説明

インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法

【課題】高いODを維持したまま、耐擦過性に優れた画像の記録することができるインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供すること。
【解決手段】反応液とインクが付与される記録媒体上の記録領域に対して、樹脂の含有量が多いインクを付与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類のインクと反応液を用いて画像を記録するインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置用のインクに用いられる着色材としては、色材の彩度・色再現性等の画像品質の高さ、利用できる色材の種類の豊富さ、水への溶解性、目詰まりなどの信頼性の点から水溶性染料が使用されている。しかし、染料は、耐光性および耐水性等の諸特性において劣ることがあり、染料インクにより記録された記録物は、耐光性および耐水性に劣るおそれがある。一方、顔料は、染料に比べて耐光性および耐水性に優れており、近年、耐光性および耐水性を改善するためにインクジェット記録用インクの着色材としての利用が進められている。
【0003】
染料や顔料をインクとして用いたインクジェット記録装置における課題の1つとして、光学反射濃度(以下、単に「OD」という)が挙げられる。ODの高い記録を行うことは、特に文字や線画の記録において従来からの重要な技術課題である。インクジェット記録装置においても、電子写真方式並みの高いODの記録が望まれている。例えば、黒文字等のキャラクタを記録する場合、一般に、ブラックインクによって記録媒体上に形成されるドットのODが高い程、記録された文字は、記録媒体の地の色に対してより高いコントラストを呈し、その記録品位は向上する。また、他の色の場合、例えば、シアン、マゼンタ、イエローによって形成されるドットの場合にも、それらのODが高い程、その画像はより鮮明なものとなる。そこで、より高いODを得ることを目的として種々の技術が提案されている。
【0004】
例えば、自己分散型カーボンブラックと、特定の塩と、を含有させてなるインクを用いることにより、画像濃度を高めるための技術が提案されている(特許文献1)。また、顔料、ポリマー微粒子、水溶性有機溶媒、及び水を含む組成物であるインクと、多価金属含有水溶液と、を記録媒体に付着させて、インク組成物と多価金属水溶液とを反応させることにより、高品位な画像を記録する技術が提案されている(特許文献2)。これらの技術は、いずれの場合も、より一層濃度の高い画像を得るために、インク中に分散状態で存在している顔料を記録媒体の表面で強制的に凝集させて、記録媒体中への顔料の浸透を抑制する。
【0005】
インク組成物と多価金属水溶液とを反応させて画像を記録することは、高いODを得るために極めて有効である。しかし、その反面、顔料インクが記録媒体の表面に凝集しているために、画像を指で擦った場合、あるいはマーカーペン等で画像をマーキングした場合に画像が汚れることがあり、耐擦過性および耐マーカー性に優れた画像を記録することが難しい。そこで、反応液との反応性を有する樹脂をインクに添加し、耐マーカー性を向上させる技術の提案がある(特許文献3)。同文献には、造膜性を有する樹脂を用いることにより、記録媒体上における水および水溶性有機溶媒が減少し、樹脂皮膜が形成されて耐マーカー性が向上すると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−198955号公報
【特許文献2】特開2000−063719号公報
【特許文献3】特開2000−272220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
顔料インクと反応液を用いることにより、高いODを得ることが可能である。しかし、顔料粒子を記録媒体上で凝集させるために、ODが高くなることでかえって耐擦過性が悪化してしまうおそれがある。
【0008】
一方、反応液との反応性を有する樹脂をインクに添加する場合には、十分な耐擦過性・耐マーカー性を得るために多くの樹脂を添加する必要があり、顔料の種類によっては、インクジェット記録用のインクに求められる十分な保存安定性が得られない場合がある。例えば、顔料分散剤となる樹脂を含有しない自己分散型顔料に対して樹脂を添加した場合、その添加量が多くなるにつれて顔料の分散安定性が悪化してしまう。その理由としては、添加された樹脂の多くが自己分散型顔料と吸着しない遊離樹脂として存在し、この遊離樹脂が添加された電解質として作用して、その樹脂の配合量が多いと自己分散型顔料を塩析してしまうためと考えられる。
【0009】
本発明の目的は、高いODを維持したまま、耐擦過性に優れた画像の記録することができるインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のインクジェット記録装置は、第1インクと、前記第1インクよりも樹脂の含有量が多い第2インクと、前記第1および第2インク中の色材を不溶化または凝集させる成分を含有する反応液と、を吐出可能な記録ヘッドを用いて、記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置であって、前記反応液と前記第1インクにより記録される記録領域に対する前記第1インクの吐出量に応じて、前記記録領域に対する前記第2インクの吐出量を決定する決定手段と、前記記録領域に対して、前記決定手段により決定された量の前記第2インクを吐出させる記録手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明のインクジェット記録方法は、第1インクと、前記第1インクよりも樹脂の含有量が多い第2インクと、前記第1および第2インク中の色材を不溶化または凝集させる成分を含有する反応液と、を吐出可能な記録ヘッドを用いて、記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、前記反応液と前記第1インクにより記録される記録領域に対する前記第1インクの吐出量に応じて、前記記録領域に対する前記第2インクの吐出量を決定する決定工程と、前記記録領域に対して、前記決定工程により決定された量の前記第2インクを吐出させる工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、反応液とインクが付与される記録媒体上の記録領域に対して、樹脂の含有量が多いインクを付与することにより、記録画像の高いODを維持しながら、耐擦過性(耐マーカー性を含む)を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態としてのインクジェット記録装置の概略斜視図である。
【図2】図1の記録装置において用いられる記録ヘッドの吐出口部分の説明図である。
【図3】図1の記録装置の制御系のブロック構成図である。
【図4】図3の画像処理部による画像処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】図4の画像処理において用いられる反応液用吐出パターンの説明図である。
【図6】(a)は、ルックアップテーブルの比較例の説明図、(b)は、図4の画像処理において用いられるルックアップテーブルの説明図である。
【図7】本発明の第1の実施形態により作成した記録物の評価結果の説明図である。
【図8】本発明の第2の実施形態において用いるルックアップテーブルの説明図である。
