説明

アンカーボルト及びアンカーボルトの使用方法

【課題】布基礎コンクリート打設後に配設される柱や筋交いに筋交い金具やホールダウン金具に固定する作業を短時間にかつ精度よく行うことができるアンカーボルトを提供する。
【解決手段】アンカーボルト10Aは、互いに平行に配置された2本の鉄筋製の筋部材12とその一端側に鉄製の長ナット部材13が挟まれて溶接により固定されたアンカーボルト本体11を有する。コンクリート打設前には、アンカーボルト本体11の上端に中間部材16が逆円錐台状態で同軸状に取り付けられ、さらに中心軸部材18が中間部材16の軸孔16aを通して、先端のねじ溝18aにて長ナット部材13の軸孔13aに螺着される。ねじ溝18aに固定されたナット19と長ナット部材13間に中間部材16が挟まれて固定される。コンクリート打設後は、中心軸部材18と中間部材16が取り外され、長ナット部材13の軸孔13aに両ねじボルト部材が螺着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅用等の布基礎コンクリートの形成に用いられる相対向する一対の型枠間の空間に鉛直方向に向けて配設され、下側部分が型枠間に打ち込まれるコンクリートに埋設固定され、上側部分がコンクリートから突出するアンカーボルト及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のアンカーボルトとしては、例えば特許文献1に示すように、上部外周に雄ねじを設けた所要径と長さを有する上筋部材と、上筋部材の下端側にてその外周における径方向の対向位置に溶接固着されて上筋部材に平行かつ反対方向に延設された一対の下筋部材とを備えたものが知られている。このアンカーボルトは、下筋部材を一対の型枠間に水平状態で配設された基礎鉄筋に差し込んで挟むことにより型枠間の中央位置に配置され、上筋部材が一対の型枠の上端側に設けた位置決め金具の中央孔に挿通されて位置決めが行われる。型枠間へコンクリートを打設することにより、下筋部材がコンクリート内に埋設固定され、上筋部材がコンクリート上に突出するようになる。このように形成された布基礎コンクリート上には、建物の木製の土台が配置され、さらに土台の上に柱や筋交いや梁等が組み立てられる。アンカーボルトの上筋部材は、土台の取出し穴を貫通して延びて土台の位置決めを行うと共に、その先端側が柱に取り付けられたホールダウン金具と連結され、柱の立設強度を高めるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平2−33841号公報
【0004】
ところで、土台1上に組み立てられる柱2と筋交い3とは、図6に示すように、筋交い金具4により連結して補強されるようになっているが、土台1上に突出する上筋部材6と筋交い金具4が交差する。そのため、筋交い金具4の取り付けが上筋部材6により邪魔されて困難になり、その結果、筋交い金具4の取付時間が長くなったり取付精度がばらついたりするという問題がある。また、上筋部材があまり長いと、コンクリート打設時の位置決め金具による支持が不安定になるため、従来は上筋部材の長さが抑えられていた。そのため、図7に示すように、上筋部材6を連結するホールダウン金具8の柱2への取付位置が下がり、上筋部材6や筋交い金具4に邪魔されてホールダウン金具8の柱2への取り付けが困難であり、またホールダウン金具8の取り付け位置が制限されることにより、これに取り付けられる上筋部材6の取り付け位置が土台1中央位置からずれるという問題があった。