説明

イオン発生装置及び美容装置

【課題】高圧発生部から発生した磁気ノイズに起因した誤作動を抑制することができるイオン発生装置及び美容装置を提供する。
【解決手段】美容装置10は、放電によってイオンを生成する放電部を有するイオン生成機構11と、装置全体の制御を司る電力制御部20と、電力制御部20からの指令に基づき、放電部に印加する高電圧を発生する高圧発生回路26と、放電部で発生したイオンをハウジング41外に放出させるための放出部44とを備えている。そして、電力制御部20は、第1の基板21に設けられると共に、高圧発生回路26は、第1の基板21とは異なる位置に配置された第2の基板27に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電によって発生したイオンを外部に放出するイオン発生装置及びこれを備える美容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、発生したイオンを外部に放出するイオン発生装置として、水などの液体をイオン化させて放出する装置が知られている。こうしたイオン発生装置は、放電部と、該放電部に液体を供給するための液体供給部とを備えている。そして、放電部に高圧発生部で発生した高電圧に基づいた駆動信号が入力されると、放電部を構成する放電電極の周りでコロナ放電が発生する。すると、放電部では、液体供給部から供給された液体がイオン化され、ナノサイズの微粒子液であるミストが生成される。そして、こうしたミストは、送風ファン(送風部)の駆動によって放出部から放出される。
【0003】
特許文献1には、イオン発生装置を備える美容装置の一例が開示されている。この美容装置のハウジング内には、有底略四角筒状の支持部材が、所定方向に延びる軸線を中心に回動可能な状態で設けられている。この支持部材は、放電部、液体供給部、送風ファン及び放出部を備えるイオン放出ユニットを支持している。また、支持部材は、イオン放出ユニットを支持する側の反対側で、上記高圧発生部及び美容装置全体を制御する電力制御部などが実装された制御基板を支持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年では、美容装置の更なる小型化が望まれている。しかしながら、高圧発生部及び電力制御部を同一の制御基板に実装する構成では、以下に示す問題が発生し得る。すなわち、高圧発生部からは、高電圧の発生に伴った大きな磁気ノイズが発生する。そのため、高圧発生部に近い位置に配置される電力制御部が高圧発生部で発生した磁気ノイズの影響を大きく受け、イオン放出ユニット(特に、放電部)が誤作動するおそれがある。
【0006】
高圧発生部からの磁気ノイズの影響に起因したイオン放出ユニットの誤作動を抑制するためには、電力制御部にノイズフィルタを設けるなどのノイズ対策を行う必要がある。この場合には、電力制御部の部品点数が増加したり回路が複雑化したりすることで、制御基板の小型化が困難になる。つまり、特許文献1に記載の美容装置には、小型化を図る点で改善の余地がある。
【0007】
なお、こうした問題は、例えばコロナ放電によってマイナスイオンやプラスイオンを放出するイオン発生装置でも同様に発生し得る。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高圧発生部から発生した磁気ノイズに起因した誤作動を抑制することができるイオン発生装置及び美容装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のイオン発生装置は、放電によってイオンを生成する放電部と、装置全体の制御を司る電力制御部と、前記電力制御部からの指令に基づき、前記放電部に印加する高電圧を発生する高圧発生部と、前記放電部で発生したイオンをハウジング外に放出させるための放出部と、を備え、前記電力制御部を第1の基板に設けると共に、該第1の基板とは異なる位置に配置された第2の基板に前記高圧発生部を設けることを要旨とする。
【0009】
本発明のイオン発生装置において、前記放出部は、前記第1の基板と前記第2の基板とが並ぶ方向において当該各基板の間の位置に配置されていることが好ましい。
本発明のイオン発生装置において、前記電力制御部には、制御対象との間で信号の入力又は出力を行うための信号線が電気的に接続されており、前記高圧発生部は、その大部分が前記ハウジング内において中央よりも一方側に位置するように配置され、前記信号線は、前記ハウジング内において前記高圧発生部よりも他方側を通って前記制御対象に設けられた接続部位まで延びていることが好ましい。
【0010】
本発明のイオン発生装置において、前記放電部は、前記高圧発生部で発生された高電圧に基づいた駆動信号が高圧放電線を介して入力されることにより放電するようになっており、前記高圧放電線は、前記高圧発生部から前記第2の基板における一方側を通って前記放電部まで延び、前記信号線は、前記第2の基板における他方側を通って前記制御対象の前記接続部位まで延びていることが好ましい。
【0011】
本発明のイオン発生装置は、前記信号線が前記高圧発生部に接近することを規制するための規制手段をさらに備えることが好ましい。
本発明のイオン発生装置において、前記規制手段は、前記高圧発生部と前記信号線との間に配置される規制壁を有することが好ましい。
【0012】
本発明のイオン発生装置において、前記規制壁は、磁気ノイズをシールドする機能を有することが好ましい。
本発明のイオン発生装置において、前記放電部の少なくとも一部は、前記各基板の並ぶ方向において前記高圧発生部と同一位置に位置しており、前記高圧放電線は、その延びる方向が前記信号線の延びる方向と交差するように配線されていることが好ましい。
【0013】
本発明のイオン発生装置において、前記電力制御部には、複数の前記信号線が接続されており、前記各信号線は、一つに束ねられていることが好ましい。
本発明のイオン発生装置は、前記各基板が並ぶ方向において前記第2の基板を挟んで前記第1の基板の反対側に配置され、外部電源から電力を入力させるための電源ケーブルが接続される電源接続部を備え、前記電力制御部には、前記電源接続部から電源線を介して電力が供給されるようになっており、前記電源線は、前記第2の基板における他方側を通って前記電源接続部から前記電力制御部まで延びていることが好ましい。
【0014】
本発明のイオン発生装置は、前記放電部に液体を供給する液体供給部と、前記第2の基板に設けられ、且つ前記液体供給部を駆動させるための電圧を発生する電力発生部と、をさらに備え、前記液体供給部は、前記電力発生部で発生した電圧に基づいた駆動信号が供給用電線を介して入力されることにより駆動するようになっており、前記供給用電線は、前記第2の基板から該第2の基板の他方側を通って前記液体供給部まで延びていることが好ましい。
