インクジェット印刷ヘッド製造方法
【課題】印刷ヘッドを製造するための優れた方法を提供する。
【解決手段】印刷ヘッドの動作を制御するための印刷エンジン制御装置を有するインクジェットプリンタのための、印刷ヘッドを製造する方法。この方法は、基板上に形成されたインク吐出ノズルのアレイを有する、印刷ヘッドICを提供するステップと、印刷エンジン制御装置への電気接続のための回路を提供するステップと、プリンタ内の印刷ヘッドICおよび回路を支持するための、支持部材を提供するステップと、ポリマーフィルムを提供するステップと、熱および圧力を所定の時間加えることによって、ポリマーフィルムを支持部材の表面に固定するステップと、印刷ヘッドICおよび回路を、ポリマーフィルムによって支持部材に取り付けるステップと、回路を印刷ヘッドICへと電気的に接続するステップとを含む。
【解決手段】印刷ヘッドの動作を制御するための印刷エンジン制御装置を有するインクジェットプリンタのための、印刷ヘッドを製造する方法。この方法は、基板上に形成されたインク吐出ノズルのアレイを有する、印刷ヘッドICを提供するステップと、印刷エンジン制御装置への電気接続のための回路を提供するステップと、プリンタ内の印刷ヘッドICおよび回路を支持するための、支持部材を提供するステップと、ポリマーフィルムを提供するステップと、熱および圧力を所定の時間加えることによって、ポリマーフィルムを支持部材の表面に固定するステップと、印刷ヘッドICおよび回路を、ポリマーフィルムによって支持部材に取り付けるステップと、回路を印刷ヘッドICへと電気的に接続するステップとを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに関し、詳細にはインクジェットプリンタに関する。本発明の特定の態様は、プリンタ用のカートリッジ、印刷ヘッドの設計および保守、ならびにプリンタ動作のその他の様相に関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本発明に関する様々な方法、システム、および装置は、本発明の出願人または譲受人によって出願された、以下の米国特許/特許出願において開示されている。
【表1】
【表2】
【表3】
いくつかの出願をそれらの整理番号によって列挙した。それらは、出願番号が知られるときに置き換えられる。これらの出願および特許の開示を、参照により本明細書に組み込む。
【背景技術】
【0003】
従来、ほとんどの市販のインクジェットプリンタは、プリンタの全体構造および設計の一部を形成する印刷エンジンを有する。この点に関して、プリンタユニットの本体は通常、印刷ヘッドおよび関連する送達機構を受け入れるように構築され、これらの特徴は、プリンタユニットに一体化される。
【0004】
これは特に、媒体がプリンタユニットを通って進められるとき、少ない反復回数で媒体を横方向に前後しながら横断する印刷ヘッドを使用する、インクジェットプリンタの場合に当てはまる。そのような場合、往復運動印刷ヘッドは通常、媒体入力ローラと媒体出力ローラの間でプリンタの幅を横断することができるように、プリンタユニットの本体に取り付けられ、媒体入力および出力ローラは、プリンタユニットの構造の一部を形成する。そのようなプリンタユニットでは、印刷ヘッドを交換のために取外し可能とすることができるが、媒体移送ローラ、制御回路、および保守ステーションなど印刷エンジンのその他の部品は、通常プリンタユニット内に固定されており、これらの部品の交換は、プリンタユニット全体を交換しなければ不可能である。
【0005】
その設計構造内にしっかりと固定されていることに加えて、往復運動型の印刷ヘッドを使用するプリンタユニットは、特にフルカラーおよび/または写真品位の印刷ジョブを実行する場合に、かなり遅い。これは、印刷ヘッドが、媒体の表面上にインクを付着させるために静止媒体上を連続的に横断しなければならず、それは、画像のラインを付着させるために印刷ヘッドの多数のスワスを必要とすることがあるためである。
【0006】
最近、媒体が印刷ヘッドを通過するときに印刷ヘッドを静止したままとすることができるように、印刷媒体の幅全体に延びる印刷ヘッドを提供することが可能になってきた。そのようなシステムでは、画像のラインを付着させるために印刷ヘッドが多数のスワスを実行する必要がなくなり、むしろ印刷ヘッドは、媒体が高速で通過するときにその上にインクを付着させることができるので、印刷を行うことができる速度が大幅に上昇する。そのような印刷ヘッドでは、フルカラー1600dpiの印刷を、以前に従来のインクジェットプリンタを用いて達成不可能な速度であった、毎分60ページ近くの速度で行うことが可能になってきた。
【0007】
現代のインクジェットプリンタにおけるインク吐出ノズルは、通常、印刷ヘッド集積回路(IC)の形のMST(マイクロシステム技術)装置である。それらは、リソグラフィ、エッチング、および堆積技術を用いて、シリコンウェハ上に加工される。印刷ヘッドICは、密接に詰められたノズルを有し、これは良好な画像解像度を提供するが、いくつか製造上の困難をもたらす。1つの問題は、印刷ヘッドICに、印刷エンジン制御装置からの電力および印刷データを提供することである。このために、一般にフレキシブル印刷回路基板(フレキシブルPCB)が使用される。フレキシブルPCBは、ポリマーフィルム内に導電性材料のトラックを有する。トラックは、それらが印刷ヘッドIC上のボンドパッドのラインと位置合せされるように間隔をおいて配置される。次いでトラックは、ボンドパッドに直接接続される。これには、フレキシブルPCBが非常に正確であること、およびフレキシブルPCBとボンドパッドを整列させるときの精度が高度であることが必要である。したがってこれは、印刷ヘッド製造プロセス全体うちの時間がかかる段階となる可能性がある。
【0008】
この状況は、上記で議論したページ幅印刷ヘッドの製造においてより悪化する。プリント幅印刷ヘッドを構成する印刷ヘッドICは、一般に、走査型印刷ヘッドにおいて使用される印刷ヘッドICよりも長い。したがって、各IC上のボンドパッドのラインがより長いので、トラック間隔は、ボンドパッド間隔とより厳密に一致しなければならない。トラック間隔のわずかな不正確さは、ボンドパッドの幅によって受け入れることができることが理解されるであろう。ただし、間隔の不正確さは、フレキシブルPCB全体にわたり連続する各トラックと組み合わさるので、ボンドパッドの長いラインの端部までに、わずかな不正確さがもはやパッド幅によって受け入れられなくなる。
【0009】
したがって、時間的な効率がより良く商業的により実用的な、フレキシブルPCBのトラックを、対応する印刷ヘッドICのボンドパッドと接続するための方法が必要とされている。
【発明の開示】
【0010】
したがって、本発明の一態様は、印刷ヘッドの動作を制御するための印刷エンジン制御装置を有するインクジェットプリンタのための、印刷ヘッドの製造方法を提供し、この方法は、基板上に形成されたインク吐出ノズルのアレイを有する、印刷ヘッドICを提供するステップと、印刷エンジン制御装置への電気接続のための回路を提供するステップと、プリンタ内の、印刷ヘッドICおよび回路を支持するための、支持部材を提供するステップと、ポリマーフィルムを提供するステップと、熱および圧力を所定の時間加えることによって、ポリマーフィルムを支持部材の表面に固定するステップと、印刷ヘッドICおよび回路を、ポリマーフィルムによって支持部材に取り付けるステップと、回路を印刷ヘッドICへと電気的に接続するステップとを含む。
【0011】
トラックとボンドパッドの高度に精密な位置合せは決定的に重要ではないので、ポリマーフィルムを用いて印刷ヘッドICおよびフレキシブルPCBの両方を支持フィルムに取り付けることは、比較的単純かつ単純なステップである。トラックは続いて、自動化されたプロセスでボンドパッドへと接続することができる。トラックの端部を光学的に配置し、それを印刷ヘッドIC上の対応するボンドパッドへと配線する機器が使用可能である。トラックとボンドパッドの位置合せが少々不正確であっても、印刷ヘッドIC、特にページ幅印刷ヘッド内で使用される長いICへの、フレキシブルPCBの接続は、妨げられない。その結果、プロセス全体は、時間効率がより高まり、商業的に実用的となる。
【0012】
第1の好ましい形態では、回路が、ポリイミドフィルムの層内に導電性材料のトラックを有するフレキシブルPCBであり、印刷ヘッドICおよびフレキシブルPCBが、ポリマーフィルムによって支持部材へと同時に取り付けられる。第2の好ましい形態では、回路が、ポリイミドフィルムの層内に導電性材料のトラックを有するフレキシブルPCBであり、フレキシブルPCBは、印刷ヘッドICが取り付けられた後にポリマーフィルムに取り付けられる。任意で、フレキシブルPCBは、印刷ヘッドIC取付けプロセス後にポリマーフィルムが冷却され硬化された後に、ポリマーフィルムへの取付けのための接着領域を有する。第3の好ましい形態では、回路は、ポリマーフィルム内に置かれる導電性材料のトラックである。この形態では、ポリマーフィルムが、有効にフレキシブルPCBとなることが理解されるであろう。
【0013】
好ましい形態では、印刷ヘッドICは、一連のボンドパッドを有し、回路は、一連の導電性トラックであり、回路を印刷ヘッドICへと電気的に接続するステップは、保護封入材料のライン内の微細な配線を被覆する前に、ボンドパッドと対応する導電性トラックとの間に微細な配線をつなぐことを伴う。
【0014】
いくつかの好ましい実施形態では、支持部材は、少なくとも1つのインク保管構成要素との流体連通を確立するための、複数のインク供給導管を有し、インク供給導管と印刷ヘッド集積回路との間で、ポリマーフィルムが支持部材に取り付けられ、ポリマーフィルムは、吐出ノズルがインク供給導管と流体連通するように、開口のアレイを有する。
【0015】
特に好ましい形態では、ポリマーフィルムは、厚さが25μmより大きく、特定の実施形態では、ポリマーフィルムは、厚さが約50μmである。
【0016】
印刷ヘッド集積回路(IC)上の個々のノズルにインクを供給するために、シリコンウェハ基板の裏面内にチャネルをエッチングすることが便利であることが多い。これらのチャネルは、封止する必要があり、適当な封止ならびにICを支持構造に固定するための手段を、ポリマーフィルムが提供することができる。ただし、支持構造の表面が平坦でない場合、ポリマーフィルムによってもたらされる封止が弱まる可能性がある。ICが固定される表面は、IC内のチャネルにインクを送達するより多くのインク供給チャネルがあるため、通常平坦でない。フィルムは、支持体内の開いたチャネルを横断して封止するとき、その中へと膨張しまたはたるむ可能性がある。支持構造のチャネル内へとたるむフィルムの断面は、印刷ヘッドIC内のいくつかのエッチングされたチャネルを横断して延びる。たるみは、エッチングされた各チャネルを分割する壁部間に間隙を生じることがある。明らかに、これによって封止が破られ、かつ、インクが印刷ヘッドICの外へと、および/またはエッチングされたチャネル間で漏れることになる。これを防護するために、ポリマー封止フィルムは、IC内のエッチングされたチャネルを覆う封止を維持しながら、支持構造チャネル内へのたるみを考慮するのに十分な厚さとなるべきである。
【0017】
ポリマー封止フィルムの最小厚さは、好ましい実施形態に関して詳細に議論される多数の因子に依存する。ただし、本出願人の分析および試験は、25μmのポリマー封止フィルム厚さが、リソグラフィによってマスクされるエッチングおよび堆積技術を用いて形成される印刷ヘッドICに適当であることを示している。厚さを50、100、さらには200μmへと増大させると、それに対応して、提供される封止の確実性が高まる。
【0018】
いくつかの実施形態では、開口のアレイは、インク供給導管のそれぞれの端部と位置合せされるレーザ穿孔された穴のアレイである。任意で、ポリマー封止フィルムは、熱可塑性フィルムの両面上に接着層を有する積層である。任意で、熱可塑性フィルムは、PETまたはポリスルホンである。任意で、ポリマー封止フィルムは、厚さが150μmより大きい。任意で、インク供給導管は、液晶ポリマー微小成形物である。
【0019】
好ましくは、回路は、ポリイミドフィルムの層内の導電性材料のトラックを有するフレキシブルPCBであり、印刷ヘッドICおよびフレキシブルPCBは、ポリマーフィルムによって支持部材へと同時に取り付けられる。
【0020】
好ましくは、回路は、ポリイミドフィルムの層内に導電性材料のトラックを有するフレキシブルPCBであり、フレキシブルPCBは、印刷ヘッドICが取り付けられた後にポリマーフィルムに取り付けられる。
【0021】
好ましくは、フレキシブルPCBは、印刷ヘッドIC取付けプロセス後にポリマーフィルムが冷却され硬化された後に、ポリマーフィルムへの取付けのための接着領域を有する。
【0022】
好ましくは、回路は、ポリマーフィルム内に置かれる導電性材料のトラックである。
【0023】
好ましくは、支持部材は、少なくとも1つのインク保管構成要素との流体連通を確立するための、複数のインク供給導管を有し、
インク供給導管と印刷ヘッド集積回路との間の支持部材に、ポリマーフィルムが取り付けられ、ポリマーフィルムは、吐出ノズルがインク供給導管と流体連通するように、開口のアレイを有する。
【0024】
好ましくは、ポリマーフィルムは、厚さが25μmより大きい。
【0025】
好ましくは、ポリマーフィルムは、厚さが約50μmである。
【0026】
好ましくは、開口のアレイは、インク供給導管のそれぞれの端部と位置合せされる、レーザ穿孔された穴のアレイである。
【0027】
好ましくは、ポリマー封止フィルムは、熱可塑性フィルムの両面上に接着層を有する積層である。
【0028】
好ましくは、熱可塑性フィルムは、PETまたはポリスルホンである。
【0029】
好ましくは、インク供給導管は、液晶ポリマー微小成形物内に形成される。
【0030】
本発明の第2の態様では、接着フィルムを用いてMSTデバイスを支持部材に取り付ける方法が提供され、MSTデバイスは、付着面、および付着面内の第1の開口に連結された第1の流体導管を有し、支持部材は、取付け面、および取付け面内の第2の開口に連結された第2の流体導管を有し、ポリマーフィルムは、第1の開口と第2の開口の間を流体連通させるための開口部を有し、この方法は、ポリマーフィルム内に開口部を形成するステップと、開口部を第2の開口の少なくとも一部と位置合せするステップと、ポリマーフィルムを取付け面に取り付けるために、熱および圧力を加えるステップと、開口部が第1の開口の少なくとも一部と位置合せされるようにMSTデバイスを位置決めするステップとを含む。
【0031】
ポリマーフィルムが支持部材に取り付けられる前に、その中に何らかの穴または開口部を形成することは、フィルムが取付け面上に取り付けられた後に何らかの開口部を形成するよりも、はるかに時間がかからない。さらに、開口部は通常レーザ穿孔によって形成されるので、下にある支持部材の一部も同様にアブレーションされる危険性が、かなり高い。このアブレーションされた材料は、開口部または流体導管内に留まり、流体の流れを狭窄しまたは詰まらせる可能性がある。
【0032】
好ましくは、ポリマーフィルムは、2つの熱硬化性接着材外部層の間に中央ウェブを有する、積層フィルムである。
【0033】
好ましくは、MSTデバイスは、複数の第1の流体導管に連結される、付着面内の入口開口のアレイを有し、付着面は、複数の第2の流体導管に連結される、出口開口のアレイを有し、積層されたフィルムは、入口および出口アレイ内の対応する開口間に流体電通を確立するための、開口部のアレイを有する。
【0034】
好ましくは、積層フィルム内の開口部は、レーザ穿孔される。
【0035】
好ましくは、積層フィルムは、開口部に直接隣接する熱硬化接着層を硬化させないように、UVレーザを用いて穿孔される。
【0036】
好ましくは、中央ウェブは、ポリイミドフィルムである。
【0037】
好ましくは、ポリイミドフィルムは、厚さが25μmより大きい。
【0038】
好ましくは、ポリイミドフィルムは、厚さが約50μmである。
【0039】
好ましくは、各熱硬化接着層は、厚さが12μmより大きい。
【0040】
好ましくは、各熱硬化接着層は、厚さが約25μmである。
【0041】
好ましくは、入口開口のアレイは、付着面内の一連の開いたチャネルである。
【0042】
好ましくは、チャネルは、幅が50μmより大きく、隣接するチャネルから50μmより大きく離隔される。
【0043】
好ましくは、付着面は、付着面およびポリイミド層の間から配置される熱硬化接着材を保持するために、チャネルに隣接する凹部を有する。
【0044】
好ましくは、積層フィルムは、2つの保護ライナの間に挟まれ、積層フィルムの支持部材面上のライナは、開口部のレーザ穿孔後であるが支持構造の取付け前に除去され、MSTデバイス面上の保護ライナは、MSTデバイスの取付け前に除去される。
【0045】
好ましくは、保護ライナはPETである。
【0046】
好ましくは、熱硬化接着層は、積層フィルムが最初に支持部材およびMSTデバイスに取り付けられるときに、まず粘着性となり、続いてそれらの硬化温度へと加熱される。
【0047】
好ましくは、MSTデバイス側の熱硬化性接着材を、MSTデバイスが取り付けられる後まで硬化させずに、積層フィルムがMSTデバイスの取付け前に支持部材に対して硬化されるように、熱硬化性接着材は、異なる硬化温度を有する。
【0048】
好ましくは、開口部は、支持部材の取付け表面に積層フィルムが取り付けられる前に形成される。
【0049】
好ましくは、MSTデバイスは、印刷ヘッドICであり、支持構造は、液晶ポリマー(LCP)成形物である。
【0050】
好ましくは、積層フィルムは、各MSTデバイスのための開口部のアレイ内の1つの開口上または開口中の点を計算する、視覚システムを用いて、支持構造上の基準マーカと位置合せされる。
【0051】
本発明では、第3の態様において、MSTデバイスを支持構造に取り付けるための積層フィルムが、それらの間の流体連通を封止するために設けられ、積層フィルムは、2つの熱硬化接着層間のポリマーキャリヤウェブと、MSTデバイス内の第1の流体導管と支持部材内の第2の流体導管の間に流体連通を確立するために、フィルム内に形成された開口とを備える。
【0052】
各面に熱硬化性接着材を有する積層フィルムを使用すると、加熱された熱可塑性フィルムよりもはるかに確実性の高い封止がもたらされる。熱可塑性フィルムとMSTデバイスの表面との間の結合は、熱疲労を受けやすく、かつ漏れまたは完全な損傷を生じやすい。中心キャリヤウェブおよび熱硬化性接着材を有する積層は、UVレーザによって穿孔し、後に、接着材が硬化しMSTデバイス表面との間に強い結合が生み出されるように、知られている硬化温度まで加熱することができる。
【0053】
好ましくは、MSTデバイスは、複数の第1の流体導管に連結される、付着面内の入口開口のアレイを備え、付着面は、複数の第2の流体導管に連結される出口開口のアレイを有し、積層フィルムは、入口および出口アレイ内の対応する開口間に流体連通を確立するために、開口部のアレイを有する。
【0054】
好ましくは、開口はレーザ穿孔される。
【0055】
好ましくは、熱硬化性接着材は、摂氏150°の最高硬化温度を有する。
【0056】
好ましくは、レーザは、開口部に直接隣接する熱硬化性接着層を硬化させないように、UVレーザである。
【0057】
好ましくは、中央ウェブは、ポリイミドフィルムである。
【0058】
好ましくは、ポリイミドフィルムは、厚さが25μmより大きい。
【0059】
好ましくは、ポリイミドフィルムは、厚さが約50μmである。
【0060】
好ましくは、各熱硬化接着層は、厚さが12μmより大きい。
【0061】
好ましくは、各熱硬化接着層は、厚さが約25μmである。
【0062】
好ましくは、入口開口のアレイは、付着面内の一連の開いたチャネルである。
【0063】
好ましくは、チャネルは、幅が50μmより大きく、隣接するチャネルから50μmを超えて離隔される。
【0064】
好ましくは、付着面は、付着面とポリイミド層の間から移動する熱硬化性接着材を保持するために、チャネルに隣接する凹部を有する。
【0065】
さらなる態様では、積層フィルムが提供され、積層フィルムは、各外面上の2つの保護ライナをさらに備え、ポリマーフィルムの支持部材面上のライナは、開口部をレーザ穿孔する後であるが支持構造の取付け前に除去され、MSTデバイス面上の保護ライナは、MSTデバイスを取り付ける前に除去される。
【0066】
好ましくは、保護ライナはPETである。
【0067】
好ましくは、熱硬化性接着層は、後に硬化温度へと加熱する前に、まず支持部材およびMSTデバイスに取り付けるために、硬化温度未満の温度に加熱することができる。
【0068】
好ましくは、熱硬化性接着層は、MSTデバイスが取り付けられる後までMSTデバイス側の熱硬化性接着材を硬化させずに、MSTデバイスが取り付けられる前にポリマーフィルムが支持部材に対して硬化されるように、異なる硬化温度を有することができる。
【0069】
好ましくは、熱硬化接着層は、100センチポアズから10000000センチポアズの間の粘度を有する。
【0070】
好ましくは、MSTデバイスは、印刷ヘッドICであり、支持構造は、液体結晶ポリマー(LCP)成形物である。
【0071】
好ましくは、支持構造は、取付け面上に少なくとも1つの基準マーカを有し、開口部のアレイのうちの所定の開口部を少なくとも1つの基準マーカに対して追跡する視覚システムを用いて、開口部のアレイが、出口開口のアレイと位置合せされる。
【0072】
本発明の第4の態様は、MSTデバイスの付着面を、支持部材上の取付け面に対して封止する方法を提供する。付着面は、第1の流体導管に連結された開口と、第2の導管に連結された第2の開口を有し、方法は、熱硬化性接着材を取付け面上に適用するステップと、第1の開口を第2の開口の少なくとも一部と位置合せするステップと、MSTデバイスと取付け面を互いに押し付けるステップと、熱硬化性接着材を硬化させるステップとを含み、熱硬化性接着材は、100センチポアズから10000000センチポアズの間の粘度を有する。
【0073】
熱可塑性接着材の代わりに熱硬化性接着材を使用することによって、はるかに確実な封止がもたらされる。熱可塑性接着材とMSTデバイス表面との間の結合は、熱疲労、および漏れまたは完全な損傷に弱い。熱硬化性接着材は、MSTデバイスを予備的に位置決めするために、粘着性になるまで加熱し、後に、接着材が硬化しMSTデバイスに対する強い化学的結合が形成されるように、知られている硬化温度まで加熱することができる。
【0074】
ただし、接着材の粘度は、MSTデバイスをその中に適切に埋め込むことが可能となるように十分低く、しかし流れが遮断されるか過剰に制限される程度まで接着材が導管内に押し出されないように、十分高くなくてはならない。
【0075】
好ましくは、熱硬化性接着材は、熱硬化性接着材の層を両面上に有し第1の開口と第2の開口との間を流体連通させるための開口部を有する、中央ウェブを備える積層フィルムとして、取付け面上に適用される。
【0076】
好ましくは、MSTデバイスは、複数の第1の流体導管に連結された、付着面内の入口開口のアレイを備え、付着面は、複数の第2の流体導管に連結された、出口開口のアレイを有し、積層フィルムは、入口および出口アレイ内の対応する開口間に流体連通を確立するための開口部のアレイを有する。
【0077】
好ましくは、積層フィルム内の開口部は、レーザ穿孔される。
【0078】
好ましくは、積層フィルムは、開口部に直接隣接する熱硬化接着層を硬化させないように、UV穿孔される。
【0079】
好ましくは、中央ウェブは、ポリイミドフィルムである。
【0080】
好ましくは、ポリイミドフィルムは、厚さが25μmより大きい。
【0081】
好ましくは、ポリイミドフィルムは、厚さが約50μmである。
【0082】
好ましくは、各熱硬化接着層は、厚さが12μmより大きい。
【0083】
好ましくは、各熱硬化接着層は、厚さが約25μmである。
【0084】
好ましくは、入口開口のアレイは、付着面内の一連の開いたチャネルである。
【0085】
好ましくは、チャネルは、幅が50μmより大きく、隣接するチャネルから50μmより大きく離隔される。
【0086】
好ましくは、取付け面は、取付け面とポリイミド層との間から移動する熱硬化性接着材を保持するために、チャネルに隣接する凹部を有する。
【0087】
好ましくは、積層フィルムは、保護ライナ間に挟まれ、積層フィルムの支持部材面上のライナは、開口部をレーザ穿孔した後であるが支持構造の取付け前に除去され、MSTデバイス面上の保護ライナは、MSTデバイスの取付け前に除去される。
【0088】
好ましくは、保護ライナはPETである。
【0089】
好ましくは、熱硬化接着層は、積層フィルムが支持部材およびMSTデバイスに最初に取り付けられるときに、まず粘着性にさせ、続いてそれらの硬化温度まで加熱することができる。
【0090】
好ましくは、MSTデバイスが取り付けられる後までMSTデバイス側の熱硬化性接着材を硬化させずに、MSTデバイスが取り付けられる前に積層フィルムが支持部材に対して硬化されるように、熱硬化性接着材は、異なる硬化温度を有する。
【0091】
好ましくは、開口部は、積層フィルムが支持部材の取付け面上に取り付けられる前に形成される。
【0092】
好ましくは、MSTデバイスは、印刷ヘッドICであり、支持構造は、液晶ポリマー(LCF)成形物である。
【0093】
好ましくは、支持構造は、取付け面上に少なくとも1つの基準マーカを有し、開口部のアレイは、少なくとも1つの基準マーカに対して開口部のアレイ内の所定の開口部を追跡する視覚システムを用いて、出口開口部のアレイと位置合せされる。
【0094】
本発明の第5の態様は、接着フィルムによってMSTデバイスを支持部材に取り付ける方法を提供する。MSTデバイスはそれぞれ、第1の開口を有する付着面を有し、支持部材は、第1の開口にそれぞれ対応する第2の開口を有する取付け面と、各MSTデバイスのための基準マーカとを有し、接着フィルムは複数の開口部を有し、方法は、開口部が、取付け面内の第2の開口の少なくとも一部と位置合せされるように、基準マーカおよび対応する開口部を用いて接着フィルムを位置決めするステップと、接着フィルムを取付け表面に適用するステップと、各MSTデバイスをそれぞれの開口部に対して位置決めするステップと、開口部によってそれぞれの第1および第2の開口が確立されるように、熱および圧力を用いて、MSTデバイスを取り付けるステップとを含む。
【0095】
位置合せのために、フィルムおよび支持部材両方の上に基準マーカを配置する代わりに、視覚システムは、それら自体の流体開口部を用いる。これははるかに直接的かつ正確である。というのも、フィルム上の通常非常に小さい穴である基準マーカは、フィルムを取り付ける前に加熱されると全体的に歪み塞がれやすいからである。開口部は、それらの形状全体に対する歪みがより少ない、はるかに大きい特徴である。開口部は、大きい特徴であるので、視覚システムは、変形によりある程度のばらつきを有することになる形状のために、中心など開口部上または開口部内の点を計算するための何らかの簡便な技術を用いて、この点を決定する必要がある。
【0096】
好ましくは、接着フィルムは、両面上に熱硬化性接着材の層を有する中央ウェブと、第1の開口および第2の開口の間を流体連通させるための開口とを備える、積層フィルムである。
【0097】
好ましくは、MSTデバイスは、複数の第1の流体導管に連結された、付着面内の入口開口のアレイを備え、付着面は、複数の第2の流体導管に連結された、出口開口のアレイを有し、積層フィルムは、入口および出口アレイ内の対応する開口間に流体連通を確立するための、開口部のアレイを有する。
【0098】
好ましくは、積層フィルム内の開口は、レーザ穿孔される。
【0099】
好ましくは、積層フィルムは、開口部に直接隣接する熱硬化性接着層を硬化させないように、UVレーザを用いて穿孔される。
【0100】
好ましくは、中央ウェブは、ポリイミドフィルムである。
【0101】
好ましくは、ポリイミドフィルムは、厚さが25μmより大きい。
【0102】
好ましくは、ポリイミドフィルムは、厚さが約50μmである。
【0103】
好ましくは、厚さが12μmより大きい。
【0104】
好ましくは、各熱硬化性接着層は、厚さが約25μmである。
【0105】
好ましくは、入口開口のアレイは、付着面内の一連の開いたチャネルである。
【0106】
好ましくは、チャネルは、幅が50μmより大きく、隣接するチャネルから50μmより大きく離隔される。
【0107】
好ましくは、付着面は、付着面とポリイミド層の間から移動する熱硬化性接着材を保持するために、チャネルに隣接する凹部を有する。
【0108】
好ましくは、積層フィルムは、2つの保護ライナの間に挟まれ、積層フィルムの支持部材側のライナはレーザ穿孔後であるが、支持構造の取付け前に除去され、MSTデバイス上の保護ライナは、MSTデバイスを取り付ける前に除去される。
【0109】
好ましくは、保護ライナはPETである。
【0110】
好ましくは、熱硬化性接着層は、積層フィルムが最初に支持部材およびMSTデバイスに取り付けられるときに粘着性にされ、続いてそれらの硬化温度へと加熱される。
【0111】
好ましくは、熱硬化接着層は、MSTデバイスが取り付けられる後までMSTデバイス側の熱硬化性接着材を硬化させずに、MSTデバイスが取り付けられる前に積層フィルムが支持部材に対して硬化されるように、異なる硬化温度を有する。
【0112】
好ましくは、開口部は、積層フィルムが支持部材の取付け面に取り付けられる前に形成される。
【0113】
好ましくは、MSTデバイスは、印刷ヘッドICであり、支持構造は、液晶ポリマー(LCP)成形物である。
【0114】
好ましくは、積層フィルムは、開口部のアレイ内の1つの開口上または開口内の点を各MSTデバイスのために計算する視覚システムを用いて、支持構造上の基準マーカと位置合せされる。
【0115】
本発明は、第6の態様にて、接着面に取り付けるためのMSTデバイスを提供し、MSTデバイスは、接着面と当接するための付着面と、付着面内の第1の開口と連結される第1の流体導管と、MSTデバイスが取り付けられるときに、移動する接着材が第1の導管内の流体の流れを遮断しないように、付着面と接着面の間から移動する接着材を保持するための、第1の開口に隣接する面内の凹部とを備える。
【0116】
第1の開口の隣に凹部が存在するように付着面にプロファイル付けすることによって、接着材が導管内に絞り出され、流体の流れを損なう危険性が低減する。
【0117】
好ましくは、MSTデバイスは、複数の第1の流体導管と連結するための、付着面内の入口開口のアレイを有し、付着面は、複数の第2の流体導管に連結される出口開口のアレイを有し、付着面はさらに、入口開口のアレイの間に介在する凹部のアレイを備える。
【0118】
好ましくは、入口開口のアレイは、付着面内の一連の開いたチャネルである。
【0119】
好ましくは、凹部のアレイは、付着面内のピットの配列である。
【0120】
好ましくは、チャネルは、幅が50μmより大きく、それぞれ、付着面から50μmより大きく離隔される。
【0121】
好ましくは、チャネルは、幅が約80μmであり、付着面から約80μm離隔される。
【0122】
好ましくは、ピットは幅が5μmより大きく、深さが5μmより大きい。
【0123】
好ましくは、接着材は、所定の温度にて硬化する、熱硬化性接着材である。
【0124】
好ましくは、熱硬化性接着材は、150℃の最高硬化温度を有する。
【0125】
好ましくは、熱硬化性接着材は、厚さが12μmより大きい。
【0126】
好ましくは、MSTデバイスは、印刷ヘッドICであり、支持構造は、液晶ポリマー(LCP)成形物である。
【0127】
好ましくは、熱硬化性接着材は、100センチポアズから10000000センチポアズの間の粘度を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0128】
次に本発明を、添付の図に示す好ましい実施形態を参照しながら、例示としてのみ説明する。
【0129】
図1は、本発明を実施するプリンタユニット2を示す。媒体供給トレイ3は、印刷エンジン(プリンタケーシング内に隠されている)によって印刷される媒体8を、支持および供給する。媒体8の印刷されたシートは、収集のために印刷エンジンから媒体出力トレイ4へと給送される。使用者インターフェース5は、LCDタッチスクリーンであり、プリンタユニット2の動作を使用者が制御することを可能にする。
【0130】
図2は、内部空洞6内に配置された印刷エンジン1を露出するように開いた、プリンタユニット2の蓋7を示す。ピッカ機構9は、入力トレイ3内の媒体(わかりやすくするために図示しない)に係合し、個々のシートを印刷エンジン1へと給送する。印刷エンジン1は、媒体移送手段を備え、媒体移送手段は、印刷およびそれに続く媒体出力トレイ4(収縮させて示す)への送達のために、個々のシートを取り出し、印刷ヘッドアセンブリ(以下で説明する)を通過してそれらを給送する。
【0131】
図3は、コンピュータシステム702など外部供給源から受け取ったドキュメントを、1枚の紙など印刷媒体上に印刷するために、プリンタユニット2がどのように構成されるかを概略的に示す。この点に関して、プリンタユニット2は、前処理されたデータを受け取るために、コンピュータシステム702との電気接続を備える。図示の特定の状況で、外部コンピュータシステム702は、ドキュメントを受け取ること(ステップ703)、それをバッファリングすること(ステップ704)、それをラスタ化すること(ステップ706)およびそれをプリンタユニット2へと送信するためにそれを圧縮すること(ステップ708)を含む、ドキュメントの印刷に伴う様々なステップを実行するようにプログラムされる。
【0132】
本発明の一実施形態によれば、プリンタユニット2は、外部コンピュータシステム702から、ドキュメントを圧縮された多層ページ画像の形で受け取り、制御電子部品766が、画像をバッファリングし(ステップ710)、次いで画像をさらなる処理のために伸長する(ステップ712)。伸長された連続階調レイヤは、ディザリングされ(ステップ714)、次いで伸長ステップからのブラックレイヤが、ディザリングされた連続階調レイヤ上に合成される(ステップ716)。符号化されたデータはまた、(必要に応じて)人間の目には実質的に不可視である赤外線インクを用いて印刷される、追加のレイヤを形成するためにレンダリングすることができる(ステップ718)。ブラックレイヤ、ディザリングされた連続階調レイヤ、および赤外線レイヤは、結合されて(ステップ720)、印刷のために印刷ヘッドへと供給されるページを形成する(ステップ722)。
【0133】
この特定の構成では、印刷されるドキュメントに関連するデータが、テキストおよび線画用の高解像度の2値(bi−level)マスクレイヤと、画像または背景色用の中解像度の連続階調色画像とに分割される。任意で、画像または均一な色からとった色データを用いてテキストおよび線画をテクスチャリングするための、中から高解像度の連続階調テクスチャレイヤを加えることによって、カラーテキストをサポートすることができる。印刷アークテクチャは、これらの連続階調レイヤを、画像データまたは均一な色データを参照することができる抽象的な「画像」および「テクスチャ」レイヤで表現することによって、一般化する。この、コンテンツに基づいてデータをレイヤへと分割することは、当業者であれば理解するように、ベースモードのミクストラスタコンテント(MRC)モードに従っている。MRCベースモードと同様に、印刷アークテクチャは、いくつかの例で、印刷されるデータがオーバーラップする場合に補正を行う。特に、一形態では、すべてのオーバーラップが、補正を明示的に実施するプロセス(衝突解決)において3層表現に置き換えられる。
【0134】
図4は、印刷エンジン制御装置766による印刷データ処理を示す。上述のように、データは、主にソフトウェアベースのコンピュータシステム702によって画像の前処理が実行された状態で、圧縮された多層ページ画像の形でプリンタユニット2へと送達される。次いで、印刷エンジン制御装置766が、主にハードウェアベースのシステムを用いてこのデータを処理する。
【0135】
データを受け取ると、ディストリビュータ730が、このデータをプロプラエタリな表現からハードウェア特定の表現へと変換し、これらの装置へのデータ送信の何らかの制限または要求を監視しながら、データが正しいハードウェア装置に送られることを保証する。ディストリビュータ730は、変換されたデータを、複数のパイプライン732のうちの適当な1つへと分配する。パイプラインは、互いに同一であり、基本的に、1組の印刷可能なドット出力を作成するために、伸長機能、スケーリング機能、およびドット合成機能を提供する。
【0136】
各パイプライン732は、データを受け取るためのバッファ734を備える。連続階調伸長器736は、カラー連続階調平面を伸長し、マスク伸長器は、モノトーン(テキスト)レイヤを伸長する。連続階調スケーラ740およびマスクスケーラ742は、ページがその上に印刷される媒体のサイズを考慮して、伸長された連続階調平面およびマスク平面をそれぞれスケーリングする。
【0137】
スケーリングされた連続階調平面は、次いでディザリング装置744によってディザリングされる。一形態では、確率論的ドット分散ディザリングが使用される。ドット集中(または増幅変調)ディザリングと異なり、ドット分散(または周波数変調)ディザリングは、ドット解像度のほぼ限界までの高い空間周波数(すなわち画像詳細)を再現すると同時に、より低い空間周波数を、目によって空間的に統合されるときにそれらの最大限の色深度まで再現するからである。確率論的ディザリングマトリックスは、画像全体にわたりタイリングされるときに好ましくない低周波数パターンを比較的もたないように、慎重に設計される。したがって、そのサイズは通常、特定の数値の輝度レベルをサポートするために必要とされる最小サイズ(たとえば、輝度レベル257の場合の16×16×8ビット)を上回る。
【0138】
ディザリングされた平面は次いで、印刷に適したドットデータを提供するために、ドット合成器746においてドット単位で合成される。このデータは、データ分配および駆動電子部品748へと送られ、この電子部品748は、データを正しいノズルアクチュエータ750へと分配し、アクチュエータ750は、インクを、正しいノズル752から正しい時間に、以下の説明でより詳細に記載するようなやり方で吐出させる。
【0139】
理解されるように、画像を印刷用に処理するために印刷エンジン制御装置766内で使用される構成要素は、データが表されるやり方に大幅に依存する。これに関して、印刷エンジン制御装置766は、追加のソフトウェアおよび/またはハードウェア構成要素を用いて、プリンタユニット2内でより多くの処理を実行し、コンピュータシステム702への依存度を低減することができる。あるいは、印刷エンジン制御装置766は、より少ないソフトウェアおよび/またはハードウェアを用いて、より少ない処理を実行し、データをプリンタユニット2に送信する前に画像をより高度に処理するために、コンピュータシステム702に依拠することができる。
【0140】
図5は、上述のタスクを実行するために必要な構成要素を示すブロック図である。この構成において、ハードウェアパイプライン732は、SOHOプリンタエンジンチップ(SoPEC)766内で実施される。図示のように、SoPECデバイスは、3つの別々のサブシステム、すなわち中央処理装置(CPU)サブシステム771、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)サブシステム772、および印刷エンジンパイプライン(PEP)サブシステム773からなる。
【0141】
CPUサブシステム771は、その他のサブシステムのすべての態様を制御および構成する、CPU775を備える。これは、印刷エンジン1のすべての要素のインターフェースを取り同期させるための、全体的なサポートを提供する。これはまた、QAチップ(以下に記載する)への低速通信を制御する。CPUサブシステム771はまた、汎用入出力(GPIO、モータ制御を備える)、割込み制御ユニット(ICU)、LSSマスタ、および汎用タイマなど、CPU775を助けるための様々な周辺装置を備える。CPUサブシステム上のシリアル通信ブロック(SCB)は、ホストへのフルスピードUSB1.1インターフェース、ならびに別のSoPECデバイス(図示せず)へのSoPEC間インターフェース(ICI)を提供する。
