説明

インクジェット記録媒体及びその製造方法

【課題】少ない量の減粘剤で塗布故障を抑制でき、高速風乾燥適性に優れたインクジェット記録媒体の製造方法を提供する。
【解決手段】無機微粒子及び水溶性バインダーを含む第一の液と、水溶性アルミニウム化合物又は水溶性カチオンポリマーと減粘剤とを含む第二の液と、をインライン混合して塗布液を得る工程と、塗布液を支持体上に塗布して塗布層を形成する工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録媒体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報産業の急速な発展に伴い、種々の情報処理システムが開発され、その情報処理システムに適した記録方法および装置も開発されて、各々実用化されている。上記記録方法の中で、インクジェット記録方法は、多種の記録媒体に記録可能なこと、ハード(装置)が比較的安価であること、コンパクトであること、静粛性に優れること等の点から、オフィスは勿論、いわゆるホームユースにおいても広く用いられてきている。
【0003】
また、近年のインクジェットプリンタの高解像度化やハード(装置)の発展に伴ない、インクジェット記録用の媒体(以下、「インクジェット記録媒体」ともいう)も各種開発され、近年ではいわゆる写真ライクな高画質記録物を得ることも可能になってきた。
特にインクジェット記録媒体に要求される特性としては、一般に、(1)速乾性があること(インク吸収速度が大きいこと)、(2)インクドットの径が適正で均一であること(ニジミのないこと)、(3)粒状性が良好であること、(4)ドットの真円性が高いこと、(5)色濃度が高いこと、(6)彩度が高いこと(クスミのないこと)、(7)印画部の耐光性、耐ガス性、耐水性が良好なこと、(8)記録面の白色度が高いこと、(9)記録媒体の保存性が良好なこと(長期保存で黄変着色を起こさないこと、長期保存で画像が滲まないこと)、(10)変形し難く寸法安定性が良好であること(カールが十分小さいこと)、(11)ハード走行性が良好であること等が挙げられる。
更に、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得る目的で用いられるフォト光沢紙の用途としては、上記特性に加えて光沢性、表面平滑性、銀塩写真に類似した印画紙状の風合い等も要求される。
【0004】
近年、インクジェット記録媒体に関し、無機微粒子及び水溶性バインダーを含むインク受容層について種々の検討がなされている。
例えば、媒染剤としてカチオン性化合物を含むインク受容層において、無機微粒子の凝集による塗布性の低下や表面欠陥の抑制を目的として、インク受容層を塗布形成するに際し、前記カチオン性化合物を塗布直前にインライン添加する技術が検討されている(例えば、特許文献1参照)。
一方、インク受容層形成用の塗布液の分散安定性向上や、乾燥後の塗膜のひびわれ改善を目的として、塗布液として、水、硬膜剤、親水性バインダー及び低級アルコールを含む水性媒体に無機微粒子を分散した水性分散液を用いる技術が検討されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−71628号公報
【特許文献2】特開2003−25716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、塗布液の組成によっては塗布故障抑制の効果が十分に得られない場合がある。
また、特許文献2に記載の技術では、媒染剤を用いる場合に、該媒染剤との混合時の塗布液安定性が低下し、塗布故障が生じることがある。この塗布故障の抑制を目的として低級アルコールの量を増やすと、高速風により乾燥させたときに、塗布層表面にムラが発生することがある。従って、特許文献2の技術では、塗布故障の抑制と、高速風により乾燥させたときの塗布層表面のムラの抑制と、の両立が困難である。本発明では、高速風により乾燥させたときの塗布層表面のムラを抑制できる性質を「高速乾燥風適性に優れる」ともいう。
本発明は上記に鑑みなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、少量の減粘剤で塗布故障を抑制でき、高速風乾燥適性に優れたインクジェット記録媒体の製造方法を提供することである。
また、本発明の目的は、塗布故障が抑制され、塗布層表面のムラが抑制されたインクジェット記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための具体的手段は以下のとおりである。
<1> 無機微粒子及び水溶性バインダーを含む第一の液と、水溶性アルミニウム化合物又は水溶性カチオンポリマーと減粘剤とを含む第二の液と、をインライン混合して塗布液を得る工程と、前記塗布液を支持体上に塗布して塗布層を形成する工程と、を有するインクジェット記録媒体の製造方法である。
<2> 前記減粘剤が、低級アルコール類、低級アルキルケトン類、及び低級アルキルエステル類から選ばれる少なくとも1種である<1>のインクジェット記録媒体の製造方法である。
<3> 前記第二の液が、更に、架橋剤を含む<1>又は<2>に記載のインクジェット記録媒体の製造方法である。
<4> 前記塗布層に、(1)前記塗布液を塗布すると同時、(2)前記塗布層の乾燥途中であって前記塗布層が減率乾燥を示す前、のいずれかのときに、塩基性化合物を含む第三の液を付与し、前記塗布層の架橋硬化を行なう工程を更に有し、前記支持体上に前記塗布層が架橋硬化されてなるインク受容層を形成する<1>〜<3>のいずれか1つに記載のインクジェット記録媒体の製造方法である。
<5> <1>〜<4>のいずれか1つに記載のインクジェット記録媒体の製造方法により製造されたインクジェット記録媒体である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、少量の減粘剤で塗布故障を抑制でき、高速風乾燥適性に優れたインクジェット記録媒体の製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、塗布故障が抑制され、塗布層表面のムラが抑制されたインクジェット記録媒体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のインクジェット記録媒体の製造方法は、無機微粒子及び水溶性バインダーを含む第一の液と、水溶性アルミニウム化合物又は水溶性カチオンポリマーと減粘剤とを含む第二の液と、をインライン混合して塗布液を得る工程(以下、「混合工程」ともいう)と、前記塗布液を支持体上に塗布して塗布層(以下、「インク受容層」ともいう)を形成する工程(以下、「塗布工程」ともいう)と、を有する。
また、本発明のインクジェット記録媒体は、該本発明のインクジェット記録媒体の製造方法によって製造されたものである。
【0010】
無機微粒子及び水溶性バインダーを含むインク受容層に、媒染剤として水溶性アルミニウム化合物や水溶性カチオンポリマーを含有させる系では、無機微粒子の凝集等により、インク受容層用塗布液の安定性が低下する場合がある。この塗布液の安定性の低下により、インク受容層表面に、小さな円形あるいは尾引き形状の塗布故障(本発明において、「ブツ故障」ともいう)が発生する場合がある。
一方、塗布液の安定性向上には、塗布液の粘度を下げる減粘剤の添加が有効であるが、減粘剤を多量に添加すると、高速風乾燥適性が低下する(即ち、高速風で乾燥させたときの塗布層表面のムラが悪化する)場合がある。
そこで、インクジェット記録媒体の製造方法を上記本発明の構成とすることにより、少量の減粘剤で塗布故障を抑制でき、高速風乾燥適性を向上させることができる。また、該製造方法によって得られた本発明のインクジェット記録媒体は、塗布故障が抑制され、塗布層表面のムラが抑制される。
以下、本発明のインクジェット記録媒体及びその製造方法に用いられる各成分について説明し、引き続き、各工程の詳細について説明する。
【0011】
<無機微粒子>
本発明におけるインク受容層(少なくとも第一の液、必要に応じその他の液)は、無機微粒子の少なくとも1種を含有する。
前記無機微粒子としては、例えば、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、二酸化チタン、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、雲母、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、擬ベーマイト、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、アルミナ、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化ランタン、酸化イットリウム等が挙げられる。これらの中でも良好な多孔質構造を形成する観点より、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、アルミナ微粒子又は擬ベーマイトが好ましい。微粒子は1次粒子のまま用いても、又は2次粒子を形成した状態で使用してもよい。これら微粒子の平均一次粒径は2μm以下が好ましく、200nm以下がより好ましい。
更に、平均一次粒径が20nm以下のシリカ微粒子、平均一次粒径が30nm以下のコロイダルシリカ、平均一次粒径が20nm以下のアルミナ微粒子、又は平均細孔半径が2〜15nmの擬ベーマイトがより好ましく、特にシリカ微粒子、アルミナ微粒子、擬ベーマイトが好ましい。
【0012】
