説明

インクジェット画像記録方法

【課題】本発明は、多種のメディアに対して適度な濡れ性を有し、ヘッドやインク供給系の流路内壁に対しても充分な濡れ性を確保し、気泡の排出性、インク供給を確実にし、かつ高速出力においてもインク吐出安定性を確保し、吐出時のサテライトの発生を抑制して画像の劣化を防止できるインクジェット画像記録方法を提供することにある。
【解決手段】記録ヘッドのノズルからインク液滴を吐出して対向する記録媒体表面に画像パターンを形成するインクジェット画像記録方法において、
吐出されるインクの静的表面張力が25mN/m以上、35mN/m以下であり、かつ、吐出によるインク液滴形成時のインクの動的表面張力は、静的表面張力よりも10mN/m以上高く、インク吐出時のメニスカス再押し出し量が、ノズルの半径以下であることを特徴とするインクジェット画像記録方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広い範囲の記録媒体において、着弾後のインクの濡れ、広がり(またハジキ等)が良好で、サテライトが少なく高速にインク吐出が行える、高画質の得られるインクジェット画像記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット技術によるドロップオンデマンドでの画像形成の高画質化、高速出力化の動きが進むにつれ、多種のメディア(記録媒体)において高品質の画像を形成したいという要求が大きい。
【0003】
その一つとして、非吸収性媒体、低表面エネルギー媒体に対しても適度に濡れ広がり、かつ異色インク間で滲むことのない画像形成への要求がある。
【0004】
また一方で、高品質の画像形成のためには、ヘッドの吐出安定性を向上させる必要がある。
【0005】
高速の出力で高画質を得るためには、液滴速度を上げ、かつ着弾精度を上げる必要があるが、液滴速度を上げるとサテライトが多量に発生し、画質を劣化させるという問題がある。また、高速出力のために吐出周波数を高めかつ安定に射出する必要があるが、吐出周波数を高めると駆動時のメニスカス押出量が大きくなり、吐出安定性が低下し、サテライトが発生しやすくなるという問題がある。
【0006】
これまでにもインクの浸透性と滲みを調整しかつ吐出の信頼性を得るための技術が知られている。
【0007】
例えば、特許文献1、また、特許文献2等においては、インクの表面張力の調整により吐出安定性の向上とインク滲みの改善を行う技術が開示されている。
【0008】
しかしながら、非吸収性記録媒体、低表面エネルギーの記録媒体も含む広い範囲の記録媒体において、着弾後のインクの濡れ、広がり(またハジキ等)を改善し、さらに高速でのインク吐出安定性の確保を同時に満足する方法が望まれている。
【特許文献1】特開2003−231838号公報
【特許文献2】特開2004−168793号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、多種のメディアに対して適度な濡れ性を有し、ヘッドやインク供給系の流路内壁に対しても充分な濡れ性を確保し、気泡の排出性、インク供給を確実にし、かつ高速出力においてもインク吐出安定性を確保し、吐出時のサテライトの発生を抑制して画像の劣化を防止できるインクジェット画像記録方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記課題は、以下の手段により達成される。
【0011】
1.記録ヘッドのノズルからインク液滴を吐出して対向する記録媒体表面に画像パターンを形成するインクジェット画像記録方法において、吐出されるインクの静的表面張力が25mN/m以上、35mN/m以下であり、かつ、吐出によるインク液滴形成時のインクの動的表面張力は、静的表面張力よりも10mN/m以上高く、インク吐出時のメニスカス再押し出し量が、ノズルの半径以下であることを特徴とするインクジェット画像記録方法。
【0012】
2.吐出されるインクの粘度が吐出温度において5mPa・sec以上、15mPa・sec以下であることを特徴とする前記1に記載のインクジェット画像記録方法。
【0013】
3.吐出されるインクが、静的表面張力が40mN/m以上である溶剤と界面活性機能を有する添加剤とを含有することを特徴とする前記1または2に記載のインクジェット画像記録方法。
【0014】
4.前記1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット画像記録方法において、吐出されるインクは、少なくとも色材と、水と、親水性主鎖に複数の側鎖を有し、活性エネルギー線を照射することにより、側鎖間で架橋可能な高分子化合物とを含有するインクであることを特徴とするインクジェット画像記録方法。
【0015】
5.前記記録ヘッドのインクを吐出するための圧力発生手段は、隣接するインクチャネル間の隔壁の少なくとも一部を形成し、且つ電圧を印加することによりせん断モードで変形する圧電材料により構成されることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット画像記録方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、多種のメディアにおいて、滲み等のない高品質の画像が形成でき、かつ高周波数駆動時の射出安定性が高く、インク吐出時のサテライトの発生が少ないインクジェット画像記録方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0018】
本発明は、記録ヘッドのノズルからインク液滴を吐出して対向する記録媒体表面に画像パターンを形成するインクジェット記録方法であって、吐出されるインクの静的表面張力が25mN/m以上、35mN/m以下であり、かつ、吐出によるインク液滴形成時のインクの動的表面張力は、静的表面張力よりも10mN/m以上高く、かつ、インク吐出時のメニスカス再押し出し量(長)が、記録ヘッドのノズルの半径以下であることを特徴とする。
【0019】
吐出による液滴形成時のインクの動的表面張力は、吐出時のノズルメニスカスの振動周波数および液滴の形成時間に相当する104〜106Hzにおける過渡的な表面張力であり、実際にインクジェット方式で液滴が吐出される高速、高周波数動作状態の表面張力を測定する方法が提案されているが(Ind. Eng. Chem. Prod. Res. Dev. 1981, 20, 680−684)、簡便に測定することは難しい。そこで、一般に動的表面張力が周波数に依存して変化する場合、図4に示すように周波数に対して単調に増減するので、本発明においては、比較的簡便な最大泡圧法で測定限界に近い気泡周波数100Hz(10ms)付近での動的表面張力を求め、吐出による液滴形成時のインクの表面張力として代用する。
【0020】
尚、動的表面張力とは、微小時間での表面張力のことで、測定方法としては、振動ジェット法、メニスカス法、滴下法、γ/A曲線法、最大泡圧法、カーテンコーター法など一般に知られている測定方法によって測定が可能であるが、本発明においては、より短時間の測定が可能な最大泡圧法で測定を行う。
【0021】
また、静的表面張力は、滴重法、毛細管上昇法、輪環法、平板法など一般に知られている測定方法を使用することができるが、同様に、最大泡圧法を用いて、気泡周波数0.1Hz(10sec)での表面張力と定義する。尚、測定温度は、実際に液滴を吐出する温度での値を測定すべきであるが、表面張力の温度変化は比較的小さいので、25℃での数値とする。
【0022】
通常の表面張力(静的表面張力)は、1〜10s以上の比較的長い時間での表面張力を測定しており、微小時間での表面張力を表現していない。インクの吸収はミリ秒でのオーダーで行われていると考えられ、そのときの表面張力が前記記録媒体への浸透性、またにじみに関与し、更にインク吐出による液滴形成はマイクロ秒のオーダーで行われており、そのときの表面張力が、インクの吐出安定性、サテライト、ミストの発生等に関与していると考えられる。
【0023】
最大泡圧法による動的表面張力の測定は、測定する液体にキャピラリーを挿入し、不活性ガスをキャピラリーに流してキャピラリー先端に気泡を生成させ、気泡の内圧変化を測定することにより、その最大圧力Pから表面張力γを次式により求める。
【0024】
γ=1/2R{P−(h+2/3R)ρg}
ここで、Rはキャピラリー内径の半径、hはキャピラリー先端の液面からの深さ、ρは液体の密度、gは重力加速度である。
【0025】
ガスの流量を変えることにより、気泡の生成速度が変化し、気泡の生成時間に対応した動的表面張力を求めることができる。
【0026】
なお、インクにより、気泡周波数100Hzでの測定が困難な場合には低周波数側の測定値からの外挿により求める。
【0027】
本発明においてインクは特に限定されないが、本発明に係わる好ましいインクは、少なくとも色材と、水と、親水性主鎖に複数の側鎖を有し、活性エネルギー線を照射することにより、側鎖間で架橋可能な高分子化合物とを含有する、所謂活性光線硬化型の水性インクである。
【0028】
種々の記録媒体に高画質の記録を高速で行うためには、種々の因子を考慮しなければならない。例えば、インク中の気泡の発生や排出に関係するヘッド内壁でのインクの塗れ性、インク吐出の安定性、液滴吐出後のメニスカスの復帰、サテライト発生等、また、記録媒体上でのインクの濡れ広がり等がある。
【0029】
また、本発明に係わる好ましいインクは、種々の記録媒体、特に非吸収性の記録媒体、また表面エネルギーの低い記録媒体に高速で印字する際にも、サテライトまたミスト等の発生がなく安定なインク吐出を確保でき、かつ、記録媒体上に着弾した後に、低エネルギー媒体上に於いても適度に濡れ拡がるインクでなければならない。
【0030】
種々の媒体上においてこのように性能を発揮するため、インクの表面張力は特に適正に保つ必要がある。
【0031】
このために、本発明に係わるインクは、前記の定義における静的表面張力が25mN/m以上、35mN/m以下の値である。また、本発明に係わるインクは、吐出による液滴形成時の動的表面張力、或いは気泡周波数100Hz(10ms)での動的表面張力が、静的表面張力よりも10mN/m以上大きいことが必要とされる。
