説明

インクジェット記録装置及び記録方法

【課題】特性が部分ごとに異なる記録媒体が用いられた際に、記録画像の品質の低下を少なく抑えることのできるインクジェット記録装置及び記録方法を提供する。
【解決手段】インクジェット記録装置は、記録データから、記録される記録画像の面積を取得する。そして、記録画像の面積から、記録画像で同一色によって記録される画素が隣接して連続的に配置されたベタ画像部についての記録媒体上における面積の閾値を取得する。また、記録データから、記録によって記録媒体上に記録される、同一色によって記録される画素が隣接して連続的に配置されたベタ画像部の面積を取得する。ベタ画像部の面積が、ベタ画像部についての面積の前記閾値以下であれば染料インクを用いて記録が行われ、ベタ画像部についての面積の前記閾値よりも大きければ顔料インクを用いて記録が行われるように、記録で使用されるインクの種類を判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクが吐出されて記録が行われる際に、同じ色について染料インクと顔料インクとを吐出可能であって、染料インクと顔料インクとの間の使い分けを行うことができるインクジェット記録装置及び記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
記録ヘッドから液滴を記録媒体に吐出することによって記録媒体に記録を行うインクジェット記録装置が普及しつつある。インクジェット記録装置で記録に用いられるインクとしては、主なものとして染料インクと顔料インクがある。インクジェット記録装置には、染料インクと顔料インクとが収納されたインクタンクがそれぞれ搭載され、これらの染料インクと顔料インクとが使い分けられて記録が行われるものがある。染料インクと顔料インクの使い分けが行われるインクジェット記録装置においては、記録の行われる記録媒体におけるインクの浸透特性に応じて、使用されるインクを切り換える方式が一般に採用されている。
【0003】
インクジェット記録装置による記録において、染料インクと顔料インクを使い分ける方法について、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1では、同一の記録媒体内において、黒の目標画素の周囲における画像データの内容に基いて、染料ベースの黒インクによって記録を行うか、顔料ベースの黒インクによって記録を行うかが決定されている。目標画素に対して黒のインクのみが打ち込まれる場合には顔料ベースの黒インクが打ち込まれ、目標画素に対して黒以外の色のインクと合わせて打ち込まれる場合には染料ベースの黒インクが打ち込まれている。このようにして、特許文献1では染料ベースの黒インクと顔料ベースの黒インクとの間の使い分けが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−227229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、染料インクでベタ画像の記録を行う場合に、記録媒体における記録の行われる面で表面の特性が一様でないことから、記録画像における品質の低下が生じることがある。例えば、普通紙などの基材における記録が行われる面に、多孔質シリカ等の無機微粒子を含有させたインク受容層が部分的にのみ設けられた微塗工紙が記録に用いられることがある。微塗工紙を用いて記録が行われる場合には、一般には、インク受容層に色材が吸収、定着される染料インクを使用した方が発色特性を向上させることができる。ところが、微塗工紙ではインク受容層による基材の被覆が部分的であるために、インク受容層によって被覆されずに基材の露出した領域とインク受容層で被覆された領域との間でインクによる発色特性に差が生じてしまう。従って、微塗工紙に対して染料インクによるブラックのベタ画像を記録する場合には、基材の露出した領域とインク受容層の形成された部分との間で発色特性に差が生じてしまう可能性がある。そのため、画像が均一に出力されず、記録画像にムラが生じることがある。
【0006】
記録媒体における記録の行われる面で表面の特性が一様でない場合には、顔料インクによって記録を行うことが考えられる。顔料インクによって記録が行われる場合には、記録媒体上に打ち込まれたインクは記録媒体の表面上に定着するので、記録媒体の特性の違いによる画像の差が表れ難い。そのため、顔料インクによって記録が行われる場合には、記録によって得られる画像に領域ごとの発色特性等の差が出ず、記録画像は全体的に均一である。
【0007】
しかしながら、記録に顔料インクを使用した場合は、染料インクを使用した場合と比較して発色性能が低下してしまう。
【0008】
そこで、本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、特性が部分ごとに異なる記録媒体が用いられた際に、記録画像の品質の低下を少なく抑えることのできるインクジェット記録装置及び記録方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のインクジェット記録装置は、同一色について顔料インクと染料インクとを吐出可能で、入力される記録データに基づいた記録画像の記録を行うことが可能なインクジェット記録装置であって、前記記録データから、記録される記録画像の面積を取得する記録画像面積取得手段と、前記記録画像面積取得手段によって取得された前記記録画像の面積から、前記記録画像で同一色によって記録される画素が隣接して連続的に配置されたベタ画像部についての記録媒体上における面積の閾値を取得する第1の閾値取得手段と、前記記録データから、記録によって記録媒体上に記録される、同一色によって記録される画素が隣接して連続的に配置されたベタ画像部の面積を取得するベタ画像部面積取得手段と、前記ベタ画像部面積取得手段によって取得された前記ベタ画像部の面積が、前記第1の閾値取得手段によって取得された前記ベタ画像部についての面積の前記閾値以下であれば染料インクを用いて記録が行われ、前記ベタ画像部の面積が、前記第1の閾値取得手段によって取得された前記ベタ画像部についての面積の前記閾値よりも大きければ顔料インクを用いて記録が行われるように、記録で使用されるインクの種類を判断する第1の使用インク判断手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、領域ごとに特性の異なる記録媒体に記録を行う際に、記録画像の品質が高く維持されながら記録が行われるインクジェット記録装置及び記録方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の斜視図である。
【図2】図1のインクジェット記録装置における制御系のブロック図である。
【図3】図1のインクジェット記録装置によって記録の行われる記録媒体としての微塗工紙の断面図である。
【図4】図1のインクジェット記録装置によって記録が行われる際の制御フローについて示したフローチャートである。
【図5】図4のフローで記録が行われる際に、染料インクと顔料インクとの間でどちらを用いて記録を行うかの、ベタ画像部の面積の閾値について示したグラフである。
【図6】(a)、(b)は、染料インクと顔料インクによるブラックの合計のインク吐出量に対して、顔料インクの吐出量の割合を変えたときに用いられる、記録画像の面積とベタ画像部の面積の閾値との間の関係についてのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明を適用可能な、染料インクによるブラック(染料Bk)と顔料インクによるブラック(マットBk)とを選択的に吐出して記録が行われるインクジェット記録装置200の外観を示した斜視図である。
【0013】
