説明

イソシアネートをベースとする組成物、接着剤の製造のためのその使用方法、及び得られる芳香族接着性ジョイント

本発明は、接着剤中における乳化性イソシアネート組成物の使用に関する。この組成物は、N=C=O官能基の質量含有率が10%〜30%であり、粘度がせいぜい1500mPa・sであるイソシアネート組成物、及びリンとエチレンオキシド基とアニオンを有する酸素原子とを含有する化合物又は該化合物の混合物を主成分とする界面活性剤を含む。用途は接着剤産業である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イソシアネート(これは部分的にマスクされていてもよいが、しかしこれは好ましい具体例ではない)をベースとする化合物及び組成物に関する。本発明はまた、それらの使用方法及び接着剤を製造するためのそれらの使用、並びに特にこうして得られる接着性ジョイントにも関する。より特定的には、本発明は、水性相中に(自己)分散性であり、特に木材及びエラストマーを結合させるための組成物に関する。
【0002】
本発明をより一層よく理解するためには、以下のことを思い出すのが適切であると思われる。
【0003】
本明細書において粒子寸法特徴についてはしばしば、dnタイプの表記法(ここで、nは1〜99の数である)を用いる。この表記法は多くの技術分野においてよく知られているが、化学においてはむしろ稀であり、従ってその意味を思い出しておくのがよいかも知れない。この表記法は、粒子のn%(重量、より正確には質量による。何故ならば重量は物質の量であって力ではないから。)がその寸法と等しい寸法又はそれより小さい寸法であるような粒子寸法を表わす。
【0004】
本明細書の残りの部分においては、次式で規定される多分散指数を用いる。
I=(d90−d10)/d50
【背景技術】
【0005】
接着剤産業においては昔から溶剤が広く用いられてきたが、しかし有機溶剤又はその少なくとも一部は毒性又は時間毒性があるとみなされているので、有機溶剤の使用には作業安全性を管理する当局からの非難が次第に高まっている。
【0006】
これを1つの理由として、溶剤に関連する欠点を解消するために溶剤媒体中における技術の代わりとなる技術を開発するための試みが次第に多く行われるようになってきた。
【0007】
その存在がそれを取り扱う者にとって毒性があること及び環境に対して有害であることが知られている有機溶剤の使用を減らすために、水性相中の接着剤を開発することが提唱されている。
【0008】
このタイプの大部分の接着剤は、水性相中の(通常は分散体の形の)ポリマーから成り、水性相の蒸発が結合をもたらす。
【0009】
しかしながら、水性相中にイソシアネートを分散させて存在させることによって、この種の接着剤を用いて得られる接着性ジョイントの接着特性を有意に高めることができるようである。この効果増強のメカニズムは、完全には解明されていない。
【0010】
こうして変性されたこれらの分散体は新規の類の接着剤を構成し、ポリマー(可溶性のもの又は通常は分散体状のもの)と分散したイソシアネートとが同一の水性相中に存在するデュアル分散体から形成される。
【0011】
一般的に、この混合分散体は、ポリマーベクトル水性相とイソシアネートエマルションとを混合するか、又はポリマーを有する水性相中にイソシアネートを直接乳化させるかのいずれかによって得られる。
【0012】
特に望ましいのは後者の技術である。
【0013】
この技術は有利なものではあるが、しかしこの用途のために好適なイソシアネートベース組成物の範囲には選択肢が少ししかない。何故ならば、これらは様々な制約を満足する必要があり、乳化剤の選択が臨界的であるからである。
【0014】
かくして、一方で分散体を接着結合に用いることができる時間が短縮されるのを防止し、他方で脱混合(混合状態の解除)及び場合により相分離を防止するためには、イソシアネート組成物を乳化させるための技術がポリマーベクトル媒体と適合性である必要がある。これは、分散体が物理的に安定であること及び所定レベルで化学的に安定であることの両方を意味する。
【0015】
と言うのも、マスクされていないイソシアネート又は完全にはマスクされていないイソシアネートを用いる場合、水性エマルションの形では、通常はそれらが使用可能な時間は数時間未満、一般的に1又は2時間未満なのである。新規の乳化剤を使用したことによって耐用寿命が有意に短縮される結果にならないようにするのが重要である。
【0016】
この問題は、用いられる接着性ポリマーの多様性が広範であることのため及びそれらの特徴が結合される表面に依存することのために、なお一層難しいものとなる。
【0017】
最後に、水性相中の特に分散体状の接着剤を用いて得られた接着性ジョイントは湿った環境において低い接着性を示すということも、よく起こることである。
【0018】
さらに、多くの界面活性剤はコーティングとその支持体との間の結合の強度を低下させることがよく知られている。その結果、それらはポリマーと支持体との間の結合を徐々に衰えさせることが知られており、そのために用いられている。
【特許文献1】ドイツ国特許第3108537A号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
この理由で、本発明の1つの目的は、広範な条件下で容易に乳化させることができるイソシアネート組成物を提供することにある。
【0020】
本発明の別の目的は、湿った環境における接着性の問題を克服するイソシアネート組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
これらの目的及び以下の説明から明らかになるであろうその他の目的は、次のものを含む乳化可能なイソシアネート組成物を接着剤中に用いることによって達成される:
