説明

イメージングソフトウェア開発のためのデジタル画像比較方法

【課題】イメージングソフトウェアの開発中において画像を評価するための自動化されたコスト的に効率の良い方法を提供する。
【解決手段】イメージングソフトウェア開発のためのデジタル画像比較を使用する方法が、記述される。開発中の前記ソフトウェアが使用され、プリントデータから一組の検査デジタル画像のセットを生成する。前記画像は、記憶される。基準システムのソフトウェアが使用され、同一のプリントデータに基づき、一組の基準デジタル画像を生成する。前記検査画像および前記基準画像は、タイル化され、画像比較が、タイル−バイ−タイルベースで実行される。各検査画像タイルおよび対応する基準画像タイルに対し、差分タイルが生成され、前記タイルは、一緒に画像ファイルに記憶され、人間のユーザに対して表示される。前記検査画像と前記基準画像とは、画像比較プログラムを使用し、比較される。比較結果は、さらなる比較および評価のために、人間のソフトウェア開発者に提示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は、イメージングソフトウェア開発において有用な方法に関し、特に、イメージングソフトウェア開発においてデジタル画像比較を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
イメージング関連デバイスのための新規なソフトウェア、例えば、プリンタのためのイメージングソフトウェア(例えば、ラスター画像プロセッサあるいはRIP)を開発する場合、イメージングソフトウェアの出力は、画質および正確度を確認することを必要とする。従来は、このプロセスは、開発中のイメージングソフトウェアを使用し、画像のページを多数(数百〜数千)実際に印刷することと、これらの印刷ページを、事前に印刷した画像(既存の基準ソフトウェアを使用し)あるいはソフトウェアアプリケーション(マイクロソフト(登録商標)ワード、アドビ(Adobe(登録商標))アクロバット等)を介してスクリーンに表示されるオリジナルドキュメントと人力で比較することとを、含んでいる。このプロセスは、新規なデバイスあるいはソフトウェアの開発中、又は、既存の製品のためのアップデート(改良)されたソフトウェアのバグの修正プロセスあるいはリリースプロセスの期間において、数多く繰返すことを必要とする場合がある。
【0003】
このプロセスは、人的資源(時間)、装置(多くのプリントデバイスはまた、開発過程にあり、利用不可能あるいはハンドメイドであり、したがって、非常に高価である)、消耗品(紙、トナー)に関して、非常に高価となる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
概要
したがって、本発明は、ソフトウェア開発中において画像比較を実行する自動方法に向けられている。
【0005】
本発明の目的は、イメージングソフトウェア開発中において画像を評価するための自動化されたコスト的に効率の良い方法を提供することである。
【0006】
多くのデジタル画像比較方法が存在しているが、多くの場合、一般的に、画像におけるオブジェクトを探し、グラフィクスオブジェクトを比較し、2つの画像における類似性を探すこと等を、目的としている。他方、本発明におけるデジタル画像比較の目的は、一般的に言って類似性を検出するのではなく、人間のソフトウェア開発者が、画像を解析するのを援助し、そして、開発者が、比較結果を開発中のソフトウェアの問題に関連させることを可能とすることである。したがって、本発明の画像比較方法の1つの目的は、人間の開発者による視覚的比較を容易にするように、比較結果を提示することである。本発明の別の目的は、画像を比較するプロセスを自動化することで、印刷ページを目視している人間にとっては一般的には目立たない小さな差異を、解析および訂正することを必要とする開発中のソフトウェアにおける問題を反映する大きな差異から、フィルタをかけて除去するための方法およびソフトウェアツールを、提供することである。
【0007】
本発明の付加的な特徴および有利な点は、後に続く説明に記載されており、ある程度、前記説明から明らかになり、あるいは、本発明の実施によって知ることが可能である。本発明の前記目的および他の利点は、添付の図面と同様に、それの説明文および請求の範囲において詳しく指摘される構成によって、実現化されかつ達成される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
具体的に表現されかつ広範に説明されているこれらおよび/または他の目的を達成するために、本発明は、イメージングソフトウェア開発において有用なデジタル画像比較方法を提供し、当該方法は、(a)開発中のイメージングソフトウェアを使用し、プリントデータから検査デジタル画像を生成するステップ、(b)基準ソフトウェアを使用し、前記プリントデータから基準デジタル画像を生成するステップ、(c)コンピュータによって実行される画像比較プログラムを使用し、前記検査デジタル画像と前記基準デジタル画像とを、自動的に比較するステップ、および、(d)人間のオペレータに、比較結果を提示するステップ、を有する。
