説明

アントラセン誘導体とそれを用いた発光素子、発光装置

【課題】酸化反応の繰り返しに耐性のある発光物質を提供することを課題とする。また、還元反応の繰り返しにも耐性がある発光素子を提供することを課題とする。
【解決手段】一般式(1)で表されるアントラセン誘導体。一般式(1)において、Rは、水素または炭素数1〜4のアルキル基を表す。Rは、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。Rは、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。Phは、フェニル基を表す。Xは、炭素数6〜15のアリーレン基を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アントラセン誘導体に関し、特に発光素子を作製するための材料として用いることのできるアントラセン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディスプレイ等に利用されている発光素子の多くは、一対の電極間に発光物質を含む層が挟まれた構造を有する。このような発光素子では、一方の電極から注入された電子と他方の電極から注入された正孔とが再結合することによって形成された励起子が基底状態に戻るときに発光する。
【0003】
発光素子の分野では、発光効率、色度がよく、若しくは消光等を防ぐことができる発光素子を得るために、発光素子を作製するための材料となる物質についての様々な研究が行われている。
【0004】
例えば、特許文献1では、発光効率が高く、寿命が長い、有機EL素子用材料について開示されている。
【0005】
ところで、発光素子においては、正孔若しくは電子の授受によって電極間を電流が流れる。このとき、正孔若しくは電子を受け取った発光物質等が、つまり酸化若しくは還元された発光物質等が、中性に戻らず、性質や構造が異なるものに変化することがある。そして、そのような発光物質の性質や構造の変化が蓄積されると、発光素子の特性も変化してしまう可能性がある。
【0006】
そのため、酸化若しくは還元によっても性質が変化しにくい発光物質の開発が求められている。
【0007】
【特許文献1】特開2001−131541号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、酸化反応の繰り返しに耐性があり、発光素子用の材料として用いることのできる物質を提供することを課題とする。また、本発明は、酸化反応の繰り返しによる物質の特性変化に起因した発光素子の動作特性の低下が低減された発光素子、及び発光装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一は、一般式(1)で表されるアントラセン誘導体である。
【0010】
【化01】

【0011】
一般式(1)において、Rは、水素または炭素数1〜4のアルキル基を表す。また、Rは、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。アリール基は、置換基を有していてもよいし、若しくは無置換であってもよい。Rは、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。アリール基は、置換基を有していてもよいし、若しくは無置換であってもよい。Phは、フェニル基を表す。フェニル基は、置換基を有していてもよいし、若しくは無置換であってもよい。Xは、炭素数6〜15のアリーレン基を表す。アリーレン基は、置換基を有していてもよいし、若しくは無置換であってもよい。
【0012】
本発明の一は、一般式(2)で表されるアントラセン誘導体である。
【0013】
【化02】

【0014】
一般式(2)において、Rは、水素または炭素数1〜4のアルキル基を表す。また、R〜Rは、水素、または、RとR、RとRが、それぞれ、互いに結合した芳香環を表す。また、Rは、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。アリール基は、置換基を有していてもよいし、若しくは無置換であってもよい。また、R10は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。アリール基は、置換基を有していてもよいし、若しくは無置換であってもよい。Phは、フェニル基を表す。フェニル基は、置換基を有していてもよいし、若しくは無置換であってもよい。
【0015】
本発明の一は、一般式(3)で表されるアントラセン誘導体である。
【0016】
【化03】

【0017】
一般式(3)において、R11は、水素または炭素数1〜4のアルキル基を表す。また、R12は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。アリール基は、置換基を有していてもよいし、若しくは無置換であってもよい。また、R13は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。アリール基は、置換基を有していてもよいし、若しくは無置換であってもよい。Phは、フェニル基を表す。フェニル基は、置換基を有していてもよいし、若しくは無置換であってもよい。
【0018】
本発明の一は、一般式(4)で表されるアントラセン誘導体である。
【0019】
【化04】

【0020】
一般式(4)において、R14は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。アリール基は、置換基を有していてもよいし、若しくは無置換であってもよい。また、R15は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。アリール基は、置換基を有していてもよいし、若しくは無置換であってもよい。Phは、フェニル基を表す。フェニル基は、置換基を有していてもよいし、若しくは無置換であってもよい。
【0021】
本発明の一は、一般式(5)で表されるアントラセン誘導体である。
【0022】
【化05】

一般式(5)において、R16は、水素または炭素数1〜4のアルキル基を表す。
【0023】
本発明の一は、一般式(6)で表されるアントラセン誘導体である。
【0024】
一般式(6)において、Xは、炭素数6〜15のアリーレン基を表す。アリーレン基は、置換基を有していてもよいし、若しくは無置換であってもよい。
【0025】
【化06】

【0026】
本発明の一は、一般式(7)で表されるアントラセン誘導体である。
【0027】
【化07】

【0028】
一般式(7)において、R17は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。アリール基は、置換基を有していてもよいし、若しくは無置換であってもよい。
【0029】
本発明の一は、一般式(8)で表されるアントラセン誘導体である。
【0030】
【化08】

【0031】
一般式(8)において、R18は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。アリール基は、置換基を有していてもよいし、若しくは無置換であってもよい。
【0032】
本発明の一は、一般式(1)〜(8)のいずれか一の一般式で表されるアントラセン誘導体を含む層を、電極間に有する発光素子である。
【0033】
本発明の一は、一般式(1)〜(8)のいずれか一の一般式で表されるアントラセン誘導体を含む発光素子を用いた発光装置である。
【0034】
本発明の一は、一般式(1)〜(8)のいずれか一の一般式で表されるアントラセン誘導体を含む発光素子を画素部に有する発光装置である。
【0035】
本発明の一は、一般式(1)〜(8)のいずれか一の一般式で表されるアントラセン誘導体を含む発光素子を用いた発光装置を、実装した電子機器である。
【発明の効果】
【0036】
本発明を実施することによって、酸化反応の繰り返しに対し優れた耐性を有し発光素子を作製するための材料として用いることのできる物質を得ることができる。また、本発明を実施することによって、酸化反応の繰り返しに優れた耐性を有すると共に、還元反応の繰り返しに対しても優れた耐性を有し、発光素子を作製するための材料として用いることのできる物質を得ることができる。
【0037】
本発明を実施することによって、電極間に設けられた層の形成に用いられている物質が酸化反応を繰り返すことによって生じ得る素子特性の低下を低減できる発光素子を得ることができる。また、酸化反応の繰り返しによる発光物質の性質の変化に伴った発光素子の特性変化が少なく、長期間、安定な発光を呈することができる発光素子が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の一態様について説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0039】
(実施の形態1)
本発明のアントラセン誘導体の一態様について説明する。
【0040】
本発明のアントラセン誘導体として、構造式(1)〜構造式(40)で表されるアントラセン誘導体が挙げられる。
【0041】
【化09】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

【化29】

【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

【化34】

【化35】

【化36】

【化37】

【化38】

【化39】

【化40】

【化41】

【化42】

【化43】

【化44】

【化45】

【化46】

【化47】

【化48】

【0042】
これらのアントラセン誘導体は、例えば、下記合成スキーム(a−1)で表されるように、9,10−ジブロモアリールアントラセン等のアントラセンを骨格に含む化合物Aと、アリールアミノカルバゾールを骨格に含む化合物Bとをカップリング反応させることによって得られる。なお、本発明のアントラセン誘導体の合成方法は、ここに記載した合成方法に限定されるものではなく、その他の合成方法によって合成されてもよい。
【0043】
【化49】

【0044】
合成スキーム(a−1)において、R19は、水素またはtert−ブチルを表す。また、R20は、水素、メチル、エチル、tert−ブチル等の炭素数1〜4のアルキル基、フェニル、ビフェニル、ナフチル等の炭素数1〜12のアリール基の中から選ばれるいずれか一の基を表す。なお、アリール基は、置換基を有していてもよいし、若しくは無置換であってもよい。また、Phはフェニル基を表す。フェニル基は置換基を有していてもよいし、若しくは無置換であってもよい。また、Xは、フェニレン、ナフチレン、アントリレン、9,9−ジメチルフルオレン−2,7−ジイル等の炭素数6〜15のアリーレン基を表す。
【0045】
ここで、化合物Aは、合成スキーム(a−2)で表されるように、ジブロモアレーン(化合物C)と、アントラキノンを骨格に含む化合物とを主原料として得ることができる。また、化合物Bは、合成スキーム(a−3)で表されるように、カルバゾールを骨格に含む化合物の3位の水素をブロモに置換した後、さらに、そのブロモがアミノ基と置換するように反応させることで得られる。
【0046】
【化50】