・10%〜30%の範囲(境界を含む)、有利には15%〜25%の範囲(境界を含む)のN=C=O官能基の質量含有率、及び2500mPa・s以下、有利には1500mPa・s以下、好ましくは1400mPa・s以下、より一層好ましくは1200mPa・s以下の粘度を有するイソシアネート組成物(a);
・次の一般式(I)の化合物又は該化合物の混合物を主成分として含む界面活性剤:
【化1】

{ここで、pは1〜2の範囲(閉区間、即ち境界を含む)の整数を表わし;
mは0又は1を表わし;
qは0と1との間から選択され;
合計p+m+qは3以下であり;
合計1+p+2m+qは3又は5、有利には5であり;
Xは酸素又は単結合であり;
X’は酸素又は単結合であり;
n及びsは同一であっても異なっていてもよく、5〜30の範囲、有利には5〜25の範囲、好ましくは9〜20の範囲(閉区間、即ち境界を含む)から選択される整数を表わし;
1及びR2は同一であっても異なっていてもよく、有利には同一であり、随意に置換されたアリール基から選択される}。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
有利には、X及びX’の内の一方は酸素、好ましくは両方が酸素である。
【0023】
式(I)の化合物が混合物である場合には、モル基準としたそれらの大部分(少なくとも50%)が式(I)においてqが0である(即ちリン酸モノエステル又はホスホネート)次式(II)のものに相当するのが好ましい。
【化2】

(ここで、mは0又は1、好ましくは1であり、
pは2である。)
【0024】
前記の値は所定の分子については整数であるが、化合物の混合物を用いる場合にはこれらの値は分数になってもよい。
【0025】
かくして、式(I)においてq、p並びに特にn及びsは統計値となる。
【0026】
この場合、前記の乳化可能な組成物は、以下のものを含む乳化可能なイソシアネート組成物になる:
・15%〜25%の範囲のN=C=O官能基の質量含有率、及び1500mPa・s以下、有利には1400mPa・s以下、好ましくは1200mPa・s以下の粘度を有するイソシアネート組成物;
・次の平均一般式の化合物又は該化合物の混合物を主成分として含む界面活性剤:
【化3】

(ここで、pは1〜2の範囲(閉区間、即ち境界を含む)の値を表わし;
mは0又は1、有利には1であり;
合計p+m+qは3であり;
合計1+p+2m+qは3又は5、有利には5であり;
Xは酸素であり;
X’は酸素であり;
n及びsは5〜30の範囲、有利には5〜25の範囲、好ましくは9〜20の範囲(閉区間、即ち境界を含む)から選択される同一の統計値を有し;
1及びR2は同一であり、随意に置換されたアリール基から選択される}。
【0027】
1及びR2は通常は10〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、特にノニルフェニルを表わす。
【0028】
統計値qは0〜1の範囲の閉区間中から選択され、これは酸−塩基滴定によって容易に測定されることに留意されたい。
【0029】
統計値qは、0.5以下、有利には0.3以下、好ましくは0.2以下であるのが望ましい。
【0030】
この場合、平均式は数平均(各タイプの単位又は原子の総数を分子の数で割ったもの)であり、各分子の割合は液体クロマトグラフィーによって及び重い分子については適宜にゲル透過クロマトグラフィーによって測定され、適宜にMALDITOF技術によって補完される。
【0031】
これらの化合物は、フェノール類(R1及びR2){有利にはフェノール、有利には置換されたもの、好ましくは炭素系鎖(有利にはアルキル)で置換されたもの}を用いてアルコール官能基で末端停止させたポリエチレンオキシド(s及びnの単位)によってリンの酸(有利にはリン酸)を部分エステル化することによって、得ることができる。
【0032】
式(I)の化合物と懸濁させるべきイソシアネートとの間の質量比(式(I)の化合物が分子になる)は通常、約0.1以下、有利には約0.10以下である。本明細書において用語「約」は、その値が数学的に丸められたものであるという事実、及びその数値の最も右の数字が0である場合にこれらの0が(もちろん別途記載がなければのことではあるが)有効数字というよりもむしろ位取り表記の0であるという事実を強調するために専ら用いられる。
【0033】
懸濁させるべきイソシアネートと式(I)の化合物との間の質量比は、1%より大きいのが有利であり、2%より大きいのが好ましい。
【0034】
これらの使用における利点を構成する自己乳化性性状は、他のタイプの乳化剤化合物も存在下させる場合には前記の質量比が約3%又はそれより高い時に現れ、式(I)の化合物が乳化剤として用いられる全界面活性剤の少なくとも90質量%を占める場合には前記の質量比が約5%又はそれより高い時に現れる。
【0035】
また、式(I)の前記の化合物の量が、1リットル当たりに10-2〜1の範囲、有利には5×10-2〜0.5の範囲の値のリン原子に相当するのも望ましい。
【0036】
かくして、式(I)の化合物(分子)と懸濁させるべきイソシアネート(分母)との間の質量比は、有利には少なくとも2%、好ましくは少なくとも4%であって、約15%以下、好ましくは約10%以下であり、かくしてこの質量比は、有利には約2%〜15%の範囲、好ましくは約4%〜10%の範囲(有効数字2桁)である。これらの範囲は閉区間であり、即ちこれらは境界を含む。
【0037】
本発明に従えば、前記の化合物は、単独で用いることもでき、1種又はそれより多くの界面活性剤との混合物として用いることもできる。
【0038】
