説明

アレルギー抑制オリゴ糖

【課題】 1−ケストースのイムノグロブリンA(IgA)抗体の増強作用およびイムノグロブリンE(IgE)抗体の産生抑制作用、腸内ビフィズス菌の増殖活性作用および乳幼児のアトピー性皮膚炎の改善性についてヒト試験により確認し、1−ケストースを用いたアレルギー抑制オリゴ糖を提供すること。
【解決手段】 1−ケストースを有効成分として含有し、この1−ケストースによるIgA抗体の産生増強作用、IgE抗体の産生抑制作用、および腸内ビフィズス菌の増殖活性作用を利用して、乳幼児のアトピー性皮膚炎をはじめとするアレルギーの発症を予防およびアレルギー症状の治療に寄与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アレルギーを抑制するのに効果的なオリゴ糖に関し、特に、1−ケストースによってイムノグロブリンA(以下、「IgA」という。)の産生を増強し、またはイムノグロブリンE(以下、「IgE」という。)の産生を抑制し、腸内ビフィズス菌を増加させることによってアレルギーの発症予防またはアレルギー治療に好適なアレルギー抑制オリゴ糖に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アレルギーは、異物等の外敵に対して自己防衛機能を発揮する免疫系が異常となることによって生じる疾患である。アレルギーには、食物アレルギー、花粉症、アトピー性皮膚炎等の症状があり、幅広い年齢層にわたり発症し、発生部位や症状も異なる疾患が含まれる。
【0003】
アレルギー疾患の特徴として、アトピー素因のある人が乳幼児期にアトピー性皮膚炎にかかっており、次いで幼児期に気管支喘息になり、成人になるとアレルギー性鼻炎が出現するといったアレルギーの中心症状が年齢によって変化するアレルギーの連鎖現象(アレルギーマーチ)がある。このようなアレルギーマーチによる症状の継続は社会的にも大きな問題となっており、早急な対策が望まれている。そして、そのようなアレルギーマーチに対しては、乳幼児などの早期の段階においてアトピー性皮膚炎の適正な治療が講じられれば、その後のアレルギー発症の予防が期待できるといえる。
【0004】
アレルギー発生の原因としては、様々な抗体の中でもIgEという抗体が中心となっていることが知られている。したがって、アレルギー予防策としては、そのIgEの産生を抑える方法が考えられる。
【0005】
また、抗体の中でIgAという抗体は、人間の腸管に存在し、特に分泌型IgAは免疫系を賦活する作用が知られている。本来、口から摂取する食物はすべて異物であり、多くの場合、腸管での吸収において異種タンパクに寛容なシステムが働く。この腸管免疫寛容機能の中心がIgAであると指摘されている。したがって、他のアレルギー予防策としては、前記IgAを活性化させる方法が考えられる。
【0006】
さらに、アレルギー発症には発症前の腸内細菌叢の構成が関連しており、アレルギーを発症した児童は、健康児に比べて新生児の時期に腸内細菌叢のビフィズス菌が少ない傾向が報告されている。そこで、アレルギー予防策として腸内細菌叢の構成バランスを改善する方法も考えられる。
【0007】
一方、アレルギーに対する薬剤を使用する治療には、発症時の各部位に直接作用するものや異物がIgEと結合することを妨げるものなどがあるが、医師による処方が必要であり、継続・中止の判断も難しく、副作用が生じた事例が多数報告されている。
【0008】
また、食品においても、アレルギーの抑制に対する効果を示す報告はあるが、植物の抽出成分であって当該効果を示す成分が不明確なものや菌類のため保存・保管に注意を要するもの、あるいは味質に難があるものが多いという問題が指摘されている。
【0009】
特に、アトピー性皮膚炎の患者は主に乳幼児であるため、安全性が確認されたものである必要があるし、乳幼児が日常摂取しやすい形状にできるような加工性の高いものが求められる。
【0010】
ところで、従来、アレルギーの抑制機能を有する物質に関する発明が幾つか提案されており、例えば、特開平8−157379号公報には、フラクトオリゴ糖を含有するアレルギー予防材が記載されている(特許文献1)。また、特開2003−201239号公報には、フラクトオリゴ糖を含有する免疫賦活食品が記載されている(特許文献2)。
【特許文献1】特開平8−157379号公報
【特許文献2】特開2003−201239号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前述した特許文献1に記載の発明は、マグネシウム吸収促進によるものであって免疫系に対する作用は記載されていない。また、特許文献2に記載の発明は、免疫賦活作用に関する記載はあるが、種々のオリゴ糖の混合物による効果が示されており、混合物中における活性の主体が何であるのか特定できておらず、特にケストースの作用効果に関して記載されていない。発明者等の実験によれば、1−ケストースの純度が低いオリゴ糖ではIgE抗体の産生を抑制できない結果が得られており、このため発明者等は1−ケストースのアレルギー抑制の作用効果に着目している。
【0012】