【0015】
本発明のイオン発生装置において、前記液体供給部の少なくとも一部は、前記各基板の並ぶ方向において前記高圧発生部と同一位置に位置しており、前記供給用電線は、その延びる方向が前記信号線の延びる方向と交差するように配線されていることが好ましい。
【0016】
本発明のイオン発生装置は、前記電力制御部からの指令に基づき、風を発生させるための送風部と、前記送風部で発生した風を前記放電部まで導く送風経路を有する送風用ケースと、を備え、前記各基板は、前記送風用ケースに隣り合うように配置されていることが好ましい。
【0017】
本発明の美容装置は、上記イオン発生装置を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、高圧発生部から発生した磁気ノイズに起因した誤作動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のイオン発生装置を備える美容装置の一実施形態の概略構成を示すブロック図。
【図2】(a)は本実施形態の美容装置の背面図、(b)は美容装置の正面図。
【図3】図2(b)の3−3線矢視断面図。
【図4】(a)(b)はハウジングが支持台に対して回動する様子を示す側面図。
【図5】(a)(b)は支持台の内部構成を示す断面図。
【図6】電源線が延びる様子を示す斜視図。
【図7】ハウジング内の内部構成を示す平面図。
【図8】イオン生成機構の構成を示す側断面図。
【図9】ハウジング内の内部構成を示す平面図。
【図10】高圧放電線及び供給用電線が配線される様子を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図10に従って説明する。
まず始めに、イオン発生装置の一例としての美容装置の概略構成について図1を参照して説明する。
【0021】
図1に示すように、美容装置10は、イオンを発生するイオン生成機構11と、該イオン生成機構11で発生したイオンを外部に放出させるべく駆動する送風部12とを備えている。イオン生成機構11には、高電圧が印加されることによりコロナ放電を発生させる放電部13と、該放電部13に液体としての水を供給する液体供給部としてのペルチェ素子14とが設けられている。そして、放電部13は、供給された水をコロナ放電によって静電霧化し、ミストを生成する。
【0022】
送風部12には、イオン生成機構11に向けて風を送るべく駆動するファン12aが設けられている。そして、イオン生成機構11で生成されたミストは、ファン12aからの風と共に美容装置10外に放出される。なお、ここでいう「ミスト」とは、直径が数nm〜数百nmの大きさのミストであって、人体の肌における角質層表面の隙間に浸透することによって肌に潤いとハリを与える効果を発現するものである。
【0023】
また、美容装置10に設けられる制御装置15は、商用電源などの外部電源16から延びる電源ケーブル17が接続される電源接続部18と、電源接続部18から電源線19を介して供給された電力に基づき、美容装置10全体の制御を司る電力制御部20とを備えている。この電力制御部20は、第1の基板21に設けられており、電源接続部18から電源線19を介して供給された電力が入力される電力入力部22と、図示しないCPU及びメモリなどで構築されるマイクロコンピューター23とを有している。電力入力部22は、入力された電圧(直流電圧)を制御系の直流電圧に変換し、変換後の直流電圧をマイクロコンピューター23に出力する。
【0024】
マイクロコンピューター23には、美容装置10を駆動させる際及び停止させる際に操作される操作部としてのスイッチ24が電気的に接続されている。そして、マイクロコンピューター23のCPUは、スイッチ24がオン操作された場合には美容装置10を駆動させるべく、上記メモリに記憶されるプログラムを実行する。すると、マイクロコンピューター23からは、制御対象であるペルチェ駆動回路(電力発生部)25、高圧発生回路(高圧発生部)26及び送風部12に向けて制御指令がそれぞれ出力される。また、スイッチ24がオン操作されてから所定時間(例えば、8時間)が経過した場合、及びスイッチ24がオフ操作された場合、マイクロコンピューター23のCPUがプログラムの実行を中止し、美容装置10が停止される。
【0025】
ペルチェ駆動回路25及び高圧発生回路26は、第1の基板21とは異なる位置に配置される第2の基板27に実装されている。ペルチェ駆動回路25は、電力制御部20から入力された信号に基づき、ペルチェ素子14を駆動させるために必要な電圧を発生させるための回路である。そして、ペルチェ駆動回路25で発生された電圧に基づいた駆動信号は、供給用電線28を介してペルチェ素子14に入力される。また、高圧発生回路26は、電力制御部20から入力された信号に基づき、放電部13に印加させるために必要な高電圧を発生させるための回路である。そして、高圧発生回路26で発生された高電圧に基づいた駆動信号は、高圧放電線29を介して放電部13に入力される。なお、放電部13に印加する高電圧は、ペルチェ素子14に印加する電圧よりも大きい。
【0026】
本実施形態では、マイクロコンピューター23と制御対象とは、制御指令に基づいた指令信号をマイクロコンピューター23から制御対象に出力させるための信号線30A、及び制御対象の動作状態を示す信号をマイクロコンピューター23に入力させるための信号線30Bとで電気的に接続されている。なお、以降の記載において各信号線30A,30Bをまとめて単に「信号線30」というものとする。
【0027】
次に、美容装置10の具体的に構成について説明する。なお、以下の説明において、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」をいう場合には、図中における矢印に示す方向を示すものとする。
【0028】
図2(a)(b)に示すように、美容装置10は、設置面Gnd上に設置される支持台40と、該支持台40に回動可能に支持される楕円体状のハウジング41とを備えている。このハウジング41は、後側が開口する前側ハウジング42と、前側が開口する後側ハウジング43とを有している。そして、互いの開口同士を閉塞し合うように前側ハウジング42に対して後側ハウジング43を組み付けることにより、ハウジング41が構成される。
【0029】
前側ハウジング42の上側には、ハウジング41内で発生したミストを放出させるための放出部44がハウジング41内外を連通させるように形成されている。本実施形態では、放出部44は、ハウジング41の上下方向における中央よりも上側(即ち、支持台40から離れた位置)に配置されている。
【0030】
