アンテナ装置
【課題】2つの周波数帯域をサポートし、かつ2つの周波数帯域のうちの低い方の周波数帯域を広げることができる、小型の板状逆F型アンテナ装置を提供する。
【解決手段】アンテナ装置1は、接地導体9と、接地導体9に接続された一端91aを有する短絡導体板91と、接地導体9に対向する基板10上に形成された放射導体2とを備える。放射導体2は、短絡導体板91の他端に接続された一端を有しかつ接地導体から所定の間隔だけ離れた位置に設けられた給電点Qを含む平面導体21と、平面導体21の他端21aに接続された一端を有するメアンダ形状のインダクタ22と、インダクタ22の他端に接続された一端を有する平面導体23と、平面導体23の他端23aに接続された一端と、開放端である他端24aとを有するメアンダ形状のインダクタ24とを備える。
【解決手段】アンテナ装置1は、接地導体9と、接地導体9に接続された一端91aを有する短絡導体板91と、接地導体9に対向する基板10上に形成された放射導体2とを備える。放射導体2は、短絡導体板91の他端に接続された一端を有しかつ接地導体から所定の間隔だけ離れた位置に設けられた給電点Qを含む平面導体21と、平面導体21の他端21aに接続された一端を有するメアンダ形状のインダクタ22と、インダクタ22の他端に接続された一端を有する平面導体23と、平面導体23の他端23aに接続された一端と、開放端である他端24aとを有するメアンダ形状のインダクタ24とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置のためのアンテナ装置に関し、特に、デュアルバンドの逆F型アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
PDA(Personal Data Assistance)、ノート型パーソナルコンピュータ、及び携帯電話機などの携帯型の通信端末に搭載されるアンテナ装置は、小型であることが要求される。さらに、近年、このようなアンテナ装置は、IEEE802.11b/g/nなどの無線LAN(Local Area Network)の通信規格に加えて、WiMAX(Worldwide interoperability for Microwave Access)と呼ばれる新しい無線通信規格にも準拠することが要求されている。特許文献1〜3は、このような要求に応えるアンテナ装置として、逆F型アンテナ装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−199204号公報。
【特許文献2】特開2003−158419号公報。
【特許文献3】特開昭61−238107号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
WiMAXは、無線LANの通信規格であるIEEE802.11nと同様に、MIMO(Multiple Input Multiple output)技術を応用した通信規格である。従って、WiMAXに準拠した無線通信部とIEEE802.11b/g/nなどの無線LANの通信規格に準拠した無線通信部とを備えた通信機器を設計する場合、2つの無線通信部が1つの変復調部を共用するように設計することは容易である。
【0005】
ここで、IEEE802.11b/gは、2402MHzから2482MHzまでの2.4GHz帯の周波数帯域を用いる無線LANの通信規格であり、当該通信規格において使用可能な帯域幅は約80MHzである。さらに、この周波数帯域に、日本国内のみでIEEE802.11bにおいて利用できる14チャンネル目の周波数帯域を加えた場合は、使用可能な帯域幅は約90MHzである。一方、WiMAXにおいて用いられる周波数帯域は、2.4GHz帯の周波数帯域を用いる無線LANの通信規格において用いられる周波数帯域とは異なり、さらに、国毎にも異なる。このため、パワーアンプ、ローノイズアンプ、トランシーバー及びアンテナなどの高周波部を、上述した2つの無線通信部で共用する場合、この高周波部は、2.4GHz帯の周波数帯域を用いる無線LANの通信規格のみに準拠した無線通信部において処理される無線信号の周波数範囲(約90MHz)よりも広い、約600MHzの周波数範囲の無線信号をサポートする必要がある。
【0006】
さらに、市場に流通している無線LANのための多くの通信機器は、IEEE802.11b/gなどの2.4GHz帯を用いる通信規格に加えて、約800MHzのより広い帯域幅を有する5GHz帯を用いるIEEE802.11n/aの各通信規格にも準拠している。このため、上述した高周波部は、2.4GHz帯の周波数帯域を用いる無線LANの通信規格のみに準拠した無線通信部の高周波部に比較して、2GHz帯及び5GHz帯のデュアルバンドをサポートし、かつ2GHz帯においてより広い帯域幅をサポートすることが要求される。
【0007】
また、WiMAXは、屋外において無線通信を利用するために定められた規格であるため、主に、PDA及びノート型パーソナルコンピュータなどの携帯型の通信端末に搭載される。このため、当然ながら、WiMAX及び無線LANの両方の通信規格に準拠した単一の小型のアンテナ装置に対するニーズが非常に高い。しかしながら、2GHz帯及び5GHz帯の両方の周波数帯域において、上述したように広い帯域幅をサポートすることは、技術的に困難であった。
【0008】
例えば、広い範囲の周波数帯域において、アンテナの入力インピーダンスを給電線路の特性インピーダンスに整合させるために、特許文献2記載の逆F型アンテナ装置において、アンテナエレメントは給電用導体と放射用導体とが別個に設けられた二重構造を有し、給電線路から放射用導体に直接給電することなく、給電線路から給電用導体を介して放射用導体に給電する。しかしながら、特許文献2記載の逆F型アンテナ装置の場合、板状の給電用導体を板状の放射用導体と接地導体との間に設ける(特許文献2の図2参照。)ために、セラミックなどの誘電体に、印刷などの方法により複数の板状導体を形成する必要がある。このため、特許文献2記載の逆F型アンテナ装置の製造は容易ではなかった。また、アンテナエレメントとアンテナ基板の接地導体とは所定の間隔だけ離隔している必要があるので、水平面に平行にアンテナ基板を設けると、アンテナ装置は上述した間隔以上の高さを有することになる。特許文献2記載の逆F型アンテナ装置は、より低背であり、かつ水平に広がる指向特性を持つことが仕様として要求される、薄型のノート型パーソナルコンピュータ及びDVDプレーヤなどの電子機器に搭載するためのアンテナ装置には不向きであった。
【0009】
本発明の目的は以上の問題点を解決し、2つの周波数帯域をサポートし、かつ2つの周波数帯域のうちの低い方の周波数帯域を従来技術に比較して広げることができるアンテナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明に係るアンテナ装置は、
接地導体と、
上記接地導体に接続された一端を有する短絡導体と、
上記接地導体に対向する基板上に形成された放射導体とを備えたアンテナ装置であって、
上記放射導体は、
上記短絡導体の他端に接続された一端を有しかつ上記接地導体から所定の間隔だけ離れた位置に設けられた給電点を含む第1の導体と、
上記第1の導体の他端に接続された一端を有するメアンダ形状の第1のインダクタと、
上記第1のインダクタの他端に接続された一端を有する第2の導体と、
上記第2の導体の他端に接続された一端と、開放端である他端とを有するメアンダ形状の第2のインダクタとを備えたことを特徴とする。
【0011】
上記アンテナ装置は、第1及び第2の共振周波数を有し、
上記第1の共振周波数は、上記第1の導体と上記短絡導体の各長さの和により設定され、
上記第2の共振周波数は、上記第2のインダクタと上記第2の導体と上記第1のインダクタと上記第1の導体と上記短絡導体の各長さの和により設定されたことを特徴とする。
【0012】
第2の発明に係るアンテナ装置は、
接地導体と、
上記接地導体に対向する基板上に形成された放射導体とを備えたアンテナ装置であって、
上記放射導体は、
上記接地導体に直接接続された一端を有しかつ上記接地導体から所定の間隔だけ離れた位置に設けられた給電点を含む第1の導体と、
上記第1の導体の他端に接続された一端を有するメアンダ形状の第1のインダクタと、
上記第1のインダクタの他端に接続された一端と、開放端である他端とを有するメアンダ形状の第2のインダクタとを備えたことを特徴とする。
