説明

アンテナユニット

【課題】 パッキン,ゴムブッシュとケース側の接触する形状を単純化するとともに、ゴムブッシュの離脱を抑止して防水機能を長期にわたり安定して発揮させること
【解決手段】 下ケース30の内側壁32の上端部と、上ケース20との間にパッキン12を介在させて、両ケース間の防水構造を採る。内側壁に設けたコード取り付け部33内に、コード13に実装したゴムブッシュ15を挿入し、コードの引き込み部分での防水構造を採る。外側壁には、コード取り付け部を覆うゴムブッシュ保持部23を設け、そのゴムブッシュ保持部は、外側壁と平行な先端面の下方に切り欠き部23aを有し、その切り欠き部内にコードが挿入配置され、先端面の内面は、ゴムブッシュの段差面15cに接触する。ゴムブッシュ保持部の先端面の内面側に、切り欠き部の下方を塞ぐと共にゴムブッシュの段差面に接触するようにストッパープレート16を配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナユニットに関するもので、より具体的には、アンテナユニットの防水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
GPS衛星から発せられるGPS信号を受信するGPS受信アンテナや、その受信回路等を内蔵するアンテナユニットは、車外,屋外に設置されることが多々ある。従って、このアンテナユニットは、防水構造を採り、内蔵されるGPS受信アンテナや受信回路等を雨等の浸水から防ぐ必要がある。
【0003】
図1は、この種のアンテナユニットの一例を示している。このアンテナユニットを構成する中空のケース本体は、上部開放した下ケース1と、下部開放した上ケース2とを用い、互いの開放側の端面同士を付き合わせることで形成される。この突き合わせる端面には、溝1aが形成されており、その溝1a(図示の関係から見えていないが、上ケース2の下側開放側の端面にも溝が形成されている)内にゴムパッキン3を装着することで、端面間での防水構造をとる。この点は、上述したものと同様である。
【0004】
そして、コードの引き出し部分の防水構造は、以下のようにしている。まず、両端開口した筒状のコード引き込み部4をゴムパッキン3に連結する。換言すると、ゴムパッキンの両端をコード引き込み部4の側面に連結した形状を採る。そして、下ケース1並びに上ケース2の開放側の端面の所定位置に、半円状の切り欠き部1b,2bを設け、両ケース1,2にてゴムパッキン3を挟み込んだ際に、両切り欠き部1b,2bにてコード引き込み部4を上下から挟み込んで固定する。
【0005】
コード引き込み部4もゴムパッキン3と同様にゴム等の弾性材で形成するとともに、切り欠き部1b,2bの内径寸法を、コード引き込み部4の外径寸法よりも適宜小さく設定することで、コード引き込み部4と両ケース1,2との間での防水構造がとれる。
【0006】
そして、このコード引き込み部4内にコードを貫通させるとともに、当該コードのケース内の先端を受信回路に接続し、コードの反対側の先端を外部装置に接続することで、受信回路と外部装置とを電気的に接続することができる。このとき、コード引き込み部4の内径寸法を、コードの外径寸法よりも適宜小さくすることで、コードとコード引き込み部4間からの浸水を阻止する。すなわち、通常コードの外周は、絶縁性のチューブ等で被覆されているため、当該チューブ部分も弾性変形が可能となる。そして、弾性材から形成されるコード引き込み部4内にコードを挿入した状態で、そのコード引き込み部4を上下から切り欠き部1b,2bで挟み込むことでコード引き込み部4が圧縮変形されると、コード引き込み部4の内径寸法もさらに小さくなり、コード引き込み部4とコードの接触部位がある程度の圧力で密着し、防水機能を発揮する。
【0007】
図2は、この種の防水構造を設けたアンテナユニットの別の構成を示している。図に示すように、上部開放した下ケース1′と、下部開放した上ケース2′とを用い、互いの開放側の端面同士を付き合わせて中空のケース本体を構成し、そのケース本体内にGPS受信アンテナや受信回路等を実装する。このとき、両ケース同士を付き合わせる端面間に、ゴムパッキン3′を介在させることで、両ケース間の接触面からの浸水を防止する防水構造を採る。なお、この場合も、両ケースの接触面には、溝1′aが形成され、ゴムパッキン3′は、溝1′a内に装着される。