【0032】
図4に本発明のインクの表面張力−気泡周波数プロファイルを示す(実施例1のインク例)。インク吐出時、或いは高周波100Hz(10ms)においては表面張力が高く、静的な表面張力、即ち低周波0.1Hz(10s)においては、これが大きく下がり、10mN/m以上の差を有するインクである。
【0033】
また、本発明に係わるインクジェット画像記録方法においては、インク吐出時のメニスカス再押し出し量が、記録ヘッドのノズルの半径以下であることを特徴とする。
【0034】
インクメニスカスは、インク吐出の駆動周期に連動して振動するが、本発明におけるメニスカス再押し出し量とは、インク吐出時において、ノズル内のメニスカスからインク柱が伸び、インク柱の尾がくびれ、メニスカスからインク滴が分離する前の状態(即ち液滴分離直前)において、再び押し出されるメニスカスの押し出し量が最大になったときのメニスカス押し出し量である。
【0035】
インク吐出時のメニスカス再押し出し量について説明する。
【0036】
図6は、実施例で用いた後述する(図2、図3)に示すシェアモードタイプの記録ヘッドを用いて、図5に示した駆動信号を印加して、連続吐出させる駆動を行った際の、ノズルからのインク吐出、及びインクメニスカスの変化の様子の概念図である。
【0037】
ここで、23はノズル、10はインク主滴、10bはインク主滴から伸びたテール部分(インク柱)である。本発明におけるメニスカス再押し出し量は、液柱吐出直後に一旦引き込まれたメニスカス(図6(4))がノズル面まで戻り更に押し出された時(図6(6))のメニスカスの押し出し量が最大となったところである。メニスカスの再押し出しは、液柱吐出後に引き込まれたメニスカスの振動の反動として、または、隣接チャネルの液滴吐出動作時の反動として、吐出した液柱の尾がメニスカスから分離する前にメニスカスが再び押し出されるものである。メニスカス押し出し量は、インク滴が所定の速度6m/sで吐出されるときのインクメニスカスの略ノズル中央部におけるノズル先端からの突出量(吐出高さ=長さ)を、メニスカス押し出し量として、ノズル形成部材と略垂直方向に測定する。図7に、インク吐出時のインク主滴、インク柱およびメニスカス押し出し量の関係を示した(インク射出時のメニスカス押し出し量の定義)。
【0038】
以下、メニスカス再押し出し量をノズルの半径(ノズル形状が真円でない場合には同じ面積の真円の半径と定義する)以下とすることについて説明する。
【0039】
ノズルから押し出されたときのメニスカスの曲率半径をr、表面張力をγとすると、このメニスカス内外の圧力差は、ラプラースの法則により、ΔP=2γ/rで表される。
【0040】
メニスカスがノズルの半径と同じ長さだけ、押し出される時、ΔPが最大になり、これ以上押し出されると、ΔPが小さくなり、メニスカスの位置が元に戻りにくくなる。
【0041】
メニスカスが振動して、ノズルから押し出された時、ノズルの半径(r’)以下の押し出し量(長)であれば、押し出されたメニスカスには均等に内圧がかかり、ノズル内圧変化に応じてメニスカスが振動して再びノズル内に引き込まれる。
【0042】
しかし、ノズル半径(r’)以上に押し出されると、インク柱の形が変わり、このインク柱は、先端の球状部とストレートな柱部から形成される。例えば、球状部の曲率半径をrとすると、柱の側面はストレートな形状なので、その曲率半径は無限大となる。
【0043】
ラプラースの法則より、メニスカス保持力は曲率半径rに逆比例するので、押し出されたインク柱の円弧をなす部分のメニスカス保持力は高いが、柱の部分は低くなってしまう。
【0044】
すると、インク室に負圧をかけ、メニスカスを戻そうとしても、インク柱に内圧が均等にかからずメニスカス保持力の低いインク柱の直線部分が引き込まれメニスカスの先端を引き戻すことができなくなる。この状態では、吐出された液滴の尾を効果的に短時間で引き千切ることができず、吐出的の尾が長く伸びてサテライトが多数発生することになる。
【0045】
インク滴吐出時のメニスカス再押し出し量は、駆動パルス、即ち、インク吐出のための、膨張パルス、収縮パルスの強度、タイミングを調整することで調整することが出来る。例えば図2、図3に示す前記の2列ヘッド(ノズルピッチ:360dpi(1インチ(2.54cm)当たりのドット数)、ノズル数:512)を図5に示した駆動信号で駆動する場合、例えば、駆動信号を駆動電圧Voff=0としてVonのみの信号とするなどにより、メニスカスの最大押出量を変化させることができる。
【0046】
本発明のインクは、吐出時に表面張力が高くなるので、メニスカスを過度に押し出すことがない。即ち、吐出時、インクに圧力がかかると、ノズル内でメニスカスが移動するが、例えば、圧力がかかり、インクがノズルから押し出されて、新しいインク表面が、生成すると、この新しく生成した、インク表面は、界面活性物質が配向していないので、表面張力が高い。従って、メニスカスの拡大を抑制する。
【0047】
また、動的表面張力が高いことにより液滴吐出後のノズルにおけるインクメニスカスの定常位置への復帰力が向上するため、メニスカスの静定が速く、駆動周波数を高めることが出来、かつ、インク吐出直後のノズルからのメニスカス再押し出し量をノズル半径(r’)以下に制御することで、サテライトやミストの発生が抑えられ、サテライト個数、またサテライト分離量(主液滴とサテライトとの距離)が低減し、テール分離が改善される。
【0048】
更に、ヘッド内、インク流路内壁に対し静的表面張力が低いために充分な濡れ性が確保され、気泡が発生したとしても、その排出性がよく、インク吐出、その供給が確実となり、インク吐出安定性が向上する。
【0049】
また、記録媒体上に着弾した後には、インクの媒体着弾直後(0〜10msの間)は、インクの表面張力が高いので、記録媒体上でブリードを起こしにくい。また、新しい界面が形成されてから、経時(100〜1000ms経過)により、表面張力が低下するので、浸透が促進されて乾燥時間が早くなる。特に、低エネルギー媒体上に於いても適度に濡れ拡がり、ハジキや、また逆に滲みのないインクとなる。
【0050】
架橋性(硬化性)インクの場合には、ハジキや、サテライトがノズル近傍などに付着した後、紫外線の漏れ光が照射されて、硬化してしまうと除去が困難になるので、サテライトを低減させる効果は大きい。
【0051】
本発明に係わる動的表面張力及び静的表面張力が前記の関係にある水性の架橋性インクは、特に非吸収性の表面エネルギーの低い記録媒体等に高速で印字でき、着弾後にインク滴のハジキがなく濡れ広がると同時に、上記のように高速で印字する際にも、サテライトまたミスト等の発生がない安定なインク吐出を確保できるインクである。
【0052】
液滴の安定な吐出が可能であり、サテライトまたはミスト等の発生を抑え、また前記着弾媒体、即ち記録媒体上において適度に濡れ拡がるためには、特に図2、3に示すシェアモードタイプの記録ヘッドの場合、吐出時温度でのインクの粘度は、好ましくは、5mPa・s以上、15mPa・s以下である。
【0053】
また、本発明係わるインクは、前記着弾媒体、即ち記録媒体上において適度に濡れ拡がるためには、吐出温度でのインクの粘度が、5mPa・s以上、15mPa・s以下であることが好ましい。
【0054】
ここで、インクの粘度は、実際に液滴を吐出する状態における、高いシェアのかかった状態での動的粘度で規定すべきであるが、実測は困難であるので、汎用の粘弾性測定装置(レオメーター)で測定されるシェアレート1000s-1程度における粘度で代用する。例えば、Pyhsica社製レオメーターMCR300を用いて測定する。
【0055】
また、ヘッドおよびインクを加熱して用いる場合には、その吐出温度での粘度で規定する。
【0056】
15mPa・s以上では、インクを吐出するために必要なエネルギーが大きくなり吐出が困難になると共にサテライトが多く発生しやすくなる。また、記録媒体上での濡れ広がりが小さくドットが画素を覆いきれないことがある。特に前記表面エネルギーの小さい媒体においては難しい。また、5mPa・s以下では、高周波数での吐出が不安定になりやすく、ドットの広がりが大きくなりすぎ、色間で混色を起こしやすい。特に浸透性が比較的大きい記録媒体上では混色、滲みが進んでしまい、表面エネルギーが小さい媒体上においてはハジキ、ビーディングなどを起こしやすい。
【0057】
本発明のインクは、表面張力に関するプロファイルを上記の如く、静的表面張力に比べ動的表面張力を高めるようにするには、インク中に、静的表面張力で40mN/m(25℃)以上である主溶剤、および界面活性機能を有する添加剤を含むことが好ましい。主溶剤とは、インク中一番多く用いられている溶剤である。また、界面において配向性を有する分子からなる液体を溶剤として用いることも好ましい。
【0058】
40mN/m(25℃)以上の静的表面張力を有する溶剤としては、水(72.0mN/m 25℃)、また、水溶性の有機溶媒としてエチレングリコール(50.21mN/m)、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン(63.4mN/m)、1,5−ペンタンジオール、1,2,4−ブタントリオール、等の多価アルコール類、N−メチル−2−ピロリドン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、等が挙げられる。
【0059】
これらの中でも好ましいものは、水である。
【0060】
その他、インクの乾燥を防止するため等から前記の有機溶媒が水とともに単独もしくは複数混合して用いられる。これら静的表面張力で40mN/m(25℃)以上の主溶剤は溶剤全体の50容量%以上、好ましくは70容量%以上を構成する。上記のうち、好ましく用いられる溶剤としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ペトリオール、1,5−ペンタジオール、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチルピロリドン等が挙げられる。
