説明

イソシアヌレート誘導体、架橋剤、架橋性エラストマー組成物およびその成形体、架橋性熱可塑性樹脂組成物およびその成形体

【課題】架橋性エラストマーや架橋性熱可塑性樹脂を架橋させる際、各種の加工性の問題を生じることのない架橋剤として使用できる新規な化合物を提供する。
【解決手段】以下の一般式(I)で表されるイソシアヌレート誘導体。
【化1】


(式中、R〜R10は、各々独立に、水素原子、アルキル基またはハロゲン原子を示し、R11〜R15は、各々独立に、水素原子、任意の原子または有機基を示す。但し、R11〜R15のうち少なくとも一つは、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子、及びこれらのハロゲン原子で置換されたアルキル基から成る群から選ばれる1種である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はイソシアヌレート誘導体に関する。本発明のイソシアヌレート誘導体は、新規物質であり、架橋性エラストマー、架橋性熱可塑性樹脂などの架橋剤として有用である。
【背景技術】
【0002】
トリアリルイソシアヌレート(以下「TAIC」と称す)は、耐熱性と耐薬品性に優れたイソシアヌレート誘導体であり、架橋性エラストマー、架橋性熱可塑性樹脂などの架橋剤として知られているが、混練時などの加工性に問題を有している。
【0003】
例えば、ニトリルゴム、フッ素ゴム等の架橋性エラストマーにオープンロールにてTAICを練り込む際、TAICが液だれする等して、練り込みゴムのロール滑りが起き易い等の問題がある。特に、フッ素ゴムにおいては、TAICとゴムの相溶性の悪さから前述の問題が起こり、作業性が非常に悪い(例えば特許文献1参照)。
【0004】
また、ポリアミド、ポリエステル等の架橋性熱可塑性樹脂とTAICとを二軸押出し機などで混練する際においては、TAICが液だれし、均一な配合が出来なくなるばかりでなく、供給が困難となるため、特別な添加設備が必要である等の問題がある(例えば特許文献2参照)。
【0005】
架橋性エラストマーや架橋性熱可塑性樹脂を架橋させる際の上記の様な加工性の問題は、生産効率に大きく影響する要因の1つであり、TAICに代わる新規な架橋剤が切望されている。
【0006】
【特許文献1】特開2003−2992号公報
【特許文献2】特開2005−238477号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、架橋性エラストマーや架橋性熱可塑性樹脂を架橋させる際、前記の様な加工性の問題を生じることのない架橋剤として使用できる新規な化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意検討した結果、特定構造を有する新規なイソシアヌレート誘導体を架橋剤として使用することにより、従来使用されてきたTAICの架橋特性は維持しつつ、加工性が大きく改善されることを見出した。
【0009】
本発明の第1の要旨は、以下の一般式(I)で表されるイソシアヌレート誘導体に存する。
【化1】

【0010】
(式中、R〜R10は、各々独立に、水素原子、アルキル基またはハロゲン原子を示し、R11〜R15は、各々独立に、水素原子、任意の原子または有機基を示す。但し、R11〜R15のうち少なくとも一つは、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子、及びこれらのハロゲン原子で置換されたアルキル基から成る群から選ばれる1種である。)
【0011】
本発明の第2の要旨は、上記のイソシアヌレート誘導体から成る架橋剤に存する。
【0012】
本発明の第3の要旨は、上記のイソシアヌレート誘導体および架橋性エラストマーを含有する架橋性エラストマー組成物に存する。
【0013】
本発明の第4の要旨は、上記の架橋性エラストマー組成物を架橋させて成る成形体に存する。
【0014】
本発明の第5の要旨は、上記のイソシアヌレート誘導体および架橋性熱可塑性樹脂を含有する架橋性熱可塑性樹脂組成物に存する。
【0015】
本発明の第6の要旨は、上記の架橋性熱可塑性樹脂組成物を架橋させて成る成形体に存する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の新規なイソシアヌレート誘導体は、架橋性エラストマー又は架橋性熱可塑性樹脂の架橋剤として有用であり、従来使用されてきたTAICが有する架橋特性を維持しつつ加工性を大きく改善することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の代表例であり、これらの内容に本発明は限定されるものではない。
【0018】
<1.イソシアヌレート誘導体>
本発明のイソシアヌレート誘導体は、以下の一般式(I)で表される。
【化2】

【0019】
(式中、R〜R10は、各々独立に、水素原子、アルキル基またはハロゲン原子を示し、R11〜R15は、各々独立に、水素原子、任意の原子または有機基を示す。但し、R11〜R15のうち少なくとも一つは、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子、及びこれらのハロゲン原子で置換されたアルキル基から成る群から選ばれる1種である。)
【0020】
〜R10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基の様な炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子の何れかであることが好ましい。R〜R10は、各々同一であっても、異なっていてもよい。
