説明

インクジェット記録用インクセット、インクジェット記録方法、記録物

【課題】水溶性染料を用いた水性インクのブリードを解決し、泡立たないため吐出信頼性が高く、画像品質に優れたインクジェット記録用インクセット、該インクセットを用いたインクジェット記録方法及び記録物の提供。
【解決手段】少なくともブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各インクが、少なくとも水溶性染料、水溶性溶剤、フッ素系界面活性剤、下記構造式(1)で表される化合物、及び水を含有し、該フッ素系界面活性剤が、特定構造の化合物から選ばれた少なくとも1種であるインクジェット記録用インクセット。
[構造式(1)]HORC−(CH−CROH(式中、R及びRは炭素数3〜6のアルキル基、R及びRは炭素数1〜2のアルキル基、jは1〜6の自然数)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録用インクセット、該インクセットを用いたインクジェット記録方法及び記録物に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタは、低騒音、低ランニングコストといった利点から目覚しく普及し、普通紙に印字可能なカラープリンタも市場に盛んに投入されるようになった。
しかし、画像の色再現性、耐擦化性、耐久性、耐光性、画像の乾燥性、文字にじみ(フェザリング)、色境界にじみ(カラーブリード)、両面印刷性、吐出安定性など要求される全ての特性を満足することは非常に難しく、用途に応じて優先される特性により用いるインクを選択している。
インクジェット記録に使用されるインクは水を主成分とし、これに着色剤及び目詰まり防止などの目的でグリセリンなどの湿潤剤を含有したものが一般的である。着色剤としては、染料及び顔料が主に用いられている。染料は、発色性や安定性に優れるが、画像の耐光性、耐ガス性、耐水性などが劣る。一方、顔料は、耐光性、耐ガス性、耐水性に優れるが、発色性が劣るという問題がある。
染料インクは普通紙等上でにじみ易いという問題があり、特にブラックインクとカラーインクとの境界におけるにじみ(カラーブリード)の解消が課題となっている。カラーブリードの解決方法としては、紙に対するブラックインクの浸透性よりもカラーインクの浸透性を高くすることで、画像上でブラックインクがカラーインクの領域に浸透しないようにする方法があり、界面活性剤の添加とその量の調整により対応しようとしているが、顔料インクと同等レベルまでは到達できていない。また、インク粘度を高くすることで浸透性を抑える方法もあるが、インクジェットでインクを安定に吐出するための粘度にも上限があるため、充分な効果が得られていないというのが現状である。
【0003】
浸透性を向上させるために界面活性剤を添加する方法があるが、界面活性剤はインクの表面張力を低下させるため泡が発生し易くなり、特にインクジェットにおいては、インクジェットヘッドへのインク充填時などに泡が発生した場合、ヘッド内のインク流路を塞ぐことで吐出不良等の弊害につながる。泡を低減するためには、シリコンオイル、シリカ微粒子、低級アルコール等の消泡剤をインクに添加する方法が一般に用いられている。しかし、シリコンオイルやシリカ微粒子は水に対して溶解性がなく、色材として染料を用いた場合は凝集等の問題を発生することが多く、顔料を用いた場合でも顔料粒子の分散安定性を損ねることが多い。また、低級アルコールは揮発性が高いため、泡の低減効果が持続しないことや、紙に印刷した際に色ムラが発生するなどの問題があるため、添加量を減らして対応することが多く、泡低減の効果も充分に得られていないというのが現状である。
公知文献としては、特許文献1に、フッ素系界面活性剤を染料インクに適用したインクジェット用インクが記載されている。また特許文献2には、本発明で用いる構造式(3)、(4)のフッ素系界面活性剤を染料インクに適用したインクジェット用インクが記載されているが、本発明で用いる、フッ素系界面活性剤に対して消泡性を有する構造式(1)で表される材料を用いていないため、発生した泡が消えにくく、インクジェットヘッドへのインク充填時などに泡が発生してインク流路を塞ぎ、吐出不良等の問題が発生してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、色材として水溶性染料を用いた水性インクの課題であるブリードを解決し、泡立たないため吐出信頼性が高く、画像品質に優れたインクジェット記録用インクセット、該インクセットを用いたインクジェット記録方法及び記録物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、次の1)〜7)の発明によって解決される。
1) 少なくともブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各インクからなるインクジェット記録用インクセットにおいて、各インクが、少なくとも水溶性染料、水溶性溶剤、フッ素系界面活性剤、下記構造式(1)で表される化合物、及び水を含有し、該フッ素系界面活性剤が、下記構造式(2)、(3)、(4)で表される化合物から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とするインクジェット記録用インクセット。
[構造式(1)]
HORC−(CH−CROH
ただし、上記式中、R及びRは、それぞれ独立に炭素数3〜6のアルキル基であり、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜2のアルキル基であり、jは1〜6の自然数である。
[構造式(2)]
Rf−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)−Q
ただし、上記式中、Rfは−C又は−C、Qは−C2b+1(bは11〜19の自然数を示す)、−CHCH(OH)CH−C、又は−CHCH(OH)CH−Cを表し、kは20〜35である。
[構造式(3)]
【化1】

ただし、上記式中、Rは水素、又はアシル基であり、Rfは−CF、又は−Cであり、m=10〜30、n+p=4〜10である。
[構造式(4)]
【化2】

ただし、上記式中、Mはアルカリ金属又は第4級アンモニウム、Rfは−CF又は−Cであり、q=4〜10である。
2) 前記水溶性溶剤の含有量Sと水の含有量Wとの比率が、0.7≦S/W≦1.6の範囲にあり、かつ各インクが引火点を持たないことを特徴とする1)に記載のインクジェット記録用インクセット。
3) 前記イエローインクに用いられる水溶性染料が下記構造式(5)又は構造式(6)で表されることを特徴とする1)又は2)に記載のインクジェット記録用インクセット。
[構造式(5)]
【化3】

[構造式(6)]
【化4】

ただし、上記式中、A、Bはアルコキシ基、Tはアルカノールアミノ基、Dは−SOM(Mはアルカリ金属)であり、tは1である。
4) 前記マゼンタインクに用いられる水溶性染料が下記構造式(7)で表されることを特徴とする1)又は2)に記載のインクジェット記録用インクセット。
[構造式(7)]
【化5】

ただし、上記式中、Xは水素又はアリール基、Zは水素又はハロゲン、Mはアルカリ金属である。
5) 前記シアンインクに用いられる水溶性染料が下記構造式(8)で表されることを特徴とする1)又は2)に記載のインクジェット記録用インクセット。
[構造式(8)]
【化6】

