説明

アンテナガラスのための耐食保護システム、および対応するアンテナガラス

本発明は、導電性の構造体を有するアンテナガラスのための耐食保護システムに関し、このシステムは、少なくとも1つの多極線路4S、4Gを備え、その多極線路4S、4Gは、ガラスの表面上に互いに平行に配置された構造体部品によって構成され、信号HFを伝達しかつ電子部品HF3を供給電圧に接続するのに使用される。本発明によれば、そのようなシステムの1つは、また、線路の材料の耐食不動態化領域にある電圧Uまたは不動態化電圧を、線路4Sおよび電子部品HF3、3Aに印加するための印加手段9を備え、それに加えて、その電圧Uを、電子部品HF3における供給電圧として使用するための手段3B、3W、3Sを備える。本発明は、また、そのような能動アンテナガラスを使用するための方法、およびそのようにして取り付けられたアンテナガラスに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載される特徴を備えた導電性の表面構造体を有する、アンテナ板ガラスのための腐食防止システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスおよび/またはプラスチックから製造された自動車窓板ガラスは、ほとんどの場合、導電性の構造体を提供され、例えば、それらの構造体を加熱し、および/または、板ガラスにアンテナ構造体を形成する。多くの場合、表面構造体は、導電性の銀ペーストを用いて、スクリーン印刷(厚膜技術)によって印刷され、そして、その銀ペーストは、焼成されることによって固められる。
【0003】
また、多くの場合、アンテナ入力線路またはそれらの一部分は、透明基板の表面上に取り付けられる。さらに、それらは、アンテナ板ガラス上に直接に配置されたアンテナ増幅器などの高周波(HF)電子部品に、電流を供給(例えば、チューナーを用いて、遠隔供給)する役割をなしてもよい。全体として、そのように形成されてもよいものは、能動アンテナである。線路自体は、放射してはならず、かつそれらは、全長にわたって一定である定められた特性インピーダンスを有しなければならない。この要求は、一定の間隔および一定の幅を備えた、2つまたは2つよりも多い平行な同一平面にある導体によって生じることがある。
【0004】
そのような信号線路および能動アンテナの実施形態は、独国特許出願公開第3911178号公報に記載されており、その公報においては、同一平面にある信号を形成するために、および、誘電体材料からなるアンテナ板ガラス上に線路を提供するために、実際の線路は、平行に配置された1つまたは2つのグラウンドトラックと組み合わせられる。
【0005】
しかしながら、自動車に使用される標準的な使用電圧(直流約12V)を供給するそのような印刷線路の大きな欠点は、動作中、それらの線路が悪天候にさらされたときに生じる。増幅器への供給電圧は、直流オフセット電圧として、導体の一方に印加される。増幅器に接続されるのは、使用電圧としての直流オフセット電圧を、HF信号から分離するための電子部品である。使用中、信号導体とグラウンドとの間の12Vccの電位差が、次に信号線路に印加される。厚膜技術によって製造された同一平面にある線路に印加されるこの電位差は、すでに、DIN50021−SS規格に基づいた塩水噴霧テストによって発生する第1の腐食作用を5分でもたらす。10分後には、導電性構造体の大量の腐食が、発生する。この塩水噴霧テストは、部品の寿命全体を通じての腐食作用を、きわめて短い時間期間内にシミュレーションするものである。しかしながら、自動車板ガラス上に配置されたアンテナ構造体にその塩水噴霧テストを適用することは、いまだに規定されていない。
【0006】
発生する腐食損傷は、特に、高周波伝導率を減少させることによって、および、線路の減衰量を増大させ、その後に、システムのミスチューニングをそれが完全な故障に至る程度にまで増大させることによって、同一平面にある線路の特性を大きく劣化させる。また、そのような損傷は、取り付けられた状態にある窓板ガラスの内面に、印刷構造体が存在する場合にも発生する。上述した文献は、この問題に取り組むものではない。
【0007】
明らかに、コーティング、被覆などによって、ある程度の費用で線路を腐食作用から保護することができる。しかしながら、これらの保護システムのコストは、それらの保護システムを工業規模で利用するのをいまだに妨げている。
【0008】