【0047】
【化51】

【0048】
なお、本形態では、アントラセン骨格を含む化合物Aとして9,10−ビス(ブロモアリール)アントラセンを用いているが、この他に9,10−ビス(ヨードアリール)アントラセン等を用いてもよい。9,10−ビス(ヨードアリール)アントラセンは、合成スキーム(a−2)で表される合成において化合物Cに換えて1,5−ジヨードナフタレンや2,7−ジヨード−9,9−ジメチルフルオレン等のジヨードアレーンを用いることによって得られる。なお、1,5−ジヨードナフタレンや2,7−ジヨード−9,9−ジメチルフルオレン等は次のようにして合成することによって得られる。まず、1,5−ジヨードナフタレンは、1,5−ジアミノナフタレンに含まれるアミノ基を亜硝酸ナトリウム、濃硫酸を用いてジアゾニウム塩にし、ヨウ化カリウムを用いてヨウ素に置換させることによって得られる。また、2,7−ジヨード−9,9−ジメチルフルオレンは、フルオレンを、オルト過ヨウ素酸を用いて2位、7位をヨウ素化し、続いてジメチルスルホキシド(略称:DMSO)中水酸化ナトリウム水溶液、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ヨードメタンを用いて9位をジメチル化することで得られる。
【0049】
以上に説明したような本発明のアントラセン誘導体は、酸化反応の繰り返しに対し耐性を有する。また、酸化反応の繰り返しに対する耐性を有すると共に還元反応の繰り返しに対しても耐性を有する場合がある。また、以上に説明した本発明のアントラセン誘導体は、青色系の発光を呈することができる。その為、青色系の発光素子を作製する為の発光物質として用いることができる。また、以上に説明した本発明のアントラセン誘導体は、HOMO準位とLUMO準位との間のエネルギーギャップが大きい。その為、赤色系から青色系の発光色を呈する発光物質を分散状態にする為の物質、所謂ホストとして用いることができる。本発明のアントラセン誘導体を発光物質若しくはホストとして用いることによって、酸化反応の繰り返しに起因したホストの性質の変化が少なく、発光時間の蓄積に伴った駆動電圧の増加等が低減された発光素子を得ることができる。
【0050】
(実施の形態2)
本発明のアントラセン誘導体を発光物質として用いた発光素子の態様について、図1を用いて説明する。
【0051】
図1には、第1の電極101と第2の電極102との間に発光層113を有する発光素子が表されている。そして、発光層113には、一般式(1)〜(8)、構造式(1)〜(40)のいずれかの式で表される本発明のアントラセン誘導体が含まれている。
【0052】
このような発光素子において、第1の電極101側から注入された正孔と、第2の電極102側から注入された電子とは、発光層113において再結合し、本発明のアントラセン誘導体を励起状態にする。そして、励起状態の本発明のアントラセン誘導体は基底状態に戻るときに発光する。このように、本発明のアントラセン誘導体は発光物質として機能する。
【0053】
ここで、発光層113は、一般式(1)〜(8)、構造式(1)〜(40)のいずれかの式で表される本発明のアントラセン誘導体が、本発明のアントラセン誘導体の有するエネルギーギャップよりも大きいエネルギーギャップを有する物質からなる層中に、分散して含まれた層であることが好ましい。これによって、本発明のアントラセン誘導体からの発光が、濃度に起因して消光してしまうことを防ぐことができる。なお、エネルギーギャップとはLUMO準位とHOMO準位との間のエネルギーギャップを言う。
【0054】
本発明のアントラセン誘導体を分散状態にするために用いる物質について特に限定はないが、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)などのアントラセン誘導体や、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)等のカルバゾール誘導体の他、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ピリジナト]亜鉛(略称:Znpp)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))等の金属錯体等が好ましい。これらの物質の中から一または二以上の物質を選択して本発明のアントラセン誘導体が分散状態となるように混合すればよい。このような複数の化合物が混合された層は、共蒸着法を用いて形成することができる。ここで、共蒸着とは、一つの処理室内に設けられた複数の蒸着源からそれぞれ原料を気化させ、気化した原料を気相状態で混合し、被処理物上に堆積させる蒸着法をいう。
【0055】
また、第1の電極101と第2の電極102とについて特に限定はなく、インジウム錫酸化物(ITO)、または酸化珪素を含むインジウム錫酸化物、2〜20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウムの他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)等を用いて形成することができる。また、アルミニウムの他、マグネシウムと銀との合金、アルミニウムとリチウムとの合金等も第1の電極101を形成するのに用いることができる。なお、第1の電極101及び第2の電極102の形成方法について特に限定はなく、例えばスパッタ法や蒸着法等を用いて形成することができる。なお、発光した光を外部に取り出すために、第1の電極101と第2の電極102のいずれか一または両方は、インジウム錫酸化物等を用いて、若しくは銀、アルミニウム等を数nm〜数十nmの厚さとなるように成膜して、可視光が透過できるように、形成することが好ましい。
【0056】
また、第1の電極101と発光層113との間には、図1に示すように、正孔輸送層112を設けてもよい。ここで、正孔輸送層とは、第1の電極101側から注入された正孔を発光層113へ輸送する機能を有する層である。このように、正孔輸送層112を設けることによって、第1の電極101と発光層113との距離を離すことができ、その結果、第1の電極101に含まれている金属に起因して発光が消光することを防ぐことができる。正孔輸送層は、正孔輸送性の高い物質を用いて形成することが好ましく、特に1×10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質を用いて形成することが好ましい。なお、正孔輸送性の高い物質とは、電子よりも正孔の移動度が高く、電子の移動度に対する正孔の移動度の比の値(=正孔移動度/電子移動度)が100よりも大きい物質をいう。正孔輸送層112を形成するのに用いることができる物質の具体例としては、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス{N−[4−(N,N−ジ−m−トリルアミノ)フェニル]−N−フェニルアミノ}ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N,N−ジ(m−トリル)アミノ]ベンゼン(略称:m−MTDAB)、4,4’,4’’−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)、フタロシアニン(略称:HPc)、銅フタロシアニン(略称:CuPc)、バナジルフタロシアニン(略称:VOPc)等が挙げられる。また、正孔輸送層112は、以上に述べた物質から成る層を二以上組み合わせて形成した多層構造の層であってもよい。
【0057】
また、第2の電極102と発光層113との間には、図1に示すように、電子輸送層114を有していてもよい。ここで、電子輸送層とは、第2の電極102から注入された電子を発光層113へ輸送する機能を有する層である。このように、電子輸送層114を設けることによって、第2の電極102と発光層113との距離を離すことができ、その結果、第2の電極102に含まれている金属に起因して発光が消光することを防ぐことができる。電子輸送層は、電子輸送性の高い物質を用いて形成することが好ましく、特に1×10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質を用いて形成することが好ましい。なお、電子輸送性の高い物質とは、正孔よりも電子の移動度が高く、正孔の移動度に対する電子の移動度の比の値(=電子移動度/正孔移動度)が100よりも大きい物質をいう。電子輸送層114を形成するのに用いることができる物質の具体例としては、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))等の金属錯体の他、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、4,4−ビス(5−メチルベンズオキサゾル−2−イル)スチルベン(略称:BzOs)等が挙げられる。また、電子輸送層114は、以上に述べた物質から成る層を二以上組み合わせて形成した多層構造の層であってもよい。
【0058】
なお、正孔輸送層112と電子輸送層114とは、それぞれ、先に記載した物質の他、バイポーラ性の物質を用いて形成してもよい。バイポーラ性の物質とは、電子または正孔のいずれか一方のキャリアの移動度と他方のキャリアの移動度とを比較したときに、一方のキャリアの移動度に対する他方のキャリアの移動度の比の値が100以下、好ましくは10以下である物質をいう。バイポーラ性の物質として、例えば、2,3−ビス(4−ジフェニルアミノフェニル)キノキサリン(略称:TPAQn)等が挙げられる。バイポーラ性の物質の中でも特に、正孔及び電子の移動度が1×10−6cm/Vs以上の物質を用いることが好ましい。また同一のバイポーラ性の物質を用いて、正孔輸送層112と電子輸送層114とを形成しても構わない。
【0059】
さらに、第1の電極101と正孔輸送層112との間には、図1に示すように、正孔注入層111を有していてもよい。正孔注入層111は、第1の電極101から正孔輸送層112へ正孔の注入を補助する機能を有する層である。正孔注入層111を設けることによって、第1の電極101と正孔輸送層112との間のイオン化ポテンシャルの差が緩和され、正孔が注入され易くなる。正孔注入層111は、正孔輸送層112を形成している物質よりもイオン化ポテンシャルが小さく、第1の電極101を形成している物質よりもイオン化ポテンシャルが大きい物質、または正孔輸送層112と第1の電極101との間に1〜2nmの薄膜として設けたときにエネルギーバンドが曲がるような物質を用いて形成することが好ましい。正孔注入層111を形成するのに用いることのできる物質の具体例として、フタロシアニン(略称:HPc)や銅フタロシアニン(CuPc)等のフタロシアニン系の化合物、或いはポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)水溶液(PEDOT/PSS)等の高分子等が挙げられる。つまり、正孔注入層111におけるイオン化ポテンシャルが正孔輸送層112におけるイオン化ポテンシャルよりも相対的に小さくなるような物質を正孔輸送性を有する物質の中から選択することによって、正孔注入層111を形成することができる。なお、正孔注入層111を設ける場合、第1の電極101は、インジウム錫酸化物等の仕事関数の高い物質を用いて形成することが好ましい。
【0060】
また、第2の電極102と電子輸送層114との間には、図1に示すように、電子注入層115を有していてもよい。ここで、電子注入層115は、第2の電極102から電子輸送層114へ電子の注入を補助する機能を有する層である。電子注入層115を設けることによって、第2の電極102と電子輸送層114との間の電子親和力の差が緩和され、電子が注入され易くなる。電子注入層115は、電子輸送層114を形成している物質よりも電子親和力が大きく第2の電極102を形成している物質よりも電子親和力が小さい物質、または電子輸送層114と第2の電極102との間に1〜2nmの薄膜として設けたときにエネルギーバンドが曲がるような物質を用いて形成することが好ましい。電子注入層115を形成するのに用いることのできる物質の具体例として、アルカリ金属またはアルカリ土類金属、アルカリ金属のフッ化物、アルカリ土類金属のフッ化物、アルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物等の無機物が挙げられる。また、無機物の他、BPhen、BCP、p−EtTAZ、TAZ、BzOs等の電子輸送層114を形成するのに用いることのできる物質も、これらの物質の中から、電子輸送層114の形成に用いる物質よりも電子親和力が大きい物質を選択することによって、電子注入層115を形成する物質として用いることができる。つまり、電子注入層115における電子親和力が電子輸送層114における電子親和力よりも相対的に大きくなるような物質を電子輸送性を有する物質の中から選択することによって、電子注入層115を形成することができる。なお、電子注入層115を設ける場合、第1の電極101は、アルミニウム等の仕事関数の低い物質を用いて形成することが好ましい。
【0061】
以上に述べた本発明の発光素子において、正孔注入層111、正孔輸送層112、発光層113、電子輸送層114、電子注入層115は、それぞれ、蒸着法、またはインクジェット法、または塗布法等、いずれの方法で形成しても構わない。また、第1の電極101または第2の電極102についても、スパッタリング法または蒸着法等、いずれの方法を用いて形成しても構わない。
【0062】
また、正孔注入層111に換えて正孔発生層を設けてもよいし、または電子注入層115に換えて電子発生層を設けてもよい。
【0063】
ここで、正孔発生層とは、正孔を発生する層である。電子よりも正孔の移動度が高い物質と、当該電子よりも正孔の移動度が高い物質に対して電子受容性を示す物質とを混合することによって正孔発生層を形成することができる。また、バイポーラ性の物質の中から選ばれた少なくとも一の物質と、当該バイポーラ性の物質に対して電子受容性を示す物質とを混合することによっても正孔発生層を形成することができる。ここで、電子よりも正孔の移動度が高い物質としては、正孔輸送層112を形成するのに用いることのできる物質と同様の物質を用いることができる。また、バイポーラ性の物質についても、TPAQn等のバイポーラ性の物質を用いることができる。また、電子よりも正孔の移動度が高い物質及びバイポーラ性の物質の中でも特にトリフェニルアミンを骨格に含む物質を用いることが好ましい。トリフェニルアミンを骨格に含む物質を用いることによって、正孔をより発生し易くなる。また、電子受容性を示す物質としては、モリブデン酸化物、バナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、レニウム酸化物等の金属酸化物を用いることが好ましい。
【0064】
また、電子発生層とは、電子を発生する層である。正孔よりも電子の移動度が高い物質と、当該正孔よりも電子の移動度が高い物質に対して電子供与性を示す物質とを混合することによって電子発生層を形成することができる。また、バイポーラ性の物質の中から選ばれた少なくとも一の物質と、当該バイポーラ性の物質に対して電子供与性を示す物質とを混合することによっても電子発生層を形成することができる。ここで、正孔よりも電子の移動度が高い物質としては電子輸送層114を形成するのに用いることのできる物質と同様の物質を用いることができる。また、バイポーラ性の物質についても、TPAQn等の先に記載したバイポーラ性の物質を用いることができる。また、電子供与性を示す物質としては、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の中から選ばれた物質、具体的にはリチウム酸化物(LiO)、カルシウム酸化物(CaO)、ナトリウム酸化物(NaO)、カリウム酸化物(KO)、マグネシウム酸化物(MgO)等から選ばれる少なくとも一の物質も電子供与性を示す物質として用いることができる。また、アルカリ金属フッ化物、アルカリ土類金属フッ化物、具体的には、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)等から選ばれる少なくとも一の物質も電子供与性を示す物質として用いることができる。また、アルカリ金属窒化物、アルカリ土類金属窒化物等、具体的には、窒化カルシウム、窒化マグネシウム等から選ばれる少なくとも一の物質も電子供与性を示す物質として用いることができる。
【0065】
以上のような構成を有する本発明の発光素子は、本発明のアントラセン誘導体を用いているため、酸化反応の繰り返しによる発光物質の性質の変化に伴った発光素子の特性変化が少なく、長期間、安定な発光を呈することができる。また、 以上のような構成を有する本発明の発光素子は、本発明のアントラセン誘導体を用いているため、効率よく発光することができる。
【0066】
(実施の形態3)
本発明のアントラセン誘導体は、発光物質と共に発光層に含ませ、発光物質を分散状態にするための物質、所謂ホストとして用いることができる。本形態では、本発明のアントラセン誘導体をホストとして用いた発光素子の態様について図2を用いて説明する。
【0067】
図2には、第1の電極201と第2の電極202との間に発光層213を有する発光素子が示されている。第1の電極201と発光層213との間には、正孔注入層211、正孔輸送層212が設けられ、第2の電極202と発光層213との間には電子輸送層214、電子注入層215が設けられている。なお、発光素子の積層構造について特に限定はなく、正孔注入層211、正孔輸送層212、電子輸送層214、電子注入層215、これら以外の層を設けるか否かについては発明の実施者が適宜選択すればよい。また正孔注入層211、正孔輸送層212、電子輸送層214、電子注入層215については、それぞれ実施の形態2に記載の正孔注入層111、正孔輸送層112、電子輸送層114、電子注入層115と同様でよい為、本形態ではこれらの層に関する説明を省略する。また、第1の電極201、第2の電極202についても、それぞれ実施の形態1に示した第1の電極101、第2の電極102と同様でよい為、説明を省略する。
【0068】
本形態の発光素子において、発光層213には、本発明のアントラセン誘導体と、450nm〜700nm、好ましくは480nm〜600nmの帯域に発光スペクトルのピークを有する発光物質とが含まれている。より具体的に述べると、発光物質は、本発明のアントラセン誘導体から成る層に分散するように含まれている。このように、これらの物質と本発明のアントラセン誘導体とを組み合わせて用いることによって、ホストからの発光が混ざり難く、発光物質に由来した発光を選択的に取り出すことのできる発光素子を得ることができる。
【0069】
また、本発明のアントラセン誘導体は、酸化反応の繰り返しに対し耐性を有する。また、酸化反応の繰り返しに対する耐性を有すると共に還元反応の繰り返しに対しても耐性を有する場合がある。そのため、特に、ホストが励起され、生じた励起エネルギーが発光物質に移動することによって発光するような発光素子においては、酸化反応の繰り返しに起因したホストの性質の変化が少なく、発光時間の蓄積に伴った駆動電圧の増加等が低減された発光素子を得ることができる。
【0070】
(実施の形態4)
実施の形態2、3において説明した本発明の発光素子は、酸化反応の繰り返しに耐性を有し(さらに、還元反応の繰り返しにも耐性を有する場合がある)、長期間、良好な状態で発光させることができる為、本発明の発光素子を用いることによって、長期間に渡り、良好な表示画像等を提供することができる発光装置を得ることができる。
【0071】
本形態では、表示機能を有する発光装置の回路構成および駆動方法について図3〜6を用いて説明する。
【0072】
図3は本発明を適用した発光装置を上面からみた模式図である。図3において、基板6500上には、画素部6511と、ソース信号線駆動回路6512と、書込用ゲート信号線駆動回路6513と、消去用ゲート信号線駆動回路6514とが設けられている。ソース信号線駆動回路6512と、書込用ゲート信号線駆動回路6513と、消去用ゲート信号線駆動回路6514とは、それぞれ、配線群を介して、外部入力端子であるFPC(フレキシブルプリントサーキット)6503と接続している。そして、ソース信号線駆動回路6512と、書込用ゲート信号線駆動回路6513と、消去用ゲート信号線駆動回路6514とは、それぞれ、FPC6503からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。またFPC6503にはプリント配線基盤(PWB)6504が取り付けられている。なお、駆動回路部は、上記のように必ずしも画素部6511と同一基板上に設けられている必要はなく、例えば、配線パターンが形成されたFPC上にICチップを実装したもの(TCP)等を利用し、基板外部に設けられていてもよい。
【0073】
画素部6511には、列方向に延びた複数のソース信号線が行方向に並んで配列している。また、電流供給線が行方向に並んで配列している。また、画素部6511には、行方向に延びた複数のゲート信号線が列方向に並んで配列している。また画素部6511には、発光素子を含む一組の回路が複数配列している。
【0074】
図4は、一画素を動作するための回路を表した図である。図4に示す回路には、第1のトランジスタ901と第2のトランジスタ902と発光素子903とが含まれている。
【0075】
第1のトランジスタ901と、第2のトランジスタ902とは、それぞれ、ゲート電極と、ドレイン領域と、ソース領域とを含む三端子の素子であり、ドレイン領域とソース領域の間にチャネル領域を有する。ここで、ソース領域とドレイン領域とは、トランジスタの構造や動作条件等によって変わるため、いずれがソース領域またはドレイン領域であるかを限定することが困難である。そこで、本形態においては、ソースまたはドレインとして機能する領域を、それぞれ第1電極、第2電極と表記する。
【0076】
ゲート信号線911と、書込用ゲート信号線駆動回路913とはスイッチ918によって電気的に接続または非接続の状態になるように設けられている。また、ゲート信号線911と、消去用ゲート信号線駆動回路914とはスイッチ919によって電気的に接続または非接続の状態になるように設けられている。また、ソース信号線912は、スイッチ920によってソース信号線駆動回路915または電源916のいずれかに電気的に接続するように設けられている。そして、第1のトランジスタ901のゲートはゲート信号線911に電気的に接続している。また、第1のトランジスタの第1電極はソース信号線912に電気的に接続し、第2電極は第2のトランジスタ902のゲート電極と電気的に接続している。第2のトランジスタ902の第1電極は電流供給線917と電気的に接続し、第2電極は発光素子903に含まれる一の電極と電気的に接続している。なお、スイッチ918は、書込用ゲート信号線駆動回路913に含まれていてもよい。またスイッチ919についても消去用ゲート信号線駆動回路914の中に含まれていてもよい。また、スイッチ920についてもソース信号線駆動回路915の中に含まれていてもよい。
【0077】
また画素部におけるトランジスタや発光素子等の配置について特に限定はないが、例えば図5の上面図に表すように配置することができる。図5において、第1のトランジスタ1001の第1電極はソース信号線1004に接続し、第2の電極は第2のトランジスタ1002のゲート電極に接続している。また第2トランジスタの第1電極は電流供給線1005に接続し、第2電極は発光素子の電極1006に接続している。ゲート信号線1003の一部は第1のトランジスタ1001のゲート電極として機能する。
【0078】
次に、駆動方法について説明する。図6は時間経過に伴ったフレームの動作について説明する図である。図6において、横方向は時間経過を表し、縦方向はゲート信号線の走査段数を表している。
【0079】
