インクカートリッジ及びインクジェット記録システム
【課題】装着されていない状態におけるインク漏れを防止するとともに、着脱途中にインクが漏れた場合でもその漏れたインクが周囲に付着するのを防止することができるインクカートリッジを提供すること。
【解決手段】インクカートリッジ4は、インクを貯留するインク室25とこのインク室25内のインクを導出するインク導出口29とを有するカートリッジ本体20と、カートリッジ本体20のインク導出口29を閉止可能な蓋部31を有し、カートリッジ本体20に回動可能に設けられた回動部材21とを備えている。また、回動部材21の蓋部31は、インク導出口29を塞ぐ閉止位置とインク導出口29を開放する開放位置とに亙って変位可能であり、開放位置にあるときには、蓋部31は、インク導出口29からカートリッジ本体20の装着姿勢における下方へ離間している。
【解決手段】インクカートリッジ4は、インクを貯留するインク室25とこのインク室25内のインクを導出するインク導出口29とを有するカートリッジ本体20と、カートリッジ本体20のインク導出口29を閉止可能な蓋部31を有し、カートリッジ本体20に回動可能に設けられた回動部材21とを備えている。また、回動部材21の蓋部31は、インク導出口29を塞ぐ閉止位置とインク導出口29を開放する開放位置とに亙って変位可能であり、開放位置にあるときには、蓋部31は、インク導出口29からカートリッジ本体20の装着姿勢における下方へ離間している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを貯留するインクカートリッジ、及び、インクカートリッジとインクジェット記録装置とを備えたインクジェット記録システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、記録用紙等の被記録媒体に対してインクを噴射して所望の画像等を記録するインクジェットプリンタには、インクを貯留するインクカートリッジが着脱自在に装着される。ところで、このようなインクジェットプリンタにおいては、インクカートリッジを着脱する際に、インクカートリッジからインクが漏れて周囲を汚してしまうという問題が従来から指摘されていた。
【0003】
例えば、インクカートリッジを開封してからプリンタに装着するまでの間や、プリンタに装着されている空のインクカートリッジを取り外して廃棄するまでの間において、インクが導出されるインク導出口が開放された状態であるため、インクカートリッジに振動が作用したときにインク導出口からインクが漏れてしまい、周囲を汚してしまうことがあった。
【0004】
そこで、従来から、開封後のインクカートリッジからのインク漏れを防止することが可能なインクカートリッジが提案されている。その中でも、特許文献1に記載のインクカートリッジは、側壁に形成されたインク導出口(連結開口)を閉止する位置とインク導出口を開放する位置とに亙って、側壁にスライド可能に装着されたスライド板とを有する。そして、インクカートリッジを装着しないときにはスライド板によりインク導出口を閉止し、インクカートリッジをプリンタに装着する直前にスライド板を開放位置にスライドさせてインク導出口を開放する。これにより、インクカートリッジが装着されていない状態でインク導出口からインクが漏れるのを防止することが可能になっている。
【0005】
【特許文献1】特開平6−328713号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のインクカートリッジにおいては、プリンタに装着されていない状態ではスライド板でインク導出口を閉止できるものの、実際に装着を行う直前には、プリンタと接続するためにインク導出口を開放しないといけない。しかし、装着途中において、プリンタ側のカートリッジ装着部に挿入されてからインク導出口がプリンタと接続されるまでインクカートリッジが移動する際、あるいは、インク導出口とプリンタとを接続する際に、インクカートリッジに振動が生じやすい。そのため、このような装着途中に生じる振動によってインク導出口からインクが漏れて、プリンタ(カートリッジ装着部)内を汚してしまう虞があった。
【0007】
本発明の目的は、装着されていない状態におけるインク漏れを防止するとともに、着脱途中にインクが漏れた場合でもその漏れたインクが周囲に付着するのを防止することができるインクカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明のインクカートリッジは、インクジェット記録装置のカートリッジ装着部に対して所定の挿入方向に挿入されることにより装着されるインクカートリッジであって、
インクを貯留するインク室とこのインク室内のインクを前記インクジェット記録装置へ向けて導出するインク導出口とを有するカートリッジ本体と、前記カートリッジ本体のインク導出口を閉止可能な蓋部を有し、前記蓋部が前記インク導出口を塞ぐ閉止位置と、前記インク導出口から前記カートリッジ本体の装着姿勢における下方へ離間した前記インク導出口を開放する開放位置と、に亙って変位可能であるように、前記カートリッジ本体に回動可能に設けられた回動部材とを備えていることを特徴とするものである。
【0009】
この構成によれば、インクカートリッジを装着するときのみ、回動部材の蓋部を開放位置に変位させることで、インクカートリッジが装着されていない状態における、インク導出口からのインクの漏れや貯留されているインクの乾燥を防止できる。また、インク導出口を開放する開放位置にあるときには、蓋部は、インク導出口から、カートリッジ本体の装着姿勢における下方へ離間している。そのため、着脱途中にインク導出口からインクが漏れ出て下方へ垂れたとしても、そのインクはインク導出口の下側に位置する蓋部により受け止められるため、インクが周囲に付着して汚れることがない。さらに、インク導出口を開閉可能な蓋部がカートリッジ本体に連結された構造であるため、インクカートリッジの装着後に蓋部がなくなってしまうことがなく、カートリッジ装着部から取り外されたときにはインク導出口に再度蓋部を取り付けることができる。
【0010】
第2の発明のインクカートリッジは、前記第1の発明において、前記蓋部の、前記閉止位置にあるときの前記インク導出口と反対側の面に突出部が形成されていることを特徴とするものである。この構成によれば、インクカートリッジを装着する直前にインク導出口を開放する際、あるいは、取り外した直後にインク導出口を閉止する際に、突出部をつまんで蓋部を容易に操作することができる。
【0011】
第3の発明のインクカートリッジは、前記第1又は第2の発明において、前記蓋部の、前記閉止位置にあるときの前記インク導出口側の面に、凹凸部が形成されていることを特徴とするものである。この構成によれば、インク導出口から漏れたインクが、蓋部で受け止められた後に凹凸部において毛管力により捕捉され、インクが蓋部に保持されるため、蓋部からインクが流れ落ちるのを防止できる。
【0012】
第4の発明のインクカートリッジは、前記第3の発明において、前記凹凸部は、前記インク導出口側の面の、前記インク導出口を塞ぐ領域以外の領域に形成されていることを特徴とするものである。この構成によれば、蓋部が閉止位置にあるときに、凹凸部がインク導出口に接触しないため、インク導出口が確実に閉止される。
【0013】
第5の発明のインクカートリッジは、前記第1〜第4の何れかの発明において、前記カートリッジ本体が装着姿勢にあるときに、前記インク導出口が前記挿入方向先端側に位置しており、さらに、前記回動部材の回動支点が、前記インク導出口よりも下方に位置していることを特徴とするものである。このように、回動部材の回動支点が、インク導出口よりも下方に位置していると、回動部材の蓋部を閉止位置から下方へ回動させて、インク導出口を開放するのが容易になる。
【0014】
第6の発明のインクカートリッジは、前記第5の発明において、前記回動支点は、前記インク導出口よりも前記挿入方向における後側に位置していることを特徴とするものである。この構成によれば、回動部材の蓋部が開放位置にあるときに、インク導出口と蓋部との位置を挿入方向において近接させることができるので、インク導出口から漏れたインクを蓋部により下方から確実に受け止めることができる。
【0015】
第7の発明のインクカートリッジは、前記第1〜第6の何れかの発明において、前記カートリッジ本体が装着姿勢にあるときに、前記インク導出口が、前記カートリッジ本体の重心を通る水平面よりも下側にあることを特徴とするものである。この構成によれば、 インク導出口がカートリッジ本体の下部にあることから、インクカートリッジ内のインクを、残すことなく最後まで使い切ることが可能になる。
【0016】
第8の発明のインクカートリッジは、前記第1〜第7の何れかの発明において、前記回動部材は、前記蓋部と連結されるとともに、その回動支点に対して前記蓋部とほぼ反対側の位置まで延び、前記蓋部と一体的に回動可能なアーム部を有し、前記アーム部の前記蓋部とほぼ反対側に位置する部分に、前記カートリッジ装着部内に設けられた凹状又は凸状の第1係合部と係合可能な第2係合部が設けられ、前記カートリッジ本体が前記カートリッジ装着部に対して前記挿入方向に挿入されるときに、前記第2係合部が前記第1係合部に係合した状態で前記挿入方向に移動することにより前記アーム部が回動し、それに伴って、前記蓋部が前記閉止位置から下方へ回動して前記開放位置に移動するように構成されていることを特徴とするものである。
【0017】
この構成によれば、インクカートリッジの装着時に、カートリッジ装着部内に設けられた第1係合部に、アーム部に設けられた第2係合部が係合した状態で、さらにカートリッジ本体をカートリッジ装着部に挿入していくと、アーム部が回動し、さらに、そのアーム部の回動に伴って、蓋部が閉止位置から開放位置へ移動する。つまり、インクカートリッジの装着動作に連動させてインク導出口を開放することができるため、インクカートリッジの装着前に、蓋部が開放位置に位置するようにユーザが回動部材を操作する必要がない。
【0018】
第9の発明のインクカートリッジは、前記第8の発明において、前記カートリッジ装着部は、その内側面に、前記第1係合部として、前記挿入方向に沿って下から上へ傾斜して延びる溝を有するものであり、前記アーム部には、前記第2係合部として、前記溝に係合可能な突出部が設けられ、前記カートリッジ本体が前記カートリッジ装着部に対して前記挿入方向に挿入されるときに、前記突出部が前記溝に沿って下方から上方へ移動することにより、前記蓋部が前記閉止位置から下方へ回動して前記開放位置に移動するように構成されていることを特徴とするものである。
【0019】
この構成によれば、インクカートリッジの装着時に、カートリッジ装着部内に設けられた溝にアーム部に設けられた突出部が係合した状態で、さらにカートリッジ本体をカートリッジ装着部に挿入していくと、突出部が溝に沿って下方から上方へ移動し、これに伴って、蓋部が閉止位置から下方へ回動して開放位置に移動する。従って、インクカートリッジの装着動作に連動させてインク導出口を開放することができる。
【0020】
第10の発明のインクカートリッジは、前記第8の発明において、前記カートリッジ装着部は、その底面に、前記第1係合部として、前記挿入方向に並べて配置された複数の第1歯部を有するものであり、前記アーム部には、その回動方向に沿って配置されて、前記複数の第1歯部に係合可能な複数の第2歯部が設けられ、前記カートリッジ本体が前記カートリッジ装着部に対して前記挿入方向に挿入されるときに、前記第2歯部が前記第1歯部と係合しつつ前記アーム部が回動することにより、前記蓋部が前記閉止位置から下方へ回動して前記開放位置に移動するように構成されていることを特徴とするものである。
【0021】
この構成によれば、インクカートリッジの装着時に、カートリッジ装着部内に設けられた第1係合部としての第1歯部に、アーム部に設けられた第2係合部としての第2歯部が係合した状態で、さらにカートリッジ本体をカートリッジ装着部に挿入していくと、アーム部が回動して、第2歯部と回動支点に関して反対側に位置する蓋部が閉止位置から開放位置へ移動する。従って、インクカートリッジの装着動作に連動させてインク導出口を開放することができる。
【0022】
第11の発明のインクカートリッジは、インクを貯留するインク室とこのインク室内のインクを外部へ導出するインク導出口とを有するカートリッジ本体と、前記カートリッジ本体のインク導出口を閉止可能な蓋部を有し、且つ、前記蓋部が前記インク導出口を塞ぐ閉止位置と、前記インク導出口から前記カートリッジ本体のインク導出姿勢における下方へ離間した前記インク導出口を開放する開放位置と、に亙って変位可能であるように、前記カートリッジ本体に回動可能に設けられた回動部材とを備えていることを特徴とするものである。
【0023】
この構成によれば、インクカートリッジを装着するときのみ、回動部材の蓋部を開放位置に変位させることで、インクカートリッジが装着されていない状態における、インク導出口からのインクの漏れや貯留されているインクの乾燥を防止できる。また、開放位置にあるときには、蓋部は、インク導出口から、カートリッジ本体のインク導出姿勢における下方へ離間している。そのため、インク導出姿勢にあるインクカートリッジを着脱する途中に、インク導出口からインクが漏れて下方へ垂れたとしても、そのインクはインク導出口の下側に位置する蓋部により受け止められるため、インクが周囲に付着して汚れることがない。さらに、インク導出口を開閉可能な蓋部がカートリッジ本体に連結された構造であるため、インクカートリッジの装着後に蓋部がなくなってしまうことがない。
【0024】
第12の発明のインクジェット記録システムは、インクジェットヘッドを有するインクジェット記録装置と、このインクジェット記録装置のカートリッジ装着部に所定の挿入方向に挿入されることにより装着されるインクカートリッジとを備えたインクジェット記録システムであって、
前記インクカートリッジは、インクを貯留するインク室とこのインク室内のインクを前記インクジェットヘッドへ向けて導出するインク導出口とを有するカートリッジ本体と、前記カートリッジ本体のインク導出口を閉止可能な蓋部を有し、且つ、前記蓋部が前記インク導出口を塞ぐ閉止位置と、前記インク導出口から前記カートリッジ本体の装着姿勢における下方へ離間した前記インク導出口を開放する開放位置と、に亙って変位可能であるように、前記カートリッジ本体に回動可能に設けられた回動部材とを備えていることを特徴とするものである。
【0025】
この構成によれば、インクカートリッジを装着するときのみ、回動部材の蓋部を開放位置に変位させることで、インクカートリッジが装着されていない状態における、インク導出口からのインクの漏れとインクの乾燥を防止できる。また、インク導出口を開放する開放位置にあるときには、蓋部は、インク導出口から、カートリッジ本体の装着姿勢における下方へ離間している。そのため、着脱途中にインク導出口からインクが漏れて下方へ垂れたとしても、そのインクはインク導出口の下側に位置する蓋部により受け止められるため、インクが周囲に付着して汚れることがない。さらに、インク導出口を開閉可能な蓋部がカートリッジ本体に連結された構造であるため、インクカートリッジの装着後に蓋部がなくなってしまうことがない。
【0026】
第13の発明のインクジェット記録システムは、前記第12の発明において、 前記カートリッジ装着部内に凹状又は凸状の第1係合部が設けられ、前記インクカートリッジの前記回動部材は、前記蓋部と連結されるとともに、その回動支点に対して前記蓋部とほぼ反対側の位置まで延び、前記蓋部と一体的に回動可能なアーム部を有し、前記アーム部の前記蓋部とほぼ反対側に位置する部分に、前記第1係合部と係合可能な第2係合部が設けられ、前記カートリッジ本体が前記カートリッジ装着部に対して前記挿入方向に挿入されるときに、前記第2係合部が前記第1係合部に係合した状態で前記挿入方向に移動することにより前記アーム部が回動し、それに伴って、前記蓋部が前記閉止位置から下方へ回動して前記開放位置に移動するように構成されていることを特徴とするものである。
【0027】
この構成によれば、インクカートリッジの装着時に、カートリッジ装着部内に設けられた第1係合部に、アーム部に設けられた第2係合部が係合した状態で、さらにカートリッジ本体がカートリッジ装着部に挿入されていくと、アーム部が回動し、そのアーム部の回動に伴って、蓋部が閉止位置から開放位置へ移動する。つまり、インクカートリッジの装着動作に連動させてインク導出口を開放することができ、インクカートリッジの装着前に、蓋部が開放位置に位置するようにユーザが回動部材を操作する必要がない。
【0028】
第14の発明のインクジェット記録システムは、前記第12又は第13の発明において、前記カートリッジ装着部は、前記インクカートリッジが装着されたときに前記インクカートリッジの一部が接触することによって、その装着状態を検出する装着状態検出部を有することを特徴とするものである。この構成によれば、装着状態検出部により、インクカートリッジが装着されているか否かを検出することができる。
【0029】