【0008】
そして、下ケース1′の側壁に貫通孔1cを形成し、その貫通孔1c内に同軸ケーブル等のコード5を挿入する。貫通孔1cの内側には、仕切り壁1dが形成され、その仕切り壁1d内に接着剤等のシール材を充填することで、貫通孔1cにおける防水を図ると共に、コード5を固定するようにしている。
【0009】
なお、この種のアンテナユニットとしては、たとえば特許文献1等がある。
【特許文献1】特開平9−36623号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記のアンテナユニットにおける防水構造では、以下に示す問題を有する。図1に示すようにゴムパッキン3によるケース部分の防水と、コード引き込み部4によるコード部分の防水を一体化した構造では、コード部分の防水構造を構成するコード引き込み部4がケースから離脱することは抑止されるものの、両ケース1,2と接触するシール部材(ゴムパッキン3+コード引き込み部4)の表面形状が複雑となり、そのシール部材の表面と、それに接触する両ケースの部分(溝1a+切り欠き部1b,2b)の寸法形状が正確に形成されないと、隙間が生じてそこから浸水する可能性がある。さらに、上述したように、シール部材の表面形状並びにそれに接触するケース1,2の接触面の表面形状が複雑になると、両者の接触部位に形成される小さい凹み等の隙間に水がたまりやすく、その水により、長期的な防水効果が低下してくるおそれがある。
【0011】
また、図2に示すようにシール材を用いた防水構造の場合、シール材が乾燥して固化するまでに約24時間の時間がかかるので作業性が悪い。さらに、完全にシールされたか否かの判断が困難である。
【0012】
本発明は、作業性が良好で、防水部材(パッキン,ゴムブッシュ)とケース側の接触する形状を単純化するとともに、防水部材の離脱を抑止することで、防水機能を長期にわたり安定して発揮させることができるようにしたアンテナユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した目的を達成するために、本発明に係るアンテナユニットは、(1)上方開放した下ケースに下方開放した上ケースを被せることで構成される中空のケース本体と、そのケース本体内に収納された電気回路と、その電気回路に接続され、そのケース本体の外部に引き出されるコードと、を備えたアンテナユニットである。そして、前記下ケースは、底板と、その底板の上面に起立形成された内側壁と、その内側壁に形成した貫通孔に連続して外部に突出する筒状のコード取り付け部とを備え、前記上ケースは、天板と、その天板の下面に前記内側壁の外周を覆うように形成された外側壁と、を備え、前記内側壁の上端面は無端状に形成され、その上端面と前記上ケースとの間にパッキンを介在させ、前記コードは、同心円状に配置された円筒状のゴムブッシュを備えると共に、そのゴムブッシュが前記コード取り付け部内に挿入されてそのコード取り付け部の内面に密着され、前記外側壁には、前記コード取り付け部の少なくとも一部を覆うゴムブッシュ保持部を設け、そのゴムブッシュ保持部は、前記外側壁と平行な先端面の下方に切り欠き部を有し、その切り欠き部内に前記コードが挿入配置されるように構成され、前記ゴムブッシュ保持部の先端面の内面側に、前記切り欠き部の下方を塞ぐと共に前記ゴムブッシュの表面に接触するようにストッパープレートを配置した。
【0014】