【0009】
さらに、前記ステップ(c)は、(c1)前記検査デジタル画像および前記基準デジタル画像を、複数の検査タイルおよび基準タイルに分割し、各検査タイルは、一定の基準タイルに対応しているステップ、(c2)各検査タイルと対応する基準タイルとのピクセル−バイ−ピクセル比較を実行するステップ、(c3)少なくとも検査タイルと基準タイルとが異なっている場合、各検査タイルと対応する基準タイルとの間の差異を表現している差分タイルを生成するステップ、および、(c4)各差分タイルを、対応する検査タイルおよび基準タイルと共に、画像ファイルに記憶し、前記タイルは、前記画像ファイルにおいて互いに隣接しているステップ、を有する。
【0010】
別の態様において、本発明は、上記方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムを、提供する。
【0011】
別の態様において、本発明は、前記コンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を、提供する。
【0012】
前述の概略的記述および以下の詳細な記述の両方は、代表的および説明的であり、特許請求される本発明の説明を、さらに提供することを目的とすることが理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】イメージングソフトウェア開発において有用な評価手法を説明するための流れ図である。
【図2】デジタル画像比較方法を説明するための流れ図である。
【図3】画像をタイルに分割し、画像比較結果をタイル−バイ−タイルで示すことを説明するための概略図である。
【図4】ユーザに対して表示することが可能である画像比較結果の一例を示している図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面の簡単な説明
図1は、イメージングソフトウェア開発において有用な評価手法を説明している流れ図である。
【0015】
図2は、デジタル画像比較方法を説明している流れ図である。
【0016】
図3は、画像をタイルに分割し、画像比較結果をタイル−バイ−タイルで示すことを概略的に示している。
【0017】
図4は、ユーザに対して表示することが可能である画像比較結果の一例を示している。
【0018】
好ましい実施形態の詳細な説明
本発明は、イメージングソフトウェア開発のためのデジタル画像比較を使用する方法を提供する。本方法は、プリンタ(例えば、ラスター画像プロセッサあるいはRIP)のためのソフトウェア開発のために使用することが可能である。プリンタ用のRIPは、プリンタ言語フォーマット(例えばページ記述言語つまりPDL)あるいは他の適当なフォーマットのプリントデータから、ラスター画像を生成するソフトウェアであり、以下の説明において一例として使用される。
【0019】
図1に示される本発明に係る実施形態において、開発中のRIPソフトウェアは、プリントデータから、検査画像としての一組のデジタル画像を、生成するために使用される(ステップS11)。検査画像は、TIFF(Tagged Image File Format)ファイル等の画像ファイルとしてセーブされる(ステップS12)。従来の方法と異なり、画像は、プリンタによって印刷されない。プリントデータは、RIPによって広く使用されているPDL等のフォーマットである。あるいは、プリントデータは、JPEGや、例えば、マイクロソフト(登録商標)ワード、パワーポイント等のアプリケーションプログラムによって使用されるフォーマット等の他の一般に使用される画像フォーマットとすることも可能であり、この場合、アプリケーションプログラムは、RIPが対応することができるPDLフォーマットに、プリントデータを変換することが必要となるだろう。
【0020】
一方、既知の良好なシステム(基準システム)のソフトウェアは、同一のプリントデータに基づき、基準画像としての一組の画像を生成するために使用される(ステップS13)。その後、検査画像および基準画像は、画像比較プログラムを使用して比較される(ステップS14)。比較結果は、さらなる比較および評価のため、人間のソフトウェア開発者に提示される(ステップS15)。比較結果は、後でさらに詳細に説明するように、適当なフォームで提示される。人間の開発者は、表示画面上の検査画像および基準画像を目視することによって、あるいは、(あまり好ましくはないが)プリントデバイスによりそれらを印刷することによって、検査画像および基準画像をさらに比較することが可能である。ステップS14において使用される画像比較アルゴリズムが、調整可能パラメータを有する場合、人間の開発者は、前記のパラメータを調整し、ステップS14を繰り返すことが可能である。人間のソフトウェア開発者は、その結果、比較に基づいて、開発中のソフトウェアを評価することが可能である。