さらに、発明者らは、1−ケストースを主成分とするオリゴ糖が腸内有用菌であるビフィズス菌を増殖させて腸内細菌叢の構成バランスを改善する効果を見出しており、この効果によるアトピー性皮膚炎等のアレルギー抑制作用にも注目している。
【0013】
一方、ケストースは、3糖類のオリゴ糖であって、野菜・穀類にも含まれており、長年の食経験によって副作用などの心配がない物質である。また、結晶化された1−ケストースは、吸湿性が低く、かつ砂糖に近い味質の上、溶解性も砂糖と同程度という物性上の特徴がある。したがって、乳幼児が日常的に無理なく摂取・飲用するには好適な素材ともいえよう。
【0014】
本発明は、前述した問題点を解決するためになされたものであって、1−ケストースのIgA抗体の増強作用、IgE抗体の産生抑制作用、腸内ビフィズス菌の増殖活性作用および乳幼児のアトピー性皮膚炎の改善性についてヒト試験により確認し、1−ケストースを用いたアレルギー抑制オリゴ糖を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係るアレルギー抑制オリゴ糖は、フラクトオリゴ糖において1−ケストースが最大組成比率の第1組成物として含有される。
【0016】
また、本発明に係るアレルギー抑制オリゴ糖は、フラクトオリゴ糖において1−ケストースが最大組成比率の第1組成物として含有されるオリゴ糖であって、IgA抗体の産生増強作用を備えている。
【0017】
さらに、本発明に係るアレルギー抑制オリゴ糖は、フラクトオリゴ糖において1−ケストースが最大組成比率の第1組成物として含有されるオリゴ糖であって、IgE抗体の産生抑制作用を備えている。
【0018】
そして、本発明に係るアレルギー抑制オリゴ糖は、フラクトオリゴ糖において1−ケストースが最大組成比率の第1組成物として含有されるオリゴ糖であって、乳幼児の腸内ビフィズス菌の増加作用を備えている。
【0019】
また、本発明に係るアレルギー抑制オリゴ糖は、フラクトオリゴ糖において1−ケストースが最大組成比率の第1組成物として含有されるオリゴ糖であって、乳幼児のアトピー性皮膚炎を抑制する。
【0020】
本発明において、1−ケストースの純度が95%以上の結晶化されたケストースであってもよい。
【0021】
また、本発明において、有効量が1日当たり0.015(g/kg体重)以上であってもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、アレルギーの原因であるIgE(IgG1)抗体の産生抑制効果を発揮し、腸管免疫寛容の中心であるIgA抗体の増強効果を有し、アレルギーの予防や治療に効果を奏することができる。また、腸内細菌叢の構成バランスを改善し、乳幼児期のアトピー性皮膚炎の予防および治療に効果を発揮し、その後のアレルギー発症の予防が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本願発明者等は、特願2004−126086号において、1−ケストースを高純度で含有するオリゴ糖が、クロストリジウム属菌数の多い有害菌優性腸内環境下であってもビフィズス菌を増殖させることができることを見出しているところであるが、今回、さらに1−ケストースの有用性について様々な研究を続けた結果、1−ケストースを高純度で含有するオリゴ糖がアレルギー抑制効果を兼ね備えていることを見出した。
【0024】
ここで、本実施形態で使用する1−ケストースは、1分子のグルコースと2分子のフルクトースからなる三糖類のオリゴ糖である。1−ケストースを主成分とするオリゴ糖は、特開昭58−201980公報に開示されているような各種酵素でショ糖を原料に酵素反応を行い、1−ケストース含有組成物を得た後、特開2000−232878号公報で開示されているようなクロマト分離により1−ケストースの純度を上げ、最後に特公平6−70075号公報に開示されているような結晶化法で95%以上の結晶として製造することができる。このように製造された1−ケストースを主成分とする結晶オリゴ糖は、溶解性に優れており、難消化性で低エネルギーである。そして、IgA産生増強作用やIgE産生抑制作用を有している。なお、本実施形態の1−ケストースを有効成分とするオリゴ糖としては、食品新素材有効利用技術シリーズNo.13「1−ケストース」(社団法人菓子総合技術センター発行)に記載されている1−ケストースが最も望ましい。そこで、以下において、前記1−ケストースのアレルギー抑制効果を実証する各種の実施例の結果について説明する。
【実施例1】
【0025】
『実施例1:IgAの産生に与える影響を確認する実験』
実施例1では、1−ケストースがIgAの産生に与える影響を調べる実験を行った。
【0026】
本実施例1で使用した1−ケストースを含有するオリゴ糖は、1−ケストースを98重量%、ニストースを1.0重量%、ショ糖を1.0重量%の組成からなるオリゴ糖、つまり、1−ケストースの純度が98%のオリゴ糖である。そして、1−ケストースを有効成分とするアレルギー抑制オリゴ糖を、アレルギー症状を自覚している成人男性4名に対し、3gずつ1ヶ月間摂取してもらい、摂取前と摂取後に糞便を採取し、糞便中のIgAの測定と腸内細菌の測定を行った。
【0027】