【図9】本発明の第2の実施形態により作成した記録物の評価結果の説明図である。
【図10】本発明の第3の実施形態における画像処理部の画像処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
(1)全体的構成
図1は、インクジェット記録ヘッド(以下、「記録ヘッド」という)を用いて記録を行うインクジェット記録装置の外観斜視図、図2は、記録ヘッドの吐出口部分の模式図、図3は、記録装置における制御系のブロック構成図である。
【0015】
記録ヘッドおよびインクタンクが搭載可能なキャリッジ11には、記録ヘッドに駆動信号等を伝達するためのコネクタ・ホルダ(電気接続部)が設けられており、それらの信号は、記録装置の記録制御部からフレキシブルケーブル13を介して伝達される。記録ヘッドとインクタンクは、一体的に結合してインクジェットカートリッジ20を構成するものであってもよく、または別々にキャリッジ11に搭載される構成であってもよい。キャリッジ11は、装置本体に設置されたガイド・シャフト6に沿って矢印Xの主走査方向に移動可能に支持されている。キャリッジ11は、主走査モータ12の駆動力により、タイミング・ベルト4等の駆動機構を介して往復移動される。また、キャリッジ11の位置を光学的に読み取るエンコーダセンサ16を用いて、キャリッジ11の移動が制御される。キャリッジ11が移動する領域の端部には、記録ヘッド21(図2および3参照)の回復処理を実行するための回復処理機構(回復手段)14が備えられている。回復処理機構14には、記録ヘッド21の吐出口21Aからインクを吸引排出するときに吐出口2Aをキャッピングしたり、記録ヘッド21の放置時に吐出口21Aの形成面(吐出口面)を保護するためのキャップ141が備えられている。さらに、回復処理機構14には、吐出口面をワイピングするためのワイパーブレード143が備えられている。
【0016】
記録用紙やプラスチック薄板等の記録媒体は、給紙トレイ15から一枚ずつ分離給紙され、給紙ローラ(不図示)によって、主走査方向と交差する(本例の場合は、直交する)矢印Yの副走査方向に送られる。記録ヘッド21は、例えば、熱エネルギーを利用してインクを吐出する記録ヘッドであって、熱エネルギーを発生するための電気熱変換素子(ヒータ)を備えたものである。その記録ヘッドは、電気熱変換素子の発熱によりインクを発泡させて、その発泡エネルギーを利用することにより、吐出口21Aからインクを吐出することができる。また、記録ヘッド21は、インクの吐出エネルギー発生素子として、電気熱変換素子の他、圧電素子などを用いるものであってもよい。このような吐出エネルギー発生素子、および吐出口21Aは、インク流路などと共に、インクを吐出可能なノズルを構成する。
【0017】
本例の記録ヘッド21は、図2のように、1インチ当たり1200個の密度(1200dpi(ドット/インチ))で1280個の吐出口21Aが配列された吐出口列(「ノズル列」ともいう)が複数形成されている。それらの吐出口列は、主走査方向と交差する方向(本例の場合は、直交する方向)に延在しており、主走査方向に沿って隣接するように配列されている。21Kはブラックインク(K)を吐出するノズル列、21Cはシアンインク(C)を吐出するノズル列、21Mはマゼンタインク(M)を吐出するノズル列、21Yはイエローインク(Y)を吐出するノズル列である。また、21Sは反応液(S)を吐出するノズル列、21GYはグレーインク(GY)を吐出するノズル列、21LCはライトシアンインク(LC)を吐出するノズル列、2lLMはライトマゼンタ(LM)を吐出するノズル列である。それぞれの吐出口21Aから吐出されるインクの吐出量は約4.5plとする。但し、ブラックインクの吐出量は、高濃度の記録を実現するために、他のノズル列からの吐出量よりも若干多く設定してもよい。本実施形態の記録装置は、このような記録ヘッド21を主走査方向に走査しながらインクや反応液を吐出することにより、主走査方向に2400dpi、副走査方向に1200dpiの記録密度でドットを形成するできる。
【0018】
画像の記録時は、キャリッジ11を主走査方向に移動しながら記録ヘッド21からインクを吐出する記録動作と、記録媒体を搬送方向に所定量搬送する搬送動作と、を繰り返す。さらに、マルチパス記録方式、つまり記録媒体上の同一領域に対して記録ヘッド21を複数回走査させて記録を行う記録方式を採用することもできる。このようなマルチパス記録を採用することにより、各ノズルの吐出特性や記録媒体の搬送量にばらつきがあった場合に、それらのばらつきを記録画像の全体に分散させて目立たなくすることができる。
【0019】
本例の場合、記録ヘッド21を矢印X1の往方向に移動させつつ、反応液、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、グレー、ライトシアン、ライトマゼンタのインクをその順序で記録媒体上に付与する往路走査により、1走査分の画像を記録する。片方向記録方式を採用した場合には、その後に記録媒体を所定量搬送させてから、記録ヘッド21を矢印X2の復方向に移動させて元のホームポジションに戻し、再び、往路走査により次の1走査分の画像を記録する。一方、双方向記録を採用した場合には、往路走査の後に記録媒体を所定量搬送させてから、記録ヘッド21を矢印X2の復方向に移動させつつ、インクおよび反応液を吐出する。すなわち、ライトマゼンタ、ライトシアン、グレー、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのインク、反応液をその順序で記録媒体上に付与(復路走査)することにより、次の1走査分の画像を記録する。
【0020】
反応液は、インクよりも先に記録媒体上に付与されて、その上にインクが付与されることにより、その性能を充分に発揮することができる。記録ヘッド21の復路走査時には、反応液がインクよりも後に記録媒体上に付与される溜め、反応液の機能が充分に発揮されないおそれがある。特に、記録媒体上の同一領域に対して記録ヘッド21を1回走査させて記録を行う1パス記録方式においては、望ましくない。記録媒体上の同一領域を2回以上の走査によって記録するマルチパス記録の場合には、1回目の走査において反応液を付与すればよく、双方向記録方式を採用しても反応液の性能を充分に発揮させることができる。
【0021】
図3の記録装置における制御系のブロック構成図において、31は画像入力部(インタフェース)であり、種々の画像データを入力する。その画像データは、例えば、スキャナやデジタルカメラなどの画像入力機器から多値の画像データ、およびハードディスクなどの各種記録媒体に保存されている多値の画像データなどである。32は画像処理部であり、後述する画像処理により、画像入力部31に入力された多値の画像データを2値の画像データに変換する。この2値の画像データは、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、グレー、ライトシアン、ライトマゼンタのインクを吐出するための2値の画像データと、反応液を吐出するための2値の吐出データと、を含む。321は、記録装置の各部の制御を司るCPUである。322は、CPU321が実行する制御プログラムやエラー処理プログラムなどを格納するためのROMである。323は、各種データ(記録信号や記録ヘッド21に供給される画像データや吐出データなど)を一時保存しておくためのRAMである。324は、記録ヘッド21に対する記録データの供給制御を行うゲートアレイ324であり、画像入力部31、CPU321、およびRAM323との間のデータ転送の制御も行う。
