説明

インクジェット方式の画像記録装置

【課題】画像の記録が成功した記録媒体と画像の記録が失敗した記録媒体とに記録媒体を精度良く仕分けして排出することができるインクジェット方式の画像記録装置を提供する。
【解決手段】テーブル1は、記録ヘッド22,23,24,25により印刷用紙に画像が記録される記録位置及びスキャナ32により印刷用紙に記録された画像が読み取られる読み取り位置を含む直線区間(画像記録区間)を通して、ひとつのリニアモータ機構61に一貫して搬送される。制御部6は、スキャナ32から送られてきた画像データを取得し、印刷用紙への画像の記録の成否を当該画像データから判断する。さらに、制御部6は、画像の記録の成否の判断結果に応じて排紙部4を制御し、画像の記録が成功した印刷用紙を第1の排出先たるストッカー部122に、画像の記録が失敗した印刷用紙を第2の排出先たる排紙テーブル123に、仕分けして排出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、記録ヘッドから記録媒体に向かってインクを吐出することにより記録媒体に画像を記録するインクジェット方式の画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式の画像記録装置では、複数の記録媒体を排出するひとつのジョブの中で記録媒体ごとに記録する画像を変更することが可能である。このため、記録された画像の検査にあたっては、記録媒体が排出されるごとに記録媒体への画像の記録の成否を検査するインライン検査を行うことが望ましい。
【0003】
特許文献1は、この発明に関連する文献公知発明が記載された先行技術文献である。特許文献1は、インクジェット方式の画像記録装置にも適用可能な(段落0053参照)インライン検査を行う画像記録装置の構成例として、供給用の搬送機構(給紙用搬送ベルト13)により搬送されてきた記録媒体に画像を記録した後に、記録媒体を排出用の搬送機構(排紙用搬送ベルト31)に載せかえて画像を読み取る構成に言及している。
【0004】
【特許文献1】特開2000−127571号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の画像記録装置では、記録媒体を供給用の搬送機構から排出用の搬送機構へ載せかえているので、記録媒体の位置を精度良く制御することが困難である。このため、特許文献1の画像記録装置では、多数のノズルのうちのひとつに吐出不良が生じたときに起こる「ドット抜け」を検出することが困難であり、画像の記録が成功した記録媒体と画像の記録が失敗した記録媒体とに記録媒体を精度良く仕分して排出することができない場合がある。
【0006】
本発明は、この問題を解決するためになされたもので、記録媒体を画像の記録が成功した記録媒体と画像の記録が失敗した記録媒体とに記録媒体を精度良く仕分けして排出することができるインクジェット方式の画像記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1のインクジェット方式の画像記録装置は、記録媒体を保持する保持体と、前記保持体に保持されている記録媒体に向かってインクを吐出するノズルを前記保持体の搬送方向と直交する方向に列設した記録ヘッドと、前記保持体に保持されている記録媒体に前記記録ヘッドにより記録された画像を読み取る画素を前記保持体の搬送方向と直交する方向に列設したスキャナと、前記記録ヘッドにより記録媒体に画像が記録される位置及び記録媒体に記録された画像が前記スキャナにより読み取られる位置を含む連続する直線区間を通して前記保持体を一貫して搬送する搬送機構と、前記記録ヘッドによる画像の記録及び前記スキャナによる画像の読み取りが完了した記録媒体を保持している前記保持体が前記搬送機構により搬送されてくるごとに、画像の記録が成功した記録媒体と画像の記録が失敗した記録媒体とに仕分けして記録媒体を排出する排出機構と、前記スキャナによる読み取りの結果から記録媒体への画像の記録の成否を判断し、画像の記録の成否に応じて前記排出機構に記録媒体の仕分けを行わせる制御部と、を備える。
【0008】
請求項2のインクジェット方式の画像記録装置は、前記排出機構は、記録媒体をベルトに保持して第1の排出先へ搬送する第1のコンベア群と、記録媒体をベルトに保持して前記第1のコンベア群により記録媒体が搬送される搬送経路の途上から第2の排出先へ搬送する第2のコンベア群と、前記第1のコンベア群により記録媒体が搬送される搬送経路の途上において画像の記録が失敗した記録媒体を第1のコンベア群から分離して第2のコンベア群へ選択的に案内する案内機構と、を備える画像記録装置。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、記録ヘッドにより記録媒体に画像が記録される位置から記録媒体に記録された画像がスキャナにより読み取られる位置まで記録媒体を保持している保持体を一貫して搬送するので、画像の記録の成否を精度良く判断することができ、画像の記録が成功した記録媒体と画像の記録が失敗した記録媒体とに記録媒体を精度良く仕分けして排出することができる。
【0010】
請求項2の発明によれば、記録媒体の仕分けのために搬送経路を切り替えることが容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
<1 画像記録装置の概略>
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、この発明に係る画像記録装置の側面概要図である。また、図2は、この発明に係る画像記録装置の画像記録部3を取り除いて示す斜視図である。
【0012】
この画像記録装置は、保持体としてのテーブル1上に吸着穴11を利用して吸着保持された記録媒体としての印刷用紙に画像の記録を行うインクジェット方式の画像記録装置であり、給紙部2と、排紙部4と、一定間隔で配置された10個のテーブル1を周回軌道に沿って移動させるテーブル移動機構5と、このテーブル移動機構5により移動するテーブル1上の印刷用紙に画像を記録する画像記録部3と、画像記録装置の各部を制御する制御部6とを備える。以下、画像記録部3、テーブル移動機構5、給紙部2、排紙部4及び制御部6の構成を、この順で説明する。
【0013】
<2 画像記録部3>
<2.1 画像記録部3の概略>
画像記録部3は、テーブル移動機構5により一方向に走行するテーブル1の上面に吸着保持された印刷用紙に対し、インクジェット方式で画像を記録するものである。この画像記録部3は、前処理剤塗布ヘッド21と、4個の記録ヘッド22、23、24、25と、5個のヒータ26、28、29、30、31と、スキャナ32とを備える。
【0014】
<2.2 前処理剤塗布ヘッド21>
