説明

アンテナ装置

【課題】 複数のアンテナエレメントに効果的に高周波電流を流すことができると共に、周辺部品の影響を抑制することができるアンテナ装置を提供すること。
【解決手段】 基板本体と、基板本体にパターン形成されたグランド面GNDと複数のアンテナエレメントEL1〜EL4とを備え、複数のアンテナエレメントが、給電点FPから互いに別の2方向に向けて延在する第1延在部E1及び第6延在部E6のいずれかに分かれてこれらに接続され、基端がグランド面に接続されていると共に先端が第1延在部の途中に接続された第1グランド接続部と、基端がグランド面に接続されていると共に先端が第6延在部の途中に接続された第2グランド接続部と、第1基端部と第2基端部とを連結して延在する連結パターンL1とを備え、給電点の近傍に、連結パターンと第1延在部と第6延在部との間で環状の開口パターン部S1が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数共振化が可能なアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通信機器において、アンテナの共振周波数を複共振化するためには、放射電極と誘電体ブロックとを備えたアンテナや、スイッチ,制御電圧源を用いたアンテナ装置が提案されている。
例えば、誘電体ブロックによる従来技術としては、特許文献1では、放射電極を樹脂成型体に形成し、さらに誘電体ブロックを接着剤で一体化することで高効率を得る複合アンテナが提案されている。
【0003】
また、スイッチ,制御電圧源を用いた従来技術として、特許文献2では、第1の放射電極と、第2の放射電極と、第1の放射電極の途中部と第2の放射電極の基端部との間に介設され、第2の放射電極を第1の放射電極と電気的に接続又は切断させるためのスイッチとを備えるアンテナ装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−81000号公報
【特許文献2】特開2010−166287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術においても、以下の課題が残されている。
すなわち、特許文献1に記載のような誘電体ブロックによる技術では、放射電極を励振する誘電体ブロックを使用しており、機器毎に誘電体ブロック、放射電極パターン等の設計が必要になり、その設計条件によってアンテナ性能が劣化したり、不安定要素が増加する不都合がある。また、放射電極が樹脂成型体の表面に形成されているため、樹脂成型体上に放射電極パターンを設計する必要があり、実装する通信機器やその用途に応じて、アンテナ設計、金型設計が必要になり、大幅なコストの増大を招いてしまう。さらに、誘電体ブロックと樹脂成型体とを接着剤で一体化するので、接着剤のQ値以外にも接着条件(接着剤の厚み、接着面積等)により、アンテナ性能が劣化したり、不安定要素が増加する不都合がある。
また、特許文献2に記載のようなスイッチ,制御電圧源を用いたアンテナ装置の場合、スイッチで共振周波数の切り替えを行うために、制御電圧源の構成やリアクタンス回路等が必要であり、アンテナ構成が機器毎に複雑化し、設計の自由度が無く、容易なアンテナ調整が困難であるという問題があった。
そのため本発明者らは、複共振化が可能であると共に小型化や薄型化が可能なアンテナ装置として、絶縁性の基板本体にグランド面と複数のアンテナエレメントとをそれぞれ金属箔でパターン形成したアンテナ装置について鋭意研究を進めていたが、給電点から分かれて延在する複数のアンテナエレメントを形成すると、給電点からの高周波電流を各アンテナエレメントにバランス良くスムーズに流すことが難しいという不都合があった。また、小型化や薄型化に伴い、距離が近くなった周辺部品の影響により、アンテナ性能が劣化してしまう問題があった。
【0006】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、複数のアンテナエレメントに効果的に高周波電流を流すことができると共に、周辺部品の影響を抑制することができるアンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係るアンテナ装置は、絶縁性の基板本体と、該基板本体にそれぞれ金属箔でパターン形成されたグランド面と複数のアンテナエレメントとを備え、前記複数のアンテナエレメントが、前記グランド面近傍の基端に共通の給電点が設けられていると共に前記給電点から互いに別の2方向に向けて延在する第1基端部及び第2基端部のいずれかに分かれてこれらに接続され、基端が前記グランド面に接続されていると共に先端が前記第1基端部の途中に接続された第1グランド接続部と、基端が前記第1グランド接続部が接続された位置から離間して前記グランド面に接続されていると共に先端が前記第2基端部の途中に接続された第2グランド接続部と、前記第1基端部の前記第1グランド接続部の接続部分よりも先端側と前記第2基端部の前記第2グランド接続部の接続部分よりも先端側とを連結して延在する連結パターンとを備え、前記給電点の近傍に、前記連結パターンと前記第1基端部と前記第2基端部との間で環状の開口パターン部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
