説明

アークスタート制御方法

【課題】溶接ワイヤを一旦母材に接触させた後に引き離すことによってアークを発生させるアークスタート制御方法において、アーク長のオーバーシュートを抑制すること。
【解決手段】溶接トーチから溶接ワイヤを母材へ前進送給(時刻t2〜t3)し、溶接ワイヤが母材に接触すると溶接ワイヤを母材から後退送給(時刻t3〜t4)すると共に溶接電流Iwを通電し、この後退送給によって溶接ワイヤが母材から離れて初期アークが発生(時刻t4)した後に溶接ワイヤを再前進送給(時刻t5以降)して前記初期アーク発生状態から定常のアーク発生状態へと移行させるアークスタート制御方法において、前記再前進送給の開始時点から前記溶接トーチの高さLtを一旦低くした後に元の高さLsに戻すトーチ高さ制御(時刻t5〜t7)を行う。これにより、アーク長のオーバーシュートをトーチ高さ制御によって補償することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接ワイヤを一旦母材に接触させた後に引き離してアークを発生させるアークスタート制御方法の改善に関するものである。
【背景技術】
【0002】
溶接電源から溶接電圧及び溶接電流を出力して溶接ワイヤと母材との間にアークを発生させると共に、溶接トーチをロボットによって移動させて溶接するロボット溶接が広く行われている。このロボット溶接に使用される消耗電極アーク溶接法としては、炭酸ガスアーク溶接法、マグ溶接法、ミグ溶接法、パルスアーク溶接法等がある。このロボット溶接において、ロボット制御装置に溶接開始信号が入力されると、ロボットを移動させることによって溶接トーチを予め教示された溶接開始位置まで移動させて停止させ、ワイヤ送給モータを正回転させて溶接ワイヤを母材へ前進送給し、続けて溶接ワイヤが母材に接触したことを判別するとワイヤ送給モータを逆回転させて溶接ワイヤを後退送給し、同時に小電流値(数十A)の初期電流を通電し、続けて後退送給によって溶接ワイヤが母材から離れて初期アークが発生した後に溶接ワイヤを定常送給速度で再前進送給すると共に定常溶接電流を通電し、同時に溶接トーチを上記の停止状態から予め教示された溶接方向への移動に切り換えることによって定常のアーク発生状態に移行させるアークスタート制御方法が従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。以下、この従来技術のアークスタート制御方法について、図面を参照して説明する。
【0003】
図3は、従来のロボット溶接装置の構成図である。溶接開始回路STは、溶接開始信号Stを出力する。この溶接開始回路STとしては、押しボタン、溶接ラインを制御するプログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)等が相当する。ロボット制御装置RCは、この溶接開始信号Stが入力されると、ロボットRMの動作制御を行う動作制御信号McをロボットRMのサーボモータに出力すると共に、電圧設定信号Vr、定常送給速度設定信号Fcr、起動信号On、スタート完了信号Wcrを含む送受信信号Ifを溶接電源PSとの間で送受信する。電圧設定信号Vr、定常送給速度設定信号Fcr及び起動信号Onは、ロボット制御装置RCから溶接電源PSに送信される信号であり、スタート完了信号Wcrは溶接電源PSからロボット制御装置RCに送信される信号である。これらの信号については、後述する。
【0004】
ロボットRMは、ワイヤ送給モータWM及び溶接トーチ4を搭載して、上記の動作制御信号Mcに従って溶接トーチ4の先端位置(TCP)を予め教示された動作軌跡に沿って移動させる。溶接ワイヤ1は、上記のワイヤ送給モータWMと上記の溶接トーチ4の本体との間をつなぐ長さ1.5[m]程度のコイルライナ4aの中を通って送給される。すなわち、溶接トーチ4の長さとしては1.5m程度が標準である。
【0005】
溶接電源PSは、上記の送受信信号Ifを送受信し、溶接トーチ4の先端に装着された給電チップを介して溶接ワイヤ1に溶接電圧Vwを給電し、溶接電流Iwを通電して溶接ワイヤ1と母材2との間にアーク3を発生させる。また、この溶接電源PSは、送給制御信号Fcを出力して、上記のワイヤ送給モータWMの回転方向及び回転速度を制御して溶接ワイヤ1の送給速度Fwを制御する。以下の説明において、送給速度Fwとは、溶接ワイヤ1の先端の速度を表している。ワイヤ送給モータWMが回転していても、溶接ワイヤ1の先端が母材と接触している場合には、送給速度Fw=0となる。すなわち、ワイヤ送給モータWMの回転と送給速度Fwとが対応しない状態が存在する。溶接ワイヤ1の先端と母材2との距離がワイヤ先端・母材間距離Lw[mm]であり、したがってこのワイヤ先端・母材間距離Lwはアーク発生中はアーク長と略同一になる。また、給電チップ先端と母材2との距離をトーチ高さLt(mm)と呼ぶことにする。溶接トーチ4が前進角又は後退角を有している場合には、溶接ワイヤ1の送給方向に対して給電チップと母材2との距離がトーチ高さLtとなる。