本実施形態のインクジェット記録装置200はシリアルスキャン方式の記録装置であり、ガイド軸に沿って、キャリッジが主走査方向に移動自在にガイドされている。キャリッジには、記録ヘッド202と、その記録ヘッド202にインクを供給するインクタンクが搭載されている。記録媒体は、搬送ローラによって給紙部から記録の行われる記録部に対応した位置へ副走査方向に搬送される。インクジェット記録装置200は、記録領域に向かって記録ヘッド202からインクを吐出させる記録動作と、その記録幅に対応する距離だけ記録媒体を副走査方向に搬送する搬送動作と、を繰り返すことによって、記録媒体上に順次画像を記録する。本実施形態では、記録動作においては、記録ヘッド202を主走査方向に移動させつつ記録が行われる。本実施形態では、記録ヘッド202からインクを吐出する際には、記録ヘッド202内に配置された発熱素子(電気熱変換体)を駆動させることによってインクを吐出する。発熱素子に通電させると、その発熱素子から熱エネルギーが発生することにより、記録ヘッド202内における発熱素子周辺のインクが加熱されて膜沸騰により発泡し、そのときの発泡エネルギーによって吐出口からインク滴が吐出される。記録部を通過した記録媒体は、排紙部203でインクジェット記録装置200の外部へ搬送され、記録媒体への記録が終了する。なお、本実施形態では図1に示されるようにインクタンクと記録ヘッド202とが分離したタイプのものについて説明するが、記録ヘッド202とインクタンクとは、一体的にインクジェットカートリッジを構成するものであっても良い。また、インクタンクが複数設置され、インクタンク収納部204の内部に格納されているインクタンクから、キャリッジに設置されているインクタンクにチューブ等を介してインクを供給する形式のものであっても良い。インクジェット記録装置200は、同一色について顔料インクと染料インクとを吐出し、記録データに基づいた記録画像の記録を行うことが可能に形成されている。本実施形態では特に、ブラックのインクについて、顔料インクと染料インクとを吐出可能に形成されている。
【0014】
また、インクジェット記録装置200内の記録装置ヘッド202には光学センサが設けられており、記録媒体の特性によって記録媒体の種類を検知する場合には、光学センサによって記録媒体の光の反射率が測定される。また、予め記録媒体と反射率との関係がテーブルとして準備される。そして、光学センサによる測定によって得られた記録媒体における光に対する反射率から記録媒体の種類が判別される。これにより、インクジェット記録装置に配置されている記録媒体が、後述する微塗工紙であるかどうかを検知することが可能である。
【0015】
図2は、本実施形態のインクジェット記録装置200における制御系の構成を説明するためのブロック図である。図2において符号300は上位装置としてのホスト装置であり、下位装置であるインクジェット記録装置200に対して、記録すべき文字や画像データを送信する。またホスト装置300には、インクジェット記録装置200のドライバがインストールされており、記録データと共に記録媒体の種類やサイズに関する情報をインクジェット記録装置200に送信し、インクジェット記録装置に入力させることが可能である。ユーザは、ドライバを操作することにより、条件に応じた設定でインクジェット記録装置200により記録を行うことができる。インクジェット記録装置200では、記録すべき文字や画像データの情報(記録データ)を受信バッファ301に一時的に蓄える。また、正しくデータが転送されているか否かを示す情報、及びインクジェット記録装置200の動作状態を告知する情報も受信バッファ301を介してインクジェット記録装置200からホスト装置300に送信される。なお、ホスト装置300としてはパーソナルコンピュータやデジタルカメラなどが挙げられるが、下位装置である記録装置200に関しては記録データの送信が可能であれば他のものであっても構わない。
【0016】
受信バッファ301に蓄えられたデータは、CPU302の管理下において、記録ヘッド202が記録可能なデータに加工された後ランダムアクセスメモリ部(RAM)303内のプリントバッファ部に記録される。プリントバッファ部のデータは記録ヘッドコントロール部310によって記録ヘッド202へ転送される。記録ヘッド204は転送されてきたデータに基づいて記録ヘッドコントロール部310により駆動され各色のインクを吐出する。これにより、入力された記録データに基づいた、文字などを含む記録画像が記録媒体に記録される。さらに記録ヘッドコントロール部310は温度情報のような記録ヘッド202の状態を示す情報をCPU302に転送すると共にこれに基づいて下されたCPU302からの命令を実行し記録ヘッド202の駆動制御にフィードバックする役割も果たしている。
【0017】
機械コントロール部304は、CPU302からの指令により、キャリッジを移動するためのキャリッジモータや、記録媒体100を搬送するためのラインフィードモータ等の機械部305を駆動制御する。センサ/SWコントロール部306は、各種センサやSW(スイッチ)から構成されるセンサ/SW部307から各種コマンドを受信し、これをCPU302に伝える。また、表示素子コントロール部308は、CPU302からの指令に応じて、表示パネル群のLEDや液晶表示素子等からなる表示部309を制御する。
【0018】
次に、本実施形態のインクジェット記録装置200によって記録が行われる記録媒体について説明する。本明細書において「記録媒体」とは、一般的な記録装置に用いられる紙のみならず、広く布、プラスティックフィルムなどインク受容可能なものを表すものとする。その中でも「微塗工紙」は、紙などの基材の上に、部分的にインク受容層が形成されて構成されている。ここでは、「微塗工紙」は、基材の全体に対してインク受容層が基材を被覆した部分の割合であるインク受容層の被覆率が50%以上99%以下の記録媒体を表すものとする。
【0019】
記録媒体としては、廉価な普通紙が用いられることが多いが、普通紙であってもアート画像やポスター掲示用途などより高画質な出力物が求められる場面も多くなってきている。そのため、より高性能な普通紙が求められるようになってきている。このような要求に応えるために、普通紙などの基材の記録が行われる面に、多孔質シリカ等の無機微粒子を含有させたインク受容層が設けられた微塗工紙が記録媒体として用いられることがある。基材にインク受容層が設けられることにより、インク受容層上では記録媒体へのインクの定着性が向上し、これに伴い記録画像における発色性、精細性が向上されている。微塗工紙は、マット紙等と比較してコストの面で有利であり、また普通紙と比較して発色性などのインクジェット記録についての適性の面で有利である。
【0020】
図3に、本実施形態の記録に用いられる記録媒体の一例としての微塗工紙を模式的に示した断面図を示す。符号101は基材を表し、102はインク受容層を表している。本実施形態で用いられる微塗工紙は、基材101上に、部分的にインク受容層102が塗布されて形成されている。基材101としては例えば、木綿パルプ、麻パルプ、三椏パルプ、楮パルプ、ワラパルプ、竹パルプ、バガスパルプ、葦パルプ、木材パルプ、および古紙パルプなどの各種パルプを原料とする。さらに炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリンなどの各種填料、澱粉、PVAなどのバインダー、サイズ剤、定着剤、歩留り剤、紙力増強剤などを好適に配合した紙料を原料とする。この紙料を酸性、中性、アルカリ性のいずれかの状態とし、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機などの各種抄紙機により抄紙することによって得ることができる。このようにして得た基材は、さらに必要とする表面性や密度を得るために、基材をローラ間に挟みつつ基材を加圧する等によって、各種カレンダー処理を施すことができる。
【0021】
