説明

インクカートリッジ

【課題】インクカートリッジに対して外部から衝撃が加わった場合でも、ケースを形成する壁部の一部である斜面部がケースの内側方向または外側方向に倒れることを防止可能なインクカートリッジを提供する。
【解決手段】インクカートリッジは、本体部3と蓋部から形成される箱状のケースと、ケース内に収容されるインクパック7とを備える。本体部3は、左壁30と、左壁30の外周に沿って略垂直に設けられた底壁31、上壁32、前壁34、背面部331、斜面部332から形成されている。斜面部332は、インクパック7の口栓72の軸線に対して斜めに配置され、両側で底壁31および背面部331の夫々と鈍角を成して接続する。本体部3の内側の左壁30と斜面部332とが接続する部分に、左壁30および斜面部332に対して交差する部分に張り出した補強部材37が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを内部に収容し、外部へ排出するインクカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なインクカートリッジとして、内部にインクを収容するインク袋と、インク袋を収容する直方体形状のケースとを備えたインクカートリッジが知られている。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のインクカートリッジのケースは、樹脂で薄型矩形箱状に形成されている。より詳細には、ケースは、ケースの厚み方向に対向配置された矩形状の一対の壁部と、該一対の壁部の外周を囲んで両者を繋ぐ周壁部を含む。通常、周壁部は、一対の壁部のうち一方である底壁の四辺に連続して底壁に対して略垂直方向に延設される。そして、底壁と周壁部がインク袋の容器とされ、一対の壁部のうち他方が蓋部として容器に接合される。
【0005】
一方、一対の壁部を、矩形の四つの角部の一つが斜めに切り取られたような五角形状とし、一対の壁部を囲んで両者を繋ぐ周壁部を設けてケースを形成することが検討されている。該場合、ケースの周壁部の一部は、他の壁部に対して斜めに接続する斜面部となる。このような構成のケースは、落下等の理由で斜面部に外部から衝撃が加えられた場合、斜面部に対して外力がケースの外側から内側方向、または内側から外側方向に働き、斜面部が内側方向または外側方向に倒れる可能性がある。
【0006】
本発明は、インクカートリッジに対して外部から衝撃が加わった場合でも、ケースを形成する壁部の一部である斜面部がケースの内側方向または外側方向に倒れることを防止可能なインクカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1のインクカートリッジは、インクを収容するインク袋と、前記インク袋に設けられた口栓と、前記インク袋を収容する箱状のケースとを備えたインクカートリッジである。前記ケースは、前記口栓の軸線を長手方向として、前記軸線に対して略平行に対向配置された一対の板状の壁部のうち一方である第一壁部と、前記第一壁部の外周に沿って、前記一対の壁部の他方である第二壁部に向けて延設された壁部である周壁部とを少なくとも含む第一ケースと、前記第二壁部を少なくとも含み、前記第一ケースに接合される第二ケースとを備える。前記周壁部は、前記軸線に略平行に延びる前記第一壁部の一対の端部から前記第一壁部に対して略垂直に延設された一対の壁部である第三壁部および第四壁部と、前記第一壁部の前記長手方向における一端部において前記第一壁部および前記軸線に対して略垂直に延設され、前記第三壁部と略垂直に接続する第五壁部と、前記第一壁部の前記長手方向における前記一端部において前記第一壁部に対して略垂直、且つ前記軸線に対して斜めに配置され、両側で前記第四壁部と前記第五壁部の夫々と鈍角を成して接続する第六壁部とを少なくとも含む。前記ケースは、前記ケースの内側の前記第一壁部と前記第六壁部とが接続する部分に、前記第一壁部および前記第六壁部に対して交差する部分に張り出した補強部材を備える。
【0008】
請求項1のインクカートリッジでは、第一ケースに設けられた周壁部は、第一壁部の長手方向における一端部から第一壁部に対して略垂直、且つ口栓の軸線に対して斜めに配置された第六壁部を含む。第六壁部は、両側で第四壁部と第五壁部の夫々と鈍角を成して接続する。つまり、第六壁部は第四壁部と第五壁部に対して斜めに接続する斜面部である。第六壁部に落下等の理由で外部から衝撃が加わって、外力がケースの外側から内側方向、または内側から外側方向に働いた場合、第六壁部は内側方向または外側方向に倒れる可能性がある。しかし、請求項1のインクカートリッジは、ケースの内側の第一壁部と第六壁部とが接続する部分に、第一壁部および第六壁部に対して交差する部分に張り出した補強部材を備えている。故に、請求項1のインクカートリッジは、外部から衝撃が加わって外力がケースに働いた場合でも、該補強部材により、斜面部である第六壁部が内側方向または外側方向に倒れるのを防止することができる。
【0009】
請求項2のインクカートリッジにおいて、前記補強部材は、板面が前記第一壁部の伸展方向および前記第六壁部の伸展方向に対して夫々交差するように配置され、前記第一壁部および前記第六壁部に連結する板状部材であることを特徴とする。請求項2のインクカートリッジは、簡便な構成で、効果的に第六壁部が内側方向または外側方向に倒れるのを防止することができる。
【0010】
請求項3のインクカートリッジは、インクを収容するインク袋と、前記インク袋に設けられた前記インクを取り出すための口栓と、前記インク袋を収容する箱状のケースとを備えたインクカートリッジである。前記ケースは、前記口栓の軸線を長手方向として、前記軸線に対して略平行に対向配置された一対の板状の壁部のうち一方である第一壁部と、前記第一壁部の外周に沿って、前記一対の壁部の他方である第二壁部に向けて延設された壁部である周壁部とを少なくとも含む第一ケースと、前記第二壁部を少なくとも含み、前記第一ケースに接合される第二ケースとを備える。前記周壁部は、前記軸線に略平行に延びる前記第一壁部の一対の端部から前記第一壁部に対して略垂直に延設された一対の壁部である第三壁部および第四壁部と、前記第一壁部の前記長手方向における一端部において前記第一壁部および前記軸線に対して略垂直に延設され、前記第三壁部と略垂直に接続する第五壁部と、前記第一壁部の前記長手方向における前記一端部において前記第一壁部に対して略垂直、且つ前記軸線に対して斜めに配置され、両側で前記第四壁部と前記第五壁部の夫々と鈍角を成して接続する第六壁部とを少なくとも含む。前記ケースは、前記ケースの内側の前記第一壁部と前記第六壁部とが接続する部分に、板面が前記第一壁部の伸展方向および前記第六壁部の伸展方向に対して夫々交差するように配置され、前記第一壁部および前記第六壁部に連結する板状の補強部材を備える。
【0011】
請求項3のインクカートリッジでは、第一ケースに設けられた周壁部は、第一壁部の長手方向における一端部から第一壁部に対して略垂直、且つ口栓の軸線に対して斜めに配置された第六壁部を含む。第六壁部は、両側で第四壁部と第五壁部の夫々と鈍角を成して接続する。つまり、第六壁部は第四壁部と第五壁部に対して斜めに接続する斜面部である。第六壁部に落下等の理由で外部から衝撃が加わって、外力がケースの外側から内側方向、または内側から外側方向に働いた場合、第六壁部は内側方向または外側方向に倒れる可能性がある。しかし、請求項3のインクカートリッジは、ケースの内側の第一壁部と第六壁部とが接続する部分に、板面が前記第一壁部の伸展方向および前記第六壁部の伸展方向に対して夫々交差するように配置され、前記第一壁部および前記第六壁部に連結する板状の補強部材を備えている。故に、請求項3のインクカートリッジは、外部から衝撃が加わって外力がケースに働いた場合でも、該補強部材により、斜面部である第六壁部が内側方向または外側方向に倒れるのを防止することができる。
【0012】
請求項4のインクカートリッジでは、前記第一壁部は、前記第六壁部と接続する端部の一部を含む領域に、前記補強部材が形成された前記ケースの前記内側から、前記第一壁部に対して前記補強部材が形成された側とは反対側である外側方向へ突出する第一突出部を備え、前記第六壁部は、前記第一壁部と接続する部分のうち、前記第一突出部と接続する一部分に、前記第二壁部とは反対方向に突出する第二突出部を備える。第一壁部と第六壁部との接続部分に第一、第二突出部があると、平面状の第一壁部および第六壁部が略垂直に接続する場合に比べ、第六壁部を支持する部分が増えるので、第六壁部がケースの内側方向または外側方向に倒れにくくなる。故に、請求項4のインクカートリッジは、外部から衝撃が加わって外力がケースに働いた場合でも、補強部材および第一、第二突出部により、第六壁部が内側方向または外側方向に倒れるのを更に効果的に防止することができる。
【0013】
請求項5のインクカートリッジでは、前記第六壁部と前記第四壁部とが成す角は、前記第六壁部と前記第五壁部とが成す角よりも小さく、前記補強部材は、前記第四壁部よりも前記第五壁部に近い位置に設けられている。第六壁部がケースの内側方向に押された場合、第六壁部の両側に接続する第四壁部と第五壁部とでは、成す角がより小さい第四壁部は、第六壁部をある程度支えることができる。故に、請求項5のインクカートリッジは、第四壁部よりも第五壁部に近い位置に設けた補強部材により、より効率的に第六壁部が内側方向に倒れるのを防止することができる。
【0014】
請求項6のインクカートリッジでは、前記第五壁部は、前記周壁部のうち、前記口栓の前記軸線方向において最端側に位置する。第五壁部は、周壁部のうち最端側に位置するので、落下した場合等に、第四壁部よりも第五壁部の方が衝撃を受ける可能性が高い。第五壁部が衝撃を受けると、第六壁部も衝撃を受けることになる。故に、第四壁部よりも衝撃を受ける可能性が高い第五壁部に近い位置に設けた補強部材により、より効率的に第六壁部が内側方向または外側方向に倒れるのを防止することができる。
【0015】
請求項7のインクカートリッジでは、前記第六壁部は、貫通孔または前記内側から外側方向へ凹んだ凹部を少なくとも一つ備え、前記第二壁部は、前記貫通孔または前記凹部に係合する係合片を少なくとも一つ備える。前記係合片は、可撓性を有し、前記第二壁部の前記第六壁部に対向する端部から前記第一壁部に向けて延びるアーム部と、前記アーム部の先端に設けられ、前記ケースの内側から外側方向へ突出して前記第六壁部の前記貫通孔または前記凹部に係合する爪部とを備える。
【0016】
請求項7のインクカートリッジでは、第六壁部に設けられた貫通孔または凹部に、第二壁部に設けられた係合片の爪部がケース内側から係合することで、第六壁部において第一ケースと第二ケースが接合される。ケースに外部から衝撃が加わって外力がケースの内側から外側方向に働き、第六壁部が外側方向に倒れると、爪部と貫通孔または凹部との係合関係が解除されてしまう可能性がある。しかし、請求項7のインクカートリッジは、第六壁部に外部から衝撃が加わって外力がケースの内側から外側方向に働いた場合でも、補強部材により、第六壁部が外側方向に倒れるのを防止できる。故に、請求項7のインクカートリッジは、爪部と貫通孔または凹部との係合関係が解除されることを防止できる。
【0017】
請求項8のインクカートリッジでは、前記第一ケースは、少なくとも前記第一壁部に平行な一断面において、前記第六壁部と前記第四壁部とが成す角は120度であり、前記第六壁部と前記第五壁部とが成す角は150度である。
【0018】
請求項9のインクカートリッジでは、前記第六壁部の前記第一壁部と接続する側と反対側の端部と前記第四壁部の前記第一壁部と接続する側と反対側の端部とが成す角は120度であり、前記第六壁部と前記第一壁部と接続する側と反対側の端部と前記第五壁部の前記第一壁部と接続する側と反対側の端部とが成す角は150度である。
【0019】
請求項10のインクカートリッジでは、前記インク袋は、前記第一ケースの内部に、前記口栓の先端部が前記第六壁部に対向するように配置され、前記口栓は、前記第一ケースの内部で前記第一突出部に収納されて固定され、前記第六壁部は、前記口栓の前記先端部に対向し、且つ少なくとも前記第二突出部の一部を含む領域に形成される開口部を備える。故に、外部から衝撃が加わって外力がケースに働いた場合、第六壁部は内側方向または外側方向に倒れやすい。請求項10のインクカートリッジは、補強部材と第一突出部により、第六壁部が内側方向または外側方向に倒れるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】インクジェットプリンタ100の概略構成を示す模式図である。
【図2】インクカートリッジ1を左後方から見た斜視図である。
【図3】インクカートリッジ1を右前方から見た斜視図である。
【図4】インクカートリッジ1の正面図である。
【図5】インクカートリッジ1の背面図である。
【図6】インクカートリッジ1の左側面図である。
【図7】第一中間脚部303、第二中間脚部304の配置が異なるインクカートリッジ1の左側面図である。
【図8】インクカートリッジ1の右側面図である。
【図9】インクカートリッジ1の上面図である。
【図10】インクカートリッジ1の底面図である。
【図11】ケース2の分解斜視図である。
【図12】図6のA−A線矢視方向断面図である。
【図13】蓋部4が取られた状態のインクカートリッジ1を右側面側から見た状態を示す説明図である。
【図14】インクカートリッジ1の口栓72周辺部の拡大縦断面図である。
【図15】可動部材50の説明図である。
【図16】可動部材50の動きの説明図である。
【図17】インクカートリッジ10を左後方から見た斜視図である。
【図18】インクカートリッジ10を右前方から見た斜視図である。
【図19】インク供給時のインクカートリッジ1の口栓72周辺部の拡大部分断面図である。
【図20】プリンタ100に装着されたインクカートリッジ1、10を正面側から見た状態を示す説明図である。
【図21】プリンタ100に装着されたインクカートリッジ1、10を上方から見た状態を示す説明図である。
【図22】インクカートリッジ1を傾斜させてインクを集める過程を示す説明図である。
【図23】インクカートリッジ1を傾斜させてインクを集める過程を示す別の説明図である。
【図24】インクカートリッジ11を左後方から見た斜視図である。
【図25】把手部401の説明図である。
【図26】把手部402の説明図である。
【図27】把手部403の説明図である。
【図28】把手部401、404の説明図である。
【図29】把手部405の説明図である。
【図30】把手部406の説明図である。
【図31】プリンタ140のカートリッジ装着部185にインクカートリッジ1が装着される過程の説明図である。
【図32】図31に示すプリンタ140とインクカートリッジ1を正面側から見た状態を示す説明図である。
【図33】ホルダ159を備えたプリンタ100の説明図である。
【図34】インクパック7が固定された蓋部4の説明図である。
【図35】インクカートリッジ12を右後方から見た斜視図である。
【図36】インクカートリッジ12の右側面図である。
【図37】インクカートリッジ12の左側面図である。
【図38】インクカートリッジ12の分解斜視図である。
【図39】蓋部4が取られた状態のインクカートリッジ12の斜視図である。
【図40】蓋部4が取られた状態のインクカートリッジ12を右側面側から見た状態を示す説明図である。
【図41】図36のB−B線矢視方向断面図である。