【0021】
11〜R15の任意の原子または有機基としては、ハロゲン原子、アルキル基(但し、炭素数1〜6であり、直鎖、環状、分岐の何れでもよい。以下においても同じ)、アルケニル基、アルコキシ基、チオアルキル基、アルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン置換アルキル基、ハロゲン置換チオアルキル基、置換されていてもよいフェニル基、ニトリル基、ニトロ基、アルキルスルホニル基、アミド基などが挙げられる。
【0022】
上記のハロゲン原子、ハロゲン置換アルキル基またはハロゲン置換チオアルキル基のハロゲン原子の具体例としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子が挙げられる。中でも、塩素原子、臭素原子、フッ素原子が好ましく、特にフッ素原子が好ましい。
【0023】
11〜R15は、各々同一であっても、異なっていてもよいが、本発明においては、R11〜R15のうち少なくとも一つは、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子、及びこれらのハロゲン原子で置換されたアルキル基から成る群から選ばれる1種である。ここで、アルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基(直鎖、環状、分岐の何れでもよい)であることが好ましい。
【0024】
本発明のイソシアヌレート誘導体の分子量は、通常317〜500、好ましくは317〜400である。
【0025】
本発明のイソシアヌレート誘導体の具体的例としては、1−(4−フルオロベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(3−フルオロベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(2−フルオロベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(4−(トリフルオロメチル)ベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(2−(トリフルオロメチル)ベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(2、4−ジフルオロベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(3、4−ジフルオロベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(4−クロロ−2−フルオロベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(2−クロロ−6−フルオロ−3−メチルベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(3−クロロ−2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(3−(トリフルオロメチル)−4−メトキシベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(4−ブロモベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(3−ブロモベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(2−ブロモベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(4−(トリブロモメチル)ベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(2−(トリブロモメチル)ベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(2、4−ジブロモベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(3、4−ジブロモベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(4−クロロ−2−ブロモベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(2−クロロ−4−(トリブロモメチル)ベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(2−クロロ−6−ブロモ−3−メチルベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(3−クロロ−2−ブロモ−6−(トリブロモメチル)ベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(3−(トリブロモメチル)−4−メトキシベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(4−ヨードベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(3−ヨードベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(2−ヨードベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(4−(トリヨードメチル)ベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