【0006】
図4は、従来のアークスタート制御方法を示す図3の溶接装置における各信号のタイミングチャートである。同図(A)は溶接開始信号Stの時間変化を示し、同図(B)はロボットの動作制御信号Mcの時間変化を示し、同図(C)はトーチ高さLtの時間変化を示し、同図(D)は送給制御信号Fcの時間変化を示し、同図(E)は送給速度Fwの時間変化を示し、同図(F)は溶接電圧Vwの時間変化を示し、同図(G)は溶接電流Iwの時間変化を示し、同図(H)はスタート完了信号Wcrの時間変化を示し、同図(I)はワイヤ先端・母材間距離Lwの時間変化を示す。同図(B)に示す動作制御信号Mcは、ここではロボットが移動しているときにHighレベルになり、停止しているときにLowレベルになる信号とする。同図(D)に示す送給制御信号Fc及び同図(E)に示す送給速度Fwは、正の値のときは前進送給を示し、負の値のときは後退送給を示す。以下、同図を参照して説明する。
【0007】
(1)時刻t1以前の期間(待機期間)
時刻t1以前の期間中は、同図(A)に示すように、溶接開始信号StはLowレベル(溶接停止)であるために、同図(B)に示すように、動作制御信号McはLowレベルでありロボットは待機位置で停止したままである。同図(C)に示すように、トーチ高さLtは、ロボットが待機位置にあるので大きな値となっている。同図(D)に示すように、送給制御信号Fcは0のままであり、同図(E)に示すように、送給速度Fwも0となっている。すなわち、溶接ワイヤの送給は停止状態にある。この期間中は溶接電源はまだ起動されていないので、同図(F)に示すように、溶接電圧Vwは印加されずに0Vのままであり、同図(G)に示すように、溶接電流Iwは通電していないので0Aのままである。また、同図(I)に示すように、ワイヤ先端・母材間距離Lwは、ロボットが待機位置にあるために大きな値となっている。
【0008】
(2)時刻t1〜t2の期間(ロボットの溶接開始位置への移動期間)
時刻t1において、同図(A)に示すように、溶接開始信号StがHighレベル(溶接開始)に変化すると、ロボット制御装置RCによってロボットRMは待機位置から予め教示された溶接開始位置に移動する。このために、同図(B)に示すように、動作制御信号Mcは、時刻t1において移動状態を示すHighレベルになり、時刻t2において停止状態を示すLowレベルになる。同図(C)に示すように、トーチ高さLtは、次第に小さくなり、時刻t2において予め教示された教示トーチ高さLsになる。この期間中はまだ溶接電源は起動されていないために、同図(D)に示すように、送給制御信号Fc=0であり、同図(E)に示すように、送給速度Fw=0のままである。すなわち、溶接ワイヤの送給はまだ開始されていない。同様に、同図(F)に示すように、溶接電圧Vwはまだ印加されておらず0Vのままであり、同図(G)に示すように、溶接電流Iwはまだ通電しておらず0Aのままである。同図(I)に示すように、ワイヤ先端・母材間距離Lwは、次第に小さくなる。
【0009】
(3)時刻t2〜t3の期間(前進送給期間)
時刻t2においてロボットRMが溶接開始位置に到達して停止すると、図示は省略しているが、ロボット制御装置RCから溶接電源PSに起動信号Onが出力される。これに応動して、同図(D)に示すように、送給制御信号Fcは小さな正の値の予め定めたスローダウン送給速度設定値に変化する。このために、同図(E)に示すように、送給速度Fwは小さな正の値のスローダウン送給速度に変化する。したがって、この期間中は、溶接ワイヤは非常に低速なスローダウン送給速度で母材に向かって前進送給される。時刻t2において上記の起動信号Onによって溶接電源PSは起動されるために、同図(F)に示すように、溶接電圧Vwの出力が開始される。しかし、この期間中は溶接ワイヤの先端は母材にまだ到達していないので無負荷状態になるので、溶接電圧Vwは最大値の無負荷電圧値になる。同図(G)に示すように、溶接電流Iwはまだ通電していないので0Aになる。また、同図(I)に示すように、ワイヤ先端・母材間距離Lwは、前進送給によって次第に短くなる。
【0010】
(4)時刻t3〜t4の期間(前進送給から後退送給への反転遅れ期間Ta)