【0061】
また、これらを用いることによりインクの乾燥を防止できる効果も有する。
【0062】
本発明においては、前記の主溶剤のほかに、界面活性機能を有する添加剤が含有される。界面活性機能を有する添加剤とは、表面張力の調整のため浸透剤、例えば、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等の多価アルコールのアルキルおよびアリールエーテル類、高級アルコール類、界面活性剤(アニオン系、カチオン系、ノニオン系或いは両性の)等が挙げられる。
【0063】
上記の中、界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等の活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。
【0064】
界面活性剤は、ミセル形成により界面を安定化させるが、動的そして静的表面張力差が大きい界面活性剤を選択しもちいることが好ましい。
【0065】
また、前記界面活性剤は顔料の分散剤としても用いることが出来、特にアニオン性及びノニオン性界面活性剤を好ましく用いることができる。
【0066】
特にアセチレングリコール系のノニオン活性剤である、日信化学製のオルフィンE1010が、低発泡性で、界面活性が強いので、インクの表面張力の調整に有効である。
【0067】
また、疎水性部(−OAc)、親水性部(−OH)を有する高分子ポリマー、例えばポリビニルアルコール、酢ビ等の様な重合体等も好ましい。また、浸透剤としては、中でもジエチレングリコールモノブチルエーテルは好ましい。
【0068】
これらの界面活性機能を有する添加剤、特に界面活性剤、そして多価アルコールのアルキルおよびアリールエーテル類、また高級アルコール類の添加量を調整することにより、本発明に係わる、静的表面張力と、インク吐出時の動的表面張力差が大きいインクを調整することが可能である。
【0069】
また、疎水系の溶媒インクにおいては、例えばジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート等のグリコール累のアクリル酸エステル類、又ラウリルアクリレート等の高級アルコールのアクリレート類、界面活性剤等が界面活性機能を有する添加剤として挙げられる。
【0070】
本発明において好ましく用いられるインクジェット用インクは、記録媒体に着弾後、活性光線を照射されることで、架橋硬化する水性のインクであり、少なくとも色剤と、水と、親水性主鎖に複数の側鎖を有し、活性光線を照射することにより、側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物を含有する。
【0071】
〈活性エネルギー線架橋性高分子化合物〉
本発明に係る親水性主鎖に複数の側鎖を有し、活性光線を照射することにより側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物とは、ポリ酢酸ビニルのケン化物、ポリビニルアセタール、ポリエチレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、または前記親水性樹脂の誘導体、ならびにこれらの共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種の親水性樹脂に対して、側鎖に光二量化型、光分解型、光重合型、光変性型、光解重合型等の変性基を導入したものである。これらの中で光重合型の架橋性基が感度、生成される画像の性能の観点から望ましい。
【0072】
また、組み合わせる色材との反応性の観点から、側鎖としてはノニオン性、アニオン性、両性(ベタイン化合物)が好ましく、特に、色材としてアニオン性染料あるいはアニオン性顔料と組み合わせる場合には、側鎖はノニオン性またはアニオン性であることが好ましく、特に好ましくはノニオン性である。
【0073】
親水性主鎖においては、側鎖の導入に対する簡便性や、取り扱いの観点からポリ酢酸ビニルのケン化物が好ましく、その重合度は200以上2000以下が好ましく、200以上500以下が更に好ましい。重合度が200未満では、架橋反応時の粘度上昇が不充分となり、カラーブリードやビーディングが充分に防止できないことがある。また、重合度が2000を超えると、インクに添加した際の粘度が高くなり、出射安定性に支障をきたす場合がある。
【0074】
主鎖に対する側鎖の変性率は0.3モル%以上4モル%以下が好ましく0.8モル%以上4モル%以下が反応性の観点からより好ましい。0.3モル%より小さいと架橋性が不足し本発明の効果が小さくなり、4モル%より大きいと架橋密度が大きくなり硬くてもろい膜となり、膜の強度が落ちてしまう。
【0075】
光二量化型の変性基としては、ジアゾ基、シンナモイル基、スチルバゾリウム基、スチリルキノリウム基等を導入したものが好ましく、例えば、特開昭60−129742号公報等の公報に記載された感光性樹脂(組成物)が挙げられる。
【0076】
特開昭60−129742号公報記載の感光性樹脂は、ポリビニルアルコール構造体中にスチルバゾリウム基を導入した下記一般式(1)で表される化合物である。
【0077】
【化1】

【0078】
式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基を表し、A-はカウンターアニオンを表す。
【0079】
特開昭56−67309号公報記載の感光性樹脂は、ポリビニルアルコール構造体中に、下記一般式(2)で表される2−アジド−5−ニトロフェニルカルボニルオキシエチレン構造、または、下記一般式(3)で表され、4−アジド−3−ニトロフェニルカルボニルオキシエチレン構造を有する樹脂組成物である。
【0080】
【化2】

【0081】
また、下記一般式(4)で表される変性基も好ましく用いられる。
【0082】
【化3】

【0083】
式中、Rはアルキレン基または芳香族環を表す。好ましくはベンゼン環である。
【0084】
光重合型の変性基としては、例えば、特開2000−181062号、特開2004−189841号に示される下記一般式(5)で表される樹脂が反応性との観点から好ましい。
【0085】
【化4】

【0086】
式中、R2はメチル基または水素原子を表し、nは1または2を表し、Xは−(CH2m−COO−または−O−を表し、Yは芳香族環または単結合手を表し、mは0〜6までの整数を表す。
【0087】
また、特開2004−161942号公報に記載されている光重合型の下記一般式(6)で表される変性基を、従来公知の水溶性樹脂に用いることも好ましい。
【0088】
【化5】

【0089】
式中、R3はメチル基または水素原子を表し、R4は炭素数2〜10の直鎖状または分岐状のアルキレン基を表す。
【0090】
このような活性エネルギー線架橋型の樹脂は、インク全質量に対して0.8質量%から5.0質量%含有することが、好ましい。0.8質量%以上存在することで、架橋効率が向上し、架橋後のインク粘度の急激な上昇によりビーディングやカラーブリードがより好ましくなる。5.0質量%以下の場合は、インク物性やインクの記録ヘッド内状態に悪影響しにくくなり、出射性やインク保存性の観点で好ましい。
【0091】
本発明に係わるインクに用いられる活性エネルギー線架橋型の樹脂においては、元々ある程度の重合度をもった主鎖に対して側鎖間で架橋結合を介して架橋をするため、一般的な連鎖反応を介して重合する活性エネルギー線硬化型の樹脂に対して光子一つ当たりの分子量増加効果が著しく大きい。一方、従来公知の活性エネルギー線硬化型の樹脂においては架橋点の数は制御不可能であるため硬化後の膜の物性をコントロールすることができず、硬くてもろい膜となりやすい。
【0092】
本発明に係わるインクに用いられる樹脂においては架橋点の数は親水性主鎖の長さと、側鎖の導入量で完全に制御でき、目的に応じたインク膜の物性制御が可能である。
【0093】
さらに、従来公知の活性エネルギー線硬化型インクが色剤以外のほぼ全量が硬化性分であり、そのため硬化後のドットが盛り上がり、光沢に代表される画質に劣ることに対し、本発明に用いられる樹脂においては必要量が少量ですみ、乾燥成分が多いため乾燥後の画質の向上が図られ、かつ定着性も良い。
【0094】
(光重合開始剤、増感剤)
本発明に係わるインクにおいては、光重合開始剤や増感剤を添加するのが好ましい。これらの化合物は溶媒に溶解、または分散した状態か、もしくは感光性樹脂に対して化学的に結合されていてもよい。
【0095】
適用される光重合開始剤、光増感剤について特に制限はなく、従来公知の物を用いることができる。
【0096】
適用される光重合開始剤、光増感剤について特に制限はないが、水溶性の物が混合性、反応効率の観点から好ましい。特に4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン(HMPK)、チオキサントンアンモニウム塩(QTX)、ベンゾフェノンアンモニウム塩(ABQ)が水系溶媒への混合性という観点で好ましい。
【0097】
さらに、樹脂との相溶製の観点から下記一般式(7)で表される4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン(n=1、HMPK)や、そのエチレンオキシド付加物(n=2〜5)がより好ましい。
【0098】
【化6】

【0099】
式中、nは1〜5の整数を表す。
【0100】