【0013】
上記アンテナ装置は、第1及び第2の共振周波数を有し、
上記第1の共振周波数は、上記第1の導体の長さにより設定され、
上記第2の共振周波数は、上記第2のインダクタと上記第1のインダクタと上記第1の導体の各長さの和により設定されたことを特徴とする。
【0014】
第3の発明に係るアンテナ装置は、
接地導体と、
上記接地導体に対向する基板上に形成された放射導体とを備えたアンテナ装置であって、
上記放射導体は、
給電点が設けられた一端を有する第1の導体と、
上記第1の導体の他端に接続された一端を有するメアンダ形状の第1のインダクタと、
上記第1のインダクタの他端に接続された一端と、開放端である他端とを有するメアンダ形状の第2のインダクタと、
上記接地導体に直接接続された一端と上記放射導体に接続された他端とを有し、かつ上記給電点が上記接地導体から所定の間隔だけ離れるように形成された短絡導体とを備えたことを特徴とする。
【0015】
上記アンテナ装置は、第1及び第2の共振周波数を有し、
上記第1の共振周波数は、上記第1の導体と上記短絡導体の各長さの和により設定され、
上記第2の共振周波数は、上記第2のインダクタと上記第1のインダクタと上記第1の導体と上記短絡導体の各長さの和により設定されたことを特徴とする。
【0016】
上記アンテナ装置において、
上記接地導体は凹部を有し、
上記基板は上記凹部の開口部に設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
第1の発明に係るアンテナ装置において、接地導体に対向する基板上に形成された放射導体は、短絡導体の他端に接続された一端を有しかつ接地導体から所定の間隔だけ離れた位置に設けられた給電点を含む第1の導体と、第1の導体の他端に接続された一端を有するメアンダ形状の第1のインダクタと、第1のインダクタの他端に接続された一端を有する第2の導体と、第2の導体の他端に接続された一端と、開放端である他端とを有するメアンダ形状の第2のインダクタとを備えて構成される。
【0018】
また、第2の発明に係るアンテナ装置において、接地導体に対向する基板上に形成された放射導体は、接地導体に直接接続された一端を有しかつ接地導体から所定の間隔だけ離れた位置に設けられた給電点を含む第1の導体と、第1の導体の他端に接続された一端を有するメアンダ形状の第1のインダクタと、第1のインダクタの他端に接続された一端と、開放端である他端とを有するメアンダ形状の第2のインダクタとを備えて構成される。
【0019】
さらに、第3の発明に係るアンテナ装置において、接地導体に対向する基板上に形成された放射導体は、給電点が設けられた一端を有する第1の導体と、第1の導体の他端に接続された一端を有するメアンダ形状の第1のインダクタと、第1のインダクタの他端に接続された一端と、開放端である他端とを有するメアンダ形状の第2のインダクタと、接地導体に直接接続された一端と放射導体に接続された他端とを有し、かつ給電点が接地導体から所定の間隔だけ離れるように形成された短絡導体とを備えて構成される。
【0020】
従って、第1〜第3の発明に係る各アンテナ装置の放射導体は、開放端を有する第2のインダクタを備えるので、2つの周波数帯域をサポートし、かつ2つの周波数帯域のうちの低い方の周波数帯域を従来技術に比較して広げることができるアンテナ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置1の斜視図である。
【図2】図1のアンテナ装置1の側面図である。
【図3】図1のアンテナ装置1の上面図である。
【図4】図1の基板10の裏面図である。
【図5】図1の放射導体2の部分拡大図である。
【図6】比較例に係るアンテナ装置1Pの斜視図である。
【図7】図6のアンテナ装置1Pの側面図である。
【図8】図6のアンテナ装置1Pの上面図である。
【図9】図6の基板10の裏面図である。
【図10】図6の放射導体2Pの部分拡大図である。
【図11】図1のアンテナ装置1の2.5GHz近傍の電圧定在波比(Voltage Standing Wave Ratio。以下、VSWRという。)のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図12】図1のアンテナ装置1の5.5GHz近傍の電圧定在波比VSWRのシミュレーション結果を示すグラフである。
【図13】図6のアンテナ装置1Pの2.5GHz近傍のVSWRのシミュレーション結果を示すグラフである。
【図14】図6のアンテナ装置1Pの5.5GHz近傍の電圧定在波比VSWRのシミュレーション結果を示すグラフである。
【図15】図11から図14の各シミュレーション結果を算出するために用いられたアンテナ装置1及び1Pの各パラメータを示す表である。
【図16】本発明の第1の実施形態の変形例に係るアンテナ装置1Aの斜視図である。
【図17】本発明の第2の実施形態に係るアンテナ装置1Bの斜視図である。
【図18】図17のアンテナ装置1Bの上面図である。
【図19】本発明の第3の実施形態に係るアンテナ装置1Cの斜視図である。
【図20】図19のアンテナ装置1Cの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
【0023】
第1の実施形態.
図1は、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置1の斜視図であり、図2は、図1のアンテナ装置1の側面図であり、図3は、図1のアンテナ装置1の上面図である。また、図4は、図1の基板10の裏面図であり、図5は、図1の放射導体2の部分拡大図である。
【0024】
図1において、アンテナ装置1は、PDA、ノート型パーソナルコンピュータ、及び携帯電話機などの携帯型の通信端末に搭載され、かつ共振周波数f1及びf2(ただし、f2<f1である。)で共振するデュアルバンドの板状逆F型アンテナ装置である。アンテナ装置1は、例えばガラスエポキシ基板(FR4(Flame Retardant Type 4)基板)である誘電体基板10(以下、基板10という。)と、例えば銅などの金属の角柱から板金により形成されたブロック状の接地導体9と、例えば銅板である短絡導体板91と、同軸ケーブルを内蔵しかつ誘電体にてなる支持板92とを備えて構成される。ここで、接地導体9は上述した通信端末の金属筐体の一部である。短絡導体板91の一端91aは接地導体9に電気的に接続されて固定されている。また、支持板92は接地導体9に固定されている。支持板92内の同軸ケーブルの中心導体の一端は無線通信回路に接続される一方、その他端は放射導体2の給電点Qに接続される。さらに、支持板92内の同軸ケーブルの接地導体は接地導体9に接続されている。
【0025】
図4に示すように、放射導体2は、基板10の裏面に、その長手方向が基板10の長手方向に対して平行となるように、導体パターンで印刷されている。ここで、放射導体2は、短絡導体板91を介して接地導体9に電気的に接続された一端2aと給電点Qとを有する。給電点Qの位置は、給電点Qからアンテナ装置1全体を見たインピーダンスが、給電点Qから支持板92内の同軸ケーブル側を見たインピーダンスに一致するように設定される。さらに、図4において、放射導体2は、一端2aと給電点Qとを含みかつ長さEa及び幅Ewを有する平面導体21と、平面導体21の他端21aに接続された一端を有しかつ長さEb及び幅Ewを有するメアンダ形状のデュアルバンド形成用インダクタ22(以下、インダクタ22という。)と、インダクタ22の他端22aに接続された一端を有しかつ長さEc及び幅Ewを有する平面導体23と、平面導体23の他端23aに接続された一端を有するメアンダ形状のインダクタ24とを含む。
【0026】
図2において、平面導体21のインダクタ22との接続点21aから平面導体21と一端2aと短絡導体板91とを介して、短絡導体板91の接地導体9との接続点91aまでの電気長が、実質的に周波数f1の波長の4分の1となるように設定され、第1のアンテナ素子を構成する。また、インダクタ24の他端である開放端24aからインダクタ24と平面導体23とインダクタ22と平面導体21と一端2aと短絡導体板91とを介して、短絡導体板91の接地導体9との接続点91aまでの電気長が、実質的に周波数f2(f2<f1)の波長の4分の1となるように設定され、第2のアンテナ素子を構成する。
【0027】
