説明

アンギオスタチンあるいはその断片を含む複合体、その調製法および応用

本発明は抗ガンあるいは抗血管新生疾患薬物、および薬物組成物を含む組み合わせあるいはキットを提供する。同時に前記の抗ガンあるいは抗血管新生疾患薬物の調製法を提供する。本発明の抗ガンあるいは抗血管新生疾患薬物は修飾物とアンギオスタチンあるいはその断片の複合体を含む。前記複合体は無修飾のアンギオスタチンあるいはその断片より長い生体内半減期を有する。前記修飾物は高分子ポリマー、タンパク質分子またその断片、ペプチド、小分子あるいはほかのいずれの化学物質である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアンギオスタチンあるいはその断片、好ましくはK1-3を含む複合体と該複合体を含む徐放性製剤およびそれらの調製法に関する。本発明に関する複合体は有毒な副作用がなく、より高い生物活性および優れた代謝安定性を有する。本発明はこの複合体と徐放性製剤を含む薬物組成物およびこの複合体を含むキットを提供する。本発明は本発明の複合体、徐放性製剤、薬物組成物、およびキットの、ガンの予防、診断、治療における使用、抗ガン剤の製造における使用、および抗血管新生疾患の予防における使用も提供する。
【背景技術】
【0002】
ガンは今の世界の常見病および多発病で、人類生命を威すいちばん大きな殺し屋である。それゆえ抗癌剤の開発および研究はずっと国内外のブームテーマである。現在の臨床上常用のほとんどの抗癌剤が伝統的な化学療法薬物で、長い期間服用すると薬物耐性を引き起こしやすく、人体に様々な有毒な副作用が起こるために、臨床応用にはかなりの制限を受ける。
【0003】
1971年、Folkmanは腫瘍の成長と転移が新生血管形成に依存する理論を提唱した。新生血管形成は既存の血管に新しい毛細血管を生成することである。したがって、新生血管形成を阻害することができれば、腫瘍の成長と転移が阻止できる。腫瘍内の新生血管内皮細胞を標的とすることは1種の腫瘍を治療する方法になり、すなわち抗血管新生治療である(Folkman J. N Engl J Med 1971;285: 1182 -1186)。
【0004】
アンギオスタチンは1994年O'Reillyらがルイス肺癌担癌マウスにおける血清と尿液中から単離した内因性血管新生抑制剤で、マウスプラスミノーゲンN末端から第98位アミノ酸(始めのMetを第1位アミノ酸とすると)からの配列である(O'Reilly MS, Holmgren L, Shing Y, et al. Cell, 1994, 79: 315-328)。すくなくとも五つのプラスミノーゲンKringle構造の四つを含み、各Kringle構造は約80のアミノ酸からなっている(Lerch P G, Riskli E E, Lergier W, et al. Eur J Biochem, 1980, 107: 7-13)。
【0005】
組み換えヒトプラスミノーゲンK1、K2、K3、K5、K1-3、K2-3、K1-5などはBCE細胞増殖に有効な抑制作用があるが、K4はほとんど活性がないことが示された。K1-3の細胞増殖抑制活性は最初に見つかったアンギオスタチンK1-4(Cao Y, Ji RW, Davidson D, et al. J Biol Chem, 1996, 271(46): 29461-29467.)よりもっと強い。さらにK1-3はマウスルイス肺ガンの成長と転移を抑制し、マウスルイス肺ガン原発性腫瘍およびマウス血管内皮細胞腫などの多種の原発ガンの成長も抑制する作用があることがわかった。アンギオスタチンの作用機構は血管内皮細胞の増殖を抑制することによって、腫瘍組織に新生血管の生成を阻害し、ガン組織に栄養と酸素を供給する通路が絶たれ、ガンの死滅が期待できるわけである。アンギオスタチンは内因性プラスミノーゲン内部の断片の一つで、増殖している血管内皮細胞に特異的に作用し、一般に免疫反応を引き起こすことができなく、長い期間注射すると、体重軽減、活動低下、食欲降下および日和見起病原菌の感染などの副作用はないとO’Reillyが指摘した(Sim BKL, O'Reilly MS, et al. Cancer Res, 1997, 57: 1329-1334.)。同時に肝、腎の功能に影響を与えない(Kirsch M, Strasser J, Allende R, et al. J Biol Chem, 1996, 271(46): 29461-29467)。それに対して、今よく売れた大部の化学療法薬物は主要に腫瘤(腫瘍)細胞に対することであるが、腫瘤細胞の遺伝不安定性と高い変異性のために、薬物耐性を引き起こしやすく、薬効に影響を与える。以上の原因で、アンギオスタチンは腫瘤細胞の治療に極めて明らかな治療効果を有し、二十一世紀の主な抗癌剤になる可能性がある。
【0006】
アンギオスタチンなどのペプチドとタンパク質類薬物は化学薬物より毒性・副作用が弱く、薬剤耐性がないなどの特徴を有し、また、タンパク質薬物の生物学的利用率を高め、生体内分解を減らすために、静脈注射の投与方法が採用される。しかしながら、分子量の小さいタンパク質に対して、静脈注射の生体内半減期は極めて短い。生体内でのタンパク質分解は一つの原因で、もう一つ重要な原因は小さいタンパク質は腎臓の濾過経路を介して速やかに消失される。
【0007】
血液中に動水半径がアルブミンを超えるあるいは分子量が約66,000ダルトンより大きいタンパク質は通常循環システムに穏やかに保留できる。小さい分子は糸球体で速やかにろ過し、消失される。だから、分子量の小さいタンパク質の有効血中濃度を維持するために、頻繁に注射あるいは点滴が必要である。こうして治療の目的に達することが可能であるが、病人に不便とひどい苦痛を持って来て、コストも高め、ある薬物は長期の使用で副作用が生じる恐れがある。例えば免疫反応。
【発明の概要】
【0008】
タンパク質薬物として、アンギオスタチンは半減期が短く、生体内消失率が高い短所もある。本発明の目的はこのタンパク質の生体内代謝の特徴を改善し、より優れる安定性と長い生体内半減期を有し、いっそうよい治療効果を得ることにある。
【0009】
タンパク質を修飾するための高分子ポリマーの使用は薬物の動態学特性、例えば半減期、免疫学特徴、毒理特性を変えるとコントロールによく用いられる方法である。高分子ポリマーは水溶性がよく、生体適合性も優れ、免疫原性が弱いあるいはないなどの特徴を有する。ポリエチレングリコール(polyethylene glycol,PEG)はふだん広く使われるタンパク修飾分子である。PEGは両親媒性を有し、水にも溶けるし、大部分の有機溶媒にも溶ける。無毒で免疫原性がなく、水溶液において高い溶解性があるなどの性質で、アメリカFDAと中国SFDAを含むたくさんの国家薬品管理機構に許され、薬物製造の高分子の一つとして用いられる。タンパク質を親水性の高分子に結合させることによって、例えば、タンパクの安定性を高め、非特異性吸着と抗原性を減少することができる。結合物は一定の分子量に到達すると、腎臓の排除効率を大いに下げる。この方法はタンパク質薬物の生体内半減期を有効的に延長する方法である(Frokjaer S. et al. Nat. Rev.Drug Discov. 2005 Apr 4(4): 298-306; Harris JM. et al. Nat. Rev. Drug Discov.2003 Mar 2(3): 214-21)。最初は、アミノ基を反応部位としてPEGに修飾された。主に蛋白のN末端のα-アミノ基またはリシン残基側鎖のε-アミノ基を含んでいる。その産物は一つのタンパク分子と一つのあるいは多数のPEG分子との結合物である。リシン残基側鎖のε-アミノ基に対する修飾は、反応部位が特異でないためによく異性体の修飾物が生じる。
【0010】