このアンテナ装置では、給電点の近傍に、連結パターンと第1基端部と第2基端部との間で環状の開口パターン部が形成されているので、開口パターン部内に生じる容量成分によって周辺部品間に発生する容量成分からの悪影響を低減することができると共に、各エレメントに対する高性能化が実現可能である。すなわち、開口パターン部により、給電点から第1基端部側と第2基端部側との各エレメントへの高周波電流の流れをバランスよく効果的に流すことができる。
【0009】
第2の発明に係るアンテナ装置は、第1の発明において、前記複数のアンテナエレメントの少なくとも一つが、互いの間に浮遊容量が発生可能に、前記開口パターン部に対して対向状態に間隔を空けて延在していることを特徴とする。
すなわち、このアンテナ装置では、複数のアンテナエレメントの少なくとも一つが、互いの間に浮遊容量が発生可能に、開口パターン部に対して対向状態に間隔を空けて延在しているので、開口パターン部と対向するアンテナエレメントとの間に浮遊容量を発生させることができ、当該アンテナエレメントの共振周波数におけるインピーダンス調整を行うことができる。
【0010】
第3の発明に係るアンテナ装置は、第1又は第2の発明において、前記複数のアンテナエレメントの少なくとも一つが、途中に受動素子を有して延在し、前記複数のアンテナエレメントの少なくとも一つが、誘電体アンテナのアンテナ素子を有して延在し、前記複数のアンテナエレメントが、隣接するアンテナエレメント同士間の浮遊容量と、前記グランド面との間の浮遊容量とをそれぞれ発生可能に、隣接するアンテナエレメント及び前記グランド面に対して間隔を空けて延在していることを特徴とする。
すなわち、このアンテナ装置では、複数のアンテナエレメントが、隣接するアンテナエレメント同士間の浮遊容量と、前記グランド面との間の浮遊容量とをそれぞれ発生可能に、隣接するアンテナエレメント及び前記グランド面に対して間隔を空けて延在しているので、所望の共振周波数に自己共振しないローディング素子のアンテナ素子と各エレメント間の浮遊容量とを効果的に利用することで、複共振化させることができる。また、アンテナ素子および受動素子の選択(定数変更等)によって、各共振周波数をフレキシブルに調整可能であり、設計条件に応じた共振化が可能なアンテナ装置を得ることができる。このように、アンテナ構成上、一つのアンテナ装置で各共振周波数をフレキシブルに調整できるため、共振周波数の入れ替えが可能になり、用途や機器に応じて受動素子等による調整箇所を変更可能になっている。なお、帯域幅は、各エレメントの長さおよび幅と各浮遊容量の設定により調整することが可能である。
また、基板本体の平面内で設計が可能であり、従来の誘電体ブロックや樹脂成型体等を使用する場合に比べて薄型化が可能であると共に、誘電体アンテナであるアンテナ素子の選択によっても、小型化および高性能化が可能になる。また、金型、設計変更等によるコストが必要なく、低コストを実現することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明のアンテナ装置によれば、給電点の近傍に、連結パターンと第1基端部と第2基端部との間で環状の開口パターン部が形成されているので、開口パターン部内に生じる容量成分によって周辺部品間に発生する容量成分からの悪影響を低減することができると共に、各エレメントに対する高性能化が実現可能である。
特に、小型化・薄型化に伴い、周辺部品との距離が近くなる場合に、効果的であり、小型化等と高性能化との両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るアンテナ装置の一実施形態において、アンテナ装置を示す配線図である。
【図2】本実施形態において、アンテナ装置で生じる浮遊容量を示す配線図である。
【図3】本実施形態において、アンテナ装置用基板を示す平面図及び裏面図である。
【図4】本実施形態において、アンテナ装置を示す平面図である。
【図5】本実施形態において、アンテナ素子を示す斜視図(a)、平面図(b)、正面図(c)および底面図(d)である。
【図6】本実施形態において、開口パターン部の機能を説明するための説明図である。
【図7】本発明に係るアンテナ装置の実施例において、4共振化におけるVSWR特性(電圧定在波比)を示すグラフである。
【図8】本発明に係る実施例において、920MHz帯,1400MHz帯及び1920MHz帯の放射パターンを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るアンテナ装置の一実施形態を、図1から図6を参照しながら説明する。
【0014】
本実施形態におけるアンテナ装置10は、図1から図4に示すように、絶縁性の基板本体2と、該基板本体2にそれぞれ銅箔等の金属箔でパターン形成されたグランド面GNDと複数のアンテナエレメントEL1〜EL4とを備えている。