【0022】
33は画像出力部であり、画像処理部32において変換された2値の画像データや2値の吐出データを入力して、画像を記録する。12は、記録ヘッド21を移動させるための主走査モータ(キャリッジモータ)であり、332は、記録媒体を搬送するための搬送モータである。333は、記録ヘッド21を駆動するためのヘッドドライバである。334および335は、それぞれ、搬送モータ332およびキャリッジモータ331を駆動するためのモータドライバである。画像入力部31を通して入力される記録信号は、ゲートアレイ324およびCPU321によって2値の画像データや2値の吐出データに変換される。そして、モータドライバ334および335を介してモータ12および332が駆動されると共に、ヘッドドライバ333に送られた2値の画像データや2値の吐出データに基づいて記録ヘッド21が駆動されることにより、画像を記録することができる。
【0023】
図4は、画像処理部32における画像処理を説明するためのフローチャートである。図4において、矩形のブロックは画像処理工程、平行四辺形のブロックはデータを示している。
【0024】
まず、画像入力部31からRGB形式の多値の入力画像データ401が入力される。その入力画像データ401は、インク色分解処理手段によるインク色分解処理402によって、画像の記録用いる複数種のインク(K、C、M、Y、GY、LC、LM)の夫々に対応した多値のCMYKデータ403に変換される。具体的には、色変換ルックアップテーブル(3D−LUT)404を参照しつつ、画素毎に、入力画像データ401を記録装置にて利用可能な複数のインク色の多階調データ(CMYKデータ)に変換する。ルックアップテーブル404の次元数は、入力画像データ401の成分の数を意味している。本例の場合、入力画像データ401はR・G・Bという3成分であるため、3D(Dimension)−LUT404が用いられる。なお、本例においてはC、M、Y、Kインク以外のインクも用いている。しかし、説明の便宜上、インク色分解後のデータをCMYKデータ403という。このCMYKデータ403は、例えば、256階調程度の階調レベルを有する8ビット(bit)データであり、この段階では600dpiの解像度を有している。記録装置は、2400dpi×1200dpiの記録モードに対応すべく、主走査方向の4画素、副走査方向の2画素によってなる4×2の記録領域毎に階調表現を行う。言い換えれば、600ppi×600ppiの解像度に相当する単位領域(単位面積)毎に階調表現を行う。
【0025】
各種インクに対応した多値のCMYKデータ403は、2値化処理手段による2値化処理405によって、2値化パターン記憶手段に記憶された2値化パターン406に従って、各種インクの2値のビットマップデータに展開される。これにより、複数種のインク(C,M,Y,K,LC,LM,GY)を付与するための2値の画像データ407が生成され、さらに、これらの画像データ407に基づいて、反応液(S)を付与するための反応液用吐出データ410が生成される。反応液用吐出データ410は、記憶手段408に記憶された反応液用吐出パターンを用いる反応液用吐出データ生成手段の反応液用吐出データ生成処理409によって生成される。
【0026】
図5は、反応液用吐出パターン408の説明図である。この反応液用吐出パターン408は、各色インク(C、M、Y、K、GY、LC、LM)の画像データ407とのAND処理により、画像データ407を間引くためのパターンであり、本例の場合は、記録デューティー50%のパターンとなっている。例えば、記録媒体上の所定の記録領域にインクによるベタ画像が記録されて、その記録領域がインクによって100%被覆される100%の記録デューティーの場合には、その記録領域に対して、記録デューティー50%となるように反応液の付与量が抑えられる。一般的に反応液の付与量が増えるほど、インク中の色材の不溶化または凝集が進んでODが高くなり、ある程度以上の反応液を付与するとODは飽和してくる。本実施形態では、このような知見に基づき、反応液用吐出パターン408を用いて反応液用吐出データ410を50%の割合で間引く。勿論、反応液用吐出パターン51は、反応液が記録媒体を100%覆うような記録デューティー100%のパターンであってもよい。記録デューティーとは、例えば、1200dpi×1200dpiの解像度に対応する単位領域を1画素と定義した場合に、その1画素に対して、その1画素を埋め尽くす程度の大きさのドットがどのくらいの量(個数)形成されるかということを示す指標である。1画素当たりに1ドットが形成されるときを記録デューティー100%としている。
【0027】
このように、反応液用吐出パターン408と、各色インクの2値の画像データ407と、に基づいて、反応液の2値のビットマップデータが生成される。詳しくは、各色インクの2値画像データ407と反応液用吐出パターン408とのAND処理(論理積演算)によって、反応液用吐出データ410が生成される。この反応液用吐出データ410は、各色インクのビットマップデータ(画像データ407)と共に、出力画像データ412としてに画像出力部33へ送られる。このようなデータ処理によって、インクの付与量に応じて、インクが付与される記録領域に対する反応液の付与量を決定することができる。
【0028】
本実施形態においては、グレーインク(GY)、ライトシアンインク(LC)、ライトマゼンタインク(LM)として、樹脂の含有量が多くて耐擦過性に優れているインク(第2インク)を用いる。以下、これらのインクを「淡インク」ともいう。これらの淡インクは、色材成分の含有量が少ないため、多量の樹脂を添加してもインク全体における固形分量(主に、色材成分や樹脂)が比較的少なくて、粘度も上がりにくいため、樹脂を添加しやすい。一般に、インク成分中の樹脂量が多くなると耐擦過性は向上する傾向となる。また、記録画像上において、なるべく広い領域で耐擦過性を向上させる場合には、色度の変化を起こしにくい淡インクに樹脂を添加して記録画像上へ付与することが望ましい。一方、ブラックK、シアンC、マゼンタM、イエローYとして、樹脂の含有量が少なくて耐擦過性に劣るインク(第1インク)を用いる。
【0029】
本実施形態においては、樹脂の含有量が少ないインクを付与する記録領域に対して、樹脂の含有量が多いインクを付与することにより、記録画像の耐擦過性を向上させる。つまり、色材含有量の少ない淡インク(GY、LC、LM)へ樹脂を添加し、耐擦過性の弱い濃インク(K、C、M、Y)の記録画像部分に対して、その淡インクを付与することによって、耐擦過性を向上させる。具体的には、入力画像データ401をCMYKデータ403に変換する際に、参照する色変換ルックアップテーブル(LUT)404を利用することにより、濃インクの記録画像部分の耐擦過性を向上させる。
【0030】
図6(a)は、本実施形態におけるルックアップテーブル(LUT)404と比較するための一般的なルックアップテーブル(LUT)の説明図である。インクの付与量は、R、G、Bの値それぞれに応じてインクの付与量が変わるため、3D―LUT404は3Dで表す必要がある。しかし、ここでは説明を簡単にするために、グレースケール画像に限定した1D−LUTとして説明する。また、樹脂量の少ないインクとしてブラックインクを用い、樹脂量の多いインクとしてグレーインクを用いる場合について説明する。横軸は、入力階調レベル(入力画像データの濃度レベル)を示し、縦軸は、それぞれの階調でのインクの付与量を示す。一般に、ハイライト部では粒状性の低減を目的として淡インクを用い、ある程度濃い中濃度領域からは、ODが出るように濃インクを用いる。また、ある階調から淡インクと濃インクの使用を切り替えた場合、その階調の前後における階調のつなぎをよくするために、濃インクをある程度付与するまでは、淡インクと濃インクを混在させることが望ましい。図6(a)のような一般的なLUTを用いた場合には、濃インクの付与量が多くなる画像では、樹脂の含有量が多いインク(淡インク)は付与されず、樹脂の含有量が少ないインク(濃インク)のみが付与されるため、その画像の耐擦過性が劣ることになる。