時刻t3において溶接ワイヤが母材と接触すると、同図(I)に示すように、ワイヤ先端・母材間距離Lwは0mmとなる。同時に、同図(F)に示すように、溶接電圧Vwは無負荷電圧値から数V程度の小さな値の短絡電圧値に変化する。また、同図(G)に示すように、溶接電流Iwが通電し、その値は数十A程度の初期電流値となる。溶接電圧の低下によって短絡状態を判別すると、同図(D)に示すように、送給制御信号Fcは負の値の予め定めた後退送給速度設定値に変化する。しかし、ワイヤ送給モータが回転方向を切り換えるのに必要なモータ反転遅れ時間及び溶接トーチのコイルライナ内を蛇行しながら送給されている溶接ワイヤの遊び分を反転させるのにひつような遊び分送給遅れ時間のために、時刻t4まではワイヤ先端は移動しない。このために、同図(E)に示すように、この期間中の送給速度Fwは0のままである。時刻t3〜t4の期間を前進送給から後退送給への反転遅れ期間Taと呼ぶことにする。
【0011】
(5)時刻t4〜t5の期間(アーク長引き上げ期間Tu)
時刻t4において反転遅れ期間Taが終了すると、同図(E)に示すように、送給速度Fwは0からスロープ状に立ち上がって負の値の後退送給速度に変化する。これによって、ワイヤ先端が後退移動して母材から離れるので、初期アークが発生する。初期アークが発生すると、同図(F)に示すように、溶接電圧Vwは短絡電圧値から数十V程度のアーク電圧値に急上昇する。溶接電圧Vwが急上昇したことによって初期アークの発生を判別してから予め定めたアーク長引き上げ期間Tuが経過するまでの期間中は、同図(D)に示すように、送給制御信号Fcは後退送給速度設定値のままであるので、同図(E)に示すように、送給速度Fwは後退送給速度のままである。このために、後退送給が継続されることになり、初期アークの長さが次第に長くなる。この結果、同図(I)に示すように、ワイヤ先端・母材間距離Lwは0mmからスロープ状に大きくなる。そして、同図(F)に示すように、溶接電圧Vwも、アーク長に比例してスロープ状に大きくなる。同図(G)に示すように、溶接電流Iwは初期電流値のままである。
【0012】
(6)時刻t5〜t7の期間(再前進送給過渡期間Tb)
時刻t5において設定されたアーク長引き上げ期間Tuが終了すると、同図(D)に示すように、送給制御信号Fcは正の値の定常送給速度設定値に変化する。この定常送給速度設定値は、ロボット制御装置RCから送受信信号Ifとして溶接電源PSに送信される定常送給速度設定信号Fcrによって設定される。しかし、上述したように、ワイヤ送給モータWMの反転遅れ時間及び遊び分送給遅れ時間の間(時刻t5〜t6)は、同図(E)に示すように、送給速度Fwは、慣性によって負の値の後退送給速度から曲線状に低下して、時刻t6において0となる。そして、時刻t6〜t7の期間中は、同図(E)に示すように、送給速度Fwは0から曲線状に大きくなり、時刻t7において定常送給速度Fcwに収束する。この時刻t6〜t7の期間は、送給速度Fwが0から定常送給速度Fcwに収束するまでの送給立上り期間となる。上記の時刻t5〜t7の期間が、再前進送給に設定を切り換えてから定常送給速度Fcwに収束するまでの再前進送給過渡期間Tbとなる。時刻t5において、溶接電源PSの外部特性が定電流特性から定電圧特性に切り換えられる。この結果、同図(I)に示すように、ワイヤ先端・母材間距離Lwは、この再前進送給過渡期間Tbの間に大きくオーバーシュートして、時刻t7において定常アーク長に収束する。オーバーシュートする理由は、定電圧特性とアーク負荷状態によって定まる溶接電流値が送給速度Fwに対して大きいために、溶融速度が送給速度よりも大きくなり、ワイヤ先端は燃え上がることになるからである。換言すれば、送給速度Fwが定常送給速度Fcwに収束していない過渡状態にあるためにその送給速度が遅いためである。アーク長がオーバーシュートするために、同図(F)に示すように、溶接電圧Vwも、この再前進送給過渡期間の間はオーバーシュートして、時刻t7において定常値に収束する。この定常値は、送受信信号Ifの電圧設定信号Vrによって設定される。また、同図(G)に示すように、溶接電流Iwは、時刻t5において初期電流値よりも大きな値に一旦上昇する。そして、上記の再前進送給過渡期間Tbの間は、一度小さくなった後に大きくなり、時刻t7において定常値に収束する。すなわち、この期間中の溶接電流Iwは凸状に変化する。溶接電流Iwの定常値は、定常送給速度Fcwによって定まる値である。時刻t5において、同図(H)に示すように、スタート完了信号WcrがHighレベルになり、溶接電源PSからロボット制御装置RCに送受信信号Ifとして送信される。これを受信したロボット制御装置RCは、ロボットRMを教示された動作軌跡に沿って移動させるので、同図(B)に示すように、動作制御信号Mcは移動を示すHighレベルに変化する。同図(C)に示すように、トーチ高さLtは、時刻t2以降は、教示トーチ高さLsのままである。これは、通常の溶接においては、トーチ高さは一定値のままで溶接されるためである。上記においては、同図(H)に示すスタート完了信号Wcrが再前進送給に指令が切り換わる時刻t5においてHighレベルに変化する場合を例示している。これ以外にも、初期電流が流れる時刻t3においてスタート完了信号WcrがHighレベルに変化するように設定される場合と、初期アークが発生する時刻t4においてスタート完了信号WcrがHighレベルに変化するように設定される場合がある。