第15の発明のインクジェット記録システムは、前記第12〜第14の何れかの発明において、前記装着状態検出部は、前記カートリッジ装着部の底面に形成された凹部の奥端面に配置され、前記蓋部の、前記閉止位置にあるときの前記インク導出口と反対側の面に突出部が形成され、前記インクカートリッジの装着が完了したときに、前記インク導出口から下方へ離間した前記開放位置にある前記蓋部の前記突出部先端が前記装着状態検出部に接触することを特徴とするものである。
【0030】
この構成によれば、インクカートリッジの装着に伴って回動部材が回動し、蓋部が開放位置に移動したときに、その蓋部の突出部の先端が、凹部の奥端に配置された装着状態検出部に接触するため、装着状態検出部によりインクカートリッジの装着が検出される。また、装着状態検出部がカートリッジ装着部の底面の凹部内に配置されているため、他の物体が装着状態検出部に接触しにくくなり、インクカートリッジの装着を誤って検出してしまうのが極力防止される。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、インクカートリッジを装着するときのみ、回動部材の蓋部を開放位置に変位させることで、インクカートリッジが装着されていない状態における、インク導出口からのインクの漏れと貯留されているインクの乾燥を防止できる。また、着脱途中にインク導出口からインクが漏れ出て下方へ垂れたとしても、そのインクはインク導出口の下側に位置する蓋部により受け止められるため、インクが周囲に付着して汚れることがない。さらに、インク導出口を開閉可能な蓋部がカートリッジ本体に連結された構造であるため、インクカートリッジの装着後に蓋部がなくなってしまうことがなく、インクカートリッジがカートリッジ装着部から取り外されたときには、そのインク導出口に再度蓋部を取り付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明の実施の形態について説明する。まず、インクカートリッジと、このインクカートリッジから供給されたインクを使用して記録用紙に所望の文字や画像等を記録するインクジェットプリンタとを含む、インクジェット記録システムについて、図1を参照して簡単に説明する。
【0033】
図1に示すように、本実施形態のインクジェット記録システム1は、記録用紙Pに対してインクを噴射して所望の画像等を記録するインクジェットプリンタ2(インクジェット記録装置)と、このインクジェットプリンタ2の全体動作を制御する制御装置3(図5参照)と、インクジェットプリンタ2で使用される4色(シアン(C)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、及び、ブラック(BK))のインクをそれぞれ貯留する4つのインクカートリッジ4などを備えている。
【0034】
インクジェットプリンタ2は、それぞれインクの液滴を下方へ噴射する複数のノズル(図示省略)を有するインクジェットヘッド5と、このインクジェットヘッド5の下方において記録用紙Pを所定の用紙搬送方向(図1の左方)へ搬送する搬送機構6と、4つのインクカートリッジ4がそれぞれ装着される4つのカートリッジ装着部8を有するホルダ7とを備えている。
【0035】
インクジェットヘッド5は、図1の紙面垂直方向に延びる2本のガイド軸10に沿って往復移動可能なキャリッジ9に装着されている。また、ホルダ7の4つのカートリッジ装着部8には、4色のインクをそれぞれ貯留するインクカートリッジ4が所定の装着方向(図1の紙面垂直方向)に着脱自在に装着される。さらに、インクジェットヘッド5とホルダ7の4つのカートリッジ装着部8は、4本のチューブ15を介して互いに接続されている。従って、4つのカートリッジ装着部8に4つのインクカートリッジ4がそれぞれ装着されている状態では、4つのインクカートリッジ4に貯留されている4色のインクがチューブ15を介してインクジェットヘッド5にそれぞれ供給される。
【0036】
そして、インクジェットプリンタ2は、インクジェットヘッド5をキャリッジ9と一体的に図1の紙面垂直方向に移動させながら、インクジェットヘッド5の複数のノズルから、搬送機構6により図1の左方へ搬送される記録用紙Pに対して4色のインクを噴射して、記録用紙Pに画像等を記録するように構成されている。
【0037】
また、インクジェットプリンタ2は、インクジェットヘッド5のインク流路内に混入したエアや高粘度化したインクを吸引するパージ機構11をさらに備えている。このパージ機構11は、インクジェットヘッド5の複数のノズルが開口するインク吐出面(図1の下面)に対して接近/離隔する方向に移動可能で、且つ、インクジェットヘッド5にインク吐出面を覆うように装着可能なパージキャップ12と、ノズルからインクを吸引する吸引ポンプ13を備えている。そして、パージ機構11は、パージキャップ12がインク吐出面を覆っている状態で吸引ポンプ13による吸引動作を行うことにより、インク流路内に混入したエアや、あるいは、水分が蒸発して高粘度化したインクを、ノズルから強制的に排出するように構成されている。
【0038】
次に、インクカートリッジ4について図2を参照して説明する。尚、4色のインクをそれぞれ貯留する4つのインクカートリッジ4は全て同様の構造を有することから、以下ではそれらのうちの1つについて説明する。
【0039】
図2に示すように、インクカートリッジ4は、インクを貯留するインク室25とこのインク室25内のインクを外部へ導出するインク導出口29とを有するカートリッジ本体20と、このカートリッジ本体20に回動可能に設けられた回動部材21とを備えている。そして、このインクカートリッジ4は、インク導出口29をカートリッジ装着部8に向けた状態で、このカートリッジ装着部8内に挿入される。以下、インクカートリッジ4のカートリッジ装着部8への挿入方向を前方と定義して説明する。
【0040】
カートリッジ本体20は、インク貯留体22と、このインク貯留体22の前端面に固着された環状のジョイント部材23とを有する。
インク貯留体22は、略6面体(直方体)に構成されており、さらに、最も大きな面積の2つの矩形面が対向し、これら2つの矩形面が他の4面によって連結された構造を有する。そして、インクカートリッジ4は、図2(b)に示すように、インク貯留体22の前記2つの矩形面が2つの側面となる姿勢(装着姿勢)で、その長手方向に沿ってカートリッジ装着部8に挿入されて装着される(図6〜図9参照)。
【0041】
インク貯留体22の内部にはインクを貯留するインク室25が形成され、さらに、インク貯留体22の前端部にはインク室25から前方へ延びるインク導出路26が形成されている。また、インク貯留体22の前端部には、その底面から下方へそれぞれ突出するとともに、インク貯留体22の幅方向に並び、後述する回動部材21を回動自在に支持する2つの支持部27が形成されている。尚、インク貯留体22の幅方向に並ぶ2つの支持部27の間には、必然的に凹部28が形成されることになり、インクカートリッジ4の装着時には、この凹部28はカートリッジ装着部8内に凸状に形成されたガイド部47と係合する(図6〜図9参照)。
【0042】
ジョイント部材23には、インク導出路26に連通するとともに、前方へ開口したインク導出口29が形成されている。つまり、カートリッジ本体20が装着姿勢にあるときに、ジョイント部材23(インク導出口29)は、インクカートリッジ4の挿入方向先端側に位置している。さらに、カートリッジ本体20の装着姿勢において、ジョイント部材23(インク導出口29)は、カートリッジ本体20(インク貯留体22)の重心を通る水平面Aよりも下側に位置している。そのため、インク室25内のインクを、インク導出口29からインクを残すことなく導出し、インク室25内のインクを最後まで使い切ることが可能になっている。
【0043】
そして、インクカートリッジ4の装着状態では、インク室25内のインクは、前方へ延びるインク導出路26を介して、インク導出口29から前方のカートリッジ装着部8へ向けて導出される(即ち、インクが導出される方向は、インクカートリッジ4の挿入方向(前方)と平行である)。尚、ジョイント部材23は、インクカートリッジ4の挿入状態でカートリッジ装着部8の装着面49に密着して(図9参照)、接続部分からのインク漏れを確実に防止することができるように、ゴム等の弾性を有する材料で形成されていることが好ましい。
【0044】
図2、図3に示すように、回動部材21は、カートリッジ本体20に回動自在に支持された2つのアーム部30と、これら2つのアーム部30に一体的に連結され、カートリッジ本体20のインク導出口29を閉止可能な蓋部31を備えている。
【0045】
各アーム部30は、直交する2方向にそれぞれ延びるとともに、互いに長さの異なる2つの延在部30a,30bを有し、L字形状に形成されている。また、2つのアーム部30は、インク貯留体22の2つの支持部27よりも幅方向外側にそれぞれ配置されている。そして、2つのアーム部30は、長い方の延在部30aの長さ方向途中部において、それぞれ、2つの支持部27に回動軸32を介して回動自在に支持されている。従って、図2(b)に示すように、回動部材21の回動軸32(回動支点)は、ジョイント部材23(インク導出口29)よりも下方、且つ、後方に位置している。また、回動軸32には、捻りバネ34が設けられており、アーム部30は捻りバネ34により図2(b)の時計回りの方向に付勢されている。
【0046】
2つのアーム部30の短い方の延在部30bの端部はそれぞれ蓋部31に連結されている。また、アーム部30の長い方の延在部30aの端部は、アーム部30の回動軸32(回動支点)に関して蓋部31とほぼ反対側に位置している。そして、長い方の延在部30aの端部には、幅方向外側へ水平に延びる水平突出部35(第2係合部)が形成されている。後述するように、インクカートリッジ4の着脱時には、幅方向外側に突出した2つの水平突出部35は、カートリッジ装着部8内に形成された2つの溝54にそれぞれ係合しながら移動し、それに伴って、アーム部30がほぼ90度回動する(図6〜図8参照)。
【0047】
蓋部31は矩形平板状に形成され、2つのアーム部30の延在部30bと同一平面内において、これら2つの延在部30bの先端部に連結されている。そして、この蓋部31は、2つのアーム部30が回動軸32を中心に回動することによって、インク導出口29を塞ぐ閉止位置と、インク導出口29から離間した開放位置とに亙って変位可能となっている。また、前述したように、回動軸32に設けられた捻りバネ34により、回動部材21が図2(b)の時計回りの方向に付勢されている。つまり、蓋部31は、捻りバネ34の付勢力により閉止位置へ向けて付勢されている。
【0048】
カートリッジ本体20が装着姿勢にあるときに、図2(b)に実線で示すように、2つのアーム部30の短い方の延在部30bが鉛直方向(上方)へ向いている状態では、蓋部31も鉛直姿勢をとり、さらに、蓋部31の図2(b)の右側の面(以下、封止面31aという)がジョイント部材23の前端面に密着して、インク導出口29を塞ぐ(閉止位置)。そのため、蓋部31が閉止位置にあるときには、インク導出口29からインクが流れ出るのが蓋部31により防止される。
【0049】
一方、図2(b)に2点鎖線で示すように、2つのアーム部30の延在部30bが水平方向(前方)へ向いている状態では、蓋部31は水平姿勢をとり、蓋部31の封止面31aがジョイント部材23の前端面のインク導出口29から離間している。そのため、蓋部31が開放位置にあるときには、インク導出口29からインクを前方へ導出することが可能となる。さらに、開放位置においては、蓋部31は、インク導出口29から下方へ離間している。従って、インク導出口29からインクが漏れ出て、下方へ垂れた場合でも、そのインクは、インク導出口29の下方に位置する蓋部31の封止面31aにより受け止められる。
【0050】
また、図3に示すように、蓋部31が閉止位置にあるときにインク導出口29側に位置する封止面31aには、凹凸部31bが形成されている。そのため、インク導出口29から落下したインクは、封止面31aに受け止められた後、凹凸部31bの凹みに毛管力で吸引されて捕捉されるため、インクが封止面31aに保持され、蓋部31からインクが流れ落ちるのを防止できる。さらに、図3に示すように、凹凸部31bは、封止面31aの延在部30bに連なる端部領域、つまり、ジョイント部材23の前端面に接触する領域(インク導出口29を塞ぐ領域)以外の領域に形成されている。そのため、蓋部31が閉止位置にあるときに凹凸部31bがインク導出口29に接触しないことから、高いシール性が維持され、インク導出口29が確実に閉止される。
【0051】
さらに、図2に示すように、蓋部31の封止面31aと反対側の面には、円錐台状に突出した突出部36が形成されている。この突出部36は、インクカートリッジ4が装着されたときに、カートリッジ装着部8内に設けられたカートリッジ検出センサ60の検出部60a(図4参照)に接触する。この突出部36の作用については、後ほど詳細に説明する。
【0052】
次に、前述のインクカートリッジ4が着脱自在に装着される、インクジェットプリンタ2側のホルダ7について説明する。尚、図4は、図1に概略的に示されているホルダ7の、インクカートリッジ4の挿入方向(図1の紙面垂直方向)を含む鉛直面に関する断面図である。図4に示すように、ホルダ7は、略直方体状のホルダ本体40を備えており、このホルダ本体40には、4色のインクカートリッジ4がそれぞれ装着される4つのカートリッジ装着部8が水平方向に並べて設けられている。4つのカートリッジ装着部8は全て同じ構成を有するものであるため、そのうちの1つについて以下説明する。
【0053】
カートリッジ装着部8は、底壁部41と、この底壁部41と対向する水平な上壁部42と、これら底壁部41と上壁部42のそれぞれの奥端部(図中左端部:挿入方向下流側の端部)を繋ぐように鉛直方向に延びる奥壁部43とを有する。また、各カートリッジ装着部8は、図3の紙面垂直方向に隣接するカートリッジ装着部8と側壁部44により隔てられている。尚、図4においては紙面向こう側に位置する側壁部44のみが示されているが、紙面手前側にも同様の側壁部44が配置されている。そして、底壁部41、上壁部42、奥壁部43、及び、2枚の側壁部44の内側に、挿入方向上流側(後側)にのみ開口し、上流側から挿入されたインクカートリッジ4が収容されるカートリッジ収容室45が形成されている。さらに、上壁部42には、カートリッジ収容室45を開閉する蓋部材46が回動可能に設けられている。
【0054】
底壁部41には上方へ突出するとともに、挿入方向に沿って延びるガイド部47が設けられており、このガイド部47の上端面は水平になっている。そして、インクカートリッジ4の着脱時には、このガイド部47は、インク貯留体22の下面に設けられた2つの支持部27の間の凹部28(図2参照)に係合して、インク貯留体22を下方から支持しながら挿入方向にガイドする。また、底壁部41の挿入方向上流側の端部(後端部)には、蓋部材46がカートリッジ収容室45を閉止する際に、この蓋部材46が係合する凹部41aが形成されている。
【0055】
底壁部41の前側(奥側)部分は後側部分よりも下方へ突出している。また、奥壁部43の下端部には、奥側(前側)へ凹んだ凹部43aが形成されている。これらの構成により、底壁部41と奥壁部43によって形成されるカートリッジ装着部8の角部付近には、カートリッジ収容室45から奥側下方へ膨らんだ空間48が形成されている。
【0056】
また、底壁部41の奥部上面(カートリッジ装着部8の底面)には凹部41bが形成され、さらに、この凹部41bの奥端には収容孔41cが連なっている。この収容孔には、インクカートリッジ4の装着を検出するカートリッジ検出センサ(図5参照)の検出部60a(装着状態検出部)が凹部41bの奥端から少し上方へ突出した状態で上下摺動可能に収容されている。そして、インクカートリッジ4の回動部材21の蓋部31に設けられた突出部36(図2参照)が、検出部60aに接触しているか否かによって、カートリッジ検出センサ60はインクカートリッジ4の有無を検出する。このように、カートリッジ検出センサ60の検出部60aが、カートリッジ装着部8の底面に形成された凹部41b内に設けられているため、万が一、カートリッジ装着部8内に、インクカートリッジ4とは別の物体が入り込んだときでも、その物体が検出部60aに接触しにくくなる。従って、カートリッジ検出センサ60により、インクカートリッジ4の装着を誤って検出してしまうのが極力防止される。
【0057】
さらに、奥壁部43には、インクカートリッジ4の装着時に、そのジョイント部材23の前端面が当接する装着面49と、この装着面49においてカートリッジ収容室45へ開口して、インクカートリッジ4のインク導出口29に連通可能なインク流路50が形成されている。尚、このインク流路50は、チューブ15を介してインクジェットヘッド5に接続されている(図1参照)。
【0058】
上壁部42の先端部には、蓋部材46が回動軸51を介して連結されている。この蓋部材46は、回動軸51を中心に、カートリッジ収容室45を塞ぐ閉止位置と、カートリッジ収容室45を開放する開放位置とに亙って回動可能である。
【0059】