(2−(トリヨードメチル)ベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(2、4−ジヨードベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(3、4−ジヨードベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(4−クロロ−2−ヨードベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(2−クロロ−4−(トリヨードメチル)ベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(2−クロロ−6−ヨード−3−メチルベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(3−クロロ−2−ヨード−6−(トリヨードメチル)ベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(3−(トリヨードメチル)−4−メトキシベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(4−フルオロベンジル)−3,5−ビス(2−メチルアリル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(3−フルオロベンジル)−3,5−ビス(2−メチルアリル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(2−フルオロベンジル)−3,5−ビス(2−メチルアリル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(4−(トリフルオロメチル)ベンジル)−3,5−ビス(2−メチルアリル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(2−(トリフルオロメチル)ベンジル)−3,5−ビス(2−メチルアリル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(2、4−ジフルオロベンジル)−3,5−ビス(2−メチルアリル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(3、4−ジフルオロベンジル)−3,5−ビス(2−メチルアリル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(4−クロロ−2−フルオロベンジル)−3,5−ビス(2−メチルアリル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ベンジル)−3,5−ビス(2−メチルアリル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(2−クロロ−6−フルオロ−3−メチルベンジル)−3,5−ビス(2−メチルアリル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(3−クロロ−2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル)−3,5−ビス(2−メチルアリル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(3−(トリフルオロメチル)−4−メトキシベンジル)−3,5−ビス(2−メチルアリル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(4−ブロモベンジル)−3,5−ビス(2−メチルアリル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(3−ブロモベンジル)−3,5−ビス(2−メチルアリル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(2−ブロモベンジル)−3,5−ビス(2−メチルアリル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(4−(トリブロモメチル)ベンジル)−3,5−ビス(2−メチルアリル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(2−(トリブロモメチル)ベンジル)−3,5−ビス(2−メチルアリル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(2、4−ジブロモベンジル)−3,5−ビス(2−メチルアリル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(3、4−ジブロモベンジル)−3,5−ビス(2−メチルアリル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(4−クロロ−2−ブロモベンジル)−3,5−ビス(2−メチルアリル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(2−クロロ−4−(トリブロモメチル)ベンジル)−3,5−ビス(2−メチルアリル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(2−クロロ−6−ブロモ−3−メチルベンジル)−3,5−ビス(2−メチルアリル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