シリカ微粒子は、通常その製造法により湿式法粒子と乾式法(気相法)粒子とに大別される。前記湿式法では、ケイ酸塩の酸分解により活性シリカを生成し、これを適度に重合させ凝集沈降させて含水シリカを得る方法が主流である。一方、気相法は、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)によって無水シリカを得る方法が主流である。本発明では、該気相法によって得られた無水シリカ微粒子を「気相法シリカ」ともいう。本発明に用いるシリカ微粒子としては、特に気相法シリカ微粒子が好ましい。
【0013】
前記気相法シリカは、含水シリカと表面のシラノール基の密度、空孔の有無等に相違があり、異なった性質を示すが、空隙率が高い三次元構造を形成するのに適している。この理由は明らかではないが、含水シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が5〜8個/nm2で多く、シリカ微粒子が密に凝集(アグリゲート)し易く、一方、気相法シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nm2であり少ないことから疎な軟凝集(フロキュレート)となり、その結果、空隙率が高い構造になるものと推定される。
【0014】
前記気相法シリカは、比表面積が特に大きいので、インクの吸収性、保持の効率が高く、また、屈折率が低いので、適切な粒子径まで分散をおこなえばインク受容層に透明性を付与でき、高い色濃度と良好な発色性が得られるという特徴がある。インク受容層が透明であることは、OHP等透明性が必要とされる用途のみならず、フォト光沢紙等の記録用シートに適用する場合でも、高い色濃度と良好な発色性光沢を得る観点で重要である。
【0015】
前記無機微粒子(例えば、気相法シリカ)の平均一次粒子径としては、中でも、前記速乾性(インク吸収速度)の観点から、50nm以下であることが好ましく、3〜50nmがより好ましく、3〜30nmがさらに好ましく、3〜20nmが特に好ましく、3〜10nmが最も好ましい。前記気相法シリカは、シラノール基による水素結合によって粒子同士が付着しやすいため、平均一次粒子径が50nm以下の場合に空隙率の大きい構造を形成することができ、インク吸収特性を効果的に向上させることができるため好ましい。
【0016】
また、気相法シリカは、前述の他の無機微粒子と併用してもよい。該他の無機微粒子と前記気相法シリカとを併用する場合、全微粒子中の気相法シリカの含有量は、30質量%以上が好ましく、50質量%以上が更に好ましい。
【0017】
本発明に用いる無機微粒子としては、アルミナ微粒子、アルミナ水和物、これらの混合物又は複合物も好ましい。この内、アルミナ水和物は、インクを良く吸収し定着することなどから好ましく、特に、擬ベーマイト(Al23・nH2O)が好ましい。アルミナ水和物は、種々の形態のものを用いることができるが、容易に平滑な層が得られることからゾル状のベーマイトを原料として用いることが好ましい。
【0018】
擬ベーマイトの細孔構造については、その平均細孔半径は1〜30nmが好ましく、2〜15nmがより好ましい。また、その細孔容積は0.3〜2.0cc/gが好ましく、0.5〜1.5cc/gがより好ましい。ここで、前記細孔半径及び細孔容積の測定は、窒素吸脱着法により測定されるもので、例えば、ガス吸脱着アナライザー(例えば、コールター社製の商品名「オムニソープ369」)により測定できる。
また、アルミナ微粒子の中では気相法アルミナ微粒子が、比表面積が大きく好ましい。該気相法アルミナの平均一次粒子径としては30nm以下が好ましく、20nm以下が更に好ましい。
【0019】
上述の微粒子をインクジェット記録媒体に用いる場合は、例えば、特開平10−81064号、同10−119423号、同10−157277号、同10−217601号、同11−348409号、特開2001−138621号、同2000−43401号、同2000−211235号、同2000−309157号、同2001−96897号、同2001−138627号、特開平11−91242号、同8−2087号、同8−2090号、同8−2091号、同8−2093号、同8−174992号、同11−192777号、特開2001−301314号等公報に開示された態様でも、好ましく用いることができる。
【0020】
<水溶性バインダー>
本発明におけるインク受容層(少なくとも第一の液、必要に応じその他の液)は、水溶性バインダーの少なくとも1種を含有する。
本発明において「水溶性」とは、10%水溶液にした際、析出物を形成しない性質を指す。
前記水溶性バインダーとしては、例えば、親水性構造単位としてヒドロキシ基を有する樹脂であるポリビニルアルコール系樹脂〔ポリビニルアルコール(PVA)、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール等〕、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等〕、キチン類、キトサン類、デンプン、エーテル結合を有する樹脂〔ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリビニルエーテル(PVE)等〕、カルバモイル基を有する樹脂〔ポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸ヒドラジド等〕等が挙げられる。
また、解離性基としてカルボキシル基を有するポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類等も挙げることができる。
【0021】
以上の中でも、特にポリビニルアルコール系樹脂が好ましい。該ポリビニルアルコールの例としては、特公平4−52786号、特公平5−67432号、特公平7−29479号、特許第2537827号、特公平7−57553号、特許第2502998号、特許第3053231号、特開昭63−176173号、特許第2604367号、特開平7−276787号、特開平9−207425号、特開平11−58941号、特開2000−135858号、特開2001−205924号、特開2001−287444号、特開昭62−278080号、特開平9−39373号、特許第2750433号、特開2000−158801号、特開2001−213045号、特開2001−328345号、特開平8−324105号、特開平11−348417号等に記載されたものなどがあげられる。
また、ポリビニルアルコール系樹脂以外の水溶性バインダーの例としては、特開平11−165461号公報の「0011」〜「0014」に記載の化合物なども挙げられる。
これら水溶性バインダーはそれぞれ単独で用いても良く、2種以上を併用して用いてもよい。
【0022】
本発明における水溶性バインダーの含有量としては、インク受容層の全固形分質量に対して、9〜40質量%が好ましく、12〜33質量%がより好ましい。
【0023】
本発明におけるインク受容層を主として構成する前記無機微粒子と、前述の水溶性バインダーとは、それぞれ単一素材であってもよいし、複数の素材の混合系を使用してもよい。
なお、透明性を保持する観点からは、無機微粒子特にシリカ微粒子に組み合わされる水溶性バインダーの種類が重要となる。前記気相法シリカを用いる場合には、該水溶性バインダーとしては、ポリビニルアルコール系樹脂が好ましく、その中でも、鹸化度70〜100%のポリビニルアルコール系樹脂がより好ましく、鹸化度80〜99.5%のポリビニルアルコール系樹脂が特に好ましい。
【0024】
前記ポリビニルアルコール系樹脂は、その構造単位に水酸基を有するが、この水酸基と前記シリカ微粒子の表面シラノール基とが水素結合を形成するため、シリカ微粒子の二次粒子を網目鎖単位とした三次元網目構造を形成し易くなる。この三次元網目構造の形成によって、空隙率が高く十分な強度のある多孔質構造のインク受容層を形成されると考えられる。
インクジェット記録において、上述のようにして得られた多孔質のインク受容層は、毛細管現象によって急速にインクを吸収し、インク滲みの発生しない真円性の良好なドットを形成することができる。
【0025】
また、ポリビニルアルコール系樹脂と前記その他の水溶性バインダーとを併用してもよい。該他の水溶性バインダーと前記ポリビニルアルコール系樹脂とを併用する場合、全水溶性バインダー中、ポリビニルアルコール系樹脂の含有量は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上が更に好ましい。
【0026】
<無機微粒子と水溶性バインダーとの含有比>
無機微粒子(x)と水溶性バインダー(y)との質量含有比〔PB比(x/y)〕は、インク受容層の膜構造及び膜強度にも大きな影響を与える。即ち、質量含有比〔PB比〕が大きくなると、空隙率、細孔容積、表面積(単位質量当り)が大きくなるが、密度や強度は低下する傾向にある。
【0027】
本発明のインク受容層は、前記質量含有比〔PB比(x/y)〕としては、該PB比が大き過ぎることに起因する、膜強度の低下や乾燥時のひび割れを防止し、且つ該PB比が小さ過ぎることによって、該空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、1.5〜10が好ましい。
【0028】
インクジェットプリンターの搬送系を通過する場合、記録用シートに応力が加わることがあるので、インク受容層は十分な膜強度を有していることが必要である。またシート状に裁断加工する場合、インク受容層の割れや剥がれ等を防止する上でも、インク受容層には十分な膜強度を有していることが必要である。これらの場合を考慮すると、前記質量比(x/y)としては5以下がより好ましく、一方インクジェットプリンターで、高速インク吸収性を確保する観点からは、2以上であることがより好ましい。
