説明

アンモニウム含有廃水の生物学的処理方法

本発明は、曝気槽(3)内でのアンモニウム含有廃水、特に7から25℃の間の冷廃水の生物学的処理方法であって、その槽内で廃水中に含有されるアンモニウム(NH)が所与の酸素濃度で窒素元素(N)に転換される方法に関する。転換の際に発生した余剰汚泥が少なくとも部分的に汚泥消化に供され、その間に汚泥の有機成分がガスに変換される。続いて、汚泥が汚泥脱水に供され、汚泥から分離された高度窒素含有性の温汚泥水、特に500〜2000mg/lの窒素濃度および約25〜39℃の温度を有する汚泥水が、続いて脱アンモニア槽(18)に供給される。脱アンモニア槽(18)内で汚泥水中に含有される窒素化合物(NH、有機性窒素)が脱アンモニアによって窒素元素(N2)に変換される。本発明によると、汚泥水の脱アンモニアの際に発生した余剰汚泥が曝気槽(3)に供給され、曝気槽(3)内が1.0mg/l未満の低い酸素濃度に調整されることによって、廃水中に含有されるアンモニウム(NH)が、まず好気性酸化細菌(AOB)によって亜硝酸(NO2)に転換され、続いて嫌気性酸化細菌(ANAMMOX)、特にプランクトミセス門細菌によってアンモニウム(NH)および亜硝酸(NO)が窒素元素(N)に転換され、その際、この脱アンモニアの際に曝気槽(3)内で発生した余剰汚泥は、汚泥消化に供される前に、嫌気性アンモニウム(NH)酸化細菌(ANAMMOX)を大部分含有する重い汚泥相と、軽い汚泥相とに分離され、その際、重い汚泥相は、曝気槽(3)内に返送され、軽い汚泥相は、余剰汚泥として汚泥消化に供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、曝気槽内でのアンモニウム含有廃水、特に7から25℃の間の冷廃水の生物学的処理方法であって、その槽内で廃水中に含有されるアンモニウム(NH)が所与の酸素濃度で窒素元素(N)に転換され、転換の際に発生した余剰汚泥が少なくとも部分的に汚泥消化に供され、その間に汚泥の有機成分がガスに変換され、その際、続いて汚泥が汚泥脱水に供され、汚泥から分離された高度窒素含有性の温汚泥水、特に500〜2000mg/lの窒素濃度および約25〜39℃の温度を有する汚泥水が、続いて脱アンモニア槽に供給され、その槽内で汚泥水中に含有される窒素化合物(NH、有機性窒素)が脱アンモニアによって窒素元素(N)に変換される方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冒頭に挙げた方式の、すでに実施されている方法の場合、概して多くの工業廃水を有する地域廃水が、最初沈殿槽、曝気槽および最終沈殿槽から成る設備で処理される。その廃水は、季節に応じて7〜25℃の温度および約30〜70mg/lの窒素濃度を有し、スクリーン設備および最初沈殿槽から成る最初の機械的処理の後に、曝気槽に導入される。
【0003】
曝気槽では、廃水の本来の生物学的処理が行われる。ここで、アンモニウム(NH)、亜硝酸(NO)および硝酸(NO)のような、廃水中で結合している窒素化合物が硝化/脱窒によって窒素元素(N)に転換され、その窒素元素は無害の最終産物として周囲空気中に放出される。硝化の際に、アンモニウムは酸素によって中間産物である亜硝酸を経て硝酸に酸化される。続く脱窒では、硝酸が第1の還元ステップで亜硝酸に、第2の還元ステップで窒素に還元される。
【0004】
生物学的な硝化/脱窒は、高い酸素要求量に伴う高いエネルギー消費という欠点を有する。加えて、脱窒の際に有機炭素が消費され、そのことが、さらなる処理プロセスおよび汚泥の性質に不利に作用する。
【0005】
