説明

アロファネート基およびシラン基を含むポリイソシアネート

【課題】従来技術の欠点によって阻害されない新規なシラン基含有ポリイソシアネートを提供する。
【解決手段】A)アミノシランと環状カーボネートおよび/またはラクトンとの反応から得ることができるシラン基含有ヒドロキシウレタンおよび/またはヒドロキシアミドの少なくとも1種と、B)A)のNCO反応性基に基づいてモル過剰量の、脂肪族的、脂環式的、芳香脂肪族的および/または芳香族的結合イソシアネート基含有ジイソシアネートの少なくとも1種とを反応させ、任意に、その後に未反応過剰ジイソシアネートを除去することによって得られる、アロファネート基含有ポリイソシアネート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アロファネート基およびシラン基を含むポリイソシアネート、それらの製造方法、並びにポリウレタンポリマー製造時の出発成分としての、特にポリウレタン塗料および被覆剤中の架橋剤成分としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アルコキシシラン基含有ポリイソシアネート混合物は、以前から知られている。イソシアネート基に加えて、反応性である、即ち架橋できる第2の構造を含む、この種の生成物は、これまで、特定の特性を得るために、例えば、被膜の接着力、耐薬品性または耐引掻性を改善するために、様々なポリウレタン系およびポリウレタン用途に使用されてきた。
【0003】
例えば、国際特許公開第03/054049号公報は、ポリウレタンホットメルト接着剤のための接着促進剤として、低モノマー含量の脂肪族または脂環式ポリイソシアネートおよび第二級アミノプロピルトリメトキシシランから製造された、イソシアネート官能性シランを記載している。
【0004】
また、特開2005−015644号公報の教示に従えば、N−置換、即ち第二級のアミノプロピルアルコキシシランで変性されたイソシアネートプレポリマーまたはポリイソシアネートを用いることによって、接着剤およびシーラントの接着性を改善することができる。
【0005】
欧州特許第0 994 139号明細書は、促進硬化を特徴とする一液型湿分硬化性の被覆剤、接着剤またはシーラントのためのバインダーとしての、脂肪族および/または脂環式ポリイソシアネートと、過少量の(イソシアネート官能性化合物のための共反応体として欧州特許公開第0 596 360号公報に記載されている種である)アルコキシシラン官能性アスパラギン酸エステルおよび任意のポリエチレンオキシドポリエーテルアルコールとの反応生成物を特許請求している。
【0006】
脂肪族および/または脂環式ポリイソシアネートと過少量のアルコキシシラン官能性アスパラギン酸エステルまたは第二級アミノアルキルシランとの反応生成物はまた、二液型ポリウレタン接着下塗剤のための架橋剤成分として、国際特許公開第02/058569号公報にも記載されている。
【0007】
欧州特許第0 872 499号明細書は、架橋剤成分としてイソシアネート基およびアルコキシシリル基を含有する化合物を含む水性二液型ポリウレタン被覆材料を記載している。これらの特定のポリイソシアネートの使用によって、被膜は、改善された耐水性と高光沢を併せ持つようになる。
【0008】
親水性変性された、従って乳化されやすいアルコキシシラン基含有ポリイソシアネートは、同様に既に、水性2K(二液型)被覆および接着分散体のための架橋剤成分として知られている(例えば欧州特許公開第0 949 284号公報)。
【0009】
近年、溶媒系熱硬化性2Kポリウレタン自動車用クリヤコートおよびトップコート材料の耐引掻性を改善するための架橋剤成分として、脂肪族および/または脂環式ポリイソシアネートとN,N−ビス(トリアルコキシシリルプロピル)アミンとの反応生成物が提案されている(欧州特許公開第1 273 640号公報)。
【0010】
これらのシラン基含有ポリイソシアネート混合物の全てに共通の特徴は、それらが、未変性ポリイソシアネートまたはポリイソシアネートプレポリマーと、イソシアネート基に対して反応性である基を含有する有機官能性シラン(例えば、メルカプト官能性シラン、第一級アミノアルキルシラン、第二級N−アルキル置換アミノアルキルシランまたはアルコキシシラン官能性アスパラギン酸エステル)との適当な反応によって製造されることである。
【0011】
しかしながら、この種の変性は必然的に、出発ポリイソシアネートのイソシアネート官能価に比べ平均イソシアネート官能価を低下させる。この低下の影響は、反応生成物の目標シラン含有量に比例して増大する。しかしながら実際には、例えば被覆材料または接着剤のような上記用途では、高網目密度を得るために、特定の要求が、非常に高いイソシアネート官能価を有するポリイソシアネート架橋剤に対して存在する。
【0012】
更に、変性度が増加するにつれて、分子内に導入されたチオウレタン基、特にウレア基の故に、生成物の粘度が著しく上昇する。この理由から、現存するシラン基含有ポリイソシアネートは一般に、相当量の有機溶媒を用いた溶解状でしか使用できない。
【0013】
現存するこのような生成物の製造方法の別の欠点は、ポリイソシアネートとイソシアネート反応性有機官能性シランとの反応により、オリゴマーポリイソシアネート混合物全体にシラン官能基がランダムに分布することである。所望のシラン官能化ポリイソシアネートを含むことに加えて、反応混合物は常に、未変性出発ポリイソシアネート、および変性度の増加に伴って増加する範囲で、反応性基としてシラン基しか含有しない完全にイソシアネート不含有の分子も含む。この種の生成物をポリウレタン系中の架橋剤として使用する場合、ポリマー主鎖にシラン単位が不均一に分布し、従って、可能な限り高いレベルの特性を得ることはできない。
【0014】
本発明の態様は、
A)アミノシランと環状カーボネートおよび/またはラクトンとの反応から得ることができるシラン基含有ヒドロキシウレタンおよび/またはヒドロキシアミドの少なくとも1種と、
B)A)のNCO反応性基に基づいてモル過剰量の、脂肪族的、脂環式的、芳香脂肪族的および/または芳香族的結合イソシアネート基含有ジイソシアネートの少なくとも1種とを反応させ、
任意に、その後に未反応過剰ジイソシアネートを除去する
ことを含んでなる、アロファネート基含有ポリイソシアネートの製造方法である。
【0015】
本発明の別の態様は、A)が、一般式(I):
【化1】

[式中、R、RおよびRは、同じかまたは異なって、酸素、イオウおよび窒素からなる群から選択される3個までのヘテロ原子を場合により有していてよい18個までの炭素原子を含有する、飽和または不飽和、直鎖または分枝、脂肪族または脂環式或いは場合により置換されていてよい芳香族または芳香脂肪族基であり;
Xは、2つまでのイミノ(−NH−)基を場合により有していてよい少なくとも2個の炭素原子を含有する、直鎖または分枝有機基であり;および
は、水素、或いは18個までの炭素原子を含有する、飽和または不飽和、直鎖または分枝、脂肪族または脂環式或いは場合により置換されていてよい芳香族または芳香脂肪族基、若しくは式:
【化2】