【0029】
例えば、平均一次粒子径が20nm以下の気相法シリカ微粒子と水溶性バインダーとを、質量比(x/y)2〜5で水溶液中に完全に分散した塗布液を支持体上に塗布し、該塗布層を乾燥した場合、シリカ微粒子の二次粒子を網目鎖とする三次元網目構造が形成され、その平均細孔径が30nm以下、空隙率が50〜80%、細孔比容積が0.5mL/g以上、比表面積が100m2/g以上の、透光性の多孔質膜を容易に形成することができる。
【0030】
<水溶性アルミニウム化合物又は水溶性カチオンポリマー>
本発明におけるインク受容層(少なくとも第二の液、必要に応じその他の液)は、水溶性アルミニウム化合物及び水溶性カチオンポリマーの少なくとも1種を含有する。
水溶性アルミニウム化合物及び水溶性カチオンポリマーの少なくとも1種は、インク受容層における媒染剤成分として添加される。また、インク受容層に水溶性アルミニウム化合物及び水溶性カチオンポリマーの少なくとも1種を含有させることにより、耐水性を向上し、形成された画像の経時にじみを抑制できる。
【0031】
(水溶性アルミニウム化合物)
前記水溶性アルミニウム化合物としては、例えば無機塩としては塩化アルミニウム又はその水和物、硫酸アルミニウム又はその水和物、アンモニウムミョウバン等が挙げられる。具体的には、例えば、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、塩基性チオグリコール酸アルミニウム、アルミニウムミョウバン等が挙げられる。さらに、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が知られており、好ましく用いられる。これらのなかでも、塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が好ましい。
ここで、塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物とは、主成分がAl(OH)Cl(m+n=6)で示され、例えばAl(OH)Cl、Al(OH)4.5Cl1.5、Al(OH)Cl等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムをいう。
【0032】
これらのものは多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田化学(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、また、(株)理研グリーンよりHAP−25の名で、大明化学(株)よりアルファイン83の名でまた他のメーカーからも同様の目的を持って上市されており、各種グレードの物が容易に入手できる。
【0033】
本発明におけるインク受容層(少なくとも第一の液、必要に応じその他の液)は、上述した水溶性アルミニウム化合物以外のその他の水溶性多価金属化合物を含有してもよい。
その他の水溶性多価金属化合物としては、例えば、酢酸ジルコニル等、特開2007−185885号段落番号0045〜0047に記載されている化合物を用いることができる。
【0034】
上記した水溶性アルミニウム化合物及び必要に応じて用いられる水溶性多価金属化合物の合計量は、無機微粒子に対し、0.1〜10質量%の割合で添加することが好ましく、0.5〜8質量%の割合で添加することがより好ましい。
【0035】
(水溶性カチオンポリマー)
前記水溶性カチオンポリマー(以下、単に「カチオンポリマー」ともいう)は特に限定されるものではないが、I/O値が3以上のカチオンポリマーを用いることが好ましい。ここでI/O値とは、有機概念図に基づく無機性基を有機性基で割った値である。I/O値は、「有機概念図−基礎と応用−」(1984年 甲田善生著、三共出版発行)に記載の方法によって求めることができる。
【0036】
ここで、有機概念図とは、化合物の性質を共有結合性を表わす有機性基と、イオン結合性を表わす無機性基に分け、すべての有機化合物を有機軸と無機軸と名付けた直行座標上の1点ずつに位置づけて示すものであり、これに基づく無機性値とは無機性、すなわち種々の置換基の沸点への影響力の大小を、水酸基を基準に定め、直鎖アルコールの沸点曲線と直鎖パラフィンの沸点曲線との距離を炭素数5の付近で取ると約100℃となるので、水酸基1個の影響力を数値で100と定めた値である。一方有機性値とは、有機性の数値の大小は分子内のメチレン基を単位とし、そのメチレン基を代表する炭素原子の数で測ることができるとし、基本になる炭素数1個の数値は、直鎖化合物の炭素数5〜10付近での炭素1個加わることによる沸点上昇の平均値20℃を取り、これを基準に20と定めた値である。この無機性値と有機性値は、グラフ上で1対1に対応するように定めてある。I/O値はこれらの値から算出したものである。
【0037】
本発明においては、カチオンポリマーのI/O値は4以上がより好ましい。I/O値が3以上のカチオンポリマーを用いることにより、耐オゾン性改良効果が得られる。
【0038】
カチオンポリマーの具体例としては、後述する媒染剤の項に記載のカチオン性ポリマーや、ポリアルキルアミンエピクロロヒドリン重縮合物が挙げられるが、耐オゾン性改良効果の点からポリアルキルアミンエピクロロヒドリン重縮合物が好ましい。
カチオンポリマーのインク受容層中の含有量は、0.01g/m〜2.0g/mが好ましく、0.1g/m〜1.0g/mがより好ましい。カチオンポリマーのインク受容層中の含有量が0.01g/m以上であると、耐オゾン性をより向上でき、2.0g/m以下であるとブロンズをより抑制できる。
【0039】
(媒染剤)
本発明においては、更に形成画像の耐水性及び耐経時にじみの向上を図るために、インク受容層(少なくとも第一の液、必要に応じその他の液)に、上記以外の媒染剤を含有させてもよい。
このような媒染剤としては有機媒染剤としてカチオン性ポリマー(カチオン性媒染剤)、又は無機媒染剤が好ましく、該媒染剤をインク受容層中に存在させることにより、アニオン性染料を色材として有する液状インクとの間で相互作用し色材を安定化し、耐水性や耐経時にじみを向上させることができる。有機媒染剤および無機媒染剤はそれぞれ単独種で使用しても良いし、有機媒染剤および無機媒染剤を併用してもよい。
【0040】
前記カチオン性媒染剤としては、カチオン性基として、第1級〜第3級アミノ基、又は第4級アンモニウム塩基(本発明においては「4級アミノ基」ともいう)を有するポリマー媒染剤が一般的に用いられる。一方、本発明では、カチオン性の非ポリマー媒染剤も使用することができる。
前記ポリマー媒染剤としては、第1級〜第3級アミノ基およびその塩、又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体(媒染モノマー)の単独重合体や、該媒染モノマーと他のモノマー(以下、「非媒染モノマー」という。)との共重合体又は縮重合体として得られるものが挙げられる。また、これらのポリマー媒染剤は、水溶性ポリマー又は水分散性ラテックス粒子のいずれの形態でも使用できる。
前記媒染モノマーとしては、例えば、特開2007−185885号段落番号0055〜0059に記載されている媒染モノマーを好適に用いることができる。
また、前記非媒染モノマーとしては、例えば、特開2007−185885号段落番号0060に記載されている非媒染モノマーを好適に用いることができる。
【0041】
さらに、前記ポリマー媒染剤として、ポリエチレンイミン(およびその誘導体)、ポリビニルアミン(およびその誘導体)、ポリアリルアミン(およびその誘導体)、ポリアミジン、カチオン性多糖類(カチオン化デンプン、キトサン)、ジシアン系カチオン樹脂(例えばジシアンジアミド−ホルマリン重縮合物)、ポリアミン系カチオン樹脂(ジシアンジアミド−ジエチレントリアミン重縮合物)、エピクロルヒドリン−ジメチルアミン付加重合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド−二酸化硫黄共重合物、等もあげることができる。
【0042】
本発明における有機媒染剤としては、第4級アンモニウム塩基を有する重合体が好ましく、重量平均分子量が1000〜100000である第4級アンモニウム塩基を有する(メタ)アクリレート系ポリマー、ビニルベンジルアンモニウム系ポリマー、あるいはジアリルアンモニウム系ポリマーが特に好ましい。
【0043】
本発明において、インク受容層に含まれる前記媒染剤量は、0.01g/m〜10g/mが好ましく、0.1g/m〜5g/mがより好ましい。
【0044】
第一の液及び第二の液の少なくとも一方は、水分散性ラテックスをさらに含有してもよい。水分散性ラテックスの具体例としては、カチオン変性樹脂ラテックス、アニオン変性樹脂ラテックス、電荷をもたない樹脂ラテックス等が挙げられるが、これらの中でもカチオン変性樹脂ラテックスが好ましく、カチオン変性ウレタンラテックスがさらに好ましい。本発明において、インク受容層に含まれる水分散性ラテックスは、0.1g/m〜3.0g/mが好ましく、0.1g/m〜1.5g/mがより好ましい。水分散性ラテックスの含有量が0.1g/m〜3.0g/mの範囲であればにじみ改良効果がおおきく、かつ耐オゾン性が良好になる。含有量が3.0g/mよりも多いと、インク吸収量が減ることがある。
【0045】
<減粘剤>