本発明の発光装置を用いて画像表示を行うとき、表示期間においては、画面の書き換え動作が繰り返し行われる。この書き換え回数について特に限定はないが、画像をみる人がちらつき(フリッカ)を感じないように少なくとも1秒間に60回程度とすることが好ましい。ここで、一画面(1フレーム)の書き換え動作を行う期間を1フレーム期間という。
【0080】
1フレームは、図6に示すように、書き込み期間501a、502a、503a、504aと保持期間501b、502b、503b、504bとを含む4つのサブフレーム501、502、503、504に時分割されている。発光するための信号を与えられた発光素子は、保持期間において発光状態となっている。各々のサブフレームにおける保持期間の長さの比は、第1のサブフレーム501:第2のサブフレーム502:第3のサブフレーム503:第4のサブフレーム504=2:2:2:2=8:4:2:1となっている。これによって4ビット階調を表現することができる。但し、ビット数及び階調数はここに記すものに限定されず、例えば8つのサブフレームを設け8ビット階調を行えるようにしてもよい。
【0081】
1フレームにおける動作について説明する。まず、サブフレーム501において、1行目から最終行まで順に書き込み動作が行われる。従って、行によって書き込み期間の開始時間が異なる。書き込み期間501aが終了した行から順に保持期間501bへと移る。当該保持期間において、発光するための信号を与えられている発光素子は発光状態となっている。また、保持期間501bが終了した行から順に次のサブフレーム502へ移り、サブフレーム501の場合と同様に1行目から最終行まで順に書き込み動作が行われる。以上のような動作を繰り返し、サブフレーム504の保持期間504b迄終了する。サブフレーム504における動作を終了したら次のフレームへ移る。このように、各サブフレームにおいて発光した時間の積算時間が、1フレームにおける各々の発光素子の発光時間となる。この発光時間を発光素子ごとに変えて一画素内で様々に組み合わせることによって、明度および色度の異なる様々な表示色を形成することができる。
【0082】
サブフレーム504のように、最終行目までの書込が終了する前に、既に書込を終え、保持期間に移行した行における保持期間を強制的に終了させたいときは、保持期間504bの後に消去期間504cを設け、強制的に非発光の状態となるように制御することが好ましい。そして、強制的に非発光状態にした行については、一定期間、非発光の状態を保つ(この期間を非発光期間504dとする。)。そして、最終行目の書込期間が終了したら直ちに、一行目から順に次のサブフレーム(またはフレーム)の書込期間に移行する。これによって、サブフレーム504の書き込み期間と、その次のサブフレームの書き込み期間とが重畳することを防ぐことができる。
【0083】
なお、本形態では、サブフレーム501乃至504は保持期間の長いものから順に並んでいるが、必ずしも本実施例のような並びにする必要はなく、例えば保持期間の短いものから順に並べられていてもよいし、または保持期間の長いものと短いものとがランダムに並んでいてもよい。また、サブフレームは、さらに複数のフレームに分割されていてもよい。つまり、同じ映像信号を与えている期間、ゲート信号線の走査を複数回行ってもよい。
【0084】
ここで、書込期間および消去期間における、図4で示す回路の動作について説明する。
【0085】
まず書込期間における動作について説明する。書込期間において、n行目(nは自然数)のゲート信号線911は、スイッチ918を介して書込用ゲート信号線駆動回路913と電気的に接続し、消去用ゲート信号線駆動回路914とは非接続である。また、ソース信号線912はスイッチ920を介してソース信号線駆動回路と電気的に接続している。ここで、n行目(nは自然数)のゲート信号線911に接続した第1のトランジスタ901のゲートに信号が入力され、第1のトランジスタ901はオンとなる。そして、この時、1列目から最終列目迄のソース信号線に同時に映像信号が入力される。なお、各列のソース信号線912から入力される映像信号は互いに独立したものである。ソース信号線912から入力された映像信号は、各々のソース信号線に接続した第1のトランジスタ901を介して第2のトランジスタ902のゲート電極に入力される。この時第2のトランジスタ902に入力された信号によって、電流供給線917から発光素子903へ供給される電流値が決まる。そして、その電流値に依存して発光素子903は発光または非発光が決まる。例えば、第2のトランジスタ902がPチャネル型である場合は、第2のトランジスタ902のゲート電極にLow Levelの信号が入力されることによって発光素子903が発光する。一方、第2のトランジスタ902がNチャネル型である場合は、第2のトランジスタ902のゲート電極にHigh Levelの信号が入力されることによって発光素子903が発光する。
【0086】
次に消去期間における動作について説明する。消去期間において、n行目(nは自然数)のゲート信号線911は、スイッチ919を介して消去用ゲート信号線駆動回路914と電気的に接続し、書込用ゲート信号線駆動回路913とは非接続である。また、ソース信号線912はスイッチ920を介して電源916と電気的に接続している。ここで、n行目のゲート信号線911に接続した第1のトランジスタ901のゲートに信号が入力され、第1のトランジスタ901はオンとなる。そして、この時、1列目から最終列目迄のソース信号線に同時に消去信号が入力される。ソース信号線912から入力された消去信号は、各々のソース信号線に接続した第1のトランジスタ901を介して第2のトランジスタ902のゲート電極に入力される。この時第2のトランジスタ902に入力された信号によって、電流供給線917から発光素子903への電流の供給が阻止される。そして、発光素子903は強制的に非発光となる。例えば、第2のトランジスタ902がPチャネル型である場合は、第2のトランジスタ902のゲート電極にHigh Levelの信号が入力されることによって発光素子903は非発光となる。一方、第2のトランジスタ902がNチャネル型である場合は、第2のトランジスタ902のゲート電極にLow Levelの信号が入力されることによって発光素子903は非発光となる。
【0087】
なお、消去期間では、n行目(nは自然数)については、以上に説明したような動作によって消去する為の信号を入力する。しかし、前述のように、n行目が消去期間であると共に、他の行(m行目(mは自然数)とする。)については書込期間となる場合がある。このような場合、同じ列のソース信号線を利用してn行目には消去の為の信号を、m行目には書込の為の信号を入力する必要があるため、以下に説明するような動作させることが好ましい。
【0088】
先に説明した消去期間における動作によって、n行目の発光素子903が非発光となった後、直ちに、ゲート信号線911と消去用ゲート信号線駆動回路914とを非接続の状態とすると共に、スイッチ920を切り替えてソース信号線912とソース信号線駆動回路915と接続させる。そして、ソース信号線とソース信号線駆動回路915とを接続させる共に、ゲート信号線911と書込用ゲート信号線駆動回路913とを接続させる。そして、書込用ゲート信号線駆動回路913からm行目の信号線に選択的に信号が入力され、第1のトランジスタがオンすると共に、ソース信号線駆動回路915からは、1列目から最終列目迄のソース信号線に書込の為の信号が入力される。この信号によって、m行目の発光素子は、発光または非発光となる。
【0089】
以上のようにしてm行目について書込期間を終えたら、直ちに、n+1行目の消去期間に移行する。その為に、ゲート信号線911と書込用ゲート信号線駆動回路913を非接続とすると共に、スイッチ920を切り替えてソース信号線を電源916と接続する。また、ゲート信号線911と書込用ゲート信号線駆動回路913を非接続とすると共に、ゲート信号線911については、消去用ゲート信号線駆動回路914と接続状態にする。そして、消去用ゲート信号線駆動回路914からn+1行目のゲート信号線に選択的に信号を入力して第1のトランジスタに信号をオンする共に、電源916から消去信号が入力される。このようにして、n+1行目の消去期間を終えたら、直ちに、m+1行目の書込期間に移行する。以下、同様に、消去期間と書込期間とを繰り返し、最終行目の消去期間まで動作させればよい。
【0090】
なお、本形態では、n行目の消去期間とn+1行目の消去期間との間にm行目の書込期間を設ける態様について説明したが、これに限らず、n−1行目の消去期間とn行目の消去期間との間にm行目の書込期間を設けてもよい。
【0091】
また、本形態では、サブフレーム504のように非発光期間504dを設けるときにおいて、消去用ゲート信号線駆動回路914と或る一のゲート信号線とを非接続状態にすると共に、書込用ゲート信号線駆動回路913と他のゲート信号線とを接続状態にする動作を繰り返している。このような動作は、特に非発光期間を設けないフレームにおいて行っても構わない。
【0092】
(実施の形態5)
発光素子の発光、非発光を制御する機能を有する回路は、必ずしも図4で表したものに限定されない。例えば図7に示すような回路であってもよい。
【0093】
図7において第1のトランジスタ2101、第2のトランジスタ2103、消去ダイオード2111、発光素子2104が配置されている。第1のトランジスタ2101のソースとドレインは各々、信号線2105と第2のトランジスタ2103のゲートに接続されている。第1のトランジスタ2101のゲートは、第1ゲート線2107に接続されている。第2のトランジスタ2103のソースとドレインは各々、電源線2106と発光素子2104に接続されている。消去ダイオード2111は、第2のトランジスタ2103のゲートと第2ゲート線2117に接続されている。
【0094】
保持容量2102は、第2のトランジスタ2103のゲート電位を保持する機能を有している。よって、第2のトランジスタ2103のゲートと電源線2106の間に接続されているが、保持容量2102を設ける位置はこれに限定されない。第2のトランジスタ2103のゲート電位を保持できるように配置されていればよい。また、第2のトランジスタ2103のゲート容量などを用いて、第2のトランジスタ2103のゲート電位を保持できる場合は、保持容量2102を省いても良い。
【0095】
動作方法としては、第1ゲート線2107を選択して、第1のトランジスタ2101をオン状態にして、信号線2105から信号を保持容量2102に入力する。すると、その信号に応じて、第2のトランジスタ2103の電流が制御され、第1電源線2106から、発光素子2104を通って、第2電源線2108に電流が流れる。
【0096】
信号を消去したい場合は、第2ゲート線2117を選択(ここでは、高い電位にする)して、消去ダイオード2111がオンして、第2ゲート線2117から第2のトランジスタ2103のゲートへ電流が流れるようにする。その結果、第2のトランジスタ2103がオフ状態になる。すると、第1電源線2106から、発光素子2104を通って、第2電源線2108には、電流が流れないようになる。その結果、非点灯期間を作ることができ、点灯期間の長さを自由に制御できるようになる。
【0097】
信号を保持しておきたい場合は、第2ゲート線2117を非選択(ここでは、低い電位にする)しておく。すると、消去ダイオード2111がオフするので、第2のトランジスタ2103のゲート電位は保持される。
【0098】
なお、消去ダイオード2111は、整流性がある素子であれば、なんでもよい。PN型ダイオードでもよいし、PIN型ダイオードでもよいし、ショットキー型ダイオードでもよいし、ツェナー型ダイオードでもよい。
【0099】
また、トランジスタを用いて、ダイオード接続(ゲートとドレインを接続)して、用いても良い。Pチャネル型を用いても良い。
【0100】
(実施の形態6)
本発明の発光素子を含む発光装置の断面図の一態様について、図8を用いて説明する。
【0101】
図8において、点線で囲まれているのは、本発明の発光素子12を駆動するために設けられているトランジスタ11である。発光素子12は、第1の電極13と第2の電極14との間に発光層15を有する本発明の発光素子である。トランジスタ11のドレインと第1の電極13とは、第1層間絶縁膜16a、16b、16cを貫通している配線17によって電気的に接続されている。また、発光素子12は、隔壁層18によって、隣接して設けられている別の発光素子と分離されている。このような構成を有する本発明の発光装置は、本形態において、基板10上に設けられている。
【0102】
なお、図8に示されたトランジスタ11は、半導体層を中心として基板と逆側にゲート電極が設けられたトップゲート型のものである。但し、トランジスタ11の構造については、特に限定はなく、例えばボトムゲート型のものでもよい。またボトムゲートの場合には、チャネルを形成する半導体層の上に保護膜が形成されたもの(チャネル保護型)でもよいし、或いはチャネルを形成する半導体層の一部が凹状になったもの(チャネルエッチ型)でもよい。
【0103】
また、トランジスタ11を構成する半導体層は、結晶性、非結晶性のいずれのものでもよい。また、セミアモルファス等でもよい。
【0104】
なお、セミアモルファス半導体とは、次のようなものである。非晶質と結晶構造(単結晶、多結晶を含む)の中間的な構造を有し、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する結晶質な領域を含んでいるものである。また少なくとも膜中の一部の領域には、0.5〜20nmの結晶粒を含んでいる。ラマンスペクトルが520cm−1よりも低波数側にシフトしている。X線回折ではSi結晶格子に由来するとされる(111)、(220)の回折ピークが観測される。未結合手(ダングリングボンド)終端する為に水素またはハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含ませている。所謂微結晶半導体(マイクロクリスタル半導体)とも言われている。SiH、Si、SiHCl、SiHCl、SiCl、またはSiF等のガスをグロー放電分解(プラズマCVD)して形成する。これらのガスをH、又は、HとHe、Ar、Kr、Neから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈しても良い。希釈率は2〜1000倍の範囲。圧力は概略0.1Pa〜133Paの範囲、電源周波数は1MHz〜120MHz、好ましくは13MHz〜60MHz。基板加熱温度は300℃以下でよく、好ましくは100〜250℃、膜中の不純物元素として、酸素、窒素、炭素などの大気成分の不純物は1×1020/cm以下とすることが望ましく、特に、酸素濃度は5×1019/cm以下、好ましくは1×1019/cm以下とする。
【0105】
また、半導体層が結晶性のものの具体例としては、単結晶または多結晶性の珪素、或いはシリコンゲルマニウム等から成るものが挙げられる。これらはレーザー結晶化によって形成されたものでもよいし、例えばニッケル等を用いた固相成長法による結晶化によって形成されたものでもよい。
【0106】
なお、半導体層が非晶質の物質、例えばアモルファスシリコンで形成される場合には、トランジスタ11およびその他のトランジスタ(発光素子を駆動するための回路を構成するトランジスタ)は全てNチャネル型トランジスタで構成された回路を有する発光装置であることが好ましい。それ以外については、Nチャネル型またはPチャネル型のいずれか一のトランジスタで構成された回路を有する発光装置でもよいし、両方のトランジスタで構成された回路を有する発光装置でもよい。
【0107】
さらに、第1層間絶縁膜16は、図8(A)、(C)に示すように多層でもよいし、または単層でもよい。なお、第1層間絶縁膜16aは酸化珪素や窒化珪素のような無機物から成り、第1層間絶縁膜16bはアクリルやシロキサン(シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成され、水素、またはアルキル基等の有機基を置換基として有する化合物)、塗布成膜可能な酸化珪素等の自己平坦性を有する物質から成る。さらに、第1層間絶縁膜16cはアルゴン(Ar)を含む窒化珪素膜から成る。なお、各層を構成する物質については、特に限定はなく、ここに述べたもの以外のものを用いてもよい。また、これら以外の物質から成る層をさらに組み合わせてもよい。このように、第1層間絶縁膜16a、16b、16cは、無機物または有機物の両方を用いて形成されたものでもよいし、または無機膜と有機膜のいずれか一で形成されたものでもよい。
【0108】
隔壁層18は、エッジ部において、曲率半径が連続的に変化する形状であることが好ましい。また隔壁層18は、アクリルやシロキサン、レジスト、酸化珪素等を用いて形成される。なお隔壁層18は、無機膜と有機膜のいずれか一で形成されたものでもよいし、または両方を用いて形成されたものでもよい。
【0109】
なお、図8(A)、(C)では、第1層間絶縁膜16a、16b、16cのみがトランジスタ11と発光素子12の間に設けられた構成であるが、図8(B)のように、第1層間絶縁膜16(16a、16b)の他、第2層間絶縁膜19が設けられた構成のものであってもよい。図8(B)に示す発光装置においては、第1の電極13は第2層間絶縁膜19を貫通し、配線17と接続している。
【0110】
第2層間絶縁膜19a、19bは、第1層間絶縁膜16と同様に、多層でもよいし、または単層でもよい。第2層間絶縁膜19aはアクリルやシロキサン、塗布成膜可能な酸化珪素等の自己平坦性を有する物質から成る。さらに、第2層間絶縁膜19bはアルゴン(Ar)を含む窒化珪素膜から成る。なお、各層を構成する物質については、特に限定はなく、ここに述べたもの以外のものを用いてもよい。また、これら以外の物質から成る層をさらに組み合わせてもよい。このように、第2層間絶縁膜19a、19bは、無機物または有機物の両方を用いて形成されたものでもよいし、または無機膜と有機膜のいずれか一で形成されたものでもよい。
【0111】
発光素子12において、第1の電極および第2の電極がいずれも透光性を有する物質で構成されている場合、図8(A)の白抜きの矢印で表されるように、第1の電極13側と第2の電極14側の両方から発光を取り出すことができる。また、第2の電極14のみが透光性を有する物質で構成されている場合、図8(B)の白抜きの矢印で表されるように、第2の電極14側のみから発光を取り出すことができる。この場合、第1の電極13は反射率の高い材料で構成されているか、または反射率の高い材料から成る膜(反射膜)が第1の電極13の下方に設けられていることが好ましい。また、第1の電極13のみが透光性を有する物質で構成されている場合、図8(C)の白抜きの矢印で表されるように、第1の電極13側のみから発光を取り出すことができる。この場合、第2の電極14は反射率の高い材料で構成されているか、または反射膜が第2の電極14の上方に設けられていることが好ましい。
【0112】
また、発光素子12は、第1の電極13が陽極として機能し、第2の電極14が陰極として機能する構成であってもよいし、或いは第1の電極13が陰極として機能し、第2の電極14が陽極として機能する構成であってもよい。但し、前者の場合、トランジスタ11はPチャネル型トランジスタであり、後者の場合、トランジスタ11はNチャネル型トランジスタである。
【0113】
(実施の形態7)
なお、本発明の発光素子は、実施の形態4〜6で説明したように、トランジスタと接続し、トランジスタからの信号を受けて発光または非発光するアクティブマトリクス型の発光装置の画素として用いてもよいし、或いは、図46に表されるように、トランジスタ等の駆動用の素子を特に設けずに発光素子を駆動させるパッシブ型の発光装置であってもよい。
【0114】
図46には本発明を適用して作製したパッシブ型の発光装置の斜視図を示す。図46において、基板1901と基板1907との間には、電極1902と電極1906が設けられている。電極1902と電極1906とは交差するように設けられている。さらに、電極1902と電極1906との間には、発光層1905(1902、1904等の配置が分かるように破線で示している。)が設けられている。なお、発光層1905と電極1902との間、若しくは発光層1905と電極1906との間には正孔輸送層、電子輸送層等が設けられていてもよい。電極1902の端部は隔壁層1904が設けられている。このように、隔壁層1904で覆われている。また、パッシブ型の発光装置においても、低駆動電圧で動作する本発明の発光素子を含むことによって、低消費電力で駆動させることができる。
【0115】
(実施の形態8)
本発明の発光装置を実装することによって、長期間に渡って良好な表示を行うことができ、表示画像の乱れに起因した情報の誤認が少ない電子機器を得ることができる。
【0116】
本発明を適用した発光装置を実装した電子機器の一態様を図9に示す。
【0117】
図9(A)は、本発明を適用して作製したノート型のパーソナルコンピュータであり、本体5521、筐体5522、表示部5523、キーボード5524などによって構成されている。本発明の発光素子を有する発光装置を表示部として組み込むことでパーソナルコンピュータを完成できる。
【0118】
図9(B)は、本発明を適用して作製した携帯電話であり、本体5552には表示部5551と、音声出力部5554、音声入力部5555、操作スイッチ5556、5557、アンテナ5553等によって構成されている。本発明の発光素子を有する発光装置を表示部として組み込むことで電話機を完成できる。
【0119】
図9(C)は、本発明を適用して作製したテレビ受像機であり、表示部5531、筐体5532、スピーカー5533などによって構成されている。本発明の発光素子を有する発光装置を表示部として組み込むことでテレビ受像機を完成できる。
【0120】
以上のように本発明の発光装置は、各種電子機器の表示部として用いるのに適している。
【0121】
なお、本形態では、ノート型のパーソナルコンピュータについて述べているが、この他に携帯電話、カーナビゲイション、カメラ、或いは照明機器等に本発明の発光素子を有する発光装置を実装しても構わない。
【実施例1】
【0122】
(合成例1)
本合成例では構造式(1)で表されるアントラセンの合成方法について説明する。
[ステップ1]
9,10−ビス(4−ブロモフェニル)−2−tert−ブチルアントラセンの合成方法について説明する。
【0123】
窒素気流下、5.0gの1,4−ジブロモベンゼンを含む乾燥エーテル溶液(200mL)に−78℃において1.58mol/Lのブチルリチウムヘキサン溶液(13.4mL)を滴下した。滴下終了後、同温度にて1時間攪拌した。−78℃にて2−tert−ブチルアントラキノン(2.80g)の乾燥エーテル溶液(40mL)を滴下し、その後反応溶液をゆっくり室温まで昇温した。終夜室温で攪拌した後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒、ヘキサン−酢酸エチル)によって精製し、化合物を5.5gの重量で得た。
【0124】
得られた化合物を核磁気共鳴法(H−NMR)によって測定したところ、9,10−ビス(4−ブロモフェニル)−2−tert−ブチル−9,10−ジヒドロキシ−9,10−ジヒドロアントラセンであることが確認できた。
【0125】
この化合物のH−NMRを次に示す。
H−NMR(300MHz、CDCl):δ=1.31(s、9H)、2.81(s、1H)、2.86(s、1H)、6.82−6.86(m、4H)、7.13−7.16(m、4H)、7.36−7.43(m、3H)、7.53−7.70(m、4H)
【0126】
また、9,10−ビス(4−ブロモフェニル)−2−tert−ブチル−9,10−ジヒドロキシ−9,10−ジヒドロアントラセンの合成スキーム(b−1)を次に示す。
【0127】
【化52】

