説明

イオン性液体中での顔料の二次処理

本発明は、必要に応じて破砕された有機未加工顔料と1又は複数のイオン性液体とを相互作用させることを特徴とする、有機顔料の二次処理方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機着色顔料の分野である。
【背景技術】
【0002】
有機顔料、特にアゾ顔料は、さらなる仕上げ処理を必要とする不溶性小粒子(一次微結晶)として、合成溶液から得られることが知られている。ここで、結晶形状、結晶サイズ及び結晶品質などの物理的特性並びに粒径分布は、所望の最適状態の方向に変化されなければならない。合成及び洗浄の直後に未加工顔料プレスケーキが乾燥されるのであれば、一次粒子は、しばしば、かなりの程度まで会合して、凝集塊及び凝集物を形成する。これにより、固い粒子、淡い色を有し、乏しい分散性を示し、しばしば、破砕によっても使用可能な形態にすることができない顔料がもたらされる。多環式顔料は、通常、粗い結晶性の未加工顔料として合成溶液から沈殿し、この未加工顔料は、続いて、適切な方法、例えば破砕によって細かく砕かなければならない。このようにして得られた前顔料は、多くの場合、同様に、所望の物理的特性を達成するために仕上げ処理を必要とする。
【0003】
通常の顔料仕上げ処理は、塩を含まないように洗浄され、単離され、水及び/又は有機溶媒中に再度スラリー化された未加工顔料懸濁液又は顔料プレスケーキを加熱することによって、結晶のよりよい形成が達成される熱処理である。この場合、特に顔料が凝集塊を形成する傾向の原因となる超微細粒分が減少し、従って、より狭い粒径分布が達成される。特にほとんど溶けない顔料は、80から150℃までの温度の有機溶媒中での仕上げ処理に供される。この目的のために使用される溶媒は、例えば、アルコール、氷酢酸、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン及びジメチルホルムアミドである。
【0004】
しばしば懸濁液が超大気圧下で加熱され、溶媒が蒸留されることが多いので、これまで慣用されてきた仕上げ方法は、装置が複雑であり、多量のエネルギーを必要とする。有機溶媒の多くは可燃性であるので、工場の安全性を達成するための適切な措置を講じなければならない。
【0005】
安全性、環境への優しさ及び資源の使用の観点で、これまで慣用的な仕上げが行われた溶媒に比べて優れている、有機顔料のための適切な仕上げ方法を提供することが本発明の目的である。
【0006】
100℃未満の温度で液体である有機塩は、イオン性液体と称される。
【0007】
イオン性液体は、驚くべきことに、有機顔料用の適切な仕上げ溶媒であることが、本発明において明らかとなった。
【0008】
従って、本発明は、必要に応じて破砕された未加工有機顔料と1又は複数のイオン性液体とを互いに作用させることを含む、有機顔料の仕上げ処理のための方法を提供する。
【0009】
有利に、顔料合成後又は微粉砕(例えば、破砕)後に得られた未加工顔料の懸濁液は、粉末状未加工顔料を得るために、ろ過され、洗浄され、乾燥されて、1つのイオン性液体と、又は複数のイオン性液体の混合物と混合される。乾燥された粉末状未加工顔料の代わりに、水又は溶媒で湿らせた未加工顔料、例えば、ろ過ケーキ又はプレスケーキを使用することも可能である。
【0010】
本発明の仕上げ処理は、撹拌装置を取り付けた加熱可能な反応容器中で有利に実施される。イオン性液体は、液体又は固体形態で、未加工顔料中に添加することが可能であり、ついで、加熱によって、混合物を、イオン性液体の融点を超える温度にすることができる。仕上げ処理に対する好ましい温度範囲は、25℃から280℃まで、好ましくは80から200℃までである。未加工顔料の重量に比較して、イオン性液体は、0.5:1から30:1までの量(イオン性液体:顔料)、好ましくは、1:1から20:1までの量で有利に使用される。
【0011】
水又は溶媒で湿らせた未加工顔料を使用する場合には、水又は溶媒は、仕上げ処理の間に混合物中に残存することが可能であり、又は、仕上げ処理の前若しくは仕上げ処理中に、蒸留によって、混合物から除去することが可能である。
【0012】
水又は有機溶媒、例えば、炭化水素、アルコール、エーテル、アミン、カルボン酸、カルボン酸エステル又はN−メチルピロリドンなどのカルボキサミドの追加量を、仕上げ処理の間に添加することが有利であり得る。水又は有機溶媒の割合は、顔料懸濁液の総量を基礎として、1から90重量%までの範囲、好ましくは、5から50重量%までの範囲とすることが可能である。仕上げ処理の時間は、広い限度内を変動することが可能であり、有利には、10分から10時間まで、好ましくは、30分から5時間までである。
【0013】
続いて、顔料は、ろ過によって、イオン性液体から分離される。ろ過を補助するために、水又は有機溶媒、例えば、炭化水素、アルコール、エーテル、アミン、カルボン酸、カルボン酸エステル及びN−メチルピロリドンなどのカルボキサミドからなる群から得られる溶媒を、ろ過の前に添加することが有利であり得る。イオン性液体は、抽出によって、又は水及び/又は有機溶媒を蒸留除去することによって、ろ液から回収し、顔料の仕上げ処理のために再使用することが可能である。
【0014】
イオン性液体は、水と混和可能又は混和不能であることができる。
【0015】
イオン性液体として、100℃未満の融点を有し、式
[A][B]n−
(式中、
n=1、2又は3であり、並びに
[B]n−は、ハロゲン化物、ボラート、ホスファート、ホスホナート、アンチモナート、アルセナート、ジンカート、クプラート、アルミナート、カルボナート、アルキルカルボナート、アルキルスルホナート、サルファート、アルキルサルファート、アルキルエーテルサルファート、アミド、イミド、カルバニオン及び陰イオン性金属錯体からなる群から選択される有機又は無機陰イオンであり;
[A]は、
−式
[NR
のアンモニウム陽イオン、
−式
[PR
のホスホニウム陽イオン、
−式
【0016】
【化8】