また、図5において、インダクタ22の折り返し回数と、ライン幅Laと、ライン間隔Saとは、インダクタ22が、共振周波数f1以上の周波数を有する信号を遮断し、かつ共振周波数f1未満の周波数を有する信号を通過させる高周波阻止用インダクタとして機能するように設定される。
【0028】
さらに、図5において、インダクタ24の折り返し回数と、ライン幅Lbと、ライン間隔Sbとは、インダクタ24が延長コイルとして動作するとともに、共振周波数f2を含む周波数帯域の広帯域化に寄与するように、それぞれ所定値に設定される。
【0029】
次に、本実施形態に係るアンテナ装置1及び比較例に係るアンテナ装置1PのVSWRのシミュレーション結果を示す。図6は、比較例に係るアンテナ装置1Pの斜視図であり、図7は、図6のアンテナ装置1Pの側面図であり、図8は、図6のアンテナ装置1Pの上面図である。また、図9は、図6の基板10の裏面図であり、図10は、図6の放射導体2Pの部分拡大図である。図6に示すように、比較例に係るアンテナ装置1Pは、本実施形態に係るアンテナ装置1に比較して、放射導体2に代えて、インダクタ24を備えない放射導体2Pを備えたことを特徴としており、他の構成は本実施形態に係るアンテナ装置1と同様である。すなわち、図9において、放射導体2Pは、基板10の裏面に、その長手方向が基板10の長手方向に対して平行となるように、導体パターンで印刷されている。ここで、図9において、放射導体2は、一端2aと給電点Qとを含みかつ長さEa及び幅Ewを有する平面導体21と、平面導体21の他端21aに接続された一端を有しかつ長さEb及び幅Ewを有するインダクタ22と、インダクタ22の他端22aに接続された一端を有しかつ長さEc及び幅Ewを有する平面導体23とを備えて構成される。ここで、平面導体23の他端23aは開放端である。
【0030】
図11は、図1のアンテナ装置1の2.5GHz近傍の電圧定在波比(VSWRのシミュレーション結果を示すグラフであり、図12は、図1のアンテナ装置1の5.5GHz近傍の電圧定在波比VSWRのシミュレーション結果を示すグラフである。また、図13は、図6のアンテナ装置1Pの2.5GHz近傍のVSWRのシミュレーション結果を示すグラフであり、図14は、図6のアンテナ装置1Pの5.5GHz近傍の電圧定在波比VSWRのシミュレーション結果を示すグラフである。さらに、図15は、図11から図14の各シミュレーション結果を算出するために用いられたアンテナ装置1及び1Pの各パラメータを示す表である。なお、図11〜図14のシミュレーションにおいて、共振周波数f1は5.5GHzに設定され、共振周波数f2は2.5GHzに設定された。また、基板10の厚さは0.8mmに設定された。さらに、アンテナ装置1及び1Pにおいて、インダクタ22の形状は、インダクタ22が、5.5GHz以上の周波数を有する信号を遮断し、5.5GHz未満の周波数を有する信号を通過させる高周波阻止用インダクタとして機能するように設定された。
【0031】
図12及び図14に示すように、周波数5.5GHz付近でVSWRが2以下となる周波数範囲は、アンテナ装置1とアンテナ装置1Pとで実質的に等しい。一方、図11及び図13に示すように、アンテナ装置1の放射導体2はインダクタ24を備えるので、アンテナ装置1において周波数2.5GHz付近でVSWRが2以下となる周波数範囲は、アンテナ装置1Pにおいて周波数2.5GHz付近でVSWRが2以下となる周波数範囲より約10%以上拡大した。
【0032】
以上説明したように、本実施形態によれば、アンテナ装置1の放射導体2の先端部分にインダクタ24を形成したので、インダクタ24を形成しない場合に比較して、共振周波数f2を含む周波数帯域の帯域幅を広げることができる。このため、例えば、2.3GHz帯、2.4GHz帯及び3.5GHz帯を含む2GHz帯、並びに5GHz帯のデュアルバンドをサポートし、かつ2GHz帯において従来技術に比較して広い帯域幅をサポートする小型のアンテナ装置を実現できる。このようなアンテナ装置は、IEEE802.11b/g及びIEEE802.11n/aの無線LANの通信規格及びWiMAXに準拠した無線通信装置を小型化するために有用である。また、本実施形態に係るアンテナ装置1は、ノート型パーソナルコンピュータなどの金属筐体への組み込みなどに対して、効果が期待できる。
【0033】
なお、本実施形態において、接地導体9を板金により形成したが、本発明はこれに限られず、接地導体9を金属などの基板により形成してもよい。さらに、本実施形態において、基板10を接地導体9に対して短絡導体板91及び支持板92を用いて固定したが、本発明はこれに限られず、アンテナ装置1全体をマルチレイヤの基板で作成してもよい。
【0034】
第1の実施形態の変形例.
図16は、本発明の第1の実施形態の変形例に係るアンテナ装置1Aの斜視図である。本変形例に係るアンテナ装置1Aは、第1の実施形態に係るアンテナ装置1に比較して、接地導体9に代えて接地導体9Aを備えたことを特徴としており、他の構成は第1の実施形態に係るアンテナ装置1と同様である。図16において、接地導体9Aは、PDA、ノート型パーソナルコンピュータ、及び携帯電話機などの携帯型の通信端末の金属筐体であり、上記金属筐体の角部に設けられた凹部9cを有する。基板10は、凹部9cの開口に嵌め込まれている。また、接地導体板91は、接地導体9Aに接触している。
【0035】
図16において、平面導体21のインダクタ22との接続点21aから平面導体21を介して一端2aまでの電気長が、実質的に周波数f1の波長の4分の1となるように設定され、第1のアンテナ素子を構成する。また、開放端24aからインダクタ24と平面導体23とインダクタ22と平面導体21とを介して一端2aまでの電気長が、実質的に周波数f2(f2<f1)の波長の4分の1となるように設定され、第2のアンテナ素子を構成する。
【0036】
本変形例によれば、放射導体23に、メアンダ形状を有するインダクタ24を接続したので、インダクタ24を接続しない場合に比較して、放射導体2の全長を短縮できる。このため、従来技術に比較して小型のアンテナ装置1Aを提供できる。さらに、放射導体2の全長を短縮することにより、放射導体2の開放端24aから接地導体9Aまでの距離を長くできるので、従来技術に比較して、共振周波数f2を含む周波数帯域の帯域幅を広げることができる。
【0037】
第2の実施形態.
図17は、本発明の第2の実施形態に係るアンテナ装置1Bの斜視図であり、図18は、図17のアンテナ装置1Bの上面図である。本実施形態に係るアンテナ装置1Bは、第1の実施形態の変形例に係る接地導体9Aと、基板10とを備えて構成される。図18に示すように、放射導体2Aは、基板10の上面に、導体パターンで印刷されており、平面導体21と、インダクタ22と、インダクタ24とを備えて構成される。ここで、平面導体21は、その長手方向が基板10の長手方向に対して平行となるように形成され、接地導体9Aに直接接続された一端2aと、他端21aと、同軸ケーブルに接続された給電点Qとを含む。また、インダクタ22は、一端2aから他端21aを見たときに放射導体2Aの右側に、その長手方向が基板10の長手方向に対して直交するように形成され、平面導体21の他端21aに接続された一端を有する。さらに、インダクタ24は、その長手方向が基板10の長手方向に対して直交するように形成され、インダクタ22の他端22aに接続された一端と他端である開放端24aとを有する。給電点Qの位置は、給電点Qからアンテナ装置1B全体を見たインピーダンスが、給電点Qから、当該給電点Qに接続された同軸ケーブル側を見たインピーダンスに一致するように設定される。
【0038】
図17において、平面導体21のインダクタ22との接続点21aから平面導体21を介して一端2aまでの電気長が、実質的に周波数f1の波長の4分の1となるように設定され、第1のアンテナ素子を構成する。また、開放端24aからインダクタ24とインダクタ22と平面導体21とを介して一端2aまでの電気長が、実質的に周波数f2(f2<f1)の波長の4分の1となるように設定され、第2のアンテナ素子を構成する。
【0039】
本実施形態によれば、アンテナ装置1Bの放射導体2Aの先端部分にインダクタ24を形成したので、インダクタ24を形成しない場合に比較して、第1の実施形態と同様に、共振周波数f2を含む周波数帯域の帯域幅を広げることができる。
【0040】
第3の実施形態.