(3−クロロ−2−ブロモ−6−(トリブロモメチル)ベンジル)−3,5−ビス(2−メチルアリル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(3−(トリブロモメチル)−4−メトキシベンジル)−3,5−ビス(2−メチルアリル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(4−ヨードベンジル)−3,5−ビス(2−メチルアリル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(3−ヨードベンジル)−3,5−ビス(2−メチルアリル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(2−ヨードベンジル)−3,5−ビス(2−メチルアリル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(4−(トリヨードメチル)ベンジル)−3,5−ビス(2−メチルアリル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(2−(トリヨードメチル)ベンジル)−3,5−ビス(2−メチルアリル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(2、4−ジヨードベンジル)−3,5−ビス(2−メチルアリル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(3、4−ジヨードベンジル)−3,5−ビス(2−メチルアリル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(4−クロロ−2−ヨードベンジル)−3,5−ビス(2−メチルアリル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(2−クロロ−4−(トリヨードメチル)ベンジル)−3,5−ビス(2−メチルアリル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(2−クロロ−6−ヨード−3−メチルベンジル)−3,5−ビス(2−メチルアリル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(3−クロロ−2−ヨード−6−(トリヨードメチル)ベンジル)−3,5−ビス(2−メチルアリル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(3−(トリヨードメチル)−4−メトキシベンジル)−3,5−ビス(2−メチルアリル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン等が挙げられる。
【0026】
中でも、1−(4−フルオロベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(2−フルオロベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1−(4−(トリフルオロメチル)ベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオンが好ましい。
【0027】
本発明のイソシアヌレート誘導体の製造法は、特に限定されないが、一例として、非プロトン性極性溶媒中、塩基の存在下において、以下の一般式(II)で表されるイソシアヌル酸誘導体および一般式(III)で表されるハロゲン化ベンジル誘導体を反応させる方法が挙げられる。
【0028】
【化3】

【0029】
【化4】

【0030】
一般式(II)で表されるイソシアヌル酸誘導体の具体例としては、ジアリルイソシアヌレート、ジメタリルイソシアヌレートなどが挙げられる。
【0031】
一般式(III)で表されるハロゲン化ベンジル誘導体の具体例としては、1−(ブロモメチル)―4−フルオロベンゼン、1−(クロロメチル)―4−フルオロベンゼン、1−(ブロモメチル)―3−フルオロベンゼン、1−(クロロメチル)―3−フルオロベンゼン、1−(ブロモメチル)―2−フルオロベンゼン、1−(クロロメチル)―2−フルオロベンゼン、1−(ブロモメチル)―4−(トリフルオロメチル)ベンゼン、1−(クロロメチル)―4−(トリフルオロメチル)ベンゼン、1−(ブロモメチル)―2−(トリフルオロメチル)ベンゼン、1−(クロロメチル)―2−(トリフルオロメチル)ベンゼン、1−(ブロモメチル)―2,4−ジフルオロベンゼン、1−(クロロメチル)―2,4−ジフルオロベンゼン、1−(ブロモメチル)―3,4−ジフルオロベンゼン、1−(クロロメチル)―3,4−ジフルオロベンゼン、1−(ブロモメチル)−4−クロロ−2−フルオロベンゼン、1−(クロロメチル)−4−クロロ−2−フルオロベンゼン、1−(ブロモメチル)−2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ベンゼン、1−(クロロメチル)−2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ベンゼン、2−(ブロモメチル)−3−クロロ−1−フルオロ−4−メチルベンゼン、2−(クロロメチル)−3−クロロ−1−フルオロ−4−メチルベンゼン、2−(ブロモメチル)−4−クロロ−3−フルオロ−1−(トリフルオロメチル)ベンゼン、2−(クロロメチル)−4−クロロ−3−フルオロ−1−(トリフルオロメチル)ベンゼン、4−(ブロモメチル)−2−(トリフルオロメチル)−1−メトキシベンゼン、4−(クロロメチル)−2−(