【0128】
大気下、上記のようにして合成した9,10−ビス(4−ブロモフェニル)−2−tert−ブチル−9,10−ジヒドロキシ−9,10−ジヒドロアントラセン987mg(1.55mmol)、ヨウ化カリウム664mg(4mmol)、ホスフィン酸ナトリウム一水和物を1.48g(14mmol)を、氷酢酸12mLにて懸濁し、2時間還流加熱撹拌した。室温まで冷ましたのち、生じた析出物を濾過し、メタノール約50mLで洗浄し、ろ物を得た。そしてろ物を乾燥させてクリーム色粉末の化合物700mgを得た。収率は82%だった。この化合物を核磁気共鳴法(H−NMR、13C−NMR)によって測定したところ、9,10−ビス(4−ブロモフェニル)−2−tert−ブチルアントラセンであることが確認できた。
【0129】
この化合物のH−NMRと13C−NMRとを次に示す。
H−NMR(300MHz、CDCl):δ=1.28(s、9H)、7.25−7.37(m、6H)、7.44−7.48(m、1H)7.56−7.65(m、4H)、7.71−7.76(m、4H)
13C−NMR(74MHz、CDCl):δ=30.8、35.0、120.8、121.7、121.7、124.9、125.0、125.2、126.4、126.6、126.6、128.3、129.4、129.7、129.9、131.6、131.6、133.0、133.0、135.5、135.7、138.0、138.1、147.8
【0130】
また、9,10−ビス(4−ブロモフェニル)−2−tert−ブチルアントラセンの合成スキーム(b−2)を次に示す。
【0131】
【化53】

