説明

インクジェット式画像形成装置の組み立てシステム

【課題】仕様に対応した機能の拡張や変更の自由度が高いインクジェット式画像形成装置の組み立てシステムを提供する。
【解決手段】組み立てる画像形成装置の仕様に応じて、単一作像ユニット、2連作像ユニット集合体ならびに4連作像ユニット集合体から作像ユニット3として選択して、その選択された作像ユニット3を給紙搬送ユニット2ならびに排紙搬送ユニット4と分離可能に連結して画像形成装置を構成することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットヘッド(以下、インクヘッドと略称する場合もある)からインク滴を吐出して、用紙上に画像を形成するインクジェット式画像形成装置の組み立てシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェット式の画像形成装置において、例えば下記特許文献1,2に記載されたような提案がある。特許文献1には、インク滴を吐出するインクジェットエンジンを着脱自在に設けた画像形成ユニットを複数連結した画像形成装置が記載されている。
【0003】
また特許文献2には、連続紙の表裏に複数色の印刷ができるように連続紙の搬送方向に沿って所定に間隔をおいて複数のインクジェットプリントユニットを配置し、連続紙上に形成されたマークを検出し、その検出信号を基にして前記インクジェットプリントユニットのプリント開始を制御するインクジェットプリントシステムが記載されている。
【0004】
図18は特許文献1に記載されている画像形成装置の概略構成図、図19はその画像形成装置に用いられる画像形成ユニットの斜視図、図20はその画像形成ユニットに搭載されるインクジェットエンジンの斜視図である。
【0005】
この画像形成装置は略同一の構成を有する2つの画像形成ユニット101a、101bを連結したものからなっている。画像形成ユニット101a、101bは、それぞれインクジェットエンジン102と、給紙カセット103と、給紙カセット103内の記録用紙Sをインクジェットエンジン102に供給する供給搬送路104と、画像を形成した記録用紙Sをインクジェットエンジン102から搬送する排出搬送路105とを内部に備えている。
【0006】
画像形成ユニット101a、101bは図19に示すように略立方体をしており、一方の側面に記録用紙Sの搬送入口106が形成され、他方の側面に記録用紙Sの搬送出口(図示せず)が形成されている。
【0007】
図18に示すように供給搬送路104と排出搬送路105の間にインクジェットエンジン装着部107が設けられており、そこにインクジェットエンジン102が抜き差し可能に装着される(図19参照)。インクジェットエンジン102は横にはイエロー(Y),マゼンダ(M),シアン(C),黒(K)のインクを個別に収納したインクカセット108が設けられ、各インクカセット108とインクジェットエンジン102はインク供給経路109(図18参照)で接続されている。
【0008】
インクジェットエンジン102は図20に示すように、キャリッジ110と、キャリッジ110を主走査方向に移動させる駆動モータ111と、記録用紙Sを搬送する搬送ベルト112と搬送ローラ113などを備えている。
【0009】
前記キャリッジ110には、下面に多数の吐出口を有するインクヘッド(図示せず)が、イエロー(Y),マゼンダ(M),シアン(C),黒(K)の色毎に設けられている。前記搬送ベルト112は、駆動モータ114によって回転駆動される。
【0010】
例えば前記画像形成ユニット101aで線画像を印刷し、その下流側の画像形成ユニット101bで文字画像を印刷して、一つの画像を形成することができる。このように画像形成ユニット101aと画像形成ユニット101bで印刷を分担することにより、印刷の高速化を図り、画像形成の自由度を高めることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
インクジェットプリンタの市場においては、印刷速度の高速化および印刷品質の高精細化、高画質化の要求が高まり、その要求(仕様)は様々である。各仕様毎に対応した機種を別々に製造していたのでは製造が煩雑になったり、機種別の開発コストが高くつく。近年、機能を容易に拡張したり変更できる画像形成装置が望まれており、また高速化につれてマシンダウンタイムの低減も課題となっている。
【0012】
前記図18〜図20に示す画像形成装置でも、画像形成ユニット201はインクジェットエンジン102、給紙カセット103、供給搬送路104ならびに排出搬送路105などを一体に組み込んだ構成になっている。そのため後述する本発明のように画像形成装置の各種仕様を考慮するときに、共用できるユニットがなく、そのため機能を容易に拡張したり変更することが難しいという問題がある。
【0013】
本発明の目的は、仕様に対応した機能の拡張や変更の自由度が高いインクジェット式画像形成装置の組み立てシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するため本発明は、
給紙搬送ユニットと作像ユニットと排紙搬送ユニットを長尺状被記録媒体の搬送方向に沿って配置して連結されるインクジェット式画像形成装置の組み立てシステムであって、
前記作像ユニットとして、
後記の第2ないし第4の色とは異なる第1の色のインクを装填した第1のインクジェットヘッドと、前記第1の色ならびに後記の第3、第4の色とは異なる第2の色のインクを装填した第2のインクジェットヘッドと、前記第1、第2の色ならびに後記の第4の色とは異なる第3の色のインクを装填した第3のインクジェットヘッドと、前記第1ないし第3の色とは異なる第4の色のインクを装填した第4のインクジェットヘッドを備えた単一作像ユニットと、
前記第1の色のインクを装填した第1のインクジェットヘッドと、前記第2の色のインクを装填した第2のインクジェットヘッドを有する第1の作像ユニットと、前記第3の色のインクを装填した第3のインクジェットヘッドと、前記第4の色のインクを装填した第4のインクジェットヘッドを有する第2の作像ユニットを備えた2連作像ユニット集合体と、
前記第1の色のインクを装填した第1のインクジェットヘッドを有する第1の作像ユニットと、前記第2の色のインクを装填した第2のインクジェットヘッドを有する第2の作像ユニットと、前記第3の色のインクを装填した第3のインクジェットヘッドを有する第3の作像ユニットと、前記第4の色のインクを装填した第4のインクジェットヘッドを有する第4の作像ユニットを備えた4連作像ユニット集合体を準備し、
