説明

インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法

【課題】 被記録媒体の記録面から搬送用ローラへの画像転写、および前記搬送用ローラから後続の記録面への前記画像の再転写が抑制され、記録品質に優れるインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】 インク収容部、インク吐出手段2および搬送用ローラ4を含み、前記インク収容部にインクジェット記録用水性インクが収容され、被記録媒体1の記録面に前記水性インクを前記インク吐出手段2によって吐出して記録し、記録後の前記被記録媒体1を前記搬送用ローラ4によって搬送するインクジェット記録装置100であって、さらに、粉体供給手段を含み、前記粉体供給手段により、前記搬送用ローラ4表面に非水溶性粉体3を移動可能な状態で付着させることで、前記被記録媒体1の記録面と前記搬送用ローラ4表面との間に前記非水溶性粉体3を介在させた状態で、記録後の前記被記録媒体1が搬送され、前記非水溶性粉体3が、粒子径15μm以上の粒子を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、高速記録、高品質記録が可能な記録装置として、インクジェット記録装置が汎用されている。前記インクジェット記録装置では、インク吐出手段から吐出されたインクを被記録媒体の記録面に付着させることで所望の画像を記録する。前記インクジェット記録装置では、前記インク吐出手段より前記被記録媒体の搬送方向の下流側に配置されたローラ(搬送用ローラ)に前記被記録媒体の記録面に記録された画像が転写されることがある。前記搬送用ローラに前記画像が転写されると、さらに、後続の前記被記録媒体の記録面に前記画像が再転写し、記録品質が劣化する。この問題は、乾燥速度が遅い水性顔料インクを用いた場合、および高速記録が求められる場合において特に顕著である。
【0003】
前記問題を解決するものとして、砥粒、ガラス粒子、金属粒子等を表面に突出させるとともに、表面をコーティングした搬送用ローラが提案されている(特許文献1)。この搬送用ローラでは、前記粒子の突出により、前記搬送用ローラ表面と前記被記録媒体の記録面との接触面積を少なくすることで、後続の前記被記録媒体の記録面への前記画像の再転写を少なくしている。
【0004】
【特許文献1】実開平5−72844号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記搬送用ローラでは、前記コーティングにより、前記粒子が前記搬送用ローラ表面に固着しているため、前記粒子の突出部による前記画像の再転写までは防止できない。
【0006】
そこで、本発明は、被記録媒体の記録面から搬送用ローラへの画像転写、および前記搬送用ローラから後続の前記被記録媒体の記録面への前記画像の再転写が抑制され、記録品質に優れるインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明のインクジェット記録装置は、
インク収容部、インク吐出手段および搬送用ローラを含み、
前記インク収容部にインクジェット記録用水性インクが収容され、
被記録媒体の記録面に前記水性インクを前記インク吐出手段によって吐出して記録し、
記録後の前記被記録媒体を前記搬送用ローラによって搬送するインクジェット記録装置であって、
さらに、非水溶性粉体を供給する粉体供給手段を含み、
前記粉体供給手段により、前記搬送用ローラに前記非水溶性粉体を移動可能な状態で付着させることで、前記被記録媒体の記録面と前記搬送用ローラ表面との間に前記非水溶性粉体を介在させた状態で、記録後の前記被記録媒体が搬送され、
前記非水溶性粉体が、粒子径15μm以上の粒子を含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明のインクジェット記録方法は、被記録媒体の記録面にインクジェット記録用水性インクをインクジェット方式で吐出して記録する記録工程と、記録後の前記被記録媒体を搬送用ローラによって搬送する搬送工程とを含むインクジェット記録方法であって、
前記搬送工程は、前記搬送用ローラに非水溶性粉体を移動可能な状態で付着させることで、前記被記録媒体の記録面と前記搬送用ローラ表面との間に前記非水溶性粉体を介在させた状態で、記録後の前記被記録媒体を搬送する工程であり、
前記非水溶性粉体が、粒子径15μm以上の粒子を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法では、搬送用ローラ表面に前記所定の粒子径の粒子を含む非水溶性粉体を移動可能な状態で付着させることで、前記被記録媒体の記録面と前記搬送用ローラ表面との間に前記非水溶性粉体を介在させた状態で、記録後の前記被記録媒体を搬送する。このため、本発明のインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法では、前記被記録媒体の記録面から前記搬送用ローラへの画像転写、および前記搬送用ローラから後続の前記被記録媒体の記録面への前記画像の再転写が抑制され、記録品質に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明において、「移動可能な状態」とは、前記搬送用ローラ表面に前記非水溶性粉体を固着させず、例えば、静電力や弱い粘着力等で付着させた状態である。前記「移動可能な状態」にあっては、例えば、微弱な力で、前記搬送用ローラ表面を前記非水溶性粉体が回転等により自由に移動し、前記搬送用ローラ表面から前記非水溶性粉体を自在に取り除ける。
【0011】
本発明において、「粒子径」は、例えば、ふるい分け法によって測定した試験用ふるいの目開きで表したもの、沈降法によるストークス相当径で表したもの、顕微鏡法による円相当径で表したもの、光散乱法による球相当値で表したもの、電気抵抗試験方法(コールタカウンタ法)による球相当値で表したもの等、従来公知の方法で測定したものを採用してもよい。