これに対しては、ホールダウン金具8の取り付け位置を上方に移し、上筋部材6に長ナット等を介して筋部材9を継ぎ足してホールダウン金具8に取り付ける等の方法が採られていたが、取り付けの手間が煩雑であり取り付けコストが高価であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題を解決しようとするもので、布基礎コンクリート打設後に、土台上に配設される柱や筋交いに筋交い金具やホールダウン金具を固定する作業を、短時間にかつ精度よく実行できるようにするアンカーボルト及びその使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の構成上の特徴は、所定間隔を隔てて互いに平行に配置された一対の筋部材の一端側にて、筋部材と軸方向を揃えた筒状の長ナット部材が一対の筋部材に挟まれて固定されており、長ナット部材の軸方向一端側が筋部材の一端からわずかに突出すると共に他端側が封止されており、布基礎コンクリート形成用の相対向する一対の型枠間の中央位置にて長ナット部材の一端側を上にして鉛直方向に配設され、型枠間に打設されるコンクリートに埋設固定されるアンカーボルト本体と、長ナット部材の一端に同軸状にかつ逆円錐台状態で重ね合わされる円錐台形で軸孔を有する中間部材と、中間部材の軸孔に挿通されて、先端側のねじ溝により長ナット部材のねじ孔に螺着される中心軸部材と、中心軸部材のねじ溝に螺着されて、長ナット部材との間に中間部材を挟んで固定するナットと、アンカーボルト本体から中心軸部材、ナット及び中間部材が取り外された状態で、長ナット部材のねじ孔に螺着される所定長さの両ねじボルト部材と、を設けたことにある。
【0007】
本発明であるアンカーボルトの使用方法としては、所定間隔を隔てて互いに平行に配置された一対の筋部材の一端側にて、筋部材と軸方向を揃えた筒状の長ナット部材が一対の筋部材に挟まれて固定されており、長ナット部材の軸方向一端側が筋部材の一端からわずかに突出すると共に他端側が封止されたアンカーボルト本体が、布基礎コンクリート形成用の相対向する一対の型枠間の中央位置にて長ナット部材の一端側を上にして鉛直方向に配設され、円錐台形で軸孔を有する中間部材が、長ナット部材の一端に同軸状にかつ逆円錐台状態で重ね合わされ、先端側にねじ溝を有する中心軸部材が、中間部材の軸孔に挿通されて、先端側が長ナット部材のねじ孔に螺着され、ナットが、中心軸部材のねじ溝に螺着されて、中間部材がナットと長ナット部材との間に挟まれて固定され、この状態で型枠間にコンクリートが打設されることにより、アンカーボルト本体と中間部材がコンクリートに埋設され、コンクリート打設後に、中心軸部材、ナット及び中間部材が取り外され、その後、所定長さの両ねじボルト部材が、一端にて長ナット部材のねじ孔に螺着されることを特徴とする。
【0008】
上記のように構成した本発明においては、地面上に相対向して立設される一対の型枠間の空間の中央位置に複数の基礎鉄筋を型枠に平行にかつ水平に配設した状態で、アンカーボルト本体が一対の筋部材の間にて基礎鉄筋に嵌め合わされ、長ナット部材の下端が上側の基礎鉄筋に当たることにより、一対の筋部材の間に基礎鉄筋を挟んだ状態で配置される。さらに、コンクリート打設前に、長ナット部材の上端に中間部材が同軸状にかつ逆円錐台状態で重ね合わされ、中間部材の軸孔を通して先端側にねじ溝を有する中心軸部材が挿入されて、先端側が長ナット部材に螺着されると共に、中心軸部材のねじ溝に螺着されたナットで締め付けることにより中間部材が長ナット部材とナット間に挟まれて固定される。中心軸部材については、型枠上端に取り付けられる位置決め金具の中央孔に挿入することにより、アンカーボルトが移動しないように位置決めされ、その後、コンクリートが中間部材の所定高さ位置まで打設される。このように、コンクリートの打設時に、長ナット部材と中間部材の開口が塞がれているため、内部にコンクリートが流れ込むことはない。また、一対の筋部材が基礎鉄筋を挟んでいるため、アンカーボルトが布基礎コンクリートの幅方向の中央位置に確実に配置される。
【0009】
コンクリートの硬化後、中心軸部材とナットが取り外され、中間部材を取り出すことにより、残されたコンクリートの孔内に長ナット部材の上端が露出した状態となる。中間部材は逆円錐台状態でコンクリートに埋め込まれているため、軸を中心として回転させることによりコンクリートから容易に取り出すことができる。その後、布基礎コンクリート上に建物の木製の土台が配設され、さらにその上に柱や筋交いが配設され、柱と筋交い間に筋交い金具が取り付けられる。その際、土台の取出し穴からアンカーボルトが突出していないため、柱と筋交い間に筋交い金具を取り付ける際に邪魔になるものがないので、筋交い金具の取り付けが短時間にかつ信頼性よく行われる。
