説明

インクジェット用記録媒体及びその製造方法

【課題】プリンタ内部や他の記録紙のインクによる汚れを抑制するとともに、裁断品質の低下を抑制する。
【解決手段】ウェブ12は、支持体45の両側にレジンコート層46,47が設けられ、一方のレジンコート層47の上にインク受容層48が塗布されている。ウェブ12は、スリッタ13で細幅の記録ペーパー14に裁断される。スリッタ13は、鋭角な刃先を備えた回転上刃21と、インク受容層48を支持する支持部61を備えた回転下刃19とを有する。スリッタ13による裁断後は、レジンコート層46に対して、支持体45,レジンコート層47,インク受容層48のいずれか一つが突出した形状となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット用記録媒体、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット用記録媒体には、写真用紙がある。写真用紙は、一般的に「RC光沢紙」とも呼ばれ、支持体となる紙の両面にポリエチレンからなるレジンコート(合成樹脂コート)層が設けられ、一方のレジンコート層の上には、インクが染み込むべきインク受容層が設けられている。インク受容層は、シリカ微粒子等を樹脂バインダーで結合したものである。
【0003】
このようなインクジェット用記録紙には、シートペーパーとロールペーパーがある。シートペーパーは、長尺幅広のウェブをスリッタで細幅に裁断し、その後、複数の細幅のペーパーを切断機により一定の長さのシートに切断する(例えば、特許文献1参照)。ロールペーパーは、スリッタで細幅に裁断したペーパーを巻芯に巻き取っている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−14106号公報
【特許文献2】特開平9−100050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、インクジェットプリンターには、記録紙の片面全面に画像を形成する縁なしプリントを行うものがある。この縁なしプリントでは、プリンタの搬送方向と平行な両端縁を越えた部分までインクが吐出される。しかしながら、前述した写真用紙を用いて縁なしプリントを行うと、プリンタ内の搬送部がインクで汚れたり、記録済みの記録紙を重ねると他の記録紙が汚れたりする不都合が生じることがあった。
【0006】
そこで、従来のロールタイプ及びシートタイプのインクジェット用記録紙の両端縁の端面70を調べてみると、図10に示すように、一方のレジンコート層46が他方のレジンコート層47やインク受容層48よりも突出している断面になっていることが分かった。この端面70は、スリッタで裁断された裁断面であるが、端面70がきれいに裁断されておらず、裁断品質が悪いという問題がある。
【0007】
また、インクジェットプリンターで使用される場合は、インクジェット用記録紙は、インク受容層48を上向き(図10に示す記録紙12を上下逆にした向き)にして搬送される。このため、突出したレジンコート層46の端にインクが付着し易くなる。この付着したインクは、プリンタの内部や他の記録紙を汚す原因となる。
【0008】
更に、インク受容層48は、強度が十分でなく、乾燥すると割れたり剥がれたりするという問題がある。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、プリンタ内部や他の記録紙のインクによる汚れを抑制することができるインクジェット用記録媒体、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
本発明の別の目的は、裁断品質の低下を防止したインクジェット用記録媒体、及びその製造方法を提供することにある。
【0011】
本発明の更に別の目的は、インク受容層の割れや剥がれを防止することができるインクジェット用記録媒体、及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的、その他の目的を達成するために、本発明のインクジェット用記録媒体は、支持体と、支持体の両面を覆う第1及び第2のレジンコート層と、第2のレジンコート層の表面を覆うインク受容層とから構成されている。このインクジェット用記録媒体は、スリッタで裁断された端面を有する。この端面は、第2のレジンコート層及びインク受容層の少なくとも一方又は支持体が、第1のレジンコート層よりも搬送方向に突出した断面を有する。
【0013】
また、この端面は、プリント時の搬送方向と平行な側縁となる。記録紙としては、四辺を所定のサイズに整えたシート紙、あるいは所定の幅の長尺シートを巻芯に巻き取ったロール紙の形態でもよい。
【0014】
インク受容層は、水溶性樹脂及び微粒子を含み、前記水溶性樹脂の質量に対する前記微粒子の質量の割合は、1.5/1以上10/1以下であることが好ましい。
【0015】
また、インク受容層は、10〜50μmの厚さであることが好ましい。
【0016】
更に、インク受容層は、複数の細孔を有する多孔質層であり、細孔のメジアン径は0.005〜0.030μmであることが好ましい。
【0017】
また、本発明のインクジェット用記録媒体の製造方法は、ウェブ作成ステップと、ウェブ裁断ステップとを含む。ウェブ作成ステップでは、支持体の両面を第1及び第2のレジンコート層で覆った後、第2のレジンコート層の表面をインク受容層で覆う。ウェブ裁断ステップでは、インク受容層を下に向けた状態で、ウェブを一方向に搬送しながらスリッタで裁断する。スリッタは、ウェブを下方へ押し切る鋭角な刃先を備えた回転上刃と、ウェブを支持する支持部を備えた回転下刃とで構成されている。このスリッタは、ウェブの端面が、第2のレジンコート層及びインク受容層の少なくとも一方又は支持体が第1のレジンコート層よりも突出した断面となるように裁断する。
【0018】
更に、スリッタで裁断されたペーパーを一定長さのシートペーパーに切断するステップを含むことが好ましい。
【0019】
回転上刃の刃先角は30度、回転下刃の刃先角は90度が好ましい。あるいは、回転上刃と回転下刃の刃先角がいずれも30度であってもよい。更に、回転上刃の刃先角が60度、回転下刃の刃先角が90度であってもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、インクジェット用記録媒体の端面は、第2のレジンコート層及びインク受容層の少なくとも一方又は支持体が第1のレジンコート層よりも搬送方向に突出した形状になる。第1レジンコート層には、縁なしプリント(ボーダレスプリント)をした場合でも、インクが付着していないので、プリンタ内部のインク汚れを防止することができる。
【0021】
また、本発明は、支持体を中央がやや突出した三角形状に裁断するので、裁断面が綺麗である。
【0022】
更に、インク受容層の含有物の割合、厚み、及び細孔径が制御されるので、インク受容層の割れや剥がれを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】インクジェット用記録紙の製造装置の構成を示す概略図である。
【図2】ウェブの断面図である。
【図3】スリッタの要部を示す説明であり、一部を切断して示している。
【図4】スリッタの要部の断面図である。
【図5】スリッタの要部の拡大した軸方向断面図である。
【図6】記録ペーパーの裁断面を示す断面図である。
【図7】インク受容層とは逆側のレジンコート層にテーパが付いた裁断面を示す断面図である。
【図8】支持体の中央部が最も突出した端面の断面図である。
【図9】インク受容層の側が突出した裁断面の断面図である。
【図10】従来の記録ペーパーの裁断面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1に示すように、製造装置10は、ウェブロール11から幅広のウェブ12を引き出して、一方向に搬送する。ウェブ12は、その幅方向に沿って所定間隔で配置された複数のスリッタ(裁断機)13によって、複数の細幅の記録ペーパー14に裁断される。各記録ペーパー14は、そのまま一方向に搬送され、可動の上刃15と固定の下刃16で構成される切断機17で一定長さごとに切断され、記録シート18になる。
【0025】
スリッタ13は、円板状の回転下刃19、回転下刃19を回転させる下刃回転モータ20、回転下刃19に対向する円板状の回転上刃21、及び回転上刃21を回転させる上刃回転モータ22を有している。また、製造装置10は、ウェブ12や記録ペーパー14を搬送する搬送部23を備えている。
【0026】
搬送部23は、ロール保持軸24、引出ローラ部25、パスロール26〜32、供給ローラ部33、及びパスロール34〜36を備えている。ロール保持軸24は、回転軸上にウェブロール11を回転自在に保持する。引出ローラ部25は、ロール保持軸24に保持されたウェブロール11からウェブ12を引き出す。パスロール26〜32は、ロール保持軸24からスリッタ13までのウェブ12の搬送経路に配置されており、ウェブ12の搬送方向を変更したり、引張力(テンション)を適正に保ったりする。供給ローラ部33は、スリッタ13により裁断された細幅の記録ペーパー14を切断機17に供給する。パスローラ34〜36は、引出ローラ部25と供給ローラ部33の間に配置され、記録ペーパー14の搬送方向を変更したり、引張力(テンション)を適正に保ったりする。
【0027】
引出ローラ部25は、幅方向に所定間隔に配した複数のローラ対を有している。各ローラ対は、記録ペーパー14を上下から挟持する2つの回転ローラ37,38で構成されている。回転ローラ37、38が回転することによって、ウェブ12がウェブロール11から引き出される。また、供給ローラ部33は、幅方向に所定間隔に配した複数のローラ対を有している。各ローラ対は2つの回転ローラ39,40で構成されている。回転ローラ39,40は間欠的に回転し、所定の長さ分だけ記録ペーパー14を切断機17に送り込む。切断機17は、記録ペーパー14を搬送方向と直交する方向に切断して、所定の長さの記録シート18にする。
【0028】
図2に示すように、ウェブ12は、支持体45と、この支持体の両面に設けられた第1及び第2のレジンコート層46,47と、第2のレジンコート層47の表面に設けられたインク受容層48とを有している。支持体45としては、合成紙、紙、あるいはフィルム等を採用することができる。インク受容層48は、シリカを主成分とする微粒子と、この微粒子を結合するためのポリビニルアルコール等からなる樹脂バインダーとで構成され、支持体45よりも硬くて脆弱である。搬送部23では、ウェブ12は、インク受容層48を下にして搬送される。
【0029】
図3及び図4に示すように、スリッタ13の回転下刃19と回転上刃21は、回転下刃19の回転軸C1と回転上刃21の回転軸C2とが平行で、かつ、回転軸C1、C2を結ぶ垂直線C3上で回転下刃19の一部と回転上刃21の一部とが重なるように配置されている。回転上刃21の刃先角θ2は、回転下刃19の刃先角θ1(約90度)より小さい。
【0030】
回転下刃19は、下刃回転モータ20の回転軸に連結されている下刃軸50に嵌合している。回転下刃19は、下刃軸50に嵌合する下刃スペーサ51と下刃スペーサ52との間に挟まれて、下刃軸50と一体的に回転する。
【0031】