(式中、R、R、RおよびXは、上記した通りである。)
で示される基である。]
で示されるアミノシランと環状カーボネートおよび/またはラクトンとの反応生成物を含む、上記方法である。
【0016】
本発明の別の態様は、A)が、一般式(I):
【化3】

[式中、R、RおよびRは、同じかまたは異なって、3個までの酸素原子を場合により有していてよい6個までの炭素原子を含有する、飽和の、直鎖または分枝、脂肪族または脂環式基であり;
Xは、2つまでのイミノ(−NH−)基を場合により有していてよい2〜10個の炭素原子を含有する、直鎖または分枝アルキレン基であり;および
は、水素、或いは6個までの炭素原子を含有する、飽和の、直鎖または分枝、脂肪族または脂環式基、若しくは式:
【化4】

(式中、R、R、RおよびXは、上記した通りである。)
で示される基である。]
で示されるアミノシランと環状カーボネートおよび/またはラクトンとの反応生成物を含む、上記方法である。
【0017】
本発明の別の態様は、A)が、一般式(I):
【化5】

[式中、R、RおよびRは各々、6個までの炭素原子を含有するアルキル基および/または3個までの酸素原子を有するアルコキシ基であり、ただし、R、RおよびRの少なくとも1つはアルコキシ基であり;
Xは、3または4個の炭素原子を含有する、直鎖または分枝アルキレン基であり;および
は、水素、メチル基または式:
【化6】

(式中、R、R、RおよびXは、上記した通りである。)
で示される基である。]
で示されるアミノシランと環状カーボネートおよび/またはラクトンとの反応生成物を含む、上記方法である。
【0018】
本発明の別の態様は、A)が、一般式(I):
【化7】

[式中、R、RおよびRは、同じかまたは異なって、メチル、メトキシまたはエトキシ基であり、ただし、R、RおよびRの少なくとも1つはメトキシまたはエトキシ基であり;
Xは、プロピレン(−CH−CH−CH−)基であり;および
は、水素、メチル基または式:
【化8】

(式中、R、R、RおよびXは、上記した通りである。)
で示される基である。]
で示されるアミノシランと環状カーボネートおよび/またはラクトンとの反応生成物を含む、上記方法である。
【0019】
本発明の別の態様は、A)が、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシランおよび/または3−アミノプロピルメチルジエトキシシランと環状カーボネートおよび/またはラクトンとの反応生成物を含む、上記方法である。
【0020】
本発明の別の態様は、A)が、アミノシランとエチレンカーボネートおよび/またはプロピレンカーボネートとの反応生成物を含む、上記方法である。
【0021】
本発明の別の態様は、A)が、アミノシランとβ−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトンおよび/またはε−カプロラクトンとの反応生成物を含む、上記方法である。
【0022】
本発明の別の態様は、B)が、脂肪族的および/または脂環式的結合イソシアネート基含有ジイソシアネートを含む、上記方法である。
【0023】
本発明の別の態様は、B)が、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン、2,4’−および/または4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンまたはそれらの混合物を含む、上記方法である。
【0024】
本発明の別の態様は、アロファネート基の形成を促進する触媒の存在下で反応を実施する、上記方法である。
【0025】
本発明の別の態様は、触媒がカルボン酸亜鉛および/またはカルボン酸ジルコニウムを含む、上記方法である。
【0026】
本発明の別の態様は、触媒が、n−オクタン酸亜鉛(II)、2−エチル−1−ヘキサン酸亜鉛(II)、ステアリン酸亜鉛(II)、n−オクタン酸ジルコニウム(IV)、2−エチル−1−ヘキサン酸ジルコニウム(IV)および/またはネオデカン酸ジルコニウム(IV)を含む、上記方法である。
【0027】
本発明の更に別の態様は、上記方法によって製造されたアロファネート基含有ポリイソシアネートである。
【0028】
本発明の更に別の態様は、アロファネート基含有ポリイソシアネートがブロッキング剤でブロックされている、上記方法によって製造されたアロファネート基含有ポリイソシアネートである。
【0029】
本発明の更に別の態様は、上記方法によって製造されたアロファネート基含有ポリイソシアネートを含む被覆組成物である。
【0030】
本発明の更に別の態様は、上記方法によって製造されたアロファネート基含有ポリイソシアネートを含む被覆組成物で被覆された基材である。
【特許文献1】国際特許公開第03/054049号公報
【特許文献2】特開2005−015644号公報
【特許文献3】欧州特許第0 994 139号明細書
【特許文献4】国際特許公開第02/058569号公報
【特許文献5】欧州特許第0 872 499号明細書
【特許文献6】欧州特許公開第0 949 284号公報
【特許文献7】欧州特許公開第1 273 640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
従って本発明の目的は、従来技術の欠点によって阻害されない新規なシラン基含有ポリイソシアネートを提供することである。これらの新規なポリイソシアネートは、各分子内に両方の官能基、即ちイソシアネート基とシラン基とを含有すべきであり、同時に、高い平均イソシアネート官能価を有すべきであり、それにも拘わらず、低粘度を示すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0032】
この目的は、以下の更なる詳細に記載されている独創的変性ポリイソシアネートの提供およびそれらの各々の製造方法によって達成された。
【0033】
本発明は、アミノアルキルシランと環状カーボネートまたはラクトンとの開環を伴った反応によって得られるシラン基含有ヒドロキシウレタンおよび/またはヒドロキシアミドが、過剰量の単量体ジイソシアネートと容易に反応して、高イソシアネート官能価および高シラン含有量を有しているにも拘わらず低粘度を特徴とする貯蔵安定性淡色アロファネートポリイソシアネートを形成できるという、意外な知見に基づく。
【0034】
本発明は、
A)アミノシランと環状カーボネートおよび/またはラクトンとの反応から得ることができるシラン基含有ヒドロキシウレタンおよび/またはヒドロキシアミドの少なくとも1種と、
B)成分A)のNCO反応性基に基づいてモル過剰量の、脂肪族的、脂環式的、芳香脂肪族的および/または芳香族的結合イソシアネート基含有ジイソシアネートの少なくとも1種とを反応させ、
所望により、その後に未反応過剰ジイソシアネートを除去する
ことによる、アロファネート基含有ポリイソシアネートの製造方法を提供する。
【0035】
本発明はまた、該方法により得られるアロファネート基およびシラン基を含むポリイソシアネートを提供し、更に、ポリウレタンポリマー製造時の出発成分としての、特にポリウレタン塗料および被覆剤中の架橋剤成分としてのそれらの使用を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明の方法のための出発化合物A)は、アミノシランと環状カーボネートまたはラクトンとの所望の反応生成物である。
【0037】
出発化合物A)を調製するのに適したアミノシランは、例えば、一般式(I):
【化9】