曝気槽内での廃水の生物学的処理後に、廃水−汚泥混合物が設備の最終沈殿槽に導入され、そこでは、水が汚泥から分離され、その際、分離された水が最終沈殿槽から排出されて処分され、汚泥は、部分的に返送汚泥として曝気槽に返送され、部分的に余剰汚泥として消化槽に供給される。消化槽内で、または消化槽に輸送する間に、汚泥は約40℃の温度に加熱される。汚泥を消化する間に、最終沈殿槽からの余剰汚泥および廃水から最初沈殿槽内に引き抜かれた汚泥の有機成分が、ガス(メタン)に変換される。含有される窒素は、汚泥中に残留し、今や典型的には500〜2000mg/lの高い窒素濃度で存在する。この高度窒素含有汚泥は、消化槽内での汚泥消化後に汚泥脱水機、例えば遠心分離機に供給される。汚泥の脱水後の水相は、窒素を含有し、約25〜39℃の温度を有する。この温かい高度窒素含有汚泥水は、続いて脱アンモニア槽に供給され、一方で汚泥水から分離された汚泥は処分される。
【0006】
脱アンモニア槽では、汚泥水中に含有される窒素化合物(NH、有機性窒素)が脱アンモニアによって窒素元素(N)に変換され、その窒素元素は周囲空気中に放出される。続いて、脱アンモニアの際に発生した余剰汚泥は、汚泥処理に供される。
【0007】
脱アンモニアは、生物学的窒素除去のための、特に高アンモニウム濃度の廃水を処理するための効率的な方法である。懸濁したバイオマスの生物学的脱アンモニアの際に、2種類の細菌群が関与し、一方は、アンモニウムを亜硝酸に転換する好気性アンモニウム酸化細菌(AOB)であり、もう一方は、嫌気的にアンモニウムを酸化して窒素元素を産生する細菌(ANAMMOX)、特にプランクトミセス門細菌であり、その細菌は予め産生した亜硝酸を使ってこのステップを実行する。
【0008】
好気性アンモニウム酸化細菌(AOB)は、その物質変換に関して嫌気性アンモニウム酸化細菌(ANAMMOX)の10倍の新生細菌質量を産生する。したがって、汚泥システム中の汚泥の滞留時間は、少なくとも緩徐増殖性の嫌気性アンモニウム酸化細菌(ANAMMOX)が増加できる長さでなければならない。
【0009】
硝化/脱窒に対して、脱アンモニアの場合は酸素の半分だけが必要であり、言うならば窒素除去のエネルギー消費が半分である。脱アンモニアは、有機炭素が必要とされない独立栄養プロセスである。それゆえに、その他の処理プロセスがより安定になる。
【0010】
1段階または2段階の生物学的な脱アンモニア方法は、WO2007/033393A1(特許文献1)、EP0327184B1(特許文献2)およびWO00/05176A1(特許文献3)から公知である。
【0011】
脱アンモニアの際に、特に、嫌気性アンモニウム酸化細菌(ANAMMOX)のはるかに長い世代時間が不利であることが分かっており、その世代時間は、好気性アンモニウム酸化細菌(AOB)の10〜15倍である。そのため、槽内の汚泥または細菌の滞留時間が十分に長い場合のみ、安定なシステムを形成することができる。他方でこれは、大きな反応容積およびそれに対応して設計された槽を必要とする。
【0012】
さらに、技術的規模での嫌気性アンモニウム酸化細菌(ANAMMOX)の増殖にとって基礎となるのは、十分に高い廃水温度(>25℃)である。しかしながら、廃水の加熱は、エネルギーを非常に浪費し、そのために前記方法は、低温の廃水の場合、経済的に使用または実施することが不可能である。
【0013】
その上、生成した亜硝酸を好気条件下で硝酸に転換する細菌群(NOB)の存在が不利であることが分かっている。この細菌群は、嫌気性アンモニウム酸化細菌(ANAMMOX)の10分の1の世代時間を有する。
【0014】
前記理由から、脱アンモニアの利用は、高い窒素濃度を同時に有する温廃水流に限定される。低い窒素濃度を有する冷廃水の場合、脱アンモニアの利用に、経済的に合理的でない非常に大きな反応容積が必要となるであろう。通例の硝化設備は、すでに、典型的には15〜20日齢の汚泥を確保しなければならない槽容積を必要とする。脱アンモニアの利用のためには、この槽容積をさらに10〜15倍に拡大しなければならないであろう。
【0015】