また、後側ハウジング43の頂点(最上端)を含む頂部45には、上記スイッチ24が設けられている。つまり、スイッチ24は、ハウジング41において設置面Gnd(即ち、支持台40)から最も離れた位置に配置されている。なお、「頂部45」とは、ハウジング41において放出部44よりも上側に設定された領域である。
【0031】
図3に示すように、ハウジング41の下部には、ハウジング41内外を連通させる開口部46が形成されている。そして、この開口部46を介して支持台40の一部分がハウジング41内に収容される。
【0032】
支持台40は、略円板をなす脚部50と、該脚部50に支持されるハウジング支持部51とを備えている。そして、支持台40は、ハウジング支持部51の大部分をハウジング41内に配置させた状態で支持している。脚部50には、脚部50の下面50aと設置面Gndとの接触を回避するためのゴム製の緩衝部材52が設けられている。また、脚部50の径方向中央には、上下方向に延びる連通孔53が形成されている。この連通孔53は、ハウジング41内と連通している。そして、連通孔53は、その下端から外部の空気を取り入れ、該空気をハウジング41内に導くことが可能となっている。
【0033】
ハウジング支持部51は、脚部50に一体化されており、該脚部50の径方向中央から上方に延びるように構成されている。こうしたハウジング支持部51は、下端から上端に向けて広がるように形成されている。具体的には、ハウジング支持部51の外側面は、球面状をなしている。また、ハウジング支持部51の下端の前後方向における幅H1は、ハウジング41の開口部46の前後方向における幅H2よりも狭い。そのため、図4(a)(b)に示すように、ハウジング41は、前後方向に直交する左右方向に延びる回転軸線S1(図5(b)参照)を中心に、支持台40(ハウジング支持部51)に対して回動可能となっている。
【0034】
また、図3及び図5(a)(b)に示すように、脚部50の後端には、電源ケーブル17の接続端子17aが接続される電源接続部18が配置されている。この電源接続部18は、接続端子17aが接続されるコネクタ55を備えている。また、電源接続部18には、電力を電力制御部20に供給するために設けられた複数本(本実施形態では2本)の電源線19が電気的に接続されている。これら各電源線19は、図5(a)(b)及び図6に示すように、脚部50内の後側から中央まで延び、該中央から連通孔53内を通ってハウジング支持部51内に進入し、ハウジング41内の上方まで延びている。
【0035】
また、各電源線19において連通孔53内に位置する部分は、図5(a)(b)に示すように、連通孔53を構成する内側面53aに設けられた第1の固定部60によって固定されている。同様に、各電源線19においてハウジング支持部51内に位置する部分は、該ハウジング支持部51の内側面51aに設けられた第2の固定部61によって固定されている。本実施形態では、第2の固定部61は2つ設けられている。各第2の固定部61のうち上側に位置する第2の固定部61は、ハウジング支持部51の上端近傍に配置されている。そのため、電源線19においてハウジング支持部51内に位置する部分は、ハウジング41が支持台40に対して回動しても変位しない。したがって、本実施形態では、第2の固定部61が、電源線19においてハウジング支持部51内に位置する部分を該ハウジング支持部51の内側面(内面)51aに固定させるための固定部として機能する。
【0036】
本実施形態において、各電源線19の長さ及び太さは、以下に示す条件を満たすように設定されている。すなわち、電源ケーブル17の接続端子17aをユーザーがコネクタ55に接続させる場合、該ユーザーの指と支持台40との間で静電気が発生し、該静電気に基づいた外乱ノイズが各電源線19を流れる信号に重畳することがある。この際に発生し得る静電気の大きさは「数kV」以上であると推定される。
【0037】
ここで、もし仮に電源線19のインピーダンスが小さいと、電力制御部20には、外乱ノイズがほとんど減衰されることなく入力される。こうした外乱ノイズの減衰量は、電源接続部18から電力制御部20までの電力供給経路のインピーダンスが大きいほど多くなる。そこで、本実施形態では、電源線19のインピーダンスは、該電源線19を入力された外乱ノイズを十分に減衰させる程度の値に設定される。つまり、上記電力供給経路のインピーダンスが、電源ケーブル17の接続端子17aを電源接続部18に接続する際に発生し得る静電気に起因した電気的なノイズの影響を抑制すべく設定された規定値(例えば、10mΩ)以上となるように、電源線19の長さ及び太さが設定されている。
【0038】
ただし、電源線19のインピーダンスを大きくし過ぎると、電源線19での通電ロスに起因した電力不足や電源線19での発熱量の増大などが発生するおそれがある。そこで、電源線19のインピーダンスの上限値(例えば、1Ω)が設定されている。本実施形態では、電源線19のインピーダンスは、「10mΩ」〜「1Ω」の間の値(例えば、0.5Ω)に設定されている。
【0039】
なお、インピーダンスは、線の長さを長くするほど大きくなると共に、線の細さを細くするほど大きくなる。そのため、本実施形態で使用される電源線19は、比較的細い線を用いている。しかし、電源線19の線を細くするほど、該電源線19に流れる信号には、美容装置10内で発生した磁気ノイズに基づいたノイズ信号が重畳されやすくなる。そこで、本実施形態では、各電源線19は、他の線(信号線30、高圧放電線29及び供給用電線28)とは別に一つに束ねられている。これにより、ハウジング41内で発生した磁気ノイズに基づいた各電源線19での電圧の誘起が抑制される。
【0040】
次に、ハウジング41内の内部構成について説明する。
図3に示すように、ハウジング41内において連通孔53の直上位置には、上方に向けて風を送るための送風部12が設けられている。送風部12を構成するファン12aは、連通孔53を介してハウジング41外の空気を取り込んで上方に送り出している。このファン12aの上側には、該ファン12aからの風を上方に案内するための送風経路65を内部に有する送風用ケース66が設けられている。送風経路65は、送風部12から該送風部12の後斜め上方に位置するイオン生成機構11まで延びる第1の経路65aと、イオン生成機構11から該イオン生成機構11の前斜め上方に位置する放出部44まで延びる第2の経路65bとを有している。
【0041】
また、設置面Gndに直交する方向でもある上下方向において送風部12と放出部44との間には、第2の基板27が支持部材Aを介して送風用ケース66に支持された状態で配置されている。この第2の基板27は、送風用ケース66との間に空間67を介在させた状態で該送風用ケース66と隣り合っている。そして、この空間67には、ファン12aから発生した風の一部が上方に向けて通過する。また、図7に示すように、第2の基板27に設けられた高圧発生回路26の大部分は、ハウジング41内の左右方向(直交方向)における中央を示す中央線S2よりも左側(一方側)に位置している。別の観点から見ると、高圧発生回路26は、その右端と第2の基板27における右端との間の間隔が所定間隔H3となるように、第2の基板27に実装されている。