回転上刃21は、上刃回転モータ22の回転軸に連結されている上刃軸53に嵌合している。回転上刃21は、上刃軸53に嵌合する上刃スペーサ54と上刃スペーサ55との間に挟まれて、上刃軸53と一体的に回転する。なお、上刃スペーサ54と回転上刃21との間には、回転上刃21を回転下刃19に向けて付勢するバネ56が設けられている。バネ56は、リング状の一部を切り欠いたC字状となっており、上刃回転モータ22の回転に伴って上刃スペーサ54の傾斜面内で巻締まり、回転上刃21を回転下刃19に向けて軸方向に付勢する。
【0032】
図4に示すように、ウェブ12は、インク受容層48が回転下刃19の外周に沿うことで、回転上刃21に向けて凸状に湾曲した姿勢で回転下刃19と回転上刃21との間を通過する。ウェブ12と回転下刃19とが接触するラップ領域Rは、回転下刃19と回転上刃21との接触領域Mよりも搬送方向の前後に広くなっている。回転下刃19と回転上刃21は、ウェブ12の搬送方向と同じ方向に回転する。
【0033】
したがって、接触領域Mでは、ウェブ12は、インク受容層48から第1のレジンコート層46に向けて切り裂くように裁断されていく。
【0034】
幅広のウェブ12は、複数のスリッタ13によって、複数の幅狭の記録ペーパー14に裁断される。図3及び図5では、説明の便宜上、裁断された記録ペーパーには符号14a,14bを付してある。
【0035】
図5に示すように、一方の細幅の記録ペーパー14aの裁断面66aが支持部61の上に残り、他方の細幅の記録ペーパー14bの裁断面66bが凹部60に垂れ下がっている。これにより、両方の記録ペーパー14a,14bの裁断面66a,66bは、レジンコート層46が支持体45,レジンコート層47、及びインク受容層48よりも出っ張らない断面になる。なお、回転下刃19の刃先角θ1は、インク受容層48を支持する支持部61を基準にして刃面19aとの間でなす角度である。
【0036】
記録ペーパー14の裁断面66の形状としては、図6に示すように、第1のレジンコート層46の端(エッジ)に丸み部62が形成されることで、レジンコート層46が支持体45,レジンコート層47、及びインク受容層48よりも出っ張らない断面になっている。この場合、丸みとなる範囲Lは、記録ペーパー14の厚みTに対して4〜45%の範囲が望ましく、8〜15%の範囲がより望ましい。記録シート18は、スリッタ13で裁断される裁断面66が側縁となり、プリンタ内での搬送方向と平行にセットされてプリントされる。
【0037】
また、記録ペーパー14の裁断面の形状としては、図7に示すように、レジンコート層46の端(エッジ)にテーパ部63が付くことで、レジンコート層46が支持体45,レジンコート層47、及びインク受容層48よりも出っ張らない断面でもよい。この場合も、テーパ部63となる範囲L1は、記録ペーパー14の厚みTに対して4〜45%の範囲が望ましく、8〜15%の範囲がより望ましい。
【0038】
また、記録ペーパー14の裁断面66の形状としては、図8に示すように、裁断の終わりが支持体45の略中央部64になり、この支持体45の略中央部64がほぼ三角形状に出っ張る断面であってもよい。この場合、支持体45にインクが付着しても、支持体45がインクを吸収するためプリンタ内部を汚すことはない。中央部64となる範囲L2は、記録ペーパー14の厚みTに対して15〜70%の範囲が望ましく、21〜60%の範囲がより望ましい。
【0039】
さらに、記録ペーパー14の裁断面66の形状としては、図9に示すように、裁断の終わりがインク受容層48側となり、インク受容層48側に突出部65が形成される形状であってもよい。この場合もインク受容層48、あるいは支持体45がインクを吸収するためインク汚れの問題はない。なお、突出部65となる範囲L3は、記録ペーパー14の厚みTに対して25〜70%の範囲が望ましく、30〜50%の範囲がより望ましい。
【実施例】
【0040】
以下、スリッタ13によりウェブ12を裁断する際の裁断条件と、裁断された記録ペーパー14の品質との関係について検討した実験の結果を説明する。
【0041】
[実施例1]
レジンコート層46が回転上刃21に対面する向きでウェブ12をスリッタ13に供給し、回転下刃19の刃先角θ1を90度、回転上刃21の刃先角θ2を30度にそれぞれ設定したスリッタ13で裁断した。スリッタで裁断された側縁がプリント時には搬送方向と平行となるように、記録ペーパーはプリンタにセットされる。
【0042】
[実施例2]
レジンコート層46が回転上刃21に対面する向きでウェブ12をスリッタ13に供給し、回転下刃19の刃先角θ1を30度、回転上刃21の刃先角θ2を30度にそれぞれ設定したスリッタ13で裁断した。
【0043】
[実施例3]
レジンコート層46が回転上刃21に対面する向きでウェブ12をスリッタ13に供給し、回転下刃19の刃先角θ1を90度、回転上刃21の刃先角θ2を60度にそれぞれ設定したスリッタ13で裁断した。
【0044】
[実施例4]
インク受容層48が回転上刃21に対面する向きでウェブ12をスリッタ13に供給し、回転下刃19の刃先角θ1を90度、回転上刃21の刃先角θ2を30度にそれぞれ設定したスリッタ13で裁断した。
【0045】
実施例1のスリッタで裁断した記録シート18の裁断面は、図6に示す裁断面66、すなわち、インク受容層48とは逆側のレジンコート層46のエッジに丸み部62が形成され、支持体45、レジンコート層47、インク受容層48よりも凹んだ裁断面となっていた。また、図9に示す裁断面69、すなわち、レジンコート層46に対して支持体45の一部やレジンコート層47、及びインク受容層48が突出する裁断面になっているものもあった。いずれもプリンタ内部や他の記録紙を汚す等の不都合が生じることはなく、全体として切断品質の劣化は少なく製品として採用可能なレベルであった。
【0046】
実施例2のスリッタで裁断した記録シート18の裁断面は、図6に示す裁断面の他に、図8に示す裁断面68、すなわち、レジンコート層46に対して支持体45の中央部64が突出する裁断面になっているものもあった。いずれもプリンタ内部や他の記録紙を汚す等の不都合が生じることはなく、全体として切断品質の劣化は少なく製品として採用可能なレベルであった。
【0047】
実施例3のスリッタで裁断した記録シート18の裁断面は、図7に示す裁断面67、すなわち、レジンコート層46のエッジにテーパ部63が形成され、支持体45、レジンコート層47、インク受容層48よりも凹んだ裁断面となっていた。いずれもプリンタ内部や他の記録紙を汚す等の不都合が生じることはなく、全体として切断品質の劣化は少なく製品として採用可能なレベルであった。
【0048】
実施例4では、ウェブ12の表裏の向きを反転してレジンコート層46が支持部61に支持された状態でスリッタ13に供給している。記録シート18の裁断面70は、図10に示すように、レジンコート層46が支持体45、レジンコート層47、インク受容層48よりも突出した断面となっていた。このため、プリンタ内部や他の記録紙を汚す等の不都合が生じ、切断品質が悪く品質不良となった。
【0049】
なお、裁断は、湿度が40〜70%の環境下で行った。スリッタ13の回転速度は、140〜300m/minとした。ウェブ12に掛けるテンションは、14〜33kg/m幅とした。ウェブ12は、インク受容層48の厚みが30〜40μm、レジンコート層46,47がそれぞれ20μm、総厚みが200〜350μmのものを使用した。スリッタの回転速度を変更したり、支持体、レジンコート層、及びインク受容層の種類や厚さを変更したり、あるいは、回転上・下刃の刃先角を変更したりして切断条件を変更しても切断品質の変化は少なく、回転下刃にインク受容層48を下にして通すか、あるいはレジンコート層46を下にして通すかが上記切断品質の良否を決める主要因の1つとなっていることが確認された。
【0050】
このように、回転下刃19の支持部61でインク受容層48を支持する向きでウェブ12をスリッタ13に通すことにより裁断品質の低下を抑制する効果を得ることができることが分かった。
【0051】
上記実施例においては、回転下刃19の刃先角θ1と回転上刃21の刃先角θ2の組合せとして、刃先角θ1が90度、刃先角θ2が30度の組合せと、刃先角θ1が30度、刃先角θ2が30度の組合せと、刃先角θ1が90度、刃先角θ2が60度の組合せが良いことが分かった。なお、本発明ではこれに限らず、例えば刃先角θ1としては、20〜90度が望ましく、30〜90度がより望ましい。また、刃先角θ2としては、20〜85度が望ましく、さらには30〜60度にするのがより望ましい。
【0052】
本発明のインクジェット用記録紙のインク受容層は、少なくとも水溶性樹脂や架橋剤、微粒子、媒染剤、その他の添加剤などを含む。例えば、「カチオン変性された自己乳化性高分子」の水分散物を含む塗布液を用いて形成される。この「カチオン変性された自己乳化性高分子」とは、乳化剤もしくは界面活性剤を用いることなく、或いは用いるとしてもごく少量の添加で、水系分散媒体中に自然に安定した乳化分散物となり得る高分子化合物を意味する。定量的には、上記「カチオン変性された自己乳化性高分子」とは、室温25℃で水系分散媒体に対して0.5質量%以上の濃度で安定して乳化分散性を有する高分子物質を表し、該濃度としては1質量%以上であることが好ましく、特に3質量%以上であることがより好ましい。
【0053】
上記「カチオン変性された自己乳化性高分子」は、より具体的には、例えば、1〜3級アミノ基、4級アンモニウム基等のカチオン性の基を有する重付加系もしくは重縮合系高分子化合物が挙げられる。
【0054】
上記高分子として有効なビニル重合系ポリマーは、例えば、以下のビニルモノマーを重合して得られるポリマーが挙げられる。即ち、アクリル酸エステル類やメタクリル酸エステル類(エステル基は置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、tert−オクチル基、2−クロロエチル基、シアノエチル基、2−アセトキシエチル基、テトラヒドロフルフリル基、5−ヒドロキシペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、ヒドロキシエチル基、3−メトキシブチル基、2−(2−メトキシエトキシ)エチル基、2,2,2−テトラフルオロエチル基、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシル基、フェニル基、2,4,5−テトラメチルフェニル基、4−クロロフェニル基等);
【0055】
ビニルエステル類、具体的には、置換基を有していてもよい脂肪族カルボン酸ビニルエステル(例えば、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルカプロエート、ビニルクロロアセテート等)、置換基を有していてもよい芳香族カルボン酸ビニルエステル(例えば、安息香酸ビニル、4−メチル安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル等);
【0056】
アクリルアミド類、具体的には、アクリルアミド、N−モノ置換アクリルアミド、N−ジ置換アクリルアミド(置換基は置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、シリル基であり、例えば、メチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、tert−オクチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基、フェニル基、2,4,5−テトラメチルフェニル基、4−クロロフェニル基、トリメチルシリル等);