蓋部材46の長さ方向途中部の内側部分(図4の閉止位置にあるときのカートリッジ収容室45側の部分)には、カートリッジ収容室45内に挿入されたインクカートリッジ4を押し込むための凸状の押圧部46aが形成されている。また、蓋部材46の先端部には、内側へ突出する係合部46bが形成されており、係合部46bが底壁部41の凹部41aに係合することによって、閉止位置にある蓋部材46が回動不能な状態に保持される。さらに、蓋部材46の外側部分には、蓋部材46を開閉する際にユーザにより操作される操作部46cが設けられている。
【0060】
カートリッジ収容室45を幅方向(図4の紙面垂直方向)に関して区画する2枚の側壁部44の内面(カートリッジ装着部8の内面)には、挿入方向上流側(後側)から下流側(前側)へ延びる溝52がそれぞれ形成されている。この溝52は、挿入方向上流側においては、底壁部41付近においてこの底壁部41と平行に延びている。また、挿入方向中央部においては、挿入方向に沿って底壁部41付近から上方へ傾斜している。さらに、挿入方向下流側においては、中央部における上方への傾斜よりも緩やかな傾斜で、奥壁部43の装着面49付近まで延びている。インクカートリッジ4の着脱時には、この溝52には、インクカートリッジ4の回動部材21に設けられた水平突出部35(図2参照)が係合する。
【0061】
次に、制御装置3を中心とするインクジェットプリンタ2の制御構成について、図5を参照して説明する。制御装置3は、中央処理装置であるCPU(Central Processing Unit)と、インクジェットプリンタ2の全体動作を制御する為の各種プログラムやデータ等が格納されたROM(Read Only Memory)と、CPUで処理されるデータ等を一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、入出力インターフェース等を備えている。この制御装置3には、PC等の入力装置200から印字データなどの情報が入力され、また、ユーザにより操作される操作部70から各種指令が入力される。さらに、カートリッジ検出センサ60から、インクカートリッジ4の装着有無に関する信号が入力される。そして、制御装置3は、これらの入力情報に基づいて、インクジェットヘッド5や搬送機構6等のインクジェットプリンタ2の各部の動作を制御するように構成されている。
【0062】
例えば、入力装置200から印字データが入力されたときには、制御装置3は、図1に示すように、搬送機構6を制御して記録用紙Pを用紙搬送方向に搬送させながら、キャリッジ9とともにインクジェットヘッド5を移動させて、インクジェットヘッド5の複数のノズルから記録用紙Pに対してインクの液滴を噴射させることにより、記録用紙Pに印字データに対応した文字や画像等を記録する。また、インクカートリッジ4が、あるカートリッジ装着部8に装着されていないなど、記録用紙Pへの記録動作を行う上で不具合がある場合には、メッセージを表示部71に表示させて、その状態をユーザに通知する。また、操作部70からユーザによりパージ指令が入力されたときや、インクカートリッジ4が交換されて、インクジェットヘッド5内に混入したエアや粘度の高くなったインクを排出する必要があるときには、パージ機構11を制御して、インクジェットヘッド5のノズルのパージを行わせる。
【0063】
次に、インクカートリッジ4の着脱時における、インクカートリッジ4及びカートリッジ装着部8の一連の作用について、図4及び図6〜図9を参照して説明する。
【0064】
図4に示すように、カートリッジ装着部8の蓋部材46がカートリッジ収容室45を閉止している状態から、インクカートリッジ4をカートリッジ装着部8に装着する際には、まず、蓋部材46の操作部46aを操作して、係合部46bと凹部41aとの係合状態を解除する。さらに、蓋部材46を図4の反時計回りに回動させて、カートリッジ収容室45を開放状態にする。
【0065】
この状態から、図6に示すように、インクカートリッジ4をカートリッジ収容室45内に挿入していく。尚、挿入される前の状態では、インクカートリッジ4の回動部材21の蓋部31は、捻りバネ34の付勢力により閉止位置に向けて付勢され、ジョイント部材23の前端面に密着してインク導出口29を塞いでいる。
【0066】
インクカートリッジ4が挿入されると、底壁部41に突出状に設けられたガイド部47が、インク貯留体22下部の2つの支持部27間の凹部28(図2参照)に係合し、さらに、ガイド部47の上面にインク貯留体22の下面が当接する。さらに、回動部材21のアーム部30に設けられた2つの水平突出部35が、カートリッジ装着部8の2枚の側壁部44に設けられた2つの溝52にそれぞれ係合する。そして、インクカートリッジ4は、カートリッジ本体20がガイド部47によりガイドされるとともに、回動部材21の水平突出部35が溝52にガイドされながら、前方へ移動する。
【0067】
図6に示すように、挿入初期段階では、インクカートリッジ4の水平突出部35が、カートリッジ装着部8側の溝52のうち、底壁部41(ガイド部47の上面)と平行な、水平に延在する部分と係合している。そのため、回動部材21は回動することなく、カートリッジ本体20と一体的に前方に移動する。
【0068】
図6の状態から、インクカートリッジ4が奥へ挿入されて、図7に示すように、水平突出部35が、溝52が上方へ傾斜している部分にさしかかると、その溝52の傾斜に沿って、水平突出部35も下方から上方へ移動する。すると、この水平突出部35の移動に伴って、回動部材21の回動支点に対して水平突出部35とほぼ反対側に位置する蓋部31が、捻りバネ34の付勢力に抗して、空間48内において開放位置へ向けて反時計回りの方向に回動する。つまり、蓋部31の封止面31aがジョイント部材23の前端面から下方へ離間するため、インク導出口29が開放される。
【0069】
図8に示すように、さらにインクカートリッジ4が奥へ挿入されると、ジョイント部材23の前端面が奥壁部43に設けられた装着面49に当接するとともに、開放されたインク導出口29がインク流路50に連通する。これにより、インクカートリッジ4のインク室25内に貯留されているインクを、インク導出口29から前方のインク流路50へ導出することができるようになる。
【0070】
また、回動部材21に設けられた水平突出部35は、溝52の、傾斜がやや緩やかな部分にさしかかることから、図7の状態よりも速度を落としながら回動し、最終的に、図8に示すように、鉛直姿勢の閉止位置から90度回動した、水平姿勢となる開放位置に到達する。このとき、蓋部31の外面に設けられた突出部36が、底壁部41の凹部41b内に入り込み、突出部36の先端が、凹部41bの奥端から少し上方へ突出しているカートリッジ検出センサ60の検出部60aに接触してこれを押圧する。これにより、インクカートリッジ4がカートリッジ装着部8に装着されたことがカートリッジ検出センサ60により検出され、その検出信号が制御装置3に送られる。
【0071】
尚、回動部材21の回動支点である回動軸32は、インク導出口29よりも下方に位置している。そのため、回動支点がインク導出口29よりも上方にある場合と比べて、蓋部31を閉止位置から開放位置へ変位させるために、回動部材21を回動させるのに必要な力が小さくてすむ。そのため、インクカートリッジ4の装着時に無理に力を掛けることなく、回動部材21の蓋部31を閉止位置から下方へ向けてスムーズに回動させることができ、インク導出口29を開放するのが容易になる。
【0072】
さらに、回動支点である回動軸32は、インク導出口29よりも後方に位置している。この構成では、回動部材21の蓋部31が開放位置にあるときに、インク導出口29と蓋部31との位置を挿入方向において近接させることができることができる。つまり、インク導出口29のほぼ真下に蓋部31の封止面31aを位置させることが可能になるため、インク導出口29から漏れたインクを蓋部31により下方から確実に受け止めることができる。
【0073】
その後、図9に示すように、開放位置にある蓋部材46を閉止位置へ回動させる。すると、蓋部材46の押圧部46aがインクカートリッジ4の後端面に接触して、インクカートリッジ4をさらに奥へ押圧することになり、インクカートリッジ4のジョイント部材23が装着面49に確実に密着する。さらに、蓋部材46の係合部46bをカートリッジ装着部8の凹部41aに係合させて、閉止位置にある蓋部材46を回動不能にして、ジョイント部材23と装着面49の密着状態を保持する。この蓋部材46の閉止によってインクカートリッジ4の装着が完了する。そして、インク導出口29からインク流路50へ導出されたインクは、チューブ15を介してインクジェットヘッド5に供給される(図1参照)。
【0074】
逆に、図9のように、カートリッジ装着部8に装着されているインクカートリッジ4を取り外す場合には、まず、蓋部材46の操作部46cを操作して、係合部46bと凹部41aとの係合状態を解除し、さらに、蓋部材46を閉止位置から開放位置へ回動させて、図8に示すように、カートリッジ収容室45を開放状態にする。
【0075】
この状態から、カートリッジ収容室45内に挿入されているインクカートリッジ4が後方へ抜き出されると、装着時とは逆に、インクカートリッジ4のジョイント部材23が装着面49から離間した後、回動部材21の水平突出部35が溝52に沿って上方から下方へ移動する。すると、この水平突出部35の移動に伴って、回動部材21が図8の時計回りの方向に回動し、インク導出口29から下方へ離間した開放位置にある蓋部31が、図6に示すように、閉止位置へ移動してインク導出口29を塞ぐ。尚、開放位置にある蓋部31が閉止位置に向けて回動し始めると、蓋部31の突出部36による検出部60aの押圧状態(接触状態)が解除されるため、インクカートリッジ4が装着されていない状態がカートリッジ検出部60aにより検出され、その検出信号が制御装置3へ送られる。
【0076】
以上説明したように、インクカートリッジ4の装着時には、インクカートリッジの装着動作に伴って回動部材21が回動して、蓋部31が、インク導出口29を塞ぐ閉止位置から下方へ離間する開放位置へ変位する。また、インクカートリッジ4の取り外し時には、その取り外し動作に伴って、回動部材21が装着時とは逆方向に回動して、蓋部31が、インク導出口29から下方に離間した開放位置から閉止位置へ変位する。
【0077】
従って、インクカートリッジ4を装着するときのみ、インク導出口29が開放されることから、インクカートリッジ4が装着されていない状態における、インク導出口29からのインクの漏れと貯留されているインクの乾燥を防止できる。さらに、インクカートリッジ4の着脱途中には、蓋部31がインク導出口29の下側に位置している。そのため、着脱途中の、インクカートリッジ4の移動時や、ジョイント部材23(インク導出口29)のカートリッジ装着部8との接続時に生じる振動等に起因して、インク導出口29からインクが漏れ出て下方へ垂れたとしても、そのインクはインク導出口29の下側に位置する蓋部31により受け止められるため、インクが、周囲のカートリッジ装着部8の内面に付着して汚れるのが防止される。
【0078】
また、インクカートリッジ4の着脱動作に連動して、蓋部31によるインク導出口29の開放又は閉止が行われるため、インクカートリッジ4の装着前に、ユーザがわざわざ回動部材21を操作して、インク導出口29を開放する必要がない。また、インクカートリッジ4を取り外した後に、回動部材21を操作してインク導出口29を蓋部31で閉止する必要もない。
【0079】
さらに、蓋部31はカートリッジ本体20に連結されていることから、この蓋部31はインクカートリッジ4の装着後になくなってしまうようなものではなく、インクカートリッジ4が取り外された後には再びインク導出口29を塞ぐことになる。そのため、取り外された後のインクカートリッジ4からインクが漏れ出して、周囲が汚れることがない。
【0080】
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0081】
1]インクカートリッジの着脱動作に連動して、蓋部によるインク導出口の開放又は閉止を行わせるための構成は、前記実施形態の水平突出部35と溝52(図6〜図9参照)によるものに限られず、これ以外の他の構成を採用することもできる。以下に、採用可能な構成の例を2つ挙げる(変更形態1,2)。
【0082】
(変更形態1)
図10に示すインクカートリッジ4Aは、カートリッジ本体20Aと、このカートリッジ本体20Aに回動可能に設けられた回動部材21Aとを備えている。また、カートリッジ本体20Aは、インク室25を備えたインク貯留体22Aと、このインク貯留体22Aの前端面に固着されたジョイント部材23とを有する。インク貯留体22Aの前端部には、その下面から側面に沿って下方へそれぞれ突出する2つの支持部27Aが形成されている。さらに、インク貯留体22Aの下端部には、その下面に沿って幅方向外側に突出するとともに、前後方向に延びる2つの突出案内部80がそれぞれ形成されている。また、ジョイント部材23に形成されたインク導出口29は、インク貯留体22Aの前端部に形成されたインク導出路26を介してインク室25に連通している。
【0083】
また、回動部材21Aは、2つの支持部27Aに回動軸32Aを介して回動自在に支持された略L字形のアーム部30Aと、アーム部30Aの一端部に連結された蓋部31Aとを有する。アーム部30Aの、回動軸32A(回動支点)に関して蓋部31Aとほぼ反対側に位置する他端部には、回動軸32Aに枢支されている枢支部から、蓋部31Aの封止面31aと平行で、且つ、蓋部31Aと反対の方向に突出する突出部35A(第2係合部)が設けられている。また、蓋部31Aの外面(封止面31aと反対側の面)には円錐台状の突出部36が形成されている。
【0084】
一方、図11に示すように、カートリッジ装着部8Aの底壁部41Aの前後方向中央部には、上方へ突出する突出部52A(第1係合部)が形成されている。尚、この突出部52Aの挿入方向両側部はそれぞれ傾斜面となっているが、挿入方向下流側(前側)の傾斜面が上流側(後側)の傾斜面よりも長く(広く)なっている。また、カートリッジ装着部8Aの2つの側壁部44Aには、内側(カートリッジ収容室45A内)へ張り出したガイド部47Aがそれぞれ挿入方向に沿って水平に延びている。
【0085】
次に、インクカートリッジ4Aの着脱時における、インクカートリッジ4Aとカートリッジ装着部8Aの作用を図11〜図13を参照して説明する。
インクカートリッジ4Aを装着するために、図11に示すように、カートリッジ装着部8Aのカートリッジ収容室45Aにインクカートリッジ4Aが挿入されると、インク貯留体22Aの突出案内部80が側壁部44Aに設けられたガイド部47Aに係合し、インクカートリッジ4Aは、ガイド部47Aにより前方へ案内される。
【0086】
図12に示すように、インクカートリッジ4Aがカートリッジ収容室45A内に半分以上挿入されると、回動部材21Aのアーム部30Aに設けられた鉛直姿勢の突出部35Aが底壁部41Aの突出部52Aの後側傾斜面に係止され、奥(前方)へ移動できなくなる。このとき、インク貯留体22Aの支持部27Aは突出部52Aよりも上方にあり、奥へ移動できるようになっている。そのため、カートリッジ本体20Aが、突出部52Aにより係止された突出部35Aに対して前方へ相対移動することになる。これによって、回動部材21Aが図12の反時計回りの方向に回動し、突出部35Aと回動軸32Aに関してほぼ反対側に位置する蓋部31Aが、ジョイント部材23から離間して下方へ移動し始める。
【0087】
さらにインクカートリッジ4Aが挿入されていくと、回動部材21Aが回動するにつれて、蓋部31Aの姿勢が水平姿勢に近づいていき、最終的に開放位置に到達する。このとき、蓋部31Aと平行な突出部35Aも水平姿勢に近づき、底壁部41Aの突出部52Aとの係合が外れる。そして、図13に示すように、ジョイント部材23の前端面が装着面49に当接して、インク導出口29がインク流路50に連通する。さらに、蓋部31Aが開放位置に到達したときには、蓋部31Aの外面の突出部36が検出部60aを押圧するため、カートリッジ検出センサ60によりインクカートリッジ4Aが装着されたことが検出される。その後、蓋部材46が閉止されてインクカートリッジ4Aの装着が完了する。
【0088】
一方、図13の装着状態から、蓋部材46を開放位置に回動させた後、インクカートリッジ4Aを取り外すために、インクカートリッジ4Aが引き抜かれると、今度は、鉛直状態のアーム部30Aが突出部52Aの前方傾斜面に係止される。そのため、図12に示すように、前述の装着時とは逆に、回動部材21Aが時計回りに回動し、開放位置にある蓋部31Aが上方へ移動し始める。さらにインクカートリッジ4Aが引き抜かれていくと、図11に示すように、蓋部31Aはジョイント部材23の前端面に当接してインク導出口29を閉止する。
【0089】
以上のように、この変更形態1の構成によっても、インクカートリッジ4Aの着脱動作に連動して回動部材21Aを回動させることにより、蓋部31Aによるインク導出口29の開放又は閉止を行わせることができる。
【0090】
(変更形態2)