【0042】
また、第2の基板27に実装されるペルチェ駆動回路25は、左右方向において中央線S2よりも右側に位置すると共に、供給用電線28が接続されるコネクタ70は、第2の基板27内の右上部分に設けられている。さらに、電力制御部20から延びている各信号線30が接続されるコネクタ(接続部位)71は、第2の基板27の下側(詳しくは、右下側)に設けられている。
【0043】
図3に示すように、送風用ケース66の上側には、第1の基板21が支持部材Bを介して送風用ケース66に支持された状態で配置されている。この第1の基板21は、その実装面が送風経路65を構成する第2の経路65bに沿うように、送風用ケース66と隣り合っている。こうした第1の基板21には、図7に示すように、電力制御部20の左右方向に沿って配置される3つのコネクタ75,76,77が実装されている。各コネクタ75,76,77のうち左側に位置するコネクタ75には、第2の基板27の下側に設けられたコネクタ71に接続される複数本の信号線30が接続される。また、中央に位置するコネクタ76には、送風部12に設けられた図示しないコネクタ(接続部位)に接続された複数本の信号線30が接続される。さらに、右側に位置するコネクタ(接続部位)77には、電源接続部18から延びてきた2本の電源線19が接続される。
【0044】
図3に示すように、イオン生成機構11は、送風用ケース66の後側に配置されている。詳しくは、イオン生成機構11は、前後方向において送風部12よりも後側に配置されている。本実施形態では、イオン生成機構11の放電部13の大部分は、上下方向において高圧発生回路26と同一位置に位置している。また、イオン生成機構11のペルチェ素子14全体は、上下方向において高圧発生回路26と同一位置に位置している。
【0045】
放電部13は、図8に示すように、前後方向に延びる針状の第1の電極80と、該第1の電極80よりも前側に配置される板状の第2の電極81とを備えている。そして、各電極80,81間に高圧発生回路26で発生された高電圧が印加されることにより、コロナ放電が発生する。
【0046】
ペルチェ素子14は、第1の電極80の基端部(左端部)に当接している。そして、ペルチェ素子14は、ペルチェ駆動回路25で発生された電圧が印加されることにより第1の電極80を冷却する。その結果、冷却された第1の電極80の表面には、空気中の水分が結露する。このようにペルチェ素子14の駆動によって第1の電極80に供給された水は、放電部13でのコロナ放電によって、レイリー分裂を起こして静電霧化される。そして、放電部13で生成されたミストは、ファン12aからの風と共に送風経路65(第2の経路65b)を通って放出部44を介してハウジング41外に放出される。
【0047】
次に、ハウジング41内での各線の配線態様について図9及び図10を参照して説明する。
図9及び図10に示すように、第2の基板27の右側には、規制手段としての規制壁85が設けられている。この規制壁85は、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンエーテル(PPE)及びABS樹脂などの樹脂、又は磁気ノイズをシールドする機能を有するステンレスなどで構成されている。こうした規制壁85の上端は、第2の基板27の上端と上下方向において略同一位置に位置すると共に、規制壁85の下端は、第2の基板27のコネクタ71よりも少し上側に位置している。また、規制壁85の前端85a(図10における上端)は、第2の基板27に実装される高圧発生回路26の先端(図10における上端)と略同一位置に位置すると共に、規制壁85の後端は、第2の基板27の後面27aよりも後側に位置している。
【0048】
第1の基板21に接続される各信号線30は、下方に向けてそれぞれ延びている。これら各信号線30は、第2の基板27の右斜め上方に位置する束ね部86によって一つに束ねられている。そして、各信号線30は、第2の基板27を右側から迂回するように下方に延びている。つまり、各信号線30は、ハウジング41の中央を示す中央線S2よりも上下方向と直交する左右方向(直交方向)における他方側を通って、即ち規制壁85の右側を通って下方に延びている。同様に、電源接続部18から第1の基板21まで延びる各電源線19は、第2の基板27を右側から迂回するように上方に延びている。つまり、各電源線19は、規制壁85の右側を通って上方に延び、第1の基板21に設けられたコネクタ77に接続されている。
【0049】
第2の基板27の右斜め上側に設けられたコネクタ70からは、ペルチェ素子14に向けて2本の供給用電線28が延びている。これら各供給用電線28は、第2の基板27のコネクタ70から規制壁85の前端85aを通り、該規制壁85の右側に位置する各信号線30及び各電源線19を避けるように後側に延び、第2の基板27よりも後側に位置するペルチェ素子14に接続されている。つまり、各供給用電線28は、第2の基板27の右側(上下方向と直交する左右方向における他方側)を通ってペルチェ素子14まで延びている。この際、各供給用電線28の延びる方向は、各信号線30及び各電源線19の延びる方向(この場合、上下方向)にほぼ直交(交差)している。
【0050】
また、第2の基板27からは、放電部13に向けて高圧放電線29が延びている。この高圧放電線29は、高圧発生回路26から第2の基板27の左側(上下方向と直交する左右方向における一方側)を通って、第2の基板27よりも後側に位置する放電部13まで延びている。こうした高圧放電線29の延びる方向は、各信号線30及び各電源線19の延びる方向(この場合、上下方向)にほぼ直交(交差)している。
【0051】
次に、本実施形態の美容装置10の作用について説明する。
さて、美容装置10を利用する際、ユーザーは、電源ケーブル17の接続端子17aを、支持台40に設けられた電源接続部18のコネクタ55に接続する(図3参照)。この際、ユーザーの指などの身体の一部が支持台40に接触すると、静電気が発生するおそれがある。本実施形態では、電源接続部18は、設置面Gnd(即ち、グランド)に非常に近い。そのため、電源接続部18と設置面Gndとの間のインピーダンスである対地インピーダンスは小さい。その結果、電源接続部18から第1の基板21まで延びる各電源線19には、電源ケーブル17の電源接続部18への接続時に発生した静電気に基づいたノイズ成分である外来ノイズが流れる。このとき、もし仮に電源線19のインピーダンスが上記規定値未満であるとすると、インピーダンスが小さすぎるため、第1の基板21に実装される電力制御部20には外来ノイズがほとんど減衰されることなく入力される。