【0057】
メタクリルアミド類、具体的には、メタクリルアミド、N−モノ置換メタクリルアミド、N−ジ置換メタクリルアミド(置換基は置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、シリル基であり、例えば、メチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、tert−オクチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基、フェニル基、2,4,5−テトラメチルフェニル基、4−クロロフェニル基、トリメチルシリル等);
【0058】
オレフィン類(例えば、エチレン、プロピレン、1−ペンテン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、イソプレン、クロロプレン、ブタジエン等)、スチレン類(例えば、スチレン、メチルスチレン、イソプロピルスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン等)、ビニルエーテル類(例えば、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル等);等が挙げられる。
【0059】
その他のビニルモノマーとして、クロトン酸エステル、イタコン酸エステル、マレイン酸ジエステル、フマル酸ジエステル、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メトキシエチルビニルケトン、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルピロリドン、メチレンマロンニトリル、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジオクチル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート等が挙げられる。
【0060】
上記カチオン性基を有するモノマーとしては、例えば、ジアルキルアミノエチルメタクリレート、ジアルキルアミノエチルアクリレート等の3級アミノ基を有するモノマー等が挙げられる。
【0061】
上記カチオン性基含有ポリマーに適用可能なポリウレタンとしては、例えば、以下に挙げるジオール化合物とジイソシアネート化合物とを種々組み合わせて、重付加反応により合成されたポリウレタンが挙げられる。
【0062】
上記ジオール化合物の具体例としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2,2−ジメチルー1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、3,3−ジメチルー1,2−ブタンジオール、2−エチル−2−メチルー1,3−プロパンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチルー2,4−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,8−オクタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール(平均分子量=200,300,400,600,1000,1500,4000)、ポリプロピレングリコール(平均分子量=200,400,1000)、ポリエステルポリオール、4,4'―ジヒドロキシ−ジフェニル−2,2−プロパン、4,4'―ジヒドロキシフェニルスルホン等が挙げられる。
【0063】
上記ジイソシアネート化合物としては、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート,1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート,m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3'−ジメチル−4,4'―ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3'−ジメチルビフェニレンジイソシアネート、4,4'−ビフェニレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)等が挙げられる。
【0064】
カチオン性基含有ポリウレタンが含有するカチオン性基としては、1級〜3級アミン、4級アンモニウム塩の如きカチオン性基が挙げられる。水分散物に用いる自己乳化性高分子としては、3級アミン及び4級アンモニウム塩の如きカチオン性基を有するウレタン樹脂が好ましい。
【0065】
カチオン性基含有ポリウレタンは、例えば、ポリウレタンの合成の際、前記のごときジオールにカチオン性基を導入したものを使用することによって得られる。また4級アンモニウム塩の場合は、三級アミノ基を含有するポリウレタンを四級化剤で四級化してもよい。
【0066】
上記ポリウレタンの合成に使用可能なジオール化合物、ジイソシアネート化合物は、各々1種を単独で使用してもよいし、種々の目的(例えば、ポリマーのガラス転移温度(Tg)の調整や溶解性の向上、バインダーとの相溶性付与、分散物の安定性改善等)に応じて、各々2種以上を任意の割合で使用することもできる。
【0067】
更に、上記カチオン性基含有ポリマーに適用可能なポリエステルとしては、例えば、以下に挙げるジオール化合物と、ジカルボン酸化合物とを種々組み合わせて、重縮合反応により合成されたポリエステルが挙げられる。
【0068】
上記ジカルボン酸化合物としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ジメチルマロン酸、アジピン酸、ピメリン酸、α,α―ジメチルコハク酸、アセトンジカルボン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2−ブチルテレフタル酸、テトラクロロテレフタル酸、アセチレンジカルボン酸、ポリ(エチレンテレフタレート)ジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ω―ポリ(エチレンオキシド)ジカルボン酸、p−キシリレンジカルボン酸等が挙げられる。
【0069】
上記ジカルボン酸化合物は、ジオール化合物と重縮合反応を行う際には、ジカルボン酸のアルキルエステル(例えば、ジメチルエステル)およびジカルボン酸の酸塩化物の形態で用いてもよいし、無水マレイン酸、無水コハク酸及び無水フタル酸のように酸無水物の形態で用いてもよい。
【0070】
上記ジオール化合物としては、上記ポリウレタンにおいて例示したジオール類と同様の化合物を用いることができる。
【0071】
カチオン性基含有ポリエステルは、一級、二級、三級アミン、四級アンモニウム塩の如きカチオン性基を有するジカルボン酸化合物を用いて合成することにより得られる。
【0072】
上記ポリエステルの合成に使用されるジオール化合物、ジカルボン酸類、およびヒドロキシカルボン酸エステル化合物は、各々1種を単独で用いてもよいし、種々の目的(例えば、ポリマーのガラス転移温度(Tg)の調整や溶解性、染料との相溶性、分散物の安定性)に応じて、各々2種以上を任意の割合で混合して用いることもできる。
【0073】
上記カチオン性基含有ポリマーにおけるカチオン性基の含有量は、0.1〜5mmol/gが好ましく、0.2〜3mmol/gがより好ましい。尚、上記カチオン性基の含量が少な過ぎると、ポリマーの分散安定性が小さくなり、多過ぎると、バインダーとの相溶性が低下してくる。
【0074】
前記のカチオン性基を含有する自己乳化性高分子としては、3級アミノ基或いは4級アンモニウム塩基の様なカチオン性基を有するポリマーが好ましく、特に前記のごときカチオン性基を有するウレタン樹脂が最も好ましい。
【0075】
上記自己乳化性高分子をインク受容層に用いる場合、特に重要なのはそのガラス転移温度である。インクジェット記録により画像を形成した後の、画像の経時にじみを長期に亙り抑制するためには、上記自己乳化性高分子のガラス転移温度が50℃未満のものが好ましい。更に、該自己乳化性高分子のガラス転移温度が30℃以下のものがより好ましく、特にガラス転移温度が15℃以下のものが最も好ましい。該ガラス転移温度が50℃以上であると、寸度安定性(カール)が悪化することがある。尚、該ガラス転移温度の下限には特に制限はないが、通常の用途では−30℃程度であり、これより低いと水分散物を調製する際の製造適性が低下する場合がある。
【0076】
上記自己乳化性高分子の質量平均分子量(Mw)としては、通常1000〜200000が好ましく、2000〜50000がより好ましい。該分子量が1000未満であると、安定な水分散物となり得るのが難しくなる傾向があり、また該分子量が200000を超えると、溶解性が悪くなり液粘度が増加し、水分散物の平均粒子径を小さくする、特に0.05μm以下に制御することが難しくなる傾向がある。
【0077】
本発明のインク受容層において、上記自己乳化性高分子の含有量としては、インク受容層を構成する全固形分の0.1〜30質量%が好ましく、0.3〜20質量%がより好ましく、特に0.5〜15質量%が最も好ましくい。該含有量が0.1質量%未満であると、経時にじみの改善効果が不十分となる傾向があり、一方、該含有量が30質量%を超えると、微粒子及びバインダー成分の割合が少なくなり、高画質記録紙へのインク吸収性が低下する傾向がある。
【0078】
次に、上記自己乳化性高分子の水分散物の調整方法につき説明する。上記の自己乳化性高分子を水系溶媒と混合して、必要に応じて添加剤を混合し、該混合液を、分散機を用いて細粒化することで、平均粒子径0.05μm以下の水分散液を得ることができる。該水分散液を得るために用いる分散機としては、高速回転分散機、媒体撹拌型分散機(ボールミル、サンドミル、ビーズミルなど)、超音波分散機、コロイドミル分散機、高圧分散機等従来公知の各種の分散機を使用することができるが、形成されるダマ状微粒子の分散を効率的に行うという観点から、媒体撹拌型分散機、コロイドミル分散機又は高圧分散機が好ましい。
【0079】
高圧分散機(ホモジナイザー)は、米国特許第4533254号明細書、特開平6−47264号公報等に詳細な機構が記載されているが、市販の装置としては、ゴーリンホモジナイザー(A.P.VGAULIN INC.)、マイクロフルイダイザー(MICROFLUIDEX INC.)、アルティマイザー(株式会社スギノマシン)等が使用できる。また、近年になって、米国特許第5720551号明細書に記載されているような、超高圧ジェット流内で微粒子化する機構を備えた高圧ホモジナイザーは、乳化分散に特に有効である。この超高圧ジェット流を用いた乳化装置の例として、DeBEE2000(BEEINTERNATIONAL LTD.)が挙げられる。
【0080】
