説明

アレルゲンスクリーニングのための静電パッチならびにそのためのアプリケータ

本発明は、静電特性を有した支持体の形態とされた皮膚パッチに関するものである。このパッチは、皮膚に対して適用されることを意図した物質によって被覆されているあるいは被覆可能とされている。本発明によるパッチは、支持体のうちの、物質と接触する表面が、微小凹凸形状を有していることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、増大した吸着表面を有しているような、静電特性を有した支持体を備えた皮膚パッチである。
【0002】
本発明の目的は、また、新たなタイプの皮膚デバイスでもある。より詳細には、本発明の目的は、パッチとアプリケータとを組み合わせたデバイスであって、アプリケータは、皮膚表面に対して供給することを意図した物質を有したパッチが皮膚上に適用された直後に、パッチから分離されるようになっている。
【0003】
以下の説明においては、皮膚パッチについて、および、新規なタイプの皮膚デバイスについて、所定の食品アレルゲンや呼吸器系アレルゲンや接触アレルゲン等に対する対象者の感作状態のスクリーニングに特に関連して、説明する。しかしながら、他の任意の応用を想定することもできる。
【背景技術】
【0004】
アレルゲンに関する感作状態の検出に際して、現在、2つのタイプのテストが、市販されている。
【0005】
まず第一に、“Finn Chambers”(登録商標) という商標名で公知のテストが存在する。このテストは、接着性パッチを備えている。この接着性パッチ上には、小さな金属アルミニウムカップが接着されている。アルミニウムカップの底部には、セルロースディスクが、アタッチメントを一切使用することなく、ただ単に付設されている。使用に際しては、その場で調製されたあるいは市販のアレルゲン溶液が、使用時点で、セルロースディスク上に適用される。したがって、このテストにおいては、それぞれが互いに異なるアレルゲンによって充填された複数のカップを有することとなる。
【0006】
この種のテストは、様々な欠点を有している。特に重要な欠点は、取扱いに関連したすべてのリスク(オーバーフローによるカップのコンタミネーション、間違い、接着性支持体との接触、活性成分のランダムな適用、等)を有した状態で調製されなければならないことである。さらに、金属製支持体とセルロースディスクとの間に堅固な取付手段が存在しておらず、セルロースディスクが単に置かれているだけであることのために、皮膚上にパッチを固定する際に、パッチが動いてしまう原因となり得る。その結果、本来的には皮膚とアレルゲンとの双方に対して所定の不活性状況を有していなければならないような、一方においては接着剤と他方においてはセルロースディスクとが、使用時に実質的な不活性さを失ってしまう。
【0007】
この種のテストの特定の応用は、特許文献1に開示されているものであって、“True Test”(登録商標)という商標名で公知である。“Finn Chambers”(登録商標)に対しての“True Test”(登録商標)の独創性は、アレルゲンを直接的に有しているゲルの使用である。ゲルは、“Finn Chambers”(登録商標)における金属製カップ内において、直接的に配置される。この種のテストは、主に無機的性質の接触アレルゲンのためのものである。無機的性質のものの場合には、ゲル内における貯蔵の問題が発生しない。しかしながら、有機化合物の場合には、経時的に変化してしまったりあるいは何らかの賦形剤との接触時に変化してしまったりというリスクが存在する。
【0008】
言い換えると、本発明が解決すべき第1の問題点は、
−製造時においてもまた最終ユーザーによる適用時においても、コンタミネーションというリスクが全く無いような、
−存在する場合には接着性部分がどの場所にも接触することが無く、これにより、パッチの完全でありかつ長期的な接着力を提供し得るような、
−活性成分が、アレルゲン性機能を変性させることなく維持され得るような、
皮膚デバイスを開発することである。
【0009】
本発明が解決すべき第2の問題点は、液体のアレルゲンであっても、懸濁液のアレルゲンであっても、また、例えば乾燥粉末といったような固体状態のアレルゲンであっても、十分な量でもって受領し得るような、皮膚デバイスを開発することである。