図3における符号102はインク受容層を表し、インク受容層中には無機微粒子を主成分として、バインダー、カチオン、多価金属塩などを適宜使用することによって、所望の特性を得ることができる。インク受容層102中に使用される無機微粒子としては、非晶質シリカ、アルミナ、アルミナシリカ複合ゾル、炭酸カルシウム、カオリン、クレー等が挙げられる。これらの無機微粒子は、1種類又は複数種を混合して使用できる。インク受容層102中に含まれるバインダーとしては、水溶性樹脂、エマルジョン樹脂等を使用できる。水溶性樹脂としては例えば、ポリビニルアルコール及びその変性物、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセタール、ポリアクリロニトリル、酢酸ビニル、デンプン(酸化デンプン等が使用できる。エマルジョン樹脂としては例えば、アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系、エチレン酢ビ系、スチレンブタジエン系等の共重合体及びこれらの変性品等が使用できる。また、これらのバインダーは、1種類又は複数種を混合して使用でき、公知の架橋剤を使用することもできる。なお、図3では、本実施形態で用いられる記録媒体として、基材における記録の行われる片面のみに部分的にインク受容層が形成されたものについて説明したが、本発明はこれに限定されない。基材の裏表の両面に対してインク受容層が形成されたものが用いられてもよい。
【0022】
インク受容層102中に含まれるカチオンとしては以下に挙げるような、カチオン性分子物質を使用することができる。具体的にはラウルアミン、ヤシアミン、ステアリンアミン、ロジンアミン等の塩酸塩や酢酸塩等の1級、2級又は3級アミン塩型の化合物、ポリアリルアミン、或いはその塩酸塩、ポリアミンスルホン或いは塩酸塩、ポリビニルアミン或いはその塩酸塩、キトサン或いはその酢酸塩等を挙げることができるが、勿論これらに限定されるものではない。当然のことながら、上記に挙げたものの混合系でも構わない。
【0023】
また、インク受容層102中の多価金属塩としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属、その他の金属、例えばリチウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、ストロンチウム、マンガン等の水溶性金属塩、例えば、ハロゲン化物、炭酸塩、乳酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、硝酸塩等が挙げられる。これらの中で2価以上の金属塩を用いることが好ましい。具体的には、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化スズ、塩化亜鉛、乳酸カルシウム、酢酸カルシウム、硫酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウム、硝酸カルシウム等が挙げられる。
【0024】
また、インク受容層102中には上記成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて、pH調整剤、耐水化剤、顔料分散剤、増粘剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、蛍光染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤、防腐剤、浸透剤を使用することができる。本発明において「記録」とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無為を問わず広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または記録媒体の加工を行うものとする。
【0025】
図4に、本実施形態の記録方法において記録媒体が微塗工紙であった場合に、黒ベタ画像部が染料インクによる染料Bkか顔料インクによるマットBkかどちらのインクで記録されるべきかを決定する工程を説明するためのフローチャートを示す。
【0026】
なお、本明細書における「出力画像サイズ」とは実際に記録媒体上に出力される画像の大きさを指す。また「ベタ画像部」とは、出力される記録画像内において同一色のインクによって記録される画素が隣接して連続的に配置された画像の領域を指す。特に、本明細書において、黒インクによって記録されたベタ画像部を、黒ベタ画像部と言う。
【0027】
記録媒体の給紙が開始されると、ステップS400で、記録媒体が微塗工紙かそうでないかが判定される。記録媒体の種類は、ドライバを操作することによって実際に配置されている記録媒体の種類がインクジェット記録装置に設定される。インクジェット記録装置は、ドライバによって入力されている記録媒体の種類が微塗工紙であるかどうかが判断される。微塗工紙と判定されない場合には、フローはステップS401に進み、インクジェット記録装置がホスト装置より記録命令を受け取った後、ステップS402において通常の記録処理が行われる。ここで言う通常の記録処理では、普通紙に対して記録が行われる際には顔料インクによるマットBkインクによって記録が行われ、塗工紙に対して記録が行われる際には染料インクによるBkインクによって記録が行われる。このように、通常の記録処理では、記録媒体の種類が検知され、記録媒体の種類に応じて使用されるインクの種類が選択される。
【0028】
一方で、記録媒体が微塗工紙であると判定された場合においては、フローはステップS403に進む。このようにインクジェット記録装置は、記録の行われる記録媒体が、記録の行われる面の発色特性について領域ごとに異なる記録媒体であるかどうかを判断する記録媒体判断手段を有している。特に本実施形態では、記録媒体判断手段は、記録の行われる記録媒体が微塗工紙であるかどうかを判断し、CPU302が記録媒体判断手段として機能している。記録の行われる記録媒体が、記録の行われる面の発色特性について領域ごとに異なる記録媒体である場合には、後述するように、ベタ画像部の面積についての閾値が取得され、記録の際に使用するインクの種類が判断される。本実施形態では特に、記録の行われる記録媒体が微塗工紙である場合に、ベタ画像部の面積についての閾値が取得され、記録の際に使用するインクの種類が判断される。
【0029】
それから、インクジェット記録装置が記録命令をホスト装置300から受け取ると、以下の処理が行われる。記録媒体が微塗工紙である場合には、ステップS404で、ホスト装置300から送られてきた出力画像データに基づいて、出力画像サイズが見積もられる。本実施形態では、記録の際に入力される記録データから、記録される記録画像の面積が取得される。このとき、CPU302が、記録画像の面積を取得する記録画像面積取得手段として機能する。出力画像サイズの見積もり方法としては、受信バッファ301に蓄えられたデータ容量から見積もる方法などが挙げられる。しかしながら、出力画像サイズの見積もり方法は、これ以外の方法であっても良い。
【0030】
ステップS405において、ステップS404で見積もられた出力画像の大きさから染料BkインクとマットBkインクを切り替えるベタ画像部の面積の閾値を算出する(第1の閾値取得工程)。本実施形態では、ベタ画像部の面積の閾値は、記録画像の面積と、ベタ画像部の記録媒体上における面積についての閾値との間の関係について、予め設定されたテーブルから決定される。テーブルに設定されている記録画像の面積とベタ画像部の記録媒体上における面積についての閾値との間の関係は、図5のグラフに示される関係を満たしている。予め設定されて用意されるテーブルは、テーブルを記憶する記憶手段としての図2におけるROM部311に格納されている。このように、インクジェット記録装置は、ベタ画像部の記録媒体上における面積についての閾値が取得される際に、取得された記録画像の面積から、ベタ画像部についての記録媒体上における面積の閾値を取得する閾値取得手段(第1の閾値取得手段)を有している。