ここで、“軸方向”とは、ゴムブッシュの軸方向、つまり、円筒の中心軸方向である。そして、ゴムブッシュの表面の内、少なくとも軸方向と交差する部位は、実施形態では、“段差面15c”に対応する。実施形態のゴムブッシュ15は、太径部15aと細径部15bを有する二段形状としたため、両者の間に形成される段差面15cが、軸方向と交差する部位となったが、仮に、径の変化がない場合には、コード取り付け部から望む先端面が当該“部位”となる。また、軸方向と交差であるが、実施形態では、直交するようにしているが、適宜の角度で交差してもよい。要は、軸方向の移動(前方に飛び出す方向の移動)が阻止できればよい。また、コードに取り付けるゴムブッシュは、接着等により一体化していてもよいし、弾性力により密着させるだけでも良い。要は、防水機能が発揮すればよい。また、接着する場合でも、事前に行なうことができるので組み立て作業性の問題はない。
【0015】
本発明は、上ケースと下ケースと間における防水構造と、コードの引き込み部分における防水構造をそれぞれ分けて実現するようにした。その結果、上ケースとしたケースとの間の防水構造は、下ケースを構成する内側壁の無端状の上端面と、それに対向する上ケースとの間にパッキンを配置するだけで良く、簡単な形状で実現できる。また、コードの引き込み部分における防水構造は、筒状のコード取り付け部内に、コードの外周囲に装着したゴムブッシュを挿入するだけで良く、簡単な形状で実現できる。よって、組み立ての作業性も良好であると共に、そのパッキンやゴムブッシュ付近に水が付着した状態が継続することもなく、長期にわたって安定して防水機能を維持することができる。
【0016】
そして、コードを外に引っ張る方向に力が加わった場合、それに伴いゴムブッシュも軸方向に移動しコード取り付け部から外部に飛び出ようとする力が働くが、ゴムブッシュの軸方向と交差する表面のうち、少なくとも切り欠き部の下方に対向する部位は、ストッパープレートが接触するので、ゴムブッシュの当該表面の下方部位(ゴムブッシュ保持部の切り欠き部に対向する部位)が、切り欠き部内を移動して外部に抜け出ることが無く、その飛び出しが阻止される。よって、長期にわたり、ゴムブッシュの抜けが防止でき、当該部分での防水機能が維持できる。
【0017】
(2)前記ゴムブッシュ保持部の前記先端面の内面は、前記コード取り付け部から露出する前記ゴムブッシュの表面の内、少なくとも軸方向と交差する部位に接触するように構成され、前記ストッパープレートは、前記ゴムブッシュの表面の下方側に接触するようにするとよい。
【0018】
このようにすると、コードを外に引っ張る方向に力が加わってゴムブッシュも軸方向に移動しコード取り付け部から外部に飛び出ようとする力が働いた場合、ゴムブッシュの軸方向と交差する表面の一部は、ゴムブッシュ保持部の内面に接触するとともに、ゴムブッシュの当該表面の下方部位(ゴムブッシュ保持部の切り欠き部に対向する部位)はストッパープレートに接触するので、その飛び出しが阻止される。よって、長期にわたり、ゴムブッシュの抜けが防止でき、当該部分での防水機能が維持できる。
【0019】
(3)前記ストッパープレートは、孔部を有する平板状に構成され、前記孔部内に前記コードが挿入されるようにしてもよい。このようにすると、ストッパープレートがゴムブッシュの軸方向と交差する表面の全体(コードの全周囲)に接触し、均等にそのゴムブッシュの移動を阻止する。よって、長期にわたり、ゴムブッシュの抜けが防止でき、当該部分での防水機能が維持できる。
【0020】
(4)前記ゴムブッシュ保持部の内面には、前記ストッパープレートを収納する収納凹部を設けるとよい。このようにすると、ストッパープレートが安定して保持されるので、上記のゴムブッシュの抜け防止をより確実に実施できる。
【0021】
(5)(2)の発明を前提とし、前記ゴムブッシュ保持部の内面には、前記ストッパープレートを収納する収納凹部を設け、前記収納凹部内に収納された前記ストッパープレートの前記ゴムブッシュ側の表面と、前記収納凹部の上方の前記軸方向と交差する部位に対向する前記ゴムブッシュ保持部の内面とが面一になるように設定するとよい。このようにすると、ゴムブッシュに対し、その全周にわたって均等に抜けに対する抑止力が働くので好ましい。もちろん、ゴムブッシュ保持部の内面とストッパープレートの表面とが面一になっていなくでも、ゴムブッシュが弾性力を有することも相まって、最終的にはゴムブッシュ保持部の内面とストッパープレートとがゴムブッシュに接触し、それ以上の抜け出る方向の移動が阻止できる。