組み立てる画像形成装置の仕様に応じて、前記単一作像ユニット、2連作像ユニット集合体ならびに4連作像ユニット集合体から作像ユニットとして選択して、その選択された作像ユニットを前記給紙搬送ユニットならびに排紙搬送ユニットと分離可能に連結して画像形成装置を構成することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は前述のように、組み立てる画像形成装置の仕様に応じて、単一作像ユニット、2連作像ユニット集合体ならびに4連作像ユニット集合体から作像ユニットとして選択して、その選択された作像ユニットを給紙搬送ユニットならびに排紙搬送ユニットと分離可能に連結して画像形成装置を構成するから、仕様に対応した機能の拡張や変更の自由度が高いインクジェット式画像形成装置の組み立てシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の各種ユニットを示す概略構成図である。
【図2】第1仕様に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図3】その画像形成装置の各インクカセットとインクヘッドの接続関係を示す図である。
【図4】第2仕様に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図5】第3仕様に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図8】図2に示す画像形成装置に用いられるインクヘッドのノズル面を示した模式図である。
【図9】図4に示す画像形成装置に用いられるインクヘッドのノズル面を示した模式図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係る画像形成装置の各インクカセットとインクヘッドの接続関係を示す図である。
【図11】本発明の第5実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図12】その画像形成装置の各作像ユニットと上位装置の関係を示すブロック図である。
【図13】本発明の第6実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図14】その画像形成装置の各作像ユニットと上位装置の関係を示すブロック図である。
【図15】本発明の第7実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図16】図10に示す画像形成装置の平面から見た概略構成図である。
【図17】図10に示す画像形成装置の側面から見た概略構成図である。
【図18】従来提案された画像形成装置の概略構成図である。
【図19】その画像形成装置に用いられる画像形成ユニットの斜視図である。
【図20】その画像形成ユニットに搭載されるインクジェットエンジンの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係るインクジェット式の画像形成装置および画像形成装置の組み立てシステムについて図面を用いて説明する。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の各種ユニットを示す概略構成図である。
【0019】
この実施形態に係る画像形成装置は、インクジェット記録方式により画像を形成する装置である。
【0020】
画像形成装置は、図1に示すように給紙搬送ユニット2と、複数種類の作像ユニット3a〜3cと、排紙搬送ユニット4が準備され、画像形成装置の工場出荷時やユーザ先のアップグレードなどの際に、仕様に合わせて前記作像ユニット3a〜3cから必要なユニットを選択し、それらを組み合わせて画像形成装置が構成される。なお、給紙搬送ユニット2と排紙搬送ユニット4は、各画像形成装置において共通に用いられる。
【0021】
給紙搬送ユニット2は、内部にインフィードローラ5、ニップローラ6、複数のガイドローラ7、インフィードローラ5を駆動するモータ(図示せず)などを有している。給紙搬送ユニット2の一方の側面にウェブ出口8が形成され、給紙搬送ユニット2の下部にはストッパー付きのキャスター9が設けられている。給紙搬送ユニット2は、ウェブ蛇行補正機構やウェブの除電またはクリーニング機構などの各種機能部を有しているが、本発明とは直接関係しないためそれらの図示は省略している。
【0022】
本実施形態では作像ユニット3a,3bと作像ユニット3cの2種類の作像ユニット3が準備されているが、これらは同一の構造を有している。すなわち、ユニット上部に4個のインクカセット10を装着するカセット装着部11と、そのカセット装着部11の下部に搭載された4個のインクヘッド12と、そのインクヘッド12の下面近傍を通るようにウェブ1を搬送ガイドする複数のプラテンローラ13と、インク試し打ちのためのインク受け14と、インクカセット10内のインクをインクヘッド12に供給するインク供給経路(図示せず)を内部に備えている。
【0023】
また作像ユニット3の一方の側面にはウェブ入口15が形成され、反対側の側面にはウェブ出口16が形成されて、作像ユニット3の下部にはストッパー付きのキャスター17が設けられている。
【0024】
作像ユニット3aと3bは1セットとして用いられ、作像ユニット3aにはイエロー(Y)とマゼンダ(M)のインクを収納したインクカセット10が2個ずつ並んで装着され、それに合わせてインクヘッド12もイエロー(Y)用とマゼンダ(M)用が2個ずつ並んで搭載されている。作像ユニット3bにはシアン(C)と黒(K)のインクを収納したインクカセット10が2個ずつ並んで装着され、それに合わせてインクヘッド12もシアン(C)用と黒(K)用が2個ずつ並んで搭載されている。
【0025】
これに対して作像ユニット3cは、イエロー(Y),マゼンダ(M),シアン(C),黒(K)のインクを収納したインクカセット10が1個ずつ並んで装着され、それに合わせてインクヘッド12もイエロー(Y)用,マゼンダ(M)用,シアン(C)用,黒(K)用が1個ずつ並んで搭載されている。
【0026】
排紙搬送ユニット4は、内部にアウトフィードローラ18、ニップローラ19、複数のガイドローラ20、アウトフィードローラ18を駆動するモータ(図示せず)などを有している。