【0031】
図6(b)は、本実施形態において用いるルックアップテーブル(LUT)404の説明図であり、図中の実線は、樹脂の含有量が少ない濃インク(ブラックインク)を示し、破線は、樹脂の含有量が多い淡インク(グレーインク)を示す。このルックアップテーブル(LUT)404によれば、図6(a)との比較から明らかなように、階調レベルが高い暗部側においては、濃インクだけではなく淡インクも付与する。
【0032】
例えば、インクとして顔料インクを用い、反応液として、顔料インク中の顔料粒子を記録媒体の表面に凝集させる反応液を用いた場合には、ODが高くなるにつれて記録媒体の表面上に凝集する顔料粒子が多くなる。つまり、ODが高くなるほど、記録媒体の表面に凝集する顔料粒子の数が多くなって削れやすくなり、それが耐擦過性の悪化を招く。言い換えると、濃インクの付与量が多くなるほど耐擦過性は悪化する。その耐擦過性は、樹脂の含有量が多い淡インクの付与量を増加させることにより向上させることができる。また、濃インクの付与量が多くなるほど、淡インクを付与することによる色味の変化も少なくなるために、淡インクを多く付与することが可能となる。したがって、図6(b)のように、樹脂量の少ない濃インクの付与量が増えるに従って、樹脂量の多い淡インクを多く付与することにより、色味の変化を抑えつつ、耐擦過性を向上させることができる。
【0033】
また、インク安定性などの懸念から、耐擦過性を充分に向上させる量の樹脂をインクに添加できない場合もある。この場合、記録デューティーが低い記録領域では、記録媒体の表面上に凝集した顔料粒子が少ないために良好な耐擦過性を示し、記録デューティーが高くなるにつれて耐擦過性が悪化する傾向を示す。そのため、記録デューティーが高い場合にのみに、樹脂の含有量の多いインクを付与することによって耐擦過性を効率よく向上させることができる。
【0034】
(樹脂の組成)
以下、インクに添加する樹脂の組成について説明する。
一般に、インク成分中の樹脂量が多くなると、耐擦過性は良くなる傾向にある。耐擦過性向上を目的として樹脂を用いる場合、分散樹脂量を多くすることでも耐擦過性の向上は期待できる。しかし、より効果的に耐擦過性の向上させるためには、後述するような水溶性の樹脂をインク内へ添加することが好ましい。尚、水溶性の樹脂を添加したインクを「樹脂入りインク」として説明する。
【0035】
耐擦過性向上を目的としてインクに添加する樹脂としては、インクにより記録された画像の透明性の観点から、水溶性樹脂を用いることが好ましい。また、水溶性樹脂は、樹脂が水性媒体中に分子レベルで溶解しているため、かかる樹脂を含有するインクはその安定性に優れている。そのため、樹脂を含有したインクは、インクジェット方式で吐出しても吐出口近傍に固着することが少なく、耐固着性において優れている。熱エネルギーの作用により液体を吐出するインクジェット方式によって、樹脂の含有量が多い淡インクをコート液として吐出しても吐出安定性は優れている。これは、樹脂が水性媒体中に分子レベルで溶解していて、その樹脂が溶解した状態が破壊されることによる樹脂の析出に起因するコゲの発生が少なく、その結果、コート液を安定して吐出することができるためである。なお、本実施形態において、樹脂が水溶性であることは、その樹脂を含有する液体について動的光散乱法などにより粒子径を測定した場合に、粒子径を有さない樹脂であることとする。
【0036】
水溶性樹脂は、水不溶性の樹脂と比較して、記録媒体上において顔料粒子の結着層を形成する性能が相対的に低い場合がある。本発明者らは、その理由として、水溶性樹脂は、水性媒体中に分子レベルで溶解しているために、細孔を有する顔料層の上に定着せずに、水性媒体と共に顔料層の内部へ浸透するからであると推測している。
【0037】
また、本発明者らが検討した結果、樹脂として水溶性樹脂を用いた場合に、顔料粒子の結着層を形成するためには、以下の条件を満足することが好ましいことが分かった。樹脂入りインクが記録媒体に付与された際に、水溶性樹脂は、不溶化して顔料粒子間に析出するものであることが好ましい。水溶性樹脂が不溶化しないと、水溶性樹脂が樹脂入りインク中の水性媒体と共に記録媒体の内部へ浸透するため、結着層を形成できない場合がある。この条件から、樹脂として水溶性樹脂を用いる場合には、水溶性樹脂が以下のような特性を有することが特に好ましい。
【0038】
先ず、樹脂入りインクが記録媒体に付与された際に、水溶性樹脂が不溶化して顔料層内に存在するようにするためには、水溶性樹脂として、酸性基を有する樹脂を用いることが好ましい。酸性基としては、カルボキシル基(−COOH)、スルホン酸基(−SO3H)、リン酸基(−PO4H)などが挙げられる。これらの酸性基を有する水溶性樹脂は、塩基で中和することにより酸性基が塩を形成して、水溶性となる。したがって、水溶性樹脂が有する酸性基の数を適切に決定することで、水溶性樹脂の水溶性を適切に決定できる。本発明者らは、水溶性樹脂が有する酸性基の数を適切に決定することで、それが樹脂入りインク中では溶解した状態で存在するが、記録媒体に付与されると不溶化して顔料層の間に残って、顔料粒子の結着層を形成できることを見出した。水溶性樹脂が有する酸性基の数は、樹脂の酸価で表すことができる。本発明においては、水溶性樹脂1グラム当たりの水酸化カリウム中和当量換算の酸価で、50mgKOH/g以上250mgKOH/g以下の水溶性樹脂を用いることが好ましい。酸価が250mgKOH/gを上回ると、水溶性樹脂の水溶性が極端に高くなるため、樹脂入りインクが記録媒体に付与された際に、水溶性樹脂が不溶化せずに記録媒体内へと浸透し、結着層を形成できない場合がある。また、酸価が大き過ぎると、結着層が乾燥した後の画像の耐水性が著しく低下する場合があるため、水溶性樹脂の酸価は150mgKOH/g以下であることがより好ましい。また、水溶性樹脂の酸価が50mgKOH/gより低いと、樹脂入りインクを構成する水性媒体に水溶性樹脂を溶解できない場合がある。
【0039】
水溶性樹脂が有する酸性基の数を適切に決定することで、樹脂入りインクが記録媒体に付与された際に、水溶性樹脂が不溶化して顔料粒子間に存在し、結着層が形成できるメカニズムを、本発明者らは以下のように推測している。酸性基が塩型である水溶性樹脂は、水性媒体中でイオン解離してアニオン型となる。このため、水溶性樹脂の溶解性は、コート液を構成する水性媒体中のプロトン(H+)濃度や非解離性カチオン成分の濃度に大きく影響を受ける。この水性媒体中のプロトン濃度が高くなると、水の電離平衡はプロトン濃度を下げる方向に移動するため、アニオン型の樹脂は非イオン型となり、不溶化して微粒子として水性媒体中に析出することになる。
【0040】
また同様に、水性媒体中の非解離性カチオン成分の濃度によっても、カチオン性基が水溶性樹脂のアニオン性基と結合するため、アニオン型の水溶性樹脂は非イオン型となり、不溶化して微粒子として水性媒体中に析出することになる。水溶性樹脂が有する酸性基の数が大きくなるほど、水溶性樹脂が非イオン型になることによる水溶性樹脂の不溶化の速度は小さくなる。したがって、水溶性樹脂を含有する樹脂入りインクに前記のような変化が生じる場合には、水溶性樹脂の酸価を調節することで、水溶性樹脂の不溶化の速度を制御できると考えられる。