原理的には、腐食損傷は、たとえそれが印刷構造体の動作モードにそれほど大きな影響を与えないにしても、例えば、加熱領域/アンテナ領域自体内において、その他の印刷構造体でも発生することが強調されるべきである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の根底に存在する課題は、電圧伝導表面線路を備えた導電性の構造体を有するアンテナ板ガラスのために、電気的な腐食を効果的に防止することを提供することである。
【0010】
そのようなアンテナ板ガラスを使用する方法、および対応して取り付けられたアンテナ板ガラスが、さらに説明される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このために、本発明は、導電性の構造体を有するアンテナ板ガラスのための腐食防止システムを提供し、このアンテナ板ガラスは、HF信号を伝達するためにかつHF電子部品を供給電圧に接続するために、板ガラスの表面上に互いに平行に存在する構造体部品によって構成される少なくとも1つの多極線路を備え、腐食防止システムが、線路およびHF電子部品における腐食から線路の材料を不動態化する(passivate)範囲内にある不動態化電圧と呼ばれる電圧を印加するための印加手段を含み、かつ、腐食防止システムが、前記不動態化電圧を、HF電子部品における供給電圧として利用するための利用手段を含むことを特徴とする。
【0012】
本発明は、線路上における付加的な不動態化コーティングを不要にすることを可能にする。
【0013】
電気的な不動態化のために、したがって、能動的腐食保護のために、基板自体の表面上において、互いに直流電気的に結合されずかつ互いにきわめて近接する2つの導線間に、あるいは別の形で配置された2つの導線間に、不動態化電圧のレベルにある電位差が存在しなければならない。これは、容量結合されたアンテナ板ガラスのために、特に簡単な形で実現されてもよく、そのために、反対の極を空間的に適切に配置することによって、それを不動態化することができる。
【0014】
例えば、グラウンドレール(グラウンドまたは+12V)に平行に導かれる多極線路は、適切な振幅、および、場合によっては、適切な信号周波数を選択することによって、不動態化されてもよい。
【0015】
不動態化電圧は、腐食保護されるべき線路の材料ごとに個々に決定される。原則的には、外部電圧または不動態化電圧に応じて、所定の不動態化範囲を決定することが可能であり、その範囲内においては、腐食電流(金属腐食の速度に比例する)が、最小値まで減少し、あるいは、ゼロにすらなる。これは、腐食がもはや発生しないことを意味する。低すぎる外部電圧の場合には、十分な腐食抑制作用(「能動的な」範囲)は得られないが、高すぎる電圧(「開始電位」よりも大きい)の場合には、「過不動態」状態と呼ばれるものが現れ、その状態においては、防止作用はもはや発生せず、腐食電流が、再び顕著に増加する。
【0016】
利用手段は、HF電子部品から分離されてもよく、あるいは、それが不動態化電圧を直接に供給されるために、HF電子部品に組み込まれてもよい。
【0017】
そのような導電性の構造体に通常使用される材料を不動態化するための好ましい電圧は、0.75Vから1.8Vの範囲内に存在する直流電圧または交流電圧に決定された。
【0018】
印加手段は、動作中にHF電子部品に接続されるチューナーなどのユニットに組み込まれた電圧源を備えてもよい。
【0019】
本発明によれば、不動態化電圧は、交流電圧であってもよく、好ましくは、2,000Hzより高い周波数範囲、好ましくは、2,000Hzから4,000Hzの周波数範囲、または約3000Hzである正弦波電圧であってもよい。最大不動態化は、1.1Vおよび3,000Hz±100Hzを備えるように決定された。
【0020】
比較的に低い(交流)電圧を印加することによる電気的な不動態化の可能性は、例えばスクリーン印刷によって作られる銀を含有する、導電性の構造体を安価に使用できる可能性を提供する。
【0021】
電圧を印加することによって得られる保護作用は、きわめて少ないエネルギーしか消費せず、それは、取るに足らない付加的な維持費しか必要としない。10μA/cmよりも小さい測定電流密度によって、無信号時電流が、不動態化モードにおいて現れ、その電流は、自動車の分野において許容できる1.5mAの値よりも数桁だけ小さい。
【0022】
必要であれば、印刷された構造体を焼成することを不要にすることができ、この焼成は、原則的には、印刷された構造体の機械的および化学的な耐性を増大させると考えられる。これは、また、例えば、プラスチック板ガラスのようなガラス基板以外の基板を使用するのを容易にする。