これらの随意としての界面活性剤はまた、その他のイオン性化合物{特にアリール及び/若しくはアルキルサルフェート、アリール及び/若しくはアルキルホスフェート(言うまでもなく、アリールは特にアルキルアリールを包含し、アルキルは特にアルアルキルを包含する)、アリール若しくはアルキルホスホネート、アリール若しくはアルキルホスフィネート、アリール若しくはアルキルスルホネート、脂肪酸塩並びに/又は双性イオン性塩)並びにノニオン性化合物(鎖の末端をブロックされたもの又はブロックされていないもの)から選択することもできる。しかしながら、鎖の少なくとも1つにアルコール官能基を含有するノニオン性化合物は、たとえ組成物の他の局面に対しては好ましい効果を有していても、(自己)乳化に対しては僅かに好ましくない影響を有するように思える。これを考慮に入れると、このタイプの化合物の含有率は、本発明に従うアニオン性化合物の質量のせいぜい1/3、有利にはせいぜい1/5、好ましくはせいぜい1/10を占めるのが好ましい。
【0039】
本発明に従う化合物の電気的中性を保証する対カチオンは、一価のものであるのが有利であり、無機カチオン及び有機カチオンから選択され、これらは非求核性のものであるのが有利であり、従って第4級又は第3級性状のもの{特にホスホニウム、アンモニウム(プロトン化アミンを含む)のような第V族の「オニウム類」又はスルホニウムのような第VI族の「オニウム類」等}及びそれらの混合物であるのが有利であり、通常は一般的にアミンから、有利には第3アミンから誘導されるアンモニウムである。有機カチオンがイソシアネート官能基に対して反応性の水素を持つのを回避するのが有利である。この理由で、第3アミンが好ましい。
【0040】
無機カチオンは、相間移動剤、例えばクラウンエーテルで封鎖されていてもよい。
【0041】
中性塩基{有機(アンモニウム等)又は無機}のプロトン化から誘導されるカチオンの水中におけるpKaは、有利には少なくとも7、好ましくは少なくとも8であって、14以下、好ましくは12以下、より一層好ましくは10以下である。
【0042】
前記カチオン、特にアンモニウムに対応するアミン(この場合にはプロトン化アミン)は、界面活性剤特性を持たないのが有利であるが、しかし良好な溶解性を有するのが望ましく、いずれにしても官能基及びポリ酸素化鎖を含有するこの化合物が作業濃度において確実に水性相中で溶解するのに充分な溶解性を有するのが望ましい。
【0043】
「オニウム」官能基(これは1分子当たりに1個のみ存在するのが好ましい)1個当たりに16個以下、有利には12個以下、有利には10個以下、好ましくは8個以下の炭素原子を有する第3アミン及び第4級アンモニウム又はホスホニウムが好ましい。
【0044】
前記アミンは、他の官能基、特にアミノ酸の官能基に対応する官能基や環状エーテル官能基(例えばN−メチルモルホリン)等を含んでいてもよい。これらの他の官能基は、イソシアネート官能基と反応せず且つ水性相中における溶解性を有意に低下させることのない形にあるのが有利である。
【0045】
本発明に従うアニオン性化合物は、水中に溶解させた際や水中で接触させた時のpHが少なくとも3、有利には少なくとも4、好ましくは少なくとも5であって12以下、有利には11以下、好ましくは10以下となるような中和された形にあることが、非常に望ましい。
【0046】
かくして、2つ以上存在する場合には強酸官能基又は中庸強度の酸官能基(即ちpKaが4以下のもの)だけが中和されているのが好ましい。弱い酸、即ちpKaが少なくとも5のものは、一部中和されていてもよい。
【0047】
より一般的な態様において上記したように、qが0である化合物が大部分を占めるのが好ましい。かくして、リンがリン(V)である(即ち2m+p+q=5である)場合及び混合物の化合物がエステルである場合には、モノエステル及びジエステルの混合物であってモノエステル/ジエステルのモル比が2より大きく、有利には3より大きく、好ましくは4より大きく、より一層好ましくは5より大きく、さらには10より大きいものを用いるのが望ましい。
【0048】
本発明に従う乳化剤(特に上記の混合物)はまた、リン酸及び/又は亜リン酸(これらは推奨pHゾーン内になるように少なくとも一部塩形成されているのが有利であろう)1〜約20質量%(しかしこれは10%を超えないのが好ましい)並びにピロリン酸エステル0〜5質量%を含んでいてもよい。技術的には亜リン酸をを存在させることは可能であるが、その誘導体の一部は毒性があると考えられるので、この酸を用いるのは、特に毒性があると考えられる誘導体を形成する危険性がある場合には、回避するのが賢明である。
【0049】
前記組成物にはまた、触媒、有利には潜在的触媒(外的作用、例えば可視光線や紫外線、酸素の作用によって遊離され得るもの)を含ませてもよい。
【0050】
本発明に従えば、安定なエマルション、特に安定な水中油エマルションを容易に製造することができる。
【0051】
「油中水」エマルションを得ることも可能であるが、しかしかかるエマルションは化学的に安定ではない。「油中水」エマルションは時として危険なほどに急激なイソシアネート官能基の分解を助長する。この問題を回避するためには、本発明に従うイソシアネート組成物を水性相に添加することが、その逆よりも推奨される。
【0052】
接着性ポリマーを有する水性相は、かなりの程度の界面活性剤特性を有することがよくある。かくして、接着性ポリマーを有する水性相では乳化性イソシアネート組成物が自己乳化性であってしかし純水中では自己乳化性ではないということは、珍しいことではない。
【0053】