【0041】
本発明において用いることができる樹脂の具体例としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂などが挙げられる。樹脂を含有するコート液(本実施形態の場合は、淡インク)の安定性や、樹脂の設計の自由度などを考慮すると、アクリル系樹脂を用いることが特に好ましい。なお、樹脂は、下記に挙げる単量体などを用いて、ラジカル重合などの公知の重合法により合成できる。
【0042】
本発明において、前記樹脂を構成する単量体としては、例えば、以下のものが挙げられる。メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ノルマルブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレートなど。ノルマルヘキシル(メタ)アクリルレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノルマルオクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレートなど。2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなど。(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルスルホン酸など。ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシルプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシルブチル(メタ)アクリレートなど。メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレートなど。ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロビレングリコールモノ(メタ)アクリレートなど。テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなど。フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなど。グリシジル(メタ)アクリレートなど。(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなど。ジアルキルエチル(メタ)アクリレートなど。スチレン、ビニルトルエン、ビニル安息香酸、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、スチレンスルホン酸などのスチレン類及びその誘導体。メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、N−ビニルピロリドン、2−ビニルオキサゾン、ビニルスルホン酸などのビニルエーテル類及びその誘導体。
【0043】
インク中の樹脂の含有量A(質量%)は、20.0質量%以下とすることが好ましい。樹脂の含有量が20.0質量%を超えると、樹脂入りインクの粘度が高くなるため、樹脂入りインクを均一に記録媒体に付与するのが困難となる場合がある。
【0044】
なお、本発明において「(メタ)アクリル」とは「アクリル」及び「メタクリル」の双方を意味し、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」及び「メタクリレート」の双方を意味する。
【0045】
(インクの組成)
本実施形態においては、前述したように、樹脂の含有量が多いインクとして、グレーインク(GY)、ライトシアンインク(LC)、ライトマゼンタインク(LM)の淡インクを用いる。また、樹脂の含有量が少ないインクとして、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の濃インクを用いる。樹脂量の異なるインクの内、樹脂量の少ないインクは、後述する自己分散顔料のように樹脂を含有していないものも含む。尚、文中に「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。また、アセチレングリコールエチレンオキサイド(EO)付加物はアセチレノールEH(川研ファインケミカル(株)製)である。
【0046】
<イエローインク>
(1)分散液の作製
以下のものを混合する。
・顔料[C.I.ピグメントイエロー74(製品名:Hansa Brilliant Yellow 5GX(クラリアント社製))]:10部
・アニオン系高分子P−1[スチレン/ブチルアクリレート/アクリル酸共重合体(共重合比(重量比)=30/40/30)、酸価202、重量平均分子量6500、固形分10%の水溶液、中和剤:水酸化カリウム]:30部、
・イオン交換水:60部
次に、以下に示す材料をバッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に仕込み、0.3mm径のジルコニアビーズを150部充填し、水冷しつつ、12時間分散処理を行った。さらに、この分散液を遠心分離機にかけて粗大粒子を除去した。そして、最終調製物として、固形分が約12.5%、重量平均粒径が120nmのイエロー分散液を得た。得られたイエロー分散液を用いて、下記のようにインクを調製した。
(2)インクの作製
以下の成分を混合し、十分に攪拌して溶解・分散後、ポアサイズ1.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過して、インクを調製した。
・上記イエロー分散液: 40部
・グリセリン: 9部
・エチレングリコール: 6部
・アセチレングリコールEO付加物
(商品名:アセチレノールEH): 1部
・1,2−ヘキサンジオール: 3部
・ポリエチレングリコール(分子量1000): 4部
・イオン交換水: 37部
【0047】
<マゼンタインク>
(1)分散液の作製
まず、ベンジルアクリレートとメタクリル酸を原料として、常法により、酸価300、数平均分子量2500のAB型ブロックポリマーを作り、更に、水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質な50質量%樹脂水溶液1を作成した。この樹脂水溶液1の100g、C.I.ピグメントレッド122の100g、およびイオン交換水の300gを混合し、機械的に0.5時間撹拌した。次に、マイクロフリュイダイザーを使用し、この混合物を、液体圧力約70MPa下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理した。更に、上記で得た分散液を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を含む非分散物を除去してマゼンタ分散液とした。得られたマゼンタ分散液は、その顔料濃度が10質量%、分散剤濃度が5質量%であった。
(2)インクの作製
インクの作製は、上記マゼンタ分散液を使用した。これに以下の成分を加えて所定の濃度にし、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、顔料濃度4質量%、分散剤濃度2質量%の顔料インクを調製した。
・上記マゼンタ分散液: 40部
・グリセリン: 10部
・ジエチレングリコール: 10部
・アセチレングリコールEO付加物: 0.5部