上記複数のアンテナエレメントEL1〜EL4は、グランド面GND近傍の基端に共通の給電点FPが設けられていると共に給電点FPから互いに別の2方向に向けて延在する第1延在部(第1基端部)E1及び第6延在部(第2基端部)E6のいずれかに分かれてこれらに接続されている。
【0015】
すなわち、アンテナ装置10は、アンテナ装置用基板1を備え、該アンテナ装置用基板1は、上記基板本体2と、該基板本体2にそれぞれ銅箔等の金属箔でパターン形成された第1エレメントEL1、第2エレメントEL2、第3エレメントEL3、第4エレメントEL4及びグランド面GNDとを備えている。
なお、グランド面GNDには、RF回路部品等の実装領域が設けられる。また、グランド面GNDは、基板本体2の表面だけでなく裏面にも、表面に対応した同様のパターンで形成されている。
【0016】
上記第1エレメントEL1は、グランド面GND近傍の基端に給電点FPが設けられていると共に、途中に第1受動素子P1が接続可能な第1接続部C1と誘電体アンテナのアンテナ素子ATとをこの順で有して延在している。なお、本実施形態では、図3及び図4に示すように、2つの第1接続部C1に第1受動素子P1をそれぞれ実装して2つの第1受動素子P1を直列に接続している。
上記第2エレメントEL2は、基端が第1エレメントEL1の給電点FPと第1接続部C1との間に接続され、途中に第2受動素子P2が接続可能な第2接続部C2を有して延在している。
【0017】
上記第3エレメントEL3は、基端に給電点FPが接続されていると共に、途中に第3受動素子P3が接続可能な第3接続部C3を有して延在している。なお、本実施形態では、図3及び図4に示すように、2つの第3接続部C3に第3受動素子P3をそれぞれ実装して2つの第3受動素子P3を直列に接続している。
【0018】
上記第4エレメントEL4は、基端が第3エレメントEL3の給電点FPと第3接続部C3との間に接続され、途中に第4受動素子P4が接続可能な第4接続部C4を有して延在している。なお、本実施形態では、図3及び図4に示すように、2つの第4接続部C4に第4受動素子P4をそれぞれ実装して2つの第4受動素子P4を直列に接続している。上記第1受動素子P1、第3受動素子P3及び第4受動素子P4は、それぞれ2つの受動素子を組み合わせて用いているが、同じ特性の受動素子を2つ用いてもよいと共に別の特性の受動素子を2つ用いても構わない。また、2つの受動素子の組み合わせではなく、1つの受動素子又は3つ以上の受動素子の組み合わせとしても構わない。
【0019】
上記第1エレメントEL1は、グランド面GNDに沿った方向の一方に給電点FPから延びる第1延在部E1と、該第1延在部E1の先端からグランド面GNDから離間する方向に延在する第2延在部E2と、該第2延在部E2の先端から第1接続部C1を介してグランド面GNDに沿った方向へ延びて同方向に延在するアンテナ素子ATが接続された第3延在部E3とを有している。なお、ここで、グランド面GNDに沿った方向とは、対向するグランド面GNDの端辺に沿った方向である。
【0020】
なお、上記第1延在部E1は、給電点FPからグランド面GNDに沿った方向の一方に延びてから一旦グランド面GNDから離間する方向に延び、さらにグランド面GNDに沿った方向の一方に延びており、クランク状に屈曲しつつ全体としてグランド面GNDに沿った方向の一方に延びている。
また、第1エレメントEL1は、第3延在部E3の先端からグランド面GNDに向かって延びる第11延在部E11と、該第11延在部E11の先端からグランド面GNDに沿って第1延在部E1に向かって延びる第12延在部E12とを有している。すなわち、第11延在部E11と第12延在部E12とにより、第1エレメントEL1の先端側は折り返されている。なお、第11延在部E11は、幅広な長方形状とされている。
【0021】
上記第2エレメントEL2は、第2延在部E2の先端から第2接続部C2を介して該第2延在部E2と同方向に延在した第4延在部E4と、該第4延在部E4の先端からアンテナ素子AT側へ第3延在部E3に沿った方向に延在する第5延在部E5とを有している。
また、上記第5延在部E5のアンテナ素子ATに対向する部分よりも基端側は、先端側よりも幅広に形成された幅広部E5aとされている。
【0022】
上記第3エレメントEL3は、グランド面GNDに沿った方向の他方に給電点FPから延びる第6延在部E6と、該第6延在部E6の先端からグランド面GNDから離間する方向に第3接続部C3を介して延在する第7延在部E7と、該第7延在部E7の先端から第4延在部E4に向けてグランド面GNDに沿った方向へ延在する第8延在部E8とを有している。なお、上記第6延在部E6は、給電点FPからグランド面GNDに沿った方向の他方に延びてから一旦グランド面GNDから離間する方向に延び、さらにグランド面GNDに沿った方向の他方に延びており、クランク状に屈曲して全体としてグランド面GNDに沿った方向の他方に延びている。
すなわち、第1エレメントEL1と第3エレメントEL3との基端部分(第1延在部E1及び第6延在部E6)とは、互いに給電点FPから逆方向に分かれて延在している。
【0023】
