説明

アロマオイル等芳香装置

【課題】従来の香料揮発装置は、材料が森林保護に貢献するようなものではなく、また毛細管現象により香料を揮発する装飾媒体は予めかかる機能を有する構造と材料を選択しているため高価になり、更には、香料を揮発する速度を遅延制御しながら十分に長時間芳香させることが出来ない機構であり、また、組み立て構造や芳香を発揮する手順が複雑であり簡単に個人や家庭で組み立てて長期間の芳香状態を楽しめるものではなかった。
【解決手段】この発明は、間伐材よりなる基板と、基板に切り溝を形成して切り溝に着脱自在に構成すると共に、アロマオイル等の芳香剤の吸収揮発が容易で、かつ長期間の持続性を有するように構成した天然模造体または人工模造体に擬した間伐材よりなる装飾媒体と、基板上に載置したアロマオイル等の芳香剤収納のオイル容器の中に浸漬すべく装飾媒体の一部を下方に伸延した浸漬片とよりなるアロマオイル芳香等装置を提供するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、間伐材を利用して組み立て式の構成とすると共に、揮発性の香料等のアロマオイル等の芳香剤を装飾体様に形成した装飾媒体を介して芳香出来るようにしたアロマオイル等芳香装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板に立設した装飾媒体から基板に吸収した香料液体を揮発させるようにした装飾体がある。かかる装飾媒体は、吸収紙或いは布の様な素材で樹木を想定する形状に形成されて基板に組み立て式で立設されている。
【0003】
使用に際しては、装飾体として居間やトイレ等の所要の場所に配置しておき、装飾媒体の毛細管現象によって香料等の水溶液を浸透吸い上げ空気中に揮発させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−285299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の香料揮発装置は、材料が森林保護に貢献するようなものではなく、また毛細管現象により香料を揮発する装飾媒体は予めかかる機能を有する構造と材料を選択しているため高価になり、更には、香料を揮発する速度を遅延制御しながら十分に長時間芳香させることが出来ない機構であり、また、組み立て構造や芳香を発揮する手順が複雑であり簡単に個人や家庭で組み立てて長期間の芳香状態を楽しめるものではなかった。
【0006】
この発明は、材料に間伐材を使用して可及的に森林保護が出来るようにし、かつ構造簡単でアロマオイル等芳香剤の吸引揮発が容易な構造として上記の欠点を解消するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、間伐材よりなる基板と、基板に切り溝を形成して切り溝に着脱自在に構成すると共に、アロマオイル等の芳香剤の吸収揮発が容易で、かつ長期間の持続性を有するように構成した天然模造体または人工模造体に擬した間伐材よりなる装飾媒体と、基板上に載置したアロマオイル等の芳香剤収納のオイル等容器の中に浸漬すべく装飾媒体の一部を下方に伸延した浸漬片とよりなるアロマオイル等芳香装置を提供するものである。
【0008】
また、アロマオイル等の芳香剤の吸収揮発が容易で、かつ長期間の持続性を有するような構成としては、2枚の間伐材の平板間に間伐材の芯材を挟持接着した合板構成とし、かつ平板は縦方向木目を有して構成し、芯材は横方向木目を有して構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、間伐材よりなる基板と、基板に切り溝を形成して切り溝に着脱自在に構成すると共に、アロマオイル等の芳香剤の吸収揮発が容易で、かつ長期間の持続性を有するように構成した天然模造体または人工模造体に擬した間伐材よりなる装飾媒体と、基板上に載置したアロマオイル等の芳香剤収納のオイル等容器の中に浸漬すべく装飾媒体の一部を下方に伸延した浸漬片とより構成したので、間伐材の利用により森林材の活用を可能とし二酸化炭素排出の削減に貢献できる効果があり、また装飾媒体は基板に容易に着脱自在に構成し、天然模造体または人工模造体に擬した間伐材より構成したので個人で簡単に組み立てることが可能となり使用者の好みに応じて各種のデザインの形状を選択すること出来ため使用の利便性が向上することが出来る効果があり、特に装飾媒体は、アロマオイル等の芳香剤の吸収揮発が容易で、かつ長期間の持続性を有するように構成したので揮発性と持続性のバランスを良好としてアロマオイル等の芳香剤の酸化を可及的に防止して新鮮な芳香を生成することが出来る効果がある。
【0010】