【0021】
多くの比較アルゴリズムを、画像比較ステップS14において、使用することが可能である。初期のステップとして、単純ピクセル−バイ−ピクセル比較方法あるいはバイト−バイ−バイト比較方法を適用し、検査画像の各ピクセルを、対応する基準画像における対応するピクセルと、比較することが可能である。単純比較ステップにおいて検出されるいかなる差異も、人間の開発者によって調査することを必要とするかもしれない問題を、潜在的に示している可能性を有する。しかし、実際問題として、この単純ピクセル−バイ−ピクセル比較方法は、二組の画像の間において非常に多くの差異を生成する。これは、多くの場合、RIPソフトウェアにおけるある変化が、意図的であり、あるいは、出力における非常に微妙な差異を生成する可能性があるためである。これらの差異は、ピクセル−バイ−ピクセル比較により検出されるが、しかし、前記の差異の全てが、不成功の検査ケースとして考慮すべきであるわけではない。例えば、RIPにおけるハーフトーンアルゴリズムあるいはフォントレンダリングアルゴリズムにおける小さな変化は、ページにつき何百もの非常に小さな差異を生じる可能性があるが、これらの差異は、(人間の観察による)通常の検査において印刷ページ上で検出可能ではなく、エラーであると考慮すべきではない。
【0022】
したがって、RIPソフトウェア(すなわちステップS14)を評価するための有効な画像比較のため、本発明に係る実施形態は、印刷ページ上に可視となる傾向がある差異タイプに、フィルタをかけることが可能である比較方法を提供する。多数の比較方法を、異なる差異タイプを検出し、フィルタをかけるために適用することが可能である。これらの比較方法の一部は、実施されている検査タイプに応じて調整することができる設定パラメータを有する場合がある。
【0023】
一実施形態によれば、各画像比較を2つ以上のグループに各分類するために、スコアあるいはウェイトが、計算される。一方のグループは、検査画像と基準画像との間において計算された差異が、所定の第1閾値より下であり、画像が「良」であると判断されるそれらの画像を含んでいる。第2グループは、計算された差異が、所定の第2閾値を超えており、画像が「不良」であると判断されるそれらの画像を含んでいる。第3グループは、計算された差異が前記2つの閾値の間にある画像を含んでいる。第3グループは、それらの状態(すなわち「良」あるいは「不良」)を決定するために、さらなる解析を必要とするかもしれない。
【0024】
比較プロセスの間、および、その後に画像を目視して差異を検査する時においては、画像データのサイズは、全体的なプロセスのパフォーマンスを制限する可能性がある。1200DPI(dot per inch:ドット/インチ)プリンタのための一般的なCMYK TIFF画像は、圧縮なしで、サイズが512MB(メガバイト)程度となる場合がある。これらの大きなファイルを処理するためには、相当なCPUパワーおよびRAM(内部メモリ)を必要とする。したがって、本発明の実施形態に係る画像比較方法は、データサイズ問題に対処する手段を提供する。一実施形態において、各画像は、複数のタイルに分割され、画像比較は、タイル−バイ−タイルで実行される。好ましくは、比較結果は、コンパクトなフォーマットで記憶されるため、(表示あるいは用紙上)における検出された差異の解析は、迅速かつ効率的である。加えて、差異がコンパクトなフォーマットで提示されるため、コンピュータ上で非常に大きい画像を目視する場合に通常直面するパフォーマンスの問題は、軽減される。
【0025】
画像比較方法(図1のステップS14)は、図2を基準し、さらに詳細に記載されている。一組の検査デジタル画像および一組の基準デジタル画像が、生成され(図1のステップS11およびS13)、そして、記憶される。画像がいまだタイルフォーマットではないと仮定し、各検査画像および各基準画像は、タイルフォーマットに変換され(ステップS21)、そこにおいて、検査画像および対応する基準画像は、同一のタイルに分割される。例えば、オープンソースユーティリティ「tiffcp」を使用し、TIFF画像をタイルフォーマットに変換することが可能である。他の適当なプログラムを使用することも可能である。画像毎のタイルのサイズおよび数は、調整することが可能である。特定の実施形態において、タイルサイズは、256x256ピクセルである。このステップの目的は、各比較のサイズおよび領域を制御し、後の解析ステップを実行する際に、より効率的かつ迅速とすることである。