図14に示すインクカートリッジ4Bは、カートリッジ本体20Bと、このカートリッジ本体20Bに回動可能に設けられた回動部材21Bとを備えている。また、カートリッジ本体20Bは、インク室25を備えたインク貯留体22Bと、このインク貯留体22Bの前端面に固着されたジョイント部材23とを有する。インク貯留体22Bの前端部には、ジョイント部材23の下方において、このジョイント部材23よりもさらに前方へ突出した2つの支持部27Bが形成されている。また、前述した変更形態1(図10〜図13参照)と同様に、インク貯留体22Bの下端部には、その下面に沿って幅方向外側に突出するとともに、前後方向に延びる2つの突出案内部80がそれぞれ形成されている。また、ジョイント部材23に形成されたインク導出口29は、インク貯留体22Bの前端部に形成されたインク導出路26を介してインク室25に連通している。
【0091】
回動部材21Bは、2つの支持部27Bに回動軸32Bを介して回動自在に支持されたアーム部30Bと、アーム部30Bの一端部に連結された蓋部31Bとを有する。尚、図14(a)に示すように、アーム部30Bの幅は、蓋部31Bの幅よりもやや小さい程度であり、比較的大きな幅となっている。アーム部30Bの、回動軸32B(回動支点)に関して蓋部31Bとほぼ反対側に位置する他端部には、回動軸32Bに枢支されている枢支部からほぼ90度の中心角で扇状に広がる扇部37と、この扇部37の外周部に周方向(即ち、回動部材21Bの回動方向)に沿って配置された3つの歯部35B(第2歯部)とが設けられている。また、蓋部31Bの外面(封止面31aと反対側の面)には円錐台状の突出部36が形成されている。尚、この変更形態2のインクカートリッジ4Bにおいては、2つの支持部27Bに支持された回動部材21Bの回動支点(回動軸32B)は、インク導出口29よりも前方に位置している。また、蓋部31Bが閉止位置にあるときに、3つの歯部35Bは蓋部31Bよりも前方の位置にある。
【0092】
一方、図15に示すように、カートリッジ装着部8Bの底壁部41Bの前後方向中央部には、前後方向に並ぶ2つの歯部52B(第1歯部)が形成されている。また、前述の変更形態1と同様に、カートリッジ装着部8Bの2つの側壁部44Bには、内側へ張り出したガイド部47Bがそれぞれ挿入方向に沿って水平に延びている。また、この変更形態2においては、カートリッジ装着部8Bの底壁部41Bの奥端部にカートリッジ検出センサ60の検出部60aが固定的に設けられている。
【0093】
次に、インクカートリッジ4Bの着脱時における、インクカートリッジ4Bとカートリッジ装着部8Bの作用を図15〜図18を参照して説明する。
インクカートリッジ4Bを装着するために、図15に示すように、カートリッジ装着部8Bのカートリッジ収容室45Bにインクカートリッジ4Bが挿入されると、インク貯留体22Bの突出案内部80が側壁部44Bに設けられたガイド部47Bに係合し、インクカートリッジ4Bは、ガイド部47Bにより奥へ案内される。
【0094】
図16に示すように、インクカートリッジ4Bがカートリッジ収容室45B内に半分近く挿入されると、回動部材21Bのアーム部30Bに設けられ、蓋部31Bよりも前方に位置する扇部37の3つの歯部35Bが、底壁部41Bに形成された2つの歯部52Bに係合する。この係合状態でカートリッジ本体20Bがさらに奥へ挿入されていくと、回動部材21Bのアーム部30Bが反時計回りの方向へ回動し、歯部35Bと回動軸32Bに関して反対側に位置する蓋部31Bが、ジョイント部材23から離間して下方へ移動し始める。
【0095】
さらにインクカートリッジ4Bが挿入されていくと、図17に示すように、回動部材21Bが90度回動して、蓋部31Bが水平姿勢となる開放位置まで変位する。このとき、90度の中心角を有する扇部37に設けられた3つの歯部35Bと底壁部41Bの2つの歯部52Bとの係合状態が終了し、蓋部31Bが開放位置にある状態で回動部材21Bがカートリッジ本体20Bと一体的に奥へ移動する。そして、図18に示すように、ジョイント部材23の前端面が装着面49に当接して、インク導出口29がインク流路50に連通する。さらに、底壁部41Bの奥端部に固定的に設けられた検出部60aの上端に、奥へ移動してきた蓋部31Bの突出部36の先端が接触することで、カートリッジ検出センサ60によりインクカートリッジ4Bが装着されたことが検出される。その後、蓋部31Bが閉止されてインクカートリッジ4Bの装着が完了する。
【0096】
尚、この変更形態2においては、回動部材21Bの回動軸32Bはインク導出口29よりも前側(挿入方向下流側)に位置している。そのため、図18に示すように、蓋部31Bが開放位置にあるときには、蓋部31Bの封止面31aはインク導出口29の下方にあるものの真下の位置にはなく、前方にずれている。しかし、インク導出口29の真下には、蓋部31Bに連なるアーム部30Bが位置しており、このアーム部30Bは、蓋部31Bの幅よりもやや狭い程度の、比較的大きな幅を有する。そのため、インク導出口29から真下にインクが垂れ落ちたとしても、そのインクはアーム部30Bにより受け止められる。
【0097】
一方、図18の装着状態から、蓋部材46を開放位置に回動させた後、インクカートリッジ4Bを取り外すために、インクカートリッジ4Bが引き抜かれると、回動部材21Bはカートリッジ本体20Bと一体的に後方へ移動した後、その扇部37に形成された3つの歯部35Bが底壁部41Bの2つの歯部52Bと係合して、前述の装着時とは逆に、回動部材21Bが時計回りに回動し、開放位置にある蓋部31Bが上方へ移動し始める。さらにインクカートリッジ4Bが引き抜かれていくと、図15に示すように、蓋部31Bはジョイント部材23の前端面に当接してインク導出口29を閉止する。
【0098】
以上のように、この変更形態2の構成によっても、インクカートリッジ4Bの着脱動作に連動して回動部材21Bを回動させることにより、蓋部31Bによるインク導出口29の開放又は閉止を行わせることができる。
【0099】
2]インクカートリッジの着脱動作に連動して回動部材を回動させる構成(前記実施形態においては、カートリッジ装着部8の溝52、及び、インクカートリッジ4の水平突出部35)は必ずしも必要ではない。即ち、インクカートリッジの装着前に、ユーザが回動部材を手動で操作して蓋部を開放位置に移動させてから、インクカートリッジを挿入してもよい。また、カートリッジ装着部からインクカートリッジを取り外した後に、回動部材を操作してインク導出口を蓋部で閉止してもよい。ここで、前記実施形態の図2に示されているように、蓋部31の外面(封止面31aと反対側の面)に突出部36が設けられていると、インクカートリッジを装着する直前にインク導出口を開放する際、あるいは、取り外した直後にインク導出口を閉止する際に、突出部36をつまんで蓋部31を容易に操作することができる。
【0100】
また、インク導出口を開閉する蓋部はカートリッジ本体に連結されていることから、手動で蓋部を開放位置にしてインク導出口を開放してから装着を行ったとしても、蓋部がなくなってしまうことはない。そのため、インクカートリッジを取り外した後に、再び蓋部を閉止位置に戻してインク導出口を閉止することができる。
【0101】
3]装着状態を検出するためのカートリッジ検出センサ60の検出部60aに接触するインクカートリッジの部分は、前記実施形態における蓋部31に設けられた突出部36に限られない。つまり、インクカートリッジの他の部分が検出部60aに接触することにより、装着状態が検出されるようになっていてもよい。また、カートリッジ検出センサ60の検出部60aはカートリッジ装着部の底面に設けられる必要は必ずしもなく、インクカートリッジの接触部分に応じて適宜その位置を変更することができる。但し、インクカートリッジ以外の物体が接触するのを防止する観点からは、検出部60aはカートリッジ装着部内に設けられていることが好ましい。さらに、このような接触型の検出部60aの代わりに、透過型光センサ等の非接触型の検出部がカートリッジ装着部に設けられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の実施形態に係るインクジェット記録システムの概略構成図である。
【図2】実施形態のインクカートリッジを示す図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は下面図である。
【図3】蓋部が開放位置にある状態の回動部材の拡大図である。
【図4】ホルダ(カートリッジ装着部)の縦断面図である。
【図5】インクジェットプリンタの概略的な制御構成を示すブロック図である。
【図6】蓋部回動前の状態におけるインクカートリッジとカートリッジ装着部を示す図である。
【図7】蓋部回動途中の状態におけるインクカートリッジとカートリッジ装着部を示す図である。
【図8】蓋部回動完了時のインクカートリッジとカートリッジ装着部を示す図である。
【図9】装着完了時のインクカートリッジとカートリッジ装着部を示す図である。
【図10】変更形態1のインクカートリッジを示す図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は下面図である。
【図11】蓋部回動前の状態におけるインクカートリッジとカートリッジ装着部を示す図である。
【図12】蓋部回動途中の状態におけるインクカートリッジとカートリッジ装着部を示す図である。
【図13】装着完了時のインクカートリッジとカートリッジ装着部を示す図である。
【図14】変更形態2のインクカートリッジを示す図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は下面図である。
【図15】蓋部回動前の状態におけるインクカートリッジとカートリッジ装着部を示す図である。
【図16】蓋部回動途中の状態におけるインクカートリッジとカートリッジ装着部を示す図である。
【図17】蓋部回動完了時のインクカートリッジとカートリッジ装着部を示す図である。
【図18】装着完了時のインクカートリッジとカートリッジ装着部を示す図である。
【符号の説明】
【0103】
1 インクジェット記録システム
2 インクジェットプリンタ
4,4A,4B インクカートリッジ
5 インクジェットヘッド
8,8A,8B カートリッジ装着部
20,20A,20B カートリッジ本体
21,21A,21B 回動部材
22,22A,22B インク貯留体
25 インク室
29 インク導出口
30,30A,30B アーム部
31b 凹凸部
31,31A,31B 蓋部
32,32A,32B 回動軸
35 水平突出部
35A 突出部
35B 歯部
36 突出部
52 溝
52A 突出部
52B 歯部
60a カートリッジ検出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを貯留するインクカートリッジ、及び、インクカートリッジとインクジェット記録装置とを備えたインクジェット記録システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、記録用紙等の被記録媒体に対してインクを噴射して所望の画像等を記録するインクジェットプリンタには、インクを貯留するインクカートリッジが着脱自在に装着される。ところで、このようなインクジェットプリンタにおいては、インクカートリッジを着脱する際に、インクカートリッジからインクが漏れて周囲を汚してしまうという問題が従来から指摘されていた。
【0003】
例えば、インクカートリッジを開封してからプリンタに装着するまでの間や、プリンタに装着されている空のインクカートリッジを取り外して廃棄するまでの間において、インクが導出されるインク導出口が開放された状態であるため、インクカートリッジに振動が作用したときにインク導出口からインクが漏れてしまい、周囲を汚してしまうことがあった。
【0004】
そこで、従来から、開封後のインクカートリッジからのインク漏れを防止することが可能なインクカートリッジが提案されている。その中でも、特許文献1に記載のインクカートリッジは、側壁に形成されたインク導出口(連結開口)を閉止する位置とインク導出口を開放する位置とに亙って、側壁にスライド可能に装着されたスライド板とを有する。そして、インクカートリッジを装着しないときにはスライド板によりインク導出口を閉止し、インクカートリッジをプリンタに装着する直前にスライド板を開放位置にスライドさせてインク導出口を開放する。これにより、インクカートリッジが装着されていない状態でインク導出口からインクが漏れるのを防止することが可能になっている。
【0005】
【特許文献1】特開平6−328713号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のインクカートリッジにおいては、プリンタに装着されていない状態ではスライド板でインク導出口を閉止できるものの、実際に装着を行う直前には、プリンタと接続するためにインク導出口を開放しないといけない。しかし、装着途中において、プリンタ側のカートリッジ装着部に挿入されてからインク導出口がプリンタと接続されるまでインクカートリッジが移動する際、あるいは、インク導出口とプリンタとを接続する際に、インクカートリッジに振動が生じやすい。そのため、このような装着途中に生じる振動によってインク導出口からインクが漏れて、プリンタ(カートリッジ装着部)内を汚してしまう虞があった。
【0007】
本発明の目的は、装着されていない状態におけるインク漏れを防止するとともに、着脱途中にインクが漏れた場合でもその漏れたインクが周囲に付着するのを防止することができるインクカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明のインクカートリッジは、インクジェット記録装置のカートリッジ装着部に対して所定の挿入方向に挿入されることにより装着されるインクカートリッジであって、
インクを貯留するインク室とこのインク室内のインクを前記インクジェット記録装置へ向けて導出するインク導出口とを有するカートリッジ本体と、前記カートリッジ本体のインク導出口を閉止可能な蓋部を有し、前記蓋部が前記インク導出口を塞ぐ閉止位置と、前記インク導出口から前記カートリッジ本体の装着姿勢における下方へ離間した前記インク導出口を開放する開放位置と、に亙って変位可能であるように、前記カートリッジ本体に回動可能に設けられた回動部材とを備えていることを特徴とするものである。
【0009】
この構成によれば、インクカートリッジを装着するときのみ、回動部材の蓋部を開放位置に変位させることで、インクカートリッジが装着されていない状態における、インク導出口からのインクの漏れや貯留されているインクの乾燥を防止できる。また、インク導出口を開放する開放位置にあるときには、蓋部は、インク導出口から、カートリッジ本体の装着姿勢における下方へ離間している。そのため、着脱途中にインク導出口からインクが漏れ出て下方へ垂れたとしても、そのインクはインク導出口の下側に位置する蓋部により受け止められるため、インクが周囲に付着して汚れることがない。さらに、インク導出口を開閉可能な蓋部がカートリッジ本体に連結された構造であるため、インクカートリッジの装着後に蓋部がなくなってしまうことがなく、カートリッジ装着部から取り外されたときにはインク導出口に再度蓋部を取り付けることができる。
【0010】
第2の発明のインクカートリッジは、前記第1の発明において、前記蓋部の、前記閉止位置にあるときの前記インク導出口と反対側の面に突出部が形成されていることを特徴とするものである。この構成によれば、インクカートリッジを装着する直前にインク導出口を開放する際、あるいは、取り外した直後にインク導出口を閉止する際に、突出部をつまんで蓋部を容易に操作することができる。
【0011】
第3の発明のインクカートリッジは、前記第1又は第2の発明において、前記蓋部の、前記閉止位置にあるときの前記インク導出口側の面に、凹凸部が形成されていることを特徴とするものである。この構成によれば、インク導出口から漏れたインクが、蓋部で受け止められた後に凹凸部において毛管力により捕捉され、インクが蓋部に保持されるため、蓋部からインクが流れ落ちるのを防止できる。
【0012】
第4の発明のインクカートリッジは、前記第3の発明において、前記凹凸部は、前記インク導出口側の面の、前記インク導出口を塞ぐ領域以外の領域に形成されていることを特徴とするものである。この構成によれば、蓋部が閉止位置にあるときに、凹凸部がインク導出口に接触しないため、インク導出口が確実に閉止される。
【0013】
第5の発明のインクカートリッジは、前記第1〜第4の何れかの発明において、前記カートリッジ本体が装着姿勢にあるときに、前記インク導出口が前記挿入方向先端側に位置しており、さらに、前記回動部材の回動支点が、前記インク導出口よりも下方に位置していることを特徴とするものである。このように、回動部材の回動支点が、インク導出口よりも下方に位置していると、回動部材の蓋部を閉止位置から下方へ回動させて、インク導出口を開放するのが容易になる。
【0014】
第6の発明のインクカートリッジは、前記第5の発明において、前記回動支点は、前記インク導出口よりも前記挿入方向における後側に位置していることを特徴とするものである。この構成によれば、回動部材の蓋部が開放位置にあるときに、インク導出口と蓋部との位置を挿入方向において近接させることができるので、インク導出口から漏れたインクを蓋部により下方から確実に受け止めることができる。