また、この発明によれば、アロマオイル等の芳香剤の吸収揮発が容易で、かつ長期間の持続性を有するような構成として2枚の間伐材の平板間に間伐材の芯材を挟持接着した合板構成とし、かつ平板は縦方向木目を有して構成し、芯材は横方向木目を有して構成したことにより、アロマオイル等の芳香剤の吸収揮発が容易となり、かつ芯材は横方向木目を有して構成したのでアロマオイル等の芳香剤がジグザグの流通経路を経て緩慢に蒸散し徐々に空気中に拡散するのでアロマオイル等の芳香剤エキスの一定の貯留効果があり、芳香を持続性させる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本件発明のアロマオイル等芳香装置Aの全体の斜視図。
【図2】図1の分解状態の説明図。
【図3】装飾媒体3の断面説明図。
【図4】装飾媒体3におけるアロマオイル等の芳香剤の浸透拡散状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明の実施例を図面に基づき詳説すれば、図1は本件発明のアロマオイル等芳香装置Aの全体の斜視図、図2は図1の分解状態の説明図、図3は装飾媒体3の断面説明図、図4は装飾媒体3におけるアロマオイル等の芳香剤の浸透拡散状態を示す説明図である。
【0013】
この発明の実施例は、間伐材よりなる基板1と、基板に切り溝2を形成して切り溝に着脱自在に構成すると共に、アロマオイル等の芳香剤の吸収揮発が容易で、かつ長期間の持続性を有するように構成した天然模造体または人工模造体に擬した間伐材よりなる装飾媒体3と、基板上に載置したアロマオイル等の芳香剤収納のオイル等容器4の中に浸漬すべく装飾媒体3の一部を下方に伸延した浸漬片5とよりなるアロマオイル等芳香装置Aを提供するものである。
【0014】
また、この発明の実施例は、装飾媒体3に関して、アロマオイル等の芳香剤の吸収揮発が容易で、かつ長期間の持続性を有するような構成としては、2枚の間伐材の平板6,6´間に間伐材の芯材7を挟持接着した合板構成とし、かつ平板6,6´は縦方向木目8を有して構成し、芯材は横方向木目9を有して構成したことを特徴とする。
【0015】
基板1、装飾媒体3はいづれも間伐材を利用することにより森林材の伐採による自然破壊を出来るだけ防止することを目的としている。
【0016】
基板1は後述する装飾媒体3を立設するだけの厚みを有する土台として機能するものであり、基板1に形成する切り溝2は、装飾媒体3の厚みに対応する幅員を有し長さも装飾媒体3の下端縁と嵌着するに十分な長さに構成している。
【0017】
装飾媒体3は本実施例の主要部を構成するものであり、形状は天然模造体や人工模造体、例えば像やウサギや樹木や人間や飛行機や新幹線列車や飛行機や車等の形状を形取っており、下端縁3−1は水平に切断した形状とし基板1の切り溝2に着脱自在に嵌着出来るように構成している。
【0018】
しかも、装飾媒体3はアロマオイル等の芳香剤の吸収揮発が容易で、かつ長期間の持続性を有するように構成しており、具体的には、2枚の間伐材の平板6,6´間に間伐材の芯材7を挟持接着した合板構成とし、かつ平板6,6´は縦方向木目8を有して構成し、芯材は横方向木目9を有して構成していると共に、装飾媒体3の一部を下方に伸延して浸漬片5としている。
【0019】
この浸漬片5は、基板1の所定の場所に載置するオイル等容器4の開口部から容器中に挿入出来るような長方形或いは棒状の形状としている。
【0020】
オイル等容器4中には、アロマオイル等の芳香剤を収納しているが、アロマオイルに限定されるものではなく、例えば、無機化合物の溶液に香料を混合して調製したものでもよく、塩化ナトリウムや炭酸水素ナトリウムなどをアンモニア水などの溶媒に溶解して調製し、これにD−リモネン、ゲラニオールなどの香料を数種類組合わせて使用するものでもよい。
【0021】
無機化合物の溶媒としては揮発性のアルコールやエタノールやアセトンなどの有機溶剤を使用し、香料と溶液を均一に溶解するためにレシチンやカルボン酸塩などの乳化剤や界面活性剤を混合する。
【0022】
装飾媒体3はこのように構成され、特に合板構成の特徴として平板6,6´と芯材7よりなり、更には平板6,6´と芯材7の木目の構成がそれぞれ逆の木目としている。
【0023】
すなわち、外側の平板6,6´は縦方向木目8であるために浸漬片5を介して毛細管現象によりアロマオイル等の芳香剤を吸収するときに縦方向木目8に沿って上方に迅速に吸引されやすい。しかも、平板6,6´の間に挟持された芯材7は横方向木目9であるために、横方向木目の間の柔軟組織9−1に吸引されて横方向の木目に沿って浸透されていき芯材7の柔軟組織7−1に伝搬されて徐々に全体に拡散していく。そして、芯材7の柔軟組織7−1全体に拡散したアロマオイル等の芳香剤は両側の平板6,6´の縦方向木目の間の柔軟組織8−1に逆に移行して縦方向木目9に沿って上方に浸透して平板6,6´上端縁開口部6−1,6´―1から大気中に拡散されていく。
【0024】
なお、ここで柔軟組織8−1と柔軟組織9−1とは木目と木目の間、すなわち樹木の年輪の間に形成された木材の柔軟部分を言い、木目と木目との間においてアロマオイル等の芳香剤の毛細管現象が有効に生起する部分である。