その上、EP0503546B1(特許文献4)から、代謝活性な硝化細菌集団が貯留タンク内で培養され、そのタンクからバイオマスが連続的または断続的に生物学的処理ステップに移行され、その際、高い窒素負荷を有する返送物質流が貯留タンク内に導入される、硝化/脱窒による廃水処理方法が公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】WO2007/033393A1
【特許文献2】EP0327184B1
【特許文献3】WO00/05176A1
【特許文献4】EP0503546B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、アンモニウム含有廃水、特に25℃未満の温度を有する冷廃水を処理するための、改良された、経済的に実施可能な方法を提供するという課題に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この課題は、本発明によれば請求項1の特徴に基づく方法によって解決される。本発明のさらなる形態は、従属請求項から読み取ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
したがって、本発明により汚泥水の脱アンモニアの際に発生する余剰汚泥を曝気槽内に供給し、曝気槽内で1.0mg/l未満の低酸素濃度に調整することによって、まず廃水中に含有されるアンモニウム(NH)が好気性酸化細菌(AOB)によって亜硝酸(NO)に転換され、続いて嫌気性酸化細菌(ANAMMOX)、特にプランクトミセス門細菌によってアンモニウム(NH)および亜硝酸(NO)が窒素元素(N)に転換される方法であって、この脱アンモニアの際に曝気槽内で発生した余剰汚泥が、汚泥消化に供される前に、嫌気性アンモニウム(NH)酸化細菌(ANAMMOX)を大部分含有する重い汚泥相と、軽い汚泥相とに分離され、その際、重い汚泥相が、曝気槽に返送され、軽い汚泥相が、余剰汚泥として汚泥消化に供される方法が提供される。
【0020】
脱アンモニア槽から曝気槽内に余剰汚泥を導入し、それと同時に1.0mg/l未満に酸素濃度を制限することによって、低い廃水温度および低い窒素濃度にかかわらず、地域および/または工業廃水の場合にも曝気槽内で脱アンモニアを利用することが初めて可能になる。脱アンモニア槽は、本発明の方法の場合、曝気槽内での脱アンモニアの際に必要な細菌、特にプランクトミセス門細菌のための増殖槽のように作用する。これによって、曝気槽内の低い廃水温度による低い増殖速度の問題が解決する。さらに、曝気槽内を低い酸素レベルに調整することによって、プランクトミセス門細菌の阻害が防止される。
【0021】
さらに、脱アンモニアの際に曝気槽から発生した余剰汚泥が、続いて嫌気性アンモニウム酸化細菌(ANAMMOX)を大部分含有する重い汚泥相と、軽い汚泥相とに分離され、重い相が曝気槽に返送されることによって、曝気槽内での脱アンモニアの利用が促進される。
【0022】
プランクトミセス門細菌がフロック結合体中に出現せず、より高い密度を有することにより、余剰汚泥を重い相と軽い相とに分離することができる。プランクトミセス門細菌は、約1010個/mlの密度で非常に密集して増殖する。軽い相を汚泥消化に供し、重い相を槽内に返送することによって、嫌気性アンモニウム酸化細菌(ANAMMOX)の緩徐増殖群を曝気槽内に蓄積することができる。例えば、余剰汚泥の非特異的引き抜きを伴う純粋な窒素除去用の、例えば高い窒素濃度を有する廃水処理用の単一汚泥システムではバイオマスの10%未満である嫌気性アンモニウム酸化細菌(ANAMMOX)の割合を、余剰汚泥の分離または曝気槽内へのプランクトミセス門細菌の返送によって30%よりも大きく高めることができる。これによって、槽の反応容積をそれに応じて縮小することができ、設備のプロセス安定性を上げることができる。プランクトミセス門細菌よりも重い廃水成分は、曝気槽の前に分離しなければならず、さもなければこれらの成分も同じくシステム中に蓄積されてしまう。そのような分離は、最初沈殿槽または沈殿槽内で行われ、プランクトミセス門細菌の高い沈降速度に基づき、その槽は小さな寸法にすることができる。廃水処理設備は、1段階の単一槽設備または多槽設備として作り上げることができる。