ただし、上記式中、Mはアルカリ金属又は第4級アンモニウムであり、tは0〜3の整数、uは1〜2の整数である。
6) 1)〜5)のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセットを用い、各インクに刺激を印加して飛翔させ画像を記録することを特徴とするインクジェット記録方法。
7) 1)〜5)のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセットを用いて記録された記録物。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、色材として水溶性染料を用いた水性インクの課題であるブリードを解決し、泡立たないため吐出信頼性が高く、画像品質に優れたインクジェット記録用インクセット、該インクセットを用いたインクジェット記録方法及び記録物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】インクジェット記録装置のインクカートリッジ装填部のカバーを開いた状態の斜視説明図である。
【図2】インクジェット記録装置の全体構成を説明する概略構成図である。
【図3】図2に示すインクジェット記録装置における一部拡大説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、上記本発明について詳しく説明する。
本発明者らは、少なくともブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各インクからなるインクジェット記録用インクセットの各インクとして、少なくとも水溶性染料、水溶性溶剤、フッ素系界面活性剤、構造式(1)で表される化合物、及び水を含有するものを用い、該フッ素系界面活性剤として、構造式(2)、(3)、(4)で表される化合物から選ばれた少なくとも1種を用いると、構造式(1)で表される化合物が、浸透剤として機能するだけでなく消泡性も発揮することを見出し本発明に至った。
インクジェットヘッドのノズル孔に至るインク流路にインクを確実に充填するためには、インクの表面張力を低下させ、流路への濡れ性を良くする必要がある。構造式(2)、(3)、(4)で表されるフッ素系界面活性剤を添加することにより、表面張力を30mN/m以下に低下させ、流路への濡れ性を確保することはできるが、泡立ち易く一旦生じた泡は消えないため、インク流路内に発生した泡がノズルへのインク充填を阻害し、インク滴を吐出した場合には不吐出や曲がりなどの不良が発生する。これに対し、構造式(1)で表される化合物は消泡性を有し、特に構造式(2)、(3)、(4)で表されるフッ素系界面活性剤と併用すると、泡立ちを効果的に抑制することができる。さらに、表面張力も30mN/m以下に抑えられるため、確実にノズルへの充填が可能であり、インク滴の吐出も良好となる。これに加えて、界面活性剤を添加することにより記録媒体上での浸透性が向上し、普通紙においてもベタ部における白抜けがなく、インク間の浸透性バランスが保たれているため、カラーブリードも抑えられた高品質な画像を得ることができる。
【0009】
界面活性剤が高い浸透性を発揮するためには、界面活性剤分子中の親水部と非親水部のバランスが重要であり、界面活性剤全体に対する親水部の割合をHLB値により数値化して表すことが行われている。非イオン性の界面活性剤の場合は「HLB=親水基の分子量/界面活性剤の分子量×20」で表され、HLB値が凡そ7〜15の範囲にある界面活性剤は概ね浸透性が高く、HLB値が凡そ0〜4の範囲にある界面活性剤は概ね消泡性を有するとされている。本願において非イオン性の界面活性剤に該当するのは構造式(1)、(2)、(3)で表される化合物であり、構造式(1)で表される化合物は消泡性が高く、構造式(2)で表される化合物は消泡性と浸透性を兼ね備え、構造式(3)で表される化合物は浸透性が高いという特徴を有している。
【0010】
−浸透剤−
浸透剤をインクに添加すると表面張力が低下し、ノズルへのインク充填性が向上し、吐出の安定性が向上することに加え、記録媒体にインク滴が着弾した後の記録媒体中への浸透が速くなるため、フェザリングやカラーブリードを軽減することができる。浸透剤としては構造式(1)で表される溶剤、界面活性剤、又は水溶性溶剤を用いることができる。本発明のインクにおける適正な表面張力の範囲は、25℃において20〜30mN/mである。
構造式(1)で表される浸透剤は水への溶解性が0.1重量%未満と非常に低いため、水溶性溶剤と水を含有するインクにおいても配合量を1重量%未満とすることが好ましく、0.01〜0.5重量%の範囲で用いることがより好ましい。
構造式(1)で表される化合物の場合、HLBが最大となるのは、R及びRの炭素数が「3」、R及びRの炭素数が「1」、jが「1」の構造であり、HLB=OHの分子量×2/界面活性剤の分子量×20=34/188×20=3.6となる。逆に、HLBが最小となるのは、R及びRの炭素数が「6」、R及びRの炭素数が「2」、jが「6」の構造であり、HLB=34/370×20=1.8となる。ただし、非親水部がこれ以上大きくなると水にほとんど溶解しなくなるため、インクカートリッジ内やインク経路内でインクと分離してしまい、充分な消泡性を発揮できなくなる。したがって、構造式(1)の範囲であればインクジェットインクに添加しても充分な消泡性を発揮することができるため、好適に用いることができる。
【0011】
特に有効に用いられる構造のものを以下に示す。
[構造式(1)−1](R、R:−C11、R、R:−CH、j=2)
2,5,8,11−テトラメチルドデカン−5,8−ジオール
【化7】