【0015】
第7の発明のインクカートリッジは、前記第1〜第6の何れかの発明において、前記カートリッジ本体が装着姿勢にあるときに、前記インク導出口が、前記カートリッジ本体の重心を通る水平面よりも下側にあることを特徴とするものである。この構成によれば、 インク導出口がカートリッジ本体の下部にあることから、インクカートリッジ内のインクを、残すことなく最後まで使い切ることが可能になる。
【0016】
第8の発明のインクカートリッジは、前記第1〜第7の何れかの発明において、前記回動部材は、前記蓋部と連結されるとともに、その回動支点に対して前記蓋部とほぼ反対側の位置まで延び、前記蓋部と一体的に回動可能なアーム部を有し、前記アーム部の前記蓋部とほぼ反対側に位置する部分に、前記カートリッジ装着部内に設けられた凹状又は凸状の第1係合部と係合可能な第2係合部が設けられ、前記カートリッジ本体が前記カートリッジ装着部に対して前記挿入方向に挿入されるときに、前記第2係合部が前記第1係合部に係合した状態で前記挿入方向に移動することにより前記アーム部が回動し、それに伴って、前記蓋部が前記閉止位置から下方へ回動して前記開放位置に移動するように構成されていることを特徴とするものである。
【0017】
この構成によれば、インクカートリッジの装着時に、カートリッジ装着部内に設けられた第1係合部に、アーム部に設けられた第2係合部が係合した状態で、さらにカートリッジ本体をカートリッジ装着部に挿入していくと、アーム部が回動し、さらに、そのアーム部の回動に伴って、蓋部が閉止位置から開放位置へ移動する。つまり、インクカートリッジの装着動作に連動させてインク導出口を開放することができるため、インクカートリッジの装着前に、蓋部が開放位置に位置するようにユーザが回動部材を操作する必要がない。
【0018】
第9の発明のインクカートリッジは、前記第8の発明において、前記カートリッジ装着部は、その内側面に、前記第1係合部として、前記挿入方向に沿って下から上へ傾斜して延びる溝を有するものであり、前記アーム部には、前記第2係合部として、前記溝に係合可能な突出部が設けられ、前記カートリッジ本体が前記カートリッジ装着部に対して前記挿入方向に挿入されるときに、前記突出部が前記溝に沿って下方から上方へ移動することにより、前記蓋部が前記閉止位置から下方へ回動して前記開放位置に移動するように構成されていることを特徴とするものである。
【0019】
この構成によれば、インクカートリッジの装着時に、カートリッジ装着部内に設けられた溝にアーム部に設けられた突出部が係合した状態で、さらにカートリッジ本体をカートリッジ装着部に挿入していくと、突出部が溝に沿って下方から上方へ移動し、これに伴って、蓋部が閉止位置から下方へ回動して開放位置に移動する。従って、インクカートリッジの装着動作に連動させてインク導出口を開放することができる。
【0020】
第10の発明のインクカートリッジは、前記第8の発明において、前記カートリッジ装着部は、その底面に、前記第1係合部として、前記挿入方向に並べて配置された複数の第1歯部を有するものであり、前記アーム部には、その回動方向に沿って配置されて、前記複数の第1歯部に係合可能な複数の第2歯部が設けられ、前記カートリッジ本体が前記カートリッジ装着部に対して前記挿入方向に挿入されるときに、前記第2歯部が前記第1歯部と係合しつつ前記アーム部が回動することにより、前記蓋部が前記閉止位置から下方へ回動して前記開放位置に移動するように構成されていることを特徴とするものである。
【0021】
この構成によれば、インクカートリッジの装着時に、カートリッジ装着部内に設けられた第1係合部としての第1歯部に、アーム部に設けられた第2係合部としての第2歯部が係合した状態で、さらにカートリッジ本体をカートリッジ装着部に挿入していくと、アーム部が回動して、第2歯部と回動支点に関して反対側に位置する蓋部が閉止位置から開放位置へ移動する。従って、インクカートリッジの装着動作に連動させてインク導出口を開放することができる。
【0022】
第11の発明のインクカートリッジは、インクを貯留するインク室とこのインク室内のインクを外部へ導出するインク導出口とを有するカートリッジ本体と、前記カートリッジ本体のインク導出口を閉止可能な蓋部を有し、且つ、前記蓋部が前記インク導出口を塞ぐ閉止位置と、前記インク導出口から前記カートリッジ本体のインク導出姿勢における下方へ離間した前記インク導出口を開放する開放位置と、に亙って変位可能であるように、前記カートリッジ本体に回動可能に設けられた回動部材とを備えていることを特徴とするものである。
【0023】
この構成によれば、インクカートリッジを装着するときのみ、回動部材の蓋部を開放位置に変位させることで、インクカートリッジが装着されていない状態における、インク導出口からのインクの漏れや貯留されているインクの乾燥を防止できる。また、開放位置にあるときには、蓋部は、インク導出口から、カートリッジ本体のインク導出姿勢における下方へ離間している。そのため、インク導出姿勢にあるインクカートリッジを着脱する途中に、インク導出口からインクが漏れて下方へ垂れたとしても、そのインクはインク導出口の下側に位置する蓋部により受け止められるため、インクが周囲に付着して汚れることがない。さらに、インク導出口を開閉可能な蓋部がカートリッジ本体に連結された構造であるため、インクカートリッジの装着後に蓋部がなくなってしまうことがない。
【0024】
第12の発明のインクジェット記録システムは、インクジェットヘッドを有するインクジェット記録装置と、このインクジェット記録装置のカートリッジ装着部に所定の挿入方向に挿入されることにより装着されるインクカートリッジとを備えたインクジェット記録システムであって、
前記インクカートリッジは、インクを貯留するインク室とこのインク室内のインクを前記インクジェットヘッドへ向けて導出するインク導出口とを有するカートリッジ本体と、前記カートリッジ本体のインク導出口を閉止可能な蓋部を有し、且つ、前記蓋部が前記インク導出口を塞ぐ閉止位置と、前記インク導出口から前記カートリッジ本体の装着姿勢における下方へ離間した前記インク導出口を開放する開放位置と、に亙って変位可能であるように、前記カートリッジ本体に回動可能に設けられた回動部材とを備えていることを特徴とするものである。
【0025】
この構成によれば、インクカートリッジを装着するときのみ、回動部材の蓋部を開放位置に変位させることで、インクカートリッジが装着されていない状態における、インク導出口からのインクの漏れとインクの乾燥を防止できる。また、インク導出口を開放する開放位置にあるときには、蓋部は、インク導出口から、カートリッジ本体の装着姿勢における下方へ離間している。そのため、着脱途中にインク導出口からインクが漏れて下方へ垂れたとしても、そのインクはインク導出口の下側に位置する蓋部により受け止められるため、インクが周囲に付着して汚れることがない。さらに、インク導出口を開閉可能な蓋部がカートリッジ本体に連結された構造であるため、インクカートリッジの装着後に蓋部がなくなってしまうことがない。
【0026】
第13の発明のインクジェット記録システムは、前記第12の発明において、 前記カートリッジ装着部内に凹状又は凸状の第1係合部が設けられ、前記インクカートリッジの前記回動部材は、前記蓋部と連結されるとともに、その回動支点に対して前記蓋部とほぼ反対側の位置まで延び、前記蓋部と一体的に回動可能なアーム部を有し、前記アーム部の前記蓋部とほぼ反対側に位置する部分に、前記第1係合部と係合可能な第2係合部が設けられ、前記カートリッジ本体が前記カートリッジ装着部に対して前記挿入方向に挿入されるときに、前記第2係合部が前記第1係合部に係合した状態で前記挿入方向に移動することにより前記アーム部が回動し、それに伴って、前記蓋部が前記閉止位置から下方へ回動して前記開放位置に移動するように構成されていることを特徴とするものである。
【0027】
この構成によれば、インクカートリッジの装着時に、カートリッジ装着部内に設けられた第1係合部に、アーム部に設けられた第2係合部が係合した状態で、さらにカートリッジ本体がカートリッジ装着部に挿入されていくと、アーム部が回動し、そのアーム部の回動に伴って、蓋部が閉止位置から開放位置へ移動する。つまり、インクカートリッジの装着動作に連動させてインク導出口を開放することができ、インクカートリッジの装着前に、蓋部が開放位置に位置するようにユーザが回動部材を操作する必要がない。
【0028】
第14の発明のインクジェット記録システムは、前記第12又は第13の発明において、前記カートリッジ装着部は、前記インクカートリッジが装着されたときに前記インクカートリッジの一部が接触することによって、その装着状態を検出する装着状態検出部を有することを特徴とするものである。この構成によれば、装着状態検出部により、インクカートリッジが装着されているか否かを検出することができる。
【0029】
第15の発明のインクジェット記録システムは、前記第12〜第14の何れかの発明において、前記装着状態検出部は、前記カートリッジ装着部の底面に形成された凹部の奥端面に配置され、前記蓋部の、前記閉止位置にあるときの前記インク導出口と反対側の面に突出部が形成され、前記インクカートリッジの装着が完了したときに、前記インク導出口から下方へ離間した前記開放位置にある前記蓋部の前記突出部先端が前記装着状態検出部に接触することを特徴とするものである。
【0030】
この構成によれば、インクカートリッジの装着に伴って回動部材が回動し、蓋部が開放位置に移動したときに、その蓋部の突出部の先端が、凹部の奥端に配置された装着状態検出部に接触するため、装着状態検出部によりインクカートリッジの装着が検出される。また、装着状態検出部がカートリッジ装着部の底面の凹部内に配置されているため、他の物体が装着状態検出部に接触しにくくなり、インクカートリッジの装着を誤って検出してしまうのが極力防止される。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、インクカートリッジを装着するときのみ、回動部材の蓋部を開放位置に変位させることで、インクカートリッジが装着されていない状態における、インク導出口からのインクの漏れと貯留されているインクの乾燥を防止できる。また、着脱途中にインク導出口からインクが漏れ出て下方へ垂れたとしても、そのインクはインク導出口の下側に位置する蓋部により受け止められるため、インクが周囲に付着して汚れることがない。さらに、インク導出口を開閉可能な蓋部がカートリッジ本体に連結された構造であるため、インクカートリッジの装着後に蓋部がなくなってしまうことがなく、インクカートリッジがカートリッジ装着部から取り外されたときには、そのインク導出口に再度蓋部を取り付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明の実施の形態について説明する。まず、インクカートリッジと、このインクカートリッジから供給されたインクを使用して記録用紙に所望の文字や画像等を記録するインクジェットプリンタとを含む、インクジェット記録システムについて、図1を参照して簡単に説明する。
【0033】
図1に示すように、本実施形態のインクジェット記録システム1は、記録用紙Pに対してインクを噴射して所望の画像等を記録するインクジェットプリンタ2(インクジェット記録装置)と、このインクジェットプリンタ2の全体動作を制御する制御装置3(図5参照)と、インクジェットプリンタ2で使用される4色(シアン(C)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、及び、ブラック(BK))のインクをそれぞれ貯留する4つのインクカートリッジ4などを備えている。
【0034】
インクジェットプリンタ2は、それぞれインクの液滴を下方へ噴射する複数のノズル(図示省略)を有するインクジェットヘッド5と、このインクジェットヘッド5の下方において記録用紙Pを所定の用紙搬送方向(図1の左方)へ搬送する搬送機構6と、4つのインクカートリッジ4がそれぞれ装着される4つのカートリッジ装着部8を有するホルダ7とを備えている。
【0035】
インクジェットヘッド5は、図1の紙面垂直方向に延びる2本のガイド軸10に沿って往復移動可能なキャリッジ9に装着されている。また、ホルダ7の4つのカートリッジ装着部8には、4色のインクをそれぞれ貯留するインクカートリッジ4が所定の装着方向(図1の紙面垂直方向)に着脱自在に装着される。さらに、インクジェットヘッド5とホルダ7の4つのカートリッジ装着部8は、4本のチューブ15を介して互いに接続されている。従って、4つのカートリッジ装着部8に4つのインクカートリッジ4がそれぞれ装着されている状態では、4つのインクカートリッジ4に貯留されている4色のインクがチューブ15を介してインクジェットヘッド5にそれぞれ供給される。
【0036】
そして、インクジェットプリンタ2は、インクジェットヘッド5をキャリッジ9と一体的に図1の紙面垂直方向に移動させながら、インクジェットヘッド5の複数のノズルから、搬送機構6により図1の左方へ搬送される記録用紙Pに対して4色のインクを噴射して、記録用紙Pに画像等を記録するように構成されている。
【0037】
また、インクジェットプリンタ2は、インクジェットヘッド5のインク流路内に混入したエアや高粘度化したインクを吸引するパージ機構11をさらに備えている。このパージ機構11は、インクジェットヘッド5の複数のノズルが開口するインク吐出面(図1の下面)に対して接近/離隔する方向に移動可能で、且つ、インクジェットヘッド5にインク吐出面を覆うように装着可能なパージキャップ12と、ノズルからインクを吸引する吸引ポンプ13を備えている。そして、パージ機構11は、パージキャップ12がインク吐出面を覆っている状態で吸引ポンプ13による吸引動作を行うことにより、インク流路内に混入したエアや、あるいは、水分が蒸発して高粘度化したインクを、ノズルから強制的に排出するように構成されている。
【0038】
次に、インクカートリッジ4について図2を参照して説明する。尚、4色のインクをそれぞれ貯留する4つのインクカートリッジ4は全て同様の構造を有することから、以下ではそれらのうちの1つについて説明する。
【0039】
図2に示すように、インクカートリッジ4は、インクを貯留するインク室25とこのインク室25内のインクを外部へ導出するインク導出口29とを有するカートリッジ本体20と、このカートリッジ本体20に回動可能に設けられた回動部材21とを備えている。そして、このインクカートリッジ4は、インク導出口29をカートリッジ装着部8に向けた状態で、このカートリッジ装着部8内に挿入される。以下、インクカートリッジ4のカートリッジ装着部8への挿入方向を前方と定義して説明する。
【0040】
カートリッジ本体20は、インク貯留体22と、このインク貯留体22の前端面に固着された環状のジョイント部材23とを有する。
インク貯留体22は、略6面体(直方体)に構成されており、さらに、最も大きな面積の2つの矩形面が対向し、これら2つの矩形面が他の4面によって連結された構造を有する。そして、インクカートリッジ4は、図2(b)に示すように、インク貯留体22の前記2つの矩形面が2つの側面となる姿勢(装着姿勢)で、その長手方向に沿ってカートリッジ装着部8に挿入されて装着される(図6〜図9参照)。
【0041】
インク貯留体22の内部にはインクを貯留するインク室25が形成され、さらに、インク貯留体22の前端部にはインク室25から前方へ延びるインク導出路26が形成されている。また、インク貯留体22の前端部には、その底面から下方へそれぞれ突出するとともに、インク貯留体22の幅方向に並び、後述する回動部材21を回動自在に支持する2つの支持部27が形成されている。尚、インク貯留体22の幅方向に並ぶ2つの支持部27の間には、必然的に凹部28が形成されることになり、インクカートリッジ4の装着時には、この凹部28はカートリッジ装着部8内に凸状に形成されたガイド部47と係合する(図6〜図9参照)。
【0042】
ジョイント部材23には、インク導出路26に連通するとともに、前方へ開口したインク導出口29が形成されている。つまり、カートリッジ本体20が装着姿勢にあるときに、ジョイント部材23(インク導出口29)は、インクカートリッジ4の挿入方向先端側に位置している。さらに、カートリッジ本体20の装着姿勢において、ジョイント部材23(インク導出口29)は、カートリッジ本体20(インク貯留体22)の重心を通る水平面Aよりも下側に位置している。そのため、インク室25内のインクを、インク導出口29からインクを残すことなく導出し、インク室25内のインクを最後まで使い切ることが可能になっている。
【0043】
そして、インクカートリッジ4の装着状態では、インク室25内のインクは、前方へ延びるインク導出路26を介して、インク導出口29から前方のカートリッジ装着部8へ向けて導出される(即ち、インクが導出される方向は、インクカートリッジ4の挿入方向(前方)と平行である)。尚、ジョイント部材23は、インクカートリッジ4の挿入状態でカートリッジ装着部8の装着面49に密着して(図9参照)、接続部分からのインク漏れを確実に防止することができるように、ゴム等の弾性を有する材料で形成されていることが好ましい。
【0044】