[式中、R、RおよびRは、同じまたは異なった基であり、各々が、酸素、イオウおよび窒素からなる群から選択される3個までのヘテロ原子を場合により有していてよい18個までの炭素原子を含有する、飽和または不飽和、直鎖または分枝、脂肪族または脂環式或いは場合により置換されていてよい芳香族または芳香脂肪族基であり;
Xは、2つまでのイミノ(−NH−)基を場合により有していてよい少なくとも2個の炭素原子を含有する、直鎖または分枝有機基であり;および
は、水素、或いは18個までの炭素原子を含有する、飽和または不飽和、直鎖または分枝、脂肪族または脂環式或いは場合により置換されていてよい芳香族または芳香脂肪族基、若しくは式:
【化10】

(式中、R、R、RおよびXは、上記した通りである。)
で示される基である。]
で示されるアミノシランである。
【0038】
適当なアミノシランは、例えば以下を包含する:3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルジイソプロピルエトキシシラン、3−アミノプロピルトリプロポキシシラン、3−アミノプロピルトリブトキシシラン、3−アミノプロピルフェニルジエトキシシラン、3−アミノプロピルフェニルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、2−アミノイソプロピルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、4−アミノブチルメチルジメトキシシラン、4−アミノブチルメチルジエトキシシラン、4−アミノブチルエチルジメトキシシラン、4−アミノブチルエチルジエトキシシラン、4−アミノブチルジメチルメトキシシラン、4−アミノブチルフェニルジメトキシシラン、4−アミノブチルフェニルジエトキシシラン、4−アミノ(3−メチルブチル)メチルジメトキシシラン、4−アミノ(3−メチルブチル)メチルジエトキシシラン、4−アミノ(3−メチルブチル)トリメトキシシラン、3−アミノプロピルフェニルメチル−n−プロポキシシラン、3−アミノプロピルメチルジブトキシシラン、3−アミノプロピルジエチルメチルシラン、3−アミノプロピルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、11−アミノウンデシルトリメトキシシラン、N−メチル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(n−ブチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノイソブチルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリス(2−エチルヘキソキシ)シラン、N−(6−アミノヘキシル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルポリシロキサン、N−ビニルベンジル−N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルポリシロキサン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、m−および/またはp−アミノフェニルトリメトキシシラン、3−(3−アミノプロポキシ)−3,3−ジメチル−1−プロペニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、3−アミノプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、3−アミノプロピルペンタメチルジシロキサンまたはこのようなアミノシランの所望の混合物。
【0039】
出発成分A)を調製するのに好ましいアミノシランは、
、RおよびRは、同じまたは異なった基であり、各々は、3個までの酸素原子を場合により有していてよい6個までの炭素原子を含有する、飽和の、直鎖または分枝、脂肪族または脂環式基であり;
Xは、2つまでのイミノ(−NH−)基を場合により有していてよい2〜10個の炭素原子を含有する、直鎖または分枝アルキレン基であり;および
は、水素、或いは6個までの炭素原子を含有する、飽和の、直鎖または分枝、脂肪族または脂環式基、若しくは式:
【化11】

(式中、R、R、RおよびXは、上記した通りである。)
で示される基である、
一般式(I)で示されるアミノシランである。
【0040】
好ましくは、
、RおよびRは各々、6個までの炭素原子を含有するアルキル基および/または3個までの酸素原子を有するアルコキシ基であり、ただし、基R、RおよびRの少なくとも1つは上記のようなアルコキシ基であり;
Xは、3または4個の炭素原子を含有する、直鎖または分枝アルキレン基であり;および
は、水素、メチル基または式:
【化12】

(式中、R、R、RおよびXは、上記した通りである。)
で示される基である。
【0041】
特に好ましくは、
、RおよびRは各々、メチル、メトキシおよび/またはエトキシ基であり、ただし、基R、RおよびRの少なくとも1つはメトキシまたはエトキシ基であり;
Xは、プロピレン(−CH−CH−CH−)基であり;および
は、水素、メチル基または式:
【化13】