図19は、本発明の第3の実施形態に係るアンテナ装置1Cの斜視図であり、図20は、図19のアンテナ装置1Cの上面図である。図19において、本実施形態に係るアンテナ装置1Cは、第1の実施形態の変形例に係る接地導体9Aと、基板10とを備えて構成される。無線通信回路に接続された同軸ケーブルを接続するための給電部3は、基板10の角部に設けられる。図20に示すように、放射導体2Bは、基板10の上面に、導体パターンで印刷されており、平面導体21と、インダクタ22と、インダクタ24と、短絡導体30とを備えて構成される。ここで、平面導体21は、その長手方向が基板10の長手方向に対して平行となるように形成され、給電点Qが設けられた一端2aと、他端21aとを有する。
【0041】
また、図20において、インダクタ22は、一端2aから他端21aを見たときに放射導体2Aの右側に、その長手方向が基板10の長手方向に対して直交するように形成され、平面導体21の他端部に接続された一端を有する。さらに、インダクタ24は、その長手方向が基板10の長手方向に対して直交するように形成され、インダクタ22の他端22aに接続された一端と他端である開放端24aとを有する。給電点Qの位置は、給電点Qからアンテナ装置1C全体を見たインピーダンスが、給電点Qから、当該給電点Qに接続された同軸ケーブル側を見たインピーダンスに一致するように設定される。短絡導体30はL字型の形状を有し、平面導体21に接続された一端と、接地導体9Aに直接接続された他端30aとを有し、かつ給電点Qが接地導体9Aから所定の間隔だけ離れるように形成される。
【0042】
図20において、平面導体21のインダクタ22との接続点21aから平面導体21と短絡導体30とを介して、短絡導体30と接地導体9Aとの間の接続点30aまでの電気長が、実質的に周波数f1の波長の4分の1となるように設定され、第1のアンテナ素子を構成する。また、開放端24aからインダクタ24とインダクタ22と平面導体21と短絡導体30とを介して一端30aまでの電気長が、実質的に周波数f2(f2<f1)の波長の4分の1となるように設定され、第2のアンテナ素子を構成する。
【0043】
本実施形態によれば、アンテナ装置1Bの放射導体2Bの先端部分にインダクタ24を形成したので、インダクタ24を形成しない場合に比較して、第1の実施形態と同様に、共振周波数f2を含む周波数帯域の帯域幅を広げることができる。
【0044】
なお、上記各実施形態及び変形例において、基板10と接地導体9又は9Aとの間の空間は空気によって満たされていた。しかしながら、本発明はこれに限られず、基板10と接地導体9又は9Aとの間に誘電体を挟設してもよい。これにより、より低背のアンテナ装置を実現できる。
【0045】
さらに、上記各実施形態において、誘電体基板10を用いたが、本発明はこれに限られず、半導体基板を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上説明したように、第1の発明に係るアンテナ装置において、接地導体に対向する基板上に形成された放射導体は、短絡導体の他端に接続された一端を有しかつ接地導体から所定の間隔だけ離れた位置に設けられた給電点を含む第1の導体と、第1の導体の他端に接続された一端を有するメアンダ形状の第1のインダクタと、第1のインダクタの他端に接続された一端を有する第2の導体と、第2の導体の他端に接続された一端と、開放端である他端とを有するメアンダ形状の第2のインダクタとを備えて構成される。
【0047】
また、第2の発明に係るアンテナ装置において、接地導体に対向する基板上に形成された放射導体は、接地導体に直接接続された一端を有しかつ接地導体から所定の間隔だけ離れた位置に設けられた給電点を含む第1の導体と、第1の導体の他端に接続された一端を有するメアンダ形状の第1のインダクタと、第1のインダクタの他端に接続された一端と、開放端である他端とを有するメアンダ形状の第2のインダクタとを備えて構成される。
【0048】
さらに、第3の発明に係るアンテナ装置において、接地導体に対向する基板上に形成された放射導体は、給電点が設けられた一端を有する第1の導体と、第1の導体の他端に接続された一端を有するメアンダ形状の第1のインダクタと、第1のインダクタの他端に接続された一端と、開放端である他端とを有するメアンダ形状の第2のインダクタと、接地導体に直接接続された一端と放射導体に接続された他端とを有し、かつ給電点が接地導体から所定の間隔だけ離れるように形成された短絡導体とを備えて構成される。
【0049】
従って、第1〜第3の発明に係る各アンテナ装置の放射導体は、開放端を有する第2のインダクタを備えるので、2つの周波数帯域をサポートし、かつ2つの周波数帯域のうちの低い方の周波数帯域を従来技術に比較して広げることができるアンテナ装置を提供できる。
【0050】
本発明に係るアンテナ装置は、無線通信を行う家電製品、パーソナルコンピュータ、及びその他の産業機器のためのアンテナ装置として有用である。
【符号の説明】
【0051】
1,1A,1B,1C…アンテナ装置、
2,2A,2B…放射導体、
9,9A…接地導体、
9c…凹部、
10…誘電体基板、
21…平面導体、
22…デュアルバンド形成用インダクタ、
23…平面導体、
24…インダクタ、
30…短絡導体、
91…短絡導体板、
92…支持板、
Q…給電点。
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置のためのアンテナ装置に関し、特に、デュアルバンドの逆F型アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
PDA(Personal Data Assistance)、ノート型パーソナルコンピュータ、及び携帯電話機などの携帯型の通信端末に搭載されるアンテナ装置は、小型であることが要求される。さらに、近年、このようなアンテナ装置は、IEEE802.11b/g/nなどの無線LAN(Local Area Network)の通信規格に加えて、WiMAX(Worldwide interoperability for Microwave Access)と呼ばれる新しい無線通信規格にも準拠することが要求されている。特許文献1〜3は、このような要求に応えるアンテナ装置として、逆F型アンテナ装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−199204号公報。
【特許文献2】特開2003−158419号公報。
【特許文献3】特開昭61−238107号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
WiMAXは、無線LANの通信規格であるIEEE802.11nと同様に、MIMO(Multiple Input Multiple output)技術を応用した通信規格である。従って、WiMAXに準拠した無線通信部とIEEE802.11b/g/nなどの無線LANの通信規格に準拠した無線通信部とを備えた通信機器を設計する場合、2つの無線通信部が1つの変復調部を共用するように設計することは容易である。
【0005】
ここで、IEEE802.11b/gは、2402MHzから2482MHzまでの2.4GHz帯の周波数帯域を用いる無線LANの通信規格であり、当該通信規格において使用可能な帯域幅は約80MHzである。さらに、この周波数帯域に、日本国内のみでIEEE802.11bにおいて利用できる14チャンネル目の周波数帯域を加えた場合は、使用可能な帯域幅は約90MHzである。一方、WiMAXにおいて用いられる周波数帯域は、2.4GHz帯の周波数帯域を用いる無線LANの通信規格において用いられる周波数帯域とは異なり、さらに、国毎にも異なる。このため、パワーアンプ、ローノイズアンプ、トランシーバー及びアンテナなどの高周波部を、上述した2つの無線通信部で共用する場合、この高周波部は、2.4GHz帯の周波数帯域を用いる無線LANの通信規格のみに準拠した無線通信部において処理される無線信号の周波数範囲(約90MHz)よりも広い、約600MHzの周波数範囲の無線信号をサポートする必要がある。
【0006】
さらに、市場に流通している無線LANのための多くの通信機器は、IEEE802.11b/gなどの2.4GHz帯を用いる通信規格に加えて、約800MHzのより広い帯域幅を有する5GHz帯を用いるIEEE802.11n/aの各通信規格にも準拠している。このため、上述した高周波部は、2.4GHz帯の周波数帯域を用いる無線LANの通信規格のみに準拠した無線通信部の高周波部に比較して、2GHz帯及び5GHz帯のデュアルバンドをサポートし、かつ2GHz帯においてより広い帯域幅をサポートすることが要求される。
【0007】