上記第8延在部E8は、スルーホールHを介して表面側と接続され基板本体2の裏面にパターン形成された第1裏面パターン部R1を有し、該第1裏面パターン部R1が、グランド面GNDに向かって幅広に形成されている。なお、第1裏面パターン部R1は、基板本体2の端部側でスルーホールHにより表面側の第8延在部E8と接続されている。
【0024】
上記第4エレメントEL4が、第7延在部E7の途中に先端が接続されていると共に第7延在部E7から間隔を空けて同方向に延在した第9延在部E9と、該第9延在部E9の先端から第7延在部E7から離間する方向へ延在した第10延在部E10とを有している。
また、第10延在部E10の基端側には、グランド面GNDから離間する方向に延在する第13延在部E13が接続されている。
上記第13延在部E13は、スルーホールHを介して表面側と接続され基板本体2の裏面にパターン形成された第2裏面パターン部R2を有し、該第2裏面パターン部R2が、グランド面GNDに向かって幅広に形成されている。なお、第2裏面パターン部R2は、基板本体2の端部側でスルーホールHにより表面側の第13延在部E13と接続されている。
【0025】
また、このアンテナ装置用基板1は、基端がグランド面GNDに接続されていると共に先端が第1延在部(第1基端部)E1の途中、すなわち第1エレメントEL1の第2エレメントEL2との接続部分よりも基端側に接続された第1グランド接続部G1と、基端が第1グランド接続部G1が接続された位置から離間してグランド面GNDに接続されていると共に先端が第6延在部(第2基端部)E6の途中、すなわち第3エレメントEL3の第4エレメントEL4との接続部分よりも基端側に接続された第2グランド接続部G2と、第1延在部(第1基端部)E1の第1グランド接続部G1の接続部分よりも先端側と第6延在部(第2基端部)E6の第2グランド接続部G2の接続部分よりも先端側とを連結して延在する連結パターンL1とを備えている。
【0026】
また、給電点FPの近傍に、連結パターンL1と第1延在部(第1基端部)E1と第6延在部(第2基端部)E6との間で環状の開口パターン部S1が形成されている。すなわち、クランク状に屈曲した第1延在部E1及び第6延在部E6の一部と、連結パターンL1とで、グランド面GNDに沿って長い略四角形状の開口パターン部S1が構成されている。
【0027】
上記第1グランド接続部G1には、インピーダンス調整用受動素子の第5受動素子P5が接続されていると共に、上記第2グランド接続部G2には、インピーダンス調整用受動素子の第6受動素子P6が接続されている。なお、本実施形態では、第5受動素子P5だけで直接、グランド面GNDと第1エレメントEL1とを接続しており、第5受動素子P5自体が第1グランド接続部G1として機能している。また、第6受動素子P6だけで直接、グランド面GNDと第3エレメントEL3とを接続しており、第6受動素子P6自体が第2グランド接続部G2として機能している。
【0028】
上記基板本体2、一般的なプリント基板であって、本実施形態では、長方形状のガラスエポキシ樹脂等からなるプリント基板の本体を採用している。なお、本実施形態の基板本体2の寸法は、長手方向:110mm、短手方向:52mm、厚み:1.0mmである。また、基板本体2におけるアンテナ領域(第4エレメントEL4下のグランド面GNDの一部含む)の寸法は、基板本体2の長手方向:11mm、基板本体2の短手方向:35mmである。
上記給電点FPは、同軸ケーブル等の給電手段を介して高周波回路(図示略)の給電点に接続される。この給電手段としては、同軸ケーブル、レセプタクル等のコネクタ、接点が板バネ形状を有する接続構造、接点がピンプローブ形状またはピン形状を有する接続構造、ハンダ付け用のランドを用いた接続構造等の種々の構造が採用可能である。
例えば、給電手段として同軸ケーブルを採用する場合、グランド面GNDの基端側に同軸ケーブルのグランド線が接続されると共に、同軸ケーブルの芯線が給電点FPに接続される。
【0029】
上記アンテナ素子ATは、所望の共振周波数に自己共振しないローディング素子であって、例えば図5に示すように、セラミックス等の誘電体101の表面にAg等の導体パターン102が形成されたチップアンテナである。このアンテナ素子ATは、共振周波数等の設定に応じて、その長さ、幅、導体パターン102等が互い異なる素子を選択しても構わないと共に、同じ素子を選択しても構わない。なお、本実施形態のアンテナ素子ATの寸法は、横幅:10.5mm、奥行き:3.0mm、高さ:0.8mmである。
上記第1受動素子P1〜第6受動素子P6は、例えばインダクタ、コンデンサまたは抵抗が採用される。
【0030】
本実施形態のアンテナ装置用基板1は、第1エレメントEL1から第4エレメントEL4までの各エレメントが、隣接するエレメント同士間の浮遊容量と、グランド面GNDとの間の浮遊容量とをそれぞれ発生可能に、隣接するエレメント及びグランド面GNDに対して間隔を空けて延在している。
【0031】