【図42】図41の部分Cの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、Tシャツ等の布帛に印刷を行うインクジェットプリンタ(以下、単にプリンタという)100と、プリンタ100で使用されるインクカートリッジ(以下、単にカートリッジという)1について説明する。
【0022】
図1を参照して、プリンタ100の概略構成について説明する。プリンタ100は、カートリッジ1から供給されたインクを用いて、印刷ヘッド114により印刷媒体である布帛に印刷を行うことが可能な公知のプリンタである。よって、プリンタ100の構成については簡単に説明する。なお、図1の上下方向、左右方向、および左下方向が、夫々、プリンタ100の上下方向、左右方向および正面側、並びにカートリッジ1の上下方向、左右方向および正面側である。
【0023】
図1に示すように、プリンタ100は、矩形箱状の筐体101を有する。筐体101の内部の左右方向略中央下部に、一対のガイドレール102が前後方向に延びている。プラテン支持台103は、ガイドレール102により、ガイドレール102に沿って前後方向に移動可能に支持されている。プラテン支持台103上面の左右方向略中央には、取り換え可能なプラテン104が固定されている。プラテン104は、平面視略五角形の板体であり、その上面に、例えばTシャツなどの布帛を載置するためのものである。詳細は図示しないが、プラテン104が固定されたプラテン支持台103は、プラテン駆動モータやベルト伝達機構を含むプラテン駆動機構により、ガイドレール102に沿って前後方向に移動される。
【0024】
筐体101の前後方向略中央、且つ、プラテン104の上方には、一対のガイドレール112が左右方向に延びている。キャリッジ113は、ガイドレール112によって、ガイドレール112に沿って左右方向に移動可能に支持されている。キャリッジ113の下部には印刷ヘッド114が固定されている。詳細は図示しないが、印刷ヘッド114を備えたキャリッジ113は、キャリッジ駆動モータやベルト伝達機構を含むキャリッジ駆動機構によって、ガイドレール112に沿って左右方向に移動される。印刷ヘッド114には、チューブ182(図19参照)を介して、筐体101内に設けられたカートリッジ装着部108に装着されたカートリッジ1からインクが供給される。印刷ヘッド114の底面には複数個の微細なノズルが設けられており、圧電素子の駆動によりノズルから下向きにインクの液滴が吐出されることで、プラテン104上に載置された布帛に印刷が行われる。
【0025】
プリンタ100には8個のカートリッジ1がセット可能であり、筐体101内には、8個のカートリッジ装着部108が設けられている。なお、図1では、右端のカートリッジ装着部108のみが図示されている。筐体101前面の右下部には、カートリッジ1をカートリッジ装着部108部内に挿入するための開口であるカートリッジ挿入口120が8個設けられている。カートリッジ装着部108は、カートリッジ1を、プリンタ100内で、インク供給が可能な状態に配置されるように案内する通路である。カートリッジ装着部108の前後方向長さは、カートリッジ1の前後方向長さの三分の一程度である。カートリッジ装着部108の左右方向の長さ(幅)は、後述する脚部301〜305(図2参照)を含めたカートリッジ1の左右方向の長さ(幅)よりも僅かに広い。カートリッジ装着部108の上下方向の長さ(高さ)は、カートリッジ1の上下方向の長さ(高さ)よりも僅かに長い。
【0026】
なお、本実施形態のプリンタ100では、白インクのカートリッジ1が4個と、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックの4色のカートリッジ1が1個ずつ使用される。カートリッジ1のプリンタ100への装着方法、カートリッジ1からプリンタ100へのインク供給方法等については後述する。
【0027】
図2〜図16を参照して、カートリッジ1の構成について説明する。カートリッジ1は、前後方向に長い薄型略箱状の樹脂性のケース2(図2〜図3参照)と、ケース2に収容されたインクパック7(図12〜図13参照)とを備えている。以下に、ケース2とインクパック7の構成について、順に説明する。なお、白、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックの5色のカートリッジ1は、インクパック7に収容される液体のインクの色と、後述する第一中間脚部303、第二中間脚部304の配置が異なるのみで、他の構成は全て同じである。
【0028】
まず、ケース2全体の概略構成について説明する。図11に示すように、ケース2は、本体部3および蓋部4を含む。本体部3は、ケース2の左側面、底面、上面、背面および前面を夫々形成する薄板状の左壁30、底壁31、上壁32、背面部331および斜面部332を含む後壁33(図2参照)、および前壁34を含む。つまり、本体部3は、右側(図11では上側)が開放された箱状である。なお、以下では、底壁31、上壁32、後壁33、および前壁34を総称して周壁31〜34という。図6に示すように、左壁30は、ケース2を左方から側面視した場合、すなわち、左壁30の最大面積部(図6で示された面)に直交する方向から見て五角形状であり、長方形の直角を成す4つの角のうち、ケース2の後端部下側(図6では左下)にある角を含む角部が斜めに切り取られたような形状を有する。つまり、左壁30は、ケース2を側面視した場合、水平方向に延びる2つの平行に対向する長辺、上下方向に延びる2つの平行に対向する短辺、および、短い方の長辺と短い方の短辺とを繋ぐ斜辺とを有する。
【0029】
図11に示すように、周壁31〜34は、左壁30の外周に沿って、蓋部4に向けて延設されている。より詳細には、底壁31、上壁32、後壁33、および前壁34は、夫々、左壁30に対して略垂直に、同一方向に同一の長さで延びている。底壁31は、左壁30の下端部、つまり一対の長辺のうち短い方に接続している。上壁32は、左壁30の上端部、つまり長い方の長辺に接続している。後壁33は、背面部331および斜面部332を含む。背面部331は、左壁30の一対の短辺のうち短い方に接続する。斜面部332は、左壁30の斜辺に接続し、底壁31と背面部331とを繋ぐ。前壁34は、左壁30の前端部、つまり長い方の短辺に接続し、底壁31と上壁32とを繋ぐ。前壁34は、左壁30の前端部、つまり一対の短辺のうち長い方に接続している。
【0030】
図11に示すように、底壁31は、矩形板状の壁である。上壁32は、右前端部の一部が矩形状に切り欠かれた形状の、全体としては矩形板状の壁である。前壁34は、右上端部の一部が矩形状に切り欠かれた形状の、全体としては矩形板状の壁である。背面部331および斜面部332は、夫々、矩形の中央部が左壁30側に突出した形状を有する。背面部331と斜面部332には、夫々、後述する口栓用開口335と第一露出開口336が設けられている。
【0031】
上壁32と背面部331、上壁32と前壁34、および底壁31と前壁34とは、夫々、直角を成すように接続している。一方、斜面部332と底壁31とが成す角、および斜面部332と背面部331とが成す角は、夫々、鈍角である。以下では、ケース2の後端部の上側の一端において上壁32と背面部331とが形成する角部を第一角部21、後端部の下側の他端において斜面部332と底壁31とが形成する角部を第二角部22、斜面部332と背面部331とが形成する角部を第三角部23という。
【0032】
図11に示すように、左壁30に対向し、ケース2の右側面(図11では上側の面)を形成する蓋部4は、本体部3の左壁30と略同一形状を有する薄板状の部材である。図8に示すように、蓋部4は、ケース2を右方から側面視した場合、すなわち、蓋部4の最大面積部(図8で示された面)に直交する方向から見て五角形状であり、水平方向に長い長方形の直角を成す4つの角のうち、ケース2の後端部下側(図8では右下)にある角を含む角部が斜めに切り取られたような形状を有する。蓋部4が本体部3に接合されることで、ケース2が形成される。蓋部4を本体部3に接合する方法は特に限定されない。図示はしないが、例えば、本体部3と蓋部4に、夫々、係合フックと係合孔とを設け、係合フックを係合孔に挿入することで、蓋部4を本体部3に接合してもよい。係合フックではなく、係合ピンと係合孔を用いて接合してもよい。本体部3と蓋部4とを溶着により固定しても良い。
【0033】
以下に、ケース2の細部について順に説明する。まず、ケース2に設けられた脚部について説明する。図2に示すように、左壁30には、外面(ケース2の左側面)から突出する5つの突出部が設けられている。具体的には、左壁30の長手方向に位置する後端部に、上下方向(上壁32と底壁31の対向方向)に互いに離間した二つの突出部が設けられている。これらの突出部から前方に離間した位置に、上下方向に互いに離間した二つの突出部が設けられている。更に、左壁30の長手方向において後端部の反対側に位置する前端部の近傍に、一つの突出部が設けられている。
【0034】
左壁30の後端部において、斜面部332と接続する斜辺部に設けられた突出部を、第一後端脚部301という。左壁30の後端部において、背面部331と接続する短い方の短辺部(以下、直線部という)に設けられた突出部を、第二後端脚部302という。第一後端脚部301から前方(図6の右方向)に離間した位置に設けられた突出部を、第一中間脚部303という。第二後端脚部302から前方に離間した位置に設けられた突出部を、第二中間脚部304という。左壁30の前端部近傍の突出部を、前端脚部305という。なお、以下では、第一後端脚部301、第二後端脚部302、第一中間脚部303、第二中間脚部304、および前端脚部305を総称する場合、単に脚部301〜305という。また、第一後端脚部301、第二後端脚部302、第一中間脚部303、第二中間脚部304、および前端脚部305のうち一部を指す場合、単に脚部301〜303等というものとする。
【0035】
第一後端脚部301は、後述するインクパック7の口栓72(図12参照)が収納される空間(収納空間)を形成する壁部である。図11に示すように、第一後端脚部301は、左壁30の斜辺部から前方方向に延びる口栓72の大きさより僅かに大きい領域を、本体部3と蓋部4とが接合された場合に蓋部4に対向する内面側から外面側に凹ませることで形成されている。従って、第一後端脚部301は、ケース2の内側からみれば凹部であり、外側からみれば突出部である。なお、第一後端脚部301は、左壁30の下端部(底壁31側の端部)からは離間した位置にある。第一後端脚部301は、内側からみた凹部の底壁部分の中央部に、矩形状の係合孔307を有する。係合孔307は、後述するインクパック7の口栓72(図12参照)を本体部3に対して位置決めし、固定するための開口部である。つまり、第一後端脚部301は、口栓72の固定部としても機能する。図2、図9に示すように、外側からみた第一後端脚部301の突出面は、左壁30の外面(ケース2の右側面)に対して略平行な平面部316を形成する。
【0036】
第二後端脚部302は、ケース2の内部に配置された内部部品、詳細には、後述する可動部材50(図15参照)の一部が移動可能な空間(可動空間)を形成する壁部である。図11に示すように、第二後端脚部302は、左壁30の後端部の直線部から前方方向に延びる所定領域を、左壁30の内面側から外面側に凹ませることで形成されている。なお、本実施形態では、第二後端脚部302を形成するための所定領域は、第一後端脚部301の口栓72の大きさに対応する領域よりもやや小さい。しかしながら、この領域は、可動部材50の可動範囲に応じて定められればよい。第二後端脚部302は、第一後端脚部301と同様、ケース2の内側からみれば凹部であり、外側からみれば突出部である。なお、第二後端脚部302は、左壁30の上端部(上壁32側の端部)からは離間した位置にある。図2、図10に示すように、外側からみた第二後端脚部302の突出面は、左壁30の外面(ケース2の右側面)に対して略平行な平面部317を形成する。
【0037】
図6に示すように、第一中間脚部303および第二中間脚部304は、左壁30の長手方向(左壁30の前後方向、図6の左右方向)において、ほぼ同一位置に設けられている。本実施形態では、第一中間脚部303および第二中間脚部304は、左壁30の前後方向において中央よりかなり後端部(図6の左側の端部)寄りに配置されているが、第一後端脚部301および第二後端脚部302からは前方(図6の右側)へ離間した位置にある。図6等に示すケース2では、第一中間脚部303の上下方向(上壁32と底壁31の対向方向、図6の上下方向)の長さは、第二中間脚部304の上下方向の長さよりも長い。また、第一中間脚部303および第二中間脚部304は、上下方向に離間しており、第二中間脚部304は、第一中間脚部303よりも上方(上壁32側)に位置する。第一中間脚部303の下端部(底壁31側の端部)は、第一後端脚部301の下端部よりも上方に位置し、第二中間脚部304の上端部(上壁32側の端部)は、第二後端脚部302の上端部よりも下方に位置する。
【0038】
図11に示すように、第一中間脚部303および第二中間脚部304も、左壁30の一部を内面側から外面側に凹ませることで形成されている。つまり、第一後端脚部301および第二後端脚部302と同様、ケース2の内側からみれば凹部であり、外側からみれば突出部である。
【0039】
第一中間脚部303および第二中間脚部304は、ケース2内のインクパック7に収容されたインクの色を示す色指標部として機能する。具体的には、左壁30において、第一中間脚部303と第二中間脚部304が設けられる範囲は、インクの色に応じて予め定められている。本実施形態では、カートリッジ1は、インクの色が白の場合と、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックの白以外の色の場合の二種類に分類されており、白の場合と白以外の色の場合とで、第一中間脚部303と第二中間脚部304が設けられる範囲が異なっている。
【0040】
より詳細には、図6に示すように、第二後端脚部302の下端部(第三角部23側の端部)および第三角部23から左壁30の長手方向に沿って前方(図6の右方向)へ延びる帯状の領域を、判別領域Rとする。例えば、インクの色が白の場合は、図6に示す例のように、第一中間脚部303および第二中間脚部304は、判別領域Rに交差しないように配置される。よって、この例では、第二中間脚部304の方が、第一中間脚部303よりも、上下方向の長さが短く形成されている。一方、インクの色が白以外の色の場合は、判別領域Rに交差するように、第一中間脚部303および第二中間脚部304のいずれかが配置される。よって、この場合、例えば図7に示す例のように、第二中間脚部304を、判別領域Rをまたぐように、図6の例よりも上下方向に長く形成するとともに、第一中間脚部303を短く形成してもよい。
【0041】
上記の配置条件を言い換えると、判別領域Rにかかる脚部の有無によってインクの色が白か白以外の色か(内部に収容されたインクの色情報)が判別できるように、色指標部として機能する脚部が設けられればよい。従って、第一中間脚部303および第二中間脚部304の配置関係は、上記の例に限られない。例えば、インクの色が白であれば、判別領域Rにかからない範囲に、第一中間脚部303のみが設けられてもよい。また、インクの色が白以外の色であれば、判別領域Rに交差する範囲に、第一中間脚部303および第二中間脚部304いずれか一方のみが設けられてもよいし、第一中間脚部303および第二中間脚部304の両方が設けられてもよい。