【0031】
図5のグラフでは、出力画像の大きさを横軸とし、ベタ画像部の面積を縦軸として、それぞれの出力画像の大きさに関してのベタ画像部の面積の閾値について示している。本実施形態では、このベタ画像部の面積の閾値によって、染料インクと顔料インクとの2種類のBkが切り替えられる。すなわち、それぞれの出力画像の大きさにおいて、ベタ画像部の面積がこの閾値以下の場合は染料インクによる染料Bkが使用され、ベタ画像部の面積が閾値よりも大きい場合には顔料インクによるマットBkが使用される。本実施形態における図5のグラフでは、A4サイズよりも大きい出力画像サイズの場合、ベタ画像部の面積についての閾値は、出力画像の大きさに応じて、線形的に変化している。A4サイズ以下の出力画像サイズの場合、ベタ画像部の面積についての閾値は、一定値である。
【0032】
なお、記録画像の面積と、記録画像におけるベタ画像の面積についての閾値との間の関係は、図5に示されるようなグラフに限定されるものではない。一般的には、使用されるインクの特性によって被覆によるムラの目立ち方が異なるため、インクの種類ごとに異なる関係のグラフが用意される方が好ましい。ここで、図5におけるベタ画像部面積の閾値2cm×2cm(4cm2)は、発明者が実験的に求めた面積であり、これ以下の面積の場合は近距離から画像を目視した場合においてもムラが目立たない面積である。
【0033】
図5のグラフでは、記録画像の面積と、ベタ画像部の記録媒体上における面積についての閾値との間の関係において、
y=0.142x−84.41 (x>623)
y=4 (x≦623)
x:記録画像の面積(cm2
y:ベタ画像部の記録媒体上における面積についての閾値(cm2
の式が満たされている。このような式を満たす関係の記録画像の面積と、ベタ画像部の記録媒体上における面積についての閾値とのぞれぞれの値がテーブルに設定されている。
【0034】
次に、ステップS406において、出力画像データから黒ベタ画像部の面積を取得する。黒ベタ画像部の取得の方法としては、出力画像データから各色のインクについての2値データを生成した後、それらの2値データの中から黒インクの2値データについて以下のような処理を行う。黒インクによる2値データにおいて、ある注目画素においてその隣接画素が黒インクを使用する画素かを判定していき、連続して黒インクを使用する画素数から黒ベタ画像部を検出する(ベタ画像部面積取得工程)。このように、本実施形態では、記録データから、記録によって記録媒体上に記録されるベタ画像部の面積が取得される。このとき、CPU302が、ベタ画像部の面積を取得するベタ画像部面積取得手段として機能する。
【0035】
そして、ステップS406で求めた黒ベタ画像部の面積がステップS405で定めた閾値以下なのか、閾値よりも大きいのかの判定がステップS407で行われる。ステップS407での判定に基づいて、染料Bkのインクを吐出する記録ヘッドもしくはマットBkのインクを吐出する記録ヘッドに、黒インクの2値データを割り当てる(使用インク判断工程)。
【0036】
ステップS407での判定で、黒ベタ画像部の面積がステップS405で定めた閾値以下であれば、フローはステップS408に進み、染料Bkのインクを吐出する記録ヘッドに黒インクの2値データを割り当てる。ステップS407での判定で黒ベタ画像部の面積がステップS405で定めた閾値よりも大きい値であれば、フローはステップS409に進み、マットBkのインクを吐出する記録ヘッドに黒インクの2値データを割り当てる。すなわち、ベタ画像部の面積がベタ画像部についての面積の閾値以下であれば、染料インクを用いて記録が行われる。また、ベタ画像部の面積がベタ画像部についての面積の閾値よりも大きければ、顔料インクを用いて記録が行われる。このように、記録で使用されるインクの種類が判断される。それから、ステップS410でこれまでの処理の結果を制御部に送信し、ステップS411で記録を行う。以上のフローにより出力画像データに基づいて、出力画像サイズ及び出力画像内におけるベタ画像部の面積から使用されるべきインクを決定し、記録が行われる。また、インクジェット記録装置は、記録で使用されるインクの種類を判断する使用インク判断手段(第1の使用インク判断手段)を有している。本実施形態では、CPU302が使用インク判断手段として機能している。
【0037】
本実施形態のインクジェット記録装置を用いて記録が行われる際には、出力画像の大きさによって黒ベタ画像部の面積についての閾値が求められ、実際に記録される画像における黒ベタ画像の面積が閾値を超えるか否かによって使用されるインクが使い分けられる。本実施形態では、このように使用されるインクが切り替えられるので、染料インクによって記録が行われる際には、出力画像におけるベタ画像の大きさが比較的小さい。従って、染料インクのブラックによって、領域ごとに特性の異なる記録媒体に対して記録が行われたとしても、記録媒体の領域ごとにおける特性のばらつきによって記録画像に与えられる影響は比較的小さい。また、このときの記録画像は、染料インクによって記録が行われているので、記録画像における発色性の低下が起こり難い。
【0038】
また、顔料インクによって記録が行われる際には、出力画像におけるベタ画像の大きさが比較的大きいので、画像が目視される際に記録画像を見る人の目と記録媒体との間の距離が比較的長くとられる。そのため、顔料インクによって記録された記録画像の発色性の低下が認識され難い。また、このときの記録画像は、顔料インクによる記録画像なので、記録媒体の領域ごとにおける特性のばらつきによる記録画像への影響が比較的小さい。
【0039】
記録媒体におけるインク受容層のある領域とそうでない領域との間の発色特性の差による記録画像のムラは、ベタ画像部の面積が比較的大きい画像であれば目立ってしまうが、比較的小さい画像であれば目立たなくなる。この理由としては、一般に、ベタ画像の面積が大きい画像が記録される場合には、記録画像のムラがある程度周期性をもって現れるため、人間の目に対して知覚され易くなってしまうことが考えられる。また、逆にベタ画像の面積が小さい場合には、ムラの生じる周期も小さいため記録画像のムラが知覚され難いことが考えられる。このように、記録画像におけるベタ画像の面積が比較的小さければ、染料インクを用いて記録を行っても、記録媒体の領域ごとの特性の違いによるムラは目立ち難い。また、染料インクによって記録が行われるので、記録画像の発色性は高く維持される。
【0040】
記録画像における記録媒体上での面積(出力画像サイズ)によってベタ画像の面積についての閾値を変える理由は、画像を見る距離によって記録媒体の領域ごとの特性の違いによる記録画像のムラの見え方が異なるためである。すなわち、同じムラの発生した記録画像においても、その画像を遠くから見ると記録画像のムラは目立たず、近くから見ると記録画像のムラは目立ってしまう。大きな記録画像に対しては、数メートル単位の距離をおいて出力物を見ることもある。例えばA1サイズやA0サイズなどの比較的大きな記録画像を見る場合には、このように数メートル単位の距離をおいて記録画像を見ることが多い。従って、この場合、記録画像を遠くから見ることになるので、染料インクによって記録が行われたとしても、目と記録媒体との間の距離が十分に離れているので、記録媒体の領域ごとの特性の違いによるムラはA5サイズのベタ画像を記録しても目立たない。
【0041】
一方で、小さな出力物に対しては近くから(例えば数10cm程度の距離)画像を見ることが多く、そのような距離から画像を見た場合、例えばA4サイズなどの比較的小さな記録画像では、A5サイズのベタ画像を染料インクで記録してもムラが目立ってしまう。このように出力画像サイズを大きくすれば目視距離が長くなり、領域ごとの発色性の違いによるムラを認識できるベタ画像部の面積も広くなる。このように、染料インクと顔料インクとを切り替えるベタ画像部の面積の閾値は、出力画像サイズごとに変化する。以上から、微塗工紙においては、出力画像サイズ及びベタ画像部の面積から使用されるインクが決定されることによって、出力画像ごとに高い発色性の維持と、画像均一性を良好にすることとを両立させることが可能となる。