前処理剤塗布ヘッド21は、4個の記録ヘッド22、23、24、25により画像を記録する前に、印刷用紙に透明な前処理剤を塗布するものである。
【0015】
<2.3 記録ヘッド22,23,24,25>
4個の記録ヘッドは、ブラックインク用の記録ヘッド22と、シアンインク用の記録ヘッド23と、マゼンタインク用の記録ヘッド24と、イエローインク用の記録ヘッド25である。これらの記録ヘッド22、23、24、25は、一方向に移動するテーブル1の上方に配設されている。そして、これらの記録ヘッド22、23、24、25は、テーブル1の移動方向と直交する方向に列設された多数のインクジェットノズルを備え、これらのインクジェットノズルから印刷用紙上にインクを吐出して画像を記録する。
【0016】
<2.4 ヒータ26,28,29,30,31及びスキャナ32>
5個のヒータは、プレヒート用のヒータ26と、中間ヒート用のヒータ28、29、30と、メインヒート用のヒータ31とである。これらのヒータ26、28、29、30、31は、印刷用紙に熱風を吹き付ける構成となっている。また、スキャナ32は、ライン状のCCDカメラを備え、記録された画像全体やパッチの濃度を測定する構成となっている。スキャナ32は、印刷用紙に記録された画像を読み取る画素をテーブル1の搬送方向と直交する方向する方向に配列して構成されている。スキャナ32の分解能は、記録ヘッド22,23,24,25の分解能と同程度以上であることが望ましい。例えば、記録ヘッド22,23,24,25の分解能が1200dpiであるならば、スキャナ32の分解能は700dpi程度以上であることが望ましい。これにより、多数のインクジェットノズルのうちのひとつに吐出不良が生じたときに起こる「ドット抜け」をスキャナ32の読み取り結果から検出することが容易になる。
【0017】
スキャナ32による読み取りの結果すなわちテーブル1に保持されている記録媒体に記録された画像をスキャナ32で読み取って得られた画像データは、制御部6に送られる。
【0018】
<3 テーブル移動機構5>
<3.1 テーブル移動機構の概略>
テーブル移動機構5は、無端状搬送機構により10個のテーブル1を周回軌道に沿って高速で移動させるとともに、画像の記録時にはこれらのテーブル1を無端状搬送機構から切り離して、リニアモータ機構により精度よく一方向に移動させる構成となっている。そして、このときテーブル1は、リニアガイドのレール42により案内される。また、テーブル1の移動を無端状搬送機構とリニアモータ機構に切り換えるためには、第1、第2連結機構が利用される。
【0019】
図3は、テーブル移動機構5の要部を示す縦断面図である。図4は、リニアガイドのレール42およびチェーン44とテーブル1との連結関係を示す部分側面図である。図5は、リニアガイドのレール42およびチェーン44とテーブル1との連結関係を示す部分拡大図である。図6は、リニアガイドのレール42およびチェーン44とテーブル1との連結関係を示す部分斜視図である。
【0020】
<3.2 案内機構>
各テーブル1の四隅には、連結部45を介してリニアガイドの受け部43が配設されている。この受け部43は、側板41に配設された左右一対のリニアガイドのレール42と係合している。このレール42は、無端状の形状を有する。このため、各テーブル1は、レール42および受け部43からなる無端状のリニアガイドにより案内され、周回軌道に沿って移動可能となっている。
【0021】
<3.3 無端状搬送機構>
一方の側板41には、一対のスプロケット46が回転可能に配設されている。このスプロケット46には、チェーン44が巻回されている。一対のスプロケット46に巻回されたチェーン44と、レール42および受け部43からなる無端状のリニアガイドとは、互いに対応する形状を有する。また、図1および図2に示すように、一方のスプロケット46の側方にはスプロケット47が付設されており、このスプロケット47は、モータの駆動により回転する駆動スプロケット48および従動スプロケット49と、チェーン51により連結されている。このため、チェーン44は、駆動スプロケット48の駆動により、一対のスプロケット46に巻回された状態で回動する。
【0022】
なお、図2および図4に示すように、チェーン44は、二対のスプロケット52、53の作用により、途中で高さ位置が変更されている。
【0023】
一対のスプロケット46はこの発明の無端状搬送機構におけるローラ部材を構成し、チェーン44はこの発明の無端状搬送機構における索体を構成する。このチェーン44の代わりに同期ベルト等を使用してもよく、スプロケット46のかわりに同期プーリ等を使用してもよい。
【0024】
<3.4 リニアモータ機構61>
また、図3に示すように、装置本体の下部には、4個のリニアモータ機構61が配設されている。各リニアモータ機構61は、本体に立設された支持板62と、この支持板62に対向配置された移動ベース63と、これらの移動ベース63および支持板62を連結するとともに、移動ベース63を支持板62に対して水平方向に移動可能に案内する一対のリニアガイド64とを備える。支持板62にはリニアモータの固定子65が固定されており、移動ベース63にはリニアモータの可動子66が固定されている。
【0025】
リニアモータ機構61では、テーブル1の移動方法に配設された固定子65を磁極変化させることにより、可動子66を、テーブル1の移動方向およびその逆方向に所望の速度で移動させることができるようになっている。
【0026】
このため、移動ベース63は、固定子65および可動子66より成るリニアモータの駆動により、図4における紙面に垂直な方向、すなわち、テーブル1の移動方向に、往復移動する。そして、移動ベース63とテーブル1とは、後述する第2連結機構により、連結状態と開放状態に切り換えられる。
【0027】
リニアモータ機構61は、テーブル1が画像記録部3の下方を通過する画像記録区間においてテーブル1を搬送する。したがって、テーブル1は、記録ヘッド22,23,24,25により印刷用紙に画像が記録される記録位置及びスキャナ32により印刷用紙に記録された画像が読み取られる読み取り位置を含む連続する直線区間である画像記録区間を通して、ひとつのリニアモータ機構61に一貫して搬送される。これにより、印刷用紙が別の搬送機構へ載せかえられることがなくなり、記録位置から読み取り位置までテーブル1が精度良く搬送されるので、ドット欠けの発生の有無等の画像の記録の成否をスキャナ32の読み取り結果から精度良く判断することが可能になる。
【0028】
<3.5 無端状搬送機構とテーブル1との連結>