IgAの測定においては、採取した糞便をリン酸緩衝食塩液(PBS)で20倍に希釈し、遠心分離機で上澄みを採取後、さらにそれを10倍に希釈して測定用サンプルとした。そして、抗ヒトIgAマウスモノクローナル抗体(ナカライテスク(株))と、それにHRP(horseradish peroxidase)で標識したHRP標識抗体を作製した。その後一般的なエライザ法により測定した。
【0028】
一方、腸内細菌の測定においては、測定用サンプル液を平板寒天培地上に0.05mlずつ滴下して培地表面に塗布した。そして、35℃で3〜5日嫌気培養後、細菌の同定および細菌数を算出した。
【0029】
以下、実施例1におけるIgAの測定結果を図1および図2に示し、腸内細菌の測定結果を図3ないし図6に示す。図1および図2に示すように、いずれの被験者においても1ヶ月摂取後の糞便中のIgA濃度は増加し、特に被験者A〜Cの3人は、糞便中のIgA濃度が2倍以上に増加した。各被験者のIgA平均濃度は、1−ケストース摂取前では0.61(μg/ml)に対し、1ヶ月摂取後では1.06(μg/ml)となり、1.7倍以上に増加している。この結果から、1−ケストースを摂取することにより、腸管内IgAを増加させられることが示された。
【0030】
つぎに、腸内細菌の測定結果について検討する。腸内細菌は、有用菌であるビフィズス菌およびラクトバチルス菌(乳酸桿菌)と、有害菌とされているクロストリジウム菌を同定した。図3は、1−ケストース摂取前の各細菌数およびビフィズス菌占有率を示す表であり、図4は1−ケストースを1ヶ月摂取後の各細菌数およびビフィズス菌占有率を示す表である。また、図5および図6は、ビフィズス菌についてグラフ化したものである。各図に示すように、被験者A〜Dの1−ケストース摂取前のビフィズス菌数は、それぞれ109.1、109.7、109.7、109.4であったのが、1ヶ月摂取後では、1010.0、1010.1、1010.1、1010.1、といずれも増加した。平均値でみると、1−ケストース摂取前のビフィズス菌数は109.5であったのが、1ヶ月摂取後では1010.1と大きく増加した。
【0031】
また、被験者BおよびCでは、クロストリジウム菌がそれぞれ107.1から106.9、107.6から107.3へと減少した。平均値でみると、1−ケストース摂取前のクロストリジウム菌数は107.5であったのが、1ヶ月摂取後では107.3と減少した。なお、菌数は糞便湿重1g当たりのものである。
【0032】
総菌数に対するビフィズス菌の占有率でみると、各被験者の占有率は大きく増加しており、平均では19.97%であったものが、1ヶ月摂取後には43.05%まで増加し、腸内においてビフィズス菌が優性になることが示された。特に、被験者AおよびBは、11.67%から52.38%、38.57%から57.14%へとビフィズス菌数が過半数以上にまで増加し、腸内環境の著しい改善が確認された。通常、腸内環境では、バクテロイデス菌の占有率が40%程度と高く、その他の菌は20%程度を占めることが多い。このため、ビフィズス菌の占有率が40%を超えれば最優性菌となり、ビフィズス菌による腸内環境改善効果が明確に現れると考えられるところ、本実施例1の結果によれば、1−ケストースの摂取による腸内環境の改善効果が認められる。
【0033】
なお、ビフィズス菌とアレルギーとの関係について言及すれば、ビフィズス菌の経口摂取を続けることにより、マクロファージやNK細胞などの免疫系に関わる細胞の活性が増強されることがわかっている。また、ビフィズス菌などのグラム陽性菌は腸管免疫系においてアレルギー抑制に関わるTh1細胞を誘導することが知られている。したがって、腸内ビフィズス菌の増加は、アレルギーの予防または治療に効果があると考えられている。
【0034】
以上の実施例1により、1−ケストースがIgAの産生を増強し、ビフィズス菌の数および腸内占有率も増加させることができるものであり、腸内環境の改善に好適であることが認められた。
【実施例2】
【0035】
『実施例2:IgG1およびIgEの産生に与える影響を確認する実験』
実施例2では、1−ケストースがIgG1およびIgEの産生に与える影響を調べるため、無菌マウスに1−ケストースを投与し、その投与前後における血清中のIgG1およびIgEの量を測定した。
【0036】
本実施例2において、実験に供したマウスは、無菌状態で誕生させた4週齢雄マウス(BALB/c系統)であり、このマウスを一群10〜15匹用いた。これらのマウスにヒト乳児糞便を100倍に希釈したものを0.5ml経口摂取し、無菌状態で2週間育成した。その後、そのマウスに卵白アルブミン(OVA)5mgを4日間経口投与した。つぎに、免疫寛容の成立の有無を調べるために、卵白アルブミン経口投与後1,3,5,7週目にそれぞれ卵白アルブミン1μgに水酸化アルミニウムゲル0.1mgを加えた液を腹腔内に注射した。これらのヒトフローラ定着マウスを用いて1−ケストースを投与した群と投与しない群について、9週目に血清中の抗卵白アルブミンIgG1および抗卵白アルブミンIgEをエライザ法により測定した。
【0037】