【0132】
[ステップ2]
3−(N−フェニルアミノ)−9−フェニルカルバゾールの合成方法について説明する。
【0133】
先ず、N−フェニルカルバゾール24.3g(100mmol)を氷酢酸600mLに溶かし、N−ブロモコハク酸イミド17.8g(100mmol)をゆっくり加え、室温で一晩撹拌した。この氷酢酸溶液を氷水1Lに撹拌しながら滴下した。析出した白色固体を水で3回洗浄した。この固体をジエチルエーテル150mLに溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水で洗浄した。この有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。これを濾過し、得られたろ液を濃縮した。得られた残渣にメタノールを約50mLを加え、超音波を照射して均一に溶解させた。この溶液を静置することで白色固体を析出した。これを濾過し、ろ物を乾燥させる事で、白色粉末の3−ブロモ−9−フェニルカルバゾールを28.4g(収率88%)を得た。
【0134】
また、3−ブロモ−9−フェニルカルバゾールの合成スキーム(c−1)を次に示す。
【0135】
【化54】

【0136】
次に、窒素下で、3−ブロモ−9−フェニルカルバゾール19g(60mmol)、ビスジベンジリデンアセトンパラジウム(0)(略称:Pd(dba))340mg(0.6mmol)、1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(略称:DPPF)1.6g(3.0mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド(略称:tBuONa)13g(180mmol)の混合物に、脱水キシレン110mL、アニリン7.0g(75mmol)を加えた。これを窒素雰囲気下にて90℃、7.5時間加熱撹拌した。反応終了後、この懸濁液に50℃に温めたトルエンを約500mL加え、これをフロリジール、アルミナ、セライトを通して濾過した。得られたろ液を濃縮し、この残渣をヘキサン−酢酸エチルを加えて超音波を照射した。得られた懸濁液を濾過し、このろ物を乾燥し、クリーム色の粉末を15g得た(収率75%)。核磁気共鳴法(H−NMR)によって、このクリーム色粉末が3−(N−フェニルアミノ)−9−フェニルカルバゾール(略称:PCA)であることを確認した。
【0137】
この化合物のH−NMRを次に示す。また、H−NMRチャートを図13(A)、(B)に示す。なお、図13(B)は、図13(A)における5ppm〜9ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
H NMR(300MHz、CDCl);δ=6.84(t、j=6.9、1H)、6.97(d、j=7.8、2H)、7.20−7.61(m、13H)、7.90(s、1H)、8.04(d、j=7.8、1H)
【0138】
また、3−(N−フェニルアミノ)−9−フェニルカルバゾールの合成スキーム(c−2)を次に示す。
【0139】
【化55】

【0140】
[ステップ3]
9,10−ビス{4−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]フェニル}−2−tert−ブチルアントラセン(略称:PCABPA)の合成方法について説明する。
【0141】
窒素下で、9,10−ビス(4−ブロモフェニル)−2−tert−ブチルアントラセン540mg(1.0mmol)、3−(N−フェニルアミノ)−9−フェニルカルバゾール670mg(2.0mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)12mg(0.02mmol)、1,1−ビス(ジフェニルフォスフィノ)フェロセン110mg(0.2mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド600mg(6.2mmol)の混合物に脱水トルエン10mLを加えた。これを窒素雰囲気下で90℃、5時間加熱撹拌した。反応終了後、この懸濁液にトルエン約100mLを加え、これをフロリジール、アルミナ、セライトを通して濾過した。得られたろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:ヘキサン=1:1)にて分取した。これを濃縮し、得られた残渣をジクロロメタン−ヘキサンで再結晶を行った。このようにして500mgの黄緑色粉末を得た(収率48%)。核磁気共鳴法(H−NMR)によって、この黄緑色粉末が9,10−ビス{4−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]フェニル}−2−tert−ブチルアントラセン(略称:PCABPA)であることを確認した。
【0142】
この化合物のH−NMRを次に示す。また、H−NMRチャートを図14(A)、(B)に示す。なお、図14(B)は、図14(A)における6.5ppm〜8.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
H NMR(300MHz、DMSO−d):δ=3.33(s、9H)、6.98−7.79(m、44H)、8.16−8.27(m、4H)
【0143】
また、PCABPAの合成スキーム(d−1)を次に示す。
【0144】
【化56】

【0145】
また、PCABPAの吸収スペクトルを図10に示す。図10において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。また、(a)は、単膜状態における吸収スペクトルであり、(b)はトルエン溶液に溶解させた状態における吸収スペクトルである。また、PCABPAの発光スペクトルを図11に示す。図11において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。また、(a)は、単膜状態における発光スペクトル(励起波長352nm)であり、(b)はトルエン溶液に溶解させた状態における発光スペクトル(励起波長390nm)である。図11から、PCABPAからの発光は、単膜状態において488nmにピークを有し、トルエン溶液中において472nmにピークを有することが分かる。そしてこれらの発光は、青色系の発光色として視認された。
【0146】
また、得られたPCABPAを蒸着法によって成膜し、薄膜状態における当該化合物のイオン化ポテンシャルを、光電子分光装置(理研計器社製、AC−2)を用いて測定したところ、5.31eVであった。また、薄膜状態における当該化合物の吸収スペクトルを、UV・可視光分光光度計(日本分光社製、V−550)を用いて測定し、吸収スペクトルの長波長側の吸収端の波長をエネルギーギャップ(2.77eV)とし、LUMO準位を求めたところ、LUMO準位は−2.54eVであった。
【0147】
さらに、得られたPCABPAの分解温度Tを示唆熱熱重量同時測定装置(セイコー電子株式会社製,TG/DTA 320型)により測定したところ、T=485℃であり、良好な耐熱性を示すことが分かった。
【0148】
また、サイクリックボルタンメトリ(CV)測定により、PCABPAの酸化反応特性及び還元反応特性について調べた。なお測定には、電気化学アナライザー(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600A)を用いた。
【0149】
CV測定における溶液は、溶媒として脱水ジメチルホルムアミド(DMF)を用い、支持電解質である過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−BuNClO)を100mmol/Lの濃度となるように溶解させ、さらに測定対象であるPCABPAを1mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製した。また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、補助電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極(5cm))を、基準電極としてはAg/Ag電極(ビー・エー・エス(株)製、RE5非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。
【0150】
酸化反応特性については次のようにして調べた。
基準電極に対する作用電極の電位を−0.01から0.6Vまで変化させた後、0.6Vから−0.01Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイクル測定した。なお、CV測定のスキャン速度は0.1V/sに設定した。
【0151】
還元反応特性については次のようにして調べた。
基準電極に対する作用電極の電位を−0.9から−2.7Vまで変化させた後、−2.7Vから−0.9Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイクル測定した。なお、CV測定のスキャン速度は0.1V/sに設定した。
【0152】
PCABPAの酸化反応特性について調べた結果を図12(A)に示す。また、PCABPAの還元反応特性について調べた結果を図12(B)に示す。図12(A)、(B)において、横軸は基準電極に対する作用電極の電位(V)を表し、縦軸は作用電極と補助電極との間に流れた電流値(1×10−5A)を表す。
【0153】
図12(A)から酸化電位は0.42V(vs.Ag/Ag電極)であることが分かった。また、図12(B)から還元電位は−2.39V(vs.Ag/Ag電極)であることが分かった。また、100サイクルもの走査を繰り返しているにもかかわらず、酸化反応と還元反応のいずれについてもCV曲線のピーク位置やピーク強度にほとんど変化が見られない。このことから、本発明の化合物のひとつであるPCABPAは酸化反応の繰り返しに対し極めて安定であることが分かった。さらに、還元反応の繰り返しに対しても極めて安定であることが分かった。
【0154】
(合成例2)
本合成例では構造式(13)で表されるアントラセン誘導体である9,10−ビス{4’−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル−4−イル}−2−tert−ブチルアントラセン(略称:PCABBA)の合成方法について説明する。
[ステップ1]
まず、9,10−ビス(4’−ブロモビフェニル−4−イル)−2−tert−ブチルアントラセンの合成方法について説明する。
【0155】
4,4’−ジブロモビフェニル6.55g(21.0mmol)を500mLの三口フラスコへ入れて窒素置換し、テトラヒドロフラン200mLを加え、−80℃にしてからn−ブチルリチウム(1.54mol/Lのヘキサン溶液)14.5mL(22.3mmol)を滴下し、−80℃に保ったまま1時間攪拌した。−80℃に保ったまま、アントラキノン2.07g(10.0mmol)をテトラヒドロフラン(略称:THF)20mLに懸濁した混合溶液を反応溶液へ滴下し、滴下終了後、−80℃から室温に戻しながらさらに2時間攪拌した。反応後、エタノールを110mL加えて攪拌してから、反応溶液を水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。反応混合物を自然ろ過し、ろ液を濃縮したところ、淡黄色固体を得た(合成スキーム(e−1))。
【0156】
得られた淡黄色固体と、ヨウ化カリウム6.64g(40mmol)、ホスフィン酸ナトリウム一水和物12.7g(120mmol)、氷酢酸120mLを500mLの容量のなすフラスコへ入れ、2時間還流した。反応後、室温にさましてから析出した固体を吸引濾過により回収し、ジクロロメタン・エタノールにより再結晶したところ目的物である9,10−ビス(4’−ブロモビフェニル−4−イル)−2−tert−ブチルアントラセンの淡黄色固体を3.43g、収率51%で得た(合成スキーム(e−2))。
【0157】
また、ステップ1の合成スキーム(e−1)、(e−2)を次に示す。
【0158】
【化57】

【化58】

【0159】
[ステップ2]
次に、構造式(13)で表される9,10−ビス{4’−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル−4−イル}−2−tert−ブチルアントラセンの合成方法について説明する。
【0160】
三口フラスコに、本合成例のステップ1で得た9,10−ビス(4’−ブロモビフェニル−4−イル)−2−tert−ブチルアントラセンを700mg(1.0mmol)、合成例1のステップ2で得た3−(N−フェニルアミノ)−9−フェニルカルバゾール(略称:PCA)を670mg(2.0mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)を60mg(0.10mmol)、トリ−tert−ブチルホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)を1.0mL(0.50mmol)、ナトリウムtert−ブトキシドを0.4g(4.0mmol)入れ、脱水キシレン10mLを加え、窒素置換を行った。これを窒素雰囲気下で、120℃で6時間加熱撹拌した。反応終了後、この懸濁液にトルエン約200mLを加え、これをフロリジール、セライトを通して濾過した。得られたろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:ヘキサン=1:1)にて分取した。これを濃縮し、得られた残渣にヘキサンを加えて超音波を照射して再結晶を行い、目的物である9,10−ビス{4’−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル−4−イル}−2−tert−ブチルアントラセン(略称:PCABBA)のベージュ色粉末を70mg、収率6%で得た。
【0161】
また、ステップ2の合成スキーム(f−1)を次に示す。
【0162】
【化59】