また、WiMAXは、屋外において無線通信を利用するために定められた規格であるため、主に、PDA及びノート型パーソナルコンピュータなどの携帯型の通信端末に搭載される。このため、当然ながら、WiMAX及び無線LANの両方の通信規格に準拠した単一の小型のアンテナ装置に対するニーズが非常に高い。しかしながら、2GHz帯及び5GHz帯の両方の周波数帯域において、上述したように広い帯域幅をサポートすることは、技術的に困難であった。
【0008】
例えば、広い範囲の周波数帯域において、アンテナの入力インピーダンスを給電線路の特性インピーダンスに整合させるために、特許文献2記載の逆F型アンテナ装置において、アンテナエレメントは給電用導体と放射用導体とが別個に設けられた二重構造を有し、給電線路から放射用導体に直接給電することなく、給電線路から給電用導体を介して放射用導体に給電する。しかしながら、特許文献2記載の逆F型アンテナ装置の場合、板状の給電用導体を板状の放射用導体と接地導体との間に設ける(特許文献2の図2参照。)ために、セラミックなどの誘電体に、印刷などの方法により複数の板状導体を形成する必要がある。このため、特許文献2記載の逆F型アンテナ装置の製造は容易ではなかった。また、アンテナエレメントとアンテナ基板の接地導体とは所定の間隔だけ離隔している必要があるので、水平面に平行にアンテナ基板を設けると、アンテナ装置は上述した間隔以上の高さを有することになる。特許文献2記載の逆F型アンテナ装置は、より低背であり、かつ水平に広がる指向特性を持つことが仕様として要求される、薄型のノート型パーソナルコンピュータ及びDVDプレーヤなどの電子機器に搭載するためのアンテナ装置には不向きであった。
【0009】
本発明の目的は以上の問題点を解決し、2つの周波数帯域をサポートし、かつ2つの周波数帯域のうちの低い方の周波数帯域を従来技術に比較して広げることができるアンテナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明に係るアンテナ装置は、
接地導体と、
上記接地導体に接続された一端を有する短絡導体と、
上記接地導体に対向する基板上に形成された放射導体とを備えたアンテナ装置であって、
上記放射導体は、
上記短絡導体の他端に接続された一端を有しかつ上記接地導体から所定の間隔だけ離れた位置に設けられた給電点を含む第1の導体と、
上記第1の導体の他端に接続された一端を有するメアンダ形状の第1のインダクタと、
上記第1のインダクタの他端に接続された一端を有する第2の導体と、
上記第2の導体の他端に接続された一端と、開放端である他端とを有するメアンダ形状の第2のインダクタとを備えたことを特徴とする。
【0011】
上記アンテナ装置は、第1及び第2の共振周波数を有し、
上記第1の共振周波数は、上記第1の導体と上記短絡導体の各長さの和により設定され、
上記第2の共振周波数は、上記第2のインダクタと上記第2の導体と上記第1のインダクタと上記第1の導体と上記短絡導体の各長さの和により設定されたことを特徴とする。
【0012】
第2の発明に係るアンテナ装置は、
接地導体と、
上記接地導体に対向する基板上に形成された放射導体とを備えたアンテナ装置であって、
上記放射導体は、
上記接地導体に直接接続された一端を有しかつ上記接地導体から所定の間隔だけ離れた位置に設けられた給電点を含む第1の導体と、
上記第1の導体の他端に接続された一端を有するメアンダ形状の第1のインダクタと、
上記第1のインダクタの他端に接続された一端と、開放端である他端とを有するメアンダ形状の第2のインダクタとを備えたことを特徴とする。
【0013】
上記アンテナ装置は、第1及び第2の共振周波数を有し、
上記第1の共振周波数は、上記第1の導体の長さにより設定され、
上記第2の共振周波数は、上記第2のインダクタと上記第1のインダクタと上記第1の導体の各長さの和により設定されたことを特徴とする。
【0014】
第3の発明に係るアンテナ装置は、
接地導体と、
上記接地導体に対向する基板上に形成された放射導体とを備えたアンテナ装置であって、
上記放射導体は、
給電点が設けられた一端を有する第1の導体と、
上記第1の導体の他端に接続された一端を有するメアンダ形状の第1のインダクタと、
上記第1のインダクタの他端に接続された一端と、開放端である他端とを有するメアンダ形状の第2のインダクタと、
上記接地導体に直接接続された一端と上記放射導体に接続された他端とを有し、かつ上記給電点が上記接地導体から所定の間隔だけ離れるように形成された短絡導体とを備えたことを特徴とする。
【0015】
上記アンテナ装置は、第1及び第2の共振周波数を有し、
上記第1の共振周波数は、上記第1の導体と上記短絡導体の各長さの和により設定され、
上記第2の共振周波数は、上記第2のインダクタと上記第1のインダクタと上記第1の導体と上記短絡導体の各長さの和により設定されたことを特徴とする。
【0016】
上記アンテナ装置において、
上記接地導体は凹部を有し、
上記基板は上記凹部の開口部に設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
第1の発明に係るアンテナ装置において、接地導体に対向する基板上に形成された放射導体は、短絡導体の他端に接続された一端を有しかつ接地導体から所定の間隔だけ離れた位置に設けられた給電点を含む第1の導体と、第1の導体の他端に接続された一端を有するメアンダ形状の第1のインダクタと、第1のインダクタの他端に接続された一端を有する第2の導体と、第2の導体の他端に接続された一端と、開放端である他端とを有するメアンダ形状の第2のインダクタとを備えて構成される。
【0018】
また、第2の発明に係るアンテナ装置において、接地導体に対向する基板上に形成された放射導体は、接地導体に直接接続された一端を有しかつ接地導体から所定の間隔だけ離れた位置に設けられた給電点を含む第1の導体と、第1の導体の他端に接続された一端を有するメアンダ形状の第1のインダクタと、第1のインダクタの他端に接続された一端と、開放端である他端とを有するメアンダ形状の第2のインダクタとを備えて構成される。
【0019】
さらに、第3の発明に係るアンテナ装置において、接地導体に対向する基板上に形成された放射導体は、給電点が設けられた一端を有する第1の導体と、第1の導体の他端に接続された一端を有するメアンダ形状の第1のインダクタと、第1のインダクタの他端に接続された一端と、開放端である他端とを有するメアンダ形状の第2のインダクタと、接地導体に直接接続された一端と放射導体に接続された他端とを有し、かつ給電点が接地導体から所定の間隔だけ離れるように形成された短絡導体とを備えて構成される。
【0020】
従って、第1〜第3の発明に係る各アンテナ装置の放射導体は、開放端を有する第2のインダクタを備えるので、2つの周波数帯域をサポートし、かつ2つの周波数帯域のうちの低い方の周波数帯域を従来技術に比較して広げることができるアンテナ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置1の斜視図である。
【図2】図1のアンテナ装置1の側面図である。
【図3】図1のアンテナ装置1の上面図である。
【図4】図1の基板10の裏面図である。
【図5】図1の放射導体2の部分拡大図である。
【図6】比較例に係るアンテナ装置1Pの斜視図である。
【図7】図6のアンテナ装置1Pの側面図である。
【図8】図6のアンテナ装置1Pの上面図である。
【図9】図6の基板10の裏面図である。
【図10】図6の放射導体2Pの部分拡大図である。
【図11】図1のアンテナ装置1の2.5GHz近傍の電圧定在波比(Voltage Standing Wave Ratio。以下、VSWRという。)のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図12】図1のアンテナ装置1の5.5GHz近傍の電圧定在波比VSWRのシミュレーション結果を示すグラフである。
【図13】図6のアンテナ装置1Pの2.5GHz近傍のVSWRのシミュレーション結果を示すグラフである。
【図14】図6のアンテナ装置1Pの5.5GHz近傍の電圧定在波比VSWRのシミュレーション結果を示すグラフである。
【図15】図11から図14の各シミュレーション結果を算出するために用いられたアンテナ装置1及び1Pの各パラメータを示す表である。
【図16】本発明の第1の実施形態の変形例に係るアンテナ装置1Aの斜視図である。
【図17】本発明の第2の実施形態に係るアンテナ装置1Bの斜視図である。
【図18】図17のアンテナ装置1Bの上面図である。
【図19】本発明の第3の実施形態に係るアンテナ装置1Cの斜視図である。
【図20】図19のアンテナ装置1Cの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
【0023】
第1の実施形態.