【0023】
当然ながら、本発明の使用は、同一平面に配置された線路だけを意図したものではなく、したがって、2つ以上のリード線が、板ガラスの表面上に互いに並んで配置されてもよい。最新のスクリーン印刷プロセスによれば、例えば、いくつかの導電性の層を、互いに絶縁された状態で順に重ねて印刷することも可能である。また、本発明による腐食防止は、そのような多極サンドイッチ構造体およびスクリーン印刷によって付着されない(しかし、例えば、押し出し加工または導電性の材料を付着するためのその他のプロセスによって付着された)構造体にも、容易に適用することができる。
【0024】
ここに記載された種類のいくつかの線路が、アンテナ板ガラス上に提供される場合、それらは、当然ながら、それらのすべてが、考えられる構造に応じて、不動態化(保護)電圧を供給される。
【0025】
また、本発明は、能動アンテナ板ガラスを使用する方法を提供し、この能動アンテナ板ガラスは、アンテナ構造体と、HF信号を伝達するためにかつHF電子部品を供給電圧に接続するために、板ガラスの表面上に互いに平行に存在する構造体部品によって構成される少なくとも1つの多極線路とを有し、線路およびその線路に接続されたHF電子部品が、腐食から線路の材料を不動態化する範囲内にあり、かつHF信号に重畳することのできる不動態化電圧を供給され、この不動態化電圧は、直接にまたは適合された後に、HF電子部品の供給電圧として使用されることを特徴とする。
【0026】
さらに、本発明は、板ガラスの表面上に配置された多極線路を介して供給されることのできる、特定の使用電圧に関して構成されたHF電子部品を含む、自動車アンテナ板ガラスを提供し、電子的適合部品が、HF電子部品に結合され、線路を電気的に不動態化するために線路を介して前記HF電子部品へ提供される不動態化電圧を、使用電圧に変換することを特徴とする。
【0027】
不動態化電圧が、交流電圧である場合、その板ガラスは、HF電子部品に結合された電圧整流器およびコンバータを含んでもよく、前記電圧整流器およびコンバータは、前記提供されるAC電圧を、HF電子部品の増幅器に供給するための適切な直流電圧に変換する。
【0028】
HF電子部品は、板ガラスの表面に取り付けられてもよい。
【0029】
HF電子部品は、積層板ガラスに挿入されてもよい。
【0030】
多極線路は、同一平面に存在する形で、板ガラスの表面上において一定の距離だけ離れて互いに並べて付着された、少なくとも2つの導電性のトラックから構成されてもよい。
【0031】
また、多極線路は、板ガラスの表面上において一定の距離だけ離れて順に重ねて付着された、少なくとも2つの導電性のトラックから構成されてもよい。
【0032】
本発明の主題のその他の詳細および利点が、具体的な例を示す図面から、および以下に記載されるその詳細な説明から明らかとなる。
【0033】
これら図面は、概略を表わす。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
図1において、アンテナ板ガラス1は、加熱領域/アンテナ領域2を提供され、この領域2は、焼成されるべき導電性のペーストからなる予め定められた構造的特徴をスクリーン印刷することによって、知られている方法で製造される。それ自体がよく知られているこの構造の詳細は、ここには図示されず、板ガラス1の縁の近くに配置された比較的に幅の広い左右の2つのバスバー2S間において、板ガラス1の視野全体にわたって横方向に延びる、いくつかの幅の狭い導電性のトラック2Lだけが、示される。2つのバスバー2Sは、詳細には図示されない方法によって、電気的な加熱電圧に接続されてもよく、その加熱電圧によって、電流が、互いに平行に電気的に接続された導電性のトラックに流れる。
【0035】
前記導電性のトラック2Lに対して横断して配置された結合導体2A(アンテナ基部)によって、アンテナ領域2によって受信された高周波(HF)信号(例えば、ラジオ信号またはTV信号)は、HF電子部品3に伝達され、そのHF電子部品3の回路は、図2を参照してさらに詳細に説明される。
【0036】
それ自体が良く知られている方法で、板ガラス1の表面上に直接に配置されたHF電子部品3から開始しと、知られている方法によって、板ガラス1の縁に沿ってその板ガラス1の表面上に双極の同一平面にある形で形成された信号線路/供給線路4は、板ガラス1の縁上の適切なインタフェース5(マルチコネクタ、フラット導体、プラグイン接合器)まで延びる。ここで、板ガラス1が取り付けられた状態においては、受信機(ラジオ、チューナー、TVなど)との接続および電圧源(図示せず)との接続が、なされる。
