インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法
【課題】インクジェット記録装置において、キャリッジ速度の変更の影響を受けないで連続した画像の記録を行うことを可能とする。
【解決手段】バンドにおけるカウント領域のカウント値が閾値ドット数を超えていると判断した場合は、その旨を示すフラグ情報を記憶する(S106)。そして、1つの連続画像に含まれる総てのバンドの処理が終了するまでドットカウントなどの処理を繰り返す(S107)。連続する記録データが無くなったと判断すると、フラグ情報を参照して(S108)、連続する記録データのバンド内に閾値ドット数を超える分割領域があるか否かを判断する。連続画像の中に閾値を超える分割領域がある場合は、記録ヘッドの駆動周波数およびキャリッジ速度を低下させる(S110)。
【解決手段】バンドにおけるカウント領域のカウント値が閾値ドット数を超えていると判断した場合は、その旨を示すフラグ情報を記憶する(S106)。そして、1つの連続画像に含まれる総てのバンドの処理が終了するまでドットカウントなどの処理を繰り返す(S107)。連続する記録データが無くなったと判断すると、フラグ情報を参照して(S108)、連続する記録データのバンド内に閾値ドット数を超える分割領域があるか否かを判断する。連続画像の中に閾値を超える分割領域がある場合は、記録ヘッドの駆動周波数およびキャリッジ速度を低下させる(S110)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法に関し、詳しくは、インクを吐出する記録ヘッドの走査速度の制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置では、従来、記録動作の途中に記録ヘッドの走査速度である、キャリッジの移動速度を変更するとともに、この移動速度の変更に応じて記録ヘッドの駆動周波数を変更する技術が知られている(特許文献1参照)。これによれば、例えば、高いデューティーで連続して記録を行う場合の記録ヘッド温度の昇温を抑制することができ、その結果、吐出インク滴の体積が増加して記録濃度が変化することを防止することが可能となる。また、上記インク滴体積が増加することによってインクのリフィルが間に合わなくなることも抑制でき、その結果、リフィル不良による吐出方向の偏向など、吐出不良の発生も防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−246641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のキャリッジ速度制御では、記録紙など、画像が記録される記録媒体上で連続した領域を記録する途中で、キャリッジ速度が変更されることがある。このため、この速度が異なる画像領域間で画質が微妙に異なって見えることがあり、それによって、記録画像の品位が低下することがある。
【0005】
本発明は、この問題を解決するためになされたものであり、その目的は、キャリッジ速度の変更の影響を受けないで連続した画像の記録を行うことが可能なインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために本発明では、インクを吐出する記録ヘッドを記録媒体に対して走査し記録を行うインクジェット記録装置であって、記録データに基づき、当該走査で記録するドットの数を、記録ヘッドの1回の走査で記録する記録媒体上の領域においてカウントするドットカウント手段と、前記ドットカウント手段がカウントしたドット数が所定の閾値より多いか否かを前記記録ヘッドの1回の走査で記録する記録媒体上の領域ごとに判断する判断手段と、前記判断手段の判断結果に応じて、記録データが示す画像が記録媒体において連続する画像である連続画像ごとに、当該連続画像を記録するための記録ヘッドの走査速度および記録ヘッドの吐出周波数を決定する決定手段と、を具えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
以上の構成によれば、キャリッジ速度の変更の影響を受けないで連続した画像の記録を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係わるインクジェット記録装置を示す上面図である。
【図2】図1に示したインクジェット記録装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示すホスト装置200及びプリンタ本体240内部におけるデータ処理について説明する図である。
【図4】記録データのインデックス展開を説明する図である。
【図5】記録ヘッドで記録する1バンド分のデータのドットカウント領域を模式的に示す図である。
【図6】記録ヘッドの温度に対して設定する閾値ドット数を示す図である。
【図7】閾値ドット数とドットカウント値の比較のための構成を模式的に示す図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る、複数のバンドによって形成される連続画像を示す図である。
【図9】本発明の実施形態の、キャリッジ速度の切り換え処理に係る構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係るキャリッジ速度の切り換え処理を示すフローチャートである。
【図11】異なる連続画像を同一の走査で記録する場合の一例を示す図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る、複数のバンドによって形成される連続画像を示す図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係るキャリッジ速度の切り換え処理を示すフローチャートである。
【図14】本発明の第3実施形態に係る、複数のバンドによって形成される連続画像を示す図である。
【図15】第3実施形態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の一実施形態に係わるインクジェット記録装置を示す上面図である。図1において、2は、記録用紙などの記録媒体を搬送する紙搬送系ユニットを含む装置本体を示し、1はキャリッジを示す。キャリッジ1は、記録ヘッド5を搭載して移動し、これにより、記録ヘッド5の記録媒体に対する走査が可能となる。詳細には、キャリジ1は、ガイド軸11に沿って移動可能に案内支持されており、また、ベルト13を介して伝達される駆動力によって往復移動することができる。記録ヘッド5は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の他に、淡シアン(LC)、淡マゼンタ(LM)を加えた計6色のインクを吐出するそれぞれ個別の記録ヘッドからなる。本実施形態では、各記録ヘッド5は、インクを吐出する吐出口内にヒータが設けられ、吐出信号に応じてこのヒータが発熱することによってインク中に生じる気泡の圧力によってインクを吐出するものである。本実施形態の、各記録ヘッド5は、記録ヘッドの温度を検出するための温度センサを備えている。
【0010】
なお、本発明を適用する上で、記録ヘッドの吐出方式は、この気泡によるものに限られないことはもちろんである。ピエゾ素子などインク吐出のための駆動に伴って一定の熱を発生する方式であればどのような方式であってもよい。また、図1に示す例は、6色のインクを使用する例に係るものであるが、本発明に適用可能なインクジェット記録装置は少なくとも1色以上のインクを使用する装置で有ればよい。例えば、モノクロ記録装置である場合には、ブラック(K)1色のみ使用しても良いし、カラー記録装置としてシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色を使用することもできる。
【0011】
30Aおよび30Bは、回復機構を示す。回復機構30A、30Bは、キャップを備えて各記録ヘッド5の不図示のポンプを駆動源として吸引動作を行う。また回復機構30A、30Bは、各記録ヘッド5の吐出口面のワイピング動作を行うための図示しないワイピング機構を含み、さらに、記録ヘッドの不使用時に記録ヘッドを保護するキャップを含む。31は各記録ヘッド5の予備吐出動作によって吐出されるインクを受容する予備吐出インク受容箱を示す。
【0012】