【0012】
本発明のインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法において、前記水性インクが、顔料を含んでもよい。本発明のインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法によれば、例えば、乾燥速度が遅い水性顔料インクを用いる場合においても、前記被記録媒体の記録面から前記搬送用ローラへの画像転写、および前記搬送用ローラから後続の前記被記録媒体の記録面への前記画像の再転写を好適に抑制でき、記録品質に優れる。
【0013】
本発明のインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法において、前記非水溶性粉体は、粒子径が15μm〜50μmの粒子を含むことが好ましく、粒子径が18μm〜50μmの粒子を含むことがより好ましい。
【0014】
本発明のインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法において、前記非水溶性粉体が、アクリル粒子、ジビニルベンゼンポリマー粒子、ガラス粒子およびポリスチレン粒子からなる群から選択される少なくとも一種の粒子を含むことが好ましい。
【0015】
つぎに、本発明のインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法について、例をあげて、詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の説明に制限および限定されない。
【0016】
本発明のインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法では、インクジェット記録用水性インク(以下、単に「インク」または「水性インク」ということがある)を用いて被記録媒体の記録面に記録する。
【0017】
前記水性インクは、着色剤および水を含む。前記着色剤は、特に限定されず、顔料または染料のいずれであってもよい。また、前記着色剤として、顔料および染料を混合して用いてもよい。
【0018】
前記顔料は、特に限定されず、例えば、カーボンブラック、無機顔料および有機顔料等が使用できる。前記カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等があげられる。前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄系無機顔料およびカーボンブラック系無機顔料等をあげることができる。前記有機顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料;フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料;塩基性染料型レーキ顔料、酸性染料型レーキ顔料等の染料レーキ顔料;ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック昼光蛍光顔料等があげられる。また、その他の顔料であっても水相に分散可能なものであれば使用できる。これら顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラック1、6および7;C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14、15、16、17、55、73、74、75、83、93、94、95、97、98、114、128、129、138、150、151、154、180、185および194;C.I.ピグメントオレンジ31および43;C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、12、15、16、48、48:1、53:1、57、57:1、112、122、123、139、144、146、149、166、168、175、176、177、178、184、185、190、202、221、222、224および238;C.I.ピグメントバイオレット196;C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、22および60;C.I.ピグメントグリーン7および36等があげられる。
【0019】
前記顔料は、自己分散型顔料を含んでもよい。前記自己分散型顔料は、例えば、顔料粒子の表面にカルボキシル基、カルボニル基、ヒドロキシル基、スルホン基等の親水性官能基およびそれらの塩の少なくとも一種が、直接または多価の基を介して化学結合により導入されていることによって、分散剤を使用しなくても水に分散可能なものである。
【0020】
前記自己分散型顔料は、特に限定されず、例えば、特開平8−3498号公報、特表2000−513396号公報等に記載の方法によって表面処理された自己分散型顔料を用いることができる。前記自己分散型顔料は、例えば、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ社製の「CAB−O−JET(登録商標)200」、「CAB−O−JET(登録商標)250C」、「CAB−O−JET(登録商標)260M」、「CAB−O−JET(登録商標)270Y」および「CAB−O−JET(登録商標)300」;オリエント化学工業(株)製の「BONJET(登録商標)BLACK CW−1」、「BONJET(登録商標)BLACK CW−2」および「BONJET(登録商標)BLACK CW−3」;東洋インキ製造(株)製の「LIOJET(登録商標)WD BLACK 002C」;等があげられる。
【0021】
前記自己分散型顔料の原料として用いることができる顔料は、特に限定されず、無機顔料および有機顔料のいずれも使用することができる。また、前記表面処理を行うのに適した無機顔料としては、例えば、三菱化学(株)製の「MA8」および「MA100」;デグサ社製の「カラーブラックFW200」;等のカーボンブラックがあげられる。