【0010】
特許文献2には、経皮的にパッチを適用するためのシステム、すなわち、侵襲的システム、が開示されている。より詳細には、このシステムは、押しボタンを備えている。押しボタンの端部のところにおいて、患者は、経皮的パッチを位置決めする。この場合、パッチには、金属プレートが設けられており、金属プレートには、適用時に皮膚を穿孔し得る複数のスパイクが付設されている。このシステムは、経皮的パッチに関するものであって皮膚に適用するパッチではないことは別として、ユーザーが適用前にパッチを取り扱うときにコンタミネーションのリスクが存在するという問題点を解決するものではない。
【0011】
特許文献3には、皮膚パッチが開示されている。このパッチのうちの、皮膚に対して接触することを意図した面は、堅固なライナーで保護されており、このライナーは、使用時に取り除かれる2つのタブに対して、しっかりと取り付けられている。上記の場合と同じく、パッチは、特にその接着部分は、使用時にコンタミネーションを受けるというリスクを有している。さらに、取り除いた後においても、活性成分の一部がライナーの表面に残存することが予想され、これにより、投薬量が当初の予定とは異なってしまう。
【0012】
特許文献4には、鼓膜の穿孔を修復するためのパッチ配置システムが開示されている。使用時には、パッチは、ベル形状のロッドの先端のところに配置される。そして、パッチは、ベル形状によって形成されたキャビティ内に真空を生じることによって、所定位置に保持される。したがって、このシステムは、複雑な真空ポンプ設備を必要とする。実際のパッチは、穴を機械的に塞ぐため専用のものとされた単なるメンブランのようなものであり、したがって、活性成分は、一切含有していない。
【特許文献1】米国特許第4,836,217号明細書
【特許文献2】国際特許出願公開第02/30281号
【特許文献3】国際特許出願公開第02/089717号
【特許文献4】米国特許第5,236,455号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本出願人は、パッチをアプリケータに対して可逆的に関連づけることにより、および、皮膚に対して供給することを意図した物質を使用時にパッチに対して組み込むことにより、上記すべての問題点を解決することに成功した。
【0014】
言い換えると、本発明は、非侵襲的な使い切りタイプの皮膚デバイスに関するものであり、この皮膚デバイスは、支持体を有したパッチを備え、パッチの一面が、皮膚表面上へと供給されることとなる少なくとも1つの物質を有し、パッチの背面が、アプリケータ上へと可逆的に(すなわち、着脱可能に)取り付けられ、アプリケータが、皮膚上へとパッチを取り付けた後には、パッチから取り外されるようになっていることを特徴としている。
【0015】
言い換えると、この独創的な構造により、最終的なユーザーは、使用時には、アプリケータによって皮膚デバイスを把持するとともに、活性パッチを皮膚上へと配置するだけで良い。したがって、活性パッチとユーザーの指とが接触してしまうことが、一切無い。さらに、本発明によるシステムは、アプリケータおよび/またはパッチに関して皮膚の準備をしないという点において、非侵襲的なシステムである。
【0016】
第1の特徴点によると、皮膚デバイスは、物質を収容するためのキャビティを有したパッチと、キャビティを受領し得るハウジングを有したアプリケータと、を組み合わせる。したがって、キャビティのところにおいては、物質とパッチとは、皮膚に対して押圧されない。このため、汗および空気が流通することができて、赤斑や炎症を引き起こしかねない浸漬効果を、回避することができる。さらに、関連した領域のところにおいては、血流が変更されない。
【0017】
さらに、パッチを皮膚に対して定着させ得るよう、パッチのうちの、皮膚上に適用されることとなる表面の全部または一部は、接着材料によってコーティングされる。
【0018】
本発明の重要な特徴点によると、アプリケータの表面に対してのパッチの取付は、可逆的なものとされる。任意の可逆的な取付手段を、想定することができる。
【0019】