以上の装置構成において、キャリッジ1は、ホスト装置から記録データを受け取ると、図示しない紙搬送ユニットによって送られる記録媒体に記録すべく、ガイド軸11に沿った方向(主走査方向)に移動するように制御される。これにより、各記録ヘッド5の走査が行なわれ記録媒体に1バンド分の画像などが記録される。そして、記録媒体はキャリッジ1と直交する方向(副走査方向)に1バンド分、紙搬送ユニットによって搬送される。キャリッジ1の移動経路に沿ってそのキャリッジの移動位置を検出するためのエンコーダフィルム12が配設されており、キャリッジ1に搭載されたエンコーダセンサがこれを検出する信号に基づいてキャリッジの位置を知ることができる。また、このエンコーダの位置検出に基づいてキャリッジ1のホームポジション(本実施形態では、回復機構に対向する位置)への移動が制御される。
【0013】
各記録ヘッド5には、上記の副走査方向に1200dpi(ドット/インチ)の密度で、1280個の吐出口が配列されている。その各吐出口に連通したインク液路内には、上述したように、インクを局所的に加熱して膜沸騰を起こさせ、その圧力によってインクを吐出させるためのヒータ(電気熱変換体)が設けられている。
【0014】
図2は、図1に示したインクジェット記録装置の制御系の構成を示すブロック図である。図2において、プリンタ制御部220は、ROM227に記録されたプログラムに従って、MPU(Micro Processor Unit)221により制御される。RAM228はMPU221の作業領域や一時データ保存領域として利用される。MPU221は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)222を介して、キャリッジ駆動系223、搬送駆動系224、回復駆動系225、およびヘッド駆動系226の制御を行う。また、MPU221はASIC222から読み書き可能なプリントバッファ229、マスクバッファ230への読み書きが可能な構成になっている。
【0015】
プリントバッファ229は、記録ヘッド5へ転送可能な形式に変換された2値の記録データを一時保管する。マスクバッファ230は、マルチパス記録を行うとき、記録ヘッド5に転送する際にプリントバッファ229から転送されるデータに必要に応じてAND(論理積)に用いられるマスクパターンを一時的に保持する。なお、パス数の異なるマルチパス記録のための複数組のマスクパターンはROM227内に用意され、実際の記録時に該当するマスクパターンがROM227から読み出されてマスクバッファ230に格納される。マスクバッファ229におけるマスクパターンとのAND処理は、1パス記録のように必要のない場合には行われないことはもちろんである。ホスト装置200から送られる記録データがインデックス形式の場合、図4にて後述するドット配置パターンを用いてインデックス展開を行い2値の記録データを得、これをプリントバッファ229に格納する。
【0016】
ホスト装置200からインクジェット記録装置200内のプリンタ制御部220の受信バッファ250に記録データが送られることにより記録動作が開始される。プリンタ制御部220は、ホスト装置200から受信した記録データを解析し、記録データ、記録品位、マージン情報等の記録に必要な情報を生成する。このとき、記録データ、記録品位、メディア、マージン情報等は、ASIC222を介してMPU221で処理され、RAM228に保持される。この情報は必要に応じて後に参照され、処理の切り分けに利用される。
【0017】
上述のようにして得られる最終的な2値の記録データは、各記録ヘッド5に転送可能な状態としてプリントバッファ229に書き込まれる。プリントバッファ229に保持された記録データが、実際のバンドデータの記録が可能な量まで溜まった段階で、MPU221はASIC222を介して、搬送駆動系224により記録媒体の搬送を行い、キャリッジ駆動系223によりキャリッジ1を移動させる。また、回復駆動系225により回復系を駆動して記録動作前に必要な回復動作を行う。さらに、ASIC222に対して、画像の出力位置等の設定を行い、キャリッジ1を駆動して記録動作を開始する。キャリッジ1が移動して、ASIC222に設定した記録開始位置に到達すると、吐出タイミングに合わせて記録データが順次プリントバッファ229から読み出される。ヘッド駆動系226の制御により、転送されたデータに従って記録ヘッド5が駆動され吐出が行われる。ホスト装置200からの画像受信からここまでの処理を繰り返すことで記録動作が実現される。
【0018】
図3は、以上説明したホスト装置200及びプリンタ本体240内部におけるデータ処理について説明する図である。ホスト装置200では、プリンタドライバ210によって600×600dpiのR、G、B(レッド,グリーン,ブルー)形式の多値データ(ここでは、各8ビット)を生成する。次に、プリンタ240にマッチした色空間にするためにR、G、BからR’、G’、B’データへの色変換処理500を行う。次に、R’G’B’の8ビットデータをプリンタで用いる各インク色のデータであるK,LC,LM,C,M,Yの各8ビットのデータに変換する色分解処理510を行う。これによって得られるデータの解像度は600×600dpiのままである。
【0019】
続いて、K,LC,LM,C,M,Yの8ビット(255階調)データに対して量子化処理520を行い、各色4ビット(5階調)の記録データを得る。量子化処理520としては、公知の誤差拡散法あるいはディザ法を用いることができる。量子化されたK,LC,LM,C,M,Yの4ビット(5階調)データに記録品位、メディア、マージン情報等の記録に必要な情報を付加した後、プリンタ本体240に転送する。プリンタ本体では、受信した各色4ビットデータに対してインデックス展開処理530を行って、1200dpiの解像度の最終的な2値データを得る。
【0020】
図4は、インデックス展開を説明する図である。本実施形態においては、プリンタ本体240が600dpiの4ビット(5階調)で表される画素単位のデータを1200dpiの1ビット(2値)データにインデックス展開する。従って、展開するマトリクスサイズは2(横)×2(縦)となる。図4に示すように5階調分の4ビットデータ(”0000”、”0001”、”0010”、”0011”、”0100”)には予め展開するパターン(800,801,803,804)が設定されている。そのため各画素は、0〜4ドットのいずれかで記録されることになる。これらのドット配置パターンは、記録装置本体内のROMに予め保持しておくか、あるいは、記録データとともにホスト装置からダウンロードしても良い。ホスト装置のプリンタドライバ210から上記5階調のデータが送られ、プリンタ本体では600dpiの4ビットデータを上記設定した各階調レベルのパターンに基づいて画素単位で展開され、1200dpiの1ビット(2階調)データが生成される。この1ビット(2階調)データに基づいて記録ヘッドからインクを吐出することにより、記録すべき画像に対応したドットが記録媒体に形成されることになる。
【0021】
次に、1バンド分のデータをドットカウントする構成について図5を参照して説明する。図5は、記録ヘッド5で記録する1バンド分のデータのドットカウント領域を模式的に示す図である。記録媒体において、1回の記録ヘッドの走査で記録できる領域をバンドと規定することができ、このバンドを記録するときに記録データに応じたそれぞれの記録ヘッドからの吐出数をドットとしてカウントする。図5に示すように、1つのバンドは、記録ヘッド5の1280個の吐出口の範囲に対応した、副走査方向の長さを有し、この長さは、上述したインデックスデータの600dpiの解像度で640画素分である。そして、1バンドは、縦(副走査方向)640画素×横(主走査方向)640画素の単位で区分(101、102、103、・・・)される。このように区分された領域がドットカウント領域となり、ドットカウント領域ごとにドットカウントを行い、次のバンドも同様に640×640画素の単位で区分(201、・・・)し、各ドットカウント領域のドットカウントを行う。なお、図5に示す例では、1バンドの副走査方向における長さは、記録ヘッドの吐出口配列方向の長さと一致しているが、この長さはノズル配列方向の長さと一致していなくてもよい。また、主走査方向の領域も図5に示す例では640画素としているが、この領域も、記録ヘッドの昇温特性などに応じて定めることができる。
【0022】