【0022】
前記水性インク全量に対する前記顔料の配合量(顔料割合)は、特に限定されず、例えば、所望の光学濃度または色彩等により、適宜決定できる。前記顔料割合は、例えば、0.1重量%〜20重量%であり、好ましくは、1重量%〜10重量%であり、より好ましくは、2重量%〜8重量%である。前記顔料は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0023】
前記染料は、特に限定されず、例えば、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料等があげられる。前記染料の具体例としては、例えば、C.I.ダイレクトブラック、C.I.ダイレクトブルー、C.I.ダイレクトレッド、C.I.ダイレクトイエロー、C.I.ダイレクトオレンジ、C.I.ダイレクトバイオレット、C.I.ダイレクトブラウン、C.I.ダイレクトグリーン、C.I.アシッドブラック、C.I.アシッドブルー、C.I.アシッドレッド、C.I.アシッドイエロー、C.I.アシッドオレンジ、C.I.アシッドバイオレット、C.I.ベーシックブラック、C.I.ベーシックブルー、C.I.ベーシックレッド、C.I.ベーシックバイオレットおよびC.I.フードブラック等があげられる。前記C.I.ダイレクトブラックとしては、例えば、C.I.ダイレクトブラック17、19、32、51、71、108、146、154および168等があげられる。前記C.I.ダイレクトブルーとしては、例えば、C.I.ダイレクトブルー6、22、25、71、86、90、106および199等があげられる。前記C.I.ダイレクトレッドとしては、例えば、C.I.ダイレクトレッド1、4、17、28、83および227等があげられる。前記C.I.ダイレクトイエローとしては、例えば、C.I.ダイレクトイエロー12、24、26、86、98、132、142および173等があげられる。前記C.I.ダイレクトオレンジとしては、例えば、C.I.ダイレクトオレンジ34、39、44、46および60等があげられる。前記C.I.ダイレクトバイオレットとしては、例えば、C.Iダイレクトバイオレット47および48等があげられる。前記C.I.ダイレクトブラウンとしては、例えば、C.I.ダイレクトブラウン109等があげられる。前記C.I.ダイレクトグリーンとしては、例えば、C.I.ダイレクトグリーン59等があげられる。前記C.I.アシッドブラックとしては、例えば、C.I.アシッドブラック2、7、24、26、31、52、63、112および118等があげられる。前記C.I.アシッドブルーとしては、例えば、C.I.アシッドブルー9、22、40、59、93、102、104、117、120、167、229および234等があげられる。前記C.I.アシッドレッドとしては、例えば、C.I.アシッドレッド1、6、32、37、51、52、80、85、87、92、94、115、180、256、289、315および317等があげられる。前記C.I.アシッドイエローとしては、例えば、C.I.アシッドイエロー11、17、23、25、29、42、61および71等があげられる。前記C.I.アシッドオレンジとしては、例えば、C.I.アシッドオレンジ7および19等があげられる。前記C.I.アシッドバイオレットとしては、例えば、C.I.アシッドバイオレット49等があげられる。前記C.I.ベーシックブラックとしては、例えば、C.I.ベーシックブラック2等があげられる。前記C.I.ベーシックブルーとしては、例えば、C.I.ベーシックブルー1、3、5、7、9、24、25、26、28および29等があげられる。前記C.I.ベーシックレッドとしては、例えば、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14および37等があげられる。前記C.I.ベーシックバイオレットとしては、例えば、C.I.ベーシックバイオレット7、14および27等があげられる。前記C.I.フードブラックとしては、例えば、C.I.フードブラック1および2等があげられる。これらの染料は、例えば、鮮明性、水溶性および安定性等の特性に優れる。
【0024】
前記水性インク全量に対する前記染料の配合量(染料割合)は、特に限定されず、例えば、0.1重量%〜20重量%であり、好ましくは、1重量%〜10重量%であり、より好ましくは、2重量%〜8重量%である。前記染料は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0025】
前記水は、イオン交換水または純水であることが好ましい。前記水性インク全量に対する前記水の配合量(水割合)は、所望のインク特性等に応じて適宜決定される。前記水割合は、例えば、他の成分の残部としてもよい。
【0026】
前記水性インクは、さらに、インクジェットヘッドのノズル部におけるインクの乾燥を防止する湿潤剤および被記録媒体上での乾燥速度を調整する浸透剤を含むことができる。
【0027】
前記湿潤剤は、特に限定されず、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の低級アルコール;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド;アセトン等のケトン;ジアセトンアルコール等のケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;ポリアルキレングリコール、アルキレングリコール、グリセリン等の多価アルコール;2−ピロリドン;N−メチル−2−ピロリドン;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等があげられる。前記ポリアルキレングリコールは、特に限定されず、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等があげられる。前記アルキレングリコールは、特に限定されず、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール等があげられる。これらの中でも、アルキレングリコール、グリセリン等の多価アルコールが好適である。前記湿潤剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0028】