トリフルオロメチル)−1−メトキシベンゼン、1−ブロモ−4−(ブロモメチル)ベンゼン、1−ブロモ−4−(クロロメチル)ベンゼン、1−ブロモ−3−(ブロモメチル)ベンゼン、1−ブロモ−3−(クロロメチル)ベンゼン、1−ブロモ−2−(ブロモメチル)ベンゼン、1−ブロモ−2−(クロロメチル)ベンゼン、1−(トリブロモメチル)―4−(ブロモメチル)ベンゼン、1−(トリブロモメチル)―4−(クロロメチル)ベンゼン、1−(トリブロモメチル)―2−(ブロモメチル)ベンゼン、1−(トリブロモメチル)―2−(クロロメチル)ベンゼン、2,4−ジブロモ−1−(ブロモメチル)ベンゼン、2,4−ジブロモ−1−(クロロメチル)ベンゼン、3,4−ジブロモ−1−(ブロモメチル)ベンゼン、3,4−ジブロモ−1−(クロロメチル)ベンゼン、2−ブロモ−1−(ブロモメチル)−4−クロロベンゼン、2−ブロモ−1−(クロロメチル)−4−クロロベンゼン、1−(ブロモメチル)−4−(トリブロモメチル)−2−クロロベンゼン、1−(クロロメチル)−4−(トリブロモメチル)−2−クロロベンゼン、1−ブロモ−2−(ブロモメチル)−3−クロロ−4−メチルベンゼン、1−ブロモ−2−(クロロメチル)−3−クロロ−4−メチルベンゼン、2−(ブロモ)−3−(ブロモメチル)−4−(トリブロモメチル)−1−クロロベンゼン、2−(ブロモ)−3−(クロロメチル)−4−(トリブロモメチル)−1−クロロベンゼン、4−(ブロモメチル)−2−(トリブロモメチル)−1−メトキシベンゼン、4−(クロロメチル)−2−(トリブロモメチル)−1−メトキシベンゼン、1−(ブロモメチル)―4−ヨードベンゼン、1−(クロロメチル)―4−ヨードベンゼン、1−(ブロモメチル)―3−ヨードベンゼン、1−(クロロメチル)―3−ヨードベンゼン、1−(ブロモメチル)―2−ヨードベンゼン、1−(クロロメチル)―2−ヨードベンゼン、1−(ブロモメチル)―4−(トリヨードメチル)ベンゼン、1−(クロロメチル)―4−(トリヨードメチル)ベンゼン、1−(ブロモメチル)―2−(トリヨードメチル)ベンゼン、1−(クロロメチル)―2−(トリヨードメチル)ベンゼン、1−(ブロモメチル)―2,4−ジヨードベンゼン、1−(クロロメチル)―2,4−ジヨードベンゼン、1−(ブロモメチル)―3,4−ジヨードベンゼン、1−(クロロメチル)―3,4−ジヨードベンゼン、1−(ブロモメチル)−4−クロロ−2−ヨードベンゼン、1−(クロロメチル)−4−クロロ−2−ヨードベンゼン、1−(ブロモメチル)−2−クロロ−4−(トリヨードメチル)ベンゼン、1−(クロロメチル)−2−クロロ−4−(トリヨードメチル)ベンゼン、2−(ブロモメチル)−3−クロロ−1−ヨード−4−メチルベンゼン、2−(クロロメチル)−3−クロロ−1−ヨード−4−メチルベンゼン、2−(ブロモメチル)−4−クロロ−3−ヨード−1−(トリヨードメチル)ベンゼン、2−(クロロメチル)−4−クロロ−3−ヨード−1−(トリヨードメチル)ベンゼン、4−(ブロモメチル)−2−(トリヨードメチル)−1−メトキシベンゼン、4−(クロロメチル)−2−(トリヨードメチル)−1−メトキシベンゼン等が挙げられる
【0032】
非プロトン性極性溶媒としては、N,N−ジメチルアニリン(DMA)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、ジメチルスルホキサイド(DMSO)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等が挙げられるが、好ましくは、DMF、DMI、DMSO、NMPである。これらの溶媒は2種以上併用してもよい。
【0033】
反応に使用する塩基としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛などの酸化物が挙げられるが、好ましくは、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムである。
【0034】
一般式(II)で表されるイソシアヌレート誘導体および一般式(III)で表されるハロゲン化ベンジル誘導体の反応モル比は、通常1:0.5〜1:2、好ましくは1:0.7〜1:1.4である。反応温度は、反応成分の種類などによって左右されるが、通常20〜200℃、好ましくは30〜150℃である。
【0035】
合成した誘導体の分析は、融点、純度、H−NMR及びGC−MSにより行うことが出来る。
【0036】
<2.架橋性エラストマー組成物>
本発明の架橋性エラストマー組成物は、本発明のイソシアヌレート誘導体および架橋性エラストマーを含有することを特徴とする。ここで、架橋性エラストマーとは、ラジカル発生により架橋可能な活性点を有するエラストマーをいう。
【0037】
本発明で使用する架橋性エラストマーは、特に限定されず、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、スチレンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、エチレンアクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ヒドリンゴム、エチレン酢酸ビニル共重合体などが挙げられ、これら2種以上のブレンドゴムでもよい。好ましくはフッ素ゴムである。
【0038】
架橋性エラストマーに対する本発明のイソシアヌレート誘導体の配合量は、架橋性エラストマー100重量部に対し、通常0.5〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。
【0039】