【0142】
DRAMサブシステム772は、CPU、シリアル通信ブロック(SCB)、およびPEPサブシステム内のブロックからの、要求を受け入れる。DRAMサブシステム772、特にDRAMインターフェースユニット(DIU)は、様々な要求を調停し、どの要求がDRAMへのアクセスを獲得するべきかを決定する。DIUは、すべての要求者のためのDRAMへの十分なアクセスを可能にするために、構成されたパラメータに基づいて調停を行う。DIUはまた、ページサイズ、バンクの数、および再生率など、DRAMの実装仕様を隠す。
【0143】
印刷エンジンパイプライン(PEP)サブシステム773は、圧縮されたページをDRAMから受け取り、それらを、印刷ヘッドと直接通信する印刷ヘッドインターフェース(PHI)行きの所与の印刷ラインのための2値ドットへと、レンダリングする。ページ伸長パイプラインの第1のステージは、連続階調デコーダユニット(CDU)、可逆2値デコーダ(LBD)、およびタグエンコーダ(TE)を備える。CDUは、JPEG形式で圧縮された連続階調(通常CMYK)レイヤを伸長し、LBDは、圧縮された2値レイヤ(通常K)を伸長し、TEは、プリンタユニット2がNetpage能力を有する場合(Netpageシステムの詳細な説明については相互参照文書を参照)、何らかのNetpageタグを、後の(通常IRまたはKインクでの)レンダリングのためにエンコードする。第1ステージからの出力は、1組のバッファ、すなわち、連続階調FIFOユニット(CFU)、スポットFIFOユニット(SFU)、およびタグFIFOユニット(TFU)である。CFUおよびSFUバッファは、DRAM内で実装される。
【0144】
第2のステージは、ハーフトーン合成器ユニット(HCU)であり、HCUは、連続階調レイヤをディザリングし、位置タグと2値スポットレイヤとを、結果的に得られる2値のディザリングされたレイヤ上で合成する。
【0145】
SoPECデバイスと共に使用される印刷ヘッドに応じて、多数の合成オプションを実装することができる。2値データの最高6つのチャネルが、このステージから作り出されるが、印刷ヘッド上にすべてのチャネルが存在しなくてもよい。たとえば、印刷ヘッドは、CMYのみとし、KをCMYチャネルに押し込み、IRを無視することができる。あるいは、IRインクが利用可能でない場合(または試験目的で)、何らかのエンコードされたタグをKで印刷することができる。
【0146】
第3のステージにおいて、不作動ノズル補償器(DNC)が、色の冗長化、および周囲のドット内への不作動ノズルのデータの誤差拡散によって、印刷ヘッド内の不作動ノズルを補償する。
【0147】
結果的に得られる2値の5チャンネルドットデータ(通常CMYK、赤外線)は、バッファリングされ、ドットラインライタユニット(DWU)によって、DRAM内に記憶される1組のラインバッファへと書き込まれる。
【0148】
最後に、ドットデータは、DRAMからロードし直され、ドットFIFOを通じて印刷ヘッドインターフェースへと渡される。ドットFIFOは、データをラインローダユニット(LLU)からシステムクロック速度(pclk)で受け取るが、印刷ヘッドインターフェース(PHI)は、FIFOからデータを取り出し、それをシステムクロック速度の3分の2の速度で印刷ヘッドへと送る。
【0149】
好ましい形態では、DRAMのサイズは、2.5Mバイトであり、そのうち約2Mバイトは、圧縮されたページ記憶データによって利用可能である。圧縮されたページは、メモリ内に記憶された多数のバンドを用いて、2つ以上のバンドで受け取られる。ページのバンドが、印刷のためにPEPサブシステム773によって消費されるとき、新しいバンドをダウンロードすることができる。新しいバンドは、現在のページまたは次のページ用とすることができる。
【0150】
バンディングを使用すると、圧縮されたページが完全にダウンロードされる前にページの印刷を開始することができるが、データが常に印刷用に利用可能であることが保証されるよう注意しなければならない。さもなければバッファアンダーランが生じることがある。
【0151】
内蔵USB1.1デバイスは、ホストPCからの圧縮されたページデータおよび制御コマンドを受け入れ、DRAM(または、以下で説明するような多SoPECシステム内の別のSoPECデバイス)へのデータ転送を容易にする。
【0152】
多SoPECデバイスは、代替実施形態において使用することができ、特定の実装形態に応じて、様々な機能を実行することができる。たとえば、いくつかの例で、SoPECデバイスを、単にその搭載DRAMのために使用することができるが、別のSoPECデバイスは、上記の様々な圧縮解除およびフォーマット機能を行う。これによって、プリンタが、ページのためのすべてのデータが受け取られる前にそのページの印刷を開始し、残りのデータが時間内に受け取られない場合に起こりうる、バッファアンダーランの可能性を低減することができる。余分なSoPECデバイスを、そのメモリバッファリング能力のために追加することによって、追加のチップのその他の能力が使用されないとしても、バッファリングすることができるデータの量が2倍になる。
【0153】
各SoPECシステムは、いくつかの品質保証(QA)デバイスを有することができ、QAデバイスは、プリンタの機構の品質を保証し、印刷ヘッドのノズルが印刷時に損傷を受けないようにインク供給部の品質を保証し、印刷ヘッドおよび機構が損傷を受けないことを保証するために、ソフトウェアの品質を保証するよう、互いに協働するように設計される。
【0154】
通常、各印刷SoPECは、最高印刷速度などプリンタユニットの属性に関する情報を記憶する、結合されたプリンタユニットQAを有する。カートリッジユニットもまた、QAチップを備えることができ、QAチップは、インクの残量などカートリッジ情報を記憶し、また、不作動ノズルのマッピングおよび印刷ヘッドの特徴など印刷ヘッド特定の情報を記憶する、ROMとして(EEPROMとして有効に)作動するように構成することもできる。補充ユニットもまた、インクのタイプ/色および補充のために存在するインクの量など、補充インク情報を記憶する、QAチップを備えることができる。SoPECデバイス内のCPUは、任意で、シリアルEEPROMとして有効に作動するQAチップからプログラムコードをロードし、それを実行することができる。最後に、SoPECデバイス内のCPUは、論理QAチップ(すなわちソフトウェアQAチップ)を実行する。
【0155】
一般に、システム内のすべてのQAチップは、物理的に同一であり、フラッシュメモリのコンテンツのみがそれらを互いに差別化する。
【0156】
各SoPECデバイスは、システム認証およびインク使用アカウンティングのためにQAデバイスと通信することができる、2つのLSSシステムバスを有する。1つのバスにつき、多数のQAデバイスを使用することができ、それらのシステム内での位置は、プリンタQAデバイスおよびインクQAデバイスが別々のLSSバス上にあるべきであることを除き、制約されない。
【0157】
使用に際しては、論理QAは、インクの残量を決定するためにインクQAと通信する。インクQAからの応答は、プリンタQAを参照して認証される。プリンタQAからの検証はそれ自体、論理QAによって認証され、それにより、インクQAからの応答に、追加的な認証レベルが間接的に加えられる。
【0158】
QAチップ間で送られるデータは、デジタル署名によって認証される。好ましい実施形態では、HMAC−SHA1認証がデータ用に使用され、RSAがプログラムコード用に使用されるが、別のスキームを代わりに使用することができる。
【0159】
理解されるように、SoPECデバイスはしたがって、以下で説明するような印刷媒体の扱いを容易にするために、印刷エンジン1の動作全体を制御し、基本的なデータ処理タスク、ならびに印刷エンジン1の個々の構成要素の動作の同期化および制御を実行する。
【0160】
印刷エンジン
図6および図7に印刷エンジン1を詳細に示す。印刷エンジンは、2つの主な部品、すなわちカートリッジユニット10および受け台ユニット12からなる。
【0161】
カートリッジユニット10は、受け台ユニット12内で受けられるような形状およびサイズであり、受け台ユニットに取り付けられたカバーアセンブリ11によって定位置に固定される。受け台ユニット12は次に、上記で議論したような印刷を容易にするために、印刷ユニット2内に固定されるように構成される。
【0162】
図7は、印刷エンジン1を、カートリッジユニット10が受け台ユニット12内に固定されカバーアセンブリ11が閉じられた、その組み立てられた形で示す。印刷エンジン1は、プリンタユニット2の使用者インターフェース5からの使用者の入力に応答して、印刷に関連する様々な態様を制御する。これらの態様は、印刷ヘッドを通過する媒体を制御されたやり方で移送すること、および通過する媒体の表面上へのインクの吐出を制御することを含む。
【0163】
カートリッジユニット
カートリッジユニット10を、図8および図9に詳細に示す。図9の分解図を参照すると、カートリッジユニット10は一般に、主本体20、インク保管モジュールアセンブリ21、印刷ヘッドアセンブリ22、および保守アセンブリ23からなる。
【0164】
これらの部品はそれぞれ、互いに組み立てられて、インク保管手段をインク吐出手段と組み合わせる一体ユニットを形成する。そのような構成は、インクが印刷のために、必要に応じて印刷ヘッドアセンブリ22へと直接供給されることを保証し、インク保管または印刷ヘッドアセンブリのいずれかまたは両方を交換する必要がある場合、これは、カートリッジユニット10全体を交換することによって容易に行うことができる。
【0165】
ただし、印刷ヘッドの動作寿命は、インクの供給によって制限されない。カートリッジユニット10の頂面42は、必要なときにインク保管モジュール45に補給するためにインクの補充供給部と合体させるための、界面61を有する。インク補充ユニットおよびカートリッジとの合体プロセスを、以下でさらに詳細に議論する。印刷ヘッドの寿命をさらに延長するために、カートリッジユニットは、印刷ヘッドに蓋をし、印刷ヘッドを拭き取り、湿らせる、一体型の印刷ヘッド保守アセンブリ23を有する。このアセンブリもまた、以下でさらに詳細に説明する。
【0166】
主本体
カートリッジユニット10の主本体20を図10により詳細に示す。主本体20は、開いた頂部および開いた長手方向に延びる側壁を有する、ほぼ矩形のフレーム25を備える。フレームの下面の両端部から、1対のポスト26が突出している。これらのポスト26は、保守アセンブリ23を、以下で説明するやり方で主本体20に取り付けるために設けられる。
【0167】
インク出口成形物27は、主本体20内に収容される各インク保管モジュール45に対応して、その下面にインク出口(図示せず)を有する。各インク出口は、内側に延びる1対のシリコーンのリングシールを有する。リングシールは、インク出口成形物27と共に成形され、インク入口を以下で説明する印刷ヘッドアセンブリに対して封止する。インク出口成形物27は、矩形のフレーム25の下面に、超音波溶接される。
【0168】
フレーム25の1つの長手壁部は、一連のインク立下り管30である。各立下り管30は、それぞれのインク保管モジュール(以下で説明する)のインク出口との封止接続部を形成するために、その上端部にてOリングシール29を有する。インク出口成形物27が本体20に溶接されるとき、各インク立下り管30は、成形物27の下面内でそれぞれのインク出口と流体連通する。
【0169】
空気スリーブ31が、加圧空気源に(図示せず)に連結され、印刷ヘッドアセンブリ内へと空気流を提供し、空気流は、紙くずの詰まり(以下でさらに議論する)を防止するために印刷ヘッドノズルを横断して送られる。
【0170】
各インク立下り管30の下方部分に、インク充填ポート35が形成される。これらの充填ポートは、インク保管アセンブリ21の初期装入用のみのものである。インク保管アセンブリの後のいかなる補充も、以下で説明するインク補充ユニットを使用する。初期充填プロセスを助けるために、カートリッジユニット10の頂面42(図9参照)の空気孔41に真空が加えられる。空気孔41は、各インク保管モジュール45内のインクバッグ(以下で説明する)の内側に連結される。インクは、充填ポート35を通して供給され、インク立下り管30からインク保管体積内へとくみ上げられる。充填プロセス中に、カートリッジユニットは、空気孔41がそれぞれのインクバッグ内の最高点となるように傾けられ、真空によってインクが空気孔41を通して引き込まれるまで充填される。これによって、各インクバッグが完全に充填され空気がパージされることが、保証される。印刷ヘッドへのインク流と共に連行される気泡が、ノズルの動作に害を与える可能性があることを、当業者であれば理解するであろう。
【0171】
図15から図17に示すように、下方部材65は、その一端部に複数のプライミング入口85を備える。各プライミング入口85は、チャネル67のうちの1つと直接連通し、輸送および使用の前にインクでインク保管モジュール45を始動させるための代替または追加手段を提供する。
【0172】
インク保管モジュールが満たされているとき、ポリマー封止ボール33が、充填ポート35および空気孔41内に挿入される。
【0173】
金属プレート34が、カートリッジユニット10に構造的な剛度をもたらすために、フレーム25の下面および出口成形物30に取り付けられる。それは、戻止め38をフレーム25の後壁内のスロット(図示せず)内に引っかけて、逆目スナップ係止構成32が開口37の外側線内に留まるまで、プレート34を回転させることによって、定位置にスナップ係止される。
【0174】
プレート34は、出口成形物27の下面から突出するインク出口(図示せず)を受けるための、穴39を有する。プレスされた金属プレート34はまた、フレーム25に対して下向きに突出するフランジ部分40を有し、フランジ40は、以下でより詳細に議論する負荷担持面として作用する。
【0175】
カートリッジユニット10のインク保管アセンブリの蓋21を、図11から図14に詳細に示す。蓋21は、閉鎖ユニットを形成するために、主本体20のフレーム25と対合するように構成される。図11に最もよく示されるように、インク保管モジュール45は、蓋21の下面に取り付けられ、主本体20によって設けられる個々の空洞36(図10参照)内に延びる。
【0176】
インク保管モジュール45のうちの1つを、図12、図13、および図14に分離して示す。インクバッグ46は、インクをその中に加圧された状態で保持することを可能にする、Mylar(登録商標)など可撓性の空気不透過熱可塑性フィルムから製作される。可撓性バッグ46は、インクで満たされるときに拡張させ、インクが消費されるときに収縮させることができる。これは、図60Aから図60Dに示す補充プロセスを参照して、以下でより詳細に議論する。
【0177】
インクバッグ46は、上部プレート部材47と下部プレート部材48の間で延びる。インクバッグは、気密封止するために、プレート47および48に熱溶着(またはそれと同様に)される。上部プレート部材47は、弁挿入物49を受けるように構成される。弁挿入物は、入口弁16および出口弁18を有する。弁挿入物49は、インク補充ユニットからインクを受け取るために、頂面42内に形成されたポート51と、ならびに印刷ヘッドアセンブリ22へとインクを送達するために出口52と、直接連通することができるように位置決めされる。図14に最もよく示されるように、入口弁15は、上面42内のポート51内に配置されたスリットを通して、インク補充ユニットのインク送達針(後に説明する)を受ける。入口弁15は、補充ユニット(以下で説明する)がカートリッジユニット10と合体するときに、付勢されて閉じられまた開かれる。
【0178】
逆に、出口弁18は、補充ユニットが合体するときに、付勢されて開かれまた閉じられる。フィルタ215は、上部プレート部材47内の出口弁への入口を覆う。フィルタは、固体の異物および気泡を除去するようにサイズ決めされる。上記で議論したように、圧縮気泡は、ノズルの動作を妨げる可能性がある。
【0179】
出口弁は、蓋21の下面内の導管52へと連結され、導管52は、立下り管のつば216へと続く。インク保管アセンブリ21が主本体20内に配置されるとき、つば216は、立下り管30の端部上のOリングシール29を覆って封止する。
【0180】
上部プレート47は、弁挿入物49を定位置に保持するために、蓋21の下面に固定される。下部プレート48は、つば57、および蓋21の下面から延びる4本のストラット19の内縁部内で、摺動する。プレート48は、バッグ46が満たされて拡張するにつれて、ストラット19を摺動して下降する。反対に、プレート48は、バッグ46が空になるにつれて、蓋21に向かって摺動して戻る。バッグ46の長さによって、下方プレート48は、保持バー55に到達する前にその移動が制限される。定力ばね54は、プレート48を保持バー55に向かって付勢するために、保持バー55と凹んだペグ59との間に延びる。このばねが、バッグ46を付勢して拡張させ、それによって、インクを負圧でバッグ内に維持する。これによって、印刷ヘッドノズルからのインク漏れが防止される。
【0181】
バッグ圧迫器
各インク保管モジュール45は、各補充動作後にインク内に負圧を再び生み出すための、バッグ圧迫器43を有する。圧迫器43は、下方つば57を有し、つば57は、ストラット19の端部に当接し、保持バー55によって定位置に保持される。下方プレート48は、インクバッグ46が空になるにつれて、下方つば57内で上向きに摺動する。4つの曲がったパネル58が、下方つば57から上方つば59へと上向きに延びる。パネル58は、わずかに内側に曲がる。インク補充ユニット(以下で説明する)は、4つの圧迫器アクチュエータを有する。補充部がカートリッジユニットと合体するとき、圧迫器アクチュエータは、蓋21内の開口60を通って延びて、上方つば59を下方つば57に向かって押す。これによって、パネル58がさらに内側に曲がって、バッグ46の各側面を押す。
【0182】
補充時は、インクバッグ46内の負圧が、インクを補充ユニット外にくみ出す。負圧は、下方プレート48を保持バー55に向かって付勢する、定力ばね54によって生み出される。インクバッグが満たされると、負圧は消える。インクバッグ46内に負圧が存在しないと、ノズルからインクが漏れる危険性がある。補充ユニットがカートリッジから取り外されると、バッグ46内に負圧が再び生み出される。4つの圧迫器アクチュエータが蓋21内の開口60を通って収縮するとき、曲がったパネル58は、上方つば59を上方プレート部材47に向かって押し戻すことができる。パネル58は、それらがバッグ46の側部をあまり押さないように、直線状になる。これによって、バッグ46をわずかに膨張されることが可能になり、入口弁16が閉じられるとき、バッグ体積のわずかな増加によって負圧が回復する。
【0183】
印刷ヘッドアセンブリ
印刷ヘッドアセンブリ22を、図15から図18Eにより詳細に示す。印刷ヘッドアセンブリは、出口成形物27(図10参照)からインクを受け取るために、主本体20の下面に取り付けるようになされる。
【0184】
印刷ヘッドアセンブリ22は、一般に、主本体20の下でポスト26の間に延びるように構成された、細長い上方部材62を備える。複数のU字型クリップ63が、上方部材62から突出する。これらは、剛性のプレート34内に設けられた凹部37を通過し、印刷ヘッドアセンブリ22を固定するために、主本体20内に形成されたラグ(図示せず)によって捕捉されることになる。
【0185】
上方要素62は、印刷ヘッドアセンブリ22が主本体20に固定されるときに出口成形物27内の出口内で受けられる、複数の供給管64を有する。供給管64は、インク漏れを防ぐための外部被覆を備えることができる。
【0186】
上方部材62は、液晶ポリマー(LCP)から製作され、それによって多数の利点がもたらされる。上方部材は、その熱膨張係数(CTE)が、シリコンのそれと同様となるように成形することができる。印刷ヘッド集積回路74(以下で議論する)と、その下にある成形物との間の何らかの有意なCTEの差によって、構造全体が曲げられる可能性があることが理解されるであろう。ただし、成形方向でのLCPのCTEは、非成形方向でのそれよりも大幅に小さいので(〜20ppm/℃に対して〜5ppm/℃)、LCP成形物の成形方向が、印刷ヘッド集積回路(IC)74の長手方向長さと同一方向となることを保証するよう注意しなければならない。LCPはまた、比較的高い剛度を有し、ポリカーボネート、スチレン、ナイロン、PET、およびポリプロピレンなど「普通のプラスチック」の、通常5倍の弾性率を有する。
【0187】
図16に最もよく示されるように、上方部材62は、接着フィルム66によってそれに結合される下方部材65を受けるための、開いたチャネル構成を有する。下方部材65はまた、LCPから製作され、その長さに沿って形成された複数のインクチャネル67を有する。各インクチャネル67は、供給管64のうちの1つからインクを受け取り、印刷ヘッドアセンブリ22の長さに沿って、インクを分配する。チャネルは幅1mmであり、厚さ0.75mmの壁部によって分割される。
【0188】
図示の実施形態では、下方部材65は、その長さに沿って延びる5つのチャネル67を有する。各チャネル67は、5つの供給管64のうちの1つのみからインクを受け取り、各供給管64は、異なる色のインクが混ざる危険性を低減するために、インク保管モジュール45(図10参照)のうちの1つからインクを受け取る。これに関して、接着フィルム66はまた、下方部材65が上方部材62と組み立てられたときにインクがチャネル間で混ざることを防止するために、個々のインクチャネル67を封止するように作用する。
【0189】
各チャネル67の底部には、等間隔に配置された一連の穴69(図17に最もよく見られる)があり、下方部材65の底面内に5列の穴69をもたらす。穴69の中央列は、印刷ヘッドIC74の真上の、下方部材65の中心線に沿って延びる。図22Aに最もよく見られるように、中央列の両側の穴69のその他の列は、インクを印刷ヘッドIC74へと供給することができるように、各穴69から中心への導管70を必要とする。
【0190】
図18Aを参照すると、印刷ヘッドIC74は、ポリマー封止フィルム71によって、下方部材65の下面に取り付けられる。このフィルムは、PETまたはポリスルホンフィルムなど熱可塑性フィルムとすることができ、あるいは、AL Technologies、Rogers Corporation、またはAblestik(Nation Starch & Chemical Companyの子会社)によって製造されるものなど、熱硬化性フィルムの形とすることができる。ポリマー封止フィルム71は、中央フィルムの両側に接着層を有する積層であり、下方部材65の下面上へと積層される。特に有効なフィルムは、Ablestik5205S1であり、その構造を図24に概略的に示す。中央のポリイミドウェブ222が、熱硬化性接着層220および224の間に挟まれている。熱硬化性接着層の外面は、PETライナ234および236によって保護される。Mylarライナもまた適している。
【0191】
図17、図22A、および図22Bは、印刷ヘッドIC74とチャネル67の間を流体連通させるために、中心に配置されたインク送達点(穴69の中央列および導管70の端部)と一致するよう接着フィルム71を貫通してレーザ穿孔された、穴72のパターンを示す。図25および図26は、レーザアブレーションプロセスをより詳細的に概略的に示す。積層化されたフィルム71が、リール240から供給され、レーザ238を通過し、リール242に巻き上げられる。レーザは、熱硬化性接着材が硬化され固められないように、紫外光を使用するエキシマレーザとする。印刷ヘッドIC74またはLCP成形物65が取り付けられる前に接着材が固まる場合、封止が弱まるおそれがある。より長い波長の光を用いるレーザは、接着材をその硬化温度を超えて加熱しやすい。図26は、レーザによって穿孔された穴72を示す。穴72は、下方PETライナ236内のどこかで終端する、止り穴である。下方PETライナを破断せず保つことは、穴72に異物が入らないようにするのに役立つ。上方PETライナ234は、レーザ238によって穴72から除去された、アブレーションされた材料244の一部を収集する。フィルムをLCP成形物65に取り付ける直前にライナを取り除くことによって、アブレーションされた材料244、および流体封止に影響を及ぼすおそれがあるその他何らかの砕屑物が除去される。
【0192】
図27は、LCP成形物65へのフィルム71の取付けを示す。レーザ穿孔されたフィルム71は、リール242からLCP成形物65へと供給される。LCP成形物は、比較的長いポリマー成形物であるので、材料固有の弱さおよび成形プロセスにより、あまり直線的ではない。成形物は、フィルムが取り付けられる間は、直線的に把持および保持される。加熱されたダイ246は、熱硬化性接着材を軟化させるが硬化させず、そのため接着材は粘着性となる。適当な穴72が、成形物65内にエッチングされたインク導管70(図22B参照)の端部と少なくとも部分的に整列されるように、視覚システム(図示せず)が、フィルム71を位置合せする。これは、LCP成形物65およびフィルム71両方の上の基準マークを用いて、あるいは成形物および/またはフィルム両方の所定の特徴を参照する視覚システムを用いることによって、行うことができる。これは、特にフィルムにとって有用となり得る。というのも、加熱プロセスによって、基準マーク(通常非常に小さい穴)の著しい変形または除去が生じるおそれがあるからである。視覚システムによって、穿孔された穴のパターン内の1つまたは複数の所定の穴72を探す場合、インク導管70との位置合せは、より直接的かつ正確なものとなる。インク穴72は、物理的に大幅に大きいので、相対的な変形がより小さいが、視覚システムは、中心点を計算するために単純な幾何学的技術を使用し、それを参照することができる。PETライナ236は、取付けの前に剥がされ、往復運動ナイフ248が、フィルムを取付け後にサイズどおりに切り取る。
【0193】
フィルム71をLCP成形物に取り付ける前に、フィルムに穿孔することは、フィルムを成形物に取り付けてから穿孔するよりも、迅速かつ確実である。フィルムが成形物に取り付けられている場合の穿孔は、穴がフィルムを完全に貫通して延びるが、レーザによってアブレーションされる下にあるLCPの部分が穿孔され過ぎないように、注意深く制御される必要がある。アブレーションされたLCPは、穴72内に留まりやすく、流れの遮断を生じる。
【0194】
図28に移ると、個々の印刷ヘッドIC74が、フィルム71に順次取り付けられている。加熱されたダイ260は、各印刷ヘッドIC74を保持し、視覚システム262がダイ260を以前に取り付けられた印刷ヘッドIC74および穴72と位置合せさせた後に、IC74をフィルム71に取り付ける。LCP成形物が印刷ヘッドICの一端部と他端部の間で厳密な直線から逸れることは、許容可能な公差内にあるので、LCP成形物65は、もはや直線状に保持されない。上記で議論したように、視覚システムは、基準を参照することができ、または、フィルム71内の1つまたは複数の穴72上の所定の点を参照することができる。PETライナ234は、汚染を避けるために、取付けの直前に剥がされる。この場合も同様に、ダイ260は、熱硬化性接着材220を、それが粘着性になるが硬化しないところまで、(印刷ヘッドIC74を通じて)加熱する。一連の印刷ヘッドIC74がフィルム71によってLCP成形物65に貼り付けられるときのみ、フィルムは最終的に、知られている硬化温度を超えて温度を上昇させることによって硬化される。
【0195】
あるいは、フィルムは、異なる硬化温度を有する熱硬化性接着層を使用することができる。層224に、層220よりも低い硬化温度を与えることによって、印刷ヘッドIC74が取り付けられて硬化するよりも前に、フィルムをLCP成形物65へと取り付け、硬化させることができる。熱硬化性接着材は、熱可塑性フィルムよりも信頼性の高い流体封止部を提供する。熱可塑性フィルムは、加熱されて軟化されるので、印刷ヘッドICおよびLCP成形物を、フィルムの表面内へと埋め込むことができる。フィルムは冷却後に、基本的に機械的結合によって、LCPに取り付けられる。これは、動作中の長時間の熱疲労に伴い、破損および漏れを生じやすい。熱硬化性樹脂接着材は、硬化して、印刷ヘッドアセンブリ内の熱膨張の差に耐える、印刷ヘッドICの表面との強い結合を形成する。
【0196】
図23は、図22Aに示すようなポリマーフィルムによって印刷ヘッドICに取り付けられた、LCP成形物の概略的な部分断面図である。インクは、LCP成形物65の下面内の導管70を通って流れる。開いたチャネル70は、熱硬化性接着材層224によって封止され、チャネル70の内側端部が、フィルムを通る穴72と位置合せされる。熱硬化性接着材の粘度を、印刷ヘッドICおよびLCP成形物をフィルム表面内へと適当に埋め込むために十分に低くするが、接着材を、障害または有害な狭窄を生じる程度まで流体導管内へと膨張させる程には低くしないことが、重要である。ただし、少量の接着材の、流体チャネル内へのたるみまたは「テンティング」(図23の228、230、および232を参照)は、適切な結合のために必要であり、インク流に有害ではない。したがって、流れの狭窄を伴わない確実な封止部をもたらす接着材の粘度範囲もまた、MSTデバイス内の開口および支持部の、寸法および構成に依存する。100センチポアズから10000000センチポアズの粘度の熱硬化性接着材が、MSTデバイスのミクロン規模の開口を封止する。より深くより幅広の開口には、範囲内のより低い端部で粘度を有する接着材を用いることができ、より小さくより狭い開口には、より高い粘度を有する接着材が必要である。
【0197】
印刷ヘッドIC74は、分配チャネル77の形の入口開口を有する。これらのチャネルは、個々のノズル(図示せず)へと続く入口226へとインクを分配する。図24は縮尺どおりではないが、図22Aから、分配チャネル77がLCP成形物65内の供給導管70よりも大幅に小さいことが、理解されるであろう。したがって、チャネル77は、キャリヤウェブ22とIC74の上面との間から移動する接着材によって、より目詰まりまたは狭窄しやすい。これを防止するために、印刷ヘッドICの取付け表面内に凹部を形成し、そうしなければチャネル77内へと圧搾させるインクを、保持することができる。図21Bに示すように、これらの凹部は、幅80μmのチャネルの両側に延び80μmの間隔で配置される、直径約10μmおよび深さ5μmの一連のピット264とすることができる。それらが取付け表面へと与える追加のテクスチャおよび起伏はまた、フィルム71への接着を助ける。
【0198】
ポリマー封止フィルム71の厚さは、それがもたらすインク封止の効果にとって決定的に重要である。図21Aから図22Bに最もよく見られるように、ポリマー封止フィルムは、印刷ヘッドIC74の裏面上でエッチングされたチャネル77を封止し、かつ、フィルムのもう一方の面上で導管70を封止する。ただし、フィルム71が導管70の開いた端部を横断して封止するとき、フィルムはまた、導管内へと膨張し、またはたるむことができる。導管70内へとたるむフィルムの断面は、印刷ヘッドIC74内のエッチングされたいくつかのチャネル77を横断して延びる。たるみによって、エッチングされた各チャネル77を分割する壁部間に、間隙が生じることがある。明らかに、これによって封止が破られ、印刷ヘッドIC74および/またはエッチングされたチャネル77間からの、インクの漏れがもたらされる。
【0199】
これに対する防護を行うために、ポリマー封止フィルム71は、エッチングされたチャネル77上の封止を維持しながら、導管70内へのたるみを考慮するのに十分な厚さを有するべきである。ポリマー封止フィルム71の最小厚さは、フィルムがその中にたるむ導管の幅、フィルムの積層構造内の接着層の厚さ、印刷ヘッドIC74がその中に押し込まれるときの接着層の「剛度」、および積層の中心フィルム材料の弾性率に依存する。
【0200】
厚さ25μmのポリマー封止フィルム71は、図示の印刷ヘッドアセンブリ22に適している。ただし、厚さを50、100、またさらには200μmへと増大させると、それに対応して、もたらされる封止の信頼性が上昇する。上記のAblestik積層において、熱硬化層は、厚さ25μmであり、ポリイミドキャリヤウェブは、厚さ50μmである。PETまたはmylarライナは、通常、厚さ12μmのものである。
【0201】
インク送達入口73は、印刷ヘッドIC74の「前」面内に形成される。入口73は、入口上に配置されたそれぞれのノズル801(以下で図35から図36を参照しながら説明する)へとインクを供給する。インクは、個々の入口73すべてにそれぞれインクが供給されるように、ICに送達されなければならない。したがって、個々の印刷ヘッドIC74内の入口73は、インク供給の複雑さおよび配線の複雑さが低減されるように、物理的にグループ分けされる。それらはまた、電力消費を最小限に抑え、様々な印刷速度を可能にするために、論理的にグループ分けされる。
【0202】
各印刷ヘッドIC74は、5つの異なる色のインク(C、M、Y、KおよびIR)を受け取り、印刷するように構成され、1色につき1280個のインク入口を備え、それらのノズルは、偶数および奇数のノズル(ぞれぞれ640個)に分割される。各色用の偶数個および奇数個のノズルは、印刷ヘッドIC74上の別々の列の上に設けられ、真性の1600dpiの印刷を実行するために垂直に整列される。これはすなわち、ノズル801が、図19に明確に示されるように、10列に配列されることを意味する。単一の列上の2つの隣接するノズル801間の水平距離は、31.75μmであり、ノズル列間の垂直距離は、ノズルの発射オーダに基づくが、列は通常、紙が列の発射回数間に動くことができる距離に対応する、ドットラインの数およびドットラインの分数分だけ離隔される。また、所与の色のためのノズルの偶数列と奇数列の間隔は、以下で説明するように、それらがインクチャネルを共用することができるようなものとしなければならない。
【0203】
製造方法
製造プロセスの様々な態様を、図18B〜図18Eに示す概略断面図を参照しながら以下で議論する。知られている一技術を図18Bに示す。ポリイミドフィルムが、導電トラック200を露出するために、フレキシブルPCB79の一端部から除去される。トラック200は、それらが印刷ヘッドIC74上のボンドパッドのラインと位置合せされるように間隔をおいて配置される。次いでトラック74は、ボンドパッドに直接接続される。この技術は、「TAB結合」として一般に知られており、フレキシブルPCBが非常に精密であること、ならびにフレキシブルPCBとボンドパッドが整列されるときの高い精度を必要とする。したがって、これは、印刷ヘッド製造の全プロセスのうちの時間がかかる段階となる可能性がある。フレキシブルPCB79を印刷ヘッドIC74の高さで支持するために、支持成形物65が、階段状の区画204を有することも必要とされる。階段上の区画204により、設計の複雑さが増す。
【0204】
本発明のこの態様は、導電トラック200を印刷ヘッドIC74へと配線206する前に、印刷ヘッドIC74およびフレキシブルPCB79(または少なくとも導電トラック200)の両方を、ポリマーフィルム71を用いて支持成形物65に取り付ける。印刷ヘッドICおよびフレキシブルPCBの両方を、ポリマーフィルムを用いて支持部材に取り付けることは、トラックとボンドパッドの高度に精密な整列が絶対的に重要ではないので、比較的迅速かつ単純なステップである。後続のボンドパッドへのフレキシブルPCBの配線は、トラックおよびそれらの対応するボンドパッドを印刷ヘッドIC上に光学的に配置する、自動の機器によって行うことができる。トラックとボンドパッドの位置合せが少々不正確であっても、印刷ヘッドIC、特にページ幅印刷ヘッドで使用される長いICへの、フレキシブルPCBの接続は妨げられない。結果的に、プロセス全体の時間効率がより良好で、商業的に実用的なものとなる。
【0205】
図18C〜図18Eは、すべて本発明の同一の基本的な技術を使用する、フレキシブルPCBとICとの取付けのための異なる選択肢を示す。図18Cにおいて、フレキシブルPCB79は、印刷ヘッドIC74が取り付けられた後に、ポリマーフィルム71に取り付けられる。これを行うために、フレキシブルPCB79は、ポリマーフィルム71に取り付けるための接着領域208を有する。というのも、ポリマーフィルム71は、印刷ヘッドIC74の取付けプロセス後に、冷却され、固まり、それ自体の接着品質を失うからである。フレキシブルPCBとICが取り付けられた状態で、ワイヤ接続206が製作され、保護封入部202が加えられる。
【0206】
図18Dで、印刷ヘッドIC74およびフレキシブルPCB79は、ポリマーフィルム71によって支持成形物65へと同時に取り付けられる。これは、フレキシブルPCBおよびICを別々に取り付けるよりも迅速であるが、より複雑である。図18Eは、導電トラックがポリマーフィルム71内に組み込まれる、より単純な型を示す。上記で議論したように、ポリマーフィルム71は、積層であるので、トラックを層間に配置することができる。この形では、ポリマーフィルムは、効果的にフレキシブルPCBになる。この選択肢は、迅速かつ単純であるが、組み込まれたトラックを有するポリマーフィルムは、「規格の」製品ではない。
【0207】
この文脈で、図18C〜図18Eは、上記で詳細に議論した、LCP成形物の上方部材62および下方部材65、個々のインクチャネル67、インク穴96、導管70、およびレーザ穿孔された穴72を示す。
【0208】
上記で触れたように、本発明は、ページ幅印刷に関し、したがって、印刷ヘッドIC74は、印刷ヘッドアセンブリ22の幅を水平方向に横断して延びるように構成される。これを実現するために、個々の印刷ヘッドIC74は、図16および図17に示すように、ポリマーフィルム71の表面を横断する当接構成で、互いに連結される。印刷ヘッドIC74は、接着層の融点を超えてICを加熱し、それらを封止フィルム71内へと押し付けることによって、または、ICをフィルムへと押し込む前に、フィルム71の接着層をICの下でレーザを用いて溶融させることによって、ポリマー封止フィルム71に取り付けることができる。別の選択肢は、ICをフィルム71に押し付ける前に、IC(接着材の融点を超えない)および接着層の両方を加熱することである。
【0209】
上記のように、フレキシブルPCBは、ポリマーフィルム71への取付けのための接着領域を有することができ、あるいは、加熱されたバーが、フレキシブルPCBをポリマーフィルム上に、所定の時間押し付けることができる。
【0210】
印刷ヘッドの連結
個々の印刷ヘッドIC74の長さは、およそ20〜22mmである。A4/米国手紙サイズのページを印刷するために、11〜12個の個々の印刷ヘッドIC74が、互いに隣接して連結される。個々の印刷ヘッドIC74の数は、別の幅のシートに対応するために変えることができる。
【0211】
印刷ヘッドIC74は、様々な方法で互いに連結することができる。IC74を連結させる1つの具体的なやり方を、図20に示す。この構成では、IC74は、隣り合うIC間に垂直方向のずれを伴わずにICの水平ラインを形成するよう、その端部が互いに連結されるように形状付けされる。IC間に、約45°の角度を有する傾斜した接合部が設けられる。接合縁部は、直線状ではなく、位置決めを容易にするための鋸歯状プロファイルを有し、IC74は、接合縁部に対して垂直に測定して、約11μm離隔して配置されることが意図される。この構成では、各列上の最も左のインク送達ノズル73は、10行のピッチで下降し、三角形構成で配列される。この構成は、接合部にてノズルの一定の重なりをもたらし、インク液滴が印刷領域に沿って一貫して送達されることを保証するように、ノズルのピッチを維持する。この構成はまた、十分な連結を保証するために、IC74の縁部にてより多くのシリコンが提供されることを保証する。ノズル動作の制御は、SoPECデバイスによって実行されるが(以下の説明で議論する)、ノズルの補正は、ストレージ要求に応じて、印刷ヘッド内で実行することができ、またはSoPECデバイスによって実行することもできる。この点に関して、IC74の一端部に配置されるノズルの下降する三角形配列は、印刷ヘッド上の最小のストレージ要求をもたらすことが理解されるであろう。ただし、ストレージ要求があまり重要でない場合、三角形以外の形状を使用することができ、たとえば下降する列は、台形の形をとることができる。