前記水性インク全量に対する前記湿潤剤の配合量(湿潤剤割合)は、特に限定されず、例えば、0重量%〜95重量%であり、好ましくは、10重量%〜80重量%であり、より好ましくは、10重量%〜50重量%である。
【0029】
前記浸透剤は、特に限定されず、例えば、グリコール系エーテルがあげられる。前記グリコール系エーテルは、特に限定されず、例えば、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコール−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコール−n−ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコール−n−プロピルエーテル、トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコール−n−プロピルエーテル、プロピレングリコール−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコール−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルエーテル、トリプロピレングリコール−n−プロピルエーテル、トリプロピレングリコール−n−ブチルエーテル等があげられる。前記浸透剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0030】
前記水性インク全量に対する前記浸透剤の配合量(浸透剤割合)は、特に限定されず、例えば、0重量%〜20重量%である。前記浸透剤割合を前記範囲とすることで、前記インクの記録用紙等の被記録媒体への浸透性を、より好適なものとできる。前記浸透剤割合は、好ましくは、0.1重量%〜15重量%であり、より好ましくは、0.5重量%〜10重量%である。
【0031】
前記水性インクは、必要に応じて、さらに、従来公知の添加剤を含んでもよい。前記添加剤としては、例えば、界面活性剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、防黴剤等があげられる。前記粘度調整剤は、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性樹脂等があげられる。
【0032】
前記水性インクは、例えば、前記着色剤および水と、必要に応じて他の添加成分とを、従来公知の方法で均一に混合し、フィルタ等で不溶解物を除去することにより調製できる。
【0033】
つぎに、本発明のインクジェット記録装置は、インク収容部、インク吐出手段および搬送用ローラを有する。さらに、本発明のインクジェット記録装置は、粉体供給手段を含む。本発明のインクジェット記録装置において、前記搬送用ローラおよび前記粉体供給手段以外の構成は、従来のインクジェット記録装置と同様にすることができる。
【0034】
本発明のインクジェット記録装置は、シリアル型インクジェット記録装置であってもよいが、ライン型インクジェット記録装置であることが好ましい。前記シリアル型インクジェット記録装置は、インクジェットヘッド自体が前記被記録媒体の記録面の幅方向に移動しながら記録を行う。これに対し、前記ライン型インクジェット記録装置は、前記被記録媒体の幅以上の記録幅を持つライン型インクジェットヘッドを含み、インクジェットヘッドを固定した状態で前記被記録媒体の幅方向の記録を一括して行うことができる。前記ライン型インクジェット記録装置は、同時に記録できる記録幅が広いため、前記シリアル型インクジェット記録装置と比較して、格段に記録速度が速い。
【0035】
図1に、本発明のインクジェット記録装置の構成の一例を示す。このインクジェット記録装置100は、インク収容部(図示せず)と、インクジェットヘッド2と、搬送用ローラ4と、ニップローラ5と、被記録媒体搬送ガイド8と、給紙用ローラ9とを主要な構成部材として含む。インクジェット記録装置100において、インクジェットヘッド2が、前記インク吐出手段である。
【0036】
前記インクジェット記録装置100の内部には、給紙部(図示せず)から前記被記録媒体搬送ガイド8を介し、前記搬送用ローラ4および前記ニップローラ5に向かって被記録媒体1が搬送される被記録媒体搬送経路が形成されている。矢印Xは、前記被記録媒体1が搬送される被記録媒体搬送方向を示す。前記給紙部(図示せず)は、被記録媒体搬送方向Xの上流側(図1において右側)に配置されており、被記録媒体1を前記被記録媒体搬送ガイド8側へと送り出す。送り出された前記被記録媒体1は、前記被記録媒体搬送ガイド8に導かれ、前記給紙用ローラ9下方へと搬送される。
【0037】
前記給紙用ローラ9は、前記インクジェットヘッド2よりも前記被記録媒体搬送方向Xの上流側(図1において右側)に配置されており、矢印dで示すように回転することで、前記被記録媒体1を、前記インクジェットヘッド2下方へと搬送する。前記給紙用ローラ9としては、例えば、金属製の芯の周囲にゴムを円筒状に成形したもの等、従来公知のものを使用できる。前記給紙用ローラ9の直径は、特に限定されないが、例えば、10mm〜30mmであり、好ましくは、12mm〜20mmである。前記給紙用ローラ9の長さも、特に限定されないが、前記被記録媒体1の幅より少し長い程度が好ましい。例えば、前記被記録媒体1として、A4判用紙を用いる場合には、前記給紙用ローラ9の長さは、例えば、220mm〜230mmであり、A3判用紙を用いる場合には、前記給紙用ローラ9の長さは、例えば、310mm〜330mmである。
【0038】