本発明におけるインク受容層(少なくとも第二の液)は減粘剤の少なくとも1種を含有する。
本発明において減粘剤とは、無機微粒子及び水溶性バインダーを含む第一の液に対し、1質量%の量を混合したときに粘度が5%以上低下するものを指す。
このような作用をもつものであればその構造は特に限定されないが、特に低級アルコール類、低級アルキルケトン類、低級アルキルエステル類、低級グリコール類、又は低級グリコールエーテル類が好ましい。ここで、低級とは、総炭素数12以下の化合物を指す。
【0046】
前記低級アルコール類の例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、2−メトキシエタノール、1,4ブタンジオール、1,3ブタンジオール、2−エチルヘキサノール等が挙げられる。
前記低級アルコール類(即ち、総炭素数12以下のアルコール類)の中でも、塗布故障低減作用および発色性への影響が少ないという観点からは、総炭素数8以下のアルコール類が好ましく、総炭素数4以下のアルコール類がより好ましく、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、が特に好ましい。
【0047】
前記低級アルキルケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、2−ヘキサノン、等が挙げられる。
前記低級アルキルケトン類(即ち、総炭素数12以下のアルキルケトン類)の中でも、塗布故障低減作用および発色性への影響が少ないという観点からは、総炭素数8以下のアルキルケトン類が好ましく、総炭素数4以下のアルキルケトン類がより好ましく、アセトンが特に好ましい。
【0048】
前記低級アルキルエステル類としては、酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−プロピル、酢酸−n−ブチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酪酸エチル、酪酸ビニル、酪酸メチル、アクリル酸メチルなどが挙げられる、
前記低級アルキルエステル類(即ち、総炭素数12以下のアルキルエステル類)の中でも、塗布故障低減作用および発色性への影響が少ないという観点からは、総炭素数8以下のアルキルエステル類が好ましく、総炭素数4以下のアルキルエステル類がより好ましく、酢酸エチルが特に好ましい。
【0049】
前記低級グリコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコールが挙げられる。
前記低級グリコール類(即ち、総炭素数12以下のグリコール類)の中でも、塗布故障低減作用および発色性への影響が少ないという観点からは、総炭素数8以下のグリコール類が好ましく、総炭素数4以下のグリコール類がより好ましい。
【0050】
前記低級グリコールエーテル類としては、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、メトキシメチルブタノール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
前記低級グリコールエーテル類(即ち、総炭素数12以下のグリコールエーテル類)の中でも、塗布故障低減作用および発色性への影響が少ないという観点からは、総炭素数8以下のグリコールエーテル類が好ましく、総炭素数4以下のグリコールエーテル類がより好ましく、ジエチレングリコールモノブチルエーテルが特に好ましい。
【0051】
本発明におけるその他の減粘剤としては、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、1,2−ジメトキシエタン、イソプロピルビニルエーテル、1,4−ジオキサン、等が挙げられる。
【0052】
以上で説明した減粘剤は、一種単独で用いる以外に、二種以上を併用してもよい。
前記減粘剤の中でも、塗布故障低減作用および発色性への影響が少ないという観点からは、低級アルコール類、低級アルキルケトン類、及び低級アルキルエステル類から選択される少なくとも1種であることが好ましく、総炭素数8以下のアルコール類、総炭素数8以下のアルキルケトン類、及び総炭素数8以下のアルキルエステル類から選択される少なくとも1種であることが好ましく、総炭素数4以下のアルコール類、総炭素数4以下のアルキルケトン類、及び総炭素数4以下のアルキルエステル類から選択される少なくとも1種であることが特に好ましい。
【0053】
<架橋剤>
本発明におけるインク受容層は架橋剤を含有することが好ましい。
前記架橋剤は、前記水溶性バインダーを架橋し得る架橋剤であることが好ましい。これにより、インク受容層を、架橋剤と水溶性バインダーとの架橋反応によって硬化された多孔質層とすることができる。
本発明のインクジェット記録媒体の製造方法においては、第一の液及び第二の液の少なくとも一方が、架橋剤を含有する形態が好適である。
【0054】
前記の水溶性バインダー(特にポリビニルアルコール系樹脂)の架橋には、ホウ素化合物が好ましい。該ホウ素化合物としては、例えば、ほう砂、ホウ酸、ホウ酸塩(例えば、オルトホウ酸塩、InBO3、ScBO3、YBO3、LaBO3、Mg3(BO32、Co3(BO32、二ホウ酸塩(例えば、Mg225、Co225)、メタホウ酸塩(例えば、LiBO2、Ca(BO22、NaBO2、KBO2)、四ホウ酸塩(例えば、Na247・10H2O)、五ホウ酸塩(例えば、KB58・4H2O、Ca2611・7H2O、CsB55)等を挙げることができる。中でも、速やかに架橋反応を起こすことができる点で、ほう砂、ホウ酸、ホウ酸塩が好ましく、特にホウ酸が好ましい。
【0055】
前記水溶性バインダーの架橋剤として、ホウ素化合物以外の下記化合物を使用することもできる。
例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタンジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿素)、2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール、N,N'−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物;メラミン樹脂(例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン);エポキシ樹脂;
【0056】
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;米国特許明細書第3017280号、同第2983611号に記載のアジリジン系化合物;米国特許明細書第3100704号に記載のカルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチレン−N,N'−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等のハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;乳酸チタン、硫酸アルミ、クロム明ばん、カリ明ばん、酢酸ジルコニル、酢酸クロム等の金属含有化合物、テトラエチレンペンタミン等のポリアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物、オキサゾリン基を2個以上含有する低分子又はポリマー等である。
【0057】
前記架橋剤は、一種単独でも、二種以上を組合わせて用いてもよい。
前記架橋剤の使用量は、水溶性バインダーに対して、1〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましい。
【0058】
<塩基性化合物>
本発明におけるインク受容層(第三の液、必要に応じその他の液)は塩基性化合物の少なくとも1種を含有することが好ましい。
前記塩基性化合物としては、弱酸のアンモニウム塩、弱酸のアルカリ金属塩(例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなど)、弱酸のアルカリ土類金属塩(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸バリウムなど)、ヒドロキシアンモニウム、1〜3級アミン(例えば、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリへキシルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミンなど)、1〜3級アニリン(例えば、ジエチルアニリン、ジブチルアニリン、エチルアニリン、アニリンなど)、置換基を有してもよいピリジン(例えば、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、4−(2−ヒドロキシエチル)−アミノピリジンなど)、等が挙げられる。
【0059】
また、本発明における塩基性化合物としては、上記の塩基性化合物以外に、又は、該塩基性化合物と共に、他の塩基性物質及び/又はその塩を併用することもできる。
前記他の塩基性物質としては、例えば、アンモニアや、エチルアミン、ポリアリルアミン等の第一アミン類、ジメチルアミン等の第二アミン類、N−エチル−N−メチルブチルアミン等の第三アミン類、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、等が挙げられる。
【0060】
