説明

アンプルカット補助具

【課題】安全性が高く、不慣れな使用者でも頚部を適正に破断させることができ、外形も嵩張らないアンプルカット補助具を提供する。
【解決手段】シート状の本体16は、互いに平行な前方及び後方境界線18,20によって前端領域16a、中間領域16b、後端領域16cに区分されている。中間領域16bは、後方境界線20上の2箇所を起点とし頂点部分が前方境界線18近傍に達するU字状の切り込み22を有する。本体16は、後方境界線18に沿って屈曲され中間領域16bにU字孔22bが開口する。アンプルに12に装着されるとき頭部12dがU字孔22b内に差し込まれ、玉部12cがU字孔22bの頂点部分に当接する。頭部12dを前端領域16aとU字突片22aの間に挟んで指で摘み、摘んだ頭部12dをU字突片22aの側に倒すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、注射剤等が封入された容器であるアンプルを開封するときに使用するアンプルカット補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
アンプルは、有底筒状の胴部と、胴部の上端が細く絞られた頚部と、頚部から連続して曲面状に膨らんだ玉部と、玉部から連続して徐々に細くなって伸びている頭部を備え、ガラス素材のものが一般的である。この種のアンプルを開封するときは、アンプルにあるアンプルカットポイントを手前に向けた状態で片方の手で胴部を持ち、もう片方の手の指で頭部を摘んで屈曲させるように力を加え、頚部を破断させることによって頭部を除去する。このとき、頭部に指を添える位置や力の加え方を誤ると、頚部を適正に破断させることができない。また、破断した頚部やガラスの破片が指に触れることによって怪我をするおそれもある。このような問題を回避するため、従来から、様々な形態のアンプルカット用の補助具が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されているように、未開封のアンプルの胴部が僅かなクリアランスを空けて内側に収まる筒状のホルダと、その上端の半周程度の範囲に設けられ、アンプルの頭部に対応して所定の長さだけ上方に延びる受容部材と、ホルダ上端の受容部材と対向する位置に設けられ、受容部材側に付勢する力に応じて変位する押圧部材とを備え、これらの部材が弾性を有するフッ素系樹脂等を用いて一体に形成されたアンプル開封用治具がある。このアンプル開封用治具は、押圧部材を支持する弾性ヒンジ部が未開封のアンプルの頚部の位置に配置され、押圧部材がヒンジ部を軸に揺動自在に設けられているので、押圧部材を受容部材に向けて付勢すると、頚部を支点として頭部に倒れ方向の力が加わり、頚部が適正に破断するようにしたものである。また、開封作業中は、アンプルの周囲がホルダ、受容部材及び押圧部に囲まれているので、破断した頚部やガラスの破片が指に触れるおそれもない。
【0004】
また、特許文献2に開示されているように、軟質ゴム等の素材で成る筒状体であって、一方の端部に左右一対のスリットとダーツ加工が施され、当該端部がスカート状又はラッパ状に開口している状態に保持されるフィンガープロテクターがある。このフィンガープロテクターを使用するときは、開口状態に保持されている端部から未開封のアンプルの頭部を差し込み、アンプルの頚部を覆わない位置で固定する。そして、片方の手で胴部を持ち、もう片方の手でフィンガープロテクターの外側からアンプルの頭部を摘んで、頭部を倒すような力を加え、頚部を破断させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−267491号公報
【特許文献2】実用新案登録第3099475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のアンプル開封用治具は、立体的な構造物のため、アンプルの付属品としてアンプルと一緒に包装するには嵩張ってしまうという問題があった。
【0007】
また、特許文献2のフィンガープロテクターは、開封作業中に指を傷つけ難いという安心感があるものの、アンプルの頭部に力を加える向きや位置が明示されないので、不慣れな使用者が用いると、頚部を適正に破断させることができないものであった。
【0008】