【0042】
なお、本実施形態では、ステップS405において、出力画像サイズから使用インクの決定の際のベタ画像部の面積についての閾値を決定している。しかしながら、別の実施形態として、記録媒体における記録の行われる面の面積からベタ画像部についての面積の閾値を取得することとしても良い(第2の閾値取得工程)。そして、記録媒体の面積と、ベタ画像部の面積についての閾値とが比較され、この比較の結果に応じて染料インクによるブラックインクと顔料インクによるブラックとの間で、使用されるインクが判断される(第2の使用インク判断工程)。この場合、インクジェット記録装置は、記録媒体における記録の行われる面の面積を取得する記録媒体面積取得手段を有している。ここでは、CPU302が、記録媒体の面積を取得する記録媒体面積取得手段として機能する。また、インクジェット記録装置は、記録媒体の面積から、ベタ画像部についての面積の閾値を取得する閾値取得手段(第2の閾値取得手段)を有している。このとき、CPU302が、記録媒体の面積からベタ画像部についての面積の閾値を取得する第2の閾値取得手段として機能する。
【0043】
記録媒体の面積からベタ画像部の面積についての閾値を取得する場合には、出力画像サイズによってベタ画像部についての面積の閾値を見積もった場合と同様に、ステップS404において記録媒体の面積(出力用紙サイズ)を見積もることができる。しかしながら、ステップS400において、記録媒体を識別する際に、出力用紙サイズも判定する方法が採用されても良い。
【0044】
この場合、記録媒体における記録の行われる面の面積と、ベタ画像部の記録媒体上における面積についての閾値との間の関係は、
y=0.142x−84.41 (x>623)
y=4 (x≦623)
x:記録媒体における記録の行われる面の面積(cm2
y:ベタ画像部の記録媒体上における面積についての閾値(cm2
の式を満たす関係である。
【0045】
なお、本発明のステップS400に関して実施形態で挙げた以外には以下のように記録装置本体のユーザインターフェースによる設定などの方法が挙げられる。図1に示されたインクジェット記録装置200には、記録媒体を設定するユーザインターフェース及びボタンが備え付けられている。インクジェット記録装置200に微塗工紙が配置されている場合には、ユーザがユーザインターフェース上で微塗工紙に該当する記録媒体を選択することにより、記録媒体の種類が入力されることとしても良い。
【0046】
また、本発明のさらに別の実施形態として、ベタ画像部の面積が閾値以下である場合に、染料インクによるBkのみで記録を行うのではなく、染料インクによるBkと顔料インクによるBkとによってベタ画像部の記録が行われても良い(第1の記録モード)。このとき、ベタ画像部の面積が閾値よりも大きい場合には、顔料インクのみによって記録が行われる(第2の記録モード)。このように、インクジェット記録装置には、ベタ画像部の面積が閾値以下である場合に、染料インクによるBkと顔料インクによるBkによってベタ画像部の画像を形成する記録モードが搭載されても良い。また、インクジェット記録装置は、このような記録モードを、ベタ画像部を染料インクによるBkのみで記録を行う記録モードとは別に有しているように構成されても良い。
【0047】
ここで、ベタ画像部の面積が閾値以下である場合に染料インクによるBkと顔料インクによるBkとによってベタ画像部の記録が行われる記録モードによって記録が行われる場合に、顔料インクによるマットBkの割合が大きくなり過ぎると記録濃度の低下が生じる。そのため、このような記録モードでは、染料インクと顔料インクとの合計のインク吐出量に対して、顔料インクのインク吐出量の割合が40%以下であることが好ましく、20%以下であることがさらに好ましい。このような記録モードが選択される場合、ステップS400で、ユーザによって記録モードが選択されても良いし、ステップS403で記録装置が自動的に記録モードを選択することとしても良い。このように、インクジェット記録装置は、ベタ画像部の面積が閾値以下である場合に染料インクと顔料インクとを用いて記録を行う記録モードと、顔料インクのみを用いて記録を行う記録モードから、記録モードを選択する記録モード選択手段を有していても良い。記録モード選択手段は、記録データにおけるベタ画像部の面積が、ベタ画像部の面積についての閾値以下であれば、第1の記録モードを選択する。また、記録データにおけるベタ画像部の面積が、ベタ画像部の面積についての閾値よりも大きければ、記録モード選択手段は第2の記録モードを選択する
【0048】
(記録モード選択工程)。
ここでマットBkを一定の割合含んで記録する記録モードが選択された場合には、ステップS405で使用されるテーブルに関して複数あるテーブルから好適なものを選択、変更できることが好ましい。これは、染料インクと顔料インクとを用いて記録を行うことで画像均一性が向上するので、ベタ画像部の面積を大きくしてもムラが目立たなくなるからである。これによって、ベタ画像部の面積についての閾値を大きくしても画像の品質の低下が抑えられ、ベタ画像部の面積についての閾値が変動することになる。具体的には、図6に示されるグラフのように、全体のインク吐出量に対する顔料インクによるマットBkの含まれる割合によって異なる複数の閾値に関する複数のグラフに対応した複数のテーブルを予め設定しておく。図6(a)には、染料インクと顔料インクによるブラックの合計のインク吐出量に対して、顔料インクの吐出量の割合が0%以上20%未満の場合に用いられるテーブルの、記録画像の面積とベタ画像部の面積の閾値との間の関係についてのグラフが示されている。また、図6(b)には、染料インクと顔料インクの合計のインク吐出量に対して、顔料インクの吐出量の割合が20%以上40%未満の場合に用いられるテーブルの、記録画像の面積とベタ画像部の面積の閾値との間の関係についてのグラフが示されている。このように、記録画像の面積とベタ画像部の面積の閾値との間の関係が異なる複数の閾値についてのテーブルが予め設定される。そして、異なる複数の閾値に関するテーブルを、記憶手段としてのROM部311に格納しておく。記録が行われる際には、複数のテーブルから、全体のインク吐出量に対する顔料インクによるマットBkの含まれる割合に応じてその割合に適したテーブルをROM部311から選択して参照する。そして、選択されたテーブルが用いられてベタ画像部についての閾値が取得される。
【0049】
また、上記実施形態では、ベタ画像は、出力画像で同一の色によって記録される画素が隣接して連続的に配置された領域のこととした。しかしながら、本発明はこれに限定されない。2値データを所定の画素数の面積を有する所定領域ごとに分割し、所定領域内において、所定領域の全体の面積に対し同一色によって記録される画素の占める面積の割合が所定の割合以上である画像部をベタ画像部と判断しても良い。例えば、2値データを10画素×10画素の領域ごとに分割し、10画素×10画素の領域において、その領域全体に対し同一色のインクによって記録された画素の占める割合を求める。そして、同一色のインクによって記録される画素の領域全体に占める割合が80%以上である領域を、ベタ画像部と判断しても良い。このとき、インクジェット記録装置は、記録データから、所定領域の全体の面積に対し同一色によって記録される画素の占める面積の割合が、所定の割合以上である画像部についての記録媒体上における面積を取得する画像部面積取得手段を有している。また、インクジェット記録装置は、記録画像の面積から、領域全体の面積に対し同一色によって記録される画素の占める面積の割合が所定の割合以上である画像部についての面積の閾値を取得する閾値取得手段(第3の閾値取得手段)を有している。また、その画像部の面積が閾値以下であれば染料インクを用いて記録が行われ、面積が閾値よりも大きければ顔料インクを用いて記録が行われるように、使用されるインクの種類を判断する使用インク判断手段(第3の使用インク判断手段)を有している。また、ベタ画像部が判定されれば、これら以外の方法が使用されても何ら問題はない。
