに使用する感染性ウイルスの量は、桁は数桁異なるが、感染した細胞で発生するルシフェラーゼが介在する発光に正比例する。このアッセイは、ラッサウイルス侵入阻害剤に対し高スループットスクリーニングの基準となるものであり、ラッサウイルス侵入阻害剤に対して400,000種の低分子化合物のライブラリを試験した。ルシフェラーゼ活性を少なくとも75%阻害した化合物を、第2の特異性カウンタースクリーニングにかけ、このスクリーニングでは、無関係のエボラウイルス糖タンパク質を用いた第2の偽型を特異性コントロールとして使用した。両方の偽型を阻害する化合物は、細胞に対して毒性があるか、またはHIVの基本骨格を標的としていると考えられ、したがって除外された。これらの基準を満たす残った化合物群(約300〜400)について、化学物質の取り扱いやすさ、効力、選択性をさらに観察した。
【0160】
まず、ヒットした化合物の化学構造から、化学物質の取り扱いやすさを試験した。化学的に取り扱いやすい化合物は、合理的な化学方法論を用いた合成によって入手しやすいものであり、化学的に安定な官能基を有し、有望な薬物に似た性質を示す化合物であると定義される。薬効のある化学物質というフィルターを通り抜けたものについて、効力を評価した。化合物の効力は、広い濃度範囲にわたって阻害活性を評価することによって決定した。非線形回帰を用い、最もよく適合する阻害曲線を作成し、50%有効濃度(EC50)を算出した。所与の化合物の選択性または特異性は、典型的に、生体での効果を基準とした細胞毒性の比率としてあらわされる。細胞増殖アッセイを用い、50%細胞毒性濃度(CC50)を算出し、EC50を基準としたCC50の比率を、治療指数と称する(T.I.=CC50/EC50)。2種類のアッセイを利用して細胞毒性を決定し、これらのアッセイは、両方とも、代謝的に活性な細胞(28)で産生するレダクターゼの活性を定量する標準的な方法である。方法の1つは、3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニル−テトラゾリウムブロミド(MTT)の還元を測定する比色分析法であり、もう1つの方法は、レザズリン(Alamar Blue)の還元を測定する蛍光光度法を用いる。選択性は、無関係なウイルスのエンベロープを有する偽型ウイルスに対する阻害作用を評価することによって特性決定することもできる。ヒットした化合物のEC50を、ラッサ、エボラ、水疱性口内炎ウイルス(VSV)の3種類の異なるウイルスエンベロープを有する偽型HIVについて決定した。したがって、EC50間の比率は、化合物特異性の定量的な測定値となり、比率が80未満の化合物を除外した。
【0161】
偽型スクリーニングから得た最初にヒットした群で、25種類の高品質のラッサがヒットすることがわかり、すべてのEC50値は、1.8μM未満であった。これらの化合物のうち、10種のEC50は、100nM未満であった。
【0162】
偽型ウイルスアッセイと、ラッサ熱ウイルスプラーク減少アッセイ(以下の表2を参照)において、25種類の高品質のヒット群から、最も強力で選択性を示す化合物の1つとして、化合物ST−600037を同定した。この化合物の化学類似体を商業的な供給元から得るか、または合成し、化学構造と生体での活性との関係を定義するために、これらの類似体を上述のように試験した。これらの類似体のうちいくつか、特に、ST−600193は、ST−600037と比較して、効力および選択性が向上していることが示された。それに加え、ST−600193も、新世界アレナウイルスグアナリトのエンベロープが介在する偽型ウイルス感染の強力な阻害剤であり(EC50<1nM)、タカリベが介在する偽型ウイルス感染の強力な阻害剤であり(EC50=4nM)、このことは、この化合物群が、ラッサ熱以外のアレナウイルス疾患の治療にも有用であることを示している。
【0163】
【表15−1】

【0164】
【表15−2】

【0165】
【表15−3】

【0166】
【表15−4】

【0167】
【表15−5】

【0168】
(実施例14−本発明の化合物の抗ウイルス活性を決定)
上の実施例13に記載したように、LASVに対する抗感染薬の開発は、高度封じ込め実験室(BSL−4)の要件があるため、運搬および安全性に関する顕著な課題がある。したがって、LASVエンベロープの糖タンパク質(GP)を偽型レトロウイルスに組み込んだ代理アッセイを高スループットスクリーニング(HTS)の基本骨格として使用した。アレナウイルスの侵入は、クラスIのウイルス融合タンパク質に分類される単一のウイルスでコードされたタンパク質によって媒介され(Gallaher WR(2001)BMC Microbiol 1:1;York J(2005) Virology 343:267-274; Eschli B(2006) J Virol 80-5897-5907)、これにより、抗ウイルススクリーニングのための有効な偽型の使用が容易になる。LASV GPが介在するウイルスの侵入の阻害剤を低分子化合物のライブラリから同定することができる。ウイルスの生活環の必須要素として、侵入プロセスは、抗ウイルス薬を開発するのに魅力的な標的である。例えば、2つの別個の種類のウイルス侵入阻害剤であるエンフビルチド(Matthews Tら、(2004)Nat Rev Drug Discov 3:215-225)およびマラビロック(Dorr Pら、(2005)Antimicrob Agents Chemother 49:4721-4732)が、近年、HIV治療で承認されている。