のイミダゾリウム陽イオン
(イミダゾール環は、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アミノアルキル、C−C12−アリール又はC−C12−アリール−C−C−アルキルからなる群から得られる少なくとも1つの基によって置換されることが可能である。)
−式
【0017】
【化9】

のピロリジニウム陽イオン
−式
【0018】
【化10】

のピリジニウム陽イオン
(ピリジン環は、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アミノアルキル、C−C12−アリール又はC−C12−アリール−C−C−アルキルからなる群から得られる少なくとも1つの基によって置換されることが可能である。)
−式
【0019】
【化11】

のピラゾリウム陽イオン
(ピラゾール環は、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アミノアルキル、C−C12−アリール又はC−C12−アリール−C−C−アルキルからなる群から得られる少なくとも1つの基によって置換されることが可能である。)
−式
【0020】
【化12】

のトリアゾリウム陽イオン
(トリアゾール環は、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アミノアルキル、C−C12−アリール又はC−C12−アリール−C−C−アルキルからなる群から得られる少なくとも1つの基によって置換されることが可能である。)
−式
【0021】
【化13】

のグアニジニウム陽イオン
−式
【0022】
【化14】

のイソウロニウム陽イオン
(Xは、酸素及び硫黄からなる群から選択され;
基R、R、R、R、R、Rは、
−水素、
−1から20個までの炭素原子を有する、直鎖又は分岐の、飽和又は不飽和の、脂肪族又は脂環式アルキル基、
−ヘテロアリール基中に3から8個までの炭素原子を有し、且つ、C−C−アルキル基及びハロゲン原子の中から選択される少なくとも1つの基によって置換され得るN、O及びSの中から選択される少なくとも1つの複素原子を有するヘテロアリール基;
−アリール基中に6から12個までの炭素原子を有し、且つ、少なくとも1つのC−C−アルキル基及び/又はハロゲン原子によって置換され得るアリール基、からなる基から独立に選択される。))
によって記載することが可能な有機塩を使用することができる。
【0023】
イオン性液体の好ましい陰イオンは、塩化物(Cl)、臭化物(Br)、テトラフルオロボラート([BF)、テトラクロロボラート([BCl)、テトラシアノボラート([B(CN))、ビス[オキソラート(2−)]ボラート([B(OOC−COO))、ビス[マロナート(2−)]ボラート([B(OOC−CH−COO))、ビス[1,2−ベンゾールジオラート(2−)−O,O’]ボラート([B(O−C−O))、ビス[2,2’−ビフェニルジオラート(2−)−O,O’]ボラート([B(O−C−C−O))、ビス[サリチラート(2−)]ボラート([B(O−C−COO))、ヘキサフルオロホスファート([PF)、トリス(ペンタフルオロエチル)トリスフルオロホスファート([(CPF)、トリス(ヘプタフルオロプロピル)トリスフルオロホスファート([(CPF)、トリス(ノナフルオロブチル)トリスフルオロホスファート([(CPF)、ビス(ペンタフルオロエチル)ホスホナート([(CP(O)O])、ビス(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスホナート([(C17P(O)O])、ヘキサフルオロアンチモナート[SbF)、ヘキサフルオロアルセナート([SbF)、テトラクロロジンカート([ZnCl)、ジクロロクプラート([CuCl)、テトラクロロアルミナート([AlCl)、カルボナート([CO)、デカノアート(C1021CO)、トリフラート([CFSO)、ノナフラート([CSO)、トシラート([CH−C−SO)、サルファート([SO2−)、メチルサルファート([CHSO)、ジエチレングリコールモノメチルエーテルサルファート([CH−(OCHCH−SO)、ジシアナミド([(CN)N])、ビス(トリフルオロメチル)イミド([(CFN])、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド([(CFSON])、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)メタン([(CFSOCH])、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド([(CFSOC])、テトラカルボニルコバルタート([Co(CO)]である。
【0024】