上記の分散工程における水系溶媒として水、有機溶媒、又はこれらの混合溶媒を用いることができる。この分散に用いることができる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、メトキシプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。
【0081】
上記自己乳化性高分子は、それ自身で自然に安定した乳化分散物となり得るが、該乳化分散をより速やかにもしくはより安定化する為に、少量の分散化剤(界面活性剤)を用いてもよい。この様な目的に用いる界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。更に、特開昭59−157,636号37〜38頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使用することができる。
【0082】
乳化直後の安定化を図る目的で、前記界面活性剤と併用して水溶性ポリマーを添加することもできる。水溶性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドやこれらの共重合体が好ましく用いられる。また多糖類、カゼイン、ゼラチン等の天然水溶性ポリマーを用いるのも好ましい。
【0083】
上記乳化分散法により、上記自己乳化性高分子を水系媒体に分散させる場合、特に重要なのはその粒子サイズのコントロールである。インクジェットにより画像を形成した際の、色純度や色濃度を高める為には、上記水分散物における自己乳化性高分子の平均粒子径を小さくすることを要する。具体的には、本発明のインク受容層には、上記自己乳化性高分子の体積平均粒子径は、0.05μm以下であることが必要であり、該平均粒子径は0.04μm以下が好ましく、更には0.03μm以下がより好ましい。
【0084】
本発明に係るインク受容層は、一般に微粒子を含有することが好ましい。上記微粒子は、無機顔料微粒子が好適であり、該無機顔料微粒子としては、例えば、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、二酸化チタン、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、雲母、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、ベーマイト、擬ベーマイト等を挙げることができる。中でも、シリカ微粒子が特に好ましい。
【0085】
上記シリカ微粒子は、比表面積が特に大きいので、インクの吸収性及び保持の効率が高く、また屈折率が低いので、適切な微小粒子径まで分散を行なえばインク受容層に透明性を付与でき、高い色濃度と良好な発色性が得られるという利点がある。この様に受容層が透明であるということは、OHP等透明性が必要とされる用途のみならず、フォト光沢紙等の記録用シートに適用する場合でも、高い色濃度と良好な発色性及び光沢度を得る観点より重要である。
【0086】
無機顔料微粒子の平均一次粒子径としては、20nm以下が好ましく、15nm以下がより好ましく、特に10nm以下が好ましい。該平均一次粒子径が20nm以下であると、インク吸収特性を効果的に向上させることができ、また同時にインク受容層表面の光沢性をも高めることができる。
【0087】
特にシリカ微粒子は、その表面にシラノール基を有し、該シラノール基の水素結合により粒子同士が付着し易いため、また該シラノール基と水溶性樹脂を介した粒子同士の付着効果のため、上記の様に平均一次粒子径が20nm以下の場合にはインク受容層の空隙率が大きく、透明性の高い構造を形成することができ、インク吸収特性を効果的に向上させることができる。
【0088】
一般にシリカ微粒子は、通常その製造法により湿式法粒子と乾式法(気相法)粒子とに大別される。上記湿式法では、ケイ酸塩の酸分解により活性シリカを生成し、これを適度に重合させ凝集沈降させて含水シリカを得る方法が主流である。一方、気相法は、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)によって無水シリカを得る方法が主流であり、上記「気相法シリカ」とは、当該気相法によって得られた無水シリカ微粒子を指す。
【0089】
気相法シリカは、上記含水シリカと表面のシラノール基の密度、空孔の有無等に相違があり、異なった性質を示すが、空隙率が高い三次元構造を形成するのに適している。この理由は明らかではないが、含水シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が5〜8個/nm2と多く、シリカ微粒子が密に凝集(アグリゲート)し易く、一方、気相法シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nm2と少ないことから疎な軟凝集(フロキュレート)となり、その結果、空隙率が高い構造になるものと推定される。本発明のインクジェット用記録紙においては、上記乾式法で得られる気相法シリカ微粒子(無水シリカ)が好ましく、更に微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nm2であるシリカ微粒子が好ましい。
【0090】
本発明に係るインク受容層は、更に水溶性樹脂を含有することが好ましい。該水溶性樹脂としては、例えば、親水性構造単位としてヒドロキシル基を有する樹脂である、ポリビニルアルコール(PVA)、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等〕、キチン類、キトサン類、デンプン;親水性のエーテル結合を有する樹脂である、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE);親水性構のアミド基又はアミド結合を有する樹脂である、ポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)等が挙げられる。また、解離性基としてカルボキシル基を有する、ポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類等を挙げることもできる。上記の中でも、特にポリビニルアルコール(PVA)類が好ましい。
【0091】
上記水溶性樹脂の含有量としては、該含有量の過少による、膜強度の低下や乾燥時のひび割れを防止し、且つ、該含有量の過多によって、該空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、インク受容層の全固形分質量に対して、9〜40質量%が好ましく、12〜33質量%がより好ましい。尚、インク受容層を主に構成する上記の微粒子と水溶性樹脂とは、それぞれ単一素材であってもよいし、複数素材の混合系であってもよい。
【0092】
上記ポリビニルアルコール(PVA)は、ひび割れ防止の観点から、数平均重合度が1800以上が好ましく、2000以上がより好ましい。また、シリカ微粒子と組合わせる場合には、透明性の観点から水溶性樹脂の種類が重要となる。特に無水シリカを用いる場合、水溶性樹脂としてPVAを用いるのが好ましく、中でも鹸化度70〜99%のPVA樹脂がより好ましい。
【0093】
上記ポリビニルアルコールとしては、ポリビニルアルコール(PVA)に加え、カチオン変性PVA、アニオン変性PVA、シラノール変性PVA及びその他ポリビニルアルコールの誘導体も含まれる。ポリビニルアルコールは1種単独でもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0094】
上記PVAは、その構造単位に水酸基を有するが、この水酸基とシリカ微粒子表面のシラノール基とが水素結合を形成して、シリカ微粒子の二次粒子を鎖単位とする三次元網目構造を形成し易くする。この様な三次元網目構造の形成によって、空隙率の高い多孔質構造のインク受容層を形成し得ると考えられる。インクジェット用記録紙において、上述のようにして得られた多孔質のインク受容層は、毛細管現象によって急速にインクを吸収し、インク滲みのない真円性の良好なドットを形成することができる。
【0095】
微粒子(好ましくはシリカ微粒子;x)と水溶性樹脂(y)との含有比〔PB比(x/y)、水溶性樹脂1質量部に対する無機顔料微粒子の質量〕は、インク受容層の膜構造にも大きな影響を与える。即ち、PB比が大きくなると、空隙率や細孔容積、表面積(単位質量当り)が大きくなる。具体的には、上記PB比(x/y)としては、該PB比が大き過ぎることに起因する、膜強度の低下や乾燥時のひび割れを防止し、且つ該PB比が小さ過ぎることによって、該空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、1.5/1〜10/1が好ましい。
【0096】
インクジェットプリンターの搬送系を通過する場合、記録用シートに応力が加わることがあるので、インク受容層は充分な膜強度を有していることが必要である。更にシート状に裁断加工する場合、インク受容層の割れ及び剥がれ等を防止する上でも、インク受容層には充分な膜強度が必要である。この様な観点より、上記PB比(x/y)としては5/1以下が好ましく、インクジェットプリンターで高速インク吸収性をも確保する観点からは、2/1以上であることが好ましい。
【0097】
例えば、平均一次粒子径が20nm以下の無水シリカ微粒子と水溶性樹脂とをPB比(x/y)が2/1〜5/1で水溶液中に完全に分散した塗布液を支持体上に塗布し、該塗布層を乾燥した場合、シリカ微粒子の二次粒子を鎖単位とする三次元網目構造が形成され、平均細孔径が30nm以下、空隙率が50%〜80%、細孔比容積0.5ml/g以上、比表面積が100m2/g以上の、透光性の多孔質膜を容易に形成することができる。
【0098】
本発明のインク受容層は、無機微粒子及び水溶性樹脂等を含む層が、更に該水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤を含み、該架橋剤による水溶性樹脂の架橋反応によって硬化された多孔質層である態様が好ましい。
【0099】
上記架橋剤としては、インク受容層に含まれる水溶性樹脂との関係で好適なものを適宜選択すればよいが、中でも、架橋反応が迅速である点でホウ素化合物が好ましく、例えば、硼砂、硼酸、硼酸塩(例えば、オルト硼酸塩、InBO3、ScBO3、YBO3、LaBO3、Mg3(BO3)2、Co3(BO3)2、二硼酸塩(例えば、Mg2B2O5、Co2B2O5)、メタ硼酸塩(例えば、LiBO2、Ca(BO2)2、NaBO2、KBO2)、四硼酸塩(例えば、Na2B4O7・10H2O)、五硼酸塩(例えば、KB5O8・4H2O、Ca2B6O11・7H2O、CsB5O5)等を挙げることができる。中でも、速やかに架橋反応を起こすことができる点で、硼砂、硼酸、硼酸塩が好ましく、特に硼酸が好ましく、これを水溶性樹脂であるポリビニルアルコールと組合わせて使用することが最も好ましい。
【0100】
上記架橋剤は、前記水溶性樹脂1.0質量部に対して、0.05〜0.50質量部含有されることが好ましく、0.08〜0.30質量部含有されることがより好ましい。架橋剤の含有量が上記範囲であると、水溶性樹脂を効果的に架橋してひび割れ等を防止することができる。
【0101】
前記水溶性樹脂としてゼラチンを用いる場合などには、ホウ素化合物以外の下記化合物も架橋剤として用いることができる。
【0102】