【0169】
(材料および方法)
ウイルス、細胞、化合物。ウイルスおよびベロ細胞は、以前に記載されている(Bolken TCら、(2006)Antiviral Res 69:86-97)。293T/17細胞(ATCC CRL-11268)を、10%の熱で不活性化したウシ血清(FBS)(Invitrogen)を加えたDulbecco変法イーグル培地(DMEM)中で、5% COで37℃で維持した。初期の化合物のロットは、商業的な供給業者から購入し(Asinex製ST-37およびInterBioScreen製ST-193)、その後のバッチは、多くの異なる供給元に特注で合成してもらった。化合物のストック溶液は、ジメチルスルホオキシド(DMSO)中、10mMで作製した。
【0170】
ウイルスの糖タンパク質クローニング。QIAamp Viral RNAキット(Qiagen)で単離したウイルスRNAは、Superscript One-Step RT-PCR(Invitrogen)およびGP特異性プライマーを用いたcDNAのテンプレートとして機能した。GP挿入物を、JUNV GP(以下を参照)を除き、哺乳動物の発現ベクターpCAGGSにサブクローン化した(Niwa Hら、(1991)Gene 108:193-199)。フニンGP cDNAを、改変され、隣接するKpn I−Bam HI制限部位を用いたPCRによって、pCI(Promega)にサブクローン化した。GenBank寄託番号を、寄託した配列に対する以下の違いと合わせて図4の説明に記載している。(すべて、関連するGP ORFに対するナンバリング):MACV GPは、1個の同義ヌクレオチド(nt)置換を有する(T552C);JUNV GPは、1個の同義nt置換を有する(C1446T);PICV GPは、1個のコード置換を有する(S132Nのアミノ酸変化をコードする、G395Aのnt変化);TCRV GPは、以前に報告した配列とは3箇所で異なっていた(Allison LMCら、(1991)J Gen Virol 72:2025-2029):C297T(同義置換)、およびE446Rのアミノ酸変化をコードする、1336−7のntでGA〜AG。LASV−LCMVキメラを、オーバーラップPCRによって、5’ 1245(LASV)または1263 nt(LCMV)を、GP ORFの3’ 231(LASV)または234 nt(LCMV)と融合して作成し(ナンバリングは、末端コドンを含む)、したがって、タンパク質の融合ジャンクションは、共通のTEML(単一のアミノ酸コード)配列のC末端である。アレナウイルスGPの点変異は、QuikChange Site-Directed Mutagenesisキット(Stratagene)を用いて導入された。コドン431の2個のnt(G1291A、T1293G)を置換することによって、LASV V431M(表4のLASV #1)を作成し、LASV V435M(表4のLASV #2)は、ntが1箇所置換されており(G1303A)、LASV dblは、両方のアミノ酸変化を含んでいた。A1309Gのnt置換によってLCMV M437V(表4のLCMV #1)を作成し、LCMV dbl(M437V、M441V)も、A1321Gのnt変化を含んでいた。ピチンデT445V(表4のピチンデ#1)を、nt 1333−4でACをGTに置換することによって作製した。
【0171】
ST−193に耐性のTCRV変異体の作成。まず、2%FBSを加えた最小必須培地(MEM)中、1.2μM ST−193存在下で、ベロ細胞をMOI 0.1のTCRVで感染させた。細胞変性効果が明らかになってきたら(約7〜10日)、ウイルスを収穫し、もっと高いST−193濃度(1.8μM)で再び継代し、このプロセスを2.4μMおよび3μMのST−193で繰り返した。最後のウイルス収穫物からRNAを単離し、上述のようにcDNAを調製した後、TOPO TAベクターのpCR2.1(Invitrogen)にクローン化した。次いで、複数のクローンの配列を決定し、Eco RI-Xho I制限部位を用い、pCAGGSにサブクローン化した。
【0172】
偽型ウイルスの産生。3つのプラスミドを用いるHIV系発現システムを用い、偽型ウイルスを作成した(Naldini Lら、(1996) Science 272-263-267)。293T/17細胞を、比率が1:1:1.7(VSVgの場合、1:1:0.6)のpΔR8.2、pHR’−Luc、GP発現構築物を用いてトランスフェクションし(CalPhos Mammalian Transfectionキット、BD Biosciences)、トランスフェクションの20〜26時間後に、10mM酪酸ナトリウムで6時間誘発させた(VSVgではないエンベロープにのみ適用)。トランスフェクションから48時間後に上澄みを集め、低速遠心分離で濁りを取り(100*gで4分間)、0.45μMシリンジフィルターで濾過し、一定分量に分けて−80℃で保存した。