次に、図10にて後述する閾値ドット数の算出方法について図6を参照して説明する。図6は、検出される記録ヘッドの温度(以下、ヘッド温度という)に対して設定する閾値ドット数を示す図である。図6に示すように、ヘッド温度20℃までは、1つのドットカウント領域の最大カウントドット数1638400を閾値ドット数とする。なお、本実施形態では、上述したインデックスデータについてドットカウントを行う。従って、このデータの1画素は、図4で説明したように2×2のマトリクスに0〜4ドットが配置されるものである。つまり、インデックスデータの各画素には最大で4ドットが配置されることになる。従って、640画素×640画素のドットカウント領域における最大ドット数は、640×640×4=1638400となる。
【0023】
次に、ヘッド温度20℃から60℃までは以下に示す1次関数で閾値を定める。
【0024】
Y=−40960×X+2457600(ここで、Yは閾値ドット数、Xはヘッド温度)
なお、本実施形態においては、閾値ドット数を1次の関数で設定したが1次元のLUTや関数による演算によって設定できるようにしても良い。
【0025】
次に、ドットカウント領域ごとに、閾値ドット数とドットカウント値とを比較するための構成について図7を参照して説明する。図7は、閾値ドット数とドットカウント値の比較のための構成を模式的に示す図である。図7に示すように、各インク色の記録ヘッドの記録データについて、1バンド内のドットカウント領域1000〜1005においてそれぞれ最もドット数の大きい領域(1006〜1011)を検出する。一例として、K、LC、Cの最大ドット数(1006〜1008)をそれぞれ1400000ドット、LM、M、Yの最大ドット数(1009〜1011)をそれぞれ200000ドットとする。
【0026】
一方、走査開始直前の各インク色のヘッド温度1018〜1023を取得する。そして、各ヘッド温度1018〜1023に対する閾値ドット数を、図6に示した関係に基づいて算出する。一例として、Kヘッド温度1018、LCヘッド温度1019、Cヘッド温度1020をそれぞれ30℃とし、LMヘッド温度、Mヘッド温度、Yヘッド温度をそれぞれ40℃とする。その結果、K、LC、Cの閾値ドット数(1012〜1014)は、−40960×30+2457600=1228800となる。また、LM,M,Yの閾値ドット数(1015〜1017)は、−40960×40+2457600=819200となる。
【0027】
以上の例において、各色の最大ドット数と閾値ドット数を比較すると、K、LC、Cについては、最大ドット数1400000が閾値ドット数1228800を超えている。一方、LM、M、Yについては、最大ドット数200000は閾値ドット数819200を超えていない。すなわち、閾値ドット数を超えている色が存在することになる。
【0028】
この場合、本実施形態では、図10にて後述されるように、この閾値ドット数を超えるドットカウント領域を含む連続画像を記録する際にキャリッジ速度(記録ヘッドの走査速度)と記録ヘッドの駆動周波数(吐出周波数)を変更する。具体的には、キャリッジ速度と駆動周波数を下げて記録を行う。これにより、記録ヘッドの昇温を抑制することができる。なお、キャリッジ速度を遅くする際に駆動周波数をこの速度変化に応じて低くすることにより、キャリッジ速度の変更の前後でドットの記録密度(解像度)が変化しないようにすることができる。
【0029】
以上のように、本実施形態では、閾値ドット数を超えるドットカウント領域を含む連続画像の単位でその記録の際にキャリッジ速度と駆動周波数を変更する。これにより、ドットカウントに基づいたキャリッジ速度変更の影響を受けないで連続画像の記録を行うことが可能となる。ここで、連続画像とは、画像が連続している領域の画像、すなわち、記録が行われない、記録媒体の下地が一定の領域を形成しその下地領域によって分離されない領域の画像をいう。
【0030】
図8は、複数のバンドによって形成される連続画像を示す図であり、第1〜第3スキャン(走査)のそれぞれ4つのドットカウント領域によって連続画像100が形成される例を示している。図8に示す例において、第2スキャンにあたる2バンド目の何れかのドットカウント領域でドットカウント値が閾値を超え、例えば、その領域を含むバンドのみでキャリッジ速度を変更するとする。その場合、その前後の第1スキャンの1バンド目と第3スキャンの3バンド目の画像との間で濃度が異なり、連続画像の全体で濃度ムラが発生することがある。そのため、本実施形態では、連続画像を記録する際、その画像に含まれるドットカウント領域の何れかでドットカウント値が閾値を超える場合、連続画像を単位としてキャリッジ速度の切り替えを行う。
【0031】
図9は、本実施形態のキャリッジ速度の切り換え処理に係る構成を示すブロック図であり、図10は、本実施形態のキャリッジ速度の切り換え処理を示すフローチャートである。図9に示す構成は、主に図2に示した本実施形態のインクジェットプリンタ240制御系の構成によって実現されるものである。
【0032】
図9において、ヘッド温度検出部901は、記録ヘッド5に取付けられた温度センサの出力を基にヘッド温度を検出して検出信号を出力する。すなわち、本実施形態に係るヘッド温度検出部901は、温度検出のための温度センサと、その温度センサから出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路を有し、ヘッド温度に応じたデジタル信号を出力する。ドットカウント部902は、上述したように1回の走査で記録される記録媒体上の領域を表したバンドを分割した領域(ドットカウント領域)ごとに、その領域に形成されるべきドット数をカウントする。判定部903は、ヘッド温度検出部901で検出されたヘッド温度と、ドットカウント部において分割領域毎のカウント値とに基づいて、図10を参照して後述する最大ドット数と閾値ドット数との比較判断を行う。
【0033】
駆動周波数決定部904は、判定903の判断結果に基づいて、記録ヘッド5の駆動周波数およびキャリッジ速度を決定する。決定された駆動周波数はヘッド駆動系226へ、キャリッジ速度はキャリッジ駆動系223へ、用紙の搬送量は搬送駆動系224へそれぞれ通知され、記録制御がなされる。
【0034】
以上、図9に示す各部によって実行される処理を、図10のフローチャートを参照して説明する。本実施形態では、記録ヘッド5の走査方向の記録解像度を1200dpi、キャリッジ速度を16.7inch/sec、記録ヘッド5の駆動周波数を1200×16.7=20KHzを基本とする。
【0035】
先ず、ヘッド温度検出部901により、各色記録ヘッドのヘッド温度が取得される(S101)。次に、ドットカウント部902によって、記録ヘッド5で記録する1バンドに対応する領域を所定のモニタサイズ(ここでは、640×640画素)単位で区画することで得られる分割領域毎にドットカウントが行われる。このドットカウントは各色独立に行われる(S102)。なお、この分割領域はドットカウントを行う単位であるため、以下では、分割領域のことを「ドットカウント領域」とも称する。
【0036】
カウントされたドット数は、判定部903へ通知され、判定部903において1バンド内の分割領域それぞれでカウントされたドット数のうち、最大ドット数に対応した値が各色それぞれで算出される(S103)。取得されたヘッド温度の情報は、判定部903へ通知され、判定部903では、各色のヘッド温度から各色の閾値ドット数を算出する(S104)。さらに、判定部903では、各色それぞれに対応した最大ドット数と各色それぞれに対応した閾値ドット数とが比較され、いずれか1色でも最大ドット数が閾値ドット数を越えているか否かが判定される(S105)。また、判定部903は、走査開始前のヘッド温度情報と各色のドット数から走査後のヘッド温度を予測する手段を備えている。
【0037】
判定部903において閾値ドット数を超えていると判断した場合は、その旨を示すフラグ情報(例えばフラグ値“1”)を記憶しておく(S106)。次に、まだバンドが連続しているかを判定し(S107)、連続してデータがある場合は上記S102〜S107を繰り返す。すなわち、1つの連続画像に含まれる総てのバンドの処理が終了するまで上述の処理を繰り返す。ステップS107で連続する記録データが無くなったと判断すると、上記フラグ情報を参照して(S108)、連続する記録データのバンド内に閾値ドット数を超える分割領域があるか否かを判断する。
【0038】
