説明

イソシアネート混合物を精製するための装置、システム、および方法

本開示は、幾つかの実施形態によれば、装置、システム、および/または例えば、1種または複数のイソシアネート、軽成分、溶媒および/または重成分を含む供給材料混合物を分留する方法に関する。幾つかの実施形態において、イソシアネート供給混合物の分留は、前分留区域および/または塔ならびに精留区域、側方区域、およびストリッピング区域を含む主区域および/または塔を含む非断熱的分留装置中において供給材料混合物を蒸留することを含むことができる。例えば、イソシアネートは、軽成分(単数または複数)、溶媒(単数または複数)および/または重成分(単数または複数)から分離することができる。分留装置は、幾つかの実施形態において、隔壁塔として構成および配置することができる。本開示の幾つかの実施形態によれば、装置、システム、および/または方法は、エネルギー効率的であることができ、および/または広い操業範囲を有することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、それらの全体が参照により組み込まれる、イソシアネート混合物を精製するための装置、システム、および方法と題する2008年10月2日出願の米国特許仮出願第61/102,128号、およびイソシアネート混合物を精製するための装置、システム、および方法と題する2008年10月2日出願の米国特許仮出願第61/102,141号の利益を主張する。
【0002】
本開示は、幾つかの実施形態において、2種以上の成分を含む組成物の分留に関する。例えば、本開示はイソシアネート混合物の蒸留に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリウレタン系発泡体は、例えば、自動車の安全パッド、防音、振動の緩衝、カーペット裏打ち、寝具、椅子張り、家具、および充填物材料を含む広範囲の製品に使用され得る。ポリウレタンは、イソシアネートをポリオールと反応させることにより形成することができる。そのイソシアネートは、種々の方法により形成することができる。例えば、イソシアネートは、アミン(例えば、アミン、アミン塩酸塩、カルバメート塩、および/または尿素)をホスゲンと、溶媒の存在下において液相で、または蒸気相で反応停止/冷却段階の間に溶媒を添加してのいずれかで反応させることにより形成することができる。この生成物の混合物からホスゲンを除去して、次の蒸留のためのイソシアネート含有供給材料を形成することができる。
【0004】
蒸留塔を使用して供給材料混合物をその成分の一部または全部に分留することができる。例えば、蒸留塔を使用して、2成分の供給材料混合物を2つの製品ストリーム:軽ストリームを含む塔頂からの上部製品ストリームおよび重成分を含む塔底からの下部製品ストリームに分留することができる。蒸留塔は、例えば、より複雑な供給材料混合物を分離するための、副生物ストリームを生じるように構成することができる。しかしながら、この副生物ストリームは、塔におけるその位置に依存して軽または重成分で汚染され得る。例えば、副生物ストリームは、塔内の成分の横方向の混合、および/または塔頂へ向かうそれらの通路における側方出口を通過する揮発成分により汚染され得る。
【0005】
横方向の混合は、分離した原料供給区域と出口区域とに塔を分割する垂直な間仕切りを有する蒸留塔においては、減少または排除することができる。汚染に関する問題は、例えば、供給材料混合物が高レベルの軽成分を含む場合には残存し得る。この汚染を減少させるには、追加の塔および/または追加の熱的入力が必要になる可能性があり、それは投下資本および/または製造コストを増加させる可能性があり望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それ故に、改善された蒸留装置、システム、および方法に対する必要性が生じている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、幾つかの実施形態によれば、2種以上の成分を含む供給材料混合物を分留するための装置、システム、および/または方法に関する。供給材料混合物は、例えば、1種または複数のイソシアネート、軽成分、溶媒および/または重成分を含み得る。幾つかの実施形態において、供給材料混合物(例えば、イソシアネート供給混合物)の分留は、前分留区域および/もしくは塔ならびに主区域および/もしくは塔を含む非断熱的分留装置において、供給材料混合物を蒸留することを含むことができて、その場合、主区域および/もしくは塔は、精留区域、側方区域、およびストリッピング区域を含む。例えば、イソシアネートは、軽成分(単数または複数)、溶媒(単数または複数)および/またはより重い成分(単数または複数)から分留することができる。幾つかの実施形態において、供給材料混合物の分留は、中間リボイラー中で前分留区域の下部ストリームを加熱することを含むことができる。分留装置は、幾つかの実施形態において、隔壁塔として構成および配置することができる。本開示の幾つかの実施形態によれば、装置、システム、および/または方法は、エネルギー効率的であることができ、および/または広い操業範囲を有することができる。
【0008】
本開示は、幾つかの実施形態において、イソシアネート混合物を分留するための非断熱的分留装置に関する。非断熱的分留装置は、例えば、(a)上端および下端および少なくとも1つの中間リボイラーを含む前分留区域、ならびに(b)主区域を含む隔壁塔を含むことができる。幾つかの実施形態において、主区域は、(i)前分留区域の上端と流体で連通している精留区域、(ii)精留区域と流体で連通している凝縮器、(iii)前分留区域の下端と流体で連通しているストリッピング区域、(iv)ストリッピング区域と流体で連通しているストリッピング区域リボイラー、および/または(v)精留区域およびストリッピング区域と流体で連通している側方区域を含むことができる。非断熱的分留装置は、例えば、(a)上端および下端および少なくとも1つの中間リボイラーを含む前分留塔ならびに(b)主塔を含むことができる。幾つかの実施形態において、主塔は、(i)前分留塔の上端と流体で連通している精留区域、(ii)精留区域と流体で連通している凝縮器、(iii)前分留塔の下端と流体で連通しているストリッピング区域、(iv)ストリッピング区域と流体で連通しているストリッピング区域リボイラー、および/または(v)精留区域およびストリッピング区域と流体で連通している側方区域を含むことができる。非断熱的分留装置は、約0.01から約0.5の液体再循環比および/または約0から約0.75の蒸気再循環比を有するように、幾つかの実施形態によれば構成および配置することができる。中間リボイラーは、幾つかの実施形態において、内部の熱伝導デバイスおよび/または外部のリボイラーとして構成および配置することができる。幾つかの実施形態によれば、非断熱的分留装置は、内部ストリームを加圧するように構成および配置されたポンプをさらに含むことができる。蒸留塔は、生成するイソシアネート1キログラム当たり約0.05から約0.4キロワットおよび/または生成するイソシアネート1キログラム当たり約0.4から約1.0キロワットを消費するように、幾つかの実施形態において構成および配置することができる。蒸留塔は、約20%未満のイソシアネートを含む供給材料を受け入れるように構成および配置することができる。
【0009】
本開示は、幾つかの実施形態において、前分留区域、精留区域、ストリッピング区域、および側方区域を含む分留装置を使用して、軽成分、中沸点成分、および高沸点成分を含むイソシアネート供給混合物を分留する方法に関する。イソシアネート供給混合物を分留する方法は、例えば、(a)イソシアネート供給混合物を前分留区域中に移動するステップ、(b)前分留区域の内容物を加温して、前分留区域蒸気ストリームPSVSおよび前分留区域液体ストリームPSLSを形成するステップ、(c)前分留区域蒸気ストリームPSVSの少なくとも一部を精留区域に移動するステップ、(d)精留区域の内容物を冷却して精留区域蒸気製品ストリームRSVPSおよび凝縮液を形成するステップ、(e)分留装置から精留区域蒸気製品ストリームRSVPSの少なくとも一部を取り出すステップ、(f)分留装置から凝縮液の少なくとも一部を精留区域液体製品ストリームRSLPSとして取り出すステップ、(g)精留区域から凝縮液の少なくとも一部を精留区域液体ストリームRSLSとして取り出すステップ、(h)精留区域液体ストリームRSLSの少なくとも一部を側方区域に移動するステップ、(i)精留区域液体ストリームRSLSの少なくとも一部を前分留区域に移動するステップ、(j)前分留区域液体ストリームPSLSの少なくとも一部を加熱して第2前分留区域蒸気ストリームsPSVSおよび第2前分留区域液体ストリームsPSLSを形成し、それらそれぞれの第1ストリームと各々合わせるステップ、(k)前分留区域液体ストリームPSLSの少なくとも一部を前分留区域からストリッピング区域に移動するステップ、(l)ストリッピング区域の内容物を加熱してストリッピング区域蒸気ストリームSSVSおよびストリッピング区域下部製品ストリームSSLPSを形成するステップ、(m)分留装置からストリッピング区域液体製品ストリームSSLPSの少なくとも一部を取り出すステップ、(n)ストリッピング区域蒸気ストリームSSVSの少なくとも一部を側方区域に移動するステップ、(o)側方区域中の精留区域液体ストリームRSLSの少なくとも一部およびストリッピング区域蒸気ストリームSSVSの少なくとも一部を、側方区域蒸気ストリームSdSVS、側方区域液体製品ストリームSdSLPS、および側方区域液体ストリームSdSLSの形成を可能にする条件下で混合するステップ、(p)分留装置から側方区域液体製品ストリームSdSLPSの少なくとも一部を取り出すステップ、(q)側方区域蒸気ストリームSdSVSの少なくとも一部を精留区域に移動するステップ、および(r)側方区域液体ストリームSdSLSの少なくとも一部をストリッピング区域に移動するステップを含むことができる。分留方法の幾つかの実施形態において、イソシアネート供給混合物中の軽成分の濃度は、約5重量パーセントもしくはモルパーセントから約90重量パーセントもしくはモルパーセントであってよく、イソシアネート含有供給材料混合物中の中沸点成分の濃度は約2重量パーセントもしくはモルパーセントから約95重量パーセントもしくはモルパーセントであってよく、および/またはイソシアネート含有供給材料混合物中の高沸点成分の濃度は約0.1重量パーセントもしくはモルパーセントから約50重量パーセントもしくはモルパーセントであってよい。ただし、軽成分の濃度は、(i)中沸点成分より高くかつ(ii)高沸点成分より高い。幾つかの実施形態によれば、中沸点成分はイソシアネート供給混合物の約20重量パーセント未満を構成する(comprises)。側方区域液体製品ストリームSdSLPSのイソシアネート供給混合物に対する重量比またはモル比は、幾つかの実施形態において、約20%を超えることがある。側方区域液体製品ストリームSdSLPSは、幾つかの実施形態において、イソシアネート(例えば、トルエンジイソシアネート)を含むことがある。側方区域液体製品ストリームSdSLPSは、幾つかの実施形態において、1種または複数のイソシアネートからなることがある。
【0010】