前記インク収容部(図示せず)は、前記インクジェット記録用水性インクを含む。前記インク収容部としては、例えば、インクカートリッジ等があげられる。前記インクカートリッジの本体としては、例えば、従来公知のものを使用できる。前記インク収容部は、前記インクジェットヘッド2に前記水性インクを供給する。前記インクジェットヘッド2は、前記インク収容部直下に配置されていてもよいし、前記インク収容部とチューブ等で連結されていてもよい。前記給紙用ローラ9によって搬送された前記被記録媒体1が、前記インクジェットヘッド2の下方を通過する際に、前記被記録媒体1の記録面に向けて、前記水性インクが吐出される。これにより、前記被記録媒体1の記録面に画像が記録される。記録後の前記被記録媒体1は、前記被記録媒体搬送ガイド8に導かれ、前記搬送用ローラ4および前記ニップローラ5の間へと搬送される。
【0039】
前記インクジェット記録装置100は、前記インクジェットヘッド2と、前記搬送用ローラ4との間に、さらに、粉体供給手段を含む。前記粉体供給手段は、ホッパ7および粉体供給用ブレード6を含む。前記ホッパ7には、非水溶性粉体3が充填されている。前記粉体供給用ブレード6は、前記ホッパ7下部から前記被記録媒体搬送方向Xの下流側(図1において左側)に向かって傾斜した後、前記被記録媒体搬送ガイド8左端上部で屈曲し、前記被記録媒体搬送方向Xに対し垂直に前記被記録媒体搬送ガイド8の左上端近傍へと延びた略L字状の形状である。前記粉体供給用ブレード6の材質は、特に限定されず、例えば、樹脂、金属等があげられる。
【0040】
前記ホッパ7に充填された前記非水溶性粉体3は、矢印aで示すように、前記粉体供給用ブレード6の右端側に落下した後、前記粉体供給ブレード6の傾斜に沿って流れ落ち、前記搬送用ローラ4の右上部へと供給される。前記非水溶性粉体3は、前記搬送用ローラ4が、矢印bで示すように回転することで、前記搬送用ローラ4表面に移動可能な状態で付着する。前記粉体供給手段は、前記搬送用ローラ4表面により均一に前記非水溶性粉体3を付着させることが可能となることから、前記粉体供給用ブレード6を含むことが好ましいが、これに限定されず、前記ホッパ7のみで構成されていてもよい。
【0041】
前記搬送用ローラ4および前記ニップローラ5は、前記被記録媒体搬送ガイド8より前記被記録媒体搬送方向Xの下流側に、前記搬送用ローラ4が、前記被記録媒体1の記録面側となるように、前記被記録媒体搬送方向Xと垂直に並んで配置されている。記録後の前記被記録媒体1は、前記搬送用ローラ4および前記ニップローラ5が、矢印bおよびcで示すように逆方向に回転することで、前記被記録媒体1の記録面と前記搬送用ローラ4表面との間に前記非水溶性粉体3を介在させた状態で搬送される。前記搬送用ローラ4としては、金属製の芯の周囲にゴムを円筒状に成形し、その表面に前記非水溶性粉体3を付着させやすくするための凹凸を有するローラが好ましいが、これに限定されず、前記非水溶性粉体3を付着させることができるローラであればいかなるものであってもよい。前記ニップローラ5としては、例えば、金属製の芯の周囲にゴムを円筒状に成形したもの等、従来公知のものを使用できる。前記搬送用ローラ4および前記ニップローラ5の大きさは、前記給紙用ローラ9の大きさと同様である。
【0042】
前記粉体供給手段の構成は、図1に示す構成に限定されず、前記搬送用ローラ4表面に前記非水溶性粉体3を移動可能な状態で付着させることができるものであればいかなる構成であってもよい。図2に、前記粉体供給手段の構成例を示す。図2において、図1と同一部分には、同一符号を付している。前記粉体供給手段は、例えば、図2(A)に示すように、前記被記録媒体1の記録面と前記搬送用ローラ4との接点より前記被記録媒体搬送方向Xの下流側(図2(A)において左側)に、前記搬送用ローラ4表面から前記非水溶性粉体3を除去するための粉体除去用ブレード10を有するものであってもよい。除去後の前記非水溶性粉体3は、例えば、前記粉体除去用ブレード10近傍に設けられた粉体回収容器(図示せず)に回収される。また、前記粉体供給手段は、例えば、図2(B)に示すように、前記ホッパ7下部から前記被記録媒体搬送方向Xの下流側(図2(B)において左側)に向かって傾斜した粉体供給用ガイド板6aと、前記搬送用ローラ4の前記被記録媒体搬送方向Xの上流側(図2(B)において右側)近傍に配置されたスポンジ6bとで構成されていてもよい。
【0043】
前記非水溶性粉体3の材質は、水に溶解しないものであれば、特に限定されない。前記非水溶性粉体3としては、例えば、アクリル粒子、ジビニルベンゼンポリマー粒子、ガラス粒子、ポリスチレン粒子、ポリメチルメタクリレート粒子、ポリプロピレン粒子、スチレン−アクリル共重合粒子等を用いることができる。前記非水溶性粉体3は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0044】
前記非水溶性粉体3の粒子径については、前述のとおりである。また、前記非水溶性粉体は、平均粒子径が15μm以上であることが好ましく、平均粒子径が15μm〜50μmであることがより好ましく、平均粒子径が18μm〜50μmであることがさらに好ましい。前記平均粒子径としては、例えば、数平均粒子径、重量平均粒子径、体積平均粒子径があげられる。
【0045】
前記非水溶性粉体3は、単分散であることが好ましい。また、前記非水溶性粉体3のCV値は、特に限定されないが、例えば、50%以下であり、好ましくは、25%以下であり、より好ましくは、10%以下である。前記CV値とは、式(1)で表される値である。

CV値(%)=(σ/Dn)×100 ・・・(1)
σ:粒子径の標準偏差
Dn:数平均粒子径

【0046】
前記非水溶性粉体供給前において、前記粉体供給用ブレード6と前記搬送用ローラ4表面とは圧接していることが好ましいが、前記搬送用ローラ4表面に前記非水溶性粉体3を移動可能な状態で付着できる範囲であれば離れていてもよい。前記粉体供給用ブレード6と前記搬送用ローラ4表面との間の圧接力は、前記搬送用ローラ4表面に前記非水溶性粉体3を移動可能な状態で付着できる範囲であれば、特に限定されない。