かくして、界面活性剤濃度が低い場合には、2つの分散体(一般的にはエマルション)への脱混合が起こることがあり、一方の「水中油」がもう一方の「油中水」の上に乗る。上記のように、そして以下に詳しく説明するように、後者の分散体は化学的に不安定であることがよくあり、イソシアネート官能基が水によって加水分解されるせいで二酸化炭素が放出される。この状況は、より激しく撹拌することによって又はもっと良好には乳化剤含有率を高めることによって、解消することができる。
【0054】
最終分散体中のイソシアネート組成物の含有率は、1%〜約20%の範囲、有利には2%〜15%の範囲、好ましくは3%〜10%の範囲(閉区間、即ち境界を含む)にする。
【0055】
本発明に従うイソシアネート組成物を水性相中に分散又は乳化させた後の水含有率は、95%以下、有利には90%以下、好ましくは85%以下であって、少なくとも25%、有利には少なくとも30%、好ましくは少なくとも35%であるのが望ましい。かくして、固形分含有率が高いエマルションを得ることが可能である。
【0056】
溶剤含有率は、有利には最終分散体(即ち接着用に用いる用意ができた分散体)の20質量%以下、好ましくは10質量%以下、より一層好ましくは5質量%以下、さらにより一層好ましくは1質量%未満にする。
【0057】
本発明の1つの特に有利な具体例に従えば、イソシアネート組成物を分散又は乳化させた後の水中のバインダーの成分の合計{即ちイソシアネート、乳化剤及びポリマー(有利にはイソシアネート官能基に対して反応性の水素を有する官能基を含有するもの、特にポリオール)の質量含有率}は、組成物の総量に対して20%(好ましくは30%)〜60%(好ましくは50%)の範囲である。
【0058】
特に、固形分含有率は少なくとも40%、さらには少なくとも50%、さらには少なくとも60%の値に達してもよいが、しかし一般的には80%未満である。
【0059】
乳化の問題に戻ると、本発明に至る研究の際に、特に脂肪族イソシアネート{即ち、炭化水素系の骨格(即ち水素及び炭素の両方を含有するもの)に飽和(sp3)炭素を介して結合したイソシアネート}の場合には、水の割合が所定の値に達した時に様々な反応の暴走の危険性があることがわかっている。従って、水性相中の水の量と本発明に従うイソシアネート及び界面活性剤の合計とのとの間の質量比が10-2〜1/2(0.5)の範囲である組成を回避することが推奨される。より一層の安全性が望まれる場合には、10-3〜1の範囲の比を回避する。この危険な範囲に入るのを回避するためには、乳化性イソシアネート組成物を水性相に添加することが、その逆よりも推奨される。
【0060】
1500mPa・s以下、有利には1200mPa・s以下、好ましくは1000mPa・s以下の粘度を有するイソシアネート組成物を用いるのが好ましい。
【0061】
本発明に至る研究の過程で、エマルションの寸法(粒度分布)が最終的な接着の品質において大きな役割を果たすことが示された。より特定的には、イソシアネート組成物単独の時及び接着性ポリマーと一緒の時のイソシアネート組成物のエマルションの多分散性が重要である。
【0062】
かくして、イソシアネート単独の場合、1.5以下、有利には1.3以下、好ましくは1.1以下の多分散指数のためには、粒子寸法d50が25μm以下、好ましくは22μm以下であるべきである。
【0063】
イソシアネート(より正確には乳化性イソシアネート組成物)をポリマーの相中に分散させる場合には、単分散を達成するのがより一層困難であるが、しかし本発明に従う化合物の結果は有意の進歩を構成する。
【0064】
本発明がターゲットとするイソシアネートには、特に以下に詳述する化合物が包含される。
【0065】
これらの化合物は、この分野において周知の構造、例えばポリオール(例えばトリメチロールプロパン){一般的にはトリオール(有利には第1級のもの)}の縮合から誘導される「プレポリマー」、及び特に最も一般的なもの、即ちオリゴマー、例えばイソシアヌレート(三量体とも称される)単位を含有するもの、ウレチジンジオン(二量体とも称される)構造を含有するもの、ビウレット若しくはアロファネート構造又は単一の分子上の若しくは混合物としてのこのタイプの構造の組合せ物を、有利に含有することができる。
【0066】
組成物の溶剤含有率を実質的に低下させることが望まれる場合、特にそれがエマルションの形にある場合には、このタイプの混合物であって元々(即ち溶剤を添加することなく)低粘度のものを用いるのが好ましい。
【0067】
この特性を有する化合物は特に、一部又は全部がイソシアネート官能基がエチレンフラグメントを介して骨格に結合した脂肪族イソシアネート[例えばポリメチレンジイソシアネート、特にヘキサメチレンジイソシアネート、及びアリーレンジアルキレンジイソシアネートのもの{そのイソシアネート官能基が芳香族核から少なくとも炭素2個分離れたもの、例えばOCN−[CH2]t−Φ−[CH2]u−NCO(ここで、t及びuは1より大きい)}]である誘導体{例えばイソシアヌレート(三量体とも称される)、ウレチジンジオン構造(二量体とも称される)、ビウレット若しくはアロファネート構造又は単一の分子上の若しくは混合物としてのこのタイプの構造の組合せ物}である。
【0068】
かくして、そのモノマーの内の少なくとも1つが脂肪族モノマーであるヘテロオリゴマー又はホモオリゴマー{有利にはそのモノマーの全部が少なくとも2個のイソシアネート官能基を有するものから選択される脂肪族モノマーであってその骨格中の2個のイソシアネート官能基を結び付ける最も短い軌道上に少なくとも2個のメチレン鎖単位(CH2)π(π≧2)のポリメチレン序列(これは、モノマーが環を含む場合にはエキソ環である)を少なくとも1つ含むもの}から選択されるオリゴマーを少なくとも50質量%、有利には少なくとも70質量%含むイソシアネート組成物(a)を用いるのが有利である。