[構造式(1)−2](R、R:−C、R、R:−CH、j=2)
2,4,7,9−テトラメチルデカン−4,7−ジオール
【化8】

【0012】
−界面活性剤−
界面活性剤は浸透性を付与する働きがあり、親水基によりノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤に大別され、疎水基によりシリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が有用に用いられる。また、界面活性剤は2種類以上を混合して用いることも可能である。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルエーテル化合物等が挙げられるが、本発明のインクにおいては構造式(2)、(3)、(4)で表されるフッ素系界面活性剤を少なくとも1種用いる。
【0013】
構造式(2)で表される化合物の場合、HLBが最大となるのは、「Rf」が「−C」、「k=35」、「Q」が「−C1123」の構造であり、HLB=(ポリエチレングリコールの分子量×35+OHの分子量)/界面活性剤の分子量×20=1557/1938×20=16.1となる。逆に、HLBが最小となるのは、「Rf」が「−C」、「k=20」、「Q」が「−CHCH(OH)CH−C」の構造であり、HLB=(ポリエチレングリコールの分子量×20+OHの分子量×2)/界面活性剤の分子量×20=914/1466×20=12.5になる。したがって、構造式(2)で表される化合物であれば、浸透剤としてはHLBがやや高めではあるが、充分な浸透性を発揮することができ、インクジェット用インクに好適に用いることができる。
【0014】
構造式(3)で表される化合物の場合、HLBが最大となるのは、「R」が「水素」、「Rf」が「−CF」、「m=30」、「n+p=4」の構造であり、HLB=(ポリエチレングリコールの分子量×30+OHの分子量×2)/界面活性剤の分子量×20=1354/2366×20=11.4となる。逆に、HLBが最小となるのは、「R」が「アシル基」、「Rf」が「−C」、「m=10」、「n+p=10」の場合であり、HLB=(ポリエチレングリコールの分子量×10)/界面活性剤の分子量×20=440/4032×20=2.2となる。したがって、構造式(3)で表される化合物であれば、浸透性だけでなく消泡性の機能も合わせ持つため、インクジェット用インクに好適に用いることができる。
【0015】
構造式(4)で表されるイオン性のフッ素系界面活性剤の場合、イオンの種類により強度が異なるため上述のHLBの算出ができず、HLB値から同様の評価ができない。構造式(4)で表される化合物は、構造式(3)で表される化合物と非親水部の分子構造が同じであり、相違点は親水部がイオン性か、非イオン性かという点のみである。構造式(3)で表される化合物の親水部であるポリエチレングリコールの範囲「m=10〜30」は、構造式(4)で表される化合物の親水部であるスルホン酸(−SOH)のアルカリ金属(M)塩の2基に相当し、界面活性剤としての親水部と非親水部のバランスは同等範囲にある。
【0016】
特に以下に示す構造のものが有効である。
[構造式(2)−1]
(Rf:−C、k=21、Q:−C1225
【化9】