【0212】
印刷ヘッドICの上面は、その縁部に沿って設けられた多数のボンドパッド75を有し、それらは、SoPECデバイスから、ノズル73の動作を制御するためのデータおよび/または電力を受け取るための手段をもたらす。IC74を接着層71の表面上に正しく位置決めし、接着層71内に形成された穴72とIC74が正しく整列するようにそれらを整列させることを助けるために、基準点76もまた、IC74の表面上に設けられる。基準点76は、隣のICおよび接着層71の表面に対する、IC74の正しい位置を指示するための、適当な位置決め機器によって容易に識別可能なマーカの形であり、IC74の縁部上に、接着層71の長さに沿って戦略的に位置決めされる。
【0213】
ポリマー封止フィルム71内に形成された穴72からインクを受け取り、かつインクをインク入口73に分配するために、各印刷ヘッドIC74の下面は、図21に示すように構成される。多数のエッチングされたチャネル77が設けられ、各チャネル77が、1つの特定の色またはタイプのインクの送達専用の1対の列の入口73と流体連通する。チャネル77は、ポリマー封止フィルム71内の穴72の幅と等しい、幅約80μmであり、IC74の長さにわたり延びる。チャネル77は、シリコン壁部78によって区間に分割される。各区間には、入口73への流路を短縮し、各ノズル801へのインク欠乏の可能性を低減するために、インクが直接供給される。これに関して、各区間は、それらそれぞれの入口73を通じて、およそ128個のノズル801に供給する。
【0214】
図22Bは、ノズル73への供給のためにIC74の下面に形成された、エッチングされたチャネル77へと、どのようにインクが供給されるかをより明解に示す。図示のように、ポリマー封止フィルム71を貫通して形成される穴72は、シリコン壁部78がチャネル77を区間に分割する点で、チャネル77のうちの1つと位置合せされる。穴72の幅は、1つの穴72がインクをチャネル77の2つの区間へと供給するように、チャネル77の幅とほぼ同じ約80μmである。これによって、ポリマー封止フィルム71内で必要とされる穴72の密度が半減することが、理解されるであろう。
【0215】
ポリマー封止フィルム71の表面への各印刷ヘッドIC74の取付けおよび位置合せ後に、ノズル801を制御し、動作するための制御信号および電力を、ボンドパッド75へと供給することができるように、フレキシブルPCB79(図18参照)が、IC74の縁部に沿って取り付けられる。図15により明確に示すように、フレキシブルPCB79は、印刷ヘッドアセンブリ22から延び、印刷ヘッドアセンブリ22の周りで折れ曲がる。
【0216】
フレキシブルPCB79はまた、受け取った電力およびデータ信号を制御するために、その長さに沿って配列された複数の減結合コンデンサ81を有することができる。図16に最もよく見られるように、フレキシブルPCB79は、受け台ユニット12の制御回路から電力および/またはデータ信号を受け取るための、その長さに沿って形成された複数の電気接点180を有する。複数の穴80はまた、フレキシブルPCB79の遠位縁部に沿って形成され、フレキシブルPCBを主本体20の剛性プレート34のフランジ部分40に取り付けるための手段を提供する。フレキシブルPCB79の電気接点が、受け台ユニット12の電力およびデータ接点に接触するやり方を、以下で説明する。
【0217】
図18Aに示すように、媒体シールド82は、印刷ヘッドIC74を、通過する媒体との接触により生じる可能性がある障害から保護する。媒体シールド82は、適当なクリップ係止構成または接着材によって、印刷ヘッドIC74の上流の上方部材62に取り付けられる。このやり方で取り付けられるとき、印刷ヘッドIC74は、通過する媒体の経路から外れて、媒体シールド82の面の下方に着座する。
【0218】
空間83は、媒体シールド82、上方部材62、および下方部材65の間に設けられ、空気圧縮器などから加圧された空気を受け取ることができる。この空間83は、印刷ヘッドアセンブリ22の長さに沿って延びるので、圧縮された空気を、印刷ヘッドアセンブリ22の両端部から空間56へと供給し、アセンブリに沿って均等に分配することができる。媒体シールド82の内面には、媒体シールド82の長さに沿って均等に分布する複数の空気出口を画成する、一連のフィン84が設けられ、圧縮された空気が、空気出口を通って移動し、媒体送達の方向で印刷ヘッドIC74を横断して送られる。この構成は、ノズルの遮断または損傷を生じることがある、媒体によって運ばれるごみおよびその他の粒子状物質が、印刷ヘッドICの表面上に載らないよう妨げる働きをする。
【0219】
インク送達ノズル
ノズルおよび対応するアクチュエータを備える、本発明に適したインク送達ノズル構成のタイプの一例を、次に図35から図38を参照しながら説明する。図38は、シリコン基板8015上に形成されたインク送達ノズル構成801のアレイを示す。各ノズル構成801は、同一であるが、ノズル構成801のグループは、異なる色のインクまたは定着剤を供給するように構成される。この点に関して、ノズル構成は、列として構成され、互いに対してずらして配置され、印刷時に、インクドットの単一列のノズルで可能となるよりもより緊密な間隔での配置を可能にする。そのような構成は、高密度のノズルの提供を可能にし、たとえば、5000個以上のノズルが、それぞれの列内のノズル間に約32μm、隣接する列間に約80μmの間隔を有する、複数の互い違いの列内に配列される。複数の列によってまた、冗長化(必要な場合)が可能になり、したがって、1つのノズルにつき所定の障害率が可能になる。
【0220】
各ノズル構成801は、集積回路加工技術の製品である。特に、ノズル構成801は、マイクロシステム技術(MST)を画成する。
【0221】
説明をわかりやすく容易にするために、単一のノズル構成801の構造および動作を、図35から図37を参照しながら説明する。
【0222】
インクジェット印刷ヘッド集積回路74は、シリコンウェハ基板8015を備え、シリコンウェハ基板8015は、その上に位置決めされた、0.35μmの1P4M12ボルトのCMOSマイクロプロセッシング電子部品を有する。
【0223】
二酸化ケイ素(あるいはガラス)層8017が、基板8015上に位置決めされる。二酸化ケイ素層8017は、CMOS誘電層を画成する。CMOS最上層金属は、二酸化ケイ素層8017上に位置決めされた、1対の位置合せされたアルミニウム電極接触層8030を画成する。シリコンウェハ基板8015および二酸化ケイ素層8017はいずれも、一般に円形断面(平面図で)を有するインク入口チャネル8014を画成するように、エッチングされる。CMOS金属1、CMOS金属2/3、およびCMOS最上層金属の、アルミニウム拡散障壁8028が、インク入口チャネル8014の周りで二酸化ケイ素層8017内に配置される。拡散障壁8028は、駆動電子部品層8017のCMOS酸化物層を通じたヒドロキシルイオンの拡散を妨げる働きをする。
【0224】
窒化ケイ素の層8031の形の不活性化層が、アルミニウム接触層8030および二酸化ケイ素層8017を覆って配置される。接触層8030上に配置された不活性化層8031の各部分は、接点8030へのアクセスを提供するために、その中に画成された開口8032を有する。
【0225】
ノズル構成801は、環状ノズル壁8033によって画成されたノズルチャンバ8029を備え、ノズルチャンバは、ノズル屋根8034内の上端部、および平面図内で円形である径方向内部ノズルリム804にて終端する。インク入口チャネル8014は、ノズルチャンバ8029と流体連通する。ノズル壁の下方端部に、運動封止リップ8040を備える、運動リム8010が配置される。包囲壁8038が、可動ノズルを取り囲み、静止封止リップ8039を備え、静止封止リップ8039は、図38に示すようにノズルが停止しているとき、運動リム8010に隣接する。静止封止リップ8039と運動封止リップ8040の間に捕らえられたインクの表面張力により、流体封止部8011が形成される。これは、チャンバからのインクの漏れを防止し、包囲壁8038とノズル壁8033の間の低抵抗結合をもたらす。
【0226】
図36に最もよく示されるように、複数の径方向に延びる凹部8035が、ノズルリム804の周りの屋根8034内に画成される。凹部8035は、インクがノズルリム804を通過して漏れる結果としての、径方向インク流を収容する働きをする。
【0227】
ノズル壁8033は、ほぼU字形プロファイルを有するキャリヤ8036に取り付けられたてこ構成の一部を形成し、基部8037が窒化ケイ素の層8031に取り付けられる。
【0228】
てこ構成はまた、ノズル壁から延び横方向強化ビーム8022を組み込む、てこの腕8018を備える。てこの腕8018は、図38および図37に最もよく示されるように、窒化チタン(TiN)から形成されノズル構成の両側に位置決めされる、一対の受動ビーム806に取り付けられる。受動ビーム806の他端部は、キャリヤ8036に取り付けられる。
【0229】
てこの腕8018はまた、TiNで形成されたアクチュエータビーム807に取り付けられる。アクチュエータビームへのこの取付けは、受動ビーム806への取付けよりも小さいが決定的な距離だけ高い位置にて行われることに留意されたい。
【0230】
図35および図35に最もよく示されるように、アクチュエータビーム807は、平面でほぼU字形であり、電極809と対向電極8041の間に電流路を画成する。電極809および8041のそれぞれは、接触層8030内のそれぞれの点に電気的に接続される。接点809を通じて電気的に結合されると共に、アクチュエータビームはまた、アンカ808へと機械的に係留される。アンカ808は、ノズル構成が動作しているとき、図38から図28の左へのアクチュエータビーム807の運動を抑制するように構成される。
【0231】
アクチュエータビーム807内のTiNは、導電性であるが、電流が電極809と8041の間を通るときに自己加熱に耐えるように、十分高い電気抵抗を有する。電流は、受動ビーム806を通って流れないので、受動ビーム806は膨張しない。
【0232】
使用時は、休止状態のデバイスが、表面張力の影響下でメニスカス803を画成する、インク8013で満たされる。インクは、メニスカスによってチャンバ8029内に保持され、一般に、その他の物理的な影響がなければ漏出しない。
【0233】
図36に示すように、ノズルからインクを発射させるために、電流がアクチュエータビーム807を通過して、接点809と8041の間を流れる。ビーム807は、その抵抗による自己加熱によって膨張する。アクチュエータビーム807の寸法および設計は、膨張の大部分が、図35から図37に関して水平方向であることを意味する。膨張は、アンカ808によって左方向で抑制されるので、てこ領域8018に隣接するアクチュエータビーム807の端部は、右へと押し進められる。
【0234】
受動ビーム806が相対的に水平方向に不撓性であることによって、それらがてこの腕8018を大幅に水平運動させることが防止される。ただし、受動ビームおよびアクチュエータビームの、てこの腕へのそれぞれの取付け点の相対移動によって、ねじり運動が生じ、それにより、てこの腕8018がほぼ下向きに動かされる。その運動は、有効には、枢動または蝶番運動である。ただし、真の枢動点がないことは、受動ビーム806の屈曲によって画成される枢動領域の周りで回転が生じることを意味する。
【0235】
てこの腕8018の下降運動(およびわずかな回転)は、受動ビーム806からのノズル壁8033の距離によって増幅される。ノズル壁および屋根の下降運動によって、チャンバ8029内に圧力上昇が生じ、図36に示すようにメニスカスを膨出させる。インクの表面張力は、流体封止部8011がこの運動によって、インクを漏出させずに伸長されることを意味することに留意されたい。
【0236】
図37に示すように、適当な時間に駆動電流が停止され、アクチュエータビーム807が急速に冷却され収縮する。収縮によって、てこの腕が、その静止位置へと戻り始め、それによってチャンバ8029内の圧力低下が生じる。膨出するインクの運動量とその固有の表面張力の間の相互作用、およびノズルチャンバ8029の上昇運動によって生じる負圧によって、膨出するメニスカスが薄くなり、最終的にプツッと切れてインク液滴802が画成され、インク液滴は、隣接する印刷媒体に接触するまで上昇し続ける。
【0237】
液滴802が離れた直後に、メニスカス803は、図37に示す凹形を形成する。チャンバ8029内の圧力は、インクが入口8014を通って上方向に吸引され、それによってノズル構成およびインクが図35に示す静止状態へと戻されるまで、表面張力によって比較的低いままとなる。
【0238】
本発明に適当な別のタイプの印刷ヘッドノズル構成を、次に図33を参照しながら説明する。ここでも同様に、説明をわかりやすく容易にするために、単一のノズル構成1001の構造および動作を説明する。
【0239】
ノズル構成1001は、泡形成ヒータ要素アクチュエータタイプのものであり、ノズル1003をその中に有するノズルプレート1002、ノズルリム1004を有するノズル、およびノズルプレートを通って延びる開口1005を備える。ノズルプレート1002は、続いてエッチングされる犠牲材料上に化学気相成長法(CVD)によって堆積された、窒化ケイ素構造からプラズマエッチングされる。
【0240】
ノズル構成は、各ノズル1003に対して、ノズルプレートがその上で支持される側壁1006、壁部およびノズルプレート1002によって画成されるチャンバ1007、多層基板1008、ならびに、多層基板を通って基板の裏側(図示せず)へと延びる入口通路1009を備える。環状の細長ヒータ要素1010は、チャンバ1007内に懸架され、そのため要素は、懸架されたビームの形となる。図示のノズル構成は、リソグラフィプロセスによって形成される、マイクロシステム技術(MST)構造である。
【0241】
ノズル構成が使用されているとき、リザーバ(図示せず)からのインク1011は、チャンバが満たされるように、入口通路1009を通ってチャンバ1007内に入る。その後、ヒータ要素1010は、1マイクロ秒よりいくぶん短く加熱され、そのため加熱は、熱パルスの形となる。ヒータ要素1010は、チャンバ1007内でインク1011と熱接触し、そのため、要素が加熱されるとき、それによってインク内に蒸気泡が生じることが理解されるであろう。したがって、インク1011は、泡を形成する液体を構成する。
【0242】
泡1012は、発生すると、チャンバ1007内の圧力上昇を生じ、それによって、ノズル1003を通るインク1011の液滴1016の吐出が生じる。リム1004は、液滴が誤って方向付けられる可能性を最低限に抑えるように、液滴1016が吐出されるときその方向付けを助ける。
【0243】
1つの入口通路1009につきノズル1003およびチャンバ1007が1つしか存在しない理由は、要素1010の加熱および泡1012の形成時にチャンバ内で生み出される圧力波が、隣接チャンバおよびその対応するノズルに影響を及ぼさないようにするためである。
【0244】
チャンバ1007内の圧力上昇は、ノズル1003を通してインク1011を押し出すだけでなく、入口通路1009を通してインクをいくらか押し戻す。ただし、入口通路1009は、長さが約200から300μmであり、直径がわずか約16μmである。したがって、かなりの粘性抵抗が存在する。その結果、チャンバ1007内の圧力上昇の主な効果は、入口通路1009を通じてインクを押し戻すよりも、ノズル1003を通してインクを吐出される液滴1016として押し出すことである。
【0245】
図39に示すように、液滴が切り離される前のその「くびれ段階」時の、吐出されるインク液滴1016を示す。このステージで、泡1012は、既にその最大サイズに到達しており、次いで崩壊点1017に向かって崩壊を開始している。
【0246】
泡1012が崩壊点1017へと向かって崩壊することによって、一部のインク1011が、ノズル1003内でそこから(液滴の側部1018から)、また一部が入口通路1009から、崩壊点に向かって引き込まれる。このようにしてノズル1003から引き込まれるほとんどのインク1011は、液滴1016が切れて離れる前にその基部にて、環状ネック1019を形成する。
【0247】
液滴1016を切り離すために、表面張力に打ち勝つための一定量の運動量が必要となる。インク1011が泡1012の崩壊によってノズル1003から引き込まれるとき、ネック1019の直径が減少し、それによって液滴を保持している表面張力全体の大きさが減少し、そのため液滴の運動量は、液滴がノズルから吐出されるとき、液滴を切り離すことを可能にするのに十分となる。
【0248】
液滴1016が切り離されるとき、泡1012が崩壊点1017へと崩壊するときに、矢印1020で表されるようなキャビテーション力が生じる。キャビテーションがそこで作用を有する可能性がある崩壊点1017の付近には、固体表面が存在しないことを留意されたい。
【0249】
本発明に適したさらに別のタイプの印刷ヘッドノズル構成を、次に図34〜図36を参照しながら説明する。このタイプは通常、インクを収容するノズルチャンバと、チャンバ内に配置されたパドルに連結される熱屈曲アクチュエータとを有する、インク送達ノズル構成を提供する。熱アクチュエータデバイスは、ノズルチャンバからインクを吐出するように作動される。好ましい実施形態は、伝導トレースの伝導加熱をもたらすための一連の先細部分を備える、特定の熱屈曲アクチュエータを備える。アクチュエータは、ノズルチャンバのスロット付き壁部を通して受けられるアームによって、パドルに連結される。アクチュエータアームは、ノズルチャンバ壁内のスロットの表面と実質的に対合するように、対合形状を有する。
【0250】
最初に図40(a)〜(c)を見ると、本実施形態のノズル構成の基本動作の概略図が提供される。インク入口チャネル503によってインク502が充填された、ノズルチャンバ501が設けられており、入口チャネル503は、ウェハ基板を貫通してエッチングすることができ、その上にノズルチャンバ501が載る。ノズルチャンバ501はさらに、インクメニスカスがその周りに形成される、インク吐出ポート504を備える。
【0251】
ノズルチャンバ501の内側に、パドルタイプデバイス507があり、このデバイスは、ノズルチャンバ501の壁部内のスロットを通じてアクチュエータ508と相互連結される。アクチュエータ508は、ポスト510の端部に隣接して配置された、たとえば509などヒータ手段を備える。ポスト510が、基板に固定される。
【0252】
ノズルチャンバ501から液滴を吐出することが望ましいとき、図34(b)に示すように、ヒータ手段509が、熱膨張するように加熱される。好ましくは、ヒータ手段509自体またはアクチュエータ508の別の部分は、以下の式により定義される高い曲げ性能を有する材料から構築される。
曲げ性能=(ヤング率×(熱膨張係数))/(密度×比熱容量)
【0253】
ヒータ要素のための適当な材料は、ガラス材料を屈曲させるように形成することができる、銅ニッケル合金である。
【0254】
加熱器手段509は、理想的には、ポスト510付近の小さい熱膨張によってパドル端部の大きな運動がもたらされるように、パドル端部507にて作動の作用が拡大されるよう、ポスト510の端部に隣接して配置される。
【0255】
加熱器手段509および結果的なパドル運動によって、インクメニスカス505の周りで全体的な圧力上昇が生じ、メニスカス505は、図34(b)に示すように、急速に膨張する。加熱器の電流は、パルス化され、インクが、インクチャネル503からの流入に加えて、ポート504から吐出される。
【0256】
続いて、パドル507が非作動化され、再びその静止位置に戻る。非作動化によって、インクがノズルチャンバ内へと全体的に補充される。ノズルリム外部のインクの前進運動および対応する逆流によって、液滴512の全体的なくびれおよび切離しがもたされ、液滴が、印刷媒体へと前進する。崩壊したメニスカス505によって、インク流れチャネル503を通じたノズルチャンバ502内へのインクの全体的な吸込が生じる。同時に、ノズルチャンバ501は、図34(a)内の位置が再び実現され、ノズルチャンバが続いて別のインク液滴吐出の容易完了となるように、補充される。
【0257】
図41は、ノズル構成の側部斜視図を示す。図42は、図41のノズル構成のアレイを通る断面図を示す。これらの図では、以前に挿入された要素の番号がそのまま使用されている。
【0258】
まず、アクチュエータ508は、たとえば窒化チタン層517の頂部に形成された上部ガラス部分(非晶質二酸化ケイ素)516を含む、515など一連の先細アクチュエータユニットを備える。あるいは、銅ニッケル合金層(以下白銅と呼ぶ)を使用することができ、これはより高い曲げ性能を有することになる。
【0259】
窒化チタン層517は、先細の形状であり、したがって、ポスト510の端部付近で、抵抗加熱が生じる。隣接する窒化チタン/ガラス部分515は、ブロック部分519にて相互連結され、それによってまた、アクチュエータ508のための機械的な構造支持を提供する。
【0260】
加熱器手段509は、理想的には、加熱時にアクチュエータ508の軸に沿ってみられる曲げ力が最大となるように、細長く、間隔を置いて配置された、複数の先細アクチュエータユニット515を備える。隣接する先細ユニット515間にスロットが画成され、それによって、各アクチュエータ508の動作を、隣接するアクチュエータ508に対してわずかに差別化することが可能になる。
【0261】
ブロック部分519は、アーム520に相互連結される。次いでアーム520は、たとえばノズルチャンバ501の側部内に形成された522などスロットによって、ノズルチャンバ501内のパドル507に連結される。スロット522は、アーム520の周りでインクが流出する機会が最低限に抑えられるように、一般にアーム520の表面と対合するように設計される。インクは一般に、スロット522の周りの表面張力効果によって、ノズルチャンバ501内で保持される。
【0262】
アーム520を作動させることが望ましい場合、ノズル構成のための必要な電力および制御回路を提供する下方CMOS層506に接続される、ブロック部分519内で、窒化チタン層517を通して導電電流が流される。導電電流は、ポスト510に隣接する窒化物層517の加熱をもたらし、それによって一般に、アーム520の上向きの屈曲がもたらされ、その結果インクがノズル504から吐出される。吐出された液滴は、上記のようなインクジェットプリンタの通常のやり方で、ページ上に印刷される。
【0263】
ノズル構成のアレイは、単一の印刷ヘッドを作り出すように形成することができる。たとえば、図42に、印刷ヘッドアレイを形成するように、交互配置されたライン状に配置された多数のインク吐出ノズル構成を備える、部分的に断面図である様々なアレイの図を示す。当然、フルカラーアレイなどを含めて、様々なタイプのアレイを考案することができる。
【0264】
説明される印刷ヘッドシステムの構造は、その内容が相互参照により完全に組み込まれる、「画像生成方法および装置(Image Creation Method and Apparatus)(IJ41)」という名称の、本出願人の米国特許第6,243,113号に記載されたようなステップを適当に修正することにより、標準的なMST技術を用いて作り出すことができる。
【0265】
集積回路74は、集積回路の長さおよび必要とされる所望の印刷特性に応じて、その表面に沿って配列される、5000個から100000個の上記インク送達ノズルを有するように、構成することができる。たとえば、幅が狭い媒体用には、所望の印刷結果を実現するために、わずか5000個のノズルを印刷ヘッドアセンブリの表面に沿って配列することができるが、より幅が広い媒体用には、所望の印刷結果を実現するために、最小で10000個、20000個、または50000個のノズルを、印刷ヘッドアセンブリの長さに沿って提供することが必要なことがある。A4または米国レターサイズ媒体上の、1600dpiまたは約1600dpiのフルカラー写真品位画像のために、集積回路74は、1色につき13824個のノズルを有することができる。したがって、印刷ヘッドアセンブリ22が4色(C、M、Y、K)の印刷能力を有する場合、集積回路74は、その表面に沿って配置される約53396個のノズルを有することができる。さらに、印刷ヘッドアセンブリ22が6種の印刷流体(C、M、Y、K、IRおよび定着剤)の印刷能力を有する場合、集積回路74の表面上に、82944個のノズルが設けられることになることがある。そのような構成すべてにおいて、各ノズルをサポートする電子部品は同一である。
【0266】
次に、個々のインク送達ノズル構成を印刷ヘッドアセンブリ22内で制御することができるやり方を、図37〜図46を参照しながら説明する。
【0267】
図43は、集積回路74の概要、および印刷エンジン1の制御電子部品内に設けられた(上記)SoPECデバイスへのその接続を示す。上記で議論したように、集積回路74は、各ノズルを発射させるための反復ロジックを含むノズルコアアレイ901、およびノズルを発射させるためのタイミング信号を生成するためのノズル制御ロジック902を備える。ノズル制御ロジック902は、高速リンクを通じてSoPECデバイスからデータを受け取る。
【0268】
ノズル制御ロジック902は、印刷のためにシリアルデータをノズルアレイコアへと、電気コネクタの形とすることができるリンク907を通じて送るように構成される。ノズルアレイコア901についての状態およびその他の動作情報は、電気コネクタ上に設けることができる別のリンク908を通じて、ノズル制御ロジック902へと送り返される。
【0269】
ノズルアレイコア901を、図44および図45により詳細に示す。図44において、ノズルアレイコア901が、ノズル列911のアレイを有することが理解されるであろう。アレイは、発射/選択シフトレジスタ912、ならびに、それぞれ対応するドットシフトレジスタ913によって表される、最高6つの色チャネルを備える。
【0270】
図45に示すように、発射/選択シフトレジスタ912は、順方向経路発射シフトレジスタ930、逆方向経路発射シフトレジスタ931、および選択シフトレジスタ932を備える。各ドットシフトレジスタ913は、奇数ドットシフトレジスタ933および偶数ドットシフトレジスタ934を備える。奇数シフトレジスタ933および偶数シフトレジスタ934は、データが奇数シフトレジスタ933を通じて一方向でクロック制御され、次いで偶数シフトレジスタ934を通じて逆方向でクロック制御されるように、一端部にて接続される。最終以外のすべての偶数ドットシフトレジスタ出力は、マルチプレクサ935の1つの入力へと供給される。マルチプレクサのこの入力は、製造後のテスト中に、信号(corescan)によって選択される。正常な動作では、corescan信号は、マルチプレクサ935のその他の入力に供給される、ドットデータ入力Dot[x]を選択する。これによって、各色のためのDot[x]が、それぞれのドットシフトレジスタ913へと供給される。
【0271】
次に、図46を参照しながら、単一の列Nを説明する。図示の実施形態では、列Nは、6つのドットシフトレジスタそれぞれのための奇数データ値936および偶数データ値937を含む、12個のデータ値を備える。列Nはまた、順方向発射シフトレジスタ930からの奇数発射値938、および逆方向発射シフトレジスタ931からの偶数発射値939を備え、それらはマルチプレクサ940への入力として供給される。マルチプレクサ940の出力は、選択シフトレジスタ932内の選択値941によって制御される。選択値が0である場合、奇数発射値が出力され、選択値が1である場合、偶数発射値が出力される。
【0272】
奇数データ値936および偶数データ値937は、それぞれ奇数ドットラッチ942および偶数ドットラッチ943に対応する入力として提供される。
【0273】
各ドットラッチ、およびその関連データ値は、ユニットセル944など、ユニットセルを形成する。ユニットセルを、図46により詳細に示す。ドットラッチ942は、データ値936の出力を受け取るDタイプフリップフロップであり、この出力は、奇数ドットシフトレジスタ933の要素を形成するDタイプフリップフロップ944によって保持される。フリップフロップ944へのデータ入力は、(考慮される要素が、この例ではその入力がDot[x]値となる、シフトレジスタ内の第1の要素でなければ)奇数ドットシフトレジスタ内の以前の要素の出力から提供される。データは、LsyncL上に供給される負のパルスを受け取ると、フリップフロップ944の出力から、ラッチ942内へとクロック制御される。
【0274】
ラッチ942の出力は、3入力ANDゲート945への入力のうちの1つとして提供される。ANDゲート945への別の入力は、(マルチプレクサ940の出力からの)Fr信号、およびパルスプロファイル信号Prである。ノズルの発射時間は、パルスプロファイル信号Prによって制御され、たとえば、(取外し可能な電源実施形態において)低電力供給により生じる低電圧状態を考慮して延長することができる。これは、比較的一定の量のインクが、各ノズルが発射されるときそこから有効に吐出されることを保証するためのものである。説明される実施形態では、プロファイル信号Prは、各ドットシフトレジスタで同一とすることができ、それによって、複雑性、コスト、および性能の間のバランスがもたらされる。ただし、別の実施形態では、Pr信号は、全体的に印加することができ(すなわちすべてのノズルに対して同一となる)、あるいは、各ユニットセルまたさらには各ノズルに対して個別に調整することができる。
【0275】
データがラッチ942内にロードされると、発射イネーブルFr信号およびパルスプロファイルPr信号が、ANDゲート945に印加され、結合されて、ロジック1を含む各ラッチ942ごとにインクのドットを吐出するようノズルをトリガする。
【0276】
各ノズルチャネルのための信号を、以下の表において概説する。
【表4】
図46に示すように、発射信号Frは、現在の列内の1つの色、後続の列内の次の色などの発射をイネーブルするために、対角線上に送られる。これは、電流需要を、時間遅延させたやり方で6つのコラム上に分散させることによって平均化する。
【0277】
ドットラッチおよび様々なシフトレジスタを形成するラッチは、この実施形態では十分に静的であり、CMOSベースである。ラッチの設計および構造は、集積回路工学および設計の当業者によく知られているので、この文書では詳細に説明しない。
【0278】
ノズル速度は、毎分約60ページ、またはより高速でそれより多く印刷することができるプリンタユニット2で、20kHz程とすることができる。この範囲のノズル速度では、印刷ヘッドアセンブリ22全体から吐出することができるインクの量は、毎秒少なくとも約50000000滴である。ただし、より高速およびより高品質の印刷を提供するためにノズルの数が増加されるとき、少なくとも毎秒100000000滴、好ましくは少なくとも毎秒500000000滴、およびより好ましくは少なくとも毎秒1000000000滴を、送達することができる。そのような速度にて、インク液滴は、ノズルによって、1つの液滴につき約250ナノジュールの最大液滴吐出エネルギーを用いて吐出される。
【0279】
したがって、これらの速度での印刷に対応するために、制御電子部品は、ノズルが同等の速度でインク液滴を吐出するべきであるかどうかを決定することができなくてはならない。これに関して、いくつかの例では、制御電子部品は、ノズルが毎秒少なくとも50000000定量の速度でインクの液滴を吐出するべきであるどうかを決定することができなければならない。これは、より高速かつより高品位の印刷用途のために、毎秒少なくとも100000000定量、または少なくとも毎秒500000000定量、および多くの場合に、少なくとも1000000000定量へと増大することがある。
【0280】
本発明のプリンタユニット2では、印刷ヘッドアセンブリ22上に設けられる上記範囲の数のノズルは、ノズル発射速度および印刷速度と併せて、少なくとも毎秒50cm2、また印刷速度に応じて少なくとも毎秒100cm2、好ましくは少なくとも毎秒200cm2、より好ましくはより高速で、少なくとも毎秒500cm2の面積印刷速度をもたらす。そのような構成によって、以前に従来のプリンタユニットを用いて到達不可能であった速度にてある面積の媒体を印刷する能力を有する、プリンタユニット2が提供される。
【0281】
保守アセンブリ
保守アセンブリ23を図47〜図50に詳細に示す。これは、図8において上記で示したように、印刷ヘッドアセンブリ22に隣接して配置されるように、主本体20のポスト26間に取り付けられる。
【0282】
保守アセンブリ23は、一般に、アセンブリの様々な構成要素をその中に受ける、保守シャシ88からなる。保守シャシ88は、端部が開いたチャネルの形であり、その端部にて1対の上向きに延びる舌部89を有し、舌部89は、主本体20のポスト26を覆って嵌り、保守アセンブリ23を定位置に固定するように舌部上に設けられた保守突起と係合するように、形状付けされる。保守シャシ88は、プレスされた鋼板など、剛性および弾性を有する適当な金属材料から製作される。
【0283】
図49により明らかに示される保守シャシ88の基部は、中央に配置された除去部分90、窓部分92、および、窓部分92の両側から延びるばねアーム91を備える。一体ばねアーム91は、シャシ88の内部へと傾斜し、シャシの板金をプレスすることによって形成される。当然、ばねアーム91は同様に、シャシ88の開いたチャネル内に配置される別個の挿入物とすることもできる。
【0284】
剛性の挿入物93が、保守アセンブリ23にさらなる剛度をもたらすために、シャシ88内に嵌るように設けられる。キャッチ要素94が、剛性の挿入物の基部から突出し、シャシ88内に剛性の挿入物93が配置されるときに、シャシ88の中央に配置された除去部分90内へと延びる。キャッチ要素94は、以下で説明するように、保守アセンブリを、蓋をされた状態と蓋をされていない状態の間で動かすように設けられる。下方保守成形物95が、挿入物93内に配置されており、下方保守成形物95の側部に沿って形成された多数のラグ96と、挿入物93の側部に沿って設けられた対応するスロット97との係合によって、挿入物内に保持される。下方保守成形物95は、適当な可塑性材料から製作され、閉じた端部および開いた頂部を有する本体を形成する。下方保守成形物95の端部に、空気孔98が設けられる。空気穴98からの空気は、保守アセンブリを通気するために、フィルタ181を通って流れる。
【0285】
2つのピン要素99が、下方保守成形物95の基部から延びる。ピン要素99は、下方保守成形物の基部に対するピン要素99の多方向相対運動が可能になるように、ゴムなど可撓性のウェブによって基部へと連結される。ピン要素99は、剛性の挿入物93の基部内の2つの円形開口100を貫通し、保守シャシ88の窓部分92内へと進む。
【0286】
下方保守成形物95内のピン要素99上で、リテイナ挿入物101が支持される。リテイナ挿入物101は、被覆鋼板であり、その中に保持される吸収媒体102のストリップのための、剛性支持を提供する。吸収媒体102は、一般に、2つのほぼ水平部分の間から上向きに延びる薄い垂直部分である、個別の部分の逆さまのT字形アセンブリである。吸収媒体102は、ウレタンフォームなど、インクを吸収および保持することができるいかなるタイプの材料から製作することもできる。
【0287】
マイクロファイバ織物103が、薄い垂直部分を覆って2つの水平部分の周りに嵌り、次いで、吸収媒体102を保持するために、リテイナ挿入物101に取り付けられる。マイクロファイバ織物103は、吸収媒体102内に引き込まれる。
【0288】
上方保守成形物104は、マイクロファイバ織物103、吸収媒体102、およびリテイナ挿入物101を、下方保守成形物95との間に取り囲むために、下方保守成形物95を覆って嵌る。上方保守成形物104は、その底面に沿って、適当な接着材によって下方保守成形物95の表面に取り付けられる。上方に突出するリム部分105は、マイクロファイバ織物103によって覆われた吸収媒体102の薄い垂直部分を越えて延びる。リム部分105は、上方保守成形物104が印刷ヘッドアセンブリに接触して蓋をすることになるときに、印刷ヘッドアセンブリ22のノズルを封止するための、開いた周囲封止部を画成する。
【0289】
この構成では、上方保守成形物104、マイクロファイバ織物103、吸収媒体102、リテイナ挿入物101、下方保守成形物95、および剛性挿入物93は、保守シャシ88内に嵌り、そのばねアーム上で支持されるようになされる、蓋ユニットを形成する。このユニット内で、マイクロファイバ織物103、吸収媒体102、およびリテイナ挿入物101は、ピン要素99上で支持される、下方保守成形物95と上方保守成形物104とによって画成される空間内で運動可能な、サブユニットを形成する。
【0290】
図47に示すように、蓋ユニットは、上方保守成形物104を覆って嵌りシャシ88を固定するリテイナ要素106を用いて、定位置に保持される。リテイナ要素106は基本的に、その上面に沿って形成されたスロット107を有する、端部が開いたチャネルの形であり、それを通って、上方保守成形物104のリム部分105が突出し、印刷ヘッドアセンブリ22に蓋をして係合することができる。リテイナ要素106の上面は、湾曲しており、印刷中に媒体案内部として働く。
【0291】
このようなやり方で組み立てられるとき、保守アセンブリ23の構成要素は、上方保守成形物104が、印刷ヘッドアセンブリ22に蓋をするためにリテイナ要素106に対して動くことができ、マイクロファイバ織物103および吸収媒体102が、印刷ヘッドアセンブリ22のノズル表面に接触しそれを拭くために上方保守成形物に対して動くことができるように、リテイナ要素106およびシャシ88内に収容される。
【0292】
保守アセンブリ23を組立て、主本体20のポスト26へと取り付けるとき、剛性挿入物のキャッチ要素94は、シャシ88の中央除去部分90から延びる。ばねアーム91の作用により、保守ユニット23は(上記で規定したように)、シャシ88の基部から持ち上げられ、そのため上方保守成形物104のリム部分105が、リテイナ要素106のスロット107を通って延び、印刷ヘッドアセンブリ22に接触して蓋をする。この状態を図50に示し、蓋をした状態と呼ぶ。ここで印刷ヘッドのノズルは、リム部分105内のほぼ閉じられた環境内に封止され、乾燥およびインクの詰まりが生じにくくなる。環境は、ほぼ閉じられているが完全には閉じられず、そのため保守アセンブリは、リム105内に生み出される緩やかな吸引による、蓋をしない状態への移動が妨げられない。
【0293】
印刷ヘッドアセンブリ22のノズル付近に存在する何らかの紙くずまたはその他の粒子状物質を除去するために、印刷ヘッドの表面を、マイクロファイバ織物103によって拭くことができる。これを実行するために、受け台ユニット内に存在するワイパアクチュエータが、シャシ88の窓部分92内へと延び、下方保守成形物95の基部内に設けられたピン要素99と接触する。ワイパアクチュエータによってピン99上にもたらされる上向きの力は、ピン99をリテイナ挿入物101に対してさらに突出させ、それによって、マイクロファイバ織物103により被覆される吸収媒体102の垂直部分が、上方保守成形物104のリム部分105内へと、またそれを越えてノズル付近で印刷ヘッドアセンブリ22の表面に接触するまで延びる。マイクロファイバ織物103の存在は、接触が最小限に抑えられることを保証し、印刷ヘッドアセンブリ22の表面上に存在する、吸収媒体102内に保持されるべきインクまたは水分を吸引する。ピン99は、いかなる方向にも自由に動くことができるので、ワイパアクチュエータのいかなる横方向運動によっても、マイクロファイバ織物103がノズルの表面を横方向に横断して動かされ、したがって拭き取りまたは清浄化機能が実行される。次いでワイパアクチュエータの解除によって、構成は、マイクロファイバ織物103および吸収媒体102がリム部分105の表面の下方となる位置へと、戻される。