すなわち、図2に示すように、第12延在部E12とグランド面GNDとの間の浮遊容量Caと、アンテナ素子AT(第3延在部E3)と第12延在部E12との間の浮遊容量Cbと、アンテナ素子ATと第5延在部E5との間の浮遊容量Ccと、第3延在部E3と第5延在部E5との間の浮遊容量Cfと、第5延在部E5と第8延在部E8との間の浮遊容量Cgと、開口パターン部S1(第1延在部E1及び第6延在部E6)と第8延在部E8との間の浮遊容量Chと、第8延在部E8と第13延在部E13との間の浮遊容量Ciと、第7延在部E7と第9延在部E9との間の浮遊容量Cjと、第10延在部E10とグランド面GNDとの間の浮遊容量Ckとが発生可能である。また、開口パターン部S1による容量成分Cdも発生する。
【0032】
本実施形態のアンテナ装置10は、図4に示すように、上記アンテナ装置用基板1を備え、第1受動素子P1、第2受動素子P2、第3受動素子P3及び第4受動素子P4が、それぞれ対応する第1接続部C1、第2接続部C2、第3接続部C3及び第4接続部C4に接続されている。
【0033】
次に、本実施形態のアンテナ装置10における共振周波数について、図7を参照して説明する。
【0034】
本実施形態のアンテナ装置10では、図7に示すように、第1の共振周波数f1,第2の共振周波数f2,第3の共振周波数f3及び第4の共振周波数f4の4つに複共振化される。
上記第1の共振周波数f1は、4つの共振周波数のうち低い周波数帯(例えば、920MHz帯)のものであり、アンテナ素子ATと、第1エレメントEL1(第1延在部E1、第2延在部E2、第11延在部E11及び第12延在部E12)の長さとで決定される。
【0035】
また、第1の共振周波数f1における広帯域化は、第12延在部E12と、第11延在部E11と、第3延在部E3との長さ及び幅で決定される。
また、第1の共振周波数f1におけるインピーダンスは、各浮遊容量Ca〜Cdで決定される。
さらに、第1の共振周波数f1の最終的な調整は、第1受動素子P1を用いてフレキシブルに調整可能である。
【0036】
したがって、第1の共振周波数f1は、主に図2中の破線A1で囲まれた部分で調整される。
このように、第1の共振周波数f1については、第1エレメントEL1の長さ及び幅と、第1受動素子P1と、アンテナ素子ATと、上記各浮遊容量との設定により、共振周波数、帯域幅及びインピーダンスをフレキシブルに調整可能である。
【0037】
次に、上記第3の共振周波数f3は、第1延在部E1、第2延在部E2、第4延在部E4及び第5延在部の長さで決定される。
また、第3の共振周波数f3における広帯域化は、第1延在部E1、第2延在部E2、第4延在部E4及び第5延在部の長さ及び幅で決定される。
また、第3の共振周波数f3におけるインピーダンスは、各浮遊容量Cd,Cc,Cf,Cgで決定される。
さらに、第3の共振周波数f3の最終的な調整は、第2受動素子P2を用いてフレキシブルに調整可能である。
【0038】
したがって、第3の共振周波数f3は、主に図2中の一点鎖線A3で囲まれた部分で調整される。
このように、第3の共振周波数f3については、第1延在部E1,第2延在部E2,第2エレメントEL2の長さ及び幅と、第2受動素子P2と、上記各浮遊容量との設定により、共振周波数、帯域幅及びインピーダンスをフレキシブルに調整可能である。
【0039】
次に、上記第4の共振周波数f4は、第8延在部E8及び第7延在部E7の長さで決定される。
また、第4の共振周波数f4における広帯域化は、第8延在部E8及び第7延在部E7の長さ及び幅で決定される。
また、第4の共振周波数f4におけるインピーダンスは、各浮遊容量Cd,Cg,Ch,Ciで決定される。
さらに、第4の共振周波数f4の最終的な調整は、第3受動素子P3を用いてフレキシブルに調整可能である。
【0040】
したがって、第4の共振周波数f4は、主に図2中の二点鎖線A4で囲まれた部分で調整される。
このように、第4の共振周波数f4については、第3エレメントEL3(第7延在部E7及び第8延在部)の長さ及び幅と、第3受動素子P3と、上記各浮遊容量との設定により、共振周波数、帯域幅及びインピーダンスをフレキシブルに調整可能である。
【0041】
次に、上記第2の共振周波数f2は、第7延在部E7、第13延在部E13、第10延在部E10及び第9延在部E9の長さで決定される。
また、第2の共振周波数f2における広帯域化は、第7延在部E7、第13延在部E13、第10延在部E10及び第9延在部E9の長さ及び幅で決定される。
また、第2の共振周波数f2におけるインピーダンスは、各浮遊容量Cd,Ci,Cj,Ckで決定される。
さらに、第2の共振周波数f2の最終的な調整は、第4受動素子P4を用いてフレキシブルに調整可能である。
【0042】
したがって、第2の共振周波数f2は、主に図2中の破線A2で囲まれた部分で調整される。
このように、第2の共振周波数f2については、第7延在部E7,第13延在部E13,第10延在部E10及び第9延在部E9の長さ及び幅と、第4受動素子P4と、上記各浮遊容量との設定により、共振周波数、帯域幅及びインピーダンスをフレキシブルに調整可能である。
なお、上記の各共振周波数に対して、インピーダンス調整用受動素子である第5受動素子P5及び第6受動素子P6を用いて、最終的なインピーダンス調整をフレキシブルに行うことができる。