幾つかの実施形態によれば、前分留区域液体ストリームPSLSの少なくとも一部を加熱して第2前分留区域蒸気ストリームsPSVSおよび第2前分留区域液体ストリームsPSLSを形成することは、少なくとも1つの内部リボイラーおよび/または少なくとも1つの外部リボイラー中の前分留区域液体ストリームPSLSの少なくとも一部を加熱することを含んでもよい。イソシアネート供給混合物を分留する方法を実施するために使用される前分留区域、精留区域、ストリッピング区域、および側方区域は、幾つかの実施形態によれば、一緒になって非断熱的隔壁塔を形成することができる。幾つかの実施形態において、前分留区域は別の前分留塔を形成し、精留区域、ストリッピング区域、および側方区域は一緒になって別の主塔を形成する。精留区域液体ストリームRSLSの少なくとも一部を前分留区域に移動することは、前分留区域蒸気ストリームPSVSに対する重量比またはモル比が約0から約0.75であってもよい精留区域液体ストリームRSLSの少なくとも一部を前分留区域に移動することを含むことができる。
【0011】
イソシアネート供給混合物を分留する方法は、幾つかの実施形態によれば、(s)ストリッピング区域蒸気ストリームの少なくとも一部を前分留区域に移動することをさらに含むことができる。幾つかの実施形態においては、ストリッピング区域蒸気ストリームの少なくとも一部を前分留区域に移動することは、前分留区域液体ストリームPSLSに対する重量比またはモル比が、約0.01から約0.5であってもよいストリッピング区域蒸気ストリームSSVSの少なくとも一部を前分留区域に移動することを含むことができる。
【0012】
イソシアネート供給混合物を分留する方法は、幾つかの実施形態によれば、精留区域における圧力を超えてよい前分留区域中の圧力を維持すること、および/または大気圧未満であってよい分留装置中の圧力を維持することを含むことができる。イソシアネート供給混合物を分留する方法は、幾つかの実施形態において、分留装置の少なくとも一部を約50℃から約250℃の温度に維持することを含むことができる。イソシアネート供給混合物を分留する方法は、幾つかの実施形態によれば非断熱的分留装置を利用することができ、それは、側方区域液体製品ストリームSdSLPS中の生成するイソシアネート1キログラム当たり約0.4から約1.0キロワットを消費し、および/または側方区域液体製品ストリームSdSLPS中の生成するイソシアネート1キログラム当たり約0.4キロワット未満を消費する。イソシアネート供給混合物を分留する方法は、幾つかの実施形態において、イソシアネート供給混合物の軽成分の比を減少させるための前処理を排除することができる。
【0013】
本開示は、幾つかの実施形態において、イソシアネートを製造するシステムに関する。システムは、例えば、(a)ホスゲン反応器、(b)酸および過剰のホスゲンを除去して蒸気を精留しイソシアネート含有率を最少化するように構成および配置されたイソシアネートストリッパー/吸収装置、(c)ホスゲンを回収するように構成および配置されたホスゲンストリッパー、ならびに(d)非断熱的分留装置を含むことができる。
【0014】
非断熱的分留装置は、幾つかの実施形態において、(1)上端および下端および中間リボイラーを含む前分留区域ならびに(2)主区域を含む隔壁塔を含むことができる。主区域は、幾つかの実施形態によれば、(i)前分留区域の上端と流体で連通している精留区域、(ii)精留区域と流体で連通している凝縮器、(iii)前分留区域の下端と流体で連通しているストリッピング区域、(iv)ストリッピング区域と流体で連通しているストリッピング区域リボイラー、ならびに/または(v)精留区域およびストリッピング区域と流体で連通している側方区域を含むことができて、その場合、分留装置は、約0.01から約0.5の液体再循環比および/または約0から約0.75の蒸気再循環比を有するように構成および配置することができる。主区域は、幾つかの実施形態によれば、(i)前分留区域の上端と流体で連通している精留区域、(ii)精留区域と流体で連通している凝縮器、(iii)前分留区域の下端と流体で連通しているストリッピング区域、(iv)ストリッピング区域と流体で連通しているストリッピング区域リボイラー、ならびに/または(v)精留区域およびストリッピング区域と流体で連通している側方区域を含むことができて、その場合、非断熱的分留装置は、生成して分留されたイソシアネート1キログラム当たり約0.2から約0.4キロワットを消費するように構成および配置することができる。
【0015】
非断熱的分留装置は、幾つかの実施形態において、(1)上端および下端および中間リボイラーを含む前分留塔ならびに(2)主塔を含むことができる。主塔は、幾つかの実施形態によれば、(i)前分留塔の上端と流体で連通している精留区域、(ii)精留区域と流体で連通している凝縮器、(iii)前分留塔の下端と流体で連通しているストリッピング区域、(iv)ストリッピング区域と流体で連通しているストリッピング区域リボイラー、ならびに/または(v)精留区域およびストリッピング区域と流体で連通している側方区域を含むことができて、その場合、分留装置は、約0.01から約0.5の液体再循環比および/または約0から約0.75の蒸気再循環比を有するように構成および配置することができる。主塔は、幾つかの実施形態によれば、(i)前分留塔の上端と流体で連通している精留区域、(ii)精留区域と流体で連通している凝縮器区域、(iii)前分留塔の下端と流体で連通しているストリッピング区域、(iv)ストリッピング区域と流体で連通しているストリッピング区域リボイラー、ならびに/または(v)精留区域およびストリッピング区域と流体で連通している側方区域を含むことができて、その場合、非断熱的分留装置は、生成して分留されたイソシアネート1キログラム当たり約0.2から約0.4キロワットを消費するように構成および配置することができる。幾つかの実施形態において、システムは、ホスゲンストリッパーおよび前分留塔と流体で連通している蒸留供給材料槽を含むことができる。
【0016】
本開示は、本開示の方法により得られた蒸留されたイソシアネートにも関する。蒸留されたイソシアネートは、例えば、(a)アニリンとホスゲンとをイソシアネート含有供給材料混合物(例えば、軽成分、中沸点成分、および高沸点成分を含む)を形成する条件下で接触させるステップ、および(b)イソシアネート含有供給材料混合物を非断熱的分留装置中で蒸留するステップを含むプロセスにより作製することができる。幾つかの実施形態において、非断熱的分留装置は、(1)上端および下端および中間リボイラーを含む前分留区域ならびに(2)主区域を含む隔壁塔を含むことができる。主区域は、幾つかの実施形態によれば、(i)前分留区域の上端と流体で連通している精留区域、(ii)前分留区域の下端と流体で連通しているストリッピング区域、ならびに/または(iii)精留区域およびストリッピング区域と流体で連通している側方区域を含むことができて、蒸留されたイソシアネートがそこで形成される。幾つかの実施形態において、非断熱的分留装置は、(1)上端および下端および中間リボイラーを含む前分留塔ならびに(2)主塔を含むことができる。主塔は、幾つかの実施形態によれば、(i)前分留塔の上端と流体で連通している精留区域、(ii)前分留塔の下端と流体で連通しているストリッピング区域、ならびに/または(iii)精留区域およびストリッピング区域と流体で連通している側方区域を含むことができて、蒸留されたイソシアネートがそこで形成される。幾つかの実施形態によれば、軽成分の濃度は、(i)中沸点成分を超えてよくかつ(ii)高沸点成分を超えてよく、その場合、軽成分の濃度は、約5重量パーセントまたはモルパーセントから約90重量パーセントまたはモルパーセントであってよく、中沸点成分の濃度は約2重量パーセントまたはモルパーセントから約95重量パーセントまたはモルパーセントであってよく、高沸点成分の濃度は約0.1重量パーセントまたはモルパーセントから約50重量パーセントまたはモルパーセントであってよい。
【0017】
本開示の幾つかの実施形態は、本開示および添付図面を一部参照することにより理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本開示の特定の例の実施形態による非断熱的隔壁塔を例示する図である。
【図2】本開示の特定の例の実施形態による非断熱的隔壁塔を例示する図である。
【図3】本開示の特定の例の実施形態による2塔式分留装置を例示する図である。
【図4】本開示の特定の例の実施形態による2塔式分留装置を例示する図である。
【図5】本開示の特定の例の実施形態による分留方法のフローチャートを例示する図である。
【図6】本開示の特定の例の実施形態による分留方法のフローチャートを例示する図である。
【図7】本開示の特定の例の実施形態による非断熱的隔壁塔を例示する図である。
【図8】本開示の特定の例の実施形態による2塔式分留装置を例示する図である。
【図9】本開示の特定の例の実施形態による2塔式分留装置を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示は、幾つかの実施形態において、供給材料混合物(例えば、1種または複数のイソシアネートを含む供給材料混合物)を分留するための装置、システム、および方法に関する。本開示の幾つかの実施形態は、拡張された操業範囲で、ならびに/または既存の隔壁塔および/もしくは既存のPetlyukシステムより高い効率で操業することができる。
【0020】
幾つかの実施形態によれば、供給材料混合物の分留は、複雑な供給材料混合物(例えば、2種以上の異なった化学種を含有する供給材料混合物)を1つまたは複数の留分に分離することを含むことができて、その場合、各留分は、部分的に、実質的におよび/または完全に純粋な形態の成分種の1つを含むことができる。例えば、非断熱的隔壁塔および/または改良Petlyuk分離系列は、幾つかの実施形態において、3成分以上の種を有する供給材料混合物を3つ以上の留分に分留することができて、その場合、各留分は3種のうち1種を、部分的に、実質的に、または完全に純粋な形態で含むことができる。
【0021】
幾つかの実施形態によれば、イソシアネート混合物は少なくとも1種のイソシアネートを含むことができる。幾つかの実施形態において、イソシアネートは、イソシアネート1分子当たり少なくとも1個のイソシアネート官能基(すなわち、−N=C=O)を含むことができる。例えば、イソシアネートは、イソシアネート1分子当たり少なくとも2個のイソシアネート官能基を含むことができる。イソシアネートは、幾つかの実施形態によれば、高反応性であることができ、および/または分子量は低くてもよい。イソシアネートの例として、限定されないが、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチルイソシアネート(MIC)、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、ポリマー状メチレンジフェニルジイソシアネート(PMDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、およびトルエンジイソシアネート(TDI)等が挙げられる。イソシアネート供給混合物は、イソシアネート混合物、軽成分、1種または複数の溶媒、および/または重成分を含むことができる。イソシアネート供給混合物は、イソシアネートに加えて、溶媒(例えば、オルト−ジクロロベンゼン)、酸(例えば、HCl)、ホスゲン、塩化カルバモイル、ポリマー状イソシアネート、および/またはそれらの組合せも含むことができる。
【0022】