第1実施形態においては、アプリケータ上におけるパッチの可逆的な取付は、パッチの背面の全部または一部上に適用された、および/または、アプリケータのうちの、パッチを取り付ける表面の全部または一部上に対して適用された、いわゆる『再配置可能な』接着剤によって、得られる。
【0020】
第2実施形態においては、アプリケータおよびパッチは、それぞれが互いに相補的な形状を有したキャビティを有している。一方は、オス型キャビティ(パッチ)とされ、他方は、メス型キャビティ(アプリケータ)とされ、アプリケータ上におけるパッチの可逆的な取付は、双方のキャビティを互いに係合させることにより、得られる。係合は、例えば、メス型部材の寸法に基づいて、および、オス型部材の寸法に基づいて、得られる。
【0021】
可逆的な取付は、また、メス型部材の周囲に形成された小さな歯または小さな突起によっても得ることができ、その場合、歯または突起は、パッチに形成された弾性材料からなるオス型部材に対して係合する。双方の場合において、パッチに関してのおよび/またはアプリケータに関しての弾性材料の使用は、係合を促進させ、したがって、互いに対しての可逆的な取付を促進させる。
【0022】
他の実施形態によると、アプリケータは、アセンブリのメス型部材として構成され、プラスチック材料(例えば、ポリプロピレン)から形成されるとともに、複数のフレキシブルなタブを有している。これらタブは、パッチの取付時にはわずかに変形し、周縁部においてわずかな圧力をもたらすことによってパッチを保持する。
【0023】
他の実施形態においては、パッチは、弾性材料からなる単一部材として構成され、
−変形によって、あるいは、
−アプリケータの相補部分が係合することとなるグルーブの存在によって、
取付を容易とする形状を有している。
【0024】
ユーザーの指とパッチとの間の一切の接触リスクを回避し得るよう、アプリケータには、把持手段が設けられている。
【0025】
パッチは、例えば、受領する物質に応じて、様々な性質のものとすることができる。
【0026】
第1の特に有利な実施形態によると、物質は、乾燥した態様のものとされ、特に、個別の粒子または圧縮した粒子の形態とされる。
【0027】
この場合、パッチは、静電的な特性を有した支持体を備えて構成され、個別の粒子または圧縮した粒子の形態とされた物質が、静電力によって支持体の表面と接触して保持される。
【0028】
この種のパッチは、本出願人によって既に開示されており、特に『生物学的に活性な物質』に関連して、すなわち、診断のためのまたは治療的のためのまたは美容のためのまたは予防のための生物学的に活性な物質に関連して、とりわけアレルゲンに関連して、国際特許出願公開第02/071950号に記載されている。このパッチの1つの利点は、純粋な形態のまたはネイティブな形態のまたは完全な形態のまたは部分的な形態のアレルゲンを、補助的な薬剤を使用することなく、パッチに対して直接的に取り付け得ることである。
【0029】
アレルゲンが、例えばミルクといったように、液体状態である場合には、アレルゲンは、乾燥されあるいは凍結乾燥され、その後、粉砕されて粉末の態様とされる。
【0030】
他の実施形態においては、液体状態を乾燥させることなく、不活性物質上へと吸着させる。より詳細には、この場合、活性物質は、静電支持体上へと液滴として滴下され、静電支持体上において、乾燥物質が吸着され。この場合、乾燥物質は、一方においては、支持体上において生物学的に活性な物質を含有している液滴を広げ得る不活性物質であり、他方においては、この液体との接触時にゲル化し得る不活性物質である。実際には、不活性物質は、デキストランの派生物とセルロースの派生物とからなるグループの中から選択される。
【0031】
したがって、本発明の目的は、また、皮膚パッチであって、皮膚上へと適用されることを意図した静電支持体を備え、この支持体上には、静電力によって、個別の粒子または圧縮した粒子の形態とされた少なくとも1つの物質が保持され、物質が、不活性な物質とされ、これにより、一方においては、支持体の湿潤性を改良しており、他方においては、純粋な状態のまたは懸濁状態の液体状態とされた生物学的に活性な物質と接触した際には液状化(あるいは、、ゲル化)し得るものとされていることを特徴とするパッチである。