【0173】
感染および阻害アッセイ。ポリ−D−リジンでコーティングした96ウェルプレートに接種した293T/17細胞を、DMEM+7.5% FBS+0.5% DMSO中、偽ウイルスで感染させ、感染してから72時間後に、ホタルルシフェラーゼ活性をアッセイした(Luciferase Assay System from Promega)。Wallac EnVision 2102 Multilabelプレートリーダー(PerkinElmer)で、ウェルごとに、読み取り時間1秒を用い、発光を定量した。ルシフェラーゼシグナルは、桁は数桁異なるが、接種材料の大きさと正比例していた。抗ウイルス活性を試験するために、ウイルスを加える直前に、すべてのウェルで最終DMSO濃度0.5%を維持しつつ、DMSOで化合物を段階希釈したものを3ッ組で細胞に加えた。それぞれの96ウェルプレートは、最少でも4ッ組のネガティブコントロール(ウイルスなし)と8ッ組のポジティブコントロール(化合物を含まないウイルス)とを含んでいた。試験ウェルのルシフェラーゼ活性をポジティブコントロールの%に変換し、Microsoft ExcelのXLfit(IDBS)を用い、ワンサイト用量−応答曲線フィッティング(one site dose-response curve fit)でIC50を算出した。
【0174】
ST−193の同定および活性。LASV GPが組み込まれたレトロウイルス系偽型について、約400,000の化学的に多様な低分子ライブラリをスクリーニングした。ヒットした化合物を、特異性アッセイ、細胞毒性アッセイ、本物のラッサ熱ウイルスに対する確認アッセイ、再合成した化合物を用いた抗ウイルス活性の検証を含む一連のフォローアップ試験を介してフィルタリングした。このプロセスから、偽型LASV GPに対する平均IC50が16nMを示すベンズイミダゾール誘導体ST−37(図1A)を同定した。化学構造と生体での活性との関係(構造−活性関係、またはSAR)を特性決定するために、ST−37の類似体について抗ウイルス活性をアッセイした。これらの類似体の1つであるST−193(図1A;(4−イソプロピル−ベンジル)−[1−(4−メトキシ−フェニル)−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]−アミン)は、メトキシ基がイソプロプルで置換されたものであり、顕著に大きな抗ウイルス効力が得られる(図1B)。アレナウイルスではないエンベロープである、水疱性口内炎ウイルス由来のGタンパク質(VSVg)を特異性コントロールとして使用する。実施上の配慮点として、化合物を、50μM以下の濃度で試験し、この濃度で、ST−193が不溶性であるということが視覚的に示され(光学顕微鏡検査で結晶が観察された)、また、この濃度は、50細胞毒性濃度に近く(293T/17細胞で、ST−193 CC50=48μM)、したがって、最も高い濃度でみられるVSVg阻害は、非特異的な活性であると考えられる(IC50 ほぼ30μM;図1B)。
【0175】
偽型の感染性、ウイルス収量の低下、プラーク減少、細胞変性効果を含む種々のアッセイによって、ST−193の活性および特異性を評価した。偽型の基本骨格は、最も再現性があり、多様なウイルス、特に、いくつかの目的のウイルスが、BSL−4の封じ込め条件に使用が制限されている場合に、直接比較することが可能である。表3に示したように、ST−193は、4種類の南アメリカ出血熱ウイルス(フニン、マチュポ、グアナリト、サビア)をすべて含む系統発生的なクラスターであるクレードBの新世界アレナウイルスに由来するエンベロープを強く阻害する。さらに、ST−193は、原型の新世界アレナウイルスであるタカリベウイルス(TCRV)に由来するGPが介在するウイルスの侵入を強く阻害する。別のクレードBメンバーであるTCRVは、顕著なヒト病原体であることは知られていない。驚くべきことに、ST−193は、LASVに関連するLCMV GPに対し、非特異的なレベルの活性しか示さず、IC50は、LASVよりも4桁大きい値である(表3)。
【0176】
【表16】

【0177】
ST−193感受性決定基のマッピング。ST−193の阻害機構および予測される結合部位についての知見を得るために、アレナウイルスのエンベロープ糖タンパク質内にあるST−193感受性決定基を特定するための3つの方法論を使用した。第1に、2種類の密接に関連するアレナウイルスGPである、ST−193に対し感受性のもの(LASV)および感受性でないもの(LCMV)を用い、ドメイン交換実験を行った。第2に、感受性がほとんどない改変体を選択するために、病原性のない代理ウイルス(TCRV)をST−193存在下で継代した。最後に、部位特異的突然変異誘発法によって、GP2サブユニットの予測膜貫通ドメイン(TMD)内に位置する2個の重要なアミノ酸を特定した。
【0178】