図2、図3に示すように、回動部材21は、カートリッジ本体20に回動自在に支持された2つのアーム部30と、これら2つのアーム部30に一体的に連結され、カートリッジ本体20のインク導出口29を閉止可能な蓋部31を備えている。
【0045】
各アーム部30は、直交する2方向にそれぞれ延びるとともに、互いに長さの異なる2つの延在部30a,30bを有し、L字形状に形成されている。また、2つのアーム部30は、インク貯留体22の2つの支持部27よりも幅方向外側にそれぞれ配置されている。そして、2つのアーム部30は、長い方の延在部30aの長さ方向途中部において、それぞれ、2つの支持部27に回動軸32を介して回動自在に支持されている。従って、図2(b)に示すように、回動部材21の回動軸32(回動支点)は、ジョイント部材23(インク導出口29)よりも下方、且つ、後方に位置している。また、回動軸32には、捻りバネ34が設けられており、アーム部30は捻りバネ34により図2(b)の時計回りの方向に付勢されている。
【0046】
2つのアーム部30の短い方の延在部30bの端部はそれぞれ蓋部31に連結されている。また、アーム部30の長い方の延在部30aの端部は、アーム部30の回動軸32(回動支点)に関して蓋部31とほぼ反対側に位置している。そして、長い方の延在部30aの端部には、幅方向外側へ水平に延びる水平突出部35(第2係合部)が形成されている。後述するように、インクカートリッジ4の着脱時には、幅方向外側に突出した2つの水平突出部35は、カートリッジ装着部8内に形成された2つの溝54にそれぞれ係合しながら移動し、それに伴って、アーム部30がほぼ90度回動する(図6〜図8参照)。
【0047】
蓋部31は矩形平板状に形成され、2つのアーム部30の延在部30bと同一平面内において、これら2つの延在部30bの先端部に連結されている。そして、この蓋部31は、2つのアーム部30が回動軸32を中心に回動することによって、インク導出口29を塞ぐ閉止位置と、インク導出口29から離間した開放位置とに亙って変位可能となっている。また、前述したように、回動軸32に設けられた捻りバネ34により、回動部材21が図2(b)の時計回りの方向に付勢されている。つまり、蓋部31は、捻りバネ34の付勢力により閉止位置へ向けて付勢されている。
【0048】
カートリッジ本体20が装着姿勢にあるときに、図2(b)に実線で示すように、2つのアーム部30の短い方の延在部30bが鉛直方向(上方)へ向いている状態では、蓋部31も鉛直姿勢をとり、さらに、蓋部31の図2(b)の右側の面(以下、封止面31aという)がジョイント部材23の前端面に密着して、インク導出口29を塞ぐ(閉止位置)。そのため、蓋部31が閉止位置にあるときには、インク導出口29からインクが流れ出るのが蓋部31により防止される。
【0049】
一方、図2(b)に2点鎖線で示すように、2つのアーム部30の延在部30bが水平方向(前方)へ向いている状態では、蓋部31は水平姿勢をとり、蓋部31の封止面31aがジョイント部材23の前端面のインク導出口29から離間している。そのため、蓋部31が開放位置にあるときには、インク導出口29からインクを前方へ導出することが可能となる。さらに、開放位置においては、蓋部31は、インク導出口29から下方へ離間している。従って、インク導出口29からインクが漏れ出て、下方へ垂れた場合でも、そのインクは、インク導出口29の下方に位置する蓋部31の封止面31aにより受け止められる。
【0050】
また、図3に示すように、蓋部31が閉止位置にあるときにインク導出口29側に位置する封止面31aには、凹凸部31bが形成されている。そのため、インク導出口29から落下したインクは、封止面31aに受け止められた後、凹凸部31bの凹みに毛管力で吸引されて捕捉されるため、インクが封止面31aに保持され、蓋部31からインクが流れ落ちるのを防止できる。さらに、図3に示すように、凹凸部31bは、封止面31aの延在部30bに連なる端部領域、つまり、ジョイント部材23の前端面に接触する領域(インク導出口29を塞ぐ領域)以外の領域に形成されている。そのため、蓋部31が閉止位置にあるときに凹凸部31bがインク導出口29に接触しないことから、高いシール性が維持され、インク導出口29が確実に閉止される。
【0051】
さらに、図2に示すように、蓋部31の封止面31aと反対側の面には、円錐台状に突出した突出部36が形成されている。この突出部36は、インクカートリッジ4が装着されたときに、カートリッジ装着部8内に設けられたカートリッジ検出センサ60の検出部60a(図4参照)に接触する。この突出部36の作用については、後ほど詳細に説明する。
【0052】
次に、前述のインクカートリッジ4が着脱自在に装着される、インクジェットプリンタ2側のホルダ7について説明する。尚、図4は、図1に概略的に示されているホルダ7の、インクカートリッジ4の挿入方向(図1の紙面垂直方向)を含む鉛直面に関する断面図である。図4に示すように、ホルダ7は、略直方体状のホルダ本体40を備えており、このホルダ本体40には、4色のインクカートリッジ4がそれぞれ装着される4つのカートリッジ装着部8が水平方向に並べて設けられている。4つのカートリッジ装着部8は全て同じ構成を有するものであるため、そのうちの1つについて以下説明する。
【0053】
カートリッジ装着部8は、底壁部41と、この底壁部41と対向する水平な上壁部42と、これら底壁部41と上壁部42のそれぞれの奥端部(図中左端部:挿入方向下流側の端部)を繋ぐように鉛直方向に延びる奥壁部43とを有する。また、各カートリッジ装着部8は、図3の紙面垂直方向に隣接するカートリッジ装着部8と側壁部44により隔てられている。尚、図4においては紙面向こう側に位置する側壁部44のみが示されているが、紙面手前側にも同様の側壁部44が配置されている。そして、底壁部41、上壁部42、奥壁部43、及び、2枚の側壁部44の内側に、挿入方向上流側(後側)にのみ開口し、上流側から挿入されたインクカートリッジ4が収容されるカートリッジ収容室45が形成されている。さらに、上壁部42には、カートリッジ収容室45を開閉する蓋部材46が回動可能に設けられている。
【0054】
底壁部41には上方へ突出するとともに、挿入方向に沿って延びるガイド部47が設けられており、このガイド部47の上端面は水平になっている。そして、インクカートリッジ4の着脱時には、このガイド部47は、インク貯留体22の下面に設けられた2つの支持部27の間の凹部28(図2参照)に係合して、インク貯留体22を下方から支持しながら挿入方向にガイドする。また、底壁部41の挿入方向上流側の端部(後端部)には、蓋部材46がカートリッジ収容室45を閉止する際に、この蓋部材46が係合する凹部41aが形成されている。
【0055】
底壁部41の前側(奥側)部分は後側部分よりも下方へ突出している。また、奥壁部43の下端部には、奥側(前側)へ凹んだ凹部43aが形成されている。これらの構成により、底壁部41と奥壁部43によって形成されるカートリッジ装着部8の角部付近には、カートリッジ収容室45から奥側下方へ膨らんだ空間48が形成されている。
【0056】
また、底壁部41の奥部上面(カートリッジ装着部8の底面)には凹部41bが形成され、さらに、この凹部41bの奥端には収容孔41cが連なっている。この収容孔には、インクカートリッジ4の装着を検出するカートリッジ検出センサ(図5参照)の検出部60a(装着状態検出部)が凹部41bの奥端から少し上方へ突出した状態で上下摺動可能に収容されている。そして、インクカートリッジ4の回動部材21の蓋部31に設けられた突出部36(図2参照)が、検出部60aに接触しているか否かによって、カートリッジ検出センサ60はインクカートリッジ4の有無を検出する。このように、カートリッジ検出センサ60の検出部60aが、カートリッジ装着部8の底面に形成された凹部41b内に設けられているため、万が一、カートリッジ装着部8内に、インクカートリッジ4とは別の物体が入り込んだときでも、その物体が検出部60aに接触しにくくなる。従って、カートリッジ検出センサ60により、インクカートリッジ4の装着を誤って検出してしまうのが極力防止される。
【0057】
さらに、奥壁部43には、インクカートリッジ4の装着時に、そのジョイント部材23の前端面が当接する装着面49と、この装着面49においてカートリッジ収容室45へ開口して、インクカートリッジ4のインク導出口29に連通可能なインク流路50が形成されている。尚、このインク流路50は、チューブ15を介してインクジェットヘッド5に接続されている(図1参照)。
【0058】
上壁部42の先端部には、蓋部材46が回動軸51を介して連結されている。この蓋部材46は、回動軸51を中心に、カートリッジ収容室45を塞ぐ閉止位置と、カートリッジ収容室45を開放する開放位置とに亙って回動可能である。
【0059】
蓋部材46の長さ方向途中部の内側部分(図4の閉止位置にあるときのカートリッジ収容室45側の部分)には、カートリッジ収容室45内に挿入されたインクカートリッジ4を押し込むための凸状の押圧部46aが形成されている。また、蓋部材46の先端部には、内側へ突出する係合部46bが形成されており、係合部46bが底壁部41の凹部41aに係合することによって、閉止位置にある蓋部材46が回動不能な状態に保持される。さらに、蓋部材46の外側部分には、蓋部材46を開閉する際にユーザにより操作される操作部46cが設けられている。
【0060】
カートリッジ収容室45を幅方向(図4の紙面垂直方向)に関して区画する2枚の側壁部44の内面(カートリッジ装着部8の内面)には、挿入方向上流側(後側)から下流側(前側)へ延びる溝52がそれぞれ形成されている。この溝52は、挿入方向上流側においては、底壁部41付近においてこの底壁部41と平行に延びている。また、挿入方向中央部においては、挿入方向に沿って底壁部41付近から上方へ傾斜している。さらに、挿入方向下流側においては、中央部における上方への傾斜よりも緩やかな傾斜で、奥壁部43の装着面49付近まで延びている。インクカートリッジ4の着脱時には、この溝52には、インクカートリッジ4の回動部材21に設けられた水平突出部35(図2参照)が係合する。
【0061】
次に、制御装置3を中心とするインクジェットプリンタ2の制御構成について、図5を参照して説明する。制御装置3は、中央処理装置であるCPU(Central Processing Unit)と、インクジェットプリンタ2の全体動作を制御する為の各種プログラムやデータ等が格納されたROM(Read Only Memory)と、CPUで処理されるデータ等を一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、入出力インターフェース等を備えている。この制御装置3には、PC等の入力装置200から印字データなどの情報が入力され、また、ユーザにより操作される操作部70から各種指令が入力される。さらに、カートリッジ検出センサ60から、インクカートリッジ4の装着有無に関する信号が入力される。そして、制御装置3は、これらの入力情報に基づいて、インクジェットヘッド5や搬送機構6等のインクジェットプリンタ2の各部の動作を制御するように構成されている。
【0062】
例えば、入力装置200から印字データが入力されたときには、制御装置3は、図1に示すように、搬送機構6を制御して記録用紙Pを用紙搬送方向に搬送させながら、キャリッジ9とともにインクジェットヘッド5を移動させて、インクジェットヘッド5の複数のノズルから記録用紙Pに対してインクの液滴を噴射させることにより、記録用紙Pに印字データに対応した文字や画像等を記録する。また、インクカートリッジ4が、あるカートリッジ装着部8に装着されていないなど、記録用紙Pへの記録動作を行う上で不具合がある場合には、メッセージを表示部71に表示させて、その状態をユーザに通知する。また、操作部70からユーザによりパージ指令が入力されたときや、インクカートリッジ4が交換されて、インクジェットヘッド5内に混入したエアや粘度の高くなったインクを排出する必要があるときには、パージ機構11を制御して、インクジェットヘッド5のノズルのパージを行わせる。
【0063】
次に、インクカートリッジ4の着脱時における、インクカートリッジ4及びカートリッジ装着部8の一連の作用について、図4及び図6〜図9を参照して説明する。
【0064】
図4に示すように、カートリッジ装着部8の蓋部材46がカートリッジ収容室45を閉止している状態から、インクカートリッジ4をカートリッジ装着部8に装着する際には、まず、蓋部材46の操作部46aを操作して、係合部46bと凹部41aとの係合状態を解除する。さらに、蓋部材46を図4の反時計回りに回動させて、カートリッジ収容室45を開放状態にする。
【0065】
この状態から、図6に示すように、インクカートリッジ4をカートリッジ収容室45内に挿入していく。尚、挿入される前の状態では、インクカートリッジ4の回動部材21の蓋部31は、捻りバネ34の付勢力により閉止位置に向けて付勢され、ジョイント部材23の前端面に密着してインク導出口29を塞いでいる。
【0066】
インクカートリッジ4が挿入されると、底壁部41に突出状に設けられたガイド部47が、インク貯留体22下部の2つの支持部27間の凹部28(図2参照)に係合し、さらに、ガイド部47の上面にインク貯留体22の下面が当接する。さらに、回動部材21のアーム部30に設けられた2つの水平突出部35が、カートリッジ装着部8の2枚の側壁部44に設けられた2つの溝52にそれぞれ係合する。そして、インクカートリッジ4は、カートリッジ本体20がガイド部47によりガイドされるとともに、回動部材21の水平突出部35が溝52にガイドされながら、前方へ移動する。
【0067】
図6に示すように、挿入初期段階では、インクカートリッジ4の水平突出部35が、カートリッジ装着部8側の溝52のうち、底壁部41(ガイド部47の上面)と平行な、水平に延在する部分と係合している。そのため、回動部材21は回動することなく、カートリッジ本体20と一体的に前方に移動する。
【0068】
図6の状態から、インクカートリッジ4が奥へ挿入されて、図7に示すように、水平突出部35が、溝52が上方へ傾斜している部分にさしかかると、その溝52の傾斜に沿って、水平突出部35も下方から上方へ移動する。すると、この水平突出部35の移動に伴って、回動部材21の回動支点に対して水平突出部35とほぼ反対側に位置する蓋部31が、捻りバネ34の付勢力に抗して、空間48内において開放位置へ向けて反時計回りの方向に回動する。つまり、蓋部31の封止面31aがジョイント部材23の前端面から下方へ離間するため、インク導出口29が開放される。
【0069】
図8に示すように、さらにインクカートリッジ4が奥へ挿入されると、ジョイント部材23の前端面が奥壁部43に設けられた装着面49に当接するとともに、開放されたインク導出口29がインク流路50に連通する。これにより、インクカートリッジ4のインク室25内に貯留されているインクを、インク導出口29から前方のインク流路50へ導出することができるようになる。
【0070】
また、回動部材21に設けられた水平突出部35は、溝52の、傾斜がやや緩やかな部分にさしかかることから、図7の状態よりも速度を落としながら回動し、最終的に、図8に示すように、鉛直姿勢の閉止位置から90度回動した、水平姿勢となる開放位置に到達する。このとき、蓋部31の外面に設けられた突出部36が、底壁部41の凹部41b内に入り込み、突出部36の先端が、凹部41bの奥端から少し上方へ突出しているカートリッジ検出センサ60の検出部60aに接触してこれを押圧する。これにより、インクカートリッジ4がカートリッジ装着部8に装着されたことがカートリッジ検出センサ60により検出され、その検出信号が制御装置3に送られる。
【0071】
尚、回動部材21の回動支点である回動軸32は、インク導出口29よりも下方に位置している。そのため、回動支点がインク導出口29よりも上方にある場合と比べて、蓋部31を閉止位置から開放位置へ変位させるために、回動部材21を回動させるのに必要な力が小さくてすむ。そのため、インクカートリッジ4の装着時に無理に力を掛けることなく、回動部材21の蓋部31を閉止位置から下方へ向けてスムーズに回動させることができ、インク導出口29を開放するのが容易になる。
【0072】
さらに、回動支点である回動軸32は、インク導出口29よりも後方に位置している。この構成では、回動部材21の蓋部31が開放位置にあるときに、インク導出口29と蓋部31との位置を挿入方向において近接させることができることができる。つまり、インク導出口29のほぼ真下に蓋部31の封止面31aを位置させることが可能になるため、インク導出口29から漏れたインクを蓋部31により下方から確実に受け止めることができる。
【0073】
その後、図9に示すように、開放位置にある蓋部材46を閉止位置へ回動させる。すると、蓋部材46の押圧部46aがインクカートリッジ4の後端面に接触して、インクカートリッジ4をさらに奥へ押圧することになり、インクカートリッジ4のジョイント部材23が装着面49に確実に密着する。さらに、蓋部材46の係合部46bをカートリッジ装着部8の凹部41aに係合させて、閉止位置にある蓋部材46を回動不能にして、ジョイント部材23と装着面49の密着状態を保持する。この蓋部材46の閉止によってインクカートリッジ4の装着が完了する。そして、インク導出口29からインク流路50へ導出されたインクは、チューブ15を介してインクジェットヘッド5に供給される(図1参照)。