連続画像の中に閾値を越える分割領域がない場合は、その旨を示すフラグ情報(例えばフラグ値“0”)が判定部903から駆動周波数決定部904へ通知され、駆動周波数決定部904は、予め定められた駆動周波数及びキャリッジ速度を維持する(S109)。一方、連続画像の中に閾値を超える分割領域がある場合は、その旨を示すフラグ情報(例えばフラグ値“1”)が判定部903から駆動周波数決定部904へ通知されている。その結果、駆動周波数決定部904は、記録ヘッド5の駆動周波数を14.4KHz、キャリッジ速度を12inch/secにそれぞれ変更する。つまり、駆動周波数及びキャリッジ速度を低下させる(S110)。そして、駆動周波数決定部904によって決定された駆動周波数及びキャリッジ速度によって記録が行われる(S111)。
【0039】
上述のように、ドットカウントおよびそれに基づくキャリッジ速度および駆動周波数の決定までの処理を、連続画像の単位で繰り返し行うことにより、連続画像中に低速領域と高速領域が混在することがなくなり、記録画像における濃度ムラを抑制することができる。
【0040】
(第2実施形態)
本発明の第2の実施形態は、異なる連続画像を同一の走査で記録する場合のキャリッジ速度切り替え処理に関するものである。図11は、異なる連続画像を同一の走査で記録する場合の一例を示す図である。図11に示す例では、連続画像1100と別の連続画像1101の一部が、記録ヘッド5の第1スキャンで記録される。
【0041】
図11において、第1スキャンでは、連続画像1100と連続画像1101の一部を記録するため、そのスキャンで記録するバンドの上部101〜104と、これに連続していない下部101a〜104aとについて別々にドットカウントを行うことができる。そこで、本実施形態では、図11において、例えば、上部101〜104が低速記録、下部101a〜104aおよび別のバンドの領域201〜204が高速記録と判断される場合、図12に示すように、第1スキャンの上部と下部の記録データを別スキャンである第2スキャンで記録する。また、これとともに、別のバンドの領域201〜204を第3スキャンで記録する。これにより、連続画像の単位でキャリッジ速度の切り替えを行うことができ、キャリッジ速度の違いに起因した濃度ムラを抑制することができる。
【0042】
本実施形態のキャリッジ速度切り替え処理に係る構成は、第1実施形態にて参照した図9に示す構成に対してデータ割り当て決定部905を加えたものである。図9において、ドットカウント部902は、図11の連続画像1100のように、連続画像が記録ヘッドの副走査方向の長さに満たない場合は、その長さの領域を分割領域と定め、そのサイズの分割領域ごとに各色のドットカウントを行う。データ割り当て決定部905は、判定部の判定結果にもとづいて、記録ヘッド5の記録データ割り当てを決定する。決定された駆動周波数及び記録データ割り当てはヘッド駆動系226へ、キャリッジ速度はキャリッジ駆動系223へ、用紙の搬送量は搬送駆動系224へそれぞれ通知され、記録制御がなされる。
【0043】
図13は、以上の構成によるキャリッジ速度切り替え処理を示すフローチャートである。本実施形態においても、記録ヘッド5の走査方向の記録解像度を1200dpi、キャリッジ速度を16.7inch/sec、記録ヘッド5の駆動周波数を1200×16.7=20KHzを基本とする。
【0044】
本実施形態の処理が第1実施形態に係る図10に示す処理と異なる点は、ステップS112の処理である。すなわち、ステップS112では、データ割り当て決定部905によって、図12に示す例では、連続画像1100(領域101〜104)を第1スキャンで記録するようにデータの割り当てを行う。また、連続画像1101の一部の領域(101a〜104a)を第2スキャンで記録し、連続画像1101を第1スキャンで記録するよう、データの割り当てを行う。
【0045】
そして、駆動周波数決定部904によって、上記のように走査回が割り当てられた領域ごとにその領域のドットカウント値が閾値ドット数を超えている場合は、記録ヘッド5の駆動周波数を14.4KHz、キャリッジ速度を12inch/secに変更する。つまり、駆動周波数及びキャリッジ速度を低下させる処理を行う(S110)。そして、駆動周波数決定部904及びデータ割り当て決定部905において決定された記録データ割り当てと、駆動周波数及びキャリッジ速度により、記録を行う(S111)。
【0046】
上記処理を記録データの連続画像の単位で繰り返し行うことにより、連続記録データ中に低速領域と高速領域が混在することがなくなるので、キャリッジ速度の変化による濃度ムラを抑制することができる。
【0047】
(第3実施形態)
第2実施形態に係る図12に示すように、1つのバンドを異なるスキャンで記録する場に、記録するスキャンを分割するだけでなく、図14に示すように、記録媒体を搬送し、第2スキャンで記録ヘッドの総ての吐出口を用いて記録するようにしてもよい。これにより、図15に示すような記録データの場合に、スキャン数を減らすことができる。その結果、濃度ムラを抑制できるとともに、スキャン数を減らすことによってスループットを高くすることが可能となる。
【0048】
(第4実施形態)
上述の第1〜第3の実施形態では、1パス記録に本発明に適用した場合について説明したが、本発明は、マルチパス記録に適用することもできる。この場合、ドットカウント領域ごとのドットカウントは、N回の走査で単位領域の記録を完成する、Nパス記録の場合、カウントしたドット数を1/Nとした数を用いる。また、キャリッジ速度の切り替えは、連続画像の単位で行う。
【0049】
(第5実施形態)
上述の第1〜第4の実施形態では、ヘッド温度検出部でヘッド温度の検出を行い、その結果と記録するドット数から閾値ドット数を求めているが、この閾値ドット数を予め算出しておき、記録装置本体のROM上に保持しておいても良い。
【0050】
(他の実施形態)
なお、上述した各実施形態では、ドットをカウントする領域を1回の走査で記録する領域に対応したバンドを分割した領域としたが、このカウント領域を1回の走査にかかるバンドそのものとしてもよい。
【0051】
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するプログラムコードを記録した記憶媒体をシステムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータが記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても達成される。
すなわち、上述実施形態の機能を実現するプログラムコードを、記録装置を含む様々なデバイスが接続されたコンピュータに供給し、そこに格納されたプログラムコードによって様々なデバイスを作動させる記録システムも、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0052】
1 キャリッジ
2 記録ヘッド
200 ホスト装置
220 プリンタ制御部
221 MPU
222 ASIC
227 ROM
228 RAM
229 プリントバッファ
240 インクジェット記録装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法に関し、詳しくは、インクを吐出する記録ヘッドの走査速度の制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置では、従来、記録動作の途中に記録ヘッドの走査速度である、キャリッジの移動速度を変更するとともに、この移動速度の変更に応じて記録ヘッドの駆動周波数を変更する技術が知られている(特許文献1参照)。これによれば、例えば、高いデューティーで連続して記録を行う場合の記録ヘッド温度の昇温を抑制することができ、その結果、吐出インク滴の体積が増加して記録濃度が変化することを防止することが可能となる。また、上記インク滴体積が増加することによってインクのリフィルが間に合わなくなることも抑制でき、その結果、リフィル不良による吐出方向の偏向など、吐出不良の発生も防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−246641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のキャリッジ速度制御では、記録紙など、画像が記録される記録媒体上で連続した領域を記録する途中で、キャリッジ速度が変更されることがある。このため、この速度が異なる画像領域間で画質が微妙に異なって見えることがあり、それによって、記録画像の品位が低下することがある。
【0005】