【0010】
筋交い金具の取り付け後に、長ナット部材の軸孔に所定長さの両ねじボルト部材が螺着されるが、両ねじボルト部材については、中心軸部材とは関係なくその長さを選択することができる。そのため、ホールダウン金具の柱への取り付け位置についても筋交い金具と交差しない位置に適正に設けることができるため、ホールダウン金具の柱への取り付けが短時間にかつ精度良く行われ、両ねじボルト部材が柱の中央位置に確実に配置される。その結果、本発明においては、アンカーボルト、筋交い金具及びホールディング金具による土台へ取り付けられた柱や筋交いの補強が短時間にかつ信頼性よく行われる。また、中間部材と中心軸部材は複数回の使用が可能なため、部材コストが安価にされる。
【0011】
また、本発明において、中間部材が樹脂製であることが好ましい。このように材料として安価で加工の容易な樹脂を用いることにより中間部材が安価に製造されるため、中間部材が安価に提供される。
【0012】
また、本発明において、中間部材のナットとの接触端側に、ナットの外形に合わせた凹みを設けることが好ましい。これにより、スパナ等の工具を用いてナットを取り外す際に、中間部材もナットと一体で回転させて簡単に取り外すことができる。なお、凹みとしてはナットの形状に合わせた六角形が好ましいが、工具で挟めるようにナットの形状の一部に合わせてもよい。
【0013】
また、本発明において、ナットが、中心軸部材のねじ溝の所定位置に固定されることが好ましい。これにより、中心軸部材を長ナット部材に取り付ける際に、ナットが中間部材の上端に当接することにより、中心軸部材の長ナット部材への挿入の程度がナットの取付位置を一々調節することなく自動的に決められるので便利である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、コンクリート打設時には、アンカーボルト本体の長ナット部材に中間部材と中心軸部材を繋げることにより、適正な高さにコンクリートを打設することができ、コンクリート打設後に、中心軸部材とナットと中間部材を取り外して長ナット部材の軸孔に両ねじボルト部材を取り付けることができる。その結果、本発明においては、布基礎コンクリート上に配設される柱や筋交いに筋交い金具やホールダウン金具を取り付ける際に邪魔になるものがないので、それら金具の取り付けが短時間にかつ信頼性よく行われる。また、本発明によれば、中間部材や中心軸部材は複数回使用が可能なので部材コストを低減でき、中間部材を樹脂製とすることによりさらにコストを安価にできる。さらに、本発明において中間部材のナットとの接触端側に、ナットの外形に合わせた凹みを設けることにより、中間部材をナットと一体で回転させて簡単に取り外すことができる。また、本発明において、ナットが中心軸部材のねじ溝の所定位置に固定されることにより、中心軸部材の長ナット部材への挿入の程度がナットの取付位置を一々調節することなく自動的に決められるので便利である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例であるコンクリート打設前におけるアンカーボルトの構成部品の組み合わせを示す分解正面図である。
【図2】アンカーボルト本体を示す平面図である。
【図3】アンカーボルトを用いたコンクリート打設時の状態を示す一部破断正面図である。
【図4】コンクリート打設後のアンカーボルト本体の埋設された状態を示す一部破断正面図である。
【図5】コンクリート打設後のアンカーボルトの最終状態を示す一部破断正面図である。
【図6】従来のアンカーボルトと筋交い金具との干渉し合う状態を説明する説明図である。