[構造式(2)−2]
(Rf:−C、k=35、Q:−CHCH(OH)CH−C
【化10】

[構造式(2)−3]
(Rf:−C、k=23、Q:−CHCH(OH)CH−C
【化11】

【0017】
[構造式(3)−1]
(R:水素、Rf:−C、m=21、n=4、p=4)
【化12】

[構造式(3)−2]
(R:−COCH、Rf:−C、m=21、n=4、p=4)
【化13】

【0018】
[構造式(4)−1]
(M:アンモニウム、Rf:−C、q=6)
【化14】

[構造式(4)−2]
(M:ナトリウム、Rf:−CF、q=6)
【化15】

【0019】
−水溶性溶剤−
本発明に係る各インクは水を液媒体として使用するものであるが、インクの乾燥を防止するための湿潤剤として及びインクに浸透性を付与するための浸透剤として水溶性溶剤を使用する。水溶性溶剤は複数混合して使用してもよい。
本発明に係る各インクは水溶性溶剤の含有量Sと水の含有量Wの比が、0.7≦S/W≦1.6の範囲であることが好ましい。S/W>1.6では、水溶性溶剤量が多くなるため水溶性染料が析出し、インク中で結晶化するという弊害が発生し易くなる。また沸点の高い水溶性溶剤を用いても量が多いとインク自体が引火点を持つ場合があり、製品の安全性を確保するため、インクが引火点を持たないことが好ましい。一方、S/W<0.7では、水溶性溶剤の量が少なくなり、構造式(1)で表される材料のインクへの溶解量が少なくなるため、浸透性や消泡性が充分に得られなくなってしまう。
【0020】
浸透剤として用いる水溶性溶剤としては、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール等の炭素数8〜11のポリオールが好ましい。浸透剤として用いる水溶性溶剤の配合量は0.1〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜3重量%である。配合量が0.1重量%よりも少ないと浸透性が不足するため、画像ベタ部をインクで覆うことができなくなり、画像濃度の低下等の問題が発生する。しかし、浸透剤として用いる水溶性溶剤は水への溶解性が低く、配合量が5重量%を超えると溶解しなくなるため、インクの保存性が悪くなるなどの問題が発生する。
【0021】
湿潤剤として用いる水溶性溶剤としては、例えば以下のものが挙げられる。
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類;
エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;
2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミイダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物;
ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;
モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類;
ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類;
プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等。
【0022】
その他の湿潤剤としては、糖を含有するものが好ましい。糖としては単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類及び四糖類を含む)及び多糖類があるが、好ましくは、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオースなどが挙げられる。ここで、多糖類とは広義の糖を意味し、α−シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意味に用いることとする。
また、これらの糖類の誘導体としては、前記した糖類の還元糖{例えば、糖アルコール〔一般式HOCH(CHOH)CHOH(ここでn=2〜5の整数を表す。)で表される。〕}、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸等)などが挙げられる。特に糖アルコールが好ましく、具体例としてはマルチトール、ソルビットなどが挙げられる。
【0023】
本発明に係る各インクにおいては、上記水溶性溶剤を湿潤剤として用いることにより、保存安定性、及び吐出安定性に優れたインクを作成することが可能である。
湿潤剤のインク中における配合量は15〜75重量%が好ましく、より好ましくは35〜65重量%である。35〜65重量%の範囲では乾燥性や保存性や信頼性が非常に良好である。湿潤剤の配合量が15重量%よりも少ないと、吐出ヘッドのノズル孔から水分が蒸発して粘度が上昇するため、正常にインクを吐出できにくくなる。また、75重量%よりも多くなると、染料が溶解しにくくなるため、染料が結晶化して析出しノズル孔が詰まるなどの問題が発生する。
【0024】
−水溶性染料−
本発明に係る各インクに用いる水溶性染料としては直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料が挙げられる。特に、構造式(5)、(6)、(7)、(8)で表される染料は発色性に優れ、良好に用いることができる。水溶性染料としては、具体的には以下のようなものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(直接染料)
C.I.ダイレクトレッド2、4、9、23、26、31、39、62、63、72、75、76、79、80、81、83、84、89、92、95、111、173、184、207、211、212、214、218、221、223、224、225、226、227、232、233、240、241、242、243、247など;
C.I.ダイレクトバイオレット7、9、47、48、51、66、90、93、94、95、98、100、101など;
C.I.ダイレクトイエロー8、9、11、12、27、28、29、33、35、39、41、44、50、53、58、59、68、86、87、93、95、96、98、100、106、108、109、110、130、132、142、144、161、163など;
C.I.ダイレクトブルー1、10、15、22、25、55、67、68、71、76、77、78、80、84、86、87、90、98、106、108、109、151、156、158、159、160、168、189、192、193、194、199、200、201、202、203、207、211、213、214、218、225、229、236、237、244、248、249、251、252、264、270、280、288、289、291など;
C.I.ダイレクトブラック9、17、19、22、32、51、56、62、69、77、80、91、94、97、108、112、113、114、117、118、121、122、125、132、146、154、166、168、173、195、199など。
【0025】
(酸性染料)
C.I.アシッドレッド35、42、52、57、62、80、82、111、114、118、119、127、128、131、143、151、154、158、249、254、257、261、263、266、289、299、301、305、336、337、361、396、397など;
C.I.アシッドバイオレット5、34、43、47、48、90、103、126など;
C.I.アシッドイエロー17、19、23、25、39、40、42、44、49、50、61、64、76、79、110、127、135、143、151、159、169、174、190、195、196、197、199、218、219、222、227など;
C.I.アシッドブルー9、25、40、41、62、72、76、78、80、82、92、106、112、113、120、127:1、129、138、143、175、181、205、207、220、221、230、232、247、258、260、264、271、277、278、279、280、288、290、326など;
C.I.アシッドブラック7、24、29、48、52:1、172など。
【0026】
(塩基性染料)
C.I.ベーシックイエロー1、2、11、13、14、15、19、21、23、24、25、28、29、32、36、40、41、45、49、51、53、63、465、67、70、73、77、87、91など;
C.I.ベーシックレッド2、12、13、14、15、18、22、23、24、27、29、35、36、38、39、46、49、51、52、54、59、68、69、70、73、78、82、102、104、109、112など;
C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、11、27など;
C.I.ベーシックブルー1、3、5、7、9、21、22、26、35、41、45、47、54、62、65、66、67、69、75、77、78、89、92、93、105、117、120、122、124、129、137、141、147、155など;
C.I.ベーシックブラック2、8など。
【0027】
(反応染料)
C.I.リアクティブイエロー1、2、3、5、11、13、14、15、17、18、20、21、22、23、24、25、26、27、29、35、37、40、41、42、47、51、55、65、67など;
C.I.リアクティブレッド1、3、13、14、17、19、21、22、23,24、25、26、29、31、32、35、37、40、41、43、44、45、46、49、55、60、66、74、79、96、97、180など;
C.I.リアクティブバイオレット1、3、4、5、6、7、8、9、16、17、22、23、24、26、27、33、34など;
C.I.リアクティブブルー1、2、3、5、7、8、10、13、14、15、17、18、19、21、23、25、26、27、28、29、32、35、38、41、63、80、95など;
C.I.リアクティブブラック3、4、5、7、8、11、12、14、17、21、23、26、31、32、34など。
【0028】
−pH調整剤−
本発明に係る各インクは、pH調整剤を加えてアルカリ性に保つことにより分散状態を安定化し、吐出を安定化することができる。pHが11以上になるとインクジェットヘッドやインク供給ユニットを溶かし出す量が大きくなり、インクの変質や、漏洩、吐出不良等の問題が発生するため好ましくない。
pH調整剤としては、アルコールアミン類、アルカリ金属水酸化物、アンモニウム水酸化物、ホスホニウム水酸化物、アルカリ金属炭酸塩を一種類以上含むものが好ましい。
アルコールアミン類としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。アルカリ金属元素の水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。アンモニウムの水酸化物としては、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物が挙げられる。アルカリ金属の炭酸塩としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
【0029】
本発明に係る各インクには必要に応じて、防腐防黴剤、キレート試薬、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤、コゲーション防止剤など従来公知の添加剤を適宜選択し加えることができる。
−防腐防黴剤−
防腐防黴剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム等が挙げられる。
−キレート試薬−
キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
【0030】
−防錆剤−
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等が挙げられる。
−酸化防止剤−
前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系
酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、りん系酸化防止剤などが挙げられる。
−紫外線吸収剤−
前記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾ
ール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤
、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0031】
−コゲーション防止剤−
本発明に係る各インクにはコゲーション防止剤を添加することができる。
コゲーションとは、ヒーターに電流を流してインクを瞬間的に加熱し、インクが発泡する力を利用してインクを吐出するサーマル式ヘッドにおける不具合であり、インクが熱せられる際にインク成分に変質が起こり、ヒーターに変質物が付着する現象を言う。コゲーションが生じると、ヒーターによる加熱が正常に行われなくなり、吐出力が弱くなったり、最悪の場合、インクが吐出しなくなってしまう。したがって、コゲーションを防止するため、インクにコゲーション防止剤を添加することが好ましい。
コゲーション防止剤としては、例えば、ポリリン酸、ポリアミノカルボン酸、アルドン酸、ヒドロキシカルボン酸、ポリオールリン酸エステル、及びこれらの塩、あるいは、アミノ基を有する酸及び/又はその塩、あるいは、メチル基又はメチレン基とカルボキシル基とを有する酸のアンモニウム塩、などが挙げられる。
【0032】
−記録装置−
本発明のインクセットは、インクジェット記録方式による各種記録装置、例えば、インクジェット記録用プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機などに好適に使用することができる。また、特にフッ素系シランカップリング剤を含む撥インク層、又はシリコーン樹脂を含む撥インク層を有するインクジェットヘッドを備えた記録装置に対してもヘッド固着を生じないという優れた特性を有する。
以下、実施例でも用いたインクジェット記録装置について概要を説明する。
図1に示すインクジェット記録装置は、装置本体(101)と、装置本体(101)に装着した用紙を装填するための給紙トレイ(102)と、装置本体(101)に装着され画像が記録(形成)された用紙をストックするための排紙トレイ(103)と、インクカートリッジ装填部(104)とを有する。インクカートリッジ装填部(104)の上面には、操作キーや表示器などの操作部(105)が配置されている。インクカートリッジ装填部(104)は、インクカートリッジ(200)の脱着を行うための開閉可能な前カバー(115)を有している。(111)は上カバー、(112)は前カバーの前面である。
【0033】
装置本体(101)内には、図2、図3に示すように、左右の側板(不図示)に横架したガイド部材であるガイドロッド(131)とステー(132)とで、キャリッジ(133)を主走査方向に摺動自在に保持し、主走査モータ(不図示)によって、図3の矢印で示す方向に移動走査する。
キャリッジ(133)には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する4個のインクジェット記録用ヘッドからなる記録ヘッド(134)の複数のインク吐出口を、主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
記録ヘッド(134)を構成するインクジェット記録用ヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、インクを吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものなどが使用できる。
また、キャリッジ(133)には、記録ヘッド(134)に各色のインクを供給するための各色のサブタンク(135)を搭載している。サブタンク(135)には、インク供給チューブ(不図示)を介して、インクカートリッジ装填部(104)に装填された本発明のインクカートリッジ(200)から、本発明のインクセットに係るインクが供給されて補充される。
【0034】
一方、給紙トレイ(103)の用紙積載部(圧板)(141)上に積載した用紙(142)を給紙するための給紙部として、用紙積載部(141)から用紙(142)を1枚づつ分離給送する半月コロ〔給紙コロ(143)〕、及び給紙コロ(143)に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド(144)を備え、この分離パッド(144)は給紙コロ(143)側に付勢されている。
この給紙部から給紙された用紙(142)を記録ヘッド(134)の下方側で搬送するための搬送部として、用紙(142)を静電吸着して搬送するための搬送ベルト(151)と、給紙部からガイド(145)を介して送られる用紙(142)を搬送ベルト(151)との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ(152)と、略鉛直上方に送られる用紙(142)を略90°方向転換させて搬送ベルト(151)上に倣わせるための搬送ガイド(153)と、押さえ部材(154)で搬送ベルト(151)側に付勢された先端加圧コロ(155)とが備えられ、また、搬送ベルト(151)表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ(156)が備えられている。
【0035】
搬送ベルト(151)は無端状ベルトであり、搬送ローラ(157)とテンションローラ(158)との間に張架されて、ベルト搬送方向に周回可能である。この搬送ベルト(151)は、例えば、抵抗制御を行っていない厚さ40μm程度の樹脂材〔例えば、テトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体(ETFE)〕で形成した用紙吸着面となる表層と、この表層と同材質でカーボンによる抵抗制御を行った裏層(中抵抗層、アース層)とを有している。搬送ベルト(151)の裏側には、記録ヘッド(134)による印写領域に対応してガイド部材(161)が配置されている。なお、記録ヘッド(134)で記録された用紙(142)を排紙するための排紙部として、搬送ベルト(151)から用紙(142)を分離するための分離爪(171)と、排紙ローラ(172)及び排紙コロ(173)とが備えられており、排紙ローラ(172)の下方に排紙トレイ(103)が配されている。
装置本体(101)の背面部には、両面給紙ユニット(181)が着脱自在に装着されている。両面給紙ユニット(181)は、搬送ベルト(151)の逆方向回転で戻される用紙(142)を取り込んで反転させて再度、カウンタローラ(152)と搬送ベルト(151)との間に給紙する。なお、両面給紙ユニット(181)の上面には手差し給紙部(182)が設けられている。
【0036】
このインクジェット記録装置においては、給紙部から用紙(142)が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙(142)は、ガイド(145)で案内され、搬送ベルト(151)とカウンタローラ(152)との間に挟まれて搬送される。更に先端を搬送ガイド(153)で案内されて先端加圧コロ(155)で搬送ベルト(151)に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
このとき、帯電ローラ(156)によって搬送ベルト(157)が帯電されており、用紙(142)は、搬送ベルト(151)に静電吸着されて搬送される。そこで、キャリッジ(133)を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド(134)を駆動することにより、停止している用紙(142)にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙(142)を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙(142)の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙(142)を排紙トレイ(103)に排紙する。
【0037】
そして、サブタンク(135)内のインクの残量ニアーエンドが検知されると、インクカートリッジ(200)から所要量のインクがサブタンク(135)に補給される。
このインクジェット記録装置においては、インクカートリッジ(200)中のインクを使い切ったときには、インクカートリッジ(200)における筐体を分解して内部のインク袋だけを交換することができる。また、インクカートリッジ(200)は、縦置きで前面装填構成としても、安定したインクの供給を行うことができる。したがって、装置本体(101)の上方が塞がって設置されているような場合、例えば、ラック内に収納したり、あるいは装置本体(101)の上面に物が置かれているような場合でも、インクカートリッジ(200)の交換を容易に行うことができる。
なお、ここでは、キャリッジが走査するシリアル型(シャトル型)インクジェット記録装置に適用した例で説明したが、ライン型ヘッドを備えたライン型インクジェット記録装置にも同様に適用することができる。
【実施例】
【0038】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0039】
〔実施例1〕
<1−K>インク
下記処方の材料をイオン交換水に溶解し、0.2μmのフィルターでろ過してインクジェット記録用ブラックインクを得た。