本発明は、この問題を解決するためになされたものであり、その目的は、キャリッジ速度の変更の影響を受けないで連続した画像の記録を行うことが可能なインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために本発明では、インクを吐出する記録ヘッドを記録媒体に対して走査し記録を行うインクジェット記録装置であって、記録データに基づき、当該走査で記録するドットの数を、記録ヘッドの1回の走査で記録する記録媒体上の領域においてカウントするドットカウント手段と、前記ドットカウント手段がカウントしたドット数が所定の閾値より多いか否かを前記記録ヘッドの1回の走査で記録する記録媒体上の領域ごとに判断する判断手段と、前記判断手段の判断結果に応じて、記録データが示す画像が記録媒体において連続する画像である連続画像ごとに、当該連続画像を記録するための記録ヘッドの走査速度および記録ヘッドの吐出周波数を決定する決定手段と、を具えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
以上の構成によれば、キャリッジ速度の変更の影響を受けないで連続した画像の記録を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係わるインクジェット記録装置を示す上面図である。
【図2】図1に示したインクジェット記録装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示すホスト装置200及びプリンタ本体240内部におけるデータ処理について説明する図である。
【図4】記録データのインデックス展開を説明する図である。
【図5】記録ヘッドで記録する1バンド分のデータのドットカウント領域を模式的に示す図である。
【図6】記録ヘッドの温度に対して設定する閾値ドット数を示す図である。
【図7】閾値ドット数とドットカウント値の比較のための構成を模式的に示す図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る、複数のバンドによって形成される連続画像を示す図である。
【図9】本発明の実施形態の、キャリッジ速度の切り換え処理に係る構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係るキャリッジ速度の切り換え処理を示すフローチャートである。
【図11】異なる連続画像を同一の走査で記録する場合の一例を示す図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る、複数のバンドによって形成される連続画像を示す図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係るキャリッジ速度の切り換え処理を示すフローチャートである。
【図14】本発明の第3実施形態に係る、複数のバンドによって形成される連続画像を示す図である。
【図15】第3実施形態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の一実施形態に係わるインクジェット記録装置を示す上面図である。図1において、2は、記録用紙などの記録媒体を搬送する紙搬送系ユニットを含む装置本体を示し、1はキャリッジを示す。キャリッジ1は、記録ヘッド5を搭載して移動し、これにより、記録ヘッド5の記録媒体に対する走査が可能となる。詳細には、キャリジ1は、ガイド軸11に沿って移動可能に案内支持されており、また、ベルト13を介して伝達される駆動力によって往復移動することができる。記録ヘッド5は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の他に、淡シアン(LC)、淡マゼンタ(LM)を加えた計6色のインクを吐出するそれぞれ個別の記録ヘッドからなる。本実施形態では、各記録ヘッド5は、インクを吐出する吐出口内にヒータが設けられ、吐出信号に応じてこのヒータが発熱することによってインク中に生じる気泡の圧力によってインクを吐出するものである。本実施形態の、各記録ヘッド5は、記録ヘッドの温度を検出するための温度センサを備えている。
【0010】
なお、本発明を適用する上で、記録ヘッドの吐出方式は、この気泡によるものに限られないことはもちろんである。ピエゾ素子などインク吐出のための駆動に伴って一定の熱を発生する方式であればどのような方式であってもよい。また、図1に示す例は、6色のインクを使用する例に係るものであるが、本発明に適用可能なインクジェット記録装置は少なくとも1色以上のインクを使用する装置で有ればよい。例えば、モノクロ記録装置である場合には、ブラック(K)1色のみ使用しても良いし、カラー記録装置としてシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色を使用することもできる。
【0011】
30Aおよび30Bは、回復機構を示す。回復機構30A、30Bは、キャップを備えて各記録ヘッド5の不図示のポンプを駆動源として吸引動作を行う。また回復機構30A、30Bは、各記録ヘッド5の吐出口面のワイピング動作を行うための図示しないワイピング機構を含み、さらに、記録ヘッドの不使用時に記録ヘッドを保護するキャップを含む。31は各記録ヘッド5の予備吐出動作によって吐出されるインクを受容する予備吐出インク受容箱を示す。
【0012】
以上の装置構成において、キャリッジ1は、ホスト装置から記録データを受け取ると、図示しない紙搬送ユニットによって送られる記録媒体に記録すべく、ガイド軸11に沿った方向(主走査方向)に移動するように制御される。これにより、各記録ヘッド5の走査が行なわれ記録媒体に1バンド分の画像などが記録される。そして、記録媒体はキャリッジ1と直交する方向(副走査方向)に1バンド分、紙搬送ユニットによって搬送される。キャリッジ1の移動経路に沿ってそのキャリッジの移動位置を検出するためのエンコーダフィルム12が配設されており、キャリッジ1に搭載されたエンコーダセンサがこれを検出する信号に基づいてキャリッジの位置を知ることができる。また、このエンコーダの位置検出に基づいてキャリッジ1のホームポジション(本実施形態では、回復機構に対向する位置)への移動が制御される。
【0013】
各記録ヘッド5には、上記の副走査方向に1200dpi(ドット/インチ)の密度で、1280個の吐出口が配列されている。その各吐出口に連通したインク液路内には、上述したように、インクを局所的に加熱して膜沸騰を起こさせ、その圧力によってインクを吐出させるためのヒータ(電気熱変換体)が設けられている。
【0014】
図2は、図1に示したインクジェット記録装置の制御系の構成を示すブロック図である。図2において、プリンタ制御部220は、ROM227に記録されたプログラムに従って、MPU(Micro Processor Unit)221により制御される。RAM228はMPU221の作業領域や一時データ保存領域として利用される。MPU221は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)222を介して、キャリッジ駆動系223、搬送駆動系224、回復駆動系225、およびヘッド駆動系226の制御を行う。また、MPU221はASIC222から読み書き可能なプリントバッファ229、マスクバッファ230への読み書きが可能な構成になっている。
【0015】
プリントバッファ229は、記録ヘッド5へ転送可能な形式に変換された2値の記録データを一時保管する。マスクバッファ230は、マルチパス記録を行うとき、記録ヘッド5に転送する際にプリントバッファ229から転送されるデータに必要に応じてAND(論理積)に用いられるマスクパターンを一時的に保持する。なお、パス数の異なるマルチパス記録のための複数組のマスクパターンはROM227内に用意され、実際の記録時に該当するマスクパターンがROM227から読み出されてマスクバッファ230に格納される。マスクバッファ229におけるマスクパターンとのAND処理は、1パス記録のように必要のない場合には行われないことはもちろんである。ホスト装置200から送られる記録データがインデックス形式の場合、図4にて後述するドット配置パターンを用いてインデックス展開を行い2値の記録データを得、これをプリントバッファ229に格納する。
【0016】
ホスト装置200からインクジェット記録装置200内のプリンタ制御部220の受信バッファ250に記録データが送られることにより記録動作が開始される。プリンタ制御部220は、ホスト装置200から受信した記録データを解析し、記録データ、記録品位、マージン情報等の記録に必要な情報を生成する。このとき、記録データ、記録品位、メディア、マージン情報等は、ASIC222を介してMPU221で処理され、RAM228に保持される。この情報は必要に応じて後に参照され、処理の切り分けに利用される。