(式中、R、R、RおよびXは、上記した定義を有する。)
で示される基である。
【0042】
特に好ましいアミノシランは、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシランおよび/または3−アミノプロピルメチルジエトキシシランである。
【0043】
本発明の方法のための出発化合物A)の調製において、記載したアミノシランは、所望の環状カーボネートおよび/またはラクトンと開環を伴って反応する。
【0044】
適当な環状カーボネートは、とりわけ環内に3または4個の炭素原子を含有するものであり、所望により置換されていてもよく、その例は以下を包含する:1,3−ジオキソラン−2−オン(エチレンカーボネート、EC)、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジクロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン(プロピレンカーボネート、PC)、4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン(グリセロールカーボネート)、4−フェノキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,3−ジオキサン−2−オン(トリメチレンカーボネート)、5,5−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、5−メチル−5−プロピル−1,3−ジオキサン−2−オン、5−エチル−5−(ヒドロキシメチル)−1,3−ジオキサン−2−オン(TMPカーボネート)、4−イソプロピル−5,5−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン(2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオールカーボネート)、4−tert−ブチル−5−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン(2,4,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオールカーボネート)、2,4−ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン−3−オン(シクロヘキサン−1,1−ジメタノールスピロカーボネート)またはこのような環状カーボネートの所望の混合物。好ましい環状カーボネートは、エチレンカーボネートおよび/またはプロピレンカーボネートである。
【0045】
適当なラクトンは、例えば環内に3〜6個の炭素原子を含有するものであり、所望により置換されていてもよく、その例は以下を包含する:β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、β−ブチロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−フェニル−γ−ブチロラクトン、α,α−ジフェニル−γ−ブチロラクトン、γ−ヘキサラクトン(γ−カプロラクトン)、γ−ヘプタラクトン、γ−オクタラクトン、γ−ノナラクトン、γ−デカラクトン、γ−ウンデカラクトン、γ−ドデカラクトン、γ−メチル−γ−デカノラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−ヘキサノラクトン、δ−オクタノラクトン、δ−ノナノラクトン、δ−デカラクトン、δ−ウンデカラクトン、δ−トリデカラクトン、δ−テトラデカラクトン、γ−エチル−γ−ブチル−δ−バレロラクトン、オクタヒドロクマリン、ε−カプロラクトン、γ−フェニル−ε−カプロラクトン、ε−デカラクトンまたはこのようなラクトンの所望の混合物。好ましいラクトンは、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトンおよび/またはε−カプロラクトンである。
【0046】
記載したアミノシランと環状カーボネートまたはラクトンとの反応による出発化合物A)の製造方法は、それ自体既知であり、例えば、ソ連国特許第295764号明細書、米国特許第4 104 296号明細書、欧州特許第0 833 830号明細書または国際特許公開第98/18844号公報に記載されている方法に従って実施することができる。これらの場合は一般に、15〜100℃、好ましくは20〜60℃の温度で、等モル量で反応体を互いに反応させる。代替選択肢は、成分の1つ、例えばアミノシランまたは環状カーボネートおよび/またはラクトンを、モル過剰量で、しかしながら好ましくは10mol%を超えない過剰量で、とりわけ好ましくは5mol%を超えない過剰量で、使用することである。このようにして得られたヒドロキシ官能性出発化合物A)は、環状カーボネートを使用した場合はウレタン基を含み、ラクトンを使用した場合はアミド基を含むが、一般に低粘性の無色液体である。
【0047】
本発明の方法に適した出発化合物B)は、所望の脂肪族的、脂環式的、芳香脂肪族的および/または芳香族的結合イソシアネート基含有ジイソシアネートであり、それらは、所望の方法、例えばホスゲン化またはホスゲンフリー法、例えばウレタン分解によって調製され得る。適当な出発ジイソシアネートの例は、140〜400g/molの範囲の分子量を有するジイソシアネートであり、例えば以下を包含する:1,4−ジイソシアナトブタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン(HDI)、1,5−ジイソシアナト−2,2−ジメチルペンタン、2,2,4−または2,4,4−トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,10−ジイソシアナトデカン、1,3−および1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4−ジイソシアナト−3,3,5,−トリメチルシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナト−2−メチルシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナト−4−メチルシクロヘキサン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート;IPDI)、1−イソシアナト−1−メチル−4(3)−イソシアナトメチルシクロヘキサン、2,4’−および4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、1,3−および1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジイソシアナト−3,3’,5,5’−テトラメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジイソシアナト−1,1’−ビ(シクロヘキシル)、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチル−1,1’−ビ(シクロヘキシル)、4,4’−ジイソシアナト−2,2’,5,5’−テトラメチル−1,1’−ビ(シクロヘキシル)、1,8−ジイソシアナト−p−メンタン、1,3−ジイソシアナトアダマンタン、1,3−ジメチル−5,7−ジイソシアナトアダマンタン、1,3−および1,4−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,3−および1,4−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン(TMXDI)、ビス(4−(1−イソシアナト−1−メチルエチル)フェニル)カーボネート、1,3−および1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および2,6−トリレンジイソシアネート、並びにそれらの異性体の所望の混合物、ジフェニルメタン−2,4’−および/または−4,4’−ジイソシアネートおよびナフチレン−1,5−ジイソシアネート、並びにこのようなジイソシアネートの所望の混合物。更に、同様に適当な別のジイソシアネートは、例えばJustus Liebigs Annalen der Chemie第562巻(1949)第75頁〜第136頁に見られる。
【0048】
出発成分B)として好ましいものは、脂肪族的および/または脂環式的結合イソシアネート基を有する記載のジイソシアネートである。
【0049】
本発明の方法に特に好ましい出発成分B)は、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン、2,4’−および/または4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンまたはこれらのジイソシアネートの所望の混合物である。
【0050】
本発明の方法を実施するために、シラン基含有ヒドロキシアミドおよび/またはヒドロキシウレタンA)を、4:1〜50:1、好ましくは5:1〜30:1のイソシアネート基のイソシアネート反応性基に対する当量比に保って、40〜200℃、好ましくは60〜180℃の温度でジイソシアネートB)と反応させ、アロファネートポリイソシアネートを得る。