【0032】
上述したように、支持体は、有利には、静電支持体とされる。
【0033】
『静電支持体』という用語は、特に摩擦によってあるいは加熱によってあるいは電気的処理によってあるいはイオン化によってあるいは当業者に公知の他の任意の技術によって、表面上に静電電荷を蓄積し得る材料から形成された任意の支持体を意味しており、静電力が維持されている間は、静電電荷を保持することができる。
【0034】
静電支持体またはパッチは、その場合、いわゆる『エレクトレット』を形成する。すなわち、支持体は、その表面上に、永久的な正電界または負電界を有し、この電界は、当業者には公知なように、適切な測定手段によって検出することができる。
【0035】
支持体の一方の表面上に発生する電荷は、支持体を形成している材料に応じて、また、電荷を誘起している手段に応じて、正ともまた負とも、なり得る。いずれの場合においても、支持体の表面上に分布した正電荷または負電荷は、導電材料であるかどうかにかかわらず、個別粒子とされたまたは圧縮粒子とされたアレルゲンに対しての、引力源である。また、粒子がイオン化されることが起こり得る。その場合には、粒子と支持体との間庭田っての同じタイプの静電引力を引き起こすことができる。静電引力は、また、電界の存在のために、影響による粒子の分極に起因することができる。
【0036】
実際に、所定の静電特性を有している限りにおいて、任意の材料を支持体として使用することができる。特に、支持体は、ガラスから形成される、あるいは、セルロースプラスチック(CACP)と、ポリ塩化ビニルと、ポリプロピレンと、ポリスチレンと、ポリウレタンと、ポリカーボネートと、ポリアクリル酸と、ポリオレフィンと、ポリエステルと、ポリエチレンと、エチレンビニルアクリレート(EVA)と、からなるグループの中から選択されたポリマーから形成される。
【0037】
静電支持体がキャビティを有しているという実施形態においては、キャビティは、高温成形または低温成形(熱成形またはプラスチック射出成型)によって、支持体上に直接的に形成することができる。
【0038】
他の実施形態においては、キャビティは、キャビティの底部に対応した第1静電支持体と、皮膚上に適用されることを意図した第2支持体と、を組み合わせることにより、得られる。双方の支持体は、キャビティが円形である場合には例えばリング形状の、薄い厚さの、実際には1〜2mmの、材料によって、周縁部のところにおいて、互いに堅固に取り付けられる。この場合、アプリケータ上におけるパッチの可逆的な取付は、係合によって得られる。
【0039】
有利な実施形態においては、静電支持体の表面は、なめらかではなく、凹凸形状を有している。支持体の表面上における微小凹凸形状の存在は、なめらかな支持体の場合と比較して、アレルゲンが収容されることとなる小さな凹所の形成を引き起こす。そのため、利用可能な表面積を増大させることができ、したがって、支持体上に存在するアレルゲンの量を増大させることができる。凹所内に保持されるアレルゲンは、皮膚表面へと、徐々に放出される。当然のことながら、凹凸形状は、非常に小さいサイズであり、深さに関しては、数ミクロン〜0.5ミリメートルの程度である。
【0040】
したがって、本発明は、また、特に皮膚パッチといったようなパッチに関するものであって、このパッチは、静電特性を有した支持体の態様とされ、皮膚上へと適用することを意図した少なくとも1つの物質によって有利には生物学的に活性な物質によってとりわけ皮膚に対して適用することを意図したアレルゲンによって、被覆されたまたは被覆可能とされ、支持体のうちの、物質と接触する表面が、微小凹凸形状を有していることを特徴としている。
【0041】
微小凹凸形状は、可変的な形状を有することができ、様々な態様で得ることができる。
【0042】
第1実施形態においては、凹凸形状は、例えば高温成形によって、実際の支持体から得られる。凹凸形状は、可変的な形状や正方形や六角形や円形や放射形状等とし得るような、複数の凹所と複数の突起とを形成する。
【0043】
第2実施形態においては、微小凹凸形状は、支持体上において両面接着性フィルムを使用して1つまたは複数の半田付け層または接着層からなる積層によって得られたものとされ、この場合、支持体は、防水性のなおかつ円滑な『背当て』と称され、シートには、複数の穴が穿孔され、これら穴により、アレルゲンは、シートどうしの間にわたって受領され、それら穴内に収容される。