【0047】
前記搬送用ローラ4表面への前記非水溶性粉体3の付着量は、特に限定されない。前記搬送用ローラ4表面全体に前記非水溶性粉体3が付着していることが好ましいが、本発明はこれに限定されず、前記被記録媒体1の記録面と前記搬送用ローラ4表面との間に前記非水溶性粉体3を介在させた状態で前記被記録媒体1を搬送可能であれば、前記搬送用ローラ4表面の一部に前記非水溶性粉体3が付着していなくてもよい。
【0048】
つぎに、図3を参照して、図1に示したインクジェット記録装置100を用いた場合を例にとり、本発明のインクジェット記録方法について説明する。まず、記録前の準備として、前記ホッパ7に、前記非水溶性粉体を充填する(図3(A))。
【0049】
つぎに、図3(B)に示すように、前記ホッパ7から、前記粉体供給用ブレード6を介して、前記搬送用ローラ4の右上部に前記非水溶性粉体3を供給する。
【0050】
つぎに、図3(C)に示すように、前記搬送用ローラ4を、矢印bで示すように回転させることで、前記搬送用ローラ4表面に、前記非水溶性粉体3を移動可能な状態で付着させる。
【0051】
つぎに、図3(D)に示すように、前記ホッパ7からの前記非水溶性粉体3の供給および前記搬送用ローラ4の回転を停止する。ついで、前記給紙部(図示せず)から、前記被記録媒体搬送ガイド8側へと送り出された前記被記録媒体1が、前記給紙用ローラ9下方へと搬送される。ここで、前記給紙用ローラ9を、矢印dで示すように回転させることで、前記被記録媒体1を、前記インクジェットヘッド2下方へと搬送する。なお、図2(A)に示したように、前記粉体供給手段が前記粉体除去用ブレード10を有する場合等においては、前記ホッパ7からの前記非水溶性粉体3の供給および前記搬送用ローラ4の回転を停止せずに、継続してもよい。
【0052】
つぎに、図3(E)に示すように、前記被記録媒体1が、前記インクジェットヘッド2の下方を通過する際に、前記被記録媒体1の記録面に向けて、前記水性インクが吐出される。これにより、前記被記録媒体1の記録面に画像が記録される。
【0053】
つぎに、図3(F)に示すように、記録後の前記被記録媒体1が、前記被記録媒体搬送ガイド8に導かれ、前記搬送用ローラ4および前記ニップローラ5の間へと搬送される。ついで、前記搬送用ローラ4および前記ニップローラ5を、矢印bおよびcで示すように逆方向に回転させることで、記録後の前記被記録媒体1を、前記被記録媒体1の記録面と前記搬送用ローラ4表面との間に前記非水溶性粉体3を介在させた状態で搬送する。
【0054】
図3には、前記搬送用ローラ4に前記非水溶性粉体3を供給した後に、前記被記録媒体1の搬送を開始した例を示したが、本発明はこれに限定されず、前記被記録媒体1の記録面と前記搬送用ローラ4表面との間に前記非水溶性粉体3を介在させた状態で、記録後の前記被記録媒体1を搬送することが可能な限りにおいて、前記搬送用ローラ4への前記非水溶性粉体3の供給と前記被記録媒体1の搬送を同時に開始してもよいし、前記被記録媒体1の搬送を先に開始してもよい。
【0055】
本発明のインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法では、前記搬送用ローラ4表面に前記所定の粒子径の粒子を含む非水溶性粉体3を移動可能な状態で付着させることで、前記被記録媒体1の記録面と前記搬送用ローラ4表面との間に前記非水溶性粉体3を介在させた状態で、記録後の前記被記録媒体1が搬送される。このため、前記被記録媒体1の記録面から前記搬送用ローラ4への画像転写、および前記搬送用ローラ4から後続の前記被記録媒体1の記録面への前記画像の再転写が抑制され、記録品質が向上する。また、本発明のインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法によれば、例えば、乾燥速度が遅い水性顔料インクを用いる場合においても、前記被記録媒体1の記録面から前記搬送用ローラ4への画像転写、および前記搬送用ローラ4から後続の前記被記録媒体1の記録面への前記画像の再転写を好適に抑制でき、記録品質に優れる。さらに、本発明のインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法によれば、例えば、前記インク吐出手段として前記ライン型インクジェットヘッドを用いた高速記録においても、前記被記録媒体1の記録面から前記搬送用ローラ4への画像転写、および前記搬送用ローラ4から後続の前記被記録媒体1の記録面への前記画像の再転写を好適に抑制でき、記録品質に優れる。
【実施例】
【0056】
つぎに、本発明の実施例について比較例と併せて説明する。なお、本発明は、下記の実施例および比較例によって限定および制限されない。
【0057】
(インクジェット記録用水性インクの調製)
a)インク1(黒インク)
インク組成成分(表1)における、自己分散型顔料「CAB−O−JET(登録商標)300」を除く成分を、均一に混合しインク溶媒を得た。つぎに、前記インク溶媒に前記自己分散型顔料を徐々に加え、均一に混合した。その後、得られた混合物を、東洋濾紙(株)製のセルロースアセテートタイプメンブレンフィルタ(孔径3.00μm)でろ過し、インク1を得た。
b)インク2(黒インク)
カーボンブラック「MA100」15重量%、「DISPERBYK 190」9重量%、グリセリン15重量%、水61重量%を混合した後、直径0.3mmのジルコニアビーズを媒体とした湿式サンドミルにて分散処理を行い、黒顔料分散体を得た。ついで、水55.4重量%、グリセリン40.5重量%、ジプロピレングリコール−n−プロピルエーテル3重量%、「オルフィン(登録商標)E1010」1.1重量%を混合してインク溶媒を得た。つぎに、前記インク溶媒66.7重量%を撹拌中の前記黒顔料分散体33.3重量%に徐々に加え、均一に混合した。その後、得られた混合物を、東洋濾紙(株)製のセルロースアセテートタイプメンブレンフィルタ(孔径3.00μm)でろ過し、インク2を得た。前記インク2のインク組成は、表1に示すとおりとなる。