【0037】
ここで、加熱領域自体のための供給電圧に接続することもできる。そのような多極インタフェース自体は、従来技術(例えば、DE−PS 19536131を参照)の一部分を構成し、そのために、ここでは、詳細には説明しない。どうしても欠くことのできない遮蔽手段などについては、当業者には一般的なことなので、さらには説明しない。
【0038】
アンテナ領域2、HF電子部品3、および線路4は、すべてが板ガラスの同一表面上に存在するとは限らないことに注意されたい。また、本発明は、印刷されたアンテナ構造体を使用することに適用されるとは限らない。例えば、保護されるべき線路4は、積層板ガラスユニットの内部に配置されたアンテナとして使用されるコーティングに接続されてもよい。同様に、HF電子部品3は、それの回路全体が十分に平坦であれば、積層材料に組み込まれてもよい。
【0039】
原理的には、線路自体は、当然ながら、積層材料に組み込まれてもよく、その電気的な不動態化は、本質的なことではないが、それにもかかわらず、やはり可能である。
【0040】
周囲の線(点線/鎖線)は、不透明な着色フレーム7の内側境界線を示し、その着色フレーム7は、通常、外側境界線として、アンテナ板ガラス1の外縁まで延びる透明なアンテナ板ガラス1の視野を取り囲む。また、そのような着色フレームは、ここで説明されるアンテナ構造体の電子部品が見えないように遮蔽する。板ガラスの平面における投影において、バスバー2S、HF電子部品3、同一平面にある線路4、およびインタフェース5は、この着色フレーム7上に配置されることがわかる。
【0041】
供給電圧は、線路4を介して、一方においては、HF電子部品3によって提供される増幅されたHF信号の受信機(図示せず)に提供され、他方において、能動的なHF電子部品3に提供される。この具体的な例における線路4は、幅の広い導電性のストリップ4Gと、その導電性のストリップ4Gから一定の距離だけ離れた平行な幅の狭い導電性のストリップ4Sとから、非対称に構成される。線路4は、好ましくは、加熱領域/アンテナ領域2の処理と同時に印刷され、また、板ガラス1が取り付けられた状態において、悪天候にさらされる。導電性のストリップ4Gは、ストリップ4Sよりも板ガラス1の縁に近く、それによって、ストリップ4Sは、板ガラス1がその後に取り付けられなければならない金属本体から、できるだけ大きな距離を維持する。また、幅の広い導電性のストリップ4Gは、必要であれば、例えば、導電性の接着剤によって、自動車のシャーシに直接に接続されてもよい。
【0042】
図示される非対称な構成の場合、以下の諸元が、使用される。
特性インピーダンスZ:50オーム
信号線路4Sの幅:0.8mm
スロットの幅:4.1mm
グラウンドストリップ4Gの幅:5.7mm
窓ガラス(誘電体)の厚さ:3.85mm
【0043】
導電性のストリップ4S、4G、および加熱領域2S、2Lに関して、例えば、80%の銀含有量を有するCerdecからの、SP1835型スクリーン印刷ペーストを使用することができる。不透明着色フレーム7は、Cerdecからの14252/80860黒エナメルによって印刷される。順に重ねて印刷されるこれらの2つの材料は、互いに相容性であり、線路4の望ましい特性インピーダンスは、それらによって適切に考慮されてもよい。
【0044】
線路が、混合された誘電体(ガラス/接着剤層/ガラス)を備える積層ガラス表面に付着される場合、および/または、その他の厚さを備える窓ガラスまたはその他の材料(例えば、ポリカーボネートのようなプラスチック)に付着される場合に、線路が、Z=75オームであるように設計されなければならない場合、それらの幾何学的寸法、またおそらくは印刷ペーストは、同様に、適切に適合されなければならない。
【0045】
図2は、HF電子部品3および能動的腐食防止部品の考えられる1つの別の実施形態を示す。左側に示されるのは、線路4のためのコネクタ(4G、4S)であり、右側に示されるのは、アンテナ基部に接続するためのコネクタ2Aである。コネクタ4Gは、グラウンドの役割をなし、コネクタ4Sは、HF信号およびそのHF信号に重畳された供給電圧の両方を、受信機8(チューナー)に導く。当然ながら、受信機8のHFコネクタは、供給電圧の存在に反応しない。
【0046】