【0069】
検討されるオリゴマーには、約1600以下の分子量を有する化合物が包含され、即ちヘキサメチレンジイソシアネートについては、イソシアネート官能基の前駆体であるジアミン単位が約10個以下のものである。前記の少なくとも2個のメチレン鎖単位(CH2)πのポリメチレン序列において、πは2〜10の範囲、有利には4〜8の範囲の整数を表わす。該オリゴマーはヘキサメチレンジイソシアネートホモオリゴマーから選択されるのが有利である。
【0070】
これらの化合物又は混合物は、約2000cP(又はmPa・s)以下、好ましくは約1500cP(又はmPa・s)以下の粘度を有するのが有利である。
【0071】
これらの値に到達しない時は、好適な溶剤を最少量添加することによって混合物をこれらの粘度値にするのが有益であることが多い。しかしながら、反応性溶剤を用いない(後記を参照されたい)場合には、イソシアネート組成物中の溶剤の量が乳化性イソシアネート組成物の20質量%(有利には10質量%)を越えないようにするのが好ましい。
【0072】
その用途に適合する場合、最も好適な溶剤は、反応性溶剤と称することができる(これら2つの特性を有するため)ものである。
【0073】
反応性溶剤としては、少なくとも200(有効数字2桁)、有利には少なくとも250の分子量及び500mPa・s以下の粘度を有する脂肪族ジ−及びトリイソシアネートモノマー又はテトライソシアネートモノマーさえも、挙げることができる。このタイプの溶剤の中では、リシン及びオルニチンのようなジアミノ酸のエステルから誘導されるもの、特にLDI(リシンエステルから誘導されるリシンジイソシアネート)、LTI(リシンのエステル及びエタノールアミンから誘導されるリシントリイソシアネート)、並びに三置換アルカン、例えばNTI(ノニルトリイソシアネートOCN−(CH2)4−CH(CH2−NCO)−(CH2)3−NCO))及びUTI(ウンデシルトリイソシアネートOCN−(CH2)5−CH(−NCO)−(CH2)5−NCO)を挙げることができる。工業的規模で開発されていないが、ジオール{例えばグリコール、プロパンジオール(特に1,3−プロパンジオール)、ブタンジオール(特に1,4−ブタンジオール)及びペンタンジオール(特に1,5−ペンタンジオール)}及びジアミノ酸の複エステルから誘導されるテトライソシアネートは良好な結果を与える。
【0074】
反応性溶剤としてはまた、随意にメチレン上をエチル又はメチルで置換されたポリメチレンジイソシアネート二量体(ウレチジンジオン環を含有する)、ビス二量体(2個のウレチジンジオン環を含有する三量体)並びにそれらの互いの及び適宜にトリス二量体(3個のウレチジンジオン環を含有する四量体)との混合物を挙げることができる。かかる混合物は、モノマーを加熱することによって作ることができる(国際公開WO99/07765号パンフレットを参照されたい)。
【0075】
反応性溶剤としてはまた、随意にメチレン上をエチル又はメチルで置換されたポリメチレンジイソシアネートのモノアロファネート(モノアルコールとの二縮合体)、2種のビスアロファネート(ジオールとの四縮合体又は好ましくは2個のアロファネート官能基を含有する2個のモノアルコールとの三縮合体)、及び上記のものの2種又は3種の混合物を挙げることもできる。このタイプの物質の合成については、国際公開WO99/55756号パンフレットを参照されたい。
【0076】
言うまでもないが、上記の様々なタイプの反応性溶剤の混合物を用いることもできる。
【0077】
言い換えると、イソシアネート組成物を乳化剤と混合する前に、上記の少なくとも1種の化合物を添加することによって{即ち、せいぜい1200mPa・sであって所望の粘度(即ちそれぞれ3000、2000、1500及び1000mPa・s)より低い粘度を有するイソシアネート組成物で割る(即ち混合する)ことによって}イソシアネート組成物の粘度を約2500cP(又はmPa・s)以下、有利には2000mPa・s以下、好ましくは約1500cP(又はmPa・s)以下、より一層好ましくは1200mPa・s以下、さらにより一層好ましくは1000mPa・s以下の値に調節することができる。ここで、上記のせいぜい1200mPa・sであって所望の粘度より低い粘度を有するイソシアネート組成物は、以下のものから選択されるのが有利である:
・200より大きい、有利には250より大きい分子量及び500mPa・s以下の粘度を有する少なくとも1種の脂肪族ジ−及びポリイソシアネートモノマーを少なくとも10質量%含むもの;
・ポリメチレンジイソシアネート二量体及びビス二量体(随意にメチレン上をエチル又はメチルで置換されていてよい)から選択され、500mPa・s以下の粘度を有する、ウレチジンジオン環を含有する少なくとも1種の誘導体を少なくとも10質量%含むもの;
・500mPa・s以下の粘度を有するポリメチレンジイソシアネートモノアロファネート(随意にメチレン上をエチル又はメチルで置換されていてよい)から選択される少なくとも1種のアロファネートを少なくとも10質量%含むもの;
・上記3つのタイプの組成物の、500mPa・s以下の粘度を有する混合物によって形成されるもの。
【0078】
上記のように、懸案のイソシアネートは、モノイソシアネート、ジイソシアネート又はポリイソシアネートであってさえよい。有利には、これらの誘導体は、イソシアヌレートタイプの構造(三量体とも称される)、ウレチジンジオン構造(二量体とも称される)、ビウレット若しくはアロファネート構造又は単一の分子上の若しくは混合物としてのこのタイプの構造の組合せ物を含有していてよい。LTI(リシントリイソシアネート)及びNTI(ノニルトリイソシアネート)のような三官能性モノマーは主として変性されていない形で用いられるが、オリゴマー化されていてもよい。
