説明

インクジェットインキ

【課題】印刷の際にわずかなブリード("インターカラーブリード")を示すインクジェットインキを提供する。
【解決手段】変性された顔料を含有するインクジェットインキにおいて、変性された顔料が、非置換又は置換1,2−ベンゼンジカルボン酸及び/又はその塩の結合有機基を有する顔料であることを特徴とするインクジェットインキ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットインキ並びにその使用に関する
【背景技術】
【0002】
US5,922,118及びUS5,554,739から、芳香族又は脂肪族基を有する変性された顔料は公知である。
【0003】
EP1061106から、官能基を有する着色剤を含有するインクジェットインキは公知であり、その際、エステル基
【化1】

がブリード及び耐水性を改善し、かつ、
【化2】

の基が水分散性を改善する。
【0004】
更に、EP1061107から、官能基を有する着色剤を含有するインクジェットインキは公知であり、その際、−R1−COOM及び−Ar−CONHR1COOMがブリード及び耐水性を改善し、かつ
【化3】

が水分散性を改善する。
【0005】
公知のインクジェットインキは、該インキを紙に印刷する際に強度にブリードするという欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】US5,922,118
【特許文献2】US5,554,739
【特許文献3】EP1061106
【特許文献4】EP1061107
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、印刷の際にわずかなブリード("インターカラーブリード")を示すインクジェットインキを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の対象は、変性された顔料を含有するインクジェットインキにおいて、変性された顔料が、非置換又は置換1,2−ベンゼンジカルボン酸及び/又はその塩の結合有機基を有する顔料であることを特徴とするインクジェットインキである。
【0009】
非置換又は置換1,2−ベンゼンジカルボン酸及び/又はその塩の結合有機基は、ベンゼン環のC原子を介して顔料に結合していてよい。
【0010】
非置換又は置換1,2−ベンゼンジカルボン酸基及び/又はその塩の結合有機基は、一般式1又は2
【化4】

[式中、
Rは、同じか又は異なっており、かつ、H、受容体基、供与体基、受容体基ないし供与体基を有するアルキル基又はアリール基、親水基及び/又は疎水基からなり、かつM+が、H+、Na+、K+、Li+、NH4+、トリメチルアンモニウム(CH33NH+及びテトラメチルアンモニウム(CH34+である]
の化合物であってよい。
【0011】
基RはCOO-+基ではない。
【0012】
受容体基は、−CO−R1、−CN、−SO21又は−SO2OR1であってよく、ここで、R1は、金属、H、アルキル、アリール、アンモニウム又は官能化アルキル又はアリールである。供与体基は、SR2、OR2又はN(R22であってよく、ここで、R2は、H、アルキル、アリール又は官能化アルキル又はアリールである
親水基は、SO3Me(Meは金属である)又は−(CH2−CH2−O)n−R2(nは1〜45である)であってよい。疎水基は、アルキル、アリール、フルオロアルキル、ペルフルオロアルキル、フルオロアリール又はペルフルオロアリールであってよい。
【0013】
有機基Rは、
置換又は非置換、分枝鎖又は直鎖であってよく、
脂肪族基であってよく、例えば、アルカン、アルケン、アルコール、エーテル、アルデヒド、ケトン、エステル、炭化水素、スルホン酸、アミン、トリアルキルアンモニウム塩、トリアルキルホスホニウム塩又はジアルキルスルホニウム塩からの基であってよく、
環式基であってよく、例えば、脂環式炭化水素、例えばシクロアルキル又はシクロアルケニル、複素環式化合物、例えばピロリジニル基、ピロリニル基、ピペリジニル基又はモルホリニル基、アリール基、例えばフェニル基、ナフチル基又はアントラセニル基、又はヘテロアリール基、例えば、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジニル基、チエニル基、トリアゾリル基、フリル基又はインドリル基であってよく、
複素環式基であってよく、該複素環式基は、窒素又は他のヘテロ原子を含有し、かつ、三員環、四員環、五員環、六員環又はそれを上回る環員を有する環を形成し、ここで、前記環は、再度、H、受容体置換基ないし供与体置換基を有するアルキル基又はアリール基か、又は、受容体置換基ないし供与体置換基を有する環系の部分及び/又は親水基ないし疎水基により置換されており、
他の官能基により置換されていてよく、
発色団又は着色剤であってよいか、又は、
好適な反応性化合物、例えばトリアリールアンモニウム塩、トリアリールホスホニウム塩、ジアリールスルホニウム塩及びアリールヨードニウム塩であってよい。
【0014】
変性された顔料は、以下の構造:
【化5】