【0043】
次に、開口パターン部S1の効果について説明する。
本実施形態では、開口パターン部S1が給電点FPの近傍に設けられているが、この開口パターン部S1により、給電点FPから左右の各エレメントへの高周波電流を効果的に流すことができる。
すなわち、開口パターン部S1が無い場合、図6の(b)に示すように、給電点FPからの高周波電流の流れの中で、図中の右側のアンテナエレメント(第3エレメントEL3及び第4エレメントEL4)への流れはスムーズであるが、左側への流れは給電点FPからのエレメントとの容量成分が発生してしまう。これは、図6の(c)に示す配線の場合も同様に、左側への流れがスムーズであるが、右側への流れは給電点FPからのエレメントとの容量成分が発生してしまう。
【0044】
その結果、左右各方向に2つずつのアンテナエレメントが設けられており、影響度も異なると共に、性能劣化に繋がってしまう。
また、図6の(d)に示すように、開口パターン部S1が無く、中央から接続されるパターンの場合、同様の容量成分は左右両方へ発生してしまい、性能劣化が著しい。
【0045】
さらに、図6の(e)に示すように、開口パターン部S1の部分が開口しておらずに幅広パターンとされ、中央から面積を大きく接続されるパターンの場合、各エレメントへの高周波電流は問題ないが、アンテナ周辺に部品が実装されることにより、面積が大きいことから、性能劣化が増大してしまう。 特に、小型化や薄型化に伴い、周辺部品との距離も近くなり、更に性能劣化が著しく生じてしまう。
【0046】
そこで、図6の(a)に示すように、本発明のような開口パターン部S1を設けることにより、開口パターン部S1内の容量成分により、周辺部品間に発生する容量成分からの悪影響を低減すると共に、各アンテナエレメントに流れる高周波電流を効率的に流すことができ、小型化と高性能化との両立を実現することができる。
【0047】
次に、第1裏面パターン部R1と第2裏面パターン部R2とについて説明する。
まず、第1裏面パターン部R1では、表面において第6延在部E6と開口パターン部S1とに対する浮遊容量が発生している。
第1裏面パターン部R1を設計する場合、第6延在部E6に浮遊容量が発生しているため、第6延在部E6の延在方向は基板本体2の厚みによっては、浮遊容量を効果的に利用できなくなると共に、第6延在部E6に干渉してしまう場合が存在する。
【0048】
これに対して、開口パターン部S1に向かう方向であれば、第6延在部E6に比べインピーダンスも低くなり、開口パターン部S1側の容量成分により、干渉の影響が少ない。そのため、第1裏面パターン部R1は、第10延在部E10の幅を最大幅とし、基板本体2の端部側から第6延在部E6の延在方向へ伸ばす設計が効果的である。
【0049】
また、第2裏面パターン部R2では、第13延在部E13において、第10延在部E10間や、第12延在部E12とのパターン配置によるグランド面GND間の浮遊容量が発生している。そのため、第2裏面パターン部R2は、第1裏面パターン部R1と同様に、第13延在部E13の幅を最大限とし、基板本体2の端部側から第12延在部E12へ向かう方向へ伸ばす設計が効果的である。
【0050】
次に、第10延在部E10及び第13延在部E13について説明する。
上記第13延在部E13は、第10延在部E10と組み合わせて直交したパターン配置となっている。この第13延在部E13が水平方向(第10延在部E10の延在方向)のみにパターン配置された場合、グランド面GNDとの間の浮遊容量を考慮して第8延在部E8との間の浮遊容量を設計する必要があるなど、設計の自由度が低下する。このため、更なる小型化が困難となる。
【0051】
そこで、グランド面GNDとの間の浮遊容量を利用する第10延在部E10を配置すると共に、第13延在部E13を第8延在部E8との間の浮遊容量を利用する分配パターンに設計することで、各アンテナエレメントに流れる高周波電流も分配され、各浮遊容量を効果的に設計することができる。また、第10延在部E10の近傍までグランド面GNDを配置することができ、機器に使用する他の部品(ボタンスイッチ、マイク、FPC等)を実装することが可能になり、機器の小型化にも繋がる利点がある。
【0052】
次に、第5延在部E5について説明する。
上記第5延在部E5は、アンテナ素子ATとの間の浮遊容量を利用したパターン配置となっているが、全体の小型化を考えた場合、アンテナ領域を少なくすることが必要となり、第5延在部E5とアンテナ素子ATとの配置が重要となる。
第5延在部E5としては、幅を広く設計することが広帯域化に繋がるため理想的であるが、アンテナ領域により、小型化との両立が困難な場合がある。そこで、第5延在部E5の幅は細く設計すると共に、基板本体2の端部に近い場所に設計することが望ましい。
【0053】
さらに、第3延在部E3と第5延在部E5との間の浮遊容量Cfが発生する部分の第5延在部E5側のパターン幅を広げて幅広部E5aとし、効率的なパターン配置とすることが好ましい。上記幅広部E5aは、アンテナ素子ATと第5延在部E5との間の浮遊容量Ccとの影響を考慮し、四角形状ではなく角を落とした形状(三角形状、台形形状)にすることで、浮遊容量を効果的に利用しながら、第5延在部E5に流れる高周波電流をコントロールすることが可能となる。