LASV GP2サブユニットのC末端部分が、ST−193感受性を付与している。ST−193感受性を命令する領域を特定するために、キメラアレナウイルスエンベロープが組み込まれた偽型レトロウイルスを構築した。GP2サブユニットのC末端の3分の1が変更されている構築物(LASVの76アミノ酸、LCMVの77アミノ酸)が、ウイルス侵入機能を保持していることがわかった。これらのキメラは、完全なエンドドメインと、シグナルペプチド由来の予測TMDと、GP1サブユニットと、GP2サブユニットエクトドメインのほとんどに分けられ(図2A)、クラスIのウイルス融合タンパク質に特徴的なN末端と、C末端の7アミノ酸繰り返しのほとんどとを含む(Gallaher WRら、(2001)BMC Microbiol 1:1.16-18;York Jら、(2005)Virology 343:267-274;およびEschli Bら、(2006)J Virol 80:5897-5907)。ST−193感受性が、GP2のC末端部分によって付与されていることがわかった(図2B)。
【0179】
ST−193抵抗性のTCRV改変体の作成および特性決定。感受性決定基を遺伝的にマッピングするために、感受性が低下した改変体を選択するために、存在するST−193の濃度を高くしつつ、TCRVを連続的に継代した。3μM ST−193存在下または非存在下で培養する場合、選択した集合(193R)を作成し、等価なウイルス価を得た。対称的に、選択していないTCRV価は、対応する条件下で約1000分の1に低下する(データは示していない)。選択した集合に由来するRNAを使用してcDNAを合成し、このcDNAに由来するクローンから、複数のGP配列を決定した。次いで、ST−193感受性に対する所与の突然変異への寄与を直接評価するために、任意のGP配列内に見出されるコード変化が、偽型ウイルス産生のためのTCRV GP発現プラスミドに導入された。このアプローチは、ウイルス適応性にほとんど考慮されないが、複数の感受性決定基を単純に迅速に同定することが可能である。
【0180】
ST−193感受性を低下させる個々の193R突然変異は、GP2サブユニットの予測TMDのN末端またはN末端のすぐ近くに見出された(図3)。193Rの改変によって、1個のアミノ酸変化が、ST−193 IC50を30倍から1000倍より大きくするため、ある程度の抵抗性が得られた。TMDの近くにある予測エクトドメイン内にある位置413で、2個の別個の突然変異(Q413HおよびQ413R)によって、ST−193感受性が大きく低下した。
【0181】
興味深いことに、すでに記載した新世界アレナウイルスの侵入阻害剤ST−294に対する抵抗性を、TCRV GP2サブユニット内にある同様の位置に対してマッピングした(Bolken TCら、(2006)Antiviral Res 69:86-97)。さらに、4種類の認識されたST−294抵抗性のTCRV改変体(DR1〜4)のうち3種類が、ST−193に対する感受性を低下させることが示され(図3)、第4のもの(DR3、またはS433I)は、感受性を完全に保持していた。さらに、193R集合の中から、ST−294 DR4突然変異(F436I)を同定した。反対に、他の193R改変体は、ST−294感受性を保持している(データは示していない)。第3の別個のTCRV選択から同定した突然変異R412Tも、ST−193抵抗性を示すことがわかった(図3)。この第3のスクリーニングを設計し、GPタンパク質を標的にする別の新世界アレナウイルス阻害剤ST−761に対する抵抗性を特定した、ST−294と比較すると、193R改変体は、F436I改変体を除き、ST−761に対する感受性を保持している。ST−193、ST−294、ST−761は、明らかに共通の特性を有さない化学的に異なる低分子である。
【0182】
2種類のTMD残基が、ST−193感受性を制御している。アレナウイルスGPタンパク質配列のアラインメントから、上で同定したST−193感受性決定基の大部分が保存されていることがわかる(図4)。位置421および425は、いくらか多様性を示すが、LCMVおよびピチンデウイルスのGPがST−193に対して相対的に感受性を示さないことを部分的に説明することができる。位置421は、特に、ナノモル濃度範囲でST−193に対して感受性のアレナウイルスGPが、バリンを含有し、一方、他の残基(メチオニンまたはスレオニン)を含有しないことを特筆すべきである。ST−193感受性に関する残基421の機能的意義を直接試験するために、LASV GPを、これらの位置の片方または両方に、ST−193に感受性ではないLCMVに由来する対応するアミノ酸を含有するように改変した(表4)。さらに、LCMV GPでいくつかの相互変化も行われ、ST−193感受性のGP中に存在するVal421を、ピチンデGPに導入した。これらのそれぞれの遺伝子型についてST−193感受性を評価するために、偽型ウイルスを作製した。
【表17】

【0183】
位置421または425のいずれかにメチオニンを導入すると、ST−193に対するLASVの感受性が劇的に低下し、残基を両方とも置換すると、感受性はさらに低下し、LASV dbl GP(V421M、V425M)およびLCMV GPが、ほぼ同じST−193感受性を示す(表4)。しかし、相互置換(LCMV dblおよびLCMV #1)は、LCMV GPを変換しても感受性が高くならず、このことは、他の残基が、ST−193阻害に対するLCMV抵抗性になんらかの役割を果たしていることを示している。位置421の意義は、バリンを元々のスレオニン残基に変更すると、ピチンデGPのST−193感受性が大きくなることによってさらに強調される(表4)。