【0013】
上記の動作によってアークスタート制御は終了し、時刻t7以降は定常のアーク発生状態になる。このアークスタート制御方法では、溶接ワイヤを一旦母材に接触させた後に、引き離すことによって初期アークを確実に発生させ、その後は溶接ワイヤを再前進送給することによって定常アークに移行させる。このために、一般的にアークスタート性が良くない細径鉄鋼ワイヤ、軟質アルミニウムワイヤ等を使用する場合でも、良好なアークスタート性を得ることができる。但し、このアークスタート制御方法では、上述した再前進送給過渡期間Tb中のアーク長のオーバーシュートが溶接品質に悪影響を与える場合がある。アーク長のオーバーシュートが大きくなると、ビード外観にその影響が表れるようになる。このアーク長のオーバーシュートは、ワイヤ送給モータWMの過渡特性が遅いときには大きくなる。ワイヤ送給モータWMとして、サーボモータを使用する場合には、過渡特性が良いためにオーバーシュートはあまり大きくならない。溶接装置に多く使用されている直流モータの場合には、過渡特性が遅いためにオーバーシュートは大きくなる。サーボモータは直流モータに比べて高価であるために、あまり使用されていない。また、溶接トーチの長さが、上述したように1.5m程度の標準長である場合には、再前進送給過渡期間Tbが長くなるために、オーバーシュートは大きくなる。このために、ワイヤ送給モータWMをロボットRMの先端近くの手首軸に設置することによって、溶接トーチの長さを20cm程度に短くする場合もある。しかしながら、手首軸にモータを設置するためには、小型で出力トルクの大きな高価なモータを使用しなければならない。さらには、手首軸に設置されたモータとワーク及び治具等との干渉も問題となる。したがって、標準的な直流モータを使用し、かつ、溶接トーチの長さも標準長のものを使用することが、価格面、作業性の面からも望ましい。この場合には、アーク長のオーバーシュートが大きくなるために、その対策が必要となる。この対策の例を、以下に説明する。
【0014】
特許文献1の発明では、上記の再前進送給過渡期間Tbに相当する期間中は、送給制御信号Fcの値を定常送給速度設定値Fcrよりも大きな値に設定するものである。上述したように、再前進送給過渡期間Tbは、モータ反転遅れ期間+遊び分送給遅れ期間+送給立上り期間の合算値となる。特許文献1のようにすることによって、遊び分送給遅れ期間及び送給立上り期間を短くすることができる。したがって、再前進送給過渡期間Tbを短くすることができるので、オーバーシュートの抑制に対して一定の高価はある。しかし、直流モータを使用する場合には、モータ反転遅れ期間が長いために、特許文献1の方法ではオーバーシュート抑制効果は限定的となる。
【0015】
特許文献2の発明では、溶接ワイヤの前進送給の代わりにロボットによって溶接トーチを前進移動させ、後退送給の代わりにロボットによって溶接トーチを後退移動させるものである。すなわち、溶接ワイヤの送給を停止したままで、ロボットによって溶接トーチを前進移動させて溶接ワイヤと母材とを接触させる。その後はロボットによって溶接トーチを後退移動させることによって、溶接ワイヤを母材から引き離して初期アークを発生させる。この後退移動を初期アーク発生から予め定めたアーク長引き上げ期間Tuの間行う。この時点で、図4の時刻t5と同じ状態になるので、溶接ワイヤの前進送給を開始して、定常アーク発生状態へと移行させる。この特許文献2の方法では、再前進送給過渡期間Tbに相当する期間は、送給立上り期間のみとなる。これは、モータを反転させないので、モータ反転遅れ期間及び遊び分送給遅れ期間は存在しないからである。したがって、アーク長のオーバーシュートは抑制されることになる。しかしながら、定常送給速度設定値Fcrが大きい場合には、送給立上り期間が長くなるために、オーバーシュートの抑制効果は限定的となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2003−181641号公報