図1は、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置1の斜視図であり、図2は、図1のアンテナ装置1の側面図であり、図3は、図1のアンテナ装置1の上面図である。また、図4は、図1の基板10の裏面図であり、図5は、図1の放射導体2の部分拡大図である。
【0024】
図1において、アンテナ装置1は、PDA、ノート型パーソナルコンピュータ、及び携帯電話機などの携帯型の通信端末に搭載され、かつ共振周波数f1及びf2(ただし、f2<f1である。)で共振するデュアルバンドの板状逆F型アンテナ装置である。アンテナ装置1は、例えばガラスエポキシ基板(FR4(Flame Retardant Type 4)基板)である誘電体基板10(以下、基板10という。)と、例えば銅などの金属の角柱から板金により形成されたブロック状の接地導体9と、例えば銅板である短絡導体板91と、同軸ケーブルを内蔵しかつ誘電体にてなる支持板92とを備えて構成される。ここで、接地導体9は上述した通信端末の金属筐体の一部である。短絡導体板91の一端91aは接地導体9に電気的に接続されて固定されている。また、支持板92は接地導体9に固定されている。支持板92内の同軸ケーブルの中心導体の一端は無線通信回路に接続される一方、その他端は放射導体2の給電点Qに接続される。さらに、支持板92内の同軸ケーブルの接地導体は接地導体9に接続されている。
【0025】
図4に示すように、放射導体2は、基板10の裏面に、その長手方向が基板10の長手方向に対して平行となるように、導体パターンで印刷されている。ここで、放射導体2は、短絡導体板91を介して接地導体9に電気的に接続された一端2aと給電点Qとを有する。給電点Qの位置は、給電点Qからアンテナ装置1全体を見たインピーダンスが、給電点Qから支持板92内の同軸ケーブル側を見たインピーダンスに一致するように設定される。さらに、図4において、放射導体2は、一端2aと給電点Qとを含みかつ長さEa及び幅Ewを有する平面導体21と、平面導体21の他端21aに接続された一端を有しかつ長さEb及び幅Ewを有するメアンダ形状のデュアルバンド形成用インダクタ22(以下、インダクタ22という。)と、インダクタ22の他端22aに接続された一端を有しかつ長さEc及び幅Ewを有する平面導体23と、平面導体23の他端23aに接続された一端を有するメアンダ形状のインダクタ24とを含む。
【0026】
図2において、平面導体21のインダクタ22との接続点21aから平面導体21と一端2aと短絡導体板91とを介して、短絡導体板91の接地導体9との接続点91aまでの電気長が、実質的に周波数f1の波長の4分の1となるように設定され、第1のアンテナ素子を構成する。また、インダクタ24の他端である開放端24aからインダクタ24と平面導体23とインダクタ22と平面導体21と一端2aと短絡導体板91とを介して、短絡導体板91の接地導体9との接続点91aまでの電気長が、実質的に周波数f2(f2<f1)の波長の4分の1となるように設定され、第2のアンテナ素子を構成する。
【0027】
また、図5において、インダクタ22の折り返し回数と、ライン幅Laと、ライン間隔Saとは、インダクタ22が、共振周波数f1以上の周波数を有する信号を遮断し、かつ共振周波数f1未満の周波数を有する信号を通過させる高周波阻止用インダクタとして機能するように設定される。
【0028】
さらに、図5において、インダクタ24の折り返し回数と、ライン幅Lbと、ライン間隔Sbとは、インダクタ24が延長コイルとして動作するとともに、共振周波数f2を含む周波数帯域の広帯域化に寄与するように、それぞれ所定値に設定される。
【0029】
次に、本実施形態に係るアンテナ装置1及び比較例に係るアンテナ装置1PのVSWRのシミュレーション結果を示す。図6は、比較例に係るアンテナ装置1Pの斜視図であり、図7は、図6のアンテナ装置1Pの側面図であり、図8は、図6のアンテナ装置1Pの上面図である。また、図9は、図6の基板10の裏面図であり、図10は、図6の放射導体2Pの部分拡大図である。図6に示すように、比較例に係るアンテナ装置1Pは、本実施形態に係るアンテナ装置1に比較して、放射導体2に代えて、インダクタ24を備えない放射導体2Pを備えたことを特徴としており、他の構成は本実施形態に係るアンテナ装置1と同様である。すなわち、図9において、放射導体2Pは、基板10の裏面に、その長手方向が基板10の長手方向に対して平行となるように、導体パターンで印刷されている。ここで、図9において、放射導体2は、一端2aと給電点Qとを含みかつ長さEa及び幅Ewを有する平面導体21と、平面導体21の他端21aに接続された一端を有しかつ長さEb及び幅Ewを有するインダクタ22と、インダクタ22の他端22aに接続された一端を有しかつ長さEc及び幅Ewを有する平面導体23とを備えて構成される。ここで、平面導体23の他端23aは開放端である。
【0030】
図11は、図1のアンテナ装置1の2.5GHz近傍の電圧定在波比(VSWRのシミュレーション結果を示すグラフであり、図12は、図1のアンテナ装置1の5.5GHz近傍の電圧定在波比VSWRのシミュレーション結果を示すグラフである。また、図13は、図6のアンテナ装置1Pの2.5GHz近傍のVSWRのシミュレーション結果を示すグラフであり、図14は、図6のアンテナ装置1Pの5.5GHz近傍の電圧定在波比VSWRのシミュレーション結果を示すグラフである。さらに、図15は、図11から図14の各シミュレーション結果を算出するために用いられたアンテナ装置1及び1Pの各パラメータを示す表である。なお、図11〜図14のシミュレーションにおいて、共振周波数f1は5.5GHzに設定され、共振周波数f2は2.5GHzに設定された。また、基板10の厚さは0.8mmに設定された。さらに、アンテナ装置1及び1Pにおいて、インダクタ22の形状は、インダクタ22が、5.5GHz以上の周波数を有する信号を遮断し、5.5GHz未満の周波数を有する信号を通過させる高周波阻止用インダクタとして機能するように設定された。
【0031】
図12及び図14に示すように、周波数5.5GHz付近でVSWRが2以下となる周波数範囲は、アンテナ装置1とアンテナ装置1Pとで実質的に等しい。一方、図11及び図13に示すように、アンテナ装置1の放射導体2はインダクタ24を備えるので、アンテナ装置1において周波数2.5GHz付近でVSWRが2以下となる周波数範囲は、アンテナ装置1Pにおいて周波数2.5GHz付近でVSWRが2以下となる周波数範囲より約10%以上拡大した。
【0032】
以上説明したように、本実施形態によれば、アンテナ装置1の放射導体2の先端部分にインダクタ24を形成したので、インダクタ24を形成しない場合に比較して、共振周波数f2を含む周波数帯域の帯域幅を広げることができる。このため、例えば、2.3GHz帯、2.4GHz帯及び3.5GHz帯を含む2GHz帯、並びに5GHz帯のデュアルバンドをサポートし、かつ2GHz帯において従来技術に比較して広い帯域幅をサポートする小型のアンテナ装置を実現できる。このようなアンテナ装置は、IEEE802.11b/g及びIEEE802.11n/aの無線LANの通信規格及びWiMAXに準拠した無線通信装置を小型化するために有用である。また、本実施形態に係るアンテナ装置1は、ノート型パーソナルコンピュータなどの金属筐体への組み込みなどに対して、効果が期待できる。
【0033】
なお、本実施形態において、接地導体9を板金により形成したが、本発明はこれに限られず、接地導体9を金属などの基板により形成してもよい。さらに、本実施形態において、基板10を接地導体9に対して短絡導体板91及び支持板92を用いて固定したが、本発明はこれに限られず、アンテナ装置1全体をマルチレイヤの基板で作成してもよい。
【0034】
第1の実施形態の変形例.