現在、タンパクN末端α-アミノ基とリシン残基側鎖のε-アミノ基の等電点差異を利用して、タンパクN末端α-アミノ基だけに対するPEG修飾試薬は初めて開発された。修飾部位を一致させ、修飾物の組成は均一になる。もう一つのPEG修飾に用いられるタンパク部位はシステインのメルカプト基である。一般的にタンパクのメルカプト基の数量はアミノ基より少なく、このような修飾部位はさらに特異性を有する。遺伝子工学の技術を利用し、タンパクのいかなる部位にシステインを導入し、特異な修飾部位とする。しかしながら、修飾部位として、システインを導入する方法にも限界性がある。あるタンパク自身にはシステインがあり、ジスルフィド結合のミスペアリングが生じるあるいは再び折りたたみができなくなる恐れがあるから。なお、タンパクのカルボキシル基は常用の修飾部位でもある(Veronese FM et al. Drug Discov. Today. 2005Nov 1;10(21):1451-8.)。PEG修飾技術はすでに多いタンパク類薬物に応用された。比較的に成功したのはPEG-アスパラギナーゼ(Graham ML Adv. Drug Deliv. Rev. 55, 1293-1302 Avramis Vassilios I. et al. WO9939732 and US6689762)、PEG-アデノシンデアミナーゼ( Levy Y et al. J.Pediatr. 113, 312-317; Davis S et al. ClinExp. Immunol. 46: 649-652; HershfieldMS et al. N Engl J Med 316 : 589-596)とPEG-インターフェロン(例えばPEG-インターフェロン α2a and PEG-インターフェロン α2b)(Bailon P et al. C. Bioconjug. Chem. 12, 195?202,Wang YS et al. Adv. Drug Deliv. Rev. 54, 547-570, Meng Xiantai et al.WO2005077421, Van Vlasselaer Peter et al.WO 2004076474, Ballon Pascal Sebastlan et al. US2004030101, Karasiewicz Robert et al. EP0593868)などがある。当該技術分野において、半減期の比較的に長く、生物活性のより強いアンギオスタチンの断片あるいはそれを含んでいる複合体は望ましい。
【0011】
PEGのほかに、当該技術分野に常用されるほかの高分子修飾剤はグルカン、ポリスクロース、スターチ、ポリアラニン、蓚酸−マロン酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルポリピロリドン、ポリ1,3‐ジオキソラン、エチレン−マレイン酸ヒドラジド共重合体、ポリシアル酸、シクロデキストリンなどがある。
【0012】
血液タンパクあるいはその断片を担体とし、薬用タンパクと結合あるいは融合発現することによって、タンパクの分子量を増加する目的に到達し、これも薬用タンパクの半減期を延長する方法の一つである。例えば、免疫グロブリンのFc断片は標的タンパクと結合し、半減期が伸びた。例えば、この方法はNotch l受容体タンパク(Kitajewsky Jan et al. WO2005- 111072)、エリスロポエチン(EPO) (Gillies Stephen D et al. WO2005063808)、ヒトソマトロピン(Kim Young Min et al. WO2005047337)などのタンパクに用いられる。血漿アルブミンも常用の結合担体であり、抗生物質、抗炎症、抗酸化物などのタンパクに用いられる(Ezrin Alan M et al. WO0117568, Otagiri Masaki et al. EP1571212)。
【0013】
タンパクの生体内半減期を延ばすもう一つの方法はタンパクを徐放性製剤に作ることである。タンパクを薬用担体中に置き、タンパクを徐々に担体から放出させることによって、生体内に穏やかな薬物濃度を維持する。常用の製剤はゲル、マイクロカプセル、マイクロバルーン、マイクロ浸透ポンプ、リポソームなどがある(Peppas NA et al. Eur. J. Pharm. Biopharm. 50, 27-46 (2000);Packhaeuser CB et al. Eur.J. Pharm. Biopharm. 58, 445-455 (2004);Metselaar JM et al. Mini Rev. Med.Chem. 4, 319-329 (2002))。リポソームは二層膜からなっている空ボール状の超微粒子である。二層膜は両親性分子、多くのはリン脂質から構成され、親水の内室を有する。親水性のタンパク薬物はリポソームの内室に包まれ、生体内において緩やかに放出される。タンパクの血中濃度を維持し、半減期を増やす目的に達する。神経成長因子(Hou Xinpu et al.CN1616087)、ヘモグロビン(Farmer Martha C et al. US4911929)などに用いられる例がある。
【0014】
発明内容
特別な説明がある以外に、本発明に述べた“K1”、“K2”、“K3”、“K5”、“K1-2”、“K1-3”、“K1-5”、“K2-3”、“K2-5”、“K3-5”、“kringles1-3”はプラスミノーゲンの断片を指し、その中のヒトプラスミノーゲン配列はSEQ ID NO:7に示す(U.S. Patent NO:7,157,556とWO 02/26782 A2を参照)。その中の“K1-3”は“Kringles1-3”を指す。特別な説明がある以外に、PEGはポリエチレングリコールを指し、好ましくはメチルポリエチレングリコール(methylpolyethylene glycol,mPEG)である。
【0015】
一方、驚くべきことに本発明には修飾物とアンギオスタチンあるいはその断片と複合体は修飾されないアンギオスタチンあるいはその断片より長い半減期を有することが発見された。修飾物は高分子ポリマー、タンパク質分子またはその断片、ペプチド、小分子あるいはほかのいずれの化学物質。本発明によると、複合体は原来の血管形成抑制作用があり、その上より高い生物活性と長い生体内半減期を有し、細胞と動物に対する毒性・副作用も弱く、長い期間使っても耐性が起きにくい。なお、HenkinらはPEGとK5の複合体が原来の生物活性を保持すると同時に半減期が5.53 h(WO 02/26782 A2)まで高めたと公開した。本発明に述べたPEGとK1-3の複合体は、生体内半減期が81.5 hまでも高められ、PEGとK5の複合体よりずっと長い(本発明実施例4を参照)。臨床応用において、長い投与間隔あるいは少ない投与量は患者の立場からいうと非常に経済的、精神的な意味のあるものである。
【0016】
好ましい態様において、本発明のアンギオスタチンの由来はヒト、マウスあるいはほかの哺乳動物である。より好ましくは、アンギオスタチンはヒトアンジオスタチンである。
【0017】
もう一つ好ましい態様において、本発明のアンギオスタチンは組み換え型アンギオスタチンである。より好ましくは、述べた組み換え型アンギオスタチンは組み換え型ヒトアンギオスタチンである。
【0018】
好ましい態様において、本発明のアンギオスタチンの断片はアンギオスタチンK1、K2、K3、K5、K1-2、K1-3、K1-5、K2-3、K2-5とK3-5から選ばれる。より好ましくは、上記で述べたアンギオスタチンの断片はSEQ ID NO:3に示す配列を含むアンギオスタチンK1、SEQ ID NO:4に示す配列を含むアンギオスタチンK2であるいはSEQ ID NO:5に示す配列を含むアンギオスタチンK3である。もっとも好ましくは、本発明に述べたアンギオスタチンの断片はSEQ ID NO:1示す配列を含むアンギオスタチンK1-3で、上記で述べたヒトアンギオスタチンは大腸菌に発現された組み換え型ヒトアンギオスタチンである場合、SEQ ID NO:2の配列を有し、そのN末端のMetが大腸菌に発現される場合ランダムに削除される。
【0019】
好ましい態様において、本発明の複合体に用いられるアンギオスタチンあるいはその断片は、アンギオスタチンあるいはその断片に活性を示す突然変異体、誘導体、異性体またそれらの組み合わせも含む。好ましい態様において、上記で述べたアンギオスタチンあるいはその断片の誘導体は、アンギオスタチンあるいはその断片のN末端あるいはC末端に1-15のアミノ酸のペプチドを付加したものである。もっと好ましい態様において、上記で述べたアンギオスタチンあるいはその断片の誘導体は、ヒトアンギオスタチンのN末端に7つのアミノ酸にHis-tagを含むMHHHHHHペプチドを付加したものである。この誘導体はSEQ ID NO:6の配列を有し、そのN末端のMetが大腸菌に発現される場合ランダムに削除される。もう一つ好ましい態様において、上記で述べたアンギオスタチンあるいはその断片の誘導体は、ヒトアンギオスタチンのN末端にMGGSHHHHHあるいはMGGSHHHHHHの配列のペプチドを付加したもので、N末端のMetが大腸菌に発現される場合ランダムに削除される。