また、他には一例として、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ビス−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、ビス−N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類。チオキサトン、2、4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、イソプロポキシクロロチオキサントン等のチオキサントン類。エチルアントラキノン、ベンズアントラキノン、アミノアントラキノン、クロロアントラキノン等のアントラキノン類。アセトフェノン類。ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインエーテル類。2,4,6−トリハロメチルトリアジン類、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール2量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体の2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体、ベンジルジメチルケタール、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、フェナントレンキノン、9,10−フェナンスレンキノン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等ベンゾイン類、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、ビスアシルフォスフィンオキサイド、及びこれらの混合物等が好ましく用いられ、上記は単独で使用しても混合して使用してもかまわない。
【0101】
これらの光重合開始剤に加え、促進剤等を添加することもできる。これらの例として、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等があげられる。
【0102】
これらの光重合開始剤は親水性主鎖に対して、側鎖にグラフト化されていても好ましい。
【0103】
〔着色剤〕
本発明に係わるインクジェット用インクに用いられる色材としては、染料または顔料を用いることが好ましい。
【0104】
(染料)
本発明に係わるインクジェット用インクで用いることのできる染料としては、特に制限はなく、酸性染料、直接染料、反応性染料等の水溶性染料、分散染料等が挙げられる。
【0105】
以下、本発明のインクジェット用インクに適用可能な染料の具体例を列挙するが、本発明では、これら例示する染料にのみ限定されるものではない。
【0106】
[水溶性染料]
本発明で用いることのできる水溶性染料としては、例えば、アゾ染料、メチン染料、アゾメチン染料、キサンテン染料、キノン染料、フタロシアニン染料、トリフェニルメタン染料、ジフェニルメタン染料等を挙げることができる。
【0107】
〈C.I.アシッドイエロー〉
1、3、11、17、18、19、23、25、36、38、40、42、44、49、59、61、65、67、72、73、79、99、104、110、114、116、118、121、127、129、135、137、141、143、151、155、158、159、169、176、184、193、200、204、207、215、219、220、230、232、235、241、242、246、
〈C.I.アシッドオレンジ〉
3、7、8、10、19、24、51、56、67、74、80、86、87、88、89、94、95、107、108、116、122、127、140、142、144、149、152、156、162、166、168、
〈C.I.アシッドレッド〉
88、97、106、111、114、118、119、127、131、138、143、145、151、183、195、198、211、215、217、225、226、249、251、254、256、257、260、261、265、266、274、276、277、289、296、299、315、318、336、337、37、359、361、362、364、366、399、407、415、
〈C.I.アシッドバイオレット〉
17、19、21、42、43、47、48、49、54、66、78、90、97、102、109、126、
〈C.I.アシッドブルー〉
1、7、9、15、23、25、40、62、72、74、80、83、90、92、103、104、112、113、114、120、127、128、129、138、140、142、156、158、171、182、185、193、199、201、203、204、205、207、209、220、221、224、225、229、230、239、249、258、260、264、278、279、280、284、290、296、298、300、317、324、333、335、338、342、350、
〈C.I.アシッドグリーン〉
9、12、16、19、20、25、27、28、40、43、56、73、81、84、104、108、109、
〈C.I.アシッドブラウン〉
2、4、13、14、19、28、44、123、224、226、227、248、282、283、289、294、297、298、301、355、357、413、
〈C.I.アシッドブラック〉
1、2、3、24、26、31、50、52、58、60、63、107、109、112、119、132、140、155、172、187、188、194、207、222、
〈C.I.ダイレクトイエロー〉
8、9、10、11、12、22、27、28、39、44、50、58、79、86、87、98、105、106、130、132、137、142、147、153、
〈C.I.ダイレクトオレンジ〉
6、26、27、34、39、40、46、102、105、107、118、
〈C.I.ダイレクトレッド〉
2、4、9、23、24、31、54、62、69、79、80、81、83、84、89、95、212、224、225、226、227、239、242、243、254、
〈C.I.ダイレクトバイオレット〉
9、35、51、66、94、95、
〈C.I.ダイレクトブルー〉
1、15、71、76、77、78、80、86、87、90、98、106、108、160、168、189、192、193、199、200、201、202、203、218、225、229、237、244、248、251、270、273、274、290、291、
〈C.I.ダイレクトグリーン〉
26、28、59、80、85、
〈C.I.ダイレクトブラウン〉
44、106、115、195、209、210、222、223、
〈C.I.ダイレクトブラック〉
17、19、22、32、51、62、108、112、113、117、118、132、146、154、159、169、
〈C.I.ベイシックイエロー〉
1、2、11、13、15、19、21、28、29、32、36、40、41、45、51、63、67、70、73、91、
〈C.I.ベイシックオレンジ〉
2、21、22、
〈C.I.ベイシックレッド〉
1、2、12、13、14、15、18、23、24、27、29、35、36、39、46、51、52、69、70、73、82、109、
〈C.I.ベイシックバイオレット〉
1、3、7、10、11、15、16、21、27、39、
〈C.I.ベイシックブルー〉
1、3、7、9、21、22、26、41、45、47、52、54、65、69、75、77、92、100、105、117、124、129、147、151、
〈C.I.ベイシックグリーン〉
1、4、
〈C.I.ベイシックブラウン〉
1、
〈C.I.リアクティブイエロー〉
2、3、7、15、17、18、22、23、24、25、27、37、39、42、57、69、76、81、84、85、86、87、92、95、102、105、111、125、135、136、137、142、143、145、151、160、161、165、167、168、175、176、
〈C.I.リアクティブオレンジ〉
1、4、5、7、11、12、13、15、16、20、30、35、56、64、67、69、70、72、74、82、84、86、87、91、92、93、95、107、
〈C.I.リアクティブレッド〉
2、3、5、8、11、21、22、23、24、28、29、31、33、35、43、45、49、55、56、58、65、66、78、83、84、106、111、112、113、114、116、120、123、124、128、130、136、141、147、158、159、171、174、180、183、184、187、190、193、194、195、198、218、220、222、223、228、235、
〈C.I.リアクティブバイオレット〉
1、2、4、5、6、22、23、33、36、38、
〈C.I.リアクティブブルー〉
2、3、4、5、7、13、14、15、19、21、25、27、28、29、38、39、41、49、50、52、63、69、71、72、77、79、89、104、109、112、113、114、116、119、120、122、137、140、143、147、160、161、162、163、168、171、176、182、184、191、194、195、198、203、204、207、209、211、214、220、221、222、231、235、236、
〈C.I.リアクティブグリーン〉
8、12、15、19、21、
〈C.I.リアクティブブラウン〉
2、7、9、10、11、17、18、19、21、23、31、37、43、46、
〈C.I.リアクティブブラック〉
5、8、13、14、31、34、39、
〈C.I.フードブラック〉
1、2、
等を挙げることができる。
【0108】
更に、染料として、下記一般式(8)で表される化合物または一般式(9)で表される化合物が挙げられる。
【0109】
【化7】

【0110】
上記一般式(8)において、R1は水素原子または置換可能な置換基を表し、水素原子またはフェニルカルボニル基が好ましい。R2は異なってもよく水素原子または置換可能な置換基を表し、水素原子が好ましい。R3は水素原子または置換可能な置換基を表し、水素原子またはアルキル基が好ましい。R4は水素原子または置換可能な置換基を表し、水素原子、アリールオキシ基が好ましい。R5は異なってもよく水素原子または置換可能な置換基を表し、スルホン酸基が好ましい。nは1〜4の整数を表し、mは1〜5の整数を表す。
【0111】