c)インク3(マゼンタインク)
インク組成成分(表1)における、自己分散型顔料「CAB−O−JET(登録商標)260M」を除く成分を、均一に混合しインク溶媒を得た。つぎに、前記インク溶媒に前記自己分散型顔料を除々に加え、均一に混合した。その後、得られた混合物を、東洋濾紙(株)製のセルロースアセテートタイプメンブレンフィルタ(孔径3.00μm)でろ過し、インク3を得た。
【0058】
【表1】

【0059】
[実施例1]
図1に示したインクジェット記録装置100を用いて、被記録媒体1(Hammermill社製 LaserPrint24lb)の記録面に画像を記録した。前記画像は、前記インク1を用いて、被記録媒体搬送方向Xにおける前記被記録媒体1の先端から44mm下方の中央部分に、記録面積:縦22mm×横22mm、記録密度:100%の条件で記録した。また、前記インクジェット記録装置100における各構成部材の形状、大きさおよび運転条件は、下記のとおりとした。
【0060】
(各構成部材の形状、大きさおよび運転条件)
インクジェットヘッド2:600dpiで1ドットあたり21pLの水性インクを吐出。
非水溶性粉体3:アクリル粒子(粒子径:18μm、東洋紡績(株)製:タフチック(登録商標)AR650S)。
搬送用ローラ4:金属製の芯の周囲にゴムを円筒状に成形し、その表面に前記非水溶性粉体3を付着させるための凹凸を有する直径13mmのローラ。回転速度=1390回転/分。
ニップローラ5:金属製の芯の周囲にゴムを円筒状に成形した直径13mmのローラ。回転速度=1390回転/分。
搬送用ローラ4とニップローラ5との間の圧接力:0.18kgf/cm(0.18×9.8×10Pa)。
給紙用ローラ9:金属製の芯の周囲にゴムを円筒状に成形した直径13mmのローラ。回転速度=1390回転/分。
【0061】
[実施例2]
前記非水溶性粉体3として、ジビニルベンゼンポリマー粒子(粒子径:30μm:積水化学工業(株)製:ミクロパール(登録商標)GS−230)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、画像を記録した。
【0062】
[実施例3]
前記非水溶性粉体3として、ガラス粒子(粒子径:30μm、日本粉体工業技術協会製:ガラスビーズGBL−30)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、画像を記録した。
【0063】
[実施例4]
前記非水溶性粉体3として、ポリスチレン粒子(粒子径:50μm:ガンツ化成(株)製:ガンツパール(登録商標)GM−5003)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、画像を記録した。
【0064】
[実施例5]
前記インク1に代えて、前記インク2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、画像を記録した。
【0065】
[実施例6]
前記インク1に代えて、前記インク2を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、画像を記録した。
【0066】
[実施例7]
前記インク1に代えて、前記インク2を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、画像を記録した。
【0067】
[実施例8]
前記インク1に代えて、前記インク2を用いたこと以外は、実施例4と同様にして、画像を記録した。
【0068】
[実施例9]
前記インク1に代えて、前記インク3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、画像を記録した。
【0069】
[実施例10]
前記インク1に代えて、前記インク3を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、画像を記録した。
【0070】
[実施例11]
前記インク1に代えて、前記インク3を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、画像を記録した。
【0071】
[実施例12]
前記インク1に代えて、前記インク3を用いたこと以外は、実施例4と同様にして、画像を記録した。
【0072】
[比較例1]
前記非水溶性粉体3を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして、画像を記録した。
【0073】
[比較例2]
前記非水溶性粉体3として、アクリル粒子(粒子径:3μm、JSR(株)製:SX8703(A)−02)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、画像を記録した。
【0074】
[比較例3]
前記非水溶性粉体3として、ジビニルベンゼンポリマー粒子(粒子径:10μm、積水化学工業(株)製:ミクロパール(登録商標)SP−210)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、画像を記録した。
【0075】
[比較例4]
前記非水溶性粉体3を用いなかったこと以外は、実施例5と同様にして、画像を記録した。
【0076】
[比較例5]
前記非水溶性粉体3として、アクリル粒子(粒子径:3μm、JSR(株)製:SX8703(A)−02)を用いたこと以外は、実施例5と同様にして、画像を記録した。
【0077】
[比較例6]
前記非水溶性粉体3として、ジビニルベンゼンポリマー粒子(粒子径:10μm、積水化学工業(株)製:ミクロパール(登録商標)SP−210)を用いたこと以外は、実施例5と同様にして、画像を記録した。
【0078】
[比較例7]
前記非水溶性粉体3を用いなかったこと以外は、実施例9と同様にして、画像を記録した。
【0079】
[比較例8]
前記非水溶性粉体3として、アクリル粒子(粒子径;3μm、JSR(株)製:SX8703(A)−02)を用いたこと以外は、実施例9と同様にして、画像を記録した。