【0044】
第3実施形態においては、微小凹凸形状は、支持体上に、非常に細くかつ非常に短い複数のストランドあるいは『複数のヘア』を付設することによって得られたものとされ、それらの大部分は、毛細管作用によって、特にアレルゲンといったような物質を受領して保持し得る一種のカーペットを形成する。支持体が静電支持体であるときには、ヘアのエッジの存在が、あるいは、ヘアの小寸法部分の存在が、先端効果によって静電引力を増大させることができる。
【0045】
微小凹凸形状の存在により、支持体が複数の生物学的に活性な物質を備えているようにして、パッチを構成することができる。複数の物質は、互いに異なる深さのところにおいて、支持体内へと導入することができる。この場合、第1活性成分が、スウェッティングによって、まず最初に放出され、その後、支持体内のより深いところに位置した第2活性成分が、放出される。一方の活性成分は、例えば、第2の活性成分の特性に関する補助薬剤の役割を果たす(希釈、生物学的作用の発現、その他)。また、経皮的な輸送を促進することによって、あるいは、局所的な血管形成を増大させることによって、あるいは、より一般的には、局所的な物理的特性または化学的特性を変更することによって、皮膚に対しても作用することもできる。
【0046】
『背当て』という複数層タイプの実施形態においては、複数の層内に活性成分を配置することにより、活性成分の放出量を調節することができる。この種のパッチにおいては、活性成分の放出量と放出速度との双方を制御することができる。
【0047】
特にアレルゲンといったような生物学的に活性な物質が液体状態または懸濁状態とされている場合に、粉末としてだけではなく、本来的な態様のままで使用することが要望されたときには、アレルゲンは、その場で、パッチ内に組み込まれる。この場合、パッチは、液体としてアレルゲンを吸着し得る必要がある。
【0048】
上述した実施形態においては、例えば粉末といったような、乾燥した不活性物質は、静電力によって支持体上に維持され、物質は、液体状態の活性成分と接触した時点で液状化することができる。この場合、活性成分は、パッチを適用する直前に、不活性物質に対して接触させられる。不活性物質は、液状化し(あるいは、ゲル化し)、含有している活性成分を徐々に放出する。
【0049】
第2実施形態においては、支持体は、静電支持体でなく、織布タイプまたは不織布タイプの、天然ファイバまたはポリプロピレン等の合成ファイバだけを使用したまたは他のものとの組合せを使用した単層または多層のものとされ、支持体表面の重量が、25〜120g/m とされる。
【0050】
第3実施形態においては、支持体は、吸着表面の湿潤性を増大させる物理化学的な処理を受けたポリマーに基づくフィルムの形態とされる。これにより、適用された液滴を、パッチ上にわたって広げることができる。
【0051】
第4実施形態においては、支持体は、可能であれば湿潤性を改良させる物理化学的な処理を受けたような、なおかつ、凹凸形状を有したような、有利にはプラスチック材料からなる特にフィルムからなる支持体とされる。凹凸形状の形状および形成手法に関しては、粉末とされたアレルゲンの場合に関連して上述したものと同一である。
【0052】
皮膚デバイスの製造時に直接的に組み込み得るような乾燥アレルゲンの場合とは異なり、液体アレルゲンは、使用時に、パッチ上へと吸着される。これを行い得るよう、皮膚デバイスには、蓋が設けられ、この蓋は、貯蔵時にパッチを保護するようにして、アプリケータの表面と協働することができる。この場合、蓋は、アレルゲンに対する通路を提供するオリフィスを有している。蓋は、アレルゲンがパッチ上に吸着された後には、取り外される。
【0053】
蓋の他の利点は、パッチの使用時点まで、剥離可能な保護フィルムによってパッチがコーティングされない程度に、パッチの接着表面(それが存在するとき)を保護することである。
【0054】
当然のことながら、パッチおよびアプリケータは、様々な形状を有することができる。有利には、パッチおよびアプリケータは、円形形状とされる。
【0055】