【0022】
(6)前記コード取り付け部の先端側に位置する前記底板の外周縁は、そのコード取り付け部の先端より更に外側に突出させた突出部を設け、その突出部の上に前記ストッパープレートを配置するようにしてもよい。このようにすると、より安定してストッパープレートを保持できる。なお、本発明では、必ずしもこのように突出部を設け、下ケース(底板)とゴムブッシュ保持部との間でストッパープレートを保持する必要はなく、例えば、ゴムブッシュ保持部の下端側に、内側に突出する突起等を設けてストッパープレートを保持したり、ゴムブッシュ保持部の側面内方にスリット・凹部を設けそこにストッパープレートの側面の一部または全部が入り込むようにしたりするなどの他、各種の構造がとれる。
【0023】
(7)前記内側壁は、前記天板付近まで延長形成し、前記パッキンは、前記内側壁の上端面と前記天板の内面との間に介在させるようにするとよい。このようにすると、上ケースと下ケースとの間を防水するためのパッキンが、より上方に位置することから、より確実に防水できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明では、作業性が良好で、パッキンやゴムブッシュとケース側の接触する形状を単純化するとともに、防水部材の離脱を抑止でき、防水機能を長期にわたり安定して発揮させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の好適な実施形態を、図面に基づいて説明する。図3は、本実施形態のアンテナユニットの分解斜視図(内蔵するアンテナや回路基板の図示を省略)であり、図4(a)は、それらを組み立てた状態の平面図である。そして、図4(b)は、図4(a)におけるA−A線矢視断面図である。また、図5は、アンテナユニットの側面図であり、図6は図5の状態から上ケース20を取り外した状態の側面図である。図7(a)は上ケース20の平面図であり、図7(b)は図7(a)におけるB−B線矢視断面図である。更に、図8は、下ケース30の平面図である。図9は、変形例を示す図である。
【0026】
本実施形態のアンテナユニット10を構成する中空のケース本体は、下方開口した矩形箱状の上ケース20と、上方開口した矩形箱状の下ケース30とを互いに嵌め合わせることで構成する。そして、このケース本体内に、受信アンテナや電子部品17a等を実装する電気回路基板17を収納する。
【0027】
下ケース30は、矩形平板状の底板31と、その底板31の上面に起立形成された内側壁32とを備えている。この内側壁32は、底板31の外周縁に沿って一段内側に形成される。これにより、内側壁32の外側に、底板31の外周縁部が全周にわたって突出することになる。この突出した部分の所定位置にスリット31aを複数形成している。
【0028】
また、内側壁32の上端面は、平坦面であり、底板31と平行な同一平面上に位置するように設定されている。そして、内側壁32の長辺を構成する両壁部の外面中央下方位置には、係止突起32aが形成される。また、内側壁32の短辺を構成する一方の壁部の角部下方位置には、貫通孔が形成され、その貫通孔に連続して外側に突出する筒状のコード取り付け部33が一体的に形成されている。
【0029】
このコード取り付け部33内に、同軸ケーブル等のコード13を貫通するように配置することで、そのコード13を介してアンテナユニット内の電気回路(受信回路等)と、外部装置との間でデータ通信等を可能にする。このとき、コード13には、筒状のゴムブッシュ15を装着し、そのゴムブッシュ15をコード取り付け部33内に位置させる。ゴムブッシュ15の内径寸法は、コード13の外径寸法よりも小さくすることで、両者間での接触部位はゴムブッシュ15の弾性復元力等により所定の圧力で密着し、防水機能が発揮する。また、ゴムブッシュ15の一部(コード取り付け部33内に位置させる部位)は、外径を一回り大きくした太径部15aとすると共に、その太径部15aの外周面には周方向に伸びる凸条を複数本形成した形状としている。これにより、当該太径部15aの部分では、軸方向に凹凸が形成され、太径部15aをコード取り付け部33内に挿入配置した状態では、凸条が押し潰され、コード取り付け部33の内周面に所定圧力で密着する(図4参照)。これにより、ゴムブッシュ15(太径部15a)とコード取り付け部33との間での防水機能も発揮され、コード13の引き込み部分での防水構造がとれる。このとき、コード13,ゴムブッシュ15,コード取り付け部33は、概略円柱/円筒といった単純な形状を同心円状に配置しただけであるので、長期にわたって安定して防水機能を維持することができる。