次に、ピクセル−バイ−ピクセル比較が、タイル−バイ−タイルベースで、実行され、そこにおいて、各検査画像タイルにおけるピクセルデータは、対応する基準画像タイルにおけるピクセルデータと比較される(ステップS22)。このプロセスは、非常に速く実行することが可能であり、また、第1レベルのフィルタリングである(比較は、最初の差異ピクセルで停止することが可能である)。差異を有しないタイルは、さらなるプロセッシングから除外される(「ステップS23の「N」)。しかし、ただ1つのタイルにおけるただ1つのピクセル差異であっても、画像全体の付加的な検査を必要とするかもしれないことを意味する可能性を有するため、このレベルのフィルタリングは、あまり多くの画像を排除することができない。少なくとも1つのピクセル差異を有する各タイルのために(「ステップS23の「Y」)、以下の付加的なプロセッシングが、実行される。
【0026】
検査画像タイルと基準画像タイルとの間の差異を表現しているタイルが、計算される(ステップS24)。このタイル(差分タイル)は、検査画像タイルと基準画像タイルとの間で異なっている各ピクセルを示している。バイナリー画像(ピクセルにつき1ビットデータ)のため、ステップS24は、XOR(排他的論理和)演算を各ピクセルに適用し、新規なタイル(差分タイル)を生成することによって、実行することが可能であり、そこにおいて、各ピクセルは、検査画像タイルおよび基準画像タイルからのピクセルのXORである。ピクセル当たり1以上のビット、すなわちグレースケールあるいはカラー画像を有する画像のため、ステップS24は、様々な方法で実行することが可能である。例えば、検査タイルと基準タイルとにおける対応するピクセルが、異なっている場合、ピクセルは「黒」であり、それらが異ならない場合、「白」となるマスクあるいは差異ビットマップを、生成することが可能である。代わりに、検査タイルと基準タイルとにおける2つの対応するピクセルのグレーレベル差異が閾値を超えている場合、ピクセルが「黒」となるマスクを、生成することが可能である。代わりに、あるいは加えて、複数レベルの差分画像を生成することも可能である。カラー画像(CMYK)のため、差分タイルを、各色平面のために生成し、そして、色平面を結合することが可能である。
【0027】
検査画像タイルおよび基準画像タイルと共に、差分タイルは、ファイルに書き込まれる(ステップS25)。TIFFフォーマットファイルであるかもしれない1つ以上の前記のファイル(ここで、比較画像ファイルとして基準される)が、図2の比較プロセスによって生成され、ステップS25が実行されるたびに、タイルを、比較画像ファイルに追加することが可能である。各比較ファイルは、好ましくは、各ページが、3つのタイル、つまり、基準画像タイル、対応する検査画像タイルおよび対応する差分タイルを含んでいるマルチページの画像ファイルである。画像ファイルは、後における評価のため、人間のソフトウェア開発者に表示することが可能である。
【0028】
図3は、基準画像Aおよび検査画像Bを示している。同様に、タイルA1,A2,A3等にタイル化されている基準画像Aと、B1,B2,B3等にタイル化されている基準画像Bとを示している。比較ファイル31は、タイルA1,B1,X1を有する第1ページ、タイルA2,B2,X2を有する第2ページなどを、含んでいるように示されている(X1,X2,X3等は、差分タイルである)。好ましくは、3つのタイルは、人間のソフトウェア開発者による容易な比較のため、同一のページにおいて互いに隣接している。あるいは、ステップS25において、1つ以上のマルチページ比較ファイルを生成する代わりに、別個のシングルページ比較ファイルを、差異を含んでいる各タイルのために生成することが可能である。ステップS25において比較ファイルを生成する目的は、各差異を示している小さな領域のみを出力し、さらなる解析および目視を効率的とすることである。図4は、3つのタイルA1,B1,X1(バイナリー画像が、この例では使用されている)の一例を示している。
【0029】
ステップS24(差分タイルを計算する)は、好ましくは、検査画像と基準画像との間における基本的な差異を記述しかつ比較している統計データ、例えば、少なくとも1つの差異を有するページがいくつあるか、ページにつき、差異を有すタイルがいくつあるか等を、生成することを含んでいる。完全に自動化されたアプローチにおいて、比較プログラムは、さらなる画像比較解析、例えば、各タイルのため、後述するステップS26A〜S26Dの1つ以上を、実行する。全てのタイルが処理された後で、プログラムは、画像のための最終スコアを計算し、画像を分類する(例えば、良/不良)(ステップS27およびS28)。
【0030】
多様な画像比較および解析方法を、画像の差異を解析するために使用することが可能である。以下、若干の実施形態を説明する。他の方法を使用することが可能であり、また、新規な比較方法がやがて開発され、システムを拡張することが可能となることを、理解すべきである。