【0025】
このようにアロマオイル等の芳香剤は浸漬片5から浸透して両側の平板6,6´のうち浸漬片5に連通した縦方向木目8に沿って順次芯材7に移行していき装飾媒体3の芯材7全体に拡散し、その後芯材7から再度両側の平板6,6´全体に拡散し上端縁開口部6−1,6´−1から空気中に蒸散していく。
【0026】
なお、装飾媒体3に適当に孔3−2を穿孔しておけば、孔3−2の内周端面からも芳香を拡散することができ、特に孔3−2に蓋体3−3を嵌着自在に構成すれば孔3−2に蓋体3−3を嵌着することにより、孔3−2内周端面からの芳香拡散の調整をすることができる効果がある。
【0027】
また、オイル等容器4中に浸漬片5を浸漬する場合は、オイル等容器4の開口部と浸漬片5との間に一定の間隙を形成しておき、装飾媒体3にアロマオイル等が浸潤して飽和状態となり、アロマオイル等が固化してアロマオイル等の拡散が円滑に行われない場合にもこの浸漬片5との間隙からアロマオイル等の芳香が拡散できるようにしている。
【0028】
また、装飾媒体3の肉厚は、両側の平板6,6´と芯材7とをそれぞれ約0.5mm〜0.7mmとし、合板全体として約1.5mm〜2.0mmの薄板構成としており、かかる薄板構成とすることによりアロマオイル等の浸透を迅速とし、かつ装飾媒体3における拡散を促進することができる。
【0029】
また、装飾媒体3の材質は、杉材を使用する。杉材とすることにより木目の間隙を可及的に大としアロマオイル等の芳香剤の毛細管現象を促進させることができる。
【0030】
なお、装飾媒体3には、節部が混在する場合もあるが、アロマオイル等の芳香剤は、節部を迂回して木目間を浸透していくので、節部は模様としての機能と方向拡散の調整機能をも果たすことができる。
【0031】
このように本発明の実施例によれば、アロマオイル等の芳香剤は浸漬片5から有効に装飾媒体3全体に拡散して最終的に縦方向木目8に沿って平板6,6´の上端縁開口部6−1,6´−1から拡散することになり、装飾媒体3からの芳香剤の拡散効率を向上することが出来ると共に、アロマオイル等の芳香剤を装飾媒体3の組織内に封入した状態でオイル等容器4から蒸散することが出来るので空気中の酸素との接触の機会を少なくオイル等の芳香剤の酸化を可及的に防止することが出来る。従って、アロマオイル等の芳香剤を新鮮な状態に保持して芳香させることが出来、アロマオイル等の芳香剤の各種機能を十分に発揮することが可能となる。
【0032】
また、土台となる基板1に形成する切り溝2に装飾媒体3の下端縁3−1を嵌めこむだけで構成することが出来、後は基板1の所定の場所にオイル等容器4を載置し、該容器4の開口部から装飾媒体3の浸漬片5を挿入するだけであるため家庭でも個人的に簡単に組み立て使用することが出来る効果がある。
【0033】
なお、必要により基板1にバイブレーション装置aを載置し該装置の振動出力部bを装飾媒体3に接触しておけば、装飾媒体3からのアロマオイル等の芳香剤の放出を迅速に行うことが出来る。また、バイブレーション装置は乾電池による電動振動機構で構成することとし、必要に応じてタイマーcを付加することにより必要なときに必要な時間だけ芳香機能を促進することが出来る効果がある。
【符号の説明】
【0034】
A:アロマオイル等芳香装置
1:基板
2:切り溝
3:装飾媒体
4:オイル容器
5:浸漬片
6,6´:平板
7:芯材
8:縦方向木目
9:横方向木目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間伐材よりなる基板と、基板に切り溝を形成して切り溝に着脱自在に構成すると共に、アロマオイル等の芳香剤の吸収揮発が容易で、かつ長期間の持続性を有するように構成した天然模造体または人工模造体に擬した間伐材よりなる装飾媒体と、基板上に載置したアロマオイル等の芳香剤収納のオイル等容器の中に浸漬すべく装飾媒体の一部を下方に伸延した浸漬片とよりなるアロマオイル等芳香装置。
【請求項2】
装飾媒体において、アロマオイル等の芳香剤の吸収揮発が容易で、かつ長期間の持続性を有するような構成としては、2枚の間伐材の平板間に間伐材の芯材を挟持接着した合板構成とし、かつ平板は縦方向木目を有して構成し、芯材は横方向木目を有して構成したことを特徴とする請求項1に記載のアロマオイル等芳香装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−17620(P2013−17620A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152869(P2011−152869)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(511052772)
【Fターム(参考)】