当然ながら、そのようなHF電子部品は、集積された形態で、設計および使用されてもよい。一般的には、板ガラスの表面の上方へほんのわずかしか突き出ない、できる限り平坦な回路を有すること、あるいは、積層板ガラスユニットに組み込まれたときに使用することのできる回路を有することは、有益なことである。
【0047】
図示された具体的な例においては、不動態化電圧は、1.1Vの振幅および3000±100Hzの周波数を備える交流電圧Uであり、この交流電圧Uは、概略的にしか示されない電圧源9によって生成される。
【0048】
この不動態化電圧は、そのような線路あるいはそのような構造体の能動的腐食保護のために最適なものとして、実験的に決定されたものである。
【0049】
したがって、この不動態化電圧は、本発明によれば、使用電圧が、通常、HF能動部品に印加される点において、腐食にさらされる線路4へ電力を供給するのに使用される。
【0050】
標準的な大量生産部品の場合、通常、印加される使用電圧は、特定の場合に応じて、直流3.3Vから直流12Vの範囲内にある。そのような値は、試験中、不動態化効果がないことが示された。
【0051】
また、電圧源9は、図面とは異なって、受信機8に直接に組み込まれてもよい。
【0052】
HF電子部品3は、アンテナ信号が符号2Aによって直接に伝達されるアンテナ増幅器3Aを備え、そのアンテナ増幅器3Aは、デカップリングステージ3Kを介して、線路4Sに接続される。
【0053】
デカップリングステージ3Kと並列に接続されるのは、供給電圧からのHF信号をフィルタリングするための帯域通過フィルター3Bであり、その帯域通過フィルター3Bは、フィルタリングされた電圧を直流/直流コンバータ/整流器3Wへ送信する。
【0054】
コンバータ/整流器は、整流された電圧を、モジュールに任意に組み込まれた電子部品の使用電圧に変換しなければならない。そして、この電圧は、フィルタリング/平滑ステージ3Sを介して、あるいはその代わりとして直接に、増幅器3Aへ送信される。
【0055】
また、使用電圧Uおよびグラウンドは、当然ながら、考えられるその他の電子部品(ここでは図示しない)、同様に、例えばその他の増幅器などへ電力を供給するために使用されてもよい。
【0056】
本発明によれば、図面とは異なって、不動態化電圧Uとして、類似するレベルの直流電圧を使用することも可能であり、当然ながら、その直流電圧は、整流されず、使用電圧Uのレベルにまで昇圧されるだけでよい。
【0057】
ここで説明された特定の適用形態は、現時点における通常の電子部品の使用方法から逸脱するものである。
【0058】
しかしながら、電子部品、特に増幅器をそれに対応して適合させることによって、提供される不動態化電圧(供給電圧)を直接に使用することも考えられる。
【0059】
このような特定の適用形態においては、きわめて小さな電流およびきわめて低い電圧だけが存在する。その結果として、使用される部品は、大幅に小型化され、小型のユニットとして取り付けられてもよい。したがって、アンテナ板ガラス1の取り付け(例えば、それを接着剤で本体上のフランジに接着することによって)は、好ましい配置において、部品が、取り付けられた状態において内側に存在する窓ガラスの面上の縁の近くに配置される場合でさえも、影響を受けることがない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】板ガラスの表面上に作られた、アンテナ構造体および同一平面にある信号線路/供給線路を備える、アンテナ板ガラスの全体図である。
【図2】HF電子部品を腐食防止部品に接続する回路の詳細図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性の構造体を有するアンテナ板ガラス(1)のための腐食防止システムであって、該アンテナ板ガラス(1)が、HF信号を伝達するためにかつHF電子部品(3)を供給電圧に接続するために、板ガラスの表面上に互いに平行に存在する構造体部品によって構成される、少なくとも1つの多極線路(4、4S、4G)を備え、腐食防止システムが、線路(4S)およびHF電子部品(3、3A)における腐食から線路の材料を不動態化する範囲内にある、不動態化電圧(U)と呼ばれる電圧を印加するための印加手段(9)を含み、かつ、腐食防止システムが、前記不動態化電圧(U)を、HF電子部品(3)における供給電圧として利用するための利用手段(3B、3W、3S)を含むことを特徴とする、腐食防止システム。
【請求項2】