イオン性液体の好ましい有機陽イオンは、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリオクチルメチルアンモニウム、1,1−ジメチルピロリジニウム、1−エチル−1−メチルピロリジニウム、1−ブチル−1−メチルピロリジニウム、1−ブチル−1−エチルピロリジニウム、1−ヘキシル−1−メチルピロリジニウム、1−オクチル−1−メチルピロリジニウム、1,1−ジプロピルピロリジニウム、1,1−ジブチルピロリジニウム、1,1−ジヘキシルピロリジニウム、テトラブチルホスホニウム、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウム、トリイソブチルメチルホスホニウム、ベンジルトリフェニルホスホニウム、1−メチルイミダゾリウム、1−ブチルイミダゾリウム、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ペンチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウム、1−デシル−3−メチルイミダゾリウム、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−3−テトラデシルイミダゾリウム、1−ヘキサデシル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−3−オクタデシルイミダゾリウム、1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−3−(3’−フェニルプロピル)イミダゾリウム、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ヘキサデシル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、N−エチルピリジニウム、N−ブチルピリジニウム、3−メチル−N−ブチルピリジニウム、4−メチル−N−ブチルピリジニウム、3,4−ジメチル−N−ブチルピリジニウム、3,5−ジメチル−N−ブチルピリジニウム、3−エチル−N−ブチルピリジニウム、N−ヘキシルピリジニウム、3−メチル−N−ヘキシルピリジニウム、4−メチル−N−ヘキシルピリジニウム、N−オクチルピリジニウム、3−メチル−N−オクチルピリジニウム、4−メチル−N−オクチルピリジニウム、ジエチルピラゾリウム、エチルトリアゾリウム、グアニジニウム、N,N,N’,N’−テトラメチル−N’’−エチルグアニジニウム、N−ペンタメチル−N−イソプロピルグアニジニウム、N−ペンタメチル−N−プロピルグアニジニウム、ヘキサメチルグアニジニウム、O−メチル−N,N,N’,N’−テトラメチルイソウロニウム、O−エチル−N,N,N’,N’−テトラメチルイソウロニウム、S−エチル−N,N,N’,N’−テトラメチルイソチオウロニウムである。
【0025】
本発明の仕上げ処理は、アゾ顔料及び多環式顔料などの全ての有機着色顔料に対して実施することが可能である。アゾ顔料は、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、ジスアゾ縮合顔料、ナフトール顔料又は金属錯体顔料とすることが可能である。
【0026】
適切なアゾ顔料は、特に、C.I.ピグメントイエロー16、32、83、97、120、151、154、155、175、180、181、191、194、213、ピグメントオレンジ34、36、38、62、72、74、ピグメントレッド53:2、112、122、137、144、170、171、175、176、185、187、188、208、214、242、247、253;ピグメントバイオレット32;ピグメント25である。
【0027】
多環式顔料は、例えば、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、アンサントロン(anthanthrone)顔料、チオインジゴ顔料、キノフタロン顔料、アントラキノン顔料、ジオキサジン顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、ジケトピロロピロール顔料、チアジンインジゴ顔料及びアゾメチン顔料、特に、ピグメントバイオレット19、23、ピグメントブルー15、ピグメントグリーン7、36、37、ピグメントレッド122、179、202、254、ピグメントイエロー139とすることができる。
【0028】
本発明の仕上げ処理は、これまで慣用されてきた水性又は溶媒仕上げに代わり得ることが明らかとなった。さらに、さらなる物理的特性、例えば、結晶修飾又は形成される結晶修飾の比も、驚くべきことに、幾つかの顔料の場合には、温度、圧力、処理時間及び水の添加の関数として変化することができる。
【0029】
このため、例えば、アルファ相の未加工P.R.170は、本発明の仕上げ処理によって、ベータ相若しくはガンマ相のP.R.170又はベータ相とガンマ相の混合物へと変換される。
【0030】
同様に、例えば、ベータ相の未加工P.Y.213は、本発明の仕上げ処理によって、アルファ相のP.Y.213へと変換される。以下の実施例では、比較測定を用いて、アルキド−メラミン耐熱エナメルAM5中で、得られた顔料サンプルの色特性を測定した。各事例で、未処理サンプルを基準として使用した。
【0031】
光沢の評価は、ドイツ工業標準規格6174に準拠するCIELABシステムに従った比色分析測定によって実施した。測定は、Gardner PCM装置上で行い、各事例において、3つの各値の平均を求めた。フルトン(full ton)の評価は、日光を使用して(CIE D65)、ASTM D1729に準拠する同一色のランプの下で視覚的に行った。
【0032】
得られた顔料の結晶修飾の測定は、X線粉末回折法を用いて実施した。
【0033】
以下のイオン性液体を使用した。
【0034】
【表1】