【0030】
また、太径部15aをコード取り付け部33内に挿入したゴムブッシュ15は、その先端側の細径部15bが、コード取り付け部33より外側に突出する。そして、太径部15aと細径部15bとの径の違いから、両者の境界部分にて、段差面15c(太径部15aの先端側)が形成される。
【0031】
一方、内側壁32の外側にコード取り付け部33が突出することに伴い、コード取り付け部33の先端側(内側壁32と非接続側)の底板31の外周縁も、外側に向けて突出させるとともに、その突出させた突出部35の上面を下に窪む円弧状に形成している。そして、この突出部35の上面に、ストッパープレート16を配置する。このストッパープレート16は、平板状で、その下側は、突出部35の上面の表面形状に符合するように、その中央部分16bが下に突出する円弧状となっている。また、ストッパープレート16の上側は、その中央部分に円弧状の切り欠き部16aが形成され、ゴムブッシュ15の細径部15bの周面に接触する。つまり、切り欠き部16aの曲率と、細径部15bの曲率を、略一致させている。そして、図4に示すように、ストッパープレート16は、太径部15aと細径部15bの境界部分に配置され、段差面15cに接触する。
【0032】
また、コード取り付け部33を介して、内側壁32の内側空間と外側空間とが繋がっているが、コード取り付け部33を内側壁32の下方に設けたことにより、その内側壁32の上端面は、無端状で四方が囲まれた状態となる(内側壁32の内外は遮断されている)。
【0033】
一方、上ケース20は、矩形状の天板21の外周縁から下方に伸びる外側壁22を備えた形状を基本構成としている。この外側壁22の内周面の寸法形状と、下ケース30の内側壁32の外周面の寸法形状とは、ほぼ等しいか、外側壁22の内周面の寸法形状を若干広く設定している。これにより、上ケース20を下ケース30の上方から被せると、図4,図5に示すように、外側壁22が内側壁32の外側に位置し、その内側壁32を囲繞する。
【0034】
そして、図4に示すように、上ケース20の天板21の下面側外周縁近傍には、その全周にわたって凹溝24を形成している。この凹溝24は、下ケース30の内側壁32の上面に対向する位置に形成される。そして、凹溝24内に、矩形無端状の防水用のパッキン12を挿入し、その状態で上ケース20を下ケース30上に被せる。これにより、完全に上ケース20を下ケース30に被せた状態では、下ケース30の内側壁32の上端面が、その全周にわたってパッキン12に接触すると共に、その上端面と凹溝24との間で所定の圧力でパッキン12を押し潰す。
【0035】
よって、パッキン12は、下ケース30の内側壁32の上端面並びに上ケース20の凹溝24に密着し、当該部分で防水機能を発揮する。よって、係る部位からの内部への浸水が阻止される。内側壁32の上端面,パッキン12,上ケース20の凹溝24は、共に平坦な無端状の略四角形の辺といった単純な形状から構成されただけであるので、長期にわたって安定して防水機能を維持することができる。しかも、パッキン12を内側壁32の上端面といった、底板31から十分に高い位置(アンテナユニット10の上方位置)に位置させると共に、内側壁32の外側には、上から下に伸びる外側壁22が配置されているため、そもそも、この内側壁32の上端面と凹溝24の両ケース20,30の接触部位にまで水が入り込むことが少なく、仮に入り込んできたとしても、それ以上の侵入を阻止するとともに、その侵入してきた水は、内側壁32の外周面を伝わって落下することから、パッキン12の近傍で水がとどまることがない。よって、係る点からも、本実施形態のアンテナユニット10は、長期にわたって防水機能を維持することができる。