【0080】
[比較例9]
前記非水溶性粉体3として、ジビニルベンゼンポリマー粒子(粒子径:10μm、積水化学工業(株)製:ミクロパール(登録商標)SP−210)を用いたこと以外は、実施例9と同様にして、画像を記録した。
【0081】
実施例および比較例について、転写評価を、下記の方法により行った。
【0082】
(転写評価)
前記搬送用ローラ4および前記ニップローラ5の間から搬送された前記被記録媒体1を取り出し、前記画像が前記搬送用ローラ4もしくは前記非水溶性粉体3に転写され、後続の前記被記録媒体1の記録面に前記画像が再転写された跡(再転写跡)を目視にて観察し、下記評価基準にて評価した。
【0083】
転写評価 評価基準
A:前記再転写跡がなかった。
B:前記再転写跡が3個以下であった。
C:前記再転写跡が4個以上で、再転写した前記画像の輪郭が不鮮明であった。
D:前記再転写跡が4個以上で、再転写した前記画像の輪郭が鮮明であった。
【0084】
実施例および比較例における前記非水溶性粉体3の種類および粒子径、前記インクの種類、並びに前記転写評価の評価結果を、表2に示す。
【0085】
【表2】

【0086】
表2に示すとおり、粒子径が15μm以上の粒子を含む非水溶性粉体を用いた実施例1〜12では、転写評価の結果が良好であった。一方、非水溶性粉体を用いなかった、もしくは粒子径が15μm以上の粒子を含まない非水溶性粉体を用いた比較例1〜9では、転写評価の結果が劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0087】
以上のように、本発明のインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法は、被記録媒体の記録面から搬送用ローラへの画像転写、および前記搬送用ローラから後続の前記被記録媒体の記録面への前記画像の再転写が抑制され、記録品質に優れるものである。本発明のインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法の用途は、特に限定されず、各種のインクジェット記録に広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】図1は、本発明のインクジェット記録装置の構成の一例を示す概略図である。
【図2】図2(A)および(B)は、粉体供給手段の構成例を示す概略図である。
【図3】図3(A)〜(F)は、本発明のインクジェット記録方法の一例を説明する図である。
【符号の説明】
【0089】
1 被記録媒体
2 インクジェットヘッド
3 非水溶性粉体
4 搬送用ローラ
5 ニップローラ
6 粉体供給用ブレード
6a 粉体供給用ガイド板
6b スポンジ
7 ホッパ
8 被記録媒体搬送ガイド
9 給紙用ローラ
10 粉体除去用ブレード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク収容部、インク吐出手段および搬送用ローラを含み、前記インク収容部にインクジェット記録用水性インクが収容され、被記録媒体の記録面に前記水性インクを前記インク吐出手段によって吐出して記録し、記録後の前記被記録媒体を前記搬送用ローラによって搬送するインクジェット記録装置であって、さらに、非水溶性粉体を供給する粉体供給手段を含み、前記粉体供給手段により、前記搬送用ローラ表面に前記非水溶性粉体を移動可能な状態で付着させることで、前記被記録媒体の記録面と前記搬送用ローラ表面との間に前記非水溶性粉体を介在させた状態で、記録後の前記被記録媒体が搬送され、前記非水溶性粉体が、粒子径15μm以上の粒子を含むことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記水性インクが、顔料を含む請求項1記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記非水溶性粉体が、粒子径15μm〜50μmの粒子を含む請求項1または2記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記非水溶性粉体が、アクリル粒子、ジビニルベンゼンポリマー粒子、ガラス粒子およびポリスチレン粒子からなる群から選択される少なくとも一種の粒子を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
被記録媒体の記録面にインクジェット記録用水性インクをインクジェット方式で吐出して記録する記録工程と、記録後の前記被記録媒体を搬送用ローラによって搬送する搬送工程とを含むインクジェット記録方法であって、前記搬送工程は、前記搬送用ローラ表面に非水溶性粉体を移動可能な状態で付着させることで、前記被記録媒体の記録面と前記搬送用ローラ表面との間に前記非水溶性粉体を介在させた状態で、記録後の前記被記録媒体を搬送する工程であり、前記非水溶性粉体が、粒子径15μm以上の粒子を含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
【請求項6】
前記水性インクが、顔料を含む請求項5記載のインクジェット記録方法。
【請求項7】
前記非水溶性粉体が、粒子径15μm〜50μmの粒子を含む請求項5または6記載のインクジェット記録方法。
【請求項8】
前記非水溶性粉体が、アクリル粒子、ジビニルベンゼンポリマー粒子、ガラス粒子およびポリスチレン粒子からなる群から選択される少なくとも一種の粒子を含む請求項5〜7のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−131788(P2010−131788A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−308011(P2008−308011)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】