【0027】
排紙搬送ユニット4の一方の側面にウェブ入口21が形成され、排紙搬送ユニット4の下部にはストッパー付きのキャスター22が設けられている。排紙搬送ユニット4は、インクを乾燥するための乾燥手段などを有しているが、本発明とは直接関係しないためそれらは省略して示している。
【0028】
給紙搬送ユニット2のウェブ出口8のフロア23からの高さH1と、隣接する作像ユニット3aのウェブ入口15の高さH2は略等しくなっている(H1≒H2)。作像ユニット3aのウェブ出口16の高さH3と、作像ユニット3bのウェブ入口15の高さH4は略等しくなっている(H3≒H4)。作像ユニット3bのウェブ出口16の高さH5と、排紙搬送ユニット4のウェブ入口21の高さH8は略等しくなっている(H5≒H8)。また給紙搬送ユニット2のウェブ出口8の高さH1と、作像ユニット3cのウェブ入口15の高さH6は略等しくなっている(H1≒H6)。作像ユニット3cのウェブ出口16の高さH7と排紙搬送ユニット4のウェブ入口21の高さH8は略等しくなっている(H7≒H8)。前記高さH1〜H8を全て略等しくすることもできる(H1≒H2≒H3≒H4≒H5≒H6≒H7≒H8)。
【0029】
作像ユニット3を間にして給紙搬送ユニット2と排紙搬送ユニット4を組み合わせて1ライン化した画像形成装置を構成する際、各ユニット間の位置決めのために例えば給紙搬送ユニット2と排紙搬送ユニット4の接合面側に凸部24、25が設けられ、作像ユニット3の接合面側に凸部24、25が嵌入する凹部あるいは穴(図示せず)が形成されている。作像ユニット3の接合面側に凸部を設け、給紙搬送ユニット2と排紙搬送ユニット4の接合面側に凹部あるいは穴を形成することも可能である。
【0030】
図2は、第1仕様に係る画像形成装置の概略構成図である。この仕様では給紙搬送ユニット2と排紙搬送ユニット4の間に、作像ユニット3aと作像ユニット3bのユニット集合体を介在して画像形成装置201を構成している。同図に示すようにウェブ1の搬送方向(矢印で表示)に沿って給紙搬送ユニット2、作像ユニット3a、作像ユニット3b、排紙搬送ユニット4の順に配置され、各ユニット間の位置決めを行うとともに、各ユニット間は例えばボルトとナットなどにより分離可能に連結され、隣り合うウェブ出口とウェブ入口を合致させる。
【0031】
ロール状に巻かれている長尺状に連続したウェブ1は、給紙搬送ユニット2のインフィードローラ5とニップローラ6の共働により例えば150m/min程度の高速で給紙搬送ユニット2から作像ユニット3a、3bへと搬送される。作像ユニット3aにおけるインク色配列はウェブ1の搬送方向に沿ってY−Y−M−M、作像ユニット3bにおけるインク色配列はウェブ1の搬送方向に沿ってC−C−K−Kであり、つまり2色ずつ同じ色を配置したインクヘッド12を搭載している。各々の色に対応するインクカセット10からインクヘッド12にインクを供給する機構とインク経路を内部に備えている。
【0032】
図3は、この画像形成装置201の各インクカセット10とインクヘッド12の接続関係を示す図である。この画像形成装置201の場合、インクヘッド12のインク色配列はウェブ1の搬送方向に沿ってY−Y−M−M、C−C−K−Kとなっているから、インクカセット10の配列も同じようにY−Y−M−M、C−C−K−Kとして、同色のインクカセット10とインクヘッド12を近接して2個ずつ配置している。
【0033】
そして図に示すように第1のYインクカセット10aからは2本のインク供給経路25aと25bが延びて、第1のYインクヘッド12aと第2のYインクヘッド12bに接続されている。また、第2のYインクカセット10bからは2本のインク供給経路25cと25dが延びて、第1のYインクヘッド12aと第2のYインクヘッド12bに接続されている。
【0034】
このように構成すればインクカセット10aと10bを共有することが可能で、例えばインクカセット10aが空になった場合でも他方のインクカセット10bからインクを供給して印刷を続けることができ、マシンダウンタイムの短縮が図れる。
【0035】
インクカセット10とインクヘッド12の接続関係はM、C、Kにおいても同様であり、図のみに示しそれらの説明は省略する。なお、この図では図面が複雑になるため、インク供給経路の途中に設ける弁や、インクカセット10に付設する残量検出用のレベルセンサならびにエンプティセンサなどの表示を省略している。
【0036】
この作像ユニット3a、3bによってカラー画像が形成されたウェブ1は、アウトフィードローラ18とニップローラ19の共働により排紙搬送ユニット4から排出され、最終の製品形態に対応してロール状、折り畳み状あるいはシート状に処理される。給紙搬送ユニット2から排紙搬送ユニット4を通過する間のウェブ1には、バタツキを抑制するためにテンション付与手段(図示せず)により所定のテンション(張力)が付与されている。
【0037】
以降に述べる画像形成装置でも同様であるが、ウェブ1が給紙搬送ユニット2から作像ユニット3を通って排紙搬送ユニット4に至る経路において、ウェブ1は搬送経路上において所定のテンションが付与された状態で、作像ユニット3の所でその両側の給紙搬送ユニット2ならびに排紙搬送ユニット4よりも上位置を通るようにガイドされ、ウェブ1がプラテンローラ13に確実に接触するようになっている。またプラテンローラ13の位置はウェブ1の搬送方向と直交するように上下方向に調整可能になっており、作像ユニット3の連結数やウェブ1の張り具合などに応じてプラテンローラ13の上下位置を調整して、ウェブ1が各プラテンローラ13と確実に接触するようになっている。プラテンローラ13の上下位置の調整は、例えばネジとスプリングによってなされる。
【0038】
張力を付与したウェブ1がプラテンローラ13と確実に接触することにより、ウェブ1のバタツキを防止し、インクヘッド12とウェブ1のギャップ精度を向上(確保)して、インク着弾位置の精度向上を図り、高画質の画像が形成できる。
【0039】
図4は、第2仕様に係る画像形成装置の概略構成図である。この仕様では給紙搬送ユニット2と排紙搬送ユニット4の間に、1台の作像ユニット3cを介在して画像形成装置202を構成している。同図に示すようにウェブ1の搬送方向に沿って給紙搬送ユニット2、作像ユニット3c、排紙搬送ユニット4の順に配置され、各ユニット間の位置決めを行うとともに、各ユニット間は例えばボルトとナットなどにより分離可能に連結され、隣り合うウェブ出口とウェブ入口を合致させる。