【0035】
(実施例1ないし4)
ECOENG 41Mを用いたP.R.170(乾燥された顔料)の仕上げ
未加工P.R.170顔料(粉末、アルファ相)22.7gを、2Lフラスコ中のECOENG 41M 200mLと混合し、室温で30分間撹拌した。10分の期間にわたって、混合物を120℃まで加熱し、この温度で2時間撹拌した。次いで、混合物を、水200mLと混合し、熱い状態でろ過し、水1200mLで洗浄した。顔料プレスケーキを、100℃で16時間乾燥し、ベータ相とガンマ相(約95:5の比)の混合物として、P.R.170 22.3gを得た。Celite及び活性炭を通してろ液をろ過し、続いて、水を蒸留して、イオン性液体を回収した。仕上げ条件は、以下の表に従って変化した。
【0036】
【表2】

【0037】
(実施例5)
ECOENG 41Mを用いたP.R.170(湿ったプレスケーキ)の仕上げ
乾燥した未加工顔料の代わりに、水で湿らせたプレスケーキとして(アルファ相)、P.R.170未加工顔料136gを用いて、実施例1の手順を繰り返した。10分にわたって、未加工顔料、ECOENG 41Mと水の混合物を110℃まで加熱し、この温度で、30分間撹拌した。この間、還流冷却器を用いて、水を混合機中に保持した。実施例1と同様の作業によって、ベータ相のP.R.170 22.3gを得た。
【0038】
(実施例6)
[BMIM][PF]を用いたP.R.170(乾燥顔料)の仕上げ
実施例1の手順を繰り返したが、[BMIM][PF]200mLの代わりに、ECOENG 41MTM 200mLを使用し、混合物を、150℃で2時間加熱した。これにより、ベータ相のP.R.170 22.5gが得られる。
【0039】
(実施例7)
CYPHOS 3653を用いたP.R.170(乾燥顔料)の仕上げ
[BMIM][PF]200mLの代わりに、CYPHOS 3653 200mLを用いて、実施例6の手順を繰り返した。これにより、ベータ相のP.R.170 22.4gが得られる。本発明において、P.R.170のアルファ相とは、X線粉末回折パターン中の以下の特徴的な線(Cu−Kα放射、度で表した2θ値):7.6(強)、25.7(強)、5.2、8.2、11.7、13.5、15.9、18.9、23.5(全て中)によって特徴付けられる結晶修飾である。本発明において、ベータ相とは、X線粉末回折パターン中の以下の特徴的な線:25.5(強)、7.1、8.2、11.3、12.8、15.1、17.9(全て弱)によって特徴付けられる結晶修飾である。ガンマ相は、以下の線:25.7(強)、7.3、11.3、12.9、15.4、18.2(全て中)によって特徴付けられる。全ての顔料の全ての修飾の全ての線位置は、±0.2°の精度を有する。
【0040】
(実施例8)
ECOENG 41Mを用いたP.Y.213(乾燥顔料)の仕上げ
実施例1の手順を繰り返したが、P.R.170の代わりにP.Y.213(粉末、ベータ相)を使用し、混合物を、150℃で2時間加熱した。これにより、アルファ相のP.Y.213 22.5gが得られる。仕上げ処理によって形成された顔料は、明るい黄色の色合いによって、非処理形態(茶色の色合い)と区別される。
【0041】
(実施例9)
ECOENG 41Mを用いたフタロシアニン銅(真っ青)の仕上げ
実施例1の手順を繰り返したが、P.R.170の代わりにフタロシアニン銅25g(真っ青)を使用し、混合物を、130℃で3時間加熱した。これにより、ベータ相のフタロシアニン銅22.4gが得られる。仕上げ処理によって形成された顔料は、明るい緑がかった青色の色合いによって、非処理形態(くすんだ青色)と区別される。
【0042】
(実施例10)
CYPHOS 3653を用いた、フタロシアニン銅(真っ青)の仕上げ
ECOENG 41Mの代わりに、CYPHOS 3653を用いて、実施例9の手順を繰り返した。これにより、明るい緑がかった青色の顔料として、ベータ相のフタロシアニン銅21.7gが得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
必要に応じて破砕された未加工有機顔料と1又は複数のイオン性液体とを互いに作用させることを含む、有機顔料の仕上げ処理のための方法。
【請求項2】
イオン性液体が、式
[A][B]n−
(式中、
n=1、2又は3であり、並びに
[B]n−は、ハロゲン化物、ボラート、ホスファート、ホスホナート、アンチモナート、アルセナート、ジンカート、クプラート、アルミナート、カルボナート、アルキルカルボナート、アルキルスルホナート、サルファート、アルキルサルファート、アルキルエーテルサルファート、アミド、イミド、カルバニオン及び陰イオン性金属錯体からなる群から選択される有機又は無機陰イオンであり;
[A]は、
−式
[NR
のアンモニウム陽イオン、
−式
[PR
のホスホニウム陽イオン、
−式
【化1】