【0020】
本発明のある態様において、上記で述べた複合体にある修飾物とアンギオスタチンあるいはその断片とは共有結合で結び合っている。本発明のあるもう一つの態様において、上記で述べた複合体にある修飾物とアンギオスタチンあるいはその断片とは非共有結合によって結びつけられる。好ましくは、修飾物は化学カップリング法によってアンギオスタチンあるいはその断片に結び付くが、融合発現によってアンギオスタチンあるいはその断片に結び付くこともできる。本発明の高分子ポリマーは生物活性があってもなくてもいい。適合なポリマーはポリエチリンアクコール、ポリエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリアミノ酸、ジビニルエーテル無水マレイン酸共重合体、N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド、デキストランとその誘導体、例えば、デキストラン硫酸、セルロースとその誘導体(メチルセルロースとカルボキシメチルセルロースを含む)、スターチとその誘導体、ポリスクロース、ポリオキシエチルアルコール、ヘパリンとその断片、ポリアルキルエチレングリコールとその誘導体、ポリアルキルアチレングリコールとその誘導体との共重合体、ポリエチレンエーテル、ポリエチルアスパラギン(a,P-Poly((2-Hydroxyethyl)-DL-aspartamide))、ポリカルボン酸(polycarboxylates)、オキシエチレンオキシメチレン共重合体(polyoxyethylene-oxymethylenes)、ポリアクリロイルモルホリン(polyacryloyl morpholines)、アミノ化合物と酸化アルケンとの共重合体、ポリヒアルロン酸、ポリオキシラン(polyoxiranes)、蓚酸−マロン酸共重合体、ポリ1,3-ジオキソランエチレン、エチレン−マレイン酸ヒドラジド共重合体、シアル酸重合体、シクロデキストリンなど薬学的に許容できる高分子ポリマーを含むがこれらに限らない。
【0021】
本発明で述べたポリエーテル化合物はポリアルキレングリコール(HO((CH2)xO)nH)、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン(HO((CH2)2O)nH)、ポリビニルアルコール((CH2CHOH)n)とそれらの誘導体を含むがこれらに限らない。上記で述べたポリエチレンアクコールはポリエチレングリコール(モノメチルポリエチレングリコール、モノヒドロキシポリエチレングリコールなどを含む)、ポリビニルアルコール、ポリアリルアルコール、ポリブテンアルコールとそれらの誘導体を含むがこれらに限らない。好ましい態様において、修飾物はポリエチレングリコール。より好ましい態様において、修飾物はモノメチルポリエチレングリコール。
【0022】
本発明に用いられたポリエチレングリコールは直線性あるいは側鎖のあるものである。好ましくは、上記で述べたポリエチレングリコールの平均分子量は1,000〜100,000ダルトンの間にある。より好ましくは、上記で述べたポリエチレングリコールの平均分子量は5,000〜40,000ダルトンの間にある。もっとも好ましくは、上記で述べたポリエチレングリコールは分子量が20 kDaであるモノメチルポリエチレングリコールである。
【0023】
本発明のある態様において、アンギオスタチンの分子あるいはその断片は一つあるいは多数のポリエチレングリコールと結合する。好ましくは、上記で述べた修飾は位置特異性を有し、アンギオスタチンあるいはその断片の生物活性に影響を与えない。この修飾産物は抗血管新生の活性を有し、修飾しないアンギオスタチンあるいはその断片より代謝安定で、より長い血液半減期を有し、抗血管新生疾患あるいは抗ガン剤として使用される。好ましくは、上記で述べたアンギオスタチンの分子あるいはその断片がポリエチレングリコールと結合する位置はアンギオスタチンあるいはその断片のN末端のα-アミノ基、リシン側鎖のε-アミノ基、システイン側鎖のメルカプト基、アスパラギン酸側鎖のカルボキシル基、グルタミン酸側鎖のカルボキシル基の一種あるいは多種である。より好ましくは、上記で述べたアンギオスタチンの分子あるいはその断片がポリエチレングリコールと結合する位置はアンギオスタチンあるいはその断片のN末端のα-アミノ基あるいはSEQ ID NO:1に示す配列の第2、7、15、17、24、69、94、97、121、125、128、129、150、175、215、228、246位のリシン側鎖のε-アミノ基の一種あるいは多種である。より好ましくは、一つのアンギオスタチンの分子あるいはその断片は一つのポリエチレングリコール分子と結合し、結合位置がアンギオスタチンあるいはその断片のN末端のα-アミノ基である。より好ましくは、本発明で述べた複合体で、SEQ ID NO:2のある一つの組み換えヒトアンジオスタチン断片K1-3は一つのポリエチレングリコール分子と結合し、結合位置がアンギオスタチン断片のK1-3N末端のα-アミノ基である。もっとも好ましくは、本発明で述べた複合体で、SEQ ID NO:2のある一つの組み換えヒトアンジオスタチン断片K1-3は一つの20 kDaモノメチルポリエチレングリコール分子と結合し、結合位置がアンギオスタチン断片のK1-3N末端のα-アミノ基である。好ましい態様において、本発明はPEGでK1-3N末端のα-アミノ基を特異に修飾し、その産物が内皮細胞増殖および転移、ガン細胞増殖、マウスガン成長を抑制する生物活性を有する。
【0024】
本発明のあるもう一つの態様において、一つのアンギオスタチン分子あるいはその断片が一つあるいは多数のポリエチレングリコール分子と結合し、結合方法はアンギオスタチン分子あるいはその断片の内部あるいはN末端あるいはC末端にシステインあるいはシステインを含むペプチドを付加し、付加したシステイン側鎖のメルカプト基を結合位置にする。
【0025】
本発明によると、適合なポリアミノ酸は同種アミノ酸のポリマー、二種あるいは二種以上のアミノ酸の共重合体を含むがこれらに限らない。例えば、ポリアラニン。
【0026】
本発明によると、修飾担体に適用するタンパク分子は好ましくは天然に存在しているタンパクあるいはその断片で、甲状腺ホルモン(サイロキシン)結合タンパク質、トランスサイレチン、トランスフェリン、フィブリノーゲン、免疫グロブリン、アルブミンなどとそれらの断片を含むがこれらに限らない。上記で述べた担体タンパクは好ましくはヒトのタンパクである。上記で述べたタンパクの断片はこのタンパクより小さく、担体の功能を保持しているいかなる部分を指す。好ましい態様において、本発明の複合体はアルブミンを結合したアンジオスタチンあるいはその断片である。その特徴は一つのアンギオスタチン分子あるいはその断片が一つあるいは多数のアルブミンと結合し、結合物が化学修飾、融合表現あるいはほかの方法によって得られ、その中のアルブミンは好ましくはヒト血清アルブミンあるいはその断片である。もう一つ好ましい態様において、本発明の複合体は免疫グロブリンFc断片と結合したアンジオスタチンあるいはその断片である。その特徴として、一つのアンギオスタチン分子あるいはその断片が一つあるいは多数の免疫グロブリンFc断片と結合し、結合物が化学修飾、融合表現あるいはほかの方法によって得られ、その中の免疫グロブリンFc断片は好ましくはヒト免疫グロブリンIgG中のFc区域の断片である。
【0027】