・イオン交換水: 39.5部
【0048】
<シアンインク>
(1)分散液の作製
まず、ベンジルアクリレートとメタクリル酸を原料として、常法により、酸価250、数平均分子量3000のAB型ブロックポリマーを作り、更に、水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質な50質量%樹脂水溶液2を作成した。この樹脂水溶液2の180g、C.I.ピグメントブルー15:3の100g、およびイオン交換水の220gを混合し、機械的に0.5時間撹拌した。次に、マイクロフリュイダイザーを使用し、この混合物を、液体圧力約70MPa下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理した。更に、上記で得た分散液を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を含む非分散物を除去してシアン分散液とした。得られたシアン分散液は、その顔料濃度が10質量%、分散剤濃度が10質量%であった。
(2)インクの作製
インクの作製は、上記シアン分散液を使用した。これに以下の成分を加えて所定の濃度にし、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、顔料濃度2質量%、分散剤濃度2質量%の顔料インクを調製した。
・上記シアン分散液: 20部
・グリセリン: 10部
・ジエチレングリコール: 10部
・アセチレングリコールEO付加物: 0.5部
・イオン交換水: 59.5部
【0049】
<ブラックインク>
(1)分散液の作製
市販の酸性カーボンブラック「MA−77」(pH3、三菱化学製)を通常の次亜塩素酸ソーダを用いて液相酸化処理を行った。反応時間、反応温度を適宜調整することによって反応を行い、得られたスラリーをろ過して、顔料粒子を充分に水洗した。この顔料ウェットケーキを水に再分散して、電導度が0.2μsになるまで逆浸透膜で脱塩した。更に、この顔料分散液(pH=8〜10)を顔料濃度が10質量%となるように濃縮した。以上の方法により、自己分散型カーボンブラックが水中に分散された状態のブラック分散液1を得た。この自己分散型カーボンブラックのイオン性基密度を測定したところ、600μmol/gであった。イオン性基密度の測定方法は、上記で調製したブラック分散液1中のナトリウムイオン濃度をイオンメーター(東亜DKK製)を用いて測定し、その値から自己分散型カーボンブラックのイオン性基密度を換算した。
【0050】
また、下記のようにして樹脂水溶液3を得た。スチレン、n−ブチルアクリレート、及びアクリル酸で構成される樹脂を15.0質量%、前記アクリル酸を構成するカルボン酸に対して水酸化カリウムを1当量加え、残部を水で100.0質量%に調整した後、80℃で撹拌して樹脂を溶解した。その後、固形分の含有量が15.0質量%になるように水で調整して、樹脂水溶液3を得た。樹脂1は、スチレン/n−ブチルアクリレート/アクリル酸=0.160/0.710/0.130、酸価101、重量平均分子量7,000である。
(2)インクの作製
・上記ブラック分散液1 40部
・樹脂水溶液3: 16.7部
・グリセリン 7部
・ジエチレングリコール 5部
・ポリエチレングリコール1000 5部
・ベンジルメタクリレート/M−230G/メタクリル酸共重合体
(共重合比21/50/29、酸価121、重量平均分子量5079、NaOH中和物、式の値=19) 1部
・アセチレングリコールEO付加物: 0.15部
・イオン交換: 25.3部
上記成分をよく混合撹拌し、1.2ミクロンのメンブレンフィルターで加圧ろ過してブラックインクを調製した
【0051】
<グレーインク>
下記のようにして、カーボンブラックを分散してなるブラック分散液2を得た。先ず、ブロック共重合体を1当量の水酸化カリウムで中和した20.0質量%の樹脂水溶液4を37.5質量%、カーボンブラック15.0質量%、水47.5質量%を混合した。次に、ガラスビーズを用いて、この混合物をペイントシェーカーでよく分散して、ブラック分散液2を得た。本例で用いたブロック共重合体は、スチレン/メトキシトリエチレングリコールメタクリレート/アクリル酸=0.398/0.422/0.180、酸価140、重量平均分子量4,000のものである。また、ブロック共重合体におけるEO基の割合は24質量%である。
(2)インクの作製
上記で得たブラック分散液2とブラックインクで使用した樹脂水溶液3とを含む下記の成分をよく混合した後、さらに、ろ過を行ってインクを調製した。
・上記ブラック分散液2: 3.3部
・樹脂水溶液3: 16.7部
・グリセリン: 5.0部
・エチレン尿素: 10.0部
・アセチレングリコールEO付加物: 0.5部
・イオン交換水: 64.5部
【0052】
<ライトシアンインク>
(1)分散液の作製
シアンインクで作成したシアン分散液を用いる。
(2)インクの作製
インクの作製は、上記で得たシアン分散液とブラックインクで使用した樹脂水溶液3とを含む下記の成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過した。
・上記シアン分散液: 5部
・樹脂水溶液3 15部
・グリセリン: 10部
・エチレン尿素: 10部
・アセチレングリコールEO付加物: 0.5部
・イオン交換水: 59.5部
【0053】
<ライトマゼンタインク>
(1)分散液の作製
マゼンタインクで作成したマゼンタ分散液を用いる。
(2)インクの作製
インクの作製は、上記で得たマゼンタ顔料分散液とブラックインクで使用した樹脂水溶液とを含む下記の成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過した。
・上記マゼンタ分散液: 5部
・樹脂水溶液3 15部
・グリセリン: 10部
・エチレン尿素: 10部
・アセチレングリコールEO付加物: 0.5部
・イオン交換水: 59.5部
【0054】
<反応液>
以下の成分を混合し、十分攪拌して溶解後、ポアサイズ0.2μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、反応液を調製した。
・硝酸カルシウム(4水和物) 9部
・トリメチロールプロパン 6部
・グリセリン 5部
・ジエチレングリコール 5部
・アセチレングリコールEO付加物 1部
・イオン交換水: 74部
【0055】
(評価)
本実施形態において、上記インク組成物および反応液を用いた場合の効果は下記のように評価できた。
【0056】
記録方法は、所定の記録領域を1回の走査で記録する1パス記録方式であり、往方向のみにおいて記録を行う片方向記録方式を採用した。本発明の課題となっている高いODと、良好な耐擦過性と、の両立が最も問題となる高濃度画像について評価を行うために、本評価で用いる画像は、ブラックインクを記録デューティー100%で付与したものとした。また、各色インクの付与量は下記に示すとおりであり、反応液、各色インク共に、吐出量は4.5pl、記録密度は1200dpiとする。なお、記録媒体としてキヤノン製普通紙(商品名「PB PAPER GF−500」)を使用した。記録方法としては、所定の記録領域を複数回の走査によって記録するマルチパス方式や、往方向と復方向の双方において記録を行う双方向記録方式を採用してもよい。
・実施例:反応液を記録デューティー50%で吐出した後に、ブラックインクを記録デューティー100%で吐出し、グレーインクを記録デューティー40%で吐出した。
・比較例1:反応液を記録デューティー50%で吐出した後に、ブラックインクを記録デューティー100%で吐出した。