その結果、図7および図8に示すように、まず無菌マウスでは、抗卵白アルブミンであるIgG1(抗OVAIgG1)が1583(unit/ml)、抗卵白アルブミンであるIgE(抗OVAIgE)が496(unit/ml)検出され、抗体の生成が確認された。一方、通常の無菌ではないマウスでは、抗OVAIgG1が4(unit/ml)検出されるとともに、抗OVAIgEが33(unit/ml)検出されており、前記無菌マウスに比べて格段に低い値を示しており、経口免疫寛容の導入が成立したことが認められ、経口免疫寛容の効果判定試験系(卵白アルブミン+水酸化アルミニウムゲル)が適切であることが確認された。
【0038】
そして、無菌マウスにヒト糞便菌を定着させたヒトフローラ定着マウスでは、1−ケストース投与前の抗OVAIgG1が41(unit/ml)、抗OVAIgEが204(unit/ml)となり、いずれも無菌マウスに比較して低い数値を示した。さらに、このヒトフローラ定着マウスに1−ケストースを投与した群では、それぞれ抗OVAIgG1が31(unit/ml)、抗OVAIgEが156(unit/ml)に減少し、無菌マウスに比較してさらに低い値を示した。これによって、1−ケストースが経口免疫寛容の導入をより確実に行わせる効果があることが認められた。
【0039】
以上の実施例2により、1−ケストースがIgG1およびIgEの産生を抑制し、経口免疫寛容の成立に好適であることが認められた。
【実施例3】
【0040】
『実施例3:1−ケストース投与前後におけるヒトの血清中のIgE量を測定する実験』
本実施例3では、1−ケストースがヒトの血清中におけるIgEの量に与える影響を調べるため、被験者に1−ケストースを投与し、その投与前後における血清中の非特異的IgEの量を測定した。
【0041】
被験者は、アレルギー症状があるボランティア2名(成人男女各1名)について、1−ケストース3gを1ヶ月間摂取してもらい、血清中の非特異的IgE等の血液成分の測定を行った。
【0042】
その結果、図9に示すように、非特異的IgEの基準値は366(IU/ml)以下であるところ、成人男性の非特異的IgE量は、1−ケストース摂取前では505(IU/ml)であって基準値を超えていたが、摂取して1ヶ月後には354(IU/ml)へと基準値内まで減少した。また、成人女性の非特異的IgEも1−ケストースを摂取する前では381(IU/ml)であって基準値を超えていたが、摂取して1ヶ月後には313(IU/ml)へと基準値内まで減少した。なお、CRP(C−反応プロテイン)値は1−ケストース摂取前後でいずれも陰性であって肝機能等への影響は認められず、他の臓器および血液成分への影響は認められなかった。
【0043】
以上の実施例3により、1−ケストースがヒトに対してもIgEの産生を抑制する効果が得られることを確認できた。
【実施例4】
【0044】
『実施例4:フラクトオリゴ糖含有組成物の腸内菌叢改善効果を比較する実験』
本実施例4では、無菌マウスを使ってフラクトオリゴ糖を構成する各組成物の腸内菌叢の改善効果の強さを比較した。実験に供したマウスは、無菌状態で誕生させた4週齢雄マウス(BALB/c系統)であり、このマウスを一群10〜15匹用いた。これらのマウスにヒト乳児糞便を100倍に希釈したものを0.5ml経口摂取し、無菌状態で2週間育成した。フラクトオリゴ糖の構成物は、3糖類のケストース、4糖類のニストース、5糖類のF−ニストースである。本実施例4で使用したケストースは、1−ケストース99.0%、ニストース0.5%、スクロース0.5%の組成物である。また、ニストースは、ニストース99.0%、1−ケストース0.9%、スクロース0.1%の組成物である。また、F−ニストースは、F−ニストース82.0%、その他の5糖類13.0%、その他の成分5.0%の組成物である。その他、比較のためコントロール群には滅菌水を強制投与したマウスと、一般的なフラクトオリゴ糖(1−ケストース重量35.8%,ニストース50.9重量%,F−ニストース8.5重量%)を投与したマウスについても測定した。図10に各供試糖の組成を示す。各オリゴ糖を無菌マウスに5日間経口投与し、ビフィズス菌の増殖程度として総菌数に対する割合を求めた。
【0045】
その結果、図11に示すように、ビフィズス菌の増殖の程度として総菌数に対する割合で比較すると、ケストースが12.59%と最も高く、次いでニストースが7.94%、F−ニストースが7.94%となった。一方、フラクトオリゴ糖は10.00%であった。いずれもコントロールマウスに比べてビフィズス菌の占有率が向上して腸内環境が改善されているが、ケストースが最も改善効果が高いことが認められた。
【0046】
以上の実施例4により、フラクトオリゴ糖の組成物のうち、1−ケストースが最もビフィズス菌の増殖作用に効果を発揮し、腸内環境の改善に好適であることが認められた。
【実施例5】
【0047】
『実施例5:1−ケストースとフラクトオリゴ糖との有効性に関する比較実験』
上記実施例4の結果を分析すれば、ビフィズス菌増殖効果は、フラクトオリゴ糖の組成物のうち1−ケストースが最も高い効果を発揮し、フラクトオリゴ糖よりも好結果を示した。このことから腸内環境の改善には純度の高い1−ケストースが効果的であることが認められるところ、さらに直接的なアレルギー抑制効果を確認するため、実施例5では、1−ケストースとフラクトオリゴ糖と摂取することによるIgE抑制効果について実験した。