【0184】
本明細書に記載したベンズイミダゾール誘導体ST−193は、アレナウイルス侵入の強力な阻害剤であることが示された。任意の理論によって束縛されないが、この証拠から、ST−193が、ウイルスの結合を直接ブロックしているわけではないことが示唆される。第1に、ドメイン交換実験は、LASV残基およびLCMV残基の感受性の違いが、受容体結合GP1ドメイン内にはないが、GP2ドメイン内にあることを示している。第2に、ST−193抵抗性のアレナウイルスを選択した後、感受性決定基は、GP1内で同定されなかった。最後に、アレナウイルスの侵入は、ST−193感受性に対応するとは考えられない宿主細胞の表面受容体の多様性が介在している。LASVおよびLCMVは、α−ジストログリカンを利用し(Cao Wら、(1998)Science 282:2079−2081)、一方、カテゴリーAの新世界出血性アレナウイルスは、トランスフェリン受容体1を使用している(Radoshitzky SRら、(2007)Nature 446:92−96)。クレードCの新世界アレナウイルスは、旧世界アレナウイルスと同様に、α−ジストログリカンを使用する(Spiropoulou CFら、(2002)J Virol 76:5140-5146)。いくつかの他の新世界アレナウイルス(ST−193感受性のTCRVを含む)は、別個のまだ同定されていない受容体を使用していると考えられる(Flanagan MLら、(2008)J Virol 82:938-948;Oldenburg Jら、(2007)Virology 364:132-139;Reignier Tら、(2008)Virology 371:439-446;およびRojek JMら、(2006)Virology 349:476-491)。これらの観察結果を、融合GP2サブユニット内にある複数のST−193感受性決定基の存在と組み合わせ、ST−193が、結合段階の後で、GPが介在する侵入をブロックすることを示唆している。
【0185】
ST−193感受性は、エンベロープタンパク質のGP2サブユニットの28アミノ酸範囲によって調節され、この範囲に、予測TMDがほぼ全体的に包含される。これらの結果から、ST−193活性においてこの領域が関与しているが、同定した感受性決定基の位置および空間配置から、これらの部位の少なくともいくつかが、阻害剤結合に直接関与しているわけではないことを示唆している。特に、ST−193感受性の系統発生に関与している、位置421および425の2個の残基は、4アミノ酸だけ離れて位置している。αらせんTMD内で、これらの2個の残基は、互いに隣接していると考えられ、別の重要な感受性決定基である位置418(図2B)は、同じらせん面にある。ST−193の予測物理特性(平均分配係数計算値またはcLogPは5.5)は、疎水性ポケットへの結合と一致している。ST−193は、GPのコンホメーション再配置を防ぐか、または乱し、または、脂質の混合を阻害し、それにより、宿主細胞との融合を防ぐ。または、ST−193は、遺伝子選択後に同定された膜に隣接するドメインである409〜413領域と相互作用するが、この領域は、親水性が高く、HIV gp41の膜に隣接するエクトドメイン(アレナウイルスGP2のクラスIのウイルス融合タンパク質等価物)は、広範囲に中和するモノクローナル抗体の標的である(Sun Z-YJら、(2008 Immunity 28:52-63)。別の可能性は、ST−193が、TMD内またはTMD付近のタンパク質−タンパク質相互作用を妨害することである。アルファウイルスのE1タンパク質およびE2タンパク質のTMD間の相互作用は、融合にとって重要である(Sjoeberg Mら、(2003)J Virol 77:3441-3450)。いくつかの最近の研究では、アレナウイルスGPシグナルペプチドの独特な役割が観察され(Agnihothram SSら、(2006)J Virol 80:5189-5198;Agnihothram SSら、(2007)J Virol 81:4331-4337;Eichler Rら、(2003)EMBO Rep 4:1084-1088;Eichler Rら、(2004)J Biol Chem 279:12293- 12299;Froeschke Mら、(2003)J Biol Chem 278:41914-41920;Kunz Sら、(2003)Virology 314:168-178;Saunders AAら、(2007)J Virol 81:5649-5657;Schrempf Sら、(2007)J Virol 81:12515-12524;York Jら、(2006)J Virol 80:7775-7780;York Jら、(2007)J Virol 81:13385-13391;York Jら、(2004)J Virol 78:10783-10792)、GPシグナルペプチドが、GPと関連したままであり、有効なGP1−GP2処理、細胞膜への移動、膜の融合、ウイルス感染性に必要である。