【0051】
本発明の目的のための「イソシアネート反応性基」は、成分A)のヒドロキシル基およびNCO/OH反応により中間生成物としてヒドロキシル基から形成されるウレタン基だけでなく、ヒドロキシウレタンを使用する場合は、その中に既に存在しているウレタン基も含む。なぜなら、反応条件下で、これらのウレタン基も同様に更に反応してアロファネート基を形成するからである。
【0052】
本発明の方法は、熱的誘導アロファネート化として触媒なしで実施できる。しかしながら好ましくは、アロファネート化反応を促進するため、適当な触媒を使用する。これらの触媒は、典型的な既知のアロファネート化触媒であり、その例は、英国特許公開第0 994 890号公報に記載のタイプの金属カーボネート、金属キレートまたは第三級アミン、米国特許第3 769 318号明細書に記載のタイプのアルキル化剤、または欧州特許公開第0 000 194号公報に例として記載されている強酸である。
【0053】
適当なアロファネート化触媒は、特に以下を包含する:亜鉛化合物(例えば、ステアリン酸亜鉛(II)、n−オクタン酸亜鉛(II)、2−エチル−1−ヘキサン酸亜鉛(II)、ナフテン酸亜鉛(II)またはアセチルアセトン酸亜鉛(II))、錫化合物(例えば、n−オクタン酸錫(II)、2−エチル−1−ヘキサン酸錫(II)、ラウリン酸錫(II)、酸化ジブチル錫、二塩化ジブチル錫、二酢酸ジブチル錫、ジラウリン酸ジブチル錫、ジマレイン酸ジブチル錫または二酢酸ジオクチル錫)、ジルコニウム化合物(例えば、2−エチル−1−ヘキサン酸ジルコニウム(IV)、ネオデカン酸ジルコニウム(IV)、ナフテン酸ジルコニウム(IV)またはアセチルアセトン酸ジルコニウム(IV))、アルミニウムトリ(アセト酢酸エチル)、塩化鉄(III)、オクチル酸カリウム、マンガン化合物、コバルト化合物またはニッケル化合物、並びに強酸(例えば、トリフルオロ酢酸、硫酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸または過塩素酸)、或いはこれらの触媒の所望の混合物。
【0054】
また、あまり好ましくはないが、本発明の方法に適した触媒は、アロファネート化反応と同様にイソシアネート基の三量化も触媒してイソシアヌレート構造を形成する化合物である。この種の触媒は、例えば、欧州特許公開第0 649 866号公報第4頁第7行〜第5頁第15行に記載されている。
【0055】
本発明の方法に好ましい触媒は、上記した種類の亜鉛化合物および/またはジルコニウム化合物である。n−オクタン酸亜鉛(II)、2−エチル−1−ヘキサン酸亜鉛(II)および/またはステアリン酸亜鉛(II)、n−オクタン酸ジルコニウム(IV)、2−エチル−1−ヘキサン酸ジルコニウム(IV)および/またはネオデカン酸ジルコニウム(IV)を用いることが、特に好ましい。
【0056】
本発明の方法では、これらの触媒を、存在する場合は、反応体A)およびB)の総重量に基づいて、0.001重量%〜5重量%、好ましくは0.005重量%〜1重量%の量で使用し、反応開始前でも反応中のいずれの時点でも添加することができる。
【0057】
本発明の方法は、好ましくは溶媒を用いずに実施する。しかしながら必要に応じて、出発成分の反応性基に対して不活性である適当な溶媒を使用することもできる。適当な溶媒の例は、従来の典型的な塗料溶媒であり、以下を包含する:酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテルアセテート、1−メトキシプロプ−2−イルアセテート、3−メトキシ−n−ブチルアセテート、アセトン、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ホワイトスピリット、比較的高い置換度の芳香族、例えば溶媒ナフサの名称で市販されているもの、Solvesso(登録商標)、Isopar(登録商標)、Nappar(登録商標)(ドイツ国ケルン在Deutsche EXXON CHEMICAL GmbH)およびShellsol(登録商標)(ドイツ国エシュボルン在Deutsche Shell Chemie GmbH)、しかしながら、プロピレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルおよびブチルエーテルアセテート、N−メチルピロリドンおよびN−メチルカプロラクタムのような溶媒、またはこのような溶媒の所望の混合物。
【0058】
本発明の方法における1つの可能な態様では、出発ジイソシアネートB)または異なった出発ジイソシアネートの混合物を、反応容器に、20〜100℃の温度で、必要に応じて上記したタイプの適当な溶媒の存在下、必要に応じて例えば窒素のような不活性ガス雰囲気下、導入する。次いで、ヒドロキシル官能性出発化合物A)を上記の量で添加し、ウレタン化のための反応温度を、30〜120℃、好ましくは50〜100℃の温度に、必要に応じて適当な方法(加熱または冷却)によって設定する。ウレタン化反応後、即ち、イソシアネート基およびヒドロキシル基の転化完了に理論的に対応するNCO含有量に達した時点で、アロファネート化を、例えば140〜200℃の温度に反応混合物を加熱することによって、触媒を添加せずに開始できる。しかしながら、アロファネート化反応を促進するために上記種類の適当な触媒を使用することが好ましく、この場合は、使用される触媒の性質および量に依存して、60〜140℃、好ましくは80〜120℃の範囲の温度で十分である。
【0059】
本発明の方法の別の可能な態様では、必要に応じて使用される触媒を、実際の反応の開始前に、シラン成分A)および/またはジイソシアネート成分B)のいずれかに混合する。この場合、中間生成物として形成され、ヒドロキシウレタンA)を使用する場合はその中に既に含まれている、ウレタン基は、自発的に更に反応して所望のアロファネート構造を与える。この種の一段階反応法では、必要に応じて触媒を含む出発ジイソシアネートB)を、反応容器に、60〜140℃、好ましくは80〜120℃の範囲の一般にアロファネート化に適した温度で、必要に応じて記載したタイプの適当な溶媒の存在下、必要に応じて例えば窒素のような不活性ガス雰囲気下、導入し、必要に応じて触媒を含むシラン成分A)と反応させる。
【0060】
しかしながら、更なる可能性は、ウレタン化反応中の任意の時点で、反応混合物に触媒を添加することである。本発明の方法のこの態様では、触媒の添加前に実施される純粋なウレタン化反応のため、一般に、30〜120℃、好ましくは50〜100℃の範囲の温度が設定される。適当な触媒の添加後、最終的には、60〜140℃、好ましくは80〜120℃の温度で、アロファネート化反応を実施する。
【0061】
本発明の方法における反応の進行は、例えばNCO含有量の滴定によって追跡し得る。目標であるNCO含有量が達成されたとき、好ましくは反応混合物のアロファネート化度(即ち、成分A)のヒドロキシル基から中間生成物として形成され、反応してアロファネート基を形成するウレタン基およびヒドロキシウレタンを使用する場合はヒドロキシウレタンA)中に既に存在するウレタン基のNCO含有量から計算できるパーセント)が少なくとも80%、特に好ましくは少なくとも90%になったとき、とりわけ好ましくはアロファネート化完了後、反応を停止する。純粋に熱的な反応法の場合、これは、例えば反応混合物を室温まで冷却することによって行うことができる。しかしながら、記載したタイプのアロファネート化触媒を好ましく使用する場合、反応は一般に、適当な触媒毒の添加によって停止される。該触媒毒の例は、塩化ベンゾイルまたはイソフタル酸ジクロリドのような酸塩化物である。
【0062】
次いで好ましくは、極めて穏やかな条件下、例えば、100〜200℃、好ましくは120〜180℃の温度で、高真空下、例えば、1.0mbar未満、好ましくは0.5mbar未満、より好ましくは0.2mbar未満の圧力下、薄膜蒸留によって、反応混合物から揮発性成分(過剰単量体ジイソシアネート、必要に応じて出発化合物A)の調製時に過剰に使用した環状カーボネートまたはラクトン、使用した溶媒、および触媒毒を使用しない場合は活性触媒)を留去する。
【0063】
未反応単量体出発ジイソシアネートに加えて、過剰に使用された環状カーボネートまたはラクトン、使用した溶媒、および触媒毒を使用しない場合は活性触媒を含む、得られた留出物を、新たなオリゴマー化に問題なく使用できる。
【0064】
本発明の方法の更なる態様では、記載した揮発性成分を、イソシアネート基に対して不活性である適当な溶媒による抽出によってオリゴマー化生成物から分離する。該溶媒の例は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロペンタンまたはシクロヘキサンのような脂肪族または脂環式炭化水素である。
【0065】
後処理の方法とは無関係に、本発明の方法の生成物は、一般に、200APHA未満、好ましくは100APHA未満、より好ましくは80APHA未満の色数、2.0〜5.0、好ましくは2.4〜4.8、より好ましくは3.0〜4.5の平均NCO官能価、6.0重量%〜20.5重量%、好ましくは10.0重量%〜18.0重量%、より好ましくは12.0重量%〜17.0重量%の平均NCO含有量を有する、澄明な淡色ポリイソシアネートである。選択的アロファネート化触媒を使用する場合、生成物は、事実上、例えばイソシアヌレートのような副生物を含まない。換言すると、事実上、各分子内に、イソシアネート基だけでなく少なくとも1つのシラン基も存在する。