上述したように、画像の記録時には、テーブル1はリニアモータ機構61により搬送され、それ以外のときには、テーブル1は上述したチェーン44を利用した無端状搬送機構により搬送される。すなわち、チェーン44とテーブル1とは、画像の記録前、すなわちテーブル1が全処理剤塗布ヘッド21と対向する前に連結が解除され、画像の記録後、すなわちテーブル1が最後の記録ヘッド25と対向し、さらにメインヒート用のヒータ31と対向した後に連結される。この連結の切替は、後述する第1連結機構により実行される。
【0029】
<3.6 リニアモータ機構とテーブル1との連結>
また、リニアモータ機構61の可動子66とテーブル1とは、画像の記録前、すなわちテーブル1が最初の記録ヘッド22と対向する前に連結され、画像の記録後、すなわちテーブル1が最後の記録ヘッド25と対向し、さらにスキャナ32と対向した後に連結を解除される。この連結の切替は、後述する第2連結機構により実行される。
【0030】
<3.7 印刷用紙の保持について>
なお、図1および図3に示すように、テーブル1の走行経路の下方には、吸着ファン55が配設されている。また、テーブル1は中空状の構造を有する。そして、図2および図6に示すように、テーブル1の表面にはテーブル1の中空部と連通する吸着穴11が形成されている。このため、吸着ファン55から排気を行うことにより、テーブル1の表面に供給された印刷用紙をテーブル1上に吸着保持することが可能となる。
【0031】
<3.8 第1連結機構>
次に、チェーン44とテーブル1とを、連結状態と開放状態に切り換える第1連結機構の構成について説明する。
【0032】
図5および図6に示すように、チェーン44には、この発明の第1連結部として機能する連結ピン27が付設されている。一方、テーブル1の移動方向の先端には、この発明の第2連結部として機能する連結板54が付設されている。この連結板54には、上側を向く略三角形の孔部が形成されている。そして、連結ピン27は、連結板54における孔部内に挿入された状態となっている。
【0033】
上述したように、チェーン44は、二対のスプロケット52、53の作用により、途中で高さ位置が変更されている。すなわち、チェーン44は、テーブル1が画像記録部3と対向する位置においてその位置が低くなっており、その両端部においては、その位置が高くなっている。チェーン44の位置が高い場合には、図5において実線で示すように、連結ピン27が連結板54における略三角形の孔部の角部分と当接することにより、連結ピン27と連結板54とが互いに連結される。一方、チェーン44の位置が低い場合には、図5において仮想線で、また、図6において実線で示すように、連結ピン27が連結板54における略三角形の孔部の角部分から離隔して下方に移動し、連結ピン27と連結板54との連結が解除される。
【0034】
チェーン44の駆動により移動するテーブル1は、図5に示す領域Aにおいては、連結ピン27と連結板54とが互いに連結されており、図5に示す領域Bにおいては、連結ピン27と連結板54との連結が解除されている。そして、図5に示す領域Cにおいて、テーブル1の駆動源が、チェーン44からリニアモータ機構61の可動子66に切り換えられる。
【0035】
<3.9 第2連結機構>
次に、リニアモータ機構61の可動子66とテーブル1とを、連結状態と開放状態に切り換える第2連結機構の構成について説明する。
【0036】
図7および図8は、第2連結機構を示す側面図である。図7は給紙部2側における第2連結機構を、図8は排紙部4側における第2連結機構をそれぞれ示している。また、図9乃至図12は、第2連結機構による連結および開放動作を示す説明図である。
【0037】
図9乃至図12に示すように、テーブル1の下面には、この発明の第4連結部として機能するVブロック60が付設されている。また、上述したリニアモータの可動子66に連結する移動ベース63の上端には、軸67を中心に揺動可能なラッチレバー68が配設されている。このラッチレバー68の一端には、この発明の第3連結部として機能するカムフォロワー72が配設されている。このカムフォロワー72は、Vブロック60の凹部と当接して、これらを互いに連結する構成を有する。また、ラッチレバー68の他端には、カムフォロワー71が配設されている。同様に、移動ベース63の上端には、軸73を中心に揺動するロックレバー69が配設されている。
【0038】
図7および図8に示すように、上述したカムフォロワー71の下方には、テーブル1の走行方向に延びる移動カム80が配設されている。また、移動カム80のテーブル1の移動方向についての両端には、一対の固定カム78、79が配設されている。
【0039】
移動カム80は、揺動レバー74を介して装置本体に連結されている。また、この移動カム80の一端は、リンクレバー75を介してエアシリンダ76に連結されている。さらに、この移動カム80の他端は、引っ張りバネ177を介して装置本体に連結されている。このため、エアシリンダ76の駆動によりリンクレバー75を介して移動カム80を図7および図8に示す左方向に押圧した場合には、揺動レバー74が揺動し、移動カム80が上昇する。
【0040】
移動ベース63が給紙部2側の端部に配置されたときには、図9に示すように、カムフォロワー71が固定カム78に乗り上げており、カムフォロワー72は下降している。この状態からテーブル1が上述したチェーン44の駆動で移動し、Vブロック60の凹部がカムフォロワー72の上方まで到達すれば、リニアモータ機構61の駆動により移動ベース63が移動を開始する。
【0041】
これにより、図10に示すように、カムフォロワー71が固定カム78上から移動カム80上に移動する。これに伴い、ラッチレバー68が揺動し、カムフォロワー72がVブロック60の凹部と当接し、カムフォロワー72とVブロックが連結する。この状態においては、テーブル1とリニアモータ機構61の可動子66とが連結したことになる。そして、この状態において、リニアモータ機構61の駆動により、テーブル1を移動させる。このときには、テーブル1は、チェーン44を利用した無端状搬送機構に比べ、精度のよいリニアモータ機構61の駆動により一方向に移動する。
【0042】
移動ベース63が排紙部4側の端部に配置されたときには、図11に示すように、カムフォロワー71が移動カム80上から固定カム79上に移動する。これに伴い、ラッチレバー68が揺動し、カムフォロワー72がVブロック60の凹部から離隔してカムフォロワー72とVブロックの連結が解除される。この状態では、テーブル1とリニアモータ機構61の可動子66との連結が解除されたことになる。そして、テーブル1は、上述したチェーン44の駆動で移動を継続する。
【0043】