この切断した58アミノ酸ペプチドは、2個の保存された疎水性ドメインと、親水性アミノ末端とを有している。次いで、安定なシグナルペプチドと、処理されたGP1−GP2複合体との相互作用は、アレナウイルスに特異的な、不安定な抗ウイルス標的を与える。少なくとも3種類の似ていない抗ウイルス化合物(ST−193、ST−294、ST−761)に対する感受性を、GP2のTMD領域に対してマッピングし、遺伝的抵抗性のまったく別個のパターンがまだ重なりあっていた。類似点として、いくつかの異なる種類の低分子HIV侵入阻害剤(マラビロックを含む)は、CCR5の4つのTMDによってつくられるポケット内に結合すると考えられ、重要なHIVコレセプターである(Kondru R(2008)Mol Pharmacol 73:789-800)。
【0186】
アレナウイルスは、重要な出血熱病原体の一種を構成しており、カテゴリーAに指定されている5種類のウイルスを含む。ST−193活性の効力およびスペクトルによって、これらのウイルスによって引き起こされる疾患を予防し、治療するための強力な抗ウイルス化合物になっている。
【0187】
本明細書で引用したすべての引用文献は、あらゆる目的のために、その全体が参考として援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレナウイルスによるウイルス感染またはこの感染に関連する疾患を治療する方法または予防する方法であって、このような方法を必要とする哺乳動物に、以下の式Iの化合物
【化1】

〔式中、RおよびRは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールアルキル、アリール、アシル、アリールアシル、ヒドロキシ、アルキルオキシ、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、アセトアミド、ハロゲン、シアノまたはニトロであり;
は、水素、アシル、アリールアシルまたはスルホニルであり;かつ
ArおよびArは、独立して、(非)置換アリールまたはヘテロアリールである〕
を治療に有効な量で投与する工程を含み、
前記アレナウイルスが、ラッサ、フニン、マチュポ、グアナリト、サビア、ホワイトウォーターアロヨ、チャパレ、LCMVウイルスおよびLCMV様ウイルスからなる群より選択される、方法。
【請求項2】
が水素である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
が水素である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
が水素である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
が−S(O)−置換アリールである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
が−S(O)−置換フェニルである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
が−S(O)−アルコキシフェニルである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
が−S(O)−メトキシフェニルである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
が−S(O)−p−メトキシフェニルである、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
Arが非置換アリールである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
Arが非置換フェニルである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
Arが一置換アリールである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
Arが一置換フェニルである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
Arがアルコキシフェニルである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
Arがメトキシフェニルである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
Arがo−メトキシフェニルである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
Arがp−メトキシフェニルである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
Arが置換アリールである、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
Arが置換フェニルである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