貯蔵時に皮膚デバイスがコンタミネーションを受けることがないよう、皮膚デバイスは、ブリスタ内に収容される。ブリスタとは、有利には剥離可能なキャップによって、密封シールされた容器である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
本発明およびその利点は、添付図面を参照しつつ、例示としてのいくつかの実施形態に関する以下の詳細な説明を読むことにより、明瞭となるであろう。
【0057】
本発明においては、皮膚パッチは、アプリケータ(1)と、生物学的に活性な物質を含有することを意図したパッチ(2)と、を組み合わせる。図1の実施形態に示すように、アプリケータは、3つの部分を備えている。すなわち、アプリケータは、ベース(3)と、把持手段(4)と、蓋(5)と、を備えている。これら3つの部分のそれぞれは、円形の横断面形状を有している。把持手段は、およそ50mmというサイズを有している。これにより、把持手段は、ユーザーの指によって容易に取り扱い得るものとなっている。実際には、中空部分は、プラスチックから形成される。把持手段は、対応する形状を有したベース(3)上へと、スナップ装着される。より詳細には、図2において断面図として図示されているベース(3)は、パッチ(2)の対応するキャビティ(7)が収容されることとなるハウジング(6)を有している。最終的には、パッチがハウジング内に配置された後には、蓋(5)が、クリップ上へとスナップ止めすることによって、ベース(3)に対して係合することとなる。これにより、貯蔵時においてもまた使用時点においても、パッチと、おそらくパッチ内に含有されている活性物質と、を保護することができる。実際には、ベースの直径は、31mmとされる。
【0058】
パッチ(2)は、図3において、断面図によってより詳細に図示されている。この特定の実施形態においては、キャビティ(7)の底部(8)は、少なくとも部分的には、静電材料から形成されている。適切な例においては、酢酸セルロースから形成されている。キャビティの底部は、キャビティ(7)を形成することを意図した発泡体(9)(あるいは、フォーム)といったようなものによって、パッチ(2)から隔離されている。パッチ(2)は、それ自体については、プラスチック材料から形成されているとともに、皮膚上に適用することを意図した表面の全部または一部は、接着剤(10)によって被覆されている。ベース(3)の表面上へとパッチ(2)を可逆的に取り付けることを可能とし得るよう、キャビティ(7)の直径、および、発泡体リング(9)の直径は、キャビティ(6)内に適合し得るよう、選択されている。
【0059】
キャビティが、生物学的に活性な物質として、乾燥アレルゲンを含有するときには、このアレルゲンは、皮膚デバイスの製造時に、組み込まれる。これに対し、液体アレルゲンの場合には、液体アレルゲンは、蓋(5)の表面に設けられた図示していないオリフィスを通して、即座に(あるいは、その場で)組み込まれる。
【0060】
本発明は、また、平面図(図4A)および断面図(図4B)で示すような、皮膚デバイスを貯蔵ためのデバイスに関するものである。
【0061】
より詳細には、貯蔵デバイスは、ブリスタ(11)の態様のものとされ、図示の実施形態においては、2つの皮膚デバイスを収容しているとともに、剥離可能なキャップ(12)によって覆われている。適用時には、ユーザーは、少なくとも1つのボックスを有している。つまり、複数のアレルゲンをテストすると仮定した場合には、複数のボックスさえ有している。ブリスタ(11)の開放後に、ユーザーは、把持手段(4)を使用して皮膚デバイスを把持することによって、皮膚デバイスを取り出す。その後、クリップからのスナップ取り外しによって蓋(5)を取り外し、その後、皮膚デバイスを、皮膚に対して、例えば赤ちゃんの皮膚に対して、直接的に適用する。同じ操作が、第2の皮膚デバイス等に関して、繰り返される。
【0062】
アレルゲンが液体である場合には、皮膚デバイスの蓋(5)は、その場で調製されたアレルゲンに対する通路を提供するオリフィスを有している。その後、蓋が取り外され、ユーザーの皮膚上へと、皮膚デバイスが適用される。
【0063】