・下記構造式(9)で表される染料 6.0重量部
・前記構造式(1)−1で表される材料 0.5重量部
・前記構造式(4)−1で表されるフッ素系界面活性剤 0.1重量部
・グリセリン 19.0重量部
・3−メチル−1,3−ブタンジオール 19.0重量部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0重量部
・2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール 0.2重量部
・プロキセルLV(アベシア社製、防腐防黴剤) 0.1重量部
・イオン交換水 残量
計100重量部
[構造式(9)]
【化16】

【0040】
<1−C>インク
上記<1−K>インクの染料を、下記構造式(10)で表される染料2.5重量部に変え、グリセリンと3−メチル−1,3−ブタンジオールをそれぞれ22.0重量部に変えた点以外は同様の処方及び方法を用いて、インクジェット記録用シアンインクを得た。
[構造式(10)]
【化17】

【0041】
<1−M>インク
上記<1−C>インクの染料を、下記構造式(11)で表される染料2.0重量部に変えた点以外は同様の処方及び方法を用いてインクジェット記録用マゼンタインクを得た。
[構造式(11)]
【化18】

【0042】
<1−Y>インク
上記<1−M>インクの染料を、下記構造式(12)で表される染料に変えた点以外は同様の処方及び方法を用いて、インクジェット記録用イエローインクを得た。
[構造式(12)]
【化19】

【0043】
〔実施例2〕
<2−K>インク
下記処方の材料をイオン交換水に溶解し、0.2μmのフィルターでろ過してインクジェット記録用ブラックインクを得た。

・Duasyn Black HEF−SF Liquid 30.0重量部
(ダイレクトブラック168、染料濃度20%、クラリアント社製)
・前記構造式(1)−2で表される材料 0.2重量部
・前記構造式(4)−2で表されるフッ素系界面活性剤 0.1重量部
・グリセリン 28.5重量部
・エチレングリコールモノブチルエーテル 9.5重量部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0重量部
・トリエタノールアミン 0.5重量部
・プロキセルLV(アベシア社製、防腐防黴剤) 0.1重量部
・イオン交換水 残量
計100重量部
【0044】
<2−C>インク
上記<2−K>インクの染料を、下記構造式(8)−2で表される染料2.5重量部に変え、グリセリンを33.0重量部に、エチレングリコールモノブチルエーテルを11.0重量部に変えた点以外は同様の処方及び方法を用いて、インクジェット記録用シアンインクを得た。
[構造式(8)−2]
【化20】

【0045】
<2−M>インク
上記<2−C>インクの染料を、下記構造式(7)−1で表される染料2.0重量部に変えた点以外は同様の処方及び方法を用いて、インクジェット記録用マゼンタインクを得た。
[構造式(7)−1]
【化21】