この発明は、上記背景技術に鑑みて成されたもので、安全性が高く、不慣れな使用者でも頚部を適正に破断させることができ、外形も嵩張らないアンプルカット補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前端領域、中間領域、及び後端領域を有したシート状の本体を有し、前記中間領域には、頂点部分が前記前端領域近傍に達し基端部が前記後端領域に達するU字状の切り込みが設けられ、前記本体は、前記後端領域と前記中間領域の間で屈曲させると、前記切り込みの内側からU字突片が抜け出ることによって前記中間領域にU字孔が開口し、前記本体は、頭部、玉部、頚部及び胴部を有するアンプルが装着され、前記頭部が前記U字孔内に前記後端領域の側から差し込まれた状態で、前記後端領域に前記胴部の側面が接し、前記後端領域の表面に接した状態で前記胴部の上端が前記中間領域に達すると、前記玉部が前記U字孔の頂点部分に当接するように設けられ、前記頭部を前記前端領域と前記U字突片との間に挟んで指で摘み、前記頭部を前記U字突片の側に倒すことができるように形成されたアンプルカット補助具である。
【0010】
前記本体には、前記アンプルの位置決めするためのアンプル位置決めマークが表示されている。また、前記本体には、使用者が指を添える場所を示す指位置マークが表示されている。さらに、前記本体には、自身を前端領域、中間領域、及び後端領域に区分する平行な前方境界線及び後方境界線が設けられていても良い。
【0011】
また、前記本体は、包装用箱を構成する箱体形成片と一体に設けられている。さらに、前記本体と前記箱体形成片との境界に、分離用の破断線が設けられているものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明のアンプルカット補助具は、アンプルを開封するとき、アンプルの頭部を前端領域とU字突片との間に挟んで指で摘むので、指を傷つけ難く、使用者の不安感が解消される。
【0013】
また、アンプルがアンプルカット補助具本体の所定位置に位置決めされ、かつ、アンプルの頭部に加えられる力の向きが、本体の中間領域が後方境界線を軸に揺動可能な向きに規制され、頚部を安定的に適正破断させることができる。特に、アンプルカット補助具本体にアンプル位置決めマークや指位置マークを設けることにより、初心者や不慣れな使用者でも取り扱いを誤らないようにすることができる。
【0014】
さらに、アンプルカット補助具は、通常はシート状の平坦な状態にできるので、アンプルと一緒に包装して保管などするときにも嵩張らない。また、アンプルカット補助具を、包装用箱を形成する箱体形成片の一部として一体に設ければ、個別部材として製造などする手間も不要なため、コストの負担なく使用者にアンプルカット補助具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の一実施形態のアンプルカット補助具を示す左側面図(a)、正面図(b)である。
【図2】未開封のアンプルの外観を示す正面図である。
【図3】この実施形態のアンプルカット補助具が一体に設けられた包装用箱の展開図である。
【図4】組立途中の包装用箱の開口部にアンプル用トレイが収容される様子を示す斜視図(a)、開口部が閉じられた様子を示す斜視図(b)である。
【図5】この実施形態のアンプルカット補助具の本体を2つの境界線で屈曲させる様子を示す左側面図(a)、正面図(b)である。
【図6】図5のアンプルカット補助具にアンプルを装着した様子を示す左側面図(a)、正面図(b)である。
【図7】アンプルの頭部を倒して頚部を破断する様子を示す左側面図(a)、斜視図(b)である。
【図8】この実施形態のアンプルカット補助具が一体に設けられた包装用箱の変形例を示す斜視図(a),(b),(c)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明のアンプルカット補助具の一実施形態について、図1〜図4に基づいて説明する。この実施形態のアンプルカット補助具10は、1本のアンプル12、又は2本のアンプル12を同時に開封することができる補助具である。ここで、開封対象のアンプル12は、一般的に使用されている注射剤等が封入されたガラス製の容器で、図2に示すように、有底筒状の胴部12aと、胴部12aの上端が細く絞られた頚部12bと、頚部12bから連続して曲面状に膨らんだ玉部12cと、玉部12cから連続して徐々に細くなって伸びている頭部12dを備え、玉部12cの外径は、胴部12aの外径よりも小さい。また、玉部12cには、頭部12dに力を加える方向を示すアンプルカットポイント12eが表示されている。
【0017】
アンプルカット補助具10は、商品である未使用のアンプル12を包装するための包装用箱14の一部として設けられ、包装用箱14から切り離すことによってシート状の本体16が形成される。本体16は、略長方形であり、図1に示すように、長手方向の上方から順番に、前端領域16a、中間領域16b、後端領域16cの3つの領域を有し、各領域は互いに平行な前方境界線18と後方境界線20とで区分されている。前端領域16aの長さはアンプル12の頭部12dの長さとほぼ等しく、中間領域16bの長さは胴部12aの外径とほぼ等しく、後端領域16cは、胴部12aの長さよりもやや短めに設けられている。また、中間領域16bには、後方境界線20上の2箇所を起点とするU字状の切り込み22が設けられ、そのU字の幅はアンプル12の玉部12cの外径よりも僅かに広く、U字の頂点は前方境界線18近傍に達している。