【0031】
密度:異なっているピクセルの割合(パーセント)として定義される差分タイルXの実効密度を計算する(ステップS26A)。密度スコアが高くなるほど、これらの差異が重大であり、かつ、出力のエラーを構成する可能性がより高くなる。
【0032】
分布:差異ピクセルが小さな領域に互いに凝集している場合、低い密度スコアであっても、有意な出力差異あるいはエラーを反映している可能性がはるかに高くなる。したがって、密度の度合いを表現している分布スコアが、計算される(ステップS26B)。一実施形態において、タイルは、ピクセルの小ブロック(例えば8ピクセル)に分割され、異なっているピクセルの数は、各小ブロックにつき計算され、合計される。1つ以上の異なっているピクセルを有する小ブロックの数もまた、計算される。分布スコアはこれらの2つの数の比率である。各小ブロックが8つのピクセルを有する場合、このスコアは、1から8までの範囲で変化する。小ブロックの形状は、N(例えば8)ピクセルの横の行(この場合、計算された分布スコアは、水平に広がる凝集を検出する傾向があるだろう)、Nピクセルの縦の列(この場合、計算された分布スコアは、垂直に広がる凝集を検出する傾向があるだろう)、あるいは、Nピクセルの矩形エリア(この場合、計算された分布スコアは、2次元に広がる凝集を検出する傾向があるだろう)などと、することが可能である。あるいは、より高度な方法により、複数の方向における分布を計算することが可能である。
【0033】
直線性:オブジェクトの細いラインあるいはエッジなどの線形特徴を検出する方法は、線形特徴スコアを計算するために適用することが可能である(ステップS26C)。これは、オブジェクトのサイズが変化したか、あるいは、オブジェクトを何らかの方法で切り取ることが可能であるかを、検出するのに役立つ。
【0034】
シフト:検査画像タイルAと基準画像タイルBとの間における小シフト(1〜2ピクセル)を検出する画像シフト検出方法は、画像シフトスコアを計算するために、適用することが可能である。オブジェクトあるいはページ全体が、小量のみシフトする場合、単純ピクセル−バイ−ピクセル比較(ステップS21)は、大きな差分スコアを結果として生じるが、しかし、小シフトのための調整後において、そのスコアは劇的に低下する。画像シフトが検出される場合、検査画像は、シフトのために訂正され、そして、別のスコアを、再計算することが可能である。
【0035】
上記のスコアが全てのタイルに関して計算された後、1つ以上の最終スコア(画像の全体を通じて平均された各々の個別スコア、あるいは、画像差異の全体的な量を評価する1つ以上の結合されたスコアである場合がある)が、画像のために計算される(ステップS27)。最終スコアは、画像を分類するため、所定の閾値と比較される(ステップS28)。画像を、「良」あるいは「不良」として分類することが可能であり、あるいは、「良」と「不良」との間に属し、付加的な解析を必要とする画像のために、中間のカテゴリを使用することも可能である。カテゴリ化は、全てのスコアあるいは個別スコア(例えば、画像は、ある特定のスコアに関し「良」であり、別のスコアに関し「不良」であるかもしれない)に基づくことが可能である。カテゴリは、任意の所望の方法で、定義することが可能である。一例において、1つの閾値を、各スコアために定義し、そして、画像は、全てのスコアがそれぞれの閾値の下にある場合、「良」と判断され、全てのスコアがそれぞれの閾値を超えている場合、「不良」と判断され、また、一部のスコアがそれぞれの閾値を超えており、かつ、一部のスコアがそれぞれの閾値の下にある場合、「中間」と判断される。
【0036】
上記で指摘したように、自動化アプローチにおいて、解析アルゴリズムがパラメータを使用する場合には1組の事前設定パラメータと共に、画像解析ステップS26A〜S26Dが、自動的に実行される。あるいは、実行のためのプログラムを提示する場合、オペレータは、ステップS26A〜S26Dのどれが自動的に実行されるかについて指定することが可能である。別の選択肢として、プログラムは、全てのタイルを処理し、ステップS26A〜S26Dを実行することなく、ステップS25を実行し、比較画像ファイルを生成することが可能である。その後、プログラムは、一時的停止し、差分画像タイルを視覚的に検査する機会を、オペレータに与えることが可能である。オペレータは、次に、画像解析ステップS26A〜S26Dの1つ以上を実行するように、プログラムに指示することを選択することが可能である。
【0037】