【特許文献2】特開2002−205169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
従来技術のアークスタート制御方法において、ワイヤ送給モータに多用されている直流モータを使用する場合、又は溶接トーチの長さが1.5m程度の標準的な長さである場合には、上述したように、再前進送給過渡期間中のアーク長のオーバーシュートが大きくなるという問題がある。この問題に対して、特許文献1又は2の発明を実施することによって、オーバーシュートを抑制することができる。しかし、この抑制効果は、上述したように、限定的である。
【0018】
そこで、本発明では、ワイヤ送給モータに直流モータを使用し、かつ、溶接トーチの長さが1.5m程度の標準長さであり、かつ、定常送給速度が高速である場合でも、再前進送給過渡期間中のアーク長のオーバーシュートを抑制することができ、良好な溶接品質を得ることができるアークスタート制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上述した課題を解決するために、第1の発明は、溶接トーチから溶接ワイヤを母材へ前進送給し、溶接ワイヤが母材に接触すると溶接ワイヤを母材から後退送給すると共に溶接電流を通電し、この後退送給によって溶接ワイヤが母材から離れて初期アークが発生した後に溶接ワイヤを再前進送給して前記初期アーク発生状態から定常のアーク発生状態へと移行させるアークスタート制御方法において、
前記再前進送給の開始時点から前記溶接トーチの高さを一旦低くした後に元の高さに戻すトーチ高さ制御を行う、
ことを特徴とするアークスタート制御方法である。
【0020】
第2の発明は、前記トーチ高さ制御は、予め定めた第1期間の間に予め定めた移動距離だけ低くし、予め定めた第2期間の間に元の高さに戻す制御である、
ことを特徴とする第1の発明記載のアークスタート制御方法である。
【0021】
第3の発明は、前記前進送給から前記後退送給への切換時の反転遅れ期間を検出し、この反転遅れ期間に基づいて前記第1期間、前記第2期間及び前記移動距離を設定する、
ことを特徴とする第2の発明記載のアークスタート制御方法である。
【0022】
第4の発明は、予め定めた電圧設定値と溶接電圧の検出値とが等しくなるようにフィードバック制御によって前記トーチ高さ制御を行う、
ことを特徴とする第1の発明記載のアークスタート制御方法である。
【0023】
第5の発明は、ピーク電流及びベース電流を通電して溶接するパルスアーク溶接法を使用する場合には、前記溶接電圧の検出値が、前記溶接電圧の平均値の検出値又は前記ピーク電流の通電期間中の溶接電圧の検出値である、
ことを特徴とする第4の発明記載のアークスタート制御方法である。
【発明の効果】
【0024】
上記第1の発明によれば、再前進送給が開始されると溶接トーチの高さを一旦低くした後に元の高さに戻すトーチ高さ制御を行うことによって、アーク長のオーバーシュートを相殺することができる。このために、ワイヤ送給モータに直流モータを使用し、かつ、溶接トーチの長さが1.5m程度の標準長さであり、かつ、定常送給速度が高速であるときでも、再前進送給時のアーク長のオーバーシュートを抑制することができ、良好な溶接品質を得ることができる。
【0025】
第2の発明によれば、第1期間、第2期間及び移動距離をアーク長のオーバーシュートが最も少ないように設定することによって、第1の発明の考課を最大限にすることができる。
【0026】
第3の発明によれば、第2の発明の効果に加えて、第1期間、第2期間及び移動距離の設定を、前進送給から後退送給に切り換えるときの反転遅れ期間に基づいて自動的に行うことができ、これらのパラメータの設定作業が不要となるので作業効率が向上する。
【0027】
第4の発明によれば、第1の発明の効果に加えて、トーチ高さ制御をフィードバック制御によって自動化することができるので、第1期間、第2期間、移動距離等のパラメータを設定する必要がなくなり作業効率が向上する。第5の発明によれば、パルスアーク溶接において、第4の発明と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態に係るアークスタート制御方法を示すタイミングチャートである。
【図2】本発明の実施の形態に係るアークスタート制御方法を説明するためのパルスアーク溶接における電流・電圧波形図である。
【図3】従来のロボット溶接装置の構成図である。
【図4】従来のアークスタート制御方法を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0030】