本発明で述べた修飾物は小分子、小ペプチドあるいはそのほかの化合物も含む。ある態様において、本発明の複合体は小分子、小ペプチドあるいはそのほかの化合物で修飾したアンジオスタチンあるいはその断片である。その特徴として、この複合体は生体内のほかの分子また成分と反応あるいは結合する活性を有し、この重合体は生体内でほかの成分とより大きい複合体に形成する。上記で述べた活性は血液成分のアミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基と共有結合が形成できる反応活性を有する官能基からなる。好ましくは、上記で述べた反応活性を有する官能基はマレイミドで、血液成分例えば、アルブミンのメルカプト基と反応できる。好ましい態様において、本発明の複合体はアンジオスタチンあるいはその断片が糖付加、リン酸化あるいはアシル化された産物で、修飾位置が原来のタンパク配列中に存在しているアミノ酸で、あるいは突然変異によって生じたアミノ酸。この複合体は大きい分子量を有しないが、修飾でK1-3の性質を改善し、半減期を延長した。
【0028】
本発明のアンギオスタチンあるいはその断片は上記で述べた修飾物と直接あるいは間接に結合する。直接に結合はアンジオスタチンあるいはその断片にあるアミノ酸が担体タンパクにあるアミノ酸とペプチド結合あるいはジスルフィド結合によって直接結合することを指す。間接に結合はアンジオスタチンあるいはその断片が担体タンパクと一定の化学官能基あるいはいくつかの官能基と結合することを指す。本発明のアンギオスタチンあるいはその断片は修飾物と非共有結合によって互いに作用する場合、複合体が特定の構造式を有し、その中の修飾物は好ましくはタンパク、小分子あるいはほかの化学物質である。
【0029】
もう一方、本発明は一種の徐放性製剤を提供する。この製剤はアンギオスタチンあるいはその断片、好ましくは断片K1-3、あるいは上記で述べたいかなる複合体また生体適合性物質からなる。この組成物中にアンギオスタチンあるいはその断片が生物活性を依然として有するが、担体によって薬物代謝の特徴を改善し、生体内での滞在時間を延長する目的に達する。上記で述べた徐放性製剤はマイクロカプセル、ゲル、マイクロバルーン、マイクロ浸透ポンプ、リポソームなどを含むがこれらに限らない。
【0030】
もう一方、本発明は一種の薬物組成物を提供し、上記で述べた複合体あるいは徐放性製剤と薬学的に許容できる担体からなる。上記で述べた複合体は一種の修飾物とアンギオスタチンあるいはその断片、好ましくはアンジオスタチン断片K1-3からなる。本発明に用いられる薬学的に許容できる担体は、投与量と投与濃度以内で細胞あるいは哺乳動物に対する毒性のない薬用に許容できる担体、賦形剤あるいは安定剤を含む。常に生理学に許容できる担体は水を含むバッファー溶液である。生理学に許容できる担体は、リン酸塩、クエン酸塩とそのほかの有機酸を含むバッファー溶液、アスコルビン酸などの抗酸化剤、低い分子量(10アミノ酸を超えない)ペプチド、血清アルブミン、ゲラチン、免疫グロブリンなどのタンパク質、ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、リシンなどのアミノ酸、ブドウ糖、マニトース、デキストリンなどの単糖、二糖とほかの糖類、EDTAなどのキレート剤、マンニトール、ソルビトールなどの糖アルコール、ナトリウムなどの塩化反粒子、および/またはTWEEN(登録商標)、ポリエチレングリコール、PLURONICS(登録商標)などの非イオン型界面活性剤を含む。賦形剤は好ましくは無菌で、一般的に不良物質を含まない。以上の組成物は通常の滅菌技術で滅菌できる。
【0031】
もう一方、本発明は一種のキットを提供し、上記で述べた複合体、徐放性製剤また薬物組成物と使用説明を含む。上記で述べた複合体は一種の修飾物とアンギオスタチンあるいはその断片からなって、好ましくはポリエチレングリコールで修飾したアンジオスタチン断片K1-3である。
【0032】
本発明は上記で述べた複合体の調製法にも関する。上記で述べた複合体は修飾物とアンギオスタチンあるいはその断片、好ましくは断片K1-3からなる。特にポリエチレングリコール(PEG)はアンギオスタチンあるいはその断片を修飾する方法、すなわち活性化されたPEGとアンギオスタチンあるいはその断片と混合し、適当な溶液、温度、pH、モル比の条件で反応し、容易に陽イオンカラムあるいは分子篩で結合物を単離する。好ましくは、反応のpHが3-10で、より好ましくは、5-7で、ポリエチレングリコールとアンギオスタチンのモル比が1:1〜10:1である。
【0033】
本発明は上記で述べた複合体、徐放性製剤、薬物組成物とキットを用いてガンを予防、診断、治療する方面の応用も提供し、上記で述べた複合体は修飾物とアンギオスタチンあるいはその断片、好ましくは、ポリエチレングリコール修飾したアンギオスタチンの断片K1-3からなる。本方法に適切なガンは肺ガン、神経内分泌腫瘍、結腸ガン、骨ガン、肝臓ガン、胃ガン、膵臓ガン、口腔ガン、乳ガン、前立腺ガン、リンパガン、食道ガン、上咽頭ガン、子宮頸ガン、肉腫、腎ガン、胆ガン、悪性黒色腫などを含むがこれらに限らない。本発明は上記で述べたアンギオスタチンあるいはその断片、好ましくはK1-3の複合体、薬物組成物あるいは徐放性製剤を用いて抗ガン剤を製造する方面の応用も提供する。上記で述べた抗ガン剤は静脈注射、点滴静脈注射、皮下注射、筋肉注射、腹腔注射、皮内注射、経皮吸収、肝動脈注射、経口投与、鼻粘膜投与、口腔粘膜投与、点眼、直腸投与、膣内投与およびほかの臨床投与法に適用し、投与時間が毎日〜21日ごとで、好ましくは、毎日ないし毎週投与すること。
【0034】
本発明は上記で述べた複合体、徐放性製剤、薬物組成物とキットを用いて非ガン疾患を予防、診断、治療する方面の応用も提供し、上記で述べた複合体は修飾物とアンギオスタチンあるいはその断片、好ましくは、ポリエチレングリコール修飾したアンギオスタチンの断片K1-3からなる。上記で述べた非ガン疾患の特徴は血管の異常新生によるヒト組織あるいは器官の病理変化である。上記で述べた薬剤は静脈注射、点滴静脈注射、皮下注射、筋肉注射、腹腔注射、皮内注射、経皮吸収、肝動脈注射、経口投与、鼻粘膜投与、口腔粘膜投与、点眼、直腸投与、膣内投与およびほかの臨床投与法に適用し、投与時間が毎日から21日ごとで、好ましくは、毎日ないし毎週投与すること。
【0035】
本発明はアンギオスタチンあるいはその断片、好ましくは、断片K1-3の半減期を延長する方法も提供する。上記で述べた方法は修飾物とアンギオスタチンあるいはその断片を複合体とすること、および必要に応じていかなる前記の複合体と生体適合性物質からなる徐放性製剤を調製することを含む。実験では、本発明の好ましい実施例に、PEGとK1-3 N末端と結合した複合体は血管内皮細胞転移とマウス腫瘍成長を抑制する活性を有し、K1-3より活性が明らかに高められるが、生体内薬物代謝学の研究によると、修飾したK1-3が効率的にK1-3の生体内代謝を緩め、生体内代謝時間を延長することができる。
【0036】
特別な説明がある以外に、本発明で述べたアンギオスタチンあるいはその断片は野生型のアンギオスタチンあるいはその断片、すなわち自然に存在している形式また活性を有する突然変異体、断片、異性体、誘導体などとこれらの組み合わせを含む。アンギオスタチンあるいはその断片の出処は動物細胞の発現に限らなく、酵母あるいは大腸菌の発酵物から単離されたものも含んでいる。動物細胞あるいは酵母細胞の発現に出処するヒトアンジオスタチン断片K1-3はSEQ ID NO:1に示すアミノ酸配列を有し、この配列のN末端および/またはC末端に10以内のアミノ酸が増加あるいは取り除かれた配列である。大腸菌に発現されたK1-3はSEQ ID NO:2に示すアミノ酸配列を有するが、この配列のN末端にあるMetは場合によって発現後取り除かれることもある。
【0037】