以下に、H−NMRの分析結果を下記に示す。また、H−NMRチャートを図47(A)、(B)に示す。なお、図47(B)は、図47(A)における9ppm〜6ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
【0163】
H−NMR(300MHz、DMSO−d):δ=1.22(s、9H)、7.04(t、J=6.9Hz、2H)、7.14−7.79(m、39H)、7.88−7.94(m、4H)、8.12(d、J=1.5Hz、2H)、8.20(d、J=8.4Hz、2H)
【0164】
また、PCABBAのトルエン溶液中の吸収スペクトルを図48に示す。図48において、横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。また、PCABBAのトルエン溶液中の発光スペクトルを図49に示す。図49において、横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。図49から、PCABBAからの発光は、トルエン溶液中において445nmにピークを有することがわかり、青色の発光と視認された。したがって、PCABBAは、青色の発光を呈する発光物質として適する物質であることがわかった。
【実施例2】
【0165】
本実施例では、合成例1において合成されたPCABPAを発光物質として用いた発光素子の作製方法およびその発光素子の動作特性について説明する。
【0166】
図15に表すように、ガラス基板301上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法によって成膜し、第1の電極302を形成した。第1の電極302の厚さは110nmとなるようにした。なお、電極は、2mm×2mmの大きさを有する正方形の形状となるように形成した。
【0167】
次に、第1の電極302が形成されたガラス基板301を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。
【0168】
次に、真空装置内を排気し、1×10−4Paとなるように減圧した後、蒸着法によって第1の電極302上に、銅フタロシアニンからなる第1の層303を形成した。第1の層303の厚さは20nmとなるようにした。この第1の層303は、発光素子を動作させたときに正孔注入層として機能する層である。
【0169】
次に、第1の層303の上に、NPBから成る第2の層304を蒸着法によって形成した。第2の層304の厚さは40nmとなるようにした。この第2の層304は、発光素子を動作させたときに正孔輸送層として機能する層である。
【0170】
次に、第2の層304の上に、t−BuDNAとPCABPAとを含む第3の層305を共蒸着法によって形成した。第3の層305の厚さは40nmとなるようにし、t−BuDNAとPCABPAとの質量比は1:0.05=t−BuDNA:PCABPAとなるようにした。これによって、PCABPAはt−BuDNAから成る層に分散されたような状態となる。この第3の層305は、発光素子を動作させたときに発光層として機能する層である。なお、PCABPAは発光物質として機能する。
【0171】
次に、第3の層305上に、Alqから成る第4の層306を蒸着法によって形成した。第4の層306の厚さは20nmとなるようにした。この第4の層306は、発光素子を動作させたときに、電子輸送層として機能する層である。
【0172】
次に、第4の層306上に、フッ化カルシウムから成る第5の層307を蒸着法によって形成した。第5の層307の厚さは1nmとなるようにした。この第5の層307は、発光素子を動作させたときに、電子注入層として機能する層である。
【0173】
次に、第5の層307の上に、アルミニウムから成る第2の電極308を形成した。第2の電極308の厚さは200nmとなるようにした。
【0174】
以上のようにして作製した発光素子は、第1の電極302の電位が第2の電極308の電位よりも高くなるように電圧を印加したときに電流が流れ、発光層として機能する第3の層305において電子と正孔とが再結合して励起エネルギーが生成され、励起されたPCABPAが基底状態に戻るときに発光するものである。
【0175】
この発光素子を、グローブボックス内において、窒素雰囲気下で、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子の動作特性について測定した。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
【0176】
測定結果を図16、17に示す。図16は電圧−輝度特性について、図17は、輝度−電流効率特性について、それぞれ調べた結果である。図16において横軸は電圧(V)、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、図17において横軸は輝度(cd/m)、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。
【0177】
また、本実施例で作製した発光素子の発光スペクトルを図18に示す。図18において横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。図18より、本実施例の発光素子は477nmに発光スペクトルのピークを有し、青色の発光を呈することが分かった。さらに、CIE表色系における色度座標は(x,y)=(0.16,0.28)であり、本実施例の発光素子は色純度の良い青色を呈することが分かった。
【実施例3】
【0178】
本実施例では、合成例1に記載された方法によって合成されたPCABPAを発光物質として用いた発光素子の作製方法およびその発光素子の動作特性について説明する。なお、本実施例の発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に、層を構成する物質および層の厚さがそれぞれ異なる5層の層が積層した構造を有するという点で、実施例2の発光素子と同じである為、本実施例についても実施例2の説明に用いた図15を参照して説明する。
【0179】
図15に表すように、ガラス基板301上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法によって成膜し、第1の電極302を形成した。第1の電極302の厚さは110nmとなるようにした。なお、電極は、2mm×2mmの大きさを有する正方形の形状となるように形成した。
【0180】
次に、第1の電極302が形成されたガラス基板301を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。
【0181】
次に、真空装置内を排気し、1×10−4Paとなるように減圧した後、蒸着法によって第1の電極302上に、銅フタロシアニンからなる第1の層303を形成した。第1の層303の厚さは20nmとなるようにした。この第1の層303は、発光素子を動作させたときに正孔注入層として機能する層である。
【0182】
次に、第1の層303の上に、4,4’−ビス[N−(4−ビフェニリル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BBPB)から成る第2の層304を蒸着法によって形成した。第2の層304の厚さは40nmとなるようにした。この第2の層304は、発光素子を動作させたときに正孔輸送層として機能する層である。
【0183】
次に、第2の層304の上に、t−BuDNAとPCABPAとを含む第3の層305を共蒸着法によって形成した。第3の層305の厚さは40nmとなるようにし、t−BuDNAとPCABPAとの質量比は1:0.05=t−BuDNA:PCABPAとなるようにした。これによって、PCABPAはt−BuDNAから成る層に分散されたような状態となる。この第3の層305は、発光素子を動作させたときに発光層として機能する層である。なお、PCABPAは発光物質として機能する。
【0184】
次に、第3の層305上に、Alqから成る第4の層306を蒸着法によって形成した。第4の層306の厚さは20nmとなるようにした。この第4の層306は、発光素子を動作させたときに、電子輸送層として機能する層である。
【0185】
次に、第4の層306上に、フッ化カルシウムから成る第5の層307を蒸着法によって形成した。第5の層307の厚さは1nmとなるようにした。この第5の層307は、発光素子を動作させたときに、電子注入層として機能する層である。
【0186】
次に、第5の層307の上に、アルミニウムから成る第2の電極308を形成した。第2の電極308の厚さは200nmとなるようにした。
【0187】
以上のようにして作製した発光素子は、第1の電極302の電位が第2の電極308の電位よりも高くなるように電圧を印加したときに電流が流れ、発光層として機能する第3の層305において電子と正孔とが再結合して励起エネルギーが生成され、励起されたPCABPAが基底状態に戻るときに発光するものである。
【0188】
この発光素子を、グローブボックス内において、窒素雰囲気下で、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子の動作特性について測定した。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
【0189】
測定結果を図19、20に示す。図19は電圧−輝度特性について、図20は、輝度−電流効率特性について、それぞれ調べた結果である。図19において横軸は電圧(V)、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、図20において横軸は輝度(cd/m)、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。
【0190】
また、本実施例で作製した発光素子の発光スペクトルを図21に示す。図21において横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。図21より、本実施例の発光素子は479nmに発光スペクトルのピークを有し、青色の発光を呈することが分かった。さらに、CIE表色系における色度座標は(x,y)=(0.16,0.29)であり、本実施例の発光素子は色純度の良い青色を呈することが分かった。
【実施例4】
【0191】
本実施例では、合成例1に記載された方法によって合成されたPCABPAを発光物質として用いた発光素子の作製方法およびその発光素子の動作特性について説明する。なお、本実施例の発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に、層を構成する物質および層の厚さがそれぞれ異なる5層の層が積層した構造を有するという点で、実施例2の発光素子と同じである為、本実施例についても実施例2の説明に用いた図15を参照して説明する。
【0192】
図15に表すように、ガラス基板301上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法によって成膜し、第1の電極302を形成した。第1の電極302の厚さは110nmとなるようにした。なお、電極は、2mm×2mmの大きさを有する正方形の形状となるように形成した。
【0193】
次に、第1の電極302が形成されたガラス基板301を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。
【0194】
次に、真空装置内を排気し、1×10−4Paとなるように減圧した後、蒸着法によって第1の電極302上に、銅フタロシアニンからなる第1の層303を形成した。第1の層303の厚さは20nmとなるようにした。この第1の層303は、発光素子を動作させたときに正孔注入層として機能する層である。
【0195】
次に、第1の層303の上に、BSPBから成る第2の層304を蒸着法によって形成した。第2の層304の厚さは40nmとなるようにした。この第2の層304は、発光素子を動作させたときに正孔輸送層として機能する層である。
【0196】
次に、第2の層304の上に、t−BuDNAとPCABPAとを含む第3の層305を共蒸着法によって形成した。第3の層305の厚さは40nmとなるようにし、t−BuDNAとPCABPAとの質量比は1:0.1=t−BuDNA:PCABPAとなるようにした。これによって、PCABPAはt−BuDNAから成る層に分散されたような状態となる。この第3の層305は、発光素子を動作させたときに発光層として機能する層である。なお、PCABPAは発光物質として機能する。
【0197】
次に、第3の層305上に、Alqから成る第4の層306を蒸着法によって形成した。第4の層306の厚さは20nmとなるようにした。この第4の層306は、発光素子を動作させたときに、電子輸送層として機能する層である。
【0198】
次に、第4の層306上に、フッ化カルシウムから成る第5の層307を蒸着法によって形成した。第5の層307の厚さは1nmとなるようにした。この第5の層307は、発光素子を動作させたときに、電子注入層として機能する層である。
【0199】
次に、第5の層307の上に、アルミニウムから成る第2の電極308を形成した。第2の電極308の厚さは200nmとなるようにした。
【0200】
以上のようにして作製した発光素子は、第1の電極302の電位が第2の電極308の電位よりも高くなるように電圧を印加したときに電流が流れ、発光層として機能する第3の層305において電子と正孔とが再結合して励起エネルギーが生成され、励起されたPCABPAが基底状態に戻るときに発光するものである。
【0201】
この発光素子を、グローブボックス内において、窒素雰囲気下で、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子の動作特性について測定した。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
【0202】
測定結果を図22、23に示す。図22は電圧−輝度特性について、図23は、輝度−電流効率特性について、それぞれ調べた結果である。図22において横軸は電圧(V)、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、図23において横軸は輝度(cd/m)、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。
【0203】
また、本実施例で作製した発光素子の発光スペクトルを図24に示す。図24において横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。図24より、本実施例の発光素子は474nmに発光スペクトルのピークを有し、青色の発光を呈することが分かった。さらに、CIE表色系における色度座標は(x,y)=(0.16,0.25)であり、本実施例の発光素子は色純度の良い青色を呈することが分かった。
【実施例5】
【0204】
本実施例では、合成例1に記載された方法によって合成されたPCABPAを発光物質として用いた発光素子の作製方法およびその発光素子の動作特性について説明する。なお、本実施例の発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に、層を構成する物質および層の厚さがそれぞれ異なる5層の層が積層した構造を有するという点で、実施例2の発光素子と同じである為、本実施例についても実施例2の説明に用いた図15を参照して説明する。
【0205】
図15に表すように、ガラス基板301上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法によって成膜し、第1の電極302を形成した。第1の電極302の厚さは110nmとなるようにした。なお、電極は、2mm×2mmの大きさを有する正方形の形状となるように形成した。
【0206】
次に、第1の電極302が形成されたガラス基板301を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。
【0207】
次に、真空装置内を排気し、1×10−4Paとなるように減圧した後、蒸着法によって第1の電極302上に、DNTPDからなる第1の層303を形成した。第1の層303の厚さは50nmとなるようにした。この第1の層303は、発光素子を動作させたときに正孔注入層として機能する層である。
【0208】
次に、第1の層303の上に、NPBから成る第2の層304を蒸着法によって形成した。第2の層304の厚さは10nmとなるようにした。この第2の層304は、発光素子を動作させたときに正孔輸送層として機能する層である。
【0209】
次に、第2の層304の上に、CzPAとPCABPAとを含む第3の層305を共蒸着法によって形成した。第3の層305の厚さは40nmとなるようにし、CzPAとPCABPAとの質量比は1:0.05=CzPA:PCABPAとなるようにした。これによって、PCABPAはCzPAから成る層に分散されたような状態となる。この第3の層305は、発光素子を動作させたときに発光層として機能する層である。なお、PCABPAは発光物質として機能する。
【0210】
次に、第3の層305上に、Alqから成る第4の層306を蒸着法によって形成した。第4の層306の厚さは20nmとなるようにした。この第4の層306は、発光素子を動作させたときに、電子輸送層として機能する層である。
【0211】
次に、第4の層306上に、フッ化カルシウムから成る第5の層307を蒸着法によって形成した。第5の層307の厚さは1nmとなるようにした。この第5の層307は、発光素子を動作させたときに、電子注入層として機能する層である。
【0212】
次に、第5の層307の上に、アルミニウムから成る第2の電極308を形成した。第2の電極308の厚さは200nmとなるようにした。
【0213】
以上のようにして作製した発光素子は、第1の電極302の電位が第2の電極308の電位よりも高くなるように電圧を印加したときに電流が流れ、発光層として機能する第3の層305において電子と正孔とが再結合して励起エネルギーが生成され、励起されたPCABPAが基底状態に戻るときに発光するものである。
【0214】
この発光素子を、グローブボックス内において、窒素雰囲気下で、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子の動作特性について測定した。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
【0215】
測定結果を図25、26に示す。図25は電圧−輝度特性について、図26は、輝度−電流効率特性について、それぞれ調べた結果である。図25において横軸は電圧(V)、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、図26において横軸は輝度(cd/m)、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。
【0216】
また、本実施例で作製した発光素子の発光スペクトルを図27に示す。図27において横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。図27より、本実施例の発光素子は478nmに発光スペクトルのピークを有し、青色の発光を呈することが分かった。さらに、CIE表色系における色度座標は(x,y)=(0.16,0.28)であり、本実施例の発光素子は色純度の良い青色を呈することが分かった。
【実施例6】
【0217】
本実施例では、合成例1に記載された方法によって合成されたPCABPAを発光物質として用いた発光素子の作製方法およびその発光素子の動作特性について説明する。なお、本実施例の発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に、層を構成する物質および層の厚さがそれぞれ異なる5層の層が積層した構造を有するという点で、実施例2の発光素子と同じである為、本実施例についても実施例2の説明に用いた図15を参照して説明する。
【0218】
図15に表すように、ガラス基板301上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法によって成膜し、第1の電極302を形成した。第1の電極302の厚さは110nmとなるようにした。なお、電極は、2mm×2mmの大きさを有する正方形の形状となるように形成した。
【0219】
次に、第1の電極302が形成されたガラス基板301を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。
【0220】
次に、真空装置内を排気し、1×10−4Paとなるように減圧した後、蒸着法によって第1の電極302上に、DNTPDからなる第1の層303を形成した。第1の層303の厚さは50nmとなるようにした。この第1の層303は、発光素子を動作させたときに正孔注入層として機能する層である。
【0221】
次に、第1の層303の上に、NPBから成る第2の層304を蒸着法によって形成した。第2の層304の厚さは10nmとなるようにした。この第2の層304は、発光素子を動作させたときに正孔輸送層として機能する層である。
【0222】
次に、第2の層304の上に、CzPAとPCABPAとを含む第3の層305を共蒸着法によって形成した。第3の層305の厚さは40nmとなるようにし、CzPAとPCABPAとの質量比は1:0.04=CzPA:PCABPAとなるようにした。これによって、PCABPAはCzPAから成る層に分散されたような状態となる。この第3の層305は、発光素子を動作させたときに発光層として機能する層である。なお、PCABPAは発光物質として機能する。
【0223】
次に、第3の層305上に、Alqから成る第4の層306を蒸着法によって形成した。第4の層306の厚さは10nmとなるようにした。この第4の層306は、発光素子を動作させたときに、電子輸送層として機能する層である。
【0224】
次に、第4の層306上に、AlqとLiとを含む第5の層307を共蒸着法によって形成した。第5の層307の厚さは10nmとなるようにした。また、AlqとLiとの質量比は1:0.01=Alq:Liとなるようにした。この第5の層307は、発光素子を動作させたときに、電子注入層として機能する層である。
【0225】
次に、第5の層307の上に、アルミニウムから成る第2の電極308を形成した。第2の電極308の厚さは200nmとなるようにした。
【0226】
以上のようにして作製した発光素子は、第1の電極302の電位が第2の電極308の電位よりも高くなるように電圧を印加したときに電流が流れ、発光層として機能する第3の層305において電子と正孔とが再結合して励起エネルギーが生成され、励起されたPCABPAが基底状態に戻るときに発光するものである。
【0227】
この発光素子を、グローブボックス内において、窒素雰囲気下で、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子の動作特性について測定した。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
【0228】
測定結果を図28、29に示す。図28は電圧−輝度特性について、図29は、輝度−電流効率特性について、それぞれ調べた結果である。図28において横軸は電圧(V)、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、図29において横軸は輝度(cd/m)、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。
【0229】
また、本実施例で作製した発光素子の発光スペクトルを図30に示す。図30において横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。図30より、本実施例の発光素子は487nmに発光スペクトルのピークを有し、青色の発光を呈することが分かった。さらに、CIE表色系における色度座標は(x,y)=(0.17,0.32)であり、本実施例の発光素子は色純度の良い青色を呈することが分かった。
【実施例7】
【0230】
本実施例では、合成例1に記載された方法によって合成されたPCABPAを発光物質として用いた発光素子の作製方法およびその発光素子の動作特性について説明する。なお、本実施例の発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に、層を構成する物質および層の厚さがそれぞれ異なる5層の層が積層した構造を有するという点で、実施例2の発光素子と同じである為、本実施例についても実施例2の説明に用いた図15を参照して説明する。
【0231】
図15に表すように、ガラス基板301上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法によって成膜し、第1の電極302を形成した。第1の電極302の厚さは110nmとなるようにした。なお、電極は、2mm×2mmの大きさを有する正方形の形状となるように形成した。
【0232】
次に、第1の電極302が形成されたガラス基板301を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。
【0233】
次に、真空装置内を排気し、1×10−4Paとなるように減圧した後、蒸着法によって第1の電極302上に、DNTPDからなる第1の層303を形成した。第1の層303の厚さは50nmとなるようにした。この第1の層303は、発光素子を動作させたときに正孔注入層として機能する層である。
【0234】
次に、第1の層303の上に、NPBから成る第2の層304を蒸着法によって形成した。第2の層304の厚さは10nmとなるようにした。この第2の層304は、発光素子を動作させたときに正孔輸送層として機能する層である。
【0235】
次に、第2の層304の上に、DPCzPAとPCABPAとを含む第3の層305を共蒸着法によって形成した。第3の層305の厚さは40nmとなるようにし、DPCzPAとPCABPAとの質量比は1:0.04=DPCzPA:PCABPAとなるようにした。これによって、PCABPAはDPCzPAから成る層に分散されたような状態となる。この第3の層305は、発光素子を動作させたときに発光層として機能する層である。なお、PCABPAは発光物質として機能する。
【0236】
次に、第3の層305上に、Alqから成る第4の層306を蒸着法によって形成した。第4の層306の厚さは10nmとなるようにした。この第4の層306は、発光素子を動作させたときに、電子輸送層として機能する層である。
【0237】