【0042】
このように色指標部となる脚部を設ける範囲を規定することで、ユーザが、左壁30の判別領域Rにかかる脚部の有無を視認し、ケース2の内部に収容されているインクの色が白なのか白以外の色なのかを判別することが可能となる。なお、判別領域Rは、第二後端脚部302の下端部と第三角部23からケース2の右方向に延びる帯状の領域であるから、ユーザは、第二後端脚部302の下端部と第三角部23とを目印として、判別領域Rの位置を容易に認識できる。従って、判別領域Rにかかる脚部があるか否についても、容易に認識することができる。図1に示すプリンタ100では、8個のカートリッジ装着部108のうち4個が白インク用で、他の4個が白以外の色用である。従って、このように色指標部を設けることで、ユーザが、誤って白インクが収容されたカートリッジ1を白以外の色用のカートリッジ装着部108に装着してしまったり、白以外の色のインクが収容されたカートリッジ1を白インク用のカートリッジ装着部108に装着してしまったりする可能性を低減できる。
【0043】
図6に示すように、前端脚部305は、左壁30の前端部(図6の右側の端部)の近傍、且つ、前端部からは離間した位置に設けられている。図6等に示すケース2では、前端脚部305の上端部と下端部の位置は、夫々、第二中間脚部304の上端部と第一中間脚部303の下端部の位置と同じである。図11に示すように、前端脚部305も、左壁30の一部を内面側から外面側に凹ませることで形成されている。つまり、脚部301〜304と同様、ケース2の内側からみれば凹部であり、外側からみれば突出部である。
【0044】
また、図2に示すように、脚部303〜305は、夫々、ケース2の外側からみた場合、左壁30の外面(ケース2の右側面)に対して略平行な平面部342、347、352と、平面部352から左壁30の外面に向けてなだらかに傾斜する傾斜部341、346、351を有する。傾斜部341、346、351は、プリンタ100に先に装着される側である左壁30の後端側から、後に装着される側である前端側に向けて、脚部303〜305の突出高さが徐々に大きくなるように形成されている。図9および図10に示すように、本実施形態では、脚部301〜305の左壁30の外面からの突出高さは同一である。つまり、脚部301〜305の平面部316、317、342、347、352は、同一平面にある。
【0045】
カートリッジ1における脚部301〜305の他の作用と効果について説明する。前述したように、脚部301〜305は全て、左壁30の外面からケース2の外側方向へ突出し、その突出高さは同一で、その突出面は同一平面にある。従って、脚部301〜305が突出する左壁30を下、蓋部4を上にした状態で、カートリッジ1が平面上に載置されると、平面部316、317、342、347、352が平面に接し、カートリッジ1は、脚部301〜305により、左壁30全体が平面から離間した状態で安定して支持される。
【0046】
図6に示すように、左壁30の後端部に設けられた第一後端脚部301および第二後端脚部302は、互いに離間しており、また、夫々、左壁30の下端部および上端部から離間した位置にある。従って、ユーザは、左壁30の後端部の第一後端脚部301と第二後端脚部302の間、左壁30の下端部、または上端部からこれらの脚部周りで平面と左壁30との間に生じた隙間に指を差し入れ、カートリッジを容易に取り上げることができる。また、第一後端脚部301は、斜面部332に対応する左壁30の斜辺部に設けられ、第二後端脚部302は、背面部331に対応する直線部に設けられている。よって、第一後端脚部301と第二後端脚部302とは、左壁30の長手方向において位置がずれており、両者が直線部に設けられる場合に比べ、離間距離がより長くなっている。つまり、第一後端脚部301と第二後端脚部302の間からも指が差し込みやすく構成されている。
【0047】
また、脚部303〜305も、夫々、左壁30のいずれの端部からも離間した位置にある。従って、ユーザは、これらの脚部の周囲でも、左壁30の下端部、上端部または前端部から、平面と左壁30との間に生じた隙間に指を差し入れ、カートリッジを容易に取り上げることができる。
【0048】
一方、カートリッジ1が、蓋部4を下、左壁30を上にして平面に載置された場合、ユーザは、脚部301〜305の少なくとも一つを指で掴んだり、指を掛けて移動したりできるので、カートリッジ1の取扱いの自由度が向上する。なお、前述したように、脚部301〜304は、左壁30が平面から離間した状態でカートリッジ1を支持する機能以外の機能も有している。このように、同じ部材で複数の異なる機能を発揮させることで、夫々を別の専用部材として設ける場合に比べ、簡単な構成とすることができる。
【0049】
ケース2に設けられた各種開口部について説明する。図2および図5に示すように、ケース2の後壁33には、二つの開口部が設けられている。より詳細には、斜面部332の第一後端脚部301に対応する位置に口栓用開口335が設けられ、背面部331の第二後端脚部302に対応する位置に第一露出開口336が設けられている。図11に示すように、口栓用開口335は、斜面部332が蓋部4と接合される側の端部(図11では上端部)から左壁30に向けて延びる凹部として、斜面部332に形成されている。斜面部332に直交する方向からみて、口栓用開口335は、U字状である。口栓用開口335は、左壁30に凹部として設けられた第一後端脚部301の底壁部分までは達しておらず、この底壁部分と斜面部332との接続部と、口栓用開口335の左壁30側の端部との間には、斜面部332の一部が連結壁部337として残されている。詳細は後述するが、口栓用開口335は、ケース2内に収容されたインクパック7(図13参照)からインクを導出するための開口部であり、インクパック7は、口栓72が口栓用開口335に臨むようにケース2内に配置される。
【0050】
図11に示すように、第一露出開口336は、背面部331が蓋部4と接合される側の端部(図11では上端部)から左壁30に向けて延びる凹部として、背面部331に形成されている。背面部331に直交する方向からみて、第一露出開口336は、矩形状である。第一露出開口336は、左壁30に凹部として設けられた第二後端脚部302の底壁部分に達する。つまり、背面部331の左右方向(図11では上下方向)の幅全体に亘る開口部である。詳細は後述するが、第一露出開口336は、可動部材50(図15参照)の一部である露出部53を露出し、ユーザによる露出部53の位置確認を可能とするための開口部である。
【0051】
更に、図3および図8に示すように、蓋部4の後端部(図8の右側の端部)の近傍に、蓋部4の長手方向(図8の左右方向)に沿って延びるスリット状の第二露出開口45が設けられている。第二露出開口45からは、可動部材50(図15参照)の一部である腕部52の一部と、ケース2内に収容されたインクパック7(図13参照)のインク袋71の一部が目視可能である。よって、ユーザは、カートリッジ1の蓋部4が上方に向いている場合等には、第二露出開口45を通してインク袋71を目視し、インクの色やインクの残量(インクがほとんどなくなってしまったか、ある程度まだ収容されているかの目安など)を確認することができる。また、カートリッジ1の製造時等に、作業者は、腕部52が第二露出開口45から見えるか否かを確認することで、可動部材50の付け忘れを防止することができる。
【0052】
ケース2に設けられた把手部40について説明する。図3に示すように、ケース2の前端部の右上角部(図3では蓋部4の左上の角部)には、把手部40が設けられている。把手部40は、ケース2の外面よりも内側方向に凹んだ凹部41と、凹部41から突出する突出部42を含む。
【0053】
本実施形態の凹部41は、ケース2の前端部側にある蓋部4の端部の上部(図8では左上)の角部の扇形の領域を、蓋部4の外面(ケース2の右側面、図9の右側の面)からケース2の内側方向、つまり、蓋部4に対向する左壁30に向けて凹ませることで形成されている。よって、図8に示すように、凹部41は、蓋部4の外面に直交する方向からみて、凹部の底面を形成する扇形の底部411と、蓋部4から底部411の円弧状の端部から立ち上がる、円弧状に湾曲した壁部である周壁部412から成る。図4に示すように、本体部3の前壁34の右上の角部は凹部41に対応して矩形状に切り欠かれた形状に形成されている。図9に示すように、上壁32の前端部右側の角部は凹部41に対応して矩形状に切り欠かれた形状に形成されている。よって、凹部41は、ケース2の外面のうち右側面、前面、および上面よりもケース2の内側方向に凹んだ部位となり、右方向、前方向、および上方向の三方向に開口する。
【0054】
図3および図8に示すように、突出部42は、扇型の底部411において、扇の要に相当する位置、つまり、蓋部4の前端部上部の角に設けられている。図4に示すように、突出部42は、凹部41の底部411からケース2の外面方向、つまり右方向に突出する。突出部42の底部411からの突出高さは、底部からケース2の右側面(図4の蓋部4の右側の面)までの距離以下である。つまり、突出部42は、ケース2の右側面からは突出しない。これにより、複数のカートリッジ1が隙間なく並べられたり積み上げられたりしても、突出部42が隣のカートリッジ1の外面に干渉することがない。本実施形態の突出部42は、中空部を有する円筒状の軸部であり、凹部41と共に蓋部4と一体成形されている。突出部42を形成する円筒状の壁は、底部411につながっている。
【0055】
このような構成の把手部40は、特に、複数のカートリッジ1が隙間なく、または僅かな隙間を空けて並べられた状態で、ユーザが任意の一つのカートリッジ1を取り出す場合に有用である。凹部41によって、ケース2の前端部の右上の角部において三方向に隙間が確保され、突出部42によって、指等を掛ける部位が提供されるためである。並べられた複数のカートリッジ1を取り出す場合の把手部40の効果については後述する。
【0056】
ケース2に収容されるインクパック7の構成について説明する。図13に示すように、インクパック7は、本体部3の周壁31〜34により囲まれた領域に収容される。インクパック7は、インクを収容するインク袋71と、インク袋71に設けられた口栓72を備えている。本実施形態のインク袋71は、可撓性を有する2枚の長方形状の樹脂性シートを、シートの一面同士が対向した状態で重ね合わせ、4辺に沿った周囲部716を熱溶着(熱シール)することで形成された袋状の容器である。インクは、周囲部716に囲まれた空間であるインク収容部717の内部に収容される。インク収容部717は、シート面、即ち、その最大面積部(図13で示された面)に直交する方向から見て略長方形である。ただし、インク袋71は、ケース2の把手部40(図8参照)に対応する角部のみ、円弧状に切り欠かれた形状とされている。インク収容部717のシート面は、左壁30と蓋部4(図11参照)の内面に沿って伸展している。
【0057】
なお、インク袋71は、対向配置された可撓性を有する2層のシートを含み、シート間にインクを収容可能な空間が形成された袋状の容器であればよい。よって、例えば、1枚の長方形状のシートを半分に折曲げて2層とし、折曲げ部以外の3辺に沿って2層を接合することでインク袋71を形成してもよい。また、対向する2枚のシートの3辺に沿って2枚を接合し、各シートの残る1辺を別のシートと接合して、底部を有するインク袋71としてもよい。対向する2枚のシートの4辺が、夫々、マチとなる別のシートと接合されたインク袋71であってもよい。更に、シートの接合方法は溶着に限られず、例えば、接着等の他の方法を用いてもよい。
【0058】
図13に示すように、口栓72は、本体部721と、本体部721の一端側において外周面から互いに反対方向に突出する2つの羽根状の連結部722とを備えている。本体部721は略円筒状であるが、本体部721の連結部722が設けられているのとは反対側の先端部の外形は、矩形ブロック状に形成されている。口栓72は、本体部721(より詳細には、後述する中空部700)の軸線Xがインク袋71の長手方向と略平行になるように、インク袋71に設けられている。また、軸線Xは、軸線Xに直交する方向(インク袋71の短手方向)におけるインク袋71の一端部寄りに位置する。本実施形態では、口栓72は、インク袋71の4つの角部のうち、円弧状の角部の対角に位置する角部の近傍に設けられている。本実施形態では、口栓72は、連結部722を含む本体部721の一端部が、インク袋71を形成する2枚のシートの間に挿入され、周囲部716と一体的に溶着されることで、インク袋71に固定されている。周囲部716と溶着されていない本体部721の他の部分は、インク袋71の長手方向にある一端部からインク袋71の外方へ突出している。
【0059】
図14に示すように、本体部721は、その内部に円筒状の中空部700を有する。中空部700は、インク袋71のインク収容部717に連通する第一開口701から、インク袋71の外部に開口する第二開口702まで通じている。中空部700の第二開口702側の端部には、円柱状のゴム栓723が挿入されており、第二開口702はゴム栓723で塞がれている。このように、インクは、密閉状態のインク収容部717内に収容されている。なお、口栓72は、中空部700によってインク収容部717と外部とが通じるようにインク袋71に設けられていればよく、その固定方法は溶着に限られない。よって、例えば、口栓72は、インク袋71と一体的に形成されていてもよい。また、図12に示すように、口栓72の矩形ブロック状に形成された部分には、周方向外側に突出する角柱状の係合突起725が設けられている。係合突起725は、口栓72を本体部3(詳細には、左壁30)に対して位置決めし、固定するための部材である。
【0060】
図12〜図14を参照して、ケース2とインクパック7との配置関係の詳細について説明する。図12に示すように、インクパック7は、口栓72が第一後端脚部301を形成する凹部内に収納されるようにケース2内に配置される。そして、第一後端脚部301に設けられた係合孔307に、口栓72の係合突起725が嵌合されることで、口栓72が本体部3に固定される。なお、本実施形態では、インク袋71の左壁30内面に対向するシート面の一部は、左壁30内面に接着され、インクパック7が本体部3内に確実に固定されている。第一後端脚部301を口栓72の収納空間とすることで、ケース2の幅(右側面から左側面までの距離)をできる限り狭く保ちながら、口栓72が配置される部分のみ、口栓72の径に応じて幅を広げることができる。従って、ケース2全体をできる限り薄型でコンパクトな形状とすることができる。また、インクパック7を、蓋部4ではなく、脚部301〜305が設けられた本体部3に固定することで、図12に示すように、カートリッジ1が、左壁30を下にして平面に載置された際の姿勢が安定する。
【0061】
また、図13に示すように、インクパック7は、口栓72の軸線Xがケース2の長手方向と略一致するように、ケース2に収容される。つまり、左壁30と蓋部4は、夫々の上端部と下端部が軸線Xに対して略平行に延びる状態で、対向配置される。図14に示すように、インクパック7は、口栓72の軸線X方向において、ケース2の第二角部22が、口栓72の第二開口702側の先端部724(ゴム栓723の先端部)に対して第一開口701側に位置し、第三角部23が、先端部724に対して第一開口701とは反対側に位置するようにケース2に収容される。つまり、第二角部22と第三角部23を最短で結ぶ線Lは、軸線Xに対して斜めに交差する。底壁31は、第二角部22から口栓72の軸線X方向に延びている。口栓72の下方に位置する底壁31の後端部分(第二角部22の前側部分、図14では右側部分)を、受け面部310という。受け面部310は、口栓72から漏れ出たインクを下方で受けるための面部として機能する。