K1-3の突然変異体はアミノ酸の置換、取り除き、増加によって得られたK1-3である。断片の配列はSEQ ID NO:1あるいはSEQ ID NO:2のいかなる小さい部分に属するが、製造法が酵素分解、遺伝子工学発現、ペプチド合成法に限らない。好ましくは、突然変異体はSEQ ID NO:1と60%アミノ酸配列相同性を有し、あるいは70%アミノ酸配列相同性を有し、80%〜90%の相同性、特に95%の配列相同性が望ましい。前記の断片はSEQ ID NO:1の一部分の配列、例えばSEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5の配列を含む。SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5の配列を含む断片が内皮細胞増殖抑制活性を有することが記載された(Cattaneo MG et al. THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY. Vol. 271, No. 46, Issue of November 15, pp. 29461-29467, 1996)。K1-3の異性体はSEQ ID NO:1と同じようなアミノ酸配列あるいは分子式を有するが、配座が同じでなく、二次構造また三次構造の差異およびアミノ酸の光学活性の変化も含む。異性体は天然に存在している突然変異あるいは人間の設計したものである。K1-3の誘導体はSEQ ID NO:1に基づく修飾物で、この修飾は共有結合でタンパクに一つあるいは多数の小分子、例えば、リン酸分子、糖分子などまた30以内のアミノ酸の小さいペプチドを結び付け、結合部位はタンパク中にいかなるアミノ酸である。活性を有するK1-3の突然変異体、断片、異性体、誘導体の組み合わせは同時にこれらの二種および二種以上の特徴変化を有する産物で、断片の突然変異体、突然変異体の修飾物などに限らない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図面の説明
図1:ヒトアンジオスタチン断片K1-3のアミノ酸配列SEQ ID NO:1。
【0039】
図2:大腸菌に発現されるヒトアンジオスタチン断片K1-3のアミノ酸配列SEQ ID NO:2。N末端のMetは場合によって発現後取り除かれる。
【0040】
図3:ヒトアンジオスタチンk 1のアミノ酸配列SEQ ID NO:3。
【0041】
図4:ヒトアンジオスタチンk 2のアミノ酸配列SEQ ID NO:4。
【0042】
図5:ヒトアンジオスタチンk 3のアミノ酸配列SEQ ID NO:5。
【0043】
図6:N末端にアミノ酸を付加し、活性を有するK1-3のアミノ酸配列SEQ ID NO:6。N末端のMetは場合によって発現後取り除かれる。
【0044】
図7:PEGがSEQ ID NO:2配列を有するK1-3N末端に結合する。反応の条件が4℃,10hである。反応後溶液をSDS- PAGEで検査した。レーン1:タンパク分子量標準;レーン2:K1-3;レーン3〜8:PEGとK1-3のモル比が5:1、pH5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、8.0条件で修飾したK1-3。レーン9〜12:pH5.5、20 kDa PEGとK1-3のモル比が1:1、2:1、5:1、10:1条件で修飾したK1-3。
【0045】
図8:PEGがSEQ ID NO:2配列を有するK1-3N末端に結合する。反応の条件が室温,10hである。反応後溶液をSDS- PAGEで検査し、レーン1:タンパク分子量標準;レーン2:K1-3;レーン3〜8:PEGとK1-3のモル比が5:1、pH5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、8.0条件で修飾したK1-3。レーン9〜12:pH5.5、PEGとK1-3のモル比が1:1、2:1、5:1、10:1条件で修飾したK1-3。
【0046】
図9:PEGがSEQ ID NO:2配列を有するK1-3N末端に結合する。反応前溶液をSDS- PAGEで検査し、レーン1:タンパク分子量標準;レーン2:K1-3;レーン3:PEGで修飾したK1-3。
【0047】
図10:PEGがSEQ ID NO:2配列を有するK1-3N末端に結合し、陽イオンカラムSPで単離する。陽イオンカラムSPによってタンパクが吸着され、塩化ナトリウム溶媒を勾配溶離し、最後に還元SDS -PAGEで単離効果を検査する。レーン1:タンパク分子量標準;レーン2:単離前;レーン3:流通液;レーン4〜13:収集した溶離液。
【0048】
図11:PEGがK1-3N末端に結合した産物の生体内代謝実験結果である。K1-3:SEQ ID NO:2配列を有するK1-3;PEG- K1-3:PEGで修飾しSEQ ID NO:2配列を有するK1-3。
【0049】
図12:PEGとK1-3N末端との結合物がヒト臍静脈血管内皮細胞(HUVEC)転移(マイグレーション)を抑制する活性を有する。K1-3:SEQ ID NO:2配列を有するK1-3;PEG- K1-3:PEGで修飾しSEQ ID NO:2配列を有するK1-3。
【0050】
図13:PEGとK1-3N末端との結合物がヒト臍静脈血管内皮細胞(HUVEC)損傷の自己再生を抑制する活性を有する。K1-3:SEQ ID NO:2配列を有するK1-3;PEG- K1-3:PEGで修飾しSEQ ID NO:2配列を有するK1-3。
【0051】
図14:PEGとK1-3N末端との結合物がヒト臍静脈血管内皮細胞(HUVEC)増殖を抑制する活性を有する。K1-3:SEQ ID NO:2配列を有するK1-3;PEG- K1-3:PEGで修飾しSEQ ID NO:2配列を有するK1-3。
【0052】
図15:PEGとK1-3N末端との結合物がヒトマイクロ血管内皮細胞(HMEC)増殖を抑制する活性を有する。K1-3:SEQ ID NO:2配列を有するK1-3;PEG- K1-3:PEGで修飾しSEQ ID NO:2配列を有するK1-3。
【0053】
図16:PEGとK1-3N末端との結合物が腫瘍細胞(Hela)増殖を抑制する活性を有する。K1-3:SEQ ID NO:2配列を有するK1-3;PEG- K1-3:PEGで修飾しSEQ ID NO:2配列を有するK1-3。
【0054】
図17:PEGとK1-3N末端との結合物がマウス黒色腫(B16)を抑制する活性を有する。K1-3- 4.5-1:SEQ ID NO:2配列を有するK1-3、4.5 mg/kg体重、毎日投与;PEG- K1-3-1.5-1:PEGで修飾しSEQ ID NO:2配列を有するK1-3、1.5 mg/kg体重、毎日投与;PEG- K1-3-4.5-1:PEGで修飾しSEQ ID NO:2配列を有するK1-3、4.5 mg/kg体重、3日おいて投与;PEG- K1-3-4.5-6:PEGで修飾しSEQ ID NO:2配列を有するK1-3、4.5 mg/kg体重、6日おいて投与;PEG- K1-3-4.5-9:PEGで修飾しSEQ ID NO:2配列を有するK1-3、4.5 mg/kg体重、9日おいて投与。
【0055】
図18:PEGとK1-3N末端との結合物がマウス肝臓ガン(H22)を抑制する活性を有する。K1-3- 4.5-1:SEQ ID NO:2配列を有するK1-3、4.5 mg/kg体重、毎日投与;PEG- K1-3-1.5-1:PEGで修飾しSEQ ID NO:2配列を有するK1-3、1.5 mg/kg体重、毎日投与;PEG- K1-3-4.5-1:PEGで修飾しSEQ ID NO:2配列を有するK1-3、4.5 mg/kg体重、毎日投与;PEG- K1-3-4.5-3:PEGで修飾しSEQ ID NO:2配列を有するK1-3、4.5 mg/kg体重、週に2回投与;PEG- K1-3-4.5-7:PEGで修飾しSEQ ID NO:2配列を有するK1-3、4.5 mg/kg体重、週に1回投与。
【発明を実施するための形態】
【0056】
具体的な実施例
本発明をさらに説明するために、以下で述べた実施例を提供する。以下で述べた実施例はただ本発明を説明するためで、本発明を具体的に制限することがない。当該技術分野の人員に本発明を分からせると同時に、以下で述べた技術的方案はいかなる創造性努力を必要としない変化による技術的方案も含む。
【0057】
特別な説明がある以外に、以下で述べた実施例に用いられたポリエチレングリコール(PEG)は082M0P01 MPEG-BUTYRALD-20K, NETKTARTM, Lot#: PT-03G -05。
【0058】
実施例1、異なる条件でのPEGとK1-3 N末端との結合