【0074】
逆に、図9のように、カートリッジ装着部8に装着されているインクカートリッジ4を取り外す場合には、まず、蓋部材46の操作部46cを操作して、係合部46bと凹部41aとの係合状態を解除し、さらに、蓋部材46を閉止位置から開放位置へ回動させて、図8に示すように、カートリッジ収容室45を開放状態にする。
【0075】
この状態から、カートリッジ収容室45内に挿入されているインクカートリッジ4が後方へ抜き出されると、装着時とは逆に、インクカートリッジ4のジョイント部材23が装着面49から離間した後、回動部材21の水平突出部35が溝52に沿って上方から下方へ移動する。すると、この水平突出部35の移動に伴って、回動部材21が図8の時計回りの方向に回動し、インク導出口29から下方へ離間した開放位置にある蓋部31が、図6に示すように、閉止位置へ移動してインク導出口29を塞ぐ。尚、開放位置にある蓋部31が閉止位置に向けて回動し始めると、蓋部31の突出部36による検出部60aの押圧状態(接触状態)が解除されるため、インクカートリッジ4が装着されていない状態がカートリッジ検出部60aにより検出され、その検出信号が制御装置3へ送られる。
【0076】
以上説明したように、インクカートリッジ4の装着時には、インクカートリッジの装着動作に伴って回動部材21が回動して、蓋部31が、インク導出口29を塞ぐ閉止位置から下方へ離間する開放位置へ変位する。また、インクカートリッジ4の取り外し時には、その取り外し動作に伴って、回動部材21が装着時とは逆方向に回動して、蓋部31が、インク導出口29から下方に離間した開放位置から閉止位置へ変位する。
【0077】
従って、インクカートリッジ4を装着するときのみ、インク導出口29が開放されることから、インクカートリッジ4が装着されていない状態における、インク導出口29からのインクの漏れと貯留されているインクの乾燥を防止できる。さらに、インクカートリッジ4の着脱途中には、蓋部31がインク導出口29の下側に位置している。そのため、着脱途中の、インクカートリッジ4の移動時や、ジョイント部材23(インク導出口29)のカートリッジ装着部8との接続時に生じる振動等に起因して、インク導出口29からインクが漏れ出て下方へ垂れたとしても、そのインクはインク導出口29の下側に位置する蓋部31により受け止められるため、インクが、周囲のカートリッジ装着部8の内面に付着して汚れるのが防止される。
【0078】
また、インクカートリッジ4の着脱動作に連動して、蓋部31によるインク導出口29の開放又は閉止が行われるため、インクカートリッジ4の装着前に、ユーザがわざわざ回動部材21を操作して、インク導出口29を開放する必要がない。また、インクカートリッジ4を取り外した後に、回動部材21を操作してインク導出口29を蓋部31で閉止する必要もない。
【0079】
さらに、蓋部31はカートリッジ本体20に連結されていることから、この蓋部31はインクカートリッジ4の装着後になくなってしまうようなものではなく、インクカートリッジ4が取り外された後には再びインク導出口29を塞ぐことになる。そのため、取り外された後のインクカートリッジ4からインクが漏れ出して、周囲が汚れることがない。
【0080】
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0081】
1]インクカートリッジの着脱動作に連動して、蓋部によるインク導出口の開放又は閉止を行わせるための構成は、前記実施形態の水平突出部35と溝52(図6〜図9参照)によるものに限られず、これ以外の他の構成を採用することもできる。以下に、採用可能な構成の例を2つ挙げる(変更形態1,2)。
【0082】
(変更形態1)
図10に示すインクカートリッジ4Aは、カートリッジ本体20Aと、このカートリッジ本体20Aに回動可能に設けられた回動部材21Aとを備えている。また、カートリッジ本体20Aは、インク室25を備えたインク貯留体22Aと、このインク貯留体22Aの前端面に固着されたジョイント部材23とを有する。インク貯留体22Aの前端部には、その下面から側面に沿って下方へそれぞれ突出する2つの支持部27Aが形成されている。さらに、インク貯留体22Aの下端部には、その下面に沿って幅方向外側に突出するとともに、前後方向に延びる2つの突出案内部80がそれぞれ形成されている。また、ジョイント部材23に形成されたインク導出口29は、インク貯留体22Aの前端部に形成されたインク導出路26を介してインク室25に連通している。
【0083】
また、回動部材21Aは、2つの支持部27Aに回動軸32Aを介して回動自在に支持された略L字形のアーム部30Aと、アーム部30Aの一端部に連結された蓋部31Aとを有する。アーム部30Aの、回動軸32A(回動支点)に関して蓋部31Aとほぼ反対側に位置する他端部には、回動軸32Aに枢支されている枢支部から、蓋部31Aの封止面31aと平行で、且つ、蓋部31Aと反対の方向に突出する突出部35A(第2係合部)が設けられている。また、蓋部31Aの外面(封止面31aと反対側の面)には円錐台状の突出部36が形成されている。
【0084】
一方、図11に示すように、カートリッジ装着部8Aの底壁部41Aの前後方向中央部には、上方へ突出する突出部52A(第1係合部)が形成されている。尚、この突出部52Aの挿入方向両側部はそれぞれ傾斜面となっているが、挿入方向下流側(前側)の傾斜面が上流側(後側)の傾斜面よりも長く(広く)なっている。また、カートリッジ装着部8Aの2つの側壁部44Aには、内側(カートリッジ収容室45A内)へ張り出したガイド部47Aがそれぞれ挿入方向に沿って水平に延びている。
【0085】
次に、インクカートリッジ4Aの着脱時における、インクカートリッジ4Aとカートリッジ装着部8Aの作用を図11〜図13を参照して説明する。
インクカートリッジ4Aを装着するために、図11に示すように、カートリッジ装着部8Aのカートリッジ収容室45Aにインクカートリッジ4Aが挿入されると、インク貯留体22Aの突出案内部80が側壁部44Aに設けられたガイド部47Aに係合し、インクカートリッジ4Aは、ガイド部47Aにより前方へ案内される。
【0086】
図12に示すように、インクカートリッジ4Aがカートリッジ収容室45A内に半分以上挿入されると、回動部材21Aのアーム部30Aに設けられた鉛直姿勢の突出部35Aが底壁部41Aの突出部52Aの後側傾斜面に係止され、奥(前方)へ移動できなくなる。このとき、インク貯留体22Aの支持部27Aは突出部52Aよりも上方にあり、奥へ移動できるようになっている。そのため、カートリッジ本体20Aが、突出部52Aにより係止された突出部35Aに対して前方へ相対移動することになる。これによって、回動部材21Aが図12の反時計回りの方向に回動し、突出部35Aと回動軸32Aに関してほぼ反対側に位置する蓋部31Aが、ジョイント部材23から離間して下方へ移動し始める。
【0087】
さらにインクカートリッジ4Aが挿入されていくと、回動部材21Aが回動するにつれて、蓋部31Aの姿勢が水平姿勢に近づいていき、最終的に開放位置に到達する。このとき、蓋部31Aと平行な突出部35Aも水平姿勢に近づき、底壁部41Aの突出部52Aとの係合が外れる。そして、図13に示すように、ジョイント部材23の前端面が装着面49に当接して、インク導出口29がインク流路50に連通する。さらに、蓋部31Aが開放位置に到達したときには、蓋部31Aの外面の突出部36が検出部60aを押圧するため、カートリッジ検出センサ60によりインクカートリッジ4Aが装着されたことが検出される。その後、蓋部材46が閉止されてインクカートリッジ4Aの装着が完了する。
【0088】
一方、図13の装着状態から、蓋部材46を開放位置に回動させた後、インクカートリッジ4Aを取り外すために、インクカートリッジ4Aが引き抜かれると、今度は、鉛直状態のアーム部30Aが突出部52Aの前方傾斜面に係止される。そのため、図12に示すように、前述の装着時とは逆に、回動部材21Aが時計回りに回動し、開放位置にある蓋部31Aが上方へ移動し始める。さらにインクカートリッジ4Aが引き抜かれていくと、図11に示すように、蓋部31Aはジョイント部材23の前端面に当接してインク導出口29を閉止する。
【0089】
以上のように、この変更形態1の構成によっても、インクカートリッジ4Aの着脱動作に連動して回動部材21Aを回動させることにより、蓋部31Aによるインク導出口29の開放又は閉止を行わせることができる。
【0090】
(変更形態2)
図14に示すインクカートリッジ4Bは、カートリッジ本体20Bと、このカートリッジ本体20Bに回動可能に設けられた回動部材21Bとを備えている。また、カートリッジ本体20Bは、インク室25を備えたインク貯留体22Bと、このインク貯留体22Bの前端面に固着されたジョイント部材23とを有する。インク貯留体22Bの前端部には、ジョイント部材23の下方において、このジョイント部材23よりもさらに前方へ突出した2つの支持部27Bが形成されている。また、前述した変更形態1(図10〜図13参照)と同様に、インク貯留体22Bの下端部には、その下面に沿って幅方向外側に突出するとともに、前後方向に延びる2つの突出案内部80がそれぞれ形成されている。また、ジョイント部材23に形成されたインク導出口29は、インク貯留体22Bの前端部に形成されたインク導出路26を介してインク室25に連通している。
【0091】
回動部材21Bは、2つの支持部27Bに回動軸32Bを介して回動自在に支持されたアーム部30Bと、アーム部30Bの一端部に連結された蓋部31Bとを有する。尚、図14(a)に示すように、アーム部30Bの幅は、蓋部31Bの幅よりもやや小さい程度であり、比較的大きな幅となっている。アーム部30Bの、回動軸32B(回動支点)に関して蓋部31Bとほぼ反対側に位置する他端部には、回動軸32Bに枢支されている枢支部からほぼ90度の中心角で扇状に広がる扇部37と、この扇部37の外周部に周方向(即ち、回動部材21Bの回動方向)に沿って配置された3つの歯部35B(第2歯部)とが設けられている。また、蓋部31Bの外面(封止面31aと反対側の面)には円錐台状の突出部36が形成されている。尚、この変更形態2のインクカートリッジ4Bにおいては、2つの支持部27Bに支持された回動部材21Bの回動支点(回動軸32B)は、インク導出口29よりも前方に位置している。また、蓋部31Bが閉止位置にあるときに、3つの歯部35Bは蓋部31Bよりも前方の位置にある。
【0092】
一方、図15に示すように、カートリッジ装着部8Bの底壁部41Bの前後方向中央部には、前後方向に並ぶ2つの歯部52B(第1歯部)が形成されている。また、前述の変更形態1と同様に、カートリッジ装着部8Bの2つの側壁部44Bには、内側へ張り出したガイド部47Bがそれぞれ挿入方向に沿って水平に延びている。また、この変更形態2においては、カートリッジ装着部8Bの底壁部41Bの奥端部にカートリッジ検出センサ60の検出部60aが固定的に設けられている。
【0093】
次に、インクカートリッジ4Bの着脱時における、インクカートリッジ4Bとカートリッジ装着部8Bの作用を図15〜図18を参照して説明する。
インクカートリッジ4Bを装着するために、図15に示すように、カートリッジ装着部8Bのカートリッジ収容室45Bにインクカートリッジ4Bが挿入されると、インク貯留体22Bの突出案内部80が側壁部44Bに設けられたガイド部47Bに係合し、インクカートリッジ4Bは、ガイド部47Bにより奥へ案内される。
【0094】
図16に示すように、インクカートリッジ4Bがカートリッジ収容室45B内に半分近く挿入されると、回動部材21Bのアーム部30Bに設けられ、蓋部31Bよりも前方に位置する扇部37の3つの歯部35Bが、底壁部41Bに形成された2つの歯部52Bに係合する。この係合状態でカートリッジ本体20Bがさらに奥へ挿入されていくと、回動部材21Bのアーム部30Bが反時計回りの方向へ回動し、歯部35Bと回動軸32Bに関して反対側に位置する蓋部31Bが、ジョイント部材23から離間して下方へ移動し始める。
【0095】
さらにインクカートリッジ4Bが挿入されていくと、図17に示すように、回動部材21Bが90度回動して、蓋部31Bが水平姿勢となる開放位置まで変位する。このとき、90度の中心角を有する扇部37に設けられた3つの歯部35Bと底壁部41Bの2つの歯部52Bとの係合状態が終了し、蓋部31Bが開放位置にある状態で回動部材21Bがカートリッジ本体20Bと一体的に奥へ移動する。そして、図18に示すように、ジョイント部材23の前端面が装着面49に当接して、インク導出口29がインク流路50に連通する。さらに、底壁部41Bの奥端部に固定的に設けられた検出部60aの上端に、奥へ移動してきた蓋部31Bの突出部36の先端が接触することで、カートリッジ検出センサ60によりインクカートリッジ4Bが装着されたことが検出される。その後、蓋部31Bが閉止されてインクカートリッジ4Bの装着が完了する。
【0096】
尚、この変更形態2においては、回動部材21Bの回動軸32Bはインク導出口29よりも前側(挿入方向下流側)に位置している。そのため、図18に示すように、蓋部31Bが開放位置にあるときには、蓋部31Bの封止面31aはインク導出口29の下方にあるものの真下の位置にはなく、前方にずれている。しかし、インク導出口29の真下には、蓋部31Bに連なるアーム部30Bが位置しており、このアーム部30Bは、蓋部31Bの幅よりもやや狭い程度の、比較的大きな幅を有する。そのため、インク導出口29から真下にインクが垂れ落ちたとしても、そのインクはアーム部30Bにより受け止められる。
【0097】
一方、図18の装着状態から、蓋部材46を開放位置に回動させた後、インクカートリッジ4Bを取り外すために、インクカートリッジ4Bが引き抜かれると、回動部材21Bはカートリッジ本体20Bと一体的に後方へ移動した後、その扇部37に形成された3つの歯部35Bが底壁部41Bの2つの歯部52Bと係合して、前述の装着時とは逆に、回動部材21Bが時計回りに回動し、開放位置にある蓋部31Bが上方へ移動し始める。さらにインクカートリッジ4Bが引き抜かれていくと、図15に示すように、蓋部31Bはジョイント部材23の前端面に当接してインク導出口29を閉止する。
【0098】
以上のように、この変更形態2の構成によっても、インクカートリッジ4Bの着脱動作に連動して回動部材21Bを回動させることにより、蓋部31Bによるインク導出口29の開放又は閉止を行わせることができる。
【0099】
2]インクカートリッジの着脱動作に連動して回動部材を回動させる構成(前記実施形態においては、カートリッジ装着部8の溝52、及び、インクカートリッジ4の水平突出部35)は必ずしも必要ではない。即ち、インクカートリッジの装着前に、ユーザが回動部材を手動で操作して蓋部を開放位置に移動させてから、インクカートリッジを挿入してもよい。また、カートリッジ装着部からインクカートリッジを取り外した後に、回動部材を操作してインク導出口を蓋部で閉止してもよい。ここで、前記実施形態の図2に示されているように、蓋部31の外面(封止面31aと反対側の面)に突出部36が設けられていると、インクカートリッジを装着する直前にインク導出口を開放する際、あるいは、取り外した直後にインク導出口を閉止する際に、突出部36をつまんで蓋部31を容易に操作することができる。
【0100】
また、インク導出口を開閉する蓋部はカートリッジ本体に連結されていることから、手動で蓋部を開放位置にしてインク導出口を開放してから装着を行ったとしても、蓋部がなくなってしまうことはない。そのため、インクカートリッジを取り外した後に、再び蓋部を閉止位置に戻してインク導出口を閉止することができる。
【0101】
3]装着状態を検出するためのカートリッジ検出センサ60の検出部60aに接触するインクカートリッジの部分は、前記実施形態における蓋部31に設けられた突出部36に限られない。つまり、インクカートリッジの他の部分が検出部60aに接触することにより、装着状態が検出されるようになっていてもよい。また、カートリッジ検出センサ60の検出部60aはカートリッジ装着部の底面に設けられる必要は必ずしもなく、インクカートリッジの接触部分に応じて適宜その位置を変更することができる。但し、インクカートリッジ以外の物体が接触するのを防止する観点からは、検出部60aはカートリッジ装着部内に設けられていることが好ましい。さらに、このような接触型の検出部60aの代わりに、透過型光センサ等の非接触型の検出部がカートリッジ装着部に設けられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の実施形態に係るインクジェット記録システムの概略構成図である。
【図2】実施形態のインクカートリッジを示す図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は下面図である。
【図3】蓋部が開放位置にある状態の回動部材の拡大図である。