上記一般式(9)において、Xはフェニル基またはナフチル基を表し、置換可能な置換基で置換されていてもよく、スルホン酸基またはカルボキシル基で置換されていることが好ましい。Yは水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、アンモニウムイオンまたはアルキルアンモニウムイオンを表す。R6は異なってもよく水素原子またはナフタレン環に置換可能な置換基を表す。qは1または2を表す。pは1〜4の整数を表す。ただし、q+p=5である。Zは置換可能な置換基を表し、カルボニル基、スルホニル基または下記一般式(10)で表される基を表し、特に、下記一般式(10)で表される基が好ましい。
【0112】
【化8】

【0113】
上記一般式(10)において、W1、W2はそれぞれ異なっていてもよいハロゲン原子、アミノ基、水酸基、アルキルアミノ基またはアリールアミノ基を表し、ハロゲン原子、水酸基またはアルキルアミノ基が好ましい。
【0114】
[分散染料]
また、分散染料としては、アゾ系分散染料、キノン系分散染料、アントラキノン系分散染料、キノフタロン系分散染料等種々の分散染料を用いることができ、以下にその具体的化合物を挙げる。
【0115】
〈C.I.Disperse Yellow〉
3、4、5、7、9、13、23、24、30、33、34、42、44、49、50、51、54、56、58、60、63、64、66、68、71、74、76、79、82、83、85、86、88、90、91、93、98、99、100、104、108、114、116、118、119、122、124、126、135、140、141、149、160、162、163、164、165、179、180、182、183、184、186、192、198、199、202、204、210、211、215、216、218、224、227、231、232、
〈C.I.Disperse Orange〉
1、3、5、7、11、13、17、20、21、25、29、30、31、32、33、37、38、42、43、44、45、47、48、49、50、53、54、55、56、57、58、59、61、66、71、73、76、78、80、89、90、91、93、96、97、119、127、130、139、142、
〈C.I.Disperse Red〉
1、4、5、7、11、12、13、15、17、27、43、44、50、52、53、54、55、56、58、59、60、65、72、73、74、75、76、78、81、82、86、88、90、91、92、93、96、103、105、106、107、108、110、111、113、117、118、121、122、126、127、128、131、132、134、135、137、143、145、146、151、152、153、154、157、159、164、167、169、177、179、181、183、184、185、188、189、190、191、192、200、201、202、203、205、206、207、210、221、224、225、227、229、239、240、257、258、277、278、279、281、288、298、302、303、310、311、312、320、324、328、
〈C.I.Disperse Violet〉
1、4、8、23、26、27、28、31、33、35、36、38、40、43、46、48、50、51、52、56、57、59、61、63、69、77、
〈C.I.Disperse Green〉
9、
〈C.I.Disperse Brown〉
1、2、4、9、13、19、
〈C.I.Disperse Blue〉
3、7、9、14、16、19、20、26、27、35、43、44、54、55、56、58、60、62、64、71、72、73、75、79、81、82、83、87、91、93、94、95、96、102、106、108、112、113、115、118、120、122、125、128、130、139、141、142、143、146、148、149、153、154、158、165、167、171、173、174、176、181、183、185、186、187、189、197、198、200、201、205、207、211、214、224、225、257、259、267、268、270、284、285、287、288、291、293、295、297、301、315、330、333、
〈C.I.Disperse Black〉
1、3、10、24
等が挙げられる。
【0116】
《顔料》
本発明に係わるインクに使用できる顔料としては、従来公知の有機及び無機顔料が使用できるが、アニオン性顔料である。例えばアゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料や、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等の多環式顔料や、酸性染料型レーキ等の染料レーキや、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等の有機顔料、カーボンブラック等の無機顔料が挙げられる。
【0117】
具体的な有機顔料を以下に例示する。
【0118】
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0119】
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
【0120】
グリーンまたはシアン用の顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0121】
顔料の分散方法としては、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等の各種分散機を用いることができる。また、顔料分散体の粗粒分を除去する目的で、遠心分離装置を使用すること、フィルターを使用することも好ましい。
【0122】
本発明に係るインクにおいては、顔料表面にスルホン酸、カルボン酸等の極性基をペンダントした自己分散顔料、あるいは高分子分散剤を用いて分散した顔料が好ましい。
【0123】
本発明に係る高分子分散剤としては、特に制限はなく、水溶性樹脂または非水溶性樹脂が用いられる。これらの高分子としては、例えば、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸、アクリル酸誘導体、メタクリル酸、メタクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、フマル酸誘導体から選ばれた単一の単量体からなる重合体、あるいは2種以上の単量体からなる共重合体およびこれらの塩を挙げることができる。またポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体、ゼラチン、ポリエチレングリコールなどの水溶性高分子も用いることができる。
【0124】
これら水溶性樹脂のインク全量に対する含有量としては、0.1〜10質量%が好ましく、更に好ましくは、0.3〜5質量%である。また、これらの水溶性樹脂は二種以上併用することも可能である。
【0125】
本発明に係わるインクジェット用インクに使用する顔料分散体の平均粒径は、500nm以下が好ましく200nm以下がより好ましく、10nm以上、200nm以下であることが好ましく、10nm以上、150nm以下がより好ましい。顔料分散体の平均粒径が500nmを越えると、分散が不安定となる。また、顔料分散体の平均粒径が10nm未満になっても顔料分散体の安定性が悪くなりやすく、インクの保存安定性が劣化しやすくなる。
【0126】
顔料分散体の粒径測定は、光散乱法、電気泳動法、レーザードップラー法等を用いた市販の粒径測定機器により求めることが出来る。また、透過型電子顕微鏡による粒子像撮影を少なくとも100粒子以上に対して行い、この像をImage−Pro(メディアサイバネティクス製)等の画像解析ソフトを用いて統計的処理を行うことによっても求めることが可能である。
【0127】
顔料の分散方法としては、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等各種を用いることができる。
【0128】
〈水溶性溶媒〉
本発明に係るインクに用いられる溶媒としては、前記のように、水性液媒体が好ましく用いられ、水性液媒体として本発明では、前記のように、主溶剤の静的表面張力が25℃で40mN/m以上であることが好ましく、水或いは、前記の静的表面張力が40mN/m以上である有機溶剤が主溶剤として用いられるが、これらのほか、以下の水溶性有機溶剤を混合することができる。
【0129】
アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド)等が挙げられる。
【0130】
〈各種添加剤〉
本発明に係わるインクにおいては、前記界面活性能のある添加剤の他に、従来公知の添加剤を含有することができる。例えば蛍光増白剤、消泡剤、潤滑剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤、水溶性多価金属塩、酸塩基、緩衝液等pH調整剤、酸化防止剤、導電率調整剤、表面張力調整剤、防錆剤、無機顔料等である。
【0131】
本発明のインクジェット画像記録方法においては、活性エネルギー線硬化性インクが、記録媒体上に着弾後、活性エネルギー線例えば紫外線の照射を受けて、架橋・硬化することで定着される。
【0132】
(活性エネルギー線、照射方法)
本発明でいう活性エネルギー線とは、例えば電子線、紫外線、α線、β線、γ線、エックス線等が上げられるが、人体への危険性や、取り扱いが容易で、工業的にもその利用が普及している電子線や紫外線が好ましい。
【0133】
電子線を用いる場合には、照射する電子線の量は0.1〜30Mradの範囲が望ましい。0.1Mrad未満では十分な照射効果が得られず、30Mradを越えると支持体等を劣化させる可能性があるため、好ましくない。
【0134】