【0052】
しかし、本実施形態では、電源線19のインピーダンスが規定値以上の値に設定されている。具体的には、電力制御部20はハウジング41内において電源接続部18から最も離れた位置に配置されると共に、各電源線19の長さは、電力制御部20を電源接続部18に近い位置に配置される場合よりも長めに設定されている(図3参照)。さらに、各電源線19としては、通常の電源線の太さよりも細い線が用いられている。そのため、各電源線19に外来ノイズが流れたとしても、電源線19のインピーダンスは規定値以上であるため、該外来ノイズは十分に減衰された状態で電力制御部20に入力される。その結果、電源線19に流れる外来ノイズに基づいた悪影響は抑制される。
【0053】
また、静電気は、ユーザーが上記スイッチ24を操作する際にも発生し得る。しかし、本実施形態では、スイッチ24は、ハウジング41において設置面Gndから最も離れた位置である頂部45に配置されている(図3参照)。そのため、スイッチ24と設置面Gndとの間のインピーダンスである対地インピーダンスは大きな値となる。この対地インピーダンスは、美容装置10とユーザーの身体の一部との接触位置(この場合は、スイッチ24)と、美容装置10の設置面Gndとの距離が長いほど大きな値となる。
【0054】
ユーザーによるスイッチ24の操作時に静電気が発生すると、電流は、ユーザーによる美容装置10の接触部(この場合には、スイッチ24)から、グランドである設置面Gndに向けて流れる。このとき、対地インピーダンスが大きいほど、電流は流れにくい。そのため、本実施形態のように対地インピーダンスが極力大きくなるようにスイッチ24を配置することにより、ユーザーによるスイッチ24の操作時に発生する静電気に基づいたノイズ成分である外来ノイズは極力小さくなる。その結果、ユーザーによるスイッチ24の操作に伴う外来ノイズに基づいた悪影響は抑制される。
【0055】
そして、ユーザーによってスイッチ24が操作されると、美容装置10が駆動し始める。すると、第2の基板27に設けられた高圧発生回路26では、高電圧が発生し、該高電圧に基づいた駆動信号が高圧放電線29を介して放電部13に入力される。また、ペルチェ駆動回路25では、ペルチェ素子駆動用の電圧が発生し、該電圧に基づいた駆動信号が供給用電線28を介してペルチェ素子14に入力される。すると、イオン生成機構11でミストが生成され、該ミストは、ファン12aから送られる風と共に放出部44からハウジング41外に放出される。
【0056】
この際、高圧発生回路26では、高電圧の発生に伴い大きな磁気ノイズが発生する。従来のように電力制御部20を高圧発生回路26の近くに配置すると、磁気ノイズの悪影響によって、電力制御部20によって制御されるイオン生成機構11などが誤作動するおそれがある。この点、本実施形態では、電力制御部20は、高圧発生回路26から離れた位置に配置されている。具体的には、電力制御部20は、上下方向において、放出部44を挟んで高圧発生回路26の反対側に位置している。そのため、電力制御部20は、高圧発生回路26から離して配置した分、該高圧発生回路26で発生した磁気ノイズによる悪影響を受けにくい(図3参照)。すなわち、イオン生成機構11の誤作動が抑制される。
【0057】
また、高圧発生回路26は、その大部分が中央線S2よりも左側(一方側)に位置するようにハウジング41内に配置されるのに対し、第1の基板21に接続される各信号線30及び各電源線19は、中央線S2よりも右側(他方側)に位置している(図7及び図9参照)。そのため、各信号線30及び各電源線19に流れる信号には、これら各線を高圧発生回路26に近い位置に配線される場合と比較して、高圧発生回路26で発生した磁気ノイズに基づいたノイズ信号が重畳されにくい。つまり、各信号線30及び各電源線19では、高圧発生回路26で発生した磁気ノイズに基づいて電圧が誘起されにくい。
【0058】
しかも、全ての信号線30は一つに束ねられていると共に、全ての電源線19は一つに束ねられている。こうした配線態様にすることにより、各線を一つに束ねない場合と比較して、各信号線30及び各電源線19は磁気ノイズに対して強くなる。その結果、各信号線30及び各電源線19がばらばらに配線される場合と比較して、各信号線30及び各電源線19に流れる信号には、高圧発生回路26で発生した磁気ノイズに基づいたノイズ信号がさらに重畳されにくい。
【0059】
さらにいうと、高圧発生回路26に接続された高圧放電線29は、各信号線30及び各電源線19が配線された側(即ち、第2の基板27の右側)とは反対側から放電部13まで配線されている(図9及び図10参照)。しかも、高圧放電線29の延びる方向は、各信号線30及び各電源線19の延びる方向(即ち、上下方向)とほぼ直交している。そのため、各信号線30及び各電源線19の延びる方向と高圧放電線29の延びる方向がほぼ一致する場合と比較して、各信号線30及び各電源線19では、高圧放電線29に駆動信号が流れることによって電圧が誘起されにくい。つまり、各信号線30及び各電源線19に流れる信号には、高圧放電線29に駆動信号が流れることに起因したノイズ信号が重畳されにくい。
【0060】
また、本実施形態では、ペルチェ駆動回路25からペルチェ素子14に駆動信号を入力させるための供給用電線28の延びる方向は、各信号線30及び各電源線19の延びる方向(即ち、上下方向)とほぼ直交している。そのため、各信号線30及び各電源線19には、供給用電線28に駆動信号が流れることによって電圧が誘起されにくい。つまり、各信号線30及び各電源線19には、供給用電線28に駆動信号が流れることに起因したノイズが流れにくい。
【0061】
したがって、本実施形態の電力制御部20は、ミストを発生させるために美容装置10内で発生した磁気ノイズによる悪影響を受けにくい。
美容装置10の使用中にミストの放出方向を変更すべく、ハウジング41を支持台40に対して回動させることがある。この場合、各電源線19は、支持台40に各固定部60,61によって固定されている(図5参照)。そのため、ハウジング41の回動に伴って、電源線19において支持台40内に位置する部分が、ハウジング支持部51の内側面51aと不必要に接触しない。その結果、固定部60,61が設けられない場合と比較して、電源線19の摩耗が抑制される。
【0062】
また、ハウジング41の回動時には、該ハウジング41内に配線される各種線の位置が変わることがある。例えば、第2の基板27の右側に位置する各信号線30及び各電源線19が高圧発生回路26に近づこうとする可能性がある。しかし、本実施形態では、第2の基板27の右側には、規制壁85が配置されている(図9及び図10参照)。そのため、各信号線30及び各電源線19が高圧発生回路26に近づくことは、規制壁85によって規制される。つまり、高圧発生回路26と各信号線30及び各電源線19との間隔は、規制壁85によって、上記所定間隔H3以上で維持される。