本実施例に用いられたK1-3(中国Protgen社から購入)がSEQ ID NO:2配列を有するK1-3である。K1-3をpH 5.5の30 mM酢酸ナトリウム(中国北京化学試薬会社から購入)バッファー溶液に透析する。紫外分光光度計(8453,Agilent)で波長280 nmのタンパク濃度を測ってから、1 mg/mlまで調節する。K1-3のタンパクN末端を特異に修飾するPEGが、K1-3との共有結合に使用された。第一種の態様は、前記のK1-3透析液(10 mgのタンパクを含む)に、PEGとK1-3のモル比が1:1、2:1、5:1、10:1となるように、20 kDa PEG固体を加え、室温において完全に溶けるまで撹拌し、20 mMの還元剤CH3BNNa (Sigma)を加え、最後に溶液のpHを5.5まで調整する。第二種の態様は、前記のK1-3透析液(10 mgのタンパクを含む)を10 ml取り、PEGとK1-3のモル比が1:1、 2:1、5:1、10:1となるように、PEG固体を加え、室温において完全に溶けるまで撹拌し、20 mMの還元剤CH3BNNa (Sigma)を加え、最後に溶液のpHを5.0, 5.5, 6.0, 6.5, 7.0, 8.0に別々に調整する。室温と4℃で異なる時間置き、単一のPEGに修飾されたK1-3の態様を比較する。すなわち一つのPEGが一つのK1-3に結合し、結合部位がK1-3 N末端のα-アミノ基で、少量のK1-3が非特異性に多部位に修飾された。そうしてPEGとK1-3の最適反応条件が見つかられた。反応前後溶液の電気泳動の結果は図7-8に示す。
【0059】
実施例2、PEGとK1-3Nとの結合
本実施例に用いられたK1-3がSEQ ID NO:2配列を有するK1-3である。K1-3をpH 5.5の30 mM酢酸ナトリウムバッファー溶液に透析する。紫外分光光度計(8453,Agilent)で波長280 nmのタンパク濃度を測ってから、1 mg/mlまで調節する。特異修飾タンパクN末端に結合する場合、前記のK1-3透析液(タンパク20 mg)を20 ml取り、PEG固体100 mgを加え、室温において完全に溶けるまで撹拌し、PEGとK1-3のモル比が5:1にする。20 mMの還元剤CH3BNNaを加え、最後に溶液のpHを5.5に調整する。室温において6 h置き、80%以上のK1-3が単一のPEGに修飾する。すまわち、一つのPEGが一つのK1-3と結合し、結合部位がK1-3N末端のα-アミノ基、少量のK1-3が非特異性に多部位に修飾された。この場合、反応液は直接にカラムで単離し、反応前後溶液の電気泳動の結果は図9に示す。
【0060】
実施例3、K1-3 N末端にPEGで修飾した後の陽イオンカラムSPにおいての単離
本実施例に用いられたK1-3がSEQ ID NO:2配列を有するK1-3である。PEGで修飾したK1-3をSPカラム(Amersham)で単離する。反応後混合液pHを5に調節する。カラムを20 mM 、pH5.0の酢酸ナトリウムバッファー溶液で平衡にしてからサンプルを添加する。添加後20 mM酢酸ナトリウム溶液、1M塩化ナトリウム溶液、pH 5.0のバッファー溶液で勾配溶離する。反応しないポリエチレングリコールが電荷を極めた少なく持っているから、流通と溶離する場合に現れる。溶離ピークの順序は多修飾K1-3、単修飾K1-3、K1-3であある。280nm紫外検査にしたがって、異なる成分を単離、収集した。その結果を図10に示す。
【0061】
実施例4、PEGとK1-3 N末端の結合物の血液中の持続作用
本実施例に用いられたK1-3がSEQ ID NO:2配列を有するK1-3である。Wistarラット(維通利華実験動物センター)生体内にK 1-3とPEG修飾したK1-3の代謝速度を測ることによって、PEG修飾物の血液中の持続作用を検査する。体重約200グラムの健康なラットを2匹取り、K1-3とK1-3 N末端にPEG修飾した結合物を尾静脈内に4.5 mg/kg 体重注射する。0、5、10、30分、1、2、4、8、16、24、36、48、72 、96、120、144 時に眼窩より採血する。血漿を収集し、サンドイッチ法ELISAでK1-3とPEG修飾したK1-3の濃度を測る。生体内薬物代謝動態学にしたがって、PEG修飾したK1-3のラット生体内半減期は81.5 hであるが、K1-3のラット生体内半減期は12.2 hである。高分子量のPEGに結び付けると、K1-3の生体内代謝半減期が有効的に増加され、持続作用の目的に達することが判明された。その結果を図11に示す。
【0062】
実施例5、PEGとK1-3 N末端の結合物がヒト臍静脈血管内皮細胞(HUVEC)転移(マイグレーション)を抑制する活性
本実施例に用いられたK1-3がSEQ ID NO:2配列を有するK1-3である。HUVEC(北京Protgen社から購入)をウシ胎児血清(Hyclone)のM199培養液(Hyclone)に置いて対数増殖期まで養う。12時間飢えさせてから、トランスウェル(Millipore ,USA)に、穴に細胞104個ずつ加え、細胞のマイグレーションを測定した。マイグレーション(遷移)アッセイの条件は5%ウシ胎児血清のM199培養液である。投与組はK1-3とPEG修飾したK1-3を別々に加え、濃度が0.004 μg/ml、0.04 μg/ml、0.4 μg/ml、4 μg/mlで、37oC8h培養する。その後、1%グルタルアルデヒド(北京化工場、中国)細胞を固定し、膜上層のマイグレーションしない細胞を取り除き、ヘマトキシリン、エオシンで染色する。顕微鏡の三つ同じの視野に細胞数を測り、抑制率を計算する。結果として、0.04-4 μg/ml以内で投与濃度の増加によって、細胞マイグレーションの抑制率が高める。SEQ ID NO:2配列を有するK1-3の細胞マイグレーションの抑制率は43%、68%、76%で、PEG修飾したK1-3の細胞マイグレーションの抑制率は58%、65%、69%である。以上の結果によると、PEG修飾したK1-3は原来の生物活性を保つことがわっかた。その結果を図12に示す。
【0063】
実施例6、PEGとK1-3N末端の結合物がヒト臍静脈血管内皮細胞(HUVEC)損傷の自己再生を抑制する活性
本実施例に用いられたK1-3がSEQ ID NO:2配列を有するK1-3で、HUVEC損傷の自己再生に影響を与える。HUVECを2×105個/mlの密度で12ウェルプレート(Corning社)に接種し、20%ウシ胎児血清のM199完全培養液に置いて対数増殖期まで養う。12時間飢えさせてから、各穴にてクロスワイヤーを軽くかき損傷を与え、懸濁している細胞を洗浄する。陰性対照群(PBS)、陽性対照群(K1-3濃度がそれぞれ0.04 μg/ml、0.4 μg/ml、4 μg/ml)、投与群(PEG修飾したK1-3の濃度がそれぞれ0.04 μg/ml、0.4 μg/ml、4 μg/ml)に分ける。37℃16 h培養し、細胞の遷移(マイグレーション)量を測る。細胞マイグレーションの抑制によって薬効を評価する。結果として、0.04-4 μg/ml以内で投与濃度の増加によって、細胞遷移の抑制率が高まり、抑制率は0%、20%、25%である。PEG修飾したK1-3の抑制率は35%、40%、105%である。結果によるとPEG修飾したK1-3は生物活性が保持するだけでなく、もっと強くなる。同時に4 μg/mlに達すると、ある細胞が縮れ死亡する。その結果を図13に示す。
【0064】
実施例7、PEGとK1-3N末端の結合物がヒト臍静脈血管内皮細胞(HUVEC)増殖を抑制する活性
本実施例に用いられたK1-3がSEQ ID NO:2配列を有するK1-3である。一夜飢えたHUVECを2×104個/mlの密度で96ウェルプレート(Corning)に接種し、20%ウシ胎児血清のM199培養液に置いて対数増殖期まで養う。12時間飢えてから、実験計画によって穴に異なる濃度のK1-3およびPEG修飾したK1-3を加える。陰性対照群(PBS)、陽性対照群(K1-3濃度がそれぞれ0.04 μg/ml、0.4 μg/ml、4 μg/ml)、投与群(PEG修飾したK1-3の濃度がそれぞれ0.04 μg/ml、0.4 μg/ml、4 μg/ml)に分ける。37℃48 h培養し、MTT(Amresco社)を加え、37℃4hインキュベーションし、DMSO(生工生物工程社、中国)を加え、マイクロプレートリーダー(Model 550,Biorad社)で570 nmの吸光度を測定する。その結果を図14に示す。
【0065】
実施例8、PEGとK1-3N末端の結合物がヒトマイクロ血管内皮細胞(HMEC)増殖を抑制する活性