図1は、本発明の実施の形態に係るアークスタート制御方法を示すタイミングチャートである。同図(A)は溶接開始信号Stの時間変化を示し、同図(B)はロボットの動作制御信号Mcの時間変化を示し、同図(C)はトーチ高さLtの時間変化を示し、同図(D)は送給制御信号Fcの時間変化を示し、同図(E)は送給速度Fwの時間変化を示し、同図(F)は溶接電圧Vwの時間変化を示し、同図(G)は溶接電流Iwの時間変化を示し、同図(H)はスタート完了信号Wcrの時間変化を示し、同図(I)はワイヤ先端・母材間距離Lwの時間変化を示す。同図(B)に示す動作制御信号Mcは、ここではロボットが移動しているときにHighレベルになり、停止しているときにLowレベルになる信号とする。同図(D)に示す送給制御信号Fc及び同図(E)に示す送給速度Fwは、正の値のときは前進送給を示し、負の値のときは後退送給を示す。溶接装置については、上述した図3と同一である。同図は、上述した図4と対応しており、時刻t5までの動作は同一であるので説明は省略する。以下、時刻t5以降の動作について説明する。
【0031】
(6)時刻t5〜t7の期間(再前進送給過渡期間Tb)
時刻t5において設定されたアーク長引き上げ期間Tuが終了すると、同図(H)に示すように、スタート完了信号WcrがHighレベルに変化し、この信号が溶接電源PSからロボット制御装置RCに送受信信号Ifとして送信される。これを受信すると、ロボットRMは、溶接方向への移動を開始すると共に、時刻t5〜t6の予め定めた第1期間T1の間は予め定めた移動距離ΔLtだけトーチ高さLtが低くなるように移動する。したがって、同図(B)に示すように、動作制御信号Mcは、時刻t5以降の期間Highレベル(移動状態)になる。また、同図(C)に示すように、トーチ高さLtは、時刻t5までは教示トーチ高さLsとなり、時刻t5以降はスロープ状に短くなり、時刻t6においてLs−ΔLtとなる。ロボットRMは、時刻t6〜t7の予め定めた第2期間T2の間は上記の移動距離ΔLtだけトーチ高さが高くなるように移動し、時刻t7において教示トーチ高さLsに戻る。したがって、同図(C)に示すように、トーチ高さLtは、時刻t6からスロープ状に高くなり、時刻t7において教示トーチ高さLsに戻る。上記の第1期間T1と第2期間T2との合算値を、図4の再前進送給過渡期間Tbと略同じ長さに設定する。そして、T1=T2として設定すれば良い。また、移動距離ΔLtは、図4(I)に示すアーク長のオーバーシュート量に略等しくなるように設定する。すなわち、図4(I)に示すアーク長のオーバーシュートを相殺するように、トーチ高さLtを変化させれば良い。このようにすれば、アーク長はオーバーシュートすることなく、時刻t5から定常値に速やかに収束することになる。
【0032】
時刻t5において、同図(D)に示すように、送給制御信号Fcは正の値の定常送給速度設定値に変化する。この定常送給速度設定値は、ロボット制御装置RCから送受信信号Ifとして溶接電源PSに送信される定常送給速度設定信号Fcrによって設定される。しかし、上述したように、ワイヤ送給モータWMの反転遅れ時間及び遊び分送給遅れ時間の間(時刻t5〜t6)は、同図(E)に示すように、送給速度Fwは、慣性によって負の値の後退送給速度から曲線状に低下して、時刻t6において0となる。そして、時刻t6〜t7の期間中は、同図(E)に示すように、送給速度Fwは0から曲線状に大きくなり、時刻t7において定常送給速度Fcwに収束する。この時刻t6〜t7の期間は、送給速度Fwが0から定常送給速度Fcwに収束するまでの送給立上り期間となる。上記の時刻t5〜t7の期間が、再前進送給に設定を切り換えてから定常送給速度Fcwに収束するまでの再前進送給過渡期間Tbとなる。時刻t5において、溶接電源PSの外部特性が定電流特性から定電圧特性に切り換えられる。ここで、時刻t5〜t6の期間中は送給速度Fwは定常送給速度Fcwに達していない状態で定電圧特性が形成されるために、アーク長はオーバーシュートするところであるが、上述したようにトーチ高さ制御によって、アーク長は定常値に速やかに収束する。したがって、同図(I)に示すように、ワイヤ先端・母材間距離Lwは時刻t5から速やかに定常値に収束することになる。アーク長がオーバーシュートしないために、同図(F)に示すように、溶接電圧Vwも、時刻t5から速やかに定常値に収束する。この定常値は、送受信信号Ifの電圧設定信号Vrによって設定される。また、同図(G)に示すように、溶接電流Iwは、時刻t5の初期電流値から定常値に速やかに収束する。この定常値は、定常送給速度Fcwによって定まる値である。時刻t7以降は、定常のアーク発生状態となる。