図16は、本発明の第1の実施形態の変形例に係るアンテナ装置1Aの斜視図である。本変形例に係るアンテナ装置1Aは、第1の実施形態に係るアンテナ装置1に比較して、接地導体9に代えて接地導体9Aを備えたことを特徴としており、他の構成は第1の実施形態に係るアンテナ装置1と同様である。図16において、接地導体9Aは、PDA、ノート型パーソナルコンピュータ、及び携帯電話機などの携帯型の通信端末の金属筐体であり、上記金属筐体の角部に設けられた凹部9cを有する。基板10は、凹部9cの開口に嵌め込まれている。また、接地導体板91は、接地導体9Aに接触している。
【0035】
図16において、平面導体21のインダクタ22との接続点21aから平面導体21を介して一端2aまでの電気長が、実質的に周波数f1の波長の4分の1となるように設定され、第1のアンテナ素子を構成する。また、開放端24aからインダクタ24と平面導体23とインダクタ22と平面導体21とを介して一端2aまでの電気長が、実質的に周波数f2(f2<f1)の波長の4分の1となるように設定され、第2のアンテナ素子を構成する。
【0036】
本変形例によれば、放射導体23に、メアンダ形状を有するインダクタ24を接続したので、インダクタ24を接続しない場合に比較して、放射導体2の全長を短縮できる。このため、従来技術に比較して小型のアンテナ装置1Aを提供できる。さらに、放射導体2の全長を短縮することにより、放射導体2の開放端24aから接地導体9Aまでの距離を長くできるので、従来技術に比較して、共振周波数f2を含む周波数帯域の帯域幅を広げることができる。
【0037】
第2の実施形態.
図17は、本発明の第2の実施形態に係るアンテナ装置1Bの斜視図であり、図18は、図17のアンテナ装置1Bの上面図である。本実施形態に係るアンテナ装置1Bは、第1の実施形態の変形例に係る接地導体9Aと、基板10とを備えて構成される。図18に示すように、放射導体2Aは、基板10の上面に、導体パターンで印刷されており、平面導体21と、インダクタ22と、インダクタ24とを備えて構成される。ここで、平面導体21は、その長手方向が基板10の長手方向に対して平行となるように形成され、接地導体9Aに直接接続された一端2aと、他端21aと、同軸ケーブルに接続された給電点Qとを含む。また、インダクタ22は、一端2aから他端21aを見たときに放射導体2Aの右側に、その長手方向が基板10の長手方向に対して直交するように形成され、平面導体21の他端21aに接続された一端を有する。さらに、インダクタ24は、その長手方向が基板10の長手方向に対して直交するように形成され、インダクタ22の他端22aに接続された一端と他端である開放端24aとを有する。給電点Qの位置は、給電点Qからアンテナ装置1B全体を見たインピーダンスが、給電点Qから、当該給電点Qに接続された同軸ケーブル側を見たインピーダンスに一致するように設定される。
【0038】
図17において、平面導体21のインダクタ22との接続点21aから平面導体21を介して一端2aまでの電気長が、実質的に周波数f1の波長の4分の1となるように設定され、第1のアンテナ素子を構成する。また、開放端24aからインダクタ24とインダクタ22と平面導体21とを介して一端2aまでの電気長が、実質的に周波数f2(f2<f1)の波長の4分の1となるように設定され、第2のアンテナ素子を構成する。
【0039】
本実施形態によれば、アンテナ装置1Bの放射導体2Aの先端部分にインダクタ24を形成したので、インダクタ24を形成しない場合に比較して、第1の実施形態と同様に、共振周波数f2を含む周波数帯域の帯域幅を広げることができる。
【0040】
第3の実施形態.
図19は、本発明の第3の実施形態に係るアンテナ装置1Cの斜視図であり、図20は、図19のアンテナ装置1Cの上面図である。図19において、本実施形態に係るアンテナ装置1Cは、第1の実施形態の変形例に係る接地導体9Aと、基板10とを備えて構成される。無線通信回路に接続された同軸ケーブルを接続するための給電部3は、基板10の角部に設けられる。図20に示すように、放射導体2Bは、基板10の上面に、導体パターンで印刷されており、平面導体21と、インダクタ22と、インダクタ24と、短絡導体30とを備えて構成される。ここで、平面導体21は、その長手方向が基板10の長手方向に対して平行となるように形成され、給電点Qが設けられた一端2aと、他端21aとを有する。
【0041】
また、図20において、インダクタ22は、一端2aから他端21aを見たときに放射導体2Aの右側に、その長手方向が基板10の長手方向に対して直交するように形成され、平面導体21の他端部に接続された一端を有する。さらに、インダクタ24は、その長手方向が基板10の長手方向に対して直交するように形成され、インダクタ22の他端22aに接続された一端と他端である開放端24aとを有する。給電点Qの位置は、給電点Qからアンテナ装置1C全体を見たインピーダンスが、給電点Qから、当該給電点Qに接続された同軸ケーブル側を見たインピーダンスに一致するように設定される。短絡導体30はL字型の形状を有し、平面導体21に接続された一端と、接地導体9Aに直接接続された他端30aとを有し、かつ給電点Qが接地導体9Aから所定の間隔だけ離れるように形成される。
【0042】
図20において、平面導体21のインダクタ22との接続点21aから平面導体21と短絡導体30とを介して、短絡導体30と接地導体9Aとの間の接続点30aまでの電気長が、実質的に周波数f1の波長の4分の1となるように設定され、第1のアンテナ素子を構成する。また、開放端24aからインダクタ24とインダクタ22と平面導体21と短絡導体30とを介して一端30aまでの電気長が、実質的に周波数f2(f2<f1)の波長の4分の1となるように設定され、第2のアンテナ素子を構成する。
【0043】
本実施形態によれば、アンテナ装置1Bの放射導体2Bの先端部分にインダクタ24を形成したので、インダクタ24を形成しない場合に比較して、第1の実施形態と同様に、共振周波数f2を含む周波数帯域の帯域幅を広げることができる。
【0044】
なお、上記各実施形態及び変形例において、基板10と接地導体9又は9Aとの間の空間は空気によって満たされていた。しかしながら、本発明はこれに限られず、基板10と接地導体9又は9Aとの間に誘電体を挟設してもよい。これにより、より低背のアンテナ装置を実現できる。
【0045】
さらに、上記各実施形態において、誘電体基板10を用いたが、本発明はこれに限られず、半導体基板を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上説明したように、第1の発明に係るアンテナ装置において、接地導体に対向する基板上に形成された放射導体は、短絡導体の他端に接続された一端を有しかつ接地導体から所定の間隔だけ離れた位置に設けられた給電点を含む第1の導体と、第1の導体の他端に接続された一端を有するメアンダ形状の第1のインダクタと、第1のインダクタの他端に接続された一端を有する第2の導体と、第2の導体の他端に接続された一端と、開放端である他端とを有するメアンダ形状の第2のインダクタとを備えて構成される。
【0047】
また、第2の発明に係るアンテナ装置において、接地導体に対向する基板上に形成された放射導体は、接地導体に直接接続された一端を有しかつ接地導体から所定の間隔だけ離れた位置に設けられた給電点を含む第1の導体と、第1の導体の他端に接続された一端を有するメアンダ形状の第1のインダクタと、第1のインダクタの他端に接続された一端と、開放端である他端とを有するメアンダ形状の第2のインダクタとを備えて構成される。
【0048】
さらに、第3の発明に係るアンテナ装置において、接地導体に対向する基板上に形成された放射導体は、給電点が設けられた一端を有する第1の導体と、第1の導体の他端に接続された一端を有するメアンダ形状の第1のインダクタと、第1のインダクタの他端に接続された一端と、開放端である他端とを有するメアンダ形状の第2のインダクタと、接地導体に直接接続された一端と放射導体に接続された他端とを有し、かつ給電点が接地導体から所定の間隔だけ離れるように形成された短絡導体とを備えて構成される。
【0049】