【図7】従来の筋交い金具とホールダウン金具の干渉し合う状態を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は一実施例であるコンクリート打設前のアンカーボルトの構成部品を正面図により示し、図2は、アンカーボルト本体を平面図により示したものである。図3は、コンクリート打設時のアンカーボルトの使用状態を一部破断正面図により示し、図4は、コンクリート打設後のアンカーボルト本体の埋設された状態を一部破断正面図により示し、図5は、アンカーボルトの最終の配置状態を一部破断正面図により示したものである。
【0017】
アンカーボルトは、アンカーボルト本体11を有しており、アンカーボルト本体11に取り付けられる構成部品がコンクリートの打設前と打設後において取り換えられるようになっており、これら両方を合わせた1つの部材である。ここでは、コンクリートの打設前後の両者を区別するため、打設前はアンカーボルト10Aとし、打設後はアンカーボルト10Bで表すものとする。アンカーボルト本体11は、後述する基礎鉄筋23の太さよりわずかに広い所定間隔を隔てて互いに平行に配置された2本の鉄筋製の筋部材12を有しており、両筋部材12の一端側(図1において上端側)間に鉄製の長ナット部材13が筋部材12と軸方向を揃えて挟まれており、両筋部材12に溶接により固定されている。長ナット部材13は、六角柱状で軸心を貫通する軸孔13aにねじ溝が刻まれており、一端側が筋部材12の一端からわずかに突出しており、他端側(図1のて下端側)に樹脂製で薄肉の鍔付き帽子形状のキャップ部材14が嵌め合わされて下端開口が封止されている。なお、キャップ部材14の代わりに高価になるが金属板を溶接等により固定してもよい。長ナット部材13の上端面には中間部材16が重ね合わされる。
【0018】
中間部材16は、樹脂製の円錐台形状であり、長ナット部材13の軸孔13aよりわずかに径の大きい軸心を貫通した軸孔16aを有している。中間部材16の大径側の端部には、コンクリートから回転しながら取り出すためのスパナ等で挟むことができる凹部16bが設けられている。凹部16bは、後述するナット19の外周形状に合わせた六角柱形状であるが、これに代えてスパナ等を嵌め合わせ可能なように一部がナット19の外周形状に合わせたものであってもよい。中間部材16は、安価な樹脂を用いることにより安価に製造されるため、安価に提供される。中間部材16は、長ナット部材13の上端面に逆円錐台状態で同軸状に重ね合わされる。中心軸部材18は、長ナット部材13の軸孔13aと同一径の長尺の鉄製丸棒であって下端側の軸方向の所定範囲にねじ溝18aが形成されており、ねじ溝18aにより軸孔13aに螺合可能である。ねじ溝18aの内端側にはナット19が溶接等により固定されている。ねじ溝18aの先端からナット19位置まで長さは、長ナット部材13の軸孔13aと中間部材16の軸孔16aを合わせた長さよりわずかに短くなっている。
【0019】
両ねじボルト部材21は、長尺の鉄製丸棒であり、軸方向両端から所定長さの範囲にそれぞれねじ溝21aを設けている。両ねじボルト部材21は、コンクリート打設後に、ナット19と共に中心軸部材18が長ナット部材13から取り外され、中間部材16もコンクリートK1,K2から取り外された後、長ナット部材13の軸孔13aにねじ溝21aにて螺着されるようになっている。また、両ねじボルト部材21の他方のねじ溝21aは、柱に取り付けられたホールダウン金具に螺着される。
【0020】
次に、アンカーボルト10A,10Bの使用例について説明する。
図3に示すように、地面上に相対向して立設される一対の型枠25間の空間の中央位置に上下2本の基礎鉄筋23を型枠25に平行にかつ水平に配設した状態で、アンカーボルト本体11が一対の筋部材12の間にて基礎鉄筋23に差し込んで嵌め合わされ、長ナット部材13下端に設けたキャップ部材14が上側の基礎鉄筋23に当接することにより、一対の筋部材12の間に基礎鉄筋23を挟んだ状態で配置される。さらに、コンクリート打設前に、長ナット部材13の上端に中間部材16が逆円錐台状態で同軸状に重ね合わされ、その後、ナット19が固定された中心軸部材18が中間部材16の軸孔16aに挿通され、先端側のねじ溝18aにて長ナット部材13に螺着される。その結果、中間部材16が、ナット19によって締め付けられることにより、ナット19と長ナット部材13との間に挟まれて固定される。