紫外線を用いる場合は、光源として例えば0.1kPaから1MPaまでの動作圧力を有する低圧、中圧、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプや紫外域の発光波長をもつキセノンランプ、冷陰極管、熱陰極管、LED等従来公知の物が用いられる。
【0135】
(インク着弾後の光照射条件)
活性エネルギー線の照射条件として、インク着弾後0.001〜1.0秒の間に活性エネルギー線が照射されることが好ましく、より好ましくは0.001〜0.5秒である。高精細な画像を形成するためには、照射タイミングができるだけ早いことが特に重要となる。
【0136】
(ランプの設置)
活性エネルギー線の照射方法として、その基本的な方法が特開昭60−132767号に開示されている。これによると、ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式でヘッドと光源を走査する。照射は、インク着弾後、一定時間を置いて行われることになる。更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。米国特許第6,145,979号では、照射方法として、光ファイバーを用いた方法や、コリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されている。本発明の画像形成方法においては、これらの何れの照射方法も用いることができる。
【0137】
また、活性エネルギー線の照射を2段階に分け、まずインク着弾後0.001〜2.0秒の間に前述の方法で活性エネルギー線を照射し、更に活性エネルギー線を照射する方法も好ましい態様の1つである。活性エネルギー線の照射を2段階に分けることで、よりインク硬化の際に起こる記録材料の収縮を抑えることが可能となる。
【0138】
〈記録媒体〉
本発明に係わるインクは、以下のような種々の記録媒体、非吸収性記録媒体、低表面エネルギーの記録媒体も含む広い範囲の記録媒体において、着弾後のインクの濡れ、広がり(またハジキ等)を改善し、さらに高速での記録において、サテライト等の発生がなく、インク吐出安定性に優れたインクジェット記録法を与える。特に、非吸収性記録媒体、低表面エネルギーの記録媒体においては優れた効果を発揮する。
【0139】
記録媒体として、先ず、紙媒体があり、紙には、塗工紙、非塗工紙があり、塗工紙としては、1m2あたりの塗工量が片面20g前後のアート紙、1m2あたりの塗工量が片面10g前後のコート紙、1m2あたりの塗工量が片面5g前後の軽量コート紙、微塗工紙、マット調仕上げのマットコート紙、ダル調仕上げのダルコート紙、新聞用紙などを挙げることが出来る。非塗工紙としては、化学パルプ100%使用の印刷用紙A、化学パルプ70%以上使用の印刷用紙B、化学パルプ40%以上70%未満使用の印刷用紙C、化学パルプ40%未満使用の印刷用紙D、機械パルプを含有しカレンダー処理を行ったグラビア用紙などを挙げることが出来る。更に詳しくは、「最新紙加工便覧」紙加工便覧編集委員会編、テックタイムス発行、「印刷工学便覧」日本印刷学会編、などに詳細に記載されている。
【0140】
普通紙とは、非塗工用紙、特殊印刷用紙及び情報用紙の一部に属す、80〜200μmの非コート紙が用いられる。本発明で用いられる普通紙としては、例えば、上級印刷紙、中級印刷紙、下級印刷紙、薄様印刷紙、微塗工印刷用紙、色上質紙等特殊印刷用紙、フォーム用紙、PPC用紙、その他情報用紙等があり、具体的には下記する用紙及びこれらを用いた各種の変性/加工用紙があるが、本発明は特にこれらに限定されるものではない。上質紙及び色上質紙、再生紙、複写用紙・色もの、OCR用紙、ノーカーボン紙・色もの、ユポ60、80、110ミクロン、ユポコート70、90ミクロン等の合成紙、その他片面アート紙68kg、コート紙90kg、フォームマット紙70、90、110kg、発泡PET38ミクロン、みつおりくん(以上、小林記録紙)、OK上質紙、ニューOK上質紙、サンフラワー、フェニックス、OKロイヤルホワイト、輸出上質紙(NPP、NCP、NWP、ロイヤルホワイト)OK書籍用紙、OKクリーム書籍用紙、クリーム上質紙、OK地図用紙、OKいしかり、きゅうれい、OKフォーム、OKH、NIP−N(以上、新王子製紙)、金王、東光、輸出上質紙、特需上質紙、書籍用紙、書籍用紙L、淡クリーム書籍用紙、小理教科書用紙、連続伝票用紙、上質NIP用紙、銀環、金陽、金陽(W)、ブリッジ、キャピタル、銀環書籍、ハープ、ハープクリーム、SKカラー、証券用紙、オペラクリーム、オペラ、KYPカルテ、シルビアHN、エクセレントフォーム、NPIフォームDX(以上、日本製紙)、パール、金菱、ウスクリーム上質紙、特製書籍用紙、スーパー書籍用紙、書籍用紙、ダイヤフォーム、インクジェットフォーム(以上、三菱製紙)、金毯V、金毯SW、白象、高級出版用紙、クリーム金毯、クリーム白象、証券・金券用紙、書籍用紙、地図用紙、複写用紙、HNF(以上、北越製紙)しおらい、電話帳表紙、書籍用紙、クリームしおらい、クリームしおらい中ラフ、クリームしおらい大ラフ、DSK(以上、大昭和製紙)、せんだいMP上質紙、錦江、雷鳥上質、掛紙、色紙原紙、辞典用紙、クリーム書籍、白色書籍、クリーム上質紙、地図用紙、連続伝票用紙(以上、中越パルプ)、OP金桜(チューエツ)、金砂、参考書用紙、交換証用紙(白)、フォーム印刷用紙、KRF、白フォーム、カラーフォーム、(K)NIP、ファインPPC、紀州インクジェット用紙(以上、紀州製紙製)、たいおう、ブライトフォーム、カント、カントホワイト、ダンテ、CM用紙、ダンテコミック、ハイネ、文庫本用紙、ハイネS、ニューAD用紙、ユトリロエクセル、エクセルスーパーA、カントエクセル、エクセルスーパーB、ダンテエクセル、ハイネエクセル、エクセルスーパーC、エクセルスーパーD、ADエクセル、エクセルスーパーE、ニューブライトフォーム、ニューブライトNIP(以上、大王製紙製)、日輪、月輪、雲嶺、銀河、白雲、ワイス、月輪エース、白雲エース、雲岑エース(以上、日本紙業製)、たいおう、ブライトフォーム、ブライトニップ(以上、名古屋パルプ)、牡丹A、金鳩、特牡丹、白牡丹A、白牡丹C、銀鳩、スーパー白牡丹A、淡クリーム白牡丹、特中質紙、白鳩、スーパー中質紙、青鳩、赤鳩、金鳩Mスノービジョン、スノービジョン、金鳩スノービジョン、白鳩M、スーパーDX、はまなすO、赤鳩M、HKスーパー印刷紙(以上、本州製紙製)、スターリンデン(A・AW)、スターエルム、スターメイプル、スターローレル、スターポプラ、MOP、スターチェリーI、チェリーIスーパー、チェリーIIスーパー、スターチェリーIII、スターチェリーIV、チェリーIIIスーパー、チェリーIVスーパー(以上、丸住製紙製)、SHF(以上、東洋パルプ製)、TRP(以上、東海パルプ製)等が挙げられる。
【0141】
〈各種フィルム〉
各種フィルムとしては、一般的に使用されているものはすべて使用できる。例えば、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルムなどがある。また、写真用印画紙であるレジンコートペーパーや合成紙であるユポ紙なども使用できる。
【0142】
〈各種インクジェット用記録媒体〉
各種インクジェット用記録媒体としては、基材に吸収性支持体や非吸収性支持体を用いて、表面にインク受容層が形成されたものである。インク受容層としては、コート層、膨潤層、微細空隙層からなるものがある。
【0143】
膨潤層は水溶性ポリマーからなるインク受容層が膨潤することでインクを吸収する。微細空隙層は2次粒径が20〜200nm程度の無機あるいは有機微粒子とバインダーからなり、100nm程度の微細な空隙がインクを吸収する。
【0144】
近年は、基材に、紙基材の両面をオレフィン樹脂で被覆したRCペーパーを用いて上記微細空隙層を設けたインクジェット記録媒体が、写真画像の面で好んで用いられている。
【0145】
以上、詳細に説明したように、本発明に係わる活性エネルギー線の照射により架橋、硬化するインクを用いたインクジェット画像記録装置において、動的表面張力と静的表面張力に差が大きいインクを用いることで、普通紙から非吸収性の記録媒体まで、広い範囲の記録媒体において、インク滴の高速の吐出における安定性やサテライト発生の抑制と記録媒体上でのインクの滲みやハジキ等の抑制を両立できる。特に、本発明に係わる、活性エネルギー線硬化性インクを用いたインクジェット画像記録方法は、インク非吸収性の記録媒体や、表面エネルギーの小さい記録媒体上において、着弾したインクが適正に拡がり、滲みや、またドットがはじかれてしまう等の現象がなく、また、インク滴の高速での吐出時においてサテライトの発生も少なく、高画質の画像記録が得られる画像記録方法となる。
【0146】
図1は、本発明に係るインクジェット画像記録方法に用いられる装置の概略構成を示す図である。記録装置1において、記録媒体Pは、搬送機構3の搬送ローラ対32に挟持され、更に、搬送モータ33によって回転駆動される搬送ローラ31により図示Y方向に搬送されるようになっている。
【0147】
搬送ローラ31と搬送ローラ対32の間には、記録媒体Pの記録面PSと対向するように記録ヘッド2が設けられている。この記録ヘッド2は、記録媒体Pの幅方向に亘って掛け渡されたガイドレール4に沿って、不図示の駆動手段によって、上記記録媒体Pの搬送方向(副走査方向)と略直交する図示X−X’方向(主走査方向)に沿って往復移動可能に設けられたキャリッジ5に、ノズル面側が記録媒体Pの記録面PSと対向するように配置されて搭載されており、フレキシケーブル6を介して、駆動信号を生成するための回路が設けられる駆動信号発生手段100(図3参照)に電気的に接続されている。キャリッジ5には、複数のインクを吐出する複数の記録ヘッドと、キャリッジの両端に活性エネルギー線(紫外線)の照射手段(具体的にはハロゲンランプ)が備えられており(図では省略されている)、かかる記録ヘッド2は、キャリッジ5の移動に伴って記録媒体Pの記録面PSを図示X−X’方向に移動し、この移動過程でインク滴を吐出し、所望のインクジェット画像を記録すると同時に、吐出直後に、活性エネルギー線を照射することによってインクを硬化して記録媒体に定着できるようになっている。
【0148】