【0066】
本発明のアロファネートポリイソシアネートは、イソシアネート重付加法によってポリウレタンポリマーを製造するための重要な出発物質を構成する。
【0067】
本発明のアロファネートポリイソシアネートは、従来技術のシラン変性ポリイソシアネートと比較して低粘性なので、溶媒不含有で使用され得るが、必要に応じて典型的な溶媒で希釈することもできる。該溶媒の例は、必要に応じて本発明の方法で使用され得る上記した不活性な塗料溶媒であり、このような希釈は曇りを生じることなく行える。
【0068】
本発明のシラン変性アロファネートポリイソシアネートは、ポリイソシアネートに対する共反応体として、ポリヒドロキシル化合物、例えば、典型的なポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールおよび/またはポリアクリレートポリオールが存在する、二液型ポリウレタン塗料材料のための硬化剤として極めて適している。本発明の方法の生成物に特に好ましい共反応体は、ヒドロキシル基含有ポリアクリレート、即ち(メタ)アクリル酸アルキルエステルのポリマーまたはコポリマーであり、必要に応じて、スチレンまたは他のコポリマー化可能なオレフィン性不飽和モノマーを伴う。
【0069】
一般に、必要に応じて被覆剤分野で典型的な助剤および添加剤(例えば、流れ制御助剤、着色顔料、充填材または艶消し剤)が配合され得る、本発明のシラン変性アロファネートポリイソシアネートを用いて調製された被覆材料は、室温乾燥時でさえ良好な塗布性を有する。しかしながらそれらは当然、高温での強制条件下で、または260℃までの温度での焼付によって乾燥させることもできる。
【0070】
硬化速度を制御するため、塗料組成物を調製するとき、適当な触媒を使用することもでき、その例は、イソシアネート化学に典型的な触媒であり、以下を包含する:例えば、トリエチルアミン、ピリジン、メチルピリジン、ベンジルジメチルアミン、N,N−エンドエチレンピペラジン、N−メチルピペリジン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N−ジメチルアミノシクロヘキサン、N,N’−ジメチルピペラジンのような第三級アミン、または塩化鉄(III)、塩化亜鉛、2−エチルカプロン酸亜鉛、オクタン酸錫(II)、エチルカプロン酸錫(II)、ジラウリン酸ジブチル錫(IV)、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)、オクチル酸ビスマス(III)またはグリコール酸モリブデンのような金属塩。また、アルコキシシラン基の加水分解および縮合、またはアルコキシシラン基とバインダーとして使用されるポリオール成分のヒドロキシル基との反応を促進する触媒も使用される。この種の触媒の例は、上記イソシアネート触媒に加えて、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸およびリン酸ジブチルのような酸、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBN)および1,5−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン(DBU)のようなN−置換アミジンといった塩基、或いはテトライソプロピルチタン、テトラブチルチタン、アセチルアセトン酸チタン(IV)、アセチルアセトン酸アルミニウム、アルミニウムトリフラートまたは錫トリフラートのような金属塩または有機金属化合物である。
【0071】
当然のことながら、本発明のシラン変性アロファネートポリイソシアネートは、一液型PU焼付系として、上記したフィルム形成バインダーまたはフィルム形成バインダー成分と組み合わせて、ポリウレタン化学からそれ自体既知のブロッキング剤でブロックされた状態でも、使用され得る。適当なブロッキング剤の例は、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エステル、シクロペンタノン 2−カルボキシメチルエステルおよび2−カルボキシエチルエステルのような活性化環状ケトン、アセトンオキシム、ブタノンオキシム、ε−カプロラクタム、3,5−ジメチルピラゾール、1,2,4−トリアゾール、ジメチル−1,2,4−トリアゾール、イミダゾール、ベンジル−tert−ブチルアミンまたはこれらのブロッキング剤の所望の混合物である。
【0072】
従って、本発明はまた、本発明のアロファネート基含有ポリイソシアネートの、ポリウレタン化学から既知のブロッキング剤によりブロックされているポリイソシアネートを調製するための使用を提供し、調製されたブロックトポリイソシアネート自体も提供する。
【0073】
本発明の方法の生成物は、欧州特許第0 403 921号明細書から知られているポリアスパラギン酸誘導体のようなポリアミン、或いはポリケチミン、ポリアルジミンまたはオキサゾランのようなアミノ基がブロックされた状態である他のポリアミンと、組み合わせることもできる。湿気の影響下、これらのブロックトアミノ基は遊離アミノ基を生じ、オキサゾランの場合は遊離ヒドロキシル基を生じ、それらは、シラン変性アロファネートポリイソシアネートのイソシアネート基との反応によって消費され、このような反応過程で架橋をもたらす。
【0074】
本発明のシラン変性アロファネートポリイソシアネートはまた、水性二液型ポリウレタン系の調製の場合において、水溶液または水中分散体として存在しており、イソシアネート反応性基、とりわけアルコール性ヒドロキシル基を含有する、バインダーまたはバインダー成分のための架橋剤成分としても適している。その低粘性故に、それらは、そのまま、即ち疎水性状態で、または例えば、欧州特許第0 540 985号明細書、欧州特許第0 959 087号明細書または欧州特許第1 287 052号明細書に従った既知の方法で親水性変性された状態で、使用され得る。
【0075】
本発明のシラン変性アロファネートポリイソシアネートを用いて調製された塗料系は、必要に応じて、共反応体としての所望の更なる加水分解性シラン化合物と混合することもでき、該化合物の例は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)メチルジエトキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランまたはフェニルトリエトキシシラン或いはこれらのシラン化合物の混合物である。
【0076】
被覆材料組み合わせの全てにおいて、本発明の方法の生成物および共反応体の量は、各々の未ブロックトまたはブロックトイソシアネート基について、0.5〜3、好ましくは0.6〜2.0、より好ましくは0.8〜1.6のブロックトまたは未ブロックトイソシアネート反応性基が存在するような量である。
【0077】
しかしながら必要に応じて、本発明のポリイソシアネート混合物を、極めて特殊な特性を得る目的で、例えば接着を促進するための添加剤として、非官能性フィルム形成バインダーに少量混合することもできる。
【0078】
望ましい基材は、本発明のシラン変性アロファネートポリイソシアネートを用いて調製された塗料に適した基材であり、その例は、例えば、金属、木材、ガラス、石材、セラミック材、コンクリート、硬質および軟質プラスチック、布地、皮革および紙であり、それらは、必要に応じて、被覆前に典型的な下塗が施されていてもよい。
【0079】
従って、本発明の更なる対象は、本発明のアロファネート基含有ポリイソシアネートを含む塗料組成物、および該塗料組成物で被覆された基材である。
【0080】
先に記載した参考文献の全てを、それらの全内容を引用してここに組み込む。
【0081】
本発明を具体化するある特定の構造を示し記載したが、基本的な本発明の概念の意図および範囲から逸脱することなく、要素の様々な変更および転位を実施することができ、それらが本明細書で示し、記載した特定の形態に限定されないことは、当業者には明らかであろう。
【実施例】
【0082】
特に記載のない限り、全てのパーセントは重量による。
NCO含有量は、DIN EN ISO 11909に従って測定した。
粘度測定は全て、DIN EN ISO 3219に従って、Anton Paar Germany GmbH(オストフィルデルン在)製Physica MCR 51レオメーターを用いて実施した。
ハーゼン色数は、Hach Lange GmbH(デュッセルドルフ在)製LICO 400比色計を用いて測定した。
出発化合物A)について記載したOH価は、理想的構造(1:1付加物)の理論上の分子量から算出した。
【0083】
出発化合物A)の調製
シラン基含有ヒドロキシウレタンA1)
221g(1.0mol)の3−アミノプロピルトリエトキシシランを、反応容器に、室温で乾燥窒素雰囲気下、導入した。この初期導入物に、撹拌しながら15分かけて88g(1.0mol)のエチレンカーボネートを添加すると、最初に、生じた反応熱により混合物が34℃まで温まった。次いで、混合物を、更なる加熱なしに室温で18時間撹拌した。1NのHClによるアミン滴定は、99.8%の転化率を示した。
これにより、無色液体として2−ヒドロキシエチル[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ウレタンを得た。
【0084】
【表1】