一方、移動ベース63は、リニアモータ機構61の駆動により、排紙部4側の端部から給紙部2側の端部に復帰する。このときには、図12に示すように、エアシリンダ70の駆動によりロックレバー69を軸73を中心に揺動させる。これにより、ラッチレバー68は、カムフォロワー72がVブロック60から離隔する位置で固定される。この状態において、リニアモータ機構61の駆動により、移動ベース63を排紙部4側の端部から給紙部2側の端部まで移動させる。このときには、ラッチレバー68が、カムフォロワー72がVブロック60から離隔する位置で固定されていることから、テーブル1の移動方向と逆方向に移動するカムフォロワー72等がVブロック60等と干渉することを防止することができる。
【0044】
<3.10 リニアモータ機構61によるテーブル1の移動について>
図13は、4個のリニアモータ機構61の可動子66により10個のテーブル1を移動させる様子を示すタイムテーブルである。なお、図13では、複数のテーブル1にはこれらを区別するための枝番a乃至jを付与している。同様に、複数の可動子66にはこれらを区別するための枝番a乃至dを付与している。
【0045】
一番目のテーブル1aを移動させたリニアモータ機構61は、排紙部4側の端部から給紙部2側の端部に復帰し、次に五番目のテーブル1eを移動させる。同様に、二番目のテーブル1bを移動させたリニアモータ機構61は、排紙部4側の端部から給紙部2側の端部に復帰し、次に六番目のテーブル1fを移動させる。そして、図13に示すリニアモータによる駆動範囲以外の駆動範囲においては、各テーブル1は、チェーン44を有する無端状搬送機構により移動する。なお、図13における符号Dは、テーブル1が周回軌道に沿って一周し、原点に戻った位置を示している。そして、図13には周回軌道上の座標として原点位置P1,位置P2、位置P3、位置P4、位置P5をプロットしている。
【0046】
原点位置P1は給紙部2付近の位置にあり、このときチェーン44と連続ピン27とが連結されておりテーブル1はチェーン44の駆動力で周囲軌道に沿って移動する。位置P2は、リニアモーター機構61の可動子66の移動開始位置に相当する。テーブル1はこの位置でもチェーン44の駆動力で周回軌道に沿って移動する。位置P3は、カムフォロワ72が図10に示すようにVブロック60の凹部に連結することでテーブル1と可動子66との連結が行われる位置である。また、チェーン44と連結ピン27との連結が解除される位置でもある。可動子66は位置P3においてチェーン44の移動速度と一致するように、位置P2から加速を開始する。テーブル1は位置P3と位置P4の間で前処理剤塗布ヘッド21に対向する。
【0047】
位置P4は、リニアモータ機構61の可動子66とテーブル1との連結が解除される位置である。位置P4の少し前の位置において連結ピン27と連結板54との連結が完了しているものとする。テーブル1は位置P4と位置P5の間でメインヒート用のヒータ31に対向する。位置P5はリニアモータ機構61の可動子66の移動終了位置に相当する。可動子66は位置テーブル1との係合が解除された後、徐々に減速し位置P5において停止する。
【0048】
可動子66は位置P5で停止後、テーブル1の移動方向とは逆方向に位置P2まで高速で移動する。このときには移動カム80を下方に下げ、ロックレバー69がラッチレバー68を固定することにより、カムフォロワー72がVブロック60の凹部と干渉しない位置に固定されているのは先に図12を用いて説明したとおりである。
【0049】
<4 給紙部2>
<4.1 給紙部2の概略>
次に、給紙部2の構成について説明する。図1および図2に示すように、この給紙部2は、ストッカー部40と供給部50とから構成される。図14は、ストッカー部40の側面図である。また、図15は、供給部50をテーブル1とともに示す側面図であり、図16は、その要部拡大図である。
【0050】
<4.2 ストッカー部40>
図14に示すように、ストッカー部40は、その上部に印刷用紙を載置して昇降する紙載せ台81と、紙載せ台81上の印刷用紙を吸着して搬送ローラ86方向に搬送する給紙サッカー82とを備える。給紙サッカー82および搬送ローラ86により搬送された印刷用紙は、供給部50のコンベア87上に搬送される。なお、紙載せ台81上に載置された印刷用紙の周囲には、給紙時に二枚取りを防止するためのさばき用エアー噴出部83、84、85が配設されている。
【0051】
<4.3 供給部50>
(a)供給部50の概略;
供給部50は、上述したコンベア87と、横針機構100と、フィードローラ88、89と前見当部92と、一対のガイド板113、114と、空気吐出ノズル93と、スクイジローラ97とを備える。ここで、横針機構100は、コンベア87により搬送された印刷用紙の搬送方向と直交する方向の位置決めを行うものである。また、前見当部92は、軸91を中心に揺動し、コンベア87により搬送された印刷用紙の先端の位置決めを行うものである。
【0052】
空気吐出ノズル93は、印刷用紙をテーブル1上に装着するときに、印刷用紙の先端に向けて空気を吹き付けるものである。なお、一対のフィードローラ88、89のうち、上側のフィードローラ88は、昇降可能に構成されている。また、スクイジローラ97は、軸96を中心に揺動可能な構成となっている。
【0053】
テーブル1の移動方向の先端には、そこに供給された印刷用紙の先端をテーブル1に固定するためのテーブル爪95が配設されている。このテーブル爪95は、テーブル1に設けられた軸94を中心に揺動する。なお、テーブル1の移動方向に対して供給部50の上流側には、テーブル爪95を開閉するための一対のカム98、99と、上述した吸着ファン55が配設されている。
【0054】
供給部50からテーブル1へ印刷用紙を供給するときのテーブル1に対する交差角度、すなわち、テーブル1の表面と一対のガイド板113、114とがなす角度は、できるだけ小さいことが好ましい。この角度は、45度以下とすることが好ましく、30度以下とすることがより好ましい。なお、この角度を小さくするために、前見当部92がテーブル1の移動領域の上方に配置される構成が採用されている。
【0055】
(b)横針機構100;
図17および図18は、横針機構100の斜視図である。なお、図17は、図18に対して従動コロ109の昇降機構等を取り外した図となっている。
【0056】
この横針機構100は、テーブル1を移動するための駆動スプロケット48(図1および図2参照)と同期して回転する駆動軸101と、この駆動軸101に連結されたカム102と、傘歯車106を備える。この傘歯車106は、駆動コロ108と接続された傘歯車107と噛合している。このため、駆動軸101が回転することにより、駆動コロ108が回転する。
【0057】