【図4】ホルダ(カートリッジ装着部)の縦断面図である。
【図5】インクジェットプリンタの概略的な制御構成を示すブロック図である。
【図6】蓋部回動前の状態におけるインクカートリッジとカートリッジ装着部を示す図である。
【図7】蓋部回動途中の状態におけるインクカートリッジとカートリッジ装着部を示す図である。
【図8】蓋部回動完了時のインクカートリッジとカートリッジ装着部を示す図である。
【図9】装着完了時のインクカートリッジとカートリッジ装着部を示す図である。
【図10】変更形態1のインクカートリッジを示す図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は下面図である。
【図11】蓋部回動前の状態におけるインクカートリッジとカートリッジ装着部を示す図である。
【図12】蓋部回動途中の状態におけるインクカートリッジとカートリッジ装着部を示す図である。
【図13】装着完了時のインクカートリッジとカートリッジ装着部を示す図である。
【図14】変更形態2のインクカートリッジを示す図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は下面図である。
【図15】蓋部回動前の状態におけるインクカートリッジとカートリッジ装着部を示す図である。
【図16】蓋部回動途中の状態におけるインクカートリッジとカートリッジ装着部を示す図である。
【図17】蓋部回動完了時のインクカートリッジとカートリッジ装着部を示す図である。
【図18】装着完了時のインクカートリッジとカートリッジ装着部を示す図である。
【符号の説明】
【0103】
1 インクジェット記録システム
2 インクジェットプリンタ
4,4A,4B インクカートリッジ
5 インクジェットヘッド
8,8A,8B カートリッジ装着部
20,20A,20B カートリッジ本体
21,21A,21B 回動部材
22,22A,22B インク貯留体
25 インク室
29 インク導出口
30,30A,30B アーム部
31b 凹凸部
31,31A,31B 蓋部
32,32A,32B 回動軸
35 水平突出部
35A 突出部
35B 歯部
36 突出部
52 溝
52A 突出部
52B 歯部
60a カートリッジ検出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット記録装置のカートリッジ装着部に対して所定の挿入方向に挿入されることにより装着されるインクカートリッジであって、
インクを貯留するインク室とこのインク室内のインクを前記インクジェット記録装置へ向けて導出するインク導出口とを有するカートリッジ本体と、
前記カートリッジ本体のインク導出口を閉止可能な蓋部を有し、前記蓋部が前記インク導出口を塞ぐ閉止位置と、前記インク導出口から前記カートリッジ本体の装着姿勢における下方へ離間した前記インク導出口を開放する開放位置と、に亙って変位可能であるように、前記カートリッジ本体に回動可能に設けられた回動部材と、
を備えていることを特徴とするインクカートリッジ。
【請求項2】
前記蓋部の、前記閉止位置にあるときの前記インク導出口と反対側の面に突出部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のインクカートリッジ。
【請求項3】
前記蓋部の、前記閉止位置にあるときの前記インク導出口側の面に、凹凸部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクカートリッジ。
【請求項4】
前記凹凸部は、前記インク導出口側の面の、前記インク導出口を塞ぐ領域以外の領域に形成されていることを特徴とする請求項3に記載のインクカートリッジ。
【請求項5】
前記カートリッジ本体が装着姿勢にあるときに、前記インク導出口が前記挿入方向先端側に位置しており、さらに、前記回動部材の回動支点が、前記インク導出口よりも下方に位置していることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のインクカートリッジ。
【請求項6】
前記回動支点は、前記インク導出口よりも前記挿入方向における後側に位置していることを特徴とする請求項5に記載のインクカートリッジ。
【請求項7】
前記カートリッジ本体が装着姿勢にあるときに、前記インク導出口が、前記カートリッジ本体の重心を通る水平面よりも下側にあることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のインクカートリッジ。
【請求項8】
前記回動部材は、前記蓋部と連結されるとともに、その回動支点に対して前記蓋部とほぼ反対側の位置まで延び、前記蓋部と一体的に回動可能なアーム部を有し、
前記アーム部の前記蓋部とほぼ反対側に位置する部分に、前記カートリッジ装着部内に設けられた凹状又は凸状の第1係合部と係合可能な第2係合部が設けられ、
前記カートリッジ本体が前記カートリッジ装着部に対して前記挿入方向に挿入されるときに、前記第2係合部が前記第1係合部に係合した状態で前記挿入方向に移動することにより前記アーム部が回動し、それに伴って、前記蓋部が前記閉止位置から下方へ回動して前記開放位置に移動するように構成されていることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のインクカートリッジ。
【請求項9】
前記カートリッジ装着部は、その内側面に、前記第1係合部として、前記挿入方向に沿って下から上へ傾斜して延びる溝を有するものであり、
前記アーム部には、前記第2係合部として、前記溝に係合可能な突出部が設けられ、
前記カートリッジ本体が前記カートリッジ装着部に対して前記挿入方向に挿入されるときに、前記突出部が前記溝に沿って下方から上方へ移動することにより、前記蓋部が前記閉止位置から下方へ回動して前記開放位置に移動するように構成されていることを特徴とする請求項8に記載のインクカートリッジ。
【請求項10】
前記カートリッジ装着部は、その底面に、前記第1係合部として、前記挿入方向に並べて配置された複数の第1歯部を有するものであり、
前記アーム部には、その回動方向に沿って配置されて、前記複数の第1歯部に係合可能な複数の第2歯部が設けられ、
前記カートリッジ本体が前記カートリッジ装着部に対して前記挿入方向に挿入されるときに、前記第2歯部が前記第1歯部と係合しつつ前記アーム部が回動することにより、前記蓋部が前記閉止位置から下方へ回動して前記開放位置に移動するように構成されていることを特徴とする請求項8に記載のインクカートリッジ。
【請求項11】
インクを貯留するインク室とこのインク室内のインクを外部へ導出するインク導出口とを有するカートリッジ本体と、
前記カートリッジ本体のインク導出口を閉止可能な蓋部を有し、且つ、前記蓋部が前記インク導出口を塞ぐ閉止位置と、前記インク導出口から前記カートリッジ本体のインク導出姿勢における下方へ離間した前記インク導出口を開放する開放位置と、に亙って変位可能であるように、前記カートリッジ本体に回動可能に設けられた回動部材と、
を備えていることを特徴とするインクカートリッジ。
【請求項12】
インクジェットヘッドを有するインクジェット記録装置と、このインクジェット記録装置のカートリッジ装着部に所定の挿入方向に挿入されることにより装着されるインクカートリッジとを備えたインクジェット記録システムであって、
前記インクカートリッジは、
インクを貯留するインク室とこのインク室内のインクを前記インクジェットヘッドへ向けて導出するインク導出口とを有するカートリッジ本体と、
前記カートリッジ本体のインク導出口を閉止可能な蓋部を有し、且つ、前記蓋部が前記インク導出口を塞ぐ閉止位置と、前記インク導出口から前記カートリッジ本体の装着姿勢における下方へ離間した前記インク導出口を開放する開放位置と、に亙って変位可能であるように、前記カートリッジ本体に回動可能に設けられた回動部材と、
を備えていることを特徴とするインクジェット記録システム。
【請求項13】
前記カートリッジ装着部内に凹状又は凸状の第1係合部が設けられ、
前記インクカートリッジの前記回動部材は、前記蓋部と連結されるとともに、その回動支点に対して前記蓋部とほぼ反対側の位置まで延び、前記蓋部と一体的に回動可能なアーム部を有し、
前記アーム部の前記蓋部とほぼ反対側に位置する部分に、前記第1係合部と係合可能な第2係合部が設けられ、
前記カートリッジ本体が前記カートリッジ装着部に対して前記挿入方向に挿入されるときに、前記第2係合部が前記第1係合部に係合した状態で前記挿入方向に移動することにより前記アーム部が回動し、それに伴って、前記蓋部が前記閉止位置から下方へ回動して前記開放位置に移動するように構成されていることを特徴とする請求項12に記載のインクジェット記録システム。
【請求項14】
前記カートリッジ装着部は、前記インクカートリッジが装着されたときに前記インクカートリッジの一部が接触することによって、その装着状態を検出する装着状態検出部を有することを特徴とする請求項12又は13に記載のインクジェット記録システム。
【請求項15】
前記装着状態検出部は、前記カートリッジ装着部の底面に形成された凹部の奥端面に配置され、
前記蓋部の、前記閉止位置にあるときの前記インク導出口と反対側の面に突出部が形成され、
前記インクカートリッジの装着が完了したときに、前記インク導出口から下方へ離間した前記開放位置にある前記蓋部の前記突出部先端が前記装着状態検出部に接触することを特徴とする請求項12〜14の何れかに記載のインクジェット記録システム。
【請求項1】
インクジェット記録装置のカートリッジ装着部に対して所定の挿入方向に挿入されることにより装着されるインクカートリッジであって、
インクを貯留するインク室とこのインク室内のインクを前記インクジェット記録装置へ向けて導出するインク導出口とを有するカートリッジ本体と、
前記カートリッジ本体のインク導出口を閉止可能な蓋部を有し、前記蓋部が前記インク導出口を塞ぐ閉止位置と、前記インク導出口から前記カートリッジ本体の装着姿勢における下方へ離間した前記インク導出口を開放する開放位置と、に亙って変位可能であるように、前記カートリッジ本体に回動可能に設けられた回動部材と、
を備えていることを特徴とするインクカートリッジ。
【請求項2】
前記蓋部の、前記閉止位置にあるときの前記インク導出口と反対側の面に突出部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のインクカートリッジ。
【請求項3】
前記蓋部の、前記閉止位置にあるときの前記インク導出口側の面に、凹凸部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクカートリッジ。
【請求項4】
前記凹凸部は、前記インク導出口側の面の、前記インク導出口を塞ぐ領域以外の領域に形成されていることを特徴とする請求項3に記載のインクカートリッジ。
【請求項5】
前記カートリッジ本体が装着姿勢にあるときに、前記インク導出口が前記挿入方向先端側に位置しており、さらに、前記回動部材の回動支点が、前記インク導出口よりも下方に位置していることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のインクカートリッジ。
【請求項6】
前記回動支点は、前記インク導出口よりも前記挿入方向における後側に位置していることを特徴とする請求項5に記載のインクカートリッジ。
【請求項7】
前記カートリッジ本体が装着姿勢にあるときに、前記インク導出口が、前記カートリッジ本体の重心を通る水平面よりも下側にあることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のインクカートリッジ。
【請求項8】
前記回動部材は、前記蓋部と連結されるとともに、その回動支点に対して前記蓋部とほぼ反対側の位置まで延び、前記蓋部と一体的に回動可能なアーム部を有し、
前記アーム部の前記蓋部とほぼ反対側に位置する部分に、前記カートリッジ装着部内に設けられた凹状又は凸状の第1係合部と係合可能な第2係合部が設けられ、
前記カートリッジ本体が前記カートリッジ装着部に対して前記挿入方向に挿入されるときに、前記第2係合部が前記第1係合部に係合した状態で前記挿入方向に移動することにより前記アーム部が回動し、それに伴って、前記蓋部が前記閉止位置から下方へ回動して前記開放位置に移動するように構成されていることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のインクカートリッジ。
【請求項9】
前記カートリッジ装着部は、その内側面に、前記第1係合部として、前記挿入方向に沿って下から上へ傾斜して延びる溝を有するものであり、
前記アーム部には、前記第2係合部として、前記溝に係合可能な突出部が設けられ、
前記カートリッジ本体が前記カートリッジ装着部に対して前記挿入方向に挿入されるときに、前記突出部が前記溝に沿って下方から上方へ移動することにより、前記蓋部が前記閉止位置から下方へ回動して前記開放位置に移動するように構成されていることを特徴とする請求項8に記載のインクカートリッジ。
【請求項10】
前記カートリッジ装着部は、その底面に、前記第1係合部として、前記挿入方向に並べて配置された複数の第1歯部を有するものであり、
前記アーム部には、その回動方向に沿って配置されて、前記複数の第1歯部に係合可能な複数の第2歯部が設けられ、
前記カートリッジ本体が前記カートリッジ装着部に対して前記挿入方向に挿入されるときに、前記第2歯部が前記第1歯部と係合しつつ前記アーム部が回動することにより、前記蓋部が前記閉止位置から下方へ回動して前記開放位置に移動するように構成されていることを特徴とする請求項8に記載のインクカートリッジ。
【請求項11】
インクを貯留するインク室とこのインク室内のインクを外部へ導出するインク導出口とを有するカートリッジ本体と、
前記カートリッジ本体のインク導出口を閉止可能な蓋部を有し、且つ、前記蓋部が前記インク導出口を塞ぐ閉止位置と、前記インク導出口から前記カートリッジ本体のインク導出姿勢における下方へ離間した前記インク導出口を開放する開放位置と、に亙って変位可能であるように、前記カートリッジ本体に回動可能に設けられた回動部材と、
を備えていることを特徴とするインクカートリッジ。
【請求項12】
インクジェットヘッドを有するインクジェット記録装置と、このインクジェット記録装置のカートリッジ装着部に所定の挿入方向に挿入されることにより装着されるインクカートリッジとを備えたインクジェット記録システムであって、
前記インクカートリッジは、
インクを貯留するインク室とこのインク室内のインクを前記インクジェットヘッドへ向けて導出するインク導出口とを有するカートリッジ本体と、
前記カートリッジ本体のインク導出口を閉止可能な蓋部を有し、且つ、前記蓋部が前記インク導出口を塞ぐ閉止位置と、前記インク導出口から前記カートリッジ本体の装着姿勢における下方へ離間した前記インク導出口を開放する開放位置と、に亙って変位可能であるように、前記カートリッジ本体に回動可能に設けられた回動部材と、
を備えていることを特徴とするインクジェット記録システム。
【請求項13】
前記カートリッジ装着部内に凹状又は凸状の第1係合部が設けられ、
前記インクカートリッジの前記回動部材は、前記蓋部と連結されるとともに、その回動支点に対して前記蓋部とほぼ反対側の位置まで延び、前記蓋部と一体的に回動可能なアーム部を有し、
前記アーム部の前記蓋部とほぼ反対側に位置する部分に、前記第1係合部と係合可能な第2係合部が設けられ、
前記カートリッジ本体が前記カートリッジ装着部に対して前記挿入方向に挿入されるときに、前記第2係合部が前記第1係合部に係合した状態で前記挿入方向に移動することにより前記アーム部が回動し、それに伴って、前記蓋部が前記閉止位置から下方へ回動して前記開放位置に移動するように構成されていることを特徴とする請求項12に記載のインクジェット記録システム。
【請求項14】
前記カートリッジ装着部は、前記インクカートリッジが装着されたときに前記インクカートリッジの一部が接触することによって、その装着状態を検出する装着状態検出部を有することを特徴とする請求項12又は13に記載のインクジェット記録システム。
【請求項15】
前記装着状態検出部は、前記カートリッジ装着部の底面に形成された凹部の奥端面に配置され、
前記蓋部の、前記閉止位置にあるときの前記インク導出口と反対側の面に突出部が形成され、
前記インクカートリッジの装着が完了したときに、前記インク導出口から下方へ離間した前記開放位置にある前記蓋部の前記突出部先端が前記装着状態検出部に接触することを特徴とする請求項12〜14の何れかに記載のインクジェット記録システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−87261(P2008−87261A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−268986(P2006−268986)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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