Arが一置換フェニルである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
Arがアルコキシフェニルである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
Arがメトキシフェニルである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
Arがo−メトキシフェニルである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
Arがm−メトキシフェニルである、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
Arがp−メトキシフェニルである、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
Arがエトキシフェニルである、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
Arがp−エトキシフェニルである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
Arがアルキルフェニルである、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
Arがメチルフェニルである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
Arがp−メチルフェニルである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
Arがプロピルフェニルである、請求項20に記載の方法。
【請求項32】
Arがp−プロピルフェニルである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
Arがp−イソプロピルフェニルである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
Arがハロ−置換フェニルである、請求項13に記載の方法。
【請求項35】
Arがp−ハロ−置換フェニルである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
Arがp−ブロモフェニルである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
Arがp−クロロフェニルである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
Arがヒドロキシフェニルである、請求項13に記載の方法。
【請求項39】
Arがo−ヒドロキシフェニルである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
Arがジメチルアミノフェニルである、請求項13に記載の方法。
【請求項41】
Arがp−ジメチルアミノフェニルである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
Arが−S(O)−置換アリールである、請求項12に記載の方法。
【請求項43】
Arが−S(O)−置換フェニルである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
Arが−S(O)−アルコキシフェニルである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
Arが−S(O)−メトキシフェニルである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
Arが−S(O)−p−メトキシフェニルである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
Arがジフェニルである、請求項20に記載の方法。
【請求項48】
式Iの化合物が、(4−メトキシ−ベンジル)−[1−(4−メトキシ−フェニル)−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]−アミン、(4−ジメチルアミノ−ベンジル)−[1−(2−メトキシ−フェニル)−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]−アミン、(4−ジメチルアミノ−ベンジル)−(1−フェニル−1H−ベンズイミダゾール−5−イル)−アミン、(4−ジメチルアミノ−ベンジル)−(1−フェニル−1H−ベンズイミダゾール−5−イル)−アミン、(4−ブロモ−ベンジル)−[1−(4−メトキシ−フェニル)−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]−アミン、(2−メトキシ−ベンジル)−[1−(4−メトキシ−フェニル)−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]−アミン、(4−エトキシ−ベンジル)−[1−(4−メトキシ−フェニル)−