説明

アンテナ装置

【課題】 出力ケーブルをグランド板の上面に設置しても、アンテナ装置のアンテナ性能に悪影響が及ぶのを少なくすること。
【解決手段】 グランド板(11)と、このグランド板と離間して平行に設けられたアンテナ素子(12)と、このアンテナ素子へ給電するための出力ケーブル(13)とを備えたアンテナ装置(10)において、出力ケーブル(13)は、グランド板(11)とアンテナ素子(12)との間に配置されている。グランド板(11)は、アンテナ素子と平行に配置される平板部(111)と、この平板部の周端縁からアンテナ素子の方向へアンテナ素子を囲むように立設して延びる壁部(112)とを有する。この壁部(112)は出力ケーブル(13)を導出するための導出孔を持つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置に関し、特に、ETC用アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
この技術分野において周知のように、ETC(Electronic toll Collection)は、高速道路等の有料道路の通行料を支払うための料金所における渋滞を緩和するための方策として開発されたシステムである。すなわち、ETCとは、高速道路料金所において、無線通信を利用して自動的に通行料金の支払いを行うシステムである。ETCでは、料金所に設置されているゲートに設けられた路側アンテナと、ETC用アンテナを有する車載通信機器を搭載した通行車両との間で双方向通信を行い、通行車両の車両情報等を取得し、通行車両を停止させることなく高速道路通行料金の支払い業務を行うことを可能としたものである。
【0003】
ETC用アンテナとしては、例えば、平面アンテナ素子と、この平面アンテナ素子と平行に配置されたグランド板とを備えた平面アンテナを使用することができる(例えば、特許文献1参照)。詳述すると、特許文献1に開示された平面アンテナは、平面アンテナ素子と、この平面アンテナ素子から所定間隔を空けて配置されたグランド板と、平面アンテナ素子とグランド板との間に配設された給電導体と、グランド板の下面に接合された回路基板と、この回路基板上に搭載された電子部品と、これ等の要素を内部に収容するためのアッパーケース(トップカバー)とロワーケース(ボトムカバー)とから成るケースとを備えている。電子部品は、上述した低雑音増幅器(LNA)を含む。給電導体の一端に同軸線路(出力ケーブル)の中心導体を接続し、同軸線路(出力ケーブル)の外部導体をグランド板に接続して、電磁結合により平面アンテナ素子に給電するように構成されている。このような従来の平面アンテナでは、グランド板は平板形状をしており、同軸線路(出力ケーブル)がグランド板の下面に配設されている。
【0004】
一方、平面アンテナのフラット性を維持したアンテナ装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2に開示されたアンテナ装置は、グランド板と、このグランド板と離間して設けられた板状放射素子と、この板状放射素子に設けられた給電部と、この給電部に接続される接合線(同軸ケーブル)とを備えている。そして、接合線(同軸ケーブル)は、グランド板と板状放射素子との間に配置され、給電部に接合している。グランド板は平板状をしている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−24428号公報
【特許文献2】特開2001−358527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に開示された平面アンテナでは、同軸線路(出力ケーブル)がグランド板の下面に配置されているので、高さ方向の寸法が大きくなり、アンテナ装置の小型化への障害となるという問題がある。
【0007】
これに対して、同軸線路(出力ケーブル)を、上記特許文献2に開示されているように、グラント板の上面に設置(すなわち、平面アンテナ素子(板状放射素子)とグランド板との間に配置)することが考えられる。しかしながら、そのような構造では、出力ケーブルの物体がアンテナ装置のアンテナ性能に悪影響を及ぼすという問題がある。
【0008】
したがって、本発明の課題は、出力ケーブルをグランド板の上面に設置しても、アンテナ性能に悪影響が及ぶのを少なくすることができる、アンテナ装置(ETC用アンテナ)を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、グランド板(11)と、該グランド板と離間して平行に設けられたアンテナ素子(12)と、該アンテナ素子へ給電するための出力ケーブル(13)とを備えたアンテナ装置(10)であって、前記出力ケーブル(13)は、前記グランド板(11)と前記アンテナ素子(12)との間に配置され、前記グランド板(11)は、前記アンテナ素子と平行に配置される平板部(111)と、該平板部の周端縁から前記アンテナ素子の方向へ前記アンテナ素子を囲むように立設して延びる壁部(112)とを有し、該壁部(112)は前記出力ケーブルを導出するための導出孔(112a)を持つ、ことを特徴とするアンテナ装置(10)が得られる。
【0010】
上記本発明に係るアンテナ装置(10)においては、前記アンテナ素子(12)は、矩形の金属板からなり、対角方向に長孔を持つものであって良い。前記アンテナ素子(12)と前記グランド板(11)との間に介在する、給電導体を持つスペーサ(14)を更に有して良い。前記出力ケーブル(13)は中心導体(131)と外部導体(132)とを持つ同軸ケーブルから成って良い。この場合、前記中心導体(131)は前記給電導体の一端に接続され、前記外部導体(132)は前記グランド板(11)に接続される。前記アンテナ装置(10)はETC用アンテナであって良い。
【0011】