上記のうち特に、弱酸のアンモニウム塩が好ましい。弱酸とは、化学便覧基礎編II(丸善株式会社)等に記載の無機酸および有機酸でpKaが2以上の酸である。前記弱酸のアンモニウム塩としては、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、硼酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム等が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。中でも、好ましくは炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸アンモニウムであり、乾燥後において層中に残存せずインク滲みを低減できる点で効果的である。
なお、塩基性化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0061】
<界面活性剤>
本発明におけるインク受容層(第一の液及び/又は第二の液、必要に応じその他の液)は界面活性剤の少なくとも一種を含有することが好ましい。
前記界面活性剤としてはカチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
【0062】
前記ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルおよびポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等)、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート等)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート等)、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル類(例えば、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等)、グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、グリセロールモノオレート等)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類(モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリン等)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノオレート等)、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アセチレングリコール類(例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、及び該ジオールのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物等)等が挙げられ、就中、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類が好ましい。また、前記ノニオン系界面活性剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0063】
前記両性界面活性剤、前記カチオン系界面活性剤、前記アニオン系界面活性剤、前記フッ素系界面活性剤、及び前記シリコン系界面活性剤としては、例えば、特開2007−185885号段落番号0066〜0069に記載されている界面活性剤を好適に用いることができる。
【0064】
本発明において、界面活性剤の含有量としては、第一の液又は第二の液に対して0.001〜2.0%が好ましく、0.01〜1.0%がより好ましい。
【0065】
本発明において好ましい界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤又はベタイン型界面活性剤が挙げられる。界面活性剤の含有量は、第一の液中の界面活性剤と第二の液中の界面活性剤との合計量として、0.01g/m〜0.5g/mが好ましく、0.05g/m〜0.3g/mがより好ましい。界面活性剤の含有量が0.01g/m以上であれば、濡れ性の低下をより抑制でき、0.5g/m以下であると塗布粘度上昇をより抑制できる。
【0066】
<その他の成分>
本発明におけるインク受容層(第一の液、第二の液、及び第三の液)は、上述した以外のその他の成分を用いてもよい。
その他の成分としては、例えば、特開2007−185885号段落番号0072に記載の高沸点有機溶剤等を好適に用いることができる。
【0067】
<支持体>
本発明に用いる支持体としては、プラスチック等の透明材料よりなる透明支持体、紙等の不透明材料からなる不透明支持体のいずれをも使用できる。インク受容層の透明性を生かす上では、透明支持体又は高光沢性の不透明支持体を用いることが好ましい。またCD−ROM、DVD−ROM等の読み出し専用光ディスク、CD−R、DVD−R等の追記型光ディスク、更には書き換え型光ディスクを支持体として用い、レーベル面側にインク受容層を付与することもできる。
【0068】
前記透明支持体に使用可能な材料としては、透明性で、OHPやバックライトディスプレイで使用される時の輻射熱に耐え得る性質を有する材料が好ましい。該材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類;ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等を挙げることができる。中でも、ポリエステル類が好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。
前記透明支持体の厚みとしては、特に制限はないが、取り扱い易い点で、50〜200μmが好ましい。
【0069】
高光沢性の不透明支持体としては、インク受容層の設けられる側の表面が40%以上の光沢度を有するものが好ましい。前記光沢度は、JIS P−8142(紙及び板紙の75度鏡面光沢度試験方法)に記載の方法に従って求められる値である。具体的には、下記支持体が挙げられる。
【0070】
例えば、アート紙、コート紙、キャストコート紙、銀塩写真用支持体等に使用されるバライタ紙等の高光沢性の紙支持体;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類、ニトロセルロース,セルロースアセテート,セルロースアセテートブチレート等のセルロースエステル類、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等のプラスチックフィルムに白色顔料等を含有させて不透明にした(表面カレンダー処理が施されていてもよい。)高光沢性のフィルム;或いは、前記各種紙支持体、前記透明支持体若しくは白色顔料等を含有する高光沢性のフィルムの表面に、白色顔料を含有若しくは含有しないポリオレフィンの被覆層が設けられた支持体等が挙げられる。
白色顔料含有発泡ポリエステルフィルム(例えば、ポリオレフィン微粒子を含有させ、延伸により空隙を形成した発泡PET)も好適に挙げることができる。更に銀塩写真用印画紙に用いられるレジンコート紙も好適である。
【0071】
前記不透明支持体の厚みについても特に制限はないが、取り扱い性の点で、50〜300μmが好ましい。
【0072】
また、前記支持体の表面には、濡れ特性及び接着性を改善するために、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理等を施したものを使用してもよい。
【0073】
次に、前記レジンコート紙に用いられる原紙について詳述する。
前記原紙としては、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ、あるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。前記木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。
但し、LBSP及び/又はLDPの比率としては、10質量%以上、70質量%以下が好ましい。
【0074】
前記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸パルプ)が好ましく用いられ、漂白処理をおこなって白色度を向上させたパルプも有用である。
【0075】
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
【0076】
抄紙に使用するパルプの濾水度としては、CSFの規定で200〜500mLが好ましく、また、叩解後の繊維長が、JIS P−8207に規定される24メッシュ残分質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30〜70%であることが好ましい。なお、4メッシュ残分の質量%は20質量%以下であることが好ましい。
【0077】
原紙の坪量としては、30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さとしては、40〜250μmが好ましい。原紙は、抄紙段階又は抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/m2(JIS P−8118)が一般的である。
更に、原紙剛度としては、JIS P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