【0294】
印刷を実行するために、保守アセンブリ23を、蓋をした状態から印刷状態へと動かさなければならない。これは、保守アクチュエータが、シャシ88の中央除去部分90を通って突出するキャッチ要素94を把持し、それに対して下向きの力を加えることによって実現される。この下向きの力によって、剛性の挿入物93が、シャシ88のばねアーム91に逆らって、シャシの基部に向かって動かされる。この運動によって、上方蓋成形物104の上方リム部分105は、リテイナ要素106の外面と面一になりそこから突出しないように、リテイナ要素106内に形成されたスロット107内へと収縮する。リテイナ要素106が動かず、定位置に固定されることが、理解されるであろう。これによって、リテイナ要素106と印刷ヘッドアセンブリ22との間に隙間が生み出され、そこを、印刷のために媒体が通過することができる。印刷状態または蓋をしていない状態において、リテイナ要素106は、媒体案内部として作用し、媒体は、リテイナ要素に接触し、印刷のために印刷ヘッドアセンブリを通過するとき、リテイナ要素106の表面上で支持される。
【0295】
受け台ユニット
受け台ユニット12を、図6および図7を比較しながら示す。受け台ユニット12は、一般に、カートリッジユニット10を受けるための開口14を画成する主本体13と、開口を閉じてカートリッジユニット10を受け台ユニット12内で定位置に固定するようになされた、カバーアセンブリ11からなる。
【0296】
受け台ユニット12の主本体13は、図51Aおよび図51Bに示すように、フレーム構造110を備える。フレーム構造110は、一般に、2つの端部プレート111、および各端部プレート111を連結させる基部プレート112を備える。カートリッジユニット10が主本体13内に保持されるときに、それが駆動ローラ113と出口ローラ114との間に配置されるように、駆動ローラ113および出口ローラ114は、それらの対向端部にて端部プレート111間に取り付けられる。駆動ローラ113および出口ローラ114はそれぞれ、ブラシなし直流電動機115によって駆動され、ブラシなし直流電動機115は、端部プレート111の一方に取り付けられ、駆動ベルトなど駆動機構116によって、駆動ローラおよび出口ローラをそれぞれ駆動する。そのようなシステムによって、駆動ローラ113および出口ローラ114の両方が同じ速度で駆動されることが保証されて、印刷エンジン1を通りカートリッジユニット10の印刷ヘッドアセンブリ22を通過する媒体の、円滑かつ安定した移動が保証される。
【0297】
保守駆動アセンブリ117が、直流電動機107の反対側の、もう一方の端部プレート111に取り付けられる。保守駆動アセンブリ117は、保守歯車119およびワイパ歯車120に動作可能に連結された、電動機118を備える。保守歯車119は、鉤状の端部を有するロッドの形である保守アクチュエータ121に連結され、保守アクチュエータは、基部プレート112内の距離を延びる。保守アクチュエータ121の鉤状端部は、蓋をした状態と印刷状態の間で上方リム部分105を昇降させるように、保守アセンブリ23のキャッチ要素94内で受けられるよう形状付けされる。ワイパ歯車120は、同様に、ロッドの形でありそこから突出する1対の突起を有する、ワイパアクチュエータ122に連結される。ワイパアクチュエータ122は、同様に基部プレート112内で延び、突起は、保守アセンブリ23のピン要素99と接触するように保守シャシ88の基部内に形成された窓部分92と位置合せされるよう、ワイパアクチュエータ122に沿って位置決めされる。
【0298】
保守駆動アセンブリ117を、図52Aおよび図52Bに分離して示す。電動機118は2方向性であるので、電動機の一方向での動作によって、ワイパ歯車120は、図52Aに示すように反時計回り方向に動かされる。ワイパ歯車120は、その表面上に形成された高くなった部分123を有し、高くなった部分123は、ワイパ歯車120が回転するときにワイパアクチュエータのアーム124と接触する。高くなった部分123がアーム124に接触するとき、ワイパアクチュエータ122は、その上に形成された突起が、保守シャシ88内の窓部分92を通って上方向に、ピン要素99に逆らって動くように枢動し、それによってマイクロファイバ織物103が、印刷ヘッドアセンブリの表面に押し付けられる。ワイパ歯車120のさらなる回転によって、アーム124はその中立位置に戻される。ワイパ歯車120上に形成された、追加の傾斜し高くなった部分125の存在により、ワイパアクチュエータ122に横方向運動を加えることができ、そのときアーム124によって、ワイパアクチュエータ全体が、戻りばね126に逆らって横方向に動かされる。印刷ヘッドの状態を容易に決定することができるように、ワイパアクチュエータの位置を感知するために、センサ要素127が設けられる。
【0299】
印刷ヘッドアセンブリ22の蓋をした状態を制御するために、電動機118が反転され、それによってワイパ歯車120は、図52Aに示す時計回り方向、および図52Bに示す反時計回り方向に動かされる。ワイパ歯車120のこの方向での回転によって、ワイパアクチュエータが、保守アセンブリ23から離れて下方向に枢動することが保証される。ただし、図52Bにより明確に示すように、この回転によって、ワイパ歯車120の内面上に設けられたフリッパ歯車128が、保守歯車119に係合し、それによって保守歯車119を、(図52Bに示すような)反時計回り方向に回転させる。同様に、保守歯車119の内面上に形成された突起129が、保守アクチュエータ121の枢動アーム130に接触し、それによって保守アクチュエータの鉤状端部が、下方向に動かされ、保守アセンブリ23のキャッチ要素94を把持し、それによって上方リム部分105の反応を生じ、印刷状態を開始させる。同様に、センサ要素127は、電動機118の動作、したがって印刷ヘッドの所望の状態を制御するために、保守アクチュエータの位置を感知することができる。
【0300】
図51Aおよび図51Bを再び参照すると、カートリッジユニット10を受け、受け台ユニット12内へと案内するのを助けるために、1対のカートリッジユニット案内部131が、端部プレート111に取り付けられる。案内部131は、カートリッジユニット10が受け台ユニット12に対して正しく向けられるよう、カートリッジユニット10の表面を受けるように傾斜する。
【0301】
印刷エンジンの動作および印刷ヘッドアセンブリ22のIC50を制御するための制御電子部品が、プリント回路基板(PCB)132上に設けられる。図51Aに示すように、PCB132の一方の面は、SoPECデバイス133と、外部供給源から受け取ったデータおよび電力を受け取りかつ分配するための、関連構成部品134とを備え、PCBのもう一方の面は、その下方縁部に沿った電気接点135の列を備え、それによって、電力およびデータ信号を、印刷ヘッドアセンブリ22のノズルを制御するために、フレキシブルPCB79上の対応する電気接点へと送信するための手段をもたらす。
【0302】
図53の分離図に示すように、PCB132は、PCBアセンブリ140の一部を形成し、2つのアーム136の間に取り付けられ、各アームは、PCB132を受け定位置に保持するための、爪部分137を有する。図54に示すように、各アーム136は、その上部に形成された、引張ばね142の鉤部分を受けるための溝141を有する。その目的は、以下で説明する。
【0303】
PCB132が2つのアーム136の間に取り付けられるときに、PCB132に安定性をもたらすために、支持棒138が、PCB132の底縁部に沿って、SoPECデバイス133および関連する構成部品134を収容する面上で、アーム136およびPCBに固定される。支持棒138は、その下面に沿って取り付けられた、複数のスターホイール139を有する。スターホイールは、図51Aに示すようにPCBアセンブリ140が端部プレート111に取り付けられるときに、出口ローラ114の表面を把持するために、スターホイールが支持棒の下面に対して相対的に動くことができるようにばね装荷される。
【0304】
図55Aに示すように、熱シールド143が、SoPECデバイス133を実質的に覆い、プリンタユニット2の付近内で起こり得る電磁干渉(EMI)からSoPECデバイスを保護するように、PCB132に取り付けられる。熱シールド143はまた、その中に設けられたラッチ機構144を有し、ラッチ機構144は、図55Aに示すように、カバーアセンブリを閉位置に固定するために、カバーアセンブリ11上に設けられるクリップと対合する。
【0305】
PCBアセンブリ140は、アーム136の底部に設けられた枢動点141にて、端部プレート111に枢動式に取り付けられる。この構成では、電気接点135がフレキシブルPCB79の電気接点から離隔され、カートリッジユニット10を受け台ユニット12から容易に取り外すことができる開位置と、電気接点135が、印刷ヘッドアセンブリ22のノズルからの印刷が容易になるように制御データおよび電力を伝達するために、フレキシブルPCB79上に設けられた電気接点と動作可能に接触する閉位置との間で、PCBアセンブリ140を、その枢動点141の周りで回動させることができる。
【0306】
図55Bに示すように、アイドルローラアセンブリ145が、受け台ユニット12の後部にて端部プレート111に固定されており、駆動ローラ113の表面に接触しそれと共に回転するように位置決めされた、複数のローラホイール152を備える。アイドルローラアセンブリ145は、プリンタユニット2のピッカ機構9から印刷エンジン1に与えられる何らかの媒体を、印刷のためにカートリッジユニット10の印刷ヘッドアセンブリ22を通過して移送するために、駆動ローラ113とアイドルローラアセンブリ145のローラホイール146との間で把持することを保証する。
【0307】
図55Aおよび図55Bにその閉状態で示すカバーアセンブリ11は、その上方後部にて、端部プレート111に枢動式に取り付けられる。1対の取付けプレート147が、カバーアセンブリをピン148によって端部プレート111に取り付けるために、カバーアセンブリ11から延びる。取付けプレート147は、ピン148を越えて延び、その中に形成された穴を有し、図54に関して上記で議論したような引張ばね142の自由端部が、その中で受けられる。
【0308】
カバーアセンブリ11が、図55Bに示すように閉位置にあるとき、ばねに最大の張力がかかり、それによってPCBアセンブリ40が、図56Aの断面図に示すような閉位置に向かって枢動させられる。この位置で、PCB132の電気接点135は、電力およびデータ信号をそれらの間で伝達することができるように、印刷ヘッドアセンブリ22のフレキシブルPCB79の対応する電気接点と動作可能に接触する。
【0309】
カバーアセンブリが図55Cに示すようなその開位置に動かされるとき、取付けプレート147は、受け台アセンブリの前方に向かって枢動し、それによって、ばね142内の張力が解放され、ばねが緩められる。これによって、PCBアセンブリが、図56Bに示すような開位置へと、離れて枢動する。この位置では、PCB132の電気接点135は、印刷ヘッドアセンブリ22のフレキシブルPCB79の対応する接点と接触しなくなるように動き、それによって、カートリッジユニット10を受け台ユニット12から取り外すことが可能になる。
【0310】
これに関して、カバーアセンブリ11の開/閉動作もまた、カートリッジユニット10と受け台ユニット12の間を電気的に非接続にし/接続する機能を実行する。
【0311】
図55A〜図55Cを再び参照すると、カバーアセンブリ11は、その上面内に形成された多数の合体ポート149を備える。図示の実施形態では、5つの合体ポート149が設けられ、各合体ポートは、インク保管モジュール45のうちの1つに対応する。各合体ポート149は、インク保管モジュール45へと補充インクを供給するためのインク補充ユニットを受けるように形状付けされた、上向きに突出するリップ部分を有する。図55Cにより明確に示すように、各合体ポート149は、その中に設けられた、大きいほぼ円形の開口151と、2つの小さい円形開口152を有し、それによって、以下で説明するようなやり方で、インク補充ユニットとカートリッジユニット10との間でインクを送達することが可能になる。
【0312】
4つのT字形開口182が、補充部上のバッグ圧迫器アクチュエータを受けるように、各合体部分149の隅部に位置決めされている。これらは、インク保管モジュール45に関して上記で簡単に議論したが、以下でより詳細に説明する。
【0313】
補充ユニット
図57A〜図57Cは、補充インクをカートリッジユニット10に供給するための、インク補充ユニット155を示す。インク補充ユニット155は、内部インク補充構成要素を収容する基部アセンブリ156と、基部アセンブリ156を覆って嵌るカバー157とを備える、ユニットとして設けられる。基部アセンブリおよびカバーは、可塑性材料から成形することができ、基部アセンブリ156は、単一部片または複数の区間として成形することができる。
【0314】
図57Bにより詳細に示す基部アセンブリ156の下面は、そこから突出するリッジ部分160を備えており、インク補充ユニットを合体位置に保持するように、カバーアセンブリ11内に形成された合体ポート149と対合する。ほぼ円筒形のインク出口158もまた、インクをカートリッジユニット10に送達するために、基部アセンブリの下面から突出する。2つの弁作動ピン159もまた、インク保管モジュール45の入口および出口弁のそれぞれを作動させるために、基部アセンブリ156の下面から突出する。図示の実施形態では、2つの弁作動ピン159は、一方向性の良好な曲げ耐性および座屈強度のための、三つ又断面を有する。QAチップ161もまた、基部アセンブリ156の下面から突出するように設けられ、その上で露出する複数のQAチップ接点162を有し、チップ接点は、インク補充ユニット155がカバーアセンブリ11と合体するときに、カバーアセンブリ11内に設けられたQAチップリーダによって読み取られる。
【0315】
圧迫器アクチュエータ190が、基部アセンブリ156の各隅部に隣接して突出する。圧迫器アクチュエータ190は、それらの端部が、わずかに弧状で丸くなっている。カートリッジユニット10の頂部42内にある圧迫器開口60(図14参照)が、それに対応して弧状となっている。端部が丸まっており弧状の断面を有することによって、使用者が、1つの圧迫器アクチュエータ190をその対応する開口60と位置合せすることが容易に可能になり、湾曲した表面によって、その他の圧迫器アクチュエータ190が直観的に案内され、それらそれぞれの開口60と位置合せされる。これは、補充ユニットを界面61と、迅速に、かつ使用者による細かい位置決めを最小限に抑えて合体させるのに役立つ。図57Bに最もよく示すように、各圧迫器アクチュエータ190は、片持ち補強部191を有する。これによって、圧迫器アクチュエータ190に、補充ユニットを合体ポートと位置合せするときに使用者が過度な力を加えた場合の、大きな横方向の力に耐えるための高度な曲げ強度が与えられる。
【0316】
図12を参照しながら上記で説明したように、圧迫器アクチュエータ190は、インク保管モジュール45のバッグ圧迫器43を作動させる。
【0317】
基部アセンブリ156もまた、充填ポート192を有する。バッグ163は、このポートを通してその最初のインク装入を受け取り、次いでポートは、可塑性封止ボール193によって封止される。
【0318】
図57Cの分解図を参照すると、インクバッグ163が、補充インクをその中に保管するために基部アセンブリ156の内面に封止され、インクがインク補充ユニット155に供給され/そこから取り出されるときにインクバッグ163が拡張/収縮することを可能にする、変形可能な材料から製作される。インク送達針164が、バッグ163と基部アセンブリ156の間に設けられた空間内へと延び、インクが出口158へと流れるための通路を提供する。インク送達針164の端部は、円筒形出口158内へと延び、円筒形出口158の開いた端部内で圧縮ばね166によってばね装荷される、封止リング165によって取り囲まれる。インク補充ユニット155が、カートリッジユニット10と合体されていないとき、送達針は、封止リング165によって保護される。さらなる注意として、可塑性キャップ187が、出口を覆って摺動し、わずかな締り嵌めによって定位置に保持される。
【0319】
インク量指示器167もまた、インク補充ユニット155のカバー157内に設けられる。インク量指示器167は、着色された区間など指示部分168を有する、可撓性ストリップを備える。バッグ163内のインク供給部が使い果たされたとき、すなわちバッグが実質的に空になったときに、指示部分168が、カバー157の頂面内に設けられた透明の窓169と位置合せされるように、ストリップは、その端部にて変形可能なインクバッグ163の上面へと、またその中心にてカバー157の下面へと取り付けられる。これに関して、その他いかなるときにも、すなわちバッグが実質的に空であるとき以外は、支持部分は見えないように隠される。
【0320】
インクが分配されるとき、インクバッグ材料はその性質により、非均一なやり方で変形され収縮する。バッグの上面の各縁部は、同じ割合では収縮しにくい。したがって、インク量指示器167の長さは、変形可能なバッグの上面のすべての縁部が完全に収縮したとき、指示部分168がカバー157内の窓169とのみ位置合せされることを、保証するものである。これに関して、インク量指示器ストリップ182は、最初は折曲げられた状態であり、指示部分168は、バッグ163が満たされているときに窓169から隠されるように、ストリップ182上に配置される。ストリップ167は、両端部がバッグの上面の対向縁部に取り付けられる。両端部の中間点(図示せず)が、透明窓169の下に固定される。バッグ46が完全に収縮すると、ストリップ167は伸びて広がる。これによって、以前は隠されていた指示部分168が窓169を通して見えるようになる。インク量指示器167を使用すると、補充ユニットが完全に使い尽くされていない場合に、1つの補充ユニット155を多数の補充動作に使用することができる。これは、1回の動作でカートリッジユニット10の対応するインク保管モジュール45を補充するために必要なインクの量が、補充ユニットの容量よりも少ないときに生じることがある。
【0321】
カバー157は、基部アセンブリ156の部分を覆って嵌り、インクバッグ163およびインク量指示器167を取り囲む。同様に、U字形の合体留め具183は、合体するときにその脚部が基部アセンブリ156を越えて延びカートリッジユニット10に係合するように、カバー157を覆って嵌る。留め具183の対向脚部上のクリップ170が、カートリッジユニット10の側部上にパチッと係止する。これによって、実質的に固定された保充ユニット155が、インクを確実かつ効率的に移送するために、カバーアセンブリ11に対して保持される。
【0322】
対向する1対の板ばね184が、カバー157の側部を押し付けるように、U字形留め具のそれぞれの脚部の内側から延びる。カバー157の側部上の支点リッジ186に係合するように設計された、枢動部185が、各板ばねに隣接する。これによって脚部が外向きに押されるが、枢動部185が支点186に係合するとき、クリップがてこによって内側に動かされて、カートリッジユニット10との係合を維持する。
【0323】
ラベルパネル188が、留め具183の外面に固定される。ラベルパネル188は、商標およびその他の情報を表示することができる。これはまた、補充部内のインクと一致するように着色することができる。ラベルパネル188はまた、各脚部上に、指把持パッド189を有する。指把持パッド189は、それらの点での指の圧力が板ばね184の力を上回り、クリップ170がてこによってカートリッジユニット10との係合から外されるように、位置決めされる。次いで補充ユニット155を、カバーアセンブリ11の合体ポート149から引き抜くことができる。
【0324】
図58は、カートリッジユニット10のインク保管モジュールアセンブリ21の1つの界面61と直接合体される、補充ユニット155を示す。カバーアセンブリ11および受け台ユニットの残りの部分は、わかりやすくするために削除した。補充ユニット155は、それを合体ポート149内に1つの特定の向きでのみ受けることができるように、形状付けされ、または「合わせられる(keyed)」。U字形留め具183の各脚部の端部は、使用者がユニット155を前後逆に合体させようと試みにくいように、幅が有意に異なる。円筒形インク出口158は、同様に補充ユニット155の前後逆の合体を妨げるために、横方向中心線からずれている。上記で議論したように、合体ポート149の基部は、円筒形インク出口158がその中で受けられ大きい円形開口151と弁アクチュエータ159がその中で受けられる2つのより小さい開口152を有する。それらの相互作用する要素それぞれの断面は、各特定のインク保管モジュール45を補充するために、正しい色のインク補充ユニットを正しい向きでのみ使用することができるように、形状付けられる。たとえば、弁アクチュエータ159の2つの三つ又断面をそれぞれ回転させて、それぞれ一致する回転向きで対応する三つ又開口とのみ対合する、多数の組合せをもたらすことができる。
【0325】
補充ユニット155のQAチップ161のQAチップ接点162との対合、およびそこに記憶された情報の読込みおよび受取りのために、QAチップリーダ172もまた、合体ポート149の基部内に設けられる。そのような情報は、補充ユニット155の保管容量(たとえば約30から約50ml)、補充ユニット155内に収容されるインクの色、およびインク補充ユニット155内に収容されるインクの供給源を含むことができる。情報は、補充ユニット155が合体ポート149内の定位置に合体するときに、受け台ユニット12の制御回路へと容易に転送することができる。たとえば、受け台ユニット12の制御回路は、補充を容易にするために、どのインク保管モジュール45が補充を必要としているか、および補充ユニット155が正しいタイプ/色および量のインクを収容しているかどうかを決定することができる。
【0326】
図59により明確に示すように、各インク保管モジュール45の弁挿入物49(図10参照)は、インク入口15が、合体ポート149内に形成された大きい円形の開口151と位置合せされ、インク入口弁16およびインク出口弁18が、それぞれ三つ又開口152と位置合せされるように、構成される。インク補充ユニット155が、合体ポート149内の定位置に配置されるとき、補充ユニット155のインク出口158が、インク保管アセンブリ45のインク入口15に接触し、弁アクチュエータピン159が、インク入口弁16およびインク出口弁18のそれぞれと接触する。
【0327】
この位置では、インク送達針164は、ばね装荷された封止リング165が円筒形インク出口158内で収縮するとき、インク出口15の表面の周りに緊密な封止部を形成するように、弁挿入物49のインク入口15を貫通する。封止リング165は、インク送達針164上に「乗る」ことができ、補充ユニット155を合体ポート149から取り外すとき、封止リングが封止ばね166の作用によってその保護位置へと戻されるように、付勢される。
【0328】
上記で議論したように、インク保管モジュール45のインクバッグ46内に保持されるインクは、ばね要素54がインクバッグ46に一定の拡張力を加えることにより、一定の負圧状態にある。これにより、インク内に負圧または逆圧が生み出され、それによって、印刷ヘッドアセンブリ22のノズルからインクが漏れることが防止される。この逆圧はまた、補充ユニットが定位置に合体されるとき、補充ユニット155から補充インクを引き出すための単純な手段を提供する。(大気圧である)補充ユニット155のインクバッグと、インク保管モジュール45のインクバッグとの間の圧力勾配により、インク送達針164がインク入口15に貫入すると、補充インクは単純に、補充ユニット155からインク保管モジュール45のインクバッグ46内へと流れ込む。
【0329】
補充動作と印刷動作の間で切り替えるために、またインクが補充中にノズルから漏れないように、一定の逆圧状態でインクを印刷ヘッドアセンブリ22内に維持するために、弁16および18が、上記のように弁挿入物内に設けられる。両バルブは、補充ユニットが定位置で合体ポート149と合体されるときに、弁アクチュエータピン159によって制御される。弁が制御されるやり方を、図60A〜図60Dを参照しながら示す。
【0330】
図60Aおよび図60Bは、それぞれ図59の線A−Aおよび線B−Bに沿った、補充前の弁構成の状態を示す異なる断面図を示し、図60Cおよび図60Dは、図60Aおよび図60Bの図の、補充時の弁構成の状態を示す。
【0331】
図60Aおよび図60Bに示すように、補充前に、インク入口弁16は閉じた位置にあり、それによって、インクまたは空気の通路が、インク入口15に入りインクバッグ46内へと前進することを妨げる。これを図60Bに示す。ここで、インク入口15とインク入口弁16との間の通路内に存在するいかなるインクも、この空間内に留まる。補充ユニット155のインク送達針164の周りの気密封止を維持するために、Oリングシールが、インク入口15に設けられる。この状態では、インク出口弁18が開位置にあり、それによって、インクがインク出口52からインク立下り管30を下り、印刷ヘッドアセンブリ22へと流出するための、通路が提供される。議論したように、ばね要素54は、インクバッグ46内の逆圧の状態を生み出し、印刷ヘッド22が、印刷時にこの逆圧に逆らってインクバッグ46からインクをくみ出す。
【0332】
補充時に、図60Cおよび図60Dに示すように、インク補充ユニット155は、インク出口158が弁挿入部49のインク入口15と係合し、弁アクチュエータピン159が弁16および18と係合するように、合体ポート149内へと合体される。図60Cに示すように、弁アクチュエータピンとインク出口弁18の接触によって、弁18が押下されて閉じられ、それによって、インク出口52から印刷ヘッドアセンブリ22へのさらなるインク流が妨げられる。これに関して、閉じたインク出口弁18から印刷ヘッドアセンブリ22への通路内に存在するインクは、インク出口弁18が開くまで静止したままとなる。
【0333】
図60Dにより明確に示すように、弁アクチュエータピン159がインク入口弁16に接触し、弁を押下すると、弁が開き、補充ユニット155からインクバッグ46へとインクを流すための通路が可能になる。インクバッグ46内に存在する逆圧により、圧力差によってインクがインクバッグ内に引き込まれ、インクバッグ46が満たされインクで膨張するとき、ばね要素54は、インクバッグ46とリテイナ要素55との間で一定の力を維持し、それによってまた、インクバッグ46のインク内の逆圧も一定に維持する。これは、インクバッグ46がその最大容量に到達し、インクバッグ46内に存在するインクの圧力が、補充ユニット155のインクの圧力と等しくなり、補充ユニット155からインクがそれ以上くみ出されなくなるまで続く。
【0334】
バッグ圧迫器アクチュエータ190は、開口60を通って延びて、上方圧迫器つば59を下方圧迫器つば57へと向かって押し、側部パネル58を内側へと屈曲させ、バッグ46を圧迫する。図12を参照しながら上記で議論したように、バッグ圧迫器43は、圧迫を解除することによって補充ユニットが取り外されるとき、インクバッグ46内に負圧を再び生み出す。
【0335】
本発明を、その例示的な実施形態を参照しながら図示および説明してきたが、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、様々な修正が当業者にとって明らかとなり、またそれらを当業者が容易に製作することができる。したがって、本明細書に添付された特許請求の範囲は、本明細書において説明されたような記述に限定されるものではなく、むしろ、特許請求の範囲は広範に解釈される。
【図面の簡単な説明】
【0336】
【図1】紙が入力トレイ内にあり、収集トレイが拡張された状態である、プリンタを示す前方斜視図である。
【図2】内部が露出されるようにケーシングが開いた状態である、(紙が入力トレイ内に存在せず、収集トレイが収縮された状態である)図1の印刷ユニットを示す図である。
【図3】本発明の一実施形態による、印刷システムのドキュメントデータの流れを示す概略図である。
【図4】図3の印刷システム内で使用されるアーキテクチャを示す、より詳細な概略図である。
【図5】図3の印刷システム内で使用される制御電子装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図6】開いたカバーアセンブリを有する受け台ユニット、およびそこから取り出されたカートリッジユニットを示す斜視図である。
【図7】カバーアセンブリがその閉位置にある、図6の受け台ユニットを示す図である。
【図8】図6のカートリッジユニットを示す前方斜視図である。
【図9】図8のカートリッジユニットを示す分解斜視図である。
【図10】図9に示すカートリッジユニットの主本体を示す分解前方斜視図である。
【図11】図9に示す主本体内に配置されたインク保管モジュールアセンブリを示す、底部斜視図である。
【図12】図11に示すインク保管モジュールのうちの1つを示す分解斜視図である。
【図13】図12に示すインク保管モジュールを示す底部斜視図である。
【図14】図12に示すインク保管モジュールを示す頂部斜視図である。
【図15】図9に示す印刷ヘッドアセンブリを示す頂部斜視図である。
【図16】図15に示す印刷ヘッドアセンブリを示す分解斜視図である。
【図17】図15に示す印刷ヘッドアセンブリを示す上下逆の分解図である。
【図18A】図15の印刷ヘッドアセンブリを示す端部断面図である。
【図18B】支持成形物に印刷ヘッドICを取り付けるための知られた技術を示す概略断面図である。
【図18C】本発明の一態様による、LCP成形物に取り付けられる印刷ヘッドICの一実施形態を示す概略断面図である。
【図18D】本発明の一態様による、LCP成形物に取り付けられる印刷ヘッドICの別の実施形態を示す概略断面図である。
【図18E】本発明の一態様による、LCP成形物に取り付けられる印刷ヘッドICの別の実施形態を示す概略断面図である。
【図19】図16から図18に示すような印刷ヘッドの、集積回路モジュールの下降する三角形の端部を示す拡大部分斜視図である。
【図20】図16から図19に示す2つの印刷ヘッド集積回路モジュール間の接合部を示す、拡大斜視図である。
【図21A】図19の印刷ヘッド集積回路を示す下面図である。
【図21B】その付着面内に一連の凹部を有する、図19の印刷ヘッド集積回路下面図である。
【図22A】インクを印刷ヘッド集積回路へと供給するためのインク導管を特に示す、図15の印刷ヘッドアセンブリを示す透過的な上面図である。
【図22B】図28Aの部分拡大図である。
【図23】フィルムによるLCP成形物への印刷ヘッド集積回路の取付けを示す、部分概略断面図である。
【図24】レーザ穿孔前の接着フィルムの積層構造を示す部分概略断面図である。
【図25】取付け前のフィルムのレーザ穿孔を示す図である。
【図26】レーザ穿孔中の接着フィルムの積層構造を示す部分概略断面図である。
【図27】フィルムへのLCP成形物の取付けを示す図である。
【図28】印刷ヘッド集積回路へのフィルムの取付けを示す図である。
【図29】本発明と共に使用するための、インクを吐出するための静止状態にある単一のノズルを示す垂直断面図である。
【図30】初期作動段階中の、図35のノズルを示す垂直断面図である。
【図31】後期作動段階中の、図36のノズルを示す垂直断面図である。
【図32】図31に示す作動状態にある、図35のノズルを示す部分垂直断面斜視図である。
【図33】インクを省略した、図29のノズルを示す垂直断面斜視図である。
【図34】図39のノズルを示す垂直断面図である。
【図35】図36に示す作動状態にある、図35のノズルを示す部分垂直断面斜視図である。
【図36】図35のノズルを示す平面図である。
【図37】分かり易くするためにてこの腕および可動ノズルを除去した、図35のノズルを示す平面図である。
【図38】図35に示すタイプの複数のノズル構成を組み込む印刷ヘッドチップの一部を示す、垂直断面斜視図である。
【図39】泡形成ヒータ要素アクチュエータタイプの、インクを噴射するための単一のノズルのインクチャンバを通る概略断面図である。
【図40A】熱屈曲アクチュエータの基本的な動作原理を示す図である。
【図40B】熱屈曲アクチュエータの基本的な動作原理を示す図である。
【図40C】熱屈曲アクチュエータの基本的な動作原理を示す図である。
【図41】図40に従って構築された、単一のインクジェットノズル構成を示す立体図である。
【図42】図41に示すノズル構成のアレイを示す図である。
【図43】本発明のプリンタと共に使用するための、CMOS駆動および制御ブロックを示す概略図である。
【図44】図43のCMOSブロック内のノズル列とドットシフトレジスタの間の関係を示す概略図である。
【図45】ユニットセル、およびその図44のノズル列およびドットシフトレジスタとの関係をより詳細に示す概略図である。
【図46】本発明のプリンタ内にあるプリンタノズルのためのロジックを示す回路図である。
【図47】図9に示すカートリッジユニットの保守アセンブリを示す前方斜視図である。
【図48】図47の保守アセンブリを示す分解前方斜視図である。
【図49】図47の保守アセンブリの下面を示す分解前方斜視図である。
【図50】本発明のカートリッジユニットに蓋をした状態で動作可能に取り付けられた、保守アセンブリを示す断面図である。
【図51A】本発明の一実施形態による受け台ユニットのフレーム構造を示す前方斜視図である。
【図51B】本発明の一実施形態による受け台ユニットのフレーム構造を示す後方斜視図である。
【図52A】図51Aおよび図51Bのフレーム構造から離隔された、本発明の保守駆動アセンブリを示す左側斜視図である。
【図52B】図51Aおよび図51Bのフレーム構造から離隔された、本発明の保守駆動アセンブリを示す右側斜視図である。
【図53】PCBアセンブリに組みつけられた図51Aおよび図51Bの支持棒アセンブリを示す斜視図である。
【図54】カバーアセンブリに結合されるばね要素に連結された、図53の支持棒アセンブリのアームを示す側部斜視図である。
【図55A】本発明の一実施形態による受け台ユニットを示す図である。
【図55B】本発明の一実施形態による受け台ユニットを示す図である。
【図55C】本発明の一実施形態による受け台ユニットを示す図である。
【図56A】カバーアセンブリが閉位置にある、受け台ユニットを示す側断面図である。
【図56B】カバーアセンブリが開位置にある、受け台ユニットを示す側断面図である。
【図57A】本発明の一実施形態によるインク補充ユニットの頂部斜視図である。
【図57B】本発明の一実施形態によるインク補充ユニットの底部斜視図である。
【図57C】図57Aおよび図58Bのインク補充ユニットを示す分解図である。
【図58】カバーアセンブリの合体ポートと合体される、図57Aおよび図57Bのインク補充ユニットを示す斜視図である。
【図59】カートリッジを内部に有しカバーが閉じられた状態の受け台を示す平面図である。
【図60A】インク補充ユニットおよび印刷エンジンを示す、図59の線A−Aに沿った断面図である。
【図60B】インク補充ユニットおよび印刷エンジンを示す、図59の線B−Bに沿った断面図である。
【図60C】図59の線C−Cに沿った印刷エンジンと合体位置にあるインク補充ユニットの断面図である。
【図60D】図59の線D−Dに沿った印刷エンジンと合体位置にあるインク補充ユニットの断面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに関し、詳細にはインクジェットプリンタに関する。本発明の特定の態様は、プリンタ用のカートリッジ、印刷ヘッドの設計および保守、ならびにプリンタ動作のその他の様相に関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本発明に関する様々な方法、システム、および装置は、本発明の出願人または譲受人によって出願された、以下の米国特許/特許出願において開示されている。
【表1】
【表2】
【表3】
いくつかの出願をそれらの整理番号によって列挙した。それらは、出願番号が知られるときに置き換えられる。これらの出願および特許の開示を、参照により本明細書に組み込む。
【背景技術】
【0003】
従来、ほとんどの市販のインクジェットプリンタは、プリンタの全体構造および設計の一部を形成する印刷エンジンを有する。この点に関して、プリンタユニットの本体は通常、印刷ヘッドおよび関連する送達機構を受け入れるように構築され、これらの特徴は、プリンタユニットに一体化される。
【0004】
これは特に、媒体がプリンタユニットを通って進められるとき、少ない反復回数で媒体を横方向に前後しながら横断する印刷ヘッドを使用する、インクジェットプリンタの場合に当てはまる。そのような場合、往復運動印刷ヘッドは通常、媒体入力ローラと媒体出力ローラの間でプリンタの幅を横断することができるように、プリンタユニットの本体に取り付けられ、媒体入力および出力ローラは、プリンタユニットの構造の一部を形成する。そのようなプリンタユニットでは、印刷ヘッドを交換のために取外し可能とすることができるが、媒体移送ローラ、制御回路、および保守ステーションなど印刷エンジンのその他の部品は、通常プリンタユニット内に固定されており、これらの部品の交換は、プリンタユニット全体を交換しなければ不可能である。
【0005】
その設計構造内にしっかりと固定されていることに加えて、往復運動型の印刷ヘッドを使用するプリンタユニットは、特にフルカラーおよび/または写真品位の印刷ジョブを実行する場合に、かなり遅い。これは、印刷ヘッドが、媒体の表面上にインクを付着させるために静止媒体上を連続的に横断しなければならず、それは、画像のラインを付着させるために印刷ヘッドの多数のスワスを必要とすることがあるためである。
【0006】
最近、媒体が印刷ヘッドを通過するときに印刷ヘッドを静止したままとすることができるように、印刷媒体の幅全体に延びる印刷ヘッドを提供することが可能になってきた。そのようなシステムでは、画像のラインを付着させるために印刷ヘッドが多数のスワスを実行する必要がなくなり、むしろ印刷ヘッドは、媒体が高速で通過するときにその上にインクを付着させることができるので、印刷を行うことができる速度が大幅に上昇する。そのような印刷ヘッドでは、フルカラー1600dpiの印刷を、以前に従来のインクジェットプリンタを用いて達成不可能な速度であった、毎分60ページ近くの速度で行うことが可能になってきた。
【0007】
現代のインクジェットプリンタにおけるインク吐出ノズルは、通常、印刷ヘッド集積回路(IC)の形のMST(マイクロシステム技術)装置である。それらは、リソグラフィ、エッチング、および堆積技術を用いて、シリコンウェハ上に加工される。印刷ヘッドICは、密接に詰められたノズルを有し、これは良好な画像解像度を提供するが、いくつか製造上の困難をもたらす。1つの問題は、印刷ヘッドICに、印刷エンジン制御装置からの電力および印刷データを提供することである。このために、一般にフレキシブル印刷回路基板(フレキシブルPCB)が使用される。フレキシブルPCBは、ポリマーフィルム内に導電性材料のトラックを有する。トラックは、それらが印刷ヘッドIC上のボンドパッドのラインと位置合せされるように間隔をおいて配置される。次いでトラックは、ボンドパッドに直接接続される。これには、フレキシブルPCBが非常に正確であること、およびフレキシブルPCBとボンドパッドを整列させるときの精度が高度であることが必要である。したがってこれは、印刷ヘッド製造プロセス全体うちの時間がかかる段階となる可能性がある。
【0008】
この状況は、上記で議論したページ幅印刷ヘッドの製造においてより悪化する。プリント幅印刷ヘッドを構成する印刷ヘッドICは、一般に、走査型印刷ヘッドにおいて使用される印刷ヘッドICよりも長い。したがって、各IC上のボンドパッドのラインがより長いので、トラック間隔は、ボンドパッド間隔とより厳密に一致しなければならない。トラック間隔のわずかな不正確さは、ボンドパッドの幅によって受け入れることができることが理解されるであろう。ただし、間隔の不正確さは、フレキシブルPCB全体にわたり連続する各トラックと組み合わさるので、ボンドパッドの長いラインの端部までに、わずかな不正確さがもはやパッド幅によって受け入れられなくなる。