【0046】
<2−Y>インク
上記<2−M>インクの染料を、下記構造式(6)−1で表される染料に変えた点以外は同様の処方及び方法を用いて、インクジェット記録用イエローインクを得た。
[構造式(6)−1]
【化22】

【0047】
〔実施例3〕
<3−K>インク
下記処方の材料をイオン交換水に溶解し、0.2μmのフィルターでろ過してインクジェット記録用ブラックインクを得た。

・Duasyn Black HEF−SF Liquid 30.0重量部
(ダイレクトブラック168、染料濃度20%、クラリアント社製)
・前記構造式(1)−2で表される材料 0.4重量部
・前記構造式(3)−1で表されるフッ素系界面活性剤 0.1重量部
・グリセリン 10.0重量部
・1,3−ブタンジオール 30.0重量部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0重量部
・2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール 0.5重量部
・プロキセルLV(アベシア社製、防腐防黴剤) 0.1重量部
・イオン交換水 残量
計100重量部
【0048】
<3−C>インク
上記<3−K>インクの染料を、下記構造式(8)−1で表される染料2.5重量部に変え、グリセリンを13.0重量部に、1,3−ブタンジオーを39.0重量部に変えた点以外は同様の処方及び方法を用いて、インクジェット記録用シアンインクを得た。
[構造式(8)−1]
【化23】

【0049】
<3−M>インク
上記<3−C>インクの染料を、前記構造式(7)−1で表される染料2.0重量部に変えた点以外は同様の処方及び方法を用いて、インクジェット記録用マゼンタインクを得た。
【0050】
<3−Y>インク
上記<3−M>インクの染料を、下記構造式(5)−1で表される染料に変えた点以外は同様の処方及び方法を用いて、インクジェット記録用イエローインクを得た。
[構造式(5)−1]
【化24】

【0051】
〔実施例4〕
<4−K>インク
下記処方の材料をイオン交換水に溶解し、0.2μmのフィルターでろ過してインクジェット記録用ブラックインクを得た。

・BAYSCRIPT Black SP liquid 20.0重量部
(染料濃度30%、ランクセス社製)
・前記構造式(1)−1で表される材料 0.25重量部
・前記構造式(3)−2で表されるフッ素系界面活性剤 0.05重量部
・グリセリン 23.0重量部
・エチレングリコールモノブチルエーテル 23.0重量部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0重量部
・2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール 0.3重量部
・プロキセルLV(アベシア社製、防腐防黴剤) 0.1重量部
・イオン交換水 残量
計100重量部
【0052】
<4−C>インク
上記<4−K>インクの染料を、前記構造式(8)−1で表される染料2.5重量部に変え、グリセリンとエチレングリコールモノブチルエーテルをそれぞれ30.0重量部に変えた点以外は同様の処方及び方法を用いてインクジェット記録用シアンインクを得た。
【0053】
<4−M>インク
上記<4−C>インクの染料を、下記構造式(7)−2で表される染料2.0重量部に変えた点以外は同様の処方及び方法を用いて、インクジェット記録用マゼンタインクを得た。
[構造式(7)−2]
【化25】

【0054】
<4−Y>インク
上記<4−M>インクの染料を、前記構造式(5)−1で表される染料1.4重量部と、構造式(6)−2で表される染料0.6重量部に変えた点以外は同様の処方及び方法を用いて、インクジェット記録用イエローインクを得た。
【0055】
〔実施例5〕
<5−K>インク
下記処方の材料をイオン交換水に溶解し、0.2μmのフィルターでろ過してインクジェット記録用ブラックインクを得た。

・前記構造式(9)で表される染料 9.0重量部
・前記構造式(1)−1で表される材料 0.1重量部
・前記構造式(2)−1で表されるフッ素系界面活性剤 0.1重量部
・グリセリン 8.0重量部
・3−メチル−1,3−ブタンジオール 24.0重量部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0重量部
・2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール 0.3重量部
・プロキセルLV(アベシア社製、防腐防黴剤) 0.1重量部
・イオン交換水 残量
計100重量部
【0056】
<5−C>インク
上記<5−K>インクの染料を、前記構造式(8)−1で表される染料4.5重量部に変え、グリセリンを10.0重量部に、3−メチル−1,3−ブタンジオールを30.0重量部に変えた点以外は同様の処方及び方法を用いて、インクジェット記録用シアンインクを得た。
【0057】
<5−M>インク
上記<5−C>インクの染料を、前記構造式(7)−1で表される染料4.0重量部に変えた点以外は同様の処方及び方法を用いて、インクジェット記録用マゼンタインクを得た。
【0058】
<5−Y>インク
上記<5−M>インクの染料を、前記構造式(5)−1で表される染料4.5重量部に変えた点以外は同様の処方及び方法を用いて、インクジェット記録用イエローインクを得た。
【0059】
〔実施例6〕
<6−K>インク
下記処方の材料をイオン交換水に溶解し、0.2μmのフィルターでろ過してインクジェット記録用ブラックインクを得た。

・Duasyn Black HEF−SF Liquid 45.0重量部
(ダイレクトブラック168、染料濃度20%、クラリアント社製)
・前記構造式(1)−2で表される材料 0.3重量部
・前記構造式(2)−2で表されるフッ素系界面活性剤 0.05重量部
・グリセリン 9.0重量部
・1,3−ブタンジオール 26.0重量部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0重量部
・2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール 0.7重量部
・プロキセルLV(アベシア社製、防腐防黴剤) 0.1重量部
・イオン交換水 残量
計100重量部
【0060】
<6−C>インク
上記<6−K>インクの染料を、前記構造式(8)−2で表される染料4.5重量部に変え、グリセリンを11.0重量部に、1,3−ブタンジオールを33.0重量部に変えた点以外は同様の処方及び方法を用いて、インクジェット記録用シアンインクを得た。
【0061】
<6−M>インク
上記<6−C>インクの染料を、前記構造式(7)−1で表される染料4.0重量部に変えた点以外は同様の処方及び方法を用いて、インクジェット記録用マゼンタインクを得た。
【0062】
<6−Y>インク
上記<6−M>インクの染料を、前記構造式(6)−1で表される染料4.5重量部に変えた点以外は同様の処方及び方法を用いて、インクジェット記録用イエローインクを得た。
【0063】
〔実施例7〕
<4−K>インク
下記処方の材料をイオン交換水に溶解し、0.2μmのフィルターでろ過してインクジェット記録用ブラックインクを得た。