【0063】
以上説明したように、本実施形態では、以下に示す効果を得ることができる。
(1)大きな磁気ノイズを発生する高圧発生回路26は、電力制御部20が設けられた第1の基板21とはハウジング41内において異なる位置に配置された第2の基板27に設けられている。そのため、電力制御部20と高圧発生回路26とを同一の回路基板に設ける従来の場合と比較して、電力制御部20を高圧発生回路26から離して配置することができる分、電力制御部20は高圧発生回路26で発生した磁気ノイズの影響を受けにくくなる。したがって、高圧発生回路26から発生した磁気ノイズに起因した美容装置10の誤作動を抑制することができる。
【0064】
(2)具体的には、上下方向において電力制御部20と高圧発生回路26との間には、放出部44が配置されている。このように電力制御部20を高圧発生回路26から離して配置することにより、高圧発生回路26から発生した磁気ノイズに起因した美容装置10の誤作動を抑制することができる。
【0065】
(3)高圧発生回路26の大部分は、上下方向と直交する左右方向における中央よりも一方側(左側)に位置するのに対し、各信号線30及び各電源線19は、ハウジング41内において左右方向における中央よりも他方側(右側)に位置している。このように高圧発生回路26を避けるように各信号線30及び各電源線19を配線することにより、該各信号線30に流れる信号には、高圧発生回路26で発生した磁気ノイズに基づいたノイズ信号が重畳されにくい。したがって、美容装置10の小型化を図りつつ、美容装置10の誤作動を抑制することができる。
【0066】
(4)具体的には、高圧発生回路26の大部分は、第2の基板27において左右方向における中央よりも一方側(左側)に位置し、各信号線30及び各電源線19は、第2の基板27の右側に位置している。そのため、各信号線30及び各電源線19に流れる信号には、高圧発生回路26で発生した磁気ノイズに基づいたノイズ信号が重畳されにくい。したがって、美容装置10の小型化を図りつつ、美容装置10の誤作動を抑制することができる。
【0067】
(5)さらに、高圧発生回路26から延びる高圧放電線29は、各信号線30及び各電源線19の配置位置の反対側である第2の基板27の左側を通って、放電部13に接続されている。このようにハウジング41内において各信号線30及び各電源線19を避けるように高圧放電線29を配線することにより、各信号線30及び各電源線19では、高圧放電線29に駆動信号が流れることにより誘起される電圧を小さくできる。そのため、高圧放電線29に駆動信号が流れることにより発生する磁気ノイズの影響に起因した美容装置10の誤作動を抑制することができる。
【0068】
(6)しかも、高圧放電線29の延びる方向は、各信号線30及び各電源線19の延びる方向とほぼ直交している。そのため、高圧放電線29の延びる方向が各信号線30及び各電源線19の延びる方向と一致する場合と比較して、高圧放電線29に駆動信号が流れることで各信号線30及び各電源線19で誘起される電圧を極力小さくすることができる。
【0069】
(7)また、本実施形態では、各信号線30及び各電源線19が左右方向において高圧発生回路26に接近することが規制壁85によって規制されている。そのため、美容装置10の駆動中、美容装置10の搬送中及び美容装置10の組み立て中などに、各信号線30及び各電源線19が不必要に高圧発生回路26に接近することを抑制することができる。つまり、ハウジング41内において、各信号線30及び各電源線19と高圧発生回路26との間隔を上記所定間隔H3以上で維持することができる。したがって、高圧放電線29に駆動信号が流れることで各信号線30及び各電源線19で誘起される電圧が予め想定される設計値以上になることを抑制することができる。
【0070】
(8)本実施形態の規制壁85は、磁気ノイズをシールドする機能を有している。そのため、規制壁85が磁気ノイズをシールドする機能を有していない場合と比較して、高圧放電線29に駆動信号が流れることで各信号線30及び各電源線19で誘起される電圧を小さくすることができる。
【0071】
(9)各信号線30は一つに束ねられている。そのため、各信号線30に流れる各信号には、他の線(例えば、高圧放電線29や供給用電線28)に駆動信号が流れることで発生した磁気ノイズに基づくノイズ信号が重畳しにくい。したがって、美容装置10の誤作動を抑制することができる。
【0072】
(10)同様に、各電源線19は、各信号線30とは別に一つに束ねられている。そのため、各電源線19に流れる各信号には、他の線(例えば、高圧放電線29や供給用電線28)に駆動信号が流れることで発生した磁気ノイズに基づくノイズ信号が重畳しにくい。したがって、美容装置10の誤作動を抑制することができる。
【0073】
(11)また、イオン生成機構11を構成するペルチェ素子14を駆動させるためのペルチェ駆動回路25は、第2の基板27に設けられている。そのため、ペルチェ駆動回路25を電力制御部20が設けられる回路基板に設ける場合と比較して、電力制御部20をペルチェ駆動回路25から離して配置することができる分、電力制御部20はペルチェ駆動回路25で発生した磁気ノイズの影響を受けにくくなる。したがって、ペルチェ駆動回路25から発生した磁気ノイズに起因した美容装置10の誤作動を抑制することができる。
【0074】
(12)また、ペルチェ駆動回路25で発生した電圧に基づいた駆動信号をペルチェ素子14に入力させるための供給用電線28は、第2の基板27から右側を通ってペルチェ素子14まで延びている。つまり、供給用電線28は、高圧放電線29とは左右方向における反対側に延びている。そのため、供給用電線28に流れる駆動信号は、高圧放電線29を駆動信号が流れることにより発生する磁気ノイズの影響を受けにくい。したがって、ペルチェ素子14の誤作動を抑制することができる。
【0075】
(13)しかも、供給用電線28の延びる方向は、各信号線30及び各電源線19の延びる方向とほぼ直交している。そのため、供給用電線28の延びる方向が各信号線30及び各電源線19の延びる方向と一致する場合と比較して、供給用電線28に駆動信号が流れることで各信号線30及び各電源線19で誘起される電圧を小さくすることができる。
【0076】
(14)各基板21,27は、送風用ケース66に隣り合うように配置されている。そのため、送風部12を構成するファン12aから供給された風によって、各基板21,27及び各基板21,27に設けられた各種部品を冷却することができる。つまり、冷却用のファンを、ファン12aとは別途設けなくてもよい。
【0077】