本開示の装置、システム、および/または方法は、幾つかの実施形態において、軽成分、中沸点成分、および高沸点成分を含むイソシアネート供給混合物を分離するために適用することができる。幾つかの実施形態において、軽成分は、溶媒、塩酸、ホスゲン、不活性ガス(例えば、Nおよび/またはCO)、および/またはそれらの組合せを含むことがある。例えば、P1は塩酸、ホスゲン、不活性ガス(例えば、Nおよび/またはCO)を含むことがあり、および/またはP2は溶媒を含むかまたは溶媒からなることがある。中沸点成分は、幾つかの実施形態によれば、イソシアネート、溶媒、および/またはそれらの組合せを含むことがある。高沸点成分は、幾つかの実施形態において、残渣、イソシアネート、および/またはそれらの組合せを含むことがある。
【0023】
装置、システム、および/または方法は、幾つかの実施形態によれば、任意の溶媒を受け入れるように構成するまたは適合させることができる。溶媒は、幾つかの実施形態において、目標のイソシアネート化合物(単数または複数)より沸点が低くてもよい。溶媒の例として、限定されないが、クロロベンゼン、オルト−ジクロロベンゼン、パラ−ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、クロロトルエン、クロロキシレン、クロロエチルベンゼン、クロロナフタレン、クロロビフェニル、塩化メチレン、パークロロエチレン、トルエン、キシレン、ヘキサン、デカヒドロナフタレン、カルボン酸エステル(例えば、ジエチルイソフタレート)、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ベンゼン、およびそれらの組合せを挙げることができる。
【0024】
幾つかの実施形態によれば、本開示の装置、システム、および/または方法は、任意の所望の成分比を有するおよび/または所望の範囲の任意の比を有する供給材料混合物を受け入れるように適合させることができる。例えば、本開示の装置、システム、および/または方法は、混合物(例えば、3成分混合物)を効果的に分離するように適合させることができて、その場合、最も軽質の成分は混合物の大部分(例えば、約5重量パーセントまたはモルパーセントから約90重量パーセントまたはモルパーセント)を構成する。幾つかの実施形態において、本開示の装置、システム、および/または方法は、混合物(例えば、3成分混合物)を効果的に分離するように適合させることができて、その場合、中沸点成分は、供給材料中に、例えば、約2重量パーセントもしくはモルパーセントから約95重量パーセントもしくはモルパーセント、および/または約5重量パーセントもしくはモルパーセントから約75重量パーセントもしくはモルパーセントの濃度で存在する。本開示の装置、システム、および/または方法は、幾つかの実施形態において、混合物(例えば、3成分混合物)を効果的に分離するように適合させることができて、その場合、高沸点成分は供給材料中に、例えば、約0.1重量パーセントまたはモルパーセントから約50重量パーセントまたはモルパーセントの濃度で存在する。
【0025】
幾つかの実施形態において、本開示の装置、システム、および/または方法は、混合物(例えば、3成分混合物)を効果的に分離するように適合させることができて、その場合、中沸点成分は、供給材料中に、例えば、約2重量パーセントもしくはモルパーセントから約5重量パーセントもしくはモルパーセント、約2重量パーセントもしくはモルパーセントから約10重量パーセントもしくはモルパーセント、約2重量パーセントもしくはモルパーセントから約15重量パーセントもしくはモルパーセント、約2重量パーセントもしくはモルパーセントから約18重量パーセントもしくはモルパーセント、約2重量パーセントもしくはモルパーセントから約20重量パーセントもしくはモルパーセント、約2重量パーセントもしくはモルパーセントから約25重量パーセントもしくはモルパーセント、約2重量パーセントもしくはモルパーセントから約50重量パーセントもしくはモルパーセント、約2重量パーセントもしくはモルパーセントから約75重量パーセントもしくはモルパーセント、約20重量パーセントもしくはモルパーセントから約35重量パーセントもしくはモルパーセント、約35重量パーセントもしくはモルパーセントから約55重量パーセントもしくはモルパーセント、約55重量パーセントもしくはモルパーセントから約75重量パーセントもしくはモルパーセント、ならびに/または約75重量パーセントもしくはモルパーセントから約95重量パーセントもしくはモルパーセントの濃度で存在する。供給材料組成物中の成分の各々は、他の成分と独立の濃度で存在することができる。例えば、A、B、およびCを含む供給材料混合物中において、Aの濃度はBの濃度と同じでも異なってもよく、かつ独立にCの濃度と同じでも異なってもよい(例えば、A=B≠C)。
【0026】
幾つかの実施形態によれば、本開示の装置、システム、および/または方法は、エネルギー効率的に操業することができる。エネルギー効率の数的指標は、例えば、単位生産当たりのエネルギー消費(kW/kg)を含んでよい。この数的指標を使用して、本開示の装置、システム、および/または方法は、幾つかの実施形態によれば、約0.6kW/kg未満、約0.4kW/kg未満、約0.38kW/kg未満、約0.36kW/kg未満、および/または約0.34kW/kg未満の単位生産当たりのエネルギー消費で操業することができる。本開示の装置、システム、および/または方法は、幾つかの実施形態において、約0.2kW/kgから約0.4kW/kg、約0.25kW/kgから約0.4kW/kg、約0.3kW/kgから約0.4kW/kg、約0.25kW/kgから約0.35kW/kg、および/または約0.28kW/kgから約0.38kW/kgの範囲内で操業することができる。
【0027】
装置
幾つかの実施形態によれば、分留装置は前分留塔および/または主蒸留塔を含むことができる。前分留塔および主蒸留塔は、幾つかの実施形態において、組み合わせて単一の構造(例えば、隔壁塔)にすることができる。
【0028】
分留装置は、隔壁塔の体積を規定する外壁と内部の垂直壁とを含む隔壁塔を含むことができる。内部の垂直壁は、塔の体積を2つの区域、すなわち前分留区域および主蒸留区域に分離するように構成および配置することができる。主塔区域は、3つの部分区域、すなわち精留区域、ストリッピング区域、および側方区域を含むことができる。隔壁塔の各区域は、1つまたは複数の蒸留塔内部構造物(例えば、棚(tray)および/または充填物)を含むことができる。
【0029】
分留装置は、幾つかの実施形態によれば、所望の任意の生産量に適合するような大きさにすることができる。例えば、塔は、供給材料の工業的および/または商業的量に適合するのに適当な体積を有することができる。幾つかの実施形態において、分留装置(例えば、非断熱的隔壁塔)は、約1リットルから約100万(10)リットル、約千(1,000)リットルから約1万(10)リットル、約1万(10)リットルから約10万(10)リットル、および/または約10万(10)リットルから約100万(10)リットルの総体積を有することができる。分留装置塔(例えば、非断熱的隔壁塔)の垂直の高さは、例えば、約1メートルから約100メートルであることができる。所望の塔直径および体積は、垂直の高さの選択に影響し得る。例えば、高さ30メートルおよび直径6メートルの塔は、約90万(9×10)リットルの体積を有すると期待されるであろう。
【0030】
図1の特定の例の実施形態中に示したように、非断熱的隔壁塔100は、円筒状空間の輪郭を定める外壁102ならびに空間を4つの区域、すなわち前分留区域110、精留区域120、ストリッピング区域160、および側方区域180に分割する垂直隔壁104を含み、それらの各々はその隣接区域と流体(例えば、蒸気および液体)が通じる。前分留区域110は、精留区域120およびストリッピング区域160と流体で連通し得る。精留区域120は、前分留区域110および側方区域180と流体で連通し得る。ストリッピング区域160は、前分留区域110および側方区域180と流体で連通し得る。側方区域180は、精留区域120およびストリッピング区域160と流体で連通し得る。
【0031】
非断熱的隔壁塔100は、凝縮器140、中間リボイラー150、およびリボイラー170をさらに含む。凝縮器140は、精留区域120と配管出口126および戻り配管146を通して流体(例えば、蒸気および液体)が通じ得る。中間リボイラー150は、配管出口116および戻り配管156を通して前分留区域110と流体(例えば、蒸気および液体)が通じ得る。中間リボイラー150も、戻り配管157を通してストリッピング区域160と流体(例えば、蒸気および液体)が通じ得る。リボイラー170は、配管出口166および戻り配管176を通してストリッピング区域160と流体(例えば、蒸気および液体)が通じ得る。
【0032】
分離は、幾つかの実施形態によれば、1つまたは複数の内部棚を使用することにより塔の各区域において増強することができる。例えば、図1に示したように、前分留区域110は内部棚112および114を含み、精留区域120は棚122および124を含み、ストリッピング区域160は内部棚162を含み、側方区域180は内部棚182および184を含む。単一のユニットとして例示したが、これらの機構の各々は2段以上の段(例えば、充填物および/または棚)を含むことができる。
【0033】
前分留区域110は供給材料導入口108を含み、それを通して蒸留供給材料は隔壁塔100に入ることができる。凝縮器140は製品出口148を含み、それを通して1つまたは複数の留分(例えば、揮発性製品留分)を隔壁塔100から抜き出すことができる。精留区域120は製品出口128を含み、それを通して1つまたは複数の留分(例えば、液体製品留分)を隔壁塔100から抜き出すことができる。側方区域180は、製品出口188を含み、それを通して1つまたは複数の留分(例えば、揮発性製品留分)を隔壁塔100から抜き出すことができる。リボイラー170は製品出口178を含み、それを通して1つまたは複数の留分(例えば、液体製品留分)を隔壁塔100から抜き出すことができる。
【0034】
幾つかの実施形態によれば、前分留区域の圧力は大気圧より低くてもよい。精留区域は、幾つかの実施形態において、材料が前分留区域から精留区域中に受動的に流れるように(ブロワーまたはコンプレッサーを用いて)、前分留区域の圧力より低い圧力を有することができる。望まれるかまたは必要とされるとき、中で材料が精留区域から前分留区域中に移動する隔壁塔は、精留区域中の材料の圧力を前分留区域の圧力付近またはそれより上に上げるためのポンプ(図2、ポンプ230)を含むことができる。分留装置は、塔の区域間の流れ(例えば、速度、質量、および/または体積)を制御する流量調節器(例えば、弁)をさらに含むことができる。
【0035】
図3の特定の例の実施形態中に示したように、分留装置300は前分留塔310および蒸留塔390を含む。前分留塔310は、供給材料を入れるように構成および配置された供給材料導入口305を含む。前分留塔310は、1段または複数段を含むことができる充填された段(packed stages)312、および1つまたは複数の棚を独立に含むことができる棚314をさらに含む。前分留塔310は、配管出口316および戻り配管356を通して中間リボイラー350に流体で連通しているように結合している。
【0036】
蒸留塔390は、精留区域320、ストリッピング区域360、および側方区域380を含み、それらの各々はその隣接する区域と流体(例えば、蒸気および液体)が通じ得る。精留区域320は充填された段322および324を含む。それに加えて、精留区域320は、配管出口326および戻り配管346を通して凝縮器340と流体(例えば、蒸気および液体)が通じる。凝縮器320は、製品出口348と流体(例えば、蒸気および液体)が通じる。精留区域320は、製品出口328と流体(例えば、蒸気および液体)が通じる。側方区域380は、充填された段382および384を含み、製品出口388と流体(例えば、蒸気および液体)が通じる。ストリッピング区域360は棚362を含み、配管出口366および戻り配管376を通してリボイラー370と流体(例えば、蒸気および液体)が通じる。リボイラー370は製品出口378と流体(例えば、蒸気および液体)が通じる。