【0062】
また、インクパック7は、口栓72の先端部724が、線Lよりもケース2の内側方向に位置するように配置される。先端部724は、斜面部332の内面(図14における左面)に対して軸線X方向において隙間をあけて位置し、斜面部332と先端部724の間(図14における先端部724の下方)を、インクが移動可能となっている。なお、本実施形態では、第二角部22と第三角部23との間には斜面部332が設けられており、斜面部332の外面333は、線L上にある。斜面部332は軸線Xに対して斜めに配置されている。一方、背面部331は軸線Xに対して略垂直に配置されている。先端部724は斜面部332の内面よりも内側に位置しているが、先端部724は、線L(外面333)よりもケース2の内側方向に位置していればよい。斜面部332の第二角部22から口栓用開口335まで延びる部分は、受け面部310が受けたインクがケース2の外部に漏れ出るのを防ぐ面部として機能する。
【0063】
また、本実施形態では、線Lの伸長方向および軸線X方向に直交する方向(以下、第一方向という)は、ケース2の左右方向であり、第一方向および軸線X方向に直交する方向(以下、第二方向という)は、ケース2の上下方向である。図5に示すように、ケース2の左右方向の幅(左側面から右側面までの距離)は、上下方向の幅(底面から上面までの距離、または左壁30および蓋部4の高さ)よりも狭い。更に、インクパック7は、軸線Xが、第二方向において、第二角部22を有する側のケース2の一端部寄りに位置するように、ケース2に収容される。本実施形態では、前述したように、第二方向はケース2の上下方向であるから、上下方向において、第二角部22を有する側のケース2の一端部とは、底壁31側の端部である。よって、図13に示すように、軸線Xは、ケース2の上下方向において底壁31側の端部寄りにある。
【0064】
また、図14に示すように、口栓用開口335は、斜面部332において口栓72の第二開口702を臨む位置に設けられている。つまり、口栓用開口335は、口栓72の軸線X上に位置する。前述したように、第二開口702はゴム栓723で塞がれているので、実際には、口栓用開口335はゴム栓723に臨むことになる。
【0065】
ケース2内に配置されるインクパック7以外の内部部品である可動部材50について説明する。図15および図16に示すように、可動部材50は、ケース2の後方からみるとL字状の部材であって、軸部51と、腕部52と、露出部53とを含む。腕部52は帯状の板部である。腕部52は、長手方向の一端部に軸部51を有する。軸部51は、底壁31の後端部近傍、且つ、蓋部4側の端部近傍に、ケース2の前後方向に沿って固定されている。腕部52は、その板面が左壁30および蓋部4に対向する向きで上壁32に向けて延び、軸部51によって左右方向(図16の矢印A方向)に回動可能に支持されている。軸部51にはねじりばねが装着されており、腕部52は、左壁30の方向(図16の右方向)へ付勢されている。露出部53は、ケース2の前後方向を長手方向として延び、その板面が腕部52の板面に対して左壁30方向に略垂直となるように、右前端部で腕部52の先端部に接続している。露出部53の後端部側は、腕部52から後方に延びている。図16に示すように、露出部53は、第一露出開口336を通して目視可能な位置にある。
【0066】
カートリッジ1の使用開始時には、インク袋71のインク収容部717(図13参照)にはインクが満量充填されているため、図12に示すように、インク袋71は膨らんだ状態にある。よって、可動部材50の露出部53の左端部(図16では右側の端部)がインク袋71によって押圧され、腕部52は、ばねの付勢力に抗して、軸部51を中心として、図16に示す左側の位置まで蓋部4の方向に回動する。一方、インクの残量が少なくなると、インク袋71が萎んでいくので、それに伴って、露出部53に対する押圧力は弱まり、腕部52は、ばねの付勢力により左壁30の方向に回動する。そして、インクがなくなると、図16に示す右側の位置に至る。このように、露出部53の位置はインクの残量に応じて変化するが、第一露出開口336に連接して、左壁30には第二後端脚部302を設けることで、露出部53の可動空間が確保されている。ユーザは、第一露出開口336から可動部材50の露出部53の位置を確認することで、インク袋71に収容されているインクの残量を確認することができる。このように、可動部材50は、インク残量指標部材として機能する。
【0067】
図17〜図18を参照して、図1〜図16に示したカートリッジ1とは異なる形状のカートリッジ10について説明する。カートリッジ10は、ケース2の長手方向(前後方向)の長さを、カートリッジ1よりも短くしたものである。カートリッジ10の長さは、カートリッジ1の長さの約半分である。一方、幅(左右方向の長さ)と高さ(上下方向の長さ)は、カートリッジ1と同一である。よって、内部に収容されるインクの量も、カートリッジ1に比べて半量程度である。
【0068】
カートリッジ10には、カートリッジ1とは異なり、左壁30の前壁34の近傍には、前端脚部305は設けられていない。これは、カートリッジ1のような長尺のケース2では、その寸法バランス上、脚部301〜304のみでは、左壁30全体が載置面から離間した状態でカートリッジ1全体を支持するのは難しいのに対し、カートリッジ10では、脚部301〜304のみで支持できる可能性が高いからである。上記以外のカートリッジ10の構成は、カートリッジ1の構成と基本的に同じである。プリンタ100(図1参照)には、カートリッジ1および10のいずれも装着が可能である。
【0069】
図1および図19を参照して、カートリッジ1および10のプリンタ100への装着について説明する。ユーザがカートリッジ1をプリンタ100に装着する場合、図1に示すように、ユーザは、プリンタ100のいずれかのカートリッジ挿入口120から、カートリッジ1を挿入する。このとき、ユーザは、カートリッジ1の底壁31を下側にして、第二開口702(ゴム栓723)を臨む口栓用開口335(図2参照)が設けられた後壁33側から、カートリッジ1を挿入する。ユーザがカートリッジ1を押し込むと、カートリッジ1は、プリンタ100内に設けられた通路であるカートリッジ装着部108に沿って、プリンタ100の奥側(後方)へ向けて案内される。前述したように、カートリッジ装着部108の幅と高さは、カートリッジ1の幅と高さより僅かに大きい程度である。従って、カートリッジ1は、底壁31がカートリッジ装着部108の載置面130(図19参照)上を摺動しながら、安定した姿勢で案内される。載置面130は、略水平方向に延びる平面である。
【0070】
図19に示すように、カートリッジ装着部108の後端部(奥側の端部)には、載置面130から略垂直に上方へ延びる当接板109が設けられている。当接板109は、カートリッジ1の背面部331に当接し、カートリッジ1がそれ以上奥側に移動するのを妨げる。なお、前述したように、カートリッジ装着部108は、カートリッジ1の三分の一程度の前後方向長さを有するので、カートリッジ1は、後端部側の約三分の一がカートリッジ装着部108に挿入された状態で、背面部331が当接板109に当接する。この状態が、カートリッジ1のカートリッジ装着部108への装着が完了した状態である。なお、カートリッジ1よりも短いカートリッジ10(図17参照)の場合は、後端部側の約三分の二がカートリッジ装着部108に挿入された状態で、背面部331が当接板109に当接する。
【0071】
また、カートリッジ装着部108の後端部には、接続部180が設けられている。接続部180は、固定部181と、固定部181に接続されたチューブ182と、インクを導出するための導出針183とを含む。なお、実際には、固定部181はカートリッジ装着部108内で固定されているが、固定部分の図示は省略されている。固定部181は、載置面130にカートリッジ1が載置された場合、斜面部332に設けられた口栓用開口335に対向する位置にある。チューブ182は、インク袋71から導出されたインクを印刷ヘッド114まで導く。導出針183は、固定部181のチューブ182が接続されているのとは反対側から突出している。
【0072】
カートリッジ1が当接板109へ向けて押し込まれるのに伴い、導出針183を有する固定部181の一部は、口栓用開口335からケース2内部に進入する。そして、導出針183がゴム栓723の中心部に刺さることで、接続部180がカートリッジ1に接続される。カートリッジ1のカートリッジ装着部108への装着が完了すると、導出針183はゴム栓723を貫通し、その先端部が中空部700内に配置された状態となる。導出針183の先端部にはインクが流通する孔が設けられており、インク収容部717内のインクは、第一開口701、中空部700内部、導出針183、およびチューブ182を通って、印刷ヘッド114に供給可能となる。
【0073】
カートリッジ1、10をプリンタ100から取り外す際の把手部40の作用と効果について説明する。プリンタ100の8個のカートリッジ装着部108の各々には、前述のような方法で、カートリッジ1または10が装着可能である。図20〜図21は、図1に示すプリンタ100の右端から3個のカートリッジ装着部108に、右から順に、カートリッジ1、カートリッジ10、およびカートリッジ1が装着された例を示している。このように、プリンタ100に複数のカートリッジ1、10が装着されると、隣接するカートリッジ1、10の間隔は僅かである。特に、カートリッジ1の左壁30には、前端部近傍に、左方に突出する前端脚部305が設けられているので、左側に隣接するカートリッジ1、10がある場合、その蓋部4との間は尚更狭くなる。
【0074】
カートリッジ1、10をプリンタ100から取り外したい場合、ユーザは、この僅かな隙間に指を差し入れ、カートリッジ1、10を掴んで引き出さねばならない。本実施形態では、カートリッジ1、10には、ケース2の前端部の右上の角部に、凹部41と突出部42からなる把手部40が設けられている。前述したように、凹部41は、ケース2の右方向、前方向、および上方向の三方向に開口するので、これらの三方向において、凹部41がない場合に比べて、ユーザが指を差し込むことができる空間が増大する。また、ユーザは、三方向のうちいずれか一つの方向、または二方向もしくは三方向から指を差し込むことができる。また、凹部41の周壁部412は、底部411の円弧状の端部に沿って設けられた、内側の面が曲面の壁部であるから、曲面に沿って指がガイドされ、凹部41に指を差し込みやすい。
【0075】
凹部41の底部411は面部であるため、底部411と対向する左壁30の外面とを指で挟むことができ、ケース2を掴みやすい。また、突出部42が、凹部41の底部411から右方向に突出しているので、ユーザは、凹部41に指を差し込んだ上、突出部42に指を掛けたり、突出部42を指で摘んだりすることができる。突出部42は円筒状であり、指が触れる外周面は曲面である。よって、ユーザは、スムーズに指を掛けることができる。また、指が痛くなることもない。
【0076】
例えば、図20〜図21に示す真ん中の短いカートリッジ10を取り外したい場合、ユーザは、次のような操作を行うことができる。右側と左側の二つのカートリッジ1の間に腕を差し入れることができる場合には、ユーザは、前方から腕を差し入れ、人差し指を上方から凹部41に差し込んで突出部42に掛け、親指をケース2の左側面(左壁30の外面)に添える。そして、人差し指の側面が凹部41の底部411の面部に触れるようにして、親指と人差し指で、ケース2を左右から挟みこみ、カートリッジ10を前方へ引き出すことができる。また、人差し指を上方または下方から凹部41に差し込んで突出部42に引っ掛けた状態で、または、人差し指と親指で突出部42を摘んで、カートリッジ10を引き出すことができる。右側と左側の二つのカートリッジ1の間に腕を差し入れることができない場合でも、カートリッジ10の上方から人差し指を凹部41に差し込んで突出部42に引っ掛け、前方へ引き出すことができる。長いカートリッジ1の場合でも、同様の操作方法で取り出すことができる。
【0077】
このように、複数のカートリッジ1、10が僅かな隙間を空けた状態でプリンタ100に装着されていても、ユーザは、把手部40利用することで、これらの中から任意のカートリッジ1、10を容易に引き出して取り外すことができる。また、プリンタ100に装着されていない複数のカートリッジ1、10が、隙間なく、または僅かな隙間を空けて並べられている場合でも、ユーザは、上記と同様の方法で、所望のカートリッジ1、10を取り出すことができる。プリンタ100に装着されている場合、基本的に、カートリッジ1、10は前方へ向かって引き出される。一方、例えば、複数のカートリッジ1、10がプリンタ100に装着されておらず、底壁31を下にして並べられている場合には、ユーザは、カートリッジ1、10を上方向に引き上げて取り出してもよい。前述のように、カートリッジ1、10は、凹部41が、カートリッジ1、10の上方向に開口しているので、このような場合も、容易に取り出すことができる。
【0078】
なお、本実施形態のように、把手部40がケース2の角部に設けられることで、把手部40がケース2の端部の中央部に設けられるよりも、凹部41に指を差し込みやすくなる。また、把手部40は、カートリッジ装着部108の奥側で、接続部180に接続される側の端部である後端部とは反対側の前端部に設けられているので、カートリッジ1をプリンタ100から取り外しやすい。また、カートリッジ1の後端部には、口栓72が設けられている。口栓72の先端部724周りには、漏れ出たインクが付着することがある。しかし、把手部40を前端側に設けることで、口栓72周りにインクが付着していたとしても、把手部40を操作するユーザの指にインクが付着して汚れる可能性を低減できる。更に、カートリッジ1の後端部には、口栓用開口335および第一露出開口336が設けられている。しかし、把手部40は前端側にあるため、把手部40の操作時に、誤ってこれらの開口部に指を差し込んでしまう可能性を低減できる。
【0079】
インク袋71中のインクの残量が少なくなった場合のインクの集め方について、カートリッジ1を例として説明する。なお、カートリッジ1よりも短いカートリッジ10についても、インクの集め方やその効果はカートリッジ1と同様である。カートリッジ1の使用開始時には、図12に示すように、インク袋71にはインクが満量充填されているため、インク袋71を形成する2層のシートの内面は、間にインクを挟んで互いに離れた状態にある。カートリッジ1が図19に示すようにカートリッジ装着部108に装着され、印刷が実行されると、布帛上に画像を形成するために、印刷ヘッド114(図1参照)から少しずつインクが吐出される。インクが吐出されると、吐出量とほぼ同量のインクがカートリッジ1から吸引され、補充される。印刷でインクが消費されるのに伴い、インク収容部717に収容されたインクは徐々に減少し、インク袋71は萎んでいく。つまり、可撓性を有する2層のシートの内面は互いに近づいていく。
【0080】