【0040】
インクヘッド12のインク色配列はウェブ1の搬送方向に沿ってY−M−C−Kとなっているから、インクカセット10のインク色配列も同じようにY−M−C−Kとして、同色のインクカセット10とインクヘッド12を近接して配置している。
【0041】
図5は、第3仕様に係る画像形成装置の概略構成図である。この仕様では給紙搬送ユニット2と排紙搬送ユニット4の間に、作像ユニット3cを2台介在して画像形成装置203を構成している。同図に示すようにウェブ1の搬送方向に沿って給紙搬送ユニット2、作像ユニット3c、作像ユニット3c、排紙搬送ユニット4の順に配置され、各ユニット間の位置決めを行うとともに、各ユニット間は例えばボルトとナットなどにより分離可能に連結され、隣り合うウェブ出口とウェブ入口を合致させる。
【0042】
同図に示すように2台の作像ユニット3c、3cの色配列がY−M−C−K、Y−M−C−Kと同じ場合、同色のインクカセット10を2個のインクヘッド12間で共用する場合、片方のインク経路を長くとる必要があったり、作像ユニット3cを跨いだりするため、インク経路が複雑になるという難点を有している。この点図2、図3に示すような仕様にすることにより前述のような難点が解消される。
【0043】
なお、前記図1〜図5に示す画像形成装置では、画像形成する前のウェブ1のロールを装着するロール装着部を給紙搬送ユニット2とは別に設けたが、給紙搬送ユニット2内にロール装着部を設けることも可能である。また、画像形成したウェブ1を後処理する後処理機構を排紙搬送ユニット4とは別に設けたが、排紙搬送ユニット4内に後処理機構を設けることも可能である。
【0044】
(第2実施形態)
図6は、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。この実施形態に係る画像形成装置204は、給紙搬送ユニット2と排紙搬送ユニット4の間に作像ユニット3a,3bの他に、ユーザが特別に使用する特別色の作像ユニット3dが介在されている。本実施形態では、作像ユニット3a,3bのウェブ搬送方向下流側に特別色の作像ユニット3dが配置されている。このように特別色の作像ユニット3dを用いることにより、カラーの多様化を図り、より高画質の画像が形成できる。
【0045】
給紙搬送ユニット2と排紙搬送ユニット4の間に介在する作像ユニット3の数が増えると、作像ユニット3の中にはウェブ1がプラテンローラ13に接触しないもの、あるいは接触が不安定なものが出ることがある。これを解消するため、本実施形態以降では、各作像ユニット3内のプラテンローラ13の上下位置を調整して、複数の作像ユニットを並べて構成される作像ユニット部内でのウェブ1の搬送軌跡が、図に示すように中央部が上方に突出するように円弧状に設定されている。
【0046】
(第3実施形態)
図7は、本発明の第3実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。この実施形態に係る画像形成装置205は、給紙搬送ユニット2と排紙搬送ユニット4の間に4台の作像ユニット3e〜3hが介在されている。
【0047】
作像ユニット3eにおけるインクヘッド12のインク色配列はY−Y−Y−Y、作像ユニット3fにおけるインクヘッド12のインク色配列はM−M−M−M、作像ユニット3gにおけるインクヘッド12のインク色配列はC−C−C−C、作像ユニット3hにおけるインクヘッド12のインク色配列はK−K−K−Kであり、つまり各色4個ずつのインクヘッド12を搭載している。この実施形態に係る画像形成装置205の印刷速度は、210m/min程度に設定されている。
【0048】
図示していないが、この実施形態に係る画像形成装置205の場合も同色のインクカセット10を2個のインクヘッド12間で共用しており、インクカセット10とインクヘッド12間のインク供給経路は図3に示すものと略同様である。
【0049】
図4に示す画像形成装置202に対して、図2に示す画像形成装置201は同色のインクヘッド12を2倍、図7に示す画像形成装置204は同色のインクヘッド12を4倍備えているため、ウェブ搬送方向の印刷解像度を同じとした場合、理論的にはそれぞれ2倍、4倍の高速印刷が可能となる。
【0050】
従って印刷速度をそれほど要求しない(例えば印刷速度が70m/min程度)ユーザには図4に示す画像形成装置202を提供し、コストと設置スペースを抑えることができる。一方、高速印刷(例えば150m/min程度あるいは210m/min程度)を要求しているユーザには、要求仕様に応じて図2に示す画像形成装置201、図5に示す画像形成装置203さらには図7に示す画像形成装置205を提供できる。
【0051】
また画像形成装置202を使用していたユーザからさらなる高速印刷要求がある場合には、給紙搬送ユニット2と排紙搬送ユニット4はそのまま使用して、作像ユニット3を適宜選択して連結数を増やし、画像形成装置201,203,205へのグレードアップが可能である。この場合装置全体を入れ替える必要がないため、コスト以外に搬入や設置に費やす時間なども抑制でき、マシンダウンタイムの短縮が図れ、仕様に応じた機能の拡張や変更の自由度が高い。
【0052】
図2、図4、図7に示すように作像ユニット3の台数が1台のときと複数台のときのインク色配列情報(印刷色順)を同じにすれば(前記実施形態ではともにY,M,C,Kの順番)、画質観点から適正な印刷色順が維持でき、また作像ユニット3の1台仕様のときと複数台仕様のときでカラー画像処理を共通化できるという利点がある。
【0053】
次に同色のインクヘッド12間の相対的な位置精度について図8、図9を用いて説明する。図8は図2に示す画像形成装置201に用いられるインクヘッド12のノズル面を示した模式図である。同図に示されているように、第1のYインクヘッド12aと第2のYインクヘッド12bが隣接して平行に1つのベース26a上に固定されている。またインクヘッド12には、ウェブ1の搬送方向とは直交する幅方向(主走査方向)に沿って多数のノズル27が配列されて、ラインヘッドを構成している。
【0054】