本発明の架橋性エラストマー組成物には、本発明のイソシアヌレート誘導体の他に有機過酸化物や添加剤などを配合することが出来る。有機過酸化物は、本発明の架橋性エラストマー組成物を加熱架橋させる場合には、一般に使用される成分であり、架橋条件でパーオキシラジカルを発生する公知な有機過酸化物であれば、その種類は特に限定されない。
【0040】
有機過酸化物の具体例としては、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジヒドロキシパーオキシド、t-ブチルクミルパーオキシド、α,α’-ビス(t-ブチルパーオキシ)-p-ジイソプロピルベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、ベンゾイルパーオキシド、t-ブチルパーオキシベンゼン等が挙げられる。
【0041】
有機過酸化物の配合量は、架橋性エラストマーの種類によっても異なるが、架橋性エラストマー100重量部に対し、通常0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。なお、放射線を照射して架橋させる場合などには、有機過酸化物は必ずしも必要ではない。
【0042】
なお、上記の添加剤としては、特に限定されず、例えば、補強剤、充填剤、可塑剤、加工助剤、滑剤、老化防止剤、顔料、カップリング剤などが挙げられる。
【0043】
本発明の架橋性エラストマー組成物は、上記の成分を混合して得られる。混合方法は、特に限定されず、架橋性エラストマーの種類に応じ、バンバリーミキサー、ニーダー、オープンロール等の通常の混練機が使用できる。この際、本発明のイソシアヌレート誘導体は、液だれ、ロール滑りなどを惹起しないため、加工性が大きく改善される。
【0044】
加熱架橋は、例えば、射出成型機、加圧成型機などを使用し、通常150℃〜200℃で2〜30分加熱することにより行われる。その後、必要に応じ、150℃〜200℃で1〜10時間加熱して二次架橋を行ってもよい。また、放射線架橋は、加速電子線、X線、α線、β線、γ線等の放射線を照射することにより行われる。照射線量は架橋性エラストマーの種類などによっても異なるが、通常0.1〜500kGyである。本発明の架橋性エラストマー組成物の架橋方法としては加熱架橋が好ましい。
【0045】
<3.架橋性熱可塑性樹脂組成物>
本発明の架橋性熱可塑性樹脂組成物は、本発明のイソシアヌレート誘導体および架橋性熱可塑性樹脂組成物を含有することを特徴とする。ここで、架橋性熱可塑性樹脂とは、ラジカル発生により架橋可能な活性点を有する熱可塑性樹脂をいう。
【0046】
本発明で使用する架橋性熱可塑性樹脂は、特に限定されず、例えば、塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアセタール樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。これらの中では、ポリアミド樹脂またはポリエステル樹脂が好ましく、特に、ポリアミド6、ポリアミド66又はポリブチレンテレフタレートが好ましい。
【0047】
架橋性熱可塑性樹脂に対する本発明のイソシアヌレート誘導体の配合量は、架橋性熱可塑性樹脂100重量部に対し、通常0.5〜25重量部、好ましくは1〜15重量部、更に好ましくは1〜10重量部である。
【0048】
本発明の架橋性熱可塑性樹脂には、本発明のイソシアヌレート誘導体の他に有機過酸化物や添加剤などを配合することが出来る。有機過酸化物は、本発明の架橋性熱可塑性樹脂組成物を加熱架橋させる場合には、一般に使用される成分であり、架橋条件でパーオキシラジカルを発生する公知な有機過酸化物であれば、その種類は特に限定されない。
【0049】
有機過酸化物の具体例としては、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、α,α’-ビス(t-ブチルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン等が挙げられる。有機過酸化物の配合量は、架橋性熱可塑性樹脂の種類によっても異なるが、架橋性熱可塑性樹脂100重量部に対し、通常0.1〜20重量部程度である。なお、放射線を照射して架橋させる場合などには、有機過酸化物は必ずしも必要ではない。
【0050】
なお、上記の添加剤としては、特に限定されず、例えば、重合禁止剤、充填剤、顔料、安定剤、滑剤、離型剤、可塑剤などが挙げられる。
【0051】
本発明の架橋性熱可塑性樹脂組成物は、上記の成分を混合して得られる。混合方法は、特に限定されず、架橋性熱可塑性樹脂の種類に応じ、二軸押出し機、ニーダー、バンバリーミキサー、オープンロール等の通常の混練機が使用できる。この際、本発明のイソシアヌレート誘導体は、液だれがなく均一に配合できるため、加工性が大きく改善される。
【0052】
加熱架橋は、例えば、射出成形機、押出し成形機、加圧成形機などを使用して行われる。加熱温度および時間は、架橋性熱可塑性樹脂の種類によって異なるため一概には言えないが、通常50℃〜200℃で2〜30分である。また、放射線架橋は、加速電子線、X線、α線、β線、γ線等の放射線を照射することにより行われる。照射線量は架橋性熱可塑性樹脂の種類などによっても異なるが、通常1〜1000kGyである。
【0053】
本発明のイソシアヌレート誘導体は、架橋剤として、架橋性エラストマーと架橋性熱可塑性樹脂の混合物にも使用することが出来、更に、塗料、インキ、接着剤、積層板、封止材等の分野の原料としても有用である。
【実施例】
【0054】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の諸例で採用した分析方法および条件は次の通りである。