インクの残量がある程度まで減少すると、インク袋71のあちこちでシートの内面同士が接触するようになる。その結果、インクは、インクの表面張力や重力の関係などにより、シートの内面同士が接触した部分により分断され、インク収容部717(図19参照)内に孤立したインク溜まりが複数存在する状態になる。また、図19に示すように、底壁31が略水平な載置面130に載置された状態では、インク袋71の2層のシートは、その面がほぼ上下方向に沿って延びるように配置される。よって、インクは、重力により、ある程度はシートの内面を伝って下方向に流れ、インク収容部717内で、底壁31側の端部に沿って溜まる。しかし、インクが減って、導出針183の先端部の孔よりもインク面が下降すると、インク収容部717内にまだインクが残っていたとしても、印刷ヘッド114の吸引力は弱いので、残りのインクを吸引することが難しくなる。
【0081】
本実施形態のカートリッジ1は、後端部を背面部331と斜面部332で構成したことにより、このようにインクの吸引が難しくなった場合でも、プリンタ100から取り外し、インク収容部717に残存するインクを、口栓72、より詳細には第一開口701に向けて、効率よく集めることができる。図19および図22〜図23を参照して、この作用効果について説明する。ユーザは、図22に示すように、インク残量が減少し、且つ、インク袋71の底壁31側の端部に沿ってインクがある程度溜まった状態のカートリッジ1の斜面部332を下側にし、第二角部22および第三角部23、つまり、斜面部332の外面333が、略水平な面である支持面9に支持されるようにカートリッジ1を載置する。即ち、インク収容部717の長手方向と略一致する軸線Xの方向が、プリンタ100におけるインク供給時よりも垂直に近い状態となる。なお、支持面9は、机の上面等の平面であってもよいし、平面でなくてもよい。口栓72の第二開口702(図19参照)の側の先端部724は、斜面部332の外面333よりもケース2の内側方向に位置するので、斜面部332が支持面9に接する際、口栓72が支持面9と干渉することがない。
【0082】
カートリッジ1は、ケース2およびインク袋71の長手方向(口栓72の軸線X)が水平方向に対して傾斜し、口栓72の第二開口702が斜め下方向を向いた状態となる。インク袋71は、底壁31側の端部が水平方向に対して傾斜するとともに、インク収容部717を形成する2層のシートが、底壁31が略水平な載置面130に載置された場合と同様、その面がほぼ上下方向に沿って延びるように配置された状態となる。カートリッジ1の姿勢を変更する際に加えられる力によって、インクの一部はインク収容部717内で移動する。カートリッジ1の姿勢が変更される前の、口栓72の軸線Xが略水平な状態(図19参照)では、インク収容部717内に点在するインクは、シートの内面同士が接触しているために、それ以上移動できない状態であった。このとき、点在するインクに対する重力の作用方向は、口栓72の軸線Xに対して略垂直である。一方、図22に示すように姿勢が変更されると、点在するインクに対する重力の作用方向は、口栓72の軸線Xに対して斜め方向に変化する。
【0083】
このように姿勢を変更した後、ユーザがしばらくカートリッジ1を傾斜した状態で保持し続けると、インク収容部717内のインクは、前述の姿勢変化に伴うインクの移動と重力により、シートの内面を伝って下方へ移動し始める。前述のように、シートの面がほぼ上下方向に沿って延びているので、インクは円滑に下方へ移動することができる。また、インク収容部717内で底壁31側の端部に沿って溜まっていたインクは、底壁31側の端部が水平方向に対して傾斜した状態とされたために、これに沿って、口栓72が近傍に設けられた角部に向かって流れる。また、複数の孤立したインク溜まりのうちいくつかは、重力によって下降し始める。そして、一部は下降の途中にある他のインク溜まりに合流し、更に大きなインク溜まりとなって下降し、底壁31側の端部に沿って口栓72へ向けて流れていく。
【0084】
第二角部22は鈍角を成しており、また、口栓72の軸線Xは、ケース2において、第二角部22を形成する底壁31側の端部寄りの位置にあるので、第二角部22および第三角部23を下側にし、斜面部332を略水平にしてカートリッジ1を傾斜させると、口栓72は支持面9により近い位置に配置される。従って、口栓72の第一開口701の近くにインクが集まりやすい。また、軸線Xは、軸線Xに直交する方向におけるインク袋の一端部(底壁31側の端部)寄りの位置にあり、軸線Xを境として、底壁31側の端部側のインク袋71の幅が、反対側のインク袋71の幅よりも狭いので、斜面部332を略水平にしてカートリッジ1を傾斜させると、口栓72の第一開口701の近くにインクが集まりやすい。
【0085】
更にカートリッジ1が傾斜した状態が継続すると、図23に示すように、インク収容部717内のあちこちにインク溜まりとなって残存していたインクの大部分は、口栓72の第一開口701の周囲に集合する。インク袋71の長手方向において、口栓72が設けられたのとは反対側の前壁34側の端部とその周囲では、シートの内面の大部分が、互いに接触した状態となる。
【0086】
ユーザは、このようにして第一開口701周辺にインクを集めた状態で、図19に示すように、底壁31を下側にしてカートリッジ1を再びインクジェットプリンタ100にセットする。図23に示すように、第一開口701の周囲には、図22に示す状態に比べ、多くのインクが集まっている。しかも、インク袋71の前壁34側の端部とその周囲では2枚のシートの内面の大部分が互いに接触しているので、底壁31が載置面130に載置され、インク袋71の底壁31側の端部が略水平にされても、インクが第一開口701の周囲から底壁31側の端部の方向へ移動することがある程度妨げられる。よって、インク面をゴム栓723に刺された導出針183の先端部の孔よりも上にある状態で維持することができる。従って、残っていたインクを印刷ヘッド114に供給することができる。
【0087】
なお、前述したように、ケース2において、口栓72が近傍に設けられている第二角部22と対角に位置する角部である、ケース2の前端部の右上の角部(図22の上壁32と前壁34とがなす角部の手前側)には、把手部40(図3参照)が設けられている。従って、ユーザは、把手部40の凹部41に指を差し込み、突出部42を摘む等して、カートリッジ1を傾斜した状態で容易に維持し、インクを口栓72に向けて集めることができる。
【0088】
また、ケース2の左壁30において、口栓72が近傍に設けられている後端部とは反対側の前端部の近傍には、左壁30の外面から突出する前端脚部305(図2参照)が設けられている。従って、ユーザは、前端脚部305を掴んで、カートリッジ1を傾斜した状態で容易に維持し、インクを口栓72に向けて集めることもできる。
【0089】
前述したように、ケース2は樹脂製であり、本体部3および蓋部4は、夫々、金型を用いた射出成形によって製造される。通常、樹脂の射出成形では、本体部3のように、左壁30から略垂直に(ただし、抜き勾配は含む)、周壁31〜34が設けられる場合、周壁31〜34に対して垂直方向に移動するスライダを用いると、金型構造が複雑になるため、製造コストが増加する。よって、左壁30に対して垂直方向に移動する型のみを用いる単純な金型で製造できれば、低コストで容易に製造できるので望ましい。本実施形態では、前述のように、脚部301〜305は、左壁30の内面側から外面側に凹んだ凹部であり、口栓用開口335および第一露出開口336は、後壁33の、左壁30に接続するのとは反対側の端部から左壁30に向けて延びる凹部である。従って、本体部3は、左壁30に対して垂直方向に移動する単純な金型で、一体成形により容易に製造することができる。また、脚部301〜305を左壁30の内面側から外面側に凹んだ凹部とすることで、左壁30を平板状の壁部とする場合よりも、強度を高めることができる。
【0090】
後壁33の斜面部332と背面部331には、夫々、口栓用開口335と第一露出開口336が設けられているが、斜面部332と背面部331は、外面が鈍角を成すように第三角部23を形成している。従って、斜面部332と背面部331に口栓用開口335と第一露出開口336が形成されていても、後壁33全体の強度を良好に保つことができる。更に、左壁30において、口栓用開口335と第一露出開口336に対応する位置には、夫々、左壁30の内面側から外面側に凹んだ凹部である第一後端脚部301と第二後端脚部302とが設けられているので、これらの開口部の周囲の強度を更に良好に保つことができる。なお、口栓用開口335については、斜面部332と第一後端脚部301である凹部の底壁部分との接続部と、口栓用開口335の左壁30側の端部との間に設けられた連結壁部337も、第一後端脚部301と共に強度向上に貢献している。
【0091】
前述したように、脚部301〜304は、少なくとも二つの機能を有している。このように、異なる機能を発揮する部材を別個に設ける必要なく、射出成形で容易に製造することができる。例えば、第一中間脚部303および第二中間脚部304を左壁30に一体成形することで、本体部3と蓋部4を組み付けた後に、インクの色を示すシールをケース2に貼り付けたりする必要がない。また、組み付け時には、作業者は、本体部3に設けられた第一中間脚部303および第二中間脚部304の位置を目視して、白インクのインクパック7を本体部3に固定すべきか、白以外の色のインクのインクパック7を本体部3に固定すべきかを容易に判別することができる。
【0092】
また、蓋部4には把手部40が設けられているが、把手部40を構成する凹部41、突出部42のいずれも、蓋部4に対して略垂直方向に設けられた凹部または軸部である。従って、本体部3と同様、蓋部4も、左壁30に対して垂直方向に移動する型のみを用いる単純な金型で製造することができる。なお、突出部42を円筒状とすることで、中が詰まった柱状に形成する場合に比べ、より少ない材料でより強度の高い突出部42を形成することができる。また、ケース2と突出部42の壁の厚みを均一に近づけることできるので、樹脂成形が容易となる。更に、本実施形態では、突出部42の中空部に対応する部分にも、底部411を形成する壁がある。よって、この部分に壁がなく、蓋部4を貫通する開口が形成されている場合に比べ、突出部42の強度を高めることができる。
【0093】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。以下に、上記実施形態に加えうる変更の例について説明する。
【0094】
例えば、上記実施形態では、長い方のカートリッジ1には、脚部301〜305(図2参照)が設けられた例を挙げたが、脚部301〜305の一部または全部は、省略されてもよい。カートリッジ1に、左壁30から突出する脚部として、第一後端脚部301と第二後端脚部302のみが設けられた場合、カートリッジ1が、左壁30を下、蓋部4を上にして平面に載置された場合、第一後端脚部301および第二後端脚部302が設けられた後端部側の左壁30は平面から離間した状態となり、下方に隙間が生じる。一方、左壁30の前端部は平面に接するので、左壁30は傾斜状態で安定して維持される。第一後端脚部301と第二後端脚部302は離間して配置され、更に、いずれも上端部および下端部からは離間しているので、第一後端脚部301と第二後端脚部302の間やその周りでは、必ず左壁30と平面の間に隙間が生じる。従って、ユーザは、第一後端脚部301と第二後端脚部302の間、または上端部もしくは下端部から隙間に指を差し入れ、カートリッジ1を容易に取り上げることができる。
【0095】
カートリッジ1が、左壁30を上にして平面に載置された場合、ユーザは、第一後端脚部301および第二後端脚部302の少なくとも一方を指で掴んだり、指を掛けて移動したりできるので、カートリッジ1の取扱いの自由度が向上する。このように、第一後端脚部301と第二後端脚部302のみが設けられた場合でも、ユーザが、平面上に載置された状態から取り上げるのが容易である。
【0096】
なお、第一後端脚部301、第二後端脚部302以外の脚部を一つ設ける場合には、左壁30の上下方向において、第一後端脚部301および第二後端脚部302が配置されている範囲内(第一後端脚部301の下端部から第二後端脚部302の上端部までの範囲内)に配置すると、カートリッジ1をより安定した姿勢で支持することができる。
【0097】
また、脚部301〜305は、左壁30において、上記実施形態とは異なる位置や異なる形状で設けられてもよい。例えば、図24に示すカートリッジ11では、第二中間脚部304および前端脚部305が省略されている。なお、カートリッジ11でも、第一中間脚部303は色指標部として機能する脚部であり、判別領域R(図6参照)にかからない範囲に設けられて、インクの色が白であることを示している。
【0098】
カートリッジ11には、第二中間脚部304および前端脚部305に代えて、上壁32に沿って左壁30から左方向に突出する薄板状の上端脚部306と、底壁31に沿って左壁30から左方向に突出する薄板状の下端脚部308とが設けられている。上端脚部306は、左壁30の中央部付近に、左壁30の前後方向長さの三分の一程度の長さで設けられている。下端脚部308は、第一中間脚部303よりも前方から、左壁30の前端部まで延びている。上端脚部306および下端脚部308の左壁30外面からの突出高さは、脚部301〜303の突出高さと同一である。従って、左壁30を下側にして、カートリッジ11が平面に載置された場合、カートリッジ11は、脚部301〜303、上端脚部306および下端脚部308によって、左壁30全体が平面から離間した状態で安定して支持される。従って、ユーザは、左壁30の前端部、第一後端脚部301および第二後端脚部302周りの後端部、上端部の上端脚部306が設けられていない部分、および下端部の下端脚部308が設けられていない部分から隙間に指を差し入れ、カートリッジ1を容易に取り上げることができる。
【0099】
カートリッジ11が、左壁30を上にして平面に載置された場合、ユーザは、脚部301〜303の他、上端脚部306や下端脚部308を指で掴んだり、指を掛けて移動したりできるので、カートリッジ1の取扱いの自由度が向上する。特に、上端脚部306と下端脚部308は薄板状であるから、指で挟んで摘み上げやすい。このように、カートリッジ11でも、ユーザが、平面上に載置された状態から取り上げるのが容易である。更に、底壁31に沿って、第一中間脚部303よりも前方から、左壁30の前端部まで延びる下端脚部308は、図20に示すようにプリンタ100のカートリッジ装着部108に挿入されると、下端脚部308が載置面130に接するので、カートリッジ11は、カートリッジ装着部108内でより安定した姿勢で案内される。
【0100】
なお、カートリッジ11の上端脚部306および下端脚部308の前後方向長さは、図24の例に限定されず、適宜変更が可能である。例えば、上端脚部306は、左壁30の前端部まで延びていてもよいし、下端脚部308は、図24の例よりも短くてもよい。なお、ユーザが指を差し入れる隙間を確保するという観点からは、上端脚部306および下端脚部308は、左壁30の全長に亘る長さでないことが好ましい。また、図17に示す短いインクカートリッジ10でも、左壁30の上端部や下端部に、同様の脚部を設けてもよい。
【0101】