【0037】
前分留塔310は、蒸留塔390と流体(例えば、蒸気および液体)が通じ得る(例えば、精留区域320および/またはストリッピング区域360において)。例えば、前分留塔310は、示したように、(a)配管311および戻り配管321を通して精留区域320と、ならびに(b)配管351および戻り配管361を通してストリッピング区域360と流体(例えば、蒸気および液体)が通じる。戻り配管321はポンプ330と流体で連通しているように結合している。
【0038】
図4の特定の例の実施形態中に示したように、分留装置400は前分留塔410および蒸留塔490を含む。前分留塔410は、供給材料を入れるように構成および配置された供給材料導入口405を含む。前分留塔410は、1段または複数段を含むことができる充填された段412、および1つまたは複数の棚を独立に含むことができる棚414をさらに含む。前分留塔410は、配管出口416および戻り配管456を通して中間リボイラー450と液体が通じるように結合している。
【0039】
蒸留塔490は、精留区域420、ストリッピング区域460、および側方区域480を含み、それらの各々はその隣接する区域と流体(例えば、蒸気および液体)が通じ得る。精留区域420は充填された段422および424を含む。それに加えて、精留区域420は、配管出口426および戻り配管446を通して凝縮器440と流体(例えば、蒸気および液体)が通じる。凝縮器420は、製品出口448と流体(例えば、蒸気および液体)が通じる。精留区域420は、製品出口428と流体(例えば、蒸気および液体)が通じる。側方区域480は、充填された段482および484を含み、製品出口488と流体(例えば、蒸気および液体)が通じる。ストリッピング区域460は、棚462を含み、配管出口466および戻り配管476を通してリボイラー470と流体(例えば、蒸気および液体)が通じる。リボイラー470は、製品出口478と流体(例えば、蒸気および液体)が通じる。
【0040】
前分留塔410は、蒸留塔490と流体(例えば、蒸気および液体)が通じ得る(例えば、精留区域420および/またはストリッピング区域460において)。例えば、前分留塔410は、示したように、(a)配管411および戻り配管421を通して精留区域420と、および(b)配管451を通してストリッピング区域460と流体(例えば、蒸気および液体)が通じる。戻り配管421はポンプ430と流体で連通しているように結合している。
【0041】
幾つかの実施形態において、分留装置を調製するために、任意の適当な材料を使用することができる。例えば、隔壁塔、前分留塔、および/または主塔は、炭素鋼、ステンレス鋼、および/または合金(例えば、INCONEL(商標))を含むことができる。
【0042】
システム
幾つかの実施形態によれば、システムは、イソシアネート(単数または複数)を製造するための完全なシステムおよび分留装置までを含むことができる。幾つかの実施形態において、システムは、分留装置およびポリウレタン(単数または複数)を製造するための完全なシステムまでを含むことができる。システムは、幾つかの実施形態によれば、イソシアネート(単数または複数)を製造するための完全なシステム、分留装置まで、およびポリウレタン(単数または複数)を製造するための完全なシステムまでを含むことができる。
【0043】
イソシアネート(単数または複数)を製造するためのシステムは、ホスゲン反応器、イソシアネートストリッパー/吸収装置(例えば、HClおよび過剰のホスゲンを除去して蒸気を精留してイソシアネート含有率を最小化するための)、およびホスゲンストリッパー(例えば、ホスゲン回収のための)を含むことができる。例えば、システムは、(i)分留装置、ならびに(ii)ホスゲン反応器、イソシアネートストリッパー/吸収装置、ホスゲンストリッパー、蒸留供給材料槽、および/または粗生成物フラッシャー(例えば、分留装置に入る前にできるだけ多くの残留物を除去するための)を含むことができる。
【0044】
ポリウレタン(単数または複数)を製造するシステムは、イソシアネート分留装置およびイソシアネート分留装置と流体で連通している発泡体混合ヘッド(例えば、側方区域出口において)を含むことができ、前記発泡体混合ヘッドは、イソシアネート、ポリオール、添加剤、および空気のための導入口を有するマニホールドを含む。システムは、幾つかの実施形態によれば、イソシアネート貯蔵槽を含むことがある。
【0045】
方法
供給材料混合物を分留する方法は、幾つかの実施形態によれば、前分留区域、精留区域、側方区域、および/またはストリッピング区域を含む隔壁塔式分留装置を使用して実施することができる。幾つかの実施形態において、供給材料混合物を分留する方法は、前分留塔および/または主塔を含む装置を使用して実施することができて、その場合、主塔は精留区域、側方区域、および/またはストリッピング区域を含むことができる。したがって、本開示の分留方法の幾つかの実施形態を説明する目的のために、前分留区域は、隔壁塔の前分留区域および/または前分留塔を指すことがある。
【0046】
前分留区域
供給材料混合物を分留する方法は、幾つかの実施形態によれば、供給材料混合物F1(例えば、イソシアネート供給混合物)を分留装置(例えば、隔壁塔の前分留区域および/または前分留塔)中に能動的におよび/または受動的に移動することを含むことができる。幾つかの実施形態において、方法は、前分留区域(例えば、供給材料混合物F1)の内容物を加熱して、前分留区域蒸気ストリームPSVSおよび前分留区域液体ストリームPSLSを形成することを含むことができる。方法は、幾つかの実施形態によれば、前分留区域液体ストリームPSLSの少なくとも一部を加熱して(例えば、隣接するおよび/または別のリボイラー中で)第2前分留区域蒸気ストリームsPSVSおよび第2前分留区域液体ストリームsPSLSを形成することを含むことができて、それは第1前分留区域蒸気ストリームPSVSおよび第1前分留区域液体ストリームPSLSとそれぞれ能動的におよび/または受動的に組み合わせることができる。これは、例えば、前分留区域自体で、前分留区域と精留区域との間の接合部でもしくはその付近で(例えば、PSVS)、または前分留区域とストリッピング区域との間の接合部でもしくはその付近で(例えば、PSLS)起こり得る。
【0047】
精留区域
方法は、幾つかの実施形態において、前分留区域蒸気ストリームPSVSを前分留区域から精留区域(例えば、隔壁塔および/または主塔の)に能動的におよび/または受動的に移動すること、ならびに前分留区域蒸気ストリームPSVSを能動的におよび/または受動的に冷却して精留区域蒸気製品ストリームRSVPSおよび凝縮液を形成することを含むことができる。凝縮液の少なくとも一部は、幾つかの実施形態によれば、精留区域液体製品ストリームRSLPSを形成し得る。幾つかの実施形態において、方法は精留区域液体製品ストリームRSLPSを精留区域から取り出すこと(例えば、能動的におよび/または受動的に取り出すこと)を含むことができる。凝縮液の少なくとも一部は、幾つかの実施形態によれば、精留区域液体ストリームRSLSを形成し得る。供給材料混合物を分留する方法は、幾つかの実施形態において、精留区域液体ストリームRSLSの少なくとも一部を側方区域(例えば、隔壁塔および/または主塔の)に移動すること(例えば、能動的におよび/または受動的に移動すること)を含むことができる。幾つかの実施形態において、供給材料混合物を分留する方法は、精留区域液体ストリームRSLSの少なくとも一部を前分留区域に移動する(例えば、能動的におよび/または受動的に移動すること)ことを含むことができる。
【0048】
ストリッピング区域
方法は、幾つかの実施形態において、前分留区域液体ストリームPSLSを前分留区域からストリッピング区域(例えば、隔壁塔および/または主塔の)に能動的におよび/または受動的に移動することを含むことができる。方法は、幾つかの実施形態によれば、ストリッピング区域(例えば、前分留区域液体ストリームPSLS)の内容物を加熱して、ストリッピング区域蒸気ストリームSSVSおよびストリッピング区域下部製品ストリームSSLPS(分留装置から能動的におよび/または受動的に取り出すことができる)を形成することを含むことができる。幾つかの実施形態において、供給材料混合物を分留する方法は、ストリッピング区域蒸気ストリームSSVSの少なくとも一部を側方区域(例えば、隔壁塔および/または主塔の)に移動すること(例えば、能動的におよび/または受動的に移動すること)を含むことができる。方法は、幾つかの実施形態によれば、ストリッピング区域蒸気ストリームSSVSの少なくとも一部を前分留区域に移動すること(例えば、能動的におよび/または受動的に移動すること)を含むことができる。
【0049】
側方区域
供給材料混合物を分留する方法は、幾つかの実施形態において、精留区域液体ストリームRSLSの少なくとも一部とストリッピング区域蒸気ストリームSSVSの少なくとも一部とを、側方区域において、側方区域蒸気ストリームSdSVS、側方区域液体製品ストリームSdSLPS、および/または側方区域液体ストリームSdSLSの形成を可能にする条件下で混合することを含むことができる。幾つかの実施形態によれば、方法は、側方区域蒸気ストリームSdSVSの少なくとも一部を精留区域に移動すること(例えば、能動的におよび/または受動的に移動すること)を含むことができる。供給材料混合物を分留する方法は、幾つかの実施形態において、側方区域液体製品ストリームSdSLPSの少なくとも一部を分留装置から取り出すこと(例えば、能動的におよび/または受動的に取り出すこと)を含むことができる。方法は、幾つかの実施形態によれば、側方区域液体ストリームSdSLSの少なくとも一部をストリッピング区域に移動すること(例えば、能動的におよび/または受動的に移動すること)を含むことができる。
【0050】
上記のステップの各々は、幾つかの実施形態によれば、独立に実行することができるか(能動的)または起こるに任せることができる(受動的)。例えば、冷却は、材料の温度を能動的に低下させるか(例えば、冷蔵装置を使用して)、または材料が受動的にその周囲との平衡(例えば、周囲温度)に向かって進むに任せることができる。
【0051】