【0055】
(1)融点:
測定装置としてメトラー・トレド製「FP62」を使用し、昇温速度10℃/分で測定した。
【0056】
(2)純度:
測定装置として島津製作所製「型式LC−10ADVP」を使用し、カラムとして「INERTSILODS−3」(25cm)を使用し、溶媒としてアセトニトリルと水を使用し、液体クロマトグラフィーの面積百分率を純度とした。
【0057】
(3)H−NMR:
装置としてVarian製「Gemini−200(200MHz)」を使用し、溶媒として重クロロホルムを使用した。
【0058】
(4)GC−MS:
装置として日本電子製「Automass−Sun」を使用し、EIで測定した。
【0059】
実施例1:
<1−(4−(トリフルオロメチル)ベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5-トリアジナン−2,4,6−トリオンの合成>
【0060】
ジメチルホルムアミド105g中、炭酸カリウム13.8g(0.10mol)の存在下、ジアリルイソシアヌレート18.8g(0.09mol)と1−(ブロモメチル)―4−(トリフルオロメチル)ベンゼン23.9g(0.10mol)とを60℃で2時間反応させた。その後、冷却し、反応混合物を濾過して無機物を除去し、濾液を減圧蒸留して溶媒を回収し、その残渣をクロロホルムで希釈してからアルカリ水溶液および酸水溶液で抽出した。得られた抽出液を、水洗後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して濾過し、濾液中のクロロホルムを減圧蒸留して回収し、その残渣にイソプロピルアルコールを加えて結晶を析出させて濾過した。得られたケーキを乾燥して25.2gの粉体を得た(収率78%)。融点:103℃、純度:99重量%、GC−MS(EI)MW:367であった。また、H−NMRの測定結果は次の通りであった。
【0061】
H−NMRの測定結果)
δ4.5ppm(d、4H、N−C−CH)、δ5.1ppm(s、2H、C−ph)、δ5.2−5.4ppm(m、4H、CH=C)、δ5.8−6.0ppm(m、2H、C=CH2)、δ7.5−7.7ppm(m、4H、ph
【0062】
実施例2:
<1−(4−フルオロベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5-トリアジナン−2,4,6−トリオンの合成>
【0063】
ジメチルホルムアミド250g中、炭酸カリウム31.8g(0.23mol)の存在下、ジアリルイソシアヌレート43.9g(0.21mol)と1−(クロロメチル)―4−フルオロベンゼン31.8g(0.22mol)とを100℃で2時間反応させた。その後、冷却し、反応混合物を濾過して無機物を除去し、濾液を減圧蒸留して溶媒を回収し、その残渣をクロロホルムで希釈してからアルカリ水溶液および酸水溶液で抽出した。得られた抽出液を、水洗後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して濾過し、濾液中のクロロホルムを減圧蒸留して回収し、その残渣にイソプロピルアルコールを加えて室温または冷凍して結晶を析出させて濾過した。得られたケーキを乾燥して54.8gの粉体を得た(収率81%)。融点:74℃、純度:98重量%、GC−MS(EI)MW:317であった。また、H−NMRの測定結果は次の通りであった。
【0064】
H−NMRの測定結果)
δ4.5ppm(d、4H、N−C−CH)、δ5.0ppm(s、2H、C−ph)、δ5.2−5.4ppm(m、4H、CH=C)、δ5.8−6.0ppm(m、2H、C=CH2)、δ6.9−7.5ppm(m、4H、ph
【0065】
実施例3:
<1−(4−ブロモベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5-トリアジナン−2,4,6−トリオンの合成>
【0066】
ジメチルホルムアミド210g中、炭酸カリウム27.6g(0.20mol)の存在下、 ジアリルイソシアヌレート37.6g(0.18mol)と1−ブロモ−4−(ブロモメチル)ベンゼン47.5g(0.19mol)とを60℃で2時間反応させた。その後、冷却し、反応混合物を濾過して無機物を除去し、濾液を減圧蒸留して溶媒を回収し、その残渣をクロロホルムで希釈してからアルカリ水溶液および酸水溶液で抽出した。得られた抽出液を、水洗後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して濾過し、濾液中のクロロホルムを減圧蒸留して回収し、その残渣にイソプロピルアルコールを加えて室温または冷凍して結晶を析出させて濾過した。得られたケーキを乾燥して48.6gの粉体を得た(収率71%)。融点:78℃、純度:99重量%であった。また、H−NMRの測定結果は次の通りであった。
【0067】
H−NMRの測定結果)
δ4.5ppm(d、4H、N−C−CH)、δ5.0ppm(s、2H、C−ph)、δ5.0−5.4ppm(m、4H、CH=C)、δ5.8−6.0ppm(m、2H、C=CH)、δ7.3−7.5ppm(m、4H、ph
【0068】
実施例4:
<1−(2−フルオロベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5-トリアジナン−2,4,6−トリオンの合成>
【0069】