上記実施形態では、ケース2の前端部の右上の角部において、蓋部4に形成された把手部40(図3参照)の例について説明した。しかしながら、把手部40は、ケース2のいずれかの端部に設けられていればよい。そして、ケース2のいずれかの外面よりも内側方向に凹み、且つ、ケース2の外面に対して少なくとも二方向に開口する凹部41と、凹部の底部から突出する突出部42を備えていればよい。以下に、図25〜図30を参照して、変形例に係る把手部401〜407について説明する。
【0102】
図25に示すように、把手部401は、カートリッジ1の把手部40(図3参照)と同様、ケース2の前端部の右上の角部に設けられている。ただし、把手部401は、本体部3の一部と蓋部4の一部から形成されている。具体的には、蓋部4は、ケース2の右側面に直交する方向からみた左上の角部が、円弧状に切り欠かれ、切欠部381が形成されている。切欠部381が形成された蓋部4の角部に対向する左壁30の角部には切欠部は形成されておらず、この角部は直角を成している。切欠部381に対応するこの角部の扇形の領域が、凹部41の底部411となる。切欠部381の円弧状の外縁に沿って、蓋部4の内面(左壁30との対向面)から左壁30の底部411まで、周壁部412が突出している。突出部42は、図3に示す突出部42と同様、底部411から右方向へ突出している。凹部41は、ケース2の右方向、前方向、および上方向に開口している。
【0103】
把手部401を備えたケース2では、少なくとも、底部411を有する左壁30と突出部42は樹脂で一体成形されている。また、少なくとも、蓋部4と周壁部412は樹脂で一体成形されている。
【0104】
このような把手部401は、前述した図3に示す把手部40と同様の作用と効果を奏することができる。つまり、把手部401を有するカートリッジが僅かな隙間を空けて複数並べられた場合でも、その中から所望のカートリッジを容易に取り出すことができる。凹部41の底部411は、前述のように、左壁30の一部であるから、把手部401の凹部41の深さは、蓋部4の外面から左壁30の内面までの距離に相当する。つまり、ケース2の左右方向の幅に略相当する。従って、図3の把手部40の凹部41よりも、図25の把手部401の凹部41の方が深い。従って、把手部401の凹部41の方が、ユーザが指を差し込む空間が大きくなるので、指を差し込むのがより容易となる。
【0105】
図26に示すように、把手部402は、ケース2の前端部に設けられている。ただし、把手部402は、ケース2の角部ではなく、前壁34の上下方向における中央部近傍に設けられている。把手部402も、本体部3の一部と蓋部4の一部から形成されている。蓋部4は、ケース2の右側面に直交する方向からみた左端部の上下方向中央部近傍が、半円状に切り欠かれ、切欠部382が形成されている。切欠部382に対向する左壁30の端部(ケース2の前端側の端部)には切欠部は形成されておらず、直線状の端部である。切欠部382に対応するこの端部の半円形の領域が、凹部41の底部411となる。底部411の半円形の端部に沿って、左壁30の内面(蓋部4との対向面)から切欠部382の外縁まで、周壁部412が突出している。周壁部412は、前壁34をU字状にケース2の内面側に凹ませるように前壁34に連続して形成された、湾曲した壁部である。突出部42は、底部411の半円の中心付近に設けられ、右方向へ突出している。凹部41は、ケース2の右方向および前方向に開口している。把手部402を備えたケース2では、少なくとも、底部411を有する左壁30、周壁部412、および突出部42は、樹脂で一体成形されている。
【0106】
このような把手部402によれば、ユーザは、例えば、ケース2の前端側から人差し指と親指を凹部41に差し込み、突出部42を上下から指で摘んで前方へ引っ張ることができる。よって、把手部402を有するカートリッジが僅かな隙間を空けて複数並べられた場合でも、その中から所望のカートリッジを容易に取り出すことができる。
【0107】
図27に示すように、把手部403が設けられたケース2は、上壁32が、左右方向の中心線に沿って、本体部3と蓋部4に分かれている。具体的には、上壁32は、本体部3の左壁30から連続する第一上壁321と、蓋部4に連続する第二上壁322とから形成される。把手部403は、本体部3の一部と蓋部4の一部から形成されている。蓋部4は、ケース2の右側面に直交する方向からみた上端部の一部が、半円状に切り欠かれ、切欠部383が形成されている。切欠部383に対向する左壁30の端部(ケース2の上端側の端部)には切欠部は形成されておらず、直線状の端部である。切欠部383に対応するこの端部の半円形の領域が、凹部41の底部411となる。
【0108】
左壁30の内面(蓋部4との対向面)からは、底部411の半円形の端部に沿って、第一上壁321と同じ高さの第一周壁部413が、蓋部4の方向へ突出している。一方、蓋部4の内面(左壁30との対向面)からは、半円形の切欠部383の外縁に沿って、第二上壁322と同じ高さの第二周壁部414が、左壁30の方向へ突出している。周壁部412は、第一周壁部413と第二周壁部414とから形成される。周壁部412は、上壁32をU字状にケース2の内面側に凹ませるように上壁32に連続して形成された、湾曲した壁部である。突出部42は、底部411の半円の中心付近に設けられ、右方向へ突出している。凹部41は、ケース2の右方向および上方向に開口している。把手部403を備えたケース2では、少なくとも、底部411を有する左壁30、第一周壁部413、および突出部42は、樹脂で一体成形されている。少なくとも、蓋部4および第二周壁部414は、樹脂で一体成形されている。
【0109】
このような把手部403によれば、ユーザは、例えば、ケース2の上端側から人差し指を凹部41の突出部42の後方に差し込み、突出部42に引っ掛けて、前方へ引っ張ることができる。また、前後から突出部42を摘んで上方へ引き上げることもできる。よって、把手部403を有するカートリッジが、隙間なく、または僅かな隙間を空けて複数並べられた場合でも、その中から所望のカートリッジを取り出すことができる。
【0110】
図28は、ケース2の前端部の右上の角部と右下の角部に、夫々、把手部401と把手部404を設けた例である。把手部401は、図25を参照して説明した通りである。把手部404は、把手部401と上下対称形状である以外、その構成は基本的に把手部401と同様である。つまり、蓋部4は、ケース2の右側面に直交する方向からみた左下の角部が、円弧状に切り欠かれ、切欠部384が形成されている。対向する左壁30の角部が凹部41の底部411とされ、切欠部384の外縁に沿って、蓋部4から底部411まで、周壁部412が設けられている。突出部42は、底部411から右方向へ突出している。把手部404の凹部41は、ケース2の右方向、前方向、および下方向に開口している。把手部401および404を備えたケース2では、少なくとも、二つの底部411を有する左壁30と二つの突出部42は樹脂で一体成形されている。また、少なくとも、蓋部4と二つの周壁部412は樹脂で一体成形されている。
【0111】
このような把手部401および404によれば、把手部401により、図3に示す把手部40と同様の効果が得られるのに加え、把手部404により、異なる方向からのカートリッジの取り出しが可能となる。例えば、把手部401および404を有するカートリッジが、上壁32を下にして、隙間なく、または僅かな隙間を空けて複数並べられた場合でも、把手部404を利用して、その中から所望のカートリッジを取り出すことができる。
【0112】
図29に示す把手部405は、前述した図25に示す把手部401において、円筒状の突出部42に代えて、平板状の突出部420を設けたものに相当する。突出部420は、凹部41の底部411から蓋部4に向けて突出している。本実施形態では、突出部420は、前壁34の上方に前壁34から連続して設けられている。突出部420のケース2の内側方向、つまり、背面側は、面部421である。把手部405では、凹部41は、ケース2の右方向および上方向に開口している。把手部405を備えたケース2では、少なくとも、底部411を有する左壁30と突出部420は樹脂で一体成形されている。また、少なくとも、蓋部4と周壁部412は樹脂で一体成形されている。
【0113】
このような把手部405を備えたカートリッジがプリンタ100(図3参照)に装着された場合、突出部420は、プリンタ100の上下方向に延び、面部421がプリンタ100の奥側に対向するように配置される。よって、カートリッジをプリンタ100から取り外す場合、例えば、ユーザは、ケース2の右側から凹部41に人差し指を差し入れ、突出部420の奥側にある面部421に人差し指、突出部420の手前側に親指を当てて、突出部420を前後から摘むことができる。従って、ユーザは、把手部405を備えた複数のカートリッジがプリンタ100に装着されていても、所望のカートリッジをプリンタ100から容易に引き出して取り外すことができる。
【0114】
図30に示す把手部406は、図29の把手部405の突出部420に代えて、上壁32から連続して設けられた突出部430を設け、周壁部412を、蓋部4ではなく左壁30から突出する壁部としたものである。突出部430は、凹部41の底部411から右方向に突出するとともに、上壁32と同様、ケース2の前後方向に延びる。突出部430のケース2の内側方向、つまり、下側は、面部431である。把手部406では、凹部41は、ケース2の右方向および前方向に開口している。把手部406を備えたケース2では、少なくとも、底部411を有する左壁30、周壁部412、および突出部430は樹脂で一体成形されている。
【0115】
このような把手部406を備えたカートリッジがプリンタ100(図3参照)に装着された場合、突出部430は、プリンタ100の前後方向(手前側から奥側)に延び、面部431がプリンタ100の下側に対向するように配置される。よって、カートリッジをプリンタ100から取り外す場合、例えば、ユーザは、ケース2の前方から凹部41に人差し指を差し入れ、突出部430の下側にある面部431に人差し指、突出部430の上側に親指を当てて、突出部430を上下から摘むことができる。従って、ユーザは、把手部406を備えた複数のカートリッジがプリンタ100に装着されていても、所望のカートリッジをプリンタ100から容易に引き出して取り外すことができる。
【0116】
図25〜図30に示した例に限定されず、把手部40(図3参照)の構成は適宜変更可能である。例えば、凹部41の周壁部412は必ずしも湾曲面を有する壁部でなくてもよい。例えば、図25に示す円弧状の切欠部381に代えて、蓋部4の角部に逆L字状の切欠部を形成し、周壁部は、L字状の切欠部に沿って平板状の二つの壁部を設けることで形成してもよい。また、突出部42の形状は中空部を有する円筒状に限らず、例えば、中が詰まった円柱状、くびれのある円柱状、角のある角柱状、指を差し込む孔を有する環状等に変更可能である。
【0117】
前述したように、カートリッジ1、10、11(図2、図17、図24参照)の第一中間脚部303と第二中間脚部304は、インクの色を示す色指標部であり、ユーザがこれを目視することで、ケース2内に収容されたインクの色が白か白以外の色か判別可能としている。また、図1に示すプリンタ100は、各カートリッジ装着部108に対応するインクの色が、白と白以外の色のうちいずれか一方に定められている。そこで、カートリッジ装着部108に誤った色のインクが収容されたカートリッジ1、10、11の装着を防止する機能を加えてもよい。図31〜図32を参照して、このような変形例のプリンタ140について説明する。図32の上下方向、左右方向、紙面表面側が、夫々、プリンタ140の上下方向、左右方向、正面側である。
【0118】
図1に示すプリンタ100は、底壁31を下側にしてカートリッジ1が装着されるタイプのプリンタであるが、図31〜図32に示すプリンタ140は、左壁30を下側にしてカートリッジ1が装着されるタイプのプリンタである。詳細は後述するが、プリンタ140は、第一中間脚部303および第二中間脚部304の傾斜部341および346を利用して、カートリッジ1がスムーズに装着される構成も備えている。それ以外の、印刷のための構成(図1に示す印刷ヘッド114等)やインク供給のための構成(図19に示す接続部180等)は基本的にプリンタ100と同様であるため、以下での説明は省略または簡略化する。
【0119】
図31および図32に示すように、プリンタ140は、筐体141内に設けられた複数のカートリッジ装着部185を備えている。なお、説明を簡単化するために、カートリッジ装着部185は3個のみ図示されているが、実際には、図1に示すプリンタ100と同様、プリンタ140も8個のカートリッジ装着部185を備えている。また、カートリッジ1の前端脚部305は図示されていない。カートリッジ1はカートリッジ挿入口121からカートリッジ装着部185部内に挿入される。
【0120】
カートリッジ装着部185は、カートリッジ1を、プリンタ100内で、インク供給が可能な状態に配置されるように案内する通路である。カートリッジ装着部185の前後方向長さは、カートリッジ1の前後方向の三分の二程度である。よって、プリンタ140には、図17に示す短いカートリッジ10は使用されない。カートリッジ装着部185の上下方向の長さは、脚部301〜304を含めたカートリッジ1の左右方向の長さの二倍程度である。カートリッジ装着部108の左右方向の長さは、カートリッジ1の上下方向の長さ(上壁32の外面から底壁31の外面までの距離)よりも僅かに長い。
【0121】
図31に示すように、カートリッジ装着部185の奥側(図31の左側)の端部には、カートリッジ装着部185内を案内されたカートリッジ1の後壁33(より詳細には背面部331)が当接する当接板186が配置されている。当接板186には、導出針183を有する固定部181が固定されている。プリンタ140でも、各カートリッジ装着部185に対応するインクの色、つまり、各導出針183が導出すべきインクの色が、白と白以外の色のうちいずれか一方に定められている。
【0122】
カートリッジ装着部185内には、載置部187が設けられている。載置部187は、カートリッジ挿入口121から当接板186まで延びる長尺の直方体形状の部材である。図32に示すように、載置部187の左右方向の長さは、カートリッジ装着部185の左右方向の長さの三分の一程度である。この長さは、第一後端脚部301と第二後端脚部302との距離よりも僅かに短い。載置部187は、カートリッジ装着部185の底面の左右方向中央部に固定されている。載置部187は、第一中間脚部303および第二中間脚部304により、カートリッジ装着部185内でカートリッジ1を上下方向の適切な位置に案内するための部位である。
【0123】
図31に示すように、載置部187の前後方向中央のやや後方(図31の左方)に、載置部187の上面から突出する色識別突起188が設けられている。図32に示すように、色識別突起188は、各カートリッジ装着部185に対応して定められたインクの色(白または白以外の色)に応じて、左右方向の位置が異なる。具体的には、白インク用のカートリッジ装着部185の場合、真ん中および最下段のカートリッジ装着部185のように、色識別突起188は、載置部187の左右方向中央よりもやや左側に配置される。この位置は、左壁30を下にしてカートリッジ装着部185に挿入されたカートリッジ1の判別領域R(図6参照)に対応する。一方、白以外の色のカートリッジ装着部185の場合、最上段のカートリッジ装着部185のように、載置部187の左右方向中央よりもやや右側に配置される。この位置は、左壁30を下にしてカートリッジ装着部185に挿入されたカートリッジ1の判別領域R(図6参照)以外の部分に対応し、白以外の色用のカートリッジ1では、この位置には第一中間脚部303、第二中間脚部304は配置されない。色識別突起188は、誤った色のカートリッジ1がカートリッジ装着部185に装着されるのを防止するための部位である。