【0009】
したがって、時間的な効率がより良く商業的により実用的な、フレキシブルPCBのトラックを、対応する印刷ヘッドICのボンドパッドと接続するための方法が必要とされている。
【発明の開示】
【0010】
したがって、本発明の一態様は、印刷ヘッドの動作を制御するための印刷エンジン制御装置を有するインクジェットプリンタのための、印刷ヘッドの製造方法を提供し、この方法は、基板上に形成されたインク吐出ノズルのアレイを有する、印刷ヘッドICを提供するステップと、印刷エンジン制御装置への電気接続のための回路を提供するステップと、プリンタ内の、印刷ヘッドICおよび回路を支持するための、支持部材を提供するステップと、ポリマーフィルムを提供するステップと、熱および圧力を所定の時間加えることによって、ポリマーフィルムを支持部材の表面に固定するステップと、印刷ヘッドICおよび回路を、ポリマーフィルムによって支持部材に取り付けるステップと、回路を印刷ヘッドICへと電気的に接続するステップとを含む。
【0011】
トラックとボンドパッドの高度に精密な位置合せは決定的に重要ではないので、ポリマーフィルムを用いて印刷ヘッドICおよびフレキシブルPCBの両方を支持フィルムに取り付けることは、比較的単純かつ単純なステップである。トラックは続いて、自動化されたプロセスでボンドパッドへと接続することができる。トラックの端部を光学的に配置し、それを印刷ヘッドIC上の対応するボンドパッドへと配線する機器が使用可能である。トラックとボンドパッドの位置合せが少々不正確であっても、印刷ヘッドIC、特にページ幅印刷ヘッド内で使用される長いICへの、フレキシブルPCBの接続は、妨げられない。その結果、プロセス全体は、時間効率がより高まり、商業的に実用的となる。
【0012】
第1の好ましい形態では、回路が、ポリイミドフィルムの層内に導電性材料のトラックを有するフレキシブルPCBであり、印刷ヘッドICおよびフレキシブルPCBが、ポリマーフィルムによって支持部材へと同時に取り付けられる。第2の好ましい形態では、回路が、ポリイミドフィルムの層内に導電性材料のトラックを有するフレキシブルPCBであり、フレキシブルPCBは、印刷ヘッドICが取り付けられた後にポリマーフィルムに取り付けられる。任意で、フレキシブルPCBは、印刷ヘッドIC取付けプロセス後にポリマーフィルムが冷却され硬化された後に、ポリマーフィルムへの取付けのための接着領域を有する。第3の好ましい形態では、回路は、ポリマーフィルム内に置かれる導電性材料のトラックである。この形態では、ポリマーフィルムが、有効にフレキシブルPCBとなることが理解されるであろう。
【0013】
好ましい形態では、印刷ヘッドICは、一連のボンドパッドを有し、回路は、一連の導電性トラックであり、回路を印刷ヘッドICへと電気的に接続するステップは、保護封入材料のライン内の微細な配線を被覆する前に、ボンドパッドと対応する導電性トラックとの間に微細な配線をつなぐことを伴う。
【0014】
いくつかの好ましい実施形態では、支持部材は、少なくとも1つのインク保管構成要素との流体連通を確立するための、複数のインク供給導管を有し、インク供給導管と印刷ヘッド集積回路との間で、ポリマーフィルムが支持部材に取り付けられ、ポリマーフィルムは、吐出ノズルがインク供給導管と流体連通するように、開口のアレイを有する。
【0015】
特に好ましい形態では、ポリマーフィルムは、厚さが25μmより大きく、特定の実施形態では、ポリマーフィルムは、厚さが約50μmである。
【0016】
印刷ヘッド集積回路(IC)上の個々のノズルにインクを供給するために、シリコンウェハ基板の裏面内にチャネルをエッチングすることが便利であることが多い。これらのチャネルは、封止する必要があり、適当な封止ならびにICを支持構造に固定するための手段を、ポリマーフィルムが提供することができる。ただし、支持構造の表面が平坦でない場合、ポリマーフィルムによってもたらされる封止が弱まる可能性がある。ICが固定される表面は、IC内のチャネルにインクを送達するより多くのインク供給チャネルがあるため、通常平坦でない。フィルムは、支持体内の開いたチャネルを横断して封止するとき、その中へと膨張しまたはたるむ可能性がある。支持構造のチャネル内へとたるむフィルムの断面は、印刷ヘッドIC内のいくつかのエッチングされたチャネルを横断して延びる。たるみは、エッチングされた各チャネルを分割する壁部間に間隙を生じることがある。明らかに、これによって封止が破られ、かつ、インクが印刷ヘッドICの外へと、および/またはエッチングされたチャネル間で漏れることになる。これを防護するために、ポリマー封止フィルムは、IC内のエッチングされたチャネルを覆う封止を維持しながら、支持構造チャネル内へのたるみを考慮するのに十分な厚さとなるべきである。
【0017】
ポリマー封止フィルムの最小厚さは、好ましい実施形態に関して詳細に議論される多数の因子に依存する。ただし、本出願人の分析および試験は、25μmのポリマー封止フィルム厚さが、リソグラフィによってマスクされるエッチングおよび堆積技術を用いて形成される印刷ヘッドICに適当であることを示している。厚さを50、100、さらには200μmへと増大させると、それに対応して、提供される封止の確実性が高まる。
【0018】
いくつかの実施形態では、開口のアレイは、インク供給導管のそれぞれの端部と位置合せされるレーザ穿孔された穴のアレイである。任意で、ポリマー封止フィルムは、熱可塑性フィルムの両面上に接着層を有する積層である。任意で、熱可塑性フィルムは、PETまたはポリスルホンである。任意で、ポリマー封止フィルムは、厚さが150μmより大きい。任意で、インク供給導管は、液晶ポリマー微小成形物である。
【0019】
好ましくは、回路は、ポリイミドフィルムの層内の導電性材料のトラックを有するフレキシブルPCBであり、印刷ヘッドICおよびフレキシブルPCBは、ポリマーフィルムによって支持部材へと同時に取り付けられる。
【0020】
好ましくは、回路は、ポリイミドフィルムの層内に導電性材料のトラックを有するフレキシブルPCBであり、フレキシブルPCBは、印刷ヘッドICが取り付けられた後にポリマーフィルムに取り付けられる。
【0021】
好ましくは、フレキシブルPCBは、印刷ヘッドIC取付けプロセス後にポリマーフィルムが冷却され硬化された後に、ポリマーフィルムへの取付けのための接着領域を有する。
【0022】
好ましくは、回路は、ポリマーフィルム内に置かれる導電性材料のトラックである。
【0023】
好ましくは、支持部材は、少なくとも1つのインク保管構成要素との流体連通を確立するための、複数のインク供給導管を有し、
インク供給導管と印刷ヘッド集積回路との間の支持部材に、ポリマーフィルムが取り付けられ、ポリマーフィルムは、吐出ノズルがインク供給導管と流体連通するように、開口のアレイを有する。
【0024】
好ましくは、ポリマーフィルムは、厚さが25μmより大きい。
【0025】
好ましくは、ポリマーフィルムは、厚さが約50μmである。
【0026】
好ましくは、開口のアレイは、インク供給導管のそれぞれの端部と位置合せされる、レーザ穿孔された穴のアレイである。
【0027】
好ましくは、ポリマー封止フィルムは、熱可塑性フィルムの両面上に接着層を有する積層である。
【0028】
好ましくは、熱可塑性フィルムは、PETまたはポリスルホンである。
【0029】
好ましくは、インク供給導管は、液晶ポリマー微小成形物内に形成される。
【0030】
本発明の第2の態様では、接着フィルムを用いてMSTデバイスを支持部材に取り付ける方法が提供され、MSTデバイスは、付着面、および付着面内の第1の開口に連結された第1の流体導管を有し、支持部材は、取付け面、および取付け面内の第2の開口に連結された第2の流体導管を有し、ポリマーフィルムは、第1の開口と第2の開口の間を流体連通させるための開口部を有し、この方法は、ポリマーフィルム内に開口部を形成するステップと、開口部を第2の開口の少なくとも一部と位置合せするステップと、ポリマーフィルムを取付け面に取り付けるために、熱および圧力を加えるステップと、開口部が第1の開口の少なくとも一部と位置合せされるようにMSTデバイスを位置決めするステップとを含む。
【0031】
ポリマーフィルムが支持部材に取り付けられる前に、その中に何らかの穴または開口部を形成することは、フィルムが取付け面上に取り付けられた後に何らかの開口部を形成するよりも、はるかに時間がかからない。さらに、開口部は通常レーザ穿孔によって形成されるので、下にある支持部材の一部も同様にアブレーションされる危険性が、かなり高い。このアブレーションされた材料は、開口部または流体導管内に留まり、流体の流れを狭窄しまたは詰まらせる可能性がある。
【0032】
好ましくは、ポリマーフィルムは、2つの熱硬化性接着材外部層の間に中央ウェブを有する、積層フィルムである。
【0033】
好ましくは、MSTデバイスは、複数の第1の流体導管に連結される、付着面内の入口開口のアレイを有し、付着面は、複数の第2の流体導管に連結される、出口開口のアレイを有し、積層されたフィルムは、入口および出口アレイ内の対応する開口間に流体電通を確立するための、開口部のアレイを有する。
【0034】
好ましくは、積層フィルム内の開口部は、レーザ穿孔される。
【0035】
好ましくは、積層フィルムは、開口部に直接隣接する熱硬化接着層を硬化させないように、UVレーザを用いて穿孔される。
【0036】
好ましくは、中央ウェブは、ポリイミドフィルムである。
【0037】
好ましくは、ポリイミドフィルムは、厚さが25μmより大きい。
【0038】
好ましくは、ポリイミドフィルムは、厚さが約50μmである。
【0039】
好ましくは、各熱硬化接着層は、厚さが12μmより大きい。
【0040】
好ましくは、各熱硬化接着層は、厚さが約25μmである。
【0041】
好ましくは、入口開口のアレイは、付着面内の一連の開いたチャネルである。
【0042】
好ましくは、チャネルは、幅が50μmより大きく、隣接するチャネルから50μmより大きく離隔される。
【0043】
好ましくは、付着面は、付着面およびポリイミド層の間から配置される熱硬化接着材を保持するために、チャネルに隣接する凹部を有する。
【0044】
好ましくは、積層フィルムは、2つの保護ライナの間に挟まれ、積層フィルムの支持部材面上のライナは、開口部のレーザ穿孔後であるが支持構造の取付け前に除去され、MSTデバイス面上の保護ライナは、MSTデバイスの取付け前に除去される。
【0045】
好ましくは、保護ライナはPETである。
【0046】
好ましくは、熱硬化接着層は、積層フィルムが最初に支持部材およびMSTデバイスに取り付けられるときに、まず粘着性となり、続いてそれらの硬化温度へと加熱される。
【0047】
好ましくは、MSTデバイス側の熱硬化性接着材を、MSTデバイスが取り付けられる後まで硬化させずに、積層フィルムがMSTデバイスの取付け前に支持部材に対して硬化されるように、熱硬化性接着材は、異なる硬化温度を有する。
【0048】
好ましくは、開口部は、支持部材の取付け表面に積層フィルムが取り付けられる前に形成される。
【0049】
好ましくは、MSTデバイスは、印刷ヘッドICであり、支持構造は、液晶ポリマー(LCP)成形物である。
【0050】
好ましくは、積層フィルムは、各MSTデバイスのための開口部のアレイ内の1つの開口上または開口中の点を計算する、視覚システムを用いて、支持構造上の基準マーカと位置合せされる。
【0051】
本発明では、第3の態様において、MSTデバイスを支持構造に取り付けるための積層フィルムが、それらの間の流体連通を封止するために設けられ、積層フィルムは、2つの熱硬化接着層間のポリマーキャリヤウェブと、MSTデバイス内の第1の流体導管と支持部材内の第2の流体導管の間に流体連通を確立するために、フィルム内に形成された開口とを備える。
【0052】
各面に熱硬化性接着材を有する積層フィルムを使用すると、加熱された熱可塑性フィルムよりもはるかに確実性の高い封止がもたらされる。熱可塑性フィルムとMSTデバイスの表面との間の結合は、熱疲労を受けやすく、かつ漏れまたは完全な損傷を生じやすい。中心キャリヤウェブおよび熱硬化性接着材を有する積層は、UVレーザによって穿孔し、後に、接着材が硬化しMSTデバイス表面との間に強い結合が生み出されるように、知られている硬化温度まで加熱することができる。
【0053】
好ましくは、MSTデバイスは、複数の第1の流体導管に連結される、付着面内の入口開口のアレイを備え、付着面は、複数の第2の流体導管に連結される出口開口のアレイを有し、積層フィルムは、入口および出口アレイ内の対応する開口間に流体連通を確立するために、開口部のアレイを有する。
【0054】
好ましくは、開口はレーザ穿孔される。
【0055】
好ましくは、熱硬化性接着材は、摂氏150°の最高硬化温度を有する。
【0056】
好ましくは、レーザは、開口部に直接隣接する熱硬化性接着層を硬化させないように、UVレーザである。
【0057】
好ましくは、中央ウェブは、ポリイミドフィルムである。
【0058】
好ましくは、ポリイミドフィルムは、厚さが25μmより大きい。
【0059】
好ましくは、ポリイミドフィルムは、厚さが約50μmである。
【0060】
好ましくは、各熱硬化接着層は、厚さが12μmより大きい。
【0061】
好ましくは、各熱硬化接着層は、厚さが約25μmである。
【0062】
好ましくは、入口開口のアレイは、付着面内の一連の開いたチャネルである。
【0063】
好ましくは、チャネルは、幅が50μmより大きく、隣接するチャネルから50μmを超えて離隔される。
【0064】
好ましくは、付着面は、付着面とポリイミド層の間から移動する熱硬化性接着材を保持するために、チャネルに隣接する凹部を有する。
【0065】
さらなる態様では、積層フィルムが提供され、積層フィルムは、各外面上の2つの保護ライナをさらに備え、ポリマーフィルムの支持部材面上のライナは、開口部をレーザ穿孔する後であるが支持構造の取付け前に除去され、MSTデバイス面上の保護ライナは、MSTデバイスを取り付ける前に除去される。
【0066】
好ましくは、保護ライナはPETである。
【0067】
好ましくは、熱硬化性接着層は、後に硬化温度へと加熱する前に、まず支持部材およびMSTデバイスに取り付けるために、硬化温度未満の温度に加熱することができる。
【0068】
好ましくは、熱硬化性接着層は、MSTデバイスが取り付けられる後までMSTデバイス側の熱硬化性接着材を硬化させずに、MSTデバイスが取り付けられる前にポリマーフィルムが支持部材に対して硬化されるように、異なる硬化温度を有することができる。
【0069】
好ましくは、熱硬化接着層は、100センチポアズから10000000センチポアズの間の粘度を有する。
【0070】
好ましくは、MSTデバイスは、印刷ヘッドICであり、支持構造は、液体結晶ポリマー(LCP)成形物である。
【0071】
好ましくは、支持構造は、取付け面上に少なくとも1つの基準マーカを有し、開口部のアレイのうちの所定の開口部を少なくとも1つの基準マーカに対して追跡する視覚システムを用いて、開口部のアレイが、出口開口のアレイと位置合せされる。
【0072】
本発明の第4の態様は、MSTデバイスの付着面を、支持部材上の取付け面に対して封止する方法を提供する。付着面は、第1の流体導管に連結された開口と、第2の導管に連結された第2の開口を有し、方法は、熱硬化性接着材を取付け面上に適用するステップと、第1の開口を第2の開口の少なくとも一部と位置合せするステップと、MSTデバイスと取付け面を互いに押し付けるステップと、熱硬化性接着材を硬化させるステップとを含み、熱硬化性接着材は、100センチポアズから10000000センチポアズの間の粘度を有する。
【0073】
熱可塑性接着材の代わりに熱硬化性接着材を使用することによって、はるかに確実な封止がもたらされる。熱可塑性接着材とMSTデバイス表面との間の結合は、熱疲労、および漏れまたは完全な損傷に弱い。熱硬化性接着材は、MSTデバイスを予備的に位置決めするために、粘着性になるまで加熱し、後に、接着材が硬化しMSTデバイスに対する強い化学的結合が形成されるように、知られている硬化温度まで加熱することができる。
【0074】
ただし、接着材の粘度は、MSTデバイスをその中に適切に埋め込むことが可能となるように十分低く、しかし流れが遮断されるか過剰に制限される程度まで接着材が導管内に押し出されないように、十分高くなくてはならない。
【0075】
好ましくは、熱硬化性接着材は、熱硬化性接着材の層を両面上に有し第1の開口と第2の開口との間を流体連通させるための開口部を有する、中央ウェブを備える積層フィルムとして、取付け面上に適用される。
【0076】
好ましくは、MSTデバイスは、複数の第1の流体導管に連結された、付着面内の入口開口のアレイを備え、付着面は、複数の第2の流体導管に連結された、出口開口のアレイを有し、積層フィルムは、入口および出口アレイ内の対応する開口間に流体連通を確立するための開口部のアレイを有する。
【0077】
好ましくは、積層フィルム内の開口部は、レーザ穿孔される。
【0078】
好ましくは、積層フィルムは、開口部に直接隣接する熱硬化接着層を硬化させないように、UV穿孔される。
【0079】
好ましくは、中央ウェブは、ポリイミドフィルムである。
【0080】
好ましくは、ポリイミドフィルムは、厚さが25μmより大きい。
【0081】
好ましくは、ポリイミドフィルムは、厚さが約50μmである。
【0082】
好ましくは、各熱硬化接着層は、厚さが12μmより大きい。
【0083】
好ましくは、各熱硬化接着層は、厚さが約25μmである。
【0084】
好ましくは、入口開口のアレイは、付着面内の一連の開いたチャネルである。
【0085】
好ましくは、チャネルは、幅が50μmより大きく、隣接するチャネルから50μmより大きく離隔される。
【0086】
好ましくは、取付け面は、取付け面とポリイミド層との間から移動する熱硬化性接着材を保持するために、チャネルに隣接する凹部を有する。
【0087】
好ましくは、積層フィルムは、保護ライナ間に挟まれ、積層フィルムの支持部材面上のライナは、開口部をレーザ穿孔した後であるが支持構造の取付け前に除去され、MSTデバイス面上の保護ライナは、MSTデバイスの取付け前に除去される。
【0088】
好ましくは、保護ライナはPETである。
【0089】
好ましくは、熱硬化接着層は、積層フィルムが支持部材およびMSTデバイスに最初に取り付けられるときに、まず粘着性にさせ、続いてそれらの硬化温度まで加熱することができる。
【0090】
好ましくは、MSTデバイスが取り付けられる後までMSTデバイス側の熱硬化性接着材を硬化させずに、MSTデバイスが取り付けられる前に積層フィルムが支持部材に対して硬化されるように、熱硬化性接着材は、異なる硬化温度を有する。
【0091】
好ましくは、開口部は、積層フィルムが支持部材の取付け面上に取り付けられる前に形成される。
【0092】
好ましくは、MSTデバイスは、印刷ヘッドICであり、支持構造は、液晶ポリマー(LCF)成形物である。
【0093】
好ましくは、支持構造は、取付け面上に少なくとも1つの基準マーカを有し、開口部のアレイは、少なくとも1つの基準マーカに対して開口部のアレイ内の所定の開口部を追跡する視覚システムを用いて、出口開口部のアレイと位置合せされる。
【0094】
本発明の第5の態様は、接着フィルムによってMSTデバイスを支持部材に取り付ける方法を提供する。MSTデバイスはそれぞれ、第1の開口を有する付着面を有し、支持部材は、第1の開口にそれぞれ対応する第2の開口を有する取付け面と、各MSTデバイスのための基準マーカとを有し、接着フィルムは複数の開口部を有し、方法は、開口部が、取付け面内の第2の開口の少なくとも一部と位置合せされるように、基準マーカおよび対応する開口部を用いて接着フィルムを位置決めするステップと、接着フィルムを取付け表面に適用するステップと、各MSTデバイスをそれぞれの開口部に対して位置決めするステップと、開口部によってそれぞれの第1および第2の開口が確立されるように、熱および圧力を用いて、MSTデバイスを取り付けるステップとを含む。
【0095】
位置合せのために、フィルムおよび支持部材両方の上に基準マーカを配置する代わりに、視覚システムは、それら自体の流体開口部を用いる。これははるかに直接的かつ正確である。というのも、フィルム上の通常非常に小さい穴である基準マーカは、フィルムを取り付ける前に加熱されると全体的に歪み塞がれやすいからである。開口部は、それらの形状全体に対する歪みがより少ない、はるかに大きい特徴である。開口部は、大きい特徴であるので、視覚システムは、変形によりある程度のばらつきを有することになる形状のために、中心など開口部上または開口部内の点を計算するための何らかの簡便な技術を用いて、この点を決定する必要がある。
【0096】
好ましくは、接着フィルムは、両面上に熱硬化性接着材の層を有する中央ウェブと、第1の開口および第2の開口の間を流体連通させるための開口とを備える、積層フィルムである。
【0097】
好ましくは、MSTデバイスは、複数の第1の流体導管に連結された、付着面内の入口開口のアレイを備え、付着面は、複数の第2の流体導管に連結された、出口開口のアレイを有し、積層フィルムは、入口および出口アレイ内の対応する開口間に流体連通を確立するための、開口部のアレイを有する。
【0098】
好ましくは、積層フィルム内の開口は、レーザ穿孔される。
【0099】
好ましくは、積層フィルムは、開口部に直接隣接する熱硬化性接着層を硬化させないように、UVレーザを用いて穿孔される。
【0100】
好ましくは、中央ウェブは、ポリイミドフィルムである。
【0101】
好ましくは、ポリイミドフィルムは、厚さが25μmより大きい。
【0102】
好ましくは、ポリイミドフィルムは、厚さが約50μmである。
【0103】
好ましくは、厚さが12μmより大きい。
【0104】
好ましくは、各熱硬化性接着層は、厚さが約25μmである。
【0105】
好ましくは、入口開口のアレイは、付着面内の一連の開いたチャネルである。
【0106】
好ましくは、チャネルは、幅が50μmより大きく、隣接するチャネルから50μmより大きく離隔される。
【0107】
好ましくは、付着面は、付着面とポリイミド層の間から移動する熱硬化性接着材を保持するために、チャネルに隣接する凹部を有する。
【0108】
好ましくは、積層フィルムは、2つの保護ライナの間に挟まれ、積層フィルムの支持部材側のライナはレーザ穿孔後であるが、支持構造の取付け前に除去され、MSTデバイス上の保護ライナは、MSTデバイスを取り付ける前に除去される。
【0109】
好ましくは、保護ライナはPETである。
【0110】
好ましくは、熱硬化性接着層は、積層フィルムが最初に支持部材およびMSTデバイスに取り付けられるときに粘着性にされ、続いてそれらの硬化温度へと加熱される。
【0111】
好ましくは、熱硬化接着層は、MSTデバイスが取り付けられる後までMSTデバイス側の熱硬化性接着材を硬化させずに、MSTデバイスが取り付けられる前に積層フィルムが支持部材に対して硬化されるように、異なる硬化温度を有する。
【0112】
好ましくは、開口部は、積層フィルムが支持部材の取付け面に取り付けられる前に形成される。
【0113】
好ましくは、MSTデバイスは、印刷ヘッドICであり、支持構造は、液晶ポリマー(LCP)成形物である。
【0114】
好ましくは、積層フィルムは、開口部のアレイ内の1つの開口上または開口内の点を各MSTデバイスのために計算する視覚システムを用いて、支持構造上の基準マーカと位置合せされる。
【0115】
本発明は、第6の態様にて、接着面に取り付けるためのMSTデバイスを提供し、MSTデバイスは、接着面と当接するための付着面と、付着面内の第1の開口と連結される第1の流体導管と、MSTデバイスが取り付けられるときに、移動する接着材が第1の導管内の流体の流れを遮断しないように、付着面と接着面の間から移動する接着材を保持するための、第1の開口に隣接する面内の凹部とを備える。
【0116】
第1の開口の隣に凹部が存在するように付着面にプロファイル付けすることによって、接着材が導管内に絞り出され、流体の流れを損なう危険性が低減する。
【0117】
好ましくは、MSTデバイスは、複数の第1の流体導管と連結するための、付着面内の入口開口のアレイを有し、付着面は、複数の第2の流体導管に連結される出口開口のアレイを有し、付着面はさらに、入口開口のアレイの間に介在する凹部のアレイを備える。
【0118】
好ましくは、入口開口のアレイは、付着面内の一連の開いたチャネルである。
【0119】
好ましくは、凹部のアレイは、付着面内のピットの配列である。
【0120】
好ましくは、チャネルは、幅が50μmより大きく、それぞれ、付着面から50μmより大きく離隔される。
【0121】
好ましくは、チャネルは、幅が約80μmであり、付着面から約80μm離隔される。
【0122】
好ましくは、ピットは幅が5μmより大きく、深さが5μmより大きい。
【0123】
好ましくは、接着材は、所定の温度にて硬化する、熱硬化性接着材である。
【0124】
好ましくは、熱硬化性接着材は、150℃の最高硬化温度を有する。
【0125】
好ましくは、熱硬化性接着材は、厚さが12μmより大きい。
【0126】
好ましくは、MSTデバイスは、印刷ヘッドICであり、支持構造は、液晶ポリマー(LCP)成形物である。
【0127】
好ましくは、熱硬化性接着材は、100センチポアズから10000000センチポアズの間の粘度を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0128】
次に本発明を、添付の図に示す好ましい実施形態を参照しながら、例示としてのみ説明する。
【0129】
図1は、本発明を実施するプリンタユニット2を示す。媒体供給トレイ3は、印刷エンジン(プリンタケーシング内に隠されている)によって印刷される媒体8を、支持および供給する。媒体8の印刷されたシートは、収集のために印刷エンジンから媒体出力トレイ4へと給送される。使用者インターフェース5は、LCDタッチスクリーンであり、プリンタユニット2の動作を使用者が制御することを可能にする。
【0130】
図2は、内部空洞6内に配置された印刷エンジン1を露出するように開いた、プリンタユニット2の蓋7を示す。ピッカ機構9は、入力トレイ3内の媒体(わかりやすくするために図示しない)に係合し、個々のシートを印刷エンジン1へと給送する。印刷エンジン1は、媒体移送手段を備え、媒体移送手段は、印刷およびそれに続く媒体出力トレイ4(収縮させて示す)への送達のために、個々のシートを取り出し、印刷ヘッドアセンブリ(以下で説明する)を通過してそれらを給送する。
【0131】
図3は、コンピュータシステム702など外部供給源から受け取ったドキュメントを、1枚の紙など印刷媒体上に印刷するために、プリンタユニット2がどのように構成されるかを概略的に示す。この点に関して、プリンタユニット2は、前処理されたデータを受け取るために、コンピュータシステム702との電気接続を備える。図示の特定の状況で、外部コンピュータシステム702は、ドキュメントを受け取ること(ステップ703)、それをバッファリングすること(ステップ704)、それをラスタ化すること(ステップ706)およびそれをプリンタユニット2へと送信するためにそれを圧縮すること(ステップ708)を含む、ドキュメントの印刷に伴う様々なステップを実行するようにプログラムされる。
【0132】
本発明の一実施形態によれば、プリンタユニット2は、外部コンピュータシステム702から、ドキュメントを圧縮された多層ページ画像の形で受け取り、制御電子部品766が、画像をバッファリングし(ステップ710)、次いで画像をさらなる処理のために伸長する(ステップ712)。伸長された連続階調レイヤは、ディザリングされ(ステップ714)、次いで伸長ステップからのブラックレイヤが、ディザリングされた連続階調レイヤ上に合成される(ステップ716)。符号化されたデータはまた、(必要に応じて)人間の目には実質的に不可視である赤外線インクを用いて印刷される、追加のレイヤを形成するためにレンダリングすることができる(ステップ718)。ブラックレイヤ、ディザリングされた連続階調レイヤ、および赤外線レイヤは、結合されて(ステップ720)、印刷のために印刷ヘッドへと供給されるページを形成する(ステップ722)。
【0133】
この特定の構成では、印刷されるドキュメントに関連するデータが、テキストおよび線画用の高解像度の2値(bi−level)マスクレイヤと、画像または背景色用の中解像度の連続階調色画像とに分割される。任意で、画像または均一な色からとった色データを用いてテキストおよび線画をテクスチャリングするための、中から高解像度の連続階調テクスチャレイヤを加えることによって、カラーテキストをサポートすることができる。印刷アークテクチャは、これらの連続階調レイヤを、画像データまたは均一な色データを参照することができる抽象的な「画像」および「テクスチャ」レイヤで表現することによって、一般化する。この、コンテンツに基づいてデータをレイヤへと分割することは、当業者であれば理解するように、ベースモードのミクストラスタコンテント(MRC)モードに従っている。MRCベースモードと同様に、印刷アークテクチャは、いくつかの例で、印刷されるデータがオーバーラップする場合に補正を行う。特に、一形態では、すべてのオーバーラップが、補正を明示的に実施するプロセス(衝突解決)において3層表現に置き換えられる。
【0134】
図4は、印刷エンジン制御装置766による印刷データ処理を示す。上述のように、データは、主にソフトウェアベースのコンピュータシステム702によって画像の前処理が実行された状態で、圧縮された多層ページ画像の形でプリンタユニット2へと送達される。次いで、印刷エンジン制御装置766が、主にハードウェアベースのシステムを用いてこのデータを処理する。
【0135】
データを受け取ると、ディストリビュータ730が、このデータをプロプラエタリな表現からハードウェア特定の表現へと変換し、これらの装置へのデータ送信の何らかの制限または要求を監視しながら、データが正しいハードウェア装置に送られることを保証する。ディストリビュータ730は、変換されたデータを、複数のパイプライン732のうちの適当な1つへと分配する。パイプラインは、互いに同一であり、基本的に、1組の印刷可能なドット出力を作成するために、伸長機能、スケーリング機能、およびドット合成機能を提供する。
【0136】
各パイプライン732は、データを受け取るためのバッファ734を備える。連続階調伸長器736は、カラー連続階調平面を伸長し、マスク伸長器は、モノトーン(テキスト)レイヤを伸長する。連続階調スケーラ740およびマスクスケーラ742は、ページがその上に印刷される媒体のサイズを考慮して、伸長された連続階調平面およびマスク平面をそれぞれスケーリングする。
【0137】
スケーリングされた連続階調平面は、次いでディザリング装置744によってディザリングされる。一形態では、確率論的ドット分散ディザリングが使用される。ドット集中(または増幅変調)ディザリングと異なり、ドット分散(または周波数変調)ディザリングは、ドット解像度のほぼ限界までの高い空間周波数(すなわち画像詳細)を再現すると同時に、より低い空間周波数を、目によって空間的に統合されるときにそれらの最大限の色深度まで再現するからである。確率論的ディザリングマトリックスは、画像全体にわたりタイリングされるときに好ましくない低周波数パターンを比較的もたないように、慎重に設計される。したがって、そのサイズは通常、特定の数値の輝度レベルをサポートするために必要とされる最小サイズ(たとえば、輝度レベル257の場合の16×16×8ビット)を上回る。
【0138】
ディザリングされた平面は次いで、印刷に適したドットデータを提供するために、ドット合成器746においてドット単位で合成される。このデータは、データ分配および駆動電子部品748へと送られ、この電子部品748は、データを正しいノズルアクチュエータ750へと分配し、アクチュエータ750は、インクを、正しいノズル752から正しい時間に、以下の説明でより詳細に記載するようなやり方で吐出させる。
【0139】
理解されるように、画像を印刷用に処理するために印刷エンジン制御装置766内で使用される構成要素は、データが表されるやり方に大幅に依存する。これに関して、印刷エンジン制御装置766は、追加のソフトウェアおよび/またはハードウェア構成要素を用いて、プリンタユニット2内でより多くの処理を実行し、コンピュータシステム702への依存度を低減することができる。あるいは、印刷エンジン制御装置766は、より少ないソフトウェアおよび/またはハードウェアを用いて、より少ない処理を実行し、データをプリンタユニット2に送信する前に画像をより高度に処理するために、コンピュータシステム702に依拠することができる。
【0140】
図5は、上述のタスクを実行するために必要な構成要素を示すブロック図である。この構成において、ハードウェアパイプライン732は、SOHOプリンタエンジンチップ(SoPEC)766内で実施される。図示のように、SoPECデバイスは、3つの別々のサブシステム、すなわち中央処理装置(CPU)サブシステム771、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)サブシステム772、および印刷エンジンパイプライン(PEP)サブシステム773からなる。
【0141】
CPUサブシステム771は、その他のサブシステムのすべての態様を制御および構成する、CPU775を備える。これは、印刷エンジン1のすべての要素のインターフェースを取り同期させるための、全体的なサポートを提供する。これはまた、QAチップ(以下に記載する)への低速通信を制御する。CPUサブシステム771はまた、汎用入出力(GPIO、モータ制御を備える)、割込み制御ユニット(ICU)、LSSマスタ、および汎用タイマなど、CPU775を助けるための様々な周辺装置を備える。CPUサブシステム上のシリアル通信ブロック(SCB)は、ホストへのフルスピードUSB1.1インターフェース、ならびに別のSoPECデバイス(図示せず)へのSoPEC間インターフェース(ICI)を提供する。
【0142】
DRAMサブシステム772は、CPU、シリアル通信ブロック(SCB)、およびPEPサブシステム内のブロックからの、要求を受け入れる。DRAMサブシステム772、特にDRAMインターフェースユニット(DIU)は、様々な要求を調停し、どの要求がDRAMへのアクセスを獲得するべきかを決定する。DIUは、すべての要求者のためのDRAMへの十分なアクセスを可能にするために、構成されたパラメータに基づいて調停を行う。DIUはまた、ページサイズ、バンクの数、および再生率など、DRAMの実装仕様を隠す。
【0143】
印刷エンジンパイプライン(PEP)サブシステム773は、圧縮されたページをDRAMから受け取り、それらを、印刷ヘッドと直接通信する印刷ヘッドインターフェース(PHI)行きの所与の印刷ラインのための2値ドットへと、レンダリングする。ページ伸長パイプラインの第1のステージは、連続階調デコーダユニット(CDU)、可逆2値デコーダ(LBD)、およびタグエンコーダ(TE)を備える。CDUは、JPEG形式で圧縮された連続階調(通常CMYK)レイヤを伸長し、LBDは、圧縮された2値レイヤ(通常K)を伸長し、TEは、プリンタユニット2がNetpage能力を有する場合(Netpageシステムの詳細な説明については相互参照文書を参照)、何らかのNetpageタグを、後の(通常IRまたはKインクでの)レンダリングのためにエンコードする。第1ステージからの出力は、1組のバッファ、すなわち、連続階調FIFOユニット(CFU)、スポットFIFOユニット(SFU)、およびタグFIFOユニット(TFU)である。CFUおよびSFUバッファは、DRAM内で実装される。
【0144】
第2のステージは、ハーフトーン合成器ユニット(HCU)であり、HCUは、連続階調レイヤをディザリングし、位置タグと2値スポットレイヤとを、結果的に得られる2値のディザリングされたレイヤ上で合成する。
【0145】
SoPECデバイスと共に使用される印刷ヘッドに応じて、多数の合成オプションを実装することができる。2値データの最高6つのチャネルが、このステージから作り出されるが、印刷ヘッド上にすべてのチャネルが存在しなくてもよい。たとえば、印刷ヘッドは、CMYのみとし、KをCMYチャネルに押し込み、IRを無視することができる。あるいは、IRインクが利用可能でない場合(または試験目的で)、何らかのエンコードされたタグをKで印刷することができる。
【0146】
第3のステージにおいて、不作動ノズル補償器(DNC)が、色の冗長化、および周囲のドット内への不作動ノズルのデータの誤差拡散によって、印刷ヘッド内の不作動ノズルを補償する。
【0147】
結果的に得られる2値の5チャンネルドットデータ(通常CMYK、赤外線)は、バッファリングされ、ドットラインライタユニット(DWU)によって、DRAM内に記憶される1組のラインバッファへと書き込まれる。
【0148】
最後に、ドットデータは、DRAMからロードし直され、ドットFIFOを通じて印刷ヘッドインターフェースへと渡される。ドットFIFOは、データをラインローダユニット(LLU)からシステムクロック速度(pclk)で受け取るが、印刷ヘッドインターフェース(PHI)は、FIFOからデータを取り出し、それをシステムクロック速度の3分の2の速度で印刷ヘッドへと送る。
【0149】
好ましい形態では、DRAMのサイズは、2.5Mバイトであり、そのうち約2Mバイトは、圧縮されたページ記憶データによって利用可能である。圧縮されたページは、メモリ内に記憶された多数のバンドを用いて、2つ以上のバンドで受け取られる。ページのバンドが、印刷のためにPEPサブシステム773によって消費されるとき、新しいバンドをダウンロードすることができる。新しいバンドは、現在のページまたは次のページ用とすることができる。
【0150】
バンディングを使用すると、圧縮されたページが完全にダウンロードされる前にページの印刷を開始することができるが、データが常に印刷用に利用可能であることが保証されるよう注意しなければならない。さもなければバッファアンダーランが生じることがある。
【0151】
内蔵USB1.1デバイスは、ホストPCからの圧縮されたページデータおよび制御コマンドを受け入れ、DRAM(または、以下で説明するような多SoPECシステム内の別のSoPECデバイス)へのデータ転送を容易にする。
【0152】
多SoPECデバイスは、代替実施形態において使用することができ、特定の実装形態に応じて、様々な機能を実行することができる。たとえば、いくつかの例で、SoPECデバイスを、単にその搭載DRAMのために使用することができるが、別のSoPECデバイスは、上記の様々な圧縮解除およびフォーマット機能を行う。これによって、プリンタが、ページのためのすべてのデータが受け取られる前にそのページの印刷を開始し、残りのデータが時間内に受け取られない場合に起こりうる、バッファアンダーランの可能性を低減することができる。余分なSoPECデバイスを、そのメモリバッファリング能力のために追加することによって、追加のチップのその他の能力が使用されないとしても、バッファリングすることができるデータの量が2倍になる。
【0153】
各SoPECシステムは、いくつかの品質保証(QA)デバイスを有することができ、QAデバイスは、プリンタの機構の品質を保証し、印刷ヘッドのノズルが印刷時に損傷を受けないようにインク供給部の品質を保証し、印刷ヘッドおよび機構が損傷を受けないことを保証するために、ソフトウェアの品質を保証するよう、互いに協働するように設計される。
【0154】