図1の方法の多様なステップは、ステップS11、S13およびS14を含んでおり、汎用コンピュータによって実行することが可能である。上記したソフトウェア開発中において画像比較を実行するための自動方法は、用紙上に各画像を印刷し、それらを人力で比較する従来の方法を越える多くの利点を有する。主要な利点は、時間および費用(リソース)節約である。具体的には、画像生成(図1のステップS11およびS13)は、無人(例えば夜通し)で実行することが可能であり、また、プリンタハードウエア、紙、トナーあるいは他の消耗品を必要としない。画像比較(図1のステップS14および図2)もまた、無人で実行させることが可能であり、また、人間のオペレータには、比較が完了すると、結果が通知される。人間のオペレータは、差異が所定の閾値を超えていた画像を、検査することを必要とするのみであり、1つずつ各画像を検査する必要はない。比較結果は、画像の全体でなく、異なっている画像の部分のみを、オペレータが検査することを可能とするフォーマットで、記憶され、付加的な時間が節約される。
【0038】
主要な他の利点は、多様な比較アルゴリズムを使用して、画像差異を評価し、各差異が、エラーとして判断すべできであるか否かを決定することが可能であることである。前記のアルゴリズムは、異なる検査シナリオあるいは条件に適応させるために、拡張可能および/または設定可能とすることができ、また、対話式に実行することが可能である。
【0039】
自動画像比較方法はまた、一般的に、印刷画像を経由して人力でそれらを比較するのと同等の速さ、あるいは、より早く、自動方法を経由して2つの画像を比較するため、ソフトウェアの開発中における全体的なパフォーマンスを増加させる。
【0040】
本発明のデジタル画像比較方法において、本発明の意図あるいは範囲から逸脱することなく、多様な修正および変化を為すことが可能であることは、当業者にとって明らかである。したがって、本発明は、添付される請求の範囲およびそれらの等価の範囲内にある修正および変化を包含することを、意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージングソフトウェア開発において有用なデジタル画像比較方法であって、
(a)開発中のイメージングソフトウェアを使用し、プリントデータから検査デジタル画像を生成するステップ、
(b)基準ソフトウェアを使用し、前記プリントデータから基準デジタル画像を生成するステップ、
(c)コンピュータによって実行される画像比較プログラムを使用し、前記検査デジタル画像と前記基準デジタル画像とを、自動的に比較するステップ、および、
(d)人間のオペレータに、比較結果を提示するステップ、
を有しており、
前記ステップ(c)は、
(c1)前記検査デジタル画像および前記基準デジタル画像を、複数の検査タイルおよび基準タイルに分割し、各検査タイルは、一定の基準タイルに対応しているステップ、
(c2)各検査タイルと対応する基準タイルとのピクセル−バイ−ピクセル比較を実行するステップ、
(c3)少なくとも検査タイルと基準タイルとが異なっている場合、各検査タイルと対応する基準タイルとの間の差異を表現している差分タイルを生成するステップ、および、
(c4)各差分タイルを、対応する検査タイルおよび基準タイルと共に、画像ファイルに記憶し、前記タイルは、前記画像ファイルにおいて互いに隣接しているステップ、
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
(e)前記検査デジタル画像を画像ファイルとして記憶するステップを、さらに有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップ(d)は、表示画面上に前記画像ファイルを表示するステップを有することを特徴とする請求項1又請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップ(c)は、
(c5)各差分タイルのために、1以上の差分スコアを計算し、各差分スコアは、前記検査タイルと前記基準タイルとの間の差異の程度を表現しているステップ、
(c6)前記差分タイルのための差分スコアから、前記検査画像のために、1以上の差分スコアを計算するステップ、および、
(c7)前記検査画像のための1以上の差分スコアに基づいて、前記検査画像を分類するステップ、
をさらに有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記差分スコアの1つは、異なっている差分タイルのピクセルの割合の程度を表現している密度スコアである
ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記差分スコアの1つは、異なっているピクセルの密度の度合いを、表現している分布スコアであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記差分スコアの1つは、オブジェクトの細いラインおよびエッジを含んでいる差分タイルにおける線形特徴の量を表現している線形特徴スコアであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記差分スコアの1つは、前記検査画像と前記基準画像との間におけるシフトを表現している画像シフトスコアであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記ステップ(c5)は、