例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタンジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール、N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物;メラミン樹脂(例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン);エポキシ樹脂;
【0103】
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;米国特許明細書第3017280号、同第2983611号に記載のアジリジン系化合物;米国特許明細書第3100704号に記載のカルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等のハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;乳酸チタン、硫酸アルミ、クロム明ばん、カリ明ばん、酢酸ジルコニル、酢酸クロム等の金属含有化合物、テトラエチレンペンタミン等のポリアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物、オキサゾリン基を2個以上含有する低分子又はポリマー等である。上記の架橋剤は、1種単独でも、2種以上を組合わせて用いてもよい。
【0104】
上記架橋剤は、インク受容層を形成する際に、インク受容層用塗布液中及び/又はインク受容層の隣接層を形成するための塗布液中に添加してもよく、或いは予め架橋剤を含む塗布液を塗布した支持体上に、上記インク受容層用塗布液を塗布する、又は架橋剤非含有のインク受容層用塗布液を塗布し乾燥後に架橋剤溶液をオーバーコートする等してインク受容層に架橋剤を供給することができる。好ましくは、製造効率の観点から、インク受容層用塗布液又はこの隣接層形成用の塗布液中に架橋剤を添加し、インク受容層の形成と同時に架橋剤を供給するのが好ましい。特に、画像の印画濃度及び光沢感の向上の観点より、インク受容層用塗布液に含有するのが好ましい。また、インク受容層用塗布液中の架橋剤の濃度としては、0.05〜10質量%が好ましく、0.1〜7質量%がより好ましい。
【0105】
例えば、以下の様にして好適に架橋剤を付与することができる。ここでは、ホウ素化合物を例に説明する。即ち、インク受容層がインク受容層用塗布液(第1塗液)を塗布した塗布層を架橋硬化させた層である場合、該架橋硬化は、(1)上記塗布液を塗布して塗布層を形成すると同時、(2)上記塗布液を塗布して形成される塗布層の乾燥塗中であって該塗布層が減率乾燥速度を示す前、の何れかの時に、pHが7.1以上の塩基性溶液(第2塗液)を上記塗布層に付与することにより行われる。架橋剤であるホウ素化合物は、上記の第1塗液又は第2塗液の何れかに含有させればよく、第1塗液及び第2塗液の両方に含有させてもよい。
【0106】
本発明のインクジェット用記録紙では、形成画像の耐水性及び耐経時にじみの向上を図るために、インク受容層に媒染剤を含有することが好ましい。該媒染剤としては、カチオン性のポリマー(カチオン性媒染剤)等の有機媒染剤、及び水溶性金属化合物等の無機媒染剤のいずれも使用できる。中でも、水溶性多価金属塩が好ましい。
【0107】
水溶性多価金属塩化合物としては、例えば、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、クロム、マグネシウム、タングステン、モリブデンから選ばれる金属の水溶性塩が挙げられる。
【0108】
具体的には、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガンニ水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)ニ水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化酸化ジルコニウム八水和物、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストりん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドりん酸n水和物等が挙げられる。
【0109】
前記水溶性多価金属塩化合物としては、特に、水溶性のアルミニウム化合物、ジルコニウム化合物及びチタン化合物より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0110】
前記アルミニウム化合物としては、例えば無機塩としては塩化アルミニウムまたはその水和物、硫酸アルミニウムまたはその水和物、アンモニウムミョウバン等が知られている。さらに、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物がある。特に、塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が好ましい。
【0111】
前記塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物とは、主成分が下記の式1、2又は3で示され、例えば〔Al6(OH)15 〕3+ 、〔Al8(OH)20〕4+ 、〔Al13(OH)34 〕5+ 、〔Al21(OH)60〕3+ 、等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
【0112】
〔Al2(OH)n Cl6-n〕m・・・・・(式1)
〔Al(OH)3〕n AlCl3・・・・・(式2)
Aln(OH)m Cl(3n-m) 0<m<3n・・・・・(式3)
【0113】
これらのものは多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田化学(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、また、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って上市されており、各種グレードの物が容易に入手できる。本発明ではこれらの市販品をそのままでも使用できるが、pHが不適当に低い物もあり、その場合は適宜pHを調節して用いることも可能である。
【0114】
前記ジルコニウム化合物としては、特に限定されず種々の化合物が使用できるが、例えば、酢酸ジルコニル、塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム・アンモニウム、炭酸ジルコニウム・カリウム、硫酸ジルコニウム、フッ化ジルコニウム化合物等が挙げられる。特に酢酸ジルコニルが好ましい。
前記チタン化合物としては、特に限定されず種々の化合物が使用できるが、例えば、塩化チタン、硫酸チタンが挙げられる。
【0115】
これらの化合物は、pHが不適当に低い物もあり、その場合は適宜pHを調節して用いることも可能である。水溶性とは常温常圧下で水に1質量%以上溶解することを目安とする。
【0116】
上記水溶性多価金属塩化合物のインク受容層中の含有量は、微粒子に対して0.1〜10質量%が好ましく、更に好ましくは1〜5質量%である。
【0117】
前記水溶性多価金属塩化合物は、単独でも用いることができるが、2種以上を併用することが好ましい。
【0118】
少なくともインク受容層の上層部に上記媒染剤を存在させることによって、アニオン性染料を色材として有するインクジェット用の液状インクとの間で相互作用が働き、該色材を安定化させて耐水性や耐経時にじみを更に改善することができる。
【0119】
上記カチオン性媒染剤としては、カチオン性基として、第1級〜第3級アミノ基、又は第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が好適に用いられるが、カチオン性の非ポリマー媒染剤も使用することができる。
【0120】
上記ポリマー媒染剤としては、第1級〜第3級アミノ基およびその塩、又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体(以下、「媒染剤モノマー」と言う。)の単独重合体や、該媒染モノマーと他のモノマー(以下、「非媒染剤ポリマー」という。)との共重合体又は縮重合体として得られるものが好ましい。また、これらのポリマー媒染剤は、水溶性ポリマー、又は水分散性のラテックス粒子のいずれの形態でも使用できる。
【0121】
上記媒染剤モノマーとしては、例えば、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−プロピル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−オクチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−(4−メチル)ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−フェニル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド;
【0122】
トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、N,N,N−トリエチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N,N−トリエチル−N−2−(3−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムアセテート;
【0123】
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのメチルクロライド、エチルクロライド、メチルブロマイド、エチルブロマイド、メチルアイオダイド若しくはエチルアイオダイドによる4級化物、又はそれらのアニオンを置換したスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、酢酸塩若しくはアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。
【0124】
具体的な化合物としては、例えば、モノメチルジアリルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド;
【0125】
N,N−ジメチル−N−エチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムブロマイド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムブロマイド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムスルホネート、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムアセテート等を挙げることができる。その他、共重合可能なモノマーとして、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール等も挙げられる。
【0126】