【0078】
原紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤としては、前記原紙中添加できるサイズと同様のサイズ剤を使用できる。
原紙のpHは、JIS P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
【0079】
原紙表面および裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)および/又は高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
【0080】
特に、インク受容層を形成する側のポリエチレン層は、写真用印画紙で広くおこなわれているように、ルチル又はアナターゼ型の酸化チタン、蛍光増白剤、群青をポリエチレン中に添加し、不透明度、白色度および色相を改良したものが好ましい。ここで、酸化チタン含有量としては、ポリエチレンに対して、概ね3〜20質量%が好ましく、4〜13質量%がより好ましい。ポリエチレン層の厚みは特に限定はないが、表裏面層とも10〜50μmが好適である。さらにポリエチレン層上にインク受容層との密着性を付与するために下塗り層を設けることもできる。該下塗り層としては、水性ポリエステル、ゼラチン、PVAが好ましい。また、該下塗り層の厚みとしては、0.01〜5μmが好ましい。
【0081】
ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際に、いわゆる型付け処理をおこなって通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成したものも使用できる。
【0082】
支持体にはバックコート層を設けることもでき、このバックコート層に添加可能な成分としては、白色顔料や水性バインダー、その他の成分が挙げられる。
バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
【0083】
バックコート層に用いられる水性バインダーとしては、例えば、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレン/アクリル酸塩共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、澱粉、カチオン化澱粉、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。
バックコート層に含有されるその他の成分としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
【0084】
<混合工程>
本発明のインクジェット記録媒体の製造方法は、無機微粒子及び水溶性バインダーを含む第一の液と、水溶性アルミニウム化合物又は水溶性カチオンポリマーと減粘剤とを含む第二の液と、をインライン混合して塗布液を得る混合工程を有する。
【0085】
(第一の液の調製)
本発明における第一の液の調製方法には特に限定はなく、無機微粒子と水溶性バインダーと後述する溶媒とを混合する公知の方法を用いることができる。
以下、第一の液の調製方法の一例として、無機微粒子として気相法シリカを、水溶性バインダーとしてポリビニルアルコールを、それぞれ用いる場合について説明する。
即ち、気相法シリカ等の無機微粒子と(必要に応じ分散剤と)を水中に添加して(例えば、水中のシリカ微粒子は10〜20質量%)、ビーズミル(例えば、(株)シマエンタープライズ製の「KD−P」)を用いて、例えば10000rpm(好ましくは5000〜20000rpm)の高速回転の条件で例えば20分間(好ましくは10〜30分間)かけて分散させた後、ポリビニルアルコール(PVA)水溶液(例えば、前記気相法シリカの1/3程度の質量のPVAとなるように)を加え、前記と同じ回転条件で分散を行なうことにより調製することができる。ここで、PVA水溶液と共に、架橋剤や界面活性剤を添加してもよい。また、塗布液に安定性を付与するためにアンモニア水等でpH=9.2程度に調節すること、又は分散剤を用いることが好ましい。
得られた塗布液は均一なゾル状態であり、これを下記塗布方法で支持体上に塗布し乾燥させることにより、三次元網目構造を有する多孔質性のインク受容層を形成することができる。
【0086】
また、前記気相法シリカと分散剤とからなる水分散物の調製は、気相法シリカ水分散液をあらかじめ調製し、該水分散液を分散剤水溶液に添加してもよいし、分散剤水溶液を気相法シリカ水分散液に添加してよいし、同時に混合してもよい。また、気相法シリカ水分散液ではなく、粉体の気相法シリカを用いて前記のように分散剤水溶液に添加してもよい。
前記の気相法シリカと分散剤とを混合した後、該混合液を、分散機を用いて細粒化することで、平均粒子径50nm以下の水分散液を得ることができる。
【0087】
前記分散剤としては特に限定されず、公知のカオチン性樹脂を用いることができる。
前記分散剤の無機微粒子に対する添加量は、0.1%〜30%が好ましく、1%〜10%が更に好ましい。
一方、前記第一の液のpHは特に限定されないが、pHが2.0以上6.0以下であることが好ましく、3以上5以下であることがより好ましい。pHが2以上6以下である塗布液からインク受容層が形成されることで、経時での画像ニジミがより抑制できる。
【0088】
本発明において、第一の液の調製に用いる溶媒としては、例えば、水、有機溶媒、又はこれらの混合溶媒を用いることができる。前記有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、メトキシプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。
なお、後述する第二の液の調製に用いる溶媒としても、上記第一の液の調製に用いる溶媒と同様の溶媒を用いることができる。
【0089】
第一の液中における無機微粒子の含有量には特に限定はないが、塗布故障抑制及び高速風乾燥適性等の観点からは、第一の液の全量に対し、5〜20質量%が好ましく、8〜15質量%がより好ましい。
また、第一の液中における水溶性バインダーの含有量には特に限定はないが、塗布故障抑制及び高速風乾燥適性等の観点からは、第一の液の全量に対し、0.5〜5質量%が好ましく、1〜3質量%がより好ましい。
【0090】
(第二の液の調製)
本発明における第二の液の調製方法には特に限定はなく、水溶性アルミニウム化合物又は水溶性カチオンポリマーと減粘剤と前述の溶媒とを混合する公知の方法を用いることができる。
本発明においては、第一の液と第二の液とのインライン混合前に、予め、水溶性アルミニウム化合物又は水溶性カチオンポリマーと減粘剤とを混合しておくことが必要である。
これにより、少量の減粘剤でも塗布故障を効果的に抑制できる。即ち、第一の液やその他の液に減粘剤を添加したのでは、塗布故障を抑制するための減粘剤の使用量が多くなってしまい、高速風乾燥適性が低下する。
【0091】
具体的には、第二の液中における減粘剤の量は、塗布故障抑制と高速風乾燥適性とをより効果的に両立させる観点からは、第一の液の全量に対し、0.1質量%〜5質量%が好ましく、0.2質量%〜2質量%がより好ましい。
【0092】
また、第二の液中における水溶性アルミニウム化合物又は水溶性カチオンポリマーの量は、塗布故障抑制と、媒染剤としての効果と、をより効果的に両立させる観点からは、第一の液との混合後の無機微粒子の全量に対し、2質量%〜20質量%となる範囲が好ましく、5質量%〜15質量%がより好ましい。
【0093】
また、本発明における第二の液は、塗布故障を更に抑制する観点より、架橋剤を含有することがより好ましい。
具体的には、第二の液中における架橋剤の量は、塗布乾燥中のひび割れ防止および乾燥後の膜の耐傷性の観点からは、第一の液との混合後の水溶性バインダーの全量に対し、0.2質量%〜10質量%が好ましく、1質量%〜5質量%がより好ましい。
【0094】
(インライン混合)
本発明におけるインライン混合については特に限定はないが、インライン混合機を用いて行うことが好ましい。好ましいインライン混合機としては、例えば、特開2002−85948号公報等に記載されているインライン混合機が挙げられる。
インライン混合における前記第一の液の量には特に限定はないが、塗布液の安定性をより向上させる観点からは、100〜300g/mが好ましく、140〜240g/mがより好ましい。
また、前記第二の液の量にも特に限定はないが、塗布液の安定性をより向上させる観点からは、2〜30g/mが好ましく、5〜20g/mがより好ましい。
また、前記第一の液の量と前記第二の液の量との比率には特に限定はないが、塗布液の安定性をより向上させる観点からは、質量比〔第一の液/第二の液〕が、3〜50が好ましく、10〜25がより好ましい。
【0095】
<塗布工程等>
本発明のインクジェット記録媒体の製造方法は、前記インライン混合により得られた塗布液を支持体上に塗布して塗布層を形成する塗布工程を有する。
前記塗布液の塗布は、例えば、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の塗布方法によって行うことができる。
【0096】
得られた塗布層は、公知の方法により乾燥される。
乾燥条件は塗布量により異なるが、例えば、40〜180℃で、0.5〜10分間(好ましくは、0.5〜5分間)行う条件が好ましい。