また、この横針機構100は、軸103を中心として揺動するレバー105を備える。このレバー105の一端に配設されたカムフォロワー104は、駆動軸101とともに回転するカム102と当接している。また、このレバー105の他端部は、従動コロ109を軸支するケーシング111と接続されている。このため、駆動軸101が回転することによりカム102が回転し、これに当接するカムフォロワー104が上下すると、ケーシング111が上下する。そして、これに伴って、従動コロ109が、駆動コロ108と当接して回転する回転位置と、駆動コロ108から離隔した退避位置との間を昇降する。
【0058】
この横針機構100においては、従動コロ109が退避位置にある状態で、駆動コロ108と従動コロ109との間に印刷用紙が供給される。しかる後、従動コロ109が回転位置まで降下し、印刷用紙は駆動コロ108と従動コロ109との間に挟持される。そして、駆動コロ108の回転に伴って印刷用紙がその搬送方向と直交する方向に移動し、その端縁が図示しない当たり部材に当接することにより、コンベア87により搬送された印刷用紙の搬送方向と直交する方向の位置決めが実行される。より詳細には以下のとおりである。すなわち、横針機構100の一対のフィードローラ108、109による印刷用紙が挟持され、この状態で前述した駆動コロ108と従動コロ109とによって印刷用紙がその運搬方向と直交する方向に移動してその端縁が図示しない当たり部材に当接することによりこの方向の位置決めが行われる。その後、フィードローラ109が上昇して横針機構100一対のフィードローラ108、109による印刷用紙のニップが解除される。
【0059】
(c)給紙動作について;
この供給部50においては、ストッカー部40から送られた印刷用紙は、コンベア87により搬送される。このときには、一対のフィードローラ88、89のうち上側のフィードローラ88は下側のフィードローラ89から離隔している。そして、搬送された印刷用紙は、一対のフィードローラ88、89の間を通過して、その先端が前見当部92と当接したときに停止する。この状態において、横針機構100の作用により、コンベア87により搬送された印刷用紙の搬送方向と直交する方向の位置決めが実行される。
【0060】
次に、フィードローラ88が下降して印刷用紙を一対のフィードローラ88、89間に挟持すると共に、前見当部92が揺動して上昇する。そして、印刷用紙は、一対のフィードローラ88、89の作用により、テーブル1におけるテーブル爪95に向けて搬送される。このときの印刷用紙の搬送速度は、テーブル1の移動速度よりわずかに速い速度となっている。また、このときには、図16に示すように、リニアモータ機構61の駆動によるテーブル1の移動に伴い、軸94に対してテーブル爪95の逆側に配設されたカムフォロワー90が、テーブル爪95を開閉するためのカム98と当接することにより、テーブル爪95は開放状態となっている。
【0061】
そして、印刷用紙の先端がテーブル爪95まで到達した時点で、テーブル爪100が閉じられる。すなわち、チェーン44の駆動によるテーブル1の移動に伴い、軸94に対してテーブル爪95の逆側に配設されたカムフォロワー90が、テーブル爪95を開閉するためのカム98から離隔することにより、テーブル爪95が閉じられ、このテーブル爪95により印刷用紙がテーブル1に対して固定される。
【0062】
このように、テーブル爪95により印刷用紙がテーブル1に対して固定するときには、印刷用紙の先端には、空気吐出ノズル93から空気が吹き付けられる。このため、印刷用紙がテーブル1の表面に押し付けられ、印刷用紙をテーブル爪95とテーブル1との間に確実に固定することが可能となる。
【0063】
リニアモータ機構61の駆動によりテーブル1がさらに移動すると、テーブル1上の印刷用紙は、スクイジローラ97によりスクイジされるとともに、吸着ファン55の作用によりテーブル1上に吸着保持される。しかる後、カムフォロワー90がテーブル爪95を開閉するための第2のカム99と当接することにより、テーブル爪95が開閉動作を実行し、印刷用紙の先端のひずみが解消される。
【0064】
<5 排紙部4>
<5.1 排紙部4の概略>
次に、上述した排紙部4の構成について説明する。図19は、排紙部4の側面概要図である。
【0065】
この排紙部4は、後述する第1剥離爪と爪座を備え、これらにより挟持されて搬送される印刷用紙をその外周部に巻回してテーブル1から分離する排紙胴77を備える。この排紙胴77の構成および 印刷用紙の分離動作については、後程詳細に説明する。
【0066】
また、この排紙部4は、排紙胴77から受け取った印刷用紙を、ガイド121に案内されて昇降するストッカー部122に搬送する第1コンベア73および第2コンベア76と、排紙胴1から受け取った印刷用紙を、排紙テーブル123に搬送する第3コンベア74および第4コンベア75と、搬送路の切替機構124とを備える。
【0067】
<5.2 第1コンベア73>
図20は、第1コンベア73の斜視図である。
【0068】
この第1コンベア73は、軸153および軸154に巻回された4本のベルト151を備える。この第1コンベア73においては、排紙胴77搬送された印刷用紙は、ベルト151上に載置されて搬送される。第1コンベア73におけるベルト151の傾斜部分と対向する位置には、第1コンベア73により搬送される印刷用紙に向けて空気を吹き付けるファン152が配設される。このため、印刷用紙を第1コンベア73のベルト151により確実に搬送することが可能となる。ファン152による空気の吹きつけ力は、印刷用紙の厚さ・サイズ等に応じて切り替えることができる。この点は、後述するファン166,175についても同様である。
【0069】
<5.3 第2コンベア76>
図21は、第2コンベア76の斜視図である。
【0070】
この第2コンベア76は、第1コンベア73により搬送された印刷用紙をその上方から吸着保持して搬送するためのものであり、軸156および軸157に巻回された4本のベルト155を備える。
【0071】
図22および図23は、第2コンベア76を裏面から見た部分斜視図である。なお、図22は、ベルト155を取り外して見た状態を示している。
【0072】
第2コンベア76におけるベルト155に挟まれた領域はチャンバーを構成している。そして、このチャンバーの下面を構成する平板158には、図22に示すように、多数のスリット159が形成されている。また、図23に示すように、ベルト155には、多数の孔部161が形成されている。そして、これらのスリット159および孔部161は、互いに対応する位置に形成されている。このため、ベルト155に挟まれたチャンバー内を減圧することにより、スリット159および孔部161を介して印刷用紙を吸着することができ、ベルト155により印刷用紙をその上部から吸着保持して搬送することが可能となる。また、平板158に形成する孔をベルト155の搬送方向が長手方向となるスリットとすることにより、ベルト155が回動しているときであっても、スリット159及び孔部161を経由して印刷用紙を吸引することが可能になる。