【0021】
中心軸部材18については、図3に示すように、両型枠25上端に跨って取付治具27により取り付けられる位置決め金具26の中央孔に挿入することにより、アンカーボルト10Aが移動しないように位置決めされ、その後、コンクリートが両型枠25間の中間部材16の上端近傍位置まで打設される。コンクリートの打設においては、まず目標高さ近辺までコンクリートK1が打設され、その後、目標高さまで調整するためにレベラーK2が流し込まれる。なお、コンクリートの打設時に、長ナット部材13の下端開口がキャップ部材14で塞がれているため、長ナット部材13の内部にコンクリートが流れ込むことはない。また、一対の筋部材12が上下2本の基礎鉄筋23を挟んでいるため、アンカーボルト10Aが布基礎コンクリートK1,K2の幅方向の中央位置に確実に配置される。
【0022】
コンクリートの硬化後、ナット19と共に中心軸部材18が取り外され、中間部材16を取り出すことにより、図4に示すように、残された布基礎コンクリートK1,K2の孔H内に長ナット部材13の上端が露出した状態となる。その後、布基礎コンクリートK1,K2上に建物の木製の土台1が配設され、さらにその上に図6に示すような柱2や筋交い3が配設されるが、その際、土台1の取出し穴からアンカーボルトが突出していないため、柱2と筋交い3間に筋交い金具4を取り付ける際に邪魔になるものがないので、筋交い金具4の取り付けが短時間にかつ信頼性よく行われる。筋交い金具4の取り付け後、図5に示すように、所定長さの両ねじボルト部材21が、一端側にて長ナット部材13の軸孔13aに螺着されてアンカーボルト10Bにされる。
【0023】
両ねじボルト部材21については、中心軸部材18とは関係なくその長さを選択することができる。そのため、図7に示すようなホールダウン金具8の取り付け位置についても筋交い金具4と交差しない位置に設けることができるため、ホールダウン金具8の柱2への取り付けが短時間にかつ精度良く行われ、両ねじボルト部材21が柱の中央位置に確実に配置される。その結果、本実施例においては、アンカーボルト10B、筋交い金具4及びホールディング金具8による土台1へ取り付けられた柱2や筋交い3の補強が短時間にかつ信頼性よく行われる。また、中間部材16と中心軸部材18は複数回の使用が可能なため、部材コストが安価にされる。また、本実施例においては、一対の筋部材12が基礎鉄筋23を挟んでコンクリート内に埋設されているため、アンカーボルト10Bが上下方向の力を受けたときの変形が抑えられるので、コンクリートにひびが入る等がなく、布基礎コンクリートK1,K2の信頼性を確保することもできる。
【0024】
なお、上記実施例において、中間部材の材質は樹脂であるが、これに代えて高価にはなるが金属製とすることも可能である。また、上記実施例においては、ナットが中心軸部材に固定されているが、着脱自在に螺着されてもよい。その他、上記実施例においては、アンカーボルトの具体的形状等については特に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明のアンカーボルトは、コンクリート打設時には、アンカーボルト本体の長ナット部材に中間部材と中心軸部材を繋げることにより、適正な高さにコンクリートを打設することができ、コンクリート打設後に、中心軸部材を取り外し中間部材を取り出して両ねじボルト部材を取り付けることができるため、コンクリート打設後の柱や筋交いへの筋交い金具やホールダウン金具の取り付けが短時間にかつ信頼性よく行われ、また中間部材や中心軸部材は複数回使用が可能で部材コストを低減できるので、有用である。
【符号の説明】
【0026】