【0050】
なお、上記実施形態では、記録媒体が、インク受容層が基材上に部分的に形成されている微塗工紙であるかどうかを検出し、記録媒体が微塗工紙である場合に使用されるインクの使い分けを行うインクジェット記録装置について説明した。しかしながら、本発明は上記実施形態に限定されず、特性が領域ごとに異なる記録媒体であれば、他の記録媒体が使用された際であってもインクの使い分けが行われても良い。
【0051】
(実施例)
本発明のより具体的な実施形態を以下の実施例で説明する。本実施例はあくまで本発明を実施するための代表例であって、本発明の範囲はこの限りではない。
【0052】
<インクジェット記録装置>
実施例に用いられるインクジェット方式の記録装置としては、キヤノン社製インクジェット記録装置染料インク機imagePROGRAF750(以下、iPF750)を用いている。iPF750を使用し、上記で得られた記録媒体に対して、1200dpi×1200dpiの記録密度で記録を行った。なお、iPF750には染料Bkインクと自己分散型カーボンブラックを色材としたマットBkインクが搭載されている。
【0053】
<記録媒体>
本発明の実施例、比較例で用いる記録媒体は以下のようにして作成した。無機微粒子として公知の方法である沈殿法で生成された非晶質シリカ(トクヤマ社製、商品名:ファインシールF80)を使用した。非晶質シリカAをイオン交換水に混合し、ロータリー攪拌機で1時間攪拌分散し、固形分10wt%の非晶質シリカ分散液を得た。なお、分散状態の確認のため、それぞれの分散液をさらに1%となるようにイオン交換水にて希釈してレーザー回折散乱式粒子径分布測定装置LA910(株式会社堀場製作所製)の体積基準モードを用いてメジアン径を測定した結果、1.8μmであった。バインダーとしてポリビニルアルコール(クラレ社製、PVA117)の粉末をイオン交換水中に加温しながらロータリー攪拌機で1時間攪拌分散し、固形分10wt%水溶液を得た。その後固形分重量比で非晶質シリカを130部、バインダーを50部、及びカチオン樹脂としてポリアリルアミン塩酸塩樹脂(日東紡社製、商品名PAA−H−HCl)30部を順に添加して混合攪拌した。この後、上記混合溶液をイオン交換水で希釈して、固形分12wt%の塗布液を得た。基材として坪量80g/m2の中性パルプ原紙を用い、バーコーター法により塗布液を塗布し、不図示の熱風乾燥炉で120℃乾燥してインク受容層102を塗工形成しことにより、片側1層のインク受容層からなる記録媒体を得た。なお、塗布液の塗布量によりインク受容層の被覆率を調整することが可能であり、塗布液を塗布しない場合は普通紙、塗布液がインク受容層の全体を被覆する場合はマット紙が作成される。以下の表1に今回作成した記録媒体の固形分塗布量及び被覆率を示す。
【0054】
【表1】

【0055】
なお、本発明における被覆率は以下のようにして求めた。まず、塗布量を変更した記録媒体を各1枚ずつ用意し、インク受容層が全体を被覆するのに必要とされる最低塗布量をSEM(Scanning Electron Microscope、走査型電子顕微鏡)などの可視化できる装置を使用しながら求める。インク受容層が全体を被覆した記録媒体をiPF750にて染料Bkを100%の記録比率となるように記録を行い、1日乾燥後記録濃度を測定する。なお、記録濃度の測定にはX−rite社製のX−riteを使用した。記録濃度は以下の式で表されることから、基材、記録媒体、被覆率の知りたい記録媒体の各々の染料Bk100%記録比率での記録濃度を測定することによって、得ることができる。
【0056】
記録濃度 = −log10(反射率)
= −log10(基材の反射率×(1−受容層被覆率)+受容層の反射率×受容層被覆率)
【0057】
<画像均一性評価>
画像均一性の評価は目視評価にて行った。実施例比較例の出力画像サイズごとに表2の通り、実用的に使用されやすい目視距離にて評価を行い、目視距離から各々の出力画像を目視してムラが目立つ場合を×、ムラが目立たない場合を○とした。
【0058】
【表2】

【0059】
<発色特性評価>
発色特性の評価は記録後一日乾燥後、100%記録部の記録濃度を測定することによって行った。なお、染料Bkインク及びマットBkインクを同時に使用するなど複数のインクを使用する場合はトータルの記録比率として100%記録部で評価を行った。なお、記録濃度の評価には上述のX−riteを使用し、1.55以上の記録濃度の場合を○、1.55に満たない場合を×とした。
【0060】
<コスト評価>
従来のマット紙の材料コストを基準として考え、マット紙以上の材料コストの場合は×、マット紙よりも材料コストが低い場合は○とした。
【0061】
(実施例1)
上述の記録媒体1をiPF750にて出力画像サイズがA4で、2cm×2cmの黒ベタ画像部を含む画像を染料Bkインク100%の記録比率にて記録を行い、一日乾燥後30cmの距離から画像を確認した。
【0062】
(実施例2)
上述の記録媒体1をiPF750にて出力画像サイズがA2画像のうち、2cm×2cmの黒ベタ画像部を含む画像を染料Bkインク100%の記録比率にて記録を行い、一日乾燥後1mの距離から画像を確認した。
【0063】
(実施例3)
上述の記録媒体1をiPF750にて出力画像サイズがA2画像のうち、A5サイズの黒ベタ画像部を含む画像を染料Bkインク100%の記録比率にて記録を行い、一日乾燥後1mの距離から画像を確認した。
【0064】
(実施例4)
上述の記録媒体1をiPF750にて出力画像サイズがA1画像のうち、2cm×2cmの黒ベタ画像部を含む画像を染料Bkインク100%の記録比率にて記録を行い、一日乾燥後3mの距離から画像を確認した。
【0065】
(実施例5)
上述の記録媒体1をiPF750にて出力画像サイズがA1画像のうち、A5サイズの黒ベタ画像部を含む画像を染料Bkインク100%の記録比率にて記録を行い、一日乾燥後3mの距離から画像を確認した。
【0066】
(実施例6)
上述の記録媒体1をiPF750にて出力画像サイズがA1画像のうち、A4サイズの黒ベタ画像部を含む画像を染料Bkインク100%の記録比率にて記録を行い、一日乾燥後3mの距離から画像を確認した。
【0067】
(実施例7)
上述の記録媒体1をiPF750にて出力画像サイズがA4画像のうち、2cm×2cmの黒ベタ画像部を含む画像を染料Bkインク80%マットBk20%の記録比率にて記録を行い、一日乾燥後30cmの距離から画像を確認した。
【0068】
(実施例8)
上述の記録媒体1をiPF750にて出力画像サイズがA1画像のうち、A4サイズの黒ベタ画像部を含む画像を染料Bkインク80%マットBk20%の記録比率にて記録を行い、一日乾燥後3mの距離から画像を確認した。
【0069】
(実施例9)
上述の記録媒体1をiPF750にて出力画像サイズがA1画像のうち、A5サイズの黒ベタ画像部を含む画像を染料Bkインク60%マットBk40%の記録比率にて記録を行い、一日乾燥後3mの距離から画像を確認した。
【0070】
(実施例10)
上述の記録媒体1をA4サイズに切り出し、iPF750にて2cm×2cmの黒ベタ画像部を含む画像を染料Bkインク100%の記録比率にて記録を行い、一日乾燥後30cmの距離から画像を確認した。
【0071】
(比較例1)
上述の記録媒体1をiPF750にて出力画像サイズがA4で、2cm×2cmの黒ベタ画像部を含む画像をマットBkインク100%の記録比率にて記録を行った。
【0072】