【0073】
そして、ベルト155に挟まれたチャンバー内の減圧を適宜のタイミングで停止することにより、ベルト155による印刷用紙の吸着保持が解除される。
【0074】
あるいは、ベルト155におけるスリット159の形成場所を印刷用紙の搬送方向の上流方向側にのみとするようにしてもよい。こうすれば、ベルト155による印刷用紙の吸着保持は第2コンベア76における搬送方向の上流側で実行され、第2コンベア76における搬送方向の下流側では印刷用紙は吸着保持を解除される。
【0075】
なお、第1コンベア73、第3コンベア74及び第4コンベア75にスリット159および孔部161と同様のスリットおよび孔部を設け、ベルト151,163,171に印刷用紙を吸着保持するようにしてもよい。なお、印刷用紙を吸引保持する吸引力は、印刷用紙の厚さ・サイズ等に応じて切り替えることができるようにすることが望ましい。このように、印刷用紙をベルト151,163,171で保持して搬送する搬送方式によれば、印刷用紙をニップして搬送する場合と異なり、切替機構124による搬送経路の切り替えが容易になるとともに、印刷用紙の画像が記録されている面を擦ることを回避することができる。
【0076】
また、第3コンベア74において印刷用紙の吸引を行う場合、吸引によって生じた空気の流れが第1コンベア73の上面に導かれるように第1コンベア73及び第3コンベア74を配置することが望ましい。これにより、第3コンベア74における吸引によって生じた空気を流れを用いて第1コンベア73のベルト151に印刷用紙を吹き付けることができる。
【0077】
図19に示すように、この第2コンベア76における印刷用紙の搬送方向と直交する方向の中央部には、空気吹き出し孔が印刷用紙の搬送方向に向けて複数個連続して穿設された空気吹き付け管162が配設されている。
【0078】
図24は、この空気吹き付け管162が印刷用紙Sに対して空気を吹き付ける様子を示す説明図である。
【0079】
印刷用紙の先端が第2コンベア76における搬送方向の下流側に到達したタイミングでベルト155に挟まれたチャンバー内の減圧を停止することにより、印刷用紙Sの吸着保持が解除される。そして、この領域において、印刷用紙Sは、その搬送方向と直交する方向の中央部付近に向けて空気吹き付け管162から空気を吹き付けられる。このため、印刷用紙は、その中央部を中心に二つ折り状態になってストッカー部122に落下する。このため、記録媒体を正確にストッカー部122に落下させることが可能となる。
【0080】
<5.4 第3コンベア74>
図25は、第3コンベア74の斜視図である。
【0081】
この第3コンベア74は、軸164および軸165に巻回された4本のベルト163を備える。この第3コンベア74においては、第1コンベア73のベルト151上に載置されて搬送され、搬送路の切替機構124により第3コンベア74側に変向された印刷用紙が、ベルト163上に載置されて搬送される。第3コンベア74におけるベルト163と対向する位置には、第3コンベア74により搬送される印刷用紙に向けて空気を吹き付けるファン166が配設される。このため、印刷用紙を第3コンベア74のベルト163により確実に搬送することが可能となる。
【0082】
<5.5 第4コンベア75>
図26は、第4コンベア75の斜視図である。
【0083】
この第4コンベア75は、軸172および軸173に巻回された4本のベルト171を備える。この第4コンベア75においては、第3コンベア74のベルト163上に載置されて搬送さた印刷用紙が、ベルト171上に載置されて搬送される。第4コンベア75におけるベルト171と対向する位置には、第4コンベア75により搬送される印刷用紙に向けて空気を吹き付けるファン175が配設される。このため、印刷用紙を第4コンベア75のベルト171により確実に搬送することが可能となる。
【0084】
<5.6 コンベアの着脱について>
第1コンベア73、第2コンベア76、第3コンベア74及び第4コンベア75は、いずれも、定位置に位置決めするための位置決め構造を有しており、定位置への取り付け及び定位置からの取り外しが容易になっている。これにより、ベルト151,155,163,171の交換等の第1コンベア73、第2コンベア76、第3コンベア74及び第4コンベア75のメンテナンスが容易になる。
【0085】
また、第3コンベア73は、給紙部2の側を排紙部4の本体から持ち上げ可能になっている。これにより、第1コンベア73において印刷用紙のジャムが発生した場合に、ジャムを起こした印刷用紙を除去することが容易になる。
【0086】
さらに、ファン152,166,175も、排紙部4の本体から持ち上げ可能となっている。これにより、第1コンベア73、第3コンベア74及び第4コンベア75において印刷用紙のジャムが発生した場合に、ジャムを起こした印刷用紙を除去することが容易になる。
【0087】
<5.7 切替機構124>
図27は、切替機構124の斜視図である。
【0088】
この切替機構は、ソレノイド182の駆動により軸183を中心に揺動する案内板181を備える。ソレノイド182の回転駆動力は、アイドラーギヤ191及び回転支点側のギヤ192を経由して案内板182を支持するアーム193に伝達される。ソレノイド182は、制御部6の制御により励磁される。ソレノイド182が無励磁状態となりアーム193が第1のストッパ194にあたって案内板181が、図19および図27において実線で示す位置に配置された場合には、排紙胴77から排出され、第1コンベア73のベルト151上に載置されて搬送される印刷用紙は、ベルト151に載置されたまま搬送され、第2コンベア76に搬送される。一方、ソレノイド182が励磁状態となりアーム193が図示しない第2のストッパにあたって案内板181が、図19および図27において仮想線で示す位置に配置された場合には、排紙胴77から排出され、第1コンベア73のベルト151上に載置されて搬送される印刷用紙は、上述の搬送経路の途上において第1コンベア73のベルト151から分離され第3コンベア74に選択的に案内された後、第3コンベア74に搬送される。
【0089】
<5.8 排紙部4の動作について>
以上のような構成において、画像の記録が成功しソレノイド182が無励磁状態である場合は、テーブル1上の印刷用紙は、後述するように、排紙胴77の作用によりテーブル1から分離され、排紙胴77の外周部に巻回されて第1コンベア73へ搬送される。そして、この印刷用紙は、第1コンベア73の上部に載置されて搬送された後、第2コンベア76でその上面より吸着保持されて搬送される。そして、この印刷用紙は、ストッカー部122の上方でその吸着保持が解除されるとともに、その搬送方向と直交する方向の中央部付近に向けて空気吹き付け管162から空気を吹き付けられる。これにより、印刷用紙は、その中央部を中心に二つ折り状態になってストッカー部122に落下し、ストッカー部122に回収される。