通常、各印刷SoPECは、最高印刷速度などプリンタユニットの属性に関する情報を記憶する、結合されたプリンタユニットQAを有する。カートリッジユニットもまた、QAチップを備えることができ、QAチップは、インクの残量などカートリッジ情報を記憶し、また、不作動ノズルのマッピングおよび印刷ヘッドの特徴など印刷ヘッド特定の情報を記憶する、ROMとして(EEPROMとして有効に)作動するように構成することもできる。補充ユニットもまた、インクのタイプ/色および補充のために存在するインクの量など、補充インク情報を記憶する、QAチップを備えることができる。SoPECデバイス内のCPUは、任意で、シリアルEEPROMとして有効に作動するQAチップからプログラムコードをロードし、それを実行することができる。最後に、SoPECデバイス内のCPUは、論理QAチップ(すなわちソフトウェアQAチップ)を実行する。
【0155】
一般に、システム内のすべてのQAチップは、物理的に同一であり、フラッシュメモリのコンテンツのみがそれらを互いに差別化する。
【0156】
各SoPECデバイスは、システム認証およびインク使用アカウンティングのためにQAデバイスと通信することができる、2つのLSSシステムバスを有する。1つのバスにつき、多数のQAデバイスを使用することができ、それらのシステム内での位置は、プリンタQAデバイスおよびインクQAデバイスが別々のLSSバス上にあるべきであることを除き、制約されない。
【0157】
使用に際しては、論理QAは、インクの残量を決定するためにインクQAと通信する。インクQAからの応答は、プリンタQAを参照して認証される。プリンタQAからの検証はそれ自体、論理QAによって認証され、それにより、インクQAからの応答に、追加的な認証レベルが間接的に加えられる。
【0158】
QAチップ間で送られるデータは、デジタル署名によって認証される。好ましい実施形態では、HMAC−SHA1認証がデータ用に使用され、RSAがプログラムコード用に使用されるが、別のスキームを代わりに使用することができる。
【0159】
理解されるように、SoPECデバイスはしたがって、以下で説明するような印刷媒体の扱いを容易にするために、印刷エンジン1の動作全体を制御し、基本的なデータ処理タスク、ならびに印刷エンジン1の個々の構成要素の動作の同期化および制御を実行する。
【0160】
印刷エンジン
図6および図7に印刷エンジン1を詳細に示す。印刷エンジンは、2つの主な部品、すなわちカートリッジユニット10および受け台ユニット12からなる。
【0161】
カートリッジユニット10は、受け台ユニット12内で受けられるような形状およびサイズであり、受け台ユニットに取り付けられたカバーアセンブリ11によって定位置に固定される。受け台ユニット12は次に、上記で議論したような印刷を容易にするために、印刷ユニット2内に固定されるように構成される。
【0162】
図7は、印刷エンジン1を、カートリッジユニット10が受け台ユニット12内に固定されカバーアセンブリ11が閉じられた、その組み立てられた形で示す。印刷エンジン1は、プリンタユニット2の使用者インターフェース5からの使用者の入力に応答して、印刷に関連する様々な態様を制御する。これらの態様は、印刷ヘッドを通過する媒体を制御されたやり方で移送すること、および通過する媒体の表面上へのインクの吐出を制御することを含む。
【0163】
カートリッジユニット
カートリッジユニット10を、図8および図9に詳細に示す。図9の分解図を参照すると、カートリッジユニット10は一般に、主本体20、インク保管モジュールアセンブリ21、印刷ヘッドアセンブリ22、および保守アセンブリ23からなる。
【0164】
これらの部品はそれぞれ、互いに組み立てられて、インク保管手段をインク吐出手段と組み合わせる一体ユニットを形成する。そのような構成は、インクが印刷のために、必要に応じて印刷ヘッドアセンブリ22へと直接供給されることを保証し、インク保管または印刷ヘッドアセンブリのいずれかまたは両方を交換する必要がある場合、これは、カートリッジユニット10全体を交換することによって容易に行うことができる。
【0165】
ただし、印刷ヘッドの動作寿命は、インクの供給によって制限されない。カートリッジユニット10の頂面42は、必要なときにインク保管モジュール45に補給するためにインクの補充供給部と合体させるための、界面61を有する。インク補充ユニットおよびカートリッジとの合体プロセスを、以下でさらに詳細に議論する。印刷ヘッドの寿命をさらに延長するために、カートリッジユニットは、印刷ヘッドに蓋をし、印刷ヘッドを拭き取り、湿らせる、一体型の印刷ヘッド保守アセンブリ23を有する。このアセンブリもまた、以下でさらに詳細に説明する。
【0166】
主本体
カートリッジユニット10の主本体20を図10により詳細に示す。主本体20は、開いた頂部および開いた長手方向に延びる側壁を有する、ほぼ矩形のフレーム25を備える。フレームの下面の両端部から、1対のポスト26が突出している。これらのポスト26は、保守アセンブリ23を、以下で説明するやり方で主本体20に取り付けるために設けられる。
【0167】
インク出口成形物27は、主本体20内に収容される各インク保管モジュール45に対応して、その下面にインク出口(図示せず)を有する。各インク出口は、内側に延びる1対のシリコーンのリングシールを有する。リングシールは、インク出口成形物27と共に成形され、インク入口を以下で説明する印刷ヘッドアセンブリに対して封止する。インク出口成形物27は、矩形のフレーム25の下面に、超音波溶接される。
【0168】
フレーム25の1つの長手壁部は、一連のインク立下り管30である。各立下り管30は、それぞれのインク保管モジュール(以下で説明する)のインク出口との封止接続部を形成するために、その上端部にてOリングシール29を有する。インク出口成形物27が本体20に溶接されるとき、各インク立下り管30は、成形物27の下面内でそれぞれのインク出口と流体連通する。
【0169】
空気スリーブ31が、加圧空気源に(図示せず)に連結され、印刷ヘッドアセンブリ内へと空気流を提供し、空気流は、紙くずの詰まり(以下でさらに議論する)を防止するために印刷ヘッドノズルを横断して送られる。
【0170】
各インク立下り管30の下方部分に、インク充填ポート35が形成される。これらの充填ポートは、インク保管アセンブリ21の初期装入用のみのものである。インク保管アセンブリの後のいかなる補充も、以下で説明するインク補充ユニットを使用する。初期充填プロセスを助けるために、カートリッジユニット10の頂面42(図9参照)の空気孔41に真空が加えられる。空気孔41は、各インク保管モジュール45内のインクバッグ(以下で説明する)の内側に連結される。インクは、充填ポート35を通して供給され、インク立下り管30からインク保管体積内へとくみ上げられる。充填プロセス中に、カートリッジユニットは、空気孔41がそれぞれのインクバッグ内の最高点となるように傾けられ、真空によってインクが空気孔41を通して引き込まれるまで充填される。これによって、各インクバッグが完全に充填され空気がパージされることが、保証される。印刷ヘッドへのインク流と共に連行される気泡が、ノズルの動作に害を与える可能性があることを、当業者であれば理解するであろう。
【0171】
図15から図17に示すように、下方部材65は、その一端部に複数のプライミング入口85を備える。各プライミング入口85は、チャネル67のうちの1つと直接連通し、輸送および使用の前にインクでインク保管モジュール45を始動させるための代替または追加手段を提供する。
【0172】
インク保管モジュールが満たされているとき、ポリマー封止ボール33が、充填ポート35および空気孔41内に挿入される。
【0173】
金属プレート34が、カートリッジユニット10に構造的な剛度をもたらすために、フレーム25の下面および出口成形物30に取り付けられる。それは、戻止め38をフレーム25の後壁内のスロット(図示せず)内に引っかけて、逆目スナップ係止構成32が開口37の外側線内に留まるまで、プレート34を回転させることによって、定位置にスナップ係止される。
【0174】
プレート34は、出口成形物27の下面から突出するインク出口(図示せず)を受けるための、穴39を有する。プレスされた金属プレート34はまた、フレーム25に対して下向きに突出するフランジ部分40を有し、フランジ40は、以下でより詳細に議論する負荷担持面として作用する。
【0175】
カートリッジユニット10のインク保管アセンブリの蓋21を、図11から図14に詳細に示す。蓋21は、閉鎖ユニットを形成するために、主本体20のフレーム25と対合するように構成される。図11に最もよく示されるように、インク保管モジュール45は、蓋21の下面に取り付けられ、主本体20によって設けられる個々の空洞36(図10参照)内に延びる。
【0176】
インク保管モジュール45のうちの1つを、図12、図13、および図14に分離して示す。インクバッグ46は、インクをその中に加圧された状態で保持することを可能にする、Mylar(登録商標)など可撓性の空気不透過熱可塑性フィルムから製作される。可撓性バッグ46は、インクで満たされるときに拡張させ、インクが消費されるときに収縮させることができる。これは、図60Aから図60Dに示す補充プロセスを参照して、以下でより詳細に議論する。
【0177】
インクバッグ46は、上部プレート部材47と下部プレート部材48の間で延びる。インクバッグは、気密封止するために、プレート47および48に熱溶着(またはそれと同様に)される。上部プレート部材47は、弁挿入物49を受けるように構成される。弁挿入物は、入口弁16および出口弁18を有する。弁挿入物49は、インク補充ユニットからインクを受け取るために、頂面42内に形成されたポート51と、ならびに印刷ヘッドアセンブリ22へとインクを送達するために出口52と、直接連通することができるように位置決めされる。図14に最もよく示されるように、入口弁15は、上面42内のポート51内に配置されたスリットを通して、インク補充ユニットのインク送達針(後に説明する)を受ける。入口弁15は、補充ユニット(以下で説明する)がカートリッジユニット10と合体するときに、付勢されて閉じられまた開かれる。
【0178】
逆に、出口弁18は、補充ユニットが合体するときに、付勢されて開かれまた閉じられる。フィルタ215は、上部プレート部材47内の出口弁への入口を覆う。フィルタは、固体の異物および気泡を除去するようにサイズ決めされる。上記で議論したように、圧縮気泡は、ノズルの動作を妨げる可能性がある。
【0179】
出口弁は、蓋21の下面内の導管52へと連結され、導管52は、立下り管のつば216へと続く。インク保管アセンブリ21が主本体20内に配置されるとき、つば216は、立下り管30の端部上のOリングシール29を覆って封止する。
【0180】
上部プレート47は、弁挿入物49を定位置に保持するために、蓋21の下面に固定される。下部プレート48は、つば57、および蓋21の下面から延びる4本のストラット19の内縁部内で、摺動する。プレート48は、バッグ46が満たされて拡張するにつれて、ストラット19を摺動して下降する。反対に、プレート48は、バッグ46が空になるにつれて、蓋21に向かって摺動して戻る。バッグ46の長さによって、下方プレート48は、保持バー55に到達する前にその移動が制限される。定力ばね54は、プレート48を保持バー55に向かって付勢するために、保持バー55と凹んだペグ59との間に延びる。このばねが、バッグ46を付勢して拡張させ、それによって、インクを負圧でバッグ内に維持する。これによって、印刷ヘッドノズルからのインク漏れが防止される。
【0181】
バッグ圧迫器
各インク保管モジュール45は、各補充動作後にインク内に負圧を再び生み出すための、バッグ圧迫器43を有する。圧迫器43は、下方つば57を有し、つば57は、ストラット19の端部に当接し、保持バー55によって定位置に保持される。下方プレート48は、インクバッグ46が空になるにつれて、下方つば57内で上向きに摺動する。4つの曲がったパネル58が、下方つば57から上方つば59へと上向きに延びる。パネル58は、わずかに内側に曲がる。インク補充ユニット(以下で説明する)は、4つの圧迫器アクチュエータを有する。補充部がカートリッジユニットと合体するとき、圧迫器アクチュエータは、蓋21内の開口60を通って延びて、上方つば59を下方つば57に向かって押す。これによって、パネル58がさらに内側に曲がって、バッグ46の各側面を押す。
【0182】
補充時は、インクバッグ46内の負圧が、インクを補充ユニット外にくみ出す。負圧は、下方プレート48を保持バー55に向かって付勢する、定力ばね54によって生み出される。インクバッグが満たされると、負圧は消える。インクバッグ46内に負圧が存在しないと、ノズルからインクが漏れる危険性がある。補充ユニットがカートリッジから取り外されると、バッグ46内に負圧が再び生み出される。4つの圧迫器アクチュエータが蓋21内の開口60を通って収縮するとき、曲がったパネル58は、上方つば59を上方プレート部材47に向かって押し戻すことができる。パネル58は、それらがバッグ46の側部をあまり押さないように、直線状になる。これによって、バッグ46をわずかに膨張されることが可能になり、入口弁16が閉じられるとき、バッグ体積のわずかな増加によって負圧が回復する。
【0183】
印刷ヘッドアセンブリ
印刷ヘッドアセンブリ22を、図15から図18Eにより詳細に示す。印刷ヘッドアセンブリは、出口成形物27(図10参照)からインクを受け取るために、主本体20の下面に取り付けるようになされる。
【0184】
印刷ヘッドアセンブリ22は、一般に、主本体20の下でポスト26の間に延びるように構成された、細長い上方部材62を備える。複数のU字型クリップ63が、上方部材62から突出する。これらは、剛性のプレート34内に設けられた凹部37を通過し、印刷ヘッドアセンブリ22を固定するために、主本体20内に形成されたラグ(図示せず)によって捕捉されることになる。
【0185】
上方要素62は、印刷ヘッドアセンブリ22が主本体20に固定されるときに出口成形物27内の出口内で受けられる、複数の供給管64を有する。供給管64は、インク漏れを防ぐための外部被覆を備えることができる。
【0186】
上方部材62は、液晶ポリマー(LCP)から製作され、それによって多数の利点がもたらされる。上方部材は、その熱膨張係数(CTE)が、シリコンのそれと同様となるように成形することができる。印刷ヘッド集積回路74(以下で議論する)と、その下にある成形物との間の何らかの有意なCTEの差によって、構造全体が曲げられる可能性があることが理解されるであろう。ただし、成形方向でのLCPのCTEは、非成形方向でのそれよりも大幅に小さいので(〜20ppm/℃に対して〜5ppm/℃)、LCP成形物の成形方向が、印刷ヘッド集積回路(IC)74の長手方向長さと同一方向となることを保証するよう注意しなければならない。LCPはまた、比較的高い剛度を有し、ポリカーボネート、スチレン、ナイロン、PET、およびポリプロピレンなど「普通のプラスチック」の、通常5倍の弾性率を有する。
【0187】
図16に最もよく示されるように、上方部材62は、接着フィルム66によってそれに結合される下方部材65を受けるための、開いたチャネル構成を有する。下方部材65はまた、LCPから製作され、その長さに沿って形成された複数のインクチャネル67を有する。各インクチャネル67は、供給管64のうちの1つからインクを受け取り、印刷ヘッドアセンブリ22の長さに沿って、インクを分配する。チャネルは幅1mmであり、厚さ0.75mmの壁部によって分割される。
【0188】
図示の実施形態では、下方部材65は、その長さに沿って延びる5つのチャネル67を有する。各チャネル67は、5つの供給管64のうちの1つのみからインクを受け取り、各供給管64は、異なる色のインクが混ざる危険性を低減するために、インク保管モジュール45(図10参照)のうちの1つからインクを受け取る。これに関して、接着フィルム66はまた、下方部材65が上方部材62と組み立てられたときにインクがチャネル間で混ざることを防止するために、個々のインクチャネル67を封止するように作用する。
【0189】
各チャネル67の底部には、等間隔に配置された一連の穴69(図17に最もよく見られる)があり、下方部材65の底面内に5列の穴69をもたらす。穴69の中央列は、印刷ヘッドIC74の真上の、下方部材65の中心線に沿って延びる。図22Aに最もよく見られるように、中央列の両側の穴69のその他の列は、インクを印刷ヘッドIC74へと供給することができるように、各穴69から中心への導管70を必要とする。
【0190】
図18Aを参照すると、印刷ヘッドIC74は、ポリマー封止フィルム71によって、下方部材65の下面に取り付けられる。このフィルムは、PETまたはポリスルホンフィルムなど熱可塑性フィルムとすることができ、あるいは、AL Technologies、Rogers Corporation、またはAblestik(Nation Starch & Chemical Companyの子会社)によって製造されるものなど、熱硬化性フィルムの形とすることができる。ポリマー封止フィルム71は、中央フィルムの両側に接着層を有する積層であり、下方部材65の下面上へと積層される。特に有効なフィルムは、Ablestik5205S1であり、その構造を図24に概略的に示す。中央のポリイミドウェブ222が、熱硬化性接着層220および224の間に挟まれている。熱硬化性接着層の外面は、PETライナ234および236によって保護される。Mylarライナもまた適している。
【0191】
図17、図22A、および図22Bは、印刷ヘッドIC74とチャネル67の間を流体連通させるために、中心に配置されたインク送達点(穴69の中央列および導管70の端部)と一致するよう接着フィルム71を貫通してレーザ穿孔された、穴72のパターンを示す。図25および図26は、レーザアブレーションプロセスをより詳細的に概略的に示す。積層化されたフィルム71が、リール240から供給され、レーザ238を通過し、リール242に巻き上げられる。レーザは、熱硬化性接着材が硬化され固められないように、紫外光を使用するエキシマレーザとする。印刷ヘッドIC74またはLCP成形物65が取り付けられる前に接着材が固まる場合、封止が弱まるおそれがある。より長い波長の光を用いるレーザは、接着材をその硬化温度を超えて加熱しやすい。図26は、レーザによって穿孔された穴72を示す。穴72は、下方PETライナ236内のどこかで終端する、止り穴である。下方PETライナを破断せず保つことは、穴72に異物が入らないようにするのに役立つ。上方PETライナ234は、レーザ238によって穴72から除去された、アブレーションされた材料244の一部を収集する。フィルムをLCP成形物65に取り付ける直前にライナを取り除くことによって、アブレーションされた材料244、および流体封止に影響を及ぼすおそれがあるその他何らかの砕屑物が除去される。
【0192】
図27は、LCP成形物65へのフィルム71の取付けを示す。レーザ穿孔されたフィルム71は、リール242からLCP成形物65へと供給される。LCP成形物は、比較的長いポリマー成形物であるので、材料固有の弱さおよび成形プロセスにより、あまり直線的ではない。成形物は、フィルムが取り付けられる間は、直線的に把持および保持される。加熱されたダイ246は、熱硬化性接着材を軟化させるが硬化させず、そのため接着材は粘着性となる。適当な穴72が、成形物65内にエッチングされたインク導管70(図22B参照)の端部と少なくとも部分的に整列されるように、視覚システム(図示せず)が、フィルム71を位置合せする。これは、LCP成形物65およびフィルム71両方の上の基準マークを用いて、あるいは成形物および/またはフィルム両方の所定の特徴を参照する視覚システムを用いることによって、行うことができる。これは、特にフィルムにとって有用となり得る。というのも、加熱プロセスによって、基準マーク(通常非常に小さい穴)の著しい変形または除去が生じるおそれがあるからである。視覚システムによって、穿孔された穴のパターン内の1つまたは複数の所定の穴72を探す場合、インク導管70との位置合せは、より直接的かつ正確なものとなる。インク穴72は、物理的に大幅に大きいので、相対的な変形がより小さいが、視覚システムは、中心点を計算するために単純な幾何学的技術を使用し、それを参照することができる。PETライナ236は、取付けの前に剥がされ、往復運動ナイフ248が、フィルムを取付け後にサイズどおりに切り取る。
【0193】
フィルム71をLCP成形物に取り付ける前に、フィルムに穿孔することは、フィルムを成形物に取り付けてから穿孔するよりも、迅速かつ確実である。フィルムが成形物に取り付けられている場合の穿孔は、穴がフィルムを完全に貫通して延びるが、レーザによってアブレーションされる下にあるLCPの部分が穿孔され過ぎないように、注意深く制御される必要がある。アブレーションされたLCPは、穴72内に留まりやすく、流れの遮断を生じる。
【0194】
図28に移ると、個々の印刷ヘッドIC74が、フィルム71に順次取り付けられている。加熱されたダイ260は、各印刷ヘッドIC74を保持し、視覚システム262がダイ260を以前に取り付けられた印刷ヘッドIC74および穴72と位置合せさせた後に、IC74をフィルム71に取り付ける。LCP成形物が印刷ヘッドICの一端部と他端部の間で厳密な直線から逸れることは、許容可能な公差内にあるので、LCP成形物65は、もはや直線状に保持されない。上記で議論したように、視覚システムは、基準を参照することができ、または、フィルム71内の1つまたは複数の穴72上の所定の点を参照することができる。PETライナ234は、汚染を避けるために、取付けの直前に剥がされる。この場合も同様に、ダイ260は、熱硬化性接着材220を、それが粘着性になるが硬化しないところまで、(印刷ヘッドIC74を通じて)加熱する。一連の印刷ヘッドIC74がフィルム71によってLCP成形物65に貼り付けられるときのみ、フィルムは最終的に、知られている硬化温度を超えて温度を上昇させることによって硬化される。
【0195】
あるいは、フィルムは、異なる硬化温度を有する熱硬化性接着層を使用することができる。層224に、層220よりも低い硬化温度を与えることによって、印刷ヘッドIC74が取り付けられて硬化するよりも前に、フィルムをLCP成形物65へと取り付け、硬化させることができる。熱硬化性接着材は、熱可塑性フィルムよりも信頼性の高い流体封止部を提供する。熱可塑性フィルムは、加熱されて軟化されるので、印刷ヘッドICおよびLCP成形物を、フィルムの表面内へと埋め込むことができる。フィルムは冷却後に、基本的に機械的結合によって、LCPに取り付けられる。これは、動作中の長時間の熱疲労に伴い、破損および漏れを生じやすい。熱硬化性樹脂接着材は、硬化して、印刷ヘッドアセンブリ内の熱膨張の差に耐える、印刷ヘッドICの表面との強い結合を形成する。
【0196】
図23は、図22Aに示すようなポリマーフィルムによって印刷ヘッドICに取り付けられた、LCP成形物の概略的な部分断面図である。インクは、LCP成形物65の下面内の導管70を通って流れる。開いたチャネル70は、熱硬化性接着材層224によって封止され、チャネル70の内側端部が、フィルムを通る穴72と位置合せされる。熱硬化性接着材の粘度を、印刷ヘッドICおよびLCP成形物をフィルム表面内へと適当に埋め込むために十分に低くするが、接着材を、障害または有害な狭窄を生じる程度まで流体導管内へと膨張させる程には低くしないことが、重要である。ただし、少量の接着材の、流体チャネル内へのたるみまたは「テンティング」(図23の228、230、および232を参照)は、適切な結合のために必要であり、インク流に有害ではない。したがって、流れの狭窄を伴わない確実な封止部をもたらす接着材の粘度範囲もまた、MSTデバイス内の開口および支持部の、寸法および構成に依存する。100センチポアズから10000000センチポアズの粘度の熱硬化性接着材が、MSTデバイスのミクロン規模の開口を封止する。より深くより幅広の開口には、範囲内のより低い端部で粘度を有する接着材を用いることができ、より小さくより狭い開口には、より高い粘度を有する接着材が必要である。
【0197】
印刷ヘッドIC74は、分配チャネル77の形の入口開口を有する。これらのチャネルは、個々のノズル(図示せず)へと続く入口226へとインクを分配する。図24は縮尺どおりではないが、図22Aから、分配チャネル77がLCP成形物65内の供給導管70よりも大幅に小さいことが、理解されるであろう。したがって、チャネル77は、キャリヤウェブ22とIC74の上面との間から移動する接着材によって、より目詰まりまたは狭窄しやすい。これを防止するために、印刷ヘッドICの取付け表面内に凹部を形成し、そうしなければチャネル77内へと圧搾させるインクを、保持することができる。図21Bに示すように、これらの凹部は、幅80μmのチャネルの両側に延び80μmの間隔で配置される、直径約10μmおよび深さ5μmの一連のピット264とすることができる。それらが取付け表面へと与える追加のテクスチャおよび起伏はまた、フィルム71への接着を助ける。
【0198】
ポリマー封止フィルム71の厚さは、それがもたらすインク封止の効果にとって決定的に重要である。図21Aから図22Bに最もよく見られるように、ポリマー封止フィルムは、印刷ヘッドIC74の裏面上でエッチングされたチャネル77を封止し、かつ、フィルムのもう一方の面上で導管70を封止する。ただし、フィルム71が導管70の開いた端部を横断して封止するとき、フィルムはまた、導管内へと膨張し、またはたるむことができる。導管70内へとたるむフィルムの断面は、印刷ヘッドIC74内のエッチングされたいくつかのチャネル77を横断して延びる。たるみによって、エッチングされた各チャネル77を分割する壁部間に、間隙が生じることがある。明らかに、これによって封止が破られ、印刷ヘッドIC74および/またはエッチングされたチャネル77間からの、インクの漏れがもたらされる。
【0199】
これに対する防護を行うために、ポリマー封止フィルム71は、エッチングされたチャネル77上の封止を維持しながら、導管70内へのたるみを考慮するのに十分な厚さを有するべきである。ポリマー封止フィルム71の最小厚さは、フィルムがその中にたるむ導管の幅、フィルムの積層構造内の接着層の厚さ、印刷ヘッドIC74がその中に押し込まれるときの接着層の「剛度」、および積層の中心フィルム材料の弾性率に依存する。
【0200】
厚さ25μmのポリマー封止フィルム71は、図示の印刷ヘッドアセンブリ22に適している。ただし、厚さを50、100、またさらには200μmへと増大させると、それに対応して、もたらされる封止の信頼性が上昇する。上記のAblestik積層において、熱硬化層は、厚さ25μmであり、ポリイミドキャリヤウェブは、厚さ50μmである。PETまたはmylarライナは、通常、厚さ12μmのものである。
【0201】
インク送達入口73は、印刷ヘッドIC74の「前」面内に形成される。入口73は、入口上に配置されたそれぞれのノズル801(以下で図35から図36を参照しながら説明する)へとインクを供給する。インクは、個々の入口73すべてにそれぞれインクが供給されるように、ICに送達されなければならない。したがって、個々の印刷ヘッドIC74内の入口73は、インク供給の複雑さおよび配線の複雑さが低減されるように、物理的にグループ分けされる。それらはまた、電力消費を最小限に抑え、様々な印刷速度を可能にするために、論理的にグループ分けされる。
【0202】
各印刷ヘッドIC74は、5つの異なる色のインク(C、M、Y、KおよびIR)を受け取り、印刷するように構成され、1色につき1280個のインク入口を備え、それらのノズルは、偶数および奇数のノズル(ぞれぞれ640個)に分割される。各色用の偶数個および奇数個のノズルは、印刷ヘッドIC74上の別々の列の上に設けられ、真性の1600dpiの印刷を実行するために垂直に整列される。これはすなわち、ノズル801が、図19に明確に示されるように、10列に配列されることを意味する。単一の列上の2つの隣接するノズル801間の水平距離は、31.75μmであり、ノズル列間の垂直距離は、ノズルの発射オーダに基づくが、列は通常、紙が列の発射回数間に動くことができる距離に対応する、ドットラインの数およびドットラインの分数分だけ離隔される。また、所与の色のためのノズルの偶数列と奇数列の間隔は、以下で説明するように、それらがインクチャネルを共用することができるようなものとしなければならない。
【0203】
製造方法
製造プロセスの様々な態様を、図18B〜図18Eに示す概略断面図を参照しながら以下で議論する。知られている一技術を図18Bに示す。ポリイミドフィルムが、導電トラック200を露出するために、フレキシブルPCB79の一端部から除去される。トラック200は、それらが印刷ヘッドIC74上のボンドパッドのラインと位置合せされるように間隔をおいて配置される。次いでトラック74は、ボンドパッドに直接接続される。この技術は、「TAB結合」として一般に知られており、フレキシブルPCBが非常に精密であること、ならびにフレキシブルPCBとボンドパッドが整列されるときの高い精度を必要とする。したがって、これは、印刷ヘッド製造の全プロセスのうちの時間がかかる段階となる可能性がある。フレキシブルPCB79を印刷ヘッドIC74の高さで支持するために、支持成形物65が、階段状の区画204を有することも必要とされる。階段上の区画204により、設計の複雑さが増す。
【0204】
本発明のこの態様は、導電トラック200を印刷ヘッドIC74へと配線206する前に、印刷ヘッドIC74およびフレキシブルPCB79(または少なくとも導電トラック200)の両方を、ポリマーフィルム71を用いて支持成形物65に取り付ける。印刷ヘッドICおよびフレキシブルPCBの両方を、ポリマーフィルムを用いて支持部材に取り付けることは、トラックとボンドパッドの高度に精密な整列が絶対的に重要ではないので、比較的迅速かつ単純なステップである。後続のボンドパッドへのフレキシブルPCBの配線は、トラックおよびそれらの対応するボンドパッドを印刷ヘッドIC上に光学的に配置する、自動の機器によって行うことができる。トラックとボンドパッドの位置合せが少々不正確であっても、印刷ヘッドIC、特にページ幅印刷ヘッドで使用される長いICへの、フレキシブルPCBの接続は妨げられない。結果的に、プロセス全体の時間効率がより良好で、商業的に実用的なものとなる。
【0205】
図18C〜図18Eは、すべて本発明の同一の基本的な技術を使用する、フレキシブルPCBとICとの取付けのための異なる選択肢を示す。図18Cにおいて、フレキシブルPCB79は、印刷ヘッドIC74が取り付けられた後に、ポリマーフィルム71に取り付けられる。これを行うために、フレキシブルPCB79は、ポリマーフィルム71に取り付けるための接着領域208を有する。というのも、ポリマーフィルム71は、印刷ヘッドIC74の取付けプロセス後に、冷却され、固まり、それ自体の接着品質を失うからである。フレキシブルPCBとICが取り付けられた状態で、ワイヤ接続206が製作され、保護封入部202が加えられる。
【0206】
図18Dで、印刷ヘッドIC74およびフレキシブルPCB79は、ポリマーフィルム71によって支持成形物65へと同時に取り付けられる。これは、フレキシブルPCBおよびICを別々に取り付けるよりも迅速であるが、より複雑である。図18Eは、導電トラックがポリマーフィルム71内に組み込まれる、より単純な型を示す。上記で議論したように、ポリマーフィルム71は、積層であるので、トラックを層間に配置することができる。この形では、ポリマーフィルムは、効果的にフレキシブルPCBになる。この選択肢は、迅速かつ単純であるが、組み込まれたトラックを有するポリマーフィルムは、「規格の」製品ではない。
【0207】
この文脈で、図18C〜図18Eは、上記で詳細に議論した、LCP成形物の上方部材62および下方部材65、個々のインクチャネル67、インク穴96、導管70、およびレーザ穿孔された穴72を示す。
【0208】
上記で触れたように、本発明は、ページ幅印刷に関し、したがって、印刷ヘッドIC74は、印刷ヘッドアセンブリ22の幅を水平方向に横断して延びるように構成される。これを実現するために、個々の印刷ヘッドIC74は、図16および図17に示すように、ポリマーフィルム71の表面を横断する当接構成で、互いに連結される。印刷ヘッドIC74は、接着層の融点を超えてICを加熱し、それらを封止フィルム71内へと押し付けることによって、または、ICをフィルムへと押し込む前に、フィルム71の接着層をICの下でレーザを用いて溶融させることによって、ポリマー封止フィルム71に取り付けることができる。別の選択肢は、ICをフィルム71に押し付ける前に、IC(接着材の融点を超えない)および接着層の両方を加熱することである。
【0209】
上記のように、フレキシブルPCBは、ポリマーフィルム71への取付けのための接着領域を有することができ、あるいは、加熱されたバーが、フレキシブルPCBをポリマーフィルム上に、所定の時間押し付けることができる。
【0210】
印刷ヘッドの連結
個々の印刷ヘッドIC74の長さは、およそ20〜22mmである。A4/米国手紙サイズのページを印刷するために、11〜12個の個々の印刷ヘッドIC74が、互いに隣接して連結される。個々の印刷ヘッドIC74の数は、別の幅のシートに対応するために変えることができる。
【0211】
印刷ヘッドIC74は、様々な方法で互いに連結することができる。IC74を連結させる1つの具体的なやり方を、図20に示す。この構成では、IC74は、隣り合うIC間に垂直方向のずれを伴わずにICの水平ラインを形成するよう、その端部が互いに連結されるように形状付けされる。IC間に、約45°の角度を有する傾斜した接合部が設けられる。接合縁部は、直線状ではなく、位置決めを容易にするための鋸歯状プロファイルを有し、IC74は、接合縁部に対して垂直に測定して、約11μm離隔して配置されることが意図される。この構成では、各列上の最も左のインク送達ノズル73は、10行のピッチで下降し、三角形構成で配列される。この構成は、接合部にてノズルの一定の重なりをもたらし、インク液滴が印刷領域に沿って一貫して送達されることを保証するように、ノズルのピッチを維持する。この構成はまた、十分な連結を保証するために、IC74の縁部にてより多くのシリコンが提供されることを保証する。ノズル動作の制御は、SoPECデバイスによって実行されるが(以下の説明で議論する)、ノズルの補正は、ストレージ要求に応じて、印刷ヘッド内で実行することができ、またはSoPECデバイスによって実行することもできる。この点に関して、IC74の一端部に配置されるノズルの下降する三角形配列は、印刷ヘッド上の最小のストレージ要求をもたらすことが理解されるであろう。ただし、ストレージ要求があまり重要でない場合、三角形以外の形状を使用することができ、たとえば下降する列は、台形の形をとることができる。
【0212】
印刷ヘッドICの上面は、その縁部に沿って設けられた多数のボンドパッド75を有し、それらは、SoPECデバイスから、ノズル73の動作を制御するためのデータおよび/または電力を受け取るための手段をもたらす。IC74を接着層71の表面上に正しく位置決めし、接着層71内に形成された穴72とIC74が正しく整列するようにそれらを整列させることを助けるために、基準点76もまた、IC74の表面上に設けられる。基準点76は、隣のICおよび接着層71の表面に対する、IC74の正しい位置を指示するための、適当な位置決め機器によって容易に識別可能なマーカの形であり、IC74の縁部上に、接着層71の長さに沿って戦略的に位置決めされる。
【0213】
ポリマー封止フィルム71内に形成された穴72からインクを受け取り、かつインクをインク入口73に分配するために、各印刷ヘッドIC74の下面は、図21に示すように構成される。多数のエッチングされたチャネル77が設けられ、各チャネル77が、1つの特定の色またはタイプのインクの送達専用の1対の列の入口73と流体連通する。チャネル77は、ポリマー封止フィルム71内の穴72の幅と等しい、幅約80μmであり、IC74の長さにわたり延びる。チャネル77は、シリコン壁部78によって区間に分割される。各区間には、入口73への流路を短縮し、各ノズル801へのインク欠乏の可能性を低減するために、インクが直接供給される。これに関して、各区間は、それらそれぞれの入口73を通じて、およそ128個のノズル801に供給する。
【0214】
図22Bは、ノズル73への供給のためにIC74の下面に形成された、エッチングされたチャネル77へと、どのようにインクが供給されるかをより明解に示す。図示のように、ポリマー封止フィルム71を貫通して形成される穴72は、シリコン壁部78がチャネル77を区間に分割する点で、チャネル77のうちの1つと位置合せされる。穴72の幅は、1つの穴72がインクをチャネル77の2つの区間へと供給するように、チャネル77の幅とほぼ同じ約80μmである。これによって、ポリマー封止フィルム71内で必要とされる穴72の密度が半減することが、理解されるであろう。
【0215】
ポリマー封止フィルム71の表面への各印刷ヘッドIC74の取付けおよび位置合せ後に、ノズル801を制御し、動作するための制御信号および電力を、ボンドパッド75へと供給することができるように、フレキシブルPCB79(図18参照)が、IC74の縁部に沿って取り付けられる。図15により明確に示すように、フレキシブルPCB79は、印刷ヘッドアセンブリ22から延び、印刷ヘッドアセンブリ22の周りで折れ曲がる。
【0216】
フレキシブルPCB79はまた、受け取った電力およびデータ信号を制御するために、その長さに沿って配列された複数の減結合コンデンサ81を有することができる。図16に最もよく見られるように、フレキシブルPCB79は、受け台ユニット12の制御回路から電力および/またはデータ信号を受け取るための、その長さに沿って形成された複数の電気接点180を有する。複数の穴80はまた、フレキシブルPCB79の遠位縁部に沿って形成され、フレキシブルPCBを主本体20の剛性プレート34のフランジ部分40に取り付けるための手段を提供する。フレキシブルPCB79の電気接点が、受け台ユニット12の電力およびデータ接点に接触するやり方を、以下で説明する。
【0217】
図18Aに示すように、媒体シールド82は、印刷ヘッドIC74を、通過する媒体との接触により生じる可能性がある障害から保護する。媒体シールド82は、適当なクリップ係止構成または接着材によって、印刷ヘッドIC74の上流の上方部材62に取り付けられる。このやり方で取り付けられるとき、印刷ヘッドIC74は、通過する媒体の経路から外れて、媒体シールド82の面の下方に着座する。
【0218】
空間83は、媒体シールド82、上方部材62、および下方部材65の間に設けられ、空気圧縮器などから加圧された空気を受け取ることができる。この空間83は、印刷ヘッドアセンブリ22の長さに沿って延びるので、圧縮された空気を、印刷ヘッドアセンブリ22の両端部から空間56へと供給し、アセンブリに沿って均等に分配することができる。媒体シールド82の内面には、媒体シールド82の長さに沿って均等に分布する複数の空気出口を画成する、一連のフィン84が設けられ、圧縮された空気が、空気出口を通って移動し、媒体送達の方向で印刷ヘッドIC74を横断して送られる。この構成は、ノズルの遮断または損傷を生じることがある、媒体によって運ばれるごみおよびその他の粒子状物質が、印刷ヘッドICの表面上に載らないよう妨げる働きをする。
【0219】
インク送達ノズル
ノズルおよび対応するアクチュエータを備える、本発明に適したインク送達ノズル構成のタイプの一例を、次に図35から図38を参照しながら説明する。図38は、シリコン基板8015上に形成されたインク送達ノズル構成801のアレイを示す。各ノズル構成801は、同一であるが、ノズル構成801のグループは、異なる色のインクまたは定着剤を供給するように構成される。この点に関して、ノズル構成は、列として構成され、互いに対してずらして配置され、印刷時に、インクドットの単一列のノズルで可能となるよりもより緊密な間隔での配置を可能にする。そのような構成は、高密度のノズルの提供を可能にし、たとえば、5000個以上のノズルが、それぞれの列内のノズル間に約32μm、隣接する列間に約80μmの間隔を有する、複数の互い違いの列内に配列される。複数の列によってまた、冗長化(必要な場合)が可能になり、したがって、1つのノズルにつき所定の障害率が可能になる。
【0220】
各ノズル構成801は、集積回路加工技術の製品である。特に、ノズル構成801は、マイクロシステム技術(MST)を画成する。
【0221】