・比較例2:ブラックインクを記録デューティー100%で吐出してから、グレーインクを記録デューティー40%で吐出した。
・比較例3:ブラックインクを記録デューティー100%で吐出した。
【0057】
このような記録動作による記録物について、下記の試験を行って評価した。
【0058】
評価1:耐擦過性(耐マーカー性)
得られた記録物を24時間自然乾燥させた後、ゼブラ社製水性蛍光黄色マーカーペン ZEBRA OPTEX 2(商標)にて一回なぞり、記録部分の乱れを目視で観察し、下記の基準で評価した。
【0059】
A:なぞった部分に記録の乱れがない。
【0060】
B:なぞった部分に記録の乱れが少なく、ペン先が殆ど汚れていない。
【0061】
C:なぞった部分の記録の乱れが大きく、ペン先に色がつく。
【0062】
評価2:OD値
記録物のベタ画像の記録部分の反射OD値を反射濃度計 500Series(X−Rite社製)で測定した。
【0063】
評価3:にじみ
記録物のベタ画像の記録部分において、記録媒体の紙白部分との境界部でのインクのにじみ具合を目視で観察し、以下の基準で評価した。
【0064】
A:境界部分でインクのにじみはほとんどない
B:境界部分においてインクのにじみがみられる
図7は、実施例、比較例1、比較例2、比較例3を上記の評価方法によって評価した結果を示す。
【0065】
比較例1では、反応液が付与された領域に対して、ブラックインクを記録デューティー100%で付与している。この場合、高いODを得ることはできるものの、ブラックインクに含まれる樹脂が少ないために耐マーカー性は悪い。比較例2では耐擦過性は良好であった。これは、反応液を用いずにブラックインクとグレーインクを付与しているため、記録媒体の表面で顔料粒子が凝集せずに、それが削れにくくなったためと考えられる。その反面、顔料粒子が記録媒体の表面で凝集していないためにODが低く、高いODと良好な耐擦過性の両立は困難である。また、反応液を用いていないため、インクのベタ画像の記録部分と記録媒体の紙白部分との境界部においてにじみが生じた。
【0066】
実施例では、反応液が付与された領域に対して、ブラックインクとグレーインクを付与している。前述したようにグレーインクには樹脂が多く含まれているため、グレーインク内の樹脂がブラックインク内の顔料粒子の結着層を形成し、耐擦過性が向上させている。また、反応液と樹脂の間においても反応性があるため、反応液によって、顔料粒子の結着層の形成が促進されると考えられる。グレーインクを付与することにより、ODが0.02下がっている。これは、1回の走査において全てのインクを付与したために、記録媒体上での溶媒成分が増えて、グレーインクを付与しない場合と比べて顔料凝集物が記録媒体内へわずかに浸透したためと考えられる。しかし、ODの減少は、反応液を顔料インクへ付与した場合のODの上昇効果と比べて、非常にわずかであるため高いODを維持することができる。さらに、反応液を付与することによって、比較例2では生じたにじみがほとんどなかった。
【0067】
以上のような実施形態を採ることにより、必要な箇所においてのみ、樹脂が多く含まれたインクを付与することにより、高いODを維持しつつ耐擦過性を向上させることができる。必要な箇所とは、具体的には、濃インクの付与量が多く、ODが高い領域のことである。濃インクの付与量が多くてODが高い領域では、淡インクを付与した場合の色度変化が小さいため、耐擦過性を向上させために充分な量の淡インクを付与することができる。
【0068】
(第2の実施形態)
第1の実施形態においては、樹脂の含有量が多くて耐擦過性が良好なインクとして淡インクを用いた。本実施形態においては、淡インクの代わりに、色材成分を含まないクリアインクに樹脂を添加したものを用いる。
(インクの組成)
ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、反応液については第1の実施形態について示したものと同様である。
【0069】
<樹脂入りクリアインク>
まず、下記のようにして樹脂水溶液を得た。スチレン、n−ブチルアクリレート、及びアクリル酸で構成される樹脂を15.0質量%、前記アクリル酸を構成するカルボン酸に対して水酸化カリウムを1当量加え、残部を水で100.0質量%に調整した後、80℃で撹拌して樹脂を溶解した。その後、固形分(樹脂)の含有量が15.0質量%になるように水で調整して、樹脂水溶液を得た。樹脂は、スチレン/n−ブチルアクリレート/アクリル酸=0.160/0.710/0.130、酸価101、重量平均分子量7,000である。
(2)インクの作製
下記に示す各成分を混合し、十分撹拌して、インクを調製した。得られたクリアインクは無色透明であった。
・樹脂水溶液: 26.6部
・グリセリン: 9部
・エチレングリコール: 6部
・アセチレングリコールEO付加物: 1部
・イオン交換水: 57.4部
【0070】
本実施形態では、反応液・ブラック・シアン・マゼンタ・クリアインクの順に並べられた記録ヘッドを用いる。記録ヘッドを往方向に移動させつつ、これらの液を反応液・ブラック・シアン・マゼンタ・イエロー・クリアインクの順に吐出して記録媒体上に付与することにより、1走査分の画像を記録する(往路走査)。そして、記録媒体を所定量搬送する。その後に、片方向記録方式の場合には、記録ヘッドが元のホームポジションに戻ってから、再び、往方向に移動しつつ、反応液・ブラック・シアン・マゼンタ・イエロー・クリアインクをその順序で吐出して、次の1走査分の画像を記録する。
【0071】
図8は、本実施形態において用いる3D−LUTの説明図であり、前述した第1の実施形態と同様に、グレースケール画像に限定して説明する。図8中において、実線はブラックインク(濃インク)の付与量を示し、破線はクリアインクの付与量を示す。第1の実施形態の場合と同様に、樹脂入りインクであるクリアインクの付与量は、ブラックインクの付与量が増えるに従って増やす。また、淡インクがないために、ブラックインクが階調レベルの低い淡部の記録時から付与されている。クリアインクは、色材が入っていないため、淡インクと比べて付与できる領域が大きく増加する。
【0072】
図9は、本実施形態の記録結果を前述の評価方法によって評価した結果の説明図である。反応液と樹脂入りクリアインクを付与することで、第1の実施形態の場合と同様に、ブラックインクの高いODを維持しつつ、耐擦過性を向上させることができた。
【0073】
(第3の実施形態)
前述の実施形態では、樹脂の含有量の少ないインクの付与領域に対する、樹脂の含有量の多いインクの付与量は、予め設定されているLUTを参照することによって決定する。しかし、樹脂を多く含むインクの付与量の決定方法は、LUTを用いない方法であってもよい。図10は、樹脂を多く含むインク(樹脂入りインク)の付与量の決定方法を含む画像処理を説明するためのフローチャートである。
【0074】
本例においては、樹脂量が少ないインクによる記録面の擦過性を向上させるために、樹脂入りインクとしての淡インクの付与量を決定する。なお、ここで決定する淡インクの付与量は、画像データによって決定される付与量とは別であり、画像データによって決定された付与量と、樹脂入りインク付与量決定処理1001によって決定した付与量と、の合計が記録媒体に付与されることになる。なお、濃インクを用いて画像が記録された記録物の耐擦過性を向上させるために付与する淡インクは、色変化を考慮すると、濃インクと同色相のインクであることが望ましい。本例では、濃インクであるブラックインクの付与量に基づいて、樹脂量の多い淡インクであるグレーインクの付与量を決定する方法について説明する。