【0090】
また、画像の記録が失敗しソレノイド182が励磁状態である場合は、第1コンベア73上に配置された切替機構124により、第1コンベア73により搬送されている印刷用紙を第3コンベア74方向に案内する。この印刷用紙は、第3コンベア74および第4コンベア75の上部に載置されて搬送された後、排紙テーブル123上に排出される。
【0091】
すなわち、排紙部4は、画像の記録及び記録された画像の読み取りが完了した印刷用紙を保持しているテーブル1がリニアモータ機構61により搬送されてくるごとに、画像の記録が成功した印刷用紙と画像の記録が失敗した記録用紙とに印刷用紙を仕分けして排出する。もちろん、印刷用紙を仕分けして排出する機構としては、この欄で説明したものとは異なる機構を採用してもよい。
【0092】
<5.9 排紙胴>
次に、上述した排紙胴77の構成および印刷用紙の分離動作について説明する。図28は、排紙胴77等を示す側面図である。
【0093】
この排紙胴77は、円筒形の一部から構成され、軸139を中心に回転する。図19に示すように、この排紙胴77は、駆動プーリ141および従動プーリ142とベルト143を介して連結されており、駆動プーリ141の駆動により回転する。
【0094】
図28(a)に示すように、この排紙胴77には、印刷用紙の先端をテーブル1から剥離するための第1剥離爪131と、第1剥離爪131との間に印刷用紙の先端を挟持して搬送する爪座132と、印刷用紙を排紙胴77の外周面に押圧するためのニップローラ134と、排紙胴77に巻回された印刷用紙を排紙胴77から剥離する第2剥離爪133とが付設されている。
【0095】
また、この排紙胴77の側方には、図28(b)および図28(c)に示すように、第1カム137および第2カム138が配設されている。この第1カム137は、第2剥離爪133を駆動するためのカムフォロワー135と当接するものであり、第1カム137における凹部184にカムフォロワー135が当接したときに第2剥離爪133が後述する剥離動作を実行する。また、第2カム138は、ニップローラ134を駆動するためのカムフォロワー136と当接するものであり、第2カム138における凹部185にカムフォロワー136が当接したときに、ニップローラ134が排紙胴77の表面に当接する。
【0096】
<5.10 排出動作について>
次に、この排紙胴77等を利用してテーブル1上の印刷用紙Sを排出する排出動作について説明する。図29乃至図31は、テーブル1上の印刷用紙Sを排出する排出動作を示す説明図である。
【0097】
テーブル移動機構5によりテーブル1が排紙胴77付近まで搬送されると、最初に、第1剥離爪131が、テーブル1の先端に形成された切欠129(図6および図29参照)内に進入する。この状態においては、テーブル爪95が閉じられ、このテーブル爪95により印刷用紙がテーブル1に対して固定されている。
【0098】
この状態からテーブル1が移動すると、図30に示すように、テーブル1における軸94に対してテーブル爪95の逆側に配設されたカムフォロワー90が、テーブル爪95を開閉するためのカム145と当接することにより、テーブル爪95は開放状態となる。また、テーブル1の移動と同期して排紙胴77が回転し、図示しないリンク機構により第1剥離爪131が移動し、印刷用紙Sが第1剥離爪131と爪座132との間に挟持される。
【0099】
なお、上述した吸着ファン55による排気量は、テーブル1が排紙部4付近に配置されたときには小さくなるように設定されている。このため、第1剥離爪131で印刷用紙の先端をテーブル1から剥離するときには、吸着穴11による印刷用紙Sの吸着保持力が弱められるよう構成されている。
【0100】
この状態からテーブル1がさらに移動すると、図31に示すように、テーブル1の移動と同期して排紙胴77がさらに回転し、第1剥離爪131と爪座132との間に挟持された印刷用紙Sが第2剥離爪133の方向に移動する。また、ニップローラ134が印刷用紙S上に降下して、印刷用紙Sを排紙胴77に押圧する。
【0101】
そして、この状態からテーブル1がさらに移動すると、テーブル1の移動と同期して排紙胴77がさらに回転し、図示しないリンク機構により第1剥離爪131が移動し、印刷用紙Sを開放する。この印刷用紙Sは、第2剥離爪133により排紙胴77から剥離され、上述した第1コンベア73に向けて搬送される。このように、この排紙部4では、テーブル1上の印刷用紙を第1剥離爪131と爪座132とで取り上げ、排紙胴77の表面に密着させた後、第2剥離爪133で該排紙胴77の表面から印刷用紙を剥離させるという、印刷用紙のつかみ替え処理を行っているので、印刷用紙に重さや平面度等にばらつき等があっても該印刷用紙を精度良く確実に搬送することができる。
【0102】
<6 制御部>
図32は、制御部6による排紙動作の制御を説明するブロック図である。図32に示すように、制御部6は、スキャナ32から送られてきた画像データを取得し、印刷用紙への画像の記録の成否を当該画像データから判断する。さらに、制御部6は、画像の記録の成否の判断結果に応じて排紙部4を制御し、画像の記録が成功した印刷用紙を第1の排出先たるストッカー部122に、画像の記録が失敗した印刷用紙を第2の排出先たる排紙テーブル123に、仕分けして排出させる。これにより、排紙テーブル123に排出された印刷用紙を参照すれば、画像の記録が失敗した印刷用紙を容易に確認することができる。
【0103】
このような仕分けのため、制御部6は、印刷用紙への画像の記録が成功したと判断した場合は、画像の記録が成功した印刷用紙が切替機構124に到達する前にソレノイド182を無励磁状態にして、第1のコンベア群たる第1コンベア73及び第2コンベア74に印刷用紙をストッカー部122まで搬送させる。一方、制御部6は、印刷用紙への画像の記録が失敗したと判断した場合は、画像の記録が失敗した印刷用紙が切替機構124に到達する前にソレノイド182を励磁状態にして、第1のコンベア群による搬送経路の途上から第2のコンベア群たる第3コンベア74及び第4コンベア75に印刷用紙を排紙テーブル123まで搬送させる。 なお、この画像記録装置では「第1のコンベア群」及び「第2のコンベア群」は、いずれも2個のコンベアから構成されるが、「第1のコンベア群」及び「第2のコンベア群」を構成するコンベアの数を1個に減らしてもよいし3個以上に増やしてもよい。