【0023】
本発明の方法を用いると、嫌気性アンモニウム酸化細菌(ANAMMOX)の存在または増殖に作用する廃水温度は、もはや決定的に重要なわけではなく、その結果、温度約7℃の廃水の場合でも、依然として効率的で高いプロセス信頼性で脱アンモニアを利用することができる。
【0024】
温度は、全ての細菌にほぼ等しい方式で作用する(温度が10℃上昇する毎に転換速度がおよそ倍になる)。但し、単一槽設備での通例の脱アンモニアの場合、低温では脱アンモニアの実施がもはや経済的でなくなるほどの大きな槽容積が必要になる。
【0025】
曝気槽から余剰汚泥の重い相を返送し、同時に汚泥処理の脱アンモニア槽から曝気槽に余剰汚泥を供給することによって、低い窒素濃度を有する冷廃水の場合でも槽容積を拡大する必要なしに脱アンモニアを利用する可能性が用意される。同時に、脱アンモニアの際に廃水の窒素化合物の転換に有機炭素が必要ないことによって、低い有機炭素含量で窒素除去、特に硝酸除去(脱窒)が可能になる方法が用意される。さらに、本発明の方法の場合、酸素濃度が1.0mg/l未満に調整されるのに対して、通例の硝化/脱窒の場合、従来の設備で最大3.0mg/lの酸素濃度を用意しなければならないことから、曝気槽内で廃水に通気する際に著しく省エネルギーになる潜在性が生じる。
【0026】
重い相の返送およびそれに伴う濃縮によって、硝酸生成細菌(NOB)に対する嫌気性アンモニウム酸化細菌(ANAMMOX)の割合も嫌気性アンモニウム酸化細菌(ANAMMOX)に有利になるように変動する。これによって、硝化/脱窒のプロセスが、さらに脱アンモニアへと変動する。
【0027】
汚泥処理または汚泥消化からの窒素高度含有汚泥水の脱アンモニアの後に、これは、例えば沈降によって水相(汚泥水)と汚泥相(余剰汚泥)とに分離される。水相は、まだアンモニウムおよび亜硝酸の残留物を有するので、脱アンモニア槽内で脱アンモニアによって処理された汚泥水(水相)も、汚泥の分離後に同じく曝気槽に供給することが、特に環境にやさしいと証明された。
【0028】
経済的視点から、脱アンモニア槽内での脱アンモニアの際に発生する余剰汚泥および処理された汚泥水を懸濁物として曝気槽に供給することが、特に有利であると証明された。これによって、懸濁物の供給用の導管だけが必要になる。
【0029】
設備は、単一槽設備または多槽設備として設計することができる。多槽設備として設計する場合、有利な方法では廃水が曝気槽内での脱アンモニアの後に最終沈殿槽に供給され、その際、最終沈殿槽内で沈殿した汚泥を部分的に返送汚泥として曝気槽に、そして部分的に余剰汚泥として汚泥消化に供給するようにされる。
【0030】
あるいは、またはそれに加えて、廃水を、曝気槽に導入する前に最初沈殿槽内で処理することができ、その際、初沈汚泥が、曝気槽または最終沈殿槽からの余剰汚泥と一緒に汚泥消化に供される。
【0031】
本方法の特に有利な変形形態は、曝気槽内での廃水の脱アンモニアから生じた余剰汚泥を重い汚泥相と軽い汚泥相とに分離することをハイドロサイクロン内で実施することによっても成し遂げられる。遠心力式セパレーターとも呼ばれるハイドロサイクロンによって、余剰汚泥を、サイクロンのアンダーフローを介して槽に返送される重い相と、オーバーフローを介してシステムから排出される軽い相とに、非常に速く、信頼性の高いプロセスで分けることができる。
【0032】
本発明の方法の代替的な一変形形態では、曝気槽内での廃水の脱アンモニアから生じた余剰汚泥の重い汚泥相と軽い汚泥相との分離を、遠心分離機内で実施するようにされる。遠心分離機は、慣性を利用して余剰汚泥を分離する。より高い密度を有する重い汚泥画分は、その慣性により外側に移動し、より低い密度を有する軽い汚泥画分を遠心分離機の中央に押しのける。