従って、第1〜第3の発明に係る各アンテナ装置の放射導体は、開放端を有する第2のインダクタを備えるので、2つの周波数帯域をサポートし、かつ2つの周波数帯域のうちの低い方の周波数帯域を従来技術に比較して広げることができるアンテナ装置を提供できる。
【0050】
本発明に係るアンテナ装置は、無線通信を行う家電製品、パーソナルコンピュータ、及びその他の産業機器のためのアンテナ装置として有用である。
【符号の説明】
【0051】
1,1A,1B,1C…アンテナ装置、
2,2A,2B…放射導体、
9,9A…接地導体、
9c…凹部、
10…誘電体基板、
21…平面導体、
22…デュアルバンド形成用インダクタ、
23…平面導体、
24…インダクタ、
30…短絡導体、
91…短絡導体板、
92…支持板、
Q…給電点。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接地導体と、
上記接地導体に接続された一端を有する短絡導体と、
上記接地導体に対向する基板上に形成された放射導体とを備えたアンテナ装置であって、
上記放射導体は、
上記短絡導体の他端に接続された一端を有しかつ上記接地導体から所定の間隔だけ離れた位置に設けられた給電点を含む第1の導体と、
上記第1の導体の他端に接続された一端を有するメアンダ形状の第1のインダクタと、
上記第1のインダクタの他端に接続された一端を有する第2の導体と、
上記第2の導体の他端に接続された一端と、開放端である他端とを有するメアンダ形状の第2のインダクタとを備えたことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
上記アンテナ装置は、第1及び第2の共振周波数を有し、
上記第1の共振周波数は、上記第1の導体と上記短絡導体の各長さの和により設定され、
上記第2の共振周波数は、上記第2のインダクタと上記第2の導体と上記第1のインダクタと上記第1の導体と上記短絡導体の各長さの和により設定されたことを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項3】
接地導体と、
上記接地導体に対向する基板上に形成された放射導体とを備えたアンテナ装置であって、
上記放射導体は、
上記接地導体に直接接続された一端を有しかつ上記接地導体から所定の間隔だけ離れた位置に設けられた給電点を含む第1の導体と、
上記第1の導体の他端に接続された一端を有するメアンダ形状の第1のインダクタと、
上記第1のインダクタの他端に接続された一端と、開放端である他端とを有するメアンダ形状の第2のインダクタとを備えたことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項4】
上記アンテナ装置は、第1及び第2の共振周波数を有し、
上記第1の共振周波数は、上記第1の導体の長さにより設定され、
上記第2の共振周波数は、上記第2のインダクタと上記第1のインダクタと上記第1の導体の各長さの和により設定されたことを特徴とする請求項3記載のアンテナ装置。
【請求項5】
接地導体と、
上記接地導体に対向する基板上に形成された放射導体とを備えたアンテナ装置であって、
上記放射導体は、
給電点が設けられた一端を有する第1の導体と、
上記第1の導体の他端に接続された一端を有するメアンダ形状の第1のインダクタと、
上記第1のインダクタの他端に接続された一端と、開放端である他端とを有するメアンダ形状の第2のインダクタと、
上記接地導体に直接接続された一端と上記放射導体に接続された他端とを有し、かつ上記給電点が上記接地導体から所定の間隔だけ離れるように形成された短絡導体とを備えたことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項6】
上記アンテナ装置は、第1及び第2の共振周波数を有し、
上記第1の共振周波数は、上記第1の導体と上記短絡導体の各長さの和により設定され、
上記第2の共振周波数は、上記第2のインダクタと上記第1のインダクタと上記第1の導体と上記短絡導体の各長さの和により設定されたことを特徴とする請求項5記載のアンテナ装置。
【請求項7】
上記接地導体は凹部を有し、
上記基板は上記凹部の開口部に設けられたことを特徴とする請求項1から6のうちのいずれか1つに記載のアンテナ装置。
【請求項1】
接地導体と、
上記接地導体に接続された一端を有する短絡導体と、
上記接地導体に対向する基板上に形成された放射導体とを備えたアンテナ装置であって、
上記放射導体は、
上記短絡導体の他端に接続された一端を有しかつ上記接地導体から所定の間隔だけ離れた位置に設けられた給電点を含む第1の導体と、
上記第1の導体の他端に接続された一端を有するメアンダ形状の第1のインダクタと、
上記第1のインダクタの他端に接続された一端を有する第2の導体と、
上記第2の導体の他端に接続された一端と、開放端である他端とを有するメアンダ形状の第2のインダクタとを備えたことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
上記アンテナ装置は、第1及び第2の共振周波数を有し、
上記第1の共振周波数は、上記第1の導体と上記短絡導体の各長さの和により設定され、
上記第2の共振周波数は、上記第2のインダクタと上記第2の導体と上記第1のインダクタと上記第1の導体と上記短絡導体の各長さの和により設定されたことを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項3】
接地導体と、
上記接地導体に対向する基板上に形成された放射導体とを備えたアンテナ装置であって、
上記放射導体は、
上記接地導体に直接接続された一端を有しかつ上記接地導体から所定の間隔だけ離れた位置に設けられた給電点を含む第1の導体と、
上記第1の導体の他端に接続された一端を有するメアンダ形状の第1のインダクタと、
上記第1のインダクタの他端に接続された一端と、開放端である他端とを有するメアンダ形状の第2のインダクタとを備えたことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項4】
上記アンテナ装置は、第1及び第2の共振周波数を有し、
上記第1の共振周波数は、上記第1の導体の長さにより設定され、
上記第2の共振周波数は、上記第2のインダクタと上記第1のインダクタと上記第1の導体の各長さの和により設定されたことを特徴とする請求項3記載のアンテナ装置。
【請求項5】
接地導体と、
上記接地導体に対向する基板上に形成された放射導体とを備えたアンテナ装置であって、
上記放射導体は、
給電点が設けられた一端を有する第1の導体と、
上記第1の導体の他端に接続された一端を有するメアンダ形状の第1のインダクタと、
上記第1のインダクタの他端に接続された一端と、開放端である他端とを有するメアンダ形状の第2のインダクタと、
上記接地導体に直接接続された一端と上記放射導体に接続された他端とを有し、かつ上記給電点が上記接地導体から所定の間隔だけ離れるように形成された短絡導体とを備えたことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項6】
上記アンテナ装置は、第1及び第2の共振周波数を有し、
上記第1の共振周波数は、上記第1の導体と上記短絡導体の各長さの和により設定され、
上記第2の共振周波数は、上記第2のインダクタと上記第1のインダクタと上記第1の導体と上記短絡導体の各長さの和により設定されたことを特徴とする請求項5記載のアンテナ装置。
【請求項7】
上記接地導体は凹部を有し、
上記基板は上記凹部の開口部に設けられたことを特徴とする請求項1から6のうちのいずれか1つに記載のアンテナ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−161002(P2012−161002A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20524(P2011−20524)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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