【0048】
本実施例5では、日常的にアレルギー症状の自覚がある成人女性4名(27歳〜45歳)を被験者とし、1−ケストースとフラクトオリゴ糖を摂取してもらい、各被験者の非特異的IgEを測定した。実験方法は、摂取前の非特異的IgEを測定しておき、まず1−ケストースを1日1回3gを食後に摂取させ、これを4週間継続した。5週目に血液を採取して非特異的IgEを測定し、その後摂取しない期間を2週間空けて、フラクトオリゴ糖を1日1回食後に3g摂取させ、これを4週間継続し、その後血液を採取した。本実施例5に使用した1−ケストースは、純度95%以上のものであり、また、フラクトオリゴ糖は市販品であってニストース51%、1−ケストース36%を含むニストースを主成分とするオリゴ糖である。なお、被験者には、実験期間中、他のオリゴ糖や乳酸菌などのプレバイオティクスおよびプロバイオティクス等の健康食品の摂取を控えさせた。実施例5の結果を図12に示す。
【0049】
図12に示すように、被験者4人中3人は1−ケストースの摂取により非特異的IgEが著しく減少したのに対し、フラクトオリゴ糖を摂取すると、逆に全員が摂取前よりも非特異的IgEを増加させる結果となった。
【0050】
具体的には、被験者Aでは、摂取前の非特異的IgEが541(IU/ml)であったのが、1−ケストース摂取後に298(IU/ml)となって約45%の減少効果が得られた。同様に、被験者Bでは、摂取前では422(IU/ml)であったのが、1−ケストース摂取後に282(IU/ml)となって32%以上減少し、被験者Cでは、摂取前では323(IU/ml)であったのが、1−ケストース摂取後に275(IU/ml)となって約25%の減少効果が得られた。
【0051】
一方、フラクトオリゴ糖を摂取した場合、非特異的IgE量は、被験者Aでは598(IU/ml)となって10%以上増加してしまった。また、同様に被験者Bでは478(IU/ml)となって13%以上増加し、被験者Dでは356(IU/ml)となって11%以上増加してしまった。
【0052】
なお、被験者Cは、1−ケストースを摂取しても非特異的IgEが減少せず、約3%程度増加しているが、フラクトオリゴ糖を摂取すると57%以上も増加する結果となり、フラクトオリゴ糖に比較して1−ケストースの優位性が明らかに認められる。
【0053】
以上の結果を平均値として示すと、摂取前の非特異的IgE量は403.8(IU/ml)であったが、1−ケストース摂取後に298.8となって約26%以上の減少効果が得られるのに対し、フラクトオリゴ糖を摂取しても減少せず、逆に487.3(IU/ml)となって20%以上も増加してしまう。
【0054】
以上の実施例5により、1−ケストースの摂取により非特異的IgEの抑制効果が得られるが、フラクトオリゴ糖を摂取しても非特異的IgEの抑制効果は得られず、逆に非特異的IgEの産生を増加させてしまう。実施例4の結果も加味すれば、フラクトオリゴ糖を構成するニストースおよびF−ニストースが、1−ケストースの非特異的IgE抑制効果を打ち消し、むしろIgEの産生を増加させてしまうと考えられる。
【0055】
以上のことから非特異的IgEの抑制効果、つまりアレルギー抑制効果は、1−ケストースの純度が高い組成物である必要があり、フラクトオリゴ糖の中でも1−ケストースの純度が低く、ニストース等が主成分のものでは、アレルギー抑制効果が得られないことが確認された。そして、フラクトオリゴ糖に占める1−ケストースの純度は、少なくともニストースよりも組成比率が多くて第1組成物である必要があり、好ましくは純度90%以上、より好ましくは純度95%以上であることが好適である。なお、1−ケストースの純度の程度は、少なくともIgA抗体の産生増加の作用効果を奏するもの、あるいはIgE抗体の産生抑制効果が得られるものであることが必要である。
【実施例6】
【0056】
『実施例6:1−ケストースの有効量に関する実験』
上記各実施例により、成人に対して1−ケストースのプレバイオティクスとしての効果を示す量は1日3gであることが確認できている。その後、ボランティアによる実験により1日2gで便通改善効果が示されている。そこで、本実施例6では、さらに少量の1日1gで腸内環境の改善効果を示すか否かの確認のため、ボランティアによる試験を行った。被験者は38歳から56歳までの健康成人男性4名であって、各人の体重は被験者Aが67kg、被験者Bが56kg、被験者Cが59kg、被験者Dが63kgである。
【0057】
実験方法は、まず最初に1−ケストース摂取前の各被験者の糞便を採取し、ビフィズス菌、ラクトバチルス菌、クロストリジウム菌、総菌数をそれぞれ測定した。そして、1−ケストースを1日1回1g摂取し、これを2週間継続した。15日目に各被験者の糞便を採取し、腸内細菌の測定を行った。更に1週間1−ケストースの摂取を行わない期間を隔てて22日目から2週間、1−ケストースを1日1回3g摂取し、36日目に各被験者の糞便を採取して腸内細菌の測定を行った。これらの結果を図13および図14に示す。
【0058】