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]−アミン、(2−メトキシ−ベンジル)−[1−(2−メトキシ−フェニル)−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]−アミン、[1−(4−メトキシ−フェニル)−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]−ナフタレン−1−イルメチル−アミン、(4−メトキシ−ベンジル)−(1−p−トリル−1H−ベンズイミダゾール−5−イル)−アミン、(4−クロロ−ベンジル)−[1−(4−メトキシ−フェニル)−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]−アミン、(3,4−ジメトキシ−ベンジル)−[1−(4−メトキシ−フェニル)−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]−アミン、(4−ブロモ−ベンジル)−(1−フェニル−1H−ベンズイミダゾール−5−イル)−アミン、N−(4−エトキシ−ベンジル)−N−[1−(2−メトキシ−フェニル)−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]−4−メチルベンゼンスルホンアミド、[1−(4−メトキシ−フェニル)−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]−(4−メチル−ベンジル)−アミン、(2,3−ジメトキシ−ベンジル)−[1−(4−メトキシ−フェニル)−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]−アミン、(4−メトキシ−ベンジル)−[1−(2−メトキシ−フェニル)−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]−アミン、(3−メトキシ−ベンジル)−[1−(4−メトキシ−フェニル)−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]−アミン、(2,3−ジメトキシ−ベンジル)−[1−(2−メトキシ−フェニル)−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]−アミン、(4−イソプロピル−ベンジル)−[1−(4−メトキシ−フェニル)−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]−アミン、(4−メトキシ−ベンジル)−(1−フェニル−1H−ベンズイミダゾール−5−イル)−アミン、N−(4−イソプロピル−ベンジル)−N−[1−(4−メトキシ−フェニル)−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]−アセトアミドおよびN−(4−イソプロピル−ベンジル)−N−[1−(4−メトキシ−フェニル)−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]−4−メチルベンゼンスルホンアミドからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項49】
前記哺乳動物がヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項50】
シドフォビル、環状シドフォビル、またはこれらの塩、エステルまたはプロドラッグの組み合わせを併用投与する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項51】
前記アレナウイルスがフニンである、請求項1に記載の方法。
【請求項52】
前記アレナウイルスがマチュポである、請求項1に記載の方法。
【請求項53】
前記アレナウイルスがグアナリトである、請求項1に記載の方法。
【請求項54】
前記アレナウイルスがサビアである、請求項1に記載の方法。
【請求項55】
前記アレナウイルスがラッサである、請求項1に記載の方法。
【請求項56】
前記アレナウイルスがタカリベである、請求項1に記載の方法。
【請求項57】
前記アレナウイルスがピチンデである、請求項1に記載の方法。
【請求項58】
前記LCMV様ウイルスが、ダンデノング、タカリベおよびピチンデからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−518887(P2011−518887A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507596(P2011−507596)
【出願日】平成21年4月29日(2009.4.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/042031
【国際公開番号】WO2010/036399
【国際公開日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(509322904)シガ・テクノロジーズ・インコーポレーテッド (8)
【Fターム(参考)】