【0079】
イソシアネートモノマーは一般的に、ジアミンから誘導され、炭酸化によってジイソシアネートに転化される。この操作は、ほとんどの場合、ホスゲン又は同等の試薬を作用させることによって行われる。ジアミン単位はもちろんオリゴ縮合から誘導される化合物(例えば二量体、三量体、アロファネート、ウレタン、尿素及びビウレット等)中に見出される。これらのモノマーは、特に以下のものであってよい:
◆脂肪族(環状脂肪族及びアリール脂肪族を含む)モノマー、例えば以下のもの:
・単純脂肪族モノマー、例えばポリメチレン序列(CH2)ππ(ここで、ππは2〜10の範囲、有利には4〜8の範囲の整数を表わす)を含有するポリメチレンジイソシアネートモノマー、特にヘキサメチレンジイソシアネート{そのメチレンの1つがMPDI(メチルペンタメチレンジイソシアネート)のようにメチル又はエチル基で置換されていてもよい};
・一部「ネオペンチル」で一部環状の脂肪族(環状脂肪族)モノマー、例えばイソホロンジイソシアネート(IPDI);
・環状脂肪族ジイソシアネート、例えばノルボルネンから誘導されるもの;
・アリーレンジアルキレンジイソシアネート、例えばOCN−CH2−Φ−CH2−NCO{その一部は、脂肪族との本質的な違いを示さない、即ちイソシアネート官能基が芳香族核から少なくとも炭素原子2個分離れたもの、例えばOCN−[CH2]t−Φ−[CH2]u−NCO(ここで、t及びuは1より大きい)である};
◆芳香族モノマー、例えばトリレンジイソシアネート(しかし、芳香族イソシアネートは水性エマルションにするのにはあまり適さない)。
【0080】
用語「脂肪族イソシアネート官能基」とは、sp3混成軌道の炭素が有するイソシアネート官能基を意味する。
【0081】
本発明の技術によってターゲットにされる好ましいポリイソシアネートは、以下の条件の内の少なくとも1つ、有利には少なくとも2つ、好ましくは3つを満たすものである:
◆NCO官能基の少なくとも1つ、有利には少なくとも2つ、より一層好ましくは全部が飽和(sp3)炭素を介して炭化水素骨格に結合していること:好ましくは以下の下位条件の内の少なくとも1つ、より一層好ましくは少なくとも2つも満たすこと:
・前記の飽和(sp3)炭素の内の少なくとも1つ、有利には少なくとも2つが少なくとも1個、有利には2個の水素を有すること(言い換えれば、イソシアネート官能基を有する炭素が水素を1個、好ましくは2個を有する場合に、より良好な結果が得られることがわかった);
・前記の飽和(sp3)炭素の内の少なくとも1つ、有利には少なくとも2つがそれら自体炭素に結合し、後者の炭素が有利には脂肪族(即ちsp3混成軌道のもの)であってそれ自体少なくとも1個、有利には2個の水素を有すること(言い換えれば、イソシアネート官能基を有する炭素が「ネオペンチル」構造ではない場合に、より良好な結果が得られることがわかった);
◆イソシアネート官能基と炭化水素骨格とを結びつける炭素の全部が飽和(sp3)炭素であり、これら飽和炭素の一部又は好ましくは全部が有利には水素を1個、好ましくは2個を有すること;さらに、これらの飽和(sp3)炭素の少なくとも一部(有利には1/3、好ましくは2/3)、好ましくは全部がそれら自体炭素に結合し、後者の炭素が有利には脂肪族(即ちsp3混成軌道のもの)であってそれ自体少なくとも1個、有利には2個の水素を有すること(言い換えれば、イソシアネート官能基を有する炭素が「ネオペンチル」構造ではない場合に、より良好な結果が得られることがわかった);
◆少なくとも部分的にイソシアヌレート又はビウレット骨格を有するもの(後記のように、この骨格が1つのモノマーのみから誘導されたものかいくつかのモノマーから誘導されたものかに拘らず)、より特定的にはイソシアヌレートタイプの構造(三量体とも称される)、ウレチジンジオン構造(二量体とも称される)、ビウレット若しくはアロファネート構造又は単一の分子上の若しくは混合物としてのこのタイプの構造の組合せ物が特に好適である。
【0082】
ポリイソシアネートが比較的重質である場合、即ちこれらが少なくとも4つのイソシアネート官能基を含む場合には、最初の2つの条件は、次のようになる:
・NCO官能基の少なくとも1/3、有利には少なくとも2/3が飽和(sp3)炭素を介して炭化水素骨格に結合する;
・前記の飽和(sp3)炭素の少なくとも1/3、有利には少なくとも2/3が少なくとも1個、有利には2個の水素を有する(言い換えれば、イソシアネート官能基を有する炭素が水素を1個、好ましくは2個を有する場合に、より良好な結果が得られることがわかった)。さらに、これらの飽和(sp3)炭素の少なくとも一部(有利には1/3、好ましくは2/3)、好ましくは全部がそれら自体炭素に結合し、後者の炭素が有利には脂肪族(即ちsp3混成軌道のもの)であってそれ自体少なくとも1個、有利には2個の水素を有すること(言い換えれば、イソシアネート官能基を有する炭素が「ネオペンチル」構造ではない場合に、より良好な結果が得られることがわかった)。
【0083】
イソシアネート、特に脂肪族イソシアネートは、本発明がターゲットとするアニオン性化合物の内の一部と反応して酸無水物を形成することができる。これらの酸無水物は、式(I)の化合物を再生することができ、場合によってはマスクされたイソシアネートのように反応する。これらの酸無水物を形成する反応(これは酸官能基を強塩基で全体的に中和することによって抑制することができる)は、次の2つのタイプのものである:
・2つのアニオン性官能基の間から水の分子が除去されてE−O−Eタイプの官能基(即ちホスフェートの場合にはピロリン酸序列)を形成するもの;