次に、第4の層306上に、AlqとLiとを含む第5の層307を共蒸着法によって形成した。第5の層307の厚さは10nmとなるようにした。また、AlqとLiとの質量比は1:0.01=Alq:Liとなるようにした。この第5の層307は、発光素子を動作させたときに、電子注入層として機能する層である。
【0238】
次に、第5の層307の上に、アルミニウムから成る第2の電極308を形成した。第2の電極308の厚さは200nmとなるようにした。
【0239】
以上のようにして作製した発光素子は、第1の電極302の電位が第2の電極308の電位よりも高くなるように電圧を印加したときに電流が流れ、発光層として機能する第3の層305において電子と正孔とが再結合して励起エネルギーが生成され、励起されたPCABPAが基底状態に戻るときに発光するものである。
【0240】
この発光素子を、グローブボックス内において、窒素雰囲気下で、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子の動作特性について測定した。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
【0241】
測定結果を図31、32に示す。図31は電圧−輝度特性について、図32は、輝度−電流効率特性について、それぞれ調べた結果である。図31において横軸は電圧(V)、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、図32において横軸は輝度(cd/m)、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。
【0242】
また、本実施例で作製した発光素子の発光スペクトルを図33に示す。図33において横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。図33より、本実施例の発光素子は487nmに発光スペクトルのピークを有し、青色の発光を呈することが分かった。さらに、CIE表色系における色度座標は(x,y)=(0.17,0.32)であり、本実施例の発光素子は色純度の良い青色を呈することが分かった。
【実施例8】
【0243】
本実施例では、合成例1に記載された方法によって合成されたPCABPAを発光物質として用いた発光素子の作製方法およびその発光素子の動作特性について説明する。なお、本実施例の発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に、層を構成する物質および層の厚さがそれぞれ異なる5層の層が積層した構造を有するという点で、実施例2の発光素子と同じである為、本実施例についても実施例2の説明に用いた図15を参照して説明する。
【0244】
図15に表すように、ガラス基板301上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法によって成膜し、第1の電極302を形成した。第1の電極302の厚さは110nmとなるようにした。なお、電極は、2mm×2mmの大きさを有する正方形の形状となるように形成した。
【0245】
次に、第1の電極302が形成されたガラス基板301を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。
【0246】
次に、真空装置内を排気し、1×10−4Paとなるように減圧した後、蒸着法によって第1の電極302上に、DNTPDからなる第1の層303を形成した。第1の層303の厚さは50nmとなるようにした。この第1の層303は、発光素子を動作させたときに正孔注入層として機能する層である。
【0247】
次に、第1の層303の上に、NPBから成る第2の層304を蒸着法によって形成した。第2の層304の厚さは10nmとなるようにした。この第2の層304は、発光素子を動作させたときに正孔輸送層として機能する層である。
【0248】
次に、第2の層304の上に、t−BuDNAとPCABPAとを含む第3の層305を共蒸着法によって形成した。第3の層305の厚さは40nmとなるようにし、t−BuDNAとPCABPAとの質量比は1:0.04=t−BuDNA:PCABPAとなるようにした。これによって、PCABPAはt−BuDNAから成る層に分散されたような状態となる。この第3の層305は、発光素子を動作させたときに発光層として機能する層である。なお、PCABPAは発光物質として機能する。
【0249】
次に、第3の層305上に、Alqから成る第4の層306を蒸着法によって形成した。第4の層306の厚さは10nmとなるようにした。この第4の層306は、発光素子を動作させたときに、電子輸送層として機能する層である。
【0250】
次に、第4の層306上に、AlqとLiとを含む第5の層307を共蒸着法によって形成した。第5の層307の厚さは10nmとなるようにした。また、AlqとLiとの質量比は1:0.01=Alq:Liとなるようにした。この第5の層307は、発光素子を動作させたときに、電子注入層として機能する層である。
【0251】
次に、第5の層307の上に、アルミニウムから成る第2の電極308を形成した。第2の電極308の厚さは200nmとなるようにした。
【0252】
以上のようにして作製した発光素子は、第1の電極302の電位が第2の電極308の電位よりも高くなるように電圧を印加したときに電流が流れ、発光層として機能する第3の層305において電子と正孔とが再結合して励起エネルギーが生成され、励起されたPCABPAが基底状態に戻るときに発光するものである。
【0253】
この発光素子を、グローブボックス内において、窒素雰囲気下で、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子の動作特性について測定した。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
【0254】
測定結果を図34、35に示す。図34は電圧−輝度特性について、図35は、輝度−電流効率特性について、それぞれ調べた結果である。図34において横軸は電圧(V)、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、図35において横軸は輝度(cd/m)、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。
【0255】
また、本実施例で作製した発光素子の発光スペクトルを図36に示す。図36において横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。図36より、本実施例の発光素子は482nmに発光スペクトルのピークを有し、青色の発光を呈することが分かった。さらに、CIE表色系における色度座標は(x,y)=(0.16,0.29)であり、本実施例の発光素子は色純度の良い青色を呈することが分かった。
【実施例9】
【0256】
本実施例では、合成例1に記載された方法によって合成されたPCABPAを発光物質として用いた発光素子の作製方法およびその発光素子の動作特性について説明する。なお、本実施例の発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に、層を構成する物質および層の厚さがそれぞれ異なる5層の層が積層した構造を有するという点で、実施例2の発光素子と同じである為、本実施例についても実施例2の説明に用いた図15を参照して説明する。
【0257】
図15に表すように、ガラス基板301上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法によって成膜し、第1の電極302を形成した。第1の電極302の厚さは110nmとなるようにした。なお、電極は、2mm×2mmの大きさを有する正方形の形状となるように形成した。
【0258】
次に、第1の電極302が形成されたガラス基板301を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。
【0259】
次に、真空装置内を排気し、1×10−4Paとなるように減圧した後、蒸着法によって第1の電極302上に、CuPcからなる第1の層303を形成した。第1の層303の厚さは20nmとなるようにした。この第1の層303は、発光素子を動作させたときに正孔注入層として機能する層である。
【0260】
次に、第1の層303の上に、NPBから成る第2の層304を蒸着法によって形成した。第2の層304の厚さは40nmとなるようにした。この第2の層304は、発光素子を動作させたときに正孔輸送層として機能する層である。
【0261】
次に、第2の層304の上に、CzPAとPCABPAとを含む第3の層305を共蒸着法によって形成した。第3の層305の厚さは40nmとなるようにし、CzPAとPCABPAとの質量比は1:0.04=CzPA:PCABPAとなるようにした。これによって、PCABPAはCzPAから成る層に分散されたような状態となる。この第3の層305は、発光素子を動作させたときに発光層として機能する層である。なお、PCABPAは発光物質として機能する。
【0262】
次に、第3の層305上に、Alqから成る第4の層306を蒸着法によって形成した。第4の層306の厚さは10nmとなるようにした。この第4の層306は、発光素子を動作させたときに、電子輸送層として機能する層である。
【0263】
次に、第4の層306上に、AlqとLiとを含む第5の層307を共蒸着法によって形成した。第5の層307の厚さは10nmとなるようにした。また、AlqとLiとの質量比は1:0.01=Alq:Liとなるようにした。この第5の層307は、発光素子を動作させたときに、電子注入層として機能する層である。
【0264】
次に、第5の層307の上に、アルミニウムから成る第2の電極308を形成した。第2の電極308の厚さは200nmとなるようにした。
【0265】
以上のようにして作製した発光素子は、第1の電極302の電位が第2の電極308の電位よりも高くなるように電圧を印加したときに電流が流れ、発光層として機能する第3の層305において電子と正孔とが再結合して励起エネルギーが生成され、励起されたPCABPAが基底状態に戻るときに発光するものである。
【0266】
この発光素子を、グローブボックス内において、窒素雰囲気下で、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子の動作特性について測定した。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
【0267】
測定結果を図37、38に示す。図37は電圧−輝度特性について、図38は、輝度−電流効率特性について、それぞれ調べた結果である。図37において横軸は電圧(V)、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、図38において横軸は輝度(cd/m)、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。
【0268】
また、本実施例で作製した発光素子の発光スペクトルを図39に示す。図39において横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。図39より、本実施例の発光素子は481nmに発光スペクトルのピークを有し、青色の発光を呈することが分かった。さらに、CIE表色系における色度座標は(x,y)=(0.17,0.31)であり、本実施例の発光素子は色純度の良い青色を呈することが分かった。
【実施例10】
【0269】
本実施例では、合成例1に記載された方法によって合成されたPCABPAを発光物質として用いた発光素子の作製方法およびその発光素子の動作特性について説明する。なお、本実施例の発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に、層を構成する物質および層の厚さがそれぞれ異なる5層の層が積層した構造を有するという点で、実施例2の発光素子と同じである為、本実施例についても実施例2の説明に用いた図15を参照して説明する。
【0270】
図15に表すように、ガラス基板301上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法によって成膜し、第1の電極302を形成した。第1の電極302の厚さは110nmとなるようにした。なお、電極は、2mm×2mmの大きさを有する正方形の形状となるように形成した。
【0271】
次に、第1の電極302が形成されたガラス基板301を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。
【0272】
次に、真空装置内を排気し、1×10−4Paとなるように減圧した後、蒸着法によって第1の電極302上に、CuPcからなる第1の層303を形成した。第1の層303の厚さは20nmとなるようにした。この第1の層303は、発光素子を動作させたときに正孔注入層として機能する層である。
【0273】
次に、第1の層303の上に、NPBから成る第2の層304を蒸着法によって形成した。第2の層304の厚さは40nmとなるようにした。この第2の層304は、発光素子を動作させたときに正孔輸送層として機能する層である。
【0274】
次に、第2の層304の上に、DPCzPAとPCABPAとを含む第3の層305を共蒸着法によって形成した。第3の層305の厚さは40nmとなるようにし、DPCzPAとPCABPAとの質量比は1:0.04=DPCzPA:PCABPAとなるようにした。これによって、PCABPAはDPCzPAから成る層に分散されたような状態となる。この第3の層305は、発光素子を動作させたときに発光層として機能する層である。なお、PCABPAは発光物質として機能する。
【0275】
次に、第3の層305上に、Alqから成る第4の層306を蒸着法によって形成した。第4の層306の厚さは10nmとなるようにした。この第4の層306は、発光素子を動作させたときに、電子輸送層として機能する層である。
【0276】
次に、第4の層306上に、AlqとLiとを含む第5の層307を共蒸着法によって形成した。第5の層307の厚さは10nmとなるようにした。また、AlqとLiとの質量比は1:0.01=Alq:Liとなるようにした。この第5の層307は、発光素子を動作させたときに、電子注入層として機能する層である。
【0277】
次に、第5の層307の上に、アルミニウムから成る第2の電極308を形成した。第2の電極308の厚さは200nmとなるようにした。
【0278】
以上のようにして作製した発光素子は、第1の電極302の電位が第2の電極308の電位よりも高くなるように電圧を印加したときに電流が流れ、発光層として機能する第3の層305において電子と正孔とが再結合して励起エネルギーが生成され、励起されたPCABPAが基底状態に戻るときに発光するものである。
【0279】
この発光素子を、グローブボックス内において、窒素雰囲気下で、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子の動作特性について測定した。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
【0280】
測定結果を図40、41に示す。図40は電圧−輝度特性について、図41は、輝度−電流効率特性について、それぞれ調べた結果である。図40において横軸は電圧(V)、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、図41において横軸は輝度(cd/m)、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。
【0281】
また、本実施例で作製した発光素子の発光スペクトルを図42に示す。図42において横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。図42より、本実施例の発光素子は485nmに発光スペクトルのピークを有し、青色の発光を呈することが分かった。さらに、CIE表色系における色度座標は(x,y)=(0.17,0.31)であり、本実施例の発光素子は色純度の良い青色を呈することが分かった。
【実施例11】
【0282】
本実施例では、合成例1に記載された方法によって合成されたPCABPAを発光物質として用いた発光素子の作製方法およびその発光素子の動作特性について説明する。なお、本実施例の発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に、層を構成する物質および層の厚さがそれぞれ異なる5層の層が積層した構造を有するという点で、実施例2の発光素子と同じである為、本実施例についても実施例2の説明に用いた図15を参照して説明する。
【0283】
図15に表すように、ガラス基板301上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法によって成膜し、第1の電極302を形成した。第1の電極302の厚さは110nmとなるようにした。なお、電極は、2mm×2mmの大きさを有する正方形の形状となるように形成した。
【0284】
次に、第1の電極302が形成されたガラス基板301を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。
【0285】
次に、真空装置内を排気し、1×10−4Paとなるように減圧した後、蒸着法によって第1の電極302上に、CuPcからなる第1の層303を形成した。第1の層303の厚さは20nmとなるようにした。この第1の層303は、発光素子を動作させたときに正孔注入層として機能する層である。
【0286】
次に、第1の層303の上に、NPBから成る第2の層304を蒸着法によって形成した。第2の層304の厚さは40nmとなるようにした。この第2の層304は、発光素子を動作させたときに正孔輸送層として機能する層である。
【0287】
次に、第2の層304の上に、t−BuDNAとPCABPAとを含む第3の層305を共蒸着法によって形成した。第3の層305の厚さは40nmとなるようにし、t−BuDNAとPCABPAとの質量比は1:0.04=t−BuDNA:PCABPAとなるようにした。これによって、PCABPAはt−BuDNAから成る層に分散されたような状態となる。この第3の層305は、発光素子を動作させたときに発光層として機能する層である。なお、PCABPAは発光物質として機能する。
【0288】
次に、第3の層305上に、Alqから成る第4の層306を蒸着法によって形成した。第4の層306の厚さは10nmとなるようにした。この第4の層306は、発光素子を動作させたときに、電子輸送層として機能する層である。
【0289】
次に、第4の層306上に、AlqとLiとを含む第5の層307を共蒸着法によって形成した。第5の層307の厚さは10nmとなるようにした。また、AlqとLiとの質量比は1:0.01=Alq:Liとなるようにした。この第5の層307は、発光素子を動作させたときに、電子注入層として機能する層である。
【0290】
次に、第5の層307の上に、アルミニウムから成る第2の電極308を形成した。第2の電極308の厚さは200nmとなるようにした。
【0291】
以上のようにして作製した発光素子は、第1の電極302の電位が第2の電極308の電位よりも高くなるように電圧を印加したときに電流が流れ、発光層として機能する第3の層305において電子と正孔とが再結合して励起エネルギーが生成され、励起されたPCABPAが基底状態に戻るときに発光するものである。
【0292】
この発光素子を、グローブボックス内において、窒素雰囲気下で、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子の動作特性について測定した。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
【0293】
測定結果を図43、44に示す。図43は電圧−輝度特性について、図44は、輝度−電流効率特性について、それぞれ調べた結果である。図43において横軸は電圧(V)、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、図44において横軸は輝度(cd/m)、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。
【0294】
また、本実施例で作製した発光素子の発光スペクトルを図45に示す。図45において横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。図45より、本実施例の発光素子は476nmに発光スペクトルのピークを有し、青色の発光を呈することが分かった。さらに、CIE表色系における色度座標は(x,y)=(0.16,0.28)であり、本実施例の発光素子は色純度の良い青色を呈することが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0295】
【図1】本発明の発光素子について説明する図。
【図2】本発明の発光素子について説明する図。
【図3】本発明を適用した発光装置について説明する図。
【図4】本発明を適用した発光装置に含まれる回路について説明する図。
【図5】本発明を適用した発光装置の上面図。
【図6】本発明を適用した発光装置のフレーム動作について説明する図。
【図7】本発明を適用した発光装置に含まれる回路について説明する図。
【図8】本発明を適用した発光装置の断面図。
【図9】本発明を適用した電子機器の図。
【図10】本発明のアントラセン誘導体の吸収スペクトルを示す図。
【図11】本発明のアントラセン誘導体の発光スペクトルを示す図。
【図12】本発明のアントラセン誘導体についてのサイクリックボルタンメトリ(CV)による測定結果を示す図。
【図13】合成例1で合成したPCAのH−NMRチャート。
【図14】合成例1で合成したPCABPAのH−NMRチャート。
【図15】実施例で作製した発光素子について説明する図。
【図16】実施例2で作製した発光素子の輝度−電圧特性。
【図17】実施例2で作製した発光素子の輝度−電流効率特性。
【図18】実施例2で作製した発光素子の発光スペクトル。
【図19】実施例3で作製した発光素子の輝度−電圧特性。
【図20】実施例3で作製した発光素子の輝度−電流効率特性。
【図21】実施例3で作製した発光素子の発光スペクトル。
【図22】実施例4で作製した発光素子の輝度−電圧特性。
【図23】実施例4で作製した発光素子の輝度−電流効率特性。
【図24】実施例4で作製した発光素子の発光スペクトル。
【図25】実施例5で作製した発光素子の輝度−電圧特性。
【図26】実施例5で作製した発光素子の輝度−電流効率特性。
【図27】実施例5で作製した発光素子の発光スペクトル。
【図28】実施例6で作製した発光素子の輝度−電圧特性。
【図29】実施例6で作製した発光素子の輝度−電流効率特性。
【図30】実施例6で作製した発光素子の発光スペクトル。
【図31】実施例7で作製した発光素子の輝度−電圧特性。
【図32】実施例7で作製した発光素子の輝度−電流効率特性。
【図33】実施例7で作製した発光素子の発光スペクトル。
【図34】実施例8で作製した発光素子の輝度−電圧特性。
【図35】実施例8で作製した発光素子の輝度−電流効率特性。
【図36】実施例8で作製した発光素子の発光スペクトル。
【図37】実施例9で作製した発光素子の輝度−電圧特性。
【図38】実施例9で作製した発光素子の輝度−電流効率特性。
【図39】実施例9で作製した発光素子の発光スペクトル。
【図40】実施例10で作製した発光素子の輝度−電圧特性。
【図41】実施例10で作製した発光素子の輝度−電流効率特性。
【図42】実施例10で作製した発光素子の発光スペクトル。
【図43】実施例11で作製した発光素子の輝度−電圧特性。
【図44】実施例11で作製した発光素子の輝度−電流効率特性。
【図45】実施例11で作製した発光素子の発光スペクトル。
【図46】本発明の発光装置の態様について説明する図。
【図47】合成例2で合成したPCABBAのH−NMRチャート。
【図48】本発明のアントラセン誘導体の吸収スペクトルを示す図。
【図49】本発明のアントラセン誘導体の発光スペクトルを示す図。
【符号の説明】
【0296】
101 第1の電極
102 第2の電極
111 正孔注入層
112 正孔輸送層
113 発光層
114 電子輸送層
115 電子注入層
201 第1の電極
202 第2の電極
211 正孔注入層
212 正孔輸送層
213 発光層
214 電子輸送層
215 電子注入層
301 ガラス基板
302 第1の電極
303 第1の層
304 第2の層
305 第3の層
306 第4の層
307 第5の層
308 第2の電極
6500 基板
6503 FPC
6504 プリント配線基盤(PWB)
6511 画素部
6512 ソース信号線駆動回路
6513 書込用ゲート信号線駆動回路
6514 消去用ゲート信号線駆動回路
901 第1のトランジスタ
902 第2のトランジスタ
903 発光素子
911 ゲート信号線
912 ソース信号線
913 書込用ゲート信号線駆動回路
914 消去用ゲート信号線駆動回路
915 ソース信号線駆動回路
916 電源
917 電流供給線
918 スイッチ
919 スイッチ
920 スイッチ
1001 第1のトランジスタ
1002 第2のトランジスタ
1003 ゲート信号線
1004 ソース信号線
1005 電流供給線
1006 電極
501 サブフレーム
502 サブフレーム
503 サブフレーム
504 サブフレーム
501a 書き込み期間
501b 保持期間
502a 書き込み期間
502b 保持期間
503a 書き込み期間
503b 保持期間
504a 書き込み期間
504b 保持期間
504c 消去期間
504d 非発光期間
2101 第1のトランジスタ
2102 保持容量
2103 第2のトランジスタ
2111 消去ダイオード
2104 発光素子
2105 信号線
2106 電源線
2108 第2電源線
2107 第1ゲート線
2117 第2ゲート線
10 基板
11 トランジスタ
12 発光素子
13 第1の電極
14 第2の電極
15 発光層
16a、16b、16c 第1層間絶縁膜
17 配線
18 隔壁層
19a、19b 第2層間絶縁膜
5521 本体
5522 筐体
5523 表示部
5524 キーボード
5551 表示部
5552 本体
5553 アンテナ
5554 音声出力部
5555 音声入力部
5556 操作スイッチ
5531 表示部
5532 筐体
5533 スピーカー
1901 基板
1902 電極
1904 隔壁層
1905 発光層
1906 電極
1907 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表されるアントラセン誘導体。
【化01】