説明をわかりやすく容易にするために、単一のノズル構成801の構造および動作を、図35から図37を参照しながら説明する。
【0222】
インクジェット印刷ヘッド集積回路74は、シリコンウェハ基板8015を備え、シリコンウェハ基板8015は、その上に位置決めされた、0.35μmの1P4M12ボルトのCMOSマイクロプロセッシング電子部品を有する。
【0223】
二酸化ケイ素(あるいはガラス)層8017が、基板8015上に位置決めされる。二酸化ケイ素層8017は、CMOS誘電層を画成する。CMOS最上層金属は、二酸化ケイ素層8017上に位置決めされた、1対の位置合せされたアルミニウム電極接触層8030を画成する。シリコンウェハ基板8015および二酸化ケイ素層8017はいずれも、一般に円形断面(平面図で)を有するインク入口チャネル8014を画成するように、エッチングされる。CMOS金属1、CMOS金属2/3、およびCMOS最上層金属の、アルミニウム拡散障壁8028が、インク入口チャネル8014の周りで二酸化ケイ素層8017内に配置される。拡散障壁8028は、駆動電子部品層8017のCMOS酸化物層を通じたヒドロキシルイオンの拡散を妨げる働きをする。
【0224】
窒化ケイ素の層8031の形の不活性化層が、アルミニウム接触層8030および二酸化ケイ素層8017を覆って配置される。接触層8030上に配置された不活性化層8031の各部分は、接点8030へのアクセスを提供するために、その中に画成された開口8032を有する。
【0225】
ノズル構成801は、環状ノズル壁8033によって画成されたノズルチャンバ8029を備え、ノズルチャンバは、ノズル屋根8034内の上端部、および平面図内で円形である径方向内部ノズルリム804にて終端する。インク入口チャネル8014は、ノズルチャンバ8029と流体連通する。ノズル壁の下方端部に、運動封止リップ8040を備える、運動リム8010が配置される。包囲壁8038が、可動ノズルを取り囲み、静止封止リップ8039を備え、静止封止リップ8039は、図38に示すようにノズルが停止しているとき、運動リム8010に隣接する。静止封止リップ8039と運動封止リップ8040の間に捕らえられたインクの表面張力により、流体封止部8011が形成される。これは、チャンバからのインクの漏れを防止し、包囲壁8038とノズル壁8033の間の低抵抗結合をもたらす。
【0226】
図36に最もよく示されるように、複数の径方向に延びる凹部8035が、ノズルリム804の周りの屋根8034内に画成される。凹部8035は、インクがノズルリム804を通過して漏れる結果としての、径方向インク流を収容する働きをする。
【0227】
ノズル壁8033は、ほぼU字形プロファイルを有するキャリヤ8036に取り付けられたてこ構成の一部を形成し、基部8037が窒化ケイ素の層8031に取り付けられる。
【0228】
てこ構成はまた、ノズル壁から延び横方向強化ビーム8022を組み込む、てこの腕8018を備える。てこの腕8018は、図38および図37に最もよく示されるように、窒化チタン(TiN)から形成されノズル構成の両側に位置決めされる、一対の受動ビーム806に取り付けられる。受動ビーム806の他端部は、キャリヤ8036に取り付けられる。
【0229】
てこの腕8018はまた、TiNで形成されたアクチュエータビーム807に取り付けられる。アクチュエータビームへのこの取付けは、受動ビーム806への取付けよりも小さいが決定的な距離だけ高い位置にて行われることに留意されたい。
【0230】
図35および図35に最もよく示されるように、アクチュエータビーム807は、平面でほぼU字形であり、電極809と対向電極8041の間に電流路を画成する。電極809および8041のそれぞれは、接触層8030内のそれぞれの点に電気的に接続される。接点809を通じて電気的に結合されると共に、アクチュエータビームはまた、アンカ808へと機械的に係留される。アンカ808は、ノズル構成が動作しているとき、図38から図28の左へのアクチュエータビーム807の運動を抑制するように構成される。
【0231】
アクチュエータビーム807内のTiNは、導電性であるが、電流が電極809と8041の間を通るときに自己加熱に耐えるように、十分高い電気抵抗を有する。電流は、受動ビーム806を通って流れないので、受動ビーム806は膨張しない。
【0232】
使用時は、休止状態のデバイスが、表面張力の影響下でメニスカス803を画成する、インク8013で満たされる。インクは、メニスカスによってチャンバ8029内に保持され、一般に、その他の物理的な影響がなければ漏出しない。
【0233】
図36に示すように、ノズルからインクを発射させるために、電流がアクチュエータビーム807を通過して、接点809と8041の間を流れる。ビーム807は、その抵抗による自己加熱によって膨張する。アクチュエータビーム807の寸法および設計は、膨張の大部分が、図35から図37に関して水平方向であることを意味する。膨張は、アンカ808によって左方向で抑制されるので、てこ領域8018に隣接するアクチュエータビーム807の端部は、右へと押し進められる。
【0234】
受動ビーム806が相対的に水平方向に不撓性であることによって、それらがてこの腕8018を大幅に水平運動させることが防止される。ただし、受動ビームおよびアクチュエータビームの、てこの腕へのそれぞれの取付け点の相対移動によって、ねじり運動が生じ、それにより、てこの腕8018がほぼ下向きに動かされる。その運動は、有効には、枢動または蝶番運動である。ただし、真の枢動点がないことは、受動ビーム806の屈曲によって画成される枢動領域の周りで回転が生じることを意味する。
【0235】
てこの腕8018の下降運動(およびわずかな回転)は、受動ビーム806からのノズル壁8033の距離によって増幅される。ノズル壁および屋根の下降運動によって、チャンバ8029内に圧力上昇が生じ、図36に示すようにメニスカスを膨出させる。インクの表面張力は、流体封止部8011がこの運動によって、インクを漏出させずに伸長されることを意味することに留意されたい。
【0236】
図37に示すように、適当な時間に駆動電流が停止され、アクチュエータビーム807が急速に冷却され収縮する。収縮によって、てこの腕が、その静止位置へと戻り始め、それによってチャンバ8029内の圧力低下が生じる。膨出するインクの運動量とその固有の表面張力の間の相互作用、およびノズルチャンバ8029の上昇運動によって生じる負圧によって、膨出するメニスカスが薄くなり、最終的にプツッと切れてインク液滴802が画成され、インク液滴は、隣接する印刷媒体に接触するまで上昇し続ける。
【0237】
液滴802が離れた直後に、メニスカス803は、図37に示す凹形を形成する。チャンバ8029内の圧力は、インクが入口8014を通って上方向に吸引され、それによってノズル構成およびインクが図35に示す静止状態へと戻されるまで、表面張力によって比較的低いままとなる。
【0238】
本発明に適当な別のタイプの印刷ヘッドノズル構成を、次に図33を参照しながら説明する。ここでも同様に、説明をわかりやすく容易にするために、単一のノズル構成1001の構造および動作を説明する。
【0239】
ノズル構成1001は、泡形成ヒータ要素アクチュエータタイプのものであり、ノズル1003をその中に有するノズルプレート1002、ノズルリム1004を有するノズル、およびノズルプレートを通って延びる開口1005を備える。ノズルプレート1002は、続いてエッチングされる犠牲材料上に化学気相成長法(CVD)によって堆積された、窒化ケイ素構造からプラズマエッチングされる。
【0240】
ノズル構成は、各ノズル1003に対して、ノズルプレートがその上で支持される側壁1006、壁部およびノズルプレート1002によって画成されるチャンバ1007、多層基板1008、ならびに、多層基板を通って基板の裏側(図示せず)へと延びる入口通路1009を備える。環状の細長ヒータ要素1010は、チャンバ1007内に懸架され、そのため要素は、懸架されたビームの形となる。図示のノズル構成は、リソグラフィプロセスによって形成される、マイクロシステム技術(MST)構造である。
【0241】
ノズル構成が使用されているとき、リザーバ(図示せず)からのインク1011は、チャンバが満たされるように、入口通路1009を通ってチャンバ1007内に入る。その後、ヒータ要素1010は、1マイクロ秒よりいくぶん短く加熱され、そのため加熱は、熱パルスの形となる。ヒータ要素1010は、チャンバ1007内でインク1011と熱接触し、そのため、要素が加熱されるとき、それによってインク内に蒸気泡が生じることが理解されるであろう。したがって、インク1011は、泡を形成する液体を構成する。
【0242】
泡1012は、発生すると、チャンバ1007内の圧力上昇を生じ、それによって、ノズル1003を通るインク1011の液滴1016の吐出が生じる。リム1004は、液滴が誤って方向付けられる可能性を最低限に抑えるように、液滴1016が吐出されるときその方向付けを助ける。
【0243】
1つの入口通路1009につきノズル1003およびチャンバ1007が1つしか存在しない理由は、要素1010の加熱および泡1012の形成時にチャンバ内で生み出される圧力波が、隣接チャンバおよびその対応するノズルに影響を及ぼさないようにするためである。
【0244】
チャンバ1007内の圧力上昇は、ノズル1003を通してインク1011を押し出すだけでなく、入口通路1009を通してインクをいくらか押し戻す。ただし、入口通路1009は、長さが約200から300μmであり、直径がわずか約16μmである。したがって、かなりの粘性抵抗が存在する。その結果、チャンバ1007内の圧力上昇の主な効果は、入口通路1009を通じてインクを押し戻すよりも、ノズル1003を通してインクを吐出される液滴1016として押し出すことである。
【0245】
図39に示すように、液滴が切り離される前のその「くびれ段階」時の、吐出されるインク液滴1016を示す。このステージで、泡1012は、既にその最大サイズに到達しており、次いで崩壊点1017に向かって崩壊を開始している。
【0246】
泡1012が崩壊点1017へと向かって崩壊することによって、一部のインク1011が、ノズル1003内でそこから(液滴の側部1018から)、また一部が入口通路1009から、崩壊点に向かって引き込まれる。このようにしてノズル1003から引き込まれるほとんどのインク1011は、液滴1016が切れて離れる前にその基部にて、環状ネック1019を形成する。
【0247】
液滴1016を切り離すために、表面張力に打ち勝つための一定量の運動量が必要となる。インク1011が泡1012の崩壊によってノズル1003から引き込まれるとき、ネック1019の直径が減少し、それによって液滴を保持している表面張力全体の大きさが減少し、そのため液滴の運動量は、液滴がノズルから吐出されるとき、液滴を切り離すことを可能にするのに十分となる。
【0248】
液滴1016が切り離されるとき、泡1012が崩壊点1017へと崩壊するときに、矢印1020で表されるようなキャビテーション力が生じる。キャビテーションがそこで作用を有する可能性がある崩壊点1017の付近には、固体表面が存在しないことを留意されたい。
【0249】
本発明に適したさらに別のタイプの印刷ヘッドノズル構成を、次に図34〜図36を参照しながら説明する。このタイプは通常、インクを収容するノズルチャンバと、チャンバ内に配置されたパドルに連結される熱屈曲アクチュエータとを有する、インク送達ノズル構成を提供する。熱アクチュエータデバイスは、ノズルチャンバからインクを吐出するように作動される。好ましい実施形態は、伝導トレースの伝導加熱をもたらすための一連の先細部分を備える、特定の熱屈曲アクチュエータを備える。アクチュエータは、ノズルチャンバのスロット付き壁部を通して受けられるアームによって、パドルに連結される。アクチュエータアームは、ノズルチャンバ壁内のスロットの表面と実質的に対合するように、対合形状を有する。
【0250】
最初に図40(a)〜(c)を見ると、本実施形態のノズル構成の基本動作の概略図が提供される。インク入口チャネル503によってインク502が充填された、ノズルチャンバ501が設けられており、入口チャネル503は、ウェハ基板を貫通してエッチングすることができ、その上にノズルチャンバ501が載る。ノズルチャンバ501はさらに、インクメニスカスがその周りに形成される、インク吐出ポート504を備える。
【0251】
ノズルチャンバ501の内側に、パドルタイプデバイス507があり、このデバイスは、ノズルチャンバ501の壁部内のスロットを通じてアクチュエータ508と相互連結される。アクチュエータ508は、ポスト510の端部に隣接して配置された、たとえば509などヒータ手段を備える。ポスト510が、基板に固定される。
【0252】
ノズルチャンバ501から液滴を吐出することが望ましいとき、図34(b)に示すように、ヒータ手段509が、熱膨張するように加熱される。好ましくは、ヒータ手段509自体またはアクチュエータ508の別の部分は、以下の式により定義される高い曲げ性能を有する材料から構築される。
曲げ性能=(ヤング率×(熱膨張係数))/(密度×比熱容量)
【0253】
ヒータ要素のための適当な材料は、ガラス材料を屈曲させるように形成することができる、銅ニッケル合金である。
【0254】
加熱器手段509は、理想的には、ポスト510付近の小さい熱膨張によってパドル端部の大きな運動がもたらされるように、パドル端部507にて作動の作用が拡大されるよう、ポスト510の端部に隣接して配置される。
【0255】
加熱器手段509および結果的なパドル運動によって、インクメニスカス505の周りで全体的な圧力上昇が生じ、メニスカス505は、図34(b)に示すように、急速に膨張する。加熱器の電流は、パルス化され、インクが、インクチャネル503からの流入に加えて、ポート504から吐出される。
【0256】
続いて、パドル507が非作動化され、再びその静止位置に戻る。非作動化によって、インクがノズルチャンバ内へと全体的に補充される。ノズルリム外部のインクの前進運動および対応する逆流によって、液滴512の全体的なくびれおよび切離しがもたされ、液滴が、印刷媒体へと前進する。崩壊したメニスカス505によって、インク流れチャネル503を通じたノズルチャンバ502内へのインクの全体的な吸込が生じる。同時に、ノズルチャンバ501は、図34(a)内の位置が再び実現され、ノズルチャンバが続いて別のインク液滴吐出の容易完了となるように、補充される。
【0257】
図41は、ノズル構成の側部斜視図を示す。図42は、図41のノズル構成のアレイを通る断面図を示す。これらの図では、以前に挿入された要素の番号がそのまま使用されている。
【0258】
まず、アクチュエータ508は、たとえば窒化チタン層517の頂部に形成された上部ガラス部分(非晶質二酸化ケイ素)516を含む、515など一連の先細アクチュエータユニットを備える。あるいは、銅ニッケル合金層(以下白銅と呼ぶ)を使用することができ、これはより高い曲げ性能を有することになる。
【0259】
窒化チタン層517は、先細の形状であり、したがって、ポスト510の端部付近で、抵抗加熱が生じる。隣接する窒化チタン/ガラス部分515は、ブロック部分519にて相互連結され、それによってまた、アクチュエータ508のための機械的な構造支持を提供する。
【0260】
加熱器手段509は、理想的には、加熱時にアクチュエータ508の軸に沿ってみられる曲げ力が最大となるように、細長く、間隔を置いて配置された、複数の先細アクチュエータユニット515を備える。隣接する先細ユニット515間にスロットが画成され、それによって、各アクチュエータ508の動作を、隣接するアクチュエータ508に対してわずかに差別化することが可能になる。
【0261】
ブロック部分519は、アーム520に相互連結される。次いでアーム520は、たとえばノズルチャンバ501の側部内に形成された522などスロットによって、ノズルチャンバ501内のパドル507に連結される。スロット522は、アーム520の周りでインクが流出する機会が最低限に抑えられるように、一般にアーム520の表面と対合するように設計される。インクは一般に、スロット522の周りの表面張力効果によって、ノズルチャンバ501内で保持される。
【0262】
アーム520を作動させることが望ましい場合、ノズル構成のための必要な電力および制御回路を提供する下方CMOS層506に接続される、ブロック部分519内で、窒化チタン層517を通して導電電流が流される。導電電流は、ポスト510に隣接する窒化物層517の加熱をもたらし、それによって一般に、アーム520の上向きの屈曲がもたらされ、その結果インクがノズル504から吐出される。吐出された液滴は、上記のようなインクジェットプリンタの通常のやり方で、ページ上に印刷される。
【0263】
ノズル構成のアレイは、単一の印刷ヘッドを作り出すように形成することができる。たとえば、図42に、印刷ヘッドアレイを形成するように、交互配置されたライン状に配置された多数のインク吐出ノズル構成を備える、部分的に断面図である様々なアレイの図を示す。当然、フルカラーアレイなどを含めて、様々なタイプのアレイを考案することができる。
【0264】
説明される印刷ヘッドシステムの構造は、その内容が相互参照により完全に組み込まれる、「画像生成方法および装置(Image Creation Method and Apparatus)(IJ41)」という名称の、本出願人の米国特許第6,243,113号に記載されたようなステップを適当に修正することにより、標準的なMST技術を用いて作り出すことができる。
【0265】
集積回路74は、集積回路の長さおよび必要とされる所望の印刷特性に応じて、その表面に沿って配列される、5000個から100000個の上記インク送達ノズルを有するように、構成することができる。たとえば、幅が狭い媒体用には、所望の印刷結果を実現するために、わずか5000個のノズルを印刷ヘッドアセンブリの表面に沿って配列することができるが、より幅が広い媒体用には、所望の印刷結果を実現するために、最小で10000個、20000個、または50000個のノズルを、印刷ヘッドアセンブリの長さに沿って提供することが必要なことがある。A4または米国レターサイズ媒体上の、1600dpiまたは約1600dpiのフルカラー写真品位画像のために、集積回路74は、1色につき13824個のノズルを有することができる。したがって、印刷ヘッドアセンブリ22が4色(C、M、Y、K)の印刷能力を有する場合、集積回路74は、その表面に沿って配置される約53396個のノズルを有することができる。さらに、印刷ヘッドアセンブリ22が6種の印刷流体(C、M、Y、K、IRおよび定着剤)の印刷能力を有する場合、集積回路74の表面上に、82944個のノズルが設けられることになることがある。そのような構成すべてにおいて、各ノズルをサポートする電子部品は同一である。
【0266】
次に、個々のインク送達ノズル構成を印刷ヘッドアセンブリ22内で制御することができるやり方を、図37〜図46を参照しながら説明する。
【0267】
図43は、集積回路74の概要、および印刷エンジン1の制御電子部品内に設けられた(上記)SoPECデバイスへのその接続を示す。上記で議論したように、集積回路74は、各ノズルを発射させるための反復ロジックを含むノズルコアアレイ901、およびノズルを発射させるためのタイミング信号を生成するためのノズル制御ロジック902を備える。ノズル制御ロジック902は、高速リンクを通じてSoPECデバイスからデータを受け取る。
【0268】
ノズル制御ロジック902は、印刷のためにシリアルデータをノズルアレイコアへと、電気コネクタの形とすることができるリンク907を通じて送るように構成される。ノズルアレイコア901についての状態およびその他の動作情報は、電気コネクタ上に設けることができる別のリンク908を通じて、ノズル制御ロジック902へと送り返される。
【0269】
ノズルアレイコア901を、図44および図45により詳細に示す。図44において、ノズルアレイコア901が、ノズル列911のアレイを有することが理解されるであろう。アレイは、発射/選択シフトレジスタ912、ならびに、それぞれ対応するドットシフトレジスタ913によって表される、最高6つの色チャネルを備える。
【0270】
図45に示すように、発射/選択シフトレジスタ912は、順方向経路発射シフトレジスタ930、逆方向経路発射シフトレジスタ931、および選択シフトレジスタ932を備える。各ドットシフトレジスタ913は、奇数ドットシフトレジスタ933および偶数ドットシフトレジスタ934を備える。奇数シフトレジスタ933および偶数シフトレジスタ934は、データが奇数シフトレジスタ933を通じて一方向でクロック制御され、次いで偶数シフトレジスタ934を通じて逆方向でクロック制御されるように、一端部にて接続される。最終以外のすべての偶数ドットシフトレジスタ出力は、マルチプレクサ935の1つの入力へと供給される。マルチプレクサのこの入力は、製造後のテスト中に、信号(corescan)によって選択される。正常な動作では、corescan信号は、マルチプレクサ935のその他の入力に供給される、ドットデータ入力Dot[x]を選択する。これによって、各色のためのDot[x]が、それぞれのドットシフトレジスタ913へと供給される。
【0271】
次に、図46を参照しながら、単一の列Nを説明する。図示の実施形態では、列Nは、6つのドットシフトレジスタそれぞれのための奇数データ値936および偶数データ値937を含む、12個のデータ値を備える。列Nはまた、順方向発射シフトレジスタ930からの奇数発射値938、および逆方向発射シフトレジスタ931からの偶数発射値939を備え、それらはマルチプレクサ940への入力として供給される。マルチプレクサ940の出力は、選択シフトレジスタ932内の選択値941によって制御される。選択値が0である場合、奇数発射値が出力され、選択値が1である場合、偶数発射値が出力される。
【0272】
奇数データ値936および偶数データ値937は、それぞれ奇数ドットラッチ942および偶数ドットラッチ943に対応する入力として提供される。
【0273】
各ドットラッチ、およびその関連データ値は、ユニットセル944など、ユニットセルを形成する。ユニットセルを、図46により詳細に示す。ドットラッチ942は、データ値936の出力を受け取るDタイプフリップフロップであり、この出力は、奇数ドットシフトレジスタ933の要素を形成するDタイプフリップフロップ944によって保持される。フリップフロップ944へのデータ入力は、(考慮される要素が、この例ではその入力がDot[x]値となる、シフトレジスタ内の第1の要素でなければ)奇数ドットシフトレジスタ内の以前の要素の出力から提供される。データは、LsyncL上に供給される負のパルスを受け取ると、フリップフロップ944の出力から、ラッチ942内へとクロック制御される。
【0274】
ラッチ942の出力は、3入力ANDゲート945への入力のうちの1つとして提供される。ANDゲート945への別の入力は、(マルチプレクサ940の出力からの)Fr信号、およびパルスプロファイル信号Prである。ノズルの発射時間は、パルスプロファイル信号Prによって制御され、たとえば、(取外し可能な電源実施形態において)低電力供給により生じる低電圧状態を考慮して延長することができる。これは、比較的一定の量のインクが、各ノズルが発射されるときそこから有効に吐出されることを保証するためのものである。説明される実施形態では、プロファイル信号Prは、各ドットシフトレジスタで同一とすることができ、それによって、複雑性、コスト、および性能の間のバランスがもたらされる。ただし、別の実施形態では、Pr信号は、全体的に印加することができ(すなわちすべてのノズルに対して同一となる)、あるいは、各ユニットセルまたさらには各ノズルに対して個別に調整することができる。
【0275】
データがラッチ942内にロードされると、発射イネーブルFr信号およびパルスプロファイルPr信号が、ANDゲート945に印加され、結合されて、ロジック1を含む各ラッチ942ごとにインクのドットを吐出するようノズルをトリガする。
【0276】
各ノズルチャネルのための信号を、以下の表において概説する。
【表4】
図46に示すように、発射信号Frは、現在の列内の1つの色、後続の列内の次の色などの発射をイネーブルするために、対角線上に送られる。これは、電流需要を、時間遅延させたやり方で6つのコラム上に分散させることによって平均化する。
【0277】
ドットラッチおよび様々なシフトレジスタを形成するラッチは、この実施形態では十分に静的であり、CMOSベースである。ラッチの設計および構造は、集積回路工学および設計の当業者によく知られているので、この文書では詳細に説明しない。
【0278】
ノズル速度は、毎分約60ページ、またはより高速でそれより多く印刷することができるプリンタユニット2で、20kHz程とすることができる。この範囲のノズル速度では、印刷ヘッドアセンブリ22全体から吐出することができるインクの量は、毎秒少なくとも約50000000滴である。ただし、より高速およびより高品質の印刷を提供するためにノズルの数が増加されるとき、少なくとも毎秒100000000滴、好ましくは少なくとも毎秒500000000滴、およびより好ましくは少なくとも毎秒1000000000滴を、送達することができる。そのような速度にて、インク液滴は、ノズルによって、1つの液滴につき約250ナノジュールの最大液滴吐出エネルギーを用いて吐出される。
【0279】
したがって、これらの速度での印刷に対応するために、制御電子部品は、ノズルが同等の速度でインク液滴を吐出するべきであるかどうかを決定することができなくてはならない。これに関して、いくつかの例では、制御電子部品は、ノズルが毎秒少なくとも50000000定量の速度でインクの液滴を吐出するべきであるどうかを決定することができなければならない。これは、より高速かつより高品位の印刷用途のために、毎秒少なくとも100000000定量、または少なくとも毎秒500000000定量、および多くの場合に、少なくとも1000000000定量へと増大することがある。
【0280】
本発明のプリンタユニット2では、印刷ヘッドアセンブリ22上に設けられる上記範囲の数のノズルは、ノズル発射速度および印刷速度と併せて、少なくとも毎秒50cm2、また印刷速度に応じて少なくとも毎秒100cm2、好ましくは少なくとも毎秒200cm2、より好ましくはより高速で、少なくとも毎秒500cm2の面積印刷速度をもたらす。そのような構成によって、以前に従来のプリンタユニットを用いて到達不可能であった速度にてある面積の媒体を印刷する能力を有する、プリンタユニット2が提供される。
【0281】
保守アセンブリ
保守アセンブリ23を図47〜図50に詳細に示す。これは、図8において上記で示したように、印刷ヘッドアセンブリ22に隣接して配置されるように、主本体20のポスト26間に取り付けられる。
【0282】
保守アセンブリ23は、一般に、アセンブリの様々な構成要素をその中に受ける、保守シャシ88からなる。保守シャシ88は、端部が開いたチャネルの形であり、その端部にて1対の上向きに延びる舌部89を有し、舌部89は、主本体20のポスト26を覆って嵌り、保守アセンブリ23を定位置に固定するように舌部上に設けられた保守突起と係合するように、形状付けされる。保守シャシ88は、プレスされた鋼板など、剛性および弾性を有する適当な金属材料から製作される。
【0283】
図49により明らかに示される保守シャシ88の基部は、中央に配置された除去部分90、窓部分92、および、窓部分92の両側から延びるばねアーム91を備える。一体ばねアーム91は、シャシ88の内部へと傾斜し、シャシの板金をプレスすることによって形成される。当然、ばねアーム91は同様に、シャシ88の開いたチャネル内に配置される別個の挿入物とすることもできる。
【0284】
剛性の挿入物93が、保守アセンブリ23にさらなる剛度をもたらすために、シャシ88内に嵌るように設けられる。キャッチ要素94が、剛性の挿入物の基部から突出し、シャシ88内に剛性の挿入物93が配置されるときに、シャシ88の中央に配置された除去部分90内へと延びる。キャッチ要素94は、以下で説明するように、保守アセンブリを、蓋をされた状態と蓋をされていない状態の間で動かすように設けられる。下方保守成形物95が、挿入物93内に配置されており、下方保守成形物95の側部に沿って形成された多数のラグ96と、挿入物93の側部に沿って設けられた対応するスロット97との係合によって、挿入物内に保持される。下方保守成形物95は、適当な可塑性材料から製作され、閉じた端部および開いた頂部を有する本体を形成する。下方保守成形物95の端部に、空気孔98が設けられる。空気穴98からの空気は、保守アセンブリを通気するために、フィルタ181を通って流れる。
【0285】
2つのピン要素99が、下方保守成形物95の基部から延びる。ピン要素99は、下方保守成形物の基部に対するピン要素99の多方向相対運動が可能になるように、ゴムなど可撓性のウェブによって基部へと連結される。ピン要素99は、剛性の挿入物93の基部内の2つの円形開口100を貫通し、保守シャシ88の窓部分92内へと進む。
【0286】
下方保守成形物95内のピン要素99上で、リテイナ挿入物101が支持される。リテイナ挿入物101は、被覆鋼板であり、その中に保持される吸収媒体102のストリップのための、剛性支持を提供する。吸収媒体102は、一般に、2つのほぼ水平部分の間から上向きに延びる薄い垂直部分である、個別の部分の逆さまのT字形アセンブリである。吸収媒体102は、ウレタンフォームなど、インクを吸収および保持することができるいかなるタイプの材料から製作することもできる。
【0287】
マイクロファイバ織物103が、薄い垂直部分を覆って2つの水平部分の周りに嵌り、次いで、吸収媒体102を保持するために、リテイナ挿入物101に取り付けられる。マイクロファイバ織物103は、吸収媒体102内に引き込まれる。
【0288】
上方保守成形物104は、マイクロファイバ織物103、吸収媒体102、およびリテイナ挿入物101を、下方保守成形物95との間に取り囲むために、下方保守成形物95を覆って嵌る。上方保守成形物104は、その底面に沿って、適当な接着材によって下方保守成形物95の表面に取り付けられる。上方に突出するリム部分105は、マイクロファイバ織物103によって覆われた吸収媒体102の薄い垂直部分を越えて延びる。リム部分105は、上方保守成形物104が印刷ヘッドアセンブリに接触して蓋をすることになるときに、印刷ヘッドアセンブリ22のノズルを封止するための、開いた周囲封止部を画成する。
【0289】
この構成では、上方保守成形物104、マイクロファイバ織物103、吸収媒体102、リテイナ挿入物101、下方保守成形物95、および剛性挿入物93は、保守シャシ88内に嵌り、そのばねアーム上で支持されるようになされる、蓋ユニットを形成する。このユニット内で、マイクロファイバ織物103、吸収媒体102、およびリテイナ挿入物101は、ピン要素99上で支持される、下方保守成形物95と上方保守成形物104とによって画成される空間内で運動可能な、サブユニットを形成する。
【0290】
図47に示すように、蓋ユニットは、上方保守成形物104を覆って嵌りシャシ88を固定するリテイナ要素106を用いて、定位置に保持される。リテイナ要素106は基本的に、その上面に沿って形成されたスロット107を有する、端部が開いたチャネルの形であり、それを通って、上方保守成形物104のリム部分105が突出し、印刷ヘッドアセンブリ22に蓋をして係合することができる。リテイナ要素106の上面は、湾曲しており、印刷中に媒体案内部として働く。
【0291】
このようなやり方で組み立てられるとき、保守アセンブリ23の構成要素は、上方保守成形物104が、印刷ヘッドアセンブリ22に蓋をするためにリテイナ要素106に対して動くことができ、マイクロファイバ織物103および吸収媒体102が、印刷ヘッドアセンブリ22のノズル表面に接触しそれを拭くために上方保守成形物に対して動くことができるように、リテイナ要素106およびシャシ88内に収容される。
【0292】
保守アセンブリ23を組立て、主本体20のポスト26へと取り付けるとき、剛性挿入物のキャッチ要素94は、シャシ88の中央除去部分90から延びる。ばねアーム91の作用により、保守ユニット23は(上記で規定したように)、シャシ88の基部から持ち上げられ、そのため上方保守成形物104のリム部分105が、リテイナ要素106のスロット107を通って延び、印刷ヘッドアセンブリ22に接触して蓋をする。この状態を図50に示し、蓋をした状態と呼ぶ。ここで印刷ヘッドのノズルは、リム部分105内のほぼ閉じられた環境内に封止され、乾燥およびインクの詰まりが生じにくくなる。環境は、ほぼ閉じられているが完全には閉じられず、そのため保守アセンブリは、リム105内に生み出される緩やかな吸引による、蓋をしない状態への移動が妨げられない。
【0293】
印刷ヘッドアセンブリ22のノズル付近に存在する何らかの紙くずまたはその他の粒子状物質を除去するために、印刷ヘッドの表面を、マイクロファイバ織物103によって拭くことができる。これを実行するために、受け台ユニット内に存在するワイパアクチュエータが、シャシ88の窓部分92内へと延び、下方保守成形物95の基部内に設けられたピン要素99と接触する。ワイパアクチュエータによってピン99上にもたらされる上向きの力は、ピン99をリテイナ挿入物101に対してさらに突出させ、それによって、マイクロファイバ織物103により被覆される吸収媒体102の垂直部分が、上方保守成形物104のリム部分105内へと、またそれを越えてノズル付近で印刷ヘッドアセンブリ22の表面に接触するまで延びる。マイクロファイバ織物103の存在は、接触が最小限に抑えられることを保証し、印刷ヘッドアセンブリ22の表面上に存在する、吸収媒体102内に保持されるべきインクまたは水分を吸引する。ピン99は、いかなる方向にも自由に動くことができるので、ワイパアクチュエータのいかなる横方向運動によっても、マイクロファイバ織物103がノズルの表面を横方向に横断して動かされ、したがって拭き取りまたは清浄化機能が実行される。次いでワイパアクチュエータの解除によって、構成は、マイクロファイバ織物103および吸収媒体102がリム部分105の表面の下方となる位置へと、戻される。
【0294】
印刷を実行するために、保守アセンブリ23を、蓋をした状態から印刷状態へと動かさなければならない。これは、保守アクチュエータが、シャシ88の中央除去部分90を通って突出するキャッチ要素94を把持し、それに対して下向きの力を加えることによって実現される。この下向きの力によって、剛性の挿入物93が、シャシ88のばねアーム91に逆らって、シャシの基部に向かって動かされる。この運動によって、上方蓋成形物104の上方リム部分105は、リテイナ要素106の外面と面一になりそこから突出しないように、リテイナ要素106内に形成されたスロット107内へと収縮する。リテイナ要素106が動かず、定位置に固定されることが、理解されるであろう。これによって、リテイナ要素106と印刷ヘッドアセンブリ22との間に隙間が生み出され、そこを、印刷のために媒体が通過することができる。印刷状態または蓋をしていない状態において、リテイナ要素106は、媒体案内部として作用し、媒体は、リテイナ要素に接触し、印刷のために印刷ヘッドアセンブリを通過するとき、リテイナ要素106の表面上で支持される。
【0295】
受け台ユニット
受け台ユニット12を、図6および図7を比較しながら示す。受け台ユニット12は、一般に、カートリッジユニット10を受けるための開口14を画成する主本体13と、開口を閉じてカートリッジユニット10を受け台ユニット12内で定位置に固定するようになされた、カバーアセンブリ11からなる。
【0296】
受け台ユニット12の主本体13は、図51Aおよび図51Bに示すように、フレーム構造110を備える。フレーム構造110は、一般に、2つの端部プレート111、および各端部プレート111を連結させる基部プレート112を備える。カートリッジユニット10が主本体13内に保持されるときに、それが駆動ローラ113と出口ローラ114との間に配置されるように、駆動ローラ113および出口ローラ114は、それらの対向端部にて端部プレート111間に取り付けられる。駆動ローラ113および出口ローラ114はそれぞれ、ブラシなし直流電動機115によって駆動され、ブラシなし直流電動機115は、端部プレート111の一方に取り付けられ、駆動ベルトなど駆動機構116によって、駆動ローラおよび出口ローラをそれぞれ駆動する。そのようなシステムによって、駆動ローラ113および出口ローラ114の両方が同じ速度で駆動されることが保証されて、印刷エンジン1を通りカートリッジユニット10の印刷ヘッドアセンブリ22を通過する媒体の、円滑かつ安定した移動が保証される。
【0297】
保守駆動アセンブリ117が、直流電動機107の反対側の、もう一方の端部プレート111に取り付けられる。保守駆動アセンブリ117は、保守歯車119およびワイパ歯車120に動作可能に連結された、電動機118を備える。保守歯車119は、鉤状の端部を有するロッドの形である保守アクチュエータ121に連結され、保守アクチュエータは、基部プレート112内の距離を延びる。保守アクチュエータ121の鉤状端部は、蓋をした状態と印刷状態の間で上方リム部分105を昇降させるように、保守アセンブリ23のキャッチ要素94内で受けられるよう形状付けされる。ワイパ歯車120は、同様に、ロッドの形でありそこから突出する1対の突起を有する、ワイパアクチュエータ122に連結される。ワイパアクチュエータ122は、同様に基部プレート112内で延び、突起は、保守アセンブリ23のピン要素99と接触するように保守シャシ88の基部内に形成された窓部分92と位置合せされるよう、ワイパアクチュエータ122に沿って位置決めされる。
【0298】
保守駆動アセンブリ117を、図52Aおよび図52Bに分離して示す。電動機118は2方向性であるので、電動機の一方向での動作によって、ワイパ歯車120は、図52Aに示すように反時計回り方向に動かされる。ワイパ歯車120は、その表面上に形成された高くなった部分123を有し、高くなった部分123は、ワイパ歯車120が回転するときにワイパアクチュエータのアーム124と接触する。高くなった部分123がアーム124に接触するとき、ワイパアクチュエータ122は、その上に形成された突起が、保守シャシ88内の窓部分92を通って上方向に、ピン要素99に逆らって動くように枢動し、それによってマイクロファイバ織物103が、印刷ヘッドアセンブリの表面に押し付けられる。ワイパ歯車120のさらなる回転によって、アーム124はその中立位置に戻される。ワイパ歯車120上に形成された、追加の傾斜し高くなった部分125の存在により、ワイパアクチュエータ122に横方向運動を加えることができ、そのときアーム124によって、ワイパアクチュエータ全体が、戻りばね126に逆らって横方向に動かされる。印刷ヘッドの状態を容易に決定することができるように、ワイパアクチュエータの位置を感知するために、センサ要素127が設けられる。
【0299】
印刷ヘッドアセンブリ22の蓋をした状態を制御するために、電動機118が反転され、それによってワイパ歯車120は、図52Aに示す時計回り方向、および図52Bに示す反時計回り方向に動かされる。ワイパ歯車120のこの方向での回転によって、ワイパアクチュエータが、保守アセンブリ23から離れて下方向に枢動することが保証される。ただし、図52Bにより明確に示すように、この回転によって、ワイパ歯車120の内面上に設けられたフリッパ歯車128が、保守歯車119に係合し、それによって保守歯車119を、(図52Bに示すような)反時計回り方向に回転させる。同様に、保守歯車119の内面上に形成された突起129が、保守アクチュエータ121の枢動アーム130に接触し、それによって保守アクチュエータの鉤状端部が、下方向に動かされ、保守アセンブリ23のキャッチ要素94を把持し、それによって上方リム部分105の反応を生じ、印刷状態を開始させる。同様に、センサ要素127は、電動機118の動作、したがって印刷ヘッドの所望の状態を制御するために、保守アクチュエータの位置を感知することができる。
【0300】