また、アリルアミンやジアリルアミン、その誘導体、塩なども利用できる。この様な化合物の例としてはアリルアミン、アリルアミン塩酸塩、アリルアミン酢酸塩、アリルアミン硫酸塩、ジアリルアミン、ジアリルアミン塩酸塩、ジアリルアミン酢酸塩、ジアリルアミン硫酸塩、ジアリルメチルアミン及びこの塩(該塩としては、例えば、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩など)、ジアリルエチルアミン及びこの塩(該塩としては、例えば、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩など)、ジアリルジメチルアンモニウム塩(該塩の対アニオンとしてはクロライド、酢酸イオン硫酸イオンなど)等が挙げられる。尚、これらのアリルアミン及びジアリルアミン誘導体はアミンの形態では重合性が劣るので塩の形で重合し、必要に応じて脱塩することが一般的な製法である。また、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミドなどの重合単位を用い、重合後に加水分解によってビニルアミン単位とすること、及びこれを塩にしたものも利用できる。
【0127】
上記非媒染剤モノマーとは、第1級〜第3級アミノ基及びその塩、又は第4級アンモニウム塩基等の塩基性或いはカチオン性部分を含まず、インクジェット用インク中の染料と相互作用を示さない、若しくは相互作用が実質的に小さい単量体をいう。
【0128】
上記非媒染剤モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸ベンジル等のアラルキルエステル;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類;酢酸アリル等のアリルエステル類;塩化ビニリデン、塩化ビニル等のハロゲン含有単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル;エチレン、プロピレン等のオレフィン類、等が挙げられる。
【0129】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル部位の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、具体的には例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらの中でも、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレートが好ましい。上記非媒染剤モノマーも、1種単独で又は2種以上を組合せて使用できる。
【0130】
更に、ポリマー媒染剤として、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリメタクリロイルオキシエチル−β−ヒドロキシエチルジメチルアンモニウムクロライド、ポリエチレニミン、ポリアリルアミンおよびその変性体、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアミド−ポリアミン樹脂、カチオン化でんぷん、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、ジメチル−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム塩重合物、ポリアミジン、ポリビニルアミン、又は特開平10−264511、特開2000−43409、特開2000−343811、特開2002−120452に記載のアクリルシリコンラテックスのカチオン性アクリルエマルジョン(ダイセル化学工業(株)製の商品名「アクアブリッドシリーズASi−781、ASi−784、ASi−578、ASi−903」)、等も好ましいものとして挙げることができる。
【0131】
上記媒染剤の分子量としては、質量平均分子量で2000〜300000が好ましい。分子量がこの範囲にあると、耐水性及び耐経時にじみ性を一層向上させることができる。
【0132】
本発明のインク受容層は、必要に応じて下記成分を含有させて構成される。即ち、インク色材の劣化を抑制する目的で、各種の紫外線吸収剤、酸化防止剤、一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤を含んでいてもよい。
【0133】
上記紫外線吸収剤としては、桂皮酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾリルフェノール誘導体等が挙げられる。例えば、α−シアノ−フェニル桂皮酸ブチル、o−ベンゾトリアゾールフェノール、o−ベンゾトリアゾール−p−クロロフェノール、o−ベンゾトリアゾール−2,4−ジ−t−ブチルフェノール、o−ベンゾトリアゾール−2,4−ジ−t−オクチルフェノール等が挙げられる。ヒンダートフェノール化合物も紫外線吸収剤として使用でき、具体的には少なくとも2位又は6位の内、1ヵ所以上が分岐アルキル基で置換されたフェノール誘導体が好ましい。
【0134】
また、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキザリックアシッドアニリド系紫外線吸収剤等も使用できる。例えば、特開昭47−10537号公報、同58−111942号公報、同58−212844号公報、同59−19945号公報、同59−46646号公報、同59−109055号公報、同63−53544号公報、特公昭36−10466号公報、同42−26187号公報、同48−30492号公報、同48−31255号公報、同48−41572号公報、同48−54965号公報、同50−10726号公報、米国特許第2,719,086号明細書、同3,707,375号明細書、同3,754,919号明細書、同4,220,711号明細書等に記載されている。
【0135】
蛍光増白剤も紫外線吸収剤として使用でき、例えば、クマリン系蛍光増白剤等が挙げられる。具体的には、特公昭45−4699号公報、同54−5324号公報等に記載されている。
【0136】
上記酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許第223739号公報、同309401号公報、同309402号公報、同310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同60−107384号公報、同60−107383号公報、同60−125470号公報、同60−125471号公報、同60−125472号公報、同60−287485号公報、同60−287486号公報、同60−287487号公報、同60−287488号公報、同61−160287号公報、同61−185483号公報、同61−211079号公報、同62−146678号公報、同62−146680号公報、同62−146679号公報、同62−282885号公報、同62−262047号公報、同63−051174号公報、同63−89877号公報、同63−88380号公報、同66−88381号公報、同63−113536号公報;
【0137】
同63−163351号公報、同63−203372号公報、同63−224989号公報、同63−251282号公報、同63−267594号公報、同63−182484号公報、特開平1−239282号公報、特開平2−262654号公報、同2−71262号公報、同3−121449号公報、同4−291685号公報、同4−291684号公報、同5−61166号公報、同5−119449号公報、同5−188687号公報、同5−188686号公報、同5−110490号公報、同5−1108437号公報、同5−170361号公報、特公昭48−43295号公報、同48−33212号公報、米国特許第4814262号、同第4980275号公報等に記載のものが挙げられる。
【0138】
具体的には、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4,−テトラヒドロキノリン、シクロヘキサン酸ニッケル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2−メチル−4−メトキシ−ジフェニルアミン、1−メチル−2−フェニルインドール等が挙げられる。
【0139】
これら褪色性防止剤は、単独でも2種以上を併用してもよい。褪色性防止剤は、水溶性化、分散、エマルション化してもよく、マイクロカプセル中に含ませることもできる。褪色性防止剤の添加量としては、インク受容層塗布液の0.01〜10質量%が好ましい。
【0140】
本発明において、インク受容層はカール防止用に高沸点有機溶剤を含有するのが好ましい。上記高沸点有機溶剤としては、水溶性のものが好ましく、該水溶性の高沸点有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ポロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGMBE)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、グリセリンモノメチルエーテル、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、トリエタノールアミン、ポリエチレングリコール(重量平均分子量が400以下)等のアルコール類が挙げられる。好ましくは、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGMBE)である。
【0141】
上記高沸点有機溶剤のインク受容層用塗布液中における含有量としては、0.05〜1質量%が好ましく、特に好ましくは0.1〜0.6質量%である。また、無機顔料微粒子の分散性を高める目的で、各種無機塩類、pH調整剤として酸やアルカリ等を含んでいてもよい。更に、表面の摩擦帯電や剥離帯電を抑制する目的で、電子導電性を持つ金属酸化物微粒子を、表面の摩擦特性を低減する目的で各種のマット剤を含んでいてもよい。
【0142】
支持体としては、プラスチック等の透明材料よりなる透明支持体、紙等の不透明材料からなる不透明支持体のいずれをも使用できる。インク受容層の透明性を生かす上では、透明支持体又は高光沢性の不透明支持体を用いることが好ましい。
【0143】
上記透明支持体に使用可能な材料としては、透明性で、OHPやバックライトディスプレイで使用される時の輻射熱に耐え得る性質を有する材料が好ましい。この様な材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類;ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等を挙げることができる。中でも、ポリエステル類が好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。上記透明支持体の厚みとしては、特に制限はないが、取り扱い易さの点で、50〜200μmが好ましい。
【0144】
高光沢性の不透明支持体としては、インク受容層の設けられる側の表面が40%以上の光沢度を有するものが好ましい。該光沢度は、JISP−8142(紙及び板紙の75度鏡面光沢度試験方法)に記載の方法に従って求められる値である。具体的には、下記の様な支持体が挙げられる。