(式中、Rは、水素または炭素数1〜4のアルキル基を表す。Rは、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。Rは、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。Phは、フェニル基を表す。Xは、炭素数6〜15のアリーレン基を表す。)
【請求項2】
一般式(2)で表されるアントラセン誘導体。
【化02】

(式中、Rは、水素または炭素数1〜4のアルキル基を表す。R〜Rは、水素、または、RとR、RとRが、それぞれ、互いに結合した芳香環を表す。Rは、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。R10は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。Phは、フェニル基を表す。)
【請求項3】
一般式(3)で表されるアントラセン誘導体。
【化03】

(式中、R11は、水素または炭素数1〜4のアルキル基を表す。R12は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。R13は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。Phは、フェニル基を表す。)
【請求項4】
一般式(4)で表されるアントラセン誘導体。
【化04】

(式中、R14は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。R15は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。Phは、フェニル基を表す。)
【請求項5】
一般式(5)で表されるアントラセン誘導体。
【化05】

(式中、R16は、水素または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
【請求項6】
一般式(6)で表されるアントラセン誘導体。
(式中、Xは、炭素数6〜15のアリーレン基を表す。)
【化06】

【請求項7】
一般式(7)で表されるアントラセン誘導体。
【化07】

(式中、R17は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。)
【請求項8】
一般式(8)で表されるアントラセン誘導体。
【化08】

(式中、R18は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。)
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載のアントラセン誘導体を含む層を、電極間に有する発光素子。
【請求項10】
請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載のアントラセン誘導体を発光物質として含む発光素子を用いた発光装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載のアントラセン誘導体をホストとして含む発光素子を用いた発光装置。
【請求項12】
請求項9乃至請求項11のいずれか一項に記載の発光素子を画素部に有する発光装置。
【請求項13】
請求項11に記載の発光装置を表示部に用いた電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【公開番号】特開2007−55996(P2007−55996A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−376427(P2005−376427)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】