(15)特に、第2の基板27と送風用ケース66との間には、ファン12aから供給される風の一部が流れる空間67が設けられている。そのため、高圧発生回路26及びペルチェ駆動回路25を効率良く冷却することができる。
【0078】
(16)また、各電源線19のインピーダンスは、電源ケーブル17の接続端子17aを電源接続部18に接続する際に発生し得る静電気に起因した電気的なノイズの影響を抑制すべく設定された規定値以上の値に設定されている。そのため、電源ケーブル17を電源接続部18に接続する際に発生した静電気に基づいた外来ノイズは、十分に減衰された状態で電力制御部20に入力される。したがって、電源接続部18と電力制御部20とを繋ぐ電源線19に外来ノイズが流れた場合における美容装置10の誤作動を抑制することができる。
【0079】
(17)本実施形態では、電力制御部20は、ハウジング41内において設置面Gndから最も離れた領域(上方域)に配置されている。そのため、電力制御部20をハウジング41における上方域以外の領域に配置した場合と比較して、電源線19を長くできる分、当該電源線19のインピーダンスを大きくすることができる。
【0080】
(18)また、スイッチ24は、ハウジング41の頂部45に設けられている。そのため、スイッチ24と設置面Gndとの間のインピーダンスである対地インピーダンスを極力大きな値にすることができる。したがって、ユーザーによるスイッチ24の操作時に発生する静電気に基づいたノイズ成分を極力小さくでき、ひいてはユーザーによるスイッチ24の操作に伴う外来ノイズに基づいた悪影響を抑制することができる。
【0081】
(19)また、電源接続部18から電力制御部20まで延びる電源線19において支持台40内に位置する部分は、各固定部60,61によって、支持台40に固定されている。そのため、ハウジング41を支持台40に対して相対的に回動させたとしても、電源線19において支持台40内に位置する部分は、ハウジング支持部51の内側面51aと不必要に接触しない。したがって、固定部60,61が設けられない場合と比較して、電源線19の摩耗を抑制することができる。
【0082】
なお、本実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・実施形態において、ファン12aから送り出された風が全て送風経路65に導かれるように、送風用ケース66を構成してもよい。このように構成しても、各基板21,27は、送風用ケース66に隣り合うように配置されているため、各基板21,27に設けられる各種部品を好適に冷却することができる。
【0083】
・実施形態において、供給用電線28を、第2の基板27の左側を通って、該第2の基板27の後側に位置するペルチェ素子14まで延びるように配線してもよい。この場合であっても、供給用電線28の延びる方向を、各信号線30及び各電源線19の延びる方向とほぼ直交させることができる。
【0084】
・実施形態において、放電部13全体が上下方向において高圧発生回路26と同一位置に位置するように、イオン生成機構11をハウジング41内に配置してもよい。この場合でも、高圧放電線29及び供給用電線28の延びる方向を、各信号線30及び各電源線19の延びる方向とそれぞれ交差させることができる。
【0085】
・また、ペルチェ素子14の一部のみが上下方向において高圧発生回路26と同一位置に位置するように、イオン生成機構11をハウジング41内に配置してもよい。この場合でも、高圧放電線29及び供給用電線28の延びる方向を、各信号線30及び各電源線19の延びる方向とそれぞれ交差させることができる。
【0086】
・実施形態において、各電源線19を、電源接続部18から第2の基板27の右側を通って、第1の基板21まで延びるように配線してもよい。
・実施形態において、第1の基板21に接続される各信号線30を、一つに束ねなくてもよい。例えば、各信号線30のうち第2の基板27に接続される複数の信号線30と、送風部12に接続される複数の信号線30とを別々に束ねてもよい。
【0087】
・実施形態において、高圧放電線29は、各信号線30とは第2の基板27を挟んで反対側から放電部13まで延びるのであれば、第2の基板27の右側を通さなくてもよい。例えば、高圧放電線29を、第2の基板27の前面から該第2の基板27の上側の空間を通って、放電部13まで延ばしてもよい。この場合、各信号線30を、第2の基板27の後面27a側を通って下方に延ばすことが好ましい。より詳しくは、各信号線30を、イオン生成機構11とハウジング41の内側面との間の空間を通って制御対象まで延ばすことがさらに好ましい。こうした構成では第2の基板27が、各信号線30が高圧発生回路26に接近することを規制する規制手段を兼ねる。
【0088】
・実施形態において、規制壁85に帯電防止加工を施してもよい。このように構成すると、ハウジング41内で発生した帯電微粒子が規制壁85に付着することが抑制される。
・実施形態において、規制壁85は、磁気ノイズをシールドする機能を有さない材料で構成してもよい。
【0089】
・実施形態において、規制手段は、信号線30及び電源線19が高圧発生回路26に接近することを規制できる構成であれば、規制壁85以外の他の任意の構成であってもよい。例えば、規制手段は、前後方向に延びる複数の規制ピンを前後方向に沿って配置した構成であってもよい。また、規制手段は、第2の基板27の右側に配置された網状部材であってもよい。
【0090】
・実施形態において、規制手段を設けなくてもよい。
・実施形態において、各信号線30を、第2の基板27の左側を通って、第1の基板21から下方まで延ばしてもよい。
【0091】
・実施形態において、高圧発生回路26を、その左右方向における中央が第2の基板27の左右方向における中央と同一位置又は同一位置よりも左側に位置するのであれば、第2の基板27に任意の態様で実装させてもよい。例えば、高圧発生回路26全体を、第2の基板27の左右方向における中央よりも右側に配置させてもよい。
【0092】
・実施形態において、高圧発生回路26が実装される第2の基板27をハウジング41内の上側に配置し、電力制御部20が実装される第1の基板21をハウジング41内の下側に配置してもよい。このように配置しても、第2の基板27を第1の基板21から離して配置することにより、高圧発生回路26から発生した磁気ノイズに起因した美容装置10の誤作動を抑制することができる。
【0093】
・実施形態において、液体供給部は、放電部13に液体を供給可能な構成であれば、ペルチェ素子以外の他の液体供給部であってもよい。例えば、液体供給部は、液体を貯留するタンクと該タンク内から液体を供給すべく作動するポンプとを備えたものであってもよい。また、液体供給部は、タンクを放電部よりも上方に配置し、自重によってタンク内の液体を放電部に供給するものであってもよい。