【0033】
上述したトーチ高さ制御については、以下のような種々の実施の形態がある。
以下に整理して説明する。
[第1のトーチ高さ制御方法]
(1a)ロボット制御装置RCはスタート完了信号Wcrを受信すると、ロボットRMを移動させて溶接トーチの高さを一旦低くした後に元の高さに戻すトーチ高さ制御を行う。
第1のトーチ高さ制御によれば、アーク長のオーバーシュートを相殺することができるために、ワイヤ送給モータWMに直流モータを使用し、かつ、溶接トーチの長さが1.5m程度の標準長さであり、かつ、定常送給速度が高速であるときでも、再前進送給時のアーク長のオーバーシュートを抑制することができ、良好な溶接品質を得ることができる。
【0034】
[第2のトーチ高さ制御方法]
第2のトーチ高さ制御は、以下のようになる。
(2a)ロボット制御装置RCはスタート完了信号Wcrを受信すると、ロボットRMを移動させてトーチ高さを第1期間T1の間に移動距離ΔLtだけ低くし、第2期間T2の間に元の教示トーチ高さLsに戻す。
第2のトーチ高さ制御によれば、第1期間T1、第2期間T2及び移動距離ΔLtをアーク長のオーバーシュートに応じて最適化することによって、アーク長のオーバーシュートを最大限に抑制することができる。
【0035】
[第3のトーチ高さ制御方法]
さらに、第3のトーチ高さ制御は以下のようになる。
(3a)溶接電源PSは、図1における、時刻t3〜t4の前進送給から後退送給への反転遅れ期間Taを検出し、この反転遅れ期間Taを送受信信号Ifとしてロボット制御装置RCに送信する。
(3b)ロボット制御装置RCは、反転遅れ期間Taを受信して、この値に基づいて第1期間T1、第2期間T2及び移動距離ΔLtを設定する。
(3c)ロボット制御装置RCはスタート完了信号Wcrを受信すると、ロボットRMを移動させてトーチ高さを第1期間T1の間に移動距離ΔLtだけ低くし、第2期間T2の間に元の教示トーチ高さLsに戻す。
第1期間T1と第2期間T2との合算値は、再前進送給過渡期間Tbと略等しくなるように設定されることが望ましい。再前進送給過渡期間Tbも反転遅れ期間の一つであるために、反転遅れ期間Taから最前進送給過渡期間Tbを推定することができる。この再前進送給過渡期間Tbが推定できれば、移動距離ΔLtも推定することができる。したがって、反転遅れ期間Taから第1期間T1、第2期間T2及び移動距離ΔLtの適正値を推定することができる。このために、第3のトーチ高さ制御によれば、上述した効果に加えて、第1期間T1、第2期間T2及び移動距離ΔLtの設定を自動的に行うことができ、作業効率が向上する。
【0036】
[第4のトーチ高さ制御方法]
さらに、第4のトーチ高さ制御は以下のようになる。
(4a)ロボット制御装置RCは、溶接電圧Vwを検出する。
(4b)ロボット制御装置RCはスタート完了信号Wcrを受信すると、溶接電圧検出信号の値と電圧設定信号Vrの値とが等しくなるようにフィードバック制御によってロボットRMを移動させてトーチ高さ制御を行う。
アーク長と溶接電圧Vwとは比例関係にあるために、溶接電圧Vwの検出値が定常値(電圧設定信号Vrの値)と等しくなるようにトーチ高さを制御すれば、アーク長のオーバーシュートを補償して定常値に維持することができる。第4のトーチ高さ制御によれば、上述した効果に加えて、トーチ高さ制御を自動制御化することができるので、第1期間T1、第2期間T2及び移動距離ΔLtの設定が不要となり作業効率が向上する。
【0037】
[第5のトーチ高さ制御方法]
さらに、第5のトーチ高さ制御は、パルスアーク溶接において上述した第4のトーチ高さ制御を適用する場合であり、以下のようになる。
(5a)ロボット制御装置RCは、図2で後述するピーク電流Ipの通電期間(ピーク期間Tp)中の溶接電圧Vw(ピーク電圧Vp)を検出する。
(5b)ロボット制御装置RCはスタート完了信号Wcrを受信すると、溶接電圧検出信号の値(ピーク電圧Vp)と予め定めた電圧設定信号の値とが等しくなるようにフィードバック制御によってロボットRMを移動させてトーチ高さ制御を行う。
【0038】
図2は、消耗電極パルスアーク溶接の一般的な電流・電圧波形図である。同図(A)はアークを通電する溶接電流Iwを示し、同図(B)は溶接ワイヤと母材との間の溶接電圧Vwを示す。以下、同図を参照して説明する。
【0039】
時刻t1〜t2のピーク期間Tp中は、同図(A)に示すように、溶接ワイヤから溶滴を移行させるために臨界電流値以上のピーク電流Ipが通電し、同図(B)に示すように、溶接ワイヤと母材との間にアーク長に比例したピーク電圧Vpが印加する。
【0040】