【0036】
さらに図7に示すように、外側壁22の長辺側の内面所定位置(中央下方位置)には、水平方向に伸びる係止溝22aが設けられる。この係止溝22a内には、上ケース20を下ケース30に装着した際に、下ケース30の内側壁32の外面に設けた係止突起32aが入り込んで符合し、上ケース20の上方への移動が抑止される。また、外側壁22の下端面所定位置には、複数の位置決め用突起22bが形成される。この位置決め用突起22bは、上ケース20を下ケース30に装着した際に、下ケース30の底板31に設けたスリット31a内に入り込んで符合し、上ケース20の外側壁22が外側に広がろうとしたりするのを阻止する。このように、スリット31a内に位置決め用突起22bが入り込んで外側壁22の水平方向の移動が抑止され、係止溝22a内に係止突起32aが入り込んで外側壁22の上下方向の移動が抑止されることから、上ケース20の下ケース30に対する3次元方向の移動が抑止され、上ケース20と下ケース30とが離反するのが阻止される。
【0037】
上ケース20の1つの短辺側の下方角部近傍、つまり、コード取り付け部33の設置位置に対向する部位に、そのコード取り付け部33を覆うカバーとなるゴムブッシュ保持部23を設けている。このゴムブッシュ保持部23は、図3,図4等に示すように、コード取り付け部33が外側に向けて突出することに対応して、外側壁22の外面よりもさらに一段外側に突出させるとともに、そのコード取り付け部33の上面全周並びに先端面(内壁面32から離反した平行な面)を覆う形状としている。そして、コード13をコード取り付け部33内に装着した状態で上ケース20を下ケース30に被せることから、ゴムブッシュ保持部23の部分も、その先端面(外壁面22から離反した平行な面)に下端縁から上方に向けて延びる切り欠き部23aを設けている。これにより、コード取り付け部33の先端面のうち、上半分はゴムブッシュ保持部23により覆われるものの、下側は切り欠き部23aのために露出する。よって、そのコード取り付け部33に挿入されたゴムブッシュ15(段差面15c)は、その上半分側はゴムブッシュ保持部23の内面に対向して接触するが、下方部分は切り欠き部23aに対向することからゴムブッシュ保持部23とは非対向(非接触)になる。
【0038】
ただし、本実施形態では、上述したように、コード取り付け部33の先端側に、ゴムブッシュ15の段差面15cに接触するようにストッパープレート16を配置したため、ストッパープレート16は、ゴムブッシュ15とゴムブッシュ保持部23との間に挟み込まれる。そして、図4,図7に示すように、ゴムブッシュ保持部23の先端側(切り欠き部23a形成側)の内面下方部位に収納凹部25を設け、その収納凹部25内にストッパープレート16が入り込むようにしている。つまり、ゴムブッシュ保持部23の先端側の下端の肉厚を薄くし、その先端側の内面に段差を設ける。そして、この収納凹部25の深さ(前後方向の長さ)は、ストッパープレート16の厚さとほぼ等しくしている。
【0039】
これにより、図4に示すように、ストッパープレート16のゴムブッシュ15側の表面と、ゴムブッシュ保持部23の内面とは面一になり、ゴムブッシュ15の段差面15cの上方部位はゴムブッシュ保持部23の内面に接触し、ゴムブッシュ15の段差面15cの下方部位はストッパープレート16に接触する。よって、仮にコード13が外側に引っ張られるなどして、ゴムブッシュ15が外に飛び出る方向に付勢された場合、ゴムブッシュ15の段差面15cに接触するゴムブッシュ保持部23並びにストッパープレート16により、全体的にその移動が阻止される。つまり、ゴムブッシュ15の上側は、段差面15cがゴムブッシュ保持部23に接触してそれ以上の移動が抑止され、ゴムブッシュ15の下側部分はストッパープレート16に接触しそれ以上の前進移動が抑止される。よって、ゴムブッシュ15の先端面の全周に渡り、ゴムブッシュ保持部23或いはストッパープレート16が接触されることで、そのゴムブッシュ15が引き出されるのが抑止されるので、ゴムブッシュ15がコード取り付け部33から抜け出ることがない。係る点からも、本実施形態のアンテナユニットは、コード(ゴムブッシュ)の部分において、長期にわたって安定して防水機能を発揮することができる。