【0085】
シラン基含有ヒドロキシウレタンA2)
179g(1.0mol)の3−アミノプロピルトリメトキシシランおよび88g(1.0mol)のエチレンカーボネートを、出発化合物A1)に対して記載した方法によって互いに反応させた。18時間後の転化率(1NのHClによるアミン滴定)は、99.6%であった。
これにより、無色液体として2−ヒドロキシエチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ウレタンを得た。
【0086】
【表2】

【0087】
シラン基含有ヒドロキシウレタンA3)
221g(1.0mol)の3−アミノプロピルトリエトキシシランおよび102g(1.0mol)のプロピレンカーボネートを、出発化合物A1)に対して記載した方法によって互いに反応させた。18時間後の転化率(1NのHClによるアミン滴定)は、99.9%であった。
これにより、無色液体として2−ヒドロキシプロピル[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ウレタンおよび2−ヒドロキシ−1−メチルエチル[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ウレタンの混合物を得た。
【0088】
【表3】

【0089】
シラン基含有ヒドロキシウレタンA4)
179g(1.0mol)の3−アミノプロピルトリメトキシシランおよび102g(1.0mol)のプロピレンカーボネートを、出発化合物A1)に対して記載した方法によって互いに反応させた。18時間後の転化率(1NのHClによるアミン滴定)は、99.7%であった。
これにより、無色液体として2−ヒドロキシプロピル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ウレタンおよび2−ヒドロキシ−1−メチルエチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ウレタンの混合物を得た。
【0090】
【表4】

【0091】
シラン基含有ヒドロキシアミドA5)
221g(1.0mol)の3−アミノプロピルトリエトキシシランおよび86g(1.0mol)のγ−ブチロラクトンを、出発化合物A1)に対して記載した方法によって互いに反応させた。18時間後の転化率(1NのHClによるアミン滴定)は、99.4%であった。
これにより、無色液体として4−ヒドロキシ−N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ブタンアミドを得た。
【0092】
【表5】

【0093】
実施例1(本発明)
1680g(10.0mol)のヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を、309g(1.0mol)のシラン基含有ヒドロキシウレタンA1)と、乾燥窒素雰囲気下、80℃の温度で混合し、ウレタン化完了に相当する40.1%のNCO含有量に達するまで、混合物を3時間撹拌した。次いで、反応混合物を95℃まで加熱し、0.5gの2−エチル−1−ヘキサン酸亜鉛(II)をアロファネート化触媒として添加した。反応は発熱的に開始し、混合物の温度は110℃まで上昇した。約30分後、反応混合物のNCO含有量は35.9%であった。1gの塩化ベンゾイルを添加することによって触媒を失活させ、130℃の温度および0.1mbarの圧力で薄膜蒸留することによって未反応単量体HDIを留去した。これにより、以下の特性を有する実質的に無色の澄明なアロファネートポリイソシアネート789gを得た。
【0094】
【表6】

【0095】
実施例2(本発明)
実施例1に記載の方法に従って、1680g(10.0mol)のHDIを、267g(1.0mol)のシラン基含有ヒドロキシウレタンA2)と反応させた。0.5gの2−エチル−1−ヘキサン酸亜鉛(II)を添加することによって、40.1%のNCO含有量に向かってアロファネート化反応を開始した。36.7%のNCO含有量に達した時点で、1gの塩化ベンゾイルを用いて反応を停止し、実施例1に記載したように後処理した。これにより、以下の特性を有する実質的に無色の澄明なアロファネートポリイソシアネート690gを得た。
【0096】
【表7】

【0097】
実施例3(比較例、国際特許公開第03/054049号公報に類似)
23.0%のNCO含有量、3.2のNCO官能価、0.1%の単量体HDI含有量および23℃で約1200mPasの粘度を有する660g(3.61当量)のHDIベースポリイソシアヌレートポリイソシアネートを、340g(1.45mol)のN−(n−ブチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランと、100℃の温度、乾燥窒素雰囲気下で30分間混合し、次いで、反応完了に相当する9.1%のNCO含有量に達するまで、混合物を2時間撹拌した。これにより、以下の特性を有する高粘性無色樹脂として、シラン基含有ポリイソシアネートを得た。
【0098】
【表8】

【0099】
実施例4(比較例、国際特許公開第02/058569号公報に類似)
21.7%のNCO含有量、3.5のNCO官能価、0.1%の単量体HDI含有量および約3000mPasの23℃での粘度を有する500g(2.58当量)のHDIベースポリイソシアヌレートポリイソシアネートを、欧州特許公開第0 596 360号公報の実施例5に従って調製された500g(1.42mol)のジエチルN−(3−トリメトキシシリルプロピル)アスパルテートと、80℃の温度、乾燥窒素雰囲気下で30分間混合し、次いで、反応完了に相当する4.9%のNCO含有量に達するまで、混合物を2時間撹拌した。これにより、以下の特性を有する高粘性無色樹脂として、シラン基含有ポリイソシアネートを得た。
【0100】
【表9】

【0101】
比較によって、実施例1および2の本発明のシラン基含有ポリイソシアネートが、比較例3および4のシラン基含有ポリイソシアネートと類似したシラン基含有量と、より高いイソシアネート含有量、著しく高いNCO官能価および特に著しく低い粘度とを併せ持つことが分かる。
【0102】
実施例5(本発明)
実施例1に記載の方法に従って、1680g(10.0mol)のHDIを、323g(1.0mol)のシラン基含有ヒドロキシウレタンA3)と反応させた。0.5gの2−エチル−1−ヘキサン酸亜鉛(II)を添加することによって、39.8%のNCO含有量に向かってアロファネート化反応を開始した。35.6%のNCO含有量に達した時点で、1gの塩化ベンゾイルを用いて反応を停止し、実施例1に記載したように後処理した。これにより、以下の特性を有する実質的に無色の澄明なアロファネートポリイソシアネート740gを得た。
【0103】
【表10】

【0104】
実施例6(本発明)
実施例1に記載の方法に従って、3360g(20.0mol)のHDIを、281g(1.0mol)のシラン基含有ヒドロキシウレタンA4)と反応させた。0.5gの2−エチル−1−ヘキサン酸亜鉛(II)を添加することによって、45.0%のNCO含有量に向かってアロファネート化反応を開始した。42.7%のNCO含有量に達した時点で、1gの塩化ベンゾイルを用いて反応を停止し、実施例1に記載したように後処理した。これにより、以下の特性を有する実質的に無色の澄明なアロファネートポリイソシアネート約705gを得た。
【0105】
【表11】

【0106】
実施例7(本発明)
実施例1に記載の方法に従って、1680g(10.0mol)のHDIを、307g(1.0mol)のシラン基含有ヒドロキシアミドA5)と反応させた。0.5gの2−エチル−1−ヘキサン酸亜鉛(II)を添加することによって、39.8%のNCO含有量に向かってアロファネート化反応を開始した。35.6%のNCO含有量に達した時点で、1gの塩化ベンゾイルを用いて反応を停止し、実施例1に記載したように後処理した。これにより、以下の特性を有する実質的に無色の澄明なアロファネートポリイソシアネート537gを得た。
【0107】
【表12】

【0108】
実施例8(本発明)
実施例1に記載の方法に従って、2222g(10.0mol)の1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(IPDI)を、309g(1.0mol)のシラン基含有ヒドロキシウレタンA1)と反応させた。0.4gの2−エチル−1−ヘキサン酸錫(II)を添加することによって、31.5%のNCO含有量に向かってアロファネート化反応を開始した。28.2%のNCO含有量に達した時点で、1gの塩化ベンゾイルを用いて反応を停止し、160℃の温度および0.1mbarの圧力で薄膜蒸留することによって未反応単量体IPDIを留去した。これにより、1−メトキシプロプ−2−イルアセテートに溶解後、70%濃度の溶液として以下の特性を有する、粘性淡黄色アロファネートポリイソシアネート939gを得た。
【0109】
【表13】