図13および図14は対数値で示しているところ、被験者のすべてにおいて、1−ケストース1gおよび3gの摂取により、ビフィズス菌が増加した。平均値で示すと、1−ケストース摂取前ではビフィズス菌量が109.73であったのが、1日1回1g摂取によって109.85に増加し、さらに1日1回3g摂取によって1010.18 まで増加した。これにより少なくとも体重60kg前後の成人男性に対する1−ケストースの有効量は1日1gであることが確認された。なお、菌数は糞便湿重1g当たりのものである。
【0059】
一方、副作用のおそれのない1−ケストースの摂取量についても検討した。外部ボランティアの被験者に対し1日1回10gを与えて確認したところ、この摂取量であっても下痢は生ぜず、臓器および血液成分への影響は認められなかった。また、別のボランティアによる試験では、体重1kg・1日当たり0.4g、すなわち体重60kgの人であれば1日24gまで摂取しても下痢症状は生じないことを確認している。
【0060】
以上の実施例6により、各被験者の体重1kg当たりの有効量を算出すると、被験者Aは0.015(g/kg体重)、被験者Bは0.018(g/kg体重)、被験者Cは0.017(g/kg体重)、被験者Dは0.016(g/kg体重)であって、平均値では0.016(g/kg体重)であった。したがって、1−ケストースの有効量は成人男性であれば少なくとも1日当たり0.015(g/kg体重)以上摂取すれば、本発明の目的とする効果が得られることがわかる。一方、1日当たり0.4(g/kg体重)以下の摂取量であれば下痢等の症状が生じない。
【0061】
よって、本発明のアトピー性皮膚炎治療効果が得られる1−ケストースの用量は、患者の年齢、体重等の患者の状態、投与経路、病気の症状と重篤度等を考慮した上で適宜設定することができる。例えば、経口投与の場合、成人(体重60kgとして)に対するケストースの投与量は、1人1日あたり、0.9〜24gであるのが好ましく、より好ましくは2〜6gである。小児(体重10kgとして)に対するケストースの投与量は、1人1日あたり、0.15〜4gであるのが好ましく、より好ましくは0.3〜3gである。直腸投与の場合、成人(体重60kgとして)に対するケストースの投与量は、1人1日あたり、0.9〜24gであるのが好ましく、より好ましくは2〜6gである。
【実施例7】
【0062】
『実施例7:アトピー性皮膚炎患者における1−ケストースの臨床試験』
上記各実施例により、日常的にアレルギー症状の自覚がある成人に対して、1−ケストースがアレルギー原因であるIgE抗体の産生抑制、IgA抗体の増強、ビフィズス菌の増殖活性等の効果が確認された。そこで、実施例7では、より根本的な対策として、アトピー素因をもつアレルギー疾患患者を乳幼児期に治療することにより、その後の様々なアレルギー発生の予防が期待できることに鑑み、アトピー性皮膚炎の症状をもつ乳幼児を対象とした臨床試験を行った。
【0063】
臨床試験の対象者は、0才から3才までの食物アレルギーを合併した乳幼児アトピー性皮膚炎疾患であって、皮疹重症度が軽症〜重症の13名とした。なお、試験実施にあたっては、対象児の親の同意を得て行った。
【0064】
試験方法は、2週間の観察期間の後、純度98%の1−ケストースを1日1回水またはジュース類に混ぜて摂取させ、これを12週間継続した。1歳以下の被験者には1日1gを摂取させ、2〜3歳の被験者には1日2gを摂取させた。なお、試験は被験者に摂取前1ヶ月以上ステロイド外用剤を使用していない状態で開始し、試験期間中には保湿剤を中心に使用させ、食物アレルゲン除去食を摂取させた。
【0065】
臨床試験の評価は、摂取開始時、摂取開始6週後、摂取開始12週後の終了時、摂取終了4〜8週後にそれぞれ診察により皮膚重症度判定を行うとともに便検査を行った。摂取終了後4〜8週間をおいて検査をしたのは薬効の持続効果をみるためである。便検査では、糞便を採取して便中細菌のビフィズス菌の占有率を算出した。皮疹重症度判定は、日本皮膚科学会重症度検討委員会による部位別重症度判定(全身を頭部・体幹前部・体幹後部・上肢・下肢の5つの部分に区分し各部位のグローバルな評価(0〜4段階)の総和を算出する)を用いた。これらの結果を図15に示す。
【0066】
図15に示すように、皮膚重症度判定により、1−ケストース摂取中の被験者すべてにおいて、皮疹の程度が有意に改善した。特に、13名中6名(被験者3、4、5、8、12、13)は1−ケストース摂取終了後または終了4〜8週後には、皮疹が完全になくなった。また、摂取終了後の調査を行った11名中7名(被験者3、4、5、6、9、12、13)は摂取終了4〜8週後においても悪化または再発することなく、1−ケストース摂取による皮疹の改善効果の持続が認められた。皮疹の改善はアトピー性皮膚炎の治療において最も重要な効果であり、1−ケストースはその皮疹の改善に著しい改善効果があることが確認された。特に本試験の実施時期が皮疹増悪期である初夏にもかかわらず、悪化例がなく改善効果を示した点は評価できる。
【0067】