本発明の利点は、上記の説明により明らかであろう。とりわけ、パッチによってユーザーがコンタミネーションを全く受けない点が、強調され、また、乾燥形態のアレルゲンあるいは液体のアレルゲンといったような任意のタイプの生物学的物質を受領し得る性能が、強調される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明による皮膚デバイスを示す分解図である。
【図2】ベースを示す断面図である。
【図3】生物学的に活性な物質を組み込み得るパッチを示す図である。
【図4A】本発明による皮膚デバイスの例示的態様を示す図である。
【図4B】本発明による皮膚デバイスの例示的態様を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
1 アプリケータ
2 パッチ
4 把持手段
5 蓋
6 ハウジング
7 キャビティ
11 保護ケーシング
12 密封シール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚パッチであって、
静電特性を有した支持体の態様とされ、
皮膚上へと適用することを意図した少なくとも1つの物質によって被覆されたまたは被覆可能とされ、
前記支持体のうちの、前記物質と接触する表面が、微小凹凸形状を有していることを特徴とするパッチ。
【請求項2】
請求項1記載のパッチにおいて、
前記微小凹凸形状が、実際の支持体を使用しつつ高温モールディングによって得られたものとされていることを特徴とするパッチ。
【請求項3】
請求項1記載のパッチにおいて、
前記微小凹凸形状が、前記支持体上において両面接着性フィルムを使用して1つまたは複数の半田付け層または接着層からなる積層によって得られたものとされ、
前記支持体が、防水性のものとされかつ円滑なものとされ、
前記1つまたは複数の層が、複数の穴が穿孔されたものとされていることを特徴とするパッチ。
【請求項4】
請求項1記載のパッチにおいて、
前記微小凹凸形状が、前記支持体上に複数のストランドを固定することによって得られたものとされ、これにより、毛細管作用によって前記物質を受領して保持し得るカーペットを形成していることを特徴とするパッチ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のパッチにおいて、
前記支持体が、ガラスから形成されている、あるいは、セルロースプラスチック(CA,CP)と、ポリ塩化ビニル(PVC)と、ポリプロピレンと、ポリスチレンと、ポリウレタンと、ポリカーボネートと、ポリアクリル酸と、ポリオレフィンと、ポリエステルと、ポリエチレンと、エチレンビニルアクリレート(EVA)と、からなるグループの中から選択されたポリマーから形成されている、ことを特徴とするパッチ。
【請求項6】
請求項1記載のパッチにおいて、
前記物質が、個別の粒子または圧縮した粒子の形態とされていることを特徴とするパッチ。
【請求項7】
請求項6記載のパッチにおいて、
前記物質が、診断のためのまたは治療的のためのまたは美容のためのまたは予防のための生物学的に活性な物質とされ、とりわけアレルゲンとされることを特徴とするパッチ。
【請求項8】
請求項6記載のパッチにおいて、
前記物質が、不活性なものとされ、液体状態とされた診断のためのまたは治療的のためのまたは美容のためのまたは予防のための生物学的に活性な物質と接触した際には液状化し得るものとされていることを特徴とするパッチ。
【請求項9】
皮膚パッチであって、
皮膚上へと適用されることを意図した静電支持体を備え、
この支持体上には、静電力によって、個別の粒子または圧縮した粒子の形態とされた少なくとも1つの物質が保持され、
前記物質が、不活性な物質とされ、これにより、一方においては、前記支持体の湿潤性を改良しており、他方においては、液体状態とされた生物学的に活性な物質と接触した際には液状化し得るものとされていることを特徴とするパッチ。
【請求項10】
使い捨てタイプの非侵襲性の皮膚デバイスであって、
支持体を有したパッチ(2)を備え、
前記パッチの一面が、皮膚表面上へと供給されることとなる少なくとも1つの物質を有し、
前記パッチの背面が、アプリケータ(1)上へと可逆的に取り付けられ、
前記アプリケータが、皮膚上へと前記パッチ(2)を取り付けた後には、前記パッチから取り外されるようになっていることを特徴とする皮膚デバイス。