【0018】
本体16には、アンプル位置決めマーク24a,24b,24cが印刷されている。アンプル位置決めマーク24aは、アンプル12の頭部12dが前端領域16a側に向けて配置されることを想起させる図柄であって、切り込み22のU字の頂点部を跨ぐ前方境界線18上の2箇所を起点とし、頭部12dの形状を模したU字状の輪郭線が描かれている。アンプル位置決めマーク24bは、アンプル12の胴部12aが後端領域16cに配置されることを想起させる図柄であって、胴部12aの形状を模した略矩形の輪郭線が、胴部12aの上端面が後方境界線20上に配置されるように描かれている。アンプル位置決めマーク24cは、アンプル12のアンプルカットポイント12eがこの位置に配置されることを想起させる図柄であって、切り込み22の頂点の部分で前端領域16aと中間領域16bとに跨るように略円形の輪郭線が描かれている。
【0019】
さらに、本体16には、アンプル12を開封するとき、使用者が指を添える場所を示す指位置マーク26が印刷されている。指位置マーク26は、アンプル12の頭部12dを摘むときに親指を添える位置がアンプル位置決めマーク24aの中央部分であることを想起させる図柄であって、2つのアンプル位置決めマーク24aの中央部分に跨るように略楕円形の輪郭線が描かれている。
【0020】
上述したように、アンプルカット補助具10は、包装用箱14の一部として設けられている。以下、包装用箱14の構成について説明する。包装用箱14は、紙製の一枚のブランクシートを打ち抜いて形成された箱体形成片28を組み立てて形成される。図3は箱体形成片28を表面から見た展開図であり、箱体形成片28は、側面30,32,34,36が、互いに平行に連接して形成されている。側面30,32,34,36は、連接している幅方向はほぼ同じ長さであり、連接方向の長さは側面30,34が長くて互いにほぼ等しく、側面32,36はそれよりも少し短くて互いにほぼ等しい。さらに、側面30の側縁部には、糊付片38が設けられている。糊付片38、側面30,32,34,36は、各々折罫線40,42,44,48で区切られており、組立状態で、折罫線40,42,44,48がほぼ直角に折り曲げられ、糊付片38の表面が側面36の裏面に糊付けされて矩形の筒状体を形成する。
【0021】
側面30の、4つの側面の連接方向に対して直角な方向の一端部には、端面50と糊付片52とが連接され、側面30、端面50及び糊付片52は、各々折罫線54,56で区切られて設けられている。さらに、糊付片52には、折罫線56と平行に、糊付片52の中心を通過する一対の開封用切り込み線58が設けられ、折罫線56の側が差し込み部52a、開封用切り込み線58を挟んで反対側が糊付部52bである。糊付片52は、組立状態で、糊付部52bの裏面が側面34の表面に糊付けされ、端面50が4つの側面30,32,34,36で成る筒状体の一端を塞ぐ。
【0022】
側面30の、折罫線54と反対側の端部にも、矩形の端面62が折罫線64で区切られて設けられている。端面62は、組立状態で、後述する糊付片66が糊付けされ、4つの側面30,32,34,36で成る筒状体の他の一端を塞ぐ。
【0023】
側面32の、側面30の折罫線54に隣接する端部には、矩形のフラップ72が折罫線74で区切られて設けられている。上記アンプルカット補助具10はフラップ72から切り出されたものであり、ここでは、アンプルカット補助具10と他の部分との境界には、分離を容易にするためのミシン線76が設けられている。
【0024】
側面32の、折罫線74と反対側の端部にも、上記フラップ72とほぼ同形のフラップ78が折罫線80で区切られて設けられている。
【0025】
側面34の、側面32の折罫線80に隣接する端部には、矩形の糊付片66が折罫82で区切られて設けられている。糊付片66には、折罫線82と平行に、糊付片66の中心を通過する一対の開封用切り込み線84が設けられ、折罫線82の側がフラップ部68a、開封用切り込み線84を挟んで反対側が糊付部68bである。糊付片66は、組立状態で、糊付部68bの裏面が端面62の表面に糊付けされ、端面62を固定する。
【0026】
側面36の、側面34の折罫線82に隣接する端部には、上記フラップ72とほぼ同形のフラップ86が折罫線88で区切られて設けられている。側面36の、折罫線88と反対側の端部にも、上記フラップ86とほぼ同形のフラップ90が折罫線92で区切られて設けられている。
【0027】