供給材料混合物を分留する方法の特定の例の実施形態は、図5に例示したように、(a)供給材料混合物(例えば、イソシアネート供給混合物)F1を分留装置(例えば、隔壁塔の前分留区域および/または前分留塔)中に移動するステップ、(b)前分留区域/塔の内容物を加熱して前分留区域蒸気ストリームPSVSおよび前分留区域液体ストリームPSLSを形成するステップ、(c)前分留区域蒸気ストリームPSVSの少なくとも一部を精留区域(例えば、隔壁塔および/または主塔の)に移動するステップ、(d)精留区域(例えば、前分留区域蒸気ストリームPSVSの少なくとも一部)の内容物を冷却して精留区域蒸気製品ストリームRSVPSおよび凝縮液を形成するステップ、(e)分留装置から精留区域蒸気製品ストリームRSVPSの少なくとも一部を取り出すステップ、(f)分留装置から凝縮液の少なくとも一部を精留区域液体製品ストリームRSLPSとして取り出すステップ、(g)精留区域から凝縮液の少なくとも一部を精留区域液体ストリームRSLSとして取り出すステップ、(h)精留区域液体ストリームRSLSの少なくとも一部を側方区域(例えば、隔壁塔および/または主塔の)に移動するステップ、(i)精留区域液体ストリームRSLSの少なくとも一部を前分留区域に移動するステップ、(j)前分留区域液体ストリームPSLSの少なくとも一部を場合により加熱して(例えば、隣接するおよび/または別のリボイラー中で)第2前分留区域蒸気ストリームsPSVSおよび第2前分留区域液体ストリームsPSLSを形成して、各々とそれらそれぞれの第1ストリーム(明示していない)と合わせるステップ、(k)前分留区域液体ストリームPSLSの少なくとも一部を前分留区域/塔からストリッピング区域(例えば、隔壁塔および/または主塔の)に移動するステップ、(l)ストリッピング区域の内容物(例えば、前分留区域液体ストリームPSLSの少なくとも一部)を加熱してストリッピング区域蒸気ストリームSSVSおよびストリッピング区域下部製品ストリームSSLPSを形成するステップ、(m)分留装置からストリッピング区域液体製品ストリームSSLPSの少なくとも一部を取り出すステップ、(n)ストリッピング区域蒸気ストリームSSVSの少なくとも一部を側方区域に移動するステップ、(o)精留区域液体ストリームRSLSの少なくとも一部とストリッピング区域蒸気ストリームSSVSの少なくとも一部とを、側方区域において、側方区域蒸気ストリームSdSVS、側方区域液体製品ストリームSdSLPS、および/または側方区域液体ストリームSdSLSの形成を可能にする条件下で混合するステップ、(p)分留装置から側方区域液体製品ストリームSdSLPSの少なくとも一部を取り出すステップ、(q)側方区域蒸気ストリームSdSVSの少なくとも一部を精留区域に移動するステップ、および(r)側方区域液体ストリームSdSLSの少なくとも一部をストリッピング区域に移動するステップを含むことができる。
【0052】
供給材料混合物を分留する方法の特定の例の実施形態は、図6に例示したように、(a)供給材料混合物(例えば、イソシアネート供給混合物)F1を分留装置(例えば、隔壁塔の前分留区域および/または前分留塔)中に移動するステップ、(b)前分留区域/塔の内容物を加熱して前分留区域蒸気ストリームPSVSおよび前分留区域液体ストリームPSLSを形成するステップ、(c)前分留区域蒸気ストリームPSVSの少なくとも一部を精留区域(例えば、隔壁塔および/または主塔の)に移動するステップ、(d)精留区域の内容物(例えば、前分留区域蒸気ストリームPSVSの少なくとも一部)を冷却して精留区域蒸気製品ストリームRSVPSおよび凝縮液を形成するステップ、(e)分留装置から精留区域蒸気製品ストリームRSVPSの少なくとも一部を取り出すステップ、(f)分留装置から凝縮液の少なくとも一部を精留区域液体製品ストリームRSLPSとして取り出すステップ、(g)精留区域から凝縮液の少なくとも一部を精留区域液体ストリームRSLSとして取り出すステップ、(h)精留区域液体ストリームRSLSの少なくとも一部を側方区域(例えば、隔壁塔および/または主塔の)に移動するステップ、(i)精留区域液体ストリームRSLSの少なくとも一部を前分留区域に移動するステップ、(j)前分留区域液体ストリームPSLSの少なくとも一部を場合により加熱して(例えば、隣接するおよび/または別のリボイラー中で)第2前分留区域蒸気ストリームsPSVSおよび第2前分留区域液体ストリームsPSLSを形成して、各々とそれらそれぞれの第1ストリーム(明示していない)と合わせるステップ、(k)前分留区域液体ストリームPSLSの少なくとも一部を前分留区域/塔からストリッピング区域(例えば、隔壁塔および/または主塔の)に移動するステップ、(l)ストリッピング区域の内容物(例えば、前分留区域液体ストリームPSLSの少なくとも一部)を加熱してストリッピング区域蒸気ストリームSSVSおよびストリッピング区域下部製品ストリームSSLPSを形成するステップ、(m)分留装置からストリッピング区域液体製品ストリームSSLPSの少なくとも一部を取り出すステップ、(n)ストリッピング区域蒸気ストリームSSVSの少なくとも一部を側方区域に移動するステップ、(o)ストリッピング区域蒸気ストリームSSVSの少なくとも一部を前分留区域/塔に移動するステップ、(p)精留区域液体ストリームRSLSの少なくとも一部とストリッピング区域蒸気ストリームSSVSの少なくとも一部とを、側方区域において、側方区域蒸気ストリームSdSVS、側方区域液体製品ストリームSdSLPS、および/または側方区域液体ストリームSdSLSの形成を可能にする条件下で混合するステップ、(q)分留装置から側方区域液体製品ストリームSdSLPSの少なくとも一部を取り出すステップ、(r)側方区域蒸気ストリームSdSVSの少なくとも一部を精留区域に移動するステップ、ならびに(s)側方区域液体ストリームSdSLSの少なくとも一部をストリッピング区域に移動するステップを含むことができる。特定の例の実施形態により、これらのストリームの1つまたは複数の組成は、表1に示すようであってよい。
【0053】
【表1】

【0054】
供給材料混合物を分留する方法の特定の例の実施形態は、図7に例示したように、(a)供給材料混合物(例えば、イソシアネート供給混合物)F1を非断熱的隔壁塔700の前分留区域710中に移動するステップ、(b)前分留区域710の内容物を加温して内部ストリームI1(蒸気)および前分留区域液体ストリームを形成するステップ、(c)内部ストリームI1の少なくとも一部を精留区域720に移動するステップ、(d)凝縮器740を使用して精留区域720の内容物の少なくとも一部を冷却し、精留区域蒸気製品ストリームP1および凝縮液を形成するステップ、(e)分留装置700から精留区域蒸気製品ストリームP1の少なくとも一部を取り出すステップ、(f)分留装置700から凝縮液の少なくとも一部を精留区域液体製品ストリームP2として取り出すステップ、(g)精留区域720から前分留区域710に凝縮液の少なくとも一部を内部ストリームI2として移動するステップ、(h)精留区域720から側方区域780に凝縮液の少なくとも一部を移動するステップ、(i)場合により前分留区域710の内容物の少なくとも一部を、外部中間リボイラー750を使用して加熱して中間リボイラー蒸気ストリームおよび内部ストリームI3(液体)を形成するステップ、(j)中間リボイラー蒸気ストリームおよび内部ストリームI3(液体)を前分留区域710に戻すステップ、(k)前分留区域液体ストリームの少なくとも一部を前分留区域710からストリッピング区域760に移動するステップ、(l)リボイラー770を使用してストリッピング区域760の内容物を加熱してストリッピング区域蒸気ストリームおよびストリッピング区域製品ストリーム(液体)P4を形成するステップ、(m)分留装置からストリッピング区域製品ストリーム(液体)P4の少なくとも一部を取り出すステップ、(n)ストリッピング区域蒸気ストリームの少なくとも一部を側方区域780に移動するステップ、(o)ストリッピング区域蒸気ストリームの少なくとも一部を前分留区域710に内部ストリームI4として移動するステップ、(p)側方区域780において、側方区域780に移動した凝縮液の少なくとも一部と側方区域780に移動したストリッピング区域蒸気ストリームの少なくとも一部とを、側方区域蒸気ストリーム、側方区域製品ストリームP3(液体)、および側方区域液体ストリームの形成を可能にする条件下で混合するステップ、(q)分留装置700から側方区域製品ストリームP3の少なくとも一部を取り出すステップ、(r)側方区域蒸気ストリームの少なくとも一部を精留区域720に移動するステップ、および(s)側方区域液体ストリームの少なくとも一部をストリッピング区域760に移動するステップを含むことができる。
【0055】
幾つかの実施形態において、供給材料F1の一部は、分流することができて内部蒸気ストリームI1を形成し、それは精留区域720に移動することができて(例えば、能動的におよび/または受動的に)、そこで軽成分および非凝縮性成分は凝縮器740を通して塔頂製品P1として精留され得る。溶媒(例えば、軽非凝縮性成分を含まずかつ/または痕跡量のイソシアネートを含む主としてオルトジクロロベンゼン)は、精留区域720から(例えば、主精留区域720の第2理論段730から)製品P2として取り出すことができる。供給材料F1の液体塔底部分は、中間リボイラー750を通して移動し(例えば、能動的におよび/または受動的に)、内部ストリームI3を形成することができる。内部ストリームI3は、中間リボイラー750を出て主ストリッピング区域760に入ることができ、そこでイソシアネートの大部分(例えば、TDI)および軽成分は液体からストリッピングすることができる。残留するストリッピングされた液体は、ストリッピング区域760を出てリボイラー770を通って塔底製品P4となり得る。ストリッピング区域760からのイソシアネートおよび軽成分を含む蒸気の少なくとも一部(内部ストリームI4)は、立て筒棚を通って前分留区域710に入る(再び入る)ことができる。ストリッピング区域760からの蒸気の少なくとも一部は側方区域780に入ることができる。側方区域780において、イソシアネート(例えば、TDI)は、主製品P3として取り出すことができる。
【0056】
供給材料混合物を分留する方法の特定の例の実施形態は、図8に例示したように、(a)供給材料混合物(例えば、イソシアネート供給混合物)F1を分留装置800の前分留塔810中に移動するステップ、(b)前分留塔810の内容物を加温して内部ストリームI1(蒸気)および前分留区域液体ストリームを形成するステップ、(c)内部ストリームI1の少なくとも一部を主塔890に移動するステップ、(d)凝縮器840を使用して精留区域820の内容物の少なくとも一部を冷却して精留区域蒸気製品ストリームP1および凝縮液を形成するステップ、(e)主塔890から精留区域蒸気製品ストリームP1の少なくとも一部を取り出すステップ、(f)主塔890から凝縮液の少なくとも一部を精留区域液体製品ストリームP2として取り出すステップ、(g)ポンプ830を使用して、主塔890から前分留塔810に凝縮液の少なくとも一部を内部ストリームI2として移動するステップ、(h)精留区域820から側方区域880に凝縮液の少なくとも一部を移動するステップ、(i)外部中間リボイラー850を使用して前分留塔810の内容物の少なくとも一部を場合により加熱して中間リボイラー蒸気ストリームおよび内部ストリームI3(液体)を形成するステップ、(j)中間リボイラー蒸気ストリームを前分留塔810に戻すステップ、(k)内部ストリームI3(液体)の少なくとも一部をストリッピング区域860に移動するステップ、(l)リボイラー870を使用してストリッピング区域860の内容物を加熱してストリッピング区域蒸気ストリームおよびストリッピング区域製品ストリーム(液体)P4を形成するステップ、(m)分留装置からストリッピング区域製品ストリーム(液体)P4の少なくとも一部を取り出すステップ、(n)ストリッピング区域蒸気ストリームの少なくとも一部を側方区域880に移動するステップ、(o)ストリッピング区域蒸気ストリームの少なくとも一部を前分留塔810に内部ストリームI4として移動するステップ、(p)側方区域880において、側方区域880に移動した凝縮液の少なくとも一部および側方区域880に移動したストリッピング区域蒸気ストリームの少なくとも一部を、側方区域蒸気ストリーム、側方区域製品ストリームP3(液体)、および側方区域液体ストリームの形成を可能にする条件下で混合するステップ、(q)分留装置800から側方区域製品ストリームP3の少なくとも一部を取り出すステップ、(r)側方区域蒸気ストリームの少なくとも一部を精留区域820に移動するステップ、および(s)側方区域液体ストリームの少なくとも一部をストリッピング区域860に移動するステップを含むことができる。