【0075】
樹脂入りインク付与量決定処理1001では、ブラックインクの付与量を用いて演算処理を行ってグレーインクの付与量を決定する。具体的には、{(グレーインク付与量)=(ブラックインク付与量)―80}という演算式を用いることにより、画像データに基づいて決定したブラックインクの付与量を元にして、グレーインクの付与量を決定する。その演算結果がマイナスとなる場合には、当然、付与量は0である。前述したように、ブラックインクの付与量が多くなるにつれてグレーインクの付与量を増加させることにより、ブラックインクの耐擦過性が問題となる高ODの記録部分の耐擦過性を向上させることができる。
【0076】
なお、本例において用いた演算式は、ブラックインクの付与量に応じてグレーインクの付与量を変化させる関係式であればよく、任意の式を用いることができる。また、樹脂の含有量の多いインクとしては、グレーインク以外のインクを用いてもよく、前述の実施形態において用いた樹脂を含んだクリアインクを用いてもよい。
【0077】
(他の実施形態)
前述の実施形態では、樹脂の含有量の少ないインクの付与量が増えるほど、樹脂の含有量の多いインクの付与量を増やすことによって、耐擦過性の向上を実現した。しかし、本発明は、樹脂の含有量の少ないインクの付与量に応じて、樹脂の含有量の多いインクの付与量を変化させることができればよく、樹脂の含有量の少ないインクの付与量が増えた場合に、樹脂の含有量の多いインクの付与量は必ずしも増やさなくてもよい。また、樹脂の含有量の多いインクとして、淡インクまたはクリアインクを用いた場合について説明したが、それらの両方を用いてもよい。また、前述の実施形態では、樹脂の含有量の少ないインクとして、ブラックインクのみを用いたが、濃度の異なる複数のインクや色相の異なる複数色のインクを用いてもよい。また、本発明で適用可能なインクは、インク内に含まれる樹脂量が異なるものであればよく、上述した組成のみに限定されない。また、インクとしては、染料インクまたは顔料インク、あるいはそれらの両方を用いることができる。また、処理液としては、染料インクとして反応して色材(第1インク中または第2インク中の色材)を不溶化させる成分を含むもの、あるいは顔料インクと反応して色材を凝集させる成分を含むものを用いることができる。また、本発明は、紙や布、不織布、OHPフイルム等の記録媒体を用いる記録装置全てに適用が可能であり、具体的な適用装置としては、プリンタ、複写機、ファクシミリなどの事務機や大量生産機等を挙げることができる。
【0078】
また、前述の実施形態では、本発明の特徴的な処理を行う画像処理部32がインクジェット記録装置の内部に備えられている形態について説明した。しかし、この画像処理部32は、インクジェット記録装置の内部に備えられている必要はない。例えば、インクジェット記録装置に接続されるホストコンピュータ(画像入力部31)のプリンタドライバに、画像処理部32の機能を持たせるようにしてもよい。この場合には、プリンタドライバが、アプリケーションから受け取った多値の入力画像データ401に基づいて2値の出力画像データ411を生成し、これを記録装置に供給することになる。このように、ホストコンピュ−タとインクジェット記録装置を含んで構成されるインクジェット記録システムも本発明の範疇である。この場合、ホストコンピュータは、インクジェット記録装置にデータを供給するデータ供給装置として機能し、また、インクジェット記録装置を制御する制御装置としても機能することになる。
【0079】
また、本発明の特徴的なデータ処理を行う画像処理部32を備えたデータ生成装置も、本発明の範疇である。画像処理部32がインクジェット記録装置に備えられている場合には、このインクジェット記録装置が本発明のデータ生成装置として機能する。一方、その画像処理部32がホストコンピュ−タに備えられている場合には、このホストコンピュータが本発明のデータ生成装置として機能する。更に、上述した特徴的なデータ処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムや、そのプログラムをコンピュータにより読み出し可能に格納した記憶媒体も、本発明の範疇である。
【符号の説明】
【0080】
21 記録ヘッド
31 画像入力部
32 画像処理部
33 画像出力部
402 インク色分解処理
404 3D−LUT
408 反応液用吐出パターン
409 反応液用吐出パターン生成処理
410 反応液用吐出データ
411 出力画像データ
51 反応液用吐出パターン
1001 樹脂入りインク付与量決定処理

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1インクと、前記第1インクよりも樹脂の含有量が多い第2インクと、前記第1および第2インク中の色材を不溶化または凝集させる成分を含有する反応液と、を吐出可能な記録ヘッドを用いて、記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置であって、
前記反応液と前記第1インクにより記録される記録領域に対する前記第1インクの吐出量に応じて、前記記録領域に対する前記第2インクの吐出量を決定する決定手段と、
前記記録領域に対して、前記決定手段により決定された量の前記第2インクを吐出させる記録手段と、
を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記決定手段は、前記記録領域の記録データに基づいて、前記記録領域に対する前記第2インクの吐出量を決定することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記記録領域は、前記反応液と前記第1インクが吐出される複数の画素を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記第1および第2インクに含まれる色材は顔料であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記第1インクに含まれる色材は顔料であり、前記第2インクは無色であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記第1インクは、前記第2インクよりも含有する色材の量が多いことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
第1インクと、前記第1インクよりも樹脂の含有量が多い第2インクと、前記第1および第2インク中の色材を不溶化または凝集させる成分を含有する反応液と、を吐出可能な記録ヘッドを用いて、記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記反応液と前記第1インクにより記録される記録領域に対する前記第1インクの吐出量に応じて、前記記録領域に対する前記第2インクの吐出量を決定する決定工程と、
前記記録領域に対して、前記決定工程により決定された量の前記第2インクを吐出させる工程と、
を含むことを特徴とするインクジェット記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−110755(P2011−110755A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−267529(P2009−267529)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】