【0054】
このように本実施形態のアンテナ装置10では、給電点FPの近傍に、連結パターンL1と第1延在部(第1基端部)E1と第6延在部(第2基端部)E6との間で環状の開口パターン部S1が形成されているので、開口パターン部S1内に生じる容量成分Cdによって周辺部品間に発生する容量成分からの悪影響を低減することができると共に、各エレメントに対する高性能化が実現可能である。
また、第3エレメントEL3の第8延在部E8が、互いの間に浮遊容量が発生可能に、開口パターン部S1に対して対向状態に間隔を空けて延在しているので、開口パターン部S1と対向する第8延在部E8との間に浮遊容量Chを発生させることができ、第3エレメントEL3の共振周波数におけるインピーダンス調整を行うことができる。
【0055】
さらに、第8延在部E8が、スルーホールHを介して表面側と接続され基板本体2の裏面にパターン形成された第1裏面パターン部R1を有し、該第1裏面パターン部R1が、グランド面GNDに向かって幅広に形成されているので、第6延在部E6に干渉せずに第6延在部E6との間の浮遊容量を効果的に発生させることができる。また、第1裏面パターン部R1がグランド面GNDに向かって幅広とされているので、第6延在部E6に比べインピーダンスも低くなり、開口パターン部S1(第1延在部E1及び第8延在部E8)との間の浮遊容量Chにより、干渉の影響も少なくできる。
【0056】
また、第1グランド接続部G1及び第2グランド接続部G2に、それぞれインピーダンス調整用受動素子(第5受動素子P5、第6受動素子P6)が接続されているので、開口パターン部S1の設定と2つのインピーダンス調整用受動素子の設定とにより、各周波数帯のインピーダンス調整を行うことができる。
【0057】
また、第1エレメントEL1から第4エレメントEL4までの各エレメントが、隣接するエレメント同士間の浮遊容量と、グランド面GNDとの間の浮遊容量とをそれぞれ発生可能に、隣接するエレメント及びグランド面GNDに対して間隔を空けて延在しているので、所望の共振周波数に自己共振しないローディング素子のアンテナ素子ATと各エレメント間の浮遊容量とを効果的に利用することで、複共振化(2〜4共振)させることができる。
【0058】
また、アンテナ素子ATおよび第1〜第4受動素子P1〜P4の選択(定数変更等)によって、各共振周波数をフレキシブルに調整可能であり、設計条件に応じた2〜4共振化が可能なアンテナ装置10を得ることができる。このように、アンテナ構成上、一つのアンテナ装置用基板1で各共振周波数をフレキシブルに調整できるため、共振周波数の入れ替えが可能になり、用途や機器に応じて受動素子等による調整箇所を変更可能になっている。
【0059】
また、基板本体2の平面内で設計が可能であり、従来の誘電体ブロックや樹脂成型体等を使用する場合に比べて薄型化が可能であると共に、誘電体アンテナであるアンテナ素子ATの選択によっても、小型化および高性能化が可能になる。また、金型、設計変更等によるコストが必要なく、低コストを実現することができる。
【0060】
したがって、本実施形態のアンテナ装置10では、第1受動素子P1、第2受動素子P2、第3受動素子P3及び第4受動素子P4が、それぞれ対応する第1接続部C1、第2接続部C2、第3接続部C3及び第4接続部C4に接続されているので、第1〜第4受動素子P1〜P4を適宜選択するだけで2〜4共振化でき、用途や機器毎に対応した2つから4つの共振周波数で通信が可能である。
【実施例】
【0061】
次に、本実施形態のアンテナ装置に基づいて作製した実施例において、各共振周波数での4共振化におけるVSWR特性(電圧定在波比)と放射パターンとについて測定した結果を、図7及び図8を参照して説明する。
【0062】
なお、各受動素子は、2つの第1受動素子P1:3.3nHのインダクタと10nHのインダクタとの2つ(合計で13nHのインダクタ)、第2受動素子P2:8.2nH、第3受動素子P3:4.7nHのインダクタと5.6nHのインダクタとの2つ(合計で10nHのインダクタ)、2つの第4受動素子P4:5.6nHのインダクタと12nHのインダクタとの2つ(合計で18nHのインダクタ)を使用した。また、第5受動素子P5は0.5pFのコンデンサを使用し、第6受動素子P6は8.2nHのインダクタを使用した。
この結果、本発明の実施例では、第1の共振周波数f1から第4の共振周波数f4までの各共振周波数で、図7に示すように、良好なVSWR特性が得られている。
【0063】
また、放射パターンの測定については、第2延在部E2の延在方向であってグランド面GNDに向かう方向をX方向とし、第3延在部E3の延在方向の逆方向をY方向とし、基板本体2の表面に対する垂直方向をZ方向とした。この際のZX面に対する垂直偏波,水平偏波および電力利得を測定した。
【0064】
図8の(a)は、920MHz帯域の第1の共振周波数f1における放射パターン(ZX面)であり、平均電力利得が−5.1dBiであった。