【0110】
実施例9(比較例、欧州特許公開第1273640号公報に類似)
11.7%のNCO含有量、3.3のNCO官能価、0.3%の単量体IPDI含有量および約5010mPasの23℃での粘度を有する、70%濃度の1−メトキシプロプ−2−イルアセテート(MPA)溶液としてのIPDIベースポリイソシアヌレートポリイソシアネート500g(1.39当量)を、42.9gの更なるMPAで希釈し、100.0g(0.23mol)のビス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミンと、50℃の温度、乾燥窒素雰囲気下で1時間混合した。次いで、反応完了に相当する7.5%のNCO含有量に達するまで、混合物を1時間撹拌した。これにより、70%濃度の1−メトキシプロプ−2−イルアセテート溶液として以下の特性を有する、淡色シラン基含有ポリイソシアネートを得た。
【0111】
【表14】

【0112】
比較によって、実施例8の本発明のシラン基含有IPDIポリイソシアネートが、比較例9のシラン基含有ポリイソシアネートと類似したシラン基含有量と、より高いイソシアネート含有量、著しく高いNCO官能価およびより低い粘度とを併せ持つことが分かる。
【0113】
実施例10(本発明)
実施例1に記載の方法に従って、2620g(10.0mol)の4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンを、309g(1.0mol)のシラン基含有ヒドロキシウレタンA1)と反応させた。0.4gの2−エチル−1−ヘキサン酸錫(II)を添加することによって、37.2%のNCO含有量に向かってアロファネート化反応を開始した。24.4%のNCO含有量に達した時点で、1gの塩化ベンゾイルを用いて反応を停止し、170℃の温度および0.1mbarの圧力で薄膜蒸留することによって未反応単量体4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンを留去した。これにより、1−メトキシプロプ−2−イルアセテートに溶解後、70%濃度の溶液として以下の特性を有する、黄色がかった粘性アロファネートポリイソシアネート1043gを得た。
【0114】
【表15】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)アミノシランと環状カーボネートおよび/またはラクトンとの反応から得ることができるシラン基含有ヒドロキシウレタンおよび/またはヒドロキシアミドの少なくとも1種と、
B)A)のNCO反応性基に基づいてモル過剰量の、脂肪族的、脂環式的、芳香脂肪族的および/または芳香族的結合イソシアネート基含有ジイソシアネートの少なくとも1種とを反応させ、
任意に、その後に未反応過剰ジイソシアネートを除去する
ことを含んでなる、アロファネート基含有ポリイソシアネートの製造方法。
【請求項2】
A)が、一般式(I):
【化1】

[式中、R、RおよびRは、同じかまたは異なって、酸素、イオウおよび窒素からなる群から選択される3個までのヘテロ原子を場合により有していてよい18個までの炭素原子を含有する、飽和または不飽和、直鎖または分枝、脂肪族または脂環式或いは場合により置換されていてよい芳香族または芳香脂肪族基であり;
Xは、2つまでのイミノ(−NH−)基を場合により有していてよい少なくとも2個の炭素原子を含有する、直鎖または分枝有機基であり;および
は、水素、或いは18個までの炭素原子を含有する、飽和または不飽和、直鎖または分枝、脂肪族または脂環式或いは場合により置換されていてよい芳香族または芳香脂肪族基、若しくは式:
【化2】

(式中、R、R、RおよびXは、上記した通りである。)
で示される基である。]
で示されるアミノシランと環状カーボネートおよび/またはラクトンとの反応生成物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
A)が、一般式(I):
【化3】

[式中、R、RおよびRは、同じかまたは異なって、3個までの酸素原子を場合により有していてよい6個までの炭素原子を含有する、飽和の、直鎖または分枝、脂肪族または脂環式基であり;
Xは、2つまでのイミノ(−NH−)基を場合により有していてよい2〜10個の炭素原子を含有する、直鎖または分枝アルキレン基であり;および
は、水素、或いは6個までの炭素原子を含有する、飽和の、直鎖または分枝、脂肪族または脂環式基、若しくは式:
【化4】

(式中、R、R、RおよびXは、上記した通りである。)
で示される基である。]
で示されるアミノシランと環状カーボネートおよび/またはラクトンとの反応生成物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
A)が、一般式(I):
【化5】

[式中、R、RおよびRは各々、6個までの炭素原子を含有するアルキル基および/または3個までの酸素原子を有するアルコキシ基であり、ただし、R、RおよびRの少なくとも1つはアルコキシ基であり;
Xは、3または4個の炭素原子を含有する、直鎖または分枝アルキレン基であり;および
は、水素、メチル基または式:
【化6】

(式中、R、R、RおよびXは、上記した通りである。)
で示される基である。]
で示されるアミノシランと環状カーボネートおよび/またはラクトンとの反応生成物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
A)が、一般式(I):
【化7】

[式中、R、RおよびRは、同じかまたは異なって、メチル、メトキシまたはエトキシ基であり、ただし、R、RおよびRの少なくとも1つはメトキシまたはエトキシ基であり;
Xは、プロピレン(−CH−CH−CH−)基であり;および
は、水素、メチル基または式:
【化8】

(式中、R、R、RおよびXは、上記した通りである。)
で示される基である。]
で示されるアミノシランと環状カーボネートおよび/またはラクトンとの反応生成物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
A)が、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシランおよび/または3−アミノプロピルメチルジエトキシシランと環状カーボネートおよび/またはラクトンとの反応生成物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
A)が、アミノシランとエチレンカーボネートおよび/またはプロピレンカーボネートとの反応生成物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
A)が、アミノシランとβ−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトンおよび/またはε−カプロラクトンとの反応生成物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
B)が、脂肪族的および/または脂環式的結合イソシアネート基含有ジイソシアネートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
B)が、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン、2,4’−および/または4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンまたはそれらの混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
アロファネート基の形成を促進する触媒の存在下で反応を実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
触媒がカルボン酸亜鉛および/またはカルボン酸ジルコニウムを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
触媒が、n−オクタン酸亜鉛(II)、2−エチル−1−ヘキサン酸亜鉛(II)、ステアリン酸亜鉛(II)、n−オクタン酸ジルコニウム(IV)、2−エチル−1−ヘキサン酸ジルコニウム(IV)および/またはネオデカン酸ジルコニウム(IV)を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法によって製造されたアロファネート基含有ポリイソシアネート。
【請求項15】
アロファネート基含有ポリイソシアネートがブロッキング剤でブロックされている、請求項14に記載のアロファネート基含有ポリイソシアネート。
【請求項16】
請求項14に記載のアロファネート基含有ポリイソシアネートを含む被覆組成物。
【請求項17】
請求項18に記載の被覆組成物で被覆された基材。

【公開番号】特開2009−30050(P2009−30050A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−181416(P2008−181416)
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】