また、本発明の効果をより効果的に得る観点からは、高速風(例えば、10〜30m/sの乾燥風)で乾燥させることも好ましい。
【0097】
<好ましい実施形態>
また、本発明のインクジェット記録媒体の製造方法は、前記インライン混合により得られた塗布液を塗布して形成された塗布層に、(1)前記塗布液を塗布すると同時、(2)前記塗布層の乾燥途中であって前記塗布層が減率乾燥を示す前、のいずれかのときに、塩基性化合物を含む第三の液を付与し、前記塗布層の架橋硬化を行なう工程を更に有し、前記支持体上に前記塗布層が架橋硬化されてなるインク受容層を形成する実施形態が特に好ましい。
上記方法によれば、塗布故障抑制の効果及び高速風乾燥適性向上の効果に加え、インク吸収性をより向上することができ、インク受容層のひび割れをより効果的に抑制できる。
【0098】
上記形態では、前記インライン混合により得られた塗布液の塗布と同時、又は該塗布液を塗布して形成された塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前に、該塗布層に塩基性化合物を含む第三の液が付与される。即ち、前記塗布液の塗布後、この塗布層が恒率乾燥速度を示す間に第三の液を導入することで好適に製造される。
【0099】
第三の液は、前述の塩基性化合物(例えば、弱酸のアンモニウム塩、等)を含有する。
第三の液中における塩基性化合物の量は、硬化度の観点からは、第三の液の全量に対し、0.5質量%〜10質量%が好ましく、1質量%〜5質量%がより好ましい。
また、前記第三の液は、必要に応じて架橋剤、他の媒染剤成分を含有することができる。
【0100】
第三の液は、アルカリ溶液として用いることで硬膜を促進でき、pH7.1以上に調整されるのが好ましく、より好ましくはpH7.5以上であり、特に好ましくはpH7.9以上である。前記pHが酸性側に近すぎると、塩基性化合物によって第一の液に含まれる水溶性バインダーの架橋反応が十分に行なわれず、ブロンジングの発生や、インク受容層にひび割れ等の欠陥を来すことがある。
【0101】
前記第三の液は、例えば、イオン交換水に、塩基性化合物(例えば1質量%〜5質量%)、及び、必要に応じ、金属化合物(例えば1質量%〜5質量%)及びパラトルエンスルホン酸(例えば0.5質量%〜3質量%))を添加し、十分に攪拌することで調製することができる。
【0102】
なお、前記「塗布層が減率乾燥速度を示すようになる前」とは、通常、塗布液の塗布直後から数分間の過程を指し、この間においては、塗布された塗布層中の溶媒の含有量が時間に比例して減少する「恒率乾燥速度」の現象を示す。この「恒率乾燥速度」を示す時間については、例えば、化学工学便覧(頁707〜712、丸善(株)発行、昭和55年10月25日)に記載されている。
【0103】
上記形態では、インライン混合により得られた塗布液の塗布後、該塗布により得られた塗布層が減率乾燥速度を示すようになるまで乾燥されるが、この乾燥は一般に40〜180℃で0.5〜10分間(好ましくは、0.5〜5分間)行われる。この乾燥時間としては、当然塗布量により異なるが、通常は前記範囲が適当である。
【実施例】
【0104】
以下、本発明を実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、以下において「部」、「%」および「分子量」は、「質量部」、「質量%」および「重量平均分子量」を表す。
【0105】
〔実施例1〕
<支持体の作製>
アカシアからなるLBKP50部及びアスペンからなるLBKP50部をそれぞれディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mLに叩解しパルプスラリーを調製した。
【0106】
ついで前記で得られたパルプスラリーに、対パルプ当り、カチオン性でんぷん(日本NSC製 CATO 304L)1.3%、アニオン性ポリアクリルアミド(星光PMC(株)製、DA4104)0.15%、アルキルケテンダイマー(荒川化学製 サイズパインK)0.29%、エポキシ化ベヘン酸アミド0.29%、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン(荒川化学(株)製:アラフィックス100)0.32%を加えた後、消泡剤0.12%を加えた。
【0107】
前記のようにして調製したパルプスラリーを長網抄紙機で抄紙し、ウェッブのフェルト面をドラムドライヤーシリンダーにドライヤーカンバスを介して押し当てて乾燥する工程において、ドライヤーカンバスの引張り力を1.6kg/cmに設定して乾燥を行なった後、サイズプレスにて原紙の両面にポリビニールアルコール((株)クラレ製:KL−118)を1g/m2 塗布して乾燥し、カレンダー処理を行った。なお、原紙の坪量は166g/m2で抄造し、厚さ160μmの原紙(基紙)を得た。
【0108】
得られた基紙のワイヤー面(裏面)側にコロナ放電処理を行なった後、溶融押出機を用いて高密度ポリエチレンを厚さ25μmとなるようにコーティングし、マット面からなる熱可塑性樹脂層を形成した(以下、この熱可塑性樹脂層面を「裏面」と称する。)。この裏面側の熱可塑性樹脂層に更にコロナ放電処理を施し、その後、帯電防止剤として、酸化アルミニウム(日産化学工業(株)製の「アルミナゾル100」)と二酸化ケイ素(日産化学工業(株)製の「スノーテックスO」)とを1:2の質量比で水に分散した分散液を、乾燥質量が0.2g/m2となるように塗布した。
【0109】
更に、熱可塑性樹脂層の設けられていない側のフェルト面(表面)側にコロナ放電処理を施した後、アナターゼ型二酸化チタン10%、東京インキ(株)製の群青を0.3%の含有量に調整し、更に(株)日本化学工業所製の蛍光増白剤「Whiteflour PSN conc」を0.08%の含有量となるように調整したMFR(メルトフローレート)3.8の低密度ポリエチレンを、溶融押出機を用いて、厚み25μmとなるように押出し、高光沢な熱可塑性樹脂層を基紙の表面側に形成し(以下、この高光沢面を「オモテ面」と称する。)、支持体を作製した。この支持体を幅1.5m、巻き長3000mに揃えて長尺ロール体とした
【0110】
<第一の液の調製>
下記組成中の、(1)気相法シリカ微粒子と、(2)イオン交換水と、(3)「シャロールDC−902P」と、を混合し、ビーズミル(例えば、KD−P((株)シンマルエンタープライゼス製))を用いて、分散させた後、分散液を45℃に加熱し20時間保持した。その後これに、下記(4)ホウ酸と、(5)ポリビニルアルコールの7%水溶液と、(6)ポリオキシエチレンラウリルエーテルと、を30℃で加え、第一の液を調製した。
シリカ微粒子と水溶性バインダーとの質量比(PB比=(1):(6))は、4.45:1であり、インク受容層形成液のpHは、3.8で酸性を示した。
【0111】
− 第一の液の組成 −
(1)気相法シリカ微粒子(無機微粒子)(AEROSIL300SF75 日本アエロジル(株)製) … 10部
(2)イオン交換水 … 56部
(3)「シャロールDC−902P」(51.5%水溶液)(分散剤、第一工業製薬(株)製) … 0.8部
(4)ホウ酸(架橋剤) … 0.33部
(5)ポリビニルアルコール(水溶性バインダー)((株)クラレ製の「PVA235」、鹸化度88%、重合度3500)の7%水溶液 … 29部
(6)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤)(花王(株)製「エマルゲン109P」の10%水溶液) … 0.6部
【0112】
<第二の液の調製>
下記の各成分を混合し、第二の液を調製した。
− 第二の液の組成 −
(1)ポリ塩化アルミニウム(水溶性アルミニウム化合物)(アルファイン83、大明化学工業(株)製) … 10部
(2)イオン交換水 … 31.2部
(3)エタノール(減粘剤) … 8.8部
【0113】
<第三の液の調製>
下記の各成分を混合し、第三の液を調製した。
− 第三の液の組成 −
(1)炭酸アンモニウム(塩基性化合物) … 4部
(2)イオン交換水 … 90部
(3)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤)(花王(株)製「エマルゲン109P」の10%水溶液) … 6部
【0114】
<インク受容層の形成>
上記で得た支持体のオモテ面にコロナ放電処理を行なった後、186g/mになるよう流した上記第一の液に上記第二の液を10.8g/mになるような比率でスタティックミキサーを用いてインライン混合して塗布液を調製しながらスライドビードコーターで塗布した。得られた塗布膜を、熱風乾燥機により80℃(風速3m/秒:基準乾燥風条件)で3分間乾燥した。この間、塗布膜は、恒率乾燥を示した。前記3分間の乾燥直後にこの塗布膜を上記第三の液に1秒間浸漬させ、その後、塗布膜を80℃で10分間乾燥させてインク受容層を得た。
以上により、支持体上に、乾燥膜厚が35μmのインク受像層が設けられたインクジェット記録媒体を得た。
なお、第二の液に含まれる減粘剤の量は、第一の液の全量に対し、1.0質量%である。
【0115】
<評価>
上記で得られたインクジェット記録媒体について、以下の評価を行った。評価結果を下記表1に示す。
【0116】
(塗布故障の評価)
得られたインクジェット記録媒体のA4サイズ5枚分を目視で観察し、塗布故障(ブツ故障)の有無を確認した。
塗布故障の大きさ及びA4サイズ当たりの塗布故障数により、以下の評価基準に従って評価した。
以下の評価基準では、直径(又は長径)1mm未満の塗布故障を「小サイズ故障」、直径(又は長径)1mm以上2mm未満の塗布故障を「中サイズ故障」、直径(又は長径)2mm以上の塗布故障を「大サイズ故障」とした。