ベース26に対するインクヘッド12の位置決めは位置出し加工面どうしの突き当てや位置決めピンと位置決め穴との嵌合(ともに図示せず)などの方法が考えられるが、図8の場合同色のインクヘッド12が隣接しており、同一のベース26a上に固定されているため、第1のYインクヘッド12aと第2のYインクヘッド12b間のノズル27どうしの相対位置誤差が抑制でき、その結果ノズル27どうしの主走査方向(ウェブ1の幅方向)の位置誤差δが小さくなる。このことは、他の色のインクヘッド12間においても言えることである。
【0055】
これに対して図9は図4に示す画像形成装置202に用いられるインクヘッド12のノズル面を示した模式図である。同図に示されているように、第1のYインクヘッド12aは一方のベース26a上に固定され、第2のYインクヘッド12bは他方のベース26b上に固定されている。そのためベース26aとベース26bの位置誤差δ´が加わり、その結果ノズル27どうしの主走査方向の位置誤差δが大きくなる。このことは、他の色のインクヘッド12間においても言えることである。
【0056】
さらに連続印刷などで装置内温度が上昇した場合、図9に示すようにインクヘッド12a,12bの間隔が離れている程温度差がつき易く、熱膨張の差も大きくなるため、主走査方向の位置誤差δが拡大し易い。
【0057】
また図8では同色のインクヘッド12におけるノズル27の主走査方向の位置誤差が小さいため、冗長効果も期待できる。つまり主走査方向において同じライン上にあるノズル27の2つのうち、何れかが吐出不能となり他方のノズル27によって該当する画素を打つ場合、隣接する画素を別々のインクヘッド12のノズル27で打つことになるが、画素どうしのピッチ誤差が小さく抑えられる。
【0058】
さらに同一の画素位置に対して2つのノズル27から打つ打ち方も可能となり、液滴の多値化を高めることができる。例えば液滴の大きさを大小2種類に区分できるノズルの場合、2つのノズル27で同一の画素を打つ際にそれぞれのノズル27から吐出する液滴の大きさを、大大、大小(小大)、小小などのように吐出制御することにより、画素の大きさを任意にコントロールすることができる。
【0059】
前述の効果の説明は主走査方向について説明したが、副走査方向についても同様のことが言える。このようなことから、図8に示すインク色配列の方が精度の向上が図れ、高画質の画像が記録できるという特長を備えている。
【0060】
前述の例では1個のインクヘッド12で1色とし、インクヘッド12間のインク色配列切り替えについて説明したが、例えば4列などの複数のノズル列を有するインクヘッドを用い、ノズル列毎に独立したインク供給経路を有する作像ユニットを使用した場合、インクヘッド内のノズル列単位でインク色配列切り替えが可能であり、その場合も前述と同様な作用効果が得られる。
【0061】
(第4実施形態)
図10は、図3に示す各インクカセット10とインクヘッド12の接続関係の変形例(第4実施形態)を示す図である。
【0062】
この変形例をイエロー(Y)のインク供給経路を例にとって説明する。第1ならびに第2のYインクカセット10a,10bと第1ならびに第2のYインクヘッド12a,12bの間に、第1ならびに第2のY副インクカセット28a,28bが設置されている。
【0063】
第1のYインクカセット10aから第1ならびに第2のY副インクカセット28a,28bに向けて延びた第1のインク供給経路29aは途中で分岐され、第1ならびに第2のYインクヘッド12a,12bに接続されて、分岐した供給経路の途中に弁30が設置されている。同様に第2のYインクカセット10bから第1ならびに第2のY副インクカセット28a,28bに向けて延びた第2のインク供給経路29bは途中で分岐され、第1ならびに第2のYインクヘッド12a,12bに接続されて、分岐した供給経路の途中に弁30が設置されている。
【0064】
さらに第1のY副インクカセット28aから第1のYインクヘッド12aに向けて第3のインク供給経路29cが延び、第2のY副インクカセット28bから第2のYインクヘッド12bに向けて第4のインク供給経路29dが延びている。
【0065】
前記Yインクカセット10a,10bにインクカセットエンプティセンサ31が取り付けられ、Y副インクカセット28a,28bに副インクカセットレベルセンサ(残量検出用)32と副インクカセットエンプティセンサ33がそれぞれ設置されている。
【0066】
第1のY副インクカセット28aのように副インクカセットレベルセンサ32によりインク残量少を検出した場合、弁30を開いてYインクカセット10aからインクの補給を行う。図10はこの第1のY副インクカセット28aにインクの補給を行う状態を示しており、図面に向って右端の弁30は開いており、それ以外の弁30は閉じている。
【0067】
また、第1のYインクカセット10aのようにインクカセットエンプティセンサ31によりインクカセットエンプティを検出した場合、使用するインクカセットを同色の他のインクカセット(この場合第2のYインクカセット10b)に切り替える。空になったインクカセット(この場合第1のYインクカセット10a)については、画像形成装置の操作パネル(図示せず)上でエンプティアラーム表示を行う。オペレータはこの表示に従って第1のYインクカセット10aを新品の物と交換する。
【0068】
インクカセットは、エンプティまで継続して使用する。つまり同色のインクカセットは順次使い切るということで、前述のようにインクカセットを新品の物と交換してエンプティ解除になっても、切り替え後のインクカセット(前述の例では第2のYインクカセット10b)がエンプティにならない限り、次のインクカセットの切り替えは行わない。
【0069】
このようにインクカセットの切り替えを順次行うことにより、複数(全て)のインクカセットが同時期にエンプティになることが避けられ、インクエンプティによる印刷停止を可及的に回避することができ、それによりマシンダウンタイムの低減が図れる。
【0070】
また同色のインクカセットエンプティセンサ31の全てがインクカセットエンプティを検出しても、同色の副インクカセット28にインクが有る場合は、印刷速度を落とすなどして冗長印刷を行う構成になっている。
【0071】
そして同色のインクカセットエンプティセンサ31ならびに副インクカセットエンプティセンサ33の全てがインクカセットエンプティを検出した場合には、画像形成装置の操作パネル上でインクエンプティエラー(印刷停止)表示を行い、画像形成装置の印刷動作を自動的に停止する機構になっている。
【0072】
(第5実施形態)
図11は本発明の第5実施形態に係る画像形成装置の概略構成図、図12は作像ユニットと上位装置の関係を示すブロック図である。