【0124】
カートリッジ1がカートリッジ装着部185に装着される際の、載置部187と色識別突起188の作用と効果について説明する。まず、図31および図32の最上段に示すように、カートリッジ1がカートリッジ挿入口121から挿入される。このとき、載置部187は、第一後端脚部301と第二後端脚部302の間に配置されるので、通常、左壁30の外面(図中下側の面)は載置部187の上面に載置される。ユーザがそのままカートリッジ1を押し込むと、載置部187は第一後端脚部301と第二後端脚部302の間に左右から挟まれた状態で、左壁30の外面が載置部187の上面を摺動しながら奥側へ案内される。
【0125】
そのまま進むと、第一中間脚部303と第二中間脚部304が載置部187の前面にぶつかることになる。しかし、第一中間脚部303と第二中間脚部304には、プリンタ140の奥側から手前側に向けて第一中間脚部303と第二中間脚部304の突出高さが大きくなるように、なだらかな傾斜部341、346(図2参照)が設けられている。従って、図31および図32の真ん中の段に示すように、傾斜部341、346に沿って、カートリッジ1が徐々に上方へ持ち上げられていく。カートリッジ1が更に奥側へ押し込まれると、載置部187の上面に、傾斜部341、346の前方(図31では右側)にある平面部342、347が載った状態となり、カートリッジ装着部185における上下方向の位置決めが完了する。
【0126】
カートリッジ1が更に奥側へ押し込まれると、カートリッジ1は、平面部342、347が載置部187の上面を摺動しながら奥側へ案内される。第一中間脚部303および第二中間脚部304が色識別突起188の位置にくると、図32の最下段に示すように、色識別突起188が第一中間脚部303および第二中間脚部304の間にある場合は、そのままカートリッジ1は奥側に移動できる。この場合、図31の最下段に示すように、カートリッジ1の後端部は接続部180に到達し、口栓用開口335を通って導出針183がインク袋71のゴム栓723(図14参照)に刺さり、インク供給が可能となる。なお、接続部180は、前述のように、載置部187によりカートリッジ1が上下方向に位置決めされた場合に導出針183が口栓用開口335に対向する位置に配置されている。
【0127】
一方、図32の最上段および真ん中の段に示すように、色識別突起188が第一中間脚部303または第二中間脚部304と干渉する場合、カートリッジ1はそれ以上奥側に移動することができない。つまり、カートリッジ1の後端部は接続部180に到達できない。このように、色識別突起188は、カートリッジ装着部185に対応するインクの色とは異なるインクが収容されたカートリッジ1の口栓72に接続部180の導出針183が刺さってしまうのを確実に防止することができる。
【0128】
このように、プリンタ140では、第一中間脚部303および第二中間脚部304は、その傾斜部341、346により、載置部187に徐々に乗り上げ、カートリッジ1がカートリッジ装着部185の上下方向で適切な位置にスムーズに装着されるようにする機能を有する。また、色識別突起188との協働により、誤った色のカートリッジ1がカートリッジ装着部185に完全に装着されてしまうのを防止する機能を有する。なお、前述の例では、カートリッジ1に第一中間脚部303および第二中間脚部304の両方が設けられているが、前述したように、色識別部として機能する脚部は、インクの色に応じて判別領域Rとの関係で配置されていればよいので、必ずしも両方が設けられなくてもよい。
【0129】
図1および図20に示すプリンタ100に、色識別突起188が設けられてもよい。この場合、例えば、カートリッジ装着部108の左内面を規定する側面から右方へ突出するように、色識別突起188が設けられればよい。カートリッジ装着部185の上下方向における色識別突起188の位置は、カートリッジ1がカートリッジ装着部108に装着された場合、判別領域R(図6参照)に対向する位置である。また、前後方向の位置は、カートリッジ1が完全にカートリッジ装着部108に装着された場合に第一中間脚部303および第二中間脚部304がある位置よりも、前方(カートリッジ挿入口121側)とする必要がある。これにより、プリンタ100でも、カートリッジ1の、第一中間脚部303および第二中間脚部304と色識別突起188との協働により、誤った色のカートリッジ1がカートリッジ装着部185に完全に装着されてしまうのを防止できる。
【0130】
また、図1、図31に夫々示すプリンタ100、140のカートリッジ装着部108、185は、いずれも筐体101、141内に通路として形成されているが、カートリッジ1等をプリンタに装着するための構成は、これに限られない。例えば、図33に示すように、プリンタ100のカートリッジ装着部108内に、カートリッジ1等を保持するホルダ159を設けてもよい。なお、ホルダ159を設ける場合、カートリッジ装着部108はなくてもよい。
【0131】
ホルダ159は、カートリッジ装着部108の右側の内面に沿って前後方向に延びる側面部160と、側面部160の上端部および下端部から、夫々、左方に延びるレール部161、162を含む。上方のレール部161の左端部は下方に屈曲する屈曲部163であり、下方のレール部162の左端部は上方に屈曲する屈曲部164である。レール部161、162の側面部160から屈曲部163、164までの長さは、本体部3の左側面から蓋部4の右側面までの距離より僅かに長い程度である。従って、カートリッジ1がカートリッジ挿入口120から挿入されると、カートリッジ1は、その上端部と下端部が、夫々、側面部160とレール部161、162の屈曲部の間に挟まれた状態で保持されるので、カートリッジ装着部108の奥側に向けて安定した姿勢で案内される。
【0132】
このようなホルダ159を備えたプリンタ100に装着されるカートリッジ1等では、左壁30の外面から突出する脚部(図2の脚部301〜305、図24の上端脚部306、下端脚部308等)は、ホルダ159によって保持される以外の部分に設けられる必要がある。具体的には、脚部は、全て、屈曲部163、164と干渉しないように、左壁30の上下方向において、屈曲部163、164に対向しない位置に設けられる必要がある。従って、図24の上端脚部306、下端脚部308のような位置に脚部は配置されない。
【0133】
上記実施形態のケース2は、対向配置された一対の壁部である蓋部4と左壁30、および左壁30に連続する周壁31〜34を備えており、ほぼ全体が壁部で覆われた例である。しかしながら、ケース2を構成する壁部の一部は省略されてもよい。例えば、前壁34が省略されてもよい。底壁31や上壁32は、ケース2の長手方向全体を覆う必要はなく、一部に開口を有していてもよい。また、周壁31〜34全てを必ずしも本体部3に設ける必要はなく、これらの一部または全てを蓋部4に設けてもよい。
【0134】
上記実施形態では、図2に示すように、第一後端脚部301は口栓用開口335に対応する位置に設けられ、口栓72(図12参照)の収納空間および固定部を形成している。また、第二後端脚部302は第一露出開口336に対応する位置に設けられ、可動部材50(図16参照)の露出部53の可動空間を形成している。しかしながら、第一後端脚部301、第二後端脚部302は、必ずしもこのような機能を有する必要はなく、これらの開口部や内部に配置される部材とは関係なく設けられてもよい。口栓72はケース2内の別の位置に配置されてもよい。可動部材50は、インク残量指標部材でなくてもよい。
【0135】
上記実施形態では、口栓用開口335および第一露出開口336は、いずれも、後壁33において、本体部3と蓋部4が接合された場合に蓋部4に接する側の端部から左壁30に向かって延びる凹部として形成されているが、これらの開口部は、斜面部332と背面部331にそれぞれ設けられた孔部であってもよい。また、口栓用開口335を、第一露出開口336と同様の形状としてもよい。つまり、連結壁部337は設けられなくてもよい。反対に、第一露出開口336を、第二後端脚部302を形成する凹部の底壁まで延びない凹部とし、連結壁部を設けてもよい。
【0136】
上記実施形態では、色指標部である第一中間脚部303、第二中間脚部304が設けられる範囲は、図6に示す判別領域Rとの関係で定められている。この判別領域Rの位置は、図6の例に限らず、他の位置であってもよい。ただし、ユーザが第一中間脚部303、第二中間脚部304の目視によってインクの色を判別するためには、判別領域Rがどこにあるのかがわかりやすいことが望ましい。従って、判別領域Rは、上記実施形態のように、わかりやすい目印を基準として定められていると好ましい。なお、第一中間脚部303、第二中間脚部304は必ずしも色指標部とされる必要はなく、カートリッジ1を支持する脚部としての機能のみを有していてもよい。
【0137】
上記実施形態では、脚部301〜305(図2参照)は、左壁30に凹部として一体形成されているが、左壁30に接着等の方法で接続された別の部材であってもよい。
【0138】
ケース2に設けられている把手部40(図2参照)は、省略されてもよい。
【0139】
上記実施形態では、インクパック7は本体部3の左壁30に固定されているが、図34に示すように、蓋部4の内面(左壁30に対向する面)にインク袋71のシート面が接着されることで固定されてもよい。更に、蓋部4に、口栓72を固定する固定部が設けられてもよい。この場合、ケース2の組み付け時には、作業者は、蓋部4に固定されたインクパック7のインクの色と、本体部3に設けられた第一中間脚部303および第二中間脚部304の位置とを確認することで、インクパック7が固定された蓋部4と本体部とを誤りなく組み付けることができる。
【0140】
図35〜図42を参照して、別の実施形態に係るインクカートリッジ12について説明する。なお、図38〜図40では、インクパック7はインクが収容されていない状態で示されているが、実際には、図41に示すように、インクが収容された状態で使用される。また、図41では、インクパック7をわかりやすく図示するために、可動部材50の図示は省略されている。
【0141】
インクカートリッジ12は、前述したインクカートリッジ1(図2等参照)が備える様々な構成に加え、斜面部332がケース2の内側方向または外側方向に倒れることを防止する補強部材37(図39参照)を備えたことを主な特徴とする。よって、以下では、インクカートリッジ12が有するインクカートリッジ1と同様の構成については説明を省略または簡略化し、インクカートリッジ1と異なる構成(補強部材37等)を主に説明する。
【0142】
図35〜図37に示すように、インクカートリッジ12の外形は、図2〜図8に示すインクカートリッジ1の外形とほぼ同様である。ただし、斜面部332に設けられた口栓用開口335は、インクカートリッジ1のようなU字形状の凹部ではなく、円形の貫通孔として形成されている。また、把手部40の突出部42は、中空部を有する角柱の二つの角を丸みを帯びた形状とした軸部として形成されている。更に、インクカートリッジ12の脚部301〜305は、インクカートリッジ1の脚部301〜305とは一部形状や配置が異なるが、基本的に同じ機能を有する。なお、インクカートリッジ12の第二中間脚部304は、判別領域Rにかかるように設けられて、インクの色が白以外の色であることを示している。インクカートリッジ12は、更に、第二中間脚部304に対して前壁34側に、脚部309も備えている。
【0143】
図38に示すように、インクカートリッジ12のケース2も、インクカートリッジ1と同様、本体部3と蓋部4とが接合されることで形成される。本実施形態では、本体部3の複数箇所に夫々設けられた係合フックが蓋部4の対応する位置に設けられた係合孔に係合され、且つ、蓋部4の複数箇所に夫々設けられた係合フックが本体部3の対応する位置に設けられた係合孔に係合されることで、本体部3と蓋部4とが接合される。特に、斜面部332には、口栓用開口335と第二角部22との間、および口栓用開口335と第三角部23との間の二箇所に、貫通孔である係合孔36が夫々設けられている。一方、蓋部4には、係合孔36に対応する2箇所に係合フック46が設けられている。
【0144】
係合フック46と係合孔36の係合について説明する。係合フック46は、可撓性を有し、蓋部4の斜面部332に対向する端部から左壁30に向けて延びるアーム部461と、アーム部461の先端に設けられ、ケース2(本体部3)の内側から外側方向へ突出する爪部462とを有する。なお、アーム部461は、蓋部4の端部から斜面部332の厚み分内側に設けられている。蓋部4が本体部3に接合される場合、最初に斜面部332に爪部462の先端部が接触する。爪部462が斜面部332によりケース2の内側方向へ押圧されるのに伴い、アーム部461はケース2の内側方向へ撓む。爪部462の先端部が斜面部332の内面に沿って摺動しながら左壁30側へ移動し、係合孔36の位置に到達すると、爪部462はアーム部461の復元力でケース2の内側から外側方向へ向けて係合孔36に入り込み、係合孔36に係合する。本体部3および蓋部4に設けられた他の係合フックおよび係合孔も、係合フック46および係合孔36と同様の構成を有する。
【0145】
インクカートリッジ12のケース2は、インクカートリッジ1と同様、周壁31〜34のうち、第二角部22において斜面部332と底壁31とが成す角、および第三角部23において斜面部332と背面部331とが成す角は、いずれも鈍角である。第二角部22において斜面部332と底壁31とが成す角は120度であり、第三角部23において斜面部332と背面部331とが成す角は150度であると好ましい。ただし、射出成形により本体部3が製造される場合、周壁31〜34は、左壁30に対して略垂直に形成されるが、抜き勾配等の関係上、厳密には垂直にならず、誤差が生じうる。従って、少なくとも、左壁30に平行な一断面において、斜面部332と底壁31とが成す角が120度であり、斜面部332と背面部331とが成す角が150度であればよい。または、本体部3の左壁30に接続するのとは反対側の端部、つまり、蓋部4に対向する側の端部(図38では上側の端部)において、斜面部332と底壁31とが成す角が120度であり、斜面部332と背面部331とが成す角が150度であればよい。
【0146】
図39および図40に示すように、インクカートリッジ12のインクパック7は、図13に示すインクカートリッジ1のインクパック7とは若干形状が異なる。具体的には、図13に示すインクパック7では、インク袋71を形成する2枚のシートは、ケース2の把手部40(図8参照)に対応する角部のみ、円弧状に切り欠かれた長方形状である。また、熱溶着される周囲部716は、シートの端部に沿って略同一幅で枠状に設けられている。一方、本実施形態のインク袋71を形成する2枚のシートは、完全な長方形状である。また、熱溶着される周囲部716は、口栓72から上壁32側の端部まで延びる部分が、前壁34側に向けて傾斜している。このように、インク袋71の周囲部716とインク収容部717の形状は、適宜変更されてもよい。
【0147】