【0057】
幾つかの実施形態によれば、供給材料F1は少なくとも1つの外部(示してある)リボイラー850を有する前分留塔810で分留装置800に入ってもよい。内部蒸気ストリームI1は、主塔890の精留区域820に移動することができて(例えば、能動的におよび/または受動的に)、そこで軽成分および非凝縮性成分は精留されて凝縮器840を通って塔頂製品P1となり得る。溶媒(例えば、軽非凝縮性成分を含まずおよび/または痕跡量のイソシアネートを含む主としてオルトジクロロベンゼン)は、主精留区域820から(例えば、第2理論的精留区域820から)製品P2として取り出すことができる。供給材料F1の液体塔底部分は、中間リボイラー850を通って移動して(例えば、能動的におよび/または受動的に)内部ストリームI3を形成することができる。内部ストリームI3は、中間リボイラー850を出て主ストリッピング区域860に入ることができて、そこでイソシアネートの大部分(例えば、TDI)および軽成分は液体からストリッピングされ得る。残留するストリッピングされた液体は、ストリッピング区域860を出てリボイラー870を通り塔底製品P4となり得る。ストリッピング区域860からのイソシアネートおよび軽成分を含む蒸気の少なくとも一部(内部ストリームI4)は、前分留塔810に入る(再び入る)ことができる。ストリッピング区域860からの蒸気の少なくとも一部は、側方区域880に入ることができる。この流入/再入流は、幾つかの実施形態によればブロワーまたはコンプレッサーの使用を含むことができる。側方区域880において、イソシアネート(例えば、TDI)は、主製品P3として取り出すことができる。
【0058】
供給材料混合物を分留する方法の特定の例の実施形態は、図9に例示したように、(a)供給材料混合物(例えば、イソシアネート供給混合物)F1を分留装置900の前分留塔910中に移動するステップ、(b)前分留塔910の内容物を加温して内部ストリームI1(蒸気)および前分留区域液体ストリームを形成するステップ、(c)内部ストリームI1の少なくとも一部を主塔990に移動するステップ、(d)精留区域920の内容物の少なくとも一部を凝縮器940を使用して冷却し、精留区域蒸気製品ストリームP1および凝縮液を形成するステップ、(e)主塔990から精留区域蒸気製品ストリームP1の少なくとも一部を取り出すステップ、(f)主塔990から凝縮液の少なくとも一部を精留区域液体製品ストリームP2として取り出すステップ、(g)ポンプ930を使用して凝縮液の少なくとも一部を、主塔990から前分留塔910に内部ストリームI2として移動するステップ、(h)凝縮液の少なくとも一部を精留区域920から側方区域980に移動するステップ、(i)前分留塔910の内容物の少なくとも一部を外部中間リボイラー950を使用して場合により加熱し、中間リボイラー蒸気ストリームおよび内部ストリームI3(液体)を形成するステップ、(j)中間リボイラー蒸気ストリームを前分留塔910に戻すステップ、(k)内部ストリームI3(液体)の少なくとも一部をストリッピング区域960に移動するステップ、(l)ストリッピング区域960の内容物をリボイラー970を使用して加熱し、ストリッピング区域蒸気ストリームおよびストリッピング区域製品ストリーム(液体)P4を形成するステップ、(m)分留装置からストリッピング区域製品ストリーム(液体)P4の少なくとも一部を取り出すステップ、(n)ストリッピング区域蒸気ストリームの少なくとも一部を側方区域980に移動するステップ、(o)側方区域980において、側方区域980に移動した凝縮液の少なくとも一部と側方区域980に移動したストリッピング区域蒸気ストリームの少なくとも一部とを、側方区域蒸気ストリーム、側方区域製品ストリームP3(液体)、および側方区域液体ストリームの形成を可能にする条件下で混合するステップ、(p)分留装置900から側方区域製品ストリームP3の少なくとも一部を取り出すステップ、(q)側方区域蒸気ストリームの少なくとも一部を精留区域920に移動するステップ、および(r)側方区域液体ストリームの少なくとも一部をストリッピング区域960に移動するステップを含むことができる。
【0059】
幾つかの実施形態において、供給材料F1は、分留装置900に、少なくとも1つの外部リボイラー950を有することができる前分留塔910で入ることができる。内部蒸気ストリームI1は、主塔990の精留区域920に移動することができて(例えば、能動的におよび/または受動的に)、そこで軽成分および非凝縮性成分は精留されて凝縮器940を通って塔頂製品P1となり得る。溶媒(例えば、軽非凝縮性成分を含まずおよび/または痕跡量のイソシアネートを含む主としてオルトジクロロベンゼン)は、主精留区域920から(例えば、第2理論段精留区域920から)製品P2として取り出すことができる。供給材料Flの液体塔底部分は、中間リボイラー950を通って(例えば、能動的におよび/または受動的に)移動し、内部ストリームI3を形成することができる。内部ストリームI3は、中間リボイラー950を出て主ストリッピング区域960に入り、そこで、イソシアネートの大部分(例えば、TDI)および軽成分は液体からストリッピングされ得る。残留するストリッピングされた液体は、ストリッピング区域960を出て、リボイラー970を通って塔底製品P4となることができる。イソシアネートおよび軽成分を含むストリッピング区域960からの蒸気は、側方区域980に移動することができる(例えば、能動的におよび/または受動的に)。側方区域980において、イソシアネート(例えば、TDI)は、主製品P3として取り出すことができる。
【0060】
幾つかの実施形態において、各ストリーム(例えば、内部ストリームまたは製品ストリーム)は、独立して単一留分または複数の留分に集めることができる。ストリームが2つ以上の留分にまたがって集められる場合、留分は所望のようにまたは必要とされるように溜めることができる。
【0061】
前分留塔および主塔は、共通の構造物(common structure)中(例えば、単一のハウジング内)に入れることができる。例えば、組み合わされた前分留/主塔は、隔壁塔(例えば、非断熱的隔壁塔)として構成および配置することができる。幾つかの実施形態において、蒸留供給材料の分留は、塔中の端から端までの間(例えば、F1とP1、P2、P3、および/またはP4との間)および/または塔の部分中の端から端までの間(例えば、前分留区域の塔頂と塔底との間)で約0mmHgから約50mmHgの圧力低下を確立しおよび/または維持することを含むことができる。蒸留供給材料の分留は、幾つかの実施形態によれば、塔の少なくとも一部において約大気圧未満の圧力を確立しおよび/または維持することを含むことができる。例えば、供給材料混合物の分留は、塔(前分留および/または主塔)の圧力を約10mmHgから約500mmHg、約15mmHgから約200mmHg、約20mmHgから約60mmHgに確立しおよび/または維持することを含むことができる。圧力は存在する溶媒(単数または複数)および/または塔の構成に依存し得る。例えば、単一の塔における圧力は約30mmHgから約60mmHgであってよいが、2塔式装置における圧力は、第1塔で約145mmHg、第2塔で約20mmHgから約25mmHgであり得る。前分留塔の塔頂における圧力は、精留区域における圧力より高くてよく、幾つかの実施形態によれば、それにより、ブロワーまたはコンプレッサーを用いずに材料が精留区域に入ることを可能にする(例えば、受動的に流入する)。ポンプを使用して戻りストリーム(例えば、SSVSおよび/またはRSLS)を再加圧して、それが前分留塔に戻り得るようにすることができる。
【0062】
蒸留供給材料の分留は、1つまたは複数の分留ストリームを加熱および/または冷却することを含むことができる。幾つかの実施形態によれば、蒸留供給材料の分留は、約10℃から約250℃、約120℃から約210℃、約120℃から約200℃、および/または約120℃から約175℃の塔底温度の範囲内で実施することができる。
【0063】
幾つかの実施形態において、主区域から前分留区域に戻る材料の量は調節することができる。例えば、液体内部ストリーム(例えば、I2および/またはRSLS)は、約0.01から約0.5(例えば、約0.06から約0.133)の重量比(「液体再循環比」)で前分留区域に戻ることができる。例えば、蒸気内部ストリーム(例えば、I4および/またはSSVS)は、約0から約0.75の重量比(「蒸気再循環比」)で前分留区域に戻ることができる。液体再循環比および蒸気再循環比の最適値は、供給材料組成物に依存し得て、分離に必要とされるエネルギー消費を決定し得る。
【0064】
本開示の恩恵を有する当業者により理解されるように、供給材料混合物(例えば、1種または複数のイソシアネートを含む)を分留するための他の同等または代替の組成物、デバイス、方法、およびシステムは、本明細書に含まれる記載から逸脱せずに構想することができる。したがって、示され記載された本開示を実施する方法は、例示としてのみ解釈されるべきである。
【0065】
当業者は、本開示の範囲を逸脱せずに、形状、サイズ、数、および/または部分の配置における種々の変化をなすことができる。例えば、本明細書に記載したように、前分留装置は、精留区域と流体で連通している凝縮器、前分留区域および/または塔と流体で連通している中間リボイラー、およびストリッピング区域と流体で連通しているストリッピング区域リボイラーを有することができる。分留装置は、幾つかの実施形態において、任意のさらなる凝縮器および/またはリボイラーを含んでも含まなくてもよい。それに加えて、塔(例えば、隔壁塔)のサイズは、実施者の必要および/または希望に合わせて規模を大きくも小さくもできる。範囲が示された場合もまた、開示された境界点は、特定の実施形態により望まれまたは要求されるように、厳密におよび/または近似として扱うことができる。それに加えて、幾つかの実施形態においては、範囲の境界点を交わらせおよび合わせることが望ましいことがある。分留装置および/またはシステムは、使い捨て、保守容易、互換性、および/または交換式であるように構成および配置することができる。明白な変更および改変によるこれらの同等事物および代替は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。したがって、上述の開示は例示的であり、以下の請求項により明示するように、本開示の範囲を限定することはないことが意図される。
【実施例】
【0066】
本開示の幾つかの特定の例の実施形態は、本明細書において提供する実施例の1つまたは複数により例示することができる。
【0067】
[実施例1]
イソシアネート分留のモデル化
本開示の実施例をASPEN Plus(商標)ソフトウェアによりモデル化した。モデルには、実験室測定、パイロットデータ、および商業的データに対して確認した成分の物理的性質を含めた。標準的ASPEN Plusのユニット操作ブロックを、塔、リボイラー、凝縮器、液体分流および蒸気分流をモデル化するために使用した。接触デバイス(接触棚および充填物)の効率は、商業的プラントのデータの性能に対して確認した。
【0068】