【0145】
例えば、アート紙、コート紙、キャストコート紙、銀塩写真用支持体等に使用されるバライタ紙等の高光沢性の紙支持体;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類、ニトロセルロース,セルロースアセテート,セルロースアセテートブチレート等のセルロースエステル類、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等のプラスチックフィルムに白色顔料等を含有させて不透明にした(表面カレンダー処理が施されていてもよい。)高光沢性のフィルム;或いは、前記各種紙支持体、前記透明支持体若しくは白色顔料等を含有する高光沢性のフィルムの表面に、白色顔料を含有若しくは含有しないポリオレフィンの被覆層が設けられた支持体等が挙げられる。白色顔料含有発泡ポリエステルフィルム(例えば、ポリオレフィン微粒子を含有させ、延伸により空隙を形成した発泡PET)も好適に挙げることができる。更に、銀塩写真用印画紙に用いられるレジンコート紙も好適である。
【0146】
上記不透明支持体の厚みについても特に制限はないが、取り扱い易さの点で、50〜300μmが好ましい。また、上記支持体の表面には、濡れ特性及び接着性を改善するために、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理等を施したものを使用するのが好ましい。
【0147】
次に、レジンコート紙など紙支持体に用いられる原紙について述べる。上記原紙としては、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ、あるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。前記木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。但し、LBSP及び/又はLDPの比率としては、10質量%〜70質量%が好ましい。
【0148】
上記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸パルプ)が好適に用いられ、漂白処理を行なって白色度を向上させたパルプも有用である。原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン等の白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
【0149】
抄紙に使用するパルプの濾水度としては、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長が、JIS P−8207に規定される24メッシュ残分質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30〜70%が好ましい。尚、4メッシュ残分は20質量%以下であることが好ましい。
【0150】
原紙の坪量としては、30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さとしては、40〜250μmが好ましい。原紙は、抄紙段階又は抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/m2(JIS P−8118)が一般的である。更に、原紙剛度としては、JISP−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
【0151】
原紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤としては、前記原紙中添加できるサイズと同様のサイズ剤を使用できる。原紙のpHは、JISP−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
【0152】
原紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/又は高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
【0153】
特に、インク受容層を形成する側のポリエチレン層は、写真用印画紙で広く行なわれている様に、ルチル又はアナターゼ型の酸化チタン、蛍光増白剤、群青をポリエチレン中に添加し、不透明度、白色度及び色相を改良したものが好ましい。ここで、酸化チタン含有量としては、ポリエチレンに対して、概ね3〜20質量%が好ましく、4〜13質量%がより好ましい。ポリエチレン層の厚みは特に限定はないが、表裏面層とも10〜50μmが好適である。更にポリエチレン層上にインク受容層との密着性を付与するために下塗り層を設けることもできる。該下塗り層としては、水性ポリエステル、ゼラチン、PVAが好ましい。また、該下塗り層の厚みとしては、0.01〜5μmが好ましい。
【0154】
ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際に、いわゆる型付け処理を行って通常の写真印画紙で得られる様なマット面や絹目面を形成したものも使用できる。
【0155】
支持体にはバックコート層を設けることもでき、このバックコート層に添加可能な成分としては、白色顔料や水性バインダー、その他の成分が挙げられる。バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
【0156】
バックコート層に用いられる水性バインダーとしては、例えば、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレン/アクリル酸塩共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、澱粉、カチオン化澱粉、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。バックコート層に含有されるその他の成分としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
【0157】
本発明のインクジェット用記録紙のインク受容層は、例えば、支持体上に少なくとも自己乳化性高分子の水分散物及び微粒子と水溶性樹脂を含有する塗布液(第1塗液)を塗布して塗布層を形成し、更に上記塗布液(第1塗液)及び/又は下記塩基性溶液(第2塗液)に架橋剤を添加し、且つ(1)上記塗布液(第1塗液)を塗布して塗布層を形成すると同時、又は(2)上記塗布液(第1塗液)を塗布して形成される塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥速度を示す前、の何れかの時に、pHが7.1以上の塩基性溶液(第2塗液)を上記塗布層に付与し、上記塗布層を架橋硬化させる方法(これを「Weton Wet法」と称する。)により形成されるのが好ましい。
【0158】
前述の水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤は、上記の第1塗液或いは第2塗液の少なくとも一方又は両方に含有せしめるのが好ましい。この様に第1塗液に対して、上記(1)同時、又は(2)乾燥途中、の何れかに塩基性溶液(第2塗液)を付与して架橋硬化させたインク受容層は、インク吸収性や膜のひび割れ防止等の利点を有する他に、ハジキ故障等の外観を向上させる上で特に好ましい。
【0159】
ここで、インク受容層に含有される自己乳化性高分子の水分散物は、上記第1の塗布液及び第2の塗布液(塩基性溶液)の少なくとも一方に添加して用いられるが、第1塗液中の微粒子及び水溶性樹脂と十分に混合され長期に亙り経時にじみを効果的に防止できる観点から、上記自己乳化性高分子の水分散物は第1塗液(微粒子と水溶性樹脂を含有する塗布液)に含有させる態様が好ましい。この際、必ずしも上記自己乳化性高分子の水分散物の全てを第1塗液に含有させる必要はなく、上記自己乳化性高分子の水分散物の少なくとも一部を第2塗液に含有させることも有効であり、これにより経時にじみを効果的に防止することができる。また、上記自己乳化性高分子の水分散物の少なくとも一部を、第1塗液及び第2塗液の両方に含有させる態様も好ましい。
【0160】
また媒染剤は、インク受容層表面から媒染剤が存在する部分の厚みがインク受容層の全厚みに対して10〜60%である様に存在させるのが好ましい態様である。例えば、(1)微粒子と水溶性樹脂及び架橋剤を含有する塗布層を形成し、媒染剤含有溶液をその上に塗布する方法、(2)微粒子と水溶性樹脂を含む塗布液と媒染剤含有溶液を重層塗布する方法、等の任意の方法で形成できる。また、媒染剤含有溶液中に無機微粒子、水溶性樹脂、架橋剤等が含有されていてもよい。上記の様に構成すると、媒染剤がインク受容層の所要の部分に多く存在するので、インクジェットのインク色材が十分に媒染され、色濃度や経時にじみ、印画部光沢、印字後の文字や画像の耐水性、耐オゾン性が更に向上するので好ましい。媒染剤の一部は最初に支持体に設ける層に含有させてもよく、その場合は、後から付与する媒染剤は同じものでも異なっていてもよい。
【0161】
第1塗液である無機顔料微粒子と水溶性樹脂及びホウ素化合物(架橋剤)を含んでなる塗布液は、例えば、以下の様にして調製できる。
【0162】
即ち、平均一次粒子径20nm以下のシリカ微粒子を水中に添加して(例えば、10〜20質量%)、高速回転湿式コロイドミル(例えば、エム・テクニック(株)製の「クレアミックス」)を用いて、例えば、回転数10000rpm(好ましくは5000〜20000rpm)の高速回転の条件で20分間(好ましくは、10〜30分間)かけて分散させた後、ホウ素化合物(例えば、シリカの0.5〜20質量%)を加え、上記と同じ条件で分散を行ない、ポリビニルアルコール水溶液(例えば、シリカの1/3程度の質量のPVAとなる様に)を加え、更に上記と同じ回転条件で分散を行なうことにより調製することができる。得られた塗布液は均一ゾルであり、これを下記の塗布方法で支持体上に塗布し形成することにより、三次元網目構造を有する多孔質構造のインク受容層を得ることができる。上記第1塗液には、必要に応じて、更にpH調整剤、分散剤、界面活性剤、消泡剤、帯電防止剤等を添加することができる。
【0163】
上記分散に用いる分散機械としては、高速回転分散機、媒体撹拌型分散機(ボールミル、サンドミルなど)、超音波分散機、コロイドミル分散機、高圧分散機等従来公知の各種の分散機を使用することができるが、発生するダマ状微粒子の分散を効率的に行なう為には、媒体撹拌型分散機やコロイドミル分散機又は高圧分散機が好ましい。
【0164】
また、各塗布液の調製に用いる溶媒としては、水や有機溶媒、又はこれらの混合溶媒を用いることができる。この塗布液に用いることができる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、メトキシプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。
【0165】