を有することができ、その際、非置換又は置換1,2−ベンゼンジカルボン酸基及び/又はその塩の1以上の結合有機基が、顔料に結合していてよい。
【0015】
一般式1及び2の有機化合物の基は、この場合、潜在的な使用分野に適合されていてよく、それというのも、反応原理は例えば親水基及び親油基の導入により許容されるためである。前記基は、イオン性、高分子であってよく、又は他の反応に対して反応性であってよい。前記基を介して、顔料の種々の応用技術的に重要な特性を狙い通りに変化させることができる。例えば、炭素材料の親水性は、炭素材料が湿潤剤を使用せずに水性媒体中で安定な分散液を形成する限り、高められてよい。
【0016】
一般式1及び2の化合物は、例えば以下のものであってよい:
【化6】

【0017】
非置換又は置換1,2−ベンゼンジカルボン酸及び/又はその塩の顔料に結合した有機基を有する変性された顔料は、一般式3及び/又は4
【化7】

[式中、
R及びM+は上記の意味を有する]の化合物を、アルカリ金属亜硝酸塩、有利にNaNO2と酸性pH範囲内でジアゾ化し、かつこれを顔料と反応させることにより得ることができる。
【0018】
変性された顔料は、一般式3及び/又は4
【化8】

[式中、
R及びM+は上記の意味を有する]の化合物を、アルカリ金属亜硝酸塩、有利にNaNO2と酸性pH範囲内でジアゾ化し、かつこれを顔料と反応させることにより製造することができる。
【0019】
前記方法の場合、まず顔料と一般式3及び/又は4の化合物とを、例えば水性懸濁液として混合し、次いで、酸性pH範囲に調整し、その後アルカリ金属亜硝酸塩を添加することができる。
【0020】
前記方法の場合、まず、顔料と、酸性pH範囲に調整した一般式3及び/又は4の化合物とを混合し、その後、アルカリ金属亜硝酸塩を添加することができる。
【0021】
前記方法の場合、まず、酸性pH範囲に調整した一般式3及び/又は4の化合物とアルカリ金属亜硝酸塩とを混合し、その後、反応生成物を顔料と反応させることができる。
【0022】
一般式3及び4の化合物は、例えば以下のものであってよい:
【化9】