供給材料は、塔の前分留区域に、充填物が上に3段および下に5段(棚(tray)として)の位置で入る。この前分留区域は、ODCBを、それらが主塔に入る前に、TDIおよび重成分から分離する。この分離は前分留区域中のリボイラーにより行われる。前分留区域の塔頂における圧力は50mmHgである。その圧力はストリームI1が主塔に入る圧力(すなわち、33mmHg)より高い。この圧力低下により、蒸気はエアブロワーまたはコンプレッサーを必要とせずに流れる。前分留区域の塔頂への液体の還流(ストリームI2)のために、圧力を33から40mmHgにまで上昇させるポンプがある。前分留区域の塔底で、リボイラーは5270kWおよび171℃で操業される。前分留区域を通して(すなわち、I3−I1)の圧力低下は25mmHgである。
【0069】
モデル化したように、塔の主区域ははるかにより大きく、23段の充填物および棚でさらに2段を有する。ODCB製品は精留区域の加熱殺菌装置に似た区域を通して分離され、TDI製品は副流ストリームとして流出する。加熱殺菌装置に似た区域は、塔頂の下2〜3段の棚(分離段)で留出液(上方製品)を抜き出すために使用することができる。それは、所望の液体塔頂留出製品に対して相対的に揮発性の高い少量の軽成分を許容される製品損失で塔から取り出すことができるときに使用される側方抜き出しを含むことができる。2つの再循環ストリーム、すなわちI2およびI4は、異なる比で主塔から分流される。液体(ストリームI2)は0.06の比で分流され、すなわち、液体の6%だけが第1塔に還流する。蒸気(ストリームI4)は0.5で分流される。
【0070】
これら2つの分流比は、塔の効率に対して強い影響(例えば、主要な影響)を有し得る。この影響の例を表2に示す。精留区域の凝縮器は16100kWおよび61℃で操業され、圧力は35mmHgである。ストリッピング区域リボイラーは3490kWおよび196℃で操業され、圧力は100mmHgである。これらの数値の結果、正規化された(normalized)ストリッピング区域のリボイラー効率は0.33kW−h/kgTDIになる。正規化された精留区域凝縮器の効率は0.61kW−h/kgである。
【0071】
上の実施例の材料収支を下表2に示す。ストリームの同定のために図7を参照することができる。
【0072】
【表2】

【0073】
[実施例2]
イソシアネート分留のモデル化
本開示の実施例をASPEN Plus(商標)ソフトウェアでモデル化した。モデルには実験室測定、パイロットデータ、および商業的データに対して確認した成分の物理的性質を含めた。標準のASPEN Plusユニット操作ブロックを、塔、リボイラー、凝縮器、液体分流および蒸気分流をモデル化するために使用した。接触デバイス(接触棚および充填物)の効率は、商業的プラントのデータの性能に対して確認した。
【0074】
供給材料は第1(前分留)塔に、充填物が上に3段および下に5段(棚として)の位置で入る。この第1塔は、ODCBを、それらが第2(主)塔に入る前に、TDIおよび重成分から分離する。この分離は第1塔中のリボイラーにより行われる。前分留区域の塔頂における圧力は40mmHgである。その圧力はストリームI1が主塔に入る圧力(すなわち、33mmHg)より高い。この圧力低下により、蒸気はエアブロワーまたはコンプレッサーを必要とせずに流れる。第1塔の塔頂への液体の還流(ストリームI2)のために、圧力を33mmHgから40mmHgに上昇させるポンプがある。第1塔の塔底で、リボイラーは5270kWおよび171℃で操業される。前分留区域を通して(すなわち、I3−I1)の圧力低下は25mmHgである。
【0075】
モデル化したように、第2(主)塔はそれより大きく、25段の充填物およびさらに2段の棚を有する。ODCB製品は精留区域の加熱殺菌装置様区域を通して分離され、TDI製品は副流ストリームとして流出する。2つの再循環ストリームすなわちI2およびI4は、異なる比で主塔から分流される。液体は0.06の比で分流され、すなわち、液体の6%だけが第1塔に還流する。蒸気は0.5で分流される。蒸気および液体の分流は塔の効率に対して主要な影響を有し得る。この実施例における分流に対する数値は、装置におけるエネルギー消費を最小化するためのケーススタディから得られた。精留区域の凝縮器は16100kWおよび61℃で操業され、圧力は35mmHgである。ストリッピング区域のリボイラーは3490kWおよび196℃で操業され圧力は100mmHgである。これらの数値の結果、正規化されたストリッピング区域のリボイラーの効率は0.33kW−h/kgTDIになる。正規化された精留区域凝縮器の効率は0.61kW−h/kgである。
【0076】
上の実施例の材料収支を上の表2に示す。ストリームの同定のために図8を参照することができる。
【0077】
[実施例3]
イソシアネート分留のモデル化
本開示の実施例はASPEN Plusソフトウェアでモデル化した。モデルには実験室測定、パイロットデータ、および商業的データに対して確認した成分の物理的性質を含めた。標準のASPEN Plusユニット操作ブロックを、塔、リボイラー、凝縮器、液体分流および蒸気分流をモデル化するために使用した。接触デバイス(接触棚および充填物)の効率は、商業的プラントのデータの性能に対して確認した。
【0078】
供給材料は第1(前分留)塔に、充填物が上に3段および下に5段(棚として)の位置で入る。この第1塔は、ODCBを、それらが第2(主)塔に入る前に、TDIおよび重成分から分離する。この分離は第1塔中のリボイラーにより行われる。前分留区域の塔頂における圧力は40mmHgである。その圧力はストリームI1が主塔に入る圧力(すなわち、33mmHg)より高い。この圧力低下により、蒸気はエアブロワーまたはコンプレッサーを必要とせずに流れる。第1塔の塔頂への液体の還流(ストリームI2)のために、圧力を33mmHgから40mmHgに上昇させるポンプがある。第1塔の塔底で、リボイラーは6746kWおよび180℃で操業される。前分留区域を通して(すなわち、I3−I1)の圧力低下は60mmHgである。
【0079】
モデル化したように、第2(主)塔はそれより大きく、18段の充填物およびさらに2段の棚を有する。ODCB製品は精留区域の加熱殺菌装置様区域を通して分離され、TDI製品は副流ストリームとして流出する。液体再循環ストリーム、すなわちI2は、0.13の比で主塔から分かれる分流であり、すなわち、液体の13%だけが第1塔に還流する。精留区域の凝縮器は16510kWおよび70℃で操業され、圧力は30mmHgである。ストリッピング区域のリボイラーは2026kWおよび173℃で操業され、圧力は30mmHgである。これらの数値の結果、正規化されたストリッピング区域のリボイラー効率は0.35kW−h/kgTDIになる。正規化された精留区域凝縮器の効率は0.55kW−h/kgである。
【0080】
上の実施例の材料収支は、シミュレーションにより、上の表2中の実施例2について示されたものと同じである。これはこれらシステムが少なくとも幾つかの条件下では熱力学的に同等および/または実質的に同等であり得ることを示す。ストリームの同定のために図9を参照することができる。
【0081】
上述の実施例は本開示の特定の例の実施形態の本質をなす。本開示の恩恵を有する当業者は、本開示の範囲内にさらなる実施例および実施形態があることを認識するであろう。明細書全体を通じて、読者の便宜のために見出しを付けた。しかしながら、これらの見出しは、本開示の範囲または如何なる特定の実施形態を限定することも意図しない。
【符号の説明】
【0082】
100 非断熱的隔壁塔
102 外壁
104 垂直隔壁
108 供給材料導入口
110 前分留区域
116 配管出口
120 精留区域
126 配管出口
128 製品出口
140 凝縮器
146 戻り配管
148 製品出口
150 中間リボイラー
156 戻り配管
157 戻り配管
160 ストリッピング区域
166 配管出口
170 リボイラー
176 戻り配管
178 製品出口
180 側方区域
188 製品出口
230 ポンプ
300 分留装置
305 供給材料導入口
310 前分留塔
311 配管
312 充填された段
314 棚
316 配管出口
320 精留区域
321 戻り配管
322 充填された段
324 充填された段
326 配管出口
328 製品出口
346 戻り配管
348 製品出口
350 中間リボイラー
351 配管
356 戻り配管
360 ストリッピング区域
361 戻り配管
362 棚
366 配管出口
370 リボイラー
376 戻り配管
378 製品出口
380 側方区域
382 充填された段
384 充填された段
388 製品出口
390 蒸留塔
400 分留装置
405 供給材料導入口
410 前分留塔
411 配管
412 充填された段
416 配管出口
420 精留区域
421 戻り配管
422 充填された段
424 充填された段
426 配管出口
428 製品出口
430 ポンプ
440 凝縮器
446 戻り配管
448 製品出口
450 中間リボイラー
451 配管
456 戻り配管
460 ストリッピング区域
462 棚
466 配管出口
470 リボイラー
476 戻り配管
478 製品出口
480 側方区域
482 充填された段
484 充填された段
488 製品出口
490 蒸留塔
F1 供給材料混合物
700 非断熱的隔壁塔
710 非断熱的隔壁塔700の前分留区域
I1 内部蒸気ストリーム
720 精留区域
740 凝縮器
P1 精留区域蒸気製品ストリーム、塔頂製品
P2 精留区域液体製品ストリーム、製品
I2 内部ストリーム
I3 内部ストリーム
760 ストリッピング区域
770 リボイラー
P4 ストリッピング区域製品ストリーム(液体)、塔底製品
780 側方区域
I4 内部ストリーム
P3 側方区域製品ストリーム、主製品
750 中間リボイラー
800 分留装置
810 前分留塔
820 精留区域
830 ポンプ
840 凝縮器
850 外部リボイラー
860 ストリッピング区域
870 リボイラー
880 側方区域
890 主塔
900 分留装置
910 前分留塔
920 精留区域
940 凝縮器
950 外部リボイラー
960 ストリッピング区域
980 側方区域
990 主塔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソシアネート混合物を分留するための非断熱的分留装置であって、
(a)上端および下端および少なくとも1つの中間リボイラーを含む前分留塔と;
(b)(i)前分留塔の上端と流体で連通している精留区域、
(ii)精留区域と流体で連通している凝縮器、
(iii)前分留塔の下端と流体で連通しているストリッピング区域、
(iv)ストリッピング区域と流体で連通しているストリッピング区域リボイラー、および
(v)精留区域およびストリッピング区域と流体で連通している側方区域
を含む主塔と
を含む装置。
【請求項2】
約0.01から約0.5の液体再循環比および/または約0から約0.75の蒸気再循環比を有するように構成および配置された、請求項1に記載の非断熱的分留装置。
【請求項3】
中間リボイラーが内部熱伝導デバイスとして構成および配置された、請求項1に記載の非断熱的分留装置。
【請求項4】
中間リボイラーが外部リボイラーとして構成および配置された、請求項1に記載の非断熱的分留装置。
【請求項5】
内部ストリームを加圧するように構成および配置されたポンプをさらに含む、請求項1に記載の非断熱的分留装置。
【請求項6】
製造されるイソシアネート1キログラム当たり約0.05から約0.4キロワットを消費するように構成および配置された、請求項1に記載の非断熱的分留装置。
【請求項7】