【0017】
上述のようにして得られる最終的な2値の記録データは、各記録ヘッド5に転送可能な状態としてプリントバッファ229に書き込まれる。プリントバッファ229に保持された記録データが、実際のバンドデータの記録が可能な量まで溜まった段階で、MPU221はASIC222を介して、搬送駆動系224により記録媒体の搬送を行い、キャリッジ駆動系223によりキャリッジ1を移動させる。また、回復駆動系225により回復系を駆動して記録動作前に必要な回復動作を行う。さらに、ASIC222に対して、画像の出力位置等の設定を行い、キャリッジ1を駆動して記録動作を開始する。キャリッジ1が移動して、ASIC222に設定した記録開始位置に到達すると、吐出タイミングに合わせて記録データが順次プリントバッファ229から読み出される。ヘッド駆動系226の制御により、転送されたデータに従って記録ヘッド5が駆動され吐出が行われる。ホスト装置200からの画像受信からここまでの処理を繰り返すことで記録動作が実現される。
【0018】
図3は、以上説明したホスト装置200及びプリンタ本体240内部におけるデータ処理について説明する図である。ホスト装置200では、プリンタドライバ210によって600×600dpiのR、G、B(レッド,グリーン,ブルー)形式の多値データ(ここでは、各8ビット)を生成する。次に、プリンタ240にマッチした色空間にするためにR、G、BからR’、G’、B’データへの色変換処理500を行う。次に、R’G’B’の8ビットデータをプリンタで用いる各インク色のデータであるK,LC,LM,C,M,Yの各8ビットのデータに変換する色分解処理510を行う。これによって得られるデータの解像度は600×600dpiのままである。
【0019】
続いて、K,LC,LM,C,M,Yの8ビット(255階調)データに対して量子化処理520を行い、各色4ビット(5階調)の記録データを得る。量子化処理520としては、公知の誤差拡散法あるいはディザ法を用いることができる。量子化されたK,LC,LM,C,M,Yの4ビット(5階調)データに記録品位、メディア、マージン情報等の記録に必要な情報を付加した後、プリンタ本体240に転送する。プリンタ本体では、受信した各色4ビットデータに対してインデックス展開処理530を行って、1200dpiの解像度の最終的な2値データを得る。
【0020】
図4は、インデックス展開を説明する図である。本実施形態においては、プリンタ本体240が600dpiの4ビット(5階調)で表される画素単位のデータを1200dpiの1ビット(2値)データにインデックス展開する。従って、展開するマトリクスサイズは2(横)×2(縦)となる。図4に示すように5階調分の4ビットデータ(”0000”、”0001”、”0010”、”0011”、”0100”)には予め展開するパターン(800,801,803,804)が設定されている。そのため各画素は、0〜4ドットのいずれかで記録されることになる。これらのドット配置パターンは、記録装置本体内のROMに予め保持しておくか、あるいは、記録データとともにホスト装置からダウンロードしても良い。ホスト装置のプリンタドライバ210から上記5階調のデータが送られ、プリンタ本体では600dpiの4ビットデータを上記設定した各階調レベルのパターンに基づいて画素単位で展開され、1200dpiの1ビット(2階調)データが生成される。この1ビット(2階調)データに基づいて記録ヘッドからインクを吐出することにより、記録すべき画像に対応したドットが記録媒体に形成されることになる。
【0021】
次に、1バンド分のデータをドットカウントする構成について図5を参照して説明する。図5は、記録ヘッド5で記録する1バンド分のデータのドットカウント領域を模式的に示す図である。記録媒体において、1回の記録ヘッドの走査で記録できる領域をバンドと規定することができ、このバンドを記録するときに記録データに応じたそれぞれの記録ヘッドからの吐出数をドットとしてカウントする。図5に示すように、1つのバンドは、記録ヘッド5の1280個の吐出口の範囲に対応した、副走査方向の長さを有し、この長さは、上述したインデックスデータの600dpiの解像度で640画素分である。そして、1バンドは、縦(副走査方向)640画素×横(主走査方向)640画素の単位で区分(101、102、103、・・・)される。このように区分された領域がドットカウント領域となり、ドットカウント領域ごとにドットカウントを行い、次のバンドも同様に640×640画素の単位で区分(201、・・・)し、各ドットカウント領域のドットカウントを行う。なお、図5に示す例では、1バンドの副走査方向における長さは、記録ヘッドの吐出口配列方向の長さと一致しているが、この長さはノズル配列方向の長さと一致していなくてもよい。また、主走査方向の領域も図5に示す例では640画素としているが、この領域も、記録ヘッドの昇温特性などに応じて定めることができる。
【0022】
次に、図10にて後述する閾値ドット数の算出方法について図6を参照して説明する。図6は、検出される記録ヘッドの温度(以下、ヘッド温度という)に対して設定する閾値ドット数を示す図である。図6に示すように、ヘッド温度20℃までは、1つのドットカウント領域の最大カウントドット数1638400を閾値ドット数とする。なお、本実施形態では、上述したインデックスデータについてドットカウントを行う。従って、このデータの1画素は、図4で説明したように2×2のマトリクスに0〜4ドットが配置されるものである。つまり、インデックスデータの各画素には最大で4ドットが配置されることになる。従って、640画素×640画素のドットカウント領域における最大ドット数は、640×640×4=1638400となる。
【0023】
次に、ヘッド温度20℃から60℃までは以下に示す1次関数で閾値を定める。
【0024】
Y=−40960×X+2457600(ここで、Yは閾値ドット数、Xはヘッド温度)
なお、本実施形態においては、閾値ドット数を1次の関数で設定したが1次元のLUTや関数による演算によって設定できるようにしても良い。
【0025】
次に、ドットカウント領域ごとに、閾値ドット数とドットカウント値とを比較するための構成について図7を参照して説明する。図7は、閾値ドット数とドットカウント値の比較のための構成を模式的に示す図である。図7に示すように、各インク色の記録ヘッドの記録データについて、1バンド内のドットカウント領域1000〜1005においてそれぞれ最もドット数の大きい領域(1006〜1011)を検出する。一例として、K、LC、Cの最大ドット数(1006〜1008)をそれぞれ1400000ドット、LM、M、Yの最大ドット数(1009〜1011)をそれぞれ200000ドットとする。
【0026】
一方、走査開始直前の各インク色のヘッド温度1018〜1023を取得する。そして、各ヘッド温度1018〜1023に対する閾値ドット数を、図6に示した関係に基づいて算出する。一例として、Kヘッド温度1018、LCヘッド温度1019、Cヘッド温度1020をそれぞれ30℃とし、LMヘッド温度、Mヘッド温度、Yヘッド温度をそれぞれ40℃とする。その結果、K、LC、Cの閾値ドット数(1012〜1014)は、−40960×30+2457600=1228800となる。また、LM,M,Yの閾値ドット数(1015〜1017)は、−40960×40+2457600=819200となる。
【0027】
以上の例において、各色の最大ドット数と閾値ドット数を比較すると、K、LC、Cについては、最大ドット数1400000が閾値ドット数1228800を超えている。一方、LM、M、Yについては、最大ドット数200000は閾値ドット数819200を超えていない。すなわち、閾値ドット数を超えている色が存在することになる。
【0028】
この場合、本実施形態では、図10にて後述されるように、この閾値ドット数を超えるドットカウント領域を含む連続画像を記録する際にキャリッジ速度(記録ヘッドの走査速度)と記録ヘッドの駆動周波数(吐出周波数)を変更する。具体的には、キャリッジ速度と駆動周波数を下げて記録を行う。これにより、記録ヘッドの昇温を抑制することができる。なお、キャリッジ速度を遅くする際に駆動周波数をこの速度変化に応じて低くすることにより、キャリッジ速度の変更の前後でドットの記録密度(解像度)が変化しないようにすることができる。
【0029】