10A,10B…アンカーボルト、11…アンカーボルト本体、12…筋部材、13…長ナット部材、14…キャップ部材、16…中間部材、18…中心軸部材、19…ナット、21…両ねじボルト部材、23…基礎鉄筋、25…型枠。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔を隔てて互いに平行に配置された一対の筋部材の一端側にて、該筋部材と軸方向を揃えた筒状の長ナット部材が該一対の筋部材に挟まれて固定されており、該長ナット部材の軸方向一端側が該筋部材の一端からわずかに突出すると共に他端側が封止されており、布基礎コンクリート形成用の相対向する一対の型枠間の中央位置にて前記長ナット部材の一端側を上にして鉛直方向に配設され、該型枠間に打設されるコンクリートに埋設固定されるアンカーボルト本体と、
前記長ナット部材の一端に同軸状にかつ逆円錐台状態で重ね合わされる円錐台形で軸孔を有する中間部材と、該中間部材の軸孔に挿通されて、先端側のねじ溝により前記長ナット部材のねじ孔に螺着される中心軸部材と、該中心軸部材のねじ溝に螺着されて、前記長ナット部材との間に前記中間部材を挟んで固定するナットと、
前記アンカーボルト本体から前記中心軸部材、ナット及び中間部材が取り外された状態で、前記長ナット部材のねじ孔に螺着される所定長さの両ねじボルト部材と、
を設けたことを特徴とするアンカーボルト。
【請求項2】
前記中間部材が樹脂製であることを特徴とする請求項1に記載のアンカーボルト。
【請求項3】
前記中間部材の前記ナットとの接触端側に、該ナットの外形に合わせた凹みを設けることを特徴とする請求項1又は2に記載のアンカーボルト。
【請求項4】
前記ナットが、前記中心軸部材のねじ溝の所定位置に固定されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のアンカーボルト。
【請求項5】
所定間隔を隔てて互いに平行に配置された一対の筋部材の一端側にて、該筋部材と軸方向を揃えた筒状の長ナット部材が該一対の筋部材に挟まれて固定されており、該長ナット部材の軸方向一端側が該筋部材の一端からわずかに突出すると共に他端側が封止されたアンカーボルト本体が、布基礎コンクリート形成用の相対向する一対の型枠間の中央位置にて前記長ナット部材の一端側を上にして鉛直方向に配設され、
円錐台形で軸孔を有する中間部材が、前記長ナット部材の一端に同軸状にかつ逆円錐台状態で重ね合わされ、
先端側にねじ溝を有する中心軸部材が、該中間部材の軸孔に挿通されて、先端側が前記長ナット部材のねじ孔に螺着され、
ナットが、前記中心軸部材のねじ溝に螺着されて、前記中間部材が該ナットと前記長ナット部材との間に挟まれて固定され、この状態で前記型枠間にコンクリートが打設されることにより、前記アンカーボルト本体と中間部材がコンクリートに埋設され、
コンクリート打設後に、前記中心軸部材、ナット及び中間部材が取り外され、その後、所定長さの両ねじボルト部材が、一端にて前記長ナット部材のねじ孔に螺着される
ことを特徴とするアンカーボルトの使用方法。
【請求項6】
前記中間部材が樹脂製であることを特徴とする請求項5に記載のアンカーボルトの使用方法。
【請求項7】
前記中間部材の前記ナットとの接触端側に、該ナットの外形に合わせた凹みを設けることを特徴とする請求項5又は6に記載のアンカーボルトの使用方法。
【請求項8】
前記ナットが、前記中心軸部材のねじ溝の所定位置に固定されることを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載のアンカーボルトの使用方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−252381(P2011−252381A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164100(P2011−164100)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3157817号
【原出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(501377324)有限会社 宮田鉄工 (4)
【Fターム(参考)】