【0094】
・美容装置は、放電部を備えた構成であれば上記実施形態で示した美容装置以外の他の装置であってもよい。例えば、美容装置は、ヒーターなどの加熱部によって液体を沸騰させて温ミスト(「スチーム」ともいう。)を生成し、該温ミストを放電部での放電で微細化させてから放出させる装置であってもよい。また、美容装置は、ベンチュリー効果を利用する方法や超音波を利用する方法で気化させた冷ミストを、放電部での放電で微細化させてから放出させる装置であってもよい。こうした美容装置でも、第1の電極80を白金などの金属を含有する端子とすることで放電時に金属微粒子(金属イオン)が発生し、該金属微粒子がミスト共に放出される。
【0095】
・イオン発生装置としては、例えばコロナ放電によってマイナスイオンやプラスイオンを放出するイオン発生装置であってもよい。
【符号の説明】
【0096】
10…美容装置(イオン発生装置)、12…送風部(制御対象)、13…放電部、14…液体供給部の一例としてのペルチェ素子、16…外部電源、17…電源ケーブル、18…電源接続部、19…電源線、20…電力制御部、21…第1の基板、24…操作部としてのスイッチ、25…電力発生部としてのペルチェ駆動回路(制御対象)、26…高圧発生部としての高圧発生回路(制御対象)、27…第2の基板、28…供給用電線、29…高圧放電線、30,30A,30B…信号線、41…ハウジング、44…放出部、45…頂部、50…脚部、51…ハウジング支持部、51a…内側面(内面)、61…固定部としての第2の固定部、65…送風経路、66…送風用ケース、71…コネクタ(接続部位)、77…コネクタ(接続部位)、85…規制手段としての規制壁、Gnd…設置面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電によってイオンを生成する放電部と、
装置全体の制御を司る電力制御部と、
前記電力制御部からの指令に基づき、前記放電部に印加する高電圧を発生する高圧発生部と、
前記放電部で発生したイオンをハウジング外に放出させるための放出部と、を備え、
前記電力制御部を第1の基板に設けると共に、該第1の基板とは異なる位置に配置された第2の基板に前記高圧発生部を設けることを特徴とするイオン発生装置。
【請求項2】
前記放出部は、前記第1の基板と前記第2の基板とが並ぶ方向において当該各基板の間の位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のイオン発生装置。
【請求項3】
前記電力制御部には、制御対象との間で信号の入力又は出力を行うための信号線が電気的に接続されており、
前記高圧発生部は、その大部分が前記ハウジング内において中央よりも一方側に位置するように配置され、
前記信号線は、前記ハウジング内において前記高圧発生部よりも他方側を通って前記制御対象に設けられた接続部位まで延びていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のイオン発生装置。
【請求項4】
前記放電部は、前記高圧発生部で発生された高電圧に基づいた駆動信号が高圧放電線を介して入力されることにより放電するようになっており、
前記高圧放電線は、前記高圧発生部から前記第2の基板における一方側を通って前記放電部まで延び、
前記信号線は、前記第2の基板における他方側を通って前記制御対象の前記接続部位まで延びていることを特徴とする請求項3に記載のイオン発生装置。
【請求項5】
前記信号線が前記高圧発生部に接近することを規制するための規制手段をさらに備えることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のイオン発生装置。
【請求項6】
前記規制手段は、前記高圧発生部と前記信号線との間に配置される規制壁を有することを特徴とする請求項5に記載のイオン発生装置。
【請求項7】
前記規制壁は、磁気ノイズをシールドする機能を有することを特徴とする請求項6に記載のイオン発生装置。
【請求項8】
前記放電部の少なくとも一部は、前記各基板の並ぶ方向において前記高圧発生部と同一位置に位置しており、
前記高圧放電線は、その延びる方向が前記信号線の延びる方向と交差するように配線されていることを特徴とする請求項4に記載のイオン発生装置。
【請求項9】
前記電力制御部には、複数の前記信号線が接続されており、
前記各信号線は、一つに束ねられていることを特徴とする請求項4又は請求項8に記載のイオン発生装置。
【請求項10】
前記各基板が並ぶ方向において前記第2の基板を挟んで前記第1の基板の反対側に配置され、外部電源から電力を入力させるための電源ケーブルが接続される電源接続部を備え、
前記電力制御部には、前記電源接続部から電源線を介して電力が供給されるようになっており、
前記電源線は、前記第2の基板における他方側を通って前記電源接続部から前記電力制御部まで延びていることを特徴とする請求項4、請求項8及び請求項9のうち何れか一項に記載のイオン発生装置。
【請求項11】
前記放電部に液体を供給する液体供給部と、
前記第2の基板に設けられ、且つ前記液体供給部を駆動させるための電圧を発生する電力発生部と、をさらに備え、
前記液体供給部は、前記電力発生部で発生した電圧に基づいた駆動信号が供給用電線を介して入力されることにより駆動するようになっており、
前記供給用電線は、前記第2の基板から該第2の基板の他方側を通って前記液体供給部まで延びていることを特徴とする請求項4及び請求項8〜請求項10のうち何れか一項に記載のイオン発生装置。
【請求項12】
前記液体供給部の少なくとも一部は、前記各基板の並ぶ方向において前記高圧発生部と同一位置に位置しており、
前記供給用電線は、その延びる方向が前記信号線の延びる方向と交差するように配線されていることを特徴とする請求項11に記載のイオン発生装置。
【請求項13】
前記電力制御部からの指令に基づき、風を発生させるための送風部と、
前記送風部で発生した風を前記放電部まで導く送風経路を有する送風用ケースと、を備え、
前記各基板は、前記送風用ケースに隣り合うように配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項12のうち何れか一項に記載のイオン発生装置。
【請求項14】
請求項1〜請求項13のうち何れか一項に記載のイオン発生装置を備えることを特徴とする美容装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−4416(P2013−4416A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136671(P2011−136671)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】