なお、図中、7はインク受け器であり、記録ヘッド2が非記録時のホームポジション等の待機位置に設けられている。記録ヘッド2がこの待機位置にある時、このインク受け器7に向けてインク滴を少量はき捨てるようにする。記録ヘッド2がこの待機位置において長期間作動停止している時は、図示しないが、記録ヘッド2のノズル面にキャップを被せることにより保護するようになっている。また、8は記録媒体Pを挟んで上記インク受け器7の反対位置に設けられたインク受け器であり、往復両方向で記録するとき、往動から復動に切り替えるときに、上記同様にはき捨てられたインク滴を受け入れる。
【0149】
インクを架橋・硬化させる活性エネルギー線としては電子線、アルファ線、紫外線また可視光等種々あるが、本発明においては紫外線が最も好ましい。
【0150】
紫外線を用いる場合は、光源として、前記以外にも、例えば、数100Paから1MPaまでの動作圧力を有する低圧、中圧、高圧水銀ランプや紫外域の発光波長をもつキセノンランプ、メタルハライドランプ、冷陰極管、熱陰極管、LED等従来公知の物が用いられる。波長254nmの紫外線を発光する低圧水銀ランプ、熱陰極管、冷陰極管及び殺菌灯は滲み防止、ドット径制御を効率よく行なえ、好ましい。紫外線照射を行う場合、紫外線照射量は、100mJ/cm2以上、好ましくは500mJ/cm2以上であり、また、10,000mJ/cm2以下、好ましくは5,000mJ/cm2以下の範囲で行う。かかる範囲内における紫外線照射量であれば、十分硬化反応を行うことができる。
【0151】
高精細な画像を形成するためには、照射タイミングができるだけ早いことが特に重要となる。従って、照射手段3にはシャッターが搭載されているものが好ましく、例えば、紫外線を用いる時、シャッター開閉時の照度の比がシャッター開/シャッター閉=10以上であることが好ましく100以上がより好ましく、10000以上が更に好ましい。
【0152】
使用する記録ヘッドとしては、吐出方式として、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを挙げることができる。
【0153】
いずれの吐出方式を用いても構わないが、特に好ましくは、インクを吐出するための圧力発生手段が、隣接するインクチャネル間の隔壁の少なくとも一部を形成し、且つ電圧を印加することによりせん断モードで変形する圧電材料により構成されたシェアモード方式である場合に効果が大きい。シェアモード方式では、隣接するインクチャネル間の隔壁を変形駆動するために、隣接チャネルの吐出によりメニスカスが押し出され、メニスカスがノズル面から押し出される量が多くなるため、射出安定性が低下しサテライトが多く発生しやすい。この方式において本発明を適用することにより、メニスカスの押し出しを抑制し射出安定性を高め、サテライトの発生量を低減することができる。
【実施例】
【0154】
以下実施例により本発明を説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0155】
実施例において用いた、せん断モード(シェアモード)タイプの記録ヘッド2の構造を図2、3に示した。図2(a)は概観斜視図、(b)は断面図、また、図3は記録ヘッド圧力発生室のインク吐出時の作動を示す図である。同図において、21はインクチューブ、22はノズル形成部材、23はノズル、24はカバープレート、25はインク供給口、26は基板、27は隔壁である。そして、インクチャネル28が隔壁27、カバープレート24及び基板26によって形成されている。
【0156】
記録ヘッド2は、図3に示すように、カバープレート24と基板26の間に、電気・機械変換手段であるPZT等の圧電材料からなる複数の隔壁27A、27B、27C、27Dで隔てられた圧力発生室28が多数並設されたせん断モードタイプの記録ヘッドである。図3では多数の圧力発生室28の一部である3本(28A、28B、28C)が示されている。圧力発生室28の一端(以下、これをノズル端という場合がある)はノズル形成部材22に形成されたノズル23につながり、他端(以下、これをマニホールド端という場合がある)はインク供給口25を経て、インクチューブ21によって図示されていないインクタンクに接続されている。そして、各圧力発生室28内の隔壁27表面には両隔壁27の上方から基板26の底面に亘って繋がる電極29A、29B、29Cが密着形成され、各電極29A、29B、29Cは駆動信号発生手段100に接続している。
【0157】
駆動信号発生手段100は、複数の駆動パルスを含む一連の駆動信号を各画素周期毎に発生する駆動信号発生回路と、各インクチャネル毎に前記駆動信号発生回路から供給された駆動信号の中から各画素のデータに応じて駆動パルスを選択して各インクチャネルに供給する駆動パルス選択回路とからなり、各画素のデータに応じて電気・機械変換手段としての隔壁27を駆動するための駆動パルスを供給する。
【0158】
圧力発生室の各隔壁27は、ここでは図3の矢印で示すように分極方向が異なる2枚の圧電材料27a、27bによって構成されている。
【0159】
圧電材料としては、PZT(PbZrO3−PbTiO3)を用いている。
【0160】
各隔壁27表面に密着形成された電極29A、29B、29Cに駆動信号発生部100の制御により吐出パルスが印加されると、以下に例示する動作によってインク滴をノズル23から吐出する。なお、図3ではノズルは省略してある。
【0161】
まず、電極29A、29B、29Cのいずれにも吐出パルスが印加されない時は、隔壁27A、27B、27Cのいずれも変形しないが、図3(a)に示す状態において、電極29A及び29Cを接地すると共に電極29Bに吐出パルスを印加すると、隔壁27B、27Cを構成する圧電材料の分極方向に直角な方向の電界が生じ、各隔壁27B、27C共に、それぞれ隔壁27a、27bの接合面にズリ変形を生じ、図3(b)に示すように隔壁27B、27Cは互いに外側に向けて変形し、インクチャネル28Bの容積を拡大してインクチャネル28B内に負の圧力が生じてインクが流れ込む(Draw)。
【0162】
また、この状態から電位を0に戻すと、隔壁27B、27Cは図3(b)に示す膨張位置から図3(a)に示す中立位置に戻り、インクチャネル28B内のインクに高い圧力が掛かる(Release)。次いで、図3(c)に示すように、隔壁27B、27Cを互いに逆方向に変形するように吐出パルスを印加して、インクチャネル28Bの容積を縮小すると、インクチャネル28B内に正の圧力が生じる(Reinforce)。これによりインクチャネル28Bを満たしているインクの一部によるノズル内のインクメニスカスがノズルから押し出される方向に変化する。この正の圧力がインク滴をノズルから吐出する程に大きくなると、インク滴はノズルから吐出する。他の各インクチャネルも吐出パルスの印加によって上記と同様に動作する。このような吐出法をDRR駆動法と呼び、シェアモードタイプの記録ヘッドの代表的な駆動法である。
【0163】
このように少なくとも一部が圧電材料で構成された隔壁27によって隔てられた複数のインクチャネル28を有する記録ヘッド2を駆動する場合、一つのインクチャネルの隔壁が吐出の動作をすると、隣のインクチャネルが影響を受けるため、通常、複数のインクチャネル28のうち、互いに1本以上のインクチャネル28を挟んで離れているインクチャネル28をまとめて1つの組となすようにして、2つ以上の組に分割し、各組毎にインク吐出動作を時分割で順次行うように駆動制御される。例えば、全インクチャネル28を駆動してベタ画像を出力する場合には、インクチャネル28を2インクチャネルおきに選んで3相に分けて吐出する、いわゆる3サイクル吐出法が行われる。
【0164】
各圧力発生室28内の金属電極29は、浅溝部28bを通って圧電材料27aの後部側表面まで延びている。各金属電極29には、この後部側表面において異方導電性フィルム78を介してフレキシブルケーブル6が接着されており、駆動信号発生手段100から各金属電極29に駆動信号を印加することにより側壁27をせん断変形させ、その変形時の圧力により圧力発生室28内のインクをノズルプレート22に形成されたノズル23から吐出するようになっている。
【0165】
実施例1〜3、比較例1〜4(光架橋性高分子化合物を含む水系インクを使用)
親水性主鎖に複数の側鎖を有し、UV光照射により側鎖間で架橋する高分子化合物を含有する水性インクを調製し、せん断モードヘッドを用いて、射出性能および印画性能を評価した。インクの表面張力は、界面活性機能を有する添加剤である、水溶性有機溶剤ジエチレングリコールモノブチルエーテル、およびアセチレン系界面活性剤であるオルフィンE1010(日信化学製)の添加量を変えて調整した。
【0166】
〈高分子化合物の合成〉
グリシジルメタクリレート56g、p−ヒドロキシベンズアルデヒド48g、ピリジン2g、およびN−ニトロソ−フェニルヒドロキシアミンアンモニウム塩1gを反応容器に入れて、80℃の湯浴中で8時間攪拌した。
【0167】
次に、重合度300、鹸化率88%のポリ酢酸ビニル鹸化物45gをイオン交換水225gに分散した後、この溶液にリン酸4.5gと上記反応で得られたp−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ベンズアルデヒドをPVAに対して変性率が3モル%になる様に加え、90℃で6時間攪拌した。得られた溶液を室温まで冷却した後、塩基性イオン交換樹脂30gを加え1時間攪拌した。その後イオン交換樹脂を濾過し、ここに光重合開始剤として、イルガキュア2959(チバスペシャリティケミカルズ社製)を15%水溶液100gに対して0.1gの割合で混合してその後、イオン交換水にて希釈して10%の高分子化合物水溶液を得た。
【0168】
(インクの調製)
下記のように、マゼンタインクを作製した。
C.I.アシッドレッド35 5部
10%の高分子化合物水溶液 30部
グリセリン 7部
ジエチレングリコール 15部
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 10部を中心に変化させた
オルフィンe1010(日信化学社製) 1部を中心に変化させた