製造されるイソシアネート1キログラム当たり約0.4から約1.0キロワットを消費するように構成および配置された、請求項1に記載の非断熱的分留装置。
【請求項8】
約20%未満のイソシアネートを含む供給材料を受け入れるように構成および配置された、請求項1に記載の非断熱的分留装置。
【請求項9】
前分留区域、精留区域、ストリッピング区域、および側方区域を含む分留装置を使用して、軽成分、中沸点成分、および高沸点成分を含むイソシアネート供給混合物を分留する方法であって、
(a)イソシアネート供給混合物を前分留区域中に移動するステップ、
(b)前分留区域の内容物を加温して、前分留区域蒸気ストリームPSVSおよび前分留区域液体ストリームPSLSを形成するステップ、
(c)前分留区域蒸気ストリームPSVSの少なくとも一部を精留区域に移動するステップ、
(d)精留区域の内容物を冷却して精留区域蒸気製品ストリームRSVPSおよび凝縮液を形成するステップ、
(e)分留装置から精留区域蒸気製品ストリームRSVPSの少なくとも一部を取り出すステップ、
(f)分留装置から凝縮液の少なくとも一部を精留区域液体製品ストリームRSLPSとして取り出すステップ、
(g)精留区域から凝縮液の少なくとも一部を精留区域液体ストリームRSLSとして取り出すステップ、
(h)精留区域液体ストリームRSLSの少なくとも一部を側方区域に移動するステップ、
(i)精留区域液体ストリームRSLSの少なくとも一部を前分留区域に移動するステップ、
(j)前分留区域液体ストリームPSLSの少なくとも一部を加熱して第2前分留区域蒸気ストリームsPSVSおよび第2前分留区域液体ストリームsPSLSを形成し、それらそれぞれの第1ストリームと各々合わせるステップ、
(k)前分留区域液体ストリームPSLSの少なくとも一部を前分留区域からストリッピング区域に移動するステップ、
(l)ストリッピング区域の内容物を加熱してストリッピング区域蒸気ストリームSSVSおよびストリッピング区域下部製品ストリームSSLPSを形成するステップ、
(m)分留装置からストリッピング区域液体製品ストリームSSLPSの少なくとも一部を取り出すステップ、
(n)ストリッピング区域蒸気ストリームSSVSの少なくとも一部を側方区域に移動するステップ、
(o)精留区域液体ストリームRSLSの少なくとも一部とストリッピング区域蒸気ストリームSSVSの少なくとも一部とを、側方区域において、側方区域蒸気ストリームSdSVS、側方区域液体製品ストリームSdSLPS、および側方区域液体ストリームSdSLSの形成を可能にする条件下で混合するステップ、
(p)分留装置から側方区域液体製品ストリームSdSLPSの少なくとも一部を取り出すステップ、
(q)側方区域蒸気ストリームSdSVSの少なくとも一部を精留区域に移動するステップ、および
(r)側方区域液体ストリームSdSLSの少なくとも一部をストリッピング区域に移動するステップを含み、
イソシアネート供給混合物中の軽成分の濃度は、約5重量パーセントまたはモルパーセントから約90重量パーセントまたはモルパーセントであり、
イソシアネート含有供給材料混合物中の中沸点成分の濃度は約2重量パーセントまたはモルパーセントから約95重量パーセントまたはモルパーセントであり、
イソシアネート含有供給材料混合物中の高沸点成分の濃度は約0.1重量パーセントまたはモルパーセントから約50重量パーセントまたはモルパーセントであり、ただし、軽成分の濃度は、(i)中沸点成分より高く、かつ(ii)高沸点成分より高い方法。
【請求項10】
中沸点成分がイソシアネート供給混合物の約20重量パーセント未満を構成する、請求項9に記載のイソシアネート供給混合物を分留する方法。
【請求項11】
側方区域の液体製品ストリームSdSLPSのイソシアネート供給混合物に対する重量比またはモル比が約20%を超える、請求項9に記載のイソシアネート供給混合物を分留する方法。
【請求項12】
側方区域液体製品ストリームSdSLPSがイソシアネートを含む、請求項9に記載のイソシアネート供給混合物を分留する方法。
【請求項13】
側方区域液体製品ストリームSdSLPSがトルエンジイソシアネートを含む、請求項9に記載のイソシアネート供給混合物を分留する方法。
【請求項14】
側方区域液体製品ストリームSdSLPSが1種または複数のイソシアネートからなる、請求項9に記載のイソシアネート供給混合物を分留する方法。
【請求項15】
請求項9に記載のイソシアネート供給混合物を分留する方法であって、(j)前分留区域液体ストリームPSLSの少なくとも一部を加熱して第2前分留区域蒸気ストリームsPSVSおよび第2前分留区域液体ストリームsPSLSを形成することが、少なくとも1つの内部リボイラー中または少なくとも1つの外部リボイラー中の前分留区域液体ストリームPSLSの少なくとも一部を加熱することを含む方法。
【請求項16】
前分留区域が分離した前分留塔を形成し、精留区域、ストリッピング区域、および側方区域が一緒になって別の主塔を形成する、請求項9に記載のイソシアネート供給混合物を分留する方法。
【請求項17】
(i)精留区域液体ストリームRSLSの少なくとも一部を前分留区域に移動することが、前分留区域蒸気ストリームPSVSに対する重量比またはモル比が約0から約0.75である精留区域液体ストリームRSLSの少なくとも一部を前分留区域に移動することをさらに含む、請求項9に記載のイソシアネート供給混合物を分留する方法。
【請求項18】
(s)ストリッピング区域蒸気ストリームの少なくとも一部を前分留区域に移動することをさらに含む、請求項9に記載のイソシアネート供給混合物を分留する方法。
【請求項19】
(s)ストリッピング区域蒸気ストリームSSVSの少なくとも一部を前分留塔に移動することが、前分留区域液体ストリームPSLSに対する重量比またはモル比が約0.01から約0.5である、ストリッピング区域蒸気ストリームSSVSの少なくとも一部を前分留区域に移動することをさらに含む、請求項18に記載のイソシアネート供給混合物を分留する方法。
【請求項20】
精留区域中の圧より高い前分留区域の圧を維持することをさらに含む、請求項9に記載のイソシアネート供給混合物を分留する方法。
【請求項21】
大気圧未満の分留装置中の圧を維持することをさらに含む、請求項9に記載のイソシアネート供給混合物を分留する方法。
【請求項22】
分留装置の少なくとも一部を約50℃から約250℃の温度に維持することをさらに含む、請求項9に記載のイソシアネート供給混合物を分留する方法。
【請求項23】
非断熱的分留装置が、側方区域液体製品ストリームSdSLPSにおいて製造されるイソシアネート1キログラム当たり約0.4から約1.0キロワットを消費する、請求項16に記載のイソシアネート供給混合物を分留する方法。
【請求項24】
非断熱的分留装置が、側方区域液体製品ストリームSdSLPSにおいて製造されるイソシアネート1キログラム当たり約0.4キロワット未満を消費する、請求項16に記載のイソシアネート供給混合物を分留する方法。
【請求項25】
軽成分の比を減少させるためのイソシアネート供給混合物の前処理を排除する、請求項9に記載のイソシアネート供給混合物を分留する方法。
【請求項26】
イソシアネートを製造するためのシステムであって、
(a)ホスゲン反応器;
(b)酸および過剰のホスゲンを除去して蒸気を精留してイソシアネート含有率を最小化するように構成および配置されたイソシアネートストリッパー/吸収装置;
(c)ホスゲンを回収するように構成および配置されたホスゲンストリッパー;および
(d)(1)上端および下端および中間リボイラーを含む前分留塔;および
(2)(i)前分留塔の上端と流体で連通している精留区域、
(ii)精留区域と流体で連通している凝縮器、
(iii)前分留塔の下端と流体で連通しているストリッピング区域、
(iv)ストリッピング区域と流体で連通しているストリッピング区域リボイラー、および
(v)精留区域およびストリッピング区域と流体で連通している側方区域
を含む主塔
を含む非断熱的分留装置を含み、
分留装置は約0.01から約0.5の液体再循環比および/または約0から約0.75の蒸気再循環比を有するように構成および配置されたシステム。
【請求項27】
ホスゲンストリッパーおよび前分留塔と流体で連通している蒸留供給材料槽をさらに含む、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
イソシアネートを製造するためのシステムであって、
(a)ホスゲン反応器;
(b)酸および過剰のホスゲンを除去し蒸気を精留してイソシアネート含有率を最小化するように構成および配置されたイソシアネートストリッパー/吸収装置;
(c)ホスゲンを回収するように構成および配置されたホスゲンストリッパー;および
(d)(1)上端および下端および中間リボイラーを含む前分留塔;および
(2)(i)前分留塔の上端と流体で連通している精留区域、
(ii)精留区域と流体で連通している凝縮器、
(iii)前分留塔の下端と流体で連通しているストリッピング区域、
(iv)ストリッピング区域と流体で連通しているストリッピング区域リボイラー、および
(v)精留区域およびストリッピング区域と流体で連通している側方区域
を含む主塔を含む非断熱的分留装置を含み、
非断熱的分留装置は、製造されて分留されたイソシアネート1キログラム当たり約0.2から約0.4キロワットを消費するように構成および配置されたシステム。
【請求項29】
ホスゲンストリッパーおよび前分留塔と流体で連通している蒸留供給材料槽をさらに含む、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
蒸留されたイソシアネートであって、
(a)アニリンをホスゲンと、イソシアネート含有供給材料混合物を形成する条件下で接触させるステップ;および
(b)(1)上端および下端および中間リボイラーを含む前分留塔;および
(2)(i)前分留塔の上端と流体で連通している精留区域、
(ii)前分留塔の下端と流体で連通しているストリッピング区域、および
(iii)精留区域およびストリッピング区域と流体で連通し、蒸留されたイソシアネートが形成される側方区域
を含む主塔を含む非断熱的分留装置中で、イソシアネート含有供給材料混合物を蒸留するステップを含むプロセスにより作製されて蒸留されたイソシアネート。
【請求項31】
イソシアネート含有供給材料混合物が、軽成分、中沸点成分、および高沸点成分を含む、請求項30に記載の蒸留されたイソシアネート。
【請求項32】
請求項30に記載の蒸留されたイソシアネートであって、
軽成分の濃度が、(i)中沸点成分より高く、かつ(ii)高沸点成分より高く、
軽成分の濃度は、約5重量パーセントまたはモルパーセントから約90重量パーセントまたはモルパーセントであり、
中沸点成分の濃度は約2重量パーセントまたはモルパーセントから約95重量パーセントまたはモルパーセントであり、かつ
高沸点成分の濃度は約0.1重量パーセントまたはモルパーセントから約50重量パーセントまたはモルパーセントである
イソシアネート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−504644(P2012−504644A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530240(P2011−530240)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際出願番号】PCT/US2009/059249
【国際公開番号】WO2010/039972
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】