・BAYSCRIPT Black SP liquid 45.0重量部
(染料濃度30%、ランクセス社製)
・前記構造式(1)−1で表される材料 0.4重量部
・前記構造式(2)−3で表されるフッ素系界面活性剤 0.05重量部
・グリセリン 9.0重量部
・1,3−ブタンジオール 27.0重量部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0重量部
・2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール 0.5重量部
・プロキセルLV(アベシア社製、防腐防黴剤) 0.1重量部
・イオン交換水 残量
計100重量部
【0064】
<7−C>インク
上記<7−K>インクの染料を、前記構造式(8)−1で表される染料4.5重量部に変え、グリセリンを11.0重量部に、1,3−ブタンジオールを33.0重量部に変えた点以外は同様の処方及び方法を用いて、インクジェット記録用シアンインクを得た。
【0065】
<7−M>インク
上記<7−C>インクの染料を、前記構造式(7)−2で表される染料4.0重量部に変えた点以外は同様の処方及び方法を用いて、インクジェット記録用マゼンタインクを得た。
【0066】
<7−Y>インク
上記<7−M>インクの染料を、前記構造式(5)−1で表される染料3.0重量部と、構造式(6)−1で表される染料1.5重量部に変えた点以外は同様の処方及び方法を用いて、インクジェット記録用イエローインクを得た。
【0067】
〔実施例8〕
<8−K>インク
下記処方の材料をイオン交換水に溶解し、0.2μmのフィルターでろ過してインクジェット記録用ブラックインクを得た。

・Duasyn Black HEF−SF Liquid 30.0重量部
(ダイレクトブラック168、染料濃度20%、クラリアント社製)
・下記構造式(1)−3で表される材料 0.4重量部
・下記構造式(2)−4で表されるフッ素系界面活性剤 0.1重量部
・グリセリン 16.0重量部
・1,3−ブタンジオール 30.0重量部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 1.5重量部
・2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール 0.5重量部
・プロキセルLV(アベシア社製、防腐防黴剤) 0.1重量部
・イオン交換水 残量
計100重量部
【0068】
[構造式(1)−3](R、R:−C13、R、R:−CH、j=2)
2,6,9,19−テトラメチルテトラデカン−6,9−ジオール
【化26】

[構造式(2)−4]
(Rf1:−C、k=21、Q:−CHCH(OH)CH−C
【化27】

【0069】
<8−C>インク
実施例3の<3−C>インクで用いた構造式(1)−2で表される材料を前記構造式(1)−3で表される材料に変え、構造式(3)−1で表されるフッ素系界面活性剤を前記構造式(2)−4で表されるフッ素系界面活性剤に変え、グリセリンを19重量部に増やし、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールを1.5重量部に減らした点以外は、同様の処方及び方法を用いて、シアンインクジェット記録用インクを得た。
【0070】
<8−M>インク
実施例3の<3−M>インクで用いた構造式(1)−2で表される材料を前記構造式(1)−3で表される材料に変え、構造式(3)−1で表されるフッ素系界面活性剤を前記構造式(2)−4で表されるフッ素系界面活性剤に変え、グリセリンを19重量部に増やし、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールを1.5重量部に減らした点以外は、同様の処方及び方法を用いて、マゼンタインクジェット記録用インクを得た。
【0071】
<8−Y>インク
実施例3の<3−Y>インクで用いた構造式(1)−2で表される材料を前記構造式(1)−3で表される材料に変え、構造式(3)−1で表されるフッ素系界面活性剤を前記構造式(2)−4で表されるフッ素系界面活性剤に変え、グリセリンを19重量部に増やし、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールを1.5重量部に減らした点以外は、同様の処方及び方法を用いて、イエローインクジェット記録用インクを得た。
【0072】
〔比較例1〕
<9−K、9−C、9−M、9−Y>インク
実施例2で用いた構造式(1)−2で表される材料を、下記構造式(1)−4で表される材料に変えた点以外は同様の処方及び方法を用いて、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各インクジェット記録用インクを得た。
[構造式(1)−4](R、R:−C、R、R:−CH
2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール
【化28】

【0073】
〔比較例2〕
<10−K、10−C、10−M、10−Y>インク
実施例4で用いた構造式(1)−1で表される材料を添加しなかった点以外は同様の処方及び方法を用いて、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各インクジェット記録用インクを得た。
【0074】
〔比較例3〕
<11−K、11−C、11−M、11−Y>インク
実施例3で用いた構造式(3)−1で表されるフッ素系界面活性剤を下記構造式(3)−3で表される材料に変えた点以外は同様の処方及び方法を用いて、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各インクジェット記録用インクを得た。
[構造式(3)−3](Rf:−C、R:水素、m=21、n=4、p=4)
【化29】

【0075】
〔比較例4〕
<12−K、12−C、12−M、12−Y>インク
実施例5で用いた構造式(2)−1で表されるフッ素系界面活性剤を下記構造式(2)−5で表される材料に変えた点以外は同様の処方及び方法を用いて、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各インクジェット記録用インクを得た。
[構造式(2)−5](Rf:−C、k=45)
【化30】