印加手段が、0.75Vから1.8Vまでの範囲内にある交流または直流不動態化電圧(U)のための電圧源(9)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の腐食防止システム。
【請求項3】
印加手段が、動作中にHF電子部品に接続されるチューナーなどのユニットに組み込まれた電圧源(9)を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の腐食防止システム。
【請求項4】
印加手段(9)が、2,000Hzより高い周波数、好ましくは、2,000Hzから4,000Hzまでの範囲にある周波数を有する交流不動態化電圧(U)を提供することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の腐食防止システム。
【請求項5】
印加手段(9)が、約3,000Hz周波数を有する1.1Vの交流不動態化電圧(U)を提供することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の腐食防止システム。
【請求項6】
HF電子部品(3、3A)の使用電圧(U)が、不動態化電圧(U)と異なるとき、利用手段(3B、3W、3S)が、不動態化電圧を使用電圧に変換するための手段(3W)を含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の腐食防止システム。
【請求項7】
アンテナ構造体と、HF信号を伝達しかつHF電子部品を供給電圧に接続するために、板ガラスの表面上に互いに平行に存在する構造体部品によって構成される、少なくとも1つの多極線路とを有する、能動アンテナ板ガラスを使用する方法であって、線路および該線路に接続されたHF電子部品が、腐食から線路の材料を不動態化する範囲内にあり、かつHF信号に重畳することのできる不動態化電圧を供給され、該不動態化電圧が、直接にまたは適合された後に、HF電子部品の供給電圧として使用されることを特徴とする、方法。
【請求項8】
板ガラス(1)の表面上に配置された多極線路(4)を介して供給されることのできる、特定の使用電圧(U)に関して構成されたHF電子部品(3)を含む、自動車アンテナ板ガラスであって、電子的適合部品(3B、3W、3S)が、HF電子部品(3)に結合され、線路を電気的に不動態化するために線路を介して前記HF電子部品(3)へ提供される不動態化電圧(U)を、使用電圧(U)に変換することを特徴とする、自動車アンテナ板ガラス。
【請求項9】
不動態化電圧(U)が、交流電圧であるとき、アンテナ板ガラスが、HF電子部品(3)に結合された電圧整流器およびコンバータ(3W)を含み、前記電圧整流器およびコンバータが、前記提供される交流電圧を、HF電子部品(3)の増幅器(3A)に供給するための適切な直流電圧に変換することを特徴とする、請求項8に記載のアンテナ板ガラス。
【請求項10】
HF電子部品(3)が、板ガラス(1)の表面に取り付けられたことを特徴とする、請求項8または9に記載のアンテナ板ガラス。
【請求項11】
HF電子部品(3)が、積層板ガラスに挿入されたことを特徴とする、請求項8または9のいずれか一項に記載のアンテナ板ガラス。
【請求項12】
多極線路(4)が、同一平面に存在する形で、板ガラスの表面上において一定の距離だけ離れて互いに並べて付着された、少なくとも2つの導電性のトラック(4G、4S)から構成されることを特徴とする、請求項8から11のいずれか一項に記載のアンテナ板ガラス。
【請求項13】
多極線路(4)が、板ガラスの表面上において一定の距離だけ離れて順に重ねて付着された、少なくとも2つの導電性のトラック(4G、4S)から構成されることを特徴とする、請求項8から11のいずれか一項に記載のアンテナ板ガラス。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−525710(P2006−525710A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505826(P2006−505826)
【出願日】平成16年4月30日(2004.4.30)
【国際出願番号】PCT/FR2004/001055
【国際公開番号】WO2004/100307
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(399052888)サン−ゴバン グラス フランス (23)
【Fターム(参考)】