【0073】
図12に示すように各インクカセット10には、そのカセット内に収納しているインクの色情報を記録したチップ34が搭載されている。このインクカセット10を画像形成装置のカセット装着部11に装着した際に、前記チップ34と近接対向する位置に色情報検出センサ35が予め設置されている。
【0074】
色情報の検出手段は前述のチップ方式に限らず、インクやインクカセットのラベルの色をセンサで検出する方式、インクカセットの形状を色毎に仕分けして、その形状の差異をフォトセンサやマイクロスイッチで検出する方式など様々な方式が適用可能である。
【0075】
本実施形態の場合、1基目の作像ユニット3eにはイエロー(Y)のインクを収納した4個のインクカセット10が、2基目の作像ユニット3fにはマゼンダ(M)のインクを収納した4個のインクカセット10が、3基目の作像ユニット3gにはシアン(C)のインクを収納した4個のインクカセット10が、4基目の作像ユニット3hには黒(K)のインクを収納した4個のインクカセット10が、それぞれ装着されるようになっている。
【0076】
各色情報検出センサ35により、インクカセット10の装着/非装着の検出とチップ34の色情報が検出される。インクカセット10の装着/非装着は、色情報検出センサ35からの検出信号の有無で判断できる。本実施形態では色情報検出センサ35がインクカセット10の装着/非装着の検出センサを兼ねているが、インクカセット10の装着/非装着の検出を別のセンサで行うことも可能である。本実施形態のように色情報検出センサ35が同時にインクカセット10の装着/非装着を検出する構成の方が、部品点数の削減とコストの低減が図れる。
【0077】
色情報検出センサ35からの情報は、一旦作像ユニット3毎に設けられているデータ処理部39に格納され、格納された色情報に基づいて当該作像ユニット3のインク色配列情報が作成される。例えば1基目の作像ユニット3eにイエロー(Y)のインクを収納した4個のインクカセット10が正常に装着されていればインク色配列情報はY−Y−Y−Yとなるが、異なる色のインクを収納したインクカセット10が誤って装着されていれば、インク色配列情報は例えばY−M−Y−Yとなる。データ処理部39からはインクカセット10の装着/非装着の情報とインク色配列情報が、1基目の作像ユニット3から順番に上位装置36に伝送される。
【0078】
上位装置36では前記インク色配列情報と印刷データに基づいて、作像ユニット3宛の個別の駆動制御データを作成し、それを各作像ユニット3宛に送信する。各作像ユニット3では、その駆動制御データに基づいて各インクヘッド12を駆動して、搬送されて来るウェブ1上にインク滴を吐出、着弾してカラー画像を形成する。
【0079】
上位装置36が受け取ったインク色配列情報がY−M−C−Kであった場合、上位装置36では作像ユニット3が1つだけ連結された画像形成装置202(図4参照)の仕様であると判断し、その仕様に合った駆動制御データを作成して送信する。
【0080】
上位装置36が受け取った色配列情報がY−Y、M−M、C−C、K−Kであった場合、上位装置36では作像ユニット3が2つ連結された高速仕様の画像形成装置201(図2参照)と判断し、その仕様に合った駆動制御データを作成して送信する。
【0081】
上位装置36が受け取った色配列情報がY−Y−M−M、C−C−K−K、S1−S1−S2−S2であった場合、上位装置36では特別色を使用した作像ユニット3が連結された画像形成装置204(図6参照)の仕様であると判断し、その仕様に合った駆動制御データを作成して送信する。
【0082】
また上位装置36が受け取ったインク色配列情報がY−Y−Y−Y、M−M−M−M、C−C−C−C、K−K−K−Kであった場合、上位装置36では作像ユニット3が4つ連結された超高速仕様の画像形成装置205(図7参照)の仕様であると判断し、その仕様に合った駆動制御データを作成して送信する。
【0083】
本発明では作像ユニット3の連結数によって印刷速度を低速(例えば70m/min程度)、高速(例えば150m/min程度)、超高速(例えば210m/min程度)の3パターンに分けている。
【0084】
給紙搬送ユニット2ならびに排紙搬送ユニット4の駆動も上位装置36により制御され、前述の各仕様に合ったウェブ搬送速度となるようにインフィードローラ5やアウトフィードローラ18などが駆動制御される。
【0085】
作像ユニット3の連結数などに応じて様々な仕様形態となり得る本発明の画像形成装置において、それの工場出荷時およびユーザ先のアップグレードなどの際に、各インクヘッド12に充填されている色情報をその都度上位装置36で設定する必要がなくなり、作業時間の削減が図れる。
【0086】
図11及び図12に示す実施形態では、各作像ユニット3の情報が個別に上位装置36に伝送する構成になっている。この場合、作像ユニット3は1つの出力コネクタを有し、上位装置36には作像ユニット3の連結数に対応可能な数(図11の場合は4個)の入力コネクタを備えておればよい。上位装置36では受け取った情報を分析して、作像ユニット3の色配列情報ならびに画像形成装置の仕様を認識することができる。
【0087】
給紙搬送ユニット2と排紙搬送ユニット4からは上位装置36に対して、例えばウェブ1の有無情報(ウェブ1がセットされているか否か、ジャム発生の有無)、ウェブ1の幅寸法情報、ウェブ1の厚み情報、ウェブ1(エッジ)の位置情報(走査方向)、ウェブ1の送り速度情報などのウェブ1に関する情報や、デバイス故障や断線などのエラー情報等が伝送される。
【0088】
前述のように各作像ユニット3は情報を上位装置36に出力するコネクタを1個設ければよいだけであるから、構成ならびに制御回路が簡単でコストの低減が図れる。また、各作像ユニット3は情報伝達系統が同じ構成であるため、開発コストの抑制が可能である。
【0089】
(第6実施形態)
図13は本発明の第6実施形態に係る画像形成装置の概略構成図、図14は作像ユニットと上位装置の関係を示すブロック図である。本実施形態と図11に示す実施形態と相違する点は、各作像ユニット3の情報を連結する作像ユニット3間で伝達し、そのうちの何れかに一旦集約して、そこから上位装置36に伝送する構成になっている点である。
【0090】