(比較例2)
上述の記録媒体1をiPF750にて出力画像サイズがA4で、A5サイズの黒ベタ画像部を含む画像を染料Bkインク100%の記録比率にて記録を行い、一日乾燥後30cmの距離から画像を確認した。
【0073】
(比較例3)
上述の記録媒体1をiPF750にて出力画像サイズがA4で、A4サイズの黒ベタ画像部を含む画像を染料Bkインク100%の記録比率にて記録を行い、一日乾燥後30cmの距離から画像を確認した。
【0074】
(比較例4)
上述の記録媒体1をiPF750にて出力画像サイズがA2で、A4サイズの黒ベタ画像部を含む画像を染料Bkインク100%の記録比率にて記録を行い、一日乾燥後1mの距離から画像を確認した。
【0075】
(比較例5)
上述の記録媒体2をiPF750にて出力画像サイズがA4で、2cm×2cmの黒ベタ画像部を含む画像を染料Bkインク100%の記録比率にて記録を行い、一日乾燥後30cmの距離から画像を確認した。
【0076】
(比較例6)
上述の記録媒体3をiPF750にて出力画像サイズがA4で、2cm×2cmの黒ベタ画像部を含む画像を染料Bkインク100%の記録比率にて記録を行い、一日乾燥後30cmの距離から画像を確認した。
【0077】
(比較例7)
上述の記録媒体4をiPF750にて出力画像サイズがA4で、2cm×2cmの黒ベタ画像部を含む画像を染料Bkインク100%の記録比率にて記録を行い、一日乾燥後30cmの距離から画像を確認した。
【0078】
(比較例8)
上述の記録媒体1をiPF750にて出力画像サイズがA4で、2cm×2cmの黒ベタ画像部を含む画像を染料Bkインク60%マットBk40%の記録比率にて記録を行い、一日乾燥後3mの距離から画像を確認した。
【0079】
以下の表3に各実施例、比較例の条件を示す。
【0080】
【表3】

【0081】
また、各実施例及び比較例の評価結果は以下の表4の通りとなる。
【0082】
【表4】

【0083】
比較例1に関しては、画像均一性を得ることができるものの、染料Bk並みの高発色性を得ることができない。また比較例2、比較例3、比較例4、比較例8に関しては出力画像サイズに対してベタ画像の領域が多く、被覆によるムラが目立ってしまう結果となった。比較例5、比較例6に関しては記録媒体におけるインク受容層の被覆率が低いため染料Bkを用いた場合、十分な発色性を得ることが出来ない。また逆にインク受容層によって被覆されている部分の記録濃度の高さが強調されすぎてしまうため、出力画像に対する通常の目視距離をとってもムラが目立ってしまう。比較例7に関しては、インク受容層が全体を被覆するため、受容層材料によるコストアップが顕著となってしまう。
【0084】
以上のように、本発明によれば、微塗工紙において、出力画像サイズ及びベタ画像部の面積に対して染料インクによるBkと顔料インクによるマットBkのと適切な切り換えを行うことによって、画像均一性と記録濃度を両立させることができる。
【符号の説明】
【0085】
200 インクジェット記録装置
202 記録ヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一色について顔料インクと染料インクとを吐出可能で、入力される記録データに基づいた記録画像の記録を行うことが可能なインクジェット記録装置であって、
前記記録データから、記録される記録画像の面積を取得する記録画像面積取得手段と、
前記記録画像面積取得手段によって取得された前記記録画像の面積から、前記記録画像で同一色によって記録される画素が隣接して連続的に配置されたベタ画像部についての記録媒体上における面積の閾値を取得する第1の閾値取得手段と、
前記記録データから、記録によって記録媒体上に記録される、同一色によって記録される画素が隣接して連続的に配置されたベタ画像部の面積を取得するベタ画像部面積取得手段と、
前記ベタ画像部面積取得手段によって取得された前記ベタ画像部の面積が、前記第1の閾値取得手段によって取得された前記ベタ画像部についての面積の前記閾値以下であれば染料インクを用いて記録が行われ、前記ベタ画像部の面積が、前記第1の閾値取得手段によって取得された前記ベタ画像部についての面積の前記閾値よりも大きければ顔料インクを用いて記録が行われるように、記録で使用されるインクの種類を判断する第1の使用インク判断手段と
を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記インクジェット記録装置は、記録の行われる記録媒体が、記録の行われる面の発色特性について、領域ごとに異なる記録媒体であるかどうかを判断する記録媒体判断手段を有し、
前記記録媒体判断手段によって記録の行われる記録媒体が、記録の行われる面の発色特性について領域ごとに異なる記録媒体であると判断された場合に、前記ベタ画像部面積取得手段によって前記ベタ画像部の面積が取得され、前記第1の閾値取得手段によって前記ベタ画像部の面積についての閾値が取得され、前記第1の使用インク判断手段によって記録に使用されるインクの種類が判断されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記記録媒体判断手段は、記録の行われる前記記録媒体が、微塗工紙であるかどうかを判断し、
前記記録媒体判断手段によって記録の行われる記録媒体が前記微塗工紙であると判断された場合に、前記ベタ画像部面積取得手段によって前記ベタ画像部の面積が取得され、前記第1の閾値取得手段によって前記ベタ画像部の面積についての閾値が取得され、前記第1の使用インク判断手段によって記録に使用されるインクの種類が判断されることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記第1の閾値取得手段によって、前記ベタ画像部の記録媒体上における面積についての閾値が取得される際に、前記記録画像の面積と、前記ベタ画像部の記録媒体上における面積についての閾値との間の関係について、予め設定されたテーブルが用いられ、
前記インクジェット記録装置は、前記テーブルを記憶する記憶手段を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記テーブルに設定されている、前記記録画像の面積と、前記ベタ画像部の記録媒体上における面積についての閾値との間の関係は、
y=0.142x−84.41 (x>623)
y=4 (x≦623)
x:記録画像の面積(cm2
y:ベタ画像部の記録媒体上における面積についての閾値(cm2
の式を満たす関係であることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
同一色について顔料インクと染料インクとを吐出可能で、入力される記録データに基づいた記録画像の記録を行うことが可能なインクジェット記録装置であって、
記録媒体における記録の行われる面の面積を取得する記録媒体面積取得手段と、
前記記録媒体面積取得手段によって取得された、前記記録媒体における記録の行われる面の面積から、前記記録画像で同一色によって記録される画素が隣接して連続的に配置されたベタ画像部についての記録媒体上における面積の閾値を取得する第2の閾値取得手段と、
前記記録データから、記録によって記録媒体上に記録される、同一色によって記録される画素が隣接して連続的に配置されたベタ画像部の面積を取得するベタ画像部面積取得手段と、
前記ベタ画像部面積取得手段によって取得された前記ベタ画像部の面積が、前記第2の閾値取得手段によって取得された前記ベタ画像部についての面積の前記閾値以下であれば染料インクを用いて記録が行われ、前記ベタ画像部の面積が、前記第2の閾値取得手段によって取得された前記ベタ画像部についての面積の前記閾値よりも大きければ顔料インクを用いて記録が行われるように、記録で使用されるインクの種類を判断する第2の使用インク判断手段と