また、以下の評価基準において、故障の個数はA4サイズ当たりの個数である。
【0117】
− 評価基準 −
A: 塗布層表面に、小サイズ故障、中サイズ故障、及び大サイズ故障のいずれも発生していなかった。
B: 塗布層表面に、小サイズ故障のみが2個未満発生した。
C: 塗布層表面に、小サイズ故障が2個以上5個未満発生、及び、中サイズ故障が2個未満発生、のうち少なくとも1つに該当した。大サイズ故障は発生していなかった。
D: 塗布層表面に、小サイズ故障が5個以上発生、中サイズ故障が2個以上発生、及び、大サイズ故障が1個以上発生、のうち少なくとも1つに該当した(実用上問題有り)。
【0118】
(高速風乾燥適性の評価)
上記で得た支持体のオモテ面にコロナ放電処理を行なった後、30℃に保温した上記第一の液を186g/mになるよう流し、上記第二の液を10.8g/mの速度でインライン混合して塗布液を調製しながらスライドビードコーターで塗布した。その後、支持体に垂直方向になるように、熱風乾燥機により30℃、15m/sの高速風を1分間吹き当てた。この間、塗布膜は、恒率乾燥を示した。1分間の乾燥直後にこの塗布膜を上記第三の液に1秒間浸漬させ、次いで、50℃で10分間乾燥させてインク受容層を得た。
得られたインクジェット記録媒体の塗布層表面(インク受容層表面)を観察し、下記評価基準に従って、高速風乾燥適性を評価した。
【0119】
− 評価基準 −
A: 塗布層表面にムラがまったく発生しなかった。
B: 塗布層表面にムラがわずかにみられるが実用上問題がないレベルであった。
C: 塗布層表面にムラがところどころにみられ、A4サイズ以上の用途には問題があるレベルであった。
D: 塗布層表面に発生したムラの程度、頻度が悪く実用上問題があるレベルであった。
【0120】
〔実施例2〕
実施例1において、第二の液の組成を、下記組成に変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製し、実施例1と同様の評価を行った。ここで、第二の液に含まれる減粘剤の量は、第一の液の全量に対し、0.5質量%である。
評価結果を下記表1に示す。
【0121】
− 第二の液の組成 −
(1)ポリ塩化アルミニウム(水溶性アルミニウム化合物)(アルファイン83、大明化学工業(株)製) … 10部
(2)イオン交換水 … 35.6部
(3)エタノール(減粘剤) … 4.4部
【0122】
〔実施例3〕
実施例1において、第一の液の組成、及び、第二の液の組成を、それぞれ下記組成に変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製し、実施例1と同様の評価を行った。ここで、第二の液に含まれる減粘剤の量は、第一の液の全量に対し、0.5質量%である。
評価結果を下記表1に示す。
【0123】
− 第一の液の組成 −
(1)気相法シリカ微粒子(無機微粒子)(AEROSIL300SF75 日本アエロジル(株)製) … 10部
(2)イオン交換水 … 56部
(3)「シャロールDC−902P」(51.5%水溶液)(分散剤、第一工業製薬(株)製) … 0.8部
(4)ポリビニルアルコール(水溶性バインダー)((株)クラレ製の「PVA235」、鹸化度88%、重合度3500)の7%水溶液 … 29部
(5)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤)(花王(株)製「エマルゲン109P」の10%水溶液) … 0.6部
【0124】
− 第二の液の組成 −
(1)ポリ塩化アルミニウム(水溶性アルミニウム化合物)(アルファイン83、大明化学工業(株)製) … 10部
(2)イオン交換水 … 31.2部
(3)エタノール(減粘剤) … 8.8部
(4)ホウ酸(架橋剤) … 2.9部
【0125】
〔実施例4〕
実施例1において、第二の液の組成を、下記組成に変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製し、実施例1と同様の評価を行った。ここで、第二の液に含まれる減粘剤の量は、第一の液の全量に対し、1.0質量%である。
評価結果を下記表1に示す。
【0126】
− 第二の液の組成 −
(1)ハイマックスSC−507(4級アミノ基含有カチオンポリマー(ジメチルアミン・エピクロロヒドリン重縮合物)、ハイモ(株)製) … 7部
(2)イオン交換水 … 34.2部
(3)エタノール(減粘剤) … 8.8部
【0127】
〔実施例5〜8〕
実施例1において、第二の液中の減粘剤を、2−プロパノール(イソプロピルアルコール)、アセトン、酢酸エチル、又はジエチレングリコールモノブチルエーテル(以下、「DEGMBE」ともいう)に、それぞれ変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製し、実施例1と同様の評価を行った。ここで、第二の液に含まれる減粘剤の量は、第一の液の全量に対し、それぞれ1.0質量%である。
評価結果を下記表1に示す。
【0128】
〔比較例1〕
実施例1において、第一の液の組成、及び、第二の液の組成を、それぞれ下記組成に変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製し、実施例1と同様の評価を行った。ここで、第一の液に含まれる減粘剤の量は、第一の液の全量に対し、1.0質量%である。
評価結果を下記表1に示す。
【0129】
− 第一の液の組成 −
(1)気相法シリカ微粒子(無機微粒子)(AEROSIL300SF75 日本アエロジル(株)製) … 10部
(2)イオン交換水 … 56部
(3)「シャロールDC−902P」(51.5%水溶液)(分散剤、第一工業製薬(株)製) … 0.8部
(4)ホウ酸(架橋剤) … 0.33部
(5)ポリビニルアルコール(水溶性バインダー)((株)クラレ製の「PVA235」、鹸化度88%、重合度3500)の7%水溶液 … 29部
(6)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤)(花王(株)製「エマルゲン109P」の10%水溶液) … 0.6部
(7)エタノール(減粘剤) … 1部
【0130】
− 第二の液の組成 −
(1)ポリ塩化アルミニウム(水溶性アルミニウム化合物)(アルファイン83、大明化学工業(株)製) … 10部
(2)イオン交換水 … 40部
【0131】
〔比較例2〕
比較例1において、第一の液中のエタノールの量を7部に変更した以外は比較例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製し、実施例1と同様の評価を行った。ここで、第一の液に含まれる減粘剤の量は、第一の液の全量に対し、6.7質量%である。
評価結果を下記表1に示す。
【0132】
〔比較例3〕
比較例1において、第一の液中のエタノールの量を7部に変更し、第一の液に更にアルファイン83を1.2部添加し、第二の液を用いなかったこと以外は比較例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製し、実施例1と同様の評価を行った。ここで、第一の液に含まれる減粘剤の量は、第一の液の全量に対し、6.7質量%である。
評価結果を下記表1に示す。
【0133】
【表1】

【0134】
上記表1において、第一の液の減粘剤の比率(%)、及び、第二の液の減粘剤の比率(%)は、いずれも第一の液の全量に対する質量比率である。
【0135】
表1に示すように、無機微粒子及び水溶性バインダーを含む第一の液と、水溶性アルミニウム化合物又は水溶性カチオンポリマーと減粘剤とを含む第二の液と、をインライン混合して塗布液を作製し、この塗布液を塗布してインク受容層を形成した実施例1〜8のインクジェット記録媒体では、少ない量の減粘剤で塗布故障を抑制でき、高速風乾燥適性に優れていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機微粒子及び水溶性バインダーを含む第一の液と、水溶性アルミニウム化合物又は水溶性カチオンポリマーと減粘剤とを含む第二の液と、をインライン混合して塗布液を得る工程と、
前記塗布液を支持体上に塗布して塗布層を形成する工程と、
を有するインクジェット記録媒体の製造方法。
【請求項2】
前記減粘剤が、低級アルコール類、低級アルキルケトン類、及び低級アルキルエステル類から選ばれる少なくとも1種である請求項1のインクジェット記録媒体の製造方法。
【請求項3】
前記第二の液が、更に、架橋剤を含む請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
【請求項4】
前記塗布層に、(1)前記塗布液を塗布すると同時、(2)前記塗布層の乾燥途中であって前記塗布層が減率乾燥を示す前、のいずれかのときに、塩基性化合物を含む第三の液を付与し、前記塗布層の架橋硬化を行なう工程を更に有し、前記支持体上に前記塗布層が架橋硬化されてなるインク受容層を形成する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体の製造方法により製造されたインクジェット記録媒体。

【公開番号】特開2010−228245(P2010−228245A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77518(P2009−77518)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】