箱体形成片28を組み立てるときは、まず、糊付片38、側面30,32,34,36を、折罫線40,42,44,48でほぼ直角に折り曲げ、糊付片38の表面を側面36の裏面に糊付けし、矩形の筒状体の状態にする。次に、筒状体の開口を塞ぐようにフラップ78,86、端面62を順に折り曲げ、その後、糊付片66の糊付部68bの裏面を端面62の表面に糊付けし、端面62を固定する。この時点で包装用箱14は、図4(a)の状態になっている。
【0028】
包装される未使用のアンプル12は、専用のアンプルトレイ90内に並べられ、複数枚のアンプルトレイ90が包装用箱14内に収容される。アンプルトレイ90は、例えば図4(a)に示すように、矩形の紙をコの字状に折り曲げた台紙90aと、台紙90aの内側に固定された断面波形に形成された波状紙90bとで構成され、波状紙90aの谷の部分にアンプル12が納められる。また、アンプルトレイ90の外形は、所定の枚数だけ重ねることによって、包装用箱14の内部にちょうど収まるように設定されている。
【0029】
アンプル12を納めたアンプルトレイ90を包装用箱14内に収納すると、開口部を塞ぐようにフラップ72,90、端面50の順に折り曲げ、その後、糊付片52の糊付部68bの裏面を側面34の表面に糊付けし、端面50を固定する。以上で梱包作業が終了し、包装用箱14は、図4(b)に示す状態になる。
【0030】
梱包された包装用箱14を開封するときは、糊付片56の開封用切り込み線58を破断して端面50を開き、内部のアンプル12を取り出す。さらに、フラップ72に設けられたアンプルカット補助具10を切り出す。アンプルカット補助具10は、周囲にミシン線76が設けられているので、はさみやカッター等を使用しなくても容易に分離することができる。必要な分だけアンプル12を取り出した後は、端面50を閉じて開口を塞ぎ、側面34の内側に差し込み部52aを差し込んで端面50が閉じた状態に再封することができる。なお、糊付片66の開封用切り込み線84は、通常は使用せず、包装用箱14を廃棄する際に破断する。それにより、端面60の固定が解除され容易に解体することができる。
【0031】
次に、アンプルカット補助具10を用いてアンプル12を開封する動作について、図5〜図7に基づいて説明する。まず、アンプルカット補助具10の本体16を、図5に示すように、後方境界線20で屈曲させる。このとき、中間領域16bの切り込み22の内側部分からU字突片22aを抜き出して後端領域16cから真っ直ぐに延びた状態にし、中間領域16bにU字孔22bを開口させる。さらに、必要があれば、前端領域16aが後端領域16cとほぼ平行になるように、前方境界線18で屈曲させるとよい。
【0032】
次に、図6に示すように、アンプルカット補助具10にアンプル12を装着する。まずアンプル12の頭部12dを、後端領域16cの側からU字孔22a内に差し込み、胴部12a側面が後端領域16cの表面に接した状態で胴部12a上端を後方境界線20の位置に合わせる。すると、玉部12cがU字孔22bの頂点部分に当接する。
【0033】
この時、本体16に印刷されているアンプル位置決めマーク24a,24b,24cがアンプル12の配置の目印になるので、不慣れな使用者でも容易行うことができる。さらに、アンプル12のアンプルカットポイント12eをアンプル位置決めマーク24cに合わせることにより、アンプル12に力を掛ける位置を正確に設定することができる。
【0034】
その状態でアンプル12の頭部12dを、前端領域16aとU字突片22aとの間に挟んで指で摘み、図7(a)に示すように、後方境界線20を軸にして頭部12dをU字突片22a側に倒す力を加えて頚部12bを破断し、頭部12bを除去する。操作方法としては、図7(b)に示すように、使用者の片方の手(ここでは右手)で胴部12aと後端領域16cを固定し、もう一方の手(ここでは左手)で頭部12dを摘んで頭部12dを倒す動作を行う。このとき、本体16に印刷されている指位置マーク26が目印となり、使用者がアンプル12の頭部12dを摘むときに、自然に親指を指位置マーク26の位置、すなわち、アンプル12の頭部12dの中央部分に添えることになり、頭部12aを適正な力と方向に傾けることができる。
【0035】
以上説明したように、アンプルカット補助具10は、アンプル12を開封するとき、頭部12dを前端領域16aとU字突片22aとの間に挟んで指で摘むので、指を傷つけ難く、使用者の不安感が解消される。また、アンプル12が本体16の所定位置に位置決めされ、かつ、頭部12dに加えられる力の向きが、本体16の中間領域16bが後方境界線20を軸に揺動可能な向きに規制され、頚部12bを安定的に適正破断させることができる。特に、本体16にアンプル位置決めマーク24a,24b,24cや指位置マーク26が印刷してあるので、不慣れな使用者でも取り扱いを誤る可能性が低い。
【0036】