・中和されていない若しくは完全には中和されていない酸官能基のヒドロキシルがNCO官能基に付加して序列−NH−CO−O−Eを有する官能基を形成するもの。これらの化合物(カルバミン酸とアニオン性官能基との間の混合酸無水物)もまた本発明のターゲットである。
【0084】
最初のケースは第1の酸が不完全に中和された場合に相当する。これらの物質はまた、優れた界面活性剤特性をも有する。
【0085】
本発明に至る研究の過程で、ヘキサ環式構造もビウレットやウレタン構造さえも含有しない低分子量{即ち700以下(有効数字2桁)、有利には600以下(有効数字2桁)、好ましくは500以下(有効数字2桁)}の分子(反応性溶剤の概念に対応)の存在が良好な接着性と相関関係があることを示すことができた。かかる分子は3個以下のジアミン単位を含有する分子であり、本質的には二量体、ビス二量体、ポリメチレンジイソシアネートモノアロファネート並びにLTI及びNTIタイプの三官能性モノマーから選択される。
【0086】
かくして、これらの分子の内の少なくとも1種がイソシアネート組成物(a)中に存在するのが有利である。全体として、これらの低分子量分子はイソシアネート組成物(a)の5〜25質量%の範囲、有利には7〜15質量%の範囲の割合を占める。
【0087】
二量体及びビス二量体が好ましく、これらは組成物(a)の5〜20質量%、好ましくは少なくとも7質量%を占める。
【0088】
イソシアネート組成物中の溶剤の量は、イソシアネート組成物(a)の20質量%以下を占めるのが有利であり、10質量%以下を占めるのが好ましく、1質量%以下を占めるのがより一層好ましい。
【0089】
労働関係の法律上の理由で、ヘキサメチレンジイソシアネートタイプの揮発性モノマーの量は、イソシアネート組成物(a)の1質量%以下、有利には0.5質量%以下、好ましくは0.2質量%以下、より一層好ましくは0.1質量%以下にするのが好ましい。
【実施例】
【0090】
以下、非限定的実施例によって本発明を例示する。
【0091】
本発明に従う乳化性組成物
以下のもの:
真の二量体 8質量%(±1%);
ビス二量体 2質量%(±1%);
ビウレット 2質量%(±1%);
真の三量体 55質量%(±2%):
を含む粘度1200mPa・s未満の三量体化されたヘキサメチレンジイソシアネートから調製したイソシアネート組成物に統計式(I)の界面活性剤(又は乳化剤)を添加することによって、本発明に従う乳化性イソシアネート組成物を調製した。
【0092】
用いた乳化剤は、式(I)において
・qが0.3を表わし;
・s及びrが9.5を表わし;
・pが1.7であり;
・R1及びR2がノニルフェニル基である:
ものである。
【0093】
中和用に用いたアミンは、N,N−ジメチルヘキシルアミンである。
【0094】
リン酸は存在するリンの15モル%を占める(言い換えると、リン酸のリンは存在するリンの総量の15%を占める)。
【0095】
存在するリンの酸の第1の酸のみを中和した。
【0096】
添加後に、乳化性イソシアネート組成物は、真の二量体(即ちウレチジンジオン単位1個のみ及びジアミン単位2個)7.5(±1)質量%及び式(I)の化合物3.5質量%を含む。これは、1400mPa・sの粘度を有する(NCO=21.7%)。
【0097】
Desmodur(登録商標)DN化合物
これは真の三量体(即ちイソシアヌレート環及び3個のジアミン単位)の含有率が高い(少なくとも70%)市販の組成物であり、イソシアネートオリゴマーとジオール(エチレンオキシド(46%)とプロピレンオキシド(54%)とのコポリマー)との間の縮合から誘導される中性界面活性剤をも含む。その粘度は1250mPa・sである(NCO=21.8%)。
【0098】
HDTをベースとする組成物(ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体化生成物)
試験したHDTは、三量体化から誘導される通常の物質であって二量体含有率が2%未満、粘度2400mPa・sのものであり、これに前記の式(I)の物質を11%添加した。
【0099】
この組成物は、自己乳化性である。
・最終粘度:4300mPa・s
・NCO=19%
・添加後の界面活性剤の割合=10%。
【0100】
スパチュラ試験
スパチュラ試験は定性的試験であり、被検化合物をスパチュラの平たい部分を用いて容器から取り出し、水中で2分間撹拌する。スパチュラの末端にまだ目に見える物質が存在していたら、この試験の結果は負(思わしくなかったということ)になる。この一般的試験は、使用の容易さの良好な指標である。
【0101】
すべての試験は、4質量%のイソシアネート組成物含有率について実施する。
【0102】
粒子寸法測定は、Horiba LA 910装置を用いて行う。
【0103】
例1:木材の接着:本発明に従う組成物と通常のイソシアネート組成物との比較研究
ポリマーvinNac DPN15は、固形分52%を含有する酢酸ビニルホモポリマー分散体である。
【0104】
この試験は、規格EN205/94−D4に従って行う。破壊試験は、規格E204に従って室温に7日間保ったサンプルに対して行う。
【0105】
結果を下記の表にまとめる。
【表1】

【0106】
例2:エラストマー(スポーツシューズ)の接着:本発明に従う組成物と通常のイソシアネート組成物との比較研究
用いたポリマーは、Dispercoll(登録商標)U54 である(2000年1月31日付の技術上の注意を参照されたい)。これは、乾燥ポリマー50%を含有するポリウレタン分散体である。
【0107】
この試験は、DIN規格EN1392に従って行い、サンプルは室温(23℃)において4日間乾燥させる。破壊強さは、DIN規格205/91に従って測定する。
【0108】
【表2】