また、便中細菌のビフィズス菌の占有率は、便の採取ができなかった被験者12を除き、12週間の1−ケストース摂取により、12名中10名(被験者1、2、3、5、6、8、9、10、11、13)において増加し、腸内環境叢の構成バランスの改善が示された。また、4回すべての便検査を行うことのできた被験者9名におけるビフィズス菌の平均占有率は、1−ケストース摂取前では30.1%であったのに対し、1−ケストース摂取6週後には42.3%、12週後には56.0%となり著しい増加が認められた。一般的な乳幼児のビフィズス菌占有率が50%以上であることから、本臨床試験における1−ケストースによるビフィズス菌占有率の上昇作用は、非常に有効な結果であることが分かる。
【0068】
しかし、摂取終了4〜8週後には、上昇したビフィズス菌の平均占有率を維持していた被験者は少なく、全体的に低下傾向を示し平均占有率は32.7%に低下していた。このためビフィズス菌の維持を目的とするならば、1−ケストースを持続的に摂取するのが好ましい。ただし、前述したように、ビフィズス菌が低下してもなお皮疹の改善効果は維持されている結果であった。
【0069】
以上、皮疹結果とビフィズス菌の占有率に関して統計解析を行った。まず皮疹結果について、1−ケストース摂取開始時、摂取開始6週後、摂取開始12週後、摂取終了4〜8週後の4ポイントに関して多群検定モデルにおける2群間の比較を行った。このパラメトリック検定法(Fisher's PLSD検定)による結果、摂取開始時と摂取開始12週後の差および摂取開始時と摂取終了4〜8週後の差に有意性が認められた。そのときのp値はそれぞれ0.0022および0.0025であった。次に、ビフィズス菌の占有率(全菌数に対するビフィズス菌の割合)について皮疹結果と同様の解析を同様の群間で実施した。その結果、摂取開始時と摂取開始12週後の差に有意性が認められた。そのときのp値は0.0308であった。
【0070】
一方、1−ケストース摂取による下痢などの副作用は観察されず、かえって便通の改善した被験者が多くなる有用な結果が得られた。なお、被験者4に一過性の下痢がみられたが、摂取中に回復しており1−ケストース摂取による副作用ではないと考えられる。
【0071】
以上の実施例7より、1−ケストース摂取中には、皮疹の改善効果だけでなく便中細菌のビフィズス菌占有率の上昇作用が認められた。そして、1−ケストース摂取終了4〜8週後には、便中細菌のビフィズス菌占有率が摂取開始時に近い値に低下していたものの、皮疹の改善効果は維持されており、1−ケストースは乳幼児における乾燥肌、ひび割れ、紅斑、擦過傷、角質剥離等の肌の諸症状および掻痒感や痛み等の症状を伴うアトピー性皮膚炎の治療および予防に有効であることが確認できた。
【0072】
『実施例8:1−ケストースを含有する薬剤の製造例』
つぎに、1−ケストースを使用して主にアトピー性皮膚炎治療剤を想定した薬剤の製造例について説明する。
【0073】
[薬剤製造例1:散剤1,000g分、1−ケストース含量800mg/1g]
薬剤製造例1では、1−ケストース800g、乳糖200gをよく混合した後、90%エタノール300mLを添加して湿潤させた。湿潤粉末を造粒した後、60℃で16時間通風乾燥した。乾燥後、整粒して適当な細かさの散剤を得た。
【0074】
[薬剤製造例2:錠剤5,000錠分、1−ケストース含量60mg/1錠]
薬剤製造例2の錠剤は1−ケストースを含む粉末混合物を作り、顆粒化またはスラグ化し、次いで崩壊剤または滑沢剤を加えた後、打錠することにより製造することができる。具体的には、1−ケストース300g、粉末還元麦芽糖水飴380g、コメデンプン180g、デキストリン100gをよく混合した後、90%エタノール300mLを添加して湿潤させた。湿潤粉末を押し出し造粒した後、60℃で16時間通風乾燥した。乾燥後、顆粒を850μmの篩を用いて整粒し、続いて顆粒470gにショ糖脂肪酸エステル50gを添加し、混合した後、ロータリー打錠機(6B−2、菊水製作所製)を用いて打錠し、直径8mm、重量200mgの錠剤を得た。
【0075】
以上の実施例8により、1−ケストースは、食品のみならず薬剤に含有させて製造することができ、医薬品として利用できることが確認できた。
【0076】
なお、実施例8に示すような1−ケストースを主成分とするアレルギー抑制剤は、上記条件に限定されず適時変更することができる。例えば、1日1回の服用に限らず1日2〜4回に分割して服用してもよい。また、投与方法は、特に限定されず、経口投与や直腸投与など患者により適時変えることができる。そして、剤型も特に限定されず、投与方法に適した剤型を適宜選択することができる。例えば、経口投与の場合には、散剤、錠剤、糖衣剤、カプセル剤、顆粒剤、ドライシロップ剤、液剤、シロップ剤、ドロップ剤、ドリンク剤、その他の剤型等の固形または液状の剤型にすることができる。
【0077】
以上のような各実施形態のアレルギー抑制オリゴ糖によれば、アレルギーの原因であるIgE(IgG1)抗体の産生を抑制し、腸管免疫寛容の中心であるIgA抗体の産生を増強し、さらに腸内ビフィズス菌を増加させて腸内環境の改善に寄与するため、アレルギーの予防や治療の効果を奏する。
【0078】