【0040】
これに対し、ストッパープレート16を設けない場合、ゴムブッシュ15(段差面15c)の下方部位は、切り欠き部23aに対向し、その切り欠き部23aを介して外部に露出する。よって、コード13が引き出される方向に引っ張られた場合、そのゴムブッシュ15の段差面15cの下方部位は、前方への移動を遮る(阻止する)ものが無く、ゴムブッシュ15は、弾性変形しながら当該部分から切り欠き部23a内を前方に移動し、ゴムブッシュ15の太径部15aが、コード取り付け部33から離脱してしまうおそれがある。よって、長期に安定して防水機能を維持することができなくなる。
【0041】
さらに、図4,図8に示すように、下ケース30(内側壁32)内に配置されたコード13の先端部側は、コード抜け防止用ストッパー36にて固定されると共に、その先端に露出する配線14が内蔵される電気回路に接続される。上記のように、ストッパープレート16を設けない場合にコード13が引き出される方向に引っ張られると、コード13全体が移動し、配線14も引き出される方向に移動されてしまうため、電気回路との接続部分における接続不良が生じるおそれがある。これに対し、本実施形態では、上述したように、仮にコード13が引っ張られたとしてもゴムブッシュ15の移動が抑止されるため、ケース内に収納されているコード13並びに配線14が引っ張られて、配線14の先端において電気回路との接続不良を招く可能性が低くなる。
【0042】
上述した実施形態では、ストッパープレート16が、ゴムブッシュ15の段差面15cの下側半分に接触する構成を採ったが、本発明はこれに限ることはなく、たとえば、図9に示すように、ストッパープレート18を中央に孔部18aを備えた平板とし、ゴムブッシュ15の段差面15cの全周に接触するようにしてもよい。このストッパープレート18の下側は、突出部35の上面の表面形状に符合するように、その中央部分18bが下に突出する円弧状となっている。そして、このストッパープレート18を予めコード13に装着した(コード13を孔部18a内に挿入した)状態で、ゴムブッシュ15をコード取り付け部33内に装着するとともに、上ケース20を下ケース30に被せることで、ゴムブッシュ保持部23の内面と、ゴムブッシュ15との間に、このストッパープレート18が位置するようにする。
【0043】
このようにすると、コード13が引っ張られてコード取り付け部33からゴムブッシュ15が抜け出ようとした場合、ゴムブッシュ15の段差面15cの全面が、ストッパープレート18に接触し、全体的にそのゴムブッシュの移動が阻止される。
【0044】
また、本形態においても、ゴムブッシュ保持部23の内面に、ストッパープレート18が符合する収納凹部が設けられると良い。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】従来のアンテナユニットの一例を示す側面図である。
【図2】従来のアンテナユニットの一例を示す側面図である。
【図3】本発明に係るアンテナユニットの好適な一実施形態を示す分解斜視図である。
【図4】(a)は、本実施形態のアンテナユニットを示す平面図である。(b)は、(a)におけるA−A線矢視断面図である。
【図5】本実施形態のアンテナユニットを示す側面図である。
【図6】図5の状態から上ケース20を取り外した状態の側面図である。
【図7】(a)は、本実施形態の上ケースの平面図である。(b)は、(a)におけるB−B線矢視断面図である。
【図8】本実施形態の下ケースの平面図である。
【図9】変形例におけるストッパープレートを示す図である。
【符号の説明】
【0046】
10 アンテナユニット
12 パッキン
13 コード
15 ゴムブッシュ
15a 太径部
15b 細径部
15c 段差面