計算される1つ以上の差分スコアを指定するステップ、
前記計算のための1つ以上のパラメータをセットする命令を受信するステップ、および、
前記セットされたパラメータを使用し、指定された差分スコアを計算するステップ
を含んでいることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項10】
コンピュータに、デジタル画像比較方法を実行させるために構成されるコンピュータプログラムであって、
前記方法は、
(a)開発中のイメージングソフトウェアを使用し、プリントデータから検査デジタル画像を生成するステップ、
(b)基準ソフトウェアを使用し、前記プリントデータから基準デジタル画像を生成するステップ、
(c)コンピュータによって実行される画像比較プログラムを使用し、前記検査デジタル画像と前記基準デジタル画像とを、自動的に比較するステップ、および、
(d)人間のオペレータに、比較結果を提示するステップ、
を有しており、
前記ステップ(c)は、
(c1)前記検査デジタル画像および前記基準デジタル画像を、複数の検査タイルおよび基準タイルに分割し、各検査タイルは、一定の基準タイルに対応しているステップ、
(c2)各検査タイルと対応する基準タイルとのピクセル−バイ−ピクセル比較を実行するステップ、
(c3)少なくとも検査タイルと基準タイルとが異なっている場合、各検査タイルと対応する基準タイルとの間の差異を表現している差分タイルを生成するステップ、および、
(c4)各差分タイルを、対応する検査タイルおよび基準タイルと共に、画像ファイルに記憶し、前記タイルは、前記画像ファイルにおいて互いに隣接しているステップ、
を有することを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項11】
前記方法は、(e)前記検査デジタル画像を画像ファイルとして記憶するステップを、さらに有することを特徴とする請求項10に記載のコンピュータプログラム。
【請求項12】
前記ステップ(d)は、表示画面上に前記画像ファイルを表示するステップを有することを特徴とする請求項10又は請求項11に記載のコンピュータプログラム。
【請求項13】
前記ステップ(c)は、
(c5)各差分タイルのために、1以上の差分スコアを計算し、各差分スコアは、前記検査タイルと前記基準タイルとの間の差異の程度を表現しているステップ、
(c6)前記差分タイルのための差分スコアから、前記検査画像のために、1以上の差分スコアを計算するステップ、および、
(c7)前記検査画像のための1以上の差分スコアに基づいて、前記検査画像を分類するステップ、
を有することを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項14】
前記差分スコアの1つは、異なっている差分タイルのピクセルの割合の程度を表現している密度スコアであることを特徴とする請求項13に記載のコンピュータプログラム。
【請求項15】
前記差分スコアの1つは、異なっているピクセルの密度の度合いを、表現している分布スコアであることを特徴とする請求項13に記載のコンピュータプログラム。
【請求項16】
前記差分スコアの1つは、オブジェクトの細いラインおよびエッジを含んでいる差分タイルにおける線形特徴の量を表現している線形特徴スコアであることを特徴とする請求項13に記載のコンピュータプログラム。
【請求項17】
前記差分スコアの1つは、前記検査画像と前記基準画像との間におけるシフトを、表現している画像シフトスコアであることを特徴とする請求項13に記載のコンピュータプログラム。
【請求項18】
前記ステップ(c5)は、
計算される1つ以上の差分スコアを指定するステップ、
前記計算のための1つ以上のパラメータをセットする命令を受信するステップ、および、
前記セットされたパラメータを使用し、指定された差分スコアを計算するステップ
を含んでいることを特徴とする請求項13に記載のコンピュータプログラム。
【請求項19】
請求項9〜18のいずれか1項に記載のコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−33550(P2010−33550A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−143016(P2009−143016)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(507031918)コニカ ミノルタ システムズ ラボラトリー, インコーポレイテッド (157)
【Fターム(参考)】