【請求項11】
請求項10記載の皮膚デバイスにおいて、
−前記パッチ(2)が、前記物質を収容するためのキャビティ(7)を有し、
−前記アプリケータ(1)が、前記キャビティを受領し得るハウジング(6)を有していることを特徴とする皮膚デバイス。
【請求項12】
請求項10または11記載の皮膚デバイスにおいて、
前記パッチのうちの、皮膚上へと適用されることとなる表面の全部または一部が、接着剤によってコーティングされていることを特徴とする皮膚デバイス。
【請求項13】
請求項11記載の皮膚デバイスにおいて、
前記アプリケータ(1)に対しての前記パッチ(2)の可逆的な取付が、前記キャビティ(7)と前記ハウジング(6)とを調節することによって得られていることを特徴とする皮膚デバイス。
【請求項14】
請求項10記載の皮膚デバイスにおいて、
前記アプリケータが、把持手段(4)を備えていることを特徴とする皮膚デバイス。
【請求項15】
請求項10記載の皮膚デバイスにおいて、
前記パッチ(2)の前記支持体が、表面上に、永久的な静電界を有していることを特徴とする皮膚デバイス。
【請求項16】
請求項10記載の皮膚デバイスにおいて、
前記物質が、個別の粒子または圧縮した粒子の形態とされていることを特徴とする皮膚デバイス。
【請求項17】
請求項16記載の皮膚デバイスにおいて、
前記物質が、診断のためのまたは治療的のためのまたは美容のためのまたは予防のための生物学的に活性な物質とされ、とりわけアレルゲンとされることを特徴とする皮膚デバイス。
【請求項18】
請求項16記載の皮膚デバイスにおいて、
前記物質が、不活性な物質とされ、これにより、前記支持体の湿潤性を改良し得るとともに、液体状態とされた生物学的に活性な物質と接触した際には液状化し得るものとされていることを特徴とする皮膚デバイス。
【請求項19】
請求項10記載の皮膚デバイスにおいて、
前記パッチ(2)の前記支持体が、ガラスから形成されている、あるいは、セルロースプラスチック(CA,CP)と、ポリ塩化ビニル(PVC)と、ポリプロピレンと、ポリスチレンと、ポリウレタンと、ポリカーボネートと、ポリアクリル酸と、ポリオレフィンと、ポリエステルと、ポリエチレンと、エチレンビニルアクリレート(EVA)と、からなるグループの中から選択されたポリマーから形成されている、ことを特徴とする皮膚デバイス。
【請求項20】
請求項10記載の皮膚デバイスにおいて、
前記パッチ(2)の前記支持体が、織布タイプまたは不織布タイプの、天然ファイバまたは合成ファイバだけを使用したまたは他のものとの組合せを使用した単層または多層のものとされ、
前記パッチの重量が、25〜120g/m とされていることを特徴とする皮膚デバイス。
【請求項21】
請求項10記載の皮膚デバイスにおいて、
さらに、前記アプリケータ(1)の表面と協働する蓋(5)を具備し、
この蓋(5)が、前記物質がその場で調製されるタイプの生物学的に活性な物質である場合には、前記物質を通過させ得るオリフィスを有していることを特徴とする皮膚デバイス。
【請求項22】
皮膚デバイスのための貯蔵デバイスであって、
保護ケーシングタイプ(11)のものとされ、
内部に、請求項10〜21のいずれか1項に記載された少なくとも1つの皮膚デバイスを収容することができ、
前記保護ケーシング(11)が、密封シール(12)を有したものとされていることを特徴とする貯蔵デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公表番号】特表2008−542344(P2008−542344A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−514136(P2008−514136)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【国際出願番号】PCT/FR2005/050397
【国際公開番号】WO2006/128981
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(503330303)デベヴェ・テクノロジーズ (11)
【Fターム(参考)】