【0033】
さらに、曝気槽内での廃水の脱アンモニアから生じた余剰汚泥の重い汚泥相と軽い汚泥相との分離を沈降によって行うことも可能である。この場合、余剰汚泥の重い相と軽い相との分離は、重力の影響下で行われる。
【0034】
本発明は、様々な実施形態が可能である。さらに明らかにするために、本発明の方法を図面によって説明する。
【0035】
ここに、唯一の図に簡単なシステム描写でアンモニウム含有廃水の生物学的処理設備1を示す。最初沈殿槽2、曝気槽3および最終沈殿槽4から成る設備1において概して多くの工業廃水を有する地域廃水が処理される。季節に応じて約7〜25℃の温度および約20〜100mg/lの窒素濃度を有する廃水が、スクリーン設備5および最初沈殿槽2から成る最初の機械的処理の後に曝気槽3に導入される(矢印6)。
【0036】
曝気槽3内で廃水の本来の生物学的処理が実施される。曝気槽3内の図示しない曝気装置によって廃水中の酸素濃度が1.0mg/l未満に調整され、廃水中に含有される窒素化合物が少なくとも部分的に脱アンモニアによって窒素元素(N)に転換され、その窒素元素は、無害の最終産物として周囲空気中に放出される。
【0037】
曝気槽3内での廃水の生物学的処理後に、廃水−汚泥混合物が設備1の最終沈殿槽4に供給され(矢印7)、そこで汚泥が水から沈殿される。水が最終沈殿槽4から排出され、それ以上図示しない放流水路に導入される(矢印8)。汚泥は、部分的に返送汚泥として曝気槽3に返送され(矢印9)、部分的に余剰汚泥としてハイドロサイクロン10として設計された分離装置に供給される(矢印11)。ハイドロサイクロン10内では、曝気槽3内で発生した余剰汚泥が、嫌気性アンモニウム酸化細菌(ANAMMOX)を大部分含有する重い汚泥相と軽い汚泥相とに分離され、その際、重い汚泥相は曝気槽3内に返送される(矢印12)。軽い汚泥相は、余剰汚泥として汚泥消化または消化槽13に供給され(矢印14)、その際、消化槽13内には、最初沈殿槽2内で廃水から引き抜かれた汚泥も導入される(矢印15)。
【0038】
汚泥は、消化槽13内で、および/または消化槽12への輸送の際に約35〜40℃の温度に加熱される。消化槽13内での汚泥消化の際に、最終沈殿槽4からの余剰汚泥の有機成分および最初沈殿槽2内の廃水から引き抜かれた汚泥の有機成分が、ガス(メタン)に変換される。含有される窒素は、汚泥中に残留し、それは、今や典型的には500〜2000mg/lの高濃度で存在する。この高度窒素含有汚泥は、消化槽13内での汚泥消化の後に汚泥脱水機構16、例えば遠心分離機に供給され(矢印17)、脱水される。水相は、汚泥脱水後に窒素を含有し、約25〜39℃の温度を有する。温かい高度窒素含有汚泥水は、続いて脱アンモニア槽18に供給され(矢印19)、一方で汚泥水から分離された汚泥は処分される(矢印20)。
【0039】
脱アンモニア槽18内で汚泥水中に含有される窒素化合物(NH、有機性窒素)は、脱アンモニアによって窒素元素(N)に変換され、その窒素元素は、周囲空気中に放出される。脱アンモニアの際に発生する余剰汚泥は、続いて曝気槽3内に導入される(矢印21)。処理された汚泥水は、脱アンモニア後にもまだアンモニウムおよび亜硝酸の残留物を含有するので、脱アンモニア槽18からの汚泥水も曝気槽3に供給される(矢印22)。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