この図に示す実施形態の場合、作像ユニット3hの情報を作像ユニット3gに通知し、作像ユニット3gはデータ処理部39内のメモリにその情報を記録する。作像ユニット3gは作像ユニット3hおよび3gの情報を作像ユニット3fに通知し、作像ユニット3fはデータ処理部39内のメモリにそれらの情報を記録する。作像ユニット3fは作像ユニット3h、3g、3fの情報を作像ユニット3eに通知し、作像ユニット3eはデータ処理部39内のメモリにそれらの情報を記録する。作像ユニット3eはそれ自体の情報を含めて集約し、それらの情報を分析して、装着/非装着情報、色配列情報、画像装置の仕様を認識した上でそれらの情報を上位装置36に伝送する。作像ユニット3eで情報を集約するとそれを上位装置36に伝送して、上位装置36で装着/非装着情報、色配列情報、画像装置の仕様を認識することもできる。
【0091】
本実施形態では、作像ユニット3hから順次情報を付け加えて作像ユニット3eでそれを集約して、集約した情報を上位装置36に伝送する構成にしたが、例えば作像ユニット3hの情報を作像ユニット3gに通知すると同時に、作像ユニット3eの情報を作像ユニット3fに通知して、作像ユニット3fはそれ自体の情報と作像ユニット3eの情報を含めて作像ユニット3gに通知し、作像ユニット3gはそれ自体の情報を含めて情報を集約して、集約した情報を作像ユニット3gから上位装置36に伝送する構成にしてもよい。このようにすれば情報をパラレルに伝送することができる。
【0092】
(第7実施形態)
図15は、本発明の第7実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。本実施形態の場合、ウェブ1の搬送方向最下流に設置されている排紙搬送ユニット4から順次情報を付け加えて、ウェブ1の搬送方向最上流に設置されている給紙搬送ユニット2でそれらを集約して、集約した情報を上位装置36に伝送する構成になっている。
【0093】
情報の伝送はこれに限られるものではなく、例えば排紙搬送ユニット4、作像ユニット3h、作像ユニット3gの順で情報を集めると同時に、給紙搬送ユニット2、作像ユニット3e、作像ユニット3fの順で情報を集めて、作像ユニット3fあるいは作像ユニット3gで情報を集約して、集約した情報を作像ユニット3fあるいは作像ユニット3gから上位装置36に伝送する構成にしてもよい。このようにすれば情報をパラレルに伝送することができる。
【0094】
前記第6,7実施形態において、作像ユニット3間の情報伝達は、各作像ユニット3に入出力用のコネクタを設置して、コネクタ間を信号線によって接続してもよいし、また各作像ユニット3の側面に入出力用のコネクタを設置して、そのコネクタどうしを直接嵌合(差込み)で接続する構成にしてもよい。
【0095】
前記第6,7実施形態では画像形成装置内で装置仕様を認識、判断ができるため、例えば上位装置が無くてもテスト印刷が可能となり、メンテナンス性の向上が図れる。また情報伝達用の配線を短縮することができ、コストの低減が図れるとともに、配線の煩雑さが解消される。
【0096】
各作像ユニット3のインク色配列情報のパターンが、作像ユニット3の連結に応じて様々な仕様となり得る本発明に係る画像形成システムでは、予め定められた仕様別(機種別)の色配列基準パターン、例えばY−M−C−K、Y−Y−M−M,C−C−K−K、Y−Y−Y−Y,M−M−M−M,C−C−C−C,K−K−K−Kなどの色配列基準パターンが予め上位装置36のメモリに記憶されている。
【0097】
そして画像形成装置側から伝送されて来たインク色配列情報と前記色配列基準パターンを比較して、インク色配列情報が色配列基準パターンと異なる場合、ならびにインクカセット10がカセット装着部11に装着されていない場合は、エラーを表示して(例えば図12参照)オペレータに通知するとともに、印刷動作を自動的に停止する構成になっている。
【0098】
このようにすることで、画像形成装置の工場出荷時およびユーザ先でのアップグレードなどの際に、誤ったインク色配列としたり(インクカセット10の装着位置を間違ったり)配線を誤った状態での印刷ミスによる無駄紙の発生やリカバリー時間を削減することができ、コストの低減や生産性の向上が図れる。
【0099】
図16ならびに図17は、図10に示す画像形成装置の平面から見た概略構成図ならびに側面から見た概略構成図である。
【0100】
図中の37は電源、38は画像形成装置のリア側に設けられた維持機構である。複数のインクヘッド12を搭載したベース26は矢印で示すように、ウェブ1やプラテンローラ13などと対向する印刷位置と、維持機構38と対向する待機位置との間で往復移動する構成になっている。そしてインクヘッド12の維持動作(ワイピングやインクの吐出検知など)のために、インクヘッド12(ベース26)は維持機構38へと移動するようになっている。このような構成は、他の画像形成装置にも備わっている。
【0101】
前記実施形態では通常のインクを使用したインクジェット式の画像形成装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく例えば紫外線硬化型インクを使用した紫外線硬化型インクジェット式など他の方式の画像形成装置にも適用可能である。前述の場合、インクヘッドのウェブ搬送方向下流側に紫外線を照射してインクを硬化する紫外線照射部を設ける必要がある。
【0102】
前記実施形態ではウェブなどの被記録媒体の片面に画像を形成する画像形成装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ウェブなどの被記録媒体の搬送経路の途中に画像形成装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0103】
1:ウェブ、
2:給紙搬送ユニット、
3a〜3h:作像ユニット、
4:排紙搬送ユニット、
5:インフィードローラ、
6:ニップローラ、
7:ガイドローラ、
8:ウェブ出口、
10:インクカセット、
11:カセット装着部、
12:インクヘッド、
13:プラテンローラ、
15:ウェブ入口、
16:ウェブ出口、
18:アウトフィードローラ、
19:ニップローラ、
20:ガイドローラ、
21:ウェブ入口、
24:凸部。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0104】
【特許文献1】特開2008−221500号公報