【0023】
【化10】

【0024】
顔料として、炭素材料又は有色顔料を使用することができる。
【0025】
有色顔料として、例えば、黄色−、橙色−、赤色、マゼンタ色−、紫色−、青色−、シアン色−、緑色−又は茶色顔料を使用することができる。有利に、有色顔料として、無機青色顔料、例えば鉄青、ウルトラマリンブルー、コバルトブルー又は混合相顔料、又は有機青色顔料、例えば、フタロシアニンブルー又はインダンスレンブルーを使用することができる。
【0026】
炭素材料として、カーボンブラック、グラファイト粉末、グラファイト繊維、炭素繊維、炭素フィブリル、炭素ナノ管(カーボンナノチューブ)、エーロゲル、カーボン織物、ガラス様炭素生成物、活性炭及びフラーレンを使用することができる。
【0027】
カーボンブラックとしては、DE19521565号から知られたファーネスブラック、ガスブラック、チャネルブラック、フレームブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、プラズマブラック(Plasmaruss)、インバージョンブラック(Inversionsruss)、WO98/45361号又はDE19613796号から知られたSi含有カーボンブラック、又はWO98/42778号から知られた金属含有カーボンブラック、アークカーボン及び化学的な製造方法の副生成物であるカーボンブラックを使用することができる。
【0028】
本発明による変性された顔料及び/又は顔料は、事前の反応によって活性化させることができる。該反応は、例えば酸化反応であってよい。酸化剤として、例えば、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、過酸化水素、オゾン、酸素(純粋又は空気として)、臭素酸カリウム及び/又は過ホウ酸ナトリウムを使用することができる。顔料は、酸化されたガスブラックであってよい。
【0029】
ゴム混合物中で補強性充填剤として使用される炭素材料を使用することができる。ピグメントブラックを使用することができる。更なる炭素材料は、導電性カーボンブラック、UV安定化用炭素材料、ゴム以外の系、例えばアスファルト又はプラスチックにおける充填剤としての炭素材料、又は冶金における還元剤としての炭素材料であってよい。
【0030】
変性された顔料の製造法は、水溶液又は水性懸濁液中で実施することができる。
【0031】
顔料を分散させることができる。顔料分散液は、顔料、水及び湿潤剤から成ることができる。
【0032】
湿潤剤として、アニオン性、カチオン性及び/又は非イオン性の湿潤剤を使用することができる。
【0033】
アニオン性湿潤剤として、Tamol, Vandispers CB(スルホン酸リグニン)を使用することができる。
【0034】
カチオン性湿潤剤として、Kao Chemicals GmbH社のAkypoquat 132(カチオン性脂肪エステル(CTFA:ラウロイル PG−トリモニウム クロリド))、Bayer AG社のBayowet FT 738 VP AC 2023(4級フルオロアルキルアンモニウムヨージド)、Ciba Geigy Chemicals社のDP2−7949(カチオン性ホモポリマーの水溶液)、Ciba Geigy Chemicals社のDP7−7961(カチオン性ポリマーの水溶液)、Ciba Geigy Chemicals社のDP7−7962(カチオン性ポリマーの水溶液)、Ciba Geigy Chemicals社のDP7−7963(カチオン性ポリマーの水溶液)、Lukas Meyer社のEpikuron 200(ホスファチジルコリン)、Witco社のEthoxamine SF 11(エチレンオキシド11モルを有するエトキシル化脂肪アミン)、Witco社のEthoxamine SF 15(エチレンオキシド15モルを有するエトキシル化脂肪アミン)、Lukas Meyer社のForbest 13(中性、酸性ポリエステル及び脂肪アルコールの配合物)、Lukas Meyer社のForbest 610(カルボン酸−ジアミン−調製物)、Ciba Speciality Chemicals社のMagnafloc 1797(カチオン性の横方向架橋した縮合樹脂の水溶液)、BASF社のProtectol KLC 50(水中のジメチル−C12/14−アルキルベンジルアンモニウムクロリド(約50%))、Witco Surfactants GmbH社のRewoquat CPEM(ココナッツペンタエトキシメチルアンモニウムメトスルフェート)、Witco Surfactants GmbH社のRewoquat RTM 50(リシノール酸プロピルアミドトリメチルアンモニウムメトスルフェート)、Witco Surfactants GmbH社のSochamine 35(アルキルイミダゾリン)を使用することができる。
【0035】
非イオン性湿潤剤として、架橋したポリオキシエチレンアクリル酸、脂肪アルコールオキシエチレート(Fettalkoholoxethylate)、ノニルフェノールポリグリコールエーテル、ポリビニルピロリドン、グリセロール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、高級脂肪酸アルコールエステル、多価アルコール脂肪酸エステルの群からの化合物を使用することができる。
【0036】
顔料を場合により1以上の湿潤剤と一緒に水中に分散させ、かつ場合により分散のためにビーズミル、超音波装置、翼型撹拌機、溶解機又はUltra−Turraxを使用することによって、顔料分散液を製造することができる。分散に続き、カーボンブラック分散液を遠心分離又は濾過することができる。