【0109】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
順次又は同時に添加するための以下のもの:
・10%〜30%の範囲(境界を含む)、有利には15%〜25%の範囲(境界を含む)のN=C=O官能基の質量含有率、及び2500mPa・s以下、有利には1500mPa・s以下、好ましくは1400mPa・s以下、より一層好ましくは1200mPa・s以下の粘度を有するイソシアネート組成物(a);
・次の平均一般式の化合物又は該化合物の混合物を主成分として(即ち少なくとも50質量%)含む界面活性剤(b):
【化1】

{ここで、pは1〜2の範囲(閉区間、即ち境界を含む)の値を表わし;
mは0又は1を表わし;
合計p+m+qは3であり;
合計1+p+2m+qは3又は5、有利には5であり;
Xは酸素であり;
X’は酸素であり;
n及びsは5〜30の範囲、有利には5〜25の範囲、好ましくは9〜20の範囲(閉区間、即ち境界を含む)から選択される同一の統計値を有し;
1及びR2は同一であり、置換されていてもよいアリール基から選択され、
1及びR2は通常は10〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールを表わす}:
を含む組成物の、接着剤用エマルションを調製するための使用。
【請求項2】
前記粘度が2000mPa・s以下、有利には1500mPa・s以下、好ましくは1400mPa・s以下、より一層好ましくは1200mPa・s以下であることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
界面活性剤(b)の質量(分子)と組成物(a)の質量(分母)との間の比が2%〜10%の範囲、有利には3%〜7%の範囲の閉区間(即ち境界を含む)内であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
合計p+qが2であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の使用。
【請求項5】
前記イソシアネート組成物(a)がヘテロオリゴマー及びホモオリゴマーから選択されるオリゴマーを少なくとも50質量%、有利には少なくとも70質量%含み、該オリゴマー中のモノマーの内の少なくとも1種が脂肪族モノマーであり、有利にはこのモノマーの全部が、少なくとも2個のイソシアネート官能基を有するものから選択される脂肪族モノマーであってその骨格中の2個のイソシアネート官能基を結び付ける最も短い軌道上に少なくとも2個のメチレン鎖単位(CH2)π(π≧2)のポリメチレン序列(これは、モノマーが環を含む場合にはエキソ環である)を少なくとも1つ含む前記脂肪族モノマーであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
【請求項6】
前記イソシアネート組成物(a)中にポリメチレンジイソシアネートの二量体、ビス二量体及びモノアロファネート、並びに少なくとも200の分子量を有する二官能性、三官能性又は四官能性モノマーから選択される少なくとも1種の分子を含む反応性溶剤を含ませたことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の使用。
【請求項7】
前記反応性溶剤がイソシアネート組成物(a)の5〜20質量%を占めることを特徴とする、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記二量体及びビス二量体が組成物(a)の5〜20質量%、好ましくは少なくとも7質量%を占めることを特徴とする、請求項6又は7に記載の使用。
【請求項9】
順次又は同時添加において以下のものを含むことを特徴とする、接着剤組成物:
・10%〜30%の範囲(境界を含む)、有利には15%〜25%の範囲(境界を含む)のN=C=O官能基の質量含有率、及び2500mPa・s以下、有利には1500mPa・s以下、好ましくは1400mPa・s以下、より一層好ましくは1200mPa・s以下の粘度を有するイソシアネート組成物(a);
・次の一般式の化合物又は該化合物の混合物を主成分として(即ち少なくとも50質量%)含む界面活性剤(b):
【化2】

(ここで、pは1〜2の範囲の値(閉区間、即ち境界を含む)を表わし;
mは0又は1を表わし;
合計p+m+qは3であり;
合計1+p+2m+qは3又は5、有利には5であり;
Xは酸素であり;
X’は酸素であり;
n及びsは5〜30の範囲、有利には5〜25の範囲、好ましくは9〜20の範囲(閉区間、即ち境界を含む)から選択される同一の統計値を有し;
1及びR2は同一であり、置換されていてもよいアリール基から選択され、
1及びR2は通常は10〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールを表わす);
・4〜9の範囲のpHを有する水性相、有利には既知の接着性ポリマーを有するもの。

【公表番号】特表2006−522850(P2006−522850A)
【公表日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505771(P2006−505771)
【出願日】平成16年3月31日(2004.3.31)
【国際出願番号】PCT/FR2004/000808
【国際公開番号】WO2004/092242
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(390023135)ロディア・シミ (146)
【氏名又は名称原語表記】RHONE−POULENC CHIMIE
【Fターム(参考)】