さらに、アンプルカット補助具10は、通常はシート状の平坦で嵩張らない状態にできるので、例えば、使用後に包装用箱14内に保管したいときは、図4(a)のアンプルトレイ90と包装用箱14との隙間に差し込む等して容易に収納することができる。また、アンプルカット補助具10を、包装用箱14を形成する箱体形成片28の一部として一体に設けているので、個別部材として製造する手間がなく、極めて安価にアンプルカット補助具10を提供することができる。
【0037】
なお、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、アンプルの包装用箱を構成する箱体形成片と一体にアンプルカット補助具を設けるとき、アンプルカット補助具を箱体形成片のどの部分に設けるかは自由である。例えば、図8に示す包装用箱94は、全体として包装用箱14と類似の構造であるが、アンプルトレイ94を1枚だけ収容できる小形の箱体なのでフラップ96が小さく、フラップ96の位置にアンプルカット補助具を設けることができない。そこで、包装用箱94では、比較的面積の広い側面98を内面98aと外面98bの2重構造とし、アンプルカット補助具10を外面98bの部分に設けてある。このような構造にすれば、上述した包装用箱14と同様の効果を得ることができ、また、外面98bのアンプルカット補助具10を切り出して開口した部分が内面98aによって塞がれるのでアンプルの保管性の面について安心である。
【0038】
上記アンプルカット補助具10は最大2本のアンプルを開封できるものであるが、U字突片やU字孔等の構成を1組だけ設け、1本のアンプルだけを開封できる構成にしてもよい。また、アンプルの外形が小形のときは、3本以上のアンプルを同時に開封できる構成にしてもよい。
【0039】
また、前方及び後方境界線は、使用時に屈曲させやすくするため、あらかじめ折罫線の形態に設けてもよい。作業性の面で支障がなく視認の必要もなければ、仮想の境界線として定義するだけよい。
【0040】
また、アンプル位置決めマークや指位置マークの図柄は、上述した趣旨を満たす範囲で変更してもよく、また、本体の後端領域にアンプルの胴部を握るときの望ましい指位置を描いてもよい。
【0041】
また、本体16の外形は矩形に限定されるものではなく、デザイン性や取り扱いの容易性等を考慮し、上述したアンプルの開封動作を妨げない範囲で変更することができる。
【符号の説明】
【0042】
10 アンプルカット補助具
12 アンプル
12a 胴部
12b 頚部
12c 玉部
12d 頭部
12e アンプルカットポイント
14 包装用箱
16 本体
16a 前端領域
16b 中間領域
16c 後端領域
18 前方境界線
20 後方境界線
22 切り込み
22a U字突片
22b U字孔
24a,24b,24c アンプル位置決めマーク
26 指位置マーク
28 箱体形成片
94 包装用箱


【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端領域、中間領域、及び後端領域を有したシート状の本体を有し、
前記中間領域には、頂点部分が前記前端領域近傍に達し基端部が前記後端領域に達するU字状の切り込みが設けられ、
前記本体は、前記後端領域と前記中間領域の間で屈曲させると、前記切り込みの内側からU字突片が抜け出ることによって前記中間領域にU字孔が開口し、
前記本体は、頭部、玉部、頚部及び胴部を有するアンプルが装着され、前記頭部が前記U字孔内に前記後端領域の側から差し込まれた状態で、前記後端領域に前記胴部の側面が接し、前記後端領域の表面に接した状態で前記胴部の上端が前記中間領域に達すると、前記玉部が前記U字孔の頂点部分に当接するように設けられ、
前記頭部を前記前端領域と前記U字突片との間に挟んで指で摘み、前記頭部を前記U字突片の側に倒すことができるように形成されたことを特徴とするアンプルカット補助具。
【請求項2】
前記本体には、前記アンプルを位置決めするためのアンプル位置決めマークが表示されている請求項1記載のアンプルカット補助具。
【請求項3】
前記本体には、自身を前端領域、中間領域、及び後端領域に区分する平行な前方境界線及び後方境界線が設けられている請求項1記載のアンプルカット補助具。
【請求項4】
前記本体には、使用者が指を添える場所を示す指位置マークが表示されている請求項1記載のアンプルカット補助具。
【請求項5】
前記本体が、包装用箱を構成する箱体形成片と一体に設けられている請求項1乃至4のいずれか記載のアンプルカット補助具。
【請求項6】
前記本体と前記箱体形成片との境界に、分離用の破断線が設けられている請求項5記載のアンプルカット補助具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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