【特許文献2】特許第2979393号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給紙搬送ユニットと作像ユニットと排紙ユニットを長尺状被記録媒体の搬送方向に沿って配置して連結されるインクジェット式画像形成装置の組み立てシステムであって、
前記作像ユニットとして、
後記の第2ないし第4の色とは異なる第1の色のインクを装填した第1のインクジェットヘッドと、前記第1の色ならびに後記の第3、第4の色とは異なる第2の色のインクを装填した第2のインクジェットヘッドと、前記第1、第2の色ならびに後記の第4の色とは異なる第3の色のインクを装填した第3のインクジェットヘッドと、前記第1ないし第3の色とは異なる第4の色のインクを装填した第4のインクジェットヘッドを備えた単一作像ユニットと、
前記第1の色のインクを装填した第1のインクジェットヘッドと、前記第2の色のインクを装填した第2のインクジェットヘッドを有する第1の作像ユニットと、前記第3の色のインクを装填した第3のインクジェットヘッドと、前記第4の色のインクを装填した第4のインクジェットヘッドを有する第2の作像ユニットを備えた2連作像ユニット集合体と、
前記第1の色のインクを装填した第1のインクジェットヘッドを有する第1の作像ユニットと、前記第2の色のインクを装填した第2のインクジェットヘッドを有する第2の作像ユニットと、前記第3の色のインクを装填した第3のインクジェットヘッドを有する第3の作像ユニットと、前記第4の色のインクを装填した第4のインクジェットヘッドを有する第4の作像ユニットを備えた4連作像ユニット集合体を準備し、
組み立てる画像形成装置の仕様に応じて、前記単一作像ユニット、2連作像ユニット集合体ならびに4連作像ユニット集合体から作像ユニットとして選択して、その選択された作像ユニットを前記給紙搬送ユニットならびに排紙搬送ユニットと分離可能に連結して画像形成装置を構成することを特徴とするインクジェット式画像形成装置の組み立てシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のインクジェット式画像形成装置の組み立てシステムにおいて、
前記作像ユニットの他に、ユーザが特別に使用する特別色のインクを装填した特別色作像ユニットが追加されることを特徴とするインクジェット式画像形成装置の組み立てシステム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のインクジェット式画像形成装置の組み立てシステムにおいて、
前記作像ユニットにおける色配列は、前記被記録媒体搬送方向に沿って複数ずつ同じ色を並べて配置していることを特徴とするインクジェット式画像形成装置の組み立てシステム。
【請求項4】
請求項1または2に記載のインクジェット式画像形成装置の組み立てシステムにおいて、
前記単一作像ユニットと2連作像ユニット集合体と4連作像ユニット集合体での前記第1の色、第2の色、第3の色、第4の色の前記被記録媒体搬送方向での配列順序が同じであることを特徴とするインクジェット式画像形成装置の組み立てシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のインクジェット式画像形成装置の組み立てシステムにおいて、
使用する前記作像ユニットの数によって前記被記録媒体の搬送速度が分けて設定されていることを特徴とするインクジェット式画像形成装置の組み立てシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のインクジェット式画像形成装置の組み立てシステムにおいて、
前記作像ユニットが前記インクジェットヘッドに装填されるインクの色を検出する色情報センサを有し、
当該画像形成装置との間で情報の授受を行う上位装置を備え、
前記色情報センサによって検出された作像ユニットまたは作像ユニット集合体の色配列情報を前記上位装置に伝送し、
前記上位装置に予め記憶されている画像形成装置の仕様別の色配列パターンと前記色配列情報を比較して、前記画像形成装置の仕様を判断して、
その画像形成装置の仕様に合った駆動制御データを前記給紙搬送ユニットと排紙ユニットに出力して、給紙搬送ユニットと排紙ユニットを駆動制御することを特徴とするインクジェット式画像形成装置の組み立てシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のインクジェット式画像形成装置の組み立てシステムにおいて、
前記色配列情報が前記色配列パターンと異なる場合、エラー表示して、当該画像形成装置の印刷動作を停止する構成になっていることを特徴とするインクジェット式画像形成装置の組み立てシステム。
【請求項8】
請求項6に記載のインクジェット式画像形成装置の組み立てシステムにおいて、
前記作像ユニットが、前記インクジェットヘッドにインクを供給するインクカセットと、そのインクカセットの装着/非装着を検出する装着検出センサを有し、
その装着検出センサによりインクカセットの非装着が検出された場合、エラー表示して、当該画像形成装置の印刷動作を停止する構成になっていることを特徴とするインクジェット式画像形成装置の組み立てシステム。
【請求項9】
請求項6に記載のインクジェット式画像形成装置の組み立てシステムにおいて、
前記装着検出センサを前記色情報センサが兼ねていることを特徴とするインクジェット式画像形成装置の組み立てシステム。
【請求項10】
請求項6に記載のインクジェット式画像形成装置の組み立てシステムにおいて、
前記作像ユニットが、前記インクジェットヘッドにインクを供給するインクカセットと、そのインクカセット内のインク残量を検出するレベルセンサを有し、
そのレベルセンサにより前記インクジェットヘッドへのインクの補給ができなくなった場合、エラー表示して、当該画像形成装置の印刷動作を停止する構成になっていることを特徴とするインクジェット式画像形成装置の組み立てシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−107400(P2013−107400A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−44009(P2013−44009)
【出願日】平成25年3月6日(2013.3.6)
【分割の表示】特願2008−281845(P2008−281845)の分割
【原出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】