16 ストッパープレート
18 ストッパープレート
20 上ケース
21 天板
22 外側壁
23 ゴムブッシュ保持部
23a 切り欠き部
30 下ケース
31 底板
32 内側壁
33 コード取り付け部
35 突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方開放した下ケースに下方開放した上ケースを被せることで構成される中空のケース本体と、
そのケース本体内に収納された電気回路と、
その電気回路に接続され、そのケース本体の外部に引き出されるコードと、
を備えたアンテナユニットであって、
前記下ケースは、底板と、その底板の上面に起立形成された内側壁と、その内側壁に形成した貫通孔に連続して外部に突出する筒状のコード取り付け部とを備え、
前記上ケースは、天板と、その天板の下面に前記内側壁の外周を覆うように形成された外側壁と、を備え、
前記内側壁の上端面は無端状に形成され、その上端面と前記上ケースとの間にパッキンを介在させ、
前記コードは、同心円状に配置された円筒状のゴムブッシュを備えると共に、そのゴムブッシュが前記コード取り付け部内に挿入されてそのコード取り付け部の内面に密着され、
前記外側壁には、前記コード取り付け部の少なくとも一部を覆うゴムブッシュ保持部を設け、そのゴムブッシュ保持部は、前記外側壁と平行な先端面の下方に切り欠き部を有し、その切り欠き部内に前記コードが挿入配置されるように構成され、
前記ゴムブッシュ保持部の先端面の内面側に、前記切り欠き部の下方を塞ぐと共に前記ゴムブッシュの表面に接触するようにストッパープレートを配置したことを特徴とするアンテナユニット。
【請求項2】
前記ゴムブッシュ保持部の前記先端面の内面は、前記コード取り付け部から露出する前記ゴムブッシュの表面の内、少なくとも軸方向と交差する部位に接触するように構成され、
前記ストッパープレートは、前記ゴムブッシュの表面の下方側に接触するようにした請求項1に記載のアンテナユニット。
【請求項3】
前記ストッパープレートは、孔部を有する平板状に構成され、
前記孔部内に前記コードが挿入されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のアンテナユニット。
【請求項4】
前記ゴムブッシュ保持部の内面には、前記ストッパープレートを収納する収納凹部を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のアンテナユニット。
【請求項5】
前記ゴムブッシュ保持部の内面には、前記ストッパープレートを収納する収納凹部を設け、
前記収納凹部内に収納された前記ストッパープレートの前記ゴムブッシュ側の表面と、前記収納凹部の上方の前記軸方向と交差する部位に対向する前記ゴムブッシュ保持部の内面とが面一になるように設定されていることを特徴とする請求項2に記載のアンテナユニット。
【請求項6】
前記コード取り付け部の先端側に位置する前記底板の外周縁は、そのコード取り付け部の先端より更に外側に突出させた突出部を設け、
その突出部の上に前記ストッパープレートを配置するようにしたことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のアンテナユニット。
【請求項7】
前記内側壁は、前記天板付近まで延長形成し、前記パッキンは、前記内側壁の上端面と前記天板の内面との間に介在させるようにしたことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のアンテナユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−4377(P2010−4377A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−162150(P2008−162150)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(391001848)株式会社ユピテル (238)
【Fターム(参考)】