本実施例に用いられたK1-3がSEQ ID NO:2配列を有するK1-3である。一夜飢えたHMEC (ATCC# CRL 10636,USA)を2×104個/mlの密度で96ウェルプレートに接種し、10%血清を含むDMEMに置いて対数増殖期まで養う。12時間飢えさせてから、実験計画によって穴に異なる濃度の未修飾と修飾したK1-3を加える。陰性対照群(PBS)、陽性対照群(K1-3の濃度がそれぞれ0.04 μg/ml、0.4 μg/ml、4 μg/ml)、投与群(PEG修飾したK1-3の濃度がそれぞれ0.04 μg/ml、0.4 μg/ml、4 μg/ml)に分ける。37℃48 h培養し、MTTを加え、37℃4hインキュベーションし、DMSOを加え、マイクロプレートリーダーで570 nmの吸光度を測定する。その結果を図15に示す。
【0066】
実施例9、PEGとK1-3N末端の結合物が腫瘍細胞(ヒト子宮頸ガン細胞、Hela)増殖を抑制する活性
本実施例に用いられたK1-3がSEQ ID NO:2配列を有するK1-3である。Hela細胞(ATCC# CCL-2,USA)を2×104の密度で96ウェルプレート(Corning)に接種し10%血清を含むDMEMに置いて対数増殖期まで養う。12時間飢えさせてから、実験計画によって穴に異なる濃度のK1-3およびPEG修飾したK1-3を加える。陰性対照群(PBS)、陽性対照群(K1-3の濃度がそれぞれ0.4 μg/ml、4 μg/ml、40 μg/ml、150 μg/ml)、投与群(PEG修飾したK1-3の濃度がそれぞれ0.4 μg/ml、4 μg/ml、40 μg/ml、150 μg/ml)に分ける。37℃48 h培養し、MTTを加え、37℃4hインキュベーションし、DMSOを加え、マイクロプレートリーダーで570 nmの吸光度を測定する。結果として、PEG修飾したK1-3の腫瘍細胞増殖を抑制する活性はK1-3より強い。K1-3とPEG修飾したK1-3の濃度が40 μg/mlである場合、腫瘍細胞増殖を抑制する活性はもっとも強く、150 μg/mlおよび0.4 μg/ml、4 μg/mlよりずっと高いことがわかった。その結果を図16に示す。
【0067】
実施例10、PEGとK1-3N末端の結合物がマウス後期黒色腫(B16)モデルを治療する活性
本実施例に用いられたK1-3がSEQ ID NO:2配列を有するK1-3である。PEG修飾したK1-3がマウス後期B16黒色腫を生体内で抑制する活性を検査した。体重20gのC57B/Lマウス(維通利華実験動物センター)は実験試料として、背部に1×106個の黒色腫細胞(ATCC# CRL-6475(商品名),USA)が接種された。発ガンしてから、群に8匹を分ける。陰性対照群(20mM酢酸ナトリウム溶液)、陽性対照群(K1−3 4.5 mg/kg体重,毎日投与)、投与群(PEG修飾したK1-3 1.5 mg/kg体重、毎日投与;PEG修飾したK1-3 4.5 mg/kg体重、1、3、6、9日投与)に分ける。腫瘍が1 cm3に成長してから群分けをし、投与を始める。投与経路は皮下注射である。投与期間が10日間で、第11日にマウスを殺し、腫瘍重量を測り、腫瘍抑制率で薬効を評価する。SEQ ID NO:2配列を有する組み換えヒトプラスミノーゲンK1-3に対して、実験結果として、陽性対照群の腫瘍抑制率は45%で、投与群1.5 mg/kg体重、毎日投与群の腫瘍抑制率は28%で、4.5 mg/kg 体重、1、3、6、9日投与群の腫瘍抑制率はそれぞれ60%、34%、25%、24%である。同じ投与量であっても、PEG修飾したK1-3の生体内腫瘍抑制率はK1-3より強い。PEG修飾したK1-3は投与量が低くても、一定の腫瘍抑制効果がある。その結果を図17に示す。
【0068】
実施例11、PEGとK1-3N末端の結合物がマウス肝臓ガン(H22)モデルに対する早期治療の活性
本実施例に用いられたK1-3がSEQ ID NO:2配列を有するK1-3である。PEG修飾したK1-3がマウス初期H22肝臓ガンを生体内で抑制する活性を検査した。体重20gのBabl/cマウス(維通利華実験動物センター)は実験試料として、背部に1×106個の肝臓ガン細胞(ATCC# CRL-6475(商品名),USA)が接種された。陰性対照群(20mM酢酸ナトリウム溶液)、陽性対照群(K1‐3 4.5 mg/kg体重,毎日投与)、投与群(PEG修飾したK1-3 1.5 mg/kg体重、毎日投与;4.5 mg/kg体重、毎日、週に2回、週に1回投与)に分ける。接種の二日目投与を始める。投与経路は皮下注射である。投与期間は3週間で、第22日にマウスを殺し、腫瘍重量を測り、腫瘍抑制率で薬効を評価する。SEQ ID NO:2配列を有するK1-3に対して、実験結果として、陽性対照群の腫瘍抑制率は51%で、投与群1.5 mg/kg体重、毎日投与群の腫瘍抑抑制率は54%で;4.5 mg/kg体重毎日、週に2回、週に2回投与群の腫瘍抑制率はそれぞれ60%、84%、50%である。同じ投与量のK1-3はK1-3より強い肝臓ガン成長抑制活性を有し、低用量の修飾K1-3群の肝臓ガン成長抑制率は高用量の修飾K1-3群より高い。同時にPEG修飾したK1-3は生体内代謝速度が遅くなるから、投与間隔が延長されても、同じ投与量のPEG修飾したK1-3の生物活性がK1-3より高い。週に2回投与の腫瘍抑制効果が一番よく、80%以上に達する。その結果を図18に示す。
【0069】
実施例12、PEGとK1-3N末端の結合物(PEG-K1-3)のNCI-H226非小細胞肺ガン異種移植モデルに対する生体内抗ガン作用
本実施例に用いられたK1-3がSEQ ID NO:2配列を有するK1-3である。2×106NCI-H226細胞(ヒト肺腺ガン細胞系、ATCCから購入し、保存番号CRL-5826)を6-8週齢、体重18-20gのBalb/c nu/nu雌マウス(中国医学科学院実験動物研究所)の右側に皮下接種する。腫瘍の大きさが約80-125 mm3に達する場合、動物を3群無作為に分け(群に6匹)。表1に示す計画に従って処理する。週に2回動物の体重と腫瘍の大きさを検査する。第28日に動物を殺し、腫瘍を収集し、写真と撮る。
【0070】
【表1】

【0071】
実験結果として、図19Aに示し、処理後第22日と第25日に、4.5 mg/kg PEG-K1-3を投与した動物(第2群)は対照群動物(第1群)より、体重に明らかな差異が認められた(第2群動物の体重が第1群より顕著に高い、一要因のANOVA、*p<0.05)。第11日と第25日に、20 mg/kg Taxolと投与した動物(第3群)は対照群動物より、体重に明らかな差異が認められた(第2群動物の体重が第1群より顕著に低い、#p<0.05)。
【0072】
図19Bに示し、4.5 mg/kg PEG-K1-3を投与した動物(第2群)は対照群より、腫瘍の体積が顕著に縮んだ(p<0.05)。第3群動物は対照群に比べて第11、15と18日の腫瘍体積に明らかな差異がある。なお、第4、11、18、25日に第2群 (4.5mg/kg PEG-K1-3 i.v.× 21天) の腫瘍T/C比はそれぞれ73%、63%、62%、66%であるが、第3群(20 mg/kg Taxol)はそれぞれ69%、39%、28%、18%である。
【0073】
図19Cに示し、21日間投与後腫瘍重量を計算する。対照群(第1群)に比べて、4.5 mg/kg PEG-K1-3を投与した動物(第2群)と20 mg/kg Taxolを投与した動物(第3群)の腫瘍抑制率は17.18%と84.43%である。4.5 mg/kg PEG-K1-3を受ける動物と対照群動物の腫瘍重量はTaxol投与群動物より明らかな差異がある。(それぞれP=0.008とP=0.026)。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19A】

【図19B】

【図19C】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
修飾物とアンギオスタチン断片K1-3からなる複合体であって、前記複合体は修飾されていないアンギオスタチン断片K1-3より長い生体内半減期を有しており、前記修飾物はポリエチレングリコールあるいはほかの高分子ポリマー、タンパク質分子又はその断片、ペプチド、小分子、または他のいかなる形態の化学物質からなる群から選択されるものである。