以上のように、本実施形態では、閾値ドット数を超えるドットカウント領域を含む連続画像の単位でその記録の際にキャリッジ速度と駆動周波数を変更する。これにより、ドットカウントに基づいたキャリッジ速度変更の影響を受けないで連続画像の記録を行うことが可能となる。ここで、連続画像とは、画像が連続している領域の画像、すなわち、記録が行われない、記録媒体の下地が一定の領域を形成しその下地領域によって分離されない領域の画像をいう。
【0030】
図8は、複数のバンドによって形成される連続画像を示す図であり、第1〜第3スキャン(走査)のそれぞれ4つのドットカウント領域によって連続画像100が形成される例を示している。図8に示す例において、第2スキャンにあたる2バンド目の何れかのドットカウント領域でドットカウント値が閾値を超え、例えば、その領域を含むバンドのみでキャリッジ速度を変更するとする。その場合、その前後の第1スキャンの1バンド目と第3スキャンの3バンド目の画像との間で濃度が異なり、連続画像の全体で濃度ムラが発生することがある。そのため、本実施形態では、連続画像を記録する際、その画像に含まれるドットカウント領域の何れかでドットカウント値が閾値を超える場合、連続画像を単位としてキャリッジ速度の切り替えを行う。
【0031】
図9は、本実施形態のキャリッジ速度の切り換え処理に係る構成を示すブロック図であり、図10は、本実施形態のキャリッジ速度の切り換え処理を示すフローチャートである。図9に示す構成は、主に図2に示した本実施形態のインクジェットプリンタ240制御系の構成によって実現されるものである。
【0032】
図9において、ヘッド温度検出部901は、記録ヘッド5に取付けられた温度センサの出力を基にヘッド温度を検出して検出信号を出力する。すなわち、本実施形態に係るヘッド温度検出部901は、温度検出のための温度センサと、その温度センサから出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路を有し、ヘッド温度に応じたデジタル信号を出力する。ドットカウント部902は、上述したように1回の走査で記録される記録媒体上の領域を表したバンドを分割した領域(ドットカウント領域)ごとに、その領域に形成されるべきドット数をカウントする。判定部903は、ヘッド温度検出部901で検出されたヘッド温度と、ドットカウント部において分割領域毎のカウント値とに基づいて、図10を参照して後述する最大ドット数と閾値ドット数との比較判断を行う。
【0033】
駆動周波数決定部904は、判定903の判断結果に基づいて、記録ヘッド5の駆動周波数およびキャリッジ速度を決定する。決定された駆動周波数はヘッド駆動系226へ、キャリッジ速度はキャリッジ駆動系223へ、用紙の搬送量は搬送駆動系224へそれぞれ通知され、記録制御がなされる。
【0034】
以上、図9に示す各部によって実行される処理を、図10のフローチャートを参照して説明する。本実施形態では、記録ヘッド5の走査方向の記録解像度を1200dpi、キャリッジ速度を16.7inch/sec、記録ヘッド5の駆動周波数を1200×16.7=20KHzを基本とする。
【0035】
先ず、ヘッド温度検出部901により、各色記録ヘッドのヘッド温度が取得される(S101)。次に、ドットカウント部902によって、記録ヘッド5で記録する1バンドに対応する領域を所定のモニタサイズ(ここでは、640×640画素)単位で区画することで得られる分割領域毎にドットカウントが行われる。このドットカウントは各色独立に行われる(S102)。なお、この分割領域はドットカウントを行う単位であるため、以下では、分割領域のことを「ドットカウント領域」とも称する。
【0036】
カウントされたドット数は、判定部903へ通知され、判定部903において1バンド内の分割領域それぞれでカウントされたドット数のうち、最大ドット数に対応した値が各色それぞれで算出される(S103)。取得されたヘッド温度の情報は、判定部903へ通知され、判定部903では、各色のヘッド温度から各色の閾値ドット数を算出する(S104)。さらに、判定部903では、各色それぞれに対応した最大ドット数と各色それぞれに対応した閾値ドット数とが比較され、いずれか1色でも最大ドット数が閾値ドット数を越えているか否かが判定される(S105)。また、判定部903は、走査開始前のヘッド温度情報と各色のドット数から走査後のヘッド温度を予測する手段を備えている。
【0037】
判定部903において閾値ドット数を超えていると判断した場合は、その旨を示すフラグ情報(例えばフラグ値“1”)を記憶しておく(S106)。次に、まだバンドが連続しているかを判定し(S107)、連続してデータがある場合は上記S102〜S107を繰り返す。すなわち、1つの連続画像に含まれる総てのバンドの処理が終了するまで上述の処理を繰り返す。ステップS107で連続する記録データが無くなったと判断すると、上記フラグ情報を参照して(S108)、連続する記録データのバンド内に閾値ドット数を超える分割領域があるか否かを判断する。
【0038】
連続画像の中に閾値を越える分割領域がない場合は、その旨を示すフラグ情報(例えばフラグ値“0”)が判定部903から駆動周波数決定部904へ通知され、駆動周波数決定部904は、予め定められた駆動周波数及びキャリッジ速度を維持する(S109)。一方、連続画像の中に閾値を超える分割領域がある場合は、その旨を示すフラグ情報(例えばフラグ値“1”)が判定部903から駆動周波数決定部904へ通知されている。その結果、駆動周波数決定部904は、記録ヘッド5の駆動周波数を14.4KHz、キャリッジ速度を12inch/secにそれぞれ変更する。つまり、駆動周波数及びキャリッジ速度を低下させる(S110)。そして、駆動周波数決定部904によって決定された駆動周波数及びキャリッジ速度によって記録が行われる(S111)。
【0039】
上述のように、ドットカウントおよびそれに基づくキャリッジ速度および駆動周波数の決定までの処理を、連続画像の単位で繰り返し行うことにより、連続画像中に低速領域と高速領域が混在することがなくなり、記録画像における濃度ムラを抑制することができる。
【0040】
(第2実施形態)
本発明の第2の実施形態は、異なる連続画像を同一の走査で記録する場合のキャリッジ速度切り替え処理に関するものである。図11は、異なる連続画像を同一の走査で記録する場合の一例を示す図である。図11に示す例では、連続画像1100と別の連続画像1101の一部が、記録ヘッド5の第1スキャンで記録される。
【0041】
図11において、第1スキャンでは、連続画像1100と連続画像1101の一部を記録するため、そのスキャンで記録するバンドの上部101〜104と、これに連続していない下部101a〜104aとについて別々にドットカウントを行うことができる。そこで、本実施形態では、図11において、例えば、上部101〜104が低速記録、下部101a〜104aおよび別のバンドの領域201〜204が高速記録と判断される場合、図12に示すように、第1スキャンの上部と下部の記録データを別スキャンである第2スキャンで記録する。また、これとともに、別のバンドの領域201〜204を第3スキャンで記録する。これにより、連続画像の単位でキャリッジ速度の切り替えを行うことができ、キャリッジ速度の違いに起因した濃度ムラを抑制することができる。
【0042】
本実施形態のキャリッジ速度切り替え処理に係る構成は、第1実施形態にて参照した図9に示す構成に対してデータ割り当て決定部905を加えたものである。図9において、ドットカウント部902は、図11の連続画像1100のように、連続画像が記録ヘッドの副走査方向の長さに満たない場合は、その長さの領域を分割領域と定め、そのサイズの分割領域ごとに各色のドットカウントを行う。データ割り当て決定部905は、判定部の判定結果にもとづいて、記録ヘッド5の記録データ割り当てを決定する。決定された駆動周波数及び記録データ割り当てはヘッド駆動系226へ、キャリッジ速度はキャリッジ駆動系223へ、用紙の搬送量は搬送駆動系224へそれぞれ通知され、記録制御がなされる。
【0043】
図13は、以上の構成によるキャリッジ速度切り替え処理を示すフローチャートである。本実施形態においても、記録ヘッド5の走査方向の記録解像度を1200dpi、キャリッジ速度を16.7inch/sec、記録ヘッド5の駆動周波数を1200×16.7=20KHzを基本とする。
【0044】