【0037】
1級アミンの水溶液又は懸濁液を酸性pH値に調整するために、無機酸、有利に塩酸を使用することができる。pH値は6未満、有利に3未満であってよい。
【0038】
顔料分散液と、1級アミンの酸性の水溶液とを、撹拌下に混合することができる。
【0039】
亜硝酸ナトリウムを水中に溶解することができる。亜硝酸ナトリウム溶液を、顔料分散液/アミン混合物に滴加することができる。亜硝酸ナトリウム溶液との反応を、−5℃〜30℃の温度で実施することができる。
【0040】
変性された顔料は、充填剤、補強性充填剤、UV安定剤、導電性カーボンブラック又は顔料として使用することができる。本発明による変性された顔料は、ゴム、プラスチック、印刷インキ、インキ、インクジェットインキ、静電トナー、ワニス及び着色剤、アスファルト、コンクリート及び他の建築材料又は紙において使用することができる。更に、本発明による変性された顔料は、冶金における還元剤として使用することができる。本発明による変性された顔料は、ゴム混合物の製造、例えばタイヤの製造に使用することができる。
【0041】
本発明によるインクジェットインキは、更に、1以上の添加剤、例えば殺生剤、湿潤剤、ケトン、グリコール、アルコール又は上記化合物の混合物を含有することができる。前記添加剤は、特定の使用に関して添加され、例えば、モノマー、オリゴマー又はポリマー化合物からなることができる。前記添加剤は、例えば分散度、貯蔵安定性、凍結安定性、乾燥特性、皮膜形成性、架橋性といった特性の改善及び/又は特定の担体材料、例えば紙、金属、ガラス、ポリマー、繊維、皮革、木材、コンクリート又はゴムに対する結合を生じさせることができる。
【0042】
殺生剤は、0.01〜1.0質量%の量で添加することができる。殺生剤として、イソチアゾリノン誘導体、ホルムアルデヒド放出剤(Formaldehydabspalter)又は両方の製品の組合せ製品を使用することができる。例えば、殺生剤として、Schuelke&Mayr社のParmetol、Bode Chemie社のEbotec、Thor Chemie社のActicide又はZeneca社のProxelを使用することができる。
【0043】
本発明のインクジェットインキは、着色剤を含有することができる。
【0044】
本発明によるインクジェットインキは、分散補助添加剤を含有することができる。分散補助添加剤は、インキに対して0.1〜30質量%、有利に0.3〜10質量%の量で使用することができる。分散補助添加剤の分子量は、1000〜20000g/モル、有利に14500〜17000g/モルであってよい。分散補助添加剤の酸価は、120〜320、有利に180〜280であってよい。分散補助添加剤として、スチレン−アクリル酸コポリマーを使用することができる。コポリマーは、ランダム、交互、ブロック−又はグラフトコポリマーであってよい。例えば、分散補助添加剤として、Johnson Polymer B.V.社のJoncryl 678、Joncryl 680、Joncryl 682又はJoncryl 690を使用することができる。分散補助添加剤として、完全にアンモニウム又はアルカリ水酸化物で中和された形態の、特にNaOHで中和された形態のスチレン−アクリル酸コポリマーを使用することができる。
【0045】
本発明によるインクジェットインキは、テキスタイル、シート及び紙の印刷に使用することができる。
【0046】
本発明のもう1つの対象は、インクジェットインキにおいてブリードを改善するための方法において、インキが変性された顔料を含有し、その際、変性された顔料が、非置換又は置換ベンゼンジカルボン酸及び/又はその塩の結合有機基を有する顔料であることを特徴とする方法である。ベンゼンジカルボン酸は、有利に1,2−ベンゼンジカルボン酸であってよい。
【0047】
非置換又は置換ベンゼンジカルボン酸及び/又はその塩の、顔料に結合した有機基を有する変性された顔料は、インクジェットインキにおけるブリードの改善に使用することができる。ベンゼンジカルボン酸は、有利に1,2−ベンゼンジカルボン酸であってよい。
【0048】
本発明によるインクジェットインキは、ブリードが従来技術に対して改善されているという利点を有する。
【実施例】
【0049】
顔料として、実施例において、カーボンブラック S 160を使用する。ガスブラック S 160は、Evonik Degussa GmbH社の市販製品である。
【0050】
実施例1:変性されたカーボンブラックの製造
本実施例により、相応する変性剤0.8ミリモル/gで変性されたカーボンブラックの製造について記載する。
【0051】
カーボンブラック S 160 70g及び氷冷した蒸留水800gを2リットルのガラスビーカーに装入し、翼型撹拌機を備えたHeidolph社の撹拌機ZR 2051型を用いて撹拌する。
【0052】
100mlのガラスビーカー中で、氷8g及び蒸留水12g中の亜硝酸ナトリウム4.2gを電磁撹拌機を用いて撹拌する。
【0053】
第1表に示す量の変性剤を、それぞれ40mlのガラスビーカー中で氷冷蒸留水45g中でスラリー化させ、冷却下に濃塩酸16.3gを混合する。これに、慎重に、亜硝酸ナトリウム溶液を添加する。
【0054】
前記溶液を、30分以内に、カーボンブラックスラリーに、中程度の撹拌下に滴加する。1時間撹拌し、反応混合物の温度を、IKA Combimag RET電磁撹拌機/加熱板を用いて30℃に上昇させ、前記温度で3時間撹拌する。
【0055】
反応混合物を青帯フィルタ(Blaubandfilter)を介して吸引濾過し、フィルターケーキを蒸留水5リットルで洗浄する。フィルターケーキを120℃で一晩乾燥させる。
【0056】
【表1】