時刻t2〜t3のベース期間Tg中は、同図(A)に示すように、溶滴を形成しないようにするために定電流値のベース電流Ibが通電し、同図(B)に示すように、ベース電圧Vbが印加する。時刻t1〜t3までの期間をパルス周期Tpbとして繰り返して溶接が行われる。同図(A)に示す破線は溶接電流平均値Iavを示し、同図(B)に示す破線は溶接電圧平均値Vavを示す。上述した図1において、溶接法がパルスアーク溶接法である場合、時刻t5以前は直流の初期電流が通電し、時刻t5以降は上記のピーク電流Ip及びベース電流Ibからなるパルス状の電流が通電する。したがって、同図(F)に示す溶接電圧Vwは時刻t5以降は溶接電圧平均値Vavを示し、同図(G)に示す溶接電流Iwは時刻t5以降は溶接電流平均値Iavを示す。ここで、パルスアーク溶接のアーク長は、溶接電圧平均値Vav又はピーク電圧Vpに比例する。したがって、パルスアーク溶接では、アーク長を溶接電圧平均値Vav又はピーク電圧Vpによって検出することができる。溶接電圧平均値Vavとしては、溶接電圧Vwを平滑した信号、溶接電圧Vwからローパスフィルタによって高周波成分を除去した信号、パルス周期Tpbごとの溶接電圧Vwの平均値等が使用される。このために、溶接電圧平均値Vav又はピーク電圧Vpが予め定めた電圧設定値と等しくなるようにトーチ高さ制御を行なうことによって、アーク長のオーバーシュートを補償して定常値に維持することができる。第5のトーチ高さ制御によれば、上述した効果に加えて、パルスアーク溶接において、トーチ高さ制御を自動制御化することができるので、第1期間T1、第2期間T2及び移動距離ΔLtの設定が不要となり作業効率が向上する。
【符号の説明】
【0041】
1 溶接ワイヤ
2 母材
3 アーク
4 溶接トーチ
4a コイルライナ
Fc 送給制御信号
Fcr 定常送給速度設定信号
Fcw 定常送給速度
Fw 送給速度
Iav 溶接電流平均値
Ib ベース電流
If 送受信信号
Ip ピーク電流
Iw 溶接電流
Ls 教示トーチ高さ
Lt トーチ高さ
Lw ワイヤ先端・母材間距離
Mc 動作制御信号
On 起動信号
PS 溶接電源
RC ロボット制御装置
RM ロボット
ST 溶接開始回路
St 溶接開始信号
T1 第1期間
T2 第2期間
Ta 前進送給から後退送給への反転遅れ期間
Tb 再前進送給過渡期間
Tg ベース期間
Tp ピーク期間
Tpb パルス周期
Tu アーク長引き上げ期間
Vav 溶接電圧平均値
Vb ベース電圧
Vp ピーク電圧
Vr 電圧設定信号
Vw 溶接電圧
Wcr スタート完了信号
WM ワイヤ送給モータ
ΔLt 移動距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接トーチから溶接ワイヤを母材へ前進送給し、溶接ワイヤが母材に接触すると溶接ワイヤを母材から後退送給すると共に溶接電流を通電し、この後退送給によって溶接ワイヤが母材から離れて初期アークが発生した後に溶接ワイヤを再前進送給して前記初期アーク発生状態から定常のアーク発生状態へと移行させるアークスタート制御方法において、
前記再前進送給の開始時点から前記溶接トーチの高さを一旦低くした後に元の高さに戻すトーチ高さ制御を行う、
ことを特徴とするアークスタート制御方法。
【請求項2】
前記トーチ高さ制御は、予め定めた第1期間の間に予め定めた移動距離だけ低くし、予め定めた第2期間の間に元の高さに戻す制御である、
ことを特徴とする請求項1記載のアークスタート制御方法。
【請求項3】
前記前進送給から前記後退送給への切換時の反転遅れ期間を検出し、この反転遅れ期間に基づいて前記第1期間、前記第2期間及び前記移動距離を設定する、
ことを特徴とする請求項2記載のアークスタート制御方法。
【請求項4】
予め定めた電圧設定値と溶接電圧の検出値とが等しくなるようにフィードバック制御によって前記トーチ高さ制御を行う、
ことを特徴とする請求項1記載のアークスタート制御方法。
【請求項5】
ピーク電流及びベース電流を通電して溶接するパルスアーク溶接法を使用する場合には、前記溶接電圧の検出値が、前記溶接電圧の平均値の検出値又は前記ピーク電流の通電期間中の溶接電圧の検出値である、
ことを特徴とする請求項4記載のアークスタート制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−25307(P2011−25307A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212575(P2009−212575)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【Fターム(参考)】