尚、上記括弧内の符号は、本発明の理解を容易にするために付したものであり、一例にすぎず、これらに限定されないのは勿論である。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るアンテナ装置では、出力ケーブルをグランド板とアンテナ素子との間に配置し、グランド板を、アンテナ素子と平行に配置される平板部と、この平板部の周端縁からアンテナ素子の方向へアンテナ素子を囲むように立設して延びる壁部とから構成し、この壁部に出力ケーブルを導出するための導出孔を設けたので、出力ケーブルをグランド板の上面に設置しても、アンテナ装置のアンテナ性能に悪影響が及ぶのを少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
図1を参照して、本発明の一実施の形態に係るアンテナ装置10について説明する。図1はアンテナ装置(ETC用アンテナ)10の概略分解図である。
【0015】
アンテナ装置10は、グランド板11と、このグランド板11と離間して平行に配置されたアンテナ素子12と、このアンテナ素子へ給電するための出力ケーブル13とを備えている。アンテナ素子12は、矩形の金属板からなり、対角方向に長孔(図示せず)を持つ。アンテナ素子12とグランド板11との間には給電導体(図示せず)を持つスペーサ(ホルダ)14が介在している。これらグランド板11、アンテナ素子12、出力ケーブル13の先端部、およびスペーサ14は、トップカバー15とボトムカバー16とによって形成されるケース内に収納される。
【0016】
出力ケーブル13は、トップカバー15に形成された切欠部151およびボトムカバー16に形成された切欠部161を介して外部に引き出される。これら切欠部151、161に対応する位置にガスケット(図示せず)が取り付けられている。
【0017】
図示の出力ケーブル13は、中心導体131と外部導体132とを持つ同軸ケーブルから構成されている。出力ケーブル13の中心導体131は給電導体の一端に接続され、出力ケーブル13の外部導体132はグランド板11に接続されている。出力ケーブル13はコネクタ(図示せず)を介して外部の電子機器(図示せず)に接続される。これにより、各種データをアンテナ素子12によって送受信できるようになっている。
【0018】
図1に加えて図2をも参照すると、グランド板11は、アンテナ素子12と平行に配置される平板部111と、この平板部111の周端縁からアンテナ素子12の方向へアンテナ素子12を囲むように立設して延びる壁部112とを有する。壁部112の高さは、アンテナ素子12とグランド板11の平板部111との間の離間距離に実質的に等しいか、或いはそれよりも低い。壁部112は、出力ケーブル13を外部へ導出するための導出穴112aを持つ。
【0019】
このように、グランド板11は、その周端部を直角に上方へ向けて折り曲げたキャビティの構造を有するので、そのキャビティの中に物(出力ケーブル11)が存在しても、アンテナ装置10のアンテナ性能に悪影響が及ぶのを少なくすることができる。換言すれば、出力ケーブル11をグランド板11の上面に設置しても、アンテナ装置10のアンテナ性能に悪影響が及ぶのを少なくすることができる。また、グランド板11の周縁を直角に折り曲げて壁部112を形成することにより、アンテナ装置10のアンテナ指向性を鋭くすることができる。
【0020】
以上、本発明について好ましい実施の形態によって説明してきたが、本発明は上述した実施の形態に限定しないのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施の形態に係るアンテナ装置(ETC用アンテナ)の概略分解図である。
【図2】図1に示したアンテナ装置(ETC用アンテナ)に使用されるグランド板を、出力ケーブルと共に示す斜視図である。
【符号の説明】
【0022】
10 アンテナ装置(ETC用アンテナ)
11 グランド板
111 平板部
112 壁部
112a 導出穴
12 アンテナ素子
13 出力ケーブル(同軸ケーブル)
131 中心導体
132 外部導体
14 スペーサ(ホルダ)
15 トップカバー
16 ボトムカバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グランド板と、該グランド板と離間して平行に設けられたアンテナ素子と、該アンテナ素子へ給電するための出力ケーブルとを備えたアンテナ装置であって、
前記出力ケーブルは、前記グランド板と前記アンテナ素子との間に配置され、
前記グランド板は、前記アンテナ素子と平行に配置される平板部と、該平板部の周端縁から前記アンテナ素子の方向へ前記アンテナ素子を囲むように立設して延びる壁部とを有し、
該壁部は前記出力ケーブルを導出するための導出孔を持つ、ことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
前記アンテナ素子は、矩形の金属板からなり、対角方向に長孔を持つ、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記アンテナ素子と前記グランド板との間に介在する、給電導体を持つスペーサを更に有する、請求項1又は請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記出力ケーブルは中心導体と外部導体とを持つ同軸ケーブルから成り、前記中心導体は前記給電導体の一端に接続され、前記外部導体は前記グランド板に接続されている、請求項3に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記アンテナ装置がETC用アンテナである、請求項1乃至4のいずれか1つに記載のアンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−36349(P2007−36349A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−212584(P2005−212584)
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】