曝気槽(3)内でのアンモニウム含有廃水、特に7から25℃の間の冷廃水の生物学的処理方法であって、曝気槽内で廃水中に含有されるアンモニウム(NH)が所与の酸素濃度で窒素元素(N)に転換され、転換の際に発生した余剰汚泥が少なくとも部分的に汚泥消化に供され、その間に汚泥の有機成分がガスに変換され、その際、続いて汚泥が汚泥脱水に供され、汚泥から分離された高度窒素含有性の温汚泥水、特に500〜2000mg/lの窒素濃度および約25〜39℃の温度を有する汚泥水が、続いて脱アンモニア槽(18)に供給され、脱アンモニア槽内で汚泥水中に含有される窒素化合物(NH、有機性窒素)が脱アンモニアによって窒素元素(N)に変換される方法において、汚泥水の脱アンモニアの際に発生した余剰汚泥が曝気槽(3)に供給され、曝気槽(3)内が1.0mg/l未満の低い酸素濃度に調整されることによって、廃水中に含有されるアンモニウム(NH)が、まず好気性酸化細菌(AOB)によって亜硝酸(NO)に転換され、続いて嫌気性酸化細菌(ANAMMOX)、特にプランクトミセス門細菌によってアンモニウム(NH)および亜硝酸(NO)が窒素元素(N)に転換され、その際、この脱アンモニアの際に曝気槽(3)内で発生した余剰汚泥が、汚泥消化に供される前に、嫌気性アンモニウム(NH)酸化細菌(ANAMMOX)を大部分含有する重い汚泥相と、軽い汚泥相とに分離され、その際、重い汚泥相が、曝気槽(3)内に返送され、軽い汚泥相が、余剰汚泥として汚泥消化に供されることを特徴とする方法。
【請求項2】
脱アンモニア槽(18)内で脱アンモニアによって処理された汚泥水が、汚泥の分離後に曝気槽(3)に供給されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
脱アンモニアの際に脱アンモニア槽(18)内で発生した余剰汚泥および処理された汚泥水が、懸濁物として曝気槽(3)に供給されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
曝気槽(3)内での脱アンモニア後の廃水が、最終沈殿槽(4)に供給され、その際、最終沈殿槽(4)内で沈殿した汚泥が、部分的に返送汚泥として曝気槽(3)に返送され、部分的に余剰汚泥として汚泥消化に供されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
曝気槽(3)内に導入前の廃水が、最初沈殿槽(2)内で処理され、初沈汚泥が、曝気槽(3)または最終沈殿槽(4)からの余剰汚泥と一緒に汚泥消化に供されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
曝気槽(3)内で廃水の脱アンモニアから生じた余剰汚泥を重い汚泥相と軽い汚泥相とに分離することが、ハイドロサイクロン(10)内で実施されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
曝気槽(3)内で廃水の脱アンモニアから生じた余剰汚泥を重い汚泥相と軽い汚泥相とに分離することが、遠心分離機内で実施されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
曝気槽(3)内で廃水の脱アンモニアから生じた余剰汚泥を重い汚泥相と軽い汚泥相とに分離することが、沈降によって行われることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法。

【公表番号】特表2013−521125(P2013−521125A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556599(P2012−556599)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【国際出願番号】PCT/IB2011/000159
【国際公開番号】WO2011/110905
【国際公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(511065200)ツィクラー−シュトゥルツ・アップヴァッサーテヒニク・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (2)
【Fターム(参考)】