本実施形態の処理が第1実施形態に係る図10に示す処理と異なる点は、ステップS112の処理である。すなわち、ステップS112では、データ割り当て決定部905によって、図12に示す例では、連続画像1100(領域101〜104)を第1スキャンで記録するようにデータの割り当てを行う。また、連続画像1101の一部の領域(101a〜104a)を第2スキャンで記録し、連続画像1101を第1スキャンで記録するよう、データの割り当てを行う。
【0045】
そして、駆動周波数決定部904によって、上記のように走査回が割り当てられた領域ごとにその領域のドットカウント値が閾値ドット数を超えている場合は、記録ヘッド5の駆動周波数を14.4KHz、キャリッジ速度を12inch/secに変更する。つまり、駆動周波数及びキャリッジ速度を低下させる処理を行う(S110)。そして、駆動周波数決定部904及びデータ割り当て決定部905において決定された記録データ割り当てと、駆動周波数及びキャリッジ速度により、記録を行う(S111)。
【0046】
上記処理を記録データの連続画像の単位で繰り返し行うことにより、連続記録データ中に低速領域と高速領域が混在することがなくなるので、キャリッジ速度の変化による濃度ムラを抑制することができる。
【0047】
(第3実施形態)
第2実施形態に係る図12に示すように、1つのバンドを異なるスキャンで記録する場に、記録するスキャンを分割するだけでなく、図14に示すように、記録媒体を搬送し、第2スキャンで記録ヘッドの総ての吐出口を用いて記録するようにしてもよい。これにより、図15に示すような記録データの場合に、スキャン数を減らすことができる。その結果、濃度ムラを抑制できるとともに、スキャン数を減らすことによってスループットを高くすることが可能となる。
【0048】
(第4実施形態)
上述の第1〜第3の実施形態では、1パス記録に本発明に適用した場合について説明したが、本発明は、マルチパス記録に適用することもできる。この場合、ドットカウント領域ごとのドットカウントは、N回の走査で単位領域の記録を完成する、Nパス記録の場合、カウントしたドット数を1/Nとした数を用いる。また、キャリッジ速度の切り替えは、連続画像の単位で行う。
【0049】
(第5実施形態)
上述の第1〜第4の実施形態では、ヘッド温度検出部でヘッド温度の検出を行い、その結果と記録するドット数から閾値ドット数を求めているが、この閾値ドット数を予め算出しておき、記録装置本体のROM上に保持しておいても良い。
【0050】
(他の実施形態)
なお、上述した各実施形態では、ドットをカウントする領域を1回の走査で記録する領域に対応したバンドを分割した領域としたが、このカウント領域を1回の走査にかかるバンドそのものとしてもよい。
【0051】
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するプログラムコードを記録した記憶媒体をシステムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータが記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても達成される。
すなわち、上述実施形態の機能を実現するプログラムコードを、記録装置を含む様々なデバイスが接続されたコンピュータに供給し、そこに格納されたプログラムコードによって様々なデバイスを作動させる記録システムも、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0052】
1 キャリッジ
2 記録ヘッド
200 ホスト装置
220 プリンタ制御部
221 MPU
222 ASIC
227 ROM
228 RAM
229 プリントバッファ
240 インクジェット記録装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出する記録ヘッドを記録媒体に対して走査し記録を行うインクジェット記録装置であって、
記録データに基づき、当該走査で記録するドットの数を、記録ヘッドの1回の走査で記録する記録媒体上の領域においてカウントするドットカウント手段と、
前記ドットカウント手段がカウントしたドット数が所定の閾値より多いか否かを前記記録ヘッドの1回の走査で記録する記録媒体上の領域ごとに判断する判断手段と、
前記判断手段の判断結果に応じて、記録データが示す画像が記録媒体において連続する画像である連続画像ごとに、当該連続画像を記録するための記録ヘッドの走査速度および記録ヘッドの吐出周波数を決定する決定手段と、
を具えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記記録ヘッドの1回の走査で記録すべき記録媒体上の領域に、複数の連続画像を記録する場合、当該複数の連続画像を異なる走査で記録する制御手段をさらに具えたことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記制御手段は、さらに、前記複数の連続画像を記録する異なる走査における少なくとも1つの走査で記録ヘッドの使用する吐出口の範囲を変更することを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
インクを吐出する記録ヘッドを記録媒体に対して走査し記録を行うためのインクジェット記録方法であって、
記録データに基づき、当該走査で記録するドットの数を、記録ヘッドの1回の走査で記録する記録媒体上の領域においてカウントするドットカウント工程と、
前記ドットカウント工程でカウントしたドット数が所定の閾値より多いか否かを前記記録ヘッドの1回の走査で記録する記録媒体上の領域ごとに判断する判断工程と、
前記判断工程での判断結果に応じて、記録データが示す画像が記録媒体において連続する画像である連続画像ごとに、当該連続画像を記録するための記録ヘッドの走査速度および記録ヘッドの吐出周波数を決定する決定工程と、
を有したことを特徴とするインクジェット記録方法。
【請求項1】
インクを吐出する記録ヘッドを記録媒体に対して走査し記録を行うインクジェット記録装置であって、
記録データに基づき、当該走査で記録するドットの数を、記録ヘッドの1回の走査で記録する記録媒体上の領域においてカウントするドットカウント手段と、
前記ドットカウント手段がカウントしたドット数が所定の閾値より多いか否かを前記記録ヘッドの1回の走査で記録する記録媒体上の領域ごとに判断する判断手段と、
前記判断手段の判断結果に応じて、記録データが示す画像が記録媒体において連続する画像である連続画像ごとに、当該連続画像を記録するための記録ヘッドの走査速度および記録ヘッドの吐出周波数を決定する決定手段と、
を具えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記記録ヘッドの1回の走査で記録すべき記録媒体上の領域に、複数の連続画像を記録する場合、当該複数の連続画像を異なる走査で記録する制御手段をさらに具えたことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記制御手段は、さらに、前記複数の連続画像を記録する異なる走査における少なくとも1つの走査で記録ヘッドの使用する吐出口の範囲を変更することを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
インクを吐出する記録ヘッドを記録媒体に対して走査し記録を行うためのインクジェット記録方法であって、
記録データに基づき、当該走査で記録するドットの数を、記録ヘッドの1回の走査で記録する記録媒体上の領域においてカウントするドットカウント工程と、
前記ドットカウント工程でカウントしたドット数が所定の閾値より多いか否かを前記記録ヘッドの1回の走査で記録する記録媒体上の領域ごとに判断する判断工程と、
前記判断工程での判断結果に応じて、記録データが示す画像が記録媒体において連続する画像である連続画像ごとに、当該連続画像を記録するための記録ヘッドの走査速度および記録ヘッドの吐出周波数を決定する決定工程と、
を有したことを特徴とするインクジェット記録方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−236311(P2012−236311A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106148(P2011−106148)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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