を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記第2の閾値取得手段によって、前記ベタ画像部の記録媒体上における面積についての閾値が取得される際に、前記記録媒体における記録の行われる面の面積と、前記ベタ画像部の記録媒体上における面積についての閾値との間の関係について、予め設定されたテーブルが用いられ、
前記テーブルは、前記記録媒体における記録の行われる面の面積と、前記ベタ画像部の記録媒体上における面積についての閾値との間の関係が、
y=0.142x−84.41 (x>623)
y=4 (x≦623)
x:記録媒体における記録の行われる面の面積(cm2
y:ベタ画像部の記録媒体上における面積についての閾値(cm2
の式を満たす関係であることを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
同一色について顔料インクと染料インクとを吐出可能で、記録データに基づいた記録画像の記録を行うことが可能なインクジェット記録装置であって、
前記記録データから、記録される記録画像の面積を取得する記録画像面積取得手段と、
前記記録画像面積取得手段によって取得された前記記録画像の面積から、前記記録画像で同一色によって記録される画素が隣接して連続的に配置されたベタ画像部についての記録媒体上における面積の閾値を取得する第1の閾値取得手段と、
前記記録データから、記録によって記録媒体上に記録される、同一色によって記録される画素が隣接して連続的に配置されたベタ画像部の面積を取得するベタ画像部面積取得手段と、
前記ベタ画像部面積取得手段によって取得された前記ベタ画像部の面積が、前記第1の閾値取得手段によって取得された前記ベタ画像部についての面積の前記閾値以下であれば染料インクと顔料インクとを用いて記録を行う第1の記録モードによって記録が行われ、前記ベタ画像部の面積が、前記第1の閾値取得手段によって取得された前記ベタ画像部についての面積の前記閾値よりも大きければ顔料インクのみを用いて記録を行う第2の記録モードによって記録が行われるように、記録の際の記録モードを選択する記録モード選択手段と
を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項9】
前記第1の記録モードでは、染料インクと顔料インクとの合計のインク吐出量に対して、顔料インクによるインク吐出量の割合が40%以下であることを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録装置。
【請求項10】
同一色について顔料インクと染料インクとを吐出可能で、入力される記録データに基づいた記録画像の記録を行うことが可能なインクジェット記録装置であって、
前記記録データから、記録される記録画像の面積を取得する記録画像面積取得手段と、
前記記録画像面積取得手段によって取得された前記記録画像の面積から、前記記録画像において、所定領域の全体の面積に対し同一色によって記録される画素の占める面積の割合が、所定の割合以上である画像部についての記録媒体上における面積の閾値を取得する第3の閾値取得手段と、
前記記録データから、前記記録画像において、所定領域の全体の面積に対し同一色によって記録される画素の占める面積の割合が、所定の割合以上である画像部についての記録媒体上における面積を取得する画像部面積取得手段と、
前記画像部面積取得手段によって取得された前記画像部の面積が、前記第3の閾値取得手段によって取得された前記画像部についての面積の前記閾値以下であれば染料インクを用いて記録が行われ、前記画像部の面積が、前記第3の閾値取得手段によって取得された前記画像部についての面積の前記閾値よりも大きければ顔料インクを用いて記録が行われるように、記録で使用されるインクの種類を判断する第3の使用インク判断手段と
を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項11】
同一色について顔料インクと染料インクとを吐出可能で、記録データに基づいた記録画像の記録を行うことが可能なインクジェット記録装置を用いて記録を行う記録方法であって、
前記記録データから、記録される記録画像の面積を取得する記録画像面積取得工程と、
前記記録画像面積取得工程で取得された前記記録画像の面積から、前記記録画像で同一色によって記録される画素が隣接して連続的に配置されたベタ画像部についての記録媒体上における面積の閾値を取得する第1の閾値取得工程と、
前記記録データから、記録によって記録媒体上に記録される、同一色によって記録される画素が隣接して連続的に配置されたベタ画像部の面積を取得するベタ画像部面積取得工程と、
前記ベタ画像部面積取得工程で取得された前記ベタ画像部の面積が、前記第1の閾値取得工程で取得された前記ベタ画像部についての面積の前記閾値以下であれば染料インクを用いて記録が行われ、前記ベタ画像部の面積が、前記第1の閾値取得工程で取得された前記ベタ画像部についての面積の前記閾値よりも大きければ顔料インクを用いて記録が行われるように、記録で使用されるインクの種類を判断する第1の使用インク判断工程と
を有することを特徴とする記録方法。
【請求項12】
同一色について顔料インクと染料インクとを吐出可能で、記録データに基づいた記録画像の記録を行うことが可能なインクジェット記録装置を用いて記録を行う記録方法であって、
記録媒体における記録の行われる面の面積を取得する記録媒体面積取得工程と、
前記記録媒体面積取得工程で取得された、前記記録媒体における記録の行われる面の面積から、前記記録画像で同一色によって記録される画素が隣接して連続的に配置されたベタ画像部についての記録媒体上における面積の閾値を取得する第2の閾値取得工程と、
前記記録データから、記録によって記録媒体上に記録される、同一色によって記録される画素が隣接して連続的に配置されたベタ画像部の面積を取得するベタ画像部面積取得工程と、
前記ベタ画像部面積取得工程で取得された前記ベタ画像部の面積が、前記第2の閾値取得工程で取得された前記ベタ画像部についての面積の前記閾値以下であれば染料インクを用いて記録が行われ、前記ベタ画像部の面積が、前記第2の閾値取得工程で取得された前記ベタ画像部についての面積の前記閾値よりも大きければ顔料インクを用いて記録が行われるように、記録で使用されるインクの種類を判断する第2の使用インク判断工程と
を有することを特徴とする記録方法。
【請求項13】
同一色について顔料インクと染料インクとを吐出可能で、記録データに基づいた記録画像の記録を行うことが可能なインクジェット記録装置を用いて記録を行う記録方法であって、
前記記録データから、記録される記録画像の面積を取得する記録画像面積取得工程と、
前記記録画像面積取得工程で取得された前記記録画像の面積から、前記記録画像で同一色によって記録される画素が隣接して連続的に配置されたベタ画像部についての記録媒体上における面積の閾値を取得する第1の閾値取得工程と、
前記記録データから、記録によって記録媒体上に記録される、同一色によって記録される画素が隣接して連続的に配置されたベタ画像部の面積を取得するベタ画像部面積取得工程と、
前記ベタ画像部面積取得工程で取得された前記ベタ画像部の面積が、前記第1の閾値取得工程で取得された前記ベタ画像部についての面積の前記閾値以下であれば染料インクと顔料インクとを用いて記録を行う第1の記録モードによって記録が行われ、前記ベタ画像部の面積が、前記第1の閾値取得工程で取得された前記ベタ画像部についての面積の前記閾値よりも大きければ顔料インクのみを用いて記録を行う第2の記録モードによって記録が行われるように、記録の際の記録モードを選択する記録モード選択工程と
を有することを特徴とする記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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