図8の(b)は、1400MHz帯域の第2の共振周波数f2における放射パターン(ZX面)であり、平均電力利得が−1.9dBiであった。
図8の(c)は、1920MHz帯域の第4の共振周波数f4における放射パターン(ZX面)であり、平均電力利得が−0.8dBiであった。
【0065】
なお、本発明は上記実施形態および実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
【0066】
例えば、上記実施形態では、第1エレメントにアンテナ素子を設けたが、他のエレメントにもアンテナ素子を設けても構わない。この場合、アンテナ素子により、エレメントの長さを短縮することができ、アンテナ占有面積が狭い場合などに好適である。例えば、第5延在部,第8延在部,第13延在部,第10延在部にアンテナ素子を接続しても構わない。
また、アンテナ素子を利用した一番低い周波数帯以外のアンテナエレメント(第1エレメント以外のエレメント)については、使用する周波数帯をフレキシブルに変更、入れ替え可能である。
【0067】
さらに、本発明においては、最大4共振化を実現しているが、アンテナ素子を利用した一番低い周波数帯以外については、各受動素子の有無により、2共振化又は3共振化への対応も可能である。
すなわち、第2受動素子,第3受動素子及び第4受動素子のいずれか一つ又は二つを、それぞれ対応する第2接続部,第3接続部及び第4接続部に接続することで、任意に2共振化又は3共振化を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0068】
1…アンテナ装置用基板、2…基板本体、10…アンテナ装置、AT…アンテナ素子、C1…第1接続部、C2…第2接続部、C3…第3接続部、C4…第4接続部、E1…第1延在部(第1基端部)、E2…第2延在部、E3…第3延在部、E4…第4延在部、E5…第5延在部、E6…第6延在部(第2基端部)、E7…第7延在部、E8…第8延在部、E9…第9延在部、E10…第10延在部、E11…第11延在部、E12…第12延在部、E13…第13延在部、EL1…第1エレメント、EL2…第2エレメント、EL3…第3エレメント、EL4…第4エレメント、G1…第1グランド接続部、G2…第2グランド接続部、GND…グランド面、H…スルーホール、L1…連結パターン、P1…第1受動素子、P2…第2受動素子、P3…第3受動素子、P4…第4受動素子、P5…第5受動素子(インピーダンス調整用受動素子)、P6…第6受動素子(インピーダンス調整用受動素子)、FP…給電点、R1…第1裏面パターン部、R2…第2裏面パターン部、S1…開口パターン部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性の基板本体と、
該基板本体にそれぞれ金属箔でパターン形成されたグランド面と複数のアンテナエレメントとを備え、
前記複数のアンテナエレメントが、前記グランド面近傍の基端に共通の給電点が設けられていると共に前記給電点から互いに別の2方向に向けて延在する第1基端部及び第2基端部のいずれかに分かれてこれらに接続され、
基端が前記グランド面に接続されていると共に先端が前記第1基端部の途中に接続された第1グランド接続部と、
基端が前記第1グランド接続部が接続された位置から離間して前記グランド面に接続されていると共に先端が前記第2基端部の途中に接続された第2グランド接続部と、
前記第1基端部の前記第1グランド接続部の接続部分よりも先端側と前記第2基端部の前記第2グランド接続部の接続部分よりも先端側とを連結して延在する連結パターンとを備え、
前記給電点の近傍に、前記連結パターンと前記第1基端部と前記第2基端部との間で環状の開口パターン部が形成されていることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のアンテナ装置において、
前記複数のアンテナエレメントの少なくとも一つが、互いの間に浮遊容量が発生可能に、前記開口パターン部に対して対向状態に間隔を空けて延在していることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のアンテナ装置において、
前記複数のアンテナエレメントの少なくとも一つが、途中に受動素子を有して延在し、
前記複数のアンテナエレメントの少なくとも一つが、誘電体アンテナのアンテナ素子を有して延在し、
前記複数のアンテナエレメントが、隣接するアンテナエレメント同士間の浮遊容量と、前記グランド面との間の浮遊容量とをそれぞれ発生可能に、隣接するアンテナエレメント及び前記グランド面に対して間隔を空けて延在していることを特徴とするアンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−110651(P2013−110651A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255404(P2011−255404)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【Fターム(参考)】