以上に、イオン交換水を加え全量を100部とし、表1に示すマゼンタインクを得た。
【0169】
ジエチレングリコールモノブチルエーテルとオルフィンe1010の添加量を変化させて、各インクの静的表面張力と動的表面張力の値を変化させた。なお、表面張力は、市販の最大泡圧法測定装置(協和界面科学社製のDynamic Surface Tension Meter BP−D4タイプ)を改造した測定装置を用い、気泡周波数0.1Hz(10sec)で静的表面張力を、また気泡周波数100Hz(10msec)で動的表面張力を測定した(25℃)。粘度は、吐出温度において、振動粘度計(Pyhsica社製レオメーターMCR300)を用いて測定した。
【0170】
〈評価〉
測定は、図2に示す、前記シェアモードタイプの記録ヘッド(ノズルピッチ:180dpix2列、ノズル数:512、ノズル径:23μm、AL:2.4μs、インク滴量:6pl)を用意し、各ヘッドのノズル列が、相互に1/2ピッチずらされ、千鳥状に配置するように貼り合わせた。これにより、360dpiの記録ヘッドとして使用した。
【0171】
この2列ヘッド(ノズルピッチ:360dpi、ノズル数:512)の各列のチャネルを、図5に示した駆動信号(膨張パルスのパルス幅:1AL、収縮パルスのパルス幅:2AL、駆動電圧Von/Voff=2/1)を7AL/cycle周期の3サイクル駆動で印加して、連続吐出させる駆動を行った。なお、比較例4においては、駆動信号を駆動電圧Voff=0としてVonのみの信号を用い、メニスカス最大押出量(μm)を変化させた。
【0172】
尚、ここでAL(Acoustic Length)とは、記録ヘッド圧力発生室の音響的共振周期の1/2である。このALは、電気・機械変換手段である隔壁27に矩形波のパルスを印加して吐出するインク滴の速度を測定し、矩形波の電圧値を一定にして矩形波のパルス幅を変化させたときに、インク滴の飛翔速度が最大になるパルス幅として求められる。本実施例の記録ヘッド2のALは2.4(μs)であり、この値は、ヘッドの構造やインクの密度等に依存して決まるものである。
【0173】
(メニスカス押出量)
ノズルからのインクメニスカスの押し出し量を、KEYENCE社製デジタルマイクロスコープ「VH−6300」を用いてストロボ同期により測定した。液滴吐出前後のインクメニスカスMの変化の概略を図6に示す。ここで測定したメニスカス押し出し量は、液滴吐出直後に一旦引き込まれたメニスカス(図6(4))がノズル面まで戻り更に押し出された時(図6(6))の最大押し出し量である。メニスカス押し出し量は、液滴速度が6m/sで吐出されるときのインクメニスカスの略ノズル中央部におけるノズル先端からの突出量を、ノズル形成部材と略垂直方向に測定した(図7)。
【0174】
(泡抜け性)
記録ヘッドにインクを導入し、インクの吐出駆動を行い、射出欠ノズルの有無を観察した。射出欠ノズルが存在した場合、ノズルのサッキング(吸引)によるクリーニングを繰り返してヘッド内の気泡の除去を行い、射出欠ノズルが解消するサッキング回数より、次の基準により泡抜け性を評価した。
【0175】
サッキング回数 評価
1回以下 ◎
2〜3回 ○
4回以上 ×
(射出安定性)
上記駆動方法で駆動電圧を変えることにより液滴速度を変えてfull−duty駆動を行い、射出欠を生じることなく、液滴が直進性よく安定に吐出される最大液滴速度をCCDカメラを用いたストロボ測定により測定し、次の基準で射出安定性を評価した。
【0176】
最大液滴速度 評価
10m/s超 ◎
7〜10m/s ○
7m/s未満 ×
(サテライト評価)
飛翔速度、サテライト長さ測定:CCDカメラを用いたストロボ測定により、インク滴がノズル開口から約1mm飛翔した時点でのインク滴速度とサテライトの長さ(液滴の主滴からサテライト後端までの長さ)を測定し、サテライトが発生し始める液滴速度を求めた。サテライト長さが長いほど、サテライト発生速度が低いほど、サテライト量は多くなる。サテライト発生速度より、次の基準でサテライト量を評価した。
【0177】
サテライト発生速度 評価
5m/s超 ◎
3〜5m/s ○
3m/s未満 ×
(にじみ性)
最大記録密度720×720dpiの図1のインクジェット記録装置を使用し、上質紙(コニカミノルタビジネステクノロジー社製 First Class紙)に巾250μm、長さ5cmの細線をプリントし、目視観察し、下記の基準に従ってフェザリングの評価を行った。
【0178】
なお、各インクを連続吐出し、着弾した後0.1秒後に、120W/cmメタルハライドランプ(日本電池社製 MAL 400NL 電源電力3kW・hr)を照射した。
【0179】
◎:滲みにより線が太ることも無く細線が再現されている
○:滲みにより線が太ることはないが5箇所未満、紙繊維に沿ったインク滲みが観測される
△:滲みにより線が太ることはないが、10箇所未満、紙繊維に沿ったインク滲みが観測される
×:滲みにより線が太り、紙繊維に沿ったインク滲みも10箇所以上観測される。
【0180】
以上の結果を表1に示した。
【0181】
【表1】

【0182】
実施例1〜3は、静的表面張力が低い(25〜34mN/m)ので、ポリマーフィルム上で弾かれない。また、動的表面張力が、静的表面張力より10mN/m以上高い(13〜15mN/m)ので、吐出時、インク柱が切れるとき、メニスカスが過度に押し出されず、サテライトが少ない。
【0183】
比較例1は、静的表面張力が動的表面張力より、3〜5mN/mしか高くないので、吐出時、メニスカスが過度に押し出されて、サテライトが多くなる。また、比較例2、3は、動的表面張力が本特許の範囲を逸脱しているので、差が大きくとも、比較例2はノズル板が濡れてインク溜まりを形成する。また、比較例3は静的表張が大きすぎ泡抜け、滲み等が劣化する。
【0184】
また、比較例4は、静的表面張力も本発明内にあり、動的表面張力がこれよりも、10mN/m以上高いが、メニスカス最大押し出し量がノズル半径よりも大きく、サテライトが多く射出安定性が悪い。
【0185】
実施例4、比較例5(非水系UV硬化性インクを使用)
色材5%、光開始剤10%、アクリレート官能性オリゴマー10%、及びアクリル(1,2)官能性モノマーとから成り、アセチレン系活性剤を添加して静的および動的表面張力を調整したUV硬化性インクを使用して同様に試験を行い評価した。
【0186】
【表2】

【0187】
動的表面張力が静的表面張力に比べて大きいインクは、サテライト量も良好でその他泡抜け性、射出安定性、にじみ等も良好である。
【図面の簡単な説明】
【0188】
【図1】本発明に係るインクジェット画像記録方法に用いられる装置の概略構成を示す図である。
【図2】実施例において用いたせん断モード(シェアモード)タイプの記録ヘッドの構造を示す概観斜視図及び断面図である。
【図3】インク吐出時の記録ヘッド圧力発生室の作動を示す図である。
【図4】本発明のインクの表面張力−気泡周波数プロファイルを示す図である。
【図5】実施例において用いた駆動信号を示す図である。
【図6】インク射出時の記録ヘッドノズルにおけるメニスカス変化を示す図である。
【図7】インク吐出時のインク滴、インク柱およびメニスカス押し出し量の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0189】
1 インクジェット記録装置
2 記録ヘッド
21 インクチューブ
22 ノズル形成部材
23 ノズル
24 カバープレート
25 インク供給口
26 基板
27 隔壁
28 圧力発生室
3 搬送機構
31 搬送ローラ
32 搬送ローラ対
33 搬送モータ
4 ガイドレール
5 キャリッジ
6 フレキシケーブル
7、8 インク受け器
100 駆動信号発生手段
P 記録媒体
PS 記録面
10 インク主滴
10b インクテール部分
M インクメニスカス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録ヘッドのノズルからインク液滴を吐出して対向する記録媒体表面に画像パターンを形成するインクジェット画像記録方法において、吐出されるインクの静的表面張力が25mN/m以上、35mN/m以下であり、かつ、吐出によるインク液滴形成時のインクの動的表面張力は、静的表面張力よりも10mN/m以上高く、インク吐出時のメニスカス再押し出し量が、ノズルの半径以下であることを特徴とするインクジェット画像記録方法。
【請求項2】
吐出されるインクの粘度が吐出温度において5mPa・sec以上、15mPa・sec以下であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット画像記録方法。
【請求項3】
吐出されるインクが、静的表面張力が40mN/m以上である溶剤と界面活性機能を有する添加剤とを含有することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット画像記録方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット画像記録方法において、吐出されるインクは、少なくとも色材と、水と、親水性主鎖に複数の側鎖を有し、活性エネルギー線を照射することにより、側鎖間で架橋可能な高分子化合物とを含有するインクであることを特徴とするインクジェット画像記録方法。
【請求項5】
前記記録ヘッドのインクを吐出するための圧力発生手段は、隣接するインクチャネル間の隔壁の少なくとも一部を形成し、且つ電圧を印加することによりせん断モードで変形する圧電材料により構成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット画像記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−1003(P2008−1003A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−173557(P2006−173557)
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】