ジメチルホルムアミド300g中、炭酸カリウム38.7g(0.28mol)の存在下、ジアリルイソシアヌレート52.3g(0.25mol)と1−(クロロメチル)―2−フルオロベンゼン40.5g(0.28mol)とを100℃で2時間反応させた。その後、冷却し、反応混合物を濾過して無機物を除去し、濾液を減圧蒸留し溶媒を回収し、その残渣をクロロホルムで希釈してからアルカリ水溶液および酸水溶液で抽出した。得られた抽出液を、水洗後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して濾過し、濾液中のクロロホルムを減圧蒸留して回収し、この残渣にイソプロピルアルコールを加えて室温または冷凍して結晶を析出させて濾過した。得られたケーキを乾燥して73.8gの粉体を得た(収率92%)。融点:74℃、純度:97重量%、GC−MS(EI)MW:317であった。また、H−NMRの測定結果は次の通りであった。
【0070】
H−NMRの測定結果)
δ4.5ppm(d、4H、N−C−CH)、δ5.2ppm(s、2H、C−ph)、δ5.2−5.4ppm(m、4H、CH=C)、δ5.8−6.0ppm(m、2H、C=CH)、δ7.0−7.4ppm(m、4H、ph
【0071】
実施例5:
<1−(2,4−ジフルオロベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5-トリアジナン−2,4,6−トリオンの合成>
ジメチルホルムアミド120g中、炭酸カリウム15.2g(0.11mol)の存在下、ジアリルイソシアヌレート20.9g(0.10mol)と1−(ブロモメチル)―2,4−ジフルオロベンゼン22.8g(0.11mol)とを60℃で2時間反応させた。その後、冷却し、反応混合物を濾過して無機物を除去し、濾液を減圧蒸留し溶媒を回収し、その残渣をクロロホルムで希釈してからアルカリ水溶液および酸水溶液で抽出した。得られた抽出液を、水洗後、無水硫酸マグネシウムで乾燥して濾過し、濾液中のクロロホルムを減圧蒸留して回収し、その残渣にイソプロピルアルコールを加えて室温または冷凍して結晶を析出させて濾過した。得られたケーキを乾燥して23.6gの粉体を得た(収率70%)。融点:68℃、純度:99重量%、GC−MS(EI)MW:335であった。また、H−NMRの測定結果は次の通りであった。
【0072】
H−NMRの測定結果)
δ4.5ppm(d、4H、N−C−CH)、δ5.1ppm(s、2H、C−ph)、δ5.2−5.4ppm(m、4H、CH=C)、δ5.8−6.0ppm(m、2H、C=CH)、δ6.8−7.4ppm(m、4H、ph
【0073】
実施例6〜8及び比較例1:
実施例1〜3で得られた新規なイソシアヌレート誘導体、及びTAICを表1に示す配合組成でオープンロールにてフッ素ゴムへ混練りした。その際、液だれ、ロール滑りおよび分散性について、各架橋剤の加工性を目視にて評価した。得られたエラストマー組成物は、160℃で10分間プレス加硫を行い、次いで180℃で4時間の二次加硫を行なった。各加硫物は、JIS K6262に準拠し、圧縮永久歪特性を評価した。その結果を表2に示す。
【0074】
【表1】

【0075】
【表2】

【0076】
実施例9:
二軸押出機を使用し、ポリブチレンテレフタレート(三菱エンジニアプラスチックス社製「NOVADURAN5008」)100重量部に対し、実施例2で得られた1−(4−フルオロベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5-トリアジナン−2,4,6−トリオン3重量部を混練して樹脂ペレットを得た。その際、二軸押出し機からの液だれ、混練性について、各架橋剤の加工性を目視にて評価した。そして、射出成形機にて成形後、3MeVの電子線を照射した。照射線量は300kGyとした。得られた架橋成形体の特性を表3に示す。
【0077】
比較例2:
実施例9において、1−(4−フルオロベンジル)−3,5−ジアリル−1,3,5-トリアジナン−2,4,6−トリオンの代わりにTAICを使用した以外は、実施例9と同条件で架橋成形体を得た。得られた架橋成形体の特性を表3に示す。
【0078】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の一般式(I)で表されるイソシアヌレート誘導体。
【化1】

(式中、R〜R10は、各々独立に、水素原子、アルキル基またはハロゲン原子を示し、R11〜R15は、各々独立に、水素原子、任意の原子または有機基を示す。但し、R11〜R15のうち少なくとも一つは、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子、及びこれらのハロゲン原子で置換されたアルキル基から成る群から選ばれる1種である。)
【請求項2】
請求項1に記載のイソシアヌレート誘導体から成る架橋剤。
【請求項3】
請求項1に記載のイソシアヌレート誘導体および架橋性エラストマーを含有する架橋性エラストマー組成物。
【請求項4】
請求項3に記載の架橋性エラストマー組成物を架橋させて成る成形体。
【請求項5】
請求項1に記載のイソシアヌレート誘導体および架橋性熱可塑性樹脂を含有する架橋性熱可塑性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項5に記載の架橋性熱可塑性樹脂組成物を架橋させて成る成形体。

【公開番号】特開2008−50299(P2008−50299A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−228108(P2006−228108)
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(000230652)日本化成株式会社 (85)
【Fターム(参考)】