【0057】
実施例2:変性されたカーボンブラックを用いた分散液の製造
本実施例により、実施例1で記載した変性されたカーボンブラック並びにDegussa社のカーボンブラック S 160を用いた分散液の製造(第2表)について記載する。
【0058】
カーボンブラック60g及び蒸留水340gをそれぞれ1リットル撹拌容器中に装入し、ヘラで撹拌する。2−(ジメチルアミノ)エタノールでpH値を8〜9に調整する。Ultra−Turraxを用いて、10000rpmで冷却下にスラリーを予備分散させる。この予備分散液を冷却下に、Hielscher社の超音波破砕機UIP 500を備えた超音波フローセルを用いて、3パスで、Ismatec社のMV−Z型の歯車ポンプを用いてポンプの設定27でポンプ搬送し、超音波発生の最大出力で分散させる。
【0059】
カーボンブラック S 160を使用した場合、直ちに増粘する。液体分散液7は製造不可能である。
【0060】
【表2】

【0061】
実施例3:インキの製造
変性されたカーボンブラックの5%の顔料含分を有するインキ(第3表)を、実施例2に記載した分散液の使用下に調製する。インキは更に、2−ピロリドン6質量%、1,5−ペンタンジオール3質量%、2−プロパノール1.5質量%、Liponic EG−07 1.5質量%、トリエチレングリコール−ジメチルエーテル3質量%を含有し、これを蒸留水で100質量%にする。
【0062】
pHを2−(ジメチルアミノ)−エタノールで8〜9に調整する。
【0063】
【表3】

【0064】
実施例4:インキ8の製造
インキ8を、Cabot社のCab−O−Jet 300分散液の使用下に調製する。Cab−O−Jetは、表面官能性カルボキシル化カーボンブラック15質量%からなる。インキは、カーボンブラック5質量%、2−ピロリドン6質量%、1,5−ペンタンジオール3質量%、2−プロパノール1.5質量%、Liponic EG−07 1.5質量%、トリエチレングリコール−ジメチルエーテル3質量%を含有し、これを蒸留水で100質量%にする。
【0065】
pH値を2−(ジメチルアミノ)−エタノールで8〜9に調整する。
【0066】
実施例5:インキの評価
評価のために、4つのサイズに分割した黒色の棒を、像2からの、左から開始して白色、シアン色、マゼンタ色及び黄色の、第一の4つの正方形の色ブロックにおいて、DIN規格33871−1:2003−10の"ブリード"及び"フェザリング"に関する図式ブロックを考慮する。
【0067】
a.変性されたカーボンブラックを含有するインキないしCanon オリジナルインキの視覚的評価
ブリードの挙動に関する等級結果を、1=ブリードなし、2=極めてわずかなブリード、3=わずかなブリード、4=ブリード、5=強度のブリード、6=極めて強度のブリードで確定する。
【0068】
オルト位のジカルボン酸が最もわずかなブリードを示す(第4表)。
【0069】
【表4】

【0070】
b.変性されたカーボンブラックを含有するインキないしCanon オリジナルインキのブリードの測定
測定を、製造者qea社の画像解析装置モデル"Personal IAS"を用いて行う。それぞれ、4つの幅に分割された黒色棒のうち三番目に幅が広いものを、像2からの、左から開始して白色、シアン色、マゼンタ色及び黄色の第一の4つの正方形の色ブロックにおいて、DIN規格33871−1:2003−10の"ブリード"及び"フェザリング"に関する図式ブロックを視覚的に把握し、平均幅をμmで測定する。シアン色、マゼンタ色及び黄色の測定正方形における黒色棒の測定値から、白色測定正方形における黒色棒の値を導出する。そこから得られる値が、ブリードに関する情報をもたらす。前記値が小さい程、ブリードは小さい。
【0071】
この場合、オルト−ジカルボン酸は最もわずかなブリードを示す(第5表、第6表)。
【0072】
【表5】

【0073】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
変性された顔料を含有するインクジェットインキにおいて、変性された顔料が、非置換又は置換1,2−ベンゼンジカルボン酸及び/又はその塩の結合有機基を有する顔料であることを特徴とするインクジェットインキ。
【請求項2】
非置換又は置換の1,2−ベンゼンジカルボン酸基及び/又はその塩が、式1又は2
【化1】

[式中、
Rは、同じか又は異なっており、かつ、H、受容体基、供与体基、受容体基ないし供与体基を有するアルキル基又はアリール基、親水基及び/又は疎水基からなり、かつM+が、H+、Na+、K+、Li+、NH4+、(CH33NH+及び(CH34+である]
の化合物である、請求項1記載のインクジェットインキ。
【請求項3】
テキスタイル、シート及び紙の印刷のための、請求項1記載のインクジェットインキの使用。
【請求項4】
インクジェットインキにおいてブリードを改善するための方法において、インキが変性された顔料を含有し、その際、変性された顔料が、非置換又は置換ベンゼンジカルボン酸及び/又はその塩の結合有機基を含有する顔料であることを特徴とする方法。
【請求項5】
インクジェットインキにおいてブリードを改善するための、非置換又は置換ベンゼンジカルボン酸及び/又はその塩の顔料に結合した有機基を含有する変性された顔料の使用。

【公開番号】特開2009−293030(P2009−293030A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−136114(P2009−136114)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】