【0104】
「<3.4 リニアモータ機構61>」の欄で説明したように、この画像記録装置では、印刷用紙を保持しているテーブル1を記録位置から読み取り位置までリニアモータ機構61で一貫して搬送するので、記録媒体の位置の精度を向上することができ、画像の記録の成否を精度良く判断することができる。このため、画像の記録が成功した印刷用紙と画像の記録が失敗した印刷用紙とに印刷用紙を精度良く仕分けすることができる。
【0105】
画像の記録の成否は、画像を記録する際に用いた画像データとスキャナ32から与えられた画像データとを比較することにより行うことができる。
【0106】
<7 画像記録装置の全体動作について>
以上のような構成を有する画像記録装置においては、給紙部2から送り出された印刷用紙は、テーブル移動機構5における無端状搬送機構により移動するテーブル1上に供給される。そして、テーブル1が、無端状搬送機構からテーブル移動機構5におけるリニアモータ機構61に受け渡された後、画像記録部3により画像の記録が実行される。しかる後、テーブル1が、リニアモータ機構61から無端状搬送機構に受け渡された後、テーブル1上の印刷用紙が排紙部4に排出される。このため、高速な画像の記録を高精度に実行することが可能となる。
【0107】
<8 その他>
なお、上述した実施形態においては、印刷用紙上に画像を記録する場合について説明しているが、この発明は、布・樹脂シートその他の記録媒体に画像を記録する画像記録装置に対しても同様に適用することが可能となる。
【0108】
この発明は詳細に説明されたが、上述した説明は、すべての局面において例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】この発明に係る画像記録装置の側面概要図である。
【図2】この発明に係る画像記録装置の画像記録部を取り除いて示す斜視図である。
【図3】テーブル移動機構の要部を示す縦断面図である。
【図4】リニアガイドのレールおよびチェーンとテーブルとの連結関係を示す部分側面図である。
【図5】リニアガイドのレールおよびチェーンとテーブルとの連結関係を示す部分拡大図である。
【図6】リニアガイドのレールおよびチェーンとテーブルとの連結関係を示す部分斜視図である。
【図7】第2連結機構を示す側面図である。
【図8】第2連結機構を示す側面図である。
【図9】第2連結機構により連結および開放動作を示す説明図である。
【図10】第2連結機構により連結および開放動作を示す説明図である。
【図11】第2連結機構により連結および開放動作を示す説明図である。
【図12】第2連結機構により連結および開放動作を示す説明図である。
【図13】4個のリニアモータ機構により10個のテーブルを移動させる様子を示すタイムテーブルである。
【図14】ストッカー部の側面図である。
【図15】供給部をテーブルとともに示す側面図である。
【図16】供給部をテーブルとともに示す要部拡大図である。
【図17】横針機構の斜視図である。
【図18】横針機構の斜視図である。
【図19】排紙部の側面概要図である。
【図20】第1コンベアの斜視図である。
【図21】第2コンベアの斜視図である。
【図22】第2コンベアを裏面から見た部分斜視図である。
【図23】第2コンベアを裏面から見た部分斜視図である。
【図24】空気吹き付け管が印刷用紙に対して空気を吹き付ける様子を示す説明図である。
【図25】第3コンベアの斜視図である。
【図26】第4コンベアの斜視図である。
【図27】切替機構の斜視図である。
【図28】排紙胴等を示す側面図である。
【図29】排紙胴等を示す側面図である。
【図30】排紙胴等を示す側面図である。
【図31】排紙胴等を示す側面図である。
【図32】制御部による排紙動作の制御を説明するブロック図である。
【符号の説明】
【0110】
1 テーブル
3 画像記録部
5 テーブル移動機構
6 制御部
22,23,24,25 記録ヘッド
32 スキャナ
34 制御部
42 レール
43 受け部
44 チェーン
46,52,53 スプロケット
55 吸着ファン
60 Vブロック
61 リニアモータ機構
63 移動ベース
64 リニアガイド
65 固定子
66 可動子
67 軸
68 ラッチレバー
69 ロックレバー
71,72 カムフォロワー
73 第1コンベア
74 第3コンベア
75 第4コンベア
76 第2コンベア
77 排紙胴
94 軸
124 切替機構
182 ソレノイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を保持する保持体と、
前記保持体に保持されている記録媒体に向かってインクを吐出するノズルを前記保持体の搬送方向と直交する方向に列設した記録ヘッドと、
前記保持体に保持されている記録媒体に前記記録ヘッドにより記録された画像を読み取る画素を前記保持体の搬送方向と直交する方向に列設したスキャナと、
前記記録ヘッドにより記録媒体に画像が記録される位置及び記録媒体に記録された画像が前記スキャナにより読み取られる位置を含む連続する直線区間を通して前記保持体を一貫して搬送する搬送機構と、
前記記録ヘッドによる画像の記録及び前記スキャナによる画像の読み取りが完了した記録媒体を保持している前記保持体が前記搬送機構により搬送されてくるごとに、画像の記録が成功した記録媒体と画像の記録が失敗した記録媒体とに仕分けして記録媒体を排出する排出機構と、
前記スキャナによる読み取りの結果から記録媒体への画像の記録の成否を判断し、画像の記録の成否に応じて前記排出機構に記録媒体の仕分けを行わせる制御部と、
を備えるインクジェット方式の画像記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載のインクジェット方式の画像記録装置において、
前記排出機構は、
記録媒体をベルトに保持して第1の排出先へ搬送する第1のコンベア群と、
記録媒体をベルトに保持して前記第1のコンベア群により記録媒体が搬送される搬送経路の途上から第2の排出先へ搬送する第2のコンベア群と、
前記第1のコンベア群により記録媒体が搬送される搬送経路の途上において画像の記録が失敗した記録媒体を第1のコンベア群から分離して第2のコンベア群へ選択的に案内する案内機構と、
を備えるインクジェット方式の画像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2009−286506(P2009−286506A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−137639(P2008−137639)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】