特に乳幼児のアトピー性皮膚炎の改善に有意な効果が得られ、しかも1−ケストースは安全性が高いとともに、吸湿性が低くて溶解性が高いことから乳幼児にとって日常的に摂取・飲用するには極めて好適であり、長期間の利用による予防効果も高いものといえる。また、乳幼児の時期においてアトピー性皮膚炎を改善することにより、アトピー素因を有する患者のアレルギーマーチを効果的に防止ないし抑制することが期待できる。
【0079】
以上の効果を奏するオリゴ糖としては、1−ケストースの純度が高いものが好ましく、少なくとも1−ケストースがニストースよりも組成比率で高く、好ましくは1−ケストースの純度が90%以上、より好ましくは純度95%以上のものである。
【0080】
なお、本発明に係るアレルギー抑制オリゴ糖は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【0081】
例えば、本実施形態で使用した1−ケストースを主とするオリゴ糖は、食形態としては粉、その溶解物、打錠物、カプセル状等、任意の形態を選択することができる。例えば、1−ケストース50重量部、デキストリン30重量部、植物性油脂20重量部を用いて常法に従って抗アトピー性皮膚炎用錠菓などとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】実施例1において、1−ケストース摂取前後の糞便中のIgA濃度を測定した結果を示す図表である。
【図2】実施例1において、図1の結果をグラフ化した図である。
【図3】実施例1において、1−ケストース摂取前の腸管内菌数を示す図表である。
【図4】実施例1において、1−ケストース摂取後の腸管内菌数を示す図表である。
【図5】実施例1において、1−ケストース摂取前後の腸管内におけるビフィズス菌数の変化を示すグラフである。
【図6】実施例1において、1−ケストース摂取前後の腸管内におけるビフィズス菌の占有率の変化を示すグラフである。
【図7】実施例2において、1−ケストースの投与によるIgG1量の変化に基づく経口免疫寛容誘導効果を示すグラフである。
【図8】実施例2において、1−ケストースの投与によるIgE量に基づく経口免疫寛容誘導効果を示すグラフである。
【図9】実施例3において、1−ケストースの投与前後におけるヒトの血清中のIgE量の測定結果を示す図表である。
【図10】実施例4において、実験に供した糖の組成を示す図表である。
【図11】実施例4において、フラクトオリゴ糖を構成する各物質による腸内菌叢改善効果の強さを比較したグラフである。
【図12】実施例5において、1−ケストースとフラクトオリゴ糖とのIgE抑制効果を比較した図表である。
【図13】実施例6において、1−ケストースの有効量を定めるための実験結果を示す図表である。
【図14】実施例6において、1−ケストースの有効量に対するビフィズス菌の数量をグラフ化した図である。
【図15】実施例7において、1−ケストース摂取前後の臨床所見とビフィズス菌の占有率、副作用の有無を示す図表である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラクトオリゴ糖において1−ケストースが最大組成比率の第1組成物として含有されるアレルギー抑制オリゴ糖。
【請求項2】
フラクトオリゴ糖において1−ケストースが最大組成比率の第1組成物として含有されるオリゴ糖であって、IgA抗体の産生増強作用を備えているアレルギー抑制オリゴ糖。
【請求項3】
フラクトオリゴ糖において1−ケストースが最大組成比率の第1組成物として含有されるオリゴ糖であって、IgE抗体の産生抑制作用を備えているアレルギー抑制オリゴ糖。
【請求項4】
フラクトオリゴ糖において1−ケストースが最大組成比率の第1組成物として含有されるオリゴ糖であって、乳幼児の腸内ビフィズス菌の増加作用を備えているアレルギー抑制オリゴ糖。
【請求項5】
フラクトオリゴ糖において1−ケストースが最大組成比率の第1組成物として含有されるオリゴ糖であって、乳幼児のアトピー性皮膚炎を抑制するアレルギー抑制オリゴ糖。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかにおいて、前記1−ケストースの純度が95%以上の結晶化されたケストースであるアレルギー抑制オリゴ糖。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれかにおいて、有効量が1日当たり0.015(g/kg体重)以上であるアレルギー抑制オリゴ糖。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2008−280354(P2008−280354A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−166463(P2008−166463)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【分割の表示】特願2005−371005(P2005−371005)の分割
【原出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(390022954)ホクレン農業協同組合連合会 (14)
【Fターム(参考)】