【0076】
〔比較例5〕
<13−K、13−C、13−M、13−Y>インク
実施例7で用いた構造式(2)−3で表されるフッ素系界面活性剤を、ゾニールFS−300〔ポリオキシアルキレン(C2〜3)−2−パーフルオロアルキル(C4〜16)エチルエーテル、固形分40%、デュポン社製〕に変えた点以外は同様の処方及び方法を用いてブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各インクジェット記録用インクを得た。
【0077】
〔比較例6〕
<14−K、14−C、14−M、14−Y>インク
実施例7で用いた構造式(2)−3で表されるフッ素系界面活性剤を添加しなかった点以外は同様の処方及び方法を用いて、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各インクジェット記録用インクを得た。
【0078】
上記実施例及び比較例で作成した各インクについて、以下の試験(1)〜(5)を行って評価した。
(1)表面張力の測定
協和界面科学社製CBVP−Z型を用いて、25℃における表面張力を測定した。結果を〔表1〕、〔表2〕に示す。
(2)引火点の測定
クリーブランド開放式引火点試験法を用い、JIS−K2265に記載される方法に従って引火点を測定した。結果を〔表1〕、〔表2〕に示す。
【0079】
(3)消泡性試験
作製後50℃で1ヶ月間保存した記録用インクを、10℃の環境下で100mlのメスシリンダーに10ml入れ、該記録用インクと気泡の体積が100mlになるまで一定圧力の空気を注入し、30秒経過又は、該記録用インクと気泡の体積合計が100mlになった時点で空気の注入を停止した。そして、空気の注入を停止した時点から該記録用インクと気泡の体積合計が20mlになるまでの時間を計測して消泡時間とし、以下の基準で評価した。結果を〔表1〕、〔表2〕に示すが、A、Bが許容範囲である。
〔消泡性評価基準〕
A:消泡時間が10秒未満
B:消泡時間が10秒以上、30秒未満
C:消泡時間が30秒以上、300秒未満
D:消泡時間が300秒以上
【0080】
(4)吐出安定性の測定
各インクをインクカートリッジに充填し、図1〜図2に示す構造のインクジェットプリンタ(IPSiO G707:リコー社製)にセットして、以下の方法で吐出安定性の評価を行った。
ノズルプレートをセットしたプリンタを用いて10分間連続印字を行ない、ヘッド面にインクが付着した状態で保湿キャップをしてプリンタを50℃60%RH環境下で1ヶ月間放置した後、クリーニングを実施して放置前と同等に復帰させた。その後、以下の条件で間欠印写試験を行ない吐出安定性を評価した。
すなわち、印刷パターンチャートを20枚連続で印字した後、20分間印字を実施しない休止状態にし、これを50回繰り返し、累計で1000枚印写した後、もう1枚同じチャートを印写した時の、5%チャートベタ部の筋、白抜け、噴射乱れの有無を目視で評価した。なお、上記印刷パターンは、紙面全面積中、各色印字面積が5%であるチャートにおいて、各インクを100%dutyで印字した。印字条件は、記録密度300dpi、ワンパス印字とした。評価基準は以下のとおりであり、評価結果を〔表1〕、〔表2〕に示す。ランクA、Bが許容範囲である。
〔評価基準〕
A:ベタ部にスジ、白抜け、噴射乱れが無い。
B:ベタ部にスジ、白抜け、噴射乱れが若干認められる。
C:ベタ部にスジ、白抜け、噴射乱れが認められる。
D:ベタ部全域にわたってスジ、白抜け、噴射乱れが認められる。
【0081】
(5)カラーブリード
各記録用インクをインクカートリッジに充填してセットした上記プリンタを用いマゼンタ、シアン、イエロー及びマゼンタとイエローを記録媒体上で混色させて形成する赤、シアンとイエローを記録媒体上で混色させて形成する緑のカラーインクからなるベタ画像部中にブラックインクの文字を印字する印刷パターンを用い、試験用紙としてマイペーパー(リコー社製)を用いて印字を行った。印字条件は100%duty、記録密度は300dpi、ワンパス印字とした。カラーインクとブラックインク間のカラーブリード(にじみ)を目視で評価した。評価基準は下記のとおりである。評価結果を〔表3〕に示すが、A、Bが許容範囲である。
〔評価基準〕
A:カラーブリードの発生がなく、黒文字が鮮明に認識できる。
B:カラーブリードが若干発生し、黒文字が少しにじむ。
C:カラーブリードが発生し、黒文字がにじむが認識は可能である。
D:カラーブリードが発生し、黒文字の認識が困難である。
【0082】
【表1】

【0083】
【表2】

【0084】
【表3】

【符号の説明】
【0085】
101 装置本体
102 給紙トレイ
103 排紙トレイ
104 インクカートリッジ装填部
105 操作部
111 上カバー
112 前カバーの前面
115 前カバー
131 ガイドロッド
132 ステー
133 キャリッジ
134 記録ヘッド
135 サブタンク
141 用紙載置部
142 用紙
143 給紙コロ
144 分離パッド
145 ガイド
151 搬送ベルト
152 カウンタローラ
153 搬送ガイド
154 押さえ部材
155 加圧コロ
156 帯電ローラ
157 搬送ローラ
158 テンションローラ
161 ガイド部材
171 分離爪
172 排紙ローラ
173 排紙コロ
181 両面給紙ユニット
182 手差し給紙部
200 インクカートリッジ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0086】
【特許文献1】特開2002−138226号公報
【特許文献2】特開2006−316243号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各インクからなるインクジェット記録用インクセットにおいて、各インクが、少なくとも水溶性染料、水溶性溶剤、フッ素系界面活性剤、下記構造式(1)で表される化合物、及び水を含有し、該フッ素系界面活性剤が、下記構造式(2)、(3)、(4)で表される化合物から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とするインクジェット記録用インクセット。
[構造式(1)]
HORC−(CH−CROH
ただし、上記式中、R及びRは、それぞれ独立に炭素数3〜6のアルキル基であり、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜2のアルキル基であり、jは1〜6の自然数である。
[構造式(2)]
Rf−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)−Q
ただし、上記式中、Rfは−C又は−C、Qは−C2b+1(bは11〜19の自然数を示す)、−CHCH(OH)CH−C、又は−CHCH(OH)CH−Cを表し、kは20〜35である。
[構造式(3)]
【化31】

ただし、上記式中、Rは水素、又はアシル基であり、Rfは−CF、又は−Cであり、m=10〜30、n+p=4〜10である。
[構造式(4)]
【化32】

ただし、上記式中、Mはアルカリ金属又は第4級アンモニウム、Rfは−CF又は−Cであり、q=4〜10である。
【請求項2】
前記水溶性溶剤の含有量Sと水の含有量Wとの比率が、0.7≦S/W≦1.6の範囲にあり、かつ各インクが引火点を持たないことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用インクセット。
【請求項3】
前記イエローインクに用いられる水溶性染料が下記構造式(5)又は構造式(6)で表されることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録用インクセット。
[構造式(5)]
【化33】

[構造式(6)]
【化34】

ただし、上記式中、A、Bはアルコキシ基、Tはアルカノールアミノ基、Dは−SOM(Mはアルカリ金属)であり、tは1である。
【請求項4】
前記マゼンタインクに用いられる水溶性染料が下記構造式(7)で表されることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録用インクセット。
[構造式(7)]
【化35】

ただし、上記式中、Xは水素又はアリール基、Zは水素又はハロゲン、Mはアルカリ金属である。
【請求項5】
前記シアンインクに用いられる水溶性染料が下記構造式(8)で表されることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録用インクセット。
[構造式(8)]
【化36】

ただし、上記式中、Mはアルカリ金属又は第4級アンモニウムであり、tは0〜3の整数、uは1〜2の整数である。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセットを用い、各インクに刺激を印加して飛翔させ画像を記録することを特徴とするインクジェット記録方法。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセットを用いて記録された記録物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−6994(P2012−6994A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141348(P2010−141348)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】