図39および図40に示すように、本実施形態では、本体部3の内側の左壁30と斜面部332との接続部分に、左壁30および斜面部332に対して交差する部分に張り出した補強部材37が設けられている。本実施形態では、間隔を空けて三つの補強部材37が設けられている。本実施形態の補強部材37は、板面が左壁30の伸展方向および斜面部332の伸展方向に対して夫々交差するように配置され、左壁30および斜面部332に連結する板状部材として形成されている。より詳細には、補強部材37は、一つの角が略直角を成す三角形の薄板部材であり、略直角を成す角を挟む二辺が夫々左壁30の内面と斜面部332の内面に連結するように、少なくとも左壁30および斜面部332と一体成形されている。補強部材37の板面は、左壁30および斜面部332に対して略垂直に配置されている。
【0148】
落下等の理由でケース2に外部から衝撃が加えられた場合、斜面部332に対して外力がケースの外側から内側方向、又は内側から外側方向に働き、斜面部332が内側方向又は外側方向に倒れる可能性がある。補強部材37は、このような場合に斜面部332が内側方向又は外側方向に倒れることを防止する。具体的には、斜面部332に対して内側方向の外力が働いた場合、補強部材37は、内側から斜面部332を支えることで、斜面部332が内側方向に倒れるのを防止できる。特に、斜面部332に対して垂直に内側方向の外力が働いた場合、斜面部332は最も倒れやすい。本実施形態の補強部材37の板面は、左壁30および斜面部332に対して略垂直に配置されているので、この場合も効果的に斜面部332が倒れるのを防止できる。このとき、前述の通り、射出成形により本体部3が製造される場合、周壁31〜34は、左壁30に対して略垂直に形成されるが、抜き勾配等の関係上、厳密には垂直にならず、差異が生じうる。故に、この場合の差異を考慮して、補強部材37の板面は、左壁30および斜面部332に対して略垂直に配置されている。また、仮に斜面部332の厚みが左壁30からの延伸方向に変化し、斜面部332の表面が左壁30に対して実質的には垂直でないとしても、補強部材37の板面は、左壁30および斜面部332に対して略垂直として考えればよい。
【0149】
また、斜面部332に対して外側方向の外力が働いた場合、補強部材37は、内側から斜面部332を引っ張ることで、斜面部332が外側方向に倒れるのを防止できる。特に、前述したように、インクカートリッジ12では、斜面部332に設けられた係合孔36に係合フック46が係合することで、斜面部332において本体部3と蓋部4とが接合される。ケース2に外部から衝撃が加わって外力がケース2の内側から外側方向に働き、斜面部332が外側方向に倒れると、爪部462と係合孔36との係合関係が解除されてしまう可能性がある。しかし、インクカートリッジ12は、補強部材37により、爪部462と係合孔36との係合関係が解除されることを防止できる。また、斜面部332の内側には口栓72の先端部724が配置されているので、爪部462と係合孔36との係合関係が解除され、斜面部332と蓋部4との間に隙間が生じると、隙間からインクが漏れ出る可能性が生じる。インクカートリッジ12は、補強部材37により、かかる事態も回避することができる。
【0150】
なお、補強部材37は、本体部3の内側の左壁30と斜面部332との接続部分のどこに設けてもよいが、本実施形態では、第二角部22よりも第三角部23に近い位置、つまり、底壁31よりも背面部331に近い位置に設けられている。第二角部22において斜面部332と底壁31とが成す角(120度)の方が、第三角部23において斜面部332と背面部331とが成す角(150度)よりも小さい場合、斜面部332がケース2の内側方向に押されると、背面部331と比べて成す角が小さい底壁31の方が、斜面部332をある程度支えることができる。従って、本実施形態のように底壁31よりも背面部331に近い位置に補強部材37を設けることで、より効率的に斜面部332が内側方向又は外側方向に倒れるのを防止することができる。
【0151】
更に言えば、背面部331は、周壁31〜34のうち口栓72の軸線X方向において最端側に位置するため、落下した場合等に、底壁31よりも背面部331の方が衝撃を受ける可能性が高い。背面部331が衝撃を受けると、斜面部332も衝撃を受けることになる。故に、斜面部332において、底壁31よりも衝撃を受ける可能性が高い背面部331に近い位置に補強部材37を設けることで、より効率的に斜面部332が内側方向又は外側方向に倒れるのを防止することができる。
【0152】
図38に示すように、インクカートリッジ1と同様、インクカートリッジ12の本体部3も、左壁30の斜面部332と接続する端部の一部を含む領域に設けられた第一後端脚部301を備える。第一後端脚部301は、補強部材37が形成された本体部3の内側から、左壁30に対して補強部材37が形成された側とは反対側である外側方向へ突出する。また、斜面部332は、左壁30に突出部として設けられた第一後端脚部301に対応して、左壁30と接続する部分のうち、第一後端脚部301と接続する一部分に、蓋部4とは反対方向、つまり左方へ突出する突出部338を有する。左壁30と斜面部332との接続部分に、補強部材37に加え、第一後端脚部301および突出部338を設けることで、平面状の左壁30および斜面部332が略垂直に接続する場合に比べ、斜面部332を支持する部分が増えるため、斜面部332がケース2の内側方向又は外側方向に倒れるのを更に効果的に防止することができる。つまり、第一後端脚部301および突出部338は、斜面部332の補強部材としても機能する。
【0153】
また、図40〜図42に示すように、インクカートリッジ12でも、インクカートリッジ1(図12参照)と同様、インクパック7は、口栓72の先端部724が斜面部332(より詳細には口栓用開口335)に対向するように、且つ、口栓72が第一後端脚部301を形成する凹部内に収納されるように本体部3の内部に配置される。そして、第一後端脚部301に設けられた係合孔307に、口栓72の係合突起725が嵌合されることで、口栓72が本体部3に固定される。なお、図37に示すように、インクカートリッジ12を側面視した場合、口栓72の軸線Xは、係合孔307を通る位置にある。図38および図40に示すように、口栓用開口335は、斜面部332において、口栓72の先端部724に対向し、且つ少なくとも突出部338の一部を含む領域に形成される。このような場合、外部から衝撃が加わって外力がケース2に働いた場合、斜面部332は内側方向又は外側方向に倒れやすい。しかし、インクカートリッジ12では、補強部材37に加え、第一後端脚部301および突出部338が設けられているので、斜面部332が内側方向又は外側方向に倒れるのを防止できる。
【0154】
上記実施形態において、本体部3は、本発明の第一ケースに相当し、蓋部4は第二ケースに相当する。左壁30、蓋部4、上壁32、底壁31、背面部331、斜面部332は、夫々、第一壁部、第二壁部、第三壁部、第四壁部、第五壁部、第六壁部に相当する。第一後端脚部301は、第一突出部に相当し、斜面部332の突出部338は、第二突出部に相当する。係合孔36は貫通孔に相当し、係合フック46は係合片に相当する。口栓用開口335は、開口部に相当する。
【0155】
なお、補強部材37は、必ずしも三角形状の板状部材である必要はなく、例えば四角形や扇形の板状部材であってもよいし、三角柱等の形状の部材であってもよい。また、補強部材37は、左壁30および斜面部332と一体成形されていなくてもよい。補強部材37は、必ずしも複数設けられる必要はなく、一つだけが設けられていてもよい。
【0156】
第一後端脚部301および突出部338は、必ずしも設けられる必要はなく、斜面部332は、垂直方向からみて矩形状であってもよい。インクパック7は、必ずしも口栓72の先端部724が斜面部332に対向するように配置される必要はない。この場合、口栓用開口335は、斜面部332ではなく、他の位置に設けられてもよい。
【0157】
斜面部332において本体部3と蓋部4とを接合するための係合フック46と係合孔36は、必ずしも設けられなくてもよい。つまり、他の方法で本体部3と蓋部4とが接合されてもよい。また、係合フック46と係合孔36は、一組のみ設けられてもよい。更に、係合孔36は必ずしも貫通孔である必要はない。貫通孔に代えて、例えば、斜面部332の内面に、本体部3の内側から外側方向に凹んだ凹部が形成されていてもよい。この場合、凹部は、アーム部461が復元力で元の姿勢に復帰した時、少なくとも係合フック46の爪部462が係合可能な深さを有していればよい。また、係合フック46は、爪部462がケース2の外側から内側方向に突出する形状であってもよい。この場合、斜面部332には、爪部462が外側から内側方向に入り込んで係合する貫通孔が形成されてもよいし、斜面部332の外面に、本体部3の外側から内側方向に凹んだ凹部が形成されてもよい。
【0158】
その他、インクカートリッジ12に加えうる変更は、インクカートリッジ1に加えうる変更と同様である。
【符号の説明】
【0159】
1、10、11 インクカートリッジ
2 ケース
3 本体部
30 左壁
31 底壁
32 上壁
301 第一後端脚部
331 背面部
332 斜面部
335 口栓用開口
338 突出部
36 係合孔
4 蓋部
46 係合フック
71 インク袋
72 口栓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを収容するインク袋と、
前記インク袋に設けられた口栓と、
前記インク袋を収容する箱状のケースとを備えたインクカートリッジであって、
前記ケースは、
前記口栓の軸線を長手方向として、前記軸線に対して略平行に対向配置された一対の板状の壁部のうち一方である第一壁部と、前記第一壁部の外周に沿って、前記一対の壁部の他方である第二壁部に向けて延設された壁部である周壁部とを少なくとも含む第一ケースと、
前記第二壁部を少なくとも含み、前記第一ケースに接合される第二ケースとを備え、
前記周壁部は、
前記軸線に略平行に延びる前記第一壁部の一対の端部から前記第一壁部に対して略垂直に延設された一対の壁部である第三壁部および第四壁部と、
前記第一壁部の前記長手方向における一端部において前記第一壁部および前記軸線に対して略垂直に延設され、前記第三壁部と略垂直に接続する第五壁部と、
前記第一壁部の前記長手方向における前記一端部において前記第一壁部に対して略垂直、且つ前記軸線に対して斜めに配置され、両側で前記第四壁部と前記第五壁部の夫々と鈍角を成して接続する第六壁部とを少なくとも含み、
前記ケースは、前記ケースの内側の前記第一壁部と前記第六壁部とが接続する部分に、前記第一壁部および前記第六壁部に対して交差する部分に張り出した補強部材を備えたことを特徴とするインクカートリッジ。
【請求項2】
前記補強部材は、板面が前記第一壁部の伸展方向および前記第六壁部の伸展方向に対して夫々交差するように配置され、前記第一壁部および前記第六壁部に連結する板状部材であることを特徴とする請求項1に記載のインクカートリッジ。
【請求項3】
インクを収容するインク袋と、
前記インク袋に設けられた前記インクを取り出すための口栓と、
前記インク袋を収容する箱状のケースとを備えたインクカートリッジであって、
前記ケースは、
前記口栓の軸線を長手方向として、前記軸線に対して略平行に対向配置された一対の板状の壁部のうち一方である第一壁部と、前記第一壁部の外周に沿って、前記一対の壁部の他方である第二壁部に向けて延設された壁部である周壁部とを少なくとも含む第一ケースと、
前記第二壁部を少なくとも含み、前記第一ケースに接合される第二ケースとを備え、
前記周壁部は、
前記軸線に略平行に延びる前記第一壁部の一対の端部から前記第一壁部に対して略垂直に延設された一対の壁部である第三壁部および第四壁部と、
前記第一壁部の前記長手方向における一端部において前記第一壁部および前記軸線に対して略垂直に延設され、前記第三壁部と略垂直に接続する第五壁部と、
前記第一壁部の前記長手方向における前記一端部において前記第一壁部に対して略垂直、且つ前記軸線に対して斜めに配置され、両側で前記第四壁部と前記第五壁部の夫々と鈍角を成して接続する第六壁部とを少なくとも含み、
前記ケースは、前記ケースの内側の前記第一壁部と前記第六壁部とが接続する部分に、板面が前記第一壁部の伸展方向および前記第六壁部の伸展方向に対して夫々交差するように配置され、前記第一壁部および前記第六壁部に連結する板状の補強部材を備えたことを特徴とするインクカートリッジ。
【請求項4】
前記第一壁部は、前記第六壁部と接続する端部の一部を含む領域に、前記補強部材が形成された前記ケースの前記内側から、前記第一壁部に対して前記補強部材が形成された側とは反対側である外側方向へ突出する第一突出部を備え、
前記第六壁部は、前記第一壁部と接続する部分のうち、前記第一突出部と接続する一部分に、前記第二壁部とは反対方向に突出する第二突出部を備えたことを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載のインクカートリッジ。
【請求項5】
前記第六壁部と前記第四壁部とが成す角は、前記第六壁部と前記第五壁部とが成す角よりも小さく、
前記補強部材は、前記第四壁部よりも前記第五壁部に近い位置に設けられていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載のインクカートリッジ。
【請求項6】
前記第五壁部は、前記周壁部のうち、前記口栓の前記軸線方向において最端側に位置することを特徴とする請求項5に記載のインクカートリッジ。
【請求項7】
前記第六壁部は、貫通孔または前記内側から外側方向へ凹んだ凹部を少なくとも一つ備え、
前記第二壁部は、前記貫通孔または前記凹部に係合する係合片を少なくとも一つ備え、
前記係合片は、
可撓性を有し、前記第二壁部の前記第六壁部に対向する端部から前記第一壁部に向けて延びるアーム部と、
前記アーム部の先端に設けられ、前記ケースの内側から外側方向へ突出して前記第六壁部の前記貫通孔または前記凹部に係合する爪部とを備えたことを特徴とする請求項1〜6の何れか一つに記載のインクカートリッジ。
【請求項8】
前記第一ケースは、少なくとも前記第一壁部に平行な一断面において、
前記第六壁部と前記第四壁部とが成す角は120度であり、
前記第六壁部と前記第五壁部とが成す角は150度であることを特徴とする請求項1〜7の何れか一つに記載のインクカートリッジ。
【請求項9】
前記第六壁部の前記第一壁部と接続する側と反対側の端部と前記第四壁部の前記第一壁部と接続する側と反対側の端部とが成す角は120度であり、
前記第六壁部と前記第一壁部と接続する側と反対側の端部と前記第五壁部の前記第一壁部と接続する側と反対側の端部とが成す角は150度であることを特徴とする請求項1〜7の何れか一つに記載のインクカートリッジ。
【請求項10】
前記インク袋は、前記第一ケースの内部に、前記口栓の先端部が前記第六壁部に対向するように配置され、
前記口栓は、前記第一ケースの内部で前記第一突出部に収納されて固定され、
前記第六壁部は、前記口栓の前記先端部に対向し、且つ少なくとも前記第二突出部の一部を含む領域に形成される開口部を備えたことを特徴とする請求項4に記載のインクカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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