【請求項2】
前記アンギオスタチン断片K1-3はヒト、マウスあるいはほかの哺乳動物由来の血プラスミノーゲン断片K1-3またはその活性を有する断片、突然変異体、誘導体、異性体、又はこれらの組み合わせである、請求項1に記載の複合体。
【請求項3】
前記アンギオスタチン断片K1-3はSEQ ID NO:1に示す配列を有するヒトアンギオスタチン断片K1-3またはその活性を有する断片、突然変異体、誘導体、異性体、又はこれらの組み合わせである、請求項2に記載の複合体。
【請求項4】
前記アンギオスタチン断片K1-3は組換えアンギオスタチン断片K1-3である、請求項1に記載の複合体。
【請求項5】
前記組換えアンギオスタチン断片K1-3はSEQ ID NO:2に示す配列を有するヒト組み換えアンギオスタチン断片K1-3またはその活性を有する断片、突然変異体、誘導体、異性体、又はこれらの組み合わせである、請求項4に記載の複合体。
【請求項6】
前記ヒト組み換えアンギオスタチン断片K1-3は大腸菌に発現され、N末端のMetが大腸菌に発現される場合にはランダムに削除される、請求項5に記載の複合体。
【請求項7】
前記修飾物とアンギオスタチン断片K1-3は共有結合によって結合される、請求項1-6のいずれに記載の複合体。
【請求項8】
前記修飾物がポリエチレングリコールである、請求項1に記載の複合体。
【請求項9】
前記ポリエチレングリコールがモノメチルポリエチレングリコールである、請求項8に記載の複合体。
【請求項10】
前記ポリエチレングリコールが直線性あるいは側鎖分岐のものである、請求項8に記載の複合体。
【請求項11】
前記ポリエチレングリコールの分子量が1,000〜100,000ドルトンであり、分子量が20 kDaであるモノメチルポリエチレングリコールが好ましい、請求項8-10のいずれかに記載の複合体。
【請求項12】
一つのアンギオスタチン断片K1-3は一つあるいは複数のポリエチレングリコール分子と結合しており、結合の部位がアンギオスタチンのN末端のα-アミノ基、リジン残基側鎖のε-アミノ基、システイン酸残基側鎖のメルカプト基、アスパラギン酸残基側鎖のカルボキシル基、グルタミン酸残基側鎖のカルボキシル基からなる群から選択される一種またはそれらの組合であることを特徴とする、請求項8-10のいずれかに記載の複合体。
【請求項13】
一つのアンギオスタチン断片K1-3は一つあるいは複数のポリエチレングリコールと結合しており、結合の部位がアンギオスタチン断片K1-3のN末端のα-アミノ基またはSEQ ID NO:1に示す第2、7、15、17、24、69、94、97、121、125、128、129、150、175、215、228、246位のリジン残基側鎖のε-アミノ基またはそれらの組合であることを特徴とする、請求項12に記載の複合体。
【請求項14】
一つのアンギオスタチン断片K1-3は一つのポリエチレングリコールと結合しており、結合の部位がアンギオスタチン断片K1-3のN末端のα-アミノ基であることを特徴とする、請求項12に記載の複合体。
【請求項15】
SEQ ID NO:2を有するヒト組み換えアンギオスタチン断片K1-3は一つのポリエチレングリコールと結合しており、結合の部位がアンギオスタチン断片K1-3のN末端のα-アミノ基であることを特徴とする、請求項14に記載の複合体。
【請求項16】
SEQ ID NO:2を有するヒト組み換えアンギオスタチン断片K1-3は一つの20 kDaのモノメチルポリエチレングリコールと結合しており、結合の部位がアンギオスタチン断片K1-3のN末端のα-アミノ基であることを特徴とする、請求項15に記載の複合体。
【請求項17】
一つのアンギオスタチン断片K1-3は一つあるいは複数のポリエチレングリコールと結合しており、結合の部位がアンギオスタチン断片K1-3のアスパラギン酸あるいはグルタミン酸残基側鎖のカルボキシル基であることを特徴とする、請求項12に記載の複合体。
【請求項18】
一つのアンギオスタチン断片K1-3は一つあるいは複数のポリエチレングリコールと結合しており、結合の方法はアンギオスタチン断片K1-3分子内部またはそのN末端あるいはC末端にシステイン酸あるいはシステイン酸を含むペプチドを付加することによって、付加したシステイン酸残基側鎖のメルカプト基を結合の部位とする、請求項8-11のいずれかに記載の複合体。
【請求項19】
請求項1-18のいずれかに記載の複合体と生体適合性物質とからなる徐放性製剤。
【請求項20】
前記徐放性製剤はマイクロカプセル、ヒドロゲル、マイクロスフェア、マイクロ浸透ポンプ又はリポソームからなる群から選択されるものである、請求項19に記載の徐放性製剤。
【請求項21】
請求項1-20のいずれかに記載の複合体あるいは徐放性製剤および薬学的に許容できる担体を含む薬物組成物。
【請求項22】
請求項1-21のいずれかに記載の複合体、徐放性製剤あるいは薬物組成物及び使用説明書を含むキット。
【請求項23】
活性化されたポリエチレングリコールとアンギオスタチン断片K1-3が反応できる十分な溶液、温度、pH、モル比の条件で、活性化されたポリエチレングリコールとアンギオスタチン断片K1-3を混合することを含む、請求項8-18のいずれかに記載の複合体の製造法。
【請求項24】
pHが5-7であり、ポリエチレングリコールとアンギオスタチン断片K1-3のモル比が1:1〜10:1である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
さらに結合産物を陽イオンカラムで精製することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
請求項1-21のいずれかに記載の複合体、徐放性製剤又は薬物組成物の抗腫瘍薬の製造においての使用。
【請求項27】
前記腫瘍は肺ガン、神経内分泌腫瘍、結腸ガン、骨ガン、肝臓ガン、胃ガン、膵臓ガン、口腔ガン、乳ガン、前立腺ガン、リンパ腫、食道ガン、口腔ガン、上咽頭ガン、子宮頸ガン、肉腫、腎ガン、胆ガン、悪性黒色腫または他の腫瘍からなる群から選択されるものである、請求項26に記載の使用。
【請求項28】
請求項1-21のいずれかに記載の複合体、徐放性製剤又は薬物組成物の非腫瘍疾患の治療薬の製造においての使用であって、前記の疾患は新血管形成の異常によるヒトの組織あるいは器官の病変であることを特徴とする使用。
【請求項29】
前記薬物が静脈注射、点滴静脈注射、皮下注射、筋肉注射、腹腔注射、皮下包埋、経皮吸収、肝動脈注射、経口投与、鼻粘膜投与、口腔粘膜投与、眼部投与、直腸投与、膣内投与またはほかの臨床投与法に適用する、請求項26-28のいずれかに記載の使用。
【請求項30】
アンギオスタチン断片K1-3の半減期を延長する方法であって、前記方法は修飾物とアンギオスタチン断片K1-3を複合体に形成する工程を含んでおり、前記修飾物はポリエチレングリコールあるいはほかの高分子ポリマー、タンパク質分子またはその断片、ペプチド、小分子、またはほかのいかなる形態の化学物質からなる群から選択されるものである方法。
【請求項31】
アンギオスタチン断片K1-3の半減期を延長する方法であって、前記方法はアンギオスタチン断片K1-3、または、修飾物とアンギオスタチン断片K1-3からなる複合体を生体適合性物質と徐放性製剤を形成する工程を含んでおり、前記修飾物はポリエチレングリコールあるいはほかの高分子ポリマー、タンパク質分子またはその断片、ペプチド、小分子、またはほかのいかなる形態の化学物質からなる群から選択されるものである方法。

【公表番号】特表2010−515694(P2010−515694A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545050(P2009−545050)
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際出願番号】PCT/CN2008/000067
【国際公開番号】WO2008/083615
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(507369132)北京普▲羅▼吉生物科技▲発▼展有限公司 (5)
【氏名又は名称原語表記】Protgen Ltd.
【Fターム(参考)】