のイミダゾリウム陽イオン
(イミダゾール環は、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アミノアルキル、C−C12−アリール又はC−C12−アリール−C−C−アルキルからなる群から得られる少なくとも1つの基によって置換されることが可能である。)
−式
【化2】

のピロリジニウム陽イオン
−式
【化3】

のピリジニウム陽イオン
(ピリジン環は、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アミノアルキル、C−C12−アリール又はC−C12−アリール−C−C−アルキルからなる群から得られる少なくとも1つの基によって置換されることが可能である。)
−式
【化4】

のピラゾリウム陽イオン
(ピラゾール環は、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アミノアルキル、C−C12−アリール又はC−C12−アリール−C−C−アルキルからなる群から得られる少なくとも1つの基によって置換されることが可能である。)
−式
【化5】

のトリアゾリウム陽イオン
(トリアゾール環は、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アミノアルキル、C−C12−アリール又はC−C12−アリール−C−C−アルキルからなる群から得られる少なくとも1つの基によって置換されることが可能である。)
−式
【化6】

のグアニジニウム陽イオン
−式
【化7】

のイソウロニウム陽イオン
(Xは、酸素及び硫黄からなる群から選択され;
基R、R、R、R、R、Rは、
−水素、
−1から20個までの炭素原子を有する、直鎖又は分岐の、飽和又は不飽和の、脂肪族又は脂環式アルキル基、
−ヘテロアリール基中に3から8個までの炭素原子を有し、且つ、C−C−アルキル基及びハロゲン原子の中から選択される少なくとも1つの基によって置換され得るN、O及びSの中から選択される少なくとも1つの複素原子を有するヘテロアリール基;
−アリール基中に6から12個までの炭素原子を有し、且つ、少なくとも1つのC−C−アルキル基及び/又はハロゲン原子によって置換され得るアリール基、からなる基から独立に選択される。))
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
未加工顔料が、粉末、ろ過ケーキ又はプレスケーキの形態で使用される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
イオン性液体による仕上げ処理が25から280℃までの範囲の温度で実施される、請求項1ないし3の1項以上に記載の方法。
【請求項5】
イオン性液体による仕上げ処理が80から200℃までの範囲の温度で実施される、請求項1ないし4の1項以上に記載の方法。
【請求項6】
イオン性液体:顔料の重量比が0.5:1から30:1までの範囲である、請求項1ないし5の1項以上に記載の方法。
【請求項7】
仕上げ処理の時間が10分から10時間までである、請求項1ないし6の1項以上に記載の方法。
【請求項8】
仕上げ処理が水又は有機溶媒の存在下で実施される、請求項1ないし7の1項以上に記載の方法。
【請求項9】
顔料懸濁液の総量を基礎として、水又は有機溶媒の量が1から90重量%までである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
顔料がアゾ顔料又は多環式顔料である、請求項1ないし9の1項以上に記載の方法。

【公表番号】特表2007−537309(P2007−537309A)
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−511964(P2007−511964)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【国際出願番号】PCT/EP2005/004541
【国際公開番号】WO2005/111151
【国際公開日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(598109501)クラリアント・プロドゥクテ(ドイチュラント)ゲーエムベーハー (45)
【氏名又は名称原語表記】Clariant Produkte (Deutschland)GmbH
【Fターム(参考)】