図51Aおよび図51Bを再び参照すると、カートリッジユニット10を受け、受け台ユニット12内へと案内するのを助けるために、1対のカートリッジユニット案内部131が、端部プレート111に取り付けられる。案内部131は、カートリッジユニット10が受け台ユニット12に対して正しく向けられるよう、カートリッジユニット10の表面を受けるように傾斜する。
【0301】
印刷エンジンの動作および印刷ヘッドアセンブリ22のIC50を制御するための制御電子部品が、プリント回路基板(PCB)132上に設けられる。図51Aに示すように、PCB132の一方の面は、SoPECデバイス133と、外部供給源から受け取ったデータおよび電力を受け取りかつ分配するための、関連構成部品134とを備え、PCBのもう一方の面は、その下方縁部に沿った電気接点135の列を備え、それによって、電力およびデータ信号を、印刷ヘッドアセンブリ22のノズルを制御するために、フレキシブルPCB79上の対応する電気接点へと送信するための手段をもたらす。
【0302】
図53の分離図に示すように、PCB132は、PCBアセンブリ140の一部を形成し、2つのアーム136の間に取り付けられ、各アームは、PCB132を受け定位置に保持するための、爪部分137を有する。図54に示すように、各アーム136は、その上部に形成された、引張ばね142の鉤部分を受けるための溝141を有する。その目的は、以下で説明する。
【0303】
PCB132が2つのアーム136の間に取り付けられるときに、PCB132に安定性をもたらすために、支持棒138が、PCB132の底縁部に沿って、SoPECデバイス133および関連する構成部品134を収容する面上で、アーム136およびPCBに固定される。支持棒138は、その下面に沿って取り付けられた、複数のスターホイール139を有する。スターホイールは、図51Aに示すようにPCBアセンブリ140が端部プレート111に取り付けられるときに、出口ローラ114の表面を把持するために、スターホイールが支持棒の下面に対して相対的に動くことができるようにばね装荷される。
【0304】
図55Aに示すように、熱シールド143が、SoPECデバイス133を実質的に覆い、プリンタユニット2の付近内で起こり得る電磁干渉(EMI)からSoPECデバイスを保護するように、PCB132に取り付けられる。熱シールド143はまた、その中に設けられたラッチ機構144を有し、ラッチ機構144は、図55Aに示すように、カバーアセンブリを閉位置に固定するために、カバーアセンブリ11上に設けられるクリップと対合する。
【0305】
PCBアセンブリ140は、アーム136の底部に設けられた枢動点141にて、端部プレート111に枢動式に取り付けられる。この構成では、電気接点135がフレキシブルPCB79の電気接点から離隔され、カートリッジユニット10を受け台ユニット12から容易に取り外すことができる開位置と、電気接点135が、印刷ヘッドアセンブリ22のノズルからの印刷が容易になるように制御データおよび電力を伝達するために、フレキシブルPCB79上に設けられた電気接点と動作可能に接触する閉位置との間で、PCBアセンブリ140を、その枢動点141の周りで回動させることができる。
【0306】
図55Bに示すように、アイドルローラアセンブリ145が、受け台ユニット12の後部にて端部プレート111に固定されており、駆動ローラ113の表面に接触しそれと共に回転するように位置決めされた、複数のローラホイール152を備える。アイドルローラアセンブリ145は、プリンタユニット2のピッカ機構9から印刷エンジン1に与えられる何らかの媒体を、印刷のためにカートリッジユニット10の印刷ヘッドアセンブリ22を通過して移送するために、駆動ローラ113とアイドルローラアセンブリ145のローラホイール146との間で把持することを保証する。
【0307】
図55Aおよび図55Bにその閉状態で示すカバーアセンブリ11は、その上方後部にて、端部プレート111に枢動式に取り付けられる。1対の取付けプレート147が、カバーアセンブリをピン148によって端部プレート111に取り付けるために、カバーアセンブリ11から延びる。取付けプレート147は、ピン148を越えて延び、その中に形成された穴を有し、図54に関して上記で議論したような引張ばね142の自由端部が、その中で受けられる。
【0308】
カバーアセンブリ11が、図55Bに示すように閉位置にあるとき、ばねに最大の張力がかかり、それによってPCBアセンブリ40が、図56Aの断面図に示すような閉位置に向かって枢動させられる。この位置で、PCB132の電気接点135は、電力およびデータ信号をそれらの間で伝達することができるように、印刷ヘッドアセンブリ22のフレキシブルPCB79の対応する電気接点と動作可能に接触する。
【0309】
カバーアセンブリが図55Cに示すようなその開位置に動かされるとき、取付けプレート147は、受け台アセンブリの前方に向かって枢動し、それによって、ばね142内の張力が解放され、ばねが緩められる。これによって、PCBアセンブリが、図56Bに示すような開位置へと、離れて枢動する。この位置では、PCB132の電気接点135は、印刷ヘッドアセンブリ22のフレキシブルPCB79の対応する接点と接触しなくなるように動き、それによって、カートリッジユニット10を受け台ユニット12から取り外すことが可能になる。
【0310】
これに関して、カバーアセンブリ11の開/閉動作もまた、カートリッジユニット10と受け台ユニット12の間を電気的に非接続にし/接続する機能を実行する。
【0311】
図55A〜図55Cを再び参照すると、カバーアセンブリ11は、その上面内に形成された多数の合体ポート149を備える。図示の実施形態では、5つの合体ポート149が設けられ、各合体ポートは、インク保管モジュール45のうちの1つに対応する。各合体ポート149は、インク保管モジュール45へと補充インクを供給するためのインク補充ユニットを受けるように形状付けされた、上向きに突出するリップ部分を有する。図55Cにより明確に示すように、各合体ポート149は、その中に設けられた、大きいほぼ円形の開口151と、2つの小さい円形開口152を有し、それによって、以下で説明するようなやり方で、インク補充ユニットとカートリッジユニット10との間でインクを送達することが可能になる。
【0312】
4つのT字形開口182が、補充部上のバッグ圧迫器アクチュエータを受けるように、各合体部分149の隅部に位置決めされている。これらは、インク保管モジュール45に関して上記で簡単に議論したが、以下でより詳細に説明する。
【0313】
補充ユニット
図57A〜図57Cは、補充インクをカートリッジユニット10に供給するための、インク補充ユニット155を示す。インク補充ユニット155は、内部インク補充構成要素を収容する基部アセンブリ156と、基部アセンブリ156を覆って嵌るカバー157とを備える、ユニットとして設けられる。基部アセンブリおよびカバーは、可塑性材料から成形することができ、基部アセンブリ156は、単一部片または複数の区間として成形することができる。
【0314】
図57Bにより詳細に示す基部アセンブリ156の下面は、そこから突出するリッジ部分160を備えており、インク補充ユニットを合体位置に保持するように、カバーアセンブリ11内に形成された合体ポート149と対合する。ほぼ円筒形のインク出口158もまた、インクをカートリッジユニット10に送達するために、基部アセンブリの下面から突出する。2つの弁作動ピン159もまた、インク保管モジュール45の入口および出口弁のそれぞれを作動させるために、基部アセンブリ156の下面から突出する。図示の実施形態では、2つの弁作動ピン159は、一方向性の良好な曲げ耐性および座屈強度のための、三つ又断面を有する。QAチップ161もまた、基部アセンブリ156の下面から突出するように設けられ、その上で露出する複数のQAチップ接点162を有し、チップ接点は、インク補充ユニット155がカバーアセンブリ11と合体するときに、カバーアセンブリ11内に設けられたQAチップリーダによって読み取られる。
【0315】
圧迫器アクチュエータ190が、基部アセンブリ156の各隅部に隣接して突出する。圧迫器アクチュエータ190は、それらの端部が、わずかに弧状で丸くなっている。カートリッジユニット10の頂部42内にある圧迫器開口60(図14参照)が、それに対応して弧状となっている。端部が丸まっており弧状の断面を有することによって、使用者が、1つの圧迫器アクチュエータ190をその対応する開口60と位置合せすることが容易に可能になり、湾曲した表面によって、その他の圧迫器アクチュエータ190が直観的に案内され、それらそれぞれの開口60と位置合せされる。これは、補充ユニットを界面61と、迅速に、かつ使用者による細かい位置決めを最小限に抑えて合体させるのに役立つ。図57Bに最もよく示すように、各圧迫器アクチュエータ190は、片持ち補強部191を有する。これによって、圧迫器アクチュエータ190に、補充ユニットを合体ポートと位置合せするときに使用者が過度な力を加えた場合の、大きな横方向の力に耐えるための高度な曲げ強度が与えられる。
【0316】
図12を参照しながら上記で説明したように、圧迫器アクチュエータ190は、インク保管モジュール45のバッグ圧迫器43を作動させる。
【0317】
基部アセンブリ156もまた、充填ポート192を有する。バッグ163は、このポートを通してその最初のインク装入を受け取り、次いでポートは、可塑性封止ボール193によって封止される。
【0318】
図57Cの分解図を参照すると、インクバッグ163が、補充インクをその中に保管するために基部アセンブリ156の内面に封止され、インクがインク補充ユニット155に供給され/そこから取り出されるときにインクバッグ163が拡張/収縮することを可能にする、変形可能な材料から製作される。インク送達針164が、バッグ163と基部アセンブリ156の間に設けられた空間内へと延び、インクが出口158へと流れるための通路を提供する。インク送達針164の端部は、円筒形出口158内へと延び、円筒形出口158の開いた端部内で圧縮ばね166によってばね装荷される、封止リング165によって取り囲まれる。インク補充ユニット155が、カートリッジユニット10と合体されていないとき、送達針は、封止リング165によって保護される。さらなる注意として、可塑性キャップ187が、出口を覆って摺動し、わずかな締り嵌めによって定位置に保持される。
【0319】
インク量指示器167もまた、インク補充ユニット155のカバー157内に設けられる。インク量指示器167は、着色された区間など指示部分168を有する、可撓性ストリップを備える。バッグ163内のインク供給部が使い果たされたとき、すなわちバッグが実質的に空になったときに、指示部分168が、カバー157の頂面内に設けられた透明の窓169と位置合せされるように、ストリップは、その端部にて変形可能なインクバッグ163の上面へと、またその中心にてカバー157の下面へと取り付けられる。これに関して、その他いかなるときにも、すなわちバッグが実質的に空であるとき以外は、支持部分は見えないように隠される。
【0320】
インクが分配されるとき、インクバッグ材料はその性質により、非均一なやり方で変形され収縮する。バッグの上面の各縁部は、同じ割合では収縮しにくい。したがって、インク量指示器167の長さは、変形可能なバッグの上面のすべての縁部が完全に収縮したとき、指示部分168がカバー157内の窓169とのみ位置合せされることを、保証するものである。これに関して、インク量指示器ストリップ182は、最初は折曲げられた状態であり、指示部分168は、バッグ163が満たされているときに窓169から隠されるように、ストリップ182上に配置される。ストリップ167は、両端部がバッグの上面の対向縁部に取り付けられる。両端部の中間点(図示せず)が、透明窓169の下に固定される。バッグ46が完全に収縮すると、ストリップ167は伸びて広がる。これによって、以前は隠されていた指示部分168が窓169を通して見えるようになる。インク量指示器167を使用すると、補充ユニットが完全に使い尽くされていない場合に、1つの補充ユニット155を多数の補充動作に使用することができる。これは、1回の動作でカートリッジユニット10の対応するインク保管モジュール45を補充するために必要なインクの量が、補充ユニットの容量よりも少ないときに生じることがある。
【0321】
カバー157は、基部アセンブリ156の部分を覆って嵌り、インクバッグ163およびインク量指示器167を取り囲む。同様に、U字形の合体留め具183は、合体するときにその脚部が基部アセンブリ156を越えて延びカートリッジユニット10に係合するように、カバー157を覆って嵌る。留め具183の対向脚部上のクリップ170が、カートリッジユニット10の側部上にパチッと係止する。これによって、実質的に固定された保充ユニット155が、インクを確実かつ効率的に移送するために、カバーアセンブリ11に対して保持される。
【0322】
対向する1対の板ばね184が、カバー157の側部を押し付けるように、U字形留め具のそれぞれの脚部の内側から延びる。カバー157の側部上の支点リッジ186に係合するように設計された、枢動部185が、各板ばねに隣接する。これによって脚部が外向きに押されるが、枢動部185が支点186に係合するとき、クリップがてこによって内側に動かされて、カートリッジユニット10との係合を維持する。
【0323】
ラベルパネル188が、留め具183の外面に固定される。ラベルパネル188は、商標およびその他の情報を表示することができる。これはまた、補充部内のインクと一致するように着色することができる。ラベルパネル188はまた、各脚部上に、指把持パッド189を有する。指把持パッド189は、それらの点での指の圧力が板ばね184の力を上回り、クリップ170がてこによってカートリッジユニット10との係合から外されるように、位置決めされる。次いで補充ユニット155を、カバーアセンブリ11の合体ポート149から引き抜くことができる。
【0324】
図58は、カートリッジユニット10のインク保管モジュールアセンブリ21の1つの界面61と直接合体される、補充ユニット155を示す。カバーアセンブリ11および受け台ユニットの残りの部分は、わかりやすくするために削除した。補充ユニット155は、それを合体ポート149内に1つの特定の向きでのみ受けることができるように、形状付けされ、または「合わせられる(keyed)」。U字形留め具183の各脚部の端部は、使用者がユニット155を前後逆に合体させようと試みにくいように、幅が有意に異なる。円筒形インク出口158は、同様に補充ユニット155の前後逆の合体を妨げるために、横方向中心線からずれている。上記で議論したように、合体ポート149の基部は、円筒形インク出口158がその中で受けられ大きい円形開口151と弁アクチュエータ159がその中で受けられる2つのより小さい開口152を有する。それらの相互作用する要素それぞれの断面は、各特定のインク保管モジュール45を補充するために、正しい色のインク補充ユニットを正しい向きでのみ使用することができるように、形状付けられる。たとえば、弁アクチュエータ159の2つの三つ又断面をそれぞれ回転させて、それぞれ一致する回転向きで対応する三つ又開口とのみ対合する、多数の組合せをもたらすことができる。
【0325】
補充ユニット155のQAチップ161のQAチップ接点162との対合、およびそこに記憶された情報の読込みおよび受取りのために、QAチップリーダ172もまた、合体ポート149の基部内に設けられる。そのような情報は、補充ユニット155の保管容量(たとえば約30から約50ml)、補充ユニット155内に収容されるインクの色、およびインク補充ユニット155内に収容されるインクの供給源を含むことができる。情報は、補充ユニット155が合体ポート149内の定位置に合体するときに、受け台ユニット12の制御回路へと容易に転送することができる。たとえば、受け台ユニット12の制御回路は、補充を容易にするために、どのインク保管モジュール45が補充を必要としているか、および補充ユニット155が正しいタイプ/色および量のインクを収容しているかどうかを決定することができる。
【0326】
図59により明確に示すように、各インク保管モジュール45の弁挿入物49(図10参照)は、インク入口15が、合体ポート149内に形成された大きい円形の開口151と位置合せされ、インク入口弁16およびインク出口弁18が、それぞれ三つ又開口152と位置合せされるように、構成される。インク補充ユニット155が、合体ポート149内の定位置に配置されるとき、補充ユニット155のインク出口158が、インク保管アセンブリ45のインク入口15に接触し、弁アクチュエータピン159が、インク入口弁16およびインク出口弁18のそれぞれと接触する。
【0327】
この位置では、インク送達針164は、ばね装荷された封止リング165が円筒形インク出口158内で収縮するとき、インク出口15の表面の周りに緊密な封止部を形成するように、弁挿入物49のインク入口15を貫通する。封止リング165は、インク送達針164上に「乗る」ことができ、補充ユニット155を合体ポート149から取り外すとき、封止リングが封止ばね166の作用によってその保護位置へと戻されるように、付勢される。
【0328】
上記で議論したように、インク保管モジュール45のインクバッグ46内に保持されるインクは、ばね要素54がインクバッグ46に一定の拡張力を加えることにより、一定の負圧状態にある。これにより、インク内に負圧または逆圧が生み出され、それによって、印刷ヘッドアセンブリ22のノズルからインクが漏れることが防止される。この逆圧はまた、補充ユニットが定位置に合体されるとき、補充ユニット155から補充インクを引き出すための単純な手段を提供する。(大気圧である)補充ユニット155のインクバッグと、インク保管モジュール45のインクバッグとの間の圧力勾配により、インク送達針164がインク入口15に貫入すると、補充インクは単純に、補充ユニット155からインク保管モジュール45のインクバッグ46内へと流れ込む。
【0329】
補充動作と印刷動作の間で切り替えるために、またインクが補充中にノズルから漏れないように、一定の逆圧状態でインクを印刷ヘッドアセンブリ22内に維持するために、弁16および18が、上記のように弁挿入物内に設けられる。両バルブは、補充ユニットが定位置で合体ポート149と合体されるときに、弁アクチュエータピン159によって制御される。弁が制御されるやり方を、図60A〜図60Dを参照しながら示す。
【0330】
図60Aおよび図60Bは、それぞれ図59の線A−Aおよび線B−Bに沿った、補充前の弁構成の状態を示す異なる断面図を示し、図60Cおよび図60Dは、図60Aおよび図60Bの図の、補充時の弁構成の状態を示す。
【0331】
図60Aおよび図60Bに示すように、補充前に、インク入口弁16は閉じた位置にあり、それによって、インクまたは空気の通路が、インク入口15に入りインクバッグ46内へと前進することを妨げる。これを図60Bに示す。ここで、インク入口15とインク入口弁16との間の通路内に存在するいかなるインクも、この空間内に留まる。補充ユニット155のインク送達針164の周りの気密封止を維持するために、Oリングシールが、インク入口15に設けられる。この状態では、インク出口弁18が開位置にあり、それによって、インクがインク出口52からインク立下り管30を下り、印刷ヘッドアセンブリ22へと流出するための、通路が提供される。議論したように、ばね要素54は、インクバッグ46内の逆圧の状態を生み出し、印刷ヘッド22が、印刷時にこの逆圧に逆らってインクバッグ46からインクをくみ出す。
【0332】
補充時に、図60Cおよび図60Dに示すように、インク補充ユニット155は、インク出口158が弁挿入部49のインク入口15と係合し、弁アクチュエータピン159が弁16および18と係合するように、合体ポート149内へと合体される。図60Cに示すように、弁アクチュエータピンとインク出口弁18の接触によって、弁18が押下されて閉じられ、それによって、インク出口52から印刷ヘッドアセンブリ22へのさらなるインク流が妨げられる。これに関して、閉じたインク出口弁18から印刷ヘッドアセンブリ22への通路内に存在するインクは、インク出口弁18が開くまで静止したままとなる。
【0333】
図60Dにより明確に示すように、弁アクチュエータピン159がインク入口弁16に接触し、弁を押下すると、弁が開き、補充ユニット155からインクバッグ46へとインクを流すための通路が可能になる。インクバッグ46内に存在する逆圧により、圧力差によってインクがインクバッグ内に引き込まれ、インクバッグ46が満たされインクで膨張するとき、ばね要素54は、インクバッグ46とリテイナ要素55との間で一定の力を維持し、それによってまた、インクバッグ46のインク内の逆圧も一定に維持する。これは、インクバッグ46がその最大容量に到達し、インクバッグ46内に存在するインクの圧力が、補充ユニット155のインクの圧力と等しくなり、補充ユニット155からインクがそれ以上くみ出されなくなるまで続く。
【0334】
バッグ圧迫器アクチュエータ190は、開口60を通って延びて、上方圧迫器つば59を下方圧迫器つば57へと向かって押し、側部パネル58を内側へと屈曲させ、バッグ46を圧迫する。図12を参照しながら上記で議論したように、バッグ圧迫器43は、圧迫を解除することによって補充ユニットが取り外されるとき、インクバッグ46内に負圧を再び生み出す。
【0335】
本発明を、その例示的な実施形態を参照しながら図示および説明してきたが、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、様々な修正が当業者にとって明らかとなり、またそれらを当業者が容易に製作することができる。したがって、本明細書に添付された特許請求の範囲は、本明細書において説明されたような記述に限定されるものではなく、むしろ、特許請求の範囲は広範に解釈される。
【図面の簡単な説明】
【0336】
【図1】紙が入力トレイ内にあり、収集トレイが拡張された状態である、プリンタを示す前方斜視図である。
【図2】内部が露出されるようにケーシングが開いた状態である、(紙が入力トレイ内に存在せず、収集トレイが収縮された状態である)図1の印刷ユニットを示す図である。
【図3】本発明の一実施形態による、印刷システムのドキュメントデータの流れを示す概略図である。
【図4】図3の印刷システム内で使用されるアーキテクチャを示す、より詳細な概略図である。
【図5】図3の印刷システム内で使用される制御電子装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図6】開いたカバーアセンブリを有する受け台ユニット、およびそこから取り出されたカートリッジユニットを示す斜視図である。
【図7】カバーアセンブリがその閉位置にある、図6の受け台ユニットを示す図である。
【図8】図6のカートリッジユニットを示す前方斜視図である。
【図9】図8のカートリッジユニットを示す分解斜視図である。
【図10】図9に示すカートリッジユニットの主本体を示す分解前方斜視図である。
【図11】図9に示す主本体内に配置されたインク保管モジュールアセンブリを示す、底部斜視図である。
【図12】図11に示すインク保管モジュールのうちの1つを示す分解斜視図である。
【図13】図12に示すインク保管モジュールを示す底部斜視図である。
【図14】図12に示すインク保管モジュールを示す頂部斜視図である。
【図15】図9に示す印刷ヘッドアセンブリを示す頂部斜視図である。
【図16】図15に示す印刷ヘッドアセンブリを示す分解斜視図である。
【図17】図15に示す印刷ヘッドアセンブリを示す上下逆の分解図である。
【図18A】図15の印刷ヘッドアセンブリを示す端部断面図である。
【図18B】支持成形物に印刷ヘッドICを取り付けるための知られた技術を示す概略断面図である。
【図18C】本発明の一態様による、LCP成形物に取り付けられる印刷ヘッドICの一実施形態を示す概略断面図である。
【図18D】本発明の一態様による、LCP成形物に取り付けられる印刷ヘッドICの別の実施形態を示す概略断面図である。
【図18E】本発明の一態様による、LCP成形物に取り付けられる印刷ヘッドICの別の実施形態を示す概略断面図である。
【図19】図16から図18に示すような印刷ヘッドの、集積回路モジュールの下降する三角形の端部を示す拡大部分斜視図である。
【図20】図16から図19に示す2つの印刷ヘッド集積回路モジュール間の接合部を示す、拡大斜視図である。
【図21A】図19の印刷ヘッド集積回路を示す下面図である。
【図21B】その付着面内に一連の凹部を有する、図19の印刷ヘッド集積回路下面図である。
【図22A】インクを印刷ヘッド集積回路へと供給するためのインク導管を特に示す、図15の印刷ヘッドアセンブリを示す透過的な上面図である。
【図22B】図28Aの部分拡大図である。
【図23】フィルムによるLCP成形物への印刷ヘッド集積回路の取付けを示す、部分概略断面図である。
【図24】レーザ穿孔前の接着フィルムの積層構造を示す部分概略断面図である。
【図25】取付け前のフィルムのレーザ穿孔を示す図である。
【図26】レーザ穿孔中の接着フィルムの積層構造を示す部分概略断面図である。
【図27】フィルムへのLCP成形物の取付けを示す図である。
【図28】印刷ヘッド集積回路へのフィルムの取付けを示す図である。
【図29】本発明と共に使用するための、インクを吐出するための静止状態にある単一のノズルを示す垂直断面図である。
【図30】初期作動段階中の、図35のノズルを示す垂直断面図である。
【図31】後期作動段階中の、図36のノズルを示す垂直断面図である。
【図32】図31に示す作動状態にある、図35のノズルを示す部分垂直断面斜視図である。
【図33】インクを省略した、図29のノズルを示す垂直断面斜視図である。
【図34】図39のノズルを示す垂直断面図である。
【図35】図36に示す作動状態にある、図35のノズルを示す部分垂直断面斜視図である。
【図36】図35のノズルを示す平面図である。
【図37】分かり易くするためにてこの腕および可動ノズルを除去した、図35のノズルを示す平面図である。
【図38】図35に示すタイプの複数のノズル構成を組み込む印刷ヘッドチップの一部を示す、垂直断面斜視図である。
【図39】泡形成ヒータ要素アクチュエータタイプの、インクを噴射するための単一のノズルのインクチャンバを通る概略断面図である。
【図40A】熱屈曲アクチュエータの基本的な動作原理を示す図である。
【図40B】熱屈曲アクチュエータの基本的な動作原理を示す図である。
【図40C】熱屈曲アクチュエータの基本的な動作原理を示す図である。
【図41】図40に従って構築された、単一のインクジェットノズル構成を示す立体図である。
【図42】図41に示すノズル構成のアレイを示す図である。
【図43】本発明のプリンタと共に使用するための、CMOS駆動および制御ブロックを示す概略図である。
【図44】図43のCMOSブロック内のノズル列とドットシフトレジスタの間の関係を示す概略図である。
【図45】ユニットセル、およびその図44のノズル列およびドットシフトレジスタとの関係をより詳細に示す概略図である。
【図46】本発明のプリンタ内にあるプリンタノズルのためのロジックを示す回路図である。
【図47】図9に示すカートリッジユニットの保守アセンブリを示す前方斜視図である。
【図48】図47の保守アセンブリを示す分解前方斜視図である。
【図49】図47の保守アセンブリの下面を示す分解前方斜視図である。
【図50】本発明のカートリッジユニットに蓋をした状態で動作可能に取り付けられた、保守アセンブリを示す断面図である。
【図51A】本発明の一実施形態による受け台ユニットのフレーム構造を示す前方斜視図である。
【図51B】本発明の一実施形態による受け台ユニットのフレーム構造を示す後方斜視図である。
【図52A】図51Aおよび図51Bのフレーム構造から離隔された、本発明の保守駆動アセンブリを示す左側斜視図である。
【図52B】図51Aおよび図51Bのフレーム構造から離隔された、本発明の保守駆動アセンブリを示す右側斜視図である。
【図53】PCBアセンブリに組みつけられた図51Aおよび図51Bの支持棒アセンブリを示す斜視図である。
【図54】カバーアセンブリに結合されるばね要素に連結された、図53の支持棒アセンブリのアームを示す側部斜視図である。
【図55A】本発明の一実施形態による受け台ユニットを示す図である。
【図55B】本発明の一実施形態による受け台ユニットを示す図である。
【図55C】本発明の一実施形態による受け台ユニットを示す図である。
【図56A】カバーアセンブリが閉位置にある、受け台ユニットを示す側断面図である。
【図56B】カバーアセンブリが開位置にある、受け台ユニットを示す側断面図である。
【図57A】本発明の一実施形態によるインク補充ユニットの頂部斜視図である。
【図57B】本発明の一実施形態によるインク補充ユニットの底部斜視図である。
【図57C】図57Aおよび図58Bのインク補充ユニットを示す分解図である。
【図58】カバーアセンブリの合体ポートと合体される、図57Aおよび図57Bのインク補充ユニットを示す斜視図である。
【図59】カートリッジを内部に有しカバーが閉じられた状態の受け台を示す平面図である。
【図60A】インク補充ユニットおよび印刷エンジンを示す、図59の線A−Aに沿った断面図である。
【図60B】インク補充ユニットおよび印刷エンジンを示す、図59の線B−Bに沿った断面図である。
【図60C】図59の線C−Cに沿った印刷エンジンと合体位置にあるインク補充ユニットの断面図である。
【図60D】図59の線D−Dに沿った印刷エンジンと合体位置にあるインク補充ユニットの断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ヘッドの動作を制御するための印刷エンジン制御装置を有するインクジェットプリンタのための、印刷ヘッドを製造する方法であって、
基板上に形成されたインク吐出ノズルのアレイを有する、印刷ヘッドICを提供するステップと、
前記印刷エンジン制御装置への電気接続のための回路を提供するステップと、
前記プリンタ内の、前記印刷ヘッドICおよび前記回路を支持するための、支持部材を提供するステップと、
ポリマーフィルムを提供するステップと、
熱および圧力を所定の時間加えることによって、前記ポリマーフィルムを前記支持部材の表面に固定するステップと、
前記印刷ヘッドICおよび前記回路を、前記ポリマーフィルムによって前記支持部材に取り付けるステップと、
前記回路を前記印刷ヘッドICへと電気的に接続するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記回路が、ポリイミドフィルム層内に導電性材料のトラックを有するフレキシブルPCBであり、前記印刷ヘッドICおよび前記フレキシブルPCBが、前記ポリマーフィルムによって前記支持部材へと同時に取り付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記回路が、ポリイミドフィルムの層内に導電性材料のトラックを有するフレキシブルPCBであり、前記フレキシブルPCBは、前記印刷ヘッドICが取り付けられた後に前記ポリマーフィルムに取り付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記フレキシブルPCBは、前記印刷ヘッドIC取付けプロセス後に前記ポリマーフィルムが冷却され硬化された後に、前記ポリマーフィルムへの取付けのための接着領域を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記回路は、前記ポリマーフィルム内に置かれる導電性材料のトラックである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記支持部材は、少なくとも1つのインク保管構成要素との流体連通を確立するための、複数のインク供給導管を有し、
前記ポリマーフィルムが、前記インク供給導管と前記印刷ヘッド集積回路との間で前記支持部材に取り付けられ、前記ポリマーフィルムは、前記吐出ノズルが前記インク供給導管と流体連通するように、開口のアレイを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマーフィルムは、厚さが25μmよりも大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリマーフィルムは、厚さが50μmである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
開口の前記アレイが、前記インク供給導管のそれぞれの端部と位置合せされるレーザ穿孔された穴のアレイである、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリマー封止フィルムが、熱可塑性フィルムの両面上に接着層を有する積層である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記熱可塑性フィルムが、PETまたはポリスルホンである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記インク供給導管が、液晶ポリマー微小成形物内に形成される、請求項6に記載の方法。
【請求項1】
印刷ヘッドの動作を制御するための印刷エンジン制御装置を有するインクジェットプリンタのための、印刷ヘッドを製造する方法であって、
基板上に形成されたインク吐出ノズルのアレイを有する、印刷ヘッドICを提供するステップと、
前記印刷エンジン制御装置への電気接続のための回路を提供するステップと、
前記プリンタ内の、前記印刷ヘッドICおよび前記回路を支持するための、支持部材を提供するステップと、
ポリマーフィルムを提供するステップと、
熱および圧力を所定の時間加えることによって、前記ポリマーフィルムを前記支持部材の表面に固定するステップと、
前記印刷ヘッドICおよび前記回路を、前記ポリマーフィルムによって前記支持部材に取り付けるステップと、
前記回路を前記印刷ヘッドICへと電気的に接続するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記回路が、ポリイミドフィルム層内に導電性材料のトラックを有するフレキシブルPCBであり、前記印刷ヘッドICおよび前記フレキシブルPCBが、前記ポリマーフィルムによって前記支持部材へと同時に取り付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記回路が、ポリイミドフィルムの層内に導電性材料のトラックを有するフレキシブルPCBであり、前記フレキシブルPCBは、前記印刷ヘッドICが取り付けられた後に前記ポリマーフィルムに取り付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記フレキシブルPCBは、前記印刷ヘッドIC取付けプロセス後に前記ポリマーフィルムが冷却され硬化された後に、前記ポリマーフィルムへの取付けのための接着領域を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記回路は、前記ポリマーフィルム内に置かれる導電性材料のトラックである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記支持部材は、少なくとも1つのインク保管構成要素との流体連通を確立するための、複数のインク供給導管を有し、
前記ポリマーフィルムが、前記インク供給導管と前記印刷ヘッド集積回路との間で前記支持部材に取り付けられ、前記ポリマーフィルムは、前記吐出ノズルが前記インク供給導管と流体連通するように、開口のアレイを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマーフィルムは、厚さが25μmよりも大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリマーフィルムは、厚さが50μmである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
開口の前記アレイが、前記インク供給導管のそれぞれの端部と位置合せされるレーザ穿孔された穴のアレイである、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリマー封止フィルムが、熱可塑性フィルムの両面上に接着層を有する積層である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記熱可塑性フィルムが、PETまたはポリスルホンである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記インク供給導管が、液晶ポリマー微小成形物内に形成される、請求項6に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図18D】
【図18E】
【図19】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図22A】
【図22B】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40(A)】
【図40(B)】
【図40(C)】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51A】
【図51B】
【図52A】
【図52B】
【図53】
【図54】
【図55A】
【図55B】
【図55C】
【図56A】
【図56B】
【図57A】
【図57B】
【図57C】
【図58】
【図59】
【図60A】
【図60B】
【図60C】
【図60D】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
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【図38】
【図39】
【図40(A)】
【図40(B)】
【図40(C)】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
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【図48】
【図49】
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【図51A】
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【図52A】
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【図53】
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【図55C】
【図56A】
【図56B】
【図57A】
【図57B】
【図57C】
【図58】
【図59】
【図60A】
【図60B】
【図60C】
【図60D】
【公表番号】特表2008−526553(P2008−526553A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−549763(P2007−549763)
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【国際出願番号】PCT/AU2005/001916
【国際公開番号】WO2006/072127
【国際公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(303024600)シルバーブルック リサーチ ピーティワイ リミテッド (150)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【国際出願番号】PCT/AU2005/001916
【国際公開番号】WO2006/072127
【国際公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(303024600)シルバーブルック リサーチ ピーティワイ リミテッド (150)
【Fターム(参考)】
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