また、界面活性剤を含む第2塗液(塩基性溶液)は、例えば、以下の様にして調製できる。即ち、イオン交換水に媒染剤(例えば、0.1〜5.0質量%)と界面活性剤類(例えば、総量として0.01〜1.0質量%)と必要に応じて架橋剤(0〜5.0質量%)とを加え充分に攪拌する。第2塗液のpHとしては8.0以上が好ましく、pH調整はアンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、アミノ基含有化合物(エチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ポリアリルアミン等)等を用いてpH8.0以上に適宜に行なうことができる。
【0166】
第1塗液(インク受容層用塗布液)の塗布は、例えば、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の塗布方法によって行うことができる。
【0167】
第1塗液(インク受容層用塗布液)の塗布と同時又は塗布した後に、該塗布層に第2塗液(塩基性溶液)が付与されるが、該第2塗液は、塗布後の塗布層が減率乾燥を示すようになる前に付与してもよい。即ち、インク受容層用塗布液の塗布後、この塗布層が恒率乾燥を示す間に塩基性溶液を導入することで好適に製造される。この第2塗液には、媒染剤を含有させてもよい。
【0168】
ここで、前記「塗布層が減率乾燥を示すようになる前」とは、通常、インク受容層用塗布液の塗布直後から数分間の過程を指し、この間においては、塗布された塗布層中の溶剤(分散媒体)の含有量が時間に比例して減少する「恒率乾燥」の現象を示す。この「恒率乾燥」を示す時間については、例えば、「化学工学便覧」(頁707〜712、丸善(株)発行、昭和55年10月25日)に記載されている。
【0169】
上記の通り、第1塗液の塗布後、該塗布層が減率乾燥を示す様になるまで乾燥されるが、この乾燥は一般に温度50〜180℃で0.5〜10分間(好ましくは、0.5〜5分間)行われる。この乾燥時間としては、当然塗布量により異なるが、通常は上記範囲が適当である。
【0170】
減率乾燥速度を示すようになる前に第2塗液を付与する方法としては、(1)第2塗液を塗布層上に更に塗布する方法、(2)スプレー等の方法により噴霧する方法、(3)第2塗液中に該塗布層が形成された支持体を浸漬する方法、等が挙げられる。
【0171】
上記方法(1)において、第2塗液を塗布する塗布方法としては、例えば、カーテンフローコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の塗布方法を利用することができる。しかし、エクストリュージョンダイコーター、カーテンフローコーター、バーコーター等のように、既に形成されている第1塗布層にコーターが直接接触しない方法を利用することが好ましい。
【0172】
第2塗液の塗布量としては、5〜50g/m2が一般的であり、10〜30g/m2が好ましい。
【0173】
第2塗液の付与後は、一般に温度40〜180℃で0.5〜30分間加熱され、乾燥及び硬化が行なわれる。中でも、温度40〜150℃で1〜20分間加熱することが好ましい。例えば、第1塗液中に含有する架橋剤を硼砂や硼酸とする場合には、温度60〜100℃での加熱を5〜20分間行なうことが好ましい。
【0174】
また、上記塩基性溶液(第2塗液)を、インク受容層塗布液(第1塗液)を塗布すると同時に付与する場合、第1塗液及び第2塗液を、第1塗液が支持体と接触する様にして支持体上に同時塗布(重層塗布)し、その後乾燥硬化させることによりインク受容層を形成することができる。
【0175】
上記同時塗布(重層塗布)は、例えば、エクストルージョンダイコーター、カーテンフローコーターを用いた塗布方法により行なうことができる。同時塗布の後、形成された塗布層は乾燥されるが、この場合の乾燥は、一般に塗布層を温度40〜150℃で0.5〜10分間加熱することにより行なわれ、好ましくは、温度40〜100℃で0.5〜5分間加熱することにより行なわれる。
【0176】
上記同時塗布(重層塗布)を、例えば、エクストルージョンダイコーターにより行った場合、同時に吐出される2種の塗布液は、エクストルージョンダイコーターの吐出口附近で、即ち、支持体上に移る前に重層形成され、その状態で支持体上に重層塗布される。塗布前に重層された2層の塗布液は、支持体に移る際、既に2液の界面で架橋反応を生じ易いことから、エクストルージョンダイコーターの吐出口付近では、吐出される2液が混合して増粘し易くなり、塗布操作に支障を来す場合がある。従って、上記の様に同時塗布する際は、第1塗液及び第2塗液の塗布と共に、バリアー層液(中間層液)を上記2液間に介在させて同時3重層塗布することが好ましい。
【0177】
上記バリアー層液は、特に制限なく選択できる。例えば、水溶性樹脂を微量含む水溶液や、水等を挙げることができる。上記水溶性樹脂は、増粘剤等の目的で、塗布性を考慮して使用されるもので、例えば、セルロース系樹脂(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロ−ス、メチルセルロ−ス、ヒドロキシエチルメチルセルロ−ス等)、ポリビニルピロリドン、ゼラチン等のポリマーが挙げられる。ここで、該バリアー層液には、前記媒染剤を含有させることもできる。
【0178】
支持体上にインク受容層を形成した後、該インク受容層は、例えば、スーパーカレンダ、グロスカレンダ等を用い、加熱加圧下にロールニップ間を通してカレンダー処理を施すことにより、表面平滑性や光沢度、透明性及び塗膜強度を向上させることが可能である。しかしながら、該カレンダー処理は、空隙率を低下させる要因となることがあるため(即ち、インク吸収性が低下することがあるため)、空隙率の低下が少ない条件を設定して行なう必要がある。
【0179】
上記カレンダー処理を行なう場合のロール温度としては、30〜150℃が好ましく、40〜100℃がより好ましい。また、カレンダー処理時のロール間の線圧としては、50〜400kg/cmが好ましく、100〜200kg/cmがより好ましい。
【0180】
本発明のインク受容層の層厚としては、インクジェット記録の場合では、液滴を全て吸収するだけの吸収容量を持つ必要があるため、層中の空隙率との関連で決定する必要がある。例えば、インク量が8nL/mm2で、空隙率が60%の場合であれば、層厚が約15μm以上の膜が必要となる。この点を考慮すると、インクジェット記録の場合には、インク受容層の層厚としては、10〜50μmが好ましい。
【0181】
また、インク受容層の細孔径は、メジアン径で0.005〜0.030μmが好ましく、0.01〜0.025μmがより好ましい。空隙率及び細孔メジアン径は、(株)島津製作所製の水銀ポロシメーター「ボアサイザー9320−PC2」を用いて測定することができる。
【0182】
また、インク受容層は、透明性に優れていることが好ましいが、その目安としては、インク受容層を透明フイルム支持体上に形成したときのヘイズ値が、30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。該ヘイズ値は、スガ試験機(株)製のヘイズメーター「HGM−2DP」を用いて測定することができる。
【符号の説明】
【0183】
10 製造装置
12 ウェブ
14 記録ペーパー
13 スリッタ
19 回転下刃
21 回転上刃
45 支持体
46,47 レジンコート層
48 インク受容層
61 支持部
62 丸み部
66 裁断面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、前記支持体の両面を覆う第1及び第2のレジンコート層と、前記第2のレジンコート層の表面を覆うインク受容層とを有するインクジェット用記録媒体において、
スリッタで裁断され、前記第2のレジンコート層及び前記インク受容層の少なくとも一方又は前記支持体が前記第1のレジンコート層よりも突出した断面を有する端面を備えたことを特徴とするインクジェット用記録媒体。
【請求項2】
前記端面は、プリント時の搬送方向と平行な側縁であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット用記録媒体。
【請求項3】
前記インク受容層は、水溶性樹脂及び微粒子を含み、前記水溶性樹脂の質量に対する前記微粒子の質量の割合は、1.5/1以上10/1以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット用記録媒体。
【請求項4】
前記インク受容層は、10〜50μmの厚さを有することを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載のインクジェット用記録媒体。
【請求項5】
前記インク受容層は、複数の細孔を有する多孔質層であり、前記細孔のメジアン径は0.005〜0.030μmであることを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載のインクジェット用記録媒体。
【請求項6】
支持体の両面を第1及び第2のレジンコート層で覆った後、前記第2のレジンコート層の表面をインク受容層で覆ってウェブを作成するステップと、
前記インク受容層を下に向けた状態で、前記ウェブを一方向に搬送しながらスリッタで裁断するステップとを備え、
前記スリッタは、前記ウェブを下方へ押し切る鋭角な刃先を備えた回転上刃と、前記ウェブを支持する支持部を備えた回転下刃とで構成され、前記ウェブの端面が、前記第2のレジンコート層及び前記インク受容層の少なくとも一方又は前記支持体が前記第1のレジンコート層よりも突出した断面となるように裁断することを特徴とするインクジェット用記録媒体の製造方法。
【請求項7】
前記スリッタによる裁断面が、記録時の搬送方向と平行な側縁となるように、前記ウェブを一定長さに切断するステップを更に備えることを特徴とする請求項6記載のインクジェット用記録媒体の製造方法。
【請求項8】
前記回転上刃の刃先角は30度、前記回転下刃の刃先角は90度であることを特徴とする請求項6又は7記載のインクジェット用記録媒体の製造方法。
【請求項9】
前記回転上刃の刃先角は30度、前記回転下刃の刃先角は30度であることを特徴とする請求項6又は7記載のインクジェット用記録媒体の製造方法。
【請求項10】
前記回転上刃の刃先角は60度、前記回転下刃の刃先角は90度であることを特徴とする請求項6又は7記載のインクジェット用記録媒体の製造方法。
【請求項11】
前記インク受容層は、水溶性樹脂及び微粒子を含み、前記水溶性樹脂の質量に対する前記微粒子の質量の割合は、1.5/1以上10/1以下であることを特徴とする請求項6ないし10いずれか記載のインクジェット用記録媒体の製造方法。
【請求項12】
前記インク受容層は、10〜50μmの厚さを有することを特徴とする請求項6ないし11いずれか記載のインクジェット用記録媒体の製造方法。
【請求項13】
前記インク受容層は、複数の細孔を有する多孔質層であり、前記細孔のメジアン径は0.005〜0.030μmであることを特徴とする請求項6ないし12いずれか